JP2004181728A - インクジェットヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

【課題】高速印字においてもインク吐出を安定させるために、圧力波の残留振動を抑制することができ、なおかつ、製造が容易なインクジェットヘッドおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】インクジェットヘッドは、圧電材料を含むチャンネル壁3に隔てられるようにして複数のチャンネル溝4が前後方向に延びるように形成されたベース部材1と、これに対向するように配置されたカバー部材2iと、チャンネル溝4の内面の少なくとも一部に配置された電極5とを備える。さらに、前端から後端までの間には、カバー部材2iがベース部材1に対してスペーサ部材としてのシリカフィラー14を介して接着されている第1の領域と、カバー部材2iがベース部材1に対してシリカフィラー14によって規定される間隙を介して対向している第2の領域とを有する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンタなどに用いられるインクジェットヘッドおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンタは、インクジェットヘッドに設けられた微小なノズル孔から印字データに応じてインクの微小な液滴を噴出することで、紙等の媒体に画像を印刷する。このようなインクジェットヘッドの方式の一つに圧電方式がある。
【0003】
図13、図14を参照して、従来の圧電方式のインクジェットヘッドについて説明する。図13は、インクジェットヘッド100を正面から見たところを示す。インクジェットヘッド100の正面には、ノズル孔10を複数有するノズル板9が配置されている。ノズル孔10の各々に対応してノズル板9の背後にチャンネル溝4が平行に延びている。ベース部材1に設けられたチャンネル溝4は、カバー部材2によって塞がれているのでチャンネル溝4の内部空間はインク室として機能する。互いに隣接するチャンネル溝4同士はチャンネル壁3によって隔てられている。図14は、図13のXIV−XIV線に関する矢視断面図である。図14に示されるように、チャンネル壁3の側面には電極5が形成されている。チャンネル溝4の後端(図14における右端)には、導電性部材26が充填されており、電極5は導電性部材26を介して外部接続端子8と接続されている。インクは、インク供給口27から共通インク室24に入り込む。さらに共通インク室24から各チャンネル溝4内部に流れ込む。
【0004】
このインクジェットヘッド100においては、外部接続端子8、導電性部材26を通じて電極5に印字データに応じた電圧を印加すると、対応するチャンネル溝4において両側のチャンネル壁3(図13参照)が内側に向けて凸となるように変形し、そのチャンネル溝4内のインクを加圧する。その結果、このインクがノズル孔10から吐出される。
【0005】
共通インク室24から各インク室(各チャンネル溝4内の空間)に向けてのインクの供給は、電極5に先ほどのインク吐出時とは逆の電圧を印加することによってなされる。すなわち、加圧時とは逆の電圧を印加すると該当するチャンネル溝4の両側のチャンネル壁3が外側に凸となるように変形し、そのインク室内が負圧となる。その結果、共通インク室24からそのインク室内にインクが流入する。
【0006】
このような圧電方式では、電圧を加減し圧電体の変形を制御することによってインクの加圧量及びインク噴出滴量をコントロールできるため、階調印刷が容易であるという利点がある。
【0007】
しかしながら、上述のような従来技術によるインクジェットヘッドでは、印字速度をあげるため駆動周波数をあげて、単位時間当たりの吐出回数を増加させると、インク室内の圧力の残留振動により後続のインク吐出が不安定になるという問題があった。
【0008】
この現象の原因は、次のように説明できる。インク室内のインクを加圧すると、そのインク室の前端においてノズル孔10からインクが噴出するのと同時に圧力波(振動)が生じる。この圧力波のうち共通インク室24に向かって進んだものはインク室と共通インク室24との界面で水撃作用により大部分が反射し、減衰せずにインク室内に戻り、後続するインクの吐出性能に悪影響を生じさせる。特に、駆動周波数を上げた場合には、その残った圧力波が減衰し切らないうちに後続するインクの吐出動作が行なわれるため、吐出速度が大きく変動したり、吐出が不安定になったりし、場合によっては吐出が止まってしまうこともあった。
【0009】
これに対して、特開2000−43252号公報(特許文献1)に記載されているように、インク室の加圧によって生じる圧力波を吸収するために多孔質のウレタン、フッソ樹脂製の濾過用フィルタ等の振動吸収体をインク室と共通インク室との連通部に設けた構造が提案されている。
【0010】
【特許文献1】
特開2000−43252号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この方式ではインクジェットヘッド内に、インク室の加圧によって生じる圧力波を吸収するダンパ効果を有する振動吸収体を配置していることから、インクジェットヘッドの構造が複雑化し、また、生産性が悪くなり、コストも高価なものとなる。
【0012】
そこで、本発明は、高速印字においてもインク吐出を安定させるために、圧力波の残留振動を抑制することができ、なおかつ、製造が容易なインクジェットヘッドおよびその製造方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に基づくインクジェットヘッドは、前端と後端とを有し、圧電材料を含むチャンネル壁に隔てられるようにして複数のチャンネル溝が前後方向に延びるように形成されたベース部材と、上記ベース部材の、上記複数のチャンネル溝を有する側の面に対向するように配置されたカバー部材と、上記チャンネル溝の内面の少なくとも一部に配置された駆動電極とを備える。さらに、上記前端から上記後端までの間には、上記カバー部材が上記ベース部材に対してスペーサ部材を介して接着されている第1の領域と、上記カバー部材が上記ベース部材に対して上記スペーサ部材によって規定される間隙を介して対向している第2の領域とを有する。この構成を採用することにより、第2の領域は、いわゆる狭隙部として作用し、インクの吐出に伴って生じる圧力波を、吸収、減衰させることができる。しかも、狭隙部の間隙の大きさはスペーサ部材によって規定されるので、高精度な機械加工などが不要であり、所望の大きさの間隙の狭隙部に製作することが容易である。
【0014】
上記発明において好ましくは、上記スペーサ部材は、略球状部材である。この構成を採用することにより、スペーサ部材を接着剤に混入させて供給することができる。また、球状であることによって、個々のスペーサ部材の姿勢を気にする必要がなくなり、所望の領域にスペーサ部材を配置するだけで確実に所望の大きさの間隙を実現することができる。
【0015】
上記発明において好ましくは、上記スペーサ部材は、平板状部材である。この構成を採用することにより、インク室内部に露出する面を平滑にすることができ、インクの流れおよびインク中の気泡の流れがスムーズになり、インク吐出性能を向上させることができる。また、インクジェットヘッドの内部から気泡を排出するためのメンテナンス作業が容易となる。
【0016】
上記発明において好ましくは、上記間隙の距離は30μm以下である。この構成を採用することにより、圧力波の残留振動の悪影響を抑制できる。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明に基づくインクジェットヘッドの製造方法は、圧電材料を含むベース基板の表面に溝加工を施すことによって複数のチャンネル溝を形成するチャンネル溝形成工程と、上記複数のチャンネル溝の内壁に電極を形成する電極形成工程と、上記複数のチャンネル溝をカバー基板によって塞ぐように、なおかつ、スペーサ部材を上記ベース基板と上記カバー基板とで一部の領域において挟み込むように、上記ベース基板と上記カバー基板とを接着する接着工程と、上記接着工程によって得られた重ね合わせ基板を分割する分割工程とを含む。この方法を採用することにより、高精度な機械加工などを行なわなくともスペーサ部材を挟み込むことによって所望の大きさの間隙の狭隙部を有するインクジェットヘッドを容易に得ることができる。
【0018】
上記発明において好ましくは、上記ベース基板および上記カバー基板のうち少なくとも一方の基板の表面の一部に上記スペーサ部材を含む接着剤を供給する接着剤供給工程を含む。この方法を採用することにより、スペーサ部材は接着剤に含まれた状態で供給されるので、効率良く所望の領域にスペーサ部材を配置することができる。また、スペーサ部材のあるところには確実に接着剤が行き渡ることとなり、スペーサ部材の脱落を防止することができる。
【0019】
上記発明において好ましくは、上記接着剤供給工程を上記チャンネル溝形成工程の前に含む。この方法を採用することにより、チャンネル溝が形成される前の平坦な面に接着剤を供給することとなるので、容易に確実に所望の領域に供給することができる。
【0020】
上記発明において好ましくは、上記接着剤はフィルム状であり、上記接着剤供給工程は、上記接着剤を貼りつけることによって行なう。この方法を採用することにより、フィルムを所望の形状に予め切断しておくことなどが可能となる。また、どの領域に接着剤を配置するかが明確となり、所望の領域に過不足なくかつ均一に接着剤を供給することができる。
【0021】
上記発明において好ましくは、上記接着剤は液状であり、上記接着剤供給工程は、上記接着剤を印刷することによって行なう。この方法を採用することにより、剥離などの工程を必要とせずに、所望の部位に接着剤を単独で直接供給することが可能となるので、容易に接着させることが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明に基づく実施の形態の説明に入る前に、図15、図16を参照して、本発明の参考となるインクジェットヘッドについて説明する。図15は、インクジェットヘッド110を正面から見たところを示す。図16は、図15のXVI−XVI線に関する矢視断面図である。このインクジェットヘッド110では、ベース部材1のチャンネル壁3の上面とカバー部材2hとは前端近傍では接着固定されており、この部分はアクティブ領域12となっているが、アクティブ領域12と後端近傍の共通インク室24hとの間には狭隙部11が設けられている。狭隙部11とは、カバー部材2hがわずかに掘り下げられることによって形成された部分であり、狭隙部11においてはベース部材1のチャンネル壁3の上面とカバー部材2hの下面とは間隙を介して対向している。
【0023】
インクジェットヘッド110は、狭隙部11を有しているので、インクの吐出に伴って生じる圧力波は狭隙部11を通過する際に粘性抵抗によって吸収され、減衰しながら共通インク室24hに向かって進行する。狭隙部11の長さを適当に設計することによって、圧力波は、共通インク室24hに到達するまでに十分減衰するので、後続するインク吐出に影響するような圧力波の残留振動の発生は抑制することができる。その結果、印字データに忠実な高速かつ高品質な印字が可能となる。また、振動吸収体などの付加的な部材を配置する構造に比べて、材料コストの上昇を抑えることができる。
【0024】
しかし、インクジェットヘッド110を製造するには、狭隙部11をダイシングブレードによる研削加工やエンドミルによる研削加工やサンドブラスト加工などで形成する必要がある。このような狭隙部11の加工の際には、カバー部材2hの他の部分に比べた狭隙部11における凹む深さをミクロンオーダーの精度で安定に加工することが必要となるが、このような加工工程は煩雑かつ困難であり、生産効率および生産歩留まりが低下するという問題があった。
【0025】
そこで、本発明者らは、さらに改良をすべく検討を重ね、本発明をなすに至った。
【0026】
(実施の形態1)
(構成)
図1、図2を参照して、本発明に基づく実施の形態1におけるインクジェットヘッドについて説明する。図1は、インクジェットヘッド120を正面から見たところを示す。図2は、図1のII−II線に関する矢視断面図である。このインクジェットヘッド120においては、ベース部材1とカバー部材2iとの間は、前から後ろへ順にアクティブ領域12i、狭隙部11i、共通インク室24iとなっている。狭隙部11iおよびアクティブ領域12iに渡って、カバー部材2iの下面そのものは平坦であるが、アクティブ領域12iにおいては、ベース部材1とカバー部材2iとは、スペーサ部材として直径30μmの球形のシリカフィラー14が添加された接着剤13を挟み込むようにしてベース部材1とカバー部材2iとが接着されている。その結果、狭隙部11iのギャップは30μmとなっている。他の構成は、インクジェットヘッド110におけるものと同様である。
【0027】
(作用・効果)
インクは、インク供給口27から共通インク室24iに入り込む。さらに共通インク室24iから各チャンネル溝4内部に流れ込む。電圧印加時のチャンネル壁3の動作は、インクジェットヘッド100について説明したものと同様である。
【0028】
インクジェットヘッド120は、狭隙部11iを有しているので、インクの吐出に伴って生じる圧力波を、インクジェットヘッド110の場合と同様に狭隙部11iによって吸収、減衰させることができる。インクジェットヘッド120における狭隙部11iは、インクジェットヘッド110における狭隙部11と異なり、接着剤13に混入させたシリカフィラー14によって形成され、スペーサ部材としてのシリカフィラー14の直径によってギャップの大きさが規定されるので、インクジェットヘッド120は、研削加工やサンドブラスト加工を行なう必要がなく、簡単に所望の大きさのギャップを備えるように製作することができる。
【0029】
(実験)
本発明により、所望のギャップの狭隙部を容易に実現することが可能となったので、狭隙部のギャップの大きさが幾通りかに異なるインクジェットヘッドをそれぞれ用意し、圧力波の残留振動の状態を調べる実験を行なった。実験は、アクティブ領域12iの長さ、狭隙部11iの長さを固定としてギャップの大きさを4通りに変えて行なった。評価は、インク吐出性能を評価することにより、◎、○、△、×の4段階で行なった。◎が最も優れており、×が最も劣っている。結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
Figure 2004181728
【0031】
この実験によれば、ギャップが小さいほど圧力波の残留振動の影響が小さくなる傾向があり、逆に、ギャップが大きくなって40μmになると、従来構造と同様にインクの噴出特性に影響を及ぼすことがわかった。これは、ギャップがある程度以上大きいと圧力波がチャンネル溝内の空間と狭隙部との界面で反射する量が大きくなることによると考えられる。また、別途実験を行なって、狭隙部の長さLは、インクジェットヘッドの全長の範囲内で可能な限り長い方が圧力波の残留振動を抑制する効果が大きいことも確認できた。したがって、狭隙部の長さLを可能な限り長く設定し、ギャップを30μm以下に適宜設定することで圧力波の残留振動の悪影響を抑制できることが確認できた。
【0032】
(実施の形態2)
(製造方法)
図3〜図10を参照して、本発明に基づく実施の形態2におけるインクジェットヘッドの製造方法について説明する。このインクジェットヘッドの製造方法は、実施の形態1で説明したインクジェットヘッドを製造するために適用可能な製造方法である。
【0033】
図3にカバー基板52を示す。カバー基板52とは、カバー部材2iの材料となる板である。カバー部材2iは、カバー基板52から切り出される。図3は、カバー基板52の、後に圧電基板51と貼り合せられる側から見た図である。カバー基板52から切り出されるカバー部材2iは、圧電基板51と接着されてインク室を構成するものであることから、圧電基板51とカバー基板52とは熱膨張率を揃えることが好ましい。また、共通インク室24iを形成する際の加工特性についても圧電基板51と大差ないものが望ましい。
【0034】
カバー基板52は、通常、快削性セラミックス、圧電基板などで構成されている。また、カバー基板52には、圧電基板51と接着された時に共通インク室24iを構成するための凹部21が形成されている。凹部21は、カバー基板52にレジストをパターニングして王水でエッチング加工をすることによって形成することができる。凹部21を形成するための他の方法として、カバー基板52にドライフィルムレジストをパターニングし、SiCやAlなどの粒子を高圧力で吹き付けるサンドブラスト加工で形成することができる。あるいは、エンドミルやダイシングブレードなどによる研削加工によっても形成することができる。そもそも共通インク室24iの加工深さや加工位置はインク吐出にあまり影響しないため、凹部21の形成時には高精度な加工は要求されない。
【0035】
次に、図4に示すように、インクジェットヘッドとなったときにアクティブ領域12i(図2参照)となる予定の領域32、およびインク室と対向しないインク封止部分15の領域に、シリカフィラー14が分散された接着剤13を転写供給する。接着剤13は厚さ35μmのフィルム状で所望の形状に型抜きされた状態で転写される。フィルム状の接着剤13は、図5に示すように、保護フィルム16に貼られた状態で供給される。保護フィルム16には接着剤13の型抜きと同時に位置決め用穴18が形成されている。図5に示すように、転写ステージ22上には位置決めピン17が配置されている。図4、図5に示すように位置決めピン17は、カバー基板52の端に当接することによってカバー基板52の位置を規定する。これと同時に位置決めピン17は、図5に示すように、位置決め用穴18に挿入されることによって保護フィルム16の位置を規定する。その結果、カバー基板52と保護フィルム16との位置関係が固定される。
【0036】
接着剤13に対して、転写ツール19を用いて80℃に加熱しつつ加圧を行なう。その結果、フィルム状の接着剤13とカバー基板52とが密着する。その後に保護フィルム16を剥離する。なお、保護フィルム16は厚さ100μm以上の厚手PETフィルムや強靭なポリイミドフィルムなどで構成することとすれば、位置決め穴などの寸法精度を確保することができる。
【0037】
ここでは、接着剤をフィルム状であるとしてその供給方法を説明したが、接着剤を供給するための他の方法として、接着剤を液状として供給する方法も考えられる。スペーサ部材を分散した液状の接着剤をメタルマスクなどを利用して印刷することによって供給する。メタルマスクは、メタルマスクに形成した位置決め穴とウエハ位置決めピンとを利用して位置決めされる。メタルマスクを利用する場合は、たとえば、ギャップの大きさが10μm、20μm、30μmの狭隙部をそれぞれ形成したいときは、シリカフィラー径を10μm、20μm、30μmにそれぞれ設定して、メタルマスクの厚みはシリカフィラー径より若干厚い20μm、30μm、40μmとしてそれぞれ印刷する。こうすることで、均一なフィラー分散が実現できるとともに、印刷不良などの欠陥が生じない印刷供給が実現できる。ただし、できれば真空中で印刷が行なえる真空印刷機を用いることが望ましい。このように液状の接着剤を適用する場合は、接着剤供給装置および接着剤供給工程が簡単に実現可能であるので、生産歩留まりが向上して低コスト化を実現することができる。
【0038】
次に、図6に示すように、圧電基板51の上面にドライフィルムレジスト20をラミネートし、その上からチャンネル溝4を、等間隔かつ等幅となるように、ダイシング装置のダイシングブレード23により形成する。チャンネル溝4は内部空間がインク室となるものである。なお、圧電基板51はあらかじめ、厚み方向に一定の向きに分極させた圧電材料の板同士を分極の向きが互いに逆になるように貼り合せたものである。この貼合せに用いる板の厚みは、チャンネル溝4を形成したときに、チャンネル溝4の深さ方向のほぼ中間位置に、板同士の境目(図示省略)が露出するように選ばれる。
【0039】
図7に示すように、チャンネル溝4の内壁に対して、2方向からAl、Cuなどの斜め蒸着を行なうことによりAl、Cuなどの電極5を形成する。電極5を形成するには、斜め蒸着による以外に、スパッタリングやめっきなどによっても可能である。この電極8の形成時には、ドライフィルムレジスト20上にも金属膜が付着するが、これについてはドライフィルムレジスト20を剥離することで除去する。こうして、図8に示す構造が得られる。
【0040】
次に、図9に示すように、ディスペンサ28などを用いて、チャンネル溝4を横切るように導電性ペーストからなる導電材26uを塗布する。ディスペンサ28の走査経路がチャンネル溝4に交差する箇所では、導電材26uはチャンネル溝4内に充填される。加熱することで、導電材26uは硬化する。この状態では各インク室の電極5はいずれも電気的につながっていることになる。その後、圧電基板51上面に載っている導電材26uを研磨除去することによって、各インク室を電気的にそれぞれ分離し、互いの絶縁を確保する。各チャンネル溝4内には、導電材26uが硬化し、チャンネル溝4ごとに分離された形状のものである導電性部材26が配置された形となる。
【0041】
次に、フィルム状の接着剤13が供給されたカバー基板52(図5参照)と、チャンネル溝4が形成されて電極5が形成されて導電性部材26が充填されている圧電基板51とを、図10に示すように重ねて、加熱および加圧することによって接着剤13を硬化させて貼り合わせる。接着剤13を挟み込んで圧電基板51とカバー基板52とが対向するところには、接着剤13の中に含まれるスペーサ部材としてのシリカフィラー14の存在によって間隙が生じ、この間隙は狭隙部11iとなる。この重ね合わせ基板に対して、図10に破線で示すダイシングライン29に沿って、ダイシングブレードで切断を行なう。ダイシングライン29は、カバー基板52の凹部21および圧電基板51の導電性部材26の充填部分を通過するように設定されている。この切断により、重ね合わせ基板は、個々のインクジェットヘッド片に分割され、アクチュエータとしてのインクジェットヘッド片が完成する。凹部21は共通インク室24iとなる。
【0042】
さらに、前端にノズル板9を貼り付けたり、必要に応じて後端に外部接続端子8を貼り付けたりする。その結果、図1、図2に示すインクジェットヘッドを得ることができる。
【0043】
(作用・効果)
本実施の形態では、シリカフィラー14をスペーサ部材として接着剤13中に混入させることによってベース部材1とカバー部材2iとの間に狭隙部11iを構成する方法を採っているので、高精度な切削加工や研削加工を必要とせずに狭隙部を得ることができる。また、シリカフィラー14の直径を適宜変更することで狭隙部のギャップの大きさを所望の値に変更することができる。
【0044】
また、スペーサ部材としては、シリカフィラーに代えて、プラスチックフィラーを用いてもよい。プラスチックフィラーを用いた場合はフィラー径を揃えやすい。また、スペーサ部材を分散した接着剤を安価に製造することができ、コスト低減が実現できる。プラスチックフィラーを用いた場合、1通りの直径から複数とおりのギャップの大きさを実現することができる。たとえば、直径30μmのプラスチックフィラーを分散させた接着剤を用意するだけで、あとはカバー基板52と圧電基板51との接着時に印加する荷重の大きさを適切に選ぶことによってフィラーの潰れ具合を制御し、30μm以下の所望の値のギャップの大きさを任意に設定することができる。
【0045】
(実施の形態3)
(構成)
実施の形態1,2では、スペーサ部材として球形のシリカフィラー14を用いたが、スペーサ部材は球形のものに限る必要はない。本発明に基づく実施の形態3では、異なる形状のスペーサ部材を用いた例として、図11、図12を参照して、インクジェットヘッド121について説明する。図11は、インクジェットヘッド121を正面から見たところを示す。図12は、図11のXII−XII線に関する矢視断面図である。インクジェットヘッド121では、ベース部材1とカバー部材2iとは、間に平板状スペーサ部材19を挟み込むようにして接着されている。平板状スペーサ部材19としては、ベース部材1やカバー部材2iとの線膨張係数の相性を考慮してアルミナセラミックの薄板を用いることができる。他の材料としては、加工性に優れていることから金属薄板やプラスチック薄板を用いることもできる。
【0046】
(製造方法)
インクジェットヘッド121を製造するには、平板状スペーサ部材19の表裏面もしくは圧電基板51およびカバー基板52に接着剤を供給し、平板状スペーサ部材19を介在させた状態で積み重ねて接着することとすればよい。あるいは、あらかじめ平板状スペーサ部材19の表裏面にフィルム状接着剤を形成したものを用意して、これを圧電基板51とカバー基板52との間に挟み込んで加熱および加圧することによってもよい。いずれも重ね合わせ基板とした後にダイシングブレードなどで分割して個別のインクジェットヘッドを得る点は、実施の形態2と同様である。
【0047】
(作用・効果)
本実施の形態のようにスペーサ部材として平板状のものを用いた場合にも、狭隙部11iを構成することができるので、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0048】
本実施の形態においては、インク室内部に向けて接着剤が露出する表面には平板状のスペーサ部材の表面形状がそのまま現れるので、粒子状のスペーサ部材を含む接着剤の場合に比較して、はるかに平滑となる。したがって、インクの流れおよびインク中の気泡の流れがスムーズになり、インク吐出性能を向上させることができる。また、インクジェットヘッドの内部から気泡を排出するためのメンテナンス作業を容易にできるという効果も奏する。
【0049】
なお、上述の各実施の形態では、圧電方式のインクジェットヘッドの場合について述べた。しかし、インクの噴出原理が異なる他の方式(例えば、サーマルインクジェット方式)のインクジェットヘッドについても、インクの流路の基本構造(インク加圧室、共通インク室)が同じであれば本発明を適用することができる。
【0050】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、カバー部材がベース部材に対してスペーサ部材によって規定される間隙を介して対向する領域は、いわゆる狭隙部として作用し、インクの吐出に伴って生じる圧力波を、吸収、減衰させることができる。しかも、狭隙部の間隙の大きさはスペーサ部材によって規定されるので、高精度な機械加工などが不要であり、所望の大きさの間隙の狭隙部に製作することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく実施の形態1におけるインクジェットヘッドの正面図である。
【図2】本発明に基づく実施の形態1におけるインクジェットヘッドの断面図である。
【図3】本発明に基づく実施の形態2におけるインクジェットヘッドの製造方法で用いるカバー基板の平面図である。
【図4】本発明に基づく実施の形態2におけるインクジェットヘッドの製造方法で用いるカバー基板に接着剤を塗布した状態の平面図である。
【図5】本発明に基づく実施の形態2におけるインクジェットヘッドの製造方法で行なわれる、カバー基板に保護フィルムを押し付ける工程の説明図である。
【図6】本発明に基づく実施の形態2におけるインクジェットヘッドの製造方法の第1の工程の説明図である。
【図7】本発明に基づく実施の形態2におけるインクジェットヘッドの製造方法の第2の工程の説明図である。
【図8】本発明に基づく実施の形態2におけるインクジェットヘッドの製造方法の第3の工程の説明図である。
【図9】本発明に基づく実施の形態2におけるインクジェットヘッドの製造方法の第4の工程の説明図である。
【図10】本発明に基づく実施の形態2におけるインクジェットヘッドの製造方法の第5の工程の説明図である。
【図11】本発明に基づく実施の形態3におけるインクジェットヘッドの正面図である。
【図12】本発明に基づく実施の形態3におけるインクジェットヘッドの断面図である。
【図13】従来技術に基づくインクジェットヘッドの正面図である。
【図14】従来技術に基づくインクジェットヘッドの断面図である。
【図15】本発明の参考となるインクジェットヘッドの正面図である。
【図16】本発明の参考となるインクジェットヘッドの断面図である。
【符号の説明】
1 ベース部材、2,2h,2i カバー部材、3 チャンネル壁、4 チャンネル溝、5 電極、8 外部接続端子、9 ノズル板、10 ノズル孔、11,11i 狭隙部、12,12i アクティブ領域、13 接着剤、14 シリカフィラー、15 インク封止部、16 保護フィルム、17 位置決めピン、18 位置決め用穴、19 平板状スペーサ部材、20 ドライフィルムレジスト、21 凹部、23 ダイシングブレード、24,24h 共通インク室、26 導電性部材、26u (固化前の)導電材、27 インク供給口、28 ディスペンサ、29 ダイシングライン、32 (アクティブ領域となる予定の)領域、51 圧電基板、52 カバー基板。

Claims (9)

  1. 前端と後端とを有し、圧電材料を含むチャンネル壁に隔てられるようにして複数のチャンネル溝が前後方向に延びるように形成されたベース部材と、
    前記ベース部材の、前記複数のチャンネル溝を有する側の面に対向するように配置されたカバー部材と、
    前記チャンネル溝の内面の少なくとも一部に配置された駆動電極とを備え、
    前記前端から前記後端までの間には、前記カバー部材が前記ベース部材に対してスペーサ部材を介して接着されている第1の領域と、前記カバー部材が前記ベース部材に対して前記スペーサ部材によって規定される間隙を介して対向している第2の領域とを有する、インクジェットヘッド。
  2. 前記スペーサ部材は、略球状部材である、請求項1に記載のインクジェットヘッド。
  3. 前記スペーサ部材は、平板状部材である、請求項1に記載のインクジェットヘッド。
  4. 前記間隙の距離は30μm以下である、請求項1から3のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
  5. 圧電材料を含むベース基板の表面に溝加工を施すことによって複数のチャンネル溝を形成するチャンネル溝形成工程と、
    前記複数のチャンネル溝の内壁に電極を形成する電極形成工程と、
    前記複数のチャンネル溝をカバー基板によって塞ぐように、なおかつ、スペーサ部材を前記ベース基板と前記カバー基板とで一部の領域において挟み込むように、前記ベース基板と前記カバー基板とを接着する接着工程と、
    前記接着工程によって得られた重ね合わせ基板を分割する分割工程とを含む、インクジェットヘッドの製造方法。
  6. 前記ベース基板および前記カバー基板のうち少なくとも一方の基板の表面の一部に前記スペーサ部材を含む接着剤を供給する接着剤供給工程を含む、請求項5に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  7. 前記接着剤供給工程を前記チャンネル溝形成工程の前に含む、請求項6に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  8. 前記接着剤はフィルム状であり、前記接着剤供給工程は、前記接着剤を貼りつけることによって行なう、請求項6または7に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  9. 前記接着剤は液状であり、前記接着剤供給工程は、前記接着剤を印刷することによって行なう、請求項6または7に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
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