JP2004183554A - 内燃機関におけるシリンダブロック - Google Patents

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Ryohei Kusunoki
亮平 楠
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Abstract

【課題】上部に冷却水ジャケットに囲われたシリンダボア2を下部にクランクケース5を備えたシリンダブロック1において、前記クランクケース5内にクランク軸4に対する軸受け部8と、通気用貫通孔9とを備えた仕切り壁7を設け、この仕切り壁のうち前記通気用貫通孔の部分に、円弧面に凹ませるようにした切削加工による凹所12を前記シリンダボアの下端に連通するように設けるに際し、前記凹所がオイル通路11に連通することを回避する。
【解決手段】前記凹所12のうち前記軸受け部8側の部分を、当該凹所における切削深さを軸受け部に向かって次第に浅くするように構成する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関において、上部に冷却水ジャケットに囲われたシリンダボアを下部にクランクケースを備えて成るシリンダブロックに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種のシリンダブロックは、その下部のクランクケースの内部に、各シリンダボアごとの区画室に区画する仕切り壁を設け、この仕切り壁に設けた軸受け部にてクランク軸を軸支する一方、この仕切り壁のうちシリンダボアの下端と前記軸受け部との間の部分に通気用貫通孔を穿設することによって、ブローバイガス等の気体がこの通気用貫通孔より各仕切り壁を挟む両区画室の相互間を自由に行き来できるようにして、各シリンダボア内のピストンが往復動するときのポンピングロスを低減するように構成している。
【0003】
このシリンダブロックにおいて、各シリンダボアを、そのシリンダ壁の一部を隣接のシリンダボアとの間において共通とするようにサアミーズシリンダにした場合、各シリンダボア間におけるシリンダ壁の厚さは、前記クランクケース内に設けた前記仕切り壁の厚さよりも薄くなる。
【0004】
そこで、従来は、例えば、特許文献1及び特許文献2等に記載されているように、前記仕切り壁における表裏両面のうちシリンダボアの下端に隣接部分に、シリンダボアの軸線を中心として且つこの中心からの半径を前記シリンダボアにおける半径と等しくするか、或いはやや大きくした円弧面に凹ませるように切削加工して成る凹所を、前記シリンダボアの下端に連通するように設けることにより、前記シリンダボアの内面に全体に対するホーニング加工ができるように構成している。
【0005】
また、従来は、前記仕切り壁に、当該仕切り壁を挟む両区画室の相互間を連通する通気用貫通孔を設ける場合、この通気用貫通孔を、シリンダブロックをダイキャスト鋳造するときに同時に中子型による鋳抜きによって形成していることにより、この通気用貫通孔の内周縁には、ダイキャスト鋳造するときにおける鋳物バリが発生するから、この通気用貫通孔の内周縁に発生する鋳物バリを、前記したように、仕切り壁における表裏両面のうちシリンダボアの下端に隣接する部分を円弧面に凹ませるように凹所を切削加工するときにおいて同時に切除するようにしているから、以下に述べるような問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−305651号公報
【特許文献2】
特開平10−196337号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、前記仕切り壁に設ける通気用貫通孔は、ポンピングロスの低減のためにできるだけ大きくすることが必要であるから、この大きな通気用貫通孔の内周縁に発生する鋳物バリを、前記仕切り壁に対して凹所を切削加工するときにおいて同時に切除するには、この切削加工を、前記通気用貫通孔における下端縁を超えて軸受け部に近づくように、シリンダボアにおける下端、つまり凹所の上端から当該凹所の下端までの切削高さ寸法を大きくしなければならない。
【0008】
この場合、従来は、前記切削加工による凹所における切削深さを切削高さの全体にわたって同じにしていることにより、前記仕切り壁のうちその表裏両面に対して凹所を形成するように切削加工した箇所における残りの肉厚さが、前記凹所におけるシリンダボアの下端からの切削高さ寸法の全体にわたって薄くなり、換言すると、前記仕切り壁のうちその表裏両面に対する前記切削加工によって厚さが薄くなる領域が軸受け部に近づくように増大する。
【0009】
前記仕切り壁には、シリンダブロックに設けたメインオイルギャラリにおける潤滑油をクランク軸の軸受け部に供給するためのオイル通路が穿設されていることにより、この仕切り壁に対して凹所を切削加工するときにおけるシリンダボアの下端からの切削高さ寸法を、前記したように、大きくすることには、当該切削加工が前記オイル通路に達することがないように限界が存在するから、これによって、前記通気用貫通孔の大きさが制限されることになる。
【0010】
本発明は、この問題を解消することを技術的課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この技術的課題を達成するため本発明は、
「上部に冷却水ジャケットに囲われたシリンダボアを下部にクランクケースを備え、前記クランクケース内に、各シリンダボアごとの区画室に区画する仕切り壁を設け、この仕切り壁に設けた軸受け部にてクランク軸を軸支する一方、この仕切り壁のうち前記シリンダボアの下端と前記軸受け部との間の部分に通気用の貫通孔を穿設し、更に、前記仕切り壁における表裏両面のうち前記通気用貫通孔の部分に、シリンダボアの軸線を中心として且つこの中心からの半径を前記シリンダボアにおける半径と等しくするか或いはやや大きくした円弧面に凹ませるようにした切削加工による凹所を、前記シリンダボアの下端に連通するように設けて成るシリンダブロックにおいて、
前記凹所のうち前記軸受け部側の部分を、当該凹所における切削深さを軸受け部に向かって次第に浅くするように構成した。」
ことを特徴としている。
【0012】
【発明の作用・効果】
このように、前記凹所のうち前記軸受け部側の部分を、当該凹所における切削深さを軸受け部に向かって次第に浅くするように構成したことにより、前記仕切り壁のうちその表裏両面に対して凹所を形成するように切削加工した箇所における残りの肉厚さが、前記凹所におけるシリンダボアの下端からの切削高さ寸法の全体にわたって薄くなることを回避でき、当該残りの肉厚さを、前記凹所のうち軸受け部側の部分において、当該凹所における切削深さを軸受け部に向かって次第に浅くした分だけ厚くすることができる。
【0013】
従って、本発明によると、前記仕切り壁に対して凹所を形成するための切削加工を、通気用貫通孔に対する鋳物バリを除去することのために、当該通気用貫通孔を越えた部分まで行うようにした場合に、前記仕切り壁の強度が低下することを確実に低減できるのであり、しかも、前記切削加工した後における残りの肉厚さが、前記凹所における軸受け部側の部分において厚くなることにより、この凹所が前記仕切り壁に穿設されているオイル通路を連通することを回避できるから、このだけ前記仕切り壁に設ける通気用貫通孔を大きくすることができるという効果を有する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図1〜図4の図面について説明する。
【0015】
この図において、符号1は、アルミ合金等のような軽合金のダイキャスト鋳造によるシリンダブロックを示し、このシリンダブロック1には、その上部に、冷却水ジャケット3にて囲われた複数個のシリンダボア2を後述するクランク軸4における軸線4aに沿って一列状に備える一方、その下部に、前記クランク軸4に対するクランクケース5を一体に備えている。
【0016】
前記クランクケース5内には、前記各シリンダボア2間の部位に、当該クランクケース5内を各シリンダボア2ごとの区画室6に区画するための仕切り壁7が一体的に設けられ、この各仕切り壁7には、前記クランク軸4に対する軸受け部8が一体に設けられているとともに、前記シリンダボア2の下端と前記軸受け部8との間の部位に、前記各区画室6を互いに連通する通気用貫通孔9が、中子型を使用した鋳抜きにて形成されている。
【0017】
また、前記シリンダブロック1における側面には、潤滑油ポンプ(図示せず)からの潤滑油が導入されるメインギャラリ10が形成されている一方、前記各仕切り壁7には、前記メインギャラリ10における潤滑油を前記軸受け部8に導くためのオイル通路11が穿設されている。
【0018】
更にまた、前記各仕切り壁7における表裏両面のうち前記通気用貫通孔9の部分には、シリンダボア2の軸線2aを中心として且つこの中心からの半径R1を前記シリンダボア2における半径R0と等しくするか或いはやや大きくした円弧面12aに凹ませるようにした切削加工による凹所12を、前記シリンダボア2の下端に連通するように設ける。
【0019】
なお、この凹所12を切削加工するときにおけるシリンダボア2の下端からの切削高さ寸法Hは、前記通気用貫通孔9の全体を含む寸法に設定している。また、前記凹所12の切削加工は、図4に二点鎖線で示すように、半径r0の円筒形と円錐形とを組み合わせて成るフライス工具Aを、適宜速度で回転しながら、前記シリンダボア2の軸線2aを中心とする半径r1の円に沿って移動することによって行う。
【0020】
そして、前記したように、切削加工による凹所12を設ける際しては、この凹所12のうち略下半分における前記軸受け部8側の部分を、当該凹所12における切削深さが軸受け部8に向かって次第に浅くするように構成する。
【0021】
換言すると、前記凹所12の底面を、当該凹所12のうち略下半分における前記軸受け部8側の部分において、当該凹所12における切削深さが軸受け部8に向かって次第に浅くなるように傾斜するという構成にする。
【0022】
このように構成することにより、前記各仕切り壁7のうちその表裏両面に対して凹所12を形成するように切削加工した箇所における残りの肉厚さが、前記凹所12におけるシリンダボア2の下端からの切削高さ寸法Hの全体にわたって薄くなることを回避でき、当該残りの肉厚さを、前記凹所12のうち略下半分の軸受け部8側の部分において、当該凹所12における切削深さを軸受け部8に向かって次第に浅くした分だけ厚くすることができるから、前記凹所12を設ける切削加工によって通気連通孔9における全内周縁の鋳物バリを除去することができるものでありながら、前記凹所12が前記仕切り壁7に穿設されるオイル通路11に連通するおそれを確実に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シリンダブロックの平面図である。
【図2】図1のII−II視断面図である。
【図3】図1のIII −III 視断面図である。
【図4】図2のIV−IV視断面図である。
【符号の説明】
1 シリンダブロック
2 シリンダボア
3 冷却水ジャケット
4 クランク軸
4a クランク軸の軸線
5 クランクケース
6 区画室
7 仕切り壁
8 軸受け部
9 通気用貫通孔
10 メインギャラリ
11 オイル通路
12 凹所

Claims (1)

  1. 上部に冷却水ジャケットに囲われたシリンダボアを下部にクランクケースを備え、前記クランクケース内に、各シリンダボアごとの区画室に区画する仕切り壁を設け、この仕切り壁に設けた軸受け部にてクランク軸を軸支する一方、この仕切り壁のうち前記シリンダボアの下端と前記軸受け部との間の部分に通気用の貫通孔を穿設し、更に、前記仕切り壁における表裏両面のうち前記通気用貫通孔の部分に、シリンダボアの軸線を中心として且つこの中心からの半径を前記シリンダボアにおける半径と等しくするか或いはやや大きくした円弧面に凹ませるようにした切削加工による凹所を、前記シリンダボアの下端に連通するように設けて成るシリンダブロックにおいて、
    前記凹所のうち前記軸受け部側の部分を、当該凹所における切削深さを軸受け部に向かって次第に浅くするように構成したことを特徴とする内燃機関におけるシリンダブロック。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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DE102006028801A1 (de) * 2006-06-23 2007-12-27 Bayerische Motoren Werke Ag Kurbelgehäuse
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