JP2004182504A - キャパシタ電極用活性炭およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電気二重層キャパシタ電極材料として、耐久性に優れ、安定的に高い静電容量を発現することができる、工業的にも容易に製造可能な活性炭とその製造方法を提供する。
【解決手段】X線回折によって測定されるc軸方向の結晶子厚さLc(002)が5.0nm以上のピッチを炭素化処理、次いで賦活処理する。
【選択図】 無
【解決手段】X線回折によって測定されるc軸方向の結晶子厚さLc(002)が5.0nm以上のピッチを炭素化処理、次いで賦活処理する。
【選択図】 無
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電気二重層キャパシタ電極用活性炭およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気二重層キャパシタ(以下、EDLCと称す)は高パワー密度、長寿命、高可逆性といった特長を有することから、地球環境保全、高度情報化社会を支えるキーデバイスとして注目を集めている。既にメモリーバックアップ用電源として実用化されているが、最近では余剰電力貯蔵庫やハイブリッド自動車向けの、高性能かつ低価格のEDLCの開発が積極的に進められている。
【0003】
EDLCは、固体と液体の界面に生じる電気二重層を利用したコンデンサである。その構造は、セパレータを挟んだ一組の分極性電極とこれらを収納するケースと電解液と集電体からなる。
【0004】
EDLC電極用活性炭の製造方法として、メソフェーズピッチを不融化処理後、炭素化処理し、アルカリ賦活によりEDLC電極用活性炭を製造する方法が知られている。例えば、塊状メソフェーズピッチを粉砕、不融化処理、炭化処理、アルカリ賦活する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)、また、軟化点が150〜350℃、H/Cが0.5〜0.9、光学的異方性含有率が50%以上である原料ピッチを熱処理、賦活処理することにより、静電容量の高い活性炭電極が得られることが開示されている(特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−52972号公報
【特許文献2】
特開2002−93667号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来法により得られた活性炭電極では、高い静電容量が得られる場合においても、静電容量の再現性が低く、安定的に高容量を発現することができないという欠点があった。本発明の目的は、EDLC電極材料として、耐久性に優れ、安定的に高い静電容量を発現することができる、工業的にも容易に製造可能な活性炭とその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意努力を重ねた結果、特定の性状をもつピッチを、炭素化処理、次いで賦活処理を行なうことにより、安定的に高い静電容量の活性炭電極が、容易に得られることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
すなわち本発明は、
(1)X線回折によって測定されるc軸方向の結晶子厚さLc(002)が5.0nm以上のピッチを炭素化処理、次いで賦活処理することによって得られる電気二重層キャパシタ電極用活性炭、および
(2)X線回折によって測定されるc軸方向の結晶子厚さLc(002)が5.0nm以上のピッチを炭素化処理、次いで賦活処理することを特徴とする電気二重層キャパシタ電極用活性炭の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の詳細について記述するが、本発明は以下の記述だけに限定されるものではない。
【0010】
本発明におけるピッチは、X線回折によって測定されるc軸方向の結晶子厚さLcが5.0nm以上のものである。ここで、Lc(002)は、シリコンを内部標準物質として学振法に基づいて測定される。
【0011】
本発明における原料ピッチは、品質安定性や化学純度の観点から合成ピッチが好ましく、例えば、少なくとも1個のアルキル置換基を有する縮合多環炭化水素を原料として弗化水素および三弗化硼素の存在下で、100℃から400℃で重合することによって得られる。少なくとも1個以上のアルキル置換基を有する縮合多環炭化水素の例としては、モノメチルナフタレン、ジメチルナフタレンなどが挙げられ、これらの縮合多環炭化水素を含有する種々の石油留分、石油加工工程の残油あるいはコールタールの留分などが原料として用いられる。重合触媒量は、原料1モルに対して弗化水素0.1〜20モル、三弗化硼素0.05〜1.0モルである。重合に要する時間は、原料の種類、反応温度、および触媒量により変化するが、通常5〜300分である。重合反応終了後、触媒を分離し、必要に応じて軽質分の除去を行なうことにより本発明の原料ピッチが得られる。重合反応、触媒分離や軽質分除去の条件については、ピッチのLc(002)が本発明の要件に適合するように設定される。このようなピッチから得られる活性炭は高い静電容量を発現するという特長を有する。
【0012】
ナフタレンピッチやアントラセンピッチ等、アルキル置換基をもたない縮合多環炭化水素を原料として上記重合方法により得られるピッチは、単独では、結晶子厚さLc(002)が5.0nm未満であるため、それのみを原料として炭素化処理、賦活処理を行なっても、十分に高い静電容量を持つ活性炭電極を製造することはできないが、モノメチルナフタレンやジメチルナフタレン等の、少なくとも1個のアルキル置換基を有する縮合多環炭化水素を併用することにより、得られるピッチの結晶子厚さLcは十分に増大して5.0nm以上となるため、本発明に適用することができる。即ち、重合原料中の全量がアルキル置換基を有する縮合多環炭化水素である必要はなく、原料縮合多環炭化水素中、5重量%以上であれば得られる共重合ピッチの結晶子厚さLcは十分に5.0nm以上となる。例えば、安価なナフタレンに対してメチルナフタレン5重量%を添加した原料により得られるピッチのLcは5.0nm以上となるため、安価に本発明における原料ピッチを得ることができる。
【0013】
本発明において原料となるピッチは、異なる縮合多環炭化水素から上記重合方法により得られた合成ピッチを、軟化点以上で溶融混合したものであってもよい。例えば、安価なナフタレン由来の合成ピッチに、メチルナフタレン由来のピッチやジメチルナフタレン由来のピッチ等、アルキル置換基を有する縮合多環炭化水素を重合して得られたピッチを溶融混合させることにより、本発明に適した5.0nm以上の結晶子厚さをもつピッチを得ることができる。その際のアルキル置換基を有する縮合多環炭化水素より得られたピッチの量は、好ましくは5重量%以上である。
【0014】
本発明における原料ピッチはメトラー法による軟化点が150℃以上であることが好ましい。光学的異方性含有率については特に限定されず、等方性のピッチも異方性のピッチも両方用いることができる。
【0015】
本発明における原料ピッチには、本発明の効果を損なわない範囲で、石油系ピッチや石炭系ピッチを加えてもよく、ポリエチレンやポリスチレン等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を混合してもよい。
【0016】
本発明における炭素化は、上記原料ピッチを、攪拌下あるいは静置のまま熱処理する方法により炭素化処理を行なってもよく、粉砕処理や溶融紡糸により得られる粉末状あるいは繊維状の前駆体を不融化処理により酸素を付加した後に炭素化処理を行なってもよく、特に限定されない。工業的には、不融化処理を経ずに攪拌下で連続的に熱処理を行なう方法により炭素化処理を行なったほうが、簡便な装置で安価に炭素化処理を行なうことができる。
【0017】
不融化処理を経ずに連続的に熱処理を行なう場合には、不活性雰囲気下400〜900℃の温度領域に保った反応容器内に、予め顆粒状または粉末状の原料ピッチの熱処理品を仕込んで攪拌しておき、そこへ粉末状、ペレット状、あるいは溶融状態の原料ピッチを添加することで、顆粒状または粉末状のピッチ熱処理品が製造される。また熱処理を、微酸素雰囲気下で行なってもよい。
【0018】
上記方法(以下、戻し媒方式熱処理と称す)では、添加した原料ピッチは加熱によりまず低粘度の液体となって、予め仕込んだ顆粒状または粉末状のピッチ熱処理品(以下、戻し媒と称す)の表面上に分散する。その後熱による重合反応が進むことにより最終的には不融の熱処理物へと変化する。戻し媒は攪拌によって常に流動状態が保たれているので、ピッチの反応によって生成するガスは速やかに系外に排出され、静置で熱処理を行なうときのような著しい溶融発泡を全く起こさず、静置での熱処理に比べてはるかに小さな容積の反応器で連続的に効率良く熱処理を行なうことができる。
【0019】
ここで用いられる反応器には、顆粒状または粉末状のピッチ熱処理品を充分に攪拌できるような攪拌装置を付属した漕型の反応器、攪拌可能なパドルを備えた筒型の反応器、あるいはロータリーキルン等が使用できる。漕型反応器を使用する場合は、例えば特開平7−286181号公報に記載されたような攪拌羽根の回転軸を傾けて設置した反応器等が利用できる。
【0020】
このような戻し媒方式熱処理で得られた炭素化物の熱処理温度が600℃未満であった場合には、さらに高温で熱処理することにより、賦活処理に適した性状をもつ炭素化物を得ることができる。最終的な炭素化処理温度や、その温度における保持温度は、賦活処理の反応性に著しい影響を及ぼすために重要である。通常不活性ガス雰囲気下にて600〜900℃の範囲で0.1〜20時間加熱することにより本発明に適した炭素化物を得ることができる。
【0021】
炭素化処理の前に不融化処理を行なう場合には、粉末状あるいは繊維状の炭素化物前駆体を170〜350℃の範囲で通常空気に曝することにより酸素付加させることで不融化処理をすることができる。前駆体の軟化点が200℃以下の場合には、まず低温で軽度の不融化処理を行なった後、次いで250〜350℃の範囲で不融化処理を行ってもよい。不融化温度が低すぎる場合には、次の炭素化処理の際に、溶融発泡するために好ましくなく、不融化温度が高すぎる場合には、粉末の融着や、燃焼による収量減少が生じるために好ましくない。その後、不活性ガス雰囲気下にて600〜900℃の範囲で0.1〜6.0時間加熱することにより、本発明に適した炭素化物を得ることができる。
【0022】
本発明では、上述の炭素化処理を行なった後、次いで得られた炭素化物を賦活処理する。賦活方法は賦活剤を用いる薬品賦活が好ましい。賦活に用いられる賦活剤には塩化亜鉛、アルカリ金属化合物等が使用される。特にアルカリ金属化合物が好ましく、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、塩化カリウム等が用いられるが、なかでも水酸化カリウムが最も好ましい。賦活の方法や装置は特に限定されないが、例えば、炭素化物1重量部に対して1〜4重量部のアルカリ金属化合物を均一に混合し処理容器に充填し、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下の加熱炉中で室温から400〜1000℃まで昇温加熱して0.1〜20時間保持することで行われる。処理温度は400℃より低いと賦活反応が進行し難く賦活度が上がらない。1000℃より高い場合には金属カリウムの析出、飛散などによる処理装置の侵食の問題が起こるため、600〜900℃の温度で賦活処理することが好ましい。その後室温まで冷却しアルカリ成分を除去するため、アルコール中に投入、濾過し、濾液が中性になるまで水洗を繰り返す。その後乾燥し活性炭が得られる。
【0023】
EDLC用電極を作製する際には、活性炭は平均粒径で通常1〜50μm、好ましくは平均粒径5〜30μmの範囲になるように粒度調整されたものを用いる。粉砕処理は炭素化処理品、賦活処理品のどちらの段階においても行なうことができ特に限定されない。粉砕機については衝撃式粉砕機やジェットミル、マイクロアトマイザー等から適宜、最適機種が選択される。分級機についても機械式分級、風力式分級機等から適宜、最適機種が選択され特に限定されない。
【0024】
こうして得られた活性炭を電極材料に用いたEDLCは、再現性良く高い静電容量が得られるという特長を有する。
【0025】
【実施例】
次に実施例により本発明を更に具体的に説明する。但し本発明は以下の実施例により制限されるものではない。
ピッチのc軸方向の結晶子厚さLcの測定は、ピッチ0.5gに、ケイ素粉末0.05gを乳鉢で十分混合したものを測定サンプルとして、X線回折装置理学Geigerflexにて、スキャン角度:10〜35°(2θ、CuKα)、スキャンスピード1°/分、X線印加電圧および電流は30kVおよび20mAの条件で行なった。次いで学振法ソフトを用いて自動解析した。
また活性炭静電容量の算出は、活性炭:導電性フィラー(ケッチェンブラック):結着剤(テフロン(登録商標))を重量比80:10:10で混合し電極を作製した。ステンレス製コイン型二極式セルを用い、一対の電極の間にグラスファイバー製セパレータを挟みセルに収容した。電解液はテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート(C2H5)4NBF4を1.0モル/リットル溶解したプロピレンカーボネートを用いた。アルゴン雰囲気中、室温下200mA/gの定電流で終止電圧2.7Vまで充電し、そのまま2時間保持したのち、200mA/gの定電流で0Vまで放電した。重量当たりの静電容量Cは、C=I・ΔT/ΔV式により求めた(但し、I:電極重量当たりの平均放電電流値、ΔT:電圧降下時間、ΔV:電圧降下値)。
【0026】
参考例1
混合メチルナフタレン(α:β=1:1)138モル、弗化水素61モル、三弗化硼素28モルを43Lのオートクレーブに仕込み、265℃で4時間反応させた。その後オートクレーブの放出弁を開け、常圧において窒素を吹き込み実質的に全量の弗化水素、三弗化硼素を除去したピッチを得た。得られたメチルナフタレンピッチの収率は原料メチルナフタレンに対する重量比で73%であった。また、このピッチのメトラー法による軟化点は226℃、結晶子厚さLcは8.7nmであった。
【0027】
参考例2
1,5−ジメチルナフタレン129モル、弗化水素75モル、三弗化硼素28モルを43Lのオートクレーブに仕込み、255℃で4時間反応させた。その後オートクレーブの放出弁を開け、常圧において窒素を吹き込んだ。得られたピッチの収率は原料ジメチルナフタレンに対する重量比で51%であった。また、このジメチルナフタレンピッチの軟化点は255℃、結晶子厚さLcは12.3nmであった。
【0028】
参考例3
ナフタレン117モル、弗化水素37.4モル、三弗化硼素9.4モルを43Lのオートクレーブに仕込み、265℃で4時間反応させた。その後オートクレーブの放出弁を開け、常圧において窒素を吹き込んだ。得られたピッチの収率は原料ナフタレンに対する重量比で72%であった。また、このナフタレンピッチの軟化点は269℃、結晶子厚さLcは3.7nmであった。
【0029】
参考例4
ナフタレン108モル、メチルナフタレン27モル、弗化水素53モル、三弗化硼素27モルを43Lのオートクレーブに仕込み、265℃で4時間反応させた。その後オートクレーブの放出弁を開け、常圧において窒素を吹き込んだ。得られたナフタレンとメチルナフタレンの共重合ピッチの軟化点は245℃、結晶子厚さLcは6.2nmであった。
【0030】
実施例1
参考例1で得られたメチルナフタレンピッチを熱処理するため、窒素雰囲気下5℃/分で530℃まで昇温しこの温度で1時間保持した。室温まで冷却し、内容物(炭素発泡体)を粉砕し平均粒径約0.5mmのピッチ熱処理品を得た。次に攪拌機を装備した直径170mm、高さ200mmの円筒反応器の中にこの熱処理品200gを戻し媒として予め仕込み、攪拌しながら窒素気流下550℃に昇温した。ここに上記合成ピッチを毎分10gの速度で反応器に加える操作を2時間行なった。
投入終了後、550℃で1時間保持したのち反応器を冷却し内容物を取り出したところ約280gの粒状の熱処理品が得られた。この粒状熱処理品を戻し媒として上述と同様の操作を行なった。これを5回繰り返し、90%以上の置換率の顆粒状熱処理品を得た。得られた顆粒を管状炉中、窒素雰囲気下5℃/分で650℃まで昇温し1時間保持した。
室温まで冷却後、衝撃式粉砕機により平均粒径約13μmに粉砕した。炭素粉末に対して2倍量の水酸化カリウムをアルミナ乳鉢中で均一に混合し、ニッケル製坩堝に仕込み、管状炉中、窒素雰囲気下5℃/分で750℃まで昇温し2時間保持した。室温まで冷却したのち2−プロパノール中に投入し濾液が中性になるまで濾過・水洗を繰り返し、150℃で一晩真空乾燥して活性炭を得た。前述の静電容量評価法により、活性炭の静電容量は、再現性良く42F/gであった。ピッチの性状と静電容量をまとめて表1に示す。
【0031】
実施例2
メチルナフタレンピッチの代わりに、参考例2で得られたジメチルナフタレンピッチを用いた以外は、全て実施例1と同様な操作を行ない、活性炭を得た。結果を表1にまとめて示す。
【0032】
実施例3
メチルナフタレンピッチの代わりに、参考例4で得られたナフタレンとメチルナフタレンの共重合ピッチを用いた以外は、全て実施例1と同様な操作を行い活性炭を得た。結果を表1にまとめて示す。
【0033】
実施例4
参考例3で得たナフタレンピッチに対して参考例1で得たメチルナフタレンピッチを5重量%となるように加え、攪拌下300℃で混合した後、急冷した。得られた混合ピッチの軟化点は234℃、Lcは5.7nmであった。
メチルナフタレンピッチの代わりに、該混合ピッチを用いた以外は、全て実施例1と同様な操作を行ない、活性炭を得た。結果を表1にまとめて示す。
【0034】
実施例5
参考例1で得られたメチルナフタレンピッチをコーヒーミルにて粗粉砕したものを、マッフル炉中空気存在下にて3℃/分で200℃まで昇温し、3時間保持した後、3℃/分で250℃まで昇温し、3時間加熱して不融化処理を行なった。次に管状炉中400℃/時間の速度で650℃まで昇温し、1時間保持して炭素化処理を行なった。
室温まで冷却後、衝撃式粉砕機により平均粒径13μmに粉砕した。炭素粉末に対して2倍量の水酸化カリウムをアルミナ乳鉢中で均一に混合し、ニッケル製坩堝に仕込み、管状炉中、窒素雰囲気下5℃/分で750℃まで昇温し、2時間保持した。室温まで冷却したのち2−プロパノール中に投入し濾液が中性になるまで濾過・水洗を繰り返し150℃で一晩真空乾燥して活性炭を得た。静電容量は、再現性良く42F/gであった。
【0035】
比較例
メチルナフタレンピッチの代わりに、参考例3で得られたナフタレンピッチを用いた以外は、全て実施例1と同様な操作を行ない、活性炭を得た。結果を表1にまとめて示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】
特定の性状をもつピッチを炭素化したのち、賦活処理することにより、安定的に高い静電容量を発現可能な、EDLC電極に適した活性炭を提供することができる。
本発明を実施することにより、高い静電容量を発現する活性炭を安価にかつ安定的に製造することができ、工業的意義がきわめて大きい。
【発明の属する技術分野】
本発明は電気二重層キャパシタ電極用活性炭およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気二重層キャパシタ(以下、EDLCと称す)は高パワー密度、長寿命、高可逆性といった特長を有することから、地球環境保全、高度情報化社会を支えるキーデバイスとして注目を集めている。既にメモリーバックアップ用電源として実用化されているが、最近では余剰電力貯蔵庫やハイブリッド自動車向けの、高性能かつ低価格のEDLCの開発が積極的に進められている。
【0003】
EDLCは、固体と液体の界面に生じる電気二重層を利用したコンデンサである。その構造は、セパレータを挟んだ一組の分極性電極とこれらを収納するケースと電解液と集電体からなる。
【0004】
EDLC電極用活性炭の製造方法として、メソフェーズピッチを不融化処理後、炭素化処理し、アルカリ賦活によりEDLC電極用活性炭を製造する方法が知られている。例えば、塊状メソフェーズピッチを粉砕、不融化処理、炭化処理、アルカリ賦活する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)、また、軟化点が150〜350℃、H/Cが0.5〜0.9、光学的異方性含有率が50%以上である原料ピッチを熱処理、賦活処理することにより、静電容量の高い活性炭電極が得られることが開示されている(特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−52972号公報
【特許文献2】
特開2002−93667号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来法により得られた活性炭電極では、高い静電容量が得られる場合においても、静電容量の再現性が低く、安定的に高容量を発現することができないという欠点があった。本発明の目的は、EDLC電極材料として、耐久性に優れ、安定的に高い静電容量を発現することができる、工業的にも容易に製造可能な活性炭とその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意努力を重ねた結果、特定の性状をもつピッチを、炭素化処理、次いで賦活処理を行なうことにより、安定的に高い静電容量の活性炭電極が、容易に得られることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
すなわち本発明は、
(1)X線回折によって測定されるc軸方向の結晶子厚さLc(002)が5.0nm以上のピッチを炭素化処理、次いで賦活処理することによって得られる電気二重層キャパシタ電極用活性炭、および
(2)X線回折によって測定されるc軸方向の結晶子厚さLc(002)が5.0nm以上のピッチを炭素化処理、次いで賦活処理することを特徴とする電気二重層キャパシタ電極用活性炭の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の詳細について記述するが、本発明は以下の記述だけに限定されるものではない。
【0010】
本発明におけるピッチは、X線回折によって測定されるc軸方向の結晶子厚さLcが5.0nm以上のものである。ここで、Lc(002)は、シリコンを内部標準物質として学振法に基づいて測定される。
【0011】
本発明における原料ピッチは、品質安定性や化学純度の観点から合成ピッチが好ましく、例えば、少なくとも1個のアルキル置換基を有する縮合多環炭化水素を原料として弗化水素および三弗化硼素の存在下で、100℃から400℃で重合することによって得られる。少なくとも1個以上のアルキル置換基を有する縮合多環炭化水素の例としては、モノメチルナフタレン、ジメチルナフタレンなどが挙げられ、これらの縮合多環炭化水素を含有する種々の石油留分、石油加工工程の残油あるいはコールタールの留分などが原料として用いられる。重合触媒量は、原料1モルに対して弗化水素0.1〜20モル、三弗化硼素0.05〜1.0モルである。重合に要する時間は、原料の種類、反応温度、および触媒量により変化するが、通常5〜300分である。重合反応終了後、触媒を分離し、必要に応じて軽質分の除去を行なうことにより本発明の原料ピッチが得られる。重合反応、触媒分離や軽質分除去の条件については、ピッチのLc(002)が本発明の要件に適合するように設定される。このようなピッチから得られる活性炭は高い静電容量を発現するという特長を有する。
【0012】
ナフタレンピッチやアントラセンピッチ等、アルキル置換基をもたない縮合多環炭化水素を原料として上記重合方法により得られるピッチは、単独では、結晶子厚さLc(002)が5.0nm未満であるため、それのみを原料として炭素化処理、賦活処理を行なっても、十分に高い静電容量を持つ活性炭電極を製造することはできないが、モノメチルナフタレンやジメチルナフタレン等の、少なくとも1個のアルキル置換基を有する縮合多環炭化水素を併用することにより、得られるピッチの結晶子厚さLcは十分に増大して5.0nm以上となるため、本発明に適用することができる。即ち、重合原料中の全量がアルキル置換基を有する縮合多環炭化水素である必要はなく、原料縮合多環炭化水素中、5重量%以上であれば得られる共重合ピッチの結晶子厚さLcは十分に5.0nm以上となる。例えば、安価なナフタレンに対してメチルナフタレン5重量%を添加した原料により得られるピッチのLcは5.0nm以上となるため、安価に本発明における原料ピッチを得ることができる。
【0013】
本発明において原料となるピッチは、異なる縮合多環炭化水素から上記重合方法により得られた合成ピッチを、軟化点以上で溶融混合したものであってもよい。例えば、安価なナフタレン由来の合成ピッチに、メチルナフタレン由来のピッチやジメチルナフタレン由来のピッチ等、アルキル置換基を有する縮合多環炭化水素を重合して得られたピッチを溶融混合させることにより、本発明に適した5.0nm以上の結晶子厚さをもつピッチを得ることができる。その際のアルキル置換基を有する縮合多環炭化水素より得られたピッチの量は、好ましくは5重量%以上である。
【0014】
本発明における原料ピッチはメトラー法による軟化点が150℃以上であることが好ましい。光学的異方性含有率については特に限定されず、等方性のピッチも異方性のピッチも両方用いることができる。
【0015】
本発明における原料ピッチには、本発明の効果を損なわない範囲で、石油系ピッチや石炭系ピッチを加えてもよく、ポリエチレンやポリスチレン等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を混合してもよい。
【0016】
本発明における炭素化は、上記原料ピッチを、攪拌下あるいは静置のまま熱処理する方法により炭素化処理を行なってもよく、粉砕処理や溶融紡糸により得られる粉末状あるいは繊維状の前駆体を不融化処理により酸素を付加した後に炭素化処理を行なってもよく、特に限定されない。工業的には、不融化処理を経ずに攪拌下で連続的に熱処理を行なう方法により炭素化処理を行なったほうが、簡便な装置で安価に炭素化処理を行なうことができる。
【0017】
不融化処理を経ずに連続的に熱処理を行なう場合には、不活性雰囲気下400〜900℃の温度領域に保った反応容器内に、予め顆粒状または粉末状の原料ピッチの熱処理品を仕込んで攪拌しておき、そこへ粉末状、ペレット状、あるいは溶融状態の原料ピッチを添加することで、顆粒状または粉末状のピッチ熱処理品が製造される。また熱処理を、微酸素雰囲気下で行なってもよい。
【0018】
上記方法(以下、戻し媒方式熱処理と称す)では、添加した原料ピッチは加熱によりまず低粘度の液体となって、予め仕込んだ顆粒状または粉末状のピッチ熱処理品(以下、戻し媒と称す)の表面上に分散する。その後熱による重合反応が進むことにより最終的には不融の熱処理物へと変化する。戻し媒は攪拌によって常に流動状態が保たれているので、ピッチの反応によって生成するガスは速やかに系外に排出され、静置で熱処理を行なうときのような著しい溶融発泡を全く起こさず、静置での熱処理に比べてはるかに小さな容積の反応器で連続的に効率良く熱処理を行なうことができる。
【0019】
ここで用いられる反応器には、顆粒状または粉末状のピッチ熱処理品を充分に攪拌できるような攪拌装置を付属した漕型の反応器、攪拌可能なパドルを備えた筒型の反応器、あるいはロータリーキルン等が使用できる。漕型反応器を使用する場合は、例えば特開平7−286181号公報に記載されたような攪拌羽根の回転軸を傾けて設置した反応器等が利用できる。
【0020】
このような戻し媒方式熱処理で得られた炭素化物の熱処理温度が600℃未満であった場合には、さらに高温で熱処理することにより、賦活処理に適した性状をもつ炭素化物を得ることができる。最終的な炭素化処理温度や、その温度における保持温度は、賦活処理の反応性に著しい影響を及ぼすために重要である。通常不活性ガス雰囲気下にて600〜900℃の範囲で0.1〜20時間加熱することにより本発明に適した炭素化物を得ることができる。
【0021】
炭素化処理の前に不融化処理を行なう場合には、粉末状あるいは繊維状の炭素化物前駆体を170〜350℃の範囲で通常空気に曝することにより酸素付加させることで不融化処理をすることができる。前駆体の軟化点が200℃以下の場合には、まず低温で軽度の不融化処理を行なった後、次いで250〜350℃の範囲で不融化処理を行ってもよい。不融化温度が低すぎる場合には、次の炭素化処理の際に、溶融発泡するために好ましくなく、不融化温度が高すぎる場合には、粉末の融着や、燃焼による収量減少が生じるために好ましくない。その後、不活性ガス雰囲気下にて600〜900℃の範囲で0.1〜6.0時間加熱することにより、本発明に適した炭素化物を得ることができる。
【0022】
本発明では、上述の炭素化処理を行なった後、次いで得られた炭素化物を賦活処理する。賦活方法は賦活剤を用いる薬品賦活が好ましい。賦活に用いられる賦活剤には塩化亜鉛、アルカリ金属化合物等が使用される。特にアルカリ金属化合物が好ましく、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、塩化カリウム等が用いられるが、なかでも水酸化カリウムが最も好ましい。賦活の方法や装置は特に限定されないが、例えば、炭素化物1重量部に対して1〜4重量部のアルカリ金属化合物を均一に混合し処理容器に充填し、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下の加熱炉中で室温から400〜1000℃まで昇温加熱して0.1〜20時間保持することで行われる。処理温度は400℃より低いと賦活反応が進行し難く賦活度が上がらない。1000℃より高い場合には金属カリウムの析出、飛散などによる処理装置の侵食の問題が起こるため、600〜900℃の温度で賦活処理することが好ましい。その後室温まで冷却しアルカリ成分を除去するため、アルコール中に投入、濾過し、濾液が中性になるまで水洗を繰り返す。その後乾燥し活性炭が得られる。
【0023】
EDLC用電極を作製する際には、活性炭は平均粒径で通常1〜50μm、好ましくは平均粒径5〜30μmの範囲になるように粒度調整されたものを用いる。粉砕処理は炭素化処理品、賦活処理品のどちらの段階においても行なうことができ特に限定されない。粉砕機については衝撃式粉砕機やジェットミル、マイクロアトマイザー等から適宜、最適機種が選択される。分級機についても機械式分級、風力式分級機等から適宜、最適機種が選択され特に限定されない。
【0024】
こうして得られた活性炭を電極材料に用いたEDLCは、再現性良く高い静電容量が得られるという特長を有する。
【0025】
【実施例】
次に実施例により本発明を更に具体的に説明する。但し本発明は以下の実施例により制限されるものではない。
ピッチのc軸方向の結晶子厚さLcの測定は、ピッチ0.5gに、ケイ素粉末0.05gを乳鉢で十分混合したものを測定サンプルとして、X線回折装置理学Geigerflexにて、スキャン角度:10〜35°(2θ、CuKα)、スキャンスピード1°/分、X線印加電圧および電流は30kVおよび20mAの条件で行なった。次いで学振法ソフトを用いて自動解析した。
また活性炭静電容量の算出は、活性炭:導電性フィラー(ケッチェンブラック):結着剤(テフロン(登録商標))を重量比80:10:10で混合し電極を作製した。ステンレス製コイン型二極式セルを用い、一対の電極の間にグラスファイバー製セパレータを挟みセルに収容した。電解液はテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート(C2H5)4NBF4を1.0モル/リットル溶解したプロピレンカーボネートを用いた。アルゴン雰囲気中、室温下200mA/gの定電流で終止電圧2.7Vまで充電し、そのまま2時間保持したのち、200mA/gの定電流で0Vまで放電した。重量当たりの静電容量Cは、C=I・ΔT/ΔV式により求めた(但し、I:電極重量当たりの平均放電電流値、ΔT:電圧降下時間、ΔV:電圧降下値)。
【0026】
参考例1
混合メチルナフタレン(α:β=1:1)138モル、弗化水素61モル、三弗化硼素28モルを43Lのオートクレーブに仕込み、265℃で4時間反応させた。その後オートクレーブの放出弁を開け、常圧において窒素を吹き込み実質的に全量の弗化水素、三弗化硼素を除去したピッチを得た。得られたメチルナフタレンピッチの収率は原料メチルナフタレンに対する重量比で73%であった。また、このピッチのメトラー法による軟化点は226℃、結晶子厚さLcは8.7nmであった。
【0027】
参考例2
1,5−ジメチルナフタレン129モル、弗化水素75モル、三弗化硼素28モルを43Lのオートクレーブに仕込み、255℃で4時間反応させた。その後オートクレーブの放出弁を開け、常圧において窒素を吹き込んだ。得られたピッチの収率は原料ジメチルナフタレンに対する重量比で51%であった。また、このジメチルナフタレンピッチの軟化点は255℃、結晶子厚さLcは12.3nmであった。
【0028】
参考例3
ナフタレン117モル、弗化水素37.4モル、三弗化硼素9.4モルを43Lのオートクレーブに仕込み、265℃で4時間反応させた。その後オートクレーブの放出弁を開け、常圧において窒素を吹き込んだ。得られたピッチの収率は原料ナフタレンに対する重量比で72%であった。また、このナフタレンピッチの軟化点は269℃、結晶子厚さLcは3.7nmであった。
【0029】
参考例4
ナフタレン108モル、メチルナフタレン27モル、弗化水素53モル、三弗化硼素27モルを43Lのオートクレーブに仕込み、265℃で4時間反応させた。その後オートクレーブの放出弁を開け、常圧において窒素を吹き込んだ。得られたナフタレンとメチルナフタレンの共重合ピッチの軟化点は245℃、結晶子厚さLcは6.2nmであった。
【0030】
実施例1
参考例1で得られたメチルナフタレンピッチを熱処理するため、窒素雰囲気下5℃/分で530℃まで昇温しこの温度で1時間保持した。室温まで冷却し、内容物(炭素発泡体)を粉砕し平均粒径約0.5mmのピッチ熱処理品を得た。次に攪拌機を装備した直径170mm、高さ200mmの円筒反応器の中にこの熱処理品200gを戻し媒として予め仕込み、攪拌しながら窒素気流下550℃に昇温した。ここに上記合成ピッチを毎分10gの速度で反応器に加える操作を2時間行なった。
投入終了後、550℃で1時間保持したのち反応器を冷却し内容物を取り出したところ約280gの粒状の熱処理品が得られた。この粒状熱処理品を戻し媒として上述と同様の操作を行なった。これを5回繰り返し、90%以上の置換率の顆粒状熱処理品を得た。得られた顆粒を管状炉中、窒素雰囲気下5℃/分で650℃まで昇温し1時間保持した。
室温まで冷却後、衝撃式粉砕機により平均粒径約13μmに粉砕した。炭素粉末に対して2倍量の水酸化カリウムをアルミナ乳鉢中で均一に混合し、ニッケル製坩堝に仕込み、管状炉中、窒素雰囲気下5℃/分で750℃まで昇温し2時間保持した。室温まで冷却したのち2−プロパノール中に投入し濾液が中性になるまで濾過・水洗を繰り返し、150℃で一晩真空乾燥して活性炭を得た。前述の静電容量評価法により、活性炭の静電容量は、再現性良く42F/gであった。ピッチの性状と静電容量をまとめて表1に示す。
【0031】
実施例2
メチルナフタレンピッチの代わりに、参考例2で得られたジメチルナフタレンピッチを用いた以外は、全て実施例1と同様な操作を行ない、活性炭を得た。結果を表1にまとめて示す。
【0032】
実施例3
メチルナフタレンピッチの代わりに、参考例4で得られたナフタレンとメチルナフタレンの共重合ピッチを用いた以外は、全て実施例1と同様な操作を行い活性炭を得た。結果を表1にまとめて示す。
【0033】
実施例4
参考例3で得たナフタレンピッチに対して参考例1で得たメチルナフタレンピッチを5重量%となるように加え、攪拌下300℃で混合した後、急冷した。得られた混合ピッチの軟化点は234℃、Lcは5.7nmであった。
メチルナフタレンピッチの代わりに、該混合ピッチを用いた以外は、全て実施例1と同様な操作を行ない、活性炭を得た。結果を表1にまとめて示す。
【0034】
実施例5
参考例1で得られたメチルナフタレンピッチをコーヒーミルにて粗粉砕したものを、マッフル炉中空気存在下にて3℃/分で200℃まで昇温し、3時間保持した後、3℃/分で250℃まで昇温し、3時間加熱して不融化処理を行なった。次に管状炉中400℃/時間の速度で650℃まで昇温し、1時間保持して炭素化処理を行なった。
室温まで冷却後、衝撃式粉砕機により平均粒径13μmに粉砕した。炭素粉末に対して2倍量の水酸化カリウムをアルミナ乳鉢中で均一に混合し、ニッケル製坩堝に仕込み、管状炉中、窒素雰囲気下5℃/分で750℃まで昇温し、2時間保持した。室温まで冷却したのち2−プロパノール中に投入し濾液が中性になるまで濾過・水洗を繰り返し150℃で一晩真空乾燥して活性炭を得た。静電容量は、再現性良く42F/gであった。
【0035】
比較例
メチルナフタレンピッチの代わりに、参考例3で得られたナフタレンピッチを用いた以外は、全て実施例1と同様な操作を行ない、活性炭を得た。結果を表1にまとめて示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】
特定の性状をもつピッチを炭素化したのち、賦活処理することにより、安定的に高い静電容量を発現可能な、EDLC電極に適した活性炭を提供することができる。
本発明を実施することにより、高い静電容量を発現する活性炭を安価にかつ安定的に製造することができ、工業的意義がきわめて大きい。
Claims (4)
- X線回折によって測定されるc軸方向の結晶子厚さLc(002)が5.0nm以上のピッチを炭素化処理、次いで賦活処理することによって得られる電気二重層キャパシタ電極用活性炭。
- X線回折によって測定されるc軸方向の結晶子厚さLc(002)が5.0nm以上のピッチを炭素化処理、次いで賦活処理することを特徴とする電気二重層キャパシタ電極用活性炭の製造方法。
- ピッチが、少なくとも1個のアルキル置換基を有する縮合多環炭化水素またはこれを含有する物質を原料として弗化水素および三弗化硼素の存在下で重合により得られたものであることを特徴とする請求項2に記載の電気二重層キャパシタ電極用活性炭の製造方法。
- 炭素化処理を行なう際に、400〜900℃の反応器内に、予め熱処理済みの粒状または粉末状のピッチ熱処理品を仕込み、攪拌下に原料ピッチを添加することを特徴とする請求項2に記載の電気二重層キャパシタ電極用活性炭の製造方法。
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