JP2018168325A - 肥料材料として利用可能な防火性付与木材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】所定の防火機能を有しつつ、かつ、その利用後は、比較的簡単に肥料材料として利用することが可能な防火性付与木材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】防火性付与薬剤として、合計含有量が63kg/m3以上の第一リン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムを木材内部に含み、かつ、全体のC/N比を20以下とし、肥料材料として利用可能な防火性付与木材。第一リン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムの比率が40:60〜72:28の範囲である防火性付与木材。防火性付与薬剤が、ABC消火薬剤であり、ABC消火薬剤のコーティング剤を除去し、親水化したものである、肥料材料として利用可能な、防火性付与木材。
【選択図】図1
【解決手段】防火性付与薬剤として、合計含有量が63kg/m3以上の第一リン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムを木材内部に含み、かつ、全体のC/N比を20以下とし、肥料材料として利用可能な防火性付与木材。第一リン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムの比率が40:60〜72:28の範囲である防火性付与木材。防火性付与薬剤が、ABC消火薬剤であり、ABC消火薬剤のコーティング剤を除去し、親水化したものである、肥料材料として利用可能な、防火性付与木材。
【選択図】図1
Description
本発明は、防火性付与木材としての機能を有しつつ、使用後には肥料材料として利用可能な防火性付与木材及びその製造方法に関する。
建築関連法令で一定規模以上の建築物やその用途に応じ、使用する建材に防火材料の使用が義務付けられている。国を挙げて公共建築等の木造化、木質化が進められており、防火性を付与した防火性付与木材のニーズが高まっている。
防火材料としては、建築基準法に基づき、防火性能が高い順から「不燃材料」、「準不燃材料」、「難燃材料」と区分されている。木材において、これら防火材料の中で準不燃と認められたものは、内装材としての使用範囲が広がる。防火性能の評価方法の一つとして、コーンカロリーメータを用いた発熱性試験があり、この評価方法における準不燃材料の基準は、
1.加熱開始後10分間の総発熱量が8MJ/m2以下
2.加熱開始後10分間、防火上有害な裏面まで貫通する亀裂および穴が無いこと
3.加熱開始後10分間、発熱速度が10秒以上継続して200kW/m2を超えないこと
となっている。
1.加熱開始後10分間の総発熱量が8MJ/m2以下
2.加熱開始後10分間、防火上有害な裏面まで貫通する亀裂および穴が無いこと
3.加熱開始後10分間、発熱速度が10秒以上継続して200kW/m2を超えないこと
となっている。
木材に防火性を付与する薬剤としてリン・窒素系、リン・ホウ素系、グアニジン系などがあり、その成分としてリン酸アンモニウムや硫酸アンモニウムは公知である。
防火性を付与していない一般の木材は、建築物解体後は焼却処分が可能であるが、防火性付与木材は、燃えにくく焼却が困難であることから埋め立て処分され、環境への負荷が大きく、環境負荷が少ない防火性付与木材が求められている。
一方、耐用年数を過ぎた消火器は、法令で消火薬剤を交換することが義務付けられている。国内では使用される消火器の大半はABC消火器で、その主成分は、第一リン酸アンモニウムや硫酸アンモニウムである。回収された薬剤の多くはリサイクルされているが、リサイクルできないものも相当量発生している。
こうした中、特許文献2には、廃棄用ABC粉末消火薬剤を肥料として利用するにあたり、消火薬剤の、防湿性、撥水性等の機能性を向上させるために施されている表面コーティングを除去して使用することが開示されている。
また、特許文献3には、ABC消火器の消火薬剤である第一リン酸アンモニウムや硫酸アンモニウムが肥料成分でもあることから、粉末消火薬剤を肥料に使用するために、粉末消火薬剤を160〜250℃で加熱処理する工程と、当該加熱工程後の粉末薬剤を粉砕、混合及び加圧から選択される少なくとも一工程の後に、後処理する、粉末消火薬剤処理物の製造方法が開示されている。
特許文献4には、カルボン酸としてのコハク酸を水中に攪拌しながら加え、次いで重量比でグアニジンとリン酸が3:2で構成されている薬剤を480〜600g添加することで、コハク酸、グアニジン及びリン酸が全て溶解し透明な溶液を得る技術が開示されている。
特許文献5には、木質材料に抗菌性、防腐性、防虫性、防燃性などの機能をするために、無機酸、アミノ基とビニル基を有するアルカリ性モノマーによって構成されかつ水溶性を有する機能性付与剤を木質材料の中へ含浸させ、次いで、機能性付与剤を重合させて、無機酸成分を木質材料内部に固定させる技術が開示されている。
一方、特許文献1には、不燃木材の木材内部への薬液注入のむら解消及び性能向上、また使用済み不燃木材の再利用を目的とし、農産物の肥料に使用されている硫酸アンモニウムを主剤にした液体を木材内部への加熱減圧加圧振動及び衝撃により注入する方法、また硫酸アンモニウムを注入した使用済みの不燃木材を粉砕することで、農作物の肥料として使用することが開示されている。
以上の特許文献には、ABC消火器の消火薬剤を注入した不燃木材をその利用後、肥料として利用することが記載されているものの、肥料として使用するためには、炭素と窒素の比率、C/N比が重要な要素となり、そのままで肥料として使用するには問題がある。
一般にC/N比が20以上の有機物を土に施すと、窒素が微生物に取り込まれ、作物が利用できる窒素が少なくなる、いわゆる窒素飢餓となり、肥料として適さない。木材チップをそのまま肥料として使用する場合には、C/N比が500の著しい窒素飢餓状態となり、作物にとって肥料や堆肥とは逆の作用となり好ましくない。
また、ABC消火器の薬剤は粉末状であり、木材へ注入するには、水溶液化する必要がある。防火性能を確保し、かつ、注入後に吸放湿により木材表面へ薬剤が滲出し白色化する現象(白華)を生じさせないよう、薬液の濃度を決定する必要がある。
木材は、乾燥前の含水率は全乾ベースで50〜200%と高く、この状態のまま薬液を注入すると、木材中の空隙が少ないため薬液の注入量が少なくなり、安定した注入量が得られない。このため、注入前に木材を適切に乾燥させるとともに、含水率を均一に揃える処理が必要である。
また、丸太の大部分は心材が占めるため、製材して得られる板や角材の多くは心材で構成される。心材は、辺材に比べ、油分が多く、細胞壁間をつなぐ壁孔が閉塞しており液体の注入性は低い。薬剤を用い、難燃、準不燃レベルといった防火性能に到達可能な減圧工程、加圧工程、薬液の温度といった注入条件を明確にする必要がある。
そこで本発明は、本発明が解決すべき課題は、所定の防火機能を有しつつ、かつ、その利用後は、比較的簡単に肥料材料として利用することが可能な防火性付与木材及びその製造方法を提供することにある。
本発明の肥料材料として利用可能な防火性付与木材は、防火性付与薬剤として、合計含有量が63kg/m3以上の第一リン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムを木材内部に含み、かつ、全体のC/N比を20以下とすることで、上記課題を解決した。
以上の組成によって、所定の防火機能を有しつつ、その利用後は粉砕してチップ化するだけでなんら特別の加工を施すことなく肥料材料として好適に使用することができるようになる。
従来の防火性付与薬剤として、他にホウ素系薬剤などがあるが、これは耐菌性薬剤であるため注入材として腐らない。燃えずに腐らないために産業廃棄物として埋却するしか手段がない。また、薬剤注入に使用されかつ肥料にも使用される化学成分についてグアニジン系薬剤があるが、グアニジン系薬剤は水溶性であるとともに塩基性が強いため、植生を害しやすいことから、グアニジン系薬剤を肥料として使用するときには、含有量に制限が設けられている。例えば、グアニジン性窒素は、全窒素含有の5%以下に制限される。従って、グアニジン系薬剤は、肥料として使用できるが大量に使用できないことにおいては、比較して劣る。
本発明で使用する、第一リン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムは肥料認定されている成分であるため、製造される防火性付与木材については、使用後の肥料化が期待できる。
従来の防火性付与薬剤として、他にホウ素系薬剤などがあるが、これは耐菌性薬剤であるため注入材として腐らない。燃えずに腐らないために産業廃棄物として埋却するしか手段がない。また、薬剤注入に使用されかつ肥料にも使用される化学成分についてグアニジン系薬剤があるが、グアニジン系薬剤は水溶性であるとともに塩基性が強いため、植生を害しやすいことから、グアニジン系薬剤を肥料として使用するときには、含有量に制限が設けられている。例えば、グアニジン性窒素は、全窒素含有の5%以下に制限される。従って、グアニジン系薬剤は、肥料として使用できるが大量に使用できないことにおいては、比較して劣る。
本発明で使用する、第一リン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムは肥料認定されている成分であるため、製造される防火性付与木材については、使用後の肥料化が期待できる。
第一リン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムの合計含有量が63kg/m3を下回ると、木材に安定的に防火性を付与することが難しくなる。なお、本発明における、数値は、木材へ薬剤注入後、乾燥させ、含有量が多い表面を鉋削加工した残存部分における含有量である。
使用する第一リン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムは、その比率が40:60〜72:28であることが好ましい。
防火性付与薬剤として使用する第一リン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムは、防火性(難燃効果)及び冬季の低温下での防火性付与薬剤の析出に影響を与える溶解度において、それぞれ異なる性質を有する。防火性(難燃効果)については、第一リン酸アンモニウムが高く、一方、溶解度は硫酸アンモニウムが高い。従って、第一リン酸アンモニウムと溶解度の高い硫酸アンモニウムを組み合わせることによって、より高い難燃効果を得ることができる。
本発明においては、第一リン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムの合計含有量が少ない範囲で、所定の難燃効果を有しかつ肥料への転用が可能であり、さらに冬季における析出を防ぐことを目的とし、使用する第一リン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムは、その比率が40:60〜72:28であることが望ましい。
第一リン酸アンモニウムの含有比率がこれよりも少ない場合、防火性の確保と肥料への利用を考慮すると、合計含有量として多くの防火性付与薬剤が必要となり、これを超えると、特に梅雨などの高湿状況下における白華現象が表れる可能性が高まり、好ましくない。
防火性付与木材として使用後、肥料材料として使用するには、作物の根茎に支障をきたさないために、10mm以下の大きさにチップ化することが望ましい。
防火性付与薬剤として、ABC消火薬剤を利用する場合には、消火薬剤としての機能向上のために、コーティング処理が施されているが、これは木材に含浸させる障害となるため、コーティング剤を除去し親水化することが望ましい。
具体的方法として、特開2015−365号公報(特許文献3)に開示されている技術を用いることができる。
具体的方法として、特開2015−365号公報(特許文献3)に開示されている技術を用いることができる。
また、本発明は、スギ材の心材また辺材に好適に使用可能である。
本発明の肥料材料として利用可能な防火性付与木材の製造方法は、木材を含水率12〜15%に乾燥させ、40:60〜72:28の比率からなる第一リン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムを含有する防火性付与薬剤を、濃度が15〜25%となるように水で希釈して水溶液を生成し、真空加圧含浸装置で減圧加圧処理し、前記木材に、第一リン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムの合計含有量が63kg/m3以上で、かつ木材全体のC/N比が20以下となるように前記水溶液を含浸させ、その後、含水率が30%以下になるまで自然乾燥させることを特徴とする。
注入前の乾燥処理の方法は、含水率を均一にそろえるために蒸気や熱風を用いた人工乾燥が好ましいが、自然乾燥、又は両者の組合せにより乾燥した木材も適用できる。
水溶液の注入工程における加圧方法として、注入缶内に水溶液を充填させ、ポンプで水溶液を直接加圧する液加圧が好ましいが、空気を介して液面をエアーコンプレッサで加圧する方法も可能である。
水溶液注入後の乾燥工程として、注入した水溶液の木材表面への滲出を抑えるため、少なくとも含水率30%以下になるまで自然乾燥を実施する。そして、その後、熱風による人工乾燥を行うことが好ましい。
防火性付与薬剤の注入量は、注入後の木材を乾燥させ、表面を鉋で切削した後に木材中に存在する量であり、この量を基準に、準不燃レベルに到達できる注入量を明確に示している。
水溶液濃度が15%未満だと安定的に準不燃レベルの防火性確保が難しい。また、水溶液濃度が25%より高ければ白華が発生しやすい。従って、水溶液濃度は、15%以上、25%以下であることが好ましい。
木材は、乾燥により細胞の空隙や細胞壁の水が減少することにより水溶液の注入性は向上するが、過乾燥になると疎水性が高まり逆に注入性は下がる。このような性質を持つことから、木材の含水率は注入性に影響する要素と言える。
木材の含水率は大気状況下において12〜15%で平衡状態となり、この範囲では含水率を揃えやすく過度の乾燥による注入性の低下を避けられる。品質管理上安定的な薬剤注入量を確保するためには、注入前の木材の含水率を12〜15%に揃えることが好ましい。
木材の含水率は大気状況下において12〜15%で平衡状態となり、この範囲では含水率を揃えやすく過度の乾燥による注入性の低下を避けられる。品質管理上安定的な薬剤注入量を確保するためには、注入前の木材の含水率を12〜15%に揃えることが好ましい。
水溶液の温度としては、50℃以下が望ましい。本発明者の実験によれば、圧力10〜20kgf/cm2(0.98〜1.96MPa)、加圧時間30〜60分で水溶液の温度が50℃以下であれば平均84〜96kg/m3の注入量の確保が可能であったが、水溶液の温度が50℃を超えると注入量がこれより減少する。従って、注入量を確保するためには、水溶液の温度としては50℃以下が望ましい。
また、上記方法により製造した防火性付与木材の表面を鉋削加工し、その加工面を接着面として積層する場合でも、良好な接着力を得られることから、接着積層した防火性付与木材の製造も可能となる。
本発明によれば、防火性付与薬剤として、合計含有量が63kg/m3以上の第一リン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムを木材内部に含み、かつ、全体のC/N比が20以下であるため、所定の防火機能を有しつつ、かつ、その利用後は、比較的簡単に肥料材料として利用することが可能である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に限定されない。
(使用薬剤)
図1に示すように本発明に使用した消火薬剤(防火性付与薬剤)はABC粉末消火薬剤である(ステップS10)。ABC粉末消火薬剤は、第一リン酸アンモニウム(NH4H2PO4)と硫酸アンモニウム(NH4)2SO4を含有している。第一リン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムとの比率は、40:60〜72:28の範囲である。
消火薬剤は、コーティング剤として撥水性被膜が形成されている。撥水性被膜は粉末消火薬剤の凝固を防止する等の目的で、粉末を被覆するように設けられるもので、主にシリコーンコートが行われている。消火薬剤を注入材として使用する際には、このシリコーンコートを除去し、消火薬剤を親水化したうえで水溶化する必要がある。
図1に示すように本発明に使用した消火薬剤(防火性付与薬剤)はABC粉末消火薬剤である(ステップS10)。ABC粉末消火薬剤は、第一リン酸アンモニウム(NH4H2PO4)と硫酸アンモニウム(NH4)2SO4を含有している。第一リン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムとの比率は、40:60〜72:28の範囲である。
消火薬剤は、コーティング剤として撥水性被膜が形成されている。撥水性被膜は粉末消火薬剤の凝固を防止する等の目的で、粉末を被覆するように設けられるもので、主にシリコーンコートが行われている。消火薬剤を注入材として使用する際には、このシリコーンコートを除去し、消火薬剤を親水化したうえで水溶化する必要がある。
シリコーンコートの除去は、消火薬剤を加熱後加圧して可能となる(ステップS20)。
シリコーンコート除去後、消火薬剤を親水化処理して水溶液を作製する。
水溶液化した消火薬剤は、主成分として第一リン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムを含んでいる。従来の消火薬剤は、他にホウ素系薬剤などがあるが、耐菌性薬剤のため腐らず、注入材として使用された後は、産業廃棄物として埋却するしか手段がない。本発明で使用の消火薬剤においては肥料認定されている成分であるため、製造される防火性付与木材については、使用後の肥料化が期待できる。
(木材)
使用木材は、注入前に材質を揃えておくことで薬剤注入量が安定的に確保できる(ステップS30)。考慮する材質は、使用部位については心材、辺材でも可能、また材厚が15mm以下であることが好ましく、節がなるべく無い方が好ましい。
材厚が15mmより厚ければ、水溶液を中心部まで含浸(充填)し難くなる。板厚が15mm以下であれば、水溶液を中心部まで含浸し易い。
使用木材は、注入前に材質を揃えておくことで薬剤注入量が安定的に確保できる(ステップS30)。考慮する材質は、使用部位については心材、辺材でも可能、また材厚が15mm以下であることが好ましく、節がなるべく無い方が好ましい。
材厚が15mmより厚ければ、水溶液を中心部まで含浸(充填)し難くなる。板厚が15mm以下であれば、水溶液を中心部まで含浸し易い。
(乾燥工程)
木材は、薬剤注入前には比重の変動が落ち着くまで室内養生をし、注入量に作用する要因を抑えることが適当である。人工乾燥、自然乾燥、又は両者の組合せにて乾燥させることで、含水率が12〜15%程度となるように、乾燥させることが望ましい(ステップS40)。
木材は、薬剤注入前には比重の変動が落ち着くまで室内養生をし、注入量に作用する要因を抑えることが適当である。人工乾燥、自然乾燥、又は両者の組合せにて乾燥させることで、含水率が12〜15%程度となるように、乾燥させることが望ましい(ステップS40)。
(薬剤注入工程)
水溶液の木材への注入は、減圧加圧処理にて行う(ステップS50)。
水溶液の木材への注入は、減圧加圧処理にて行う(ステップS50)。
水溶液の濃度について、準不燃相当の防火性を確保するためには15〜25%とすることが望ましい。25%より高ければ薬剤注入後白華が生じ、15%未満だと防火性能が下がる可能性が高い。
注入条件は、減圧時間、減圧圧力、加圧時間、加圧圧力、水溶液温度、水溶液濃度を調整することで安定した注入量が得られる。詳細の各条件は実施例のとおりである。
(後処理工程)
水溶液注入後は、白華を抑えるために、含水率が約30%以下に落ち着くまで室内での自然乾燥を実施する。そして、その後熱風乾燥を行うことが望ましい(ステップS60)。
水溶液注入後は、白華を抑えるために、含水率が約30%以下に落ち着くまで室内での自然乾燥を実施する。そして、その後熱風乾燥を行うことが望ましい(ステップS60)。
(発熱性試験)
消火薬剤を注入した防火性付与木材についての防火性能は、コーンカロリーメータでの燃焼試験を実施し、建築基準法にもとづく性能レベルを把握することが必要である。
消火薬剤を注入した防火性付与木材についての防火性能は、コーンカロリーメータでの燃焼試験を実施し、建築基準法にもとづく性能レベルを把握することが必要である。
(C/N比)
このようにして製造された防火性付与木材は、第一リン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムとによる消火薬剤の合計含有量が63kg/m3以上となるように木材内部に含まれている。
木材の乾燥比重を0.35、木材中の炭素割合を50%とすると、1m3の木材中の炭素重量は175kgである。
消火薬剤中の窒素割合は15%程度である。そのため、全体のC/N比を20以下とするには、1m3の木材中に消火薬剤は58.3kg以上が必要である。
従って、防火性付与薬剤の合計含有量が63kg/m3以上であれば、所定の防火機能を確保しつつ、全体のC/N比を20以下とすることができ(ステップS70)、防火性付与木材として使用後は、粉砕機にて10mm以下の大きさにチップ化することで、作物の根茎に支障をきたさず肥料材料として利用が可能となる。
このようにして製造された防火性付与木材は、第一リン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムとによる消火薬剤の合計含有量が63kg/m3以上となるように木材内部に含まれている。
木材の乾燥比重を0.35、木材中の炭素割合を50%とすると、1m3の木材中の炭素重量は175kgである。
消火薬剤中の窒素割合は15%程度である。そのため、全体のC/N比を20以下とするには、1m3の木材中に消火薬剤は58.3kg以上が必要である。
従って、防火性付与薬剤の合計含有量が63kg/m3以上であれば、所定の防火機能を確保しつつ、全体のC/N比を20以下とすることができ(ステップS70)、防火性付与木材として使用後は、粉砕機にて10mm以下の大きさにチップ化することで、作物の根茎に支障をきたさず肥料材料として利用が可能となる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
(使用薬剤)
本実施例では、消火薬剤としてABC粉末消火薬剤を使用した。
ABC粉末消火薬剤に含有されるNH4H2PO4と(NH4)2SO4と、SiO2との重量比は、47:43:5である。
ABC粉末消火薬剤は、シリコーン除去後、不純物を濾過し水溶液化し、薬液濃度においては、約20%となるよう水道水で希釈した。
本実施例では、消火薬剤としてABC粉末消火薬剤を使用した。
ABC粉末消火薬剤に含有されるNH4H2PO4と(NH4)2SO4と、SiO2との重量比は、47:43:5である。
ABC粉末消火薬剤は、シリコーン除去後、不純物を濾過し水溶液化し、薬液濃度においては、約20%となるよう水道水で希釈した。
(薬液注入工程)
注入材は、蒸気を用いて人工乾燥を行ったスギ板材(含水率12〜15%、L=48cm、W=105mm、t=15mm)を用いた。長さ2mのスギ板材からL=48cmの試験片を切り出し、以下の処理を行った。長い板材での実験を行った場合の注入量に近づけるため、片側の木口(元口側)をエポキシ樹脂でシーリングした。これら試験材を真空加圧含浸装置に入れ、液加圧処理(減圧−加圧工程)を行った。それぞれの処理条件は、減圧条件のみ固定し、その他は以下及び図2のとおりである。
注入材は、蒸気を用いて人工乾燥を行ったスギ板材(含水率12〜15%、L=48cm、W=105mm、t=15mm)を用いた。長さ2mのスギ板材からL=48cmの試験片を切り出し、以下の処理を行った。長い板材での実験を行った場合の注入量に近づけるため、片側の木口(元口側)をエポキシ樹脂でシーリングした。これら試験材を真空加圧含浸装置に入れ、液加圧処理(減圧−加圧工程)を行った。それぞれの処理条件は、減圧条件のみ固定し、その他は以下及び図2のとおりである。
シーリング済みのスギ板材に、第一リン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムを主成分とする消火薬剤の水溶液20%を、続く条件下のもとで液加圧注入した。
圧力については、減圧は1kgf/cm2(98kPa)、時間30分で固定し、続いて加圧は圧力20kgf/cm2(1.96MPa)、10kgf/cm2(0.98MPa)、その時間は15分、30分、60分と変えて実施した(図2参照)。
加圧時間については、15分、30分、60分の三段階、消火薬剤(水溶液)の温度については8℃、30℃、50℃、70℃の四段階に分けそれぞれ条件を組み合わせて注入量を確認した。
(後処理工程)
消火薬剤の水溶液を注入後、室内乾燥を約5日間行ったのち15mmから12mmに両板目面を鉋削後、含水率が30%以下に落ち着くまで室内にて自然乾燥し、その後熱風乾燥で含水率15%程度まで乾燥させた。
消火薬剤の水溶液を注入後、室内乾燥を約5日間行ったのち15mmから12mmに両板目面を鉋削後、含水率が30%以下に落ち着くまで室内にて自然乾燥し、その後熱風乾燥で含水率15%程度まで乾燥させた。
薬剤注入量については、注入材から縦横99±1mmで揃えた試験片を切り出し、その両端約2cm幅の小試験体を105℃で送風乾燥して、全乾状態の重量と注入前の重量とを比較し算出した。
(薬剤注入結果)
各注入条件について得られた薬剤注入量は図2及び図3のとおりである。圧力10〜20kgf/cm2(0.98〜1.96MPa)、加圧時間30〜60分で水溶液の温度が50℃以下であれば平均84〜96kg/m3の注入量の確保が可能であった。その中で消火薬剤の水溶液の温度については、50℃を超え、70℃となると注入量が76kg/m3と減少した。従って、注入量の確保という点では、消火薬剤の温度を50℃以下とすることが望ましい、との結果を得た。
各注入条件について得られた薬剤注入量は図2及び図3のとおりである。圧力10〜20kgf/cm2(0.98〜1.96MPa)、加圧時間30〜60分で水溶液の温度が50℃以下であれば平均84〜96kg/m3の注入量の確保が可能であった。その中で消火薬剤の水溶液の温度については、50℃を超え、70℃となると注入量が76kg/m3と減少した。従って、注入量の確保という点では、消火薬剤の温度を50℃以下とすることが望ましい、との結果を得た。
(発熱性試験)
薬液注入材においては、コーンカロリーメータでの発熱性試験により防火性能を確認した。試験には99±1mmの試験片の中から14体を選んだ。14体の薬剤平均注入量は102kg/m3であり、すべて20分間での総発熱量を測定した。試験結果は、14体すべて建築基準法にもとづく準不燃レベルをクリアしていた。14体の薬剤注入量と総発熱量8MJ/m2に到達する時間との関係は図4のとおりである。これにより、準不燃レベルを達成するには薬剤注入量は63kg/m3以上が必要である、との結果を得た。また、その注入量におけるC/N比は20以下になり、肥料としての性能も満たしている。
薬液注入材においては、コーンカロリーメータでの発熱性試験により防火性能を確認した。試験には99±1mmの試験片の中から14体を選んだ。14体の薬剤平均注入量は102kg/m3であり、すべて20分間での総発熱量を測定した。試験結果は、14体すべて建築基準法にもとづく準不燃レベルをクリアしていた。14体の薬剤注入量と総発熱量8MJ/m2に到達する時間との関係は図4のとおりである。これにより、準不燃レベルを達成するには薬剤注入量は63kg/m3以上が必要である、との結果を得た。また、その注入量におけるC/N比は20以下になり、肥料としての性能も満たしている。
本発明は、木材への薬剤注入条件を明らかにしたもので、建築に用いる内装材や構造材、家具における、防火性付与木材製品の製造に展開が可能と考えられ、有用である。
Claims (8)
- 防火性付与薬剤として、合計含有量が63kg/m3以上の第一リン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムを木材内部に含み、かつ、全体のC/N比を20以下とした、肥料材料として利用可能な防火性付与木材。
- 第一リン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムの比率が40:60〜72:28の範囲である請求項1記載の肥料材料として利用可能な防火性付与木材。
- 10mm以下にチップ化した請求項1又は2記載の肥料材料として利用可能な防火性付与木材。
- 前記防火性付与薬剤が、ABC消火薬剤であって、かつ当該ABC消火薬剤のコーティング剤を除去し親水化したものである請求項1乃至3記載の肥料材料として利用可能な防火性付与木材。
- 前記木材がスギ材の心材また辺材である請求項1乃至4記載の肥料材料として利用可能な防火性付与木材。
- 木材を含水率12〜15%に乾燥させ、
40:60〜72:28の比率からなる第一リン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムを含有する防火性付与薬剤を、濃度が15〜25%となるように水で希釈して水溶液を生成し、
真空加圧含浸装置で減圧加圧処理し、前記木材に、第一リン酸アンモニウムと硫酸アンモニウムの合計含有量が63kg/m3以上で、かつ木材全体のC/N比が20以下となるように前記水溶液を含浸させ、
その後、含水率が30%以下になるまで自然乾燥させる、
肥料材料として利用可能な防火性付与木材の製造方法。 - 前記水溶液の温度が50℃以下である請求項6記載の肥料材料として利用可能な防火性付与木材の製造方法。
- 前記方法により製造した防火性付与木材の表面を鉋削加工し、当該加工面を接着面として積層する請求項6又は7記載の肥料材料として利用可能な防火性付与木材の製造方法。
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