JP2004183862A - 油圧緩衝器 - Google Patents
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Abstract
【目的】ロッドガイドとしての軽量化要求を満たし且つ製造コストの低減を図ることが可能な油圧緩衝器を提供する。
【構成】ロッドガイド8が板材をプレス加工により成形されたプレス成形品20により構成されると共に、少なくともピストンロッド5との摺動面20aを摺動合成樹脂層21で被覆することによって構成されるため、焼結ハウジングを使用した場合に比べて大幅な軽量化を達成することができると共に、摺動用の合成樹脂でロットガイド全体を成形した場合に比べて充分な剛性を確保することができ、更に、複層摺動部材が圧入されたものに比べて更なる軽量化を達成することができる。
【選択図】 図2
【構成】ロッドガイド8が板材をプレス加工により成形されたプレス成形品20により構成されると共に、少なくともピストンロッド5との摺動面20aを摺動合成樹脂層21で被覆することによって構成されるため、焼結ハウジングを使用した場合に比べて大幅な軽量化を達成することができると共に、摺動用の合成樹脂でロットガイド全体を成形した場合に比べて充分な剛性を確保することができ、更に、複層摺動部材が圧入されたものに比べて更なる軽量化を達成することができる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリンダの端部に設けられ且つ該シリンダ内を摺動するピストンロッドを案内するロッドガイドを有する油圧緩衝器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車等に用いられる油圧緩衝器においては、シリンダ内を摺動するピストンロッドを案内するロッドガイドとして、金属製の燒結ハウジングのピストンロッドとの摺動面に、鋼裏金層と多孔室中間層と樹脂表面層との3層構造からなる複層樹脂摺動部材を圧入したものが主として使用されているが、焼結ハウジングと複層樹脂摺動部材とを組合せたものは、重量及び製造コスト等の観点から近年の軽量化要求に対して問題があったため、近年では、特開平7−332422号に示されるように、板材をプレス成形することにより製造したプレス成形品に上記した複層樹脂摺動部材を圧入したロッドガイドが提案されつつある。また、軽量化要求に対しては、ロッドガイド全体を摺動用の合成樹脂で成形することも考えられる。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−332422号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、ロッドガイド全体を摺動用の合成樹脂で成形した場合には、剛性に劣り、耐久性に問題があった。また、プレス成形品に複層樹脂摺動部材を圧入したものは、剛性の点で問題はないものの、プレス成形品と複層樹脂摺動部材とを別々に製造して組み付けなければならないので、製造コストがかかると共に更なる軽量化が要望されているという問題があった。本発明は、上記した事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、ロッドガイドとしての軽量化要求を満たし且つ製造コストの低減を図ることが可能な油圧緩衝器を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、請求項1に係る発明においては、シリンダの端部に設けられ且つ該シリンダ内を摺動するピストンロッドを案内するロッドガイドを有する油圧緩衝器において、前記ロッドガイドは、板材をプレス加工により成形されたプレス成形品により構成されると共に、少なくとも前記ピストンロッドとの摺動面を摺動合成樹脂層で被覆したことを特徴とする。このように構成することにより、ロッドガイドが板材をプレス加工により成形されたプレス成形品により構成されると共に、少なくともピストンロッドとの摺動面を摺動合成樹脂層で被覆することによって構成されるため、焼結ハウジングを使用した場合に比べて大幅な軽量化を達成することができると共に、摺動用の合成樹脂でロットガイド全体を成形した場合に比べて充分な剛性を確保することができ、更に、複層摺動部材が圧入されたものに比べて更なる軽量化を達成することができる。
【0006】
また、請求項2に係る発明においては、前記摺動合成樹脂層は、前記プレス成形品に摺動用合成樹脂をアウトサート成形することにより形成されていることを特徴とする。このように構成することにより、樹脂付きのロッドガイドの製造を簡単且つ低廉に行うことができる。
【0007】
更に、請求項3に係る発明においては、前記摺動合成樹脂層は、前記プレス成形品に摺動用合成樹脂をコーティングすることにより形成されていることを特徴とする。このように構成することにより、樹脂付きのロッドガイドの製造を簡単且つ低廉に行うことができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、実施形態に係る油圧緩衝器1の概略について説明する。図1は、油圧緩衝器1の内部を示す断面図である。
【0009】
図1において、油圧緩衝器1は、ショックアブソーバ用のオイルが充填されるシリンダ2と、該シリンダ2内を摺動するピストンロッド5と、該ピストンロッド5の一端に取り付けられるピストン3と、シリンダ2の端部に設けられてピストンロッド5の摺動を案内するロッドガイド8と、ピストンロッド5に設けられてピストンロッド5が伸び側のストロークエンドに至ったときにロッドガイド8に当接するリバウンドストッパ4と、油圧緩衝器1の外形を構成するアウタチューブ6と、シリンダ2の底部に取り付けられるベース7と、から構成されている。
【0010】
図1に示すように、油圧緩衝器1は、上方をロッドガイド8、下方をベース7により塞いだシリンダ2と、このシリンダ2を外側から覆い、上方をオイルシール12で塞いだアウタチューブ6と、により二重構造で構成されている。シリンダ2とアウタチューブ6との間には、リザーバ室11が形成され、リザーバ室11の内部には、不活性ガスである低圧窒素ガス等が封入されている。シリンダ2の内部には、ショックアブソーバ用のオイルが充填されると共に、ピストンロッド5の先端に取り付けられたピストン3が摺動自在に嵌入されており、このピストン3によりシリンダ2内が上液室9と下液室10とに区画されている。下液室10は、リザーバ室11の下部と、図示しない連通路を介して連通されている。また、ピストン3には、図示しないオリフィスが形成されており、ピストン3がシリンダ2内で摺動した場合にシリンダ2内のオイルがオリフィスを通過し、オイルがオリフィスを通過する際の流動抵抗によってピストン3の振動が減衰されることとなる。
【0011】
次に、本実施形態の要部を構成するロッドガイド8について図2及び図3を参照して説明する。図2は、実施形態に係るロッドガイド8が取り付けられた油圧緩衝器1の上部を示す断面図であり、図3は、ロッドガイド8の断面図である。
【0012】
図2及び図3において、ロッドガイド8は、深絞り可能な板材(例えば、SPCD材等)をプレス加工により成形されたプレス成形品20により構成されると共に、ピストンロッド5との摺動面を含む外周面を摺動合成樹脂層21で被覆したことにより形成されるものである。以下、プレス成形品20と摺動合成樹脂層21について詳細に説明する。
【0013】
まず、プレス加工により成形されたプレス成形品20は、前記ピストンロッド5が貫通すると共に前記アウタチューブの上端を閉塞するような形状にプレス加工される。具体的には、前記ピストンロッド5の外周と当接する摺動面20aと、該摺動面20aの下端部外側に向かって水平状に曲折されて前記リバウンドストッパ4と当接するストッパ当接面20bと、該ストッパ当接面20bの外側端部から前記摺動面20aと背中合わせ状態で立設され且つ前記シリンダ2の内周面と当接するシリンダ当接面20cと、該シリンダ当接面20cから水平外側方向に向かって延設されて前記シリンダ2の上端部と当接するシリンダ当接段部20dと、該シリンダ当接段部20dの外側端部から下向きコ字状に連接されて前記リザーバ室11の上端部に対応する凹部面20eと、該凹部面20eの外側端辺の外面であって前記アウタチューブ6の内周面と当接するアウタチューブ当接面20gと、を有して成形されるものである。なお、前記凹部面20eには、上下方向に貫通するオイル戻し穴20fが複数箇所(詳細に図示しないが3箇所)設けられている。
【0014】
上記のように構成されるプレス成形品20の外表面を被覆する摺動合成樹脂層21は、摺動用合成樹脂によって所定の厚さをもって形成されている。摺動用合成樹脂としては、熱可塑性であるポリフェニレンサルファイド(以下、「PPS」と略記する。)、ポリエーテルエーテルケトン(以下、「PEEK」と略記する。)、ポリアミド(以下、「PA」と略記する。)、また、熱硬化性樹脂であるフェノール(以下、「PF」と略記する。)、ポリアミドイミド(以下、「PAI」と略記する。)等をベース樹脂として、そのベース樹脂に充填材としての二硫化モリブデン(以下、「MoS2」と略記する。)、カーボンファイバー(以下、「CF」と略記する。)、チタン酸カリウムファイバー(以下、「ウィスカー」と略記する。)、グラファイト(以下、「Gr」と略記する。)、ポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」と略記する。)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(以下、「PFA」と略記する。)等のいずれか一種又は複数種を含有したものから構成されている。そして、上記の摺動用合成樹脂を被覆する方法としては、プレス成形品20に摺動用合成樹脂をアウトサート成形することにより摺動合成樹脂層21を形成する方法と、プレス成形品20に摺動用合成樹脂をコーティングすることにより摺動合成樹脂層21を形成する方法とがある。
【0015】
アウトサート成形する方法としては、プレス成形品20を射出成形機金型に固定した後、溶融している摺動用合成樹脂を金型内に射出成形することにより得ることができる。ベース樹脂としてPPS樹脂を用いた場合、金型温度は、例えば125℃、筒温度300℃にて行い、得られる摺動合成樹脂層21は、射出成形という方法であるため、0.5mm以上が望ましい。
【0016】
一方、コーティングする方法は、エアスプレー法、浸漬法、印刷法等の各種の方法があるが、例えばエアスプレー法でコーティングする場合には、プレス成形品20を脱脂処理し、続いて表面をブラスト加工、エッチング処理、機械加工等により粗面化し、さらに酸洗等を行って表面に付着した不純物を除去する前処理を施す一方、摺動用合成樹脂を適当な有機溶剤である、ジメチルアセトアミド(DMAC)、メチルエチルケトン(MEK)、n−メチル2−ピロリドン(NMP)などに溶解させた液状の樹脂組成物を作成し、上記した前処理を施したプレス成形品20を円筒状の治具に装着して回転台に装着し、300rpm以上にて回転しながら上記した液状の樹脂組成物をエアスプレーにて塗布する。なお、この場合、プレス成形品20を装着した状態の治具を40〜150℃に加熱処理した後に回転台に装着することが望ましい。また、上記した塗布工程を経たコーティング層付きプレス成形品20を150〜400℃で乾燥焼成することにより、溶剤が蒸発すると共に、ベース樹脂と充填材を含んだ塗布層が硬化し、摺動用合成樹脂層21がプレス成形品20の外周の表面に形成される。得られる摺動合成樹脂層21は、その塗布厚が5〜200μmである。
【0017】
なお、アウトサート成形による方法であってもコーティングによる方法であっても、プレス成形品20の外表面の全体を摺動合成樹脂層で被覆する方が作業が簡単であるため、上記した説明では、外表面の全体を被覆したものを実施形態として示したが、少なくとも摺動面20aのみを摺動用合成樹脂で被覆すればよい。
【0018】
しかして、図2に示すように、ロッドガイド8は、シリンダ当接面20cをシリンダ2に、アウタチューブ当接面20gをアウタチューブ6にそれぞれ挿入し、シリンダ当接段部20dの下面側がシリンダ2の上端面に当接する位置まで圧入することにより、シリンダ2に取り付けられる。このように取り付けられたロッドガイド8により、ピストンロッド5の摺動が摺動面20aによって案内される。
【0019】
ロッドガイド8の上方には、シール本体13とシール部材14とから構成されるオイルシール12が設けられている。シール本体13は、中心に穴が穿設されて環状に形成されるものであり、シール部材14は、ゴム等の弾性部材により形成され、シール本体13の内周及び上下面に取り付けられるものである。シール部材14の内周面上下には、挿通されたピストンロッド5に密着するシール用上リップ17及びシール用下リップ18が形成されている。また、シール用下リップ18の外側周回には、シール用下リップ18をピストンロッド5により密着させてオイルをシールさせるためのバネ部材16が取り付けられている。更に、シール用下リップ18の外側周回には、下方に向かってチェック用リップ15が突設されている。
【0020】
しかして、シール本体13の外周をアウタチューブ6に挿入してシール本体13の下面がロッドガイド8の上端に当接するまでオイルシール12を圧入した後、アウタチューブ6の上端面を図2に示すように、ピストンロッド5側に折り曲げてカシメることにより、オイルシール12がアウタチューブ6に取り付けられる。このとき、シール部材14のチェック用リップ15は、ロッドガイド8のシリンダ当接段部20dの上面に当接し、また、オイルシール12とロッドガイド8との間に上室19が形成されることとなる。この上室19には、上液室9からピストンロッド5と摺動面20aとの間の隙間を通って上昇したオイルが入り込むようになっており、この上室19内のオイルの圧力が高くなるとチェック用リップ15を弾性変形させて上室19内のオイルを通過させるようにしている。チェック用リップ15を弾性変形させて通過したオイルは、ロッドガイド8に形成されたオイル戻し穴20fを通って、リザーバ室11に戻されることとなる。
【0021】
しかして、上記のように構成される油圧緩衝器1において、ピストンロッド5が上方に移動した際、図2に示すように、リバウンドストッパ4がロッドガイド8に当接して、ピストンロッド5のそれ以上の上動を制限するようになっている。即ち、リバウンドストッパ4がロッドガイド8に当接した位置がピストンロッド5の伸び方向のストロークエンドとなる。また、ピストンロッド5は、ロッドガイド8の摺動面20aに被覆された摺動合成樹脂層21と摺動して垂直方向に動作するものである。
【0022】
次に、上記したようにプレス成形品20の外周面を摺動合成樹脂層21で被覆した本発明の実施形態に係るロッドガイド8と、従来使用されているロッドガイドとを比較して行った試験結果について表1と表2について説明する。
【0023】
【表1】
【0024】
表1は、本発明の実施形態に係るロッドガイド8の実施例1〜4と、従来例に係るロッドガイドの比較例1〜4との同一試験条件の下での摩耗量を示す表である。具体的には、実施例1〜4は、板材をプレス加工により成形されたプレス成形品20の外表面に表1の左欄に示す樹脂成分の摺動合成樹脂層21を射出成形により被覆したロッドガイド8であり、比較例1〜4は、表1の左欄に示す樹脂成分によってロッドガイドの全体を射出成形したロッドガイドであり、それぞれの例における摩耗量が表1の右欄に示されている。なお、試験条件としては、荷重100N、ストローク±25mm、周波数2.5Hz、回数200万回、温度80℃、ピストンロッドの表面はCrメッキされ、その表面粗さはRz1μm以下というものである。
【0025】
より詳細に説明すると、実施例1のプレス成形品20の外表面に、10体積%のCF+5体積%のPTFE+残部PPSとからなる合成樹脂成分を射出成形により被覆したロッドガイド8を上記の試験条件で摩耗量を計測したときに、その摩耗量が18μmであった。同様に、実施例2のプレス成形品20の外表面に、5体積%のウィスカー+10体積%のPTFE+残部PEEKとからなる合成樹脂成分を射出成形により被覆したロッドガイド8の場合の摩耗量が10μmであった。実施例3のプレス成形品20の外表面に、5体積%のCF+10体積%のMoS2+残部PAとからなる合成樹脂成分を射出成形により被覆したロッドガイド8の場合の摩耗量が23μmであった。実施例4のプレス成形品20の外表面に、10体積%のGr+5体積%のCF+残部PFとからなる合成樹脂成分を射出成形により被覆したロッドガイド8の場合の摩耗量が29μmであった。
【0026】
これに対し、比較例1〜4は、実施例1〜4にそれぞれ対応するものであり、しかも実施例1〜4の摺動合成樹脂層21として使用した合成樹脂成分によってロッドガイドの全体を射出成形によって成形したものであり、比較例1の場合(10体積%のCF+5体積%のPTFE+残部PPSとからなる合成樹脂)の摩耗量が80μmであり、比較例2の場合(5体積%のウィスカー+10体積%のPTFE+残部PEEKとからなる合成樹脂)の摩耗量が51μmであり、比較例3の場合(5体積%のCF+10体積%のMoS2+残部PAとからなる合成樹脂)の摩耗量が93μmであり、比較例4の場合(10体積%のGr+5体積%のCF+残部PFとからなる合成樹脂)の摩耗量が105μmであった。
【0027】
上記の試験結果から見ると、板材をプレス加工により成形されたプレス成形品20の外表面に摺動合成樹脂層21を射出成形により被覆したロッドガイド8に比べて摺動合成樹脂層と同一の樹脂成分によってロッドガイドの全体を射出成形したロッドガイドは、その摩耗量が極めて多くなっている。これは、プレス成形品20を有さない比較例1〜4においては、ロッドガイド8の剛性が劣るため、片当りによる変形により摩耗量が増加すると考えられるのに対し、プレス成形品20を有する本発明の実施例1〜4においては、剛性が十分確保されるため、片当りによる変形を極力抑えることができ、この結果優れた耐摩耗性を有するロッドガイド8を提供することができるものである。なお、表1には、示さなかったが、出願人が調べたところ、実施例1〜4に示すロッドガイド8の重量は、焼結ハウジングを使用したロッドガイドに比べて40%以上の軽量化を達成することができた。
【0028】
【表2】
【0029】
次に、表2は、本発明の実施形態に係るロッドガイド8の実施例1〜4と、従来例に係るロッドガイドの比較例1〜3との同一試験条件の下での摩耗量を示す表である。具体的には、実施例1〜4は、板材をプレス加工により成形されたプレス成形品20の外表面に表2の左欄に示す樹脂成分の摺動合成樹脂層21をスプレーコーティングによりコーティング厚さ30μmで被覆したロッドガイド8であり、比較例1,2は、板材をプレス加工により成形されたプレス成形品20の摺動面20aに表2の左欄に示す樹脂成分によって構成される複層樹脂摺動部材を圧入したロッドガイドであり、比較例3は、焼結ハウジングの摺動面に表2の左欄に示す樹脂成分によって構成される複層樹脂摺動部材を圧入したロッドガイドであり、それぞれの例における重量が表2の中欄に示され、摩耗量が表2の右欄に示されている。なお、試験条件としては、荷重100N、ストローク±25mm、周波数2.5Hz、回数200万回、温度80℃、ピストンロッドの表面はCrメッキされ、その表面粗さはRz1μm以下というものである。
【0030】
より詳細に説明すると、実施例1のプレス成形品20の外表面に、50体積%のGr+残部PFとからなる合成樹脂成分をスプレーコーティングにより被覆したロッドガイド8を上記の試験条件で重量及び摩耗量を計測したときに、その重量が34gであり、摩耗量が13μmであった。同様に、実施例2のプレス成形品20の外表面に、10体積%のMoS2+40体積%のGr+残部PIとからなる合成樹脂成分をスプレーコーティングにより被覆したロッドガイド8の場合の重量が34gであり、摩耗量が8μmであった。実施例3のプレス成形品20の外表面に、10体積%のMoS2+残部PAとからなる合成樹脂成分をスプレーコーティングにより被覆したロッドガイド8の場合の重量が34gであり、摩耗量が16μmであった。実施例4のプレス成形品20の外表面に、20体積%のPTFE+残部PPSとからなる合成樹脂成分をスプレーコーティングにより被覆したロッドガイド8の場合の重量が34gであり、摩耗量が11μmであった。
【0031】
これに対し、比較例1は、プレス成形品20の摺動面20aに、20体積%のPFA+残部PTFEとからなる合成樹脂成分を被覆した複層樹脂摺動部材を圧入したロッドガイドを上記の試験条件で重量及び摩耗量を計測したときに、その重量が36gであり、摩耗量が10μmであった。同様に、比較例2は、プレス成形品20の摺動面20aに、20体積%のPb+残部PTFEとからなる合成樹脂成分を被覆した複層樹脂摺動部材を圧入したロッドガイドの場合の重量が36gであり、摩耗量が15μmであった。また、比較例3は、焼結ハウジングの摺動面に、20体積%のPFA+残部PTFEとからなる合成樹脂成分を被覆した複層樹脂摺動部材を圧入したロッドガイドを上記の試験条件で重量及び摩耗量を計測したときに、その重量が67gであり、摩耗量が9μmであった。
【0032】
上記の試験結果から見ると、板材をプレス加工により成形されたプレス成形品20の外表面に摺動合成樹脂層21をスプレーコーティングにより被覆した本実施例のロッドガイド8に比べて板材をプレス加工により成形されたプレス成形品20の摺動面に複層樹脂摺動部材を圧入したロッドガイドは、その摩耗量においてほとんど差異はなく、また、重量においては僅かに重くなっている。したがって、総合的に両者はほとんど変わらないが、本実施例に係るロッドガイド8は、複層樹脂摺動部材を圧入したロッドガイドに比べて製造が簡単であるため製造コストを低減することができ、また、重量も僅かならが軽減することができる。
【0033】
一方、板材をプレス加工により成形されたプレス成形品20の外表面に摺動合成樹脂層21をスプレーコーティングにより被覆した本実施例のロッドガイド8に比べて焼結ハウジングの摺動面に複層樹脂摺動部材を圧入したロッドガイドは、その摩耗量においてほとんど差異はなく、また、重量においては約2倍の重量となっている。したがって、本実施例に係るロッドガイド8は、焼結ハウジングに複層樹脂摺動部材を圧入したロッドガイドに比べて製造が簡単であるため製造コストを低減することができることに加えて、重量を大幅に軽減することができる。
【0034】
以上、実施形態について詳細に説明してきたが、本実施形態においては、シリンダ2の端部に設けられ且つ該シリンダ2内を摺動するピストンロッド5を案内するロッドガイド8を有する油圧緩衝器1において、前記ロッドガイド8は、板材をプレス加工により成形されたプレス成形品20により構成されると共に、少なくとも前記ピストンロッド5との摺動面20aを摺動合成樹脂層21で被覆したことにより、ロッドガイド8が板材をプレス加工により成形されたプレス成形品20により構成されると共に、少なくともピストンロッド5との摺動面20aを摺動合成樹脂層21で被覆することによって構成されるため、焼結ハウジングを使用した場合に比べて大幅な軽量化を達成することができると共に、摺動用の合成樹脂でロットガイド全体を成形した場合に比べて充分な剛性を確保することができ、更に、複層摺動部材が圧入されたものに比べて更なる軽量化を達成することができる。
【0035】
また、本実施形態においては、前記摺動合成樹脂層21は、前記プレス成形品20に摺動用合成樹脂をアウトサート成形することにより形成されていることにより、樹脂付きのロッドガイドの製造を簡単且つ低廉に行うことができる。
【0036】
更に、本実施形態においては、前記摺動合成樹脂層21は、前記プレス成形品20に摺動用合成樹脂をコーティングすることにより形成されていることにより、樹脂付きのロッドガイドの製造を簡単且つ低廉に行うことができる。
【0037】
なお、上記した実施形態においては、プレス成形品20を構成する板材の一例としてSPCD材を示したが、深絞り可能な材質の板材であれば、どのような組成の板材であっても良い。また、摺動用合成樹脂のベース樹脂においても、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂であって摺動用合成樹脂として使用されているものであればどのような合成樹脂であっても良い。
【0038】
【発明の効果】
以上、説明したところから明らかなように、請求項1に係る発明においては、ロッドガイドが板材をプレス加工により成形されたプレス成形品により構成されると共に、少なくともピストンロッドとの摺動面を摺動合成樹脂層で被覆することによって構成されるため、焼結ハウジングを使用した場合に比べて大幅な軽量化を達成することができると共に、摺動用の合成樹脂でロットガイド全体を成形した場合に比べて充分な剛性を確保することができ、更に、複層摺動部材が圧入されたものに比べて更なる軽量化を達成することができる。
【0039】
また、請求項2及び請求項3に係る発明においては、樹脂付きのロッドガイドの製造を簡単且つ低廉に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】油圧緩衝器の内部を示す断面図である。
【図2】実施形態に係るロッドガイドが取り付けられた油圧緩衝器の上部を示す断面図である。
【図3】実施形態に係るロッドガイドの断面図である。
【符号の説明】
1 油圧緩衝器
2 シリンダ
3 ピストン
5 ピストンロッド
8 ロッドガイド
20 プレス成形品
20a 摺動面
21 摺動合成樹脂層
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリンダの端部に設けられ且つ該シリンダ内を摺動するピストンロッドを案内するロッドガイドを有する油圧緩衝器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車等に用いられる油圧緩衝器においては、シリンダ内を摺動するピストンロッドを案内するロッドガイドとして、金属製の燒結ハウジングのピストンロッドとの摺動面に、鋼裏金層と多孔室中間層と樹脂表面層との3層構造からなる複層樹脂摺動部材を圧入したものが主として使用されているが、焼結ハウジングと複層樹脂摺動部材とを組合せたものは、重量及び製造コスト等の観点から近年の軽量化要求に対して問題があったため、近年では、特開平7−332422号に示されるように、板材をプレス成形することにより製造したプレス成形品に上記した複層樹脂摺動部材を圧入したロッドガイドが提案されつつある。また、軽量化要求に対しては、ロッドガイド全体を摺動用の合成樹脂で成形することも考えられる。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−332422号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、ロッドガイド全体を摺動用の合成樹脂で成形した場合には、剛性に劣り、耐久性に問題があった。また、プレス成形品に複層樹脂摺動部材を圧入したものは、剛性の点で問題はないものの、プレス成形品と複層樹脂摺動部材とを別々に製造して組み付けなければならないので、製造コストがかかると共に更なる軽量化が要望されているという問題があった。本発明は、上記した事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、ロッドガイドとしての軽量化要求を満たし且つ製造コストの低減を図ることが可能な油圧緩衝器を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、請求項1に係る発明においては、シリンダの端部に設けられ且つ該シリンダ内を摺動するピストンロッドを案内するロッドガイドを有する油圧緩衝器において、前記ロッドガイドは、板材をプレス加工により成形されたプレス成形品により構成されると共に、少なくとも前記ピストンロッドとの摺動面を摺動合成樹脂層で被覆したことを特徴とする。このように構成することにより、ロッドガイドが板材をプレス加工により成形されたプレス成形品により構成されると共に、少なくともピストンロッドとの摺動面を摺動合成樹脂層で被覆することによって構成されるため、焼結ハウジングを使用した場合に比べて大幅な軽量化を達成することができると共に、摺動用の合成樹脂でロットガイド全体を成形した場合に比べて充分な剛性を確保することができ、更に、複層摺動部材が圧入されたものに比べて更なる軽量化を達成することができる。
【0006】
また、請求項2に係る発明においては、前記摺動合成樹脂層は、前記プレス成形品に摺動用合成樹脂をアウトサート成形することにより形成されていることを特徴とする。このように構成することにより、樹脂付きのロッドガイドの製造を簡単且つ低廉に行うことができる。
【0007】
更に、請求項3に係る発明においては、前記摺動合成樹脂層は、前記プレス成形品に摺動用合成樹脂をコーティングすることにより形成されていることを特徴とする。このように構成することにより、樹脂付きのロッドガイドの製造を簡単且つ低廉に行うことができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、実施形態に係る油圧緩衝器1の概略について説明する。図1は、油圧緩衝器1の内部を示す断面図である。
【0009】
図1において、油圧緩衝器1は、ショックアブソーバ用のオイルが充填されるシリンダ2と、該シリンダ2内を摺動するピストンロッド5と、該ピストンロッド5の一端に取り付けられるピストン3と、シリンダ2の端部に設けられてピストンロッド5の摺動を案内するロッドガイド8と、ピストンロッド5に設けられてピストンロッド5が伸び側のストロークエンドに至ったときにロッドガイド8に当接するリバウンドストッパ4と、油圧緩衝器1の外形を構成するアウタチューブ6と、シリンダ2の底部に取り付けられるベース7と、から構成されている。
【0010】
図1に示すように、油圧緩衝器1は、上方をロッドガイド8、下方をベース7により塞いだシリンダ2と、このシリンダ2を外側から覆い、上方をオイルシール12で塞いだアウタチューブ6と、により二重構造で構成されている。シリンダ2とアウタチューブ6との間には、リザーバ室11が形成され、リザーバ室11の内部には、不活性ガスである低圧窒素ガス等が封入されている。シリンダ2の内部には、ショックアブソーバ用のオイルが充填されると共に、ピストンロッド5の先端に取り付けられたピストン3が摺動自在に嵌入されており、このピストン3によりシリンダ2内が上液室9と下液室10とに区画されている。下液室10は、リザーバ室11の下部と、図示しない連通路を介して連通されている。また、ピストン3には、図示しないオリフィスが形成されており、ピストン3がシリンダ2内で摺動した場合にシリンダ2内のオイルがオリフィスを通過し、オイルがオリフィスを通過する際の流動抵抗によってピストン3の振動が減衰されることとなる。
【0011】
次に、本実施形態の要部を構成するロッドガイド8について図2及び図3を参照して説明する。図2は、実施形態に係るロッドガイド8が取り付けられた油圧緩衝器1の上部を示す断面図であり、図3は、ロッドガイド8の断面図である。
【0012】
図2及び図3において、ロッドガイド8は、深絞り可能な板材(例えば、SPCD材等)をプレス加工により成形されたプレス成形品20により構成されると共に、ピストンロッド5との摺動面を含む外周面を摺動合成樹脂層21で被覆したことにより形成されるものである。以下、プレス成形品20と摺動合成樹脂層21について詳細に説明する。
【0013】
まず、プレス加工により成形されたプレス成形品20は、前記ピストンロッド5が貫通すると共に前記アウタチューブの上端を閉塞するような形状にプレス加工される。具体的には、前記ピストンロッド5の外周と当接する摺動面20aと、該摺動面20aの下端部外側に向かって水平状に曲折されて前記リバウンドストッパ4と当接するストッパ当接面20bと、該ストッパ当接面20bの外側端部から前記摺動面20aと背中合わせ状態で立設され且つ前記シリンダ2の内周面と当接するシリンダ当接面20cと、該シリンダ当接面20cから水平外側方向に向かって延設されて前記シリンダ2の上端部と当接するシリンダ当接段部20dと、該シリンダ当接段部20dの外側端部から下向きコ字状に連接されて前記リザーバ室11の上端部に対応する凹部面20eと、該凹部面20eの外側端辺の外面であって前記アウタチューブ6の内周面と当接するアウタチューブ当接面20gと、を有して成形されるものである。なお、前記凹部面20eには、上下方向に貫通するオイル戻し穴20fが複数箇所(詳細に図示しないが3箇所)設けられている。
【0014】
上記のように構成されるプレス成形品20の外表面を被覆する摺動合成樹脂層21は、摺動用合成樹脂によって所定の厚さをもって形成されている。摺動用合成樹脂としては、熱可塑性であるポリフェニレンサルファイド(以下、「PPS」と略記する。)、ポリエーテルエーテルケトン(以下、「PEEK」と略記する。)、ポリアミド(以下、「PA」と略記する。)、また、熱硬化性樹脂であるフェノール(以下、「PF」と略記する。)、ポリアミドイミド(以下、「PAI」と略記する。)等をベース樹脂として、そのベース樹脂に充填材としての二硫化モリブデン(以下、「MoS2」と略記する。)、カーボンファイバー(以下、「CF」と略記する。)、チタン酸カリウムファイバー(以下、「ウィスカー」と略記する。)、グラファイト(以下、「Gr」と略記する。)、ポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」と略記する。)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(以下、「PFA」と略記する。)等のいずれか一種又は複数種を含有したものから構成されている。そして、上記の摺動用合成樹脂を被覆する方法としては、プレス成形品20に摺動用合成樹脂をアウトサート成形することにより摺動合成樹脂層21を形成する方法と、プレス成形品20に摺動用合成樹脂をコーティングすることにより摺動合成樹脂層21を形成する方法とがある。
【0015】
アウトサート成形する方法としては、プレス成形品20を射出成形機金型に固定した後、溶融している摺動用合成樹脂を金型内に射出成形することにより得ることができる。ベース樹脂としてPPS樹脂を用いた場合、金型温度は、例えば125℃、筒温度300℃にて行い、得られる摺動合成樹脂層21は、射出成形という方法であるため、0.5mm以上が望ましい。
【0016】
一方、コーティングする方法は、エアスプレー法、浸漬法、印刷法等の各種の方法があるが、例えばエアスプレー法でコーティングする場合には、プレス成形品20を脱脂処理し、続いて表面をブラスト加工、エッチング処理、機械加工等により粗面化し、さらに酸洗等を行って表面に付着した不純物を除去する前処理を施す一方、摺動用合成樹脂を適当な有機溶剤である、ジメチルアセトアミド(DMAC)、メチルエチルケトン(MEK)、n−メチル2−ピロリドン(NMP)などに溶解させた液状の樹脂組成物を作成し、上記した前処理を施したプレス成形品20を円筒状の治具に装着して回転台に装着し、300rpm以上にて回転しながら上記した液状の樹脂組成物をエアスプレーにて塗布する。なお、この場合、プレス成形品20を装着した状態の治具を40〜150℃に加熱処理した後に回転台に装着することが望ましい。また、上記した塗布工程を経たコーティング層付きプレス成形品20を150〜400℃で乾燥焼成することにより、溶剤が蒸発すると共に、ベース樹脂と充填材を含んだ塗布層が硬化し、摺動用合成樹脂層21がプレス成形品20の外周の表面に形成される。得られる摺動合成樹脂層21は、その塗布厚が5〜200μmである。
【0017】
なお、アウトサート成形による方法であってもコーティングによる方法であっても、プレス成形品20の外表面の全体を摺動合成樹脂層で被覆する方が作業が簡単であるため、上記した説明では、外表面の全体を被覆したものを実施形態として示したが、少なくとも摺動面20aのみを摺動用合成樹脂で被覆すればよい。
【0018】
しかして、図2に示すように、ロッドガイド8は、シリンダ当接面20cをシリンダ2に、アウタチューブ当接面20gをアウタチューブ6にそれぞれ挿入し、シリンダ当接段部20dの下面側がシリンダ2の上端面に当接する位置まで圧入することにより、シリンダ2に取り付けられる。このように取り付けられたロッドガイド8により、ピストンロッド5の摺動が摺動面20aによって案内される。
【0019】
ロッドガイド8の上方には、シール本体13とシール部材14とから構成されるオイルシール12が設けられている。シール本体13は、中心に穴が穿設されて環状に形成されるものであり、シール部材14は、ゴム等の弾性部材により形成され、シール本体13の内周及び上下面に取り付けられるものである。シール部材14の内周面上下には、挿通されたピストンロッド5に密着するシール用上リップ17及びシール用下リップ18が形成されている。また、シール用下リップ18の外側周回には、シール用下リップ18をピストンロッド5により密着させてオイルをシールさせるためのバネ部材16が取り付けられている。更に、シール用下リップ18の外側周回には、下方に向かってチェック用リップ15が突設されている。
【0020】
しかして、シール本体13の外周をアウタチューブ6に挿入してシール本体13の下面がロッドガイド8の上端に当接するまでオイルシール12を圧入した後、アウタチューブ6の上端面を図2に示すように、ピストンロッド5側に折り曲げてカシメることにより、オイルシール12がアウタチューブ6に取り付けられる。このとき、シール部材14のチェック用リップ15は、ロッドガイド8のシリンダ当接段部20dの上面に当接し、また、オイルシール12とロッドガイド8との間に上室19が形成されることとなる。この上室19には、上液室9からピストンロッド5と摺動面20aとの間の隙間を通って上昇したオイルが入り込むようになっており、この上室19内のオイルの圧力が高くなるとチェック用リップ15を弾性変形させて上室19内のオイルを通過させるようにしている。チェック用リップ15を弾性変形させて通過したオイルは、ロッドガイド8に形成されたオイル戻し穴20fを通って、リザーバ室11に戻されることとなる。
【0021】
しかして、上記のように構成される油圧緩衝器1において、ピストンロッド5が上方に移動した際、図2に示すように、リバウンドストッパ4がロッドガイド8に当接して、ピストンロッド5のそれ以上の上動を制限するようになっている。即ち、リバウンドストッパ4がロッドガイド8に当接した位置がピストンロッド5の伸び方向のストロークエンドとなる。また、ピストンロッド5は、ロッドガイド8の摺動面20aに被覆された摺動合成樹脂層21と摺動して垂直方向に動作するものである。
【0022】
次に、上記したようにプレス成形品20の外周面を摺動合成樹脂層21で被覆した本発明の実施形態に係るロッドガイド8と、従来使用されているロッドガイドとを比較して行った試験結果について表1と表2について説明する。
【0023】
【表1】
【0024】
表1は、本発明の実施形態に係るロッドガイド8の実施例1〜4と、従来例に係るロッドガイドの比較例1〜4との同一試験条件の下での摩耗量を示す表である。具体的には、実施例1〜4は、板材をプレス加工により成形されたプレス成形品20の外表面に表1の左欄に示す樹脂成分の摺動合成樹脂層21を射出成形により被覆したロッドガイド8であり、比較例1〜4は、表1の左欄に示す樹脂成分によってロッドガイドの全体を射出成形したロッドガイドであり、それぞれの例における摩耗量が表1の右欄に示されている。なお、試験条件としては、荷重100N、ストローク±25mm、周波数2.5Hz、回数200万回、温度80℃、ピストンロッドの表面はCrメッキされ、その表面粗さはRz1μm以下というものである。
【0025】
より詳細に説明すると、実施例1のプレス成形品20の外表面に、10体積%のCF+5体積%のPTFE+残部PPSとからなる合成樹脂成分を射出成形により被覆したロッドガイド8を上記の試験条件で摩耗量を計測したときに、その摩耗量が18μmであった。同様に、実施例2のプレス成形品20の外表面に、5体積%のウィスカー+10体積%のPTFE+残部PEEKとからなる合成樹脂成分を射出成形により被覆したロッドガイド8の場合の摩耗量が10μmであった。実施例3のプレス成形品20の外表面に、5体積%のCF+10体積%のMoS2+残部PAとからなる合成樹脂成分を射出成形により被覆したロッドガイド8の場合の摩耗量が23μmであった。実施例4のプレス成形品20の外表面に、10体積%のGr+5体積%のCF+残部PFとからなる合成樹脂成分を射出成形により被覆したロッドガイド8の場合の摩耗量が29μmであった。
【0026】
これに対し、比較例1〜4は、実施例1〜4にそれぞれ対応するものであり、しかも実施例1〜4の摺動合成樹脂層21として使用した合成樹脂成分によってロッドガイドの全体を射出成形によって成形したものであり、比較例1の場合(10体積%のCF+5体積%のPTFE+残部PPSとからなる合成樹脂)の摩耗量が80μmであり、比較例2の場合(5体積%のウィスカー+10体積%のPTFE+残部PEEKとからなる合成樹脂)の摩耗量が51μmであり、比較例3の場合(5体積%のCF+10体積%のMoS2+残部PAとからなる合成樹脂)の摩耗量が93μmであり、比較例4の場合(10体積%のGr+5体積%のCF+残部PFとからなる合成樹脂)の摩耗量が105μmであった。
【0027】
上記の試験結果から見ると、板材をプレス加工により成形されたプレス成形品20の外表面に摺動合成樹脂層21を射出成形により被覆したロッドガイド8に比べて摺動合成樹脂層と同一の樹脂成分によってロッドガイドの全体を射出成形したロッドガイドは、その摩耗量が極めて多くなっている。これは、プレス成形品20を有さない比較例1〜4においては、ロッドガイド8の剛性が劣るため、片当りによる変形により摩耗量が増加すると考えられるのに対し、プレス成形品20を有する本発明の実施例1〜4においては、剛性が十分確保されるため、片当りによる変形を極力抑えることができ、この結果優れた耐摩耗性を有するロッドガイド8を提供することができるものである。なお、表1には、示さなかったが、出願人が調べたところ、実施例1〜4に示すロッドガイド8の重量は、焼結ハウジングを使用したロッドガイドに比べて40%以上の軽量化を達成することができた。
【0028】
【表2】
【0029】
次に、表2は、本発明の実施形態に係るロッドガイド8の実施例1〜4と、従来例に係るロッドガイドの比較例1〜3との同一試験条件の下での摩耗量を示す表である。具体的には、実施例1〜4は、板材をプレス加工により成形されたプレス成形品20の外表面に表2の左欄に示す樹脂成分の摺動合成樹脂層21をスプレーコーティングによりコーティング厚さ30μmで被覆したロッドガイド8であり、比較例1,2は、板材をプレス加工により成形されたプレス成形品20の摺動面20aに表2の左欄に示す樹脂成分によって構成される複層樹脂摺動部材を圧入したロッドガイドであり、比較例3は、焼結ハウジングの摺動面に表2の左欄に示す樹脂成分によって構成される複層樹脂摺動部材を圧入したロッドガイドであり、それぞれの例における重量が表2の中欄に示され、摩耗量が表2の右欄に示されている。なお、試験条件としては、荷重100N、ストローク±25mm、周波数2.5Hz、回数200万回、温度80℃、ピストンロッドの表面はCrメッキされ、その表面粗さはRz1μm以下というものである。
【0030】
より詳細に説明すると、実施例1のプレス成形品20の外表面に、50体積%のGr+残部PFとからなる合成樹脂成分をスプレーコーティングにより被覆したロッドガイド8を上記の試験条件で重量及び摩耗量を計測したときに、その重量が34gであり、摩耗量が13μmであった。同様に、実施例2のプレス成形品20の外表面に、10体積%のMoS2+40体積%のGr+残部PIとからなる合成樹脂成分をスプレーコーティングにより被覆したロッドガイド8の場合の重量が34gであり、摩耗量が8μmであった。実施例3のプレス成形品20の外表面に、10体積%のMoS2+残部PAとからなる合成樹脂成分をスプレーコーティングにより被覆したロッドガイド8の場合の重量が34gであり、摩耗量が16μmであった。実施例4のプレス成形品20の外表面に、20体積%のPTFE+残部PPSとからなる合成樹脂成分をスプレーコーティングにより被覆したロッドガイド8の場合の重量が34gであり、摩耗量が11μmであった。
【0031】
これに対し、比較例1は、プレス成形品20の摺動面20aに、20体積%のPFA+残部PTFEとからなる合成樹脂成分を被覆した複層樹脂摺動部材を圧入したロッドガイドを上記の試験条件で重量及び摩耗量を計測したときに、その重量が36gであり、摩耗量が10μmであった。同様に、比較例2は、プレス成形品20の摺動面20aに、20体積%のPb+残部PTFEとからなる合成樹脂成分を被覆した複層樹脂摺動部材を圧入したロッドガイドの場合の重量が36gであり、摩耗量が15μmであった。また、比較例3は、焼結ハウジングの摺動面に、20体積%のPFA+残部PTFEとからなる合成樹脂成分を被覆した複層樹脂摺動部材を圧入したロッドガイドを上記の試験条件で重量及び摩耗量を計測したときに、その重量が67gであり、摩耗量が9μmであった。
【0032】
上記の試験結果から見ると、板材をプレス加工により成形されたプレス成形品20の外表面に摺動合成樹脂層21をスプレーコーティングにより被覆した本実施例のロッドガイド8に比べて板材をプレス加工により成形されたプレス成形品20の摺動面に複層樹脂摺動部材を圧入したロッドガイドは、その摩耗量においてほとんど差異はなく、また、重量においては僅かに重くなっている。したがって、総合的に両者はほとんど変わらないが、本実施例に係るロッドガイド8は、複層樹脂摺動部材を圧入したロッドガイドに比べて製造が簡単であるため製造コストを低減することができ、また、重量も僅かならが軽減することができる。
【0033】
一方、板材をプレス加工により成形されたプレス成形品20の外表面に摺動合成樹脂層21をスプレーコーティングにより被覆した本実施例のロッドガイド8に比べて焼結ハウジングの摺動面に複層樹脂摺動部材を圧入したロッドガイドは、その摩耗量においてほとんど差異はなく、また、重量においては約2倍の重量となっている。したがって、本実施例に係るロッドガイド8は、焼結ハウジングに複層樹脂摺動部材を圧入したロッドガイドに比べて製造が簡単であるため製造コストを低減することができることに加えて、重量を大幅に軽減することができる。
【0034】
以上、実施形態について詳細に説明してきたが、本実施形態においては、シリンダ2の端部に設けられ且つ該シリンダ2内を摺動するピストンロッド5を案内するロッドガイド8を有する油圧緩衝器1において、前記ロッドガイド8は、板材をプレス加工により成形されたプレス成形品20により構成されると共に、少なくとも前記ピストンロッド5との摺動面20aを摺動合成樹脂層21で被覆したことにより、ロッドガイド8が板材をプレス加工により成形されたプレス成形品20により構成されると共に、少なくともピストンロッド5との摺動面20aを摺動合成樹脂層21で被覆することによって構成されるため、焼結ハウジングを使用した場合に比べて大幅な軽量化を達成することができると共に、摺動用の合成樹脂でロットガイド全体を成形した場合に比べて充分な剛性を確保することができ、更に、複層摺動部材が圧入されたものに比べて更なる軽量化を達成することができる。
【0035】
また、本実施形態においては、前記摺動合成樹脂層21は、前記プレス成形品20に摺動用合成樹脂をアウトサート成形することにより形成されていることにより、樹脂付きのロッドガイドの製造を簡単且つ低廉に行うことができる。
【0036】
更に、本実施形態においては、前記摺動合成樹脂層21は、前記プレス成形品20に摺動用合成樹脂をコーティングすることにより形成されていることにより、樹脂付きのロッドガイドの製造を簡単且つ低廉に行うことができる。
【0037】
なお、上記した実施形態においては、プレス成形品20を構成する板材の一例としてSPCD材を示したが、深絞り可能な材質の板材であれば、どのような組成の板材であっても良い。また、摺動用合成樹脂のベース樹脂においても、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂であって摺動用合成樹脂として使用されているものであればどのような合成樹脂であっても良い。
【0038】
【発明の効果】
以上、説明したところから明らかなように、請求項1に係る発明においては、ロッドガイドが板材をプレス加工により成形されたプレス成形品により構成されると共に、少なくともピストンロッドとの摺動面を摺動合成樹脂層で被覆することによって構成されるため、焼結ハウジングを使用した場合に比べて大幅な軽量化を達成することができると共に、摺動用の合成樹脂でロットガイド全体を成形した場合に比べて充分な剛性を確保することができ、更に、複層摺動部材が圧入されたものに比べて更なる軽量化を達成することができる。
【0039】
また、請求項2及び請求項3に係る発明においては、樹脂付きのロッドガイドの製造を簡単且つ低廉に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】油圧緩衝器の内部を示す断面図である。
【図2】実施形態に係るロッドガイドが取り付けられた油圧緩衝器の上部を示す断面図である。
【図3】実施形態に係るロッドガイドの断面図である。
【符号の説明】
1 油圧緩衝器
2 シリンダ
3 ピストン
5 ピストンロッド
8 ロッドガイド
20 プレス成形品
20a 摺動面
21 摺動合成樹脂層
Claims (3)
- シリンダの端部に設けられ且つ該シリンダ内を摺動するピストンロッドを案内するロッドガイドを有する油圧緩衝器において、
前記ロッドガイドは、板材をプレス加工により成形されたプレス成形品により構成されると共に、少なくとも前記ピストンロッドとの摺動面を摺動合成樹脂層で被覆したことを特徴とする油圧緩衝器。 - 前記摺動合成樹脂層は、前記プレス成形品に摺動用合成樹脂をアウトサート成形することにより形成されていることを特徴とする請求項1記載の油圧緩衝器。
- 前記摺動合成樹脂層は、前記プレス成形品に摺動用合成樹脂をコーティングすることにより形成されていることを特徴とする請求項1記載の油圧緩衝器。
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