JP2004180126A - ストリップラインフィルタ - Google Patents
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Abstract
【課題】ストリップライン同士を電磁結合させる必要がなく、薄型、小型化が容易なストリップラインフィルタを提供する。
【解決手段】ストリップラインフィルタ81は、直線形状の線路長の短いストリップライン導体82と、蛇行形状の線路長の長いストリップライン導体83とを電気的に並列に接続することにより構成されている。回路基板85の下面には広面積のグランド導体84が形成されている。ストリップライン導体82,83とグランド導体84は、回路基板85を間に挟んでマイクロストリップ構造を構成している。
【選択図】 図11
【解決手段】ストリップラインフィルタ81は、直線形状の線路長の短いストリップライン導体82と、蛇行形状の線路長の長いストリップライン導体83とを電気的に並列に接続することにより構成されている。回路基板85の下面には広面積のグランド導体84が形成されている。ストリップライン導体82,83とグランド導体84は、回路基板85を間に挟んでマイクロストリップ構造を構成している。
【選択図】 図11
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はストリップラインフィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、マイクロ波などの高周波領域で用いられる受動タイプのフィルタとしては、誘電体共振器を用いたもの、表面弾性波素子を用いたもの、積層型LC共振器を用いたもの、ストリップラインを用いたものなどが知られている。
【0003】
この中でストリップラインを用いたフィルタは一般に、図17に示すように誘電体基板上にストリップライン2,3をλ/4の長さだけ近接配置して電磁結合させ、その波長λに相当する周波数でフィルタ特性を得ている(非特許文献1参照)。このλ/4ストリップライン2,3はそれぞれ一端が開放され、他端が入出力外部電極4,5に電気的に接続されている。図18は、ストリップラインフィルタ1の通過(S21)特性および入力反射(S11)特性を示すグラフである。
【0004】
【非特許文献1】
小西良弘著「マイクロ波回路の基礎とその応用」結合電子出版、p.302
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の構成のストリップラインフィルタ1は、ストリップライン2,3の電磁結合にλ/4の長さを必要とするため、小型化が困難であった。従って、このストリップラインフィルタ1は波長の短い数十GHz帯でしか実用化されていない。また、フィルタ特性上からも、図18に示すように、一段では急峻な減衰カーブが得られないため、複数段直列に接続する必要がある。また、電磁結合を利用するため、結合損失が発生するという問題もある。
【0006】
さらに、従来のストリップラインフィルタ1は、ほとんどの場合、特性インピーダンスが50Ωのストリップライン2,3を必要とする。そのため、誘電体基板の誘電率εや基板厚みによってストリップライン2,3のパターン幅が決められてしまい、太線パターンの使用により小型化ができなかったり、逆に、細線パターンの使用により伝送損失が大きくなったりするということがあった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、ストリップライン同士を電磁結合させる必要がなく、薄型、小型化が容易なストリップラインフィルタを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用】
前記目的を達成するため、本発明に係るストリップラインフィルタは、線路長の異なる少なくとも二つのストリップラインを電気的に並列に接続して構成したことを特徴とする。例えば、積層タイプのストリップラインフィルタは、グランド導体と複数のストリップライン導体と複数の絶縁層とを積み重ねて積層体を構成し、複数のストリップライン導体にて線路長の異なる少なくとも二つのストリップラインを積層体内に形成し、少なくとも二つのストリップラインを電気的に並列に接続している。
【0009】
線路長の異なる少なくとも二つのストリップラインは、互いに位相の周期が異なっている。ストリップライン同士の位相差が180度になる周波数とストリップライン同士の位相が正負逆位相になる周波数とにおいて減衰極が形成される。そして、ストリップライン同士の位相差が0度になる周波数において通過帯が形成される。従って、二つのストリップラインの長さとパターン幅(ストリップラインの特性インピーダンス)との組み合わせを変えることにより、ストリップラインの位相特性が変わり、任意のフィルタ特性が得られる。
【0010】
また、本発明に係るストリップラインフィルタは、並列に接続された少なくとも二つのストリップライン間にグランドが配置されていることを特徴とする。例えば、積層タイプのストリップラインフィルタの場合、グランド導体を間にして、線路長の異なる少なくとも二つのストリップラインが積層体内の異なる層に配置されている。これにより、ストリップライン同士が電磁結合してしまうのを防止することができる。
【0011】
また、電気的に並列に接続された二つのストリップラインにコンデンサを電気的に直列に接続することにより、低周波領域の減衰特性が改善される。
【0012】
さらに、前述のストリップラインフィルタを電気的に複数段直列に接続することにより、より一層急峻な減衰カーブを有するフィルタが実現できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るストリップラインフィルタの実施の形態について添付の図面を参照して説明する。
【0014】
[基本回路構成および原理、図1〜図10]
図1は本発明に係るストリップラインフィルタの基本構成を示す回路図である。このストリップラインフィルタ11は、線路長の異なる二つのストリップライン12,13を電気的に並列に接続することにより構成されている。ストリップライン12,13のそれぞれの一方の端部は入力外部電極14に電気的に接続され、他方の端部は出力外部電極15に電気的に接続されている。ストリップライン12と13は電磁結合させる必要はない。また、ストリップライン12,13の線路長はλ/4に設定する必要もない。
【0015】
ここで、ストリップライン12の線路長を8.3mm、ストリップライン13の線路長を52.3mm、ストリップライン12,13の特性インピーダンスを共に50Ωに設定する。この場合、ストリップライン12,13のそれぞれを流れる信号の位相特性は図2の(A)に示すようなグラフになる。すなわち、線路長の短いストリップライン12を流れる信号の位相周期は長く(実線18参照)、線路長の長いストリップライン13を流れる信号の位相周期は短くなる(実線19参照)。
【0016】
図2の(B)は、ストリップラインフィルタ11の通過(S21)特性および入力反射(S11)特性を示すグラフである。入力外部電極14に入った高周波信号は、二つのストリップライン12,13にそれぞれ分波して流れた後、合波して出力外部電極15から出力される。このとき、図2の(A)のグラフにおいてストリップライン12と13の位相差が180度となる周波数f1(=約3.4GHz)とf2(=約10.3GHz)で、図2の(B)に示すように減衰極が発生する。なぜなら、この周波数では、二つのストリップライン12,13をそれぞれ高周波信号が流れる間に、ストリップライン12を流れる高周波信号の位相とストリップライン13を流れる高周波信号の位相とが180度ずれ、合波の際に両方の高周波信号が打ち消し合うからである。
【0017】
同様に、図2の(A)のグラフにおいてストリップライン12と13同士の位相が正負逆位相になる周波数f3(=約4.8GHz)とf4(=約9.8GHz)で、図2の(B)に示すように減衰極が発生する。さらに、図2の(A)のグラフにおいてストリップライン12と13の位相差が0度となる周波数f5(=約6.8GHz)を含む近傍で、図2の(B)に示すように通過帯が形成される。なぜなら、この周波数近傍では、ストリップライン12を流れる高周波信号とストリップライン13を流れる高周波信号は、殆ど打ち消し合うことなく合波されるからである。こうして得られたストリップラインフィルタ11は広帯域の通過帯をもつフィルタとなる。
【0018】
さて、以上の設定条件のストリップラインフィルタ11でも、フィルタ機能を有しているが、通過帯域が広くかつ減衰量が少ない。そこで、図1に示した基本構成のストリップラインフィルタ11において、ストリップライン12,13のパターン幅を太くするなどしてストリップライン12,13の特性インピーダンスを50Ωより低い数値(例えば10〜40Ω)にする。これにより、特性インピーダンスの容量成分が変化し、ストリップライン12,13の位相特性は図3の(A)に示すようなグラフになる(実線18参照)。この結果、ストリップラインフィルタ11の通過帯や減衰極の位置を変えることができ、図3の(B)に示すような通過(S21)特性や入力反射(S11)特性をもつ狭帯域の片側減衰フィルタが得られる。
【0019】
次に、図4に示すストリップラインフィルタ21は、図1に示したストリップラインフィルタの基本構成にコンデンサC1,C2を直列に接続したものである。これにより、直流成分および低周波成分を減衰させて、より急峻な減衰カーブをもつバンドパスフィルタ機能が得られる。図5は、ストリップラインフィルタ21の通過(S21)特性および入力反射(S11)特性を示すグラフである(実線S21,S11参照)。比較のために、図5にはストリップラインフィルタ11の通過(S21’)特性および入力反射(S11’)特性も併せて記載している(点線S21’,S11’参照)。
【0020】
また、減衰量を改善するためには、図1に示したストリップラインフィルタの基本構成を多段直列に接続するとよい。具体例を図6〜図9に示す。図6のストリップラインフィルタ31は、図1に示したストリップラインフィルタの基本構成を2段直列に接続したものである。図7〜図9のストリップラインフィルタ41,51,61は、図1に示したストリップラインフィルタの基本構成を2段直列に接続するとともに、コンデンサを直列に接続したものである。減衰極の位置は、ストリップライン12A,13A,12B,13Bの線路長や特性インピーダンスを変えたり、コンデンサC1〜C3の静電容量を変えたりして調整することができる。
【0021】
また、図10のストリップラインフィルタ71のように、図1に示したストリップラインフィルタの基本構成にバンドパスフィルタ72をコンデンサC1を介して直列に接続しても、減衰量を改善することができる。バンドパスフィルタ72の代わりに、ローパスフィルタやハイパスフィルタ、あるいは、低域阻止フィルタを用いても同様の効果が得られる。
【0022】
[第1実施形態、図11]
図11に示すストリップラインフィルタ81は、一般的な回路基板85の上面に形成されている。このストリップラインフィルタ81は、直線形状の線路長の短いストリップライン導体82と、蛇行形状の線路長の長いストリップライン導体83とを電気的に並列に接続することにより構成されている。回路基板85の下面には広面積のグランド導体84が形成されている。ストリップライン導体82,83とグランド導体84は、回路基板85を間に挟んでマイクロストリップ構造を構成している。なお、回路基板85には、他の信号パターンや電子部品(インダクタ、コンデンサ、ICなど)が形成されたり、搭載されているが、図示していない。
【0023】
回路基板85には、例えばガラス不織布にポリイミド樹脂やエポキシ樹脂を含浸させた基板、あるいは、誘電体材料からなるセラミック基板などが使用される。ストリップライン導体82,83やグランド導体84は、Cu,Ag,Ag−Pd,Alなどの導電性ペーストをスクリーン印刷法などの方法により塗布して焼付けることにより形成される。
【0024】
こうして回路基板85上に形成されたストリップラインフィルタ81は、図1に示す基本構成回路を有し、フィルタとして機能する。このストリップラインフィルタ81において、ストリップライン導体82,83の線路長と特性インピーダンスの組み合わせを変える。例えば、ストリップライン導体82,83のパターン幅を太くしたり、回路基板85の板厚を厚くしてグランド導体84とストリップライン導体82,83との距離を離したりして、ストリップライン導体82,83の特性インピーダンスを50Ωより低い数値(10〜40Ω)にする。これにより、ストリップラインフィルタ81の通過帯や減衰極の位置を変えることができ、種々のフィルタ特性を実現することができる。
【0025】
さらに、ストリップラインフィルタ81は、ストリップライン導体82と83を電磁結合させる必要がなく、また、線路長をλ/4に設定する必要もないので、小型化が容易である。
【0026】
[第2実施形態、図12および図13]
図12に示すように、ストリップラインフィルタ101は、ストリップライン導体104,105a,105bをそれぞれ表面に形成した絶縁シート102と、コンデンサ導体110a,111a、110b,111bをそれぞれ表面に形成した絶縁シート102と、グランド導体115,116,117をそれぞれ表面に形成した絶縁シート102と、予め導体を表面に設けていない保護用絶縁シート102などにて構成されている。
【0027】
直線形状のストリップライン導体104は、シート102の中央部に配設され、単独で線路長の短いストリップラインを形成している。その両端部はシート102の手前側および奥側の辺に露出している。渦巻形状のストリップライン導体105bは、シート102に設けたビアホール107を介して直線形状のストリップライン導体105aに電気的に直列に接続され、線路長の長いストリップライン105を形成している。このとき、ビアホール107を軸方向に延在させ、ビアホール自体をストリップライン105の主要な構成部分として利用してもよい。これにより、ストリップラインフィルタ101のQ値をさらに良くすることができる。ストリップライン104と105は電気的に並列に接続する。
【0028】
ストリップライン104と105の間には、グランド導体116が配設されている。グランド導体116はストリップライン104と105の間の電磁結合を抑えるので、ストリップライン104と105の間の距離を接近させることができ、ストリップラインフィルタ101を小型にできる。さらに、本第2実施形態では、渦巻形状のストリップライン導体105bを用いることにより、より一層の小型化を行っている。
【0029】
さらに、ストリップライン104と105は、グランド導体115,117によって上下方向に挟まれ、ストリップライン構造を構成している。ただし、グランド導体115,117を省略して、マイクロストリップライン構造を構成させるようにしてもよい。
【0030】
コンデンサ導体110aと110bは、シート102を間に挟んで対向してコンデンサC1を形成している。コンデンサ導体111aと111bはシート102を間に挟んで対向してコンデンサC2を形成している。
【0031】
絶縁シート102の材料としては、誘電体などのセラミックが使用される。導体104〜117は、Ag,Ag−Pd,Cuなどの導電性ペーストを用いて、それぞれシート102上に印刷法などの方法にて形成される。
【0032】
各シート102は積み重ねられて一体的に焼成され、図13に示すような積層体120とされる。この積層体120の手前側の側面部に入力外部電極121,中継外部電極123およびダミー外部電極125が設けられる。奥側の側面部には、出力外部電極122、中継外部電極124およびダミー外部電極126が設けられる。そして、左右の両端部にはグランド外部電極127,128が設けられる。
【0033】
入力外部電極121はコンデンサ導体110aの端部に電気的に接続している。出力外部電極122はコンデンサ導体111aの端部に電気的に接続している。中継外部電極123は、コンデンサ導体110bの端部およびストリップライン導体104,105bの一方の端部に電気的に接続している。中継外部電極124は、コンデンサ導体111bの端部およびストリップライン導体104,105aの他方の端部に電気的に接続している。グランド外部電極127,128はグランド導体115〜117の端部に電気的に接続している。ただし、コンデンサ導体110b,111bとストリップライン導体104,105b,105aとの電気的接続はシート102に設けたビアホールを利用して行ってもよい。
【0034】
こうして得られた積層型ストリップラインフィルタ101は、図4に示す回路と同様の等価回路を有し、フィルタとして機能する。このストリップラインフィルタ101において、ストリップライン導体104,105a,105bの線路長と特性インピーダンスの組み合わせを変える。例えば、ストリップライン導体104,105a,105bのパターン幅を太くしたり、シート102の厚みを厚くしてグランド導体115〜117とストリップライン導体104,105a,105bとの距離を離したりして、ストリップライン104,105の特性インピーダンスを50Ωより低い数値(10〜40Ω)にする。これにより、ストリップラインフィルタ101の通過帯や減衰極の位置を変えることができ、種々のフィルタ特性を実現することができる。
【0035】
さらに、ストリップラインフィルタ101は、ストリップライン104と105を電磁結合させる必要がなく、また、線路長をλ/4に設定する必要もないので、小型化が容易である。
【0036】
[第3実施形態、図14および図15]
図14に示すように、ストリップラインフィルタ141は、ストリップライン導体144A,145A,144B,145Bおよびコンデンサ導体146,147を表面に形成した絶縁シート142と、コンデンサ導体148を表面に形成した絶縁シート142と、グランド導体150,151をそれぞれ表面に形成した絶縁シート142と、予め導体を表面に設けていない保護用絶縁シート142などにて構成されている。
【0037】
略直線形状の線路長の短いストリップライン導体144Aと、蛇行形状の線路長の長いストリップライン導体145Aとは、電気的に並列に接続され、シート142の左側半分に配設されている。ストリップライン導体144A,145Aのそれぞれの一端はシート142の手前側の辺に露出し、他端はコンデンサ導体146に接続されている。
【0038】
略直線形状の線路長の短いストリップライン導体144Bと、蛇行形状の線路長の長いストリップライン導体145Bとは、電気的に並列に接続され、シート142の右側半分に配設されている。ストリップライン導体144B,145Bのそれぞれの一端はシート142の奥側の辺に露出し、他端はコンデンサ導体147に接続されている。
【0039】
コンデンサ導体146と147はシート142を間に挟んでコンデンサ導体148と対向し、コンデンサC1を形成している。さらに、ストリップライン導体144A〜145Bは、グランド導体150,151によって上下方向に挟まれ、ストリップライン構造を構成している。
【0040】
各シート142は積み重ねられて一体的に焼成され、図15に示すような積層体160とされる。この積層体160の手前側の側面部に入力外部電極161およびダミー外部電極163,164が設けられる。奥側の側面部には、出力外部電極162およびダミー外部電極165,166が設けられる。そして、左右の両端部にはグランド外部電極167,168が設けられる。
【0041】
入力外部電極161はストリップライン導体144A,145Aの一端に電気的に接続している。出力外部電極162はストリップライン導体144B,145Bの一端に電気的に接続している。グランド外部電極167,168はグランド導体150,151の端部に電気的に接続している。
【0042】
こうして得られた積層型ストリップラインフィルタ141は、図7に示す回路と同様の等価回路を有し、フィルタとして機能する。このストリップラインフィルタ141は、前記第2実施形態のストリップラインフィルタ101と同様の作用効果を奏するとともに、ストリップラインフィルタの基本回路を2段直列に接続しているので、より一層急峻な減衰カーブを有するフィルタを実現することができる。また、ストリップライン導体144A〜145Bを同一シート142上に形成しているので、ストリップラインフィルタ141を低背化できる。
【0043】
[他の実施形態]
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。特に、並列に接続するストリップラインの数は任意であり、例えば図16に示すように、線路長の異なる三つのストリップライン202,203,204を並列に接続して構成したストリップラインフィルタ201であってもよい。さらに、図1に示した二つ並列接続ストリップライン12,13と三つ並列接続ストリップライン202〜204を2段直列接続したものであってもよい。
【0044】
また、前記実施形態は、ストリップラインが形成された絶縁シートを積み重ねた後、一体的に焼成するものであるが、必ずしもこれに限定されない。シートは予め焼成されたものを用いてもよい。、また、以下に説明する製法によってストリップラインフィルタを製作してもよい。印刷などの方法によりペースト状の絶縁材料を塗布して絶縁層を形成した後、その絶縁層の表面にペースト状の導電体材料を塗布して任意の形状のストリップラインを形成する。次に、ペースト状の絶縁材料を前記ストリップラインの上から塗布する。こうして順に重ね塗りすることによって積層構造を有するストリップラインフィルタが得られる。
【0045】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、線路長の異なる少なくとも二つのストリップラインを電気的に並列に接続することにより、フィルタとして機能させることができる。そして、二つのストリップラインの線路長と特性インピーダンスの組み合わせを変えることにより、任意のフィルタ特性を得ることができる。しかも、ストリップラインを電磁結合させる必要がなく、また、線路長をλ/4に設定する必要もないので、低損失で小型のストリップラインフィルタが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るストリップラインフィルタの基本構成を示す回路図。
【図2】図1に示したストリップラインフィルタの原理を説明するためのグラフであり、(A)は二つのストリップラインのそれぞれの位相特性を示すグラフ、(B)はストリップラインフィルタの通過(S21)特性および入力反射(S11)特性を示すグラフ。
【図3】(A)はストリップラインの特性インピーダンスを下げたときの、二つのストリップラインのそれぞれの位相特性を示すグラフ、(B)はストリップラインフィルタの通過(S21)特性および入力反射(S11)特性を示すグラフ。
【図4】図1に示したストリップラインフィルタの基本構成にコンデンサを直列に接続した回路図。
【図5】図4に示したストリップラインフィルタの通過(S21)特性および入力反射(S11)特性を示すグラフ。
【図6】図1に示したストリップラインフィルタの基本構成を2段直列に接続した回路図。
【図7】図6の回路の変形例を示す回路図。
【図8】図6の回路の別の変形例を示す回路図。
【図9】図6の回路のさらに別の変形例を示す回路図。
【図10】図1に示したストリップラインフィルタの基本構成にバンドパスフィルタを直列に接続した回路図。
【図11】本発明に係るストリップラインフィルタの一実施形態を示す外観斜視図。
【図12】本発明に係るストリップラインフィルタの別の実施形態を示す分解斜視図。
【図13】図12に示したストリップラインフィルタの外観斜視図。
【図14】本発明に係るストリップラインフィルタのさらに別の実施形態を示す分解斜視図。
【図15】図14に示したストリップラインフィルタの外観斜視図。
【図16】他の実施形態を示す回路図。
【図17】従来のストリップラインフィルタの基本構成を示す回路図。
【図18】図17に示したストリップラインフィルタの通過(S21)特性および入力反射(S11)特性を示すグラフ。
【符号の説明】
11,21,31,41,51,61,71…ストリップラインフィルタ
12,13,12A,13A,12B,13B…ストリップライン
81…ストリップラインフィルタ
82,83…ストリップライン導体
84…グランド導体
85…回路基板
101…ストリップラインフィルタ
102…絶縁シート
104,105…ストリップライン
110a,110b,111a,111b…コンデンサ導体
120…積層体
141…ストリップラインフィルタ
142…絶縁シート
144A,145A,144B,145B…ストリップライン導体
146,147,148…コンデンサ導体
201…ストリップラインフィルタ
202,203,204…ストリップライン
C1,C2,C3…コンデンサ
【発明の属する技術分野】
本発明はストリップラインフィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、マイクロ波などの高周波領域で用いられる受動タイプのフィルタとしては、誘電体共振器を用いたもの、表面弾性波素子を用いたもの、積層型LC共振器を用いたもの、ストリップラインを用いたものなどが知られている。
【0003】
この中でストリップラインを用いたフィルタは一般に、図17に示すように誘電体基板上にストリップライン2,3をλ/4の長さだけ近接配置して電磁結合させ、その波長λに相当する周波数でフィルタ特性を得ている(非特許文献1参照)。このλ/4ストリップライン2,3はそれぞれ一端が開放され、他端が入出力外部電極4,5に電気的に接続されている。図18は、ストリップラインフィルタ1の通過(S21)特性および入力反射(S11)特性を示すグラフである。
【0004】
【非特許文献1】
小西良弘著「マイクロ波回路の基礎とその応用」結合電子出版、p.302
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の構成のストリップラインフィルタ1は、ストリップライン2,3の電磁結合にλ/4の長さを必要とするため、小型化が困難であった。従って、このストリップラインフィルタ1は波長の短い数十GHz帯でしか実用化されていない。また、フィルタ特性上からも、図18に示すように、一段では急峻な減衰カーブが得られないため、複数段直列に接続する必要がある。また、電磁結合を利用するため、結合損失が発生するという問題もある。
【0006】
さらに、従来のストリップラインフィルタ1は、ほとんどの場合、特性インピーダンスが50Ωのストリップライン2,3を必要とする。そのため、誘電体基板の誘電率εや基板厚みによってストリップライン2,3のパターン幅が決められてしまい、太線パターンの使用により小型化ができなかったり、逆に、細線パターンの使用により伝送損失が大きくなったりするということがあった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、ストリップライン同士を電磁結合させる必要がなく、薄型、小型化が容易なストリップラインフィルタを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用】
前記目的を達成するため、本発明に係るストリップラインフィルタは、線路長の異なる少なくとも二つのストリップラインを電気的に並列に接続して構成したことを特徴とする。例えば、積層タイプのストリップラインフィルタは、グランド導体と複数のストリップライン導体と複数の絶縁層とを積み重ねて積層体を構成し、複数のストリップライン導体にて線路長の異なる少なくとも二つのストリップラインを積層体内に形成し、少なくとも二つのストリップラインを電気的に並列に接続している。
【0009】
線路長の異なる少なくとも二つのストリップラインは、互いに位相の周期が異なっている。ストリップライン同士の位相差が180度になる周波数とストリップライン同士の位相が正負逆位相になる周波数とにおいて減衰極が形成される。そして、ストリップライン同士の位相差が0度になる周波数において通過帯が形成される。従って、二つのストリップラインの長さとパターン幅(ストリップラインの特性インピーダンス)との組み合わせを変えることにより、ストリップラインの位相特性が変わり、任意のフィルタ特性が得られる。
【0010】
また、本発明に係るストリップラインフィルタは、並列に接続された少なくとも二つのストリップライン間にグランドが配置されていることを特徴とする。例えば、積層タイプのストリップラインフィルタの場合、グランド導体を間にして、線路長の異なる少なくとも二つのストリップラインが積層体内の異なる層に配置されている。これにより、ストリップライン同士が電磁結合してしまうのを防止することができる。
【0011】
また、電気的に並列に接続された二つのストリップラインにコンデンサを電気的に直列に接続することにより、低周波領域の減衰特性が改善される。
【0012】
さらに、前述のストリップラインフィルタを電気的に複数段直列に接続することにより、より一層急峻な減衰カーブを有するフィルタが実現できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るストリップラインフィルタの実施の形態について添付の図面を参照して説明する。
【0014】
[基本回路構成および原理、図1〜図10]
図1は本発明に係るストリップラインフィルタの基本構成を示す回路図である。このストリップラインフィルタ11は、線路長の異なる二つのストリップライン12,13を電気的に並列に接続することにより構成されている。ストリップライン12,13のそれぞれの一方の端部は入力外部電極14に電気的に接続され、他方の端部は出力外部電極15に電気的に接続されている。ストリップライン12と13は電磁結合させる必要はない。また、ストリップライン12,13の線路長はλ/4に設定する必要もない。
【0015】
ここで、ストリップライン12の線路長を8.3mm、ストリップライン13の線路長を52.3mm、ストリップライン12,13の特性インピーダンスを共に50Ωに設定する。この場合、ストリップライン12,13のそれぞれを流れる信号の位相特性は図2の(A)に示すようなグラフになる。すなわち、線路長の短いストリップライン12を流れる信号の位相周期は長く(実線18参照)、線路長の長いストリップライン13を流れる信号の位相周期は短くなる(実線19参照)。
【0016】
図2の(B)は、ストリップラインフィルタ11の通過(S21)特性および入力反射(S11)特性を示すグラフである。入力外部電極14に入った高周波信号は、二つのストリップライン12,13にそれぞれ分波して流れた後、合波して出力外部電極15から出力される。このとき、図2の(A)のグラフにおいてストリップライン12と13の位相差が180度となる周波数f1(=約3.4GHz)とf2(=約10.3GHz)で、図2の(B)に示すように減衰極が発生する。なぜなら、この周波数では、二つのストリップライン12,13をそれぞれ高周波信号が流れる間に、ストリップライン12を流れる高周波信号の位相とストリップライン13を流れる高周波信号の位相とが180度ずれ、合波の際に両方の高周波信号が打ち消し合うからである。
【0017】
同様に、図2の(A)のグラフにおいてストリップライン12と13同士の位相が正負逆位相になる周波数f3(=約4.8GHz)とf4(=約9.8GHz)で、図2の(B)に示すように減衰極が発生する。さらに、図2の(A)のグラフにおいてストリップライン12と13の位相差が0度となる周波数f5(=約6.8GHz)を含む近傍で、図2の(B)に示すように通過帯が形成される。なぜなら、この周波数近傍では、ストリップライン12を流れる高周波信号とストリップライン13を流れる高周波信号は、殆ど打ち消し合うことなく合波されるからである。こうして得られたストリップラインフィルタ11は広帯域の通過帯をもつフィルタとなる。
【0018】
さて、以上の設定条件のストリップラインフィルタ11でも、フィルタ機能を有しているが、通過帯域が広くかつ減衰量が少ない。そこで、図1に示した基本構成のストリップラインフィルタ11において、ストリップライン12,13のパターン幅を太くするなどしてストリップライン12,13の特性インピーダンスを50Ωより低い数値(例えば10〜40Ω)にする。これにより、特性インピーダンスの容量成分が変化し、ストリップライン12,13の位相特性は図3の(A)に示すようなグラフになる(実線18参照)。この結果、ストリップラインフィルタ11の通過帯や減衰極の位置を変えることができ、図3の(B)に示すような通過(S21)特性や入力反射(S11)特性をもつ狭帯域の片側減衰フィルタが得られる。
【0019】
次に、図4に示すストリップラインフィルタ21は、図1に示したストリップラインフィルタの基本構成にコンデンサC1,C2を直列に接続したものである。これにより、直流成分および低周波成分を減衰させて、より急峻な減衰カーブをもつバンドパスフィルタ機能が得られる。図5は、ストリップラインフィルタ21の通過(S21)特性および入力反射(S11)特性を示すグラフである(実線S21,S11参照)。比較のために、図5にはストリップラインフィルタ11の通過(S21’)特性および入力反射(S11’)特性も併せて記載している(点線S21’,S11’参照)。
【0020】
また、減衰量を改善するためには、図1に示したストリップラインフィルタの基本構成を多段直列に接続するとよい。具体例を図6〜図9に示す。図6のストリップラインフィルタ31は、図1に示したストリップラインフィルタの基本構成を2段直列に接続したものである。図7〜図9のストリップラインフィルタ41,51,61は、図1に示したストリップラインフィルタの基本構成を2段直列に接続するとともに、コンデンサを直列に接続したものである。減衰極の位置は、ストリップライン12A,13A,12B,13Bの線路長や特性インピーダンスを変えたり、コンデンサC1〜C3の静電容量を変えたりして調整することができる。
【0021】
また、図10のストリップラインフィルタ71のように、図1に示したストリップラインフィルタの基本構成にバンドパスフィルタ72をコンデンサC1を介して直列に接続しても、減衰量を改善することができる。バンドパスフィルタ72の代わりに、ローパスフィルタやハイパスフィルタ、あるいは、低域阻止フィルタを用いても同様の効果が得られる。
【0022】
[第1実施形態、図11]
図11に示すストリップラインフィルタ81は、一般的な回路基板85の上面に形成されている。このストリップラインフィルタ81は、直線形状の線路長の短いストリップライン導体82と、蛇行形状の線路長の長いストリップライン導体83とを電気的に並列に接続することにより構成されている。回路基板85の下面には広面積のグランド導体84が形成されている。ストリップライン導体82,83とグランド導体84は、回路基板85を間に挟んでマイクロストリップ構造を構成している。なお、回路基板85には、他の信号パターンや電子部品(インダクタ、コンデンサ、ICなど)が形成されたり、搭載されているが、図示していない。
【0023】
回路基板85には、例えばガラス不織布にポリイミド樹脂やエポキシ樹脂を含浸させた基板、あるいは、誘電体材料からなるセラミック基板などが使用される。ストリップライン導体82,83やグランド導体84は、Cu,Ag,Ag−Pd,Alなどの導電性ペーストをスクリーン印刷法などの方法により塗布して焼付けることにより形成される。
【0024】
こうして回路基板85上に形成されたストリップラインフィルタ81は、図1に示す基本構成回路を有し、フィルタとして機能する。このストリップラインフィルタ81において、ストリップライン導体82,83の線路長と特性インピーダンスの組み合わせを変える。例えば、ストリップライン導体82,83のパターン幅を太くしたり、回路基板85の板厚を厚くしてグランド導体84とストリップライン導体82,83との距離を離したりして、ストリップライン導体82,83の特性インピーダンスを50Ωより低い数値(10〜40Ω)にする。これにより、ストリップラインフィルタ81の通過帯や減衰極の位置を変えることができ、種々のフィルタ特性を実現することができる。
【0025】
さらに、ストリップラインフィルタ81は、ストリップライン導体82と83を電磁結合させる必要がなく、また、線路長をλ/4に設定する必要もないので、小型化が容易である。
【0026】
[第2実施形態、図12および図13]
図12に示すように、ストリップラインフィルタ101は、ストリップライン導体104,105a,105bをそれぞれ表面に形成した絶縁シート102と、コンデンサ導体110a,111a、110b,111bをそれぞれ表面に形成した絶縁シート102と、グランド導体115,116,117をそれぞれ表面に形成した絶縁シート102と、予め導体を表面に設けていない保護用絶縁シート102などにて構成されている。
【0027】
直線形状のストリップライン導体104は、シート102の中央部に配設され、単独で線路長の短いストリップラインを形成している。その両端部はシート102の手前側および奥側の辺に露出している。渦巻形状のストリップライン導体105bは、シート102に設けたビアホール107を介して直線形状のストリップライン導体105aに電気的に直列に接続され、線路長の長いストリップライン105を形成している。このとき、ビアホール107を軸方向に延在させ、ビアホール自体をストリップライン105の主要な構成部分として利用してもよい。これにより、ストリップラインフィルタ101のQ値をさらに良くすることができる。ストリップライン104と105は電気的に並列に接続する。
【0028】
ストリップライン104と105の間には、グランド導体116が配設されている。グランド導体116はストリップライン104と105の間の電磁結合を抑えるので、ストリップライン104と105の間の距離を接近させることができ、ストリップラインフィルタ101を小型にできる。さらに、本第2実施形態では、渦巻形状のストリップライン導体105bを用いることにより、より一層の小型化を行っている。
【0029】
さらに、ストリップライン104と105は、グランド導体115,117によって上下方向に挟まれ、ストリップライン構造を構成している。ただし、グランド導体115,117を省略して、マイクロストリップライン構造を構成させるようにしてもよい。
【0030】
コンデンサ導体110aと110bは、シート102を間に挟んで対向してコンデンサC1を形成している。コンデンサ導体111aと111bはシート102を間に挟んで対向してコンデンサC2を形成している。
【0031】
絶縁シート102の材料としては、誘電体などのセラミックが使用される。導体104〜117は、Ag,Ag−Pd,Cuなどの導電性ペーストを用いて、それぞれシート102上に印刷法などの方法にて形成される。
【0032】
各シート102は積み重ねられて一体的に焼成され、図13に示すような積層体120とされる。この積層体120の手前側の側面部に入力外部電極121,中継外部電極123およびダミー外部電極125が設けられる。奥側の側面部には、出力外部電極122、中継外部電極124およびダミー外部電極126が設けられる。そして、左右の両端部にはグランド外部電極127,128が設けられる。
【0033】
入力外部電極121はコンデンサ導体110aの端部に電気的に接続している。出力外部電極122はコンデンサ導体111aの端部に電気的に接続している。中継外部電極123は、コンデンサ導体110bの端部およびストリップライン導体104,105bの一方の端部に電気的に接続している。中継外部電極124は、コンデンサ導体111bの端部およびストリップライン導体104,105aの他方の端部に電気的に接続している。グランド外部電極127,128はグランド導体115〜117の端部に電気的に接続している。ただし、コンデンサ導体110b,111bとストリップライン導体104,105b,105aとの電気的接続はシート102に設けたビアホールを利用して行ってもよい。
【0034】
こうして得られた積層型ストリップラインフィルタ101は、図4に示す回路と同様の等価回路を有し、フィルタとして機能する。このストリップラインフィルタ101において、ストリップライン導体104,105a,105bの線路長と特性インピーダンスの組み合わせを変える。例えば、ストリップライン導体104,105a,105bのパターン幅を太くしたり、シート102の厚みを厚くしてグランド導体115〜117とストリップライン導体104,105a,105bとの距離を離したりして、ストリップライン104,105の特性インピーダンスを50Ωより低い数値(10〜40Ω)にする。これにより、ストリップラインフィルタ101の通過帯や減衰極の位置を変えることができ、種々のフィルタ特性を実現することができる。
【0035】
さらに、ストリップラインフィルタ101は、ストリップライン104と105を電磁結合させる必要がなく、また、線路長をλ/4に設定する必要もないので、小型化が容易である。
【0036】
[第3実施形態、図14および図15]
図14に示すように、ストリップラインフィルタ141は、ストリップライン導体144A,145A,144B,145Bおよびコンデンサ導体146,147を表面に形成した絶縁シート142と、コンデンサ導体148を表面に形成した絶縁シート142と、グランド導体150,151をそれぞれ表面に形成した絶縁シート142と、予め導体を表面に設けていない保護用絶縁シート142などにて構成されている。
【0037】
略直線形状の線路長の短いストリップライン導体144Aと、蛇行形状の線路長の長いストリップライン導体145Aとは、電気的に並列に接続され、シート142の左側半分に配設されている。ストリップライン導体144A,145Aのそれぞれの一端はシート142の手前側の辺に露出し、他端はコンデンサ導体146に接続されている。
【0038】
略直線形状の線路長の短いストリップライン導体144Bと、蛇行形状の線路長の長いストリップライン導体145Bとは、電気的に並列に接続され、シート142の右側半分に配設されている。ストリップライン導体144B,145Bのそれぞれの一端はシート142の奥側の辺に露出し、他端はコンデンサ導体147に接続されている。
【0039】
コンデンサ導体146と147はシート142を間に挟んでコンデンサ導体148と対向し、コンデンサC1を形成している。さらに、ストリップライン導体144A〜145Bは、グランド導体150,151によって上下方向に挟まれ、ストリップライン構造を構成している。
【0040】
各シート142は積み重ねられて一体的に焼成され、図15に示すような積層体160とされる。この積層体160の手前側の側面部に入力外部電極161およびダミー外部電極163,164が設けられる。奥側の側面部には、出力外部電極162およびダミー外部電極165,166が設けられる。そして、左右の両端部にはグランド外部電極167,168が設けられる。
【0041】
入力外部電極161はストリップライン導体144A,145Aの一端に電気的に接続している。出力外部電極162はストリップライン導体144B,145Bの一端に電気的に接続している。グランド外部電極167,168はグランド導体150,151の端部に電気的に接続している。
【0042】
こうして得られた積層型ストリップラインフィルタ141は、図7に示す回路と同様の等価回路を有し、フィルタとして機能する。このストリップラインフィルタ141は、前記第2実施形態のストリップラインフィルタ101と同様の作用効果を奏するとともに、ストリップラインフィルタの基本回路を2段直列に接続しているので、より一層急峻な減衰カーブを有するフィルタを実現することができる。また、ストリップライン導体144A〜145Bを同一シート142上に形成しているので、ストリップラインフィルタ141を低背化できる。
【0043】
[他の実施形態]
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。特に、並列に接続するストリップラインの数は任意であり、例えば図16に示すように、線路長の異なる三つのストリップライン202,203,204を並列に接続して構成したストリップラインフィルタ201であってもよい。さらに、図1に示した二つ並列接続ストリップライン12,13と三つ並列接続ストリップライン202〜204を2段直列接続したものであってもよい。
【0044】
また、前記実施形態は、ストリップラインが形成された絶縁シートを積み重ねた後、一体的に焼成するものであるが、必ずしもこれに限定されない。シートは予め焼成されたものを用いてもよい。、また、以下に説明する製法によってストリップラインフィルタを製作してもよい。印刷などの方法によりペースト状の絶縁材料を塗布して絶縁層を形成した後、その絶縁層の表面にペースト状の導電体材料を塗布して任意の形状のストリップラインを形成する。次に、ペースト状の絶縁材料を前記ストリップラインの上から塗布する。こうして順に重ね塗りすることによって積層構造を有するストリップラインフィルタが得られる。
【0045】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、線路長の異なる少なくとも二つのストリップラインを電気的に並列に接続することにより、フィルタとして機能させることができる。そして、二つのストリップラインの線路長と特性インピーダンスの組み合わせを変えることにより、任意のフィルタ特性を得ることができる。しかも、ストリップラインを電磁結合させる必要がなく、また、線路長をλ/4に設定する必要もないので、低損失で小型のストリップラインフィルタが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るストリップラインフィルタの基本構成を示す回路図。
【図2】図1に示したストリップラインフィルタの原理を説明するためのグラフであり、(A)は二つのストリップラインのそれぞれの位相特性を示すグラフ、(B)はストリップラインフィルタの通過(S21)特性および入力反射(S11)特性を示すグラフ。
【図3】(A)はストリップラインの特性インピーダンスを下げたときの、二つのストリップラインのそれぞれの位相特性を示すグラフ、(B)はストリップラインフィルタの通過(S21)特性および入力反射(S11)特性を示すグラフ。
【図4】図1に示したストリップラインフィルタの基本構成にコンデンサを直列に接続した回路図。
【図5】図4に示したストリップラインフィルタの通過(S21)特性および入力反射(S11)特性を示すグラフ。
【図6】図1に示したストリップラインフィルタの基本構成を2段直列に接続した回路図。
【図7】図6の回路の変形例を示す回路図。
【図8】図6の回路の別の変形例を示す回路図。
【図9】図6の回路のさらに別の変形例を示す回路図。
【図10】図1に示したストリップラインフィルタの基本構成にバンドパスフィルタを直列に接続した回路図。
【図11】本発明に係るストリップラインフィルタの一実施形態を示す外観斜視図。
【図12】本発明に係るストリップラインフィルタの別の実施形態を示す分解斜視図。
【図13】図12に示したストリップラインフィルタの外観斜視図。
【図14】本発明に係るストリップラインフィルタのさらに別の実施形態を示す分解斜視図。
【図15】図14に示したストリップラインフィルタの外観斜視図。
【図16】他の実施形態を示す回路図。
【図17】従来のストリップラインフィルタの基本構成を示す回路図。
【図18】図17に示したストリップラインフィルタの通過(S21)特性および入力反射(S11)特性を示すグラフ。
【符号の説明】
11,21,31,41,51,61,71…ストリップラインフィルタ
12,13,12A,13A,12B,13B…ストリップライン
81…ストリップラインフィルタ
82,83…ストリップライン導体
84…グランド導体
85…回路基板
101…ストリップラインフィルタ
102…絶縁シート
104,105…ストリップライン
110a,110b,111a,111b…コンデンサ導体
120…積層体
141…ストリップラインフィルタ
142…絶縁シート
144A,145A,144B,145B…ストリップライン導体
146,147,148…コンデンサ導体
201…ストリップラインフィルタ
202,203,204…ストリップライン
C1,C2,C3…コンデンサ
Claims (8)
- 線路長の異なる少なくとも二つのストリップラインを電気的に並列に接続して構成したことを特徴とするストリップラインフィルタ。
- 線路長の異なる少なくとも二つのストリップラインを電気的に並列に接続するとともに、前記二つのストリップラインに電気的に直列にコンデンサを接続したことを特徴とするストリップラインフィルタ。
- 請求項1または請求項2に記載のストリップラインフィルタを電気的に複数段直列に接続したことを特徴とするストリップラインフィルタ。
- 並列に接続された前記少なくとも二つのストリップライン間にグランドが配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のストリップラインフィルタ。
- グランド導体と複数のストリップライン導体と複数の絶縁層とを積み重ねて積層体を構成し、複数の前記ストリップライン導体にて線路長の異なる少なくとも二つのストリップラインを前記積層体内に形成し、少なくとも二つの前記ストリップラインを電気的に並列に接続したことを特徴とするストリップラインフィルタ。
- 線路長の異なる少なくとも二つの前記ストリップラインが前記積層体内の異なる層に配置していることを特徴とする請求項5に記載のストリップラインフィルタ。
- 前記グランド導体を間にして、線路長の異なる少なくとも二つの前記ストリップラインが前記積層体内の異なる層に配置していることを特徴とする請求項5に記載のストリップラインフィルタ。
- 互いに位相の周期が異なる少なくとも二つのストリップラインを電気的に並列に接続し、前記ストリップライン同士の位相差が180度になる周波数と前記ストリップライン同士の位相が正負逆位相になる周波数とにおいて減衰極が形成され、前記ストリップライン同士の位相差が0度になる周波数において通過帯が形成されていることを特徴とするストリップラインフィルタ。
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