JP2004177802A - 光導波路形成・検査装置、および、光導波路の形成方法 - Google Patents

光導波路形成・検査装置、および、光導波路の形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光導波路を形成時等に、光導波路が形成されているか否かの検査や形成した光導波路の接続損失の測定等を端時間で容易に行うことができる光導波路形成・検査装置を提供する。
【解決手段】光配線と光学的に接続することができる光分岐結合器、光分岐結合器と光学的に接続された励起光光源、信号光光源、および、受光器を含んでなり、上記光分岐結合器、上記信号光光源および上記受光器は、上記信号光光源からの光を上記光分岐結合器および上記光配線を介して、上記受光器が受光することができるように構成され、上記光分岐結合器および上記励起光光源は、上記励起光光源からの光を上記光分岐結合器およびこの光分岐結合器に接続された光配線を介して、この光配線の上記光分岐結合器と接続された側と反対側から照射することができるように構成されていることを特徴とする光導波路形成・検査装置。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自己形成光導波路の技術を用いて光配線同士等を接続する光導波路を形成する際、および、光導波路を形成した後に用いる光導波路形成・検査装置、ならびに、光導波路の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光技術を利用した光通信や光情報処理、あるいは電子機器、光学機器等の分野が急速に進展しつつあり、各種光デバイスを接続するための技術の開発が大きな課題となっている。従来各種光デバイス間は、例えば、光ファイバ等の光配線等を介して接続されているが、その接続には極めて高い位置精度が要求され、このような接続作業は手作業もしくは高精度な調芯設備により行われているため、接続コストが上昇する一因となるという問題があった。
【0003】
そこで、光配線同士等を接続する技術として、自己形成光導波路の技術が開発されている(例えば、特許文献1)。この技術は、接続すべき光配線同士等を、ある任意の間隔をもたせて対向配置し、この光配線間に感光性組成物を満たした後、対向配置した光配線の一方または両方から、その感光性組成物が感光する波長の励起光を照射することにより、光配線同士を接続する光導波路を形成するというものである。
【0004】
また、光配線同士を接続した後には、この光配線が組み込まれている光通信用デバイス(例えば、送受信光モジュール等)専用の通信波長の信号光が伝送されることとなる。従って、自己形成光導波路の技術を用いて光導波路を形成した場合に、光配線同士が真に接続されたか否かを確認するためには、通常の顕微鏡等を用いた目視検査のみならず、実際の信号光を伝送して、その接続特性を検査しなければならなかった。
【0005】
さらに、自己形成光導波路の技術を用いて、光導波路を形成する場合、光配線を介して感光性組成物に励起光を照射する時間には、最適な時間が存在することがある。これは、励起光の照射時間が短い場合には、形成する光配線の長さが短く、光配線同士を十分に接続しないことがあり、照射時間が長い場合には、光導波路が成長しすぎて形状が太くなったり、光導波路として不必要な部分が感光されて形状がいびつになったりして、接続特性が劣化してしまうことがあるからである。
【0006】
そこで、最適な励起光の照射時間を知得するためには、ごく短時間ずつ励起光を照射しながら、光導波路を少しずつ形成させていき、その励起光照射の合間に信号光を伝送してその接続特性を測定しなければならなかった。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−258095号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、励起光と信号光とが、異なる波長、異なる出力である場合には、励起光および信号光のそれぞれについて、別の光源が必要となる。そのため、上述したように、励起光照射の合間に信号光を伝送する場合には、その度、励起光の光源と、信号光の光源とを取り換えなければならず、その作業が煩雑にならざるを得なかった。
以下、自己形成光導波路の技術を用いて光導波路を形成する場合の従来の方法を図面を参照しながら説明する。
【0009】
図14(a)〜(i)は、従来の方法により、光導波路の形成を行う場合の作業手順を説明するための模式図である。なお、図14では、光配線の両方から励起光を照射して光導波路を形成する方法を説明する。
自己形成光導波路の技術を用いた光導波路を形成では、(1)まず、形成する光導波路を介して接続する光配線202a、202b同士を間隔をあけて配置するとともに、一の光配線202aには信号光光源205を、他の光配線202bには受光器207をそれぞれ光導波路と接続する側と反対側に接続する。さらに、光配線202a、202b同士の間隙に感光性組成物(図示せず)を満たし、その後、光導波路を形成する前の光配線間の接続特性、例えば、接続損失を測定する(図14(a)参照)。
【0010】
(2)次に、信号光光源205および受光器207を一旦取り外し、これらに代えて、2本の光配線202a、202bのそれぞれに励起光光源206a、206bを接続する。その後、それぞれの光配線202a、202bから他の光配線に向かって励起光を照射し、光導波路を形成する(図14(b)参照)。なお、ここでは、短時間で短い光導波路を形成する。その理由は上述したように、光導波路を少しずつ形成させていき、その合間に接続特性を測定する必要があるからである。
【0011】
(3)次に、光配線202a、202bから励起光光源206a、206bを取り外し、その後、上記(1)と同様に、一方の光配線202aには信号光光源205を、他方の光配線202bには受光器207をそれぞれ接続し、光配線間の接続特性を測定する(図14(c)参照)。
【0012】
(4)その後、上記(2)および(3)の手順を繰り返して、除々に光導波路208a、208bを形成しながら、光配線間の接続特性を測定し(図14(d)〜(h)参照)、最終的に光導波路208が形成された時点での接続特性を測定する(図14(i)参照)。
なお、外観上、光導波路が形成されているように観察されても、光導波路が完全に形成されているか否か、すなわち、感光性組成物が光導波路の全体において完全に硬化しているか否か不明であるため、最適な励起光照射時間を定めるためには、上記(2)および(3)の手順をさらに繰り返して行う必要がある。
また、このような光導波路の形成方法では、通常、形成した光導波路の形状を顕微鏡で観察しており、そのための設備も必要であった。
【0013】
上述した手順で、光導波路を形成する場合には、信号光光源や励起光光源、受光器を接続し直す手順を要するため過大な時間が必要となる。また、光配線が光導波路で完全に接続されていない状態(図14(d)等)で信号光光源等を接続し直すと、光導波路が不安定となり、光配線同士の間を適切に接続することができないこともある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行い、自己形成光導波路の技術を用いて光配線同士の間を接続する光導波路を形成する場合、励起光光源や信号光光源を取り換える手順を行うことなく光導波路の形成等を行うには、励起光光源や信号光光源からの光を光分岐結合器(以下、光カップラともいう)を介して伝送すればよいことを見出し、本発明の光導波路形成・検査装置および光導波路の形成方法を完成した。
【0015】
すなわち、本発明の光導波路形成・検査装置は、少なくとも一組の光配線同士の間を接続する光導波路を形成する際、および/または、形成した後に用いる光導波路形成・検査装置であって、
上記光配線と光学的に接続することができる光分岐結合器、
上記光分岐結合器と光学的に接続された励起光光源、
信号光光源、および、受光器を含んでなり、
上記光分岐結合器、上記信号光光源および上記受光器は、上記信号光光源からの光を上記光分岐結合器および上記光配線を介して、上記受光器が受光することができるように構成され、
上記光分岐結合器および上記励起光光源は、上記励起光光源からの光を上記光分岐結合器およびこの光分岐結合器に接続された光配線を介して、この光配線の上記光分岐結合器と接続された側と反対側から照射することができるように構成されていることを特徴とする。
【0016】
本発明の光導波路形成・検査装置としては、所定の間隔を確保して保持されるとともに、その間隙が感光性組成物で満たされた少なくとも一組の光配線同士の間を接続する光導波路を形成する際、および/または、形成した後に用い、
上記励起光光源からの光を上記光分岐結合器およびこの光分岐結合器に接続された光配線を介して、この光配線の上記光分岐結合器と光学的に接続された側と反対側から上記感光性組成物中に照射することにより光導波路を形成し、
上記信号光光源からの光を上記受光器で受光することにより、感光前後の感光性組成物の状態および/または特性を検査するものが望ましい。
【0017】
また、上記感光性組成物の状態は、光導波路の形成状態であることが望ましい。
また、上記感光性組成物の特性は、最低光量、最適光量、および、光透過率のうちの少なくとも一つであることが望ましい。
【0018】
本発明の光導波路の形成方法は、少なくとも一組の光配線のそれぞれの一端が略向き合い、かつ、少なくとも向き合った一端がともに、感光性組成物中に浸漬されるように、光配線を配置し、上記光配線を介して光を照射することにより、上記光配線同士を接続する光導波路を形成する方法であって、
まず、上記一組の光配線のうちの一方の光配線に信号光光源を光学的に接続し、他方の光配線に受光器を光学的に接続するにあたって、上記信号光光源および/または上記受光器を、光分岐結合器を介して光配線と光学的に接続するとともに、
上記一組の光配線のうちの少なくともいずれかの光配線に光分岐結合器を介して励起光光源を光学的に接続し、
その後、上記励起光光源からの光を光分岐結合器および光配線を介して上記感光性組成物中に照射することにより光導波路を形成し、
上記信号光光源からの光を上記受光器で受光することにより感光前後の感光性組成物の状態および/または特性を検査することを特徴とする。
【0019】
また、上記感光性組成物の状態は、光導波路の形成状態であることが望ましい。
また、上記感光性組成物の特性は、最低光量、最適光量、および、光透過率のうちの少なくとも一つであることが望ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の光導波路形成・検査装置は、少なくとも一組の光配線同士の間を接続する光導波路を形成する際、および/または、形成した後に用いる光導波路形成・検査装置であって、
上記光配線と光学的に接続することができる光分岐結合器、
上記光分岐結合器と光学的に接続された励起光光源、
信号光光源、および、受光器を含んでなり、
上記光分岐結合器、上記信号光光源および上記受光器は、上記信号光光源からの光を上記光分岐結合器および上記光配線を介して、上記受光器が受光することができるように構成され、
上記光分岐結合器および上記励起光光源は、上記励起光光源からの光を上記光分岐結合器およびこの光分岐結合器に接続された光配線を介して、この光配線の上記光分岐結合器と接続された側と反対側から照射することができるように構成されていることを特徴とする。
【0021】
本発明の光導波路形成・検査装置では、光分岐結合器、信号光光源、受光器および励起光光源が、上述した構成にあるため、光導波路を形成する際や光導波路の形成後に、光導波路が形成されているか否かの検査や形成した光導波路の接続損失の測定等と、光導波路の形成とを励起光光源や信号光光源を取り換えることなく行うことができる。従って、本発明の光導波路形成・検査装置の用いることにより、光導波路の形成や検査を短時間で行うことができる。
また、本発明の光導波路形成・検査装置を用いて、光導波路を形成する場合、信号光光源等を接続し直す必要がないため、信号光光源等を接続し直す際に光導波路の状態が不安定になる等の不都合が発生しない。
さらに、本発明の光導波路形成・検査装置では、光導波路を形成する際の最適な励起光の照射時間を容易に知得することができる。
【0022】
以下、本発明の光導波路形成・検査装置について、図面を参照しながら説明する。図1(a)、(b)は、それぞれ本発明の光導波路形成・検査装置の一例を説明するための模式図である。
【0023】
図1に示す光導波路形成・検査装置10は、光分岐結合器14a、14b、励起光光源16a、16b、信号光光源15、受光器17、光配線保持部材11および感光性組成物貯留部材13からなるものであり、具体的には、下記のように構成されている。
すなわち、一組の光配線12a、12bが光配線保持部材11により間隔をあけて保持されており、光配線12aと光配線12bとの間隙には、感光性組成物貯留部材13が配設されており、この感光性組成物貯留部材13により、光配線12a、12bの間隙には感光性組成物(図示せず)を満たすことができる。ここで、感光性組成物は、この感光性組成物中に光配線12a、12bの互いに向き合う側の端部が浸漬されるように満たすことができる。
【0024】
また、光配線12a、12bのそれぞれの感光性組成物に浸漬される側と反対側には、光分岐結合器14a、14bが光学的に接続されている。ここで、光分岐結合器14a、14bはともに1×2光カップラである。また、光配線12a、12bと光分岐結合器14a、14bとは光学的に接続されていればよい。従って、両者は直接接続されていてもよいし、光コネクタ等を介して接続されていてもよい。また、光学的に接続されていれば、接続した部分に隙間があってもよい。
【0025】
また、2つの光分岐結合器14a、14bのうち、一方の光分岐結合器14aには、信号光光源15と励起光光源16aとが光学的に接続されており、他方の光分岐結合器14bには、励起光光源16bと受光器17とが光学的に接続されている。ここで、光分岐結合器と、信号光光源、励起光光源および受光器のそれぞれとは、光学的に接続されていればよい。従って、これらは、直接接続されていてもよいし、光コネクタ等を介して接続されていてもよい。また、光学的に接続されていれば、接続した部分に隙間があってもよい。
【0026】
また、図1(a)に示した光導波路形成・検査装置10では、光配線12a、12bの両方から励起光を照射するために、別の励起光光源16a、16bを備えているが、本発明の光導波路形成・検査装置では、光配線12a、12bの両方から励起光を照射する場合に必ずしも別の励起光光源を備えていなくてもよい。
具体的には、図1(b)に示す光導波路形成・検査装置10′のように、光配線12a、12bの両方から励起光を照射するため励起光光源として、単一の励起光光源16を備えており、この単一の励起光光源16が光分岐結合器14a、光分岐結合器14bのそれぞれと光学的に接続されていてもよい。このような構成を有する場合には、単一の励起光光源で両方の光配線から励起光を照射することができる。
なお、図1(b)に示した光導波路形成・検査装置10′の構成は、上述したように、単一の励起光光源16を備え、この単一の励起光光源16が、光分岐結合器14a、14bのそれぞれと光学的に接続されている以外は、図1(a)に示した光導波路形成・検査装置10と同様である。
【0027】
このような光導波路形成・検査装置10、10′では、光配線12a、12bの間隙に満たされる感光性組成物を材料として、光配線保持部材11に保持された光配線12a、12bを接続する光導波路を形成することができる。また、光導波路が形成されているか否かを検査することもできる。
以下、本発明の光導波路形成・検査装置にて行う処理を図面を参照しながら説明する。
図2(a)〜(f)は、図1(a)に示した本発明の光導波路形成・検査装置10を用いて、光導波路の形成と光導波路の検査とを行う際の光導波路形成・検査装置にて行う処理を説明するための模式図である。なお、本発明の光導波路形成・検査装置10を用いて光導波路の形成、検査を行う場合、感光性組成物貯留部材13には感光性組成物を満たしておくこととなるが、図2では、説明を容易にするため、感光性組成物を省略している。
【0028】
光導波路形成・検査装置10を用いて、光導波路の形成および検査を行う場合、(1)まず、励起光を照射する前(感光性組成物が未硬化の状態のとき)に信号光光源15から受光器17に向かって信号光を伝送し、光導波路を形成する前の接続損失を測定する(図2(a)参照)。ここで、信号光光源15からの光は、光分岐結合器14a、光配線12a、12bおよび光分岐結合器14bを介して伝送され、受光器17で受光される。
【0029】
(2)次に励起光光源16a、16bのそれぞれから感光性組成物(図示せず)中に励起光を照射する。このような励起光照射により、光配線12a、12bのそれぞれから除々に光導波路18a、18bが形成されていく(図2(b)、(c)参照)。ここで、励起光光源16aからの光は、光分岐結合器14aおよび光配線12aを介して、光配線12aの光分岐結合器14aと接続された側と反対側の端部から感光性組成物中に照射され、励起光光源16bからの光は、光分岐結合器14bおよび光配線12bを介して、光配線12bの光分岐結合器14bと接続された側と反対側の端部から感光性組成物中に照射される。
また、図2(c)に示すように、長さの短い光導波路18a、18bが形成された状態で、励起光の照射と同時に、または、励起光の照射に代えて信号光を出射し、この信号光を受光器17で受光することにより、感光前後の感光性組成物の状態および/または特性を検査することができる。
【0030】
(3)その後、上記(2)の工程を繰り返し行い、光配線12aと光配線12bとを接続する光導波路18を形成する(図2(d)〜(f)参照)。
このように光導波路形成・検査装置10を用いることにより、信号光光源と励起光光源とを取り換えることなく、光導波路の形成と光導波路の検査とを行うことができる。
【0031】
具体的には、形成された光導波路の長さが長くなるにしたがって、光配線同士の間の接続損失が低下していくこととなるため、信号光光源からの光を受光器で受光して、光配線間の接続損失を測定することにより、光導波路が形成されているか否かを検査することができる。
また、光導波路を形成するための最適な条件も知得することができる。
さらに、上述した処理では、信号光光源と励起光光源との取り換え作業が不要であるため、形成した光導波路が不安定にあることもない。
【0032】
また、本発明の光導波路形成・検査装置を用いて、光導波路の形成を行う場合、励起光の照射は、連続的に行ってもよいし、断続的に照射してもよい。
また、上記励起光の強度は常に一定である必要はなく、その強度が経時的に変化してもよい。
また、一組の光配線の両方から励起光を照射する場合、それぞれの励起光の強度は、同一であってもよいし,異なっていてもよい。また、両方の光配線から励起光を照射する場合、両方の光配線から同時に照射してもよいし、交互に照射してもよい。
なお、一組の光配線の一方のみから照射してもよい。これについては後に詳述する。
【0033】
上記光導波路形成・検査装置において、信号光光源から発信する信号光の波長は特に限定されず、上記光導波路形成・検査装置を用いて、光配線や光導波路に使用する波長であればよい。また、上記信号光は、パルス光のような不連続的な信号光であってもよいし、連続光であってもよい。
【0034】
また、本発明の光導波路形成・検査装置では、感光前後の感光性組成物の状態および/または特性を検査することが望ましいが、その検査対象は特に限定されるものではない。
上記感光前後の感光性組成物の状態の具体的としては、例えば、光導波路の形成状態等が挙げられる。
上記光導波路の形成状態は、光配線間の接続損失を指標として評価することができる。
具体的には、例えば、形成する光導波路(光導波路のコア部)について、その形成前(感光性組成物の硬化前)、形成途中(感光性組成物が一部硬化しているが、光配線間が接続されていない状態)および形成後(感光性組成物が硬化し、光配線がコア部で接続されている状態)を通じて光配線間の接続損失を測定した場合には、形成前の状態(励起光未照射)から接続損失が低下し始めたことにより、光導波路が形成途中にあるとの知見を得ることができ、低下を続けていた接続損失が安定化することにより、光導波路が形成された、すなわち、光配線間が接続されたとの知見を得ることができる。
【0035】
また、上記感光前後の感光性組成物の特性の具体的としては、例えば、最低光量、最適光量、光透過率等が挙げられる。
上記最低光量とは、感光性組成物が硬化しはじめるまでに最低限必要な光量をいい、上記最適光量とは低接続損失な光導波路を形成するのに最も適した光量をいう。これらは光配線間の接続損失を指標として検査することができる。上記最低光量は、例えば、励起光の照射開始から接続損失が低下し始めるまでに照射した光量として算出することができる。また、上記最適光量は、例えば、接続損失が最低値となるまでに照射した光量として算出することができる。
【0036】
また、上記光透過率は上記信号光光源から出射した信号光の強度と受光器で受光した信号光の強度とから検査することができる。また、上記光透過率は、光導波路について、その形成前、形成途中および形成後を通じて検査することができる。
【0037】
次に、本発明の光導波路形成・検査装置の各構成部材について説明する。
上記光導波路形成・検査装置は、光分岐結合器、励起光光源、信号光光源および受光器を含んでなる。
上記光分岐結合器としては、図1に示した分岐比が1×2光カップラに限定されるわけではなく、光導波路形成・検査装置の設計に応じて、N×M光カップラを適宜選択すればよい。
また、上記光分岐結合器における光の分配比は特に限定されず、光分岐結合器を介して伝送される信号光が受光器において検知することができる光の強度を保ちつつ、光分岐結合器を介して伝送される励起光が感光性組成物を充分に感光させる強度を保っていればよい。
なお、本明細書において、光分岐結合器とは、光の波長に実質的に依存することなく、光の分岐および結合を行うことが可能な光学部品をいう。
【0038】
上記光分岐結合器の構造は特に限定されず、汎用的なファイバ融着型でもよいし、平面導波路型であってもよい。また、上記した特性を満足するものであればその作成方法は限定されない。
【0039】
上記励起光光源、上記信号光光源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、LED(発光ダイオード)等のインコヒーレントな光を発する光源や、紫外線レーザ、DFB−LD(分布帰還型−半導体レーザ)、FP−LD(ファブリ・ペロー型−半導体レーザ)等の半導体レーザ等のコヒーレントな光を発する光源等が挙げられる。
上記励起光光源および上記信号光光源は、光の波長を考慮して適宜選択すればよい。また、場合によっては、波長可変レーザ等の波長可変光源を用いてもよい。
【0040】
また、励起光光源や信号光光源として、紫外線レーザや半導体レーザを用いる場合には、他の光源からの励起光や信号光が戻り光として作用し、その光源を損傷することがある。従って、これらの光源を用いる場合には、励起光光源や信号光光源と、これらの光源に光学的に接続される光配線との間に、光アイソレータ、光サーキュレータ、フィルタ等の吸収板等を配置し、他の光源からの光が入らないようにすればよい。
【0041】
また、図1に示した光導波路形成・検査装置10のように2つの励起光光源が用いられる場合など、複数の励起光光源を有する光導波路形成・検査装置では、それぞれの励起光光源の種類は、感光性組成物を感光するのに適した波長の光を発することが可能であれば、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
さらに、上記光導波路形成・検査装置においては、信号光光源と光分岐結合器との間に励振器を光学的に接続してもよい。励振器を接続することにより、定常モードの信号光に対する光導波路の信号伝送能を検査することができる。
【0042】
上記受光器としては、上記信号光光源からの信号光を検知することができるものであればよく、具体例としては、PD(フォトダイオード)、APD(アバランシェフォトダイオード)等の受光素子が組み込まれたもの等が挙げられる。
また、上記受光器は、励起光を検知せずに信号光のみを検知することができる性能を有するものや、受光した光を波長分散スペクトルとして検知し、励起光と信号光とを独立して検知することができる性能を有するものが望ましい。このような性能を有するものでなければ、励起光と信号光とをともに検知してしまい、励起光が光配線間の接続損失等の測定において雑音(ノイズ)となってしまうからである。
【0043】
上記受光器において、信号光と励起光とをともに検知してしまう場合には、予め、受光器に補正をかけておくことによりノイズを削除することができる。また、上記受光器の手前(受光器と光配線との間)に、予め、励起光を吸収、反射させることが可能なフィルタやミラー等を配置しておくことにより、ノイズ自体を測定上無視することもできる。ただし、後述する実施例のように受光器からの出力をレコーダーなどによりモニタする場合には、ノイズの入った時点が励起光の出射開始時であると判定することもでき、ノイズの存在が有効に働く場合もあるので、一概にはノイズの削除が望ましいとは言い切れない。
【0044】
上記光配線保持部材としては、光導波路を介して接続する光配線同士を所定の間隔をあけて保持することができるものであればよく、具体例としては、例えば、V溝基板、キャピラリ、汎用的な光ファイバや光導波路用の固定治具等が挙げられる。
また、上記感光性組成物貯留部材は、所定の間隔を確保して保持した一組の光配線の互いに向き合うそれぞれの端部が、感光性組成物に浸漬されるように感光性組成物を貯留することができるものであればよい。
【0045】
また、上記光配線保持部材と上記感光性組成物貯留部材とは必ずしも別個の部材である必要はなく、一体化したものであってもよい。上記のV溝基板、キャピラリ等も十分にその役割を持つものであるが、より使用しやすい具体例としては、例えば、中央部に凹部が形成されたV溝基板等が挙げられる。また、感光性組成物が液体である場合でも、その表面張力によりそれ自身がその形を保持することができるものであれば単なる平板のようなものであっても良く、より使用しやすい具体例としては、例えば、中央部に凹部が形成された平板等が挙げられる。
【0046】
なお、図1に示した光導波路形成・検査装置10には、装置の構成部材として光配線保持部材と、感光性組成物貯留部材とは、必ずしも本発明の光導波路形成・検査装置に必要なわけではない。
すなわち、光導波路形成・検査装置10では、光導波路による接続対象を一組の光配線としているため、光配線保持部材と感光性組成物貯留部材とが必要であるが、本発明の光導波路形成・検査装置の使用対象が所定の間隔を確保して保持された少なくとも一組の光配線であれば、上記光配線保持部材は不要である。
さらに、使用対象が所定の間隔を確保して保持されるとともに、その間隙に感光性組成物が満たされた少なくとも一組の光配線であれば、光配線保持部材と感光性組成物貯留部材とが不要である。
【0047】
本発明の光導波路形成・検査装置では、少なくとも一組の光配線を接続する光導波路を形成することができる。ここで、接続対象となる光配線、および、光導波路の材料となる感光性組成物としては、後述する光導波路の形成方法で用いる光配線、感光性組成物と同様のもの等が挙げられる。
【0048】
また、本発明の光導波路形成・検査装置を用いて光配線間を接続する光導波路を形成する場合、この光配線間に予め、ミラー、プリズム、フィルタ等の光学部品やその他の導波路部品等が配設されていてもよい。この場合、形成される光導波路は、その経路上に上記光学部品等を備えることとなる。
【0049】
本発明の光導波路形成・検査装置の実施形態は、図1に示した実施形態に限定されるわけではない。
以下、本発明の光導波路形成・検査装置の別の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0050】
図3(a)、(b)は、本発明の光導波路形成・検査装置の別の一例を説明するための模式図である。
図3(a)に示す光導波路形成・検査装置20では、一組の光配線22a、22bが光配線保持部材21により間隔をあけて保持されており、光配線22aと光配線22bとの間隙には、感光性組成物貯留部材23が配設されている。さらに、この感光性組成物貯留部材23により、光配線22a、22bの間隙には感光性組成物(図示せず)が満たされる。ここで、上記感光性組成物は、この感光性組成物中に光配線22a、22bの互いに向き合う側の端部が浸漬されるように満たされる。
【0051】
また、一方の光配線22aの感光性組成物に浸漬される側と反対側には、光分岐結合器24(1×2光カップラ)が光学的に接続されており、光分岐結合器24には、信号光光源25と励起光光源26とが光学的に接続されている。
また、他方の光配線22bの感光性組成物に浸漬される側と反対側には、受光器27のみが光学的に接続されている。
【0052】
このような構成からなる光導波路形成・検査装置20では、励起光光源26からの励起光を、一方の光配線22aを介して感光性組成物中に照射することができ、光配線22a、22b間を接続する光導波路を形成することができる。また、光分岐結合器24、光配線22a、22bを介して信号光光源25からの光を受光器27で受光することができるため、感光前後の感光性組成物の状態および/または特性を検査することができる。
【0053】
図3(b)に示す光導波路形成・検査装置30では、一組の光配線32a、32bが光配線保持部材31により間隔をあけて保持されており、光配線32aと光配線32bとの間隙には、感光性組成物貯留部材33が配設されている。さらに、この感光性組成物貯留部材33により、光配線32a、32bの間隙には感光性組成物(図示せず)が満たされる。ここで、上記感光性組成物は、この感光性組成物中に光配線32a、32bの互いに向き合う側の端部が浸漬されるように満たされる。
【0054】
また、一方の光配線32bの感光性組成物に浸漬される側と反対側には、光分岐結合器34(1×2光カップラ)が光学的に接続されており、光分岐結合器34には、受光器37と励起光光源36とが光学的に接続されている。
また、他方の光配線22aの感光性組成物に浸漬される側と反対側には、信号光光源35のみが光学的に接続されている。
【0055】
このような構成からなる光導波路形成・検査装置30では、励起光光源36からの励起光を、一方の光配線32aを介して感光性組成物中に照射することができ、光配線32a、32b間を接続する光導波路を形成することができる。また、光配線32a、32b、光分岐結合器34を介して信号光光源35からの光を受光器37で受光することができるため、感光前後の感光性組成物の状態および/または特性を検査することができる。
【0056】
図3(a)、(b)に示した光導波路形成・検査装置20、30は、片方の光配線から励起光を照射して一組の光配線同士の間を接続する光導波路の形成を行う際に用いることができる。この両者の使い分けは、例えば、上述した光源への戻り光をなくす場合には、図3(a)に示した光導波路形成・検査装置20を好適に用いることができ、受光器でのノイズを削除する場合には、図3(b)に示した光導波路形成・検査装置30を好適に用いることができる。
【0057】
図4は、本発明の光導波路形成・検査装置の別の一例を説明するための模式図である。
図4に示す光導波路形成・検査装置40では、一組の光配線42a、42bが光配線保持部材41により間隔をあけて保持されており、光配線42aと光配線42bとの間隙には、感光性組成物貯留部材43が配設されている。さらに、この感光性組成物貯留部材43により、光配線42a、42bの間隙には感光性組成物(図示せず)が満たされる。ここで、上記感光性組成物は、この感光性組成物中に光配線42a、42bの互いに向き合う側の端部が浸漬されるように満たされる。
【0058】
また、一方の光配線42aの感光性組成物に浸漬される側と反対側には、光分岐結合器44a(2×2光カップラ)が光学的に接続されており、光分岐結合器44aには、信号光光源45と励起光光源46aと受光器47が光学的に接続されている。
また、他方の光配線42bの感光性組成物に浸漬される側と反対側には、光分岐結合器44b(2×2光カップラ)が光学的に接続されており、光分岐結合器44bには、励起光光源46bと受光器47a、47cが光学的に接続されている。
【0059】
このような構成からなる光導波路形成・検査装置40において、(i)受光器47aとして信号光用の受光器を用い、受光器47b、47cとして励起光用の受光器を用いた場合と、(ii)受光器47aとして励起光用の受光器を用い、受光器47b、47cとして信号光用の受光器を用いた場合とでは、それぞれ異なる利点を有することとなる。
【0060】
すなわち、上記(i)の組合せの受光器を用いた光導波路形成・検査装置40では、信号光光源45からの信号光を、光分岐結合器44a、光配線42a、42b、光分岐結合器44bを介して受光器47aで受光することができるため、感光前後の感光性組成物の状態および/または特性を検査することができる。
また、励起光光源46aからの励起光を、光分岐結合器44a、光配線42a、42b、光分岐結合器44bを介して受光器47cで受光するとともに、励起光光源46bからの励起光を、光分岐結合器44b、光配線42b、42a、光分岐結合器44aを介して受光器47bで受光することができるため、光導波路を形成する際の受光器の強度を正確に測定することができる。従って、このような組合せの励起光を用いることは、励起光の強度を変化させながら光導波路を形成する際に有用である。
【0061】
また、上記(ii)の組合せの受光器を用いた光導波路形成・検査装置40では、受光器47aで励起光の強度を測定することできるため、励起光の強度を変化させながら光導波路を形成する際に有用である。
これに加えて、(ii)の組合せの受光器を用いた光導波路形成・検査装置40では、受光器47bおよび受光器47cで信号光を受光することができるため、光導波路を介した信号伝送能をより正確に測定することができる。具体的には、例えば、信号光光源と光分岐結合器との接続不良に起因した接続損失の増大を無視して、光導波路を介して接続した光配線間の接続損失を正確に測定することができる。
【0062】
図5は、本発明の光導波路形成・検査装置の別の一例を説明するための模式図である。
図5に示す光導波路形成・検査装置50では、四組の光配線(52a、52b)(52c、52d)(52e、52f)(52g、52h)のそれぞれが光配線保持部材51により間隔をあけて保持されており、各組の光配線の間隙全体に位置するように感光性組成物貯留部材53が配設されている。さらに、この感光性組成物貯留部材53により、各組の光配線の間隙全体には感光性組成物(図示せず)が満たされる。ここで、上記感光性組成物は、この感光性組成物中に各組の光配線のそれぞれ互いに向き合う側の端部が浸漬されるように満たされる。
【0063】
また、一方の光配線52a、52c、52e、52gの感光性組成物に浸漬される側と反対側には、光分岐結合器54a(2×4光カップラ)が光学的に接続されており、光分岐結合器54aには、信号光光源55と励起光光源56aとが光学的に接続されている。
また、他方の光配線52b、52d、52f、52hの感光性組成物に浸漬される側と反対側には、光分岐結合器54b(2×4光カップラ)が光学的に接続されており、光分岐結合器54bには、励起光光源56bと受光器57が光学的に接続されている。
このような光導波路形成・検査装置50を用いることにより、光導波路による光配線の多芯接続を行うことができる。なお、光導波路形成・検査装置50を用いて接続する光配線は、複数の独立した光配線が並列に配列されたものであってもよいし、テープ形光ファイバ等であってもよい。
なお、図示はしていないが、励起光光源56a、56bの代わりに、図1(b)のように単一の励起光光源を備え、この単一の励起光光源が、光分岐結合器54a、54bのそれぞれと光学的に接続されていてもよい。このような構成の光導波路形成・検査装置を用いた場合にも、光配線の多芯接続を行うことができる。
【0064】
また、光導波路形成・検査装置50では、4芯の光配線の接続を行っているが、光分岐結合器を変更することにより、接続芯数を変更することもできる。具体的には、光分岐結合器として2×8光カップラを用いる場合には、8芯の光配線の接続を行うことができる。
【0065】
図6(a)、(b)は、本発明の光導波路形成・検査装置の別の一例を説明するための模式図である。
図6(a)に示す光導波路形成・検査装置60では、一組の光配線62a、62bが光配線保持部材61により間隔をあけて保持されており、光配線62aと光配線62bとの間隙には、感光性組成物貯留部材63が配設されている。さらに、この感光性組成物貯留部材63により、光配線62a、62bの間隙には感光性組成物(図示せず)が満たされる。ここで、上記感光性組成物は、この感光性組成物中に光配線62a、62bの互いに向き合う側の端部が浸漬されるように満たされる。
【0066】
また、一方の光配線62aの感光性組成物に浸漬される側と反対側には、光分岐結合器64a(1×2光カップラ)が光学的に接続されており、光分岐結合器64aには、励起光光源66aと光分岐結合器64c(1×2光カップラ)とが光学的に接続されている。さらに、光分岐結合器64cには、信号光光源65a、65bが光学的に接続されている。
また、他方の光配線62bの感光性組成物に浸漬される側と反対側には、光分岐結合器64b(1×2光カップラ)が光学的に接続されており、光分岐結合器64bには、励起光光源66bと光分岐結合器64d(1×2光カップラ)とが光学的に接続されている。さらに、光分岐結合器64dには、信号光光源65aからの信号光を検知することができる受光器67aと、信号光光源65bからの信号光を検知することができる受光器67bとが光学的に接続されている。
【0067】
このような光導波路形成・検査装置60では、信号光光源65a、65bのそれぞれから波長の異なる信号光を発信することにより、感光前後の感光性組成物について、それぞれの波長の信号光に対する状態および/または特性を検査することができる。もちろん、励起光光源66a、66bのそれぞれからの励起光により、光導波路を形成することができる。
【0068】
また、光導波路形成・検査装置60においては、信号光光源65aまたは信号光光源65bの接続位置と、励起光光源66aの接続位置とは逆であってもよい。
また、受光器67aまたは受光器67bの接続位置と、励起光光源66bの接続位置とが逆であってもよい。
【0069】
また、光導波路形成・検査装置60を用いた場合には、2つの異なる波長の信号光に対する感光前後の感光性組成物の状態および/または特性を検査することができるが、1×2光カップラ、信号光光源および受光器の数を適宜増やすことにより、3つ以上の異なる波長の信号光に対する感光前後の感光性組成物の状態および/または特性を検査することもできる。
【0070】
図6(b)に示す光導波路形成・検査装置70では、一組の光配線72a、72bが光配線保持部材71により間隔をあけて保持されており、光配線72aと光配線72bとの間隙には、感光性組成物貯留部材73が配設されている。さらに、この感光性組成物貯留部材73により、光配線72a、72bの間隙には感光性組成物(図示せず)が満たされる。ここで、上記感光性組成物は、この感光性組成物中に光配線72a、72bの互いに向き合う側の端部が浸漬されるように満たされる。
【0071】
また、一方の光配線72aの感光性組成物に浸漬される側と反対側には、光分岐結合器74a(1×3光カップラ)が光学的に接続されており、光分岐結合器74aには、励起光光源76aと信号光光源75a、75bとが光学的に接続されている。
また、他方の光配線72bの感光性組成物に浸漬される側と反対側には、光分岐結合器74b(1×3光カップラ)が光学的に接続されており、光分岐結合器74bには、励起光光源76bと、信号光光源75aからの信号光を受光することができる受光器77aと、信号光光源75bからの信号光を受光することができる受光器77bとが光学的に接続されている。
【0072】
このような構成からなる光導波路形成・検査装置70は、図6(a)に示した光導波路形成・検査装置60と同様の機能を有することとなる。
【0073】
また、光導波路形成・検査装置70では、1×3光カップラを用いているため、2つの異なる波長の信号光に対する感光前後の感光性組成物の状態および/または特性を検査することができるが、1×3光カップラに代えて、1×n(nは4以上)光カップラを用いることにより、3つ以上の異なる波長の信号光に対する感光前後の感光性組成物の状態および/または特性を検査することもできる。
【0074】
ここまで説明した本発明の光導波路形成・検査装置は、少なくとも一組の光配線同士の間を接続する光導波路を形成する際等に用いる装置である。しかしながら、本発明の光導波路形成・検査装置は、光配線と受光素子や発光素子等の光学素子とを接続する光導波路を形成する際、および/または、形成した後にも用いることができる。
【0075】
以下、光導波路と光学素子とを接続する光導波路を形成する際に用いることができる光導波路形成・検査装置について図面を参照しながら説明する。
図7(a)は、光配線と受光素子とを光導波路を介して接続する際に用いる光導波路形成・検査装置の一例を示す模式図であり、(b)は、光配線と発光素子とを光導波路を介して接続する際に用いる光導波路形成・検査装置の一例を示す模式図である。
【0076】
図7(a)に示す光導波路形成・検査装置80では、光配線82と受光素子89とのそれぞれが保持部材81により間隔をあけて保持されており、光配線82と受光素子89との間隙に位置するように感光性組成物貯留部材83が配設されている。さらに、この感光性組成物貯留部材83により、光配線82と受光素子89の間隙には感光性組成物(図示せず)が満たされる。ここで、上記感光性組成物は、この感光性組成物中に光配線の受光素子と向き合う側の端部と受光素子の受光面とが浸漬されるように満たされる。
【0077】
また、光配線82の感光性組成物に浸漬される側と反対側には、光分岐結合器84(1×2光カップラ)が光学的に接続されており、光分岐結合器84には、信号光光源85と励起光光源86とが光学的に接続されている。
【0078】
このような構成からなる光導波路形成・検査装置80では、励起光光源86からの励起光を、光配線82を介して感光性組成物中に照射することができ、光配線82と受光素子89との間を接続する光導波路を形成することができる。また、光分岐結合器84および光配線82を介して信号光光源85からの光を受光素子89で受光することができるため、受光素子89に測定系を備えておけば、感光前後の感光性組成物の状態および/または特性を検査することができる。
【0079】
図7(b)に示す光導波路形成・検査装置90では、光配線92と発光素子99とのそれぞれが保持部材91により間隔をあけて保持されており、光配線92と発光素子99との間隙に位置するように感光性組成物貯留部材83が配設されている。さらに、この感光性組成物貯留部材93により、光配線92と発光素子99の間隙には感光性組成物(図示せず)が満たされる。ここで、上記感光性組成物は、この感光性組成物中に光配線92の発光素子と向き合う側の端部と発光素子99の発光面とが浸漬されるように満たされる。
【0080】
また、光配線92の感光性組成物に浸漬される側と反対側には、光分岐結合器94(1×2光カップラ)が光学的に接続されており、光分岐結合器94には、信受光器97と励起光光源96とが光学的に接続されている。
【0081】
このような構成からなる光導波路形成・検査装置90では、励起光光源96からの励起光を、光配線92を介して感光性組成物中に照射することができ、光配線92と発光素子99との間を接続する光導波路を形成することができる。また、光配線92および光分岐結合器94を介して発光素子99からの光を受光器97で受光することができるため、感光前後の感光性組成物の状態および/または特性を検査することができる。
【0082】
ここまで、本発明の光導波路形成・検査装置の実施形態について、図面を参照しながら説明したが、本発明の光導波路形成・検査装置の実施形態は、これら図示した実施形態に限定されるわけではなく、光分岐結合器、信号光光源、励起光光源および受光器の接続位置や個数は、光導波路を介した接続対象である光配線の形態や、測定対象となる光導波路の特性や状態等を考慮して適宜選択すればよい。
具体例として、例えば、既に図1、5の実施形態を説明する際に述べたように、少なくとも一組の光配線の両方から励起光を照射する場合において、それぞれの光配線に個別の励起光光源から励起光を入射するのではなく、単一の励起光光源からそれぞれの光配線に励起光を入射することができるように単一の励起光光源が備えられた実施形態等が挙げられる。
【0083】
また、ここまでは、本発明の光導波路形成・検査装置について、光配線間を接続する光導波路の形成および検査を行うことができること説明したが、上述した構成の光導波路形成・検査装置において形成、検査することができる光導波路は、コア部が感光性組成物の硬化物からなり、クラッド部が未硬化の感光性組成物からなる光導波路である。しかしながら、クラッド部が未硬化の感光性組成物からなる場合には、コア部が非常に不安定となるため、該クラッド部は硬化していることが望ましい。
【0084】
そこで、上記光導波路形成・検査装置では、さらに、硬化したクラッド部を形成するための光源等を含むことにより、光導波路のコア部を形成した後、このコア部の周囲に硬化したクラッド部を形成することができる。さらには、コア部とクラッド部とがともに硬化した光導波路の検査も行うことができる。
なお、硬化したクラッド部を形成するための材料や形成方法等は、本発明の光導波路の形成方法について説明する際に詳述する。
【0085】
図27は、本発明の光導波路形成・検査装置の別の一例を説明するための模式図である。
図27に示す光導波路形成・検査装置500は、感光性組成物貯留部材13に貯留される感光性組成物全体に、光を照射することができるクラッド部形成用光源519が配設されている。
このようなクラッド部形成用光源519が配設された光導波路形成・検査装置500では、上述した操作手順を経て光導波路のコア部を形成した後、感光性組成物貯留部材13に貯留された感光性組成物(図示せず)全体に、クラッド部形成用光源519からすみやかに光を照射することができ、これにより、硬化したクラッド部を形成することができる。
また、光導波路形成・検査装置500では、信号光光源から受光器に信号光を伝送することにより、硬化したクラッド部を形成する前、その途中、および、硬化したクラッド部を形成した後において光配線間の接続特性を検査することができる。
なお、光導波路形成・検査装置500の構成は、クラッド部形成用光源519が形成されている以外は、光導波路形成・検査装置10と同一である。
【0086】
また、光導波路形成・検査装置500は、硬化したクラッド部の材料として感光性組成物を用いる場合に、好適に用いることができる装置であるが、光導波路形成・検査装置500において、クラッド部形成用光源519に代えて、クラッド部形成用ヒータを配設すれば、硬化したクラッド部の材料として、熱硬化性を有する樹脂組成物を用いる場合に、好適に用いることができる。
【0087】
次に、本発明の光導波路の形成方法を説明する。
本発明の光導波路の形成方法は、少なくとも一組の光配線のそれぞれの一端が略向き合い、かつ、少なくとも向き合った一端がともに、感光性組成物中に浸漬されるように、光配線を配置し、上記光配線を介して光を照射することにより、上記光配線同士を接続する光導波路を形成する方法であって、
まず、上記一組の光配線のうちの一方の光配線に信号光光源を光学的に接続し、他方の光配線に受光器を光学的に接続するにあたって、上記信号光光源および/または上記受光器を、光分岐結合器を介して光配線と光学的に接続するとともに、
上記一組の光配線のうちの少なくともいずれかの光配線に光分岐結合器を介して励起光光源を光学的に接続し、
その後、上記励起光光源からの光を光分岐結合器および光配線を介して上記感光性組成物中に照射することにより光導波路を形成し、
上記信号光光源からの光を上記受光器で受光することにより感光前後の感光性組成物の状態および/または特性を検査することを特徴とする。
【0088】
本発明の光導波路の形成方法では、自己形成光導波路の技術を用いた光導波路の形成を励起光光源や信号光光源を取り換えることなく行うことができる。そのため、作業手順を簡略化することができ、光導波路を短時間で形成することができる。
また、本発明の光導波路の形成方法では、励起光光源や信号光光源を接続し直す必要がないため、信号光光源等を接続し直す際に光導波路の状態が不安定になる等の不都合が発生しない。
さらに、上記光導波路の形成方法では、光導波路を形成するともに、光導波路の検査を行うことができる。従って、光信号伝送能に優れる光導波路を確実に形成することができ、また、光導波路を形成する際の最適な励起光の照射時間を容易に知得することができる。
【0089】。
以下、本発明の光導波路の形成方法について、図面を参照しながら説明する。
図8(a)〜(f)は、本発明の光導波路の形成方法の一例を説明するための模式図である。
【0090】
本発明の光導波路の形成方法では、少なくとも一組の光配線のそれぞれの一端が略向き合い、かつ、少なくとも向き合った一端がともに、感光性組成物中に浸漬されるように、光配線を配置し、上記光配線を介して励起光光源からの光を照射することにより光配線同士を接続する光導波路を形成する。
【0091】
具体的には、(1)まず、一組の光配線112a、112bのそれぞれの一端が略向き合い、かつ、少なくとも向き合った一端がともに、感光性組成物113中に浸漬されるように、光配線112a、112bを配置する。
【0092】
(2)次に、光配線112aの感光性組成物113に浸漬した側と反対側の端部に光分岐結合器(1×2光カップラ)114aを光学的に接続し、さらに、光分岐結合器114aに励起光光源116aと信号光光源115とを光学的に接続する。また、光配線112bの感光性組成物113に浸漬した側と反対側の端部には、光分岐結合器(1×2光カップラ)114bを光学的に接続し、さらに、光分岐結合器114bに励起光光源116bと受光器117とを光学的に接続する。(図8(a)参照)。
なお、上記(1)の工程と上記(2)の工程との順序は逆であってもよい。
【0093】
(3)次に、信号光光源115から受光器117に向かって信号光を伝送し、光導波路を形成する前の光配線112a、112b間の接続損失(すなわち、感光性組成物のみを介した光配線間の接続損失)を測定する。
【0094】
(4)次に、励起光光源116a、116bのそれぞれから感光性組成物113中に励起光を照射する(図8(b)参照)。その結果、光配線112a、112bそれぞれの感光性組成物113に浸漬した部分から、他方の光配線に向かって除々に光導波路118a、118bが形成される(図8(c)参照)。
【0095】
また、図8(c)に示すように、長さの短い光導波路が形成された状態で、信号光光源15から信号光を発信し、この信号光を受光器で受信する。長さの短い光導波路が形成された状態での光配線112a、112b間の接続損失を測定することができる。
ここで、信号光を発信する場合、励起光を感光性組成物中に照射しながら信号光を発信してもよいし、励起光の照射を一端停止し、その後、信号光を発信してもよい。
【0096】
(5)その後、上記(4)の工程を繰り返すことにより、除々に光導波路が形成されていき、光配線112aと光配線112bとの間を接続する光導波路118が完成することとなる(図8(d)〜(f)参照)。
なお、光配線間を接続する光導波路が完成しているか、否かは、例えば、光配線間の接続損失を測定することにより検査することができる。
【0097】
また、本発明の光導波路の形成方法では、信号光光源からの光を受光器で受光することにより、感光前後の感光性組成物の状態および/または特性を検査するが、ここで、検査する対象しては、感光前後の感光性組成物の状態および/または特性を知得することができるものであれば特に限定されない。
上記感光前後の感光性組成物の状態の具体例としては、例えば、光導波路の形成状態等が挙げられる。
上記光導波路の形成状態は、光配線間の接続損失を指標として評価することができる。
具体的には、例えば、形成する光導波路(光導波路のコア部)について、その形成前(感光性組成物の硬化前)、形成途中(感光性組成物が一部硬化しているが、光配線間が接続されていない状態)および形成後(感光性組成物が硬化し、光配線がコア部で接続されている状態)を通じて光配線間の接続損失を測定した場合には、形成前の状態(励起光未照射)から接続損失が低下しはじめたことにより、光導波路が形成途中にあるとの知見を得ることができ、低下を続けていた接続損失が安定化することにより、光導波路が形成された、すなわち、光配線間が接続されたとの知見を得ることができる。
【0098】
また、上記感光前後の感光性組成物の特性の具体例としては、例えば、最低光量、最適光量、および、光透過率のうちの少なくとも一つが挙げられる。
上記最低光量とは、感光性組成物が硬化しはじめるまでに最低限必要な光量をいい、上記最適光量とは低接続損失な光導波路を形成するのに最も適した光量をいう。これらは光配線間の接続損失を指標として検査することができる。上記最低光量は、例えば、励起光の照射開始から接続損失が低下し始めるまでに照射した光量として算出することができる。また、上記最適光量は、例えば、接続損失が最低値となるまでに照射した光量として算出することができる。
【0099】
また、上記光透過率は上記信号光光源から出射した信号光の強度と受光器で受光した信号光の強度とから検査することができる。また、上記光透過率は、光導波路について、その形成前、形成途中および形成後を通じて検査することができる。
【0100】
また、本発明の光導波路の形成方法で用いる光配線としては、紫外線、可視光、赤外線等の光を通し、それにより情報を伝達するためのものであれば特に限定されず、その具体例としては、光ファイバ等が挙げられる。また、光導波路も光配線として用いることができる。
また、上記光配線の光導波路と接続されることとなる部分には平坦化処理が施されていてもよいし、特に平坦化処理が施されていなくてもよい。また、上記光導波路と接続されることとなる部分は、そのJIS B 0601に基づく面粗度Raが0.1μm以上であってもよい。
【0101】
また、上記光導波路の形成方法で用いる感光性組成物としては、感光すると硬化するもの、すなわち、光硬化性樹脂を含むものが望ましい。光を照射することにより硬化し、形成されたコア部が周囲と混じり合うことなく、そのまま安定に存在することとなるからである。
以下では、感光性組成物とは、特に断わりのない限り、光硬化性樹脂を含むものを指すこととする。
【0102】
上記感光性組成物としては、硬化後に、光導波路としての基本的な特性、すなわち、所望の波長帯域の光に対して透過性を有するとともに、上記範囲の光屈折率を有するものであれば特に限定されず、具体的には、例えば、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、重水素化PMMA、重水素フッ素化PMMA、フッ素化PMMA等のアクリル樹脂に、必要に応じて、単量体や光重合開始剤、増感剤等の各種添加剤、溶剤等を含むものが挙げられる。
【0103】
また、上記感光性組成物としては、エポキシ樹脂、フッ素化エポキシ樹脂、ポリオレフィン系樹脂、重水素化シリコーン樹脂等のシリコーン樹脂、ベンゾシクロブテン等に感光性を付与したものを樹脂成分として含み、さらに、必要に応じて、単量体や光重合開始剤、増感剤等の各種添加剤、溶剤等を含むものも挙げられる。なお、上記樹脂成分に感光性を付与する方法としては、例えば、その末端や側鎖にアリル基やアクリロイル基を付与する方法等が挙げられる。
また、アリル基やアクリロイル基を分子の末端または側鎖にもつポリエン化合物と、ポリチオール化合物と、光重合開始剤と、必要に応じて、各種添加剤や溶剤等とを含むものも感光性組成物として用いることができる。
また、本発明の形成方法で用いる感光性組成物は、上述したような有機組成物であることが望ましいが、上記感光性組成物は、有機組成物に限定されるものではなく、例えば、石英にGe、P等をドープしたもの等からなる無機組成物であってもよい。
【0104】
なお、本明細書において、感光性組成物には、上述したような光の照射により化学反応を起こす高分子のみならず、光の照射により光重合反応が進行する単量体、例えば、(メタ)アクリル酸メチル等も含むものとし、さらには、2種類以上の樹脂成分および/または単量体が、光の照射により化学反応を起し、樹脂複合体を形成するものも含むものとする。
【0105】
また、本発明の形成方法で用いる感光性組成物は、光を照射することにより硬化反応が進行するものであればよく、例えば、エポキシ樹脂と、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩等の光を照射することによりルイス酸を発生する光開始剤と含むものであってよい。また、ベンゾインアルキルエーテル、アセトフェノン誘導体類、ベンゾフェノンやその誘導体等の光を照射することによりラジカルを生成する光開始剤と、ラジカル重合機構により重合が進行する樹脂成分とを含むものや、塩素化アセトフェノンやその誘導体等の光を照射することにより強酸が遊離する光開始剤と、酸により重合が進行する樹脂成分とを含むものであってもよい。
従って、本明細書においては、樹脂成分が感光性の官能基を有さないものであっても、光を照射することにより硬化反応が進行するものは、感光性樹脂ということとする。
【0106】
上記感光性組成物中には、さらに、樹脂粒子、無機粒子、金属粒子等の粒子が含まれていてもよい。
このような粒子を含む感光性組成物を用いて光導波路を形成することにより、光配線と光導波路との間で熱膨張係数の整合をはかることができる。
【0107】
上記樹脂粒子としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、感光性樹脂、熱硬化性樹脂の一部が感光性化された樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との樹脂複合体、感光性樹脂と熱可塑性樹脂との複合体等からなるものが挙げられる。
【0108】
具体的には、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等の熱硬化性樹脂;これらの熱硬化性樹脂の熱硬化基(例えば、エポキシ樹脂におけるエポキシ基)にメタクリル酸やアクリル酸等を反応させ、アクリル基を付与した樹脂;フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリスルフォン(PSF)、ポリフェニレンスルホン(PPS)、ポリフェニレンサルファイド(PPES)、ポリフェニルエーテル(PPE)、ポリエーテルイミド(PI)等の熱可塑性樹脂;アクリル樹脂等の感光性樹脂等からなるものが挙げられる。
また、上記熱硬化性樹脂と上記熱可塑性樹脂との樹脂複合体や、上記アクリル基を付与した樹脂や上記感光性樹脂と上記熱可塑性樹脂との樹脂複合体からなるものを用いることもできる。
また、上記樹脂粒子としては、ゴムからなる樹脂粒子を用いることもできる。
【0109】
また、上記無機粒子としては、例えば、アルミナ、水酸化アルミニウム等のアルミニウム化合物、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム等のカルシウム化合物、炭酸カリウム等のカリウム化合物、マグネシア、ドロマイト、塩基性炭酸マグネシウム等のマグネシウム化合物、シリカ、ゼオライト等のケイ素化合物等からなるものが挙げられる。
また、上記無機粒子として、リンやリン化合物からなるものを用いることもできる。
【0110】
上記金属粒子としては、例えば、金、銀、銅、パラジウム、ニッケル、白金、鉄、亜鉛、鉛、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム等からなるものが挙げられる。
これらの樹脂粒子、無機粒子および金属粒子は、単独で用いても良いし、2種以上併用してもよい。
【0111】
また、上記粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、楕円球状、破砕状、多面体状等が挙げられる。これらのなかでは、球状、または、楕円球状が望ましい。球状や楕円球状の粒子には角がないため、光導波路にクラック等が発生しにくいからである。
【0112】
また、上記粒子の粒径は、通信波長より短いことが望ましい。粒径が通信波長より長いと光信号の伝送を阻害することがあるからである。
なお、本明細書において、粒子の粒径とは、粒子の一番長い部分の長さをいう。
【0113】
上記感光性組成物に粒子が含まれる場合、その配合量の下限は、硬化後の配合量で10重量%であることが望ましく、20重量%であることがより望ましい。一方、上記配合量の上限は、硬化後の配合量で80重量%であることが望ましく、70重量%であることがより望ましい。粒子の配合量が10重量%未満であると、粒子を配合させる効果があまり得られないことがあり、一方、粒子の配合量が80重量%を超えると、光信号の伝送が阻害されることがあるからである。
【0114】
また、本発明の光導波路の形成方法では、照射した励起光の経路に応じて、光配線側から除々に感光性組成物が硬化して光導波路(光導波路のコア部)が形成されることとなるため、上記感光性組成物は、硬化後(感光後)に光屈折率が高くなるものであることが望ましい。硬化後に光屈折率が高くなることにより、光配線を介して照射した励起光が、光導波路に閉じ込められつつ、先端から集中的に照射されることとなり、光の経路に応じた光導波路をより確実に形成することができるからである。
【0115】
本発明の光導波路の形成方法では、光配線の一端を感光性組成物に浸漬した状態で光導波路の形成を行うため、この感光性組成物の硬化後の光屈折率の上限は、上記光配線の光屈折率(光配線のコアの光屈折率)の110%であることが望ましく、その下限は90%であることが望ましい。
特に、光配線の光導波路と接続されることとなる部分に平坦化処理が施されていない場合や、上記光配線の光導波路と接続されることとなる部分のJIS B 0601に基づく面粗度Raが0.1μm以上である場合には、感光性組成物の硬化後の光屈折率は上記範囲にあることが望ましい。
【0116】
上記感光性組成物の硬化後の光屈折率の上限は、上記光配線の光屈折率(光配線のコアの光屈折率)の105%であることがより望ましく、102%であることがさらに望ましい。一方、上記光屈折率の下限は、95%であることがより望ましく、98%であることがさらに望ましい。
【0117】
硬化後に、上記した範囲の光屈折率を有することとなる感光性組成物を用いることが望ましい理由は、本発明の形成方法を用いて光配線に接続した光導波路を形成した場合に、光配線と光導波路と接続体において、光信号の伝送性が優れたものとなるからである。
【0118】
上記光配線のコアの光屈折率は、その材料により異なるが、例えば、純粋石英ガラスの光屈折率は、nが約1.46であるので、純粋石英ガラスを光配線に用いた場合、感光性組成物の硬化後の光屈折率は、nが約1.31〜約1.61の範囲内であることが望ましい。なお、上記光屈折率nは、Naの輝線589nmの光を通過させたときの屈折率を意味する。
また、光配線や光導波路に用いる樹脂等の光屈折率は、その波長に依存して変化するが、その比(光導波路のコア部の光屈折率/光配線のコアの光屈折率)は、例えば、紫外線領域〜近赤外線領域において殆ど変わらない。
【0119】
また、本発明の形成方法においては、硬化後の感光性組成物の光屈折率が上記範囲にあるともに、硬化前(感光前)の感光性組成物の光屈折率(感光性組成物自体の光屈折率)が下記の範囲内にあることが望ましい。
すなわち、上記感光性組成物の光屈折率の上限は、上記光配線の上記光導波路と結合する部分の光屈折率の110%であることが望ましく、105%であることがより望ましく、102%であることがさらに望ましい。一方、上記光屈折率の下限は、上記光配線の上記光導波路と結合する部分の光屈折率の90%であることが望ましく、95%であることがより望ましく、98%であることがさらに望ましい。
感光前の感光性組成物の光屈折率が上記範囲にある場合には、光配線を介して感光性組成物に励起光を照射した際に、この励起光は、所望の方向に確実に照射されることとなり、上記光配線と上記感光性組成物との界面で散乱することがほとんどないからである。
【0120】
上述したように感光前後の感光性組成物は、所定の範囲の光屈折率を有することが望ましい。
従って、本発明の形成方法では、上記範囲の光屈折率を有する感光性組成物を選択して使用すればよいが、上記範囲外の光屈折率を有する感光性組成物であっても、その光屈折率を調整することにより使用することができる。具体的には、下記の方法等を用いて感光性組成物の光屈折率を調整すればよい。
【0121】
一般に、高分子の光屈折率は、分子屈折と分子容との比(以下、(分子屈折)/(分子容)と示す)が大きければ大きくなるため、分子屈折および/または分子容を調整することにより、高分子の光屈折率を調整することができる。
【0122】
具体的には、分子屈折(高分子の折り返し単位を構成する個々の基の原子屈折の総和)を調整する場合には、例えば、塩素、イオウ等の分極率の大きな基を導入すると原子屈折が上がるため、分子屈折を大きくすることができる。
また、二重結合基や芳香族環基を導入し、分子の対称性を下げた場合にも分極率が大きくなり、原子屈折が上がるため、分子屈折を大きくすることができる。
【0123】
また、密度を調整する場合には、例えば、架橋点間分子量を小さくすることにより密度を大きくすることができる。
また、例えば、フッ素は分極率に比してその体積が大きいため、フッ素を含む基を導入することによっても密度を大きくすることができる。
【0124】
上記光導波路の形成方法で用いる、光分岐結合器、信号光光源、励起光光源および受光器のそれぞれとしては、上述した本発明の光導波路形成・検査装置で用いるものと同様のもの等を用いることができる。
【0125】
また、本発明の光導波路の形成方法では、光導波路を形成する際に、光配線間に予め、ミラー、プリズム、フィルタ等の光学部品やその他の導波路部品等を配設しておいてもよい。この場合、形成した光導波路は、その経路上に上記光学部品等を備えることとなる。
【0126】
本発明の光導波路の形成方法は、図8に示した光導波路の形成方法の実施形態(以下、第一の形成方法ともいう)に限定されるわけではなく、図9〜図13に示すような実施形態であってもよい。
図9(a)、(b)は、それぞれ本発明の光導波路の形成方法の別の実施形態を説明するための模式図である。
【0127】
図9(a)、(b)に示す光導波路の形成方法は、第一の形成方法と比べて、一組の光配線間を接続する光導波路を形成するという点で同様であるが、光分岐結合器、励起光光源、信号光光源および受光器の接続態様が異なり、さらに、励起光の照射方法が異なる。
【0128】
すなわち、図9(a)に示した実施形態では、まず、第一の形成方法の(1)の工程と同様にして、光配線122a、122bを配置する。次に、光配線122aの感光性組成物123に浸漬した側と反対側の端部に光分岐結合器(1×2光カップラ)124を光学的に接続し、さらに、光分岐結合器124に励起光光源126と信号光光源125と光学的に接続する。また、光配線122bの感光性組成物123に浸漬した側と反対側の端部には受光器127を光学的に接続する。
なお、光配線の配置と、光配線と光分岐結合器との接続等との順序は、逆であってもよい。
【0129】
その後、第一の形成方法の(3)〜(5)の工程と同様、励起光光源126からの励起光の照射と、信号光光源125から受光器127への信号光の伝送を行うことにより、光導波路の形成、および、感光前後の感光性組成物の状態および/または特性の検査を行う。なお、図中、128は光導波路である。
【0130】
また、図9(b)に示した実施形態では、まず、第一の形成方法の(1)の工程と同様にして、光配線132a、132bを配置する。次に、光配線132aの感光性組成物133に浸漬した側と反対側の端部に信号光光源135を光学的に接続する。また、光配線132bの感光性組成物133に浸漬した側と反対側の端部には光分岐結合器(1×2光カップラ)134を光学的に接続し、さらに、光分岐結合器134に励起光光源136と受光器137とを光学的に接続する。
なお、光配線の配置と、光配線と光分岐結合器との接続等との順序は、逆であってもよい。
【0131】
その後、第一の形成方法の(3)〜(5)の工程と同様、励起光光源からの励起光の照射と、信号光光源から受光器への信号光の伝送を行うことにより、光導波路の形成、および、感光前後の感光性組成物の状態および/または特性の検査を行う。なお、図中、138は光導波路である。
【0132】
このような図9(a)、(b)に示した本発明の光導波路の形成方法では、上記第一の形成方法と異なり、片方の光配線のみから励起光を照射することとなる。
【0133】
図10は、本発明の光導波路の形成方法の別の実施形態を説明するための模式図である。
図10に示す光導波路の形成方法は、第一の形成方法と比べて、一組の光配線間を接続する光導波路を形成するという点で同様であるが、それぞれの光分岐結合器にさらに受光器を接続している点で異なる。
【0134】
すなわち、図10に示した実施形態では、まず、第一の形成方法の(1)の工程と同様にして、光配線142a、142bを配置する。次に、光配線142aの感光性組成物143に浸漬した側と反対側の端部に光分岐結合器(2×2光カップラ)144aを光学的に接続し、さらに、光分岐結合器144aに励起光光源146と信号光光源145と受光器147bとを光学的に接続する。また、光配線142bの感光性組成物143に浸漬した側と反対側の端部には光分岐結合器(2×2光カップラ)144bを光学的に接続し、さらに、光分岐結合器144bに励起光光源146bと受光器147a、147cとを光学的に接続する。
なお、光配線の配置と、光配線と光分岐結合器との接続等との順序は、逆であってもよい。
【0135】
その後、第一の形成方法の(3)〜(5)の工程と同様、励起光光源からの励起光の照射と、信号光光源から受光器への信号光の伝送を行うことにより、光導波路の形成、および、感光前後の感光性組成物の状態および/または特性の検査を行う。なお、図中、148a、148bは光導波路である。
【0136】
ここで、受光器147a〜147cについては、(i)受光器147aとして信号光用の受光器を用い、受光器147b、147cとして励起光用の受光器を用いる場合と、(ii)受光器147aとして励起光用の受光器を用い、受光器147b、147cとして信号光用の受光器を用いる場合とがあり、それぞれの場合の形成方法について異なる利点を有することとなる。
【0137】
すなわち、受光器147a〜147cについて、上記(i)の組合せの受光器を用いる場合には、信号光光源145からの信号光を受光器147aで受光し、さらに、励起光光源146aからの励起光を受光器147cで受光するとともに、励起光光源146bからの励起光を受光器147cで受光する。そのため、感光前後の感光性組成物の状態および/または特性を検査するとともに、光導波路を形成する際の励起光の強度を正確に測定することができる。従って、上記(i)の組合せの受光器を用いる方法は、励起光の強度を変化させながら光導波路を形成する際に有用である。
【0138】
また、受光器147a〜147cについて、上記(ii)の組合せの受光器を用いる場合には、励起光光源146aから照射する励起光の強度を受光器147aで測定する。従って、励起光の強度を変化させながら光導波路を形成する際に有用である。
これに加えて、(ii)の組合せの受光器を用いた場合には、信号光光源145からの信号光を受光器147bおよび受光器147cで受光することができるため、感光前後の感光性組成物の信号伝送能をより正確に測定することができる。
具体的には、例えば、信号光光源と光分岐結合器との接続不良に起因した接続損失の増大を無視して、光導波路を介して接続した光配線間の接続損失を正確に測定することができる。
【0139】
図11は、本発明の光導波路の形成方法の別の実施形態を説明するための模式図である。
図11に示す光導波路の形成方法は、四組の光配線間を接続する光導波路を形成するという点で、一組の光配線間を接続する第一の形成方法と異なる。
【0140】
図11に示した実施形態では、(1)まず、四組の光配線(152a、152b)(152c、152d)(152e、152f)(152g、152h)のそれぞれの一端が略向き合い、かつ、各組の光配線の少なくとも向き合った一端が感光性組成物153中に浸漬されるように、光配線152a、152bを配置する。
【0141】
(2)次に、光配線152a、152c、152e、152gの感光性組成物153に浸漬した側と反対側の端部に光分岐結合器(2×4光カップラ)154aを光学的に接続し、さらに、光分岐結合器154aに励起光光源156aと信号光光源155とを光学的に接続する。また、光配線152b、152d、152f、152hの感光性組成物153に浸漬した側と反対側の端部には光分岐結合器(2×4光カップラ)154bを光学的に接続し、さらに、光分岐結合器154bに励起光光源156bと受光器157とを光学的に接続する。
なお、上記(1)の工程と上記(2)の工程との順序は逆であってもよい。
【0142】
その後、第一の形成方法の(3)〜(5)の工程と同様、励起光光源からの励起光の照射と、信号光光源から受光器への信号光の伝送を行うことにより、光導波路の形成、および、感光前後の感光性組成物の状態および/または特性の検査を行う。なお、図中、158a〜158fは、光導波路である。
【0143】
図11に示した光導波路の形成方法では、四組それぞれの光配線を介して励起光を感光性組成物中に照射することとなるため、四組の光配線間をそれぞれ接続する光導波路を形成することができる。
【0144】
図12(a)、(b)は、それぞれ本発明の光導波路の形成方法の別の実施形態を説明するための模式図である。
図12(a)、(b)に示す光導波路の形成方法は、第一の形成方法と比べて、一組の光配線間を接続する光導波路を形成するという点で同様であるが、光分岐結合器、励起光光源、信号光光源および受光器の接続態様が異なる。
【0145】
すなわち、図12(a)に示した実施形態では、まず、第一の形成方法の(1)の工程と同様にして、光配線162a、162bを配置する。次に、光配線162aの感光性組成物163に浸漬した側と反対側の端部に光分岐結合器(1×2光カップラ)164aを光学的に接続し、さらに、光分岐結合器164aに励起光光源166aと光分岐結合器(1×2光カップラ)164cとを光学的に接続する。この光分岐結合器164cには、さらに、信号光光源165aと信号光光源165bとを光学的に接続する。
また、光配線162bの感光性組成物163に浸漬した側と反対側の端部に光分岐結合器(1×2光カップラ)164bを光学的に接続し、さらに、光分岐結合器164bに励起光光源166bと光分岐結合器(1×2光カップラ)164dとを光学的に接続する。この光分岐結合器164dには、さらに、受光器167aと受光器167bとを光学的に接続する。
なお、光配線の配置と、光配線と光分岐結合器との接続等との順序は、逆であってもよい。
【0146】
その後、第一の形成方法の(3)〜(5)の工程と同様、励起光光源からの励起光の照射と、信号光光源から受光器への信号光の伝送を行うことにより、光導波路の形成、および、感光前後の感光性組成物の状態および/または特性の検査を行う。なお、図中、168a、168bは光導波路である。
【0147】
図12(a)に示すような光導波路の形成方法を用いる場合、励起光光源166a、166bから照射した励起光により、光導波路を形成するとともに、信号光光源165a、165bのそれぞれから波長の異なる信号光を発信することにより、感光前後の感光性組成物の検査において、異なる波長の信号光に対する状態および/または特性を検査することができる。
【0148】
なお、図12(a)に示した光導波路の形成方法を用いる場合、2つの異なる波長の信号光に対する感光前後の感光性組成物の状態等を検査することができるが、1×2光カップラ、信号光光源および受光器の数を適宜増やすことにより、3つ以上の異なる波長の信号光に対する感光前後の感光性組成物の状態等を検査することもできる。
【0149】
また、図12(b)に示した実施形態では、まず、第一の形成方法の(1)の工程と同様にして、光配線172a、172bを配置する。次に、光配線172aの感光性組成物173に浸漬した側と反対側の端部に光分岐結合器(1×3光カップラ)174aを光学的に接続し、さらに、光分岐結合器174aに励起光光源176aと信号光光源175aと信号光光源175bとを光学的に接続する。
また、光配線172bの感光性組成物173に浸漬した側と反対側の端部に光分岐結合器(1×3光カップラ)174bを光学的に接続し、さらに、光分岐結合器174bに、励起光光源176bと受光器177aと受光器177bとを光学的に接続する。
なお、光配線の配置と、光配線と光分岐結合器との接続等との順序は、逆であってもよい。
【0150】
その後、第一の形成方法の(3)〜(5)の工程と同様、励起光光源からの励起光の照射と、信号光光源から受光器への信号光の伝送を行うことにより、光導波路の形成、および、感光前後の感光性組成物の状態および/または特性の検査を行う。なお、図中、178a、178bは光導波路である。
【0151】
図12(b)に示すような光導波路の形成方法を用いる場合、励起光光源176a、176bから照射した励起光により、光導波路を形成するとともに、信号光光源175a、175bのそれぞれから波長の異なる信号光を発信することにより、感光前後の感光性組成物の検査において、異なる波長の信号光に対する状態および/または特性を検査することができる。
【0152】
なお、図12(b)に示した光導波路の形成方法を用いる場合、1×3光カップラを用いているため、2つの異なる信号光に対する感光前後の感光性組成物の状態等を検査することができるが、1×3光カップラに代えて、1×n(nは4以上)光カップラを用いることにより、3つ以上の異なる波長の信号光に対する感光前後の感光性組成物の状態等を検査することもできる。
【0153】
ここまで説明した本発明の光ファイバの形成方法は、少なくとも一組の光配線同士の間を接続する光導波路を形成する方法である。しかしながら、本発明の形成方法は、光配線と受光素子や発光素子等の光学素子とを接続する光導波路を形成する場合にも用いることができる。
【0154】
以下、光導波路と光学素子とを接続する光導波路を形成する方法について、図面を参照しながら説明する。
図13(a)は、光導波路と受光素子とを接続する光導波路の形成方法の一例を説明するための模式図であり、(b)は、光導波路と発光素子とを接続する光導波路の形成方法の一例を説明するための模式図である。
【0155】
図13(a)に示した形成方法では、(1)まず、光配線182の一端と、受光素子189の受光面とが略向き合い、かつ、光配線182の上記一端と上記受光面とがともに、感光性組成物183中に浸漬されるように両者を配置する。
【0156】
(2)次に、光配線182の感光性組成物183に浸漬した側と反対側の端部に光分岐結合器(1×2光カップラ)184を光学的に接続し、さらに、光分岐結合器184に励起光光源186と信号光光源185とを光学的に接続する。
なお、上記(1)の工程と上記(2)の工程との順序は逆であってもよい。
【0157】
(3)次に、信号光光源185から受光素子189に向かって信号光を伝送し、光導波路を形成する前の光配線182と受光素子189との間の接続損失等を測定する。
【0158】
(4)次に、励起光光源186から感光性組成物183中に励起光を照射する。その結果、光配線182の感光性組成物183に浸漬した部分から、受光素子189に向かって除々に光導波路188が形成される。
さらに、長さの短い光導波路が形成された状態で、信号光光源185から信号光を発信し、この信号光を受光素子189で受信する。ここで、受光素子189に予め測定系を備えておくことにより、長さの短い光導波路が形成された状態での光配線182と受光素子189との間の接続損失等を測定することができる。
なお、信号光を発信する場合、励起光を感光性組成物中に照射しながら信号光を発信してもよいし、励起光の照射を一端停止し、その後、信号光を発信してもよい。
【0159】
(5)その後、上記(4)の工程を繰り返すことにより、除々に光導波路が形成されていき、光配線182と受光素子189との間を接続する光導波路が完成することとなる。
なお、光配線182と受光素子189との間を接続する光導波路が完成しているか否かは、例えば、両者の間の接続損失を測定することにより検査することができる。
【0160】
図13(b)に示した形成方法では、(1)まず、光配線192の一端と、発光素子199の発光面とが略向き合い、かつ、光配線192の上記一端と上記発光面とがともに、感光性組成物193中に浸漬されるように両者を配置する。
【0161】
(2)次に、光配線192の感光性組成物193に浸漬した側と反対側の端部に光分岐結合器(1×2光カップラ)194を光学的に接続し、さらに、光分岐結合器194に励起光光源196と受光器197とを光学的に接続する。
なお、上記(1)の工程と上記(2)の工程との順序は逆であってもよい。
【0162】
(3)次に、発光素子199から受光器197に向かって信号光を伝送し、光導波路を形成する前の光配線192と発光素子199との間の接続損失等を測定する。
【0163】
(4)次に、励起光光源196から感光性組成物193中に励起光を照射する。
その結果、光配線192の感光性組成物193に浸漬した部分から、発光素子199に向かって除々に光導波路198が形成される。
さらに、長さの短い光導波路が形成された状態で、発光素子199から信号光を発信し、この信号光を受光器197で受信する。これにより、長さの短い光導波路が形成された状態での光配線192と発光素子199との間の接続損失等を測定することができる。
なお、信号光を発信する場合、励起光を感光性組成物中に照射しながら信号光を発信してもよいし、励起光の照射を一端停止し、その後、信号光を発信してもよい。
【0164】
(5)その後、上記(4)の工程を繰り返すことにより、除々に光導波路が形成されていき、光配線192と発光素子199との間を接続する光導波路が完成することとなる。
なお、光配線192と発光素子199との間を接続する光導波路が完成しているか否かは、例えば、両者間の接続損失を測定することにより検査することができる。
【0165】
図13(a)、(b)に示すような光導波路の形成方法を用いることにより、光配線と光学素子とを接続する光導波路を形成するができる。
【0166】
ここまで、本発明の光導波路の形成方法について、図面を参照しながら説明したが、本発明の光導波路の形成方法の実施形態は、これら図示した実施形態に限定されるわけではなく、光分岐結合器、信号光光源、励起光光源および受光器の接続位置や個数は、光導波路を介した接続対象である光配線の形態や、形成する光導波路の特性や状態等を考慮して適宜選択すればよい。
具体例としては、例えば、少なくとも一組の光配線の両方から励起光を照射する場合において、それぞれの光配線に別の励起光光源から励起光を入射するのではなく、単一の励起光光源からそれぞれの光配線に励起光を入射する実施形態等が挙げられる。
【0167】
また、上述したような工程を経て光導波路を形成した場合、硬化後(感光後)の感光性組成物がコア部としての役割を果たし、未硬化(感光前)の感光性組成物がクラッド部としての役割を果たす光導波路を形成することができる。
しかしながら、未硬化のクラッド部は、通常液体であり、この状態では、コア部が流動しやすく、光導波路として非常に不安定である。
【0168】
従って、上記コア部を形成した後、上記未硬化のクラッド部に硬化処理を施すことにより、固体のクラッド部を形成することが望ましい。そこで、上記コア部を形成した後、未硬化のクラッド部に光を照射することにより、系全体を固体化することが可能である。しかしながら、上記感光性組成物として1種類の感光性組成物のみを含むものを使用する場合には、クラッド部の硬化により、コア部とクラッド部とがほぼ同一の光屈折率を有することとなり、コア部に光を閉じ込めることができなくなるため、光導波路として機能しなくなってしまう。
そのため、以下のような方法等を用いて固体化したクラッド部を形成することにより、系全体が固体化した安定な光導波路とすることが望ましい。
【0169】
すなわち、上記コア部を形成した後、その周囲の未硬化の感光性組成物を除去し、続いて、上記コア部を別の樹脂や樹脂組成物に浸漬した後、硬化処理を施すことによりクラッド部を形成する方法等を用いることができる。しかしながら、上述したように、コア部のみが硬化した状態では、該コア部は非常に不安定なことがあり、この状態で未硬化の感光性組成物を除去することは、取り扱いを極めて慎重に行わなければない。
従って、例えば、下記のような方法を用いてクラッド部を形成することがより望ましい。
【0170】
すなわち、上記感光性組成物中に、コア部を形成するための感光性組成物(以下、コア形成用樹脂ともいう)とは別に、予め、クラッド部を形成するための感光性組成物(以下、クラッド形成用樹脂ともいう)を混合しておく。ここで、クラッド形成用樹脂としては、上記コア形成用樹脂よりも強い強度の光を受けて初めて重合する感光性組成物であって、硬化前後の光屈折率がともにコア部の光屈折率よりも小さいものを選択しておく。上記クラッド形成用樹脂としては、上記した特性を有するものであれば、上述した感光性組成物を適宜選択して使用することができる。
【0171】
そして、上述したように、光配線を介して光を照射する。その際、照射する光としては弱い光、すなわち、コア形成用樹脂の重合は可能であるが、クラッド形成用樹脂の重合は実質的にほぼ不可能な強度の光を照射する。すると、感光性組成物のうち感光性がより高いコア形成用樹脂だけが選択的に重合を開始する。コア形成用樹脂およびクラッド形成用樹脂を含む感光性組成物のうち、コア形成用樹脂だけが重合を始めると、未硬化のクラッド形成用樹脂は、流動性を保っているため、硬化していくコア形成用樹脂から排除されていく。また、コア部の光屈折率は未硬化のクラッド形成用樹脂の光屈折率よりも大きいため、光配線を介して照射した光は形成されたコア部に閉じ込められつつ、先端に集中的に照射される。その結果、光配線の一端から照射された光によって、光の経路に応じてコア形成用樹脂が優先的に硬化し、その光の経路に応じたコア部が形成され、その周囲を未硬化の感光性組成物が包囲した状態となる。
【0172】
この後、例えば、光源からの光を未硬化の感光性組成物全体に照射することができるようにし、光源の出力を上げてクラッド形成用樹脂を重合させることが可能な強度の光を照射する。すると、クラッド形成用樹脂および未硬化のコア形成用樹脂が硬化してコア部を包囲するクラッド部を形成することができる。
【0173】
このように、重合反応が進行する光の強度が異なる2種類の感光性組成物を含むものを用いて光導波路を形成する場合、コア形成用樹脂およびクラッド形成用樹脂としては、例えば、互いに異なる重合反応機構を経て重合反応が進行する感光性組成物を選択することができる。
すなわち、アクリル系樹脂に代表されるようなラジカルによる逐次重合反応によって重合が進むラジカル重合系の感光性組成物と、エポキシ系樹脂に代表されるようなイオン対を介して重合が進むカチオン重合系の感光性組成物とを選択することができる。これらを選択した場合、ラジカル重合系の感光性組成物の方が、カチオン重合系の感光性組成物よりも重合反応が急速に進行するため、弱い光によっては、アクリル系樹脂だけが選択的に重合することになる。
【0174】
また、弱い光の照射によって、より確実に一方の感光性組成物の重合が進行するように、上述の2種類の感光性組成物の重合の進み具合いにさらに差をつけてもよい。
これは、例えば、ラジカル重合系の感光性組成物の重合反応速度を速くすることにより行うことができる。具体的には、アクリル系樹脂を例にとると、アクリル系樹脂の単位質量あたりに含まれるアクリル基の数を多く(すなわち、アクリル当量を少なく)したり、単量体の濃度を高めることにより、重合に関与する反応基の濃度を高くして重合反応速度を速くすることができる。また、光重合開始剤の量子収率(光子量あたりのラジカル生成量)や濃度を高くして重合反応速度を速くすることもできる。
【0175】
また、2種類の感光性組成物の重合の進み具合いに差をつけることは、カチオン重合系の感光性組成物の重合反応速度を遅くすることによっても行うことができる。具体的には、エポキシ系樹脂を例にとると、エポキシ系樹脂の単位質量あたりに含まれるエポキシ基の数を少なく(すなわち、エポキシ当量を多く)したり、単量体の濃度を低くすることにより、重合に関与する反応基の濃度を低くして重合反応速度を遅くすることができる。また、重合に関与するイオン対の非求核性を低くしたり、または、光重合開始剤の量子収率(光子量あたりのカチオン生成量)を低くして重合反応速度を遅くすることもできる。
【0176】
また、同一の機構を経て重合反応が進行する感光性組成物同士を混合しても、どちらか一方の感光性組成物のみを選択的に重合させることができる。この場合、同一の機構で反応が進行するため、光重合開始剤や増感剤の異なる樹脂同士を混合しても選択的に重合させることは困難であるが、マトリクスであるオリゴマ分子に反応基の濃度差をつけることにより一方の感光性組成物のみを選択的に重合させることができる。例えば、ラジカル重合系のアクリル樹脂であれば、反応基であるアクリル当量に差をつければ、ある照射光にて反応基の多い(すなわち、アクリル当量の少ない)方が選択的に重合する。
【0177】
このようなコア形成用樹脂およびクラッド形成用樹脂を用いて光導波路を形成する場合、1種類の光源で両者の重合反応を行うことができるため、設備コストや工程数を少なくすることができる。
なお、コア形成用樹脂とクラッド形成用樹脂とを選択する際に、両者の硬化波長が全く同一でない場合でも、増感剤等を添加することにより、1種類の光源で両者の重合反応を行うことができる。これは、照射する光の波長域に吸収を持たないか、または、少量しか持たない感光性組成物であっても、その波長域に吸収を持つ適当な増感剤を添加し、その増感剤が吸収したエネルギーを利用することにより、重合反応を進行させることができるからである。すなわち、増感剤を添加すると照射光の波長域内に大きな吸収を持たせ、結果として感度を増大させることができる。一般にこのような増感された吸収波長域はラジカル発生剤本来の持つ吸収波長域よりもより長波長側に拡大され、光源の発する光子を効率よく利用することができるので、感度が上昇する。
【0178】
また、上記クラッド形成用樹脂として、上記した特性を有する感光性組成物に代えて、加熱処理を行うことにより始めて重合が進行する樹脂を選択し、さらに、コア部を形成した後、強度の強い光を未硬化の感光性組成物全体に照射する方法に代えて、未硬化の樹脂を加熱硬化させる方法を用いてクラッド部を形成し、光導波路としてもよい。
【0179】
さらには、クラッド形成用樹脂として、上記コア形成用樹脂とは異なる波長の光を照射することにより初めて重合し、硬化後の光屈折率が硬化後のコア形成用樹脂の光屈折率よりも小さいものを選択しておき、コア部を形成した後、未硬化の感光性組成物全体にクラッド形成用樹脂が重合する波長の光を照射する方法を用いてクラッド部を形成し、光導波路としてもよい。
このような形成方法を用いることにより、光配線との接続性に優れるとともに、系全体が固体化して安定性に優れる光導波路を形成することができる。
なお、2種類以上の樹脂(例えば、コア形成用樹脂とクラッド形成用樹脂)を含む感光性組成物を用いる場合、その混合比は特に限定されない。
また、本発明の光導波路の形成方法において、感光後の感光性組成物の状態および/または特性を検査する場合、上述したように、硬化したクラッド部を形成した後に検査してもよい。
【0180】
また、本発明の光導波路の形成方法において、各組の光配線のそれぞれから同時に励起光を照射する場合には、各組の光配線の光軸がズレていたとしても、光配線間を接続する光導波路(光導波路のコア部)を形成することができる。
各組の光配線のそれぞれから同時に励起光を照射した場合、その励起光の重畳部分において光の強度が高くなる。そこで、その重畳部分の光の強度を感光性組成物が硬化(感光)可能な強度となるように設定すれば、この重畳部分のみが硬化することとなる。その結果、光軸のズレた光配線間を接続する光導波路を形成することができる。
【0181】
【実施例】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0182】
(実施例1)
A.感光性組成物の調製
感光性組成物として、紫外線照射時にラジカル重合反応により硬化するアクリレート系の紫外線硬化性接着剤(ロックタイト社製、Loctite358;以下、樹脂Aという)を用意した。
なお、この樹脂Aの波長589nmにおける光屈折率は、硬化前:約1.48、硬化後:約1.51である。
【0183】
B.光導波路形成・検査装置の組み立て(図15参照)
(1)端面処理を施した長さ1m程度のGI型石英製マルチモードファイバ(フジクラ社製、コア径/クラッド径=50μm/125μm、以下、単に光ファイバと呼ぶ)を2本用意した。
この2本の光ファイバのそれぞれについて、一方の端部には端面処理を施し、他方の端部には汎用性の光コネクタ(FCコネクタ;以下、単に光コネクタという)を設けた。
なお、本実施例および比較例では、ここで用意した2本の光ファイバの端面処理を施した側を接続するので、以下、この2本の光ファイバを接続用光ファイバという。
【0184】
(2)1×2の光カプラ(OZ Optics社製)を二組用意した。3つのカプラ端にはそれぞれ長さ1m程度の光ファイバが接続されており、この光ファイバのカプラと接続した側と反対側の端部には光コネクタが設けてある。
さらに、信号光光源として波長850nmのLED光源(安藤電機製、AQ2140およびAQ4215、出力約−10dBm)、光受光器として光パワーメータ(安藤電機社製、AQ2140およびAQ2730)を用意した。
また、励起光光源として、250Wの高圧水銀ランプを光源とした紫外線照射装置(松下マシンアンドビジョン社製、5252L;200〜500nmの波長範囲に主な分光分布を持つ)を用意した。
【0185】
(3)続いて、用意した2本の接続用光ファイバのうち、一方の接続用光ファイバ312aを光カップラ314aに接続された光ファイバ3141aと光コネクタを介して接続した。さらに、光カップラ314aに接続された光ファイバ3142aには信号光光源315を、光カップラ314aに接続された光ファイバ3143aには励起光光源316aをそれぞれ光コネクタを介して光学的に接続した。
ここで、信号光光源315と光カプラ314aとの間には、JIS C 5961に準じた励振器1315を挿入して、光ファイバ中を伝わる信号光を定常モードに近い状態とした。
【0186】
また、他方の接続用光ファイバ312bを光カップラ314bに接続された光ファイバ3141bと光コネクタを介して接続した。さらに、光カップラ314bに接続された光ファイバ3142bには受光器315を、光カップラ314bに接続された光ファイバ3143bには励起光光源316bをそれぞれ光コネクタを介して光学的に接続した。
なお、図15中、320a〜320lはそれぞれ光コネクタである。
【0187】
(4)さらに、励起光光源316aより、紫外線を含む光(以下、単に励起光という)を入力して、接続用光ファイバ312aの出射端(光カップラ314aと接続した側と反対側の端部)から照射される紫外線照度を紫外線照度計(ウシオ電機社製、UIT−150)を用いて0.35mW/cmになるように調整をした。また、励起光光源316bより入力し、接続用光ファイバ312bの出射端から照射される紫外線照度についても同様に、0.35mW/cmになるように調整した。
【0188】
(5)次に、接続用光ファイバ312a、312bの出射端を1mm程度の間隔をあけて光ファイバ用V溝基板311(モリテックス社製、石英V溝)に付き合わせて位置させ、さらにその付き合わせ部全体に、上記Aの工程で用意した感光性組成物(樹脂A)313を接続用光ファイバ間に隙間無く埋まるように塗布した。その後、V溝押さえ板(図示せず)にて付き合わせ部および樹脂Aを動かないように挟み込んだ。以上(1)〜(5)の経て、光導波路形成・検査装置を組み立てるとともに、接続用光ファイバ同士の間隙に感光性組成物を満たした(図15参照)。
【0189】
C.光導波路の形成および検査
(1)上記Bの(5)の状態に接続用光ファイバ312a、312bを保持したまま、信号光用光源315より信号光を入射し、受光器317にて、その信号光出力を測定した。なお、図示してはいないが、測定した光出力は電圧に変換され、アナログ出力により、レコーダー上に記録され、その経時変化がリアルタイムに測定される。
以降の操作ではここで入射した信号光は、接続用光ファイバ312a、樹脂A313、接続用光ファイバ312bを介して流れており、その信号出力は受光器317にて測定されている。
【0190】
(2)次に、上記Bの(5)の状態に系を保持したまま、上記Bの(4)の工程にて光量を調整した励起光を、2本の接続用光ファイバ312a、312bより、樹脂A313中に10秒間出射した。
上記(1)の工程で説明した信号出力の測定は、励起光出射前10秒間、励起光出射直後から100秒間続けて行った(計110秒間)。当然、励起光出射中(10秒間)にもこの測定は行っている。
また、この一連の工程においては、励起光を出射するに伴い形成するコア部(樹脂Aの硬化物)の形状を顕微鏡(キーエンス社製、VH−7000)を用いて観察した。
【0191】
上記Cの(1)および(2)の工程を経て得られた光導波路の形成および検査の結果(受光器317での測定結果)について図17〜19に示す。
なお、図17〜19では、アナログ出力により得られた電圧の経時変化を再度光出力に変換し、さらに接続用光ファイバ312a、312bの接続損失値(単位:dB)に換算して示してある。
また、この換算に際しては、2本の接続用光ファイバ312a、312bに代えて、1本の両端光コネクタ付光ファイバ319の両端を、光カップラ314aに接続された光ファイバ3141aと、光カップラ314bに接続された光ファイバ3141bとにそれぞれ接続し(図16参照)、上記Cの(1)の工程で行った操作と同様の操作を行ったときの光出力の値を基準(=0dB)としている。
なお、図16中、320m、320nは、それぞれ光コネクタである。
【0192】
図17は、30秒までの接続損失値の変化(短期変化)を示すグラフである。
最初の10秒間は上記Cの(2)の工程で述べた励起光出射前の状態を示す。1mmの間隙をもつ接続用光ファイバ312a、312b間(間隙には樹脂Aを満たしてある)の接続損失値であり、その値は11dBである。当然のことながら、接続損失値は一定である。
10秒から20秒の間は、励起光を出射中の状態である。励起光の出射直後より、接続損失値は急激に減少し、その後、一定値に落ち着いている。なお、詳細な接続損失値の変動については後述する。
また、同時に顕微鏡で観察を行ったところ、励起光を出射直後より、双方の接続用光ファイバ312a、312bよりコア部(樹脂Aの硬化物)が形成し始め、励起光の出射から2〜3秒後には双方より形成されたコア部が、接続用光ファイバ312a、312b間の真中付近で接続しているのが観察された。
【0193】
また、励起光出射後に少量の不連続点が見られるが,これは照射した励起光を受光器317が若干検知しているためのノイズである。
このノイズを取り除くため、図16に示した測定系において、信号光および励起光を同時に出射し、光出力を受光器317で測定した。ここで、信号光のみを出射させた時との光出力の差がノイズ量であると考えられる。そこで、図17に示す測定結果おいて、励起光出射中の値からこのノイズ量を差し引いたものを破線で示す。この破線で示す挙動が純粋な信号光に対する損失変化挙動と考えられる。
【0194】
図18は全測定時間(110秒)における接続損失値の変化を示すグラフである。
図17、18から明らかなように、励起光出射を終えた後は、接続損失値は、ほぼ一定の値を取る。測定時間60秒後あたりからまったくの一定値に落ち着き、その値は1.1dBであった。この値は、励起光出射前の状態での接続損失値(11dB)に比べ十分に小さく、接続用光ファイバが形成されたコア部により充分に光結合されていることを示している。
【0195】
図19は、図17を拡大したグラフである。
図17ではほぼ一定の値を取るように見える励起光出射中の損失挙動は、図19から明らかなように、わずかながら変動している。具体的には、励起光出射開始から4秒後に最小値を取っており(図中、矢印で示す)、その後、接続損失値はわずかながら増加している。このことから、本実施例で行った励起光出射時間(10秒間)は低損失な光結合を達成するには若干過剰気味であることが分かり、最適な出射時間は4秒間程度であることが分かる。
また、上記Cの(2)の工程で行った顕微鏡観察において、コア部の形状をさらに詳細に観察すると、励起光出射から2〜3秒後に接続用光ファイバ間の真中付近で接続した後、出射時間が長くなるとともにそのコア部が徐々に太り出しているのが観察された。このコア部の太りが接続損失値の増加を招いていると考えられる。
そこで、本知見をふまえ、更なる低損失化を図るため、励起光出射時間を4秒間とし、実施例2を行った。
【0196】、
(実施例2)
A.感光性組成物の調製
実施例1と同様、樹脂Aを用意した。
B.光導波路形成・検査装置の組み立て
実施例1のBの工程と同様にして、光導波路形成・検査装置を組み立て、さらに、接続用光ファイバ同士の間隙に感光性組成物(樹脂A)を満たした。
【0197】
C.光導波路の形成および検査
励起光出射時間を4秒間とした以外は、実施例1のCの工程と同様にして、光導波路の形成および検査を行った。
【0198】
上記Cの工程を経て得られた光導波路の形成および検査の結果について、図20および図21に示す。
図20は、30秒までの接続損失値の変化(短期変化)を示すグラフである。
図17と同様、最初の10秒間は励起光出射前の状態を示す。当然のことながら、接続用光ファイバ間の接続損失値は一定で、その値は11dBである。
10秒から14秒の間は、励起光を出射中の状態である。この間の挙動は、実験誤差は多少あるものの実施例1での挙動とまったく同じである。すなわち、励起光の出射直後より、接続損失値は急激に減少し、励起光出射を終えた後は一定値に落ち着く挙動を示している。
また、図17に示した結果と同様、励起光によるノイズを差し引いた結果を図20中に破線で示す。
【0199】
また、励起光出射を終えた後も少しずつではあるが接続損失値が減少している。
これは、本実施例にて使用した樹脂Aがラジカル重合を起こす感光性組成物であり、励起光出射により生成・重合反応が起こりコア部が形成されていくものの、励起光出射を終えた後も若干ではあるが生成したラジカルが消滅せずに残っており、その残ったラジカルにより少しずつではあるが重合反応が進んでいくものと考えられる。
このような挙動は微量な重合反応であるため、信号光の測定と並行して行った顕微鏡観察ではその違いが分からず、励起光出射から2〜3秒後に接続用光ファイバ間の真中付近で接続したコア部は、110秒後にも同じ形状を保っていた。
なお、実施例1ではこのような挙動はほとんど見られなかった。これは、実施例1では、励起光の出射時間が10秒間と非常に長いため、ほぼ完全に重合反応を終えているものと考えられ、上記考察とも一致する。
【0200】
図21は全測定時間(110秒)における接続損失値の変化を示すグラフである。
測定開始から50〜60秒後には、接続損失値は完全に一定値に落ち着き、その値は0.6dBであった。これは励起光出射前状態の値(11dB)に比べ十分に小さく、接続用光ファイバが形成されたコア層により十分に光結合されていることを示している。さらに、実施例1で行った励起光の出射時間を10秒間としたときの結果(1.1dB)のおよそ半分の値であり、更なる光結合の低損失化が達成されている。
【0201】
以上の結果より、実施例1および2の条件下において、感光性組成物として樹脂Aを用いて、1mmの間隔を有する接続用光ファイバ間を低接続損失で接続する光導波路(コア部)を形成する場合に、励起光の最適出射時間は4秒であることが明らかとなった。
また、この結果より、1mmの間隔を有する接続用光ファイバの間を低接続損失で接続する光導波路(コア部)を形成する場合に、感光性組成物(樹脂A)に照射する励起光の最適光量は、2.8mJ/cmであることも明らかとなった。
なお、上記最適光量は、実施例1のBの(4)の工程の記載した励起光の出射光量をもとに算出することができる。
すなわち、各接続用光ファイバからの出射光量は、
0.35mW/cm×4sec=1.4mJ/cm
であり、両方の接続用光ファイバのそれぞれからから励起光を照射しているため、最適光量は、計2.8mJ/cmとなる。
【0202】
また、実施例2は実施例1で得られた励起光の最適出射時間、最適光量を裏付けたものであり、これらの知見を得るために本来必要な実施例ではないが、実施例2を行うことにより、新たに、これら最適条件下における、接続損失値の知見が得られた。
【0203】
(実施例3)
A.感光性組成物の調製
感光性組成物として、紫外線照射時にラジカル重合反応により硬化するアクリレート系の紫外線硬化性接着剤(ダイキン社製、UV2000;以下、樹脂Bという)を用意した。
なお、この樹脂Bの波長589nmにおける光屈折率は、硬化前:約1.45、硬化後:約1.48である。
【0204】
B.光導波路形成・検査装置の組み立て
実施例1のBの(5)の工程において、樹脂Aに代えて上記樹脂Bを使用した以外は実施例1のBの工程と同様にして、光導波路形成・検査装置を組み立てるとともに、接続用光ファイバ同士の間隙に感光性組成物を満たした。
【0205】
C.光導波路の形成および検査
実施例1のCの工程と同様にして、光導波路の形成および検査を行った。
【0206】
上記Cの工程を経て得られた光導波路の形成および検査の結果について、図22および図23に示す。
図22は、30秒までの接続損失値の変化(短期変化)を示すグラフであり、図23は、全測定時間(110秒)における接続損失値の変化を示すグラブである。
図17と同様、最初の10秒間は励起光出射前の状態を示す。当然のことながら、接続用光ファイバ間の接続損失値は一定で、その値は11.5dBである。
10秒から20秒の間は、励起光を出射中の状態である。なお、図17に示した結果と同様、励起光によるノイズを差し引いた結果を図22中に破線で示す。
【0207】
本実施例にて得られた結果により簡単に以下の知見が得られる。
すなわち、励起光を出射し始めても、3秒間は励起光出射前の状態と同じ接続損失値(11.5dB)を示している。この結果は、実施例1および2において、樹脂Aを用いて光導波路(コア部)を用いた時における接続損失値の変化には見られなかった挙動である。これは、本実施例で用いた感光性組成物(樹脂B)は、実施例1および2で用いた感光性組成物(樹脂A)よりも感光させるのに必要な光量(樹脂Bにおいては硬化に寄与するラジカルを生成するのに必要な光量)が高いことを示している。
【0208】
また、励起光を出射し始めた3秒後に接続損失値は急激に減少し始め、その後ほぼ一定値を取り、励起光出射が終わった測定終了後までほぼ一定の値のまま推移した。測定終了時における接続損失値は1.4dBであった。
【0209】
さらに、励起光出射中の損失変化の挙動を詳細に観察すると、励起光出射から7秒後に接続損失値が最小値を与えていることが分かった。よって、実施例3における励起光の最適出射時間は7秒間であることが明らかとなった。
【0210】
さらに、本実施例においても、上記の結果より、1mmの間隔を有する接続用光ファイバの間を低接続損失で接続する光導波路(コア部)を形成する場合に、感光性組成物(樹脂B)に照射する励起光の最適光量を知得することができ、その値は、4.9mJ/cmであることが分かる。
なお、上記最適光量は実施例1と同様の方法で算出することができる。
すなわち、各接続用光ファイバからの出射光量は、
0.35mW/cm×7sec=2.45mJ/cm
であり、両方の接続用光ファイバのそれぞれからから励起光を照射しているため、最適光量は、計4.9mJ/cmとなる。
【0211】
また、実施例3においては、感光性組成物(樹脂B)に励起光を照射して光導波路(コア部)を形成するのに、3秒間の出射時間を要している。この結果より、実施例3の条件下で光導波路(コア部)を形成するのに必要な最低光量は、1.05mJ/cm(=0.35mW/cm×3sec)であることが分かる。この知見は、他の条件下で樹脂Bを用いて光導波路を形成する場合に重要な知見となる。
例えば、本実施例において、接続用光ファイバ同士の間隔を500μmや800μm等に変更した場合でも、少なくとも上記最低光量の励起光を照射する必要があることが、接続試験を行うことなく容易に推測することができるのである。
【0212】
また、本実施例のCの工程で行った顕微鏡観察では、励起光出射から2〜3秒間は接続用光ファイバの端部から生成したコア部が実質的に観察されず、その後にコア部の形成が始まってゆき、6〜7秒後に形成したコア部が接続用光ファイバ間の真中付近で接続していることが観察された。さらに、形成したコア部を詳細に観察すると、形成したコア層が励起光出射から10秒後には少し太った形状となっていることが観察された。このような観察結果は、上述した接続損失値の変化の挙動を裏付けるものである。
【0213】
以上、実施例1〜3においては、その実体的な測定を行うために、顕微鏡による光導波路の観察も同時に行ったが、実施例1〜3において光導波路形成・検査装置により得られた知見は、顕微鏡により得られた知見と実質的に一致するもの、および、それ以上のより詳細な知見であった。このことは、従来、汎用的な手法と考えられてきた光導波路の形状の観察は、本発明の光導波路形成・検査装置を用いる場合には不要であることを意味しており、上記光導波路形成・検査装置では、非常に画期的な検査法・形成法を達成することができることを示している。
【0214】
(比較例1)
A.感光性組成物の調製
実施例1と同様、樹脂Aを用意した。
B.光導波路形成・検査ための実験系の準備
(1)実施例1のBの(1)および(2)の工程と同様、2本の接続用光ファイバ、励起光光源、信号光光源および受光器を用意した。
【0215】
(2)図24(a)、(b)に示すような実験系を組んだ。
なお、(a)に示す実験系(以下、比較例1、2の説明においては、状態Aという)は接続用光ファイバに信号光を通じ、その光接続性を測定するものであり、(b)に示す実験系(以下、比較例1、2の説明においては、状態Bという)は接続用光ファイバに励起光を通じ、ファイバ間に光導波路のコア部を形成するものである。
【0216】
具体的には、一方の接続用光ファイバ412aに光コネクタを介して信号光用光源415を接続し、他方の接続用光ファイバ412bに光コネクタを介して受光器417を接続したものを状態Aとした。なお、状態Aでは、接続用光ファイバ412aと信号光光源との間には、JIS C 5961に準じた励振器1415を挿入した。
また、一方の接続用光ファイバ412aに光コネクタを介して励起光光源416aを接続し、他方の接続用光ファイバ412bに光コネクタを介して励起光光源416bを接続したものを状態Bとした。
ここで、状態Aから状態B、状態Bから状態Aへの切り替えは、接続用光ファイバ412a、412bの端部に設けた光コネクタを付け替えることにより行う。
なお、図24において、420a〜420fは光コネクタである。
【0217】
(3)状態Bにおいて、励起光光源416aより、励起光を入力して、接続用光ファイバ412aの出射端(励起光光源416aと接続した側と反対側の端部)から照射される紫外線照度を紫外線照度計(ウシオ電機社製、UIT−150)を用いて0.35mW/cmになるように調整をした。また、励起光光源416bより入力し、接続用光ファイバ412bの出射端から照射される紫外線照度についても同様に、0.35mW/cmになるように調整した。
【0218】
(4)次に、接続用光ファイバ412a、412bの出射端を1mm程度の間隔をあけて光ファイバ用V溝基板411(モリテックス社製、石英V溝)に付き合わせて位置させ、さらにその付き合わせ部全体に、上記Aの工程で用意した感光性組成物(樹脂A)413を接続用光ファイバ間に隙間無く埋まるように塗布した。その後、V溝押さえ板にて付き合わせ部および樹脂Aを動かないように挟み込んだ
以上、相互に切替え可能な状態A、Bからなる実験系を用意し、さらに、接続用光ファイバ同士の間隙に感光性組成物を満たした(図24(a)(b)参照)。
【0219】
C.光導波路の形成および検査
(1)上記Bの(4)の状態に接続用光ファイバ412a、412bを保持したまま、状態A(図24(a)参照)において、信号光用光源415より信号光を入射し、受光器417にて、その信号光出力を測定した。
【0220】
(2)次に、状態B(図24(b)参照)に切り替え、上記Bの(3)の工程にて光量を調整した励起光を、励起光光源416a、416bより、2本の接続用光ファイバ412a、412bそれぞれを介して、樹脂A413中に10秒間出射した。
【0221】
(3)その後、再度状態Aに切り替え、信号光用光源415より信号光を入射し、受光器417にて、その信号光出力を測定した。
この一連の工程においては、励起光を出射することに伴って形成されるコア部の形状を顕微鏡(キーエンス社製、VH−7000)を用いて観察した。
なお、状態Aから状態Bへ光コネクタを付け替える作業は、手作業で行った。また、状態Aから状態Bに完全に実験系を切り替えるのに要した時間は、光コネクタを付け替え時に通常行うコネクタ先端の洗浄工程などを含め、1分間以上であった。
【0222】
上記Cの(1)〜(3)の工程を経て得られた光導波路の形成および検査の結果(受光器417での測定結果)について図25に示す。
なお、得られた光出力値は、接続用光ファイバの接続損失値(単位:dB)に換算して示してある。すなわち、状態Aにおいて、2本の接続用光ファイバを1本の両端光コネクタ付光ファイバに置き換え、上記(1)の工程と同様の方法で行った光出力の値を基準(=0dB)に取っている。
【0223】
図25は、励起光照射前後に測定した接続用光ファイバ間の接続損失を示すグラフである。
図25に示すように、励起光照射前の接続損失とは、1mmの間隙をもつ接続用光ファイバ間(間隙には樹脂Aを満たしてある)の接続損失値であり、その値は11dBである。また、上記Cの(3)の工程で測定した励起光出射後の状態の接続損失値は1.1dBであった。
【0224】
この励起光出射後の状態での接続損失値は、励起光出射前の状態での接続損失値(11dB)に比べ充分に小さく、接続用光ファイバが、形成されたコア部により充分に光結合されていることを示している。
【0225】
しかしながら、本比較例のCの(1)〜(3)の工程の作業時間は状態Aから状態B等への切り替え作業を含め、3分弱程度要しており、実施例1のCの工程の作業時間(110秒)よりも若干長い。それにもかかわらず、本比較例を用いて得られた結果は、上記した2つの接続損失値(励起光照射前後の接続損失値)のみであり、励起光出射中の損失変化挙動は全く不明であり、行った10秒の励起光出射時間が妥当なものであるかどうかは本比較例ではまったく不明である。従って、より最適な励起光出射時間を求めるためには、11秒、12秒、9秒、8秒、7秒など励起光出射時間を変化させて再度上記一連の工程を多数回やり直さなければならず、状態Aから状態B、および、状態Bから状態Aへの切り替え時間やV溝基板、接続用光ファイバの交換、接続用光ファイバのV溝基板上への固定作業も含め、多大な労力を必要とする。また、状態Aから状態B、および、状態Bから状態Aへの切り替え時間は、ともに1分以上かかるため、実施例2において顕著に見られた励起光出射後のなだらかな接続損失値の変化が起こるとしても、それは知見として得ることができない。
【0226】
実施例1と同様にして、導波路形成途中の様子を顕微鏡で観察すると、実施例1と同じく、励起光を出射直後より、双方の接続用光ファイバよりコア部が形成し始め、励起光出射から2〜3秒後には双方より形成されたコア部が、接続用光ファイバ間の真中付近で接続していることがわかるが、(詳細にその形を観察しなければ)その後、励起光出射から10秒後までその形状は変わらず、最適な励起光出射時間は不明である。そこで、励起光を出射する時間を短くし、光導波路(コア部)の形成途中の接続損失値の変化を調査しようと試みたのが、次の比較例2である。
【0227】
(比較例2)
A.感光性組成物の調製
実施例1と同様、樹脂Aを用意した。
B.光導波路形成・検査ための実験系の準備
比較例1と同様にして、光導波路形成・検査ための実験系の準備した。
【0228】
C.光導波路の形成および検査
(1)比較例1のCの(1)の工程と同様にして、励起光を照射する前に、受光器にて信号光出力を測定した。
【0229】
(2)次に、状態Bに切り替え、光量を調整した励起光を2本の接続用光ファイバより、樹脂A中に1秒間出射した。
【0230】
(3)その後、状態Aに切り替え、信号光用光源より信号光を入射し、受光器にて、その信号光出力を測定した。
【0231】
(4)その後、再度状態Bに切り替え、励起光を2本の接続用光ファイバより、樹脂A中に再び1秒間出射した。従って、樹脂Aには(2)の工程の出射時間を含め、計2秒間励起光が出射されたことになる。
【0232】
(5)その後、再度状態Aに切り替え、信号光用光源より信号光を入射し、受光器にて、その信号光出力を測定した。
【0233】
(6)この後、一連の操作(上記(4)および(5)の工程)を、8回繰り返した。これにより樹脂Aには、計10秒間励起光が出射されたことになる。
(7)また、この一連の工程においては、励起光を出射するに伴い形成するコア部の形状を顕微鏡を用いて観察した。
【0234】
この一連において、状態Aから状態Bへ光コネクタを切り替える作業は、比較例1と同様、手作業で行った。状態Aから状態Bに完全に実験系を切り替えるのに要した時間はそれぞれ光コネクタを切り替え時に通常行うコネクタ先端の洗浄工程などを含め、1分間以上であった。また、状態Bから状態Aへ光コネクタを切り替える作業も同様に1分間以上要した。
従って、本比較例のCの(1)〜(6)の工程を遂行するのに20分以上の作業時間を要したこととなり、実施例1のCの(1)〜(2)の工程の作業時間(110秒)に比べ、10倍以上の多大な労力を必要とした。
【0235】
上記Cの(1)〜(7)の工程を経て得られた光導波路の形成および検査の結果について図26に示す。
なお、得られた光出力値は、接続用光ファイバの接続損失値(単位:dB)に換算して示してある。すなわち、状態Aにおいて、2本の接続用光ファイバを1本の両端光コネクタ付光ファイバに置き換え、上記(1)の工程と同様の方法で行った光出力の値を基準(=0dB)に取っている。
【0236】
図26は、測定した接続損失値と励起光の出射回数との関係を示すグラフである。なお、比較例2では、後述するように得られた結果が予想される損失変動と異なっていたため、プロセスのばらつきを考慮して本比較例は3回を行い、そのそれぞれの結果を示している。そのため、3つのプロット(比較例2−1〜比較例2−3)がある。
また、図26において、横軸は出射回数を表しており、各回の出射時間が1秒間であったので、出射回数=露光時間(秒)である。さらに、出射回数=0のプロットは励起光出射前状態での接続損失値(11dB)であり、3つのプロットそれぞれが同じ値となっている
【0237】
出射回数に対する接続損失値の挙動は、3つのプロットそれぞれにおいて全く異なっており、予想される損失変動とはまったくかけ離れたものであった。比較例2−1(●)のプロットを参考にしてこの理由を説明する。
【0238】。
励起光を出射するに伴い形成するコア部の形状を、顕微鏡を用いて観察していたところ、励起光を最初の出射直後には双方の接続用光ファイバよりコア部が形成し始めている様子が分かった。ところが、出射後、状態Aから状態B、状態Bから状態Aに光コネクタを切り替えている際にコア部が流動してしまい、いびつな形に変化していくのが観察された。
さらに、出射回数を増やしていくと、いびつな形のコア部がそのまま成長していき、出射回数3〜4回後には形成されたコア部が、接続用光ファイバ間の真中付近で接続していることが判別できたものの、その形は光導波路とは言い難い形状を有していた。
【0239】
また、図26に示す比較例2−2(▲)および比較例2−3(■)のプロットについても、比較例2−1のプロットの挙動ほどひどくは無いものの、出射回数3回あたりまでの、いまだ接続用光ファイバ間を接続していない状態ではコア部の流動が観察された。
【0240】
このように、本比較例で用いた方法では、上述のように多大な労力を有したにもかかわらず、適切な出射時間を決定することは不可能であった。また出射時間が10秒と、実施例1、比較例1と同じであるにもかかわらず、これらの実験で得られた接続損失値(1.1dB)に等しくなるようなことは無く、絶えずそれよりも大きな接続損失値が測定された。
また、繰り返し実験を行っても得られた導波路形成途中の損失変化量には多大なるばらつきがあり、接続損失値自体を適切に見積もることすらもできなかった。
また、絶えずコア部の形状を観察し、実体像を同定する必要があったため、顕微鏡観察が必須であった。
【0241】
【発明の効果】
本発明の光導波路形成・検査装置は、上述した構成にあるため、光導波路を形成する際や光導波路の形成後に、光導波路が形成されているか否かの検査や形成した光導波路の接続損失の測定等と、光導波路の形成とを励起光光源や信号光光源を取り換えることなく行うことができる。従って、本発明の光導波路形成・検査装置の用いることにより、光導波路の形成や検査を短時間で行うことができる。
また、本発明の光導波路形成・検査装置を用いて、光導波路を形成する場合、信号光光源等を接続し直す必要がないため、信号光光源等を接続し直す際に光導波路の状態が不安定になる等の不都合が発生しない。
さらに、本発明の光導波路形成・検査装置では、光導波路を形成する際の最適な励起光の照射時間を容易に知得することができる。
【0242】
本発明の光導波路の形成方法では、自己形成光導波路の技術を用いた光導波路の形成を励起光光源や信号光光源を取り換えることなく行うことができる。そのため、作業手順を簡略化することができ、光導波路を短時間で形成することができる。
また、本発明の光導波路の形成方法では、励起光光源や信号光光源を接続し直す必要がないため、信号光光源等を接続し直す際に光導波路の状態が不安定になる等の不都合が発生しない。
さらに、上記光導波路の形成方法では、光導波路を形成するともに、光導波路の検査を行うことができる。従って、光信号伝送能に優れる光導波路を確実に形成することができ、また、光導波路を形成する際の最適な励起光の照射時間を容易に知得することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)、(b)はそれぞれ本発明の光導波路形成・検査装置の一例を説明するための模式図である。
【図2】(a)〜(f)は、図1(a)に示した本発明の光導波路形成・検査装置を用いて、光導波路の形成と光導波路の検査とを行う際の光導波路形成・検査装置にて行う処理を説明するための模式図である。
【図3】(a)、(b)は、本発明の光導波路形成・検査装置の別の一例を説明するための模式図である。
【図4】本発明の光導波路形成・検査装置の別の一例を説明するための模式図である。
【図5】本発明の光導波路形成・検査装置の別の一例を説明するための模式図である。
【図6】(a)、(b)は、本発明の光導波路形成・検査装置の別の一例を説明するための模式図である。
【図7】(a)は、光配線と受光素子とを光導波路を介して接続する際に用いる光導波路形成・検査装置の一例を示す模式図であり、(b)は、光配線と発光素子とを光導波路を介して接続する際に用いる光導波路形成・検査装置の一例を示す模式図である。
【図8】(a)〜(f)は、本発明の光導波路の形成方法の一例を説明するための模式図である。
【図9】図9(a)、(b)は、それぞれ本発明の光導波路の形成方法の別の一例を説明するための模式図である。
【図10】本発明の光導波路の形成方法の別の一例を説明するための模式図である。
【図11】本発明の光導波路の形成方法の別の一例を説明するための模式図である。
【図12】(a)、(b)は、それぞれ本発明の光導波路の形成方法の別の一例を説明するための模式図である。
【図13】(a)は、光導波路と受光素子と接続する光導波路の形成方法の一例を説明するための模式図であり、(b)は、光導波路と発光素子と接続する光導波路の形成方法の一例を説明するための模式図である。
【図14】(a)〜(i)は、従来の方法により、光導波路の形成を行う場合の作業手順を説明するための模式図である。
【図15】実施例1で用いた光導波路形成・検査装置を説明するための模式図である。
【図16】実施例1で用いた光導波路形成・検査装置を説明するための模式図である。
【図17】実施例1の結果であって、30秒までの接続損失値の変化(短期変化)を示すグラフである。
【図18】実施例1の結果であって、全測定時間(110秒)における接続損失値の変化を示すグラフである。
【図19】図17を拡大したグラフである。
【図20】実施例2の結果であって、30秒までの接続損失値の変化(短期変化)を示すグラフである。
【図21】実施例2の結果であって、全測定時間(110秒)における接続損失値の変化を示すグラフである。
【図22】実施例3の結果であって、30秒までの接続損失値の変化(短期変化)を示すグラフである。
【図23】実施例3の結果であって、全測定時間(110秒)における接続損失値の変化を示すグラフである。
【図24】比較例で用いた実験系を説明するための模式図である。
【図25】図25は、励起光照射前後に測定した接続用光ファイバ間の接続損失を示すグラフである。
【図26】比較例2の結果であって、測定した接続損失値と励起光の出射回数との関係を示すグラフである。
【図27】本発明の光導波路形成・検査装置の別の一例を説明するための模式図である。
【符号の説明】
10 光導波路形成・検査装置
11 光配線保持部材
12a、12b 光配線
13 感光性組成物貯留部材
14a、14b 光カップラ
15 信号光光源
16a、16b 励起光光源
17 受光器
18 光導波路

Claims (7)

  1. 少なくとも一組の光配線同士の間を接続する光導波路を形成する際、および/または、形成した後に用いる光導波路形成・検査装置であって、
    前記光配線と光学的に接続することができる光分岐結合器、
    前記光分岐結合器と光学的に接続された励起光光源、
    信号光光源、および、受光器を含んでなり、
    前記光分岐結合器、前記信号光光源および前記受光器は、前記信号光光源からの光を前記光分岐結合器および前記光配線を介して、前記受光器が受光することができるように構成され、
    前記光分岐結合器および前記励起光光源は、前記励起光光源からの光を前記光分岐結合器およびこの光分岐結合器に接続された光配線を介して、この光配線の前記光分岐結合器と接続された側と反対側から照射することができるように構成されていることを特徴とする光導波路形成・検査装置。
  2. 所定の間隔を確保して保持されるとともに、その間隙が感光性組成物で満たされた少なくとも一組の光配線同士の間を接続する光導波路を形成する際、および/または、形成した後に用い、
    前記励起光光源からの光を前記光分岐結合器およびこの光分岐結合器に接続された光配線を介して、この光配線の前記光分岐結合器と光学的に接続された側と反対側から前記感光性組成物中に照射することにより光導波路を形成し、
    前記信号光光源からの光を前記受光器で受光することにより、感光前後の感光性組成物の状態および/または特性を検査する請求項1に記載の光導波路形成・検査装置。
  3. 前記感光性組成物の状態は、光導波路の形成状態である請求項2に記載の光導波路形成・検査装置。
  4. 前記感光性組成物の特性は、最低光量、最適光量、および、光透過率のうちの少なくとも一つである請求項2に記載の光導波路形成・検査装置。
  5. 少なくとも一組の光配線のそれぞれの一端が略向き合い、かつ、少なくとも向き合った一端がともに、感光性組成物中に浸漬されるように、光配線を配置し、前記光配線を介して光を照射することにより、前記光配線同士を接続する光導波路を形成する方法であって、
    まず、前記一組の光配線のうちの一方の光配線に信号光光源を光学的に接続し、他方の光配線に受光器を光学的に接続するにあたって、前記信号光光源および/または前記受光器を、光分岐結合器を介して光配線と光学的に接続するとともに、
    前記一組の光配線のうちの少なくともいずれかの光配線に光分岐結合器を介して励起光光源を光学的に接続し、
    その後、前記励起光光源からの光を光分岐結合器および光配線を介して前記感光性組成物中に照射することにより光導波路を形成し、
    前記信号光光源からの光を前記受光器で受光することにより感光前後の感光性組成物の状態および/または特性を検査することを特徴とする光導波路の形成方法。
  6. 前記感光性組成物の状態は、光導波路の形成状態である請求項5に記載の光導波路の形成方法。
  7. 前記感光性組成物の特性は、最低光量、最適光量、および、光透過率のうちの少なくとも一つである請求項5に記載の光導波路の形成方法。
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