JP2004179259A - 回路基板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】切断加工時に発生する金属バリによって回路に短絡が発生するのを防ぐとともに、切断加工によって母基板、メタライズ配線層、絶縁層に欠け、割れ等の破損が発生することのない、信頼性が高く効率良く製造できる回路基板およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】回路基板5は、セラミックスから成る絶縁基板の主面に、メタライズ配線層2と、絶縁基板の主面およびメタライズ配線層2の絶縁基板の外周縁の部位に全周にわたって積層された絶縁層3と、メタライズ配線層2上の絶縁層3以外の部位に被着された金属めっき層4とが形成されているとともに、絶縁基板、メタライズ配線層2および絶縁層3のそれらの側面が切断刃で切断された切断面となっており、絶縁層3の厚さをT、幅をW、メタライズ配線層2の厚さをtとしたとき、t≦T≦Wである。
【選択図】 図1
【解決手段】回路基板5は、セラミックスから成る絶縁基板の主面に、メタライズ配線層2と、絶縁基板の主面およびメタライズ配線層2の絶縁基板の外周縁の部位に全周にわたって積層された絶縁層3と、メタライズ配線層2上の絶縁層3以外の部位に被着された金属めっき層4とが形成されているとともに、絶縁基板、メタライズ配線層2および絶縁層3のそれらの側面が切断刃で切断された切断面となっており、絶縁層3の厚さをT、幅をW、メタライズ配線層2の厚さをtとしたとき、t≦T≦Wである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子、抵抗器、コンデンサ等の電子部品が搭載されるセラミック製の回路基板、および母基板から複数の回路基板を生産性良く得るための製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子、抵抗器、コンデンサ等の電子部品が搭載されるセラミック製の回路基板は、例えば酸化アルミニウム(Al2O3)質焼結体(アルミナセラミックス)からなる絶縁基板の主面に、配線導体として、タングステン(W)やモリブデン(Mo)等の高融点金属からなるメタライズ配線層上にニッケル(Ni)や金(Au)等からなる金属めっき層を被着したものを形成している。
【0003】
このような従来の回路基板は、その量産性を考慮して、図2に示す方法によって以下の[1]〜[4]の工程で製造される(例えば、下記の特許文献1参照)。
【0004】
[1]まず、主面に分割線によって形成された複数の回路基板領域にWやMo等の高融点金属からなるメタライズ配線層12がそれぞれ形成された広面積のセラミック製の母基板11を準備する(図2(a))。
【0005】
[2]次に、分割線において切断加工する際にメタライズ配線層12に金属バリが発生するのを抑制するために、母基板11およびメタライズ配線層12の分割線の部位を覆うように帯状の絶縁層13を被着する(図2(b))。
【0006】
[3]次に、各メタライズ配線層12上の絶縁層13以外の部位に、メタライズ配線層12の酸化腐蝕を防止し、かつ電子部品との電気的接続を強固とするために、NiやAu等の耐蝕性の良好な金属からなる金属めっき層14を被着する(図2(c))。
【0007】
[4]最後に、母基板11を絶縁層13の部分(分割線)でダイシング加工やスライス加工等の切断加工によって切断し、個々の回路基板15に分割する(図2(d))。
【0008】
このようにして、メタライズ配線層12を有する回路基板15を一度に多数個集約的に製造することができるとともに、メタライズ配線層12を切断加工することによって発生する金属バリを最小限に抑え、回路基板15の回路(メタライズ配線層12)において金属バリによって電気的な短絡が起こるのを防止し、電子部品を正常かつ良好に作動させることができる。
【0009】
【特許文献1】
特開平4−137752号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の回路基板15においては、絶縁層13の厚さが変動することにより以下のような問題点があった。
【0011】
即ち、図2(d)に示すように、ダイシング加工やスライス加工等の切断加工により、絶縁層13およびメタライズ配線層12を切断加工する際に、切断刃の接触する絶縁層13の側面にメタライズ配線層12の金属の一部が引っ張られる。その結果、絶縁層13が薄い場合、引っ張られたメタライズ配線層12が切断部付近で持ち上がって、金属バリとなるとともに絶縁層13を破損させる。この金属バリによって、回路基板15の回路であるメタライズ配線層12に短絡が発生し、その結果、電子部品が誤作動するという問題点があった。
【0012】
また、絶縁層13が厚い場合、切断加工時に切断刃と母基板11に大きな摩擦力が加わって、切断される母基板11、メタライズ配線層12、絶縁層13に欠け、割れ等の破損が発生するとともに、切断加工に時間がかかり、母基板11から回路基板15を効率よく製造するのが困難になるという問題点があった。
【0013】
従って、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、切断加工時に発生する金属バリによって回路に短絡が発生するのを防ぐとともに、切断加工によって母基板、メタライズ配線層、絶縁層に欠け、割れ等の破損が発生することのない、信頼性が高く効率良く製造できる回路基板およびその製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の回路基板は、セラミックスから成る絶縁基板の主面に、前記絶縁基板の外周縁から前記主面の中央部にかけて形成されたメタライズ配線層と、前記絶縁基板の主面および前記メタライズ配線層の前記絶縁基板の外周縁の部位に略全周にわたって積層された絶縁層と、前記メタライズ配線層上の前記絶縁層以外の部位に被着された金属めっき層とが形成されているとともに、前記絶縁基板、前記メタライズ配線層および前記絶縁層のそれらの側面が切断刃で切断された切断面となっており、前記絶縁層の厚さをT、幅をW、前記メタライズ配線層の厚さをtとしたとき、t≦T≦Wであることを特徴とする。
【0015】
本発明の回路基板は、絶縁層の厚さをT、幅をW、メタライズ配線層の厚さをtとしたとき、t≦T≦Wであることから、多数個取りによる製造方法でダイシング加工やスライス加工等の切断加工で絶縁層およびメタライズ配線層を切断加工して母基板から個々の回路基板を分割して製造する際に、切断刃の摩擦力によってメタライズ配線層が引っ張られて持ち上がり、絶縁層が破損するのを防止することができる。また、メタライズ配線層の金属バリが発生するのを抑制するとともに、切断加工時に切断刃と母基板に大きな摩擦力が加わるのを防止して切断される母基板、メタライズ配線層、絶縁層に欠け、割れ等の破損が発生するのを防止できる。
【0016】
本発明の回路基板の製造方法は、主面に複数の回路基板領域が形成された母基板を切断刃によって分割して個々の回路基板を作製する回路基板の製造方法において、主面に複数の回路基板領域が縦横に並ぶように分割線によって区切られて形成されたセラミックスから成る母基板の前記回路基板領域に厚さtのメタライズ配線層をそれぞれ形成する工程と、前記母基板および前記メタライズ配線層の前記分割線の部位に、厚さTがt≦T≦Wで幅が2W+d(ただし、Wは分割後の幅でdは切断刃の厚さである)の関係にある帯状の絶縁層をその幅方向の中心線が前記分割線に略合致するように積層する工程と、それぞれの前記メタライズ配線層上の前記絶縁層以外の部位に金属めっき層を被着する工程と、前記絶縁層、前記メタライズ配線層および前記母基板を前記分割線において切断刃で切断することにより個々の回路基板に分割する工程とを具備したことを特徴とする。
【0017】
本発明の回路基板の製造方法は、母基板およびメタライズ配線層の分割線の部位に、厚さTがt≦T≦Wで幅が2W+dの関係にある帯状の絶縁層をその幅方向の中心線が分割線に略合致するように積層することから、絶縁層およびメタライズ配線層を切断加工して母基板から個々の回路基板を分割して製造する際に、切断刃の摩擦力によってメタライズ配線層が引っ張られて持ち上がり、絶縁層が破損するのを防止することができる。また、メタライズ配線層の金属バリが発生するのを抑制するとともに、切断加工時に切断刃と母基板に大きな摩擦力が加わるのを防止して切断される母基板、メタライズ配線層、絶縁層に欠け、割れ等の破損が発生するのを防止できる。また、切断加工にかかる時間を短縮して母基板から回路基板を効率よく製造することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の回路基板について以下詳細に説明する。図1(a)〜(e)は本発明の回路基板の製造方法について実施の形態の一例を示すものであり、各工程における母基板または回路基板の断面図である。
【0019】
本発明の回路基板の具体的な製造方法を以下に説明する。
【0020】
まず、図1(a)に示すように、主面に複数の回路基板領域1bが縦横に並ぶように分割線1aによって区切られて形成されたセラミックスから成る母基板1の回路基板領域1bに厚さtのメタライズ配線層をそれぞれ形成する。この母基板1は、Al2O3セラミックスや窒化アルミニウム(AlN)セラミックス等のセラミックスから成り、以下のようにして作製される。例えば、Al2O3セラミックスから成る場合、先ずAl2O3、酸化珪素(SiO2)、酸化マグネシウム(MgO)および酸化カルシウム(CaO)等の原料粉末に適当な有機バインダー、可塑剤、溶剤等を添加混合して泥漿状と成す。これを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等のテープ成形技術により複数のセラミックグリーンシート(以下、グリーンシートともいう)を得る。次に、このグリーンシートに、W,Mo等の高融点金属粉末に適当な有機バインダー、可塑剤、溶剤等を添加混合して得た金属ペーストを、スクリーン印刷法等の厚膜形成技術により印刷塗布して、メタライズ配線層2となる金属ペースト層を所定パターンに形成する。これを還元雰囲気中約1600℃の温度で焼成することにより製作される。
【0021】
次に、図1(b)に示すように、母基板1およびメタライズ配線層2の分割線1aの部位に、厚さTと切断後の幅Wとがt≦T≦Wの関係にある帯状の絶縁層3をその幅方向の中心線が分割線1aに略合致するように積層する。絶縁層3は、例えばAl2O3セラミックスからなり、SiO2、MgOおよびCaO等の原料粉末に適当な有機バインダー、可塑剤、溶剤等を添加混合して得た絶縁ペーストを、メタライズ配線層2上の所定の部位にスクリーン印刷法により帯状に印刷塗布し、これを還元雰囲気中約1600℃の温度で焼成することによって被着され積層される。この絶縁層3は、母基板1を切断加工して複数の回路基板5に分割する際に、回路基板5の切断部に多量の金属バリが発生するのを有効に防止するとともに、母基板1の切断部を示す目印としても機能する。
【0022】
なお、絶縁層3は上述のAl2O3焼結体に限定されるものでなく、エポキシ樹脂やシリコン樹脂等の他の電気絶縁材料であってもよい。ただし、絶縁層3がAl2O3焼結体から成る場合、母基板1およびメタライズ配線層2に極めて強固に被着されるため、母基板1を切断加工して複数の回路基板5に分割する際にメタライズ配線層2が剥離するのを有効に防止することができる。
【0023】
また、絶縁層3の幅は、切断前に2W+dであり、切断後にWとなる。絶縁層3の厚さTをt≦T≦Wとすることにより、ダイシング加工やスライス加工等の切断加工で絶縁層3、メタライズ配線層2および母基板1を切断加工する際に、切断刃の摩擦力によってメタライズ配線層2が持ち上がり絶縁層3が破損するのを防止するとともに、金属バリが発生するのを抑制することができる。また、切断加工時に切断刃と母基板1に大きな摩擦力が加わるのを防止し、切断される母基板1、メタライズ配線層2および絶縁層3に欠け、割れ等の破損が発生するのを防止できる。また、切断加工にかかる時間を短縮して母基板1から回路基板5を効率よく製造することができる。
【0024】
T<tの場合、メタライズ配線層2の厚さに対し絶縁層3の厚さが薄くなり、切断刃に擦りつけられたメタライズ配線層2が持ち上がって絶縁層3を破損し、金属バリが発生し易くなり、この金属バリによって回路基板5に短絡が発生し、その結果、回路基板5に搭載される電子部品が誤作動し易くなる。
【0025】
T>Wの場合、絶縁層3が厚くなり、切断加工時に切断しにくいため切断刃の回転力(トルク)を大きくしたり回転数を上げる必要が生じ、その結果、切断刃と母基板1に大きな摩擦力が加わって、母基板1、メタライズ配線層2、絶縁層3に欠け、割れ等の破損が発生し易くなる。また、切断刃に大きな摩擦力が加わるため、切断加工に時間がかかり、母基板1から回路基板5を効率よく製造するのが困難になる。
【0026】
なお、tは0.005〜0.03mm程度であり、Wは0.1〜0.5mm程度である。絶縁層3の切断前の幅は、切断刃の厚さがdの場合2W+dとする。回路基板5の厚さは0.2〜7mm程度であり、切断刃の厚さdは0.15〜0.7mmである。
【0027】
次に、図1(c)に示すように、それぞれのメタライズ配線層2上の絶縁層3以外の部位に金属めっき層4を被着する。金属めっき層4は、メタライズ配線層2が酸化腐蝕するのを有効に防止し、かつメタライズ配線層2に半導体素子、抵抗器、コンデンサ等の電子部品との電気的接続を強固とするためのものであり、NiやAu等の耐蝕性の強い金属からなり、従来周知の電解メッキ法や無電解メッキ法により被着される。
【0028】
金属めっき層4の厚さは0.05〜20μmが好ましい。0.05μm未満であると、金属めっき層4がメタライズ配線層2を完全に覆うことが難しくなり、メタライズ配線層2に酸化腐蝕が発生したり、メタライズ配線層2と電子部品との電気的接続が劣化し易くなる。また20μmより厚くなると、製品としての回路基板5が極めて高価なものとなってしまう。
【0029】
最後に、絶縁層3、メタライズ配線層2および母基板1を分割線1aにおいて切断刃で切断することにより個々の回路基板5に分割する。これにより、図1(d)に示すように、主面にメタライズ配線層2を有する製品としての回路基板5が一度に多数個集約的に製作される。
【0030】
なお、母基板1をダイシング加工やスライス加工等の切断加工によって切断する際の切断部は、絶縁層3の中心線(分割線1a)の部位である。その切断部には金属めっき層4が存在しないことから、金属めっき層4に金属バリが発生することは一切なく、その結果、金属めっき層4の金属バリによって回路基板5に短絡が発生するのを確実に防止できる。
【0031】
なお、分割線1aは、母基板1の主面に実際に形成された溝状のもの等であってもよいし、絶縁層3の中心線を仮想的な分割線1aとみなしてもよい。
【0032】
また、メタライズ配線層2上に電子部品をロウ材、半田等の導電性接着剤を用いて固定する場合に、導電性接着剤が回路基板5の側面に流れ出すのを絶縁層3により防止でき、良好な導電性接着剤のメニスカスを形成し得る。このように導電性接着剤が流れるのを防止し、良好な導電性接着剤のメニスカスを形成するために、導電性接着剤の量や成分に応じて絶縁層3の幅Wを決定することもできる。
【0033】
かくして、本発明の回路基板5は、セラミックスから成る絶縁基板の主面に、絶縁基板の外周縁から主面の中央部にかけて形成されたメタライズ配線層2と、絶縁基板の主面およびメタライズ配線層2の絶縁基板の外周縁の部位に略全周にわたって積層された絶縁層3と、メタライズ配線層2上の絶縁層3以外の部位に被着された金属めっき層4とが形成されているとともに、絶縁基板、メタライズ配線層2および絶縁層3のそれらの側面が切断刃で切断された切断面となっており、絶縁層3の厚さをT、幅をW、メタライズ配線層2の厚さをtとしたとき、t≦T≦Wである。これにより、切断刃の摩擦力によってメタライズ配線層2が引っ張られて持ち上がり、絶縁層3が破損するのを防止することができる。また、メタライズ配線層2の金属バリが発生するのを抑制するとともに、切断加工時に切断刃と母基板1に大きな摩擦力が加わるのを防止して切断される母基板1、メタライズ配線層2、絶縁層3に欠け、割れ等の破損が発生するのを防止できる。
【0034】
また、絶縁基板、メタライズ配線層2および絶縁層3のそれらの側面は、切断刃による擦り痕等を顕微鏡観察等で確認することができることから、切断刃で切断された切断面であることを特定できる。
【0035】
【実施例】
本発明の回路基板の実施例を以下に説明する。
【0036】
本発明の回路基板5を以下のようにして製作した。まず、縦66.7mm×横66.7mm×厚さ0.33mmのAl2O3セラミックスからなる母基板1となるグリーンシートに、メタライズ配線層2となるWを主成分とする金属ペーストを塗布し、幅0.55mm×長さ66.7mm×厚さtmmの直線状の金属ペースト層を5.56mm間隔で11本互いに平行になるように形成した。この金属ペースト層は、回路基板5となった後、各回路基板5の中央を通るように配置された1本の直線状のメタライズ配線層2となる。次に、金属ペースト層が形成されたグリーンシートを還元雰囲気中約1600℃の温度で焼成した。これにより、幅0.5mm×長さ60mm×厚さtmmのメタライズ配線層2が5mm間隔で互いに平行になるように11本形成された、縦60mm×横60mm×厚さ0.3mmの図1(a)に示す母基板1となった。
【0037】
次に、図1(b)に示すように、母基板1およびメタライズ配線層2の分割線1aの部位を覆うようにAl2O3焼結体からなる幅0.4mm×長さ60mmの帯状の絶縁層3を、メタライズ配線層2と略垂直な直線状に5mm間隔で12本互いに平行になるようにするとともにメタライズ配線層2と平行な方向に10本互いに平行になるように積層した。即ち、個々の回路基板において外周縁の略全周に絶縁層3が形成されるようにした。また、母基板1の両端部にも絶縁層3を積層した。
【0038】
次に、図1(c)に示すように、メタライズ配線層2の露出表面にNiからなる5μmの金属めっき層4を電解メッキ法により被着した。
【0039】
次に、分割線1a直上の絶縁層3の中心線において、絶縁層3、メタライズ配線層2および母基板1を、刃厚0.2mmのダイシング刃を用いてダイシング加工して切断した。これにより、11本の平行なメタライズ配線層2が形成された13個の短冊状の中間基板のうち両端のものを捨てて、11個の短冊状の中間基板を作製した。次に、各中間基板において、各メタライズ配線層2同士の間のメタライズ配線層2に平行な絶縁層3の中心線においてダイシング法で切断することにより、121個の個々の回路基板5を得た。
【0040】
これによって、図1(d)に示すように、上面の略中央に幅0.5mm×長さ5mm×厚さtmmの直線状のメタライズ配線層2を有する縦5mm×横5mm×厚さ0.3mmの回路基板5を121個製作した。なお、各回路基板5での絶縁層3の幅Wは0.1mmである。
【0041】
上記のようにして、メタライズ配線層2の厚さtおよび絶縁層3の厚さTを表1に示す種々の値となるようにして、回路基板5の試料を各121個作製した。
【0042】
各試料について、回路基板5の側面を光学顕微鏡で観察し、長さ20μm以上のメタライズ配線層2の金属バリの有無、長さ20μm以上の回路基板5の欠け、割れの有無を評価した。金属バリと欠け、割れとの少なくとも一方が生じた試料を不良品とした。その結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
表1より、Tがtより薄い場合、切断面で切断刃に擦りつけられたメタライズ配線層2が持ち上がって絶縁層3を破損させ、長さが20μm以上の金属バリが発生した。TがWより厚い場合、回路基板5に長さが20μm以上の欠け、割れが発生した。
【0045】
また、同様な評価を、母基板1での絶縁層3の幅を1.2mm、即ち回路基板5での絶縁層3の幅Wを0.5mmとした場合に、t,Tを表2に示す種々の値となるようにして、回路基板5の試料を各121個ずつ作製した場合についても行なった。その結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
表2より、Tがtより薄い場合、切断面で切断刃に擦りつけられたメタライズ配線層2が持ち上がって絶縁層3を破損させ、長さが20μm以上の金属バリが発生した。TがWより厚い場合、回路基板5に長さが20μm以上の欠け、割れが発生した。
【0048】
以上より、t≦T≦Wとすることにより、回路基板5での金属バリの発生を抑制するとともに、欠け、割れ等の破損が発生するのを抑制できることが判った。
【0049】
なお、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を行なうことは何等差し支えない。
【0050】
【発明の効果】
本発明の回路基板は、絶縁層の厚さをT、メタライズ配線層の厚さをt、絶縁層の幅をWとしたとき、t≦T≦Wであることから、多数個取りによる製造方法でダイシング加工やスライス加工等の切断加工で絶縁層およびメタライズ配線層を切断加工して母基板から個々の回路基板を分割して製造する際に、切断刃の摩擦力によってメタライズ配線層が引っ張られて持ち上がり、絶縁層が破損するのを防止することができる。また、メタライズ配線層の金属バリが発生するのを抑制するとともに、切断加工時に切断刃と母基板に大きな摩擦力が加わるのを防止して切断される母基板、メタライズ配線層、絶縁層に欠け、割れ等の破損が発生するのを防止できる。
【0051】
本発明の回路基板の製造方法は、母基板およびメタライズ配線層の分割線の部位に、厚さTがt≦T≦Wで幅が2W+dの関係にある帯状の絶縁層をその幅方向の中心線が分割線に略合致するように積層することから、絶縁層およびメタライズ配線層を切断加工して母基板から個々の回路基板を分割して製造する際に、切断刃の摩擦力によってメタライズ配線層が引っ張られて持ち上がり、絶縁層が破損するのを防止することができる。また、メタライズ配線層の金属バリが発生するのを抑制するとともに、切断加工時に切断刃と母基板に大きな摩擦力が加わるのを防止して切断される母基板、メタライズ配線層、絶縁層に欠け、割れ等の破損が発生するのを防止できる。また、切断加工にかかる時間を短縮して母基板から回路基板を効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(e)は本発明の回路基板の製造方法を説明するための各工程毎の母基板または回路基板の断面図である。
【図2】(a)〜(d)は従来の回路基板の製造方法を説明するための各工程毎の母基板または回路基板の断面図である。
【符号の説明】
1:母基板
2:メタライズ配線層
3:絶縁層
4:金属めっき層
5:回路基板
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子、抵抗器、コンデンサ等の電子部品が搭載されるセラミック製の回路基板、および母基板から複数の回路基板を生産性良く得るための製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子、抵抗器、コンデンサ等の電子部品が搭載されるセラミック製の回路基板は、例えば酸化アルミニウム(Al2O3)質焼結体(アルミナセラミックス)からなる絶縁基板の主面に、配線導体として、タングステン(W)やモリブデン(Mo)等の高融点金属からなるメタライズ配線層上にニッケル(Ni)や金(Au)等からなる金属めっき層を被着したものを形成している。
【0003】
このような従来の回路基板は、その量産性を考慮して、図2に示す方法によって以下の[1]〜[4]の工程で製造される(例えば、下記の特許文献1参照)。
【0004】
[1]まず、主面に分割線によって形成された複数の回路基板領域にWやMo等の高融点金属からなるメタライズ配線層12がそれぞれ形成された広面積のセラミック製の母基板11を準備する(図2(a))。
【0005】
[2]次に、分割線において切断加工する際にメタライズ配線層12に金属バリが発生するのを抑制するために、母基板11およびメタライズ配線層12の分割線の部位を覆うように帯状の絶縁層13を被着する(図2(b))。
【0006】
[3]次に、各メタライズ配線層12上の絶縁層13以外の部位に、メタライズ配線層12の酸化腐蝕を防止し、かつ電子部品との電気的接続を強固とするために、NiやAu等の耐蝕性の良好な金属からなる金属めっき層14を被着する(図2(c))。
【0007】
[4]最後に、母基板11を絶縁層13の部分(分割線)でダイシング加工やスライス加工等の切断加工によって切断し、個々の回路基板15に分割する(図2(d))。
【0008】
このようにして、メタライズ配線層12を有する回路基板15を一度に多数個集約的に製造することができるとともに、メタライズ配線層12を切断加工することによって発生する金属バリを最小限に抑え、回路基板15の回路(メタライズ配線層12)において金属バリによって電気的な短絡が起こるのを防止し、電子部品を正常かつ良好に作動させることができる。
【0009】
【特許文献1】
特開平4−137752号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の回路基板15においては、絶縁層13の厚さが変動することにより以下のような問題点があった。
【0011】
即ち、図2(d)に示すように、ダイシング加工やスライス加工等の切断加工により、絶縁層13およびメタライズ配線層12を切断加工する際に、切断刃の接触する絶縁層13の側面にメタライズ配線層12の金属の一部が引っ張られる。その結果、絶縁層13が薄い場合、引っ張られたメタライズ配線層12が切断部付近で持ち上がって、金属バリとなるとともに絶縁層13を破損させる。この金属バリによって、回路基板15の回路であるメタライズ配線層12に短絡が発生し、その結果、電子部品が誤作動するという問題点があった。
【0012】
また、絶縁層13が厚い場合、切断加工時に切断刃と母基板11に大きな摩擦力が加わって、切断される母基板11、メタライズ配線層12、絶縁層13に欠け、割れ等の破損が発生するとともに、切断加工に時間がかかり、母基板11から回路基板15を効率よく製造するのが困難になるという問題点があった。
【0013】
従って、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、切断加工時に発生する金属バリによって回路に短絡が発生するのを防ぐとともに、切断加工によって母基板、メタライズ配線層、絶縁層に欠け、割れ等の破損が発生することのない、信頼性が高く効率良く製造できる回路基板およびその製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の回路基板は、セラミックスから成る絶縁基板の主面に、前記絶縁基板の外周縁から前記主面の中央部にかけて形成されたメタライズ配線層と、前記絶縁基板の主面および前記メタライズ配線層の前記絶縁基板の外周縁の部位に略全周にわたって積層された絶縁層と、前記メタライズ配線層上の前記絶縁層以外の部位に被着された金属めっき層とが形成されているとともに、前記絶縁基板、前記メタライズ配線層および前記絶縁層のそれらの側面が切断刃で切断された切断面となっており、前記絶縁層の厚さをT、幅をW、前記メタライズ配線層の厚さをtとしたとき、t≦T≦Wであることを特徴とする。
【0015】
本発明の回路基板は、絶縁層の厚さをT、幅をW、メタライズ配線層の厚さをtとしたとき、t≦T≦Wであることから、多数個取りによる製造方法でダイシング加工やスライス加工等の切断加工で絶縁層およびメタライズ配線層を切断加工して母基板から個々の回路基板を分割して製造する際に、切断刃の摩擦力によってメタライズ配線層が引っ張られて持ち上がり、絶縁層が破損するのを防止することができる。また、メタライズ配線層の金属バリが発生するのを抑制するとともに、切断加工時に切断刃と母基板に大きな摩擦力が加わるのを防止して切断される母基板、メタライズ配線層、絶縁層に欠け、割れ等の破損が発生するのを防止できる。
【0016】
本発明の回路基板の製造方法は、主面に複数の回路基板領域が形成された母基板を切断刃によって分割して個々の回路基板を作製する回路基板の製造方法において、主面に複数の回路基板領域が縦横に並ぶように分割線によって区切られて形成されたセラミックスから成る母基板の前記回路基板領域に厚さtのメタライズ配線層をそれぞれ形成する工程と、前記母基板および前記メタライズ配線層の前記分割線の部位に、厚さTがt≦T≦Wで幅が2W+d(ただし、Wは分割後の幅でdは切断刃の厚さである)の関係にある帯状の絶縁層をその幅方向の中心線が前記分割線に略合致するように積層する工程と、それぞれの前記メタライズ配線層上の前記絶縁層以外の部位に金属めっき層を被着する工程と、前記絶縁層、前記メタライズ配線層および前記母基板を前記分割線において切断刃で切断することにより個々の回路基板に分割する工程とを具備したことを特徴とする。
【0017】
本発明の回路基板の製造方法は、母基板およびメタライズ配線層の分割線の部位に、厚さTがt≦T≦Wで幅が2W+dの関係にある帯状の絶縁層をその幅方向の中心線が分割線に略合致するように積層することから、絶縁層およびメタライズ配線層を切断加工して母基板から個々の回路基板を分割して製造する際に、切断刃の摩擦力によってメタライズ配線層が引っ張られて持ち上がり、絶縁層が破損するのを防止することができる。また、メタライズ配線層の金属バリが発生するのを抑制するとともに、切断加工時に切断刃と母基板に大きな摩擦力が加わるのを防止して切断される母基板、メタライズ配線層、絶縁層に欠け、割れ等の破損が発生するのを防止できる。また、切断加工にかかる時間を短縮して母基板から回路基板を効率よく製造することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の回路基板について以下詳細に説明する。図1(a)〜(e)は本発明の回路基板の製造方法について実施の形態の一例を示すものであり、各工程における母基板または回路基板の断面図である。
【0019】
本発明の回路基板の具体的な製造方法を以下に説明する。
【0020】
まず、図1(a)に示すように、主面に複数の回路基板領域1bが縦横に並ぶように分割線1aによって区切られて形成されたセラミックスから成る母基板1の回路基板領域1bに厚さtのメタライズ配線層をそれぞれ形成する。この母基板1は、Al2O3セラミックスや窒化アルミニウム(AlN)セラミックス等のセラミックスから成り、以下のようにして作製される。例えば、Al2O3セラミックスから成る場合、先ずAl2O3、酸化珪素(SiO2)、酸化マグネシウム(MgO)および酸化カルシウム(CaO)等の原料粉末に適当な有機バインダー、可塑剤、溶剤等を添加混合して泥漿状と成す。これを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等のテープ成形技術により複数のセラミックグリーンシート(以下、グリーンシートともいう)を得る。次に、このグリーンシートに、W,Mo等の高融点金属粉末に適当な有機バインダー、可塑剤、溶剤等を添加混合して得た金属ペーストを、スクリーン印刷法等の厚膜形成技術により印刷塗布して、メタライズ配線層2となる金属ペースト層を所定パターンに形成する。これを還元雰囲気中約1600℃の温度で焼成することにより製作される。
【0021】
次に、図1(b)に示すように、母基板1およびメタライズ配線層2の分割線1aの部位に、厚さTと切断後の幅Wとがt≦T≦Wの関係にある帯状の絶縁層3をその幅方向の中心線が分割線1aに略合致するように積層する。絶縁層3は、例えばAl2O3セラミックスからなり、SiO2、MgOおよびCaO等の原料粉末に適当な有機バインダー、可塑剤、溶剤等を添加混合して得た絶縁ペーストを、メタライズ配線層2上の所定の部位にスクリーン印刷法により帯状に印刷塗布し、これを還元雰囲気中約1600℃の温度で焼成することによって被着され積層される。この絶縁層3は、母基板1を切断加工して複数の回路基板5に分割する際に、回路基板5の切断部に多量の金属バリが発生するのを有効に防止するとともに、母基板1の切断部を示す目印としても機能する。
【0022】
なお、絶縁層3は上述のAl2O3焼結体に限定されるものでなく、エポキシ樹脂やシリコン樹脂等の他の電気絶縁材料であってもよい。ただし、絶縁層3がAl2O3焼結体から成る場合、母基板1およびメタライズ配線層2に極めて強固に被着されるため、母基板1を切断加工して複数の回路基板5に分割する際にメタライズ配線層2が剥離するのを有効に防止することができる。
【0023】
また、絶縁層3の幅は、切断前に2W+dであり、切断後にWとなる。絶縁層3の厚さTをt≦T≦Wとすることにより、ダイシング加工やスライス加工等の切断加工で絶縁層3、メタライズ配線層2および母基板1を切断加工する際に、切断刃の摩擦力によってメタライズ配線層2が持ち上がり絶縁層3が破損するのを防止するとともに、金属バリが発生するのを抑制することができる。また、切断加工時に切断刃と母基板1に大きな摩擦力が加わるのを防止し、切断される母基板1、メタライズ配線層2および絶縁層3に欠け、割れ等の破損が発生するのを防止できる。また、切断加工にかかる時間を短縮して母基板1から回路基板5を効率よく製造することができる。
【0024】
T<tの場合、メタライズ配線層2の厚さに対し絶縁層3の厚さが薄くなり、切断刃に擦りつけられたメタライズ配線層2が持ち上がって絶縁層3を破損し、金属バリが発生し易くなり、この金属バリによって回路基板5に短絡が発生し、その結果、回路基板5に搭載される電子部品が誤作動し易くなる。
【0025】
T>Wの場合、絶縁層3が厚くなり、切断加工時に切断しにくいため切断刃の回転力(トルク)を大きくしたり回転数を上げる必要が生じ、その結果、切断刃と母基板1に大きな摩擦力が加わって、母基板1、メタライズ配線層2、絶縁層3に欠け、割れ等の破損が発生し易くなる。また、切断刃に大きな摩擦力が加わるため、切断加工に時間がかかり、母基板1から回路基板5を効率よく製造するのが困難になる。
【0026】
なお、tは0.005〜0.03mm程度であり、Wは0.1〜0.5mm程度である。絶縁層3の切断前の幅は、切断刃の厚さがdの場合2W+dとする。回路基板5の厚さは0.2〜7mm程度であり、切断刃の厚さdは0.15〜0.7mmである。
【0027】
次に、図1(c)に示すように、それぞれのメタライズ配線層2上の絶縁層3以外の部位に金属めっき層4を被着する。金属めっき層4は、メタライズ配線層2が酸化腐蝕するのを有効に防止し、かつメタライズ配線層2に半導体素子、抵抗器、コンデンサ等の電子部品との電気的接続を強固とするためのものであり、NiやAu等の耐蝕性の強い金属からなり、従来周知の電解メッキ法や無電解メッキ法により被着される。
【0028】
金属めっき層4の厚さは0.05〜20μmが好ましい。0.05μm未満であると、金属めっき層4がメタライズ配線層2を完全に覆うことが難しくなり、メタライズ配線層2に酸化腐蝕が発生したり、メタライズ配線層2と電子部品との電気的接続が劣化し易くなる。また20μmより厚くなると、製品としての回路基板5が極めて高価なものとなってしまう。
【0029】
最後に、絶縁層3、メタライズ配線層2および母基板1を分割線1aにおいて切断刃で切断することにより個々の回路基板5に分割する。これにより、図1(d)に示すように、主面にメタライズ配線層2を有する製品としての回路基板5が一度に多数個集約的に製作される。
【0030】
なお、母基板1をダイシング加工やスライス加工等の切断加工によって切断する際の切断部は、絶縁層3の中心線(分割線1a)の部位である。その切断部には金属めっき層4が存在しないことから、金属めっき層4に金属バリが発生することは一切なく、その結果、金属めっき層4の金属バリによって回路基板5に短絡が発生するのを確実に防止できる。
【0031】
なお、分割線1aは、母基板1の主面に実際に形成された溝状のもの等であってもよいし、絶縁層3の中心線を仮想的な分割線1aとみなしてもよい。
【0032】
また、メタライズ配線層2上に電子部品をロウ材、半田等の導電性接着剤を用いて固定する場合に、導電性接着剤が回路基板5の側面に流れ出すのを絶縁層3により防止でき、良好な導電性接着剤のメニスカスを形成し得る。このように導電性接着剤が流れるのを防止し、良好な導電性接着剤のメニスカスを形成するために、導電性接着剤の量や成分に応じて絶縁層3の幅Wを決定することもできる。
【0033】
かくして、本発明の回路基板5は、セラミックスから成る絶縁基板の主面に、絶縁基板の外周縁から主面の中央部にかけて形成されたメタライズ配線層2と、絶縁基板の主面およびメタライズ配線層2の絶縁基板の外周縁の部位に略全周にわたって積層された絶縁層3と、メタライズ配線層2上の絶縁層3以外の部位に被着された金属めっき層4とが形成されているとともに、絶縁基板、メタライズ配線層2および絶縁層3のそれらの側面が切断刃で切断された切断面となっており、絶縁層3の厚さをT、幅をW、メタライズ配線層2の厚さをtとしたとき、t≦T≦Wである。これにより、切断刃の摩擦力によってメタライズ配線層2が引っ張られて持ち上がり、絶縁層3が破損するのを防止することができる。また、メタライズ配線層2の金属バリが発生するのを抑制するとともに、切断加工時に切断刃と母基板1に大きな摩擦力が加わるのを防止して切断される母基板1、メタライズ配線層2、絶縁層3に欠け、割れ等の破損が発生するのを防止できる。
【0034】
また、絶縁基板、メタライズ配線層2および絶縁層3のそれらの側面は、切断刃による擦り痕等を顕微鏡観察等で確認することができることから、切断刃で切断された切断面であることを特定できる。
【0035】
【実施例】
本発明の回路基板の実施例を以下に説明する。
【0036】
本発明の回路基板5を以下のようにして製作した。まず、縦66.7mm×横66.7mm×厚さ0.33mmのAl2O3セラミックスからなる母基板1となるグリーンシートに、メタライズ配線層2となるWを主成分とする金属ペーストを塗布し、幅0.55mm×長さ66.7mm×厚さtmmの直線状の金属ペースト層を5.56mm間隔で11本互いに平行になるように形成した。この金属ペースト層は、回路基板5となった後、各回路基板5の中央を通るように配置された1本の直線状のメタライズ配線層2となる。次に、金属ペースト層が形成されたグリーンシートを還元雰囲気中約1600℃の温度で焼成した。これにより、幅0.5mm×長さ60mm×厚さtmmのメタライズ配線層2が5mm間隔で互いに平行になるように11本形成された、縦60mm×横60mm×厚さ0.3mmの図1(a)に示す母基板1となった。
【0037】
次に、図1(b)に示すように、母基板1およびメタライズ配線層2の分割線1aの部位を覆うようにAl2O3焼結体からなる幅0.4mm×長さ60mmの帯状の絶縁層3を、メタライズ配線層2と略垂直な直線状に5mm間隔で12本互いに平行になるようにするとともにメタライズ配線層2と平行な方向に10本互いに平行になるように積層した。即ち、個々の回路基板において外周縁の略全周に絶縁層3が形成されるようにした。また、母基板1の両端部にも絶縁層3を積層した。
【0038】
次に、図1(c)に示すように、メタライズ配線層2の露出表面にNiからなる5μmの金属めっき層4を電解メッキ法により被着した。
【0039】
次に、分割線1a直上の絶縁層3の中心線において、絶縁層3、メタライズ配線層2および母基板1を、刃厚0.2mmのダイシング刃を用いてダイシング加工して切断した。これにより、11本の平行なメタライズ配線層2が形成された13個の短冊状の中間基板のうち両端のものを捨てて、11個の短冊状の中間基板を作製した。次に、各中間基板において、各メタライズ配線層2同士の間のメタライズ配線層2に平行な絶縁層3の中心線においてダイシング法で切断することにより、121個の個々の回路基板5を得た。
【0040】
これによって、図1(d)に示すように、上面の略中央に幅0.5mm×長さ5mm×厚さtmmの直線状のメタライズ配線層2を有する縦5mm×横5mm×厚さ0.3mmの回路基板5を121個製作した。なお、各回路基板5での絶縁層3の幅Wは0.1mmである。
【0041】
上記のようにして、メタライズ配線層2の厚さtおよび絶縁層3の厚さTを表1に示す種々の値となるようにして、回路基板5の試料を各121個作製した。
【0042】
各試料について、回路基板5の側面を光学顕微鏡で観察し、長さ20μm以上のメタライズ配線層2の金属バリの有無、長さ20μm以上の回路基板5の欠け、割れの有無を評価した。金属バリと欠け、割れとの少なくとも一方が生じた試料を不良品とした。その結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
表1より、Tがtより薄い場合、切断面で切断刃に擦りつけられたメタライズ配線層2が持ち上がって絶縁層3を破損させ、長さが20μm以上の金属バリが発生した。TがWより厚い場合、回路基板5に長さが20μm以上の欠け、割れが発生した。
【0045】
また、同様な評価を、母基板1での絶縁層3の幅を1.2mm、即ち回路基板5での絶縁層3の幅Wを0.5mmとした場合に、t,Tを表2に示す種々の値となるようにして、回路基板5の試料を各121個ずつ作製した場合についても行なった。その結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
表2より、Tがtより薄い場合、切断面で切断刃に擦りつけられたメタライズ配線層2が持ち上がって絶縁層3を破損させ、長さが20μm以上の金属バリが発生した。TがWより厚い場合、回路基板5に長さが20μm以上の欠け、割れが発生した。
【0048】
以上より、t≦T≦Wとすることにより、回路基板5での金属バリの発生を抑制するとともに、欠け、割れ等の破損が発生するのを抑制できることが判った。
【0049】
なお、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を行なうことは何等差し支えない。
【0050】
【発明の効果】
本発明の回路基板は、絶縁層の厚さをT、メタライズ配線層の厚さをt、絶縁層の幅をWとしたとき、t≦T≦Wであることから、多数個取りによる製造方法でダイシング加工やスライス加工等の切断加工で絶縁層およびメタライズ配線層を切断加工して母基板から個々の回路基板を分割して製造する際に、切断刃の摩擦力によってメタライズ配線層が引っ張られて持ち上がり、絶縁層が破損するのを防止することができる。また、メタライズ配線層の金属バリが発生するのを抑制するとともに、切断加工時に切断刃と母基板に大きな摩擦力が加わるのを防止して切断される母基板、メタライズ配線層、絶縁層に欠け、割れ等の破損が発生するのを防止できる。
【0051】
本発明の回路基板の製造方法は、母基板およびメタライズ配線層の分割線の部位に、厚さTがt≦T≦Wで幅が2W+dの関係にある帯状の絶縁層をその幅方向の中心線が分割線に略合致するように積層することから、絶縁層およびメタライズ配線層を切断加工して母基板から個々の回路基板を分割して製造する際に、切断刃の摩擦力によってメタライズ配線層が引っ張られて持ち上がり、絶縁層が破損するのを防止することができる。また、メタライズ配線層の金属バリが発生するのを抑制するとともに、切断加工時に切断刃と母基板に大きな摩擦力が加わるのを防止して切断される母基板、メタライズ配線層、絶縁層に欠け、割れ等の破損が発生するのを防止できる。また、切断加工にかかる時間を短縮して母基板から回路基板を効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(e)は本発明の回路基板の製造方法を説明するための各工程毎の母基板または回路基板の断面図である。
【図2】(a)〜(d)は従来の回路基板の製造方法を説明するための各工程毎の母基板または回路基板の断面図である。
【符号の説明】
1:母基板
2:メタライズ配線層
3:絶縁層
4:金属めっき層
5:回路基板
Claims (2)
- セラミックスから成る絶縁基板の主面に、前記絶縁基板の外周縁から前記主面の中央部にかけて形成されたメタライズ配線層と、前記絶縁基板の主面および前記メタライズ配線層の前記絶縁基板の外周縁の部位に略全周にわたって積層された絶縁層と、前記メタライズ配線層上の前記絶縁層以外の部位に被着された金属めっき層とが形成されているとともに、前記絶縁基板、前記メタライズ配線層および前記絶縁層のそれらの側面が切断刃で切断された切断面となっており、前記絶縁層の厚さをT、幅をW、前記メタライズ配線層の厚さをtとしたとき、t≦T≦Wであることを特徴とする回路基板。
- 主面に複数の回路基板領域が形成された母基板を切断刃によって分割して個々の回路基板を作製する回路基板の製造方法において、主面に複数の回路基板領域が縦横に並ぶように分割線によって区切られて形成されたセラミックスから成る母基板の前記回路基板領域に厚さtのメタライズ配線層をそれぞれ形成する工程と、前記母基板および前記メタライズ配線層の前記分割線の部位に、厚さTがt≦T≦Wで幅が2W+d(ただし、Wは分割後の幅でdは切断刃の厚さである)の関係にある帯状の絶縁層をその幅方向の中心線が前記分割線に略合致するように積層する工程と、それぞれの前記メタライズ配線層上の前記絶縁層以外の部位に金属めっき層を被着する工程と、前記絶縁層、前記メタライズ配線層および前記母基板を前記分割線において切断刃で切断することにより個々の回路基板に分割する工程とを具備したことを特徴とする回路基板の製造方法。
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2002
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KR100693481B1 (ko) | 2006-02-14 | 2007-03-12 | (주)인터플렉스 | 인쇄회로기판의 제조방법 |
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