JP5751691B2 - 木質材料用不燃化薬剤、この木質材料用不燃化薬剤の製造方法、この木質材料用不燃化薬剤を用いた木質材料の不燃化方法及び不燃化木質材料 - Google Patents

木質材料用不燃化薬剤、この木質材料用不燃化薬剤の製造方法、この木質材料用不燃化薬剤を用いた木質材料の不燃化方法及び不燃化木質材料 Download PDF

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Description

本発明は、住宅や店舗、その他建築構造物の内外装に利用される木質材料を不燃化する木質材料用不燃化薬剤と、この木質材料用不燃化薬剤の製造方法と、この木質材料用不燃化薬剤を用いた木質材料の不燃化方法と、この不燃化方法によって不燃化された不燃化木質材料とに関する。
平成10年度に建築基準法が改正になり、一定の性能を満たせば、木質材料も不燃材料としての認定が受けられるようになった。それ以降、木質材料の不燃化に関する研究開発が盛んになった。
不燃性能の評価方法の一つとして、コーンカロリーメータを用いた発熱性試験が規定されている。不燃の基準を満たすには、同装置による20分間の加熱試験において、以下の3つの条件を充足する必要がある。
(1)総発熱量が8MJ/m2 以下であること。
(2)防火上有害な裏面まで貫通する亀裂および穴がないこと。
(3)最高発熱速度が10秒以上継続して200kw/m2 を超えないこと。
木質材料がかかる3つの条件を充足するためには、木質材料中にかなり大量の木質材料用不燃化薬剤を導入する必要があり、高濃度の木質材料用不燃化薬剤を調製するか、特許第3538194号のように、木質材料用不燃化薬剤の含浸及び乾燥を複数回繰り返すことが必須である。
高濃度の木質材料用不燃化薬剤を得る方法としては、リン酸やリン酸の無機化合物などの溶解度が極めて高い薬剤を使用する方法、あるいは特開2006−219329のように処理溶液を加温する方法、またあるいは、複数の薬剤を用いて溶解性を高める方法を挙げることができる。
しかし、上記の方法において、木質材料用不燃化薬剤の含浸及び乾燥を複数回繰り返す方法では、処理期間が極めて長くなり、コストパフォーマンスに欠けるという致命的な欠点がある。
また、溶解度が高いリン酸やリン酸の無機化合物などは極めて吸湿性が高く、それで処理された木質材料は、空気中の湿気を多量に吸い込み、それによって薬剤が滲み出すという大きな欠点がある。さらに、それを抑制するために行う塗装などの表面コーティング膜にも悪影響を及ぼし、剥離や亀裂が短時間で発生するという問題がある。
加温により溶解性を高めることで高濃度の木質材料用不燃化薬剤を得ることは難しいことではないが、含浸等の処理時にも加温が必要で、作業が煩雑になり、装置も複雑なものとなる。特に、木質材料用不燃化薬剤を木質材料に含浸させるのに最も有効な装置と思われる加圧注入缶にあっては、薬液貯蔵タンクと加圧注入缶との間に液送りパイプやポンプが不可欠であるが、そのような部位に残留した木質材料用不燃化薬剤が析出すると、それを除去することは極めて困難となる。そのようなトラブルを避けようとすれば、常に装置全体を加温しておくことが必要となる。従って、加温により溶解性を高めることで高濃度の木質材料用不燃化薬剤を得る方法では、仮に実用化されたとしても、製造コストが極めて高くなると考えられる。
複数の薬剤を混合して溶解性を高める方法としては、(1)特開2006−082533のように炭酸水素ナトリウムを添加することによりホウ素系化合物の濃度を高める方法、(2)特開2007−090839のように水酸化ナトリウムあるいは水酸化カリウムやモノエタノールアミンでpHを調整してホウ酸を高濃度に溶解させる方法、あるいは(3)特開平03−223205や特開平07−088808のように有機アミンを用いてホウ素化合物を高濃度に溶解している方法、または特開2007−160570のようにリン酸グアニジンの溶解性をリン酸の添加により高めている方法などが知られている。
しかし、これらの方法で用いられている溶解性を高めるために加えられた薬剤は、いずれも吸湿性が高いため、それで処理された木質材料も著しく吸湿性が高く、自ら吸った湿気で木質材料用不燃化薬剤が滲み出し、ホウ酸系薬剤で処理された木質材料ではホウ酸の結晶により表面が白くなるという現象が生じる。また、リン酸系の木質材料用不燃化薬剤で処理された木質材料では、リン酸独特のべたつきが発生する。
このように、従来公知となっている木質材料用不燃化薬剤により処理された木質材料は、いずれも吸湿性が極めて高く、空気中の湿気を吸い込み、それが原因で薬剤の滲み出しや塗装等の表面コーティング膜の剥離や亀裂が発生することから、使用環境が著しく制約される。このため、不燃木質材料の吸湿性を抑制できれば、その用途は飛躍的に拡大すると考えられ、その処理技術の確立が強く望まれていた。
特許第3538194号 特開2006−219329 特開2006−082533 特開2007−090839 特開平03−223205 特開平07−088808 特開2007−160570
このような状況下にあって、発明者はできる限り簡便な手法により、不燃木質材料の吸湿性を抑制する技術を開発すべく検討を重ねてきた。周知の通り、グアニジンのリン酸塩(リン酸ジグアニジン) やリン酸グアニル尿素は、木質材料の不燃化には有効な薬剤であり、しかも特筆すべきことは、リン酸アンモニウムなどの木質材料用不燃化薬剤とは異なって、吸湿性がほとんどないことである。
しかし、それらの薬剤の溶解度は、リン酸ジグアニジンが15.5g/100ml(20℃)、リン酸グアニル尿素が8.5g/100ml(20℃)である(『化学大辞典 縮小版第11刷』 昭和46年2月5日発行 共立出版)。
木質材料に不燃性を付与するには、木質材料1m3 当たり160〜170kg以上の木質材料用不燃化薬剤を用いる必要がある一方で、木質材料1m3 当たりの木質材料用不燃化薬剤の注入量は、最大1000kg(注入量800リットル、液密度1.25g/cm3 として) であるので、1回の注入作業で不燃木質材料を製造するには、最低でも20g/100mlの溶解度が必要であり、グアニジンのリン酸塩(リン酸ジグアニジン) やリン酸グアニル尿素を主剤として、木質材料用不燃化薬剤を調製するには、何らかの手段でそれらの溶解性を高める工夫が必要である。
特開2007−160570(特許文献7)では、リン酸を所定量加えることで、グアニジンのリン酸塩の溶解性を木質材料の不燃化に必要な濃度にまで高める技術が開示されている。
この発明から推定するに、無機酸を添加することで、グアニジンやグアニジンの誘導体であるグアニル尿素の溶解性は改善できると思われた。無機酸には、リン酸の他、硫酸、塩酸、硝酸があるが、いずれも強酸であり、木質材料の熱分解を促進して、燃焼時の発熱量を抑制する効果があると期待される一方で、木質材料用不燃化薬剤の調合時に劇薬を使用せねばならないし、調合した木質材料用不燃化薬剤が酸性に著しく傾き、処理する木質材料の材色や強度など、材質が低下する危険性が高い。
上述した無機酸以外の無機酸としては炭酸があるが、周知の通り炭酸は不安定で、炭酸を木質材料用不燃化薬剤に用いると、木質材料用不燃化薬剤中から炭酸ガスとして除かれ、主剤であるグアニジンやグアニル尿素が保管中、あるいは含浸処理時に析出する危険性が極めて高い。
そこで、特許文献7記載の発明では、中程度の酸であり揮発性がないリン酸を用いてグアニジンの溶解性を高め、木質材料用不燃化薬剤を調製することに成功した。
しかし、リン酸は潮解性のある薬剤であり、前述したとおり、それを用いて製造した不燃化木質材料は極めて吸湿性が高く、湿度が高い条件下に置かれると自らが吸った湿気で、リン酸が木質材料の表面に滲み出した。
グアニジンやグアニル尿素の溶解性を高めるために、残された方法として、有機酸を用いることが考えられた。硫酸や塩酸などの無機強酸に比べると、有機酸は比較的穏やかな酸であり、木質材料用不燃化薬剤調合時など、作業時の安全性が確保される。しかし、木質材料用不燃化薬剤の一部に有機酸を使うことは、木質材料中にさらに有機物を持ち込むことになる。無機酸とは異なり、有機酸は加熱に伴い二酸化炭素と水に熱分解され、その際熱が発生し、結果として処理された木質材料の熱分解に伴う発熱量が増加し、コーンカロリーメータでの発熱性試験において、20分間での総発熱量が、不燃材料の認定基準値である8MJ/m2 以下を達成できないことが懸念された。
しかし、後述するように、その後いくつもの実験を行い、その製造方法を確立し、本発明を完成するに至った。
本発明の請求項1記載の質材料用不燃化薬剤は、水にブタンテトラカルボン酸が溶解されるとともに、グアニジンリン酸塩、グアニジンリン酸塩とグアニル尿素のリン酸塩との混合物又はグアニジンとリン酸との混合物が、その溶解度以上に溶解されていることを特徴とするものである。
本発明の請求項2記載の木質材料用不燃化薬剤は、前記グアニジンリン酸塩,グアニジンリン酸塩とグアニル尿素のリン酸塩との混合物又はグアニジンとリン酸との混合物が、ブタンテトラカルボン酸とともに水1000mlに対して200g以上溶解していることを特徴とするものである。
本発明の請求項3記載の木質材料用不燃化薬剤の製造方法は、ブタンテトラカルボン酸と、グアニジンリン酸塩、グアニジンのリン酸塩とグアニル尿素のリン酸塩との混合物又はグアニジンとリン酸との混合物とを水に溶解させることで、グアニジン、グアニル尿素のいずれか、あるいはそれらの化合物のリン酸塩を溶解度以上に溶解させることを特徴とするものである。
本発明の請求項4記載の木質材料の不燃化方法は、木質材料に、請求項1乃至2記載の木質材料用不燃化薬剤のいずれか1つを浸透させる工程と、前記木質材料を乾燥させる工程とを備えたものである。
本発明の請求項5記載の不燃化木質材料は、請求項4記載の木質材料の不燃化方法により不燃化されたものである。
本発明に係る木質材料用不燃化薬剤によると、塩基性チッ素化合物のリン酸塩には吸湿性が低い薬剤があり、それを用いて不燃木質材料を調製することで、不燃化木質材料における長年の懸案であった「吸湿性」、「不燃薬剤の滲み出し」などの問題を解決することができる。しかし、塩基性チッ素化合物のリン酸塩は、リン酸やリン酸アンモニウムなど吸湿性が極めて高い薬剤と比べて、水に対する溶解度が低いので、それらの薬剤のみを溶解させたのでは、木質材料の不燃化は達成できなかった。本発明では、有機酸を用いることで、塩基性チッ素化合物のリン酸塩の溶解性を高め、木質材料の不燃化を1回の注入処理で達成するのに必要な濃度の薬液を調製することができた。これを用いて木質材料を処理することで、吸湿性が低く、薬剤の滲み出しがない不燃化木質材料が創出でき、その用途が飛躍的に拡大することが期待される。
以下、実施例の一部を紹介するが、ここに記された内容が全てではなく、これらによって当特許の請求範囲が制約されるものではない。
カルボン酸としてコハク酸90gを水1000ml中に撹拌しながら加え、続いて重量比でグアニジンとリン酸が3:2で構成されている薬剤を480〜600g添加した。このとき、薬剤は全て室温で溶解し、透明な溶液を得た。
後述する比較例1で示すように、コハク酸を添加せずに、グアニジンとリン酸が3:2で構成されている薬剤を1000mlに480g添加したときには、薬剤全てを室温では溶解できなかったことから、カルボン酸としてのコハク酸の添加により、塩基性チッ素化合物であるグアニジンのリン酸塩はその溶解度(15.5g/ml、20℃)を超えて溶解し、木質材料の不燃処理に用いる木質材料用不燃化薬剤が調製できたことは明らかである。
60℃で十分に乾燥させた密度0.36g/cm3 のスギ辺材板目板(厚さ15mm、板幅120mm、繊維方向の長さ120mm)を、実施例1で示したグアニジンとリン酸から成る薬剤がコハク酸90gとともに水1000mlに対して550g溶解している木質材料用不燃化薬剤中に沈め、加圧式注入缶を用いて、約50hPaの減圧を45分、続いて約1.2MPaの加圧を1.5時間という条件で含浸させた。そのとき、同溶液(木質材料用不燃化薬剤)の浸透性は良好であり、理論最大値どおりの注入量を得た。
その後、送風式の乾燥機を用いて、60℃で恒量になるまで乾燥させた。これを23℃で相対湿度50%の恒温恒湿器中で平衡状態になるまで調湿した後、板面の寸法が100mm四方となるように切削加工し、コーンカロリーメータによる発熱性試験に供した。
その結果、20分間での総発熱量は4.70MJ/m2 となり、不燃材料の認定基準値である8MJ/m2 以下の値となった。また、貫通割れや、200kw/m2 を上回る発熱速度も観察されることなく、不燃化木質材料としての規格を満たした。さらに、この不燃化木質材料の30℃、相対湿度90%における平衡含水率は12.6%であり、無処理の木質材料のそれ(19.2%)よりも明らかに低い値となった。
比較例1
グアニジンとリン酸が重量比3:2で構成されている薬剤480gを、水1000mlに添加し、室温で十分に撹拌したが、全ての薬剤を溶解することができず、溶解できなかった薬剤が、相当量沈殿した。その量は、添加した薬剤の1/3以上と目された。
これで得られた液の上澄みを取り、実施例1と同様の処理と、発熱性試験を実施したところ、20分間での総発熱量は14.6MJ/m2 となり、不燃材料の認定基準である8MJ/m2 以下を満たすことができなかった。
カルボン酸としてコハク酸120gを水1000ml中に撹拌しながら加え、グアニジンとリン酸が重量比3:2で構成されている薬剤330gと、グアニル尿素とリン酸が重量比1:1で構成されている薬剤220gを添加した。このとき、薬剤は全て室温で溶解し、透明な溶液(木質材料用不燃化薬剤)を得た。
後述する比較例2で示すように、コハク酸を添加せずに、グアニジンとリン酸が重量比3:2で構成されている薬剤330gと、グアニル尿素とリン酸が重量比1:1で構成されている薬剤220gを水1000mlに添加したときには、室温ではこれらの薬剤を完全に溶解できなかったことから、コハク酸の添加により、これらの塩基性チッ素化合物のリン酸塩はその溶解度(8.5g/100ml)を超えて溶解し、木質材料の不燃化処理に用いる木質材料用不燃化薬剤が調製できたことは明らかである。
実施例2で調製した木質材料用不燃化薬剤を用いて、実施例1と同様にスギ試験片を処理した後、さらに実施例1と同様にコーンカロリーメータによる発熱性試験に供した。
その結果、20分間での総発熱量は4.58MJ/m2 となり、不燃材料の認定基準値である8MJ/m2 以下の値となった。また、貫通割れや、200kw/m2 を上回る発熱速度も観察されることなく、不燃材料としての規格を満たした。さらに、不燃化木質材料の30℃、相対湿度90%における平衡含水率は15.6%であり、無処理の木質材料のそれ(19.2%)よりも明らかに低い値となった。
比較例2
グアニジンとリン酸が重量比3:2で構成されている薬剤330gと、グアニル尿素とリン酸が重量比1:1で構成されている薬剤220gを添加した。室温で十分に撹拌したが、全ての薬剤を溶解することができず、溶解できなかった薬剤が、相当量沈殿した。その量は、添加した薬剤の1/3以上と目された。
実施例1で示したコハク酸に代わって、ブタンテトラカルボン酸90gを水1000mlに加えた後、グアニジン350gとリン酸200gで構成される薬剤を添加した。このとき、薬剤は全て室温で溶解し、透明な溶液(木質材料用不燃化薬剤)を得た。
後述する比較例3で示すように、ブタンテトラカルボン酸を添加せずに、グアニジン350gとリン酸200gから成る薬剤を水1000mlに添加したときには、室温では薬剤を完全に溶解できなかったことから、カルボン酸としてのブタンテトラカルボン酸の添加により、グアニジンのリン酸塩はその溶解度(15.5g/100ml)を超えて溶解し、木質材料の不燃処理に用いる木質材料用不燃化薬剤が調製できたことは明らかである。
実施例3により得た木質材料用不燃化薬剤を用い、実施例1と同様にスギ試験片を処理した後、さらに実施例1と同様にコーンカロリーメータによる発熱性試験を実施したところ、20分間での総発熱量は4.55MJ/m2 となり、不燃材料の認定基準値である8MJ/m2 以下の値となった。また、貫通割れや、200kw/m2 を上回る発熱速度も観察されることなく、不燃材料としての規格を満たした。さらに、不燃化木質材料の30℃、相対湿度90%における平衡含水率は22.4%であり、無処理木材のそれ(19.2%)よりもやや高い値になったが、比較例4の処理で見られたような薬剤の滲み出しは観察されなかった。
比較例3
グアニジン350gとリン酸200gから成る薬剤を、水1000mlに添加し、室温で十分に撹拌したが、全ての薬剤を溶解することができず、溶解できなかった薬剤が、相当量沈殿した。その量は、添加した薬剤の1/3以上と目された。
比較例4
水1000mlにリン酸120gを溶解させた後、グアニジン330gとリン酸270gが含まれる薬剤を添加した。このとき、薬剤は全て室温で溶解し、透明な溶液を得た。実施例2と同様の処理を行い、さらに実施例2と同様の発熱性試験を実施したところ、20分間での総発熱量は5.12MJ/m2 となるなど、不燃材料としての基準は全て満たした。
しかし、同処理木材の30℃、相対湿度90%における平衡含水率は56%であり、無処理木材のそれ(19.2%)よりもはるかに高い値となり、細胞壁内に取り込まれる結合水のほか、細胞内孔には明らかに自由水が存在して、木材表面からは薬剤の滲み出しによるべたつきが認められ、調湿時に試験片の下に置いておいた濾紙を汚染した。
実施例1で示したコハク酸に代わって、無水コハク酸76gを水1000mlに加えた後、グアニジン350gとリン酸200gで構成される薬剤を添加した。このとき、薬剤は全て室温で溶解し、透明な溶液(木質材料用不燃化薬剤) を得た。
実施例4により得た溶液を用い、実施例1と同様にスギ試験片を処理した後、さらに実施例1と同様にコーンカロリーメータによる発熱性試験を実施したところ、20分間での総発熱量は5.02MJ/m2 となり、不燃材料の認定基準値である8MJ/m2 以下の値となった。また、貫通割れや、200kw/m2 を上回る発熱速度も観察されることなく、不燃材料としての規格を満たした。さらに、同処理木材の30℃、相対湿度90%における平衡含水率は16.4%であり、無処理木材のそれ(19.2%)よりも低い値になった。
実施例1で示したコハク酸に代わって、シュウ酸90gを水1000mlに加えた後、グアニジン350gとリン酸200gで構成される薬剤を添加した。このとき、薬剤は全て室温で溶解し、透明な溶液(木質材料用不燃化薬剤) を得た。
実施例5により得た溶液を用い、実施例1と同様にスギ試験片を処理した後、さらに実施例1と同様にコーンカロリーメータによる発熱性試験を実施したところ、20分間での総発熱量は6.22MJ/m2 となり、不燃材料の認定基準値である8MJ/m2 以下の値となった。また、貫通割れや、200kw/m2 を上回る発熱速度も観察されることなく、不燃材料としての規格を満たした。さらに、同処理木材の30℃、相対湿度90%における平衡含水率は21.5%であり、無処理木材のそれ(19.2%)よりもやや高い値になったが、比較例4の処理で見られたような薬剤の滲み出しは観察されなかった。
実施例1で示したコハク酸に代わって、マロン酸90gを水1000mlに加えた後、グアニジン350gとリン酸200gで構成される薬剤を添加した。このとき、薬剤は全て室温で溶解し、透明な溶液(木質材料用不燃化薬剤) を得た。
実施例6により得た溶液を用い、実施例1と同様にスギ試験片を処理した後、さらに実施例1と同様にコーンカロリーメータによる発熱性試験を実施したところ、20分間での総発熱量は6.08MJ/m2 となり、不燃材料の認定基準値である8MJ/m2 以下の値となった。また、貫通割れや、200kw/m2 を上回る発熱速度も観察されることなく、不燃材料としての規格を満たした。さらに、同処理木材の30℃、相対湿度90%における平衡含水率は20.8%であり、無処理木材のそれ(19.2%)よりもやや高い値になったが、比較例4の処理で見られたような薬剤の滲み出しは観察されなかった。
実施例1で示したコハク酸に代わって、グルタル酸90gを水1000mlに加えた後、グアニジン350gとリン酸200gで構成される薬剤を添加した。このとき、薬剤は全て室温で溶解し、透明な溶液(木質材料用不燃化薬剤) を得た。
実施例7により得た溶液を用い、実施例1と同様にスギ試験片を処理した後、さらに実施例1と同様にコーンカロリーメータによる発熱性試験を実施したところ、20分間での総発熱量は5.88MJ/m2 となり、不燃材料の認定基準値である8MJ/m2 以下の値となった。また、貫通割れや、200kw/m2 を上回る発熱速度も観察されることなく、不燃材料としての規格を満たした。さらに、同処理木材の30℃、相対湿度90%における平衡含水率は23.2%であり、無処理木材のそれ(19.2%)よりもやや高い値になったが、比較例4の処理で見られたような薬剤の滲み出しは観察されなかった。
実施例1で示したコハク酸に代わって、無水グルタル酸78gを水1000mlに加えた後、グアニジン350gとリン酸200gで構成される薬剤を添加した。このとき、薬剤は全て室温で溶解し、透明な溶液(木質材料用不燃化薬剤) を得た。
実施例8により得た溶液を用い、実施例1と同様にスギ試験片を処理した後、さらに実施例1と同様にコーンカロリーメータによる発熱性試験を実施したところ、20分間での総発熱量は5.46MJ/m2 となり、不燃材料の認定基準値である8MJ/m2 以下の値となった。また、貫通割れや、200kw/m2 を上回る発熱速度も観察されることなく、不燃材料としての規格を満たした。さらに、同処理木材の30℃、相対湿度90%における平衡含水率は22.3%であり、無処理木材のそれ(19.2%)よりもやや高い値になったが、比較例4の処理で見られたような薬剤の滲み出しは観察されなかった。
実施例1で示したコハク酸に代わって、マレイン酸90gを水1000mlに加えた後、グアニジン350gとリン酸200gで構成される薬剤を添加した。このとき、薬剤は全て室温で溶解し、透明な溶液(木質材料用不燃化薬剤) を得た。
実施例9により得た溶液を用い、実施例1と同様にスギ試験片を処理した後、さらに実施例1と同様にコーンカロリーメータによる発熱性試験を実施したところ、20分間での総発熱量は5.33MJ/m2 となり、不燃材料の認定基準値である8MJ/m2 以下の値となった。また、貫通割れや、200kw/m2 を上回る発熱速度も観察されることなく、不燃材料としての規格を満たした。さらに、同処理木材の30℃、相対湿度90%における平衡含水率は19.2%であり、無処理木材のそれ(19.2%)と同じ含水率となった。
実施例1で示したコハク酸に代わって、リンゴ酸90gを水1000mlに加えた後、グアニジン350gとリン酸200gで構成される薬剤を添加した。このとき、薬剤は全て室温で溶解し、透明な溶液(木質材料用不燃化薬剤) を得た。
実施例10により得た溶液を用い、実施例1と同様にスギ試験片を処理した後、さらに実施例1と同様にコーンカロリーメータによる発熱性試験を実施したところ、20分間での総発熱量は4.47MJ/m2 となり、不燃材料の認定基準値である8MJ/m2 以下の値となった。また、貫通割れや、200kw/m2 を上回る発熱速度も観察されることなく、不燃材料としての規格を満たした。さらに、同処理木材の30℃、相対湿度90%における平衡含水率は22.8%であり、無処理木材のそれ(19.2%)よりもやや高い値になったが、比較例4の処理で見られたような薬剤の滲み出しは観察されなかった。
実施例1で示したコハク酸に代わって、酒石酸90gを水1000mlに加えた後、グアニジン350gとリン酸200gで構成される薬剤を添加した。このとき、薬剤は全て室温で溶解し、透明な溶液(木質材料用不燃化薬剤) を得た。
実施例11により得た溶液を用い、実施例1と同様にスギ試験片を処理した後、さらに実施例1と同様にコーンカロリーメータによる発熱性試験を実施したところ、20分間での総発熱量は4.98MJ/m2 となり、不燃材料の認定基準値である8MJ/m2 以下の値となった。また、貫通割れや、200kw/m2 を上回る発熱速度も観察されることなく、不燃材料としての規格を満たした。さらに、同処理木材の30℃、相対湿度90%における平衡含水率は22.1%であり、無処理木材のそれ(19.2%)よりもやや高い値になったが、比較例4の処理で見られたような薬剤の滲み出しは観察されなかった。
実施例1で示したコハク酸に代わって、トリカルバリル酸90gを水1000mlに加えた後、グアニジン350gとリン酸200gで構成される薬剤を添加した。このとき、薬剤は全て室温で溶解し、透明な溶液(木質材料用不燃化薬剤) を得た。
実施例12により得た溶液を用い、実施例1と同様にスギ試験片を処理した後、さらに実施例1と同様にコーンカロリーメータによる発熱性試験を実施したところ、20分間での総発熱量は5.26MJ/m2 となり、不燃材料の認定基準値である8MJ/m2 以下の値となった。また、貫通割れや、200kw/m2 を上回る発熱速度も観察されることなく、不燃材料としての規格を満たした。さらに、同処理木材の30℃、相対湿度90%における平衡含水率は21.1%であり、無処理木材のそれ(19.2%)よりもやや高い値になったが、比較例4の処理で見られたような薬剤の滲み出しは観察されなかった。
実施例1で示したコハク酸に代わって、クエン酸90gを水1000mlに加えた後、グアニジン350gとリン酸200gで構成される薬剤を添加した。このとき、薬剤は全て室温で溶解し、透明な溶液(木質材料用不燃化薬剤)を得た。
実施例13により得た溶液を用い、実施例1と同様にスギ試験片を処理した後、さらに実施例1と同様にコーンカロリーメータによる発熱性試験を実施したところ、20分間での総発熱量は5.22MJ/m2 となり、不燃材料の認定基準値である8MJ/m2 以下の値となった。また、貫通割れや、200kw/m2 を上回る発熱速度も観察されることなく、不燃材料としての規格を満たした。さらに、同処理木材の30℃、相対湿度90%における平衡含水率は20.4%であり、無処理木材のそれ(19.2%)よりもやや高い値になったが、比較例4の処理で見られたような薬剤の滲み出しは観察されなかった。

Claims (5)

  1. 水にブタンテトラカルボン酸が溶解されるとともに、グアニジンリン酸塩、グアニジンリン酸塩とグアニル尿素のリン酸塩との混合物又はグアニジンとリン酸との混合物が、その溶解度以上に溶解されていることを特徴とする木質材料用不燃化薬剤。
  2. 前記グアニジンリン酸塩,グアニジンリン酸塩とグアニル尿素のリン酸塩との混合物又はグアニジンとリン酸との混合物が、ブタンテトラカルボン酸とともに水1000mlに対して200g以上溶解していることを特徴とする請求項1記載の木質材料用不燃化薬剤。
  3. ブタンテトラカルボン酸と、グアニジンリン酸塩、グアニジンのリン酸塩とグアニル尿素のリン酸塩との混合物又はグアニジンとリン酸との混合物とを水に溶解させることで、グアニジン、グアニル尿素のいずれか、あるいはそれらの化合物のリン酸塩を溶解度以上に溶解させることを特徴とする木質材料用不燃化薬剤の製造方法。
  4. 木質材料に、請求項1乃至2記載の木質材料用不燃化薬剤のいずれか1つを浸透させる工程と、前記木質材料を乾燥させる工程とを備えたことを特徴とする木質材料の不燃化方法。
  5. 請求項4記載の木質材料の不燃化方法により不燃化されたことを特徴とする不燃化木質材料。
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