JP2004179216A - ステージ装置及び露光装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のステージ装置は、粗動ステージ機構1と微動テーブル機構101とを組み合わせたものである。粗動ステージ41には、微動テーブル機構101が非接触に係合しているため、微動テーブル機構101は粗動ステージ41に引き連れられる形で駆動される。微動テーブル機構101は、粗動ステージ41下面側に配置されたテーブルベース103と、粗動ステージ41上側に配置された微動テーブル105とが、四本のZ駆動アクチュエータ107で連結された構成を有する。テーブルベース103の上面側四隅のサポート壁部材120には、それぞれ電磁的サポートアクチュエータ130及びギャップセンサ140が埋め込まれている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パターン原版(マスク、レチクル)や感応基板(ウエハ)等を移動・位置決めするためのステージ装置、及び、そのようなステージ装置を備える露光装置に関する。特には、ステージ部の移動に伴う振動を遮断できる、あるいは、真空領域内で高精度な位置決めを行うことができる等の利点を有するステージ装置等に関する。
【0002】
【従来の技術】
露光装置に用いられるステージ装置として、例えば以下に述べる特許文献1(特開平9−275069号公報)や特許文献2(特開2002−184662号公報)に開示されたものが知られている。
特許文献1のステージ装置は、ステージ(Zレベリング・ステージ)上に複数の板バネを介してテーブル(ウエハテーブル)が載置された構成を有する。テーブルは、ステージに対して、Z軸方向、X軸を中心とした回転方向(θx方向)、Y軸を中心とした回転方向(θy方向)の3方向に移動可能である。ステージの内部の3箇所には、VCM(ボイスコイルモーター)が配置されている。そして、これら3個のVCMをそれぞれ駆動することで、テーブルをZ方向、θx方向、θy方向に位置合わせすることができる。
【0003】
テーブルは、板バネによりほぼ一定の力(自重)でステージ上に支えられているので、テーブルの位置合わせの際には、VCMの過大な駆動力を必要としない。そのため、VCMの余分な発熱を抑制できる。さらに、テーブルは板バネを介してステージ上に非接触で支持されているため、テーブル・ステージ両者間の摩擦によるヒステリシスや不感帯が存在しない。したがって、テーブルの高精度な位置決めが実現できる。
【0004】
ところで、電子線露光装置(EB露光装置)では、前述のVCM等から発生する外乱磁場の影響により、パターンの転写に用いられる電子ビームの軌道に予期せぬ偏向が生じる。そこで、EB露光装置のステージ駆動系においては、外乱磁場が電子ビームの軌道に悪影響を与えないように、磁気シールドを強化した電磁アクチュエータや、非電磁アクチュエータを採用している。
【0005】
非電磁アクチュエータとしてピエゾ素子を用いるステージ装置が、特許文献2に開示されている。
特許文献2のステージ装置は、6自由度(X、Y、Z、θx、θy、θz方向)で駆動できる。このステージ装置のステージ部は、下側から順に、下ステージ、四角枠、上ステージ、三角テーブルを備えている。下ステージは、リニアモータにより、XY平面のY軸方向に駆動される。四角枠は、1つのピエゾアクチュエータにより、θz方向に回動可能である。上ステージは、リニアモータにより、XY平面のX軸方向に駆動される。三角テーブルは、3つのピエゾアクチュエータにより、θx、θy、Zの3方向に回動可能である。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−275069号公報(第2図、第3図)
【特許文献2】
特開2002−184662号公報(第1図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、パターンサイズのさらなる微細化に対応するため、紫外線よりも波長の短い軟X線領域の極端紫外光(Extreme Ultra Violet 光:EUV光)や上述の電子線を用いた縮小投影露光が開発されている。このEUV光や電子線は、大気中での透過率が低いため、光源部及びその後の光路は真空チャンバー等により覆われて、内部は減圧される。そこで、真空チャンバー等の真空領域内で高精度な位置決めを行うことのできるステージ装置が求められている。さらに、ステージ装置は、低重心でステージ部の移動に伴う振動を遮断できる特性を有するものが好ましい。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、低重心でステージ部の移動に伴う振動を遮断できる、あるいは、真空領域内で高精度な位置決めを行うことができる等の利点を有するステージ装置を提供することを目的とする。また、そのようなステージ装置を備える露光装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するため、本発明の第1のステージ装置は、 ある平面上で粗動ステージを移動・位置決めする粗動ステージ機構と、 前記粗動ステージ上で微動テーブルを移動・位置決めする微動テーブル機構と、を備えるステージ装置であって、 前記粗動ステージに対して前記微動テーブルが非接触で係合していることを特徴とする。
【0010】
このステージ装置は、粗動ステージに対して微動テーブルが非接触で係合しているので、粗動ステージから微動ステージへの振動を絶縁することができる。
【0011】
本発明のステージ装置においては、 前記粗動ステージに対して前記微動テーブル機構を前記平面に沿う方向に微小動作可能とする電磁サポートアクチュエータを具備することができる。
この場合、電磁的サポートアクチュエータにより、粗動ステージに対して微動テーブル機構をX、Y、θzの3方向に微小駆動することができる。
【0012】
本発明のステージ装置においては、 前記微動テーブル機構を搭載するテーブルベースと、 該テーブルベースを非接触に支持・案内する、前記平面に沿って広がる定盤と、を具備することができる。
この場合、定盤上にテーブルベース(微動テーブル機構搭載)を非接触で高剛性支持することができるので、微動テーブル機構のZ方向の振動を低減できる。
【0013】
本発明のステージ装置においては、 前記テーブルベース上に非接触で前記粗動ステージが配置さているとともに、該粗動ステージ上に非接触で前記微動テーブルが配置されており、 前記テーブルベースは、基本的には、前記粗動ステージに引き連れられて前記定盤上を移動し、 前記テーブルベースと前記粗動ステージの間に、両者を微小動作可能に連結する電磁サポートアクチュエータが配置されていることができる。
この場合、微動テーブルとテーブルベースの間に粗動ステージが配置されることで、微動テーブル機構の低重心化が実現される。
【0014】
本発明のステージ装置においては、 前記テーブルベース上の3点以上の位置に、前記微動テーブルのZ駆動アクチュエータが分散配置されていることができる。
この場合、Z駆動アクチュエータにより、粗動ステージに対して微動テーブル機構をZ、θx、θyの3方向に微小駆動することができる。
【0015】
本発明のステージ装置においては、 前記Z駆動アクチュエータが、伸縮式であって、屈曲変形可能なヒンジ部を有しており、 前記テーブルベースに、前記Z駆動アクチュエータをテコ作用で動かすテコ機構が設けられているものとすることができる。
この場合、Z駆動アクチュエータにテコ機構から力が加わると、Z駆動アクチュエータのヒンジ部が屈曲変形する。そして、これらテコ機構及びZ駆動アクチュエータの伸縮・ヒンジ部変形の力ベクトル変換により、微動テーブルをZ、θx、θyの3方向に微小駆動することができる。
【0016】
本発明のステージ装置においては、 前記テーブルベースが前記定盤上に気体軸受を介して配置されているとともに、該テーブルベースが該定盤上に磁気吸着されているものとすることができる。
この場合、定盤を基準として、テーブルベースを非接触で高剛性支持することができる。
【0017】
本発明のステージ装置においては、 前記気体軸受の周りに真空排気溝を形成することができる。
この場合、気体リークを低減できるので、真空雰囲気中や特殊雰囲気中でも本発明のステージ装置を使用することができる。
【0018】
本発明のステージ装置においては、 前記テーブルベースの前記定盤上における弾性主軸と前記粗動ステージの駆動点とが一致しているものとすることができる。
この場合、ステージの制御軸の非干渉化を実現することができる。
【0019】
本発明の露光装置は、感応基板上にエネルギ線を選択的に照射してパターン形成する露光装置であって、 前記感応基板を載置して移動する感応基板ステージ及び/又は前記パターンの原版を載置して移動する原版ステージが、前記請求項1〜9いずれか1項記載のステージ装置からなることを特徴とする。
なお、前記エネルギ線は特に限定されず、光、紫外光、X線(軟X線、EUV等)、荷電粒子線(電子線、イオンビーム)等であってよい。また、露光方式も限定されず、縮小投影露光、近接等倍転写、直描式等に広く適用できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ説明する。
まず、図11を参照して、EUV光縮小投影露光技術の概要を説明する。
図11は、EUV光露光装置の全体構成例を示す図である。
図11のEUV光露光装置は、露光用の照明光として極端紫外光を用いて、ステップアンドスキャン方式により露光動作を行なう投影露光装置である。
【0021】
図11に示すように、露光装置201の最上流部には、レーザ光源203が配置されている。レーザ光源203は、赤外域から可視域の波長のレーザ光を発する機能を有し、例えば半導体レーザ励起によるYAGレーザやエキシマレーザ等を使用する。レーザ光源203から発せられたレーザ光は、集光光学系205により集光され、下部に配置されたターゲット207に達する。ターゲット207は、波長13nm近傍の極端紫外光を効率よく発生することができる。レーザ光源203、集光光学系205、ターゲット207等から、レーザプラズマ光源が構成される。なお、本実施例ではレーザプラズマ光源を用いる場合について説明するが、本発明においては、他の形態のプラズマ光源(例えば放電プラズマ光源)や、プラズマ光源以外の光源を用いることもできる。
【0022】
ターゲット207には、図示せぬノズルからキセノンガスが供給され、このキセノンガスがターゲット207において高照度のレーザ光を受ける。キセノンガスは、高照度のレーザ光のエネルギ照射により高温になってプラズマ状態に励起され、その後、低ポテンシャル状態へ遷移する際に極端紫外光を放出する。極端紫外光は、大気に対する透過率が低いため、光源部及びその後の光路は真空チャンバー209の中に収められている。
【0023】
ターゲット207の上部には、Mo/Si多層膜をコートした回転放物面ミラー211が配置されている。ターゲット207から輻射された極端紫外光は、放物面ミラー211に入射し、波長13nm付近の極端紫外光のみが露光装置201の下方に向かい平行光となって反射される。同ミラー211の下方には、厚さ0.15nmのべリリウムからなる可視光カット極端紫外光透過フィルター213が配置されている。同ミラー211で反射された極端紫外光のうち、所望の極端紫外光のみがフィルター213を通過する。フィルター213付近もチャンバー215により覆われている。
【0024】
フィルター213の下方には、露光チャンバー233が設置されている。露光チャンバー233内のフィルター213の下方には、照明光学系217が配置されている。照明光学系217は、コンデンサー系のミラー、フライアイ光学系のミラー等で構成されており、フィルター213から入射した極端紫外光を円弧状に整形し、図の左方に向かって照射する。
【0025】
照明光学系217の図の左方には、極端紫外光反射ミラー219が配置されている。同ミラー219は、図の右側の反射面219aが凹型をした円盤状のものである。ミラー219の図の右方には、光路折り曲げミラー221が斜めに配置されている。同ミラー221の上方には、反射型マスク223が、反射面が下になるように水平に配置されている。照明光学系217から放出された極端紫外光は、極端紫外光反射ミラー219により反射集光された後に、光路折り曲げミラー221を介して、反射型マスク223の反射面に達する。
【0026】
各ミラー219、221は、反射面が高精度に加工された石英の基板からなる。各ミラー反射面には、波長13nmの極端紫外光の反射率が高いMoとSiの多層膜が形成されている。なお、波長が10〜15nmの極端紫外光を用いる場合には、Ru(ルテニウム)、Rh(ロジウム)等の物質と、Si、Be(ベリリウム)、B4C(四ホウ化炭素)等の物質とを組み合わせた多層膜でも良い。
【0027】
反射型マスク223の反射面にも多層膜からなる反射膜が形成されている。この反射膜には、ウエハ229に転写するパターンに応じたマスクパターンが形成されている。反射型マスク223は、その上部に図示されたマスクステージ225に固定されている。マスクステージ225は、少なくとも1方向に移動可能であり、光路折り曲げミラー221で反射された極端紫外光を順次マスク223上に照射する。
【0028】
反射型マスク223の下部には、順に投影光学系227、ウエハ229が配置されている。投影光学系227は、複数のミラー等からなる。投影光学系227は、反射型マスク223上のパターンを所定倍率に縮小し、ウエハ229上に結像する。ウエハ229は、XYZ方向(図示参照)に移動可能なウエハステージ231に静電吸着等により固定されている。
【0029】
以下、前述した図11の露光装置201に搭載されるステージ装置について説明する。
このステージ装置は、図11の露光装置におけるウエハステージ231に相当するものであって、図8〜図10に示す粗動ステージ機構と、図1〜図7に示す微動テーブル機構とを組み合わせたものである。
【0030】
まず、図8〜図10を参照して、本発明の一実施の形態に係るステージ装置について説明する。
図8は、本発明の一実施の形態に係るステージ装置の粗動ステージ機構を示す斜視図である。
図9は、同ステージ機構のリニアモータ、Yスライダ、移動ガイド及びステージの斜視図(図8から固定ガイドを取り除いた状態の斜視図)である。
図10(A)は図9に示す移動ガイド及びステージの平面図であり、図10(B)はその正面図であり、図10(C)はその側面図である。
【0031】
図8に示すように、粗動ステージ機構1の四隅には、4つのポスト3a〜3dが立ち上げられている。左側のポスト3aと3bの間、並びに、右側のポスト3cと3dの間には、Y方向に沿って互いに平行に延びる固定ガイド11、21がそれぞれ架設されている。各固定ガイド11(21)は、それぞれ上下のガイド部材11A、11B(21A、21B)からなる。上下ガイド部材11A、11B(21A、21B)は、それぞれY方向に延びる帯状のものであって、互いにある寸法離れて上下に平行に向かい合っている。
【0032】
各固定ガイド11(21)の両ガイド部材11A、11B(21A、21B)間には、図9に示すYスライダ13(23)がそれぞれ挟まれている。
まず、図の左側のYスライダ13周囲の構成について説明する。
Yスライダ13の本体は、外側に開口するコ字状の断面を有する。Yスライダ13のコ字状の開口(溝)内には、縦断面T字状の固定子15が組み込まれている。Yスライダ13は、固定子15に対して、Y−Y´方向にスライド可能である。この固定子15は、前述した図8に示す固定ガイド11の両ガイド部材11A、11B間に挟まれるような形で、Y方向に延びるように横たわった状態で配置されている。固定子15の両端は、ポスト3a、3bに固定されている。
【0033】
図9に示すように、Yスライダ13の上下面(図8の固定ガイド11の両ガイド部材11A、11Bと対向する面)には、各面に4個ずつエアパッド17a〜17dが設けられている(図9には上摺動面側の4個のエアパッドのみが示されている)。各エアパッド17a〜17dは、多孔オリフィス材からなる。各エアパッド17a〜17dには、エア配管17Xからエアが供給される。このエア配管17Xは、Yスライダ13に接続されており、図示せぬエア源に繋がっている。
【0034】
Yスライダ13の摺動面において、各エアパッド17a〜17dの周囲には、大気排気用溝17a´〜17d´が形成されている。さらに、Yスライダ13の摺動面には、エアパッド17a〜17d全体を囲む長方形の真空排気溝18aと、Y方向に沿って延びる直線状の真空排気溝18bが形成されている。真空排気溝18bにより、エアパッド17a〜17dは、内側の2個17a、17cと外側の2個17b、17dとに区分けされている。内エアパッド17a、17cと外エアパッド17b、17dとは、それぞれ独立に空気供給量を調整できるようになっている。
なお、下摺動面側の4個のエアパッド、大気排気用溝及び真空排気溝も、上摺動面側と同様に構成されている。
【0035】
図示せぬエア源からエア配管17Xを介してエアパッド17a〜17dにエアが供給されると、多孔オリフィス部分からエアが噴出される。このエアにより、Yスライダ13が上下ガイド部材11A、11B(図8参照)に対して非接触支持される。このとき噴出されたエアは、大気排気用溝17a´〜17d´から大気に開放される。大気排気用溝17a´〜17d´から洩れたエアは、真空排気溝18a、18bから真空排気される。このようにして、エアパッド17a〜17dのエアが、高真空に保たれているチャンバー内にあまり洩れ出さないようになっている。
【0036】
次に、図の右側のYスライダ23周囲の構成について説明する。
Yスライダ23の本体は、外側に開口するコ字状の断面を有する。Yスライダ23のコ字状の開口(溝)内(縦断面コ字状の可動子26内)には、縦断面T字状の固定子25が組み込まれている。Yスライダ23は、固定子25に対して、Y−Y´方向にスライド可能である。固定子25は、前述した図8に示す固定ガイド21の両ガイド部材21A、21B間に挟まれるような形で、Y方向に延びるように横たわった状態で配置されている。固定子25の両端は、ポスト3c、3dに固定されている。
【0037】
図9に示すように、Yスライダ23の上下面(図8の固定ガイド21の両ガイド部材21A、21Bと対向する面)には、各面に2個ずつエアパッド27a、27bが設けられている(図9には上摺動面側の2個のエアパッドのみが示されている)。各エアパッド27a、27bは、多孔オリフィス材からなる。各エアパッド27a、27bには、エア配管27Xからエアが供給される。このエア配管27Xは、Yスライダ23に接続されており、図示せぬエア源に繋がっている。
【0038】
Yスライダ23の摺動面において、各エアパッド27a、27bの周囲には、大気排気用溝27a´、27b´が形成されている。さらに、Yスライダ23の摺動面には、エアパッド27a、27b全体を囲む長方形の真空排気溝28aと、両エアパッド27a、27b間でY方向に沿って延びる直線状の真空排気溝28bが形成されている。真空排気溝28bにより、エアパッド27a、27bは、内側27bと外側27aとに区分けされている。これら外エアパッド27aと内エアパッド27bは、それぞれ独立に空気供給量を調整できるようになっている。このYスライダ23側においても、前述と同様の作用により、Yスライダ23が上下ガイド部材21A、21B(図8参照)に対して非接触支持される。
なお、下摺動面側の2個のエアパッド、大気排気用溝及び真空排気溝も、上摺動面側と同様に構成されている。
【0039】
次に、両Yスライダ13、23間の移動ガイド31及び粗動ステージ41について説明する。
両Yスライダ13、23間には、X方向に延びる移動ガイド31が掛け渡されている。この移動ガイド31には、粗動ステージ(Xスライダ)41がスライド可能に取り付けられている。粗動ステージ41は、移動ガイド31上を、4面(摺動面の上下及び両側面)を拘束されて案内されるため、粗動ステージ41のスライドはより安定的に行われる。この粗動ステージ41には、後に図1〜図7を用いて詳述する微動テーブル機構が組み付けられる。
【0040】
粗動ステージ41は、貫通中空部を有する平たい箱状(外観略十字型)をしている。この粗動ステージ41の中空部の内面は、移動ガイド31の外面に嵌合している。粗動ステージ41外面の四隅の切り欠かれたコーナー面(計8面)には、鋼板45が貼り付けられている。
【0041】
図10(A)に示すように、粗動ステージ41の中空部上下面(移動ガイド31との摺動面)には、各面に4個ずつエアパッド43a〜43dが設けられている(図には上面側の4個のエアパッドのみが示されている)。各エアパッド43a〜43dは、多孔オリフィス材からなる。粗動ステージ41の摺動面において、各エアパッド43a〜43dの周囲には、大気排気用溝43a´〜43d´が形成されている。さらに、粗動ステージ41の摺動面の両端部近傍には、真空排気溝44a、44bが形成されている。
なお、下摺動面側の4個のエアパッド、大気排気用溝及び真空排気溝も、上摺動面側と同様に構成されている。
【0042】
図10(B)に示すように、粗動ステージ41の中空部側面(移動ガイド31との摺動面)には、各面に2個ずつエアパッド45a、45bが設けられている(図には一方の面の2個のエアパッドのみが示されている)。各エアパッド45a、45bは、多孔オリフィス材からなる。粗動ステージ41の摺動面において、各エアパッド45a、45bの周囲には、大気排気用溝45a´、45b´が形成されている。さらに、粗動ステージ41の摺動面の両端部近傍には、真空排気溝46a、46bが形成されている。
なお、一方の摺動面側の2個のエアパッド、大気排気用溝及び真空排気溝も、上摺動面側と同様に構成されている。
【0043】
図10(A)、(C)に示すように、移動ガイド31の中央部には、各エアパッドへの給気孔33aと、大気排気孔33bと、真空排気孔33cとが形成されている。給気孔33aは各エアパッドに繋がっており、給気孔33aから供給されたエアが各エアパッドの多孔オリフィス部分から噴出する。大気排気孔33bは、大気排気用溝45a´、45b´に繋がっている。エアパッドから噴出されたエアは、大気排気用溝45a´、45b´から大気排気孔33bを通って大気に放出される。真空排気孔33cは、真空排気用溝46a、46bに繋がっている。大気排気用溝45a´、45b´から洩れたエアは、真空排気用溝46a、46bを通って真空排気孔33cから真空排気される。これらのエアパッドから噴出されるエアにより、粗動ステージ41が移動ガイド31に4面拘束されつつ非接触支持される。
【0044】
次に、粗動ステージ41のエアシリンダ式駆動機構について説明する。
図10(A)にわかり易く示すように、粗動ステージ41は、内側中空部側方に気体室41Pを有する。この粗動ステージ41の気体室41Pの中央には、しきり板41A、41Bが設けられている。そして、粗動ステージ41の気体室41Pは、しきり板41Aにより隣り合う2つの気体室41P1、41P2に分割されているとともに、しきり板41Bにより隣り合う2つの気体室41P1´、41P2´に分割されている。気体室41P1と41P1´、並びに、気体室41P2と41P2´は、それぞれ相互に連通している。
【0045】
移動ガイド31内部には、粗動ステージ41の気体室41P1・41P1´、及び、41P2・42P2´に気体を供給するための管路(図示されず)が組み込まれている。これら管路には、圧空制御弁(図示されず)が設けられており、各気体室内に供給する気体の圧力を制御する。これら隣り合う気体室41P1・41P1´、及び、41P2・42P2´の圧力に差をつけることにより、粗動ステージ41をX方向に駆動することができる。
【0046】
図8に示すように、粗動ステージ41の下には定盤102が広がっている。この定盤102は、以下に述べる微動テーブル機構をZ方向に非接触に支持している。
前述の粗動ステージ機構1に連結される微動テーブル機構の構成について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る粗動ステージ及び微動テーブル機構の構成を示す分解斜視図である。
図2は、同粗動ステージ及び微動テーブル機構の組み立て状態を示す側面図である。
図3は、同微動テーブル機構のテーブルベースの構成を示す斜視図である。
【0047】
図4は、同微動テーブル機構のテーブルベースの裏面図である。
図5は、同粗動ステージ及び微動テーブル機構の非接触係合部の詳細を示す拡大図である。
図6は、同粗動ステージの鋼板を微動テーブル機構の電磁的サポートアクチュエータの構成を示す斜視図である。
図7(A)、(B)は、同微動テーブル機構のZ駆動アクチュエータ及びテコ機構の動作を説明する説明図である。
【0048】
図1及び図2に示すように、粗動ステージ機構1の粗動ステージ41には、微動テーブル機構101が非接触に係合している。微動テーブル機構101は粗動ステージ41に非接触に係合しているので、粗動ステージ41に引き連れられる形でXY面内で駆動される。この微動テーブル機構101は、粗動ステージ41下面側に配置されたテーブルベース103と、粗動ステージ41上側に配置された微動テーブル105とが、四本のZ駆動アクチュエータ107で連結された構成を有する。テーブルベース103は、定盤102上に非接触に支持・案内される。この構成では、粗動ステージ41は、微動テーブル105とテーブルベース103に上下から非接触に挟まれた配置となっており、微動テーブル機構101の低重心化が図られている。
【0049】
図1〜図3に示すように、微動テーブル機構101のテーブルベース103は、四角い板状をしている。このテーブルベース103の上面側四隅に、前述のZ駆動アクチュエータ107が配置されている。Z駆動アクチュエータ107は、微動テーブル105のZ、θx、θyの3方向の微小駆動を行うアクチュエータである。各Z駆動アクチュエータ107は、伸縮式のピエゾアクチュエータであって、両端部寄りの2箇所に屈曲変形可能なヒンジ部107aを備えている。Z駆動アクチュエータ107の先端(上端)は、微動テーブル105の四隅の係合孔105aに嵌め込まれている。一方、Z駆動アクチュエータ107の基端(下端)は、テーブルベース103の長方形の溝104内に埋め込み配置されたテコ機構110に接続されている。
【0050】
図3及び図7に示すように、各テコ機構110は、テーブルベース103の溝104内に配置された本体111を備えている。この本体111の一端(図7の右端側)には、上側に向けて折れ曲がったアクチュエータ固定端部112が形成されている。同固定端部112上面には、Z駆動アクチュエータ107の基端(下端)が接続される。図7に示すように、テコ機構110の本体111内には、ピエゾ素子113が内蔵されている。このピエゾ素子113の先側(固定端部112の付け根寄り)の本体111の部分にはスリット115が切り込まれており、このスリット115の上部が変位拡大テコ部116となっている。スリット115の両下端縁には、スリット隙間間隔を検出するギャップセンサ117が設けられている。
【0051】
ここで、図7を参照して、テコ機構110及びZ駆動アクチュエータ107の動作について説明する。
図7(A)に示すように、テコ機構110の本体111内のピエゾ素子113が突出していない状態では、Z駆動アクチュエータ107は真っ直ぐに延びており、両ヒンジ部107aにおいて屈曲変形していない。
【0052】
この状態から、図7(B)に示すようにピエゾ素子113が突出すると、まずこのピエゾ素子113の先端がスリット115内端面に当たり、変位拡大テコ部116を支点として固定端部112を上側に押し上げる。すると、Z駆動アクチュエータ107は、両ヒンジ部107aにおいて屈曲変形しつつ若干押し上げられ、この動きが微動テーブル105に伝わる。
【0053】
このときのZ駆動アクチュエータ107の押し上がり量やヒンジ部107aにおける屈曲変形量(すなわち微動テーブルのZ、θx、θy方向の微小駆動量)は、テコ機構110のピエゾ素子113の突出量で制御できる。そして、ピエゾ素子113の突出量は、ギャップセンサ117によるスリット115の隙間間隔の検出値に基づき制御できる。
【0054】
図1及び図2に戻って説明する。
図1及び図2に示すように、テーブルベース103の上面側四隅において、各Z駆動アクチュエータ107の内側にはサポート壁部材120が立ち上げられている。各サポート壁部材120の上端からは、Z駆動アクチュエータ107の先端(上端)が突出している。各サポート壁部材120の2つの壁部120A、120Bには、それぞれ電磁的サポートアクチュエータ130及びギャップセンサ140が埋め込まれている。電磁的サポートアクチュエータ130は、微動テーブル105のX、Y、θzの3方向の微小駆動を行うアクチュエータである。
【0055】
図5及び図6にわかり易く示すように、電磁的サポートアクチュエータ130は、E字型の電磁コア131と、この電磁コア131のE字溝−背面周りの2箇所に巻き付けられたコイル133とからなる。各電磁的サポートアクチュエータ130は、各サポート壁部材120の壁部120A、120Bの内壁表面近くに埋め込まれている。各電磁的サポートアクチュエータ130(計8個)は、粗動ステージ41のコーナー部外面の鋼板45(計8面)にそれぞれ対向しており、これら鋼板45との間に電磁的な吸引力を発生させる。そして、テーブルベース103の4角×2箇所(合計8ヶ所)の電磁的サポートアクチュエータ130と鋼板45間の吸引力のバランスにより、粗動ステージ41に対して微動テーブル機構101が非接触状態を維持しつつ、X、Y、θzの3方向に微小駆動可能に連結される。
【0056】
粗動ステージ41に対して微動テーブル機構101が非接触に連結された状態において、サポート壁部材120の壁部120A、120Bと鋼板45間のギャップがギャップセンサ140で検出される。そして、粗動ステージ41に対する微動テーブル機構101の微小駆動・位置決めは、ギャップセンサ140によるギャップの検出値に基づき制御できる。
【0057】
図4に示すように、テーブルベース103の裏面側には、4つに分散配置されたエアパッド(気体軸受)150(150a〜150d)が設けられている。これらエアパッド150の周囲には、真空排気溝151が形成されている。この真空排気溝151により、エアパッド150からの気体リークを軽減できるので、真空雰囲気中や特殊雰囲気中でもステージ装置を使用することができる。さらに、テーブルベース103の中心部(真空排気溝151の内側)には、電磁的アクチュエータ153が埋め込まれている。この電磁的アクチュエータ153は、前述の電磁的サポートアクチュエータ130と略同様のものである。
【0058】
図2に示すように、テーブルベース103は、各エアパッド150により定盤102上に非接触吸着されているとともに、電磁的アクチュエータ153により定盤上に磁気吸着されている。これにより、定盤102を基準として、テーブルベース103の非接触な高剛性支持が実現されている。さらに、本実施の形態のステージ装置は、粗動ステージ41に微動テーブル機構101が非接触に連結された状態において、テーブルベース103の定盤102上における弾性主軸Cと、粗動ステージ41の駆動重心点Gとが一致している。そのため、ステージ装置の制御軸の非干渉化が実現されている。なお、テーブルベース103上面と粗動ステージ41下面の間、及び、粗動ステージ41上面と微動テーブル105下面の間には、適当な隙間が存在する。
【0059】
図1及び図2に示すように、微動テーブル105の四隅には、前述の通り係合孔105aが形成されている。これらの係合孔105aに、Z駆動アクチュエータ107の先端(上端)が嵌め込まれる。微動テーブル105の上面中央には、ウエハ299(図11参照)を吸着するためのウエハホルダ105bが設けられている。微動テーブル105の側面には、ミラー161、162が固定されている。これらミラー161、162は、位置検出装置のレーザ干渉計(図示されず)から出射されるレーザービームを反射する。
【0060】
前述の粗動ステージ機構1及び微動テーブル機構101を備えるステージ装置の総合的な作用について説明する。
テーブルベース103は、裏面側の各エアパッド150により定盤102上に非接触吸着されているとともに、電磁的アクチュエータ153により定盤102上に磁気吸着されている(図2等参照)。これにより、定盤102を基準として、微動テーブル機構101全体の非接触な高剛性支持が実現されている。
【0061】
微動テーブル機構101は、粗動ステージ機構1の粗動ステージ41に対して、サポート壁部材120内の電磁的サポートアクチュエータ130と、粗動ステージ41コーナー部の鋼板45との間の8箇所の吸引力のバランスにより、非接触状態を維持しつつ微小動作可能となっている(図5等参照)。粗動ステージ41に対して微動テーブル機構101が非接触で係合しているので、粗動ステージ41から微動テーブル機構101への振動が絶縁される。そして、微動テーブル機構101は、基本的には、粗動ステージ41に引き連れられてX、Y平面内を駆動され、さらに、粗動ステージ41に対する微動テーブル機構101のX、Y、θz方向の微小駆動・位置決めが制御される。なお、この制御の際には、サポート壁部材120の壁部120A、120Bと鋼板45間のギャップをギャップセンサ140で検出してフィードバック制御される。
【0062】
粗動ステージ41に対して微動テーブル105をZ、θx、θy方向に微小駆動するには、Z駆動アクチュエータ107を駆動する。すなわち、テコ機構110のピエゾ素子113を突出させると、本体111の変位拡大テコ部116を支点として固定端部112が上側に押し上がり、Z駆動アクチュエータ107が両ヒンジ部107aにおいて屈曲変形しつつ押し上げられる(図7等参照)。Z駆動アクチュエータ107は、テコ機構110のピエゾ素子113の突出量をギャップセンサ117で検出しつつ駆動制御する。このZ駆動アクチュエータ107の駆動制御により、上側に連結された微動テーブル105をZ、θx、θy方向に微小駆動できる。
【0063】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、低重心でステージ部の移動に伴う振動を遮断できる、あるいは、真空領域内で高精度な位置決めを行うことができる等の利点を有するステージ装置等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る粗動ステージ及び微動テーブル機構の構成を示す分解斜視図である。
【図2】同粗動ステージ及び微動テーブル機構の組み立て状態を示す側面図である。
【図3】同微動テーブル機構のテーブルベースの構成を示す斜視図である。
【図4】同微動テーブル機構のテーブルベースの裏面図である。
【図5】同粗動ステージ及び微動テーブル機構の非接触係合部の詳細を示す拡大図である。
【図6】同粗動ステージの鋼板を微動テーブル機構の電磁的サポートアクチュエータの構成を示す斜視図である。
【図7】同微動テーブル機構のZ駆動アクチュエータ及びテコ機構の動作を説明する説明図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係るステージ装置の粗動ステージ機構を示す斜視図である。
【図9】同ステージ機構のリニアモータ、Yスライダ、移動ガイド及びステージの斜視図(図8から固定ガイドを取り除いた状態の斜視図)である。
【図10】図10(A)は図9に示す移動ガイド及びステージの平面図であり、図10(B)はその正面図であり、図10(C)はその側面図である。
【図11】EUV光露光装置の全体構成例を示す図である。
【符号の説明】
1 粗動ステージ機構 11、21 固定ガイド
13、23 Yスライダ 15、25 固定子
17、27 エアパッド 17X、27X エア配管
18、28 真空排気溝 31 移動ガイド
41 粗動ステージ 45 鋼板
101 微動テーブル機構 102 定盤
103 テーブルベース 105 微動テーブル
107 Z駆動アクチュエータ 107a ヒンジ部
110 テコ機構
111 本体 112 アクチュエータ固定端部
113 ピエゾ素子 115 スリット
116 変位拡大テコ部 117 ギャップセンサ
120 サポート壁部材
130 電磁的サポートアクチュエータ
131 電磁コア 133 コイル
140 ギャップセンサ 150 エアパッド
151 真空排気溝 153 電磁的アクチュエータ
201 露光装置
225 マスクステージ 231 ウエハステージ
Claims (10)
- ある平面上で粗動ステージを移動・位置決めする粗動ステージ機構と、
前記粗動ステージ上で微動テーブルを移動・位置決めする微動テーブル機構と、
を備えるステージ装置であって、
前記粗動ステージに対して前記微動テーブルが非接触で係合していることを特徴とするステージ装置。 - 前記粗動ステージに対して前記微動テーブル機構を前記平面に沿う方向に微小動作可能とする電磁サポートアクチュエータを具備することを特徴とする請求項1記載のステージ装置。
- 前記微動テーブル機構を搭載するテーブルベースと、
該テーブルベースを非接触に支持・案内する、前記平面に沿って広がる定盤と、
を具備することを特徴とする請求項1又は2記載のテーブル装置。 - 前記テーブルベース上に非接触で前記粗動ステージが配置さているとともに、該粗動ステージ上に非接触で前記微動テーブルが配置されており、
前記テーブルベースは、基本的には、前記粗動ステージに引き連れられて前記定盤上を移動し、
前記テーブルベースと前記粗動ステージの間に、両者を微小動作可能に連結する電磁サポートアクチュエータが配置されていることを特徴とする請求項3記載のステージ装置。 - 前記テーブルベース上の3点以上の位置に、前記微動テーブルのZ駆動アクチュエータが分散配置されていることを特徴とする請求項3又は4記載のステージ装置。
- 前記Z駆動アクチュエータが、伸縮式であって、屈曲変形可能なヒンジ部を有しており、
前記テーブルベースに、前記Z駆動アクチュエータをテコ作用で動かすテコ機構が設けられていることを特徴とする請求項5記載のステージ装置。 - 前記テーブルベースが前記定盤上に気体軸受を介して配置されているとともに、該テーブルベースが該定盤上に磁気吸着されていることを特徴とする請求項3〜6いずれか1項記載のステージ装置。
- 前記気体軸受の周りに真空排気溝が形成されていることを特徴とする請求項7記載のステージ装置。
- 前記テーブルベースの前記定盤上における弾性主軸と前記粗動ステージの駆動点とが一致していることを特徴とする請求項7又は8記載のステージ装置。
- 感応基板上にエネルギ線を選択的に照射してパターン形成する露光装置であって、
前記感応基板を載置して移動する感応基板ステージ及び/又は前記パターンの原版を載置して移動する原版ステージが、前記請求項1〜9いずれか1項記載のステージ装置からなることを特徴とする露光装置。
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