JP2004181804A - 木製耐火合板 - Google Patents
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Abstract
【課題】できるだけ簡単な構造で十分な耐火性能を発揮できる木製耐火合板を提供する。
【解決手段】建築材料として用いられる木製耐火合板10において、木製の積層板20にポリリン酸アンモニウムを少なくとも含む防炎薬剤を含有する燃焼遅延剤を含浸することにより、十分な耐火性能を発揮できる木製耐火合板10が実現される。
【選択図】 図1
【解決手段】建築材料として用いられる木製耐火合板10において、木製の積層板20にポリリン酸アンモニウムを少なくとも含む防炎薬剤を含有する燃焼遅延剤を含浸することにより、十分な耐火性能を発揮できる木製耐火合板10が実現される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、家屋の内装、外装、内装ドア、家具などの建築材料に用いられる木製耐火合板に関する。
【0002】
【従来の技術】
建築材料として用いられる化粧合板等の木製合板は、火災発生時等に所望の耐火性能を得ることが難しいため、耐火性能を向上するために色々な建築構造が提案されている。例えば、化粧合板の下地板として、火山性ガラス繊維板を用いることで、耐火性能の向上を図った建築構造が知られている(例えば、非特許文献1参照)。このような火山性ガラス繊維板としては、「ダイライト」(商品名;大建工業(株)製)と呼ばれ、建築材料として一般に知られている。
【0003】
【非特許文献1】
大建工業株式会社、ダイライト(商品名)、[online]、[平成14年12月3日検索]、インターネット<URL:http://www.com−net.com/online_cat./daiken/catalog/02_0020.html>
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、火山性ガラス繊維板の防火性能は、国土交通大臣認定防火材料(認定番号:QM−9137/JIS A 5440)としての準不燃認定を得るにとどまっている。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑み、できるだけ簡単な構造で十分な耐火性能を発揮できる木製耐火合板を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する本発明の第1の態様は、建築材料として用いられる木製耐火合板において、木製の積層板にポリリン酸アンモニウムを少なくとも含む防炎薬剤を含有する燃焼遅延剤を含浸してなることを特徴とする木製耐火合板にある。
【0007】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記燃焼遅延剤には、防炎薬剤と共に燃焼時に溶融状態となって炭化残渣を固定する無機材料が含有されていることを特徴とする木製耐火合板にある。
【0008】
本発明の第3の態様は、第2の態様において、前記無機材料が、ケイ酸塩、ホウケイ酸塩、およびシリカから選択される少なくとも一種からなることを特徴とする木製耐火合板にある。
【0009】
本発明によると、火災発生時には、木製合板に防炎薬剤を含有する燃焼遅延剤を含浸させてあるので、燃焼が著しく遅延され、優れた耐火性能を発揮する。
【0010】
ここで、本発明の木製耐火合板に用いることができる木製合板は、特に限定されず、従来、木製の合板として使用されているものを使用することができ、例えば、日本農林規格の普通合板、コンクリート型枠用合板、構造用合板等を挙げることができる。また、表面に各種の化粧加工を施した、あるいは特殊加工した化粧突板を接合した化粧合板などの特殊合板でもよい。なお、化粧合板などの特殊加工合板は、特殊加工を施した、あるいは化粧突板を接合した後、燃焼遅延剤を含浸させてもよいし、含浸させた後、特殊加工を施したり化粧突板を接合したりしてもよいことはいうまでもない。なお、表面に特殊加工を施した、あるいは化粧突板を接合した後、含浸処理を行っても、表面の塗装を変質させたりする虞はない。
【0011】
また、本発明に用いる燃焼遅延剤は、少なくとも防炎薬剤を含有する。防炎薬剤は、少なくともポリリン酸アンモニウムを成分として含み、木製合板に含浸するものであれば特に限定されない。例えば、リン酸系タイプ、ノンハロゲン系の水溶性タイプ等を使用するのが好ましく、ポリリン酸アンモニウム及び硫酸アンモニウムを主成分とし、必要に応じてさらに他の成分を含有する防炎薬剤を用いるのが好ましい。また、無毒無臭であり、且つ揮発性有機化合物(VOC)等を一切使用していないものが好ましい。このような防炎薬剤としては、例えば、日本環境研究所社から、「JERICO MF」などとして市販されている。なお、「JERICO MF」は、ポリリン酸アンモニウム及び硫酸アンモニウムを主成分とし、水を副成分とした浸透式のノンハロゲン系水溶性防炎薬剤である。
【0012】
また、本発明では、燃焼遅延剤に、上述した防炎薬剤と共に木製合板等が燃焼して炭化した炭化残渣を固定するために無機材料を含有させることができる。すなわち、無機材料は、高温過熱下で溶融してガラス状態となって炭化残渣を固定化するように作用し、炭化残渣が落下するのを防止し、さらに水分の発生を促進し、表面の発熱温度を60%程度に抑えることができ、これにより耐火性能がさらに向上する。このような無機材料としては、ケイ酸塩、ホウケイ酸塩、およびシリカから選択される少なくとも一種を挙げることができ、ケイ酸塩としては、例えば、二酸化ケイ素とアルカリとを融解して得られたケイ酸アルカリ塩である水ガラスを挙げることができる。但し、通常の水ガラスを使用するとアルカリ成分が強すぎるので、アルカリ性を70〜80%程度低減したものを用いることが好ましい。
【0013】
また、このような燃焼遅延剤の含浸量は、含浸させる木材の種類や寸法に応じて、所望の耐火性能が得られるように適宜調整すれば限定されるものではないが、厚さ5mmで、900mm×2100mmの寸法で、有効成分として50g〜200g程度が目安となり、特に、70〜150g程度が好ましい。
【0014】
このような燃焼遅延剤を含浸させた木製耐火合板は従来存在せず、これを用いることにより、従来、木製合板では不可能であった、準不燃認定、不燃認定を受けた準不燃合板、不燃合板などの耐火合板を提供できる。
【0015】
なお、このような本発明の木製耐火合板は、例えば、木製扉、フローリング材、内装壁材、外装壁材等の建築材料に用いられて、その部分に優れた耐火性能を付与するものであるが、勿論、その用途等は特に限定されるものではない。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を一実施形態に基づいて説明する。
【0017】
(実施形態1)
図1は、本発明の一実施形態に係る木製耐火合板の概略図であって、(a)が斜視図であり、(b)が断面図である。
【0018】
図1(a)及び図1(b)に示すように、本実施形態の木製耐火合板10は、木製のベニア板を複数枚積層した積層板20からなり、この積層板20には、燃焼遅延剤として、ポリリン酸アンモニウム及び硫酸アンモニウムを少なくとも含む防炎薬剤が含浸されている。具体的には、本実施形態では、このような防炎薬剤として、浸透式のノンハロゲン系水溶性防炎薬剤である「JERICO MF」(商品名:(株)日本環境研究所社製)を用いた。なお、このようなノンハロゲン系水溶性防炎薬剤は、揮発性有機化合物を一切使用していないため、環境に悪影響を及ぼさないという効果がある。
【0019】
そして、このようなポリリン酸アンモニウムを含有する防炎薬剤は、積層板20に含浸させると、火災発生時には、積層板20の組織に対する酸素供給を実質的に止める作用がある。
【0020】
すなわち、積層板20に含浸させた防炎薬剤は、断熱効果が大きく燃焼速度の遅い炭化残渣の生成を多くし、自己消化性能を高めて燃焼遅延剤として作用する。これにより、例えば、積層板20の燃焼速度を、含浸させないものと比較すると約5〜7倍遅らせることができる。
【0021】
このように、積層板20に防炎薬剤を含浸させれば、十分な耐火性能を発揮するが、防炎薬剤と共に、燃焼時に溶融状態となってガラス化して炭化残渣を固定する無機材料を含有する燃焼遅延剤を含浸させることにより、さらに耐火性能が向上した木製耐火合板10が実現できる。すなわち、無機材料を防炎薬剤と共に積層板20に含浸させれば、溶融した無機材料により炭化残渣が相互に固定され、炭化残渣が崩れ落ちることが防止される。このため、木製耐火合板10の不燃性能をさらに向上させることができる。このような無機材料としては、具体的には、例えば、水ガラスのアルカリ性を70%低減させたもの等を用いることができる。
【0022】
このように、積層板20に燃焼遅延剤を含浸させる方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、容器に十分な量の燃焼遅延剤を入れてその中に積層板20を一定時間浸漬して含浸させる方法や、含浸装置を用いて真空加圧条件下等で燃焼遅延剤を含浸させる方法等が挙げられる。なお、浸漬したのち、水分を乾燥させることにより、一定量の有効成分を含浸させた木製耐火合板10を得ることができる。
【0023】
例えば、積層板20の寸法を、厚さ5mm、幅900mm、高さ2100mmとした場合には、積層板20に燃焼遅延剤を90g程度含浸させるのが好ましい。この場合、一般的な真空加圧含浸装置を用い、燃焼遅延剤中に積層板20を入れた状態で、真空度101.325kPa(N/m2)[76cmHg]の条件下で真空加圧しながら1時間浸す。なお、真空加圧を行わないで含浸させるには、積層板20を燃焼遅延剤中に12時間程度浸せばよい。その後、このようにして燃焼遅延剤を含浸した積層板20全体を25℃、30%RHの条件下で2時間乾燥する。なお、このような燃焼遅延剤を含浸させる量は、必要な耐火性能に応じて適宜調整すればよく、勿論、上述したものに限定されない。
【0024】
以上説明したように、本実施形態の木製耐火合板10は、積層板20に防炎薬剤を含有する燃焼遅延剤を含浸するようにしたので、火災発生時に木製耐火合板10の不燃性能が高められ、できるだけ簡単な構造で優れた耐火性能を発揮する。
【0025】
例えば、本実施形態の木製耐火合板10は、従来の火山性ガラス繊維板では準不燃認定を得るにとどまっていたのに対し、国土交通大臣認定防火材料としての不燃認定の評価を得ることができるものである。
【0026】
ここで、本発明を実施例及び比較例に基づいてさらに詳細に説明する。
【0027】
(実施例1)
厚さが5mmの積層板を用意し、この積層板に燃焼遅延剤として防炎薬剤「JERICO MF」(商品名:(株)日本環境研究所社製)を90g含浸させたものを実施例1の木製耐火合板とした。
【0028】
(実施例2)
水ガラスのアルカリ性を70%低減させたものを防炎薬剤と共に含有する燃焼遅延剤を含浸させた以外実施例1と同様のものを実施例2の木製耐火合板とした。
【0029】
(比較例1)
燃焼遅延剤を含浸させていない以外実施例1と同一のものを比較例1の木製合板とした。
【0030】
(試験例)
実施例1,2及び比較例1の厚さ5mmの各木製合板の一方面側から約840℃の炎で炙り、20分以上の耐火試験を行った。そして、各木製合板が貫通する直前までの時間を測定した。その結果を下記表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
上記表1に示すように、実施例1の木製耐火合板は、裏面が狐色となっただけで28分では貫通しなかったのに対し、比較例1の木製合板は、4分で貫通してしまった。このことから、燃焼遅延剤として防炎薬剤を積層板に含浸させることにより、優れた耐火性能を有する化粧合板が得られることは明らかである。
【0033】
また、実施例2の木製耐火合板は、水ガラスを処理した無機材料が作用して炭化残渣が脱落しないためか、30分でも貫通しなかった。このことから、防炎薬剤と共に無機材料を含有する燃焼遅延剤を含浸させた木製耐火合板は、不燃性能がさらに向上することが確認できた。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、防炎薬剤を含む燃焼遅延剤を含浸させることにより、簡単な構造で十分な耐火性能を発揮できる木製耐火合板を実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係る木製耐火合板の概略図であって、(a)が斜視図であり、(b)が断面図である。
【符号の説明】
10 木製耐火合板
20 積層板
【発明の属する技術分野】
本発明は、家屋の内装、外装、内装ドア、家具などの建築材料に用いられる木製耐火合板に関する。
【0002】
【従来の技術】
建築材料として用いられる化粧合板等の木製合板は、火災発生時等に所望の耐火性能を得ることが難しいため、耐火性能を向上するために色々な建築構造が提案されている。例えば、化粧合板の下地板として、火山性ガラス繊維板を用いることで、耐火性能の向上を図った建築構造が知られている(例えば、非特許文献1参照)。このような火山性ガラス繊維板としては、「ダイライト」(商品名;大建工業(株)製)と呼ばれ、建築材料として一般に知られている。
【0003】
【非特許文献1】
大建工業株式会社、ダイライト(商品名)、[online]、[平成14年12月3日検索]、インターネット<URL:http://www.com−net.com/online_cat./daiken/catalog/02_0020.html>
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、火山性ガラス繊維板の防火性能は、国土交通大臣認定防火材料(認定番号:QM−9137/JIS A 5440)としての準不燃認定を得るにとどまっている。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑み、できるだけ簡単な構造で十分な耐火性能を発揮できる木製耐火合板を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する本発明の第1の態様は、建築材料として用いられる木製耐火合板において、木製の積層板にポリリン酸アンモニウムを少なくとも含む防炎薬剤を含有する燃焼遅延剤を含浸してなることを特徴とする木製耐火合板にある。
【0007】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記燃焼遅延剤には、防炎薬剤と共に燃焼時に溶融状態となって炭化残渣を固定する無機材料が含有されていることを特徴とする木製耐火合板にある。
【0008】
本発明の第3の態様は、第2の態様において、前記無機材料が、ケイ酸塩、ホウケイ酸塩、およびシリカから選択される少なくとも一種からなることを特徴とする木製耐火合板にある。
【0009】
本発明によると、火災発生時には、木製合板に防炎薬剤を含有する燃焼遅延剤を含浸させてあるので、燃焼が著しく遅延され、優れた耐火性能を発揮する。
【0010】
ここで、本発明の木製耐火合板に用いることができる木製合板は、特に限定されず、従来、木製の合板として使用されているものを使用することができ、例えば、日本農林規格の普通合板、コンクリート型枠用合板、構造用合板等を挙げることができる。また、表面に各種の化粧加工を施した、あるいは特殊加工した化粧突板を接合した化粧合板などの特殊合板でもよい。なお、化粧合板などの特殊加工合板は、特殊加工を施した、あるいは化粧突板を接合した後、燃焼遅延剤を含浸させてもよいし、含浸させた後、特殊加工を施したり化粧突板を接合したりしてもよいことはいうまでもない。なお、表面に特殊加工を施した、あるいは化粧突板を接合した後、含浸処理を行っても、表面の塗装を変質させたりする虞はない。
【0011】
また、本発明に用いる燃焼遅延剤は、少なくとも防炎薬剤を含有する。防炎薬剤は、少なくともポリリン酸アンモニウムを成分として含み、木製合板に含浸するものであれば特に限定されない。例えば、リン酸系タイプ、ノンハロゲン系の水溶性タイプ等を使用するのが好ましく、ポリリン酸アンモニウム及び硫酸アンモニウムを主成分とし、必要に応じてさらに他の成分を含有する防炎薬剤を用いるのが好ましい。また、無毒無臭であり、且つ揮発性有機化合物(VOC)等を一切使用していないものが好ましい。このような防炎薬剤としては、例えば、日本環境研究所社から、「JERICO MF」などとして市販されている。なお、「JERICO MF」は、ポリリン酸アンモニウム及び硫酸アンモニウムを主成分とし、水を副成分とした浸透式のノンハロゲン系水溶性防炎薬剤である。
【0012】
また、本発明では、燃焼遅延剤に、上述した防炎薬剤と共に木製合板等が燃焼して炭化した炭化残渣を固定するために無機材料を含有させることができる。すなわち、無機材料は、高温過熱下で溶融してガラス状態となって炭化残渣を固定化するように作用し、炭化残渣が落下するのを防止し、さらに水分の発生を促進し、表面の発熱温度を60%程度に抑えることができ、これにより耐火性能がさらに向上する。このような無機材料としては、ケイ酸塩、ホウケイ酸塩、およびシリカから選択される少なくとも一種を挙げることができ、ケイ酸塩としては、例えば、二酸化ケイ素とアルカリとを融解して得られたケイ酸アルカリ塩である水ガラスを挙げることができる。但し、通常の水ガラスを使用するとアルカリ成分が強すぎるので、アルカリ性を70〜80%程度低減したものを用いることが好ましい。
【0013】
また、このような燃焼遅延剤の含浸量は、含浸させる木材の種類や寸法に応じて、所望の耐火性能が得られるように適宜調整すれば限定されるものではないが、厚さ5mmで、900mm×2100mmの寸法で、有効成分として50g〜200g程度が目安となり、特に、70〜150g程度が好ましい。
【0014】
このような燃焼遅延剤を含浸させた木製耐火合板は従来存在せず、これを用いることにより、従来、木製合板では不可能であった、準不燃認定、不燃認定を受けた準不燃合板、不燃合板などの耐火合板を提供できる。
【0015】
なお、このような本発明の木製耐火合板は、例えば、木製扉、フローリング材、内装壁材、外装壁材等の建築材料に用いられて、その部分に優れた耐火性能を付与するものであるが、勿論、その用途等は特に限定されるものではない。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を一実施形態に基づいて説明する。
【0017】
(実施形態1)
図1は、本発明の一実施形態に係る木製耐火合板の概略図であって、(a)が斜視図であり、(b)が断面図である。
【0018】
図1(a)及び図1(b)に示すように、本実施形態の木製耐火合板10は、木製のベニア板を複数枚積層した積層板20からなり、この積層板20には、燃焼遅延剤として、ポリリン酸アンモニウム及び硫酸アンモニウムを少なくとも含む防炎薬剤が含浸されている。具体的には、本実施形態では、このような防炎薬剤として、浸透式のノンハロゲン系水溶性防炎薬剤である「JERICO MF」(商品名:(株)日本環境研究所社製)を用いた。なお、このようなノンハロゲン系水溶性防炎薬剤は、揮発性有機化合物を一切使用していないため、環境に悪影響を及ぼさないという効果がある。
【0019】
そして、このようなポリリン酸アンモニウムを含有する防炎薬剤は、積層板20に含浸させると、火災発生時には、積層板20の組織に対する酸素供給を実質的に止める作用がある。
【0020】
すなわち、積層板20に含浸させた防炎薬剤は、断熱効果が大きく燃焼速度の遅い炭化残渣の生成を多くし、自己消化性能を高めて燃焼遅延剤として作用する。これにより、例えば、積層板20の燃焼速度を、含浸させないものと比較すると約5〜7倍遅らせることができる。
【0021】
このように、積層板20に防炎薬剤を含浸させれば、十分な耐火性能を発揮するが、防炎薬剤と共に、燃焼時に溶融状態となってガラス化して炭化残渣を固定する無機材料を含有する燃焼遅延剤を含浸させることにより、さらに耐火性能が向上した木製耐火合板10が実現できる。すなわち、無機材料を防炎薬剤と共に積層板20に含浸させれば、溶融した無機材料により炭化残渣が相互に固定され、炭化残渣が崩れ落ちることが防止される。このため、木製耐火合板10の不燃性能をさらに向上させることができる。このような無機材料としては、具体的には、例えば、水ガラスのアルカリ性を70%低減させたもの等を用いることができる。
【0022】
このように、積層板20に燃焼遅延剤を含浸させる方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、容器に十分な量の燃焼遅延剤を入れてその中に積層板20を一定時間浸漬して含浸させる方法や、含浸装置を用いて真空加圧条件下等で燃焼遅延剤を含浸させる方法等が挙げられる。なお、浸漬したのち、水分を乾燥させることにより、一定量の有効成分を含浸させた木製耐火合板10を得ることができる。
【0023】
例えば、積層板20の寸法を、厚さ5mm、幅900mm、高さ2100mmとした場合には、積層板20に燃焼遅延剤を90g程度含浸させるのが好ましい。この場合、一般的な真空加圧含浸装置を用い、燃焼遅延剤中に積層板20を入れた状態で、真空度101.325kPa(N/m2)[76cmHg]の条件下で真空加圧しながら1時間浸す。なお、真空加圧を行わないで含浸させるには、積層板20を燃焼遅延剤中に12時間程度浸せばよい。その後、このようにして燃焼遅延剤を含浸した積層板20全体を25℃、30%RHの条件下で2時間乾燥する。なお、このような燃焼遅延剤を含浸させる量は、必要な耐火性能に応じて適宜調整すればよく、勿論、上述したものに限定されない。
【0024】
以上説明したように、本実施形態の木製耐火合板10は、積層板20に防炎薬剤を含有する燃焼遅延剤を含浸するようにしたので、火災発生時に木製耐火合板10の不燃性能が高められ、できるだけ簡単な構造で優れた耐火性能を発揮する。
【0025】
例えば、本実施形態の木製耐火合板10は、従来の火山性ガラス繊維板では準不燃認定を得るにとどまっていたのに対し、国土交通大臣認定防火材料としての不燃認定の評価を得ることができるものである。
【0026】
ここで、本発明を実施例及び比較例に基づいてさらに詳細に説明する。
【0027】
(実施例1)
厚さが5mmの積層板を用意し、この積層板に燃焼遅延剤として防炎薬剤「JERICO MF」(商品名:(株)日本環境研究所社製)を90g含浸させたものを実施例1の木製耐火合板とした。
【0028】
(実施例2)
水ガラスのアルカリ性を70%低減させたものを防炎薬剤と共に含有する燃焼遅延剤を含浸させた以外実施例1と同様のものを実施例2の木製耐火合板とした。
【0029】
(比較例1)
燃焼遅延剤を含浸させていない以外実施例1と同一のものを比較例1の木製合板とした。
【0030】
(試験例)
実施例1,2及び比較例1の厚さ5mmの各木製合板の一方面側から約840℃の炎で炙り、20分以上の耐火試験を行った。そして、各木製合板が貫通する直前までの時間を測定した。その結果を下記表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
上記表1に示すように、実施例1の木製耐火合板は、裏面が狐色となっただけで28分では貫通しなかったのに対し、比較例1の木製合板は、4分で貫通してしまった。このことから、燃焼遅延剤として防炎薬剤を積層板に含浸させることにより、優れた耐火性能を有する化粧合板が得られることは明らかである。
【0033】
また、実施例2の木製耐火合板は、水ガラスを処理した無機材料が作用して炭化残渣が脱落しないためか、30分でも貫通しなかった。このことから、防炎薬剤と共に無機材料を含有する燃焼遅延剤を含浸させた木製耐火合板は、不燃性能がさらに向上することが確認できた。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、防炎薬剤を含む燃焼遅延剤を含浸させることにより、簡単な構造で十分な耐火性能を発揮できる木製耐火合板を実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係る木製耐火合板の概略図であって、(a)が斜視図であり、(b)が断面図である。
【符号の説明】
10 木製耐火合板
20 積層板
Claims (3)
- 建築材料として用いられる木製耐火合板において、木製の積層板にポリリン酸アンモニウムを少なくとも含む防炎薬剤を含有する燃焼遅延剤を含浸してなることを特徴とする木製耐火合板。
- 請求項1において、前記燃焼遅延剤には、防炎薬剤と共に燃焼時に溶融状態となって炭化残渣を固定する無機材料が含有されていることを特徴とする木製耐火合板。
- 請求項2において、前記無機材料が、ケイ酸塩、ホウケイ酸塩、およびシリカから選択される少なくとも一種からなることを特徴とする木製耐火合板。
Priority Applications (1)
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JP2002352329A JP2004181804A (ja) | 2002-12-04 | 2002-12-04 | 木製耐火合板 |
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JP2002352329A JP2004181804A (ja) | 2002-12-04 | 2002-12-04 | 木製耐火合板 |
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Country Status (1)
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JP (1) | JP2004181804A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011509201A (ja) * | 2008-01-09 | 2011-03-24 | ストラ・エンソ・ウッド・プロダクツ・オサケユキテュア・リミテッド | 木材又は木材製品に水ガラスを含む木材防腐剤を加圧含浸する方法、及び含浸された木材又は木材製品 |
JP2017200751A (ja) * | 2016-03-28 | 2017-11-09 | 正倫 佐藤 | 木材或いは木質材料の表面層炭化方法及び該方法により製造された製造物 |
JP2017226813A (ja) * | 2016-06-23 | 2017-12-28 | 回國 陳 | 炭化合板専用接着剤及び炭化合板の製造方法 |
-
2002
- 2002-12-04 JP JP2002352329A patent/JP2004181804A/ja active Pending
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