JP2004184863A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】像担持体の寿命が長く、長期間安定したクリーニング性能を発揮することのできる低コストの画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】感光体ドラム1上に静電潜像を形成し、その静電潜像をトナーで現像することによりトナー像を形成し、そのトナー像を転写材上に転写することにより画像を形成する画像形成装置において、トナー像を転写材上に転写した後の感光体ドラム1上に残留した残留トナーを静電的に吸引する、導電性繊維からなるブラシを有するブラシロール61a,61bと、ブラシロール61a,61bに吸引されたトナーを静電的に回収する、表面に、体積抵抗率が7logΩcm以上13logΩcm以下である高抵抗層を有する回収ロール62a,62bと、回収ロール62a,62bに回収されたトナーを掻き落とすトナー掻取り部材63a,63bとからなるクリーニング装置6を備えた。
【選択図】 図2
【解決手段】感光体ドラム1上に静電潜像を形成し、その静電潜像をトナーで現像することによりトナー像を形成し、そのトナー像を転写材上に転写することにより画像を形成する画像形成装置において、トナー像を転写材上に転写した後の感光体ドラム1上に残留した残留トナーを静電的に吸引する、導電性繊維からなるブラシを有するブラシロール61a,61bと、ブラシロール61a,61bに吸引されたトナーを静電的に回収する、表面に、体積抵抗率が7logΩcm以上13logΩcm以下である高抵抗層を有する回収ロール62a,62bと、回収ロール62a,62bに回収されたトナーを掻き落とすトナー掻取り部材63a,63bとからなるクリーニング装置6を備えた。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式の複写機やプリンタ等の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式の画像形成装置において、トナー像を転写材上に転写した後の像担持体上に残留する残留トナーを除去するために、像担持体に当接させたゴムブレードで像担持体上の残留トナーを掻き落とす方式のクリーニング装置が広く用いられている。
【0003】
一般に、ゴムブレードは像担持体表面に対する密着性が高く、像担持体上の残留トナーを確実に掻き落とすことができるが、このゴムブレード方式のクリーニング装置では、像担持体の表面が摩擦抵抗を受けるので、像担持体の駆動トルクが大きくなり無駄なエネルギを消費するばかりでなく、ゴムブレードにより像担持体表面が摩耗するため像担持体の寿命が短くなるという問題がある。
【0004】
このゴムブレード方式のクリーニング装置の代わりに、像担持体表面を摩耗させる恐れの少ないブラシクリーニング方式のクリーニング装置を用いた画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
この特許文献1には、静電式画像記録装置において、像担持体上に残留したトナーを半導電性材料で構成したファーブラシによりクリーニングし、ファーブラシに付着したトナーを電気的にバイアスした回収ローラで回収するクリーニング装置が開示されている。
【0006】
このクリーニング装置では、ファーブラシによる機械的な掻取り力および静電的な吸引力によってクリーニングを行っており、ブレード方式のように像担持体を強く押し付けることがないので、像担持体の摩耗を大幅に抑制することができ、像担持体の長寿命化を図ることができる。
【0007】
しかし、このファーブラシにトナーが蓄積されるに従い、ファーブラシの見掛け上の抵抗値が上昇して静電的な吸引力が低下し、そのためファーブラシによる像担持体表面の残留トナーのクリーニング性能が低下して、いわゆるクリーニング不良が発生しやすくなる。従って、ファーブラシなどのブラシロールを用いるブラシクリーニング方式では、ブラシロールに蓄積したトナーを如何に回収するかが重要な課題となる。
【0008】
例えば、回収ロールとして金属ロールなどの導電性材料を使用した場合には、ブラシと回収ロールとの接触部で過電流が発生し、この過電流により、所望の電圧が回収ロール表面に印加されなくなるばかりでなく、ブラシに付着したトナーへの電荷注入によって、トナーが逆極性化する現象が起きる。トナーが逆極性化すると、静電気力によって回収ロールにトナーを移動させることができず、ブラシロールに大量のトナーが蓄積し、ブラシロールのクリーニング性能が著しく低下したり、像担持体へのトナー再付着が発生したりする。
【0009】
そこで、過電流の発生を防止するために、回収ロール表面に金属酸化被膜などの絶縁層を設けることが考えられるが、その場合には、回収に必要な電荷を得るために回収ロールに高電圧を印加しなければならない。さらに、絶縁層が存在することにより、回収ロール表面の電荷が移動しにくくなるためチャージアップし、回収ロール表面に所望の電圧が得られなくなって、回収性能が低下するという現象が起きやすい。
【0010】
上記のような問題を回避するためには、適切な抵抗を有する回収ロールを用いてブラシロールと回収ロールとの間の電気的な不具合の発生を抑制する必要がある。このような課題を解決するものとして、導電体の芯材に導電性のファーを植毛して形成したファーブラシロールと、導電体の芯材の表面に比抵抗が3logΩcm〜9logΩcmの樹脂をコートした回収ロールと、その回収ロールの外周面にエッジ部が当接された弾性体のゴムブレードとを備えたクリーニング装置が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0011】
しかしながら、この特許文献2の方法にも次のような問題がある。すなわち、この回収ロールでは、ゴムブレードと回収ロールとの密着性が高いため、回収ロール表面はゴムブレードとの摩擦により磨耗しやすいという問題がある。また、ゴムブレードと回収ロールとのニップ部付近には、トナーよりも小粒径で硬度の高いシリカなどのトナー外添剤が存在することがあるが、このトナー外添剤などがニップ部に進入するとコート層に強く押しつけられて摩擦され、回収ロール表面の樹脂層を磨耗させ、回収ロール表面の抵抗が全体的にあるいは部分的に低下する。
【0012】
さらに、この回収ロール表面の樹脂層の抵抗は3logΩcm〜9logΩcmと低いので、環境条件によっては、特に、高温高湿の環境下では、ブラシロールと回収ロールとの間に過電流が発生しやすくなり、ブラシロール中にトナーが蓄積して像担持体のクリーニング不良や像担持体へのトナー再付着を引き起こす原因となりやすい。
【0013】
また、回収ロールの回転に伴われてトナー外添剤が回収ロールとゴムブレードとのニップ部を通過するときに、ゴムブレードのエッジを傷つけ、やがてゴムブレードによるトナー掻取りができなくなり、回収ロールにトナーが蓄積して像担持体のクリーニング不良や像担持体へのトナー再付着の原因となる恐れもある。
【0014】
従って、上記の方法は、特に、高速の画像形成装置のように長期間にわたって安定した性能が要求される画像形成装置に適用するのは難しい。
【0015】
上記の課題を解決するために、回収ロールの表面コート層の高硬度化および高抵抗化を図ることが考えられる。そこで、例えば、8logΩcm未満の導電率のセラミックを表面にコートした回収ロールを備えたクリーニング装置が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0016】
この特許文献3には、コート層の表面が硬いため、掻取り部材として金属スクレーパを使用することができるので、像担持体に無用なトルクアップを行う必要がなく、前述のような回収ロールの表面コート層の耐磨耗性に関する問題は解消されると記載されている。
【0017】
しかしながら、この回収ロールは、プラズマ溶射法、スパッタ法、イオンめっき法、真空蒸着法などのコストのかかる工程により製造する必要があるため、製造コストが高くなるという問題がある。
【0018】
【特許文献1】
特開昭58−111078号公報(第1−3頁、第2図)
【特許文献2】
特開平2−216175号公報(第1−4頁、第1図)
【特許文献3】
特開平9−106232号公報(第1−3頁、第3図)
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
さらに、上記の各文献以外にも、例えば、耐磨耗性のある導電性ポリフェノール樹脂を導電性芯材に接着することにより、比較的安価に製造可能な回収ロールなども提案されている。この回収ロール表面の抵抗層は、体積抵抗率が810logΩcm〜10logΩcmであり、厚みが2mmである。
【0020】
しかし、この回収ロールでは、導電性芯材と抵抗層との間に空隙があったり、接着剤の抵抗が高かったりした場合に、その部分の時定数が大きくなり回収ロールとブラシロールとの接触部近傍で回収ロールの表面電位が十分得られなくなるという問題がある。また、導電性芯材と抵抗層との間に空隙などが存在しない場合であっても、ロールの表面抵抗が低くなるためブラシロールとの接触部近傍で必要な電界が形成できなくなり、十分なトナー回収性能を得ることができないことがある。
【0021】
本発明は、上記事情に鑑み、像担持体の寿命が長く、長期間安定したクリーニング性能を発揮することのできる低コストの画像形成装置を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の画像形成装置は、
像担持体上に静電潜像を形成し、その静電潜像をトナーで現像することによりトナー像を形成し、そのトナー像を所定の転写材上に転写することにより転写材上に画像を形成する画像形成装置において、
上記トナー像を上記転写材上に転写した後の上記像担持体上に残留した残留トナーを静電的に吸引する、導電性繊維からなるブラシを有するブラシロールと、上記ブラシロールに吸引されたトナーを静電的に回収する、表面に、体積抵抗率が7logΩcm以上13logΩcm以下である高抵抗層を有する回収ロールと、上記回収ロールに回収されたトナーを掻き落とすトナー掻取り部材とからなるクリーニング装置を備えたことを特徴とする。
【0023】
本発明の画像形成装置によれば、上記のブラシロール、回収ロール、およびトナー掻取り部材からなるクリーニング装置を備えたことにより、像担持体の寿命が長く、長期間安定したクリーニング性能を発揮することのできる低コストの画像形成装置を実現することができる。
【0024】
特に、回収ロールの表面に体積抵抗率が7logΩcm以上13logΩcm以下に制御された高抵抗層を有しているので、高温高湿環境下でも、回収ロールとブラシロールの間の過電流発生に伴うトナーの逆極性化によりクリーニング性能が低下したり像担持体に逆極性トナーが再付着したりすることがない。また、低温低湿環境下でも、回収ロールに電荷が蓄積することがないのでブラシロールとの間に適切な電界が形成され、ブラシロール中のトナーを安定して回収することができる。なお、回収ロール表面の高抵抗層の体積抵抗率は、トナー回収能力の上からは8logΩcm以上11logΩcm以下であることが好ましい。
【0025】
ここで、上記高抵抗層が、5μm以上200μm以下の厚さを有するものであることが好ましい。
【0026】
このように、高抵抗層を5μm以上200μm以下の厚さを有するものとした場合は、高抵抗層がごく薄いため、回収ロールの表面から近い所に芯材が存在しているため、ブラシロールとのニップ部において、ブラシ繊維と直接接触していない回収ロール表面に、トナーを回収する向きの電界が形成されやすく、そのため、このクリーニング装置を高速の画像形成装置に適用した場合でも十分なトナー回収能力を得ることができる。
【0027】
なお、上記高抵抗層は、コートによって形成してもよいし、フィルムをチューブ状にしたものを芯材に被せてもよい。
【0028】
また、芯材と、フィルム層またはコート層との間に低抵抗の弾性層を設けておけば、フィルム層またはコート層の空回りを防止することができ、安定したクリーニング性能を得ることができる。また、装置の組み立て時などにコート層、フィルム層にわずかな傷ができた場合にも、その部分からリークする恐れがない。また、このように接着剤を使用せずに高抵抗層を形成することにより、芯材と高抵抗層との間に空隙が生じることはないので、安定したクリーニング性能を得ることができる。
【0029】
また、上記高抵抗層が、導電性粒子を含むポリイミド樹脂で形成されたものであることも好ましい。
【0030】
導電性粒子を含むポリイミド樹脂は抵抗制御しやすく、薄層形成が可能な樹脂であるため、上記のようなコート層またはフィルム層の上記高抵抗層とすることができる。さらに、ポリイミド樹脂は回収ロールの表面材料として十分な機械的強度を有するため、回収トナー掻取り部材として環境変動による特性変化が小さく、長期にわたって使用可能なSUSやリン青銅などの金属スクレーパを使用した場合であっても、回収ロールの表面層が著しく傷付けられたり磨耗したりすることがなく、長期間安定した回収性能を発揮することができる。
【0031】
さらに、上記クリーニング装置が、上記ブラシロール、上記回収ロール、および上記トナー掻取り部材をそれぞれ2つずつ有するものであり、かつ、それら2つの回収ロールは、それぞれ互いに極性の異なる電荷が付与されるものであることも好ましい態様である。
【0032】
本発明の画像形成装置をこのように構成した場合は、2つの回収ロールが、互いに極性の異なるトナーをそれぞれ分担して回収することが可能となるので、クリーニング性能を一層向上させることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0034】
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【0035】
図1に示すように、この実施形態の画像形成装置10は、感光体ドラム(像担持体)1、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、およびクリーニング装置6を備えており、矢印A方向に回転する感光体ドラム1の表面を、周知の電子写真プロセスにより、帯電装置2を用いて所定の暗電位まで帯電させた後、露光装置3から照射される露光ビーム3aにより像担持体1表面上に画像情報に応じた静電潜像を形成し、その静電潜像を現像装置4を用いてトナーで現像することによりトナー像を形成し、そのトナー像を所定の記録媒体に転写するものである。
【0036】
なお、本実施形態における感光体ドラム1は、本発明にいう像担持体の一例に相当するものである。
【0037】
この画像形成装置10は、A4用紙に毎分60枚のプリントが可能な画像形成装置であり、プロセススピードは260mm/secである。
【0038】
帯電装置2としては、スコロトロンが用いられており、感光体ドラム1の表面電位を−700Vに帯電させる。
【0039】
感光体ドラム1は、次に露光ビーム3aにより露光され、その露光部に静電潜像が形成される。露光部の表面電位は−300Vとなる。
【0040】
現像装置4は、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を担持・搬送する現像ロール4aを備えており、感光体ドラム1のプロセススピードの1.75倍の速度、すなわち455mm/secで回転している。現像ロール4aには直流電圧に交流電圧を重畳した現像バイアスを印加することにより、感光体ドラム1上の静電潜像はトナーで現像される。現像バイアスとしては、直流成分を−580V、交流成分をピークトゥーピーク電圧VPPが1.0kV、周波数4.0kHz、Duty0.6の矩形波を用いている。
【0041】
トナーは、混練粉砕法により作成された、コールターカウンター(コールター社製)で測定した体積平均粒径が6.5μmのトナーが用いられる。トナーの平均粒径は必ずしもこの値に限られるものではなく、3μm〜9μmの範囲内であればよい。さらに、このトナーに、平均粒径10nm〜150nmのシリカおよびチタニア等の無機微粒子の外添剤を適宜量外添する。また、キャリアとしては、平均粒径35μmのフェライトビーズからなるキャリアが用いられる。
【0042】
これらのトナー、外添剤、およびキャリアからなる二成分現像剤は現像装置4内で攪拌され、トナーは負極性に帯電される。
【0043】
現像装置4によって感光体ドラム1表面に形成されたトナー像は、次に、感光体ドラム1と転写装置5とによって形成される転写領域Tにおいて転写材7上に転写される。
【0044】
なお、本実施形態では、感光体ドラム1から転写材7にトナー像を直接転写する例を示したが、本発明の画像形成装置は、感光体ドラムから中間転写体にトナー像を一次転写し、中間転写体に一次転写されたトナー像を転写材に二次転写する方式の画像形成装置であってもよい。
【0045】
トナー像の転写を受けた転写材7は定着器(図示省略)に搬送され、トナー像は転写材7上に定着処理される。
【0046】
一方、転写装置5によって転写材7にトナー像が転写された後の感光体ドラム1の表面には、転写材7に転写されずに残った、いわゆる残留トナーが存在している。この残留トナーは、感光体ドラム1の回転に伴い、クリーニング装置6に到達する。
【0047】
図2は、本実施形態の画像形成装置に備えられるクリーニング装置の概略構成図である。
【0048】
図2に示すように、このクリーニング装置6は、2つのブラシロール61a,61b、2つの回収ロール62a,62b、2つのトナー掻取り部材63a,63b、搬送部材64、およびクリーニング前コロトロン65で構成されている。
【0049】
ブラシロール61a,61bは、それぞれ、導電性繊維からなるブラシが表面に植毛されたロールであり、ともに矢印C方向に回転しながら、トナー像が転写材7(図1参照)上に転写された後の感光体ドラム1上の残留トナーを静電的に吸引する。
【0050】
回収ロール62a,62bは、それぞれ、表面に、体積抵抗率が7logΩcm以上13logΩcm以下である高抵抗層を有するロールであり、互いに異なる矢印D方向および矢印E方向に回転しながら、ブラシロール61a,61bに吸引されたトナーを静電的に回収する。
【0051】
トナー掻取り部材63a,63bは、それぞれ、回収ロール62a,62bに回収されたトナーを機械的に掻き落とす、いわゆるスクレーパ型の部材である。
【0052】
搬送部材64は、トナー掻取り部材63a,63bで掻き落とされたトナーを外部に搬送するものである。
【0053】
次に、このクリーニング装置6の動作について説明する。
【0054】
先ず、感光体ドラム1および感光体ドラム1上の残留トナーは、クリーニング装置6の手前側に設けられたクリーニング前コロトロン65により除電される。ここでの感光体ドラム1の表面電位は−50Vである。ただし、残留トナーには現像トナーと同極性のトナー、すなわち正極性トナー(以下RSTという)と、転写領域T(図1参照)を通過した際に生じた、現像トナーとは逆極性の、いわゆる逆極性トナー(以下WSTという)との2種類のトナーが存在する。
【0055】
2つのブラシロールのうちクリーニング前コロトロン65に近い方のブラシロール61aにはRSTを引きつける向きの電圧、クリーニング前コロトロン65から遠い方のブラシロール61bには、WSTを引きつける向きの電圧がそれぞれ印加されている。
【0056】
また、ブラシロール61aに対応する回収ロール62aには、ブラシロール61aからRSTを回収するような電圧が印加されており、ブラシロール61bに対応する回収ロール62bにはブラシロール61bからWSTを回収するような電圧が印加されている。
【0057】
そのため、感光体ドラム1上の残留トナーが、ブラシロール61aと感光体ドラム1との接触領域を通過するときに、残留トナーのうちのRSTはブラシロール61aに付着した後、回収ロール62aとのニップに移動し、ここで回収ロール62aに回収される。回収ロール62a上に回収されたRSTはトナー掻取り部材63aによって掻き取られ、搬送部材64上に落下し廃トナーボックス(図示省略)に搬送される。
【0058】
一方、残留トナーのうちのWSTの中には、ブラシロール61aに機械的に掻き取られていくものもあるが、それらは回収ロール62aには移動せず、再度感光体ドラム1に付着する。
【0059】
こうして、ブラシロール61aと感光体ドラム1との接触領域を通過した後の残留トナーはWSTだけとなる。このWSTはブラシロール61bと感光体ドラム1との接触領域に搬送され、ここで、WSTはブラシロール61bに付着した後、回収ロール62bに回収され、トナー掻取り部材63bによって掻き取られて搬送部材64上に落下し廃トナーボックス(図示省略)に搬送される。
【0060】
本実施形態では、ブラシロール61aには+260Vの電圧、ブラシロール61bには−400Vの電圧をそれぞれ印加している。また、回収ロール62aには+660Vの電圧、回収ロール62bには−800Vの電圧をそれぞれ印加している。上記の各印加電圧は、RSTまたはWSTの移動が確実に行える電圧であり、かつ、ブラシロール61a,61bと感光体ドラム1との間、あるいはブラシロール61a,61bと回収ロール62a,62bとの間で放電が発生しない電圧であればよい。
【0061】
ブラシロール61a,61bには、外径6.5mmのステンレス製の芯材上に、カーボンを含有した2デニールの導電性ナイロンのブラシが植毛された、体積抵抗率が5logΩcm〜6logΩcm、1平方インチ当たりのブラシの密度が120万本、外径が17mmのブラシロールが用いられる。また、ブラシロール61a,61bの感光体ドラム1に対する食い込み量は、1.5mm、ブラシロール61a,61bの回収ロール62a,62bに対する食い込み量は2mmに設定する。
【0062】
なお、ブラシロールの体積抵抗率は、必ずしも上記の値に限られるものではなく、4logΩcm〜9logΩcmの範囲内であればよい。また、ブラシロールの外径、感光体ドラムに対する食い込み量、および回収ロールに対する食い込み量なども、必ずしも上記の値に限られるものではなく、感光体ドラム1を傷付けることなく残留トナーを吸着し、回収ロール63に確実に回収できる値であればよい。
【0063】
次に、本発明の画像形成装置の実施例について説明する。
[実施例1]
図3は、第1の実施例で用いられた回収ロールの断面図である。
【0064】
図3に示すように、この回収ロール62は、ステンレス製の芯材621上にポリイミド樹脂からなる高抵抗層622をコートしたものであり、図2に示すクリーニング装置6の回収ロール62a,62bとして用いたものである。
【0065】
この高抵抗層622は、体積抵抗率が7logΩcm以上13logΩcm以下、好ましくは8logΩcm以上11logΩcm以下であることが望ましい。また、高抵抗層622の厚みは5μm以上200μm以下であることが好ましい。
【0066】
図2に示すように、ブラシロール61a,61bは、感光体ドラム1の回転方向Aと同じ回転方向Cに70rpmで回転するように設定した。
【0067】
また、回収ロール62aは、外径12mmであり、ブラシロール61aの回転方向Cとは逆の回転方向Eに130rpmで回転するように設定した。
【0068】
また、回収ロール62bは、外径16mmであり、ブラシロール61bの回転方向Cと同じ回転方向Dに130rpmで回転するように設定した。
【0069】
なお、本実施例では、上記のような設定としているが、感光体ドラム1からブラシロール61a,61bへ、およびブラシロール61a,61bから回収ロール62a,62bへとトナーを確実に移動することができれば、必ずしも上記の設定のみに限られるものではない。
【0070】
また、トナー掻取り部材63a,63bには、回収ロール62a,62bとの当接状態の安定性を図るため、および回収ロール62a,62bの回転トルク低減を図るために、板厚100μmのSUS304の端部をエッチング処理して形成したスクレーパ型の部材を使用した。なお、トナー掻取り部材は必ずしも上記の部材に限られるものではなく、上記以外のステンレスやリン青銅などのバネ材や、長期の使用に耐えられるものであれば金属以外の弾性材料によりトナー掻取り部材を形成しても差し支えない。
【0071】
なお、本実施例において、クリーニング装置を、ブラシロール、回収ロール、およびトナー掻取り部材をそれぞれ2つずつ有する構成としたのは、RSTおよびWSTという互いに極性の異なる2種類の残留トナーをいずれかのブラシロールにより確実にクリーニングするためであり、必ずしも上記各部材をそれぞれ2つずつ有する構成としなければならないわけではない。
【0072】
上記の構成で、抵抗層の層厚および体積抵抗率の異なる各回収ロールについて、クリーニング性能を比較した。
【0073】
ここでは、28℃、80%RH、および10℃、15%RHの環境でそれぞれ20,000枚のショートランニングテストを実施した。このテストでは、プロセス方向に画像密度100%の帯状の画像をプリントし、そのテスト結果を評価した。評価結果を表1に示す。
【表1】
【0074】
なお、◎印は、上記いずれの環境でもクリーニング性能に関して問題無く、ブラシロールのトナー汚れも特に目立たなかったことを示す。
【0075】
×印は、クリーニング不良が発生し、クリーニング装置通過後の感光体ドラム1上にトナー像が残留しているのが確認でき、帯電不良や露光阻害の原因となったことを示す。
【0076】
○印は、28℃、80%RH環境下でのショートランニングテストの後、残留トナー通過は見られなかったが、画像の帯に相当するブラシロールの位置にトナーの付着が他に比べて多く残っているのが確認されたことを示す。
【0077】
●印は、10℃、15%RH環境下でのショートランニングテストの後、残留トナー通過は見られなかったが、画像の帯に相当するブラシロールの位置にトナーの付着が他に比べて多く残っていたことを示す。
【0078】
表1に示すように、◎印は、高抵抗層の体積抵抗率が7logΩcm以上13logΩcm以下である場合に限られている。そして、特に8logΩcm以上11logΩcm以下である場合は特に優れた評価結果が得られた。
【0079】
また、高抵抗層の体積抵抗率が7logΩcm以上13logΩcm以下であり、かつ高抵抗層の層厚が5μm以上200μm以下である場合に特に優れた評価結果が得られた。
【0080】
次に、体積抵抗率10logΩcm、層厚80μmの高抵抗層を設けた回収ロールを使用して、500,000枚の長期間ランニングテストを実施した。このとき、5,000枚ごとに環境条件を22℃・50%RH、28℃・80%RH、10℃・15%RHに変更した。
【0081】
その結果、クリーニング不良などクリーニング性にかかわるディフェクトは発生しなかった。また、感光体ドラム上に残留するトナーは観察されなかった。
【0082】
次に、第2の実施例について説明する。
[実施例2]
図4は、第2の実施例で用いられた回収ロールの断面図である。
【0083】
この実施例は、回収ロールの高抵抗層と芯材の間に低抵抗層を設けた実施例である。この低抵抗層を設けることにより、何らかの原因により回収ロール表面の高抵抗層に傷が付いた場合でも高抵抗層と芯材との間にリークが発生するのを防止することができる。
【0084】
図4に示すように、この回収ロール62’は、ステンレス製の芯材621の上に導電弾性層624として、4logΩcm、厚さ2mmのポリウレタン層を形成し、その上にチューブ状のポリイミド樹脂フィルム623を被せて導電弾性層624に密着した高抵抗層を形成したものである。ポリイミド樹脂フィルム623の厚さは100μm、体積抵抗率は10logΩcmである。
【0085】
この回収ロール62’を、図2に示すクリーニング装置6の2つの回収ロール62a,62bとして用いた。それ以外は第1の実施例と同様の構成とした。
【0086】
そして、第1の実施例と同様に、5,000枚ごとに環境条件を22℃、50%RH、28℃、80%RH、および10℃、15%RHに変更し、500,000枚のランニングテストを実施したが、クリーニング性にかかわるディフェクトは発生せず、感光体ドラム1上へのトナーの残留も見られなかった。
【0087】
また、第2の実施例では、回収ロール62’のポリイミド樹脂フィルム623と導電弾性層624との間には接着剤などを使用していないが、ポリイミド樹脂フィルム623が空回りするなどの不具合は発生しなかった。
【0088】
なお、この実施例では、導電弾性層624にポリイミド樹脂フィルム623を密着させて回収ロール62’を構成したが、この両者の密着性をさらに向上させる必要がある場合には、導電弾性層624に導電性塗料などを塗布してからポリイミド樹脂フィルム623を被せることによって回収ロール62’を形成するようにしてもよい。
【0089】
次に、本発明の画像形成装置におけるクリーニング装置の作用効果を検証するために行ったテストの結果を比較例として以下に説明する。
[比較例]
図5は、比較例で用いられた回収ロールの断面図である。
【0090】
図5に示すように、この回収ロール62”は、ステンレス製の芯材621の上に、厚さ2mmに成形した7logΩcm〜12logΩcmの導電性ポリフェノール樹脂625を接着層626を介して形成したものである。
【0091】
この回収ロール62”を、図1に示す画像形成装置10のクリーニング装置6の2つの回収ロール62a,62bとして用い、28℃、80%RH、および10℃、15%RHの環境でそれぞれ20,000枚のショートランニングテストを実施した。テストの結果を表2に示す。
【表2】
【0092】
○印は、28℃、80%RH環境のランニングテストの後、クリーニング装置を通過する残留トナーは見られなかったが、画像の帯に相当するブラシロール61aの位置にトナーの付着が他に比べ多く残っているのが確認されたことを示す。
【0093】
●印は、10℃、15%RH環境のランニングテストの後、クリーニング装置を通過する残留トナーは見られなかったが、画像の帯に相当するブラシロール61aの位置にトナーの付着が他に比べ多く残っていたことを示す。
【0094】
×印は、クリーニング不良が発生し、クリーニング装置を通過した後の感光体ドラム1上にトナー像が残留しているのが確認でき、帯電不良や露光阻害の原因となったことを示す。
【0095】
表2に示すように、この比較例では、短期間のランニングテストにもかかわらず、第1の実施例における◎印に相当する評価を得たものは一つもなかった。
【0096】
さらに、体積抵抗率10logΩcmの回収ロールを用いて500,000枚の長期間ランニングテストを試みたが、100,000枚でクリーニング不良が発生してしまった。同じ体積抵抗率の別の回収ロールを用いて、再度ランニングテストを試みたが、今度は12,000枚でクリーニング不良が発生した。
【0097】
このようにこの比較例においてクリーニング不良が多発した原因について検討した結果、12,000枚でクリーニング不良が発生した回収ロールは、ポリフェノール樹脂層625と芯材621とを接着する際に、接着層626にムラが生じ、ポリフェノール樹脂層625と芯材621との間に空隙ができて、その部分のトナー回収性が著しく低下していたことが判明した。また、100,000枚でクリーニング不良が発生した回収ロールは、ポリフェノール樹脂層625と芯材621との間に空隙はなかったが、ブラシロール61aと接触する領域で表面電位が得られておらず、トナー回収性が十分でなかったことがわかった。
【0098】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の画像形成装置によれば、上記のブラシロール、回収ロール、およびトナー掻取り部材からなるクリーニング装置を備え、特に、表面に体積抵抗率が7logΩcm以上13logΩcm以下の高抵抗層を有する回収ロールを備えているため、高温高湿環境下でも、また、低温低湿環境下でも、長期間安定してトナーをクリーニングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本実施形態の画像形成装置に備えられるクリーニング装置の概略構成図である。
【図3】第1の実施例で用いられた回収ロールの断面図である。
【図4】第2の実施例で用いられた回収ロールの断面図である。
【図5】比較例で用いられた回収ロールの断面図である。
【符号の説明】
1 感光体ドラム(像担持体)
2 帯電装置
3 露光装置
3a 露光ビーム
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 転写材
10 画像形成装置
61a,61b ブラシロール
62,62’,62”,62a,62b 回収ロール
63a,63b トナー掻取り部材
64 搬送部材
65 クリーニング前コロトロン
621 芯材
622 高抵抗層
623 ポリイミド樹脂フィルム
624 導電弾性層
625 導電性ポリフェノール樹脂
626 接着層
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式の複写機やプリンタ等の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式の画像形成装置において、トナー像を転写材上に転写した後の像担持体上に残留する残留トナーを除去するために、像担持体に当接させたゴムブレードで像担持体上の残留トナーを掻き落とす方式のクリーニング装置が広く用いられている。
【0003】
一般に、ゴムブレードは像担持体表面に対する密着性が高く、像担持体上の残留トナーを確実に掻き落とすことができるが、このゴムブレード方式のクリーニング装置では、像担持体の表面が摩擦抵抗を受けるので、像担持体の駆動トルクが大きくなり無駄なエネルギを消費するばかりでなく、ゴムブレードにより像担持体表面が摩耗するため像担持体の寿命が短くなるという問題がある。
【0004】
このゴムブレード方式のクリーニング装置の代わりに、像担持体表面を摩耗させる恐れの少ないブラシクリーニング方式のクリーニング装置を用いた画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
この特許文献1には、静電式画像記録装置において、像担持体上に残留したトナーを半導電性材料で構成したファーブラシによりクリーニングし、ファーブラシに付着したトナーを電気的にバイアスした回収ローラで回収するクリーニング装置が開示されている。
【0006】
このクリーニング装置では、ファーブラシによる機械的な掻取り力および静電的な吸引力によってクリーニングを行っており、ブレード方式のように像担持体を強く押し付けることがないので、像担持体の摩耗を大幅に抑制することができ、像担持体の長寿命化を図ることができる。
【0007】
しかし、このファーブラシにトナーが蓄積されるに従い、ファーブラシの見掛け上の抵抗値が上昇して静電的な吸引力が低下し、そのためファーブラシによる像担持体表面の残留トナーのクリーニング性能が低下して、いわゆるクリーニング不良が発生しやすくなる。従って、ファーブラシなどのブラシロールを用いるブラシクリーニング方式では、ブラシロールに蓄積したトナーを如何に回収するかが重要な課題となる。
【0008】
例えば、回収ロールとして金属ロールなどの導電性材料を使用した場合には、ブラシと回収ロールとの接触部で過電流が発生し、この過電流により、所望の電圧が回収ロール表面に印加されなくなるばかりでなく、ブラシに付着したトナーへの電荷注入によって、トナーが逆極性化する現象が起きる。トナーが逆極性化すると、静電気力によって回収ロールにトナーを移動させることができず、ブラシロールに大量のトナーが蓄積し、ブラシロールのクリーニング性能が著しく低下したり、像担持体へのトナー再付着が発生したりする。
【0009】
そこで、過電流の発生を防止するために、回収ロール表面に金属酸化被膜などの絶縁層を設けることが考えられるが、その場合には、回収に必要な電荷を得るために回収ロールに高電圧を印加しなければならない。さらに、絶縁層が存在することにより、回収ロール表面の電荷が移動しにくくなるためチャージアップし、回収ロール表面に所望の電圧が得られなくなって、回収性能が低下するという現象が起きやすい。
【0010】
上記のような問題を回避するためには、適切な抵抗を有する回収ロールを用いてブラシロールと回収ロールとの間の電気的な不具合の発生を抑制する必要がある。このような課題を解決するものとして、導電体の芯材に導電性のファーを植毛して形成したファーブラシロールと、導電体の芯材の表面に比抵抗が3logΩcm〜9logΩcmの樹脂をコートした回収ロールと、その回収ロールの外周面にエッジ部が当接された弾性体のゴムブレードとを備えたクリーニング装置が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0011】
しかしながら、この特許文献2の方法にも次のような問題がある。すなわち、この回収ロールでは、ゴムブレードと回収ロールとの密着性が高いため、回収ロール表面はゴムブレードとの摩擦により磨耗しやすいという問題がある。また、ゴムブレードと回収ロールとのニップ部付近には、トナーよりも小粒径で硬度の高いシリカなどのトナー外添剤が存在することがあるが、このトナー外添剤などがニップ部に進入するとコート層に強く押しつけられて摩擦され、回収ロール表面の樹脂層を磨耗させ、回収ロール表面の抵抗が全体的にあるいは部分的に低下する。
【0012】
さらに、この回収ロール表面の樹脂層の抵抗は3logΩcm〜9logΩcmと低いので、環境条件によっては、特に、高温高湿の環境下では、ブラシロールと回収ロールとの間に過電流が発生しやすくなり、ブラシロール中にトナーが蓄積して像担持体のクリーニング不良や像担持体へのトナー再付着を引き起こす原因となりやすい。
【0013】
また、回収ロールの回転に伴われてトナー外添剤が回収ロールとゴムブレードとのニップ部を通過するときに、ゴムブレードのエッジを傷つけ、やがてゴムブレードによるトナー掻取りができなくなり、回収ロールにトナーが蓄積して像担持体のクリーニング不良や像担持体へのトナー再付着の原因となる恐れもある。
【0014】
従って、上記の方法は、特に、高速の画像形成装置のように長期間にわたって安定した性能が要求される画像形成装置に適用するのは難しい。
【0015】
上記の課題を解決するために、回収ロールの表面コート層の高硬度化および高抵抗化を図ることが考えられる。そこで、例えば、8logΩcm未満の導電率のセラミックを表面にコートした回収ロールを備えたクリーニング装置が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0016】
この特許文献3には、コート層の表面が硬いため、掻取り部材として金属スクレーパを使用することができるので、像担持体に無用なトルクアップを行う必要がなく、前述のような回収ロールの表面コート層の耐磨耗性に関する問題は解消されると記載されている。
【0017】
しかしながら、この回収ロールは、プラズマ溶射法、スパッタ法、イオンめっき法、真空蒸着法などのコストのかかる工程により製造する必要があるため、製造コストが高くなるという問題がある。
【0018】
【特許文献1】
特開昭58−111078号公報(第1−3頁、第2図)
【特許文献2】
特開平2−216175号公報(第1−4頁、第1図)
【特許文献3】
特開平9−106232号公報(第1−3頁、第3図)
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
さらに、上記の各文献以外にも、例えば、耐磨耗性のある導電性ポリフェノール樹脂を導電性芯材に接着することにより、比較的安価に製造可能な回収ロールなども提案されている。この回収ロール表面の抵抗層は、体積抵抗率が810logΩcm〜10logΩcmであり、厚みが2mmである。
【0020】
しかし、この回収ロールでは、導電性芯材と抵抗層との間に空隙があったり、接着剤の抵抗が高かったりした場合に、その部分の時定数が大きくなり回収ロールとブラシロールとの接触部近傍で回収ロールの表面電位が十分得られなくなるという問題がある。また、導電性芯材と抵抗層との間に空隙などが存在しない場合であっても、ロールの表面抵抗が低くなるためブラシロールとの接触部近傍で必要な電界が形成できなくなり、十分なトナー回収性能を得ることができないことがある。
【0021】
本発明は、上記事情に鑑み、像担持体の寿命が長く、長期間安定したクリーニング性能を発揮することのできる低コストの画像形成装置を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の画像形成装置は、
像担持体上に静電潜像を形成し、その静電潜像をトナーで現像することによりトナー像を形成し、そのトナー像を所定の転写材上に転写することにより転写材上に画像を形成する画像形成装置において、
上記トナー像を上記転写材上に転写した後の上記像担持体上に残留した残留トナーを静電的に吸引する、導電性繊維からなるブラシを有するブラシロールと、上記ブラシロールに吸引されたトナーを静電的に回収する、表面に、体積抵抗率が7logΩcm以上13logΩcm以下である高抵抗層を有する回収ロールと、上記回収ロールに回収されたトナーを掻き落とすトナー掻取り部材とからなるクリーニング装置を備えたことを特徴とする。
【0023】
本発明の画像形成装置によれば、上記のブラシロール、回収ロール、およびトナー掻取り部材からなるクリーニング装置を備えたことにより、像担持体の寿命が長く、長期間安定したクリーニング性能を発揮することのできる低コストの画像形成装置を実現することができる。
【0024】
特に、回収ロールの表面に体積抵抗率が7logΩcm以上13logΩcm以下に制御された高抵抗層を有しているので、高温高湿環境下でも、回収ロールとブラシロールの間の過電流発生に伴うトナーの逆極性化によりクリーニング性能が低下したり像担持体に逆極性トナーが再付着したりすることがない。また、低温低湿環境下でも、回収ロールに電荷が蓄積することがないのでブラシロールとの間に適切な電界が形成され、ブラシロール中のトナーを安定して回収することができる。なお、回収ロール表面の高抵抗層の体積抵抗率は、トナー回収能力の上からは8logΩcm以上11logΩcm以下であることが好ましい。
【0025】
ここで、上記高抵抗層が、5μm以上200μm以下の厚さを有するものであることが好ましい。
【0026】
このように、高抵抗層を5μm以上200μm以下の厚さを有するものとした場合は、高抵抗層がごく薄いため、回収ロールの表面から近い所に芯材が存在しているため、ブラシロールとのニップ部において、ブラシ繊維と直接接触していない回収ロール表面に、トナーを回収する向きの電界が形成されやすく、そのため、このクリーニング装置を高速の画像形成装置に適用した場合でも十分なトナー回収能力を得ることができる。
【0027】
なお、上記高抵抗層は、コートによって形成してもよいし、フィルムをチューブ状にしたものを芯材に被せてもよい。
【0028】
また、芯材と、フィルム層またはコート層との間に低抵抗の弾性層を設けておけば、フィルム層またはコート層の空回りを防止することができ、安定したクリーニング性能を得ることができる。また、装置の組み立て時などにコート層、フィルム層にわずかな傷ができた場合にも、その部分からリークする恐れがない。また、このように接着剤を使用せずに高抵抗層を形成することにより、芯材と高抵抗層との間に空隙が生じることはないので、安定したクリーニング性能を得ることができる。
【0029】
また、上記高抵抗層が、導電性粒子を含むポリイミド樹脂で形成されたものであることも好ましい。
【0030】
導電性粒子を含むポリイミド樹脂は抵抗制御しやすく、薄層形成が可能な樹脂であるため、上記のようなコート層またはフィルム層の上記高抵抗層とすることができる。さらに、ポリイミド樹脂は回収ロールの表面材料として十分な機械的強度を有するため、回収トナー掻取り部材として環境変動による特性変化が小さく、長期にわたって使用可能なSUSやリン青銅などの金属スクレーパを使用した場合であっても、回収ロールの表面層が著しく傷付けられたり磨耗したりすることがなく、長期間安定した回収性能を発揮することができる。
【0031】
さらに、上記クリーニング装置が、上記ブラシロール、上記回収ロール、および上記トナー掻取り部材をそれぞれ2つずつ有するものであり、かつ、それら2つの回収ロールは、それぞれ互いに極性の異なる電荷が付与されるものであることも好ましい態様である。
【0032】
本発明の画像形成装置をこのように構成した場合は、2つの回収ロールが、互いに極性の異なるトナーをそれぞれ分担して回収することが可能となるので、クリーニング性能を一層向上させることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0034】
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【0035】
図1に示すように、この実施形態の画像形成装置10は、感光体ドラム(像担持体)1、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、およびクリーニング装置6を備えており、矢印A方向に回転する感光体ドラム1の表面を、周知の電子写真プロセスにより、帯電装置2を用いて所定の暗電位まで帯電させた後、露光装置3から照射される露光ビーム3aにより像担持体1表面上に画像情報に応じた静電潜像を形成し、その静電潜像を現像装置4を用いてトナーで現像することによりトナー像を形成し、そのトナー像を所定の記録媒体に転写するものである。
【0036】
なお、本実施形態における感光体ドラム1は、本発明にいう像担持体の一例に相当するものである。
【0037】
この画像形成装置10は、A4用紙に毎分60枚のプリントが可能な画像形成装置であり、プロセススピードは260mm/secである。
【0038】
帯電装置2としては、スコロトロンが用いられており、感光体ドラム1の表面電位を−700Vに帯電させる。
【0039】
感光体ドラム1は、次に露光ビーム3aにより露光され、その露光部に静電潜像が形成される。露光部の表面電位は−300Vとなる。
【0040】
現像装置4は、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を担持・搬送する現像ロール4aを備えており、感光体ドラム1のプロセススピードの1.75倍の速度、すなわち455mm/secで回転している。現像ロール4aには直流電圧に交流電圧を重畳した現像バイアスを印加することにより、感光体ドラム1上の静電潜像はトナーで現像される。現像バイアスとしては、直流成分を−580V、交流成分をピークトゥーピーク電圧VPPが1.0kV、周波数4.0kHz、Duty0.6の矩形波を用いている。
【0041】
トナーは、混練粉砕法により作成された、コールターカウンター(コールター社製)で測定した体積平均粒径が6.5μmのトナーが用いられる。トナーの平均粒径は必ずしもこの値に限られるものではなく、3μm〜9μmの範囲内であればよい。さらに、このトナーに、平均粒径10nm〜150nmのシリカおよびチタニア等の無機微粒子の外添剤を適宜量外添する。また、キャリアとしては、平均粒径35μmのフェライトビーズからなるキャリアが用いられる。
【0042】
これらのトナー、外添剤、およびキャリアからなる二成分現像剤は現像装置4内で攪拌され、トナーは負極性に帯電される。
【0043】
現像装置4によって感光体ドラム1表面に形成されたトナー像は、次に、感光体ドラム1と転写装置5とによって形成される転写領域Tにおいて転写材7上に転写される。
【0044】
なお、本実施形態では、感光体ドラム1から転写材7にトナー像を直接転写する例を示したが、本発明の画像形成装置は、感光体ドラムから中間転写体にトナー像を一次転写し、中間転写体に一次転写されたトナー像を転写材に二次転写する方式の画像形成装置であってもよい。
【0045】
トナー像の転写を受けた転写材7は定着器(図示省略)に搬送され、トナー像は転写材7上に定着処理される。
【0046】
一方、転写装置5によって転写材7にトナー像が転写された後の感光体ドラム1の表面には、転写材7に転写されずに残った、いわゆる残留トナーが存在している。この残留トナーは、感光体ドラム1の回転に伴い、クリーニング装置6に到達する。
【0047】
図2は、本実施形態の画像形成装置に備えられるクリーニング装置の概略構成図である。
【0048】
図2に示すように、このクリーニング装置6は、2つのブラシロール61a,61b、2つの回収ロール62a,62b、2つのトナー掻取り部材63a,63b、搬送部材64、およびクリーニング前コロトロン65で構成されている。
【0049】
ブラシロール61a,61bは、それぞれ、導電性繊維からなるブラシが表面に植毛されたロールであり、ともに矢印C方向に回転しながら、トナー像が転写材7(図1参照)上に転写された後の感光体ドラム1上の残留トナーを静電的に吸引する。
【0050】
回収ロール62a,62bは、それぞれ、表面に、体積抵抗率が7logΩcm以上13logΩcm以下である高抵抗層を有するロールであり、互いに異なる矢印D方向および矢印E方向に回転しながら、ブラシロール61a,61bに吸引されたトナーを静電的に回収する。
【0051】
トナー掻取り部材63a,63bは、それぞれ、回収ロール62a,62bに回収されたトナーを機械的に掻き落とす、いわゆるスクレーパ型の部材である。
【0052】
搬送部材64は、トナー掻取り部材63a,63bで掻き落とされたトナーを外部に搬送するものである。
【0053】
次に、このクリーニング装置6の動作について説明する。
【0054】
先ず、感光体ドラム1および感光体ドラム1上の残留トナーは、クリーニング装置6の手前側に設けられたクリーニング前コロトロン65により除電される。ここでの感光体ドラム1の表面電位は−50Vである。ただし、残留トナーには現像トナーと同極性のトナー、すなわち正極性トナー(以下RSTという)と、転写領域T(図1参照)を通過した際に生じた、現像トナーとは逆極性の、いわゆる逆極性トナー(以下WSTという)との2種類のトナーが存在する。
【0055】
2つのブラシロールのうちクリーニング前コロトロン65に近い方のブラシロール61aにはRSTを引きつける向きの電圧、クリーニング前コロトロン65から遠い方のブラシロール61bには、WSTを引きつける向きの電圧がそれぞれ印加されている。
【0056】
また、ブラシロール61aに対応する回収ロール62aには、ブラシロール61aからRSTを回収するような電圧が印加されており、ブラシロール61bに対応する回収ロール62bにはブラシロール61bからWSTを回収するような電圧が印加されている。
【0057】
そのため、感光体ドラム1上の残留トナーが、ブラシロール61aと感光体ドラム1との接触領域を通過するときに、残留トナーのうちのRSTはブラシロール61aに付着した後、回収ロール62aとのニップに移動し、ここで回収ロール62aに回収される。回収ロール62a上に回収されたRSTはトナー掻取り部材63aによって掻き取られ、搬送部材64上に落下し廃トナーボックス(図示省略)に搬送される。
【0058】
一方、残留トナーのうちのWSTの中には、ブラシロール61aに機械的に掻き取られていくものもあるが、それらは回収ロール62aには移動せず、再度感光体ドラム1に付着する。
【0059】
こうして、ブラシロール61aと感光体ドラム1との接触領域を通過した後の残留トナーはWSTだけとなる。このWSTはブラシロール61bと感光体ドラム1との接触領域に搬送され、ここで、WSTはブラシロール61bに付着した後、回収ロール62bに回収され、トナー掻取り部材63bによって掻き取られて搬送部材64上に落下し廃トナーボックス(図示省略)に搬送される。
【0060】
本実施形態では、ブラシロール61aには+260Vの電圧、ブラシロール61bには−400Vの電圧をそれぞれ印加している。また、回収ロール62aには+660Vの電圧、回収ロール62bには−800Vの電圧をそれぞれ印加している。上記の各印加電圧は、RSTまたはWSTの移動が確実に行える電圧であり、かつ、ブラシロール61a,61bと感光体ドラム1との間、あるいはブラシロール61a,61bと回収ロール62a,62bとの間で放電が発生しない電圧であればよい。
【0061】
ブラシロール61a,61bには、外径6.5mmのステンレス製の芯材上に、カーボンを含有した2デニールの導電性ナイロンのブラシが植毛された、体積抵抗率が5logΩcm〜6logΩcm、1平方インチ当たりのブラシの密度が120万本、外径が17mmのブラシロールが用いられる。また、ブラシロール61a,61bの感光体ドラム1に対する食い込み量は、1.5mm、ブラシロール61a,61bの回収ロール62a,62bに対する食い込み量は2mmに設定する。
【0062】
なお、ブラシロールの体積抵抗率は、必ずしも上記の値に限られるものではなく、4logΩcm〜9logΩcmの範囲内であればよい。また、ブラシロールの外径、感光体ドラムに対する食い込み量、および回収ロールに対する食い込み量なども、必ずしも上記の値に限られるものではなく、感光体ドラム1を傷付けることなく残留トナーを吸着し、回収ロール63に確実に回収できる値であればよい。
【0063】
次に、本発明の画像形成装置の実施例について説明する。
[実施例1]
図3は、第1の実施例で用いられた回収ロールの断面図である。
【0064】
図3に示すように、この回収ロール62は、ステンレス製の芯材621上にポリイミド樹脂からなる高抵抗層622をコートしたものであり、図2に示すクリーニング装置6の回収ロール62a,62bとして用いたものである。
【0065】
この高抵抗層622は、体積抵抗率が7logΩcm以上13logΩcm以下、好ましくは8logΩcm以上11logΩcm以下であることが望ましい。また、高抵抗層622の厚みは5μm以上200μm以下であることが好ましい。
【0066】
図2に示すように、ブラシロール61a,61bは、感光体ドラム1の回転方向Aと同じ回転方向Cに70rpmで回転するように設定した。
【0067】
また、回収ロール62aは、外径12mmであり、ブラシロール61aの回転方向Cとは逆の回転方向Eに130rpmで回転するように設定した。
【0068】
また、回収ロール62bは、外径16mmであり、ブラシロール61bの回転方向Cと同じ回転方向Dに130rpmで回転するように設定した。
【0069】
なお、本実施例では、上記のような設定としているが、感光体ドラム1からブラシロール61a,61bへ、およびブラシロール61a,61bから回収ロール62a,62bへとトナーを確実に移動することができれば、必ずしも上記の設定のみに限られるものではない。
【0070】
また、トナー掻取り部材63a,63bには、回収ロール62a,62bとの当接状態の安定性を図るため、および回収ロール62a,62bの回転トルク低減を図るために、板厚100μmのSUS304の端部をエッチング処理して形成したスクレーパ型の部材を使用した。なお、トナー掻取り部材は必ずしも上記の部材に限られるものではなく、上記以外のステンレスやリン青銅などのバネ材や、長期の使用に耐えられるものであれば金属以外の弾性材料によりトナー掻取り部材を形成しても差し支えない。
【0071】
なお、本実施例において、クリーニング装置を、ブラシロール、回収ロール、およびトナー掻取り部材をそれぞれ2つずつ有する構成としたのは、RSTおよびWSTという互いに極性の異なる2種類の残留トナーをいずれかのブラシロールにより確実にクリーニングするためであり、必ずしも上記各部材をそれぞれ2つずつ有する構成としなければならないわけではない。
【0072】
上記の構成で、抵抗層の層厚および体積抵抗率の異なる各回収ロールについて、クリーニング性能を比較した。
【0073】
ここでは、28℃、80%RH、および10℃、15%RHの環境でそれぞれ20,000枚のショートランニングテストを実施した。このテストでは、プロセス方向に画像密度100%の帯状の画像をプリントし、そのテスト結果を評価した。評価結果を表1に示す。
【表1】
【0074】
なお、◎印は、上記いずれの環境でもクリーニング性能に関して問題無く、ブラシロールのトナー汚れも特に目立たなかったことを示す。
【0075】
×印は、クリーニング不良が発生し、クリーニング装置通過後の感光体ドラム1上にトナー像が残留しているのが確認でき、帯電不良や露光阻害の原因となったことを示す。
【0076】
○印は、28℃、80%RH環境下でのショートランニングテストの後、残留トナー通過は見られなかったが、画像の帯に相当するブラシロールの位置にトナーの付着が他に比べて多く残っているのが確認されたことを示す。
【0077】
●印は、10℃、15%RH環境下でのショートランニングテストの後、残留トナー通過は見られなかったが、画像の帯に相当するブラシロールの位置にトナーの付着が他に比べて多く残っていたことを示す。
【0078】
表1に示すように、◎印は、高抵抗層の体積抵抗率が7logΩcm以上13logΩcm以下である場合に限られている。そして、特に8logΩcm以上11logΩcm以下である場合は特に優れた評価結果が得られた。
【0079】
また、高抵抗層の体積抵抗率が7logΩcm以上13logΩcm以下であり、かつ高抵抗層の層厚が5μm以上200μm以下である場合に特に優れた評価結果が得られた。
【0080】
次に、体積抵抗率10logΩcm、層厚80μmの高抵抗層を設けた回収ロールを使用して、500,000枚の長期間ランニングテストを実施した。このとき、5,000枚ごとに環境条件を22℃・50%RH、28℃・80%RH、10℃・15%RHに変更した。
【0081】
その結果、クリーニング不良などクリーニング性にかかわるディフェクトは発生しなかった。また、感光体ドラム上に残留するトナーは観察されなかった。
【0082】
次に、第2の実施例について説明する。
[実施例2]
図4は、第2の実施例で用いられた回収ロールの断面図である。
【0083】
この実施例は、回収ロールの高抵抗層と芯材の間に低抵抗層を設けた実施例である。この低抵抗層を設けることにより、何らかの原因により回収ロール表面の高抵抗層に傷が付いた場合でも高抵抗層と芯材との間にリークが発生するのを防止することができる。
【0084】
図4に示すように、この回収ロール62’は、ステンレス製の芯材621の上に導電弾性層624として、4logΩcm、厚さ2mmのポリウレタン層を形成し、その上にチューブ状のポリイミド樹脂フィルム623を被せて導電弾性層624に密着した高抵抗層を形成したものである。ポリイミド樹脂フィルム623の厚さは100μm、体積抵抗率は10logΩcmである。
【0085】
この回収ロール62’を、図2に示すクリーニング装置6の2つの回収ロール62a,62bとして用いた。それ以外は第1の実施例と同様の構成とした。
【0086】
そして、第1の実施例と同様に、5,000枚ごとに環境条件を22℃、50%RH、28℃、80%RH、および10℃、15%RHに変更し、500,000枚のランニングテストを実施したが、クリーニング性にかかわるディフェクトは発生せず、感光体ドラム1上へのトナーの残留も見られなかった。
【0087】
また、第2の実施例では、回収ロール62’のポリイミド樹脂フィルム623と導電弾性層624との間には接着剤などを使用していないが、ポリイミド樹脂フィルム623が空回りするなどの不具合は発生しなかった。
【0088】
なお、この実施例では、導電弾性層624にポリイミド樹脂フィルム623を密着させて回収ロール62’を構成したが、この両者の密着性をさらに向上させる必要がある場合には、導電弾性層624に導電性塗料などを塗布してからポリイミド樹脂フィルム623を被せることによって回収ロール62’を形成するようにしてもよい。
【0089】
次に、本発明の画像形成装置におけるクリーニング装置の作用効果を検証するために行ったテストの結果を比較例として以下に説明する。
[比較例]
図5は、比較例で用いられた回収ロールの断面図である。
【0090】
図5に示すように、この回収ロール62”は、ステンレス製の芯材621の上に、厚さ2mmに成形した7logΩcm〜12logΩcmの導電性ポリフェノール樹脂625を接着層626を介して形成したものである。
【0091】
この回収ロール62”を、図1に示す画像形成装置10のクリーニング装置6の2つの回収ロール62a,62bとして用い、28℃、80%RH、および10℃、15%RHの環境でそれぞれ20,000枚のショートランニングテストを実施した。テストの結果を表2に示す。
【表2】
【0092】
○印は、28℃、80%RH環境のランニングテストの後、クリーニング装置を通過する残留トナーは見られなかったが、画像の帯に相当するブラシロール61aの位置にトナーの付着が他に比べ多く残っているのが確認されたことを示す。
【0093】
●印は、10℃、15%RH環境のランニングテストの後、クリーニング装置を通過する残留トナーは見られなかったが、画像の帯に相当するブラシロール61aの位置にトナーの付着が他に比べ多く残っていたことを示す。
【0094】
×印は、クリーニング不良が発生し、クリーニング装置を通過した後の感光体ドラム1上にトナー像が残留しているのが確認でき、帯電不良や露光阻害の原因となったことを示す。
【0095】
表2に示すように、この比較例では、短期間のランニングテストにもかかわらず、第1の実施例における◎印に相当する評価を得たものは一つもなかった。
【0096】
さらに、体積抵抗率10logΩcmの回収ロールを用いて500,000枚の長期間ランニングテストを試みたが、100,000枚でクリーニング不良が発生してしまった。同じ体積抵抗率の別の回収ロールを用いて、再度ランニングテストを試みたが、今度は12,000枚でクリーニング不良が発生した。
【0097】
このようにこの比較例においてクリーニング不良が多発した原因について検討した結果、12,000枚でクリーニング不良が発生した回収ロールは、ポリフェノール樹脂層625と芯材621とを接着する際に、接着層626にムラが生じ、ポリフェノール樹脂層625と芯材621との間に空隙ができて、その部分のトナー回収性が著しく低下していたことが判明した。また、100,000枚でクリーニング不良が発生した回収ロールは、ポリフェノール樹脂層625と芯材621との間に空隙はなかったが、ブラシロール61aと接触する領域で表面電位が得られておらず、トナー回収性が十分でなかったことがわかった。
【0098】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の画像形成装置によれば、上記のブラシロール、回収ロール、およびトナー掻取り部材からなるクリーニング装置を備え、特に、表面に体積抵抗率が7logΩcm以上13logΩcm以下の高抵抗層を有する回収ロールを備えているため、高温高湿環境下でも、また、低温低湿環境下でも、長期間安定してトナーをクリーニングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本実施形態の画像形成装置に備えられるクリーニング装置の概略構成図である。
【図3】第1の実施例で用いられた回収ロールの断面図である。
【図4】第2の実施例で用いられた回収ロールの断面図である。
【図5】比較例で用いられた回収ロールの断面図である。
【符号の説明】
1 感光体ドラム(像担持体)
2 帯電装置
3 露光装置
3a 露光ビーム
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 転写材
10 画像形成装置
61a,61b ブラシロール
62,62’,62”,62a,62b 回収ロール
63a,63b トナー掻取り部材
64 搬送部材
65 クリーニング前コロトロン
621 芯材
622 高抵抗層
623 ポリイミド樹脂フィルム
624 導電弾性層
625 導電性ポリフェノール樹脂
626 接着層
Claims (4)
- 像担持体上に静電潜像を形成し、該静電潜像をトナーで現像することによりトナー像を形成し、該トナー像を所定の転写材上に転写することにより該転写材上に画像を形成する画像形成装置において、
前記トナー像を前記転写材上に転写した後の前記像担持体上に残留した残留トナーを静電的に吸引する、導電性繊維からなるブラシを有するブラシロールと、前記ブラシロールに吸引されたトナーを静電的に回収する、表面に、体積抵抗率が7logΩcm以上13logΩcm以下である高抵抗層を有する回収ロールと、前記回収ロールに回収されたトナーを掻き落とすトナー掻取り部材とからなるクリーニング装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。 - 前記高抵抗層が、5μm以上200μm以下の厚さを有するものであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記高抵抗層が、導電性粒子を含むポリイミド樹脂で形成されたものであることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
- 前記クリーニング装置が、前記ブラシロール、前記回収ロール、および前記トナー掻取り部材をそれぞれ2つずつ有するものであり、かつ、それら2つの回収ロールは、それぞれ互いに極性の異なる電荷が付与されるものであることを特徴とする請求項1または2または3記載の画像形成装置。
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JP2006251137A (ja) * | 2005-03-09 | 2006-09-21 | Fuji Xerox Co Ltd | 画像形成装置 |
JP2008276106A (ja) * | 2007-05-07 | 2008-11-13 | Ricoh Co Ltd | クリーニング装置、画像形成装置およびプロセスカートリッジ |
JP2011039427A (ja) * | 2009-08-18 | 2011-02-24 | Canon Inc | クリーニング装置 |
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-
2002
- 2002-12-05 JP JP2002353996A patent/JP2004184863A/ja not_active Withdrawn
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