JP4480307B2 - 光導波路および光導波路の形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光導波路および光導波路の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、通信分野を中心として光ファイバに注目が集まっている。特にIT(情報技術)分野においては、高速インターネット網の整備に、光ファイバを用いた光通信技術が必要となる。
光ファイバは、▲1▼低損失、▲2▼高帯域、▲3▼細径・軽量、▲4▼無誘導、▲5▼省資源等の特徴を有しており、この特徴を有する光ファイバを用いた通信システムでは、従来のメタリックケーブルを用いた通信システムに比べ、中継器数を大幅に削減することができ、建設、保守が容易になり、通信システムの経済化、高信頼性化を図ることができる。
【0003】
また、光ファイバは、一つの波長の光だけでなく、多くの異なる波長の光を1本の光ファイバで同時に多重伝送することができるため、多様な用途に対応可能な大容量の伝送路を実現することができ、映像サービス等にも対応することができる。
【0004】
このような光ファイバには、例えば、半導体レーザ等の光学部品からの出射光を入射させるのであるが、このとき、如何に効率よく出射光を光ファイバに入射させるかは、光通信における重要な要素であり、特に長距離伝送を行う場合、高効率で出射光を光ファイバに入射させることが要求される。
ところが、光ファイバと光学部品との間には、光ファイバの熱膨張に起因する光学部品の破損の防止等を目的として、空隙を設けておく必要があり、出射光を光ファイバに効率よく入射させることの障害となっている。
【0005】
そこで、光学部品と光ファイバとの間にコリメートレンズや集光レンズ等のレンズを設け、光学部品からの出射光を光ファイバに入射させる方法が用いられている。この方法によれば、光学部品と光ファイバとの間に空隙を設けている場合であっても、効率よく光学部品からの出射光を光ファイバに入射させることができる。
【0006】
また、この方法は、光学部品から光ファイバへ光を伝達させる場合に限らず、光ファイバから光学部品へ光を伝達させる場合や、一の光ファイバから他の光ファイバへ光の伝達させる場合等にも用いられており、この方法によれば、いずれの場合であっても、効率よく光を伝達させることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した方法に使用するレンズには、非常に小さなレンズを用いなければならず、また、効率よく光を伝達させるために、レンズの形状には精密さが要求される。そのようなレンズの製造は煩雑であり、コストが嵩むという問題があった。
【0008】
また、光学部品や光ファイバ等とレンズとを配置する作業は、例えば、手作業または高精度な位置合わせを行うことができる設備により行われているが、それらの配置には極めて高い位置精度が要求されるため、コストが上昇する一因となるという問題があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記問題を解説するために鋭意検討を重ねた結果、コア部の形状がその一端に向かって徐々に細くなる形状の光導波路であれば、上記レンズに代えて用いることができること、および、このような形状の光導波路を所定の方法を用いることにより、簡便、かつ、安価に形成することができることを見出した。また、上記した形状を有する光導波路は、光学部品や光ファイバ等の光配線に直接取り付けた状態で形成することも可能であり、この場合には、高い精度で位置合わせを行う工程を必要としないため、上述した問題を解消することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明の光導波路は、光配線と独立して形成された光導波路であって、
コア部の形状が、その一端に向かって徐々に細くなる形状であることを特徴とする。
本発明の光導波路において、上記コア部の周囲に、クラッド部が形成されていることが望ましい。また、上記コア部は、感光性組成物からなることが望ましい。
【0011】
また、本発明の光導波路の形成方法は、未硬化の感光性組成物中に、光配線を介して光を照射することにより、上記光を集束させる形状を有する上記未硬化の感光性組成物の硬化物を成長させ、その一端に向かって徐々に細くなる形状のコア部を形成し、上記コア部を形成した後、その周囲に安定なクラッド部を形成する光導波路の形成方法であって、コア部を形成するための感光性組成物であるコア形成用樹脂中に、クラッド部を形成するための感光性組成物であり、上記コア形成用樹脂よりも強い強度の光を受けて初めて重合する感光性組成物であるクラッド形成用樹脂を混合し、上記未硬化の感光性組成物に対する光配線の位置を固定したままで、上記コア形成用樹脂だけが重合する強度の光を光配線から感光性組成物に直接照射してコア部を形成し、その後、光源の出力を上げて上記クラッド形成用樹脂を重合させることが可能な強度の光を上記光配線から照射してクラッド部を形成することにより、1種類の光源でコア部及びクラッド部を形成することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の光導波路は、光配線と独立して形成された光導波路であって、コア部の形状が、その一端に向かって徐々に細くなる形状であることを特徴とする。
以下、本明細書においては、上記コア部の細くなった一端を、頂部ともいうこととし、他の一端を、底部ともいうこととする。
【0013】
本発明の光導波路は、コア部の形状がその一端に向かって徐々に細くなる形状であるため、底部から入射した光を集束させることができ、集束させた光を頂部から効率よく出射させることができる。
ここで、「コア部の形状がその一端に向かって徐々に細くなる形状」とは、頂部が底部よりも小さくなっている形状であれば特に限定されず、例えば、四角柱の平行する一組の面のみが、略同一の傾斜を有するように削られたような形状であってよいが、頂部が底部よりも小さくなっており、かつ、頂部と底部とが略相似形を有するような形状、例えば、略円錐状や略角錐状、氷柱状等の形状であることが望ましい。より確実に底部から入射した光を集束させることができるからである。
【0014】
また、「光配線と独立して形成されている」とは、光配線の延長として同じ材料により一体的に形成されているのではなく、異なる材料により異なる時期に形成されていることを意味し、両者が接着された状態で形成されているか否かは問題としない。従って、この光導波路は、後述するように、独立した部品として取り扱うこともできる。ただし、光配線の先端に光導波路を形成した際には、これらがお互いに接着された状態となっており、そのまま使用することが望ましい。位置合わせを行うことなく、光信号を確実に受信することができるからである。
【0015】
本発明の光導波路では、光学部品同士や光配線同士、また、光学部品と光配線とを光学的に接続する際に、これらの間に本発明の光導波路を、その底部から頂部に向かって光信号が伝送されるように介在させることにより、コリメートレンズや集光レンズ等の高価なレンズを用いることなく、光信号を確実に伝送することができる。
また、上記コア部の底部を、光信号を出射する側の光学部品や光配線に直接取り付けることにより、該コア部を介して、光信号を確実に、かつ、効率よく伝送することができる。
【0016】
なお、上記光学部品としては、例えば、PD(フォトダイオード)、APD(アバランシェフォトダイオード)等の受光素子や、LD(半導体レーザ)、DFB−LD(分布帰還型−半導体レーザ)、LED(発光ダイオード)等の発光素子等が挙げられる。
【0017】
また、本明細書において、「光配線」とは、光ファイバ等の光導波路部品で、紫外線、可視光線、赤外線等の光を通し、それにより情報を伝達するためのものであるが、その材質は特に限定されず、例えば、無機材料よりなるものであっても、高分子材料(プラスチック)よりなるものであってもよい。
上記光配線に用いられる材料は、紫外線、可視光線、赤外線等の光を通す材料であれば、上述したように特に限定されず、無機材料としては、例えば、石英ガラスを主成分とするもの、ソーダ石灰ガラス、ホウ硅ガラス等を主成分とする多成分ガラス等が挙げられ、高分子材料(プラスチック)としては、例えば、シリコーン樹脂、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)等のアクリル樹脂等が挙げられる。さらに、高分子材料(プラスチック)として、場合によっては、下記する光導波路として用いられる材料も用いることができる。
【0018】
本発明の光導波路は、コア部の形状が、その一端に向かって徐々に細くなる形状を有していればよく、その材質は特に限定されない。
従って、上記コア部は、無機材料からなるものであってもよいし、有機材料からなるものであってもよい。
これらのなかでは、加工性に優れるとともに、低コストであるという点で有機材料からなるものが望ましい。
【0019】
上記無機材料の具体例としては、例えば、LiNbO3(ニオブ酸リチウム)、YIG(イットリウム鉄ガーネット)等の絶縁体結晶;GaAs(ガリウム砒素)、InP(インジウムリン)等の半導体化合物;石英ガラスやSiO2−B2O3−Na2O等の多成分系ガラス等が挙げられる。
【0020】
上記有機材料の具体例としては、例えば、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、重水素化PMMA、重水素フッ素化PMMA、フッ素化PMMA等の樹脂成分に、必要に応じて、単量体、光重合開始剤、増感剤、溶剤等が配合された感光性組成物;エポキシ樹脂、フッ素化エポキシ樹脂、ポリオレフィン系樹脂、重水素化シリコーン樹脂等のシリコーン樹脂、ベンゾシクロブテンからなる樹脂等の樹脂成分に、必要に応じて、各種添加剤が配合された樹脂組成物等が挙げられる。
【0021】
これらのなかでは、感光性組成物が望ましい。このような感光性組成物を用いることが、上記した形状を有するコア部を形成するのに適しているからである。なお、このような感光性組成物を用いて上記した形状のコア部を形成する方法については後述する。
また、上記エポキシ樹脂やポリオレフィン系樹脂等に感光性を付与し、これらの樹脂に、必要に応じて、単量体、光重合開始剤、増感剤等を配合したものを感光性組成物として用いてもよい。
なお、上記エポキシ樹脂やポリオレフィン系樹脂等に感光性を付与する方法としては、これらの樹脂の末端や側鎖にアリル基やアクリロイル基を付与する方法等が挙げられる。
【0022】
また、アリル基やアクリロイル基を分子の末端または側鎖にもつポリエン化合物と、ポリチオール化合物と、光重合開始剤と、必要に応じて、各種添加剤や溶剤等を含むものも感光性組成物として用いることができる。
【0023】
また、上記感光性組成物としては、光を照射することにより硬化反応が進行するものであればよく、例えば、エポキシ樹脂と、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩等の光を照射することによりルイス酸を発生する光開始剤とを含むものも用いることができる。
さらに、ベンゾインアルキルエーテル、アセトフェノン誘導体類、ベンゾフェノンやその誘導体等の光を照射することによりラジカルを生成する光開始剤と、ラジカル重合機構により重合が進行する樹脂成分とを含むものや、塩素化アセトフェノンやその誘導体等の光を照射することにより強酸が遊離する光開始剤と、酸により重合が進行する樹脂成分とを含むものも感光性組成物として用いることができる。
さらに、上記感光性組成物は、例えば、石英にGe、P等をドープしたもの等からなる無機組成物であってもよい。
【0024】
なお、本明細書において、感光性組成物は、光の照射により化学反応を起す高分子のみならず、光の照射により、光重合反応が進行する単量体、例えば、(メタ)アクリル酸メチル等も含むものとし、さらには、2種類以上の樹脂成分および/または単量体が、光の照射により化学反応を起し、樹脂複合体を形成するものも含むものとする。
【0025】
また、上記コア部には、樹脂粒子、無機粒子、金属粒子等の粒子が含まれていてもよい。
このような粒子を含む光導波路は、光学部品や光配線に直接取り付けた際に、この光学部品との間で熱膨張係数の整合をはかることができる。
【0026】
上記樹脂粒子としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、感光性樹脂、熱硬化性樹脂の一部が感光性化された樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との樹脂複合体、感光性樹脂と熱可塑性樹脂との複合体等からなるものが挙げられる。
【0027】
具体的には、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等の熱硬化性樹脂;これらの熱硬化性樹脂の熱硬化基(例えば、エポキシ樹脂におけるエポキシ基)にメタクリル酸やアクリル酸等を反応させ、アクリル基を付与した樹脂;フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリスルフォン(PSF)、ポリフェニレンスルホン(PPS)、ポリフェニレンサルファイド(PPES)、ポリフェニルエーテル(PPE)、ポリエーテルイミド(PI)等の熱可塑性樹脂;アクリル樹脂等の感光性樹脂等からなるものが挙げられる。
また、上記熱硬化性樹脂と上記熱可塑性樹脂との樹脂複合体や、上記アクリル基を付与した樹脂や上記感光性樹脂と上記熱可塑性樹脂との樹脂複合体からなるものを用いることもできる。
また、上記樹脂粒子としては、ゴムからなる樹脂粒子を用いることもできる。
【0028】
また、上記無機粒子としては、例えば、アルミナ、水酸化アルミニウム等のアルミニウム化合物、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム等のカルシウム化合物、炭酸カリウム等のカリウム化合物、マグネシア、ドロマイト、塩基性炭酸マグネシウム等のマグネシウム化合物、シリカ、ゼオライト等のケイ素化合物等からなるものが挙げられる。
また、上記無機粒子として、リンやリン化合物からなるものを用いることもできる。
【0029】
上記金属粒子としては、例えば、金、銀、銅、パラジウム、ニッケル、白金、鉄、亜鉛、鉛、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム等からなるものが挙げられる。
これらの樹脂粒子、無機粒子および金属粒子は、単独で用いても良いし、2種以上併用してもよい。
【0030】
また、上記粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、楕円球状、破砕状、多面体状等が挙げられる。これらのなかでは、球状、または、楕円球状が望ましい。球状や楕円球状の粒子には角がないため、光導波路にクラック等が発生しにくいからである。
【0031】
また、上記粒子の粒径は、通信波長より短いことが望ましい。粒径が通信波長より長いと光信号の伝送を阻害することがあるからである。
なお、本明細書において、粒子の粒径とは、粒子の一番長い部分の長さをいう。
【0032】
上記コア部に粒子が含まれる場合、その配合量は、硬化後の配合量で10〜80重量%であることが望ましく、20〜70重量%であることがより望ましい。粒子の配合量が10重量%未満であると、粒子を配合させる効果があまり得られないことがあり、一方、粒子の配合量が80重量%を超えると、光信号の伝送が阻害されることがあるからである。
【0033】
本発明の光導波路では、上記した形状のコア部の周囲に、クラッド部が形成されていることが望ましい。上記コア部の周囲にクラッド部を形成することにより、より確実に光信号を伝送することができるからである。
【0034】
ここで、上記コア部の材料が感光性組成物であって、該感光性組成物が硬化後に、光屈折率が硬化前よりも大きくなるものである場合には、上記感光性組成物の一部を硬化させて、コア部を形成した際に、該コア部の周囲に残る未硬化の感光性組成物がクラッド部としての役割を果たすことができる。しかしながら、この場合、クラッドは流動性を有しており、光導波路の信頼性という点であまり望ましくない。従って、クラッド部は硬化することにより安定化しているほうが望ましい。
【0035】
また、上記コア部が上述したような材質からなるものである場合、その光屈折率は、空気よりも大きいため、特に上記コア部の周囲に無機材料や有機材料からなるクラッド部を形成しなくても、コア部の周囲に存在する空気がクラッドとしての役割を果たし、該コア部において光信号を伝送することができる。
従って、本発明の光導波路においては、空気もまた安定なクラッド部としての役割を果たすことができる。
【0036】
上記クラッド部の材質としては、その光屈折率が、上記コア部の光屈折率よりも小さいものであれば特に限定されず、具体的には、例えば、上記コア部の材質と同様のもの等が挙げられる。
また、上記クラッド部の形状としては特に限定されず、その外観が、上記コア部と同様、一端に向かって徐々に細くなる形状であってもよいし、円柱状や角柱状等であってもよい。
また、上記クラッド部にも上記した粒子が含まれていてもよい。
【0037】
なお、上記コア部や上記クラッド部の光屈折率を調整する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。
すなわち、上記光導波路が無機材料からなるものである場合には、チタニア(TiO2)、アルミナ(Al2O3)、ゲルマニア(GeO2)、五酸化リン(P2O5)、イオウ(S)等の光屈折率を上げるドーパントや、ボロニア(B2O3)、フッ素(F)等の光屈折率を下げるドーパント等を配合することより光屈折率を調整することができる。
【0038】
このような本発明の光導波路を形成する方法としては、上記コア部が無機材料からなるものである場合には、例えば、従来公知の方法を用いることができる。
すなわち、無機材料からなる光導波路を形成する方法としては、気相エピタキシ(VPE)、液相エピタキシ(LPE)、分子線エピタキシ(MPE)等を用いたエピタキシャル成長による方法;プラズマCVD、熱CVD、光CVD等の化学堆積法や、真空蒸着法、スパッタリング等の物理堆積法(PVD)等の堆積法等を用いて形成することができる。
【0039】
また、このような方法を用いて無機材料からなるコア部を形成する際に、コア部の形状を、その一端に向かって徐々に細くなる形状とするには、このような形状に原材料を成長させたり、堆積させたりしてもよいし、まず、円柱状や角柱状の光導波路を形成し、その後、エッチング処理や研磨処理等を施すことにより上記した形状の光導波路としてもよい。
【0040】
また、上記コア部が有機材料からなるものである場合には、例えば、後述する本発明の光導波路の形成方法により形成することができる。
なお、以上の説明においては、その一端に向かって徐々に細くなる形状のコア部について説明したが、コア部は、図1(a)〜(d)に示すような形状のものであってもよい。
【0041】
すなわち、(a)に示すコア部11では、その一端に向かって徐々に細くなった後、端部近傍で一度太くなり、その後、もう一度細くなっている。(b)に示すコア部12では、その一端に向かって徐々に細くなっていくが、端部では尖塔状とならず、急激に細くなって、ほぼ球面を形成している。(c)に示すコア部13では、その一端に向かって徐々に細くなりかけた後、短い距離で太くなり、再び徐々に細くなっている。(d)に示すコア部14では、その一端に向かって徐々に細くなってはいるものの、途中でほぼ垂直に屈曲している。
【0042】
さらに、本発明の光導波路は、図2に示すように、コア部54がアレイ状に多数形成されたものであってもよい。このような光導波路では、例えば、一度に、多数の光学部品同士、光配線同士を確実に光学的に接続することができ、また、一度に、多数の光学部品と光配線とを光学的に接続することができ、光信号を確実に伝送することができる。
【0043】
次に、本発明の光導波路の形成方法について説明する。
本発明の光導波路の形成方法は、未硬化の感光性組成物中に、光配線を介して光を照射することにより、上記光を集束させる形状を有する上記未硬化の感光性組成物の硬化物を成長させ、その一端に向かって徐々に細くなる形状のコア部を形成することを特徴とする。
【0044】
本発明の光導波路の形成方法では、その一端に向かって徐々に細くなる形状のコア部を好適に形成することができる。
本発明の光導波路の形成方法では、照射した光の経路に応じた硬化物を形成させることによりコア部を形成しており、また、この硬化物を、照射した光を集束させる形状で成長させていくため、照射した光は、未硬化の感光性組成物中で集束するような光路をとることとなり、その結果、その一端に向かって徐々に細くなる形状のコア部を形成することができる。
【0045】
本発明の形成方法では、未硬化の感光性組成物中に、光配線を介して光を照射することにより、上記未硬化の感光性組成物等を硬化させることとなるが、ここで、光を照射する際には、
(i)上記光配線の一端を上記未硬化の感光性組成物中に浸漬して光を照射する方法(第一の形成方法ともいう)を用いてもよいし、
(ii)上記未硬化の感光性組成物を容器内に入れておき、この容器の壁面を介して光を照射する方法(以下、第二の形成方法ともいう)を用いてもよい。
【0046】
上記第一の形成方法では、光配線に直接取り付けられた光導波路を形成することができ、上記第二の形成方法では、主に、光学部品同士や光配線同士、また、光学部品と光配線とを光学的に接続する際に、レンズに代えて用いることが可能な光導波路を形成することができる。
【0047】
ここでは、まず、第一の形成方法について図面を参照しながら説明する。
図3(a)〜(c)および図4(a)〜(c)は、それぞれ、本発明の光導波路の形成方法の一例(第一の形成方法)を説明するための模式図である。
【0048】
第一の形成方法では、まず、感光性組成物中に光配線の一端を浸漬し、次に、この光配線を介して、上記感光性組成物に光を照射することにより光の経路に応じたコア部を形成し光導波路とする。
【0049】
具体的には、まず、感光性組成物1を光配線2の先端部を包み込むように塗り付けたり(図3(a)、図4(a)参照)、感光性組成物を容器に入れ、ここに光配線の一端を浸漬したりする。
【0050】
次に、光配線2を介して、感光性組成物1に光を照射することにより、この感光性組成物1の硬化物を成長させ、照射する光の経路に応じたコア部を形成する。ここで、感光性組成物1の硬化物を成長させる際に、照射する光を集束させる形状の硬化物を成長させることにより(図3(b)、図4(b)参照)、その一端に向かって徐々に細くなる形状のコア部を形成することができる(図3(c)、図4(c)参照)。
なお、本明細書においては、光を照射することにより成長させる硬化物には、半硬化物も含むこととする。従って、光を照射することにより感光性組成物を硬化させることには、感光性組成物を半硬化させることも含むものとする。
【0051】
このような光を集束させる形状の硬化物を形成する方法としては、光配線の光を出射する側の端部に集光レンズやコリメートレンズを取り付けておき、この集光レンズ等を介して光を照射する方法(図4参照)、弱い強度の光を照射する方法、これらを組み合わせた方法等が挙げられる。
なお、弱い強度の光を照射する場合、その具体的な強度は、感光性組成物の組成によって異なるため一概には言えない。
【0052】
以下、光配線を介して弱い強度の光を照射した際に、光を集束させる形状の硬化物が形成される理由について簡単に説明する。
光ファイバ等の光配線を介して光を照射した場合、光配線の出射側の端面での光の強度分布は、光配線の中心部分で一番強く、その外縁部に向かって連続的に弱くなる正規分布に近い形を有している。そのため、光配線を介して弱い強度の光を感光性組成物に照射した場合には、この強度部分を反映した硬化物が形成されることとなり、この硬化物の形状が光を集束させる形状となると推察される。
なお、光配線を介して強い強度の光を照射した場合でも光配線の出射端側の光の強度部分は、正規分布に近い形を有することがあるものの、端面外縁部から照射される光も感光性組成物を硬化させるのに充分な強度を有しており、この場合、光の強度分布を反映した硬化物を形成することができず、硬化物の形状も光を集束させる形状とはならないものと推察される。
【0053】
このように、第一の形成方法では、照射する光を集束させる形状の硬化物が成長していくことにより、その一端に向かって徐々に細くなる形状のコア部が形成されることとなる。
【0054】
また、本発明の形成方法において、感光性組成物を硬化させる際に照射する光としては特に限定されず、感光性組成物の組成を考慮して適宜選択すればよく、例えば、紫外線領域にて感光性を有する組成物であれば、紫外線領域の波長の光を照射する光源、例えば、高圧水銀ランプ等を用いることができる。また、メタルハライドランプやキセノンランプ、レーザ等も使用することができる。
【0055】
また、ここで用いる感光性組成物は、硬化後に、その光屈折率が硬化前よりも高くなるものである必要がある。硬化後に光屈折率が高くなることにより、光配線を介して照射した光が形成されたコア部に閉じ込められつつ、その先端から集束するように照射されることとなるからである。
【0056】
この第一の形成方法の場合、光配線の一端部を感光性組成物に浸漬した状態でコア部の形成を行うため、この感光性組成物の硬化後の光屈折率は、上記光配線のコアの光屈折率の75〜125%であることが望ましい。
上記範囲の光屈折率を有するコア部を形成することができる感光性組成物を用いる場合には、上記光配線の端面に特に平坦化処理が施されていない場合や、上記光配線の端面のJIS B 0601に基づく面粗度が0.1μm以上であっても、該光配線との接続性に優れたコア部を形成することができるからである。
上記感光性組成物の硬化後の光屈折率は、上記光配線のコアの光屈折率の85〜115%であることがより望ましく、95〜105%であることが特に望ましい。
【0057】
上記光配線のコアの光屈折率は、その材料により異なるが、例えば、純粋石英ガラスの光屈折率は、nDが約1.46であるので、純粋石英ガラスを光配線に用いる場合には、感光性組成物の硬化後の光屈折率nDが、約1.24〜約1.82であるものを用いることが望ましい。なお、上記光屈折率nDは、Naの輝線589nmの光を通過させたときの屈折率を意味する。
また、光配線や光導波路に用いる樹脂等の光屈折率は、その波長に依存して変化するが、その比(光導波路のコア部の光屈折率/光配線のコアの光屈折率)は、例えば、紫外線領域〜近赤外線領域において殆ど変わらない。
【0058】
また、硬化前のコア部の光屈折率、すなわち、上記感光性組成物等自体の光屈折率もまた、上記光配線のコアの光屈折率の75〜125%であることが望ましい。より望ましくは85〜115%であり、特に望ましくは95〜105%である。
【0059】
このように本発明の形成方法では、硬化後に上記した範囲の光屈折率を有する感光性組成物を選択して使用することが望ましいが、上記した範囲外の光屈折率となる感光性組成物であっても、その光屈折率を調整して使用することができる。また、ここで、感光性組成物等の光屈折率を調整する場合、硬化前後のコア部の光屈折率が上記範囲になるように調整することが望ましい。
【0060】
一般に、高分子の光屈折率は、分子屈折と分子容との比(以下、(分子屈折)/(分子容)と示す)が大きければ大きくなるため、分子屈折および/または分子容を調整することにより、高分子の光屈折率を調整することができる。
【0061】
具体的には、分子屈折(高分子の折り返し単位を構成する個々の基の原子屈折の総和)を調整する場合には、例えば、塩素、イオウ等の分極率の大きな基を導入すると原子屈折が上がるため、分子屈折を大きくすることができる。
また、二重結合基や芳香族環基を導入し、分子の対称性を下げた場合にも分極率が大きくなり、原子屈折が上がるため、分子屈折を大きくすることができる。
【0062】
また、分子容(分子量/密度)を調整する場合には、例えば、密度を調整すればよく、この場合には、例えば、架橋点間分子量を小さくすることにより密度を大きくすることができる。
また、例えば、フッ素は分極率に比してその体積が大きいため、フッ素を含む基を導入することによっても密度を大きくすることができる。
【0063】
なお、本明細書において、「光配線のコアの光屈折率」とは、光配線のコアがステップインデックス光ファイバ(SI型光ファイバ)のコアのように単一の光屈折率を有するものである場合には、その光屈折率をいい、グレードインデックス光ファイバのようにある範囲の光屈折率を有するものである場合には、そのピーク光屈折率をいう。
【0064】
ここでは、感光性組成物中に光配線の一端を浸漬して光導波路を形成する方法について説明したが、このとき、光配線に代えて、発光素子等の光学部品を使用し、その発光面(発光部)を感光性組成物中に浸漬したり、該発光面に感光性組成物を塗り付けたりすることにより、光学部品の発光面に直接取り付けられたコア部を形成することができる。
このように、コア部が直接取り付けられた光配線や光学部品では、光導波路(コア部)と光配線等との間で位置合わせが不要である。
【0065】
次に、第二の形成方法について図面を参照しながら説明する。
図5(a)〜(c)は、本発明の光導波路の形成方法の一例(第二の形成方法)を説明するための模式図である。
【0066】
第二の形成方法では、まず、感光性組成物を容器に入れ、次に、この容器の壁面を介して、上記感光性組成物に光を照射することにより光の経路に応じたコア部を形成し光導波路とする。
なお、上記容器の材質としては、照射する光を透過するものであれば特に限定されず、また、上記容器の形状も特に限定されない。
【0067】
具体的には、まず、感光性組成物21を円筒状の容器25内に入れ、この容器25の底面に光配線22の一端部を取り付け固定する(図5(a)参照)。
【0068】
次に、光配線22から、容器25の壁面(底面)を介して、感光性組成物21に光を照射することにより、この感光性組成物21の硬化物を成長させ、照射する光の経路に応じたコア部を形成する。
ここで、感光性組成物21の硬化物を成長させる際に、照射する光を集束させる形状の硬化物を成長させることにより(図5(b)参照)、その一端に向かって徐々に細くなる形状のコア部を形成することができる(図5(c)参照)。
【0069】
このような光を集束させる形状の硬化物を形成する方法としては、光配線の容器の壁面に取り付ける側の端部に集光レンズやコリメートレンズを取り付けておき、この集光レンズ等を介して光を照射する方法、弱い強度の光を照射する方法、これらを組み合わせた方法等が挙げられる。
なお、第二の形成方法においても、弱い強度の光を照射する場合の光の強度は、感光性組成物の組成や容器の材質等によって異なるため、一概には言えない。
【0070】
このように、第二の形成方法においても、照射する光を集束させる形状の硬化物が成長していくことにより、その一端に向かって徐々に細くなる形状のコア部が形成されることとなる。
【0071】
また、第二の形成方法において、感光性組成物を硬化させる際に照射する光としては、第一の形成方法と同様のもの等が挙げられ、その光源としても第一の形成方法で用いるものと同様のものを用いることができる。
【0072】
また、第二の形成方法で用いる感光性組成物は、第一の形成方法で用いる感光性組成物と同様、硬化後に、その光屈折率が硬化前よりも高くなるものである必要がある。
【0073】
このような第一または第二の形成方法を用いることにより、その一端に向かって徐々に細くなる形状のコア部を形成することができる。
【0074】
また、第一または第二の形成方法において、光配線を介して照射した光の経路に応じたコア部を形成する際に、この光の経路上に受光面(受光部)が配置されるように、受光素子等の光学部品を配置しておき、この状態を維持したまま光を照射することによりコア部を形成した場合には、感光性組成物の硬化物が上記受光面向かって集束するように成長していくため、光学部品の受光面に直接取り付けられたコア部を形成することができる。また、このような方法で形成した、コア部が直接取り付けられた光学部品では、光信号を確実に受信することができる。
【0075】
本発明の光導波路の形成方法では、上述した方法でコア部を形成した後、該コア部の周囲に安定なクラッド部を形成することが望ましい。
安定なクラッド部を形成することにより、より確実に光信号を伝送することができる光導波路となるからである。
【0076】
上記クラッド部を形成する場合には、例えば、上記コア部を形成した後、その周囲の未硬化の感光性組成物を除去し、続いて、上記コア部を別の樹脂組成物(感光性組成物であってもよいし、感光性組成物でなくてもよい)に浸漬した後、この樹脂組成物に硬化処理を施すことにより安定なクラッド部を形成することができる。
しかしながら、この方法は、未硬化の感光性組成物を除去する際等に、コア部の取り扱いを極めて慎重に行わなければならず、あまり実用的ではない。
従って、例えば、下記のような方法を用いることが望ましい。
【0077】
すなわち、コア部を形成するための感光性組成物(以下、コア形成用樹脂ともいう)中に、予め、別途、クラッド部を形成するための樹脂(以下、クラッド形成用樹脂ともいう)を混合しておく。
ここで、クラッド形成用樹脂としては、上記コア部を形成するための感光性組成物よりも強い強度の光を受けて初めて重合する感光性組成物であって、硬化前後の光屈折率がともにコア部の光屈折率よりも小さいものを選択しておく。上記クラッド形成用樹脂としては、上記した特性を有するものであれば、上述した感光性樹脂を適宜選択して使用することができる。
【0078】
そして、上述したように、光配線を介して光を照射する。その際、コア形成用樹脂の重合は可能であるが、クラッド形成用樹脂の重合は実質的に不可能な強度の光を照射する。
すると、感光性組成物のうち感光性がより高いコア形成用樹脂だけが選択的に重合を開始する。コア形成用樹脂およびクラッド形成用樹脂を含む感光性組成物のうち、コア形成用樹脂だけが重合を始めると、未硬化のクラッド形成用樹脂は、流動性を保っているため、硬化していくコア形成用樹脂から排除されていく。また、コア部の光屈折率は未硬化のクラッド形成用樹脂の光屈折率よりも大きいため、光配線を介して照射した光は形成されたコア部に閉じ込められつつ、先端に集中的に照射される。その結果、光配線の一端から照射された光によって、光の経路に応じてコア形成用樹脂が優先的に硬化し、その光の経路に応じたコア部が形成され、その周囲を未硬化の感光性組成物が包囲した状態となる。
勿論、ここでコア形成用樹脂を硬化させるために照射する光は、その一端に向かって徐々に細くなる形状のコア部を形成することができる強度の光である。
【0079】
この後、例えば、光源からの光を未硬化の感光性組成物全体に照射することができるようにし、光源の出力を上げてクラッド形成用樹脂を重合させることが可能な強度の光を照射する。すると、クラッド形成用樹脂および未硬化のコア形成用樹脂が硬化してコア部の周囲に安定なクラッド部を形成することができる。
【0080】
このように、予め重合反応が進行する光の強度が異なる2種類の感光性組成物を混合しておき、コア部とクラッド部とを形成する場合、コア形成用樹脂およびクラッド形成用樹脂としては、例えば、互いに異なる重合反応機構を経て重合反応が進行する樹脂を選択することができる。
すなわち、アクリル系樹脂に代表されるようなラジカルによる逐次重合反応によって重合が進むラジカル重合系の感光性組成物と、エポキシ系樹脂に代表されるようなイオン対を介して重合が進むカチオン重合系の感光性組成物とを選択することができる。これらを選択した場合、ラジカル重合系の感光性組成物の方が、カチオン重合系の感光性組成物よりも重合反応が急速に進行するため、光の強度が弱い場合には、アクリル系樹脂だけが選択的に重合することになる。
【0081】
また、より確実に一方の感光性組成物の重合が進行するように、上述の2種類の感光性樹脂の重合の進み具合いにさらに差をつけてもよい。
これは、例えば、ラジカル重合系の感光性組成物の重合反応速度を速くすることにより行うことができる。具体的には、アクリル系樹脂を例にとると、アクリル系樹脂の単位質量あたりに含まれるアクリル基の数を多く(すなわち、アクリル当量を少なく)したり、単量体の濃度を高めることにより、重合に関与する反応基の濃度を高くして重合反応速度を速くすることができる。また、光重合開始剤の量子収率(光子量あたりのラジカル生成量)や濃度を高くして重合反応速度を速くすることもできる。
【0082】
また、2種類の感光性組成物の重合の進み具合いに差をつけることは、カチオン重合系の感光性組成物の重合反応速度を遅くすることによっても行うことができる。具体的には、エポキシ系樹脂を例にとると、エポキシ系樹脂の単位質量あたりに含まれるエポキシ基の数を少なく(すなわち、エポキシ当量を多く)したり、単量体の濃度を低くすることにより、重合に関与する反応基の濃度を低くして重合反応速度を遅くすることができる。また、重合に関与するイオン対の非求核性を低くしたり、または、光重合開始剤の量子収率(光子量あたりのカチオン生成量)を低くして重合反応速度を遅くすることもできる。
【0083】
また、同一の機構を経て重合反応が進行する感光性組成物同士を混合しても、どちらか一方の感光性組成物のみを選択的に重合させることができる。この場合、同一の機構で反応が進行するため、光重合開始剤や増感剤の異なる感光性組成物同士を混合しても選択的に重合させることは困難であるが、マトリクスであるオリゴマ分子に反応基の濃度差をつけることにより一方の感光性組成物のみを選択的に重合させることができる。例えば、ラジカル重合系のアクリル樹脂であれば、反応基であるアクリル当量に差をつければ、ある照射光にて反応基の多い(すなわち、アクリル当量の少ない)方が選択的に重合する。
【0084】
このようなコア形成用樹脂およびクラッド形成用樹脂を用いて光導波路を形成する場合、1種類の光源で両者の重合反応を行うことができるため、設備コストや工程数を少なくすることができる。
なお、コア形成用樹脂とクラッド形成用樹脂とを選択する際に、両者の硬化波長が全く同一でない場合でも、増感剤等を添加することにより、1種類の光源で両者の重合反応を行うことができる。これは、照射する光の波長域に吸収を持たないか、または、少量しか持たない感光性樹脂であっても、その波長域に吸収を持つ適当な増感剤を添加し、その増感剤が吸収したエネルギーを利用することにより、重合反応を進行させることができるからである。すなわち、増感剤を添加すると照射光の波長域内に大きな吸収を持たせ、結果として感度を増大させることができる。一般にこのような増感された吸収波長域はラジカル発生剤本来の持つ吸収波長域よりもより長波長側に拡大され、光源の発する光子を効率よく利用することができるので、感度が上昇する。
【0085】
また、上記クラッド形成用樹脂として、上記した特性を有する感光性組成物に代えて、加熱処理を行うことにより始めて重合が進行する樹脂組成物を選択し、さらに、コア部を形成した後、強度の強い光を未硬化の感光性組成物全体に照射する方法に代えて、未硬化の樹脂を加熱硬化させる方法を用いて安定なクラッド部を形成し、光導波路としてもよい。
【0086】
さらには、クラッド形成用樹脂として、上記コア形成用樹脂とは異なる波長の光を照射することにより初めて重合し、硬化後の光屈折率が硬化後のコア形成用樹脂の光屈折率よりも小さいものを選択しておき、コア部を形成した後、未硬化の感光性組成物全体にクラッド形成用樹脂が重合する波長の光を照射する方法を用いてクラッド部を形成し、コア部の周囲に安定なクラッド部を形成してもよい。なお、2種類以上の感光性組成物(例えば、コア形成用樹脂とクラッド形成用樹脂)を含むものを用いる場合、その混合比は特に限定されない。
このような形成方法を用いることにより、光配線との接続性に優れるとともに、系全体が固体化して安定性に優れる光導波路を形成することができる。
【0087】
また、図1(a)〜(c)に示すような形状の光導波路を作製する場合は、例えば、上述した方法で感光性組成物に光を照射する際に、光導波路の形状に応じて、照射する光の強度を経時的に変化させればよい。また、図1(d)に示すような形状の光導波路を作製する場合には、例えば、上述した方法で感光性組成物に光を照射する際に、予め、光の経路にミラー等を配置しておけばよい。
また、コア部を形成する際、レジスト形成法、金型成形法、露光・現像法、RIE(Reactive Ion Etching)による方法等を用いることもできる。
【0088】
【実施例】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0089】
(実施例1)
(1)ファイバカッタを用いて端面処理を施した、長さ約1mのGI型石英製マルチモード光ファイバ(フジクラ社製、コア/クラッド=50/125μm)を用意した。
【0090】
(2)次に、高圧水銀ランプ38′を光源とした紫外線照射装置38(松下マシンアンドビジョン社製、5252L)よりライトガイド37を通じて照射された紫外線を、石英製マルチモード光ファイバ32の一端部から入射し、他端から照射される紫外線の強度を0.01mW/cm2以下(検出限界以下)になるように調整した。なお、光ファイバの他端から光が照射されていることは、該光ファイバの端部から光(ランプ光に含まれる可視光線)が視認できたことにより確認した。
なお、紫外線の強度の測定は、紫外線照度計(ウシオ電機社製、UIT−150)を用いて行った。
【0091】
(3)次に、石英製マルチモード光ファイバ32の一端を石英ガラス製の光ファイバ用V溝基板35(モリテックス社製)上に載置し、この光ファイバの一端部全体に紫外線硬化型樹脂組成物31(ロックタイト社製、Loctite358)を隙間なく埋まるように塗布した。次に、光ファイバ用V溝基板35上にV溝押さえ板を載置し、該押さえ板にて光ファイバ32の端部および紫外線硬化型樹脂組成物31を動かないように固定した。
【0092】
(4)次に、石英製マルチモード光ファイバ32を固定したまま、上記(2)の工程で調整した強度で紫外線39を紫外線硬化型樹脂組成物31に照射することにより、該樹脂組成物を硬化させ、その一端が徐々に細くなる形状の光導波路34を形成した(図6参照)。
【0093】
上記(4)の工程で紫外線を約5分間照射した結果、その長さが約30μm〜約50μmの先端が徐々に細くなる形状のコア部が形成されているのが、顕微鏡(キーエンス社製、VH−7000)により確認された。
また、この形成したコア部を取り出し、波長532nmのレーザ光をコア部の底部から入射したところ、該コア部の頂部にレーザ光が集光されていることが確認された。
【0094】
(実施例2)
(1)まず、集光タイプのコリメートレンズ(焦点距離:5mm(波長850nm))にGI型マルチモード光ファイバ(コア/クラッド=50/125μm)の一端が取り付けられた光ファイバコリメータ(レンズ付き光ファイバ)(日本板硝子社製、OPCL;長さ約1m)を用意した。
【0095】
(2)次に、高圧水銀ランプ48′を光源とした紫外線照射装置48(松下マシンアンドビジョン社製、5252L)よりライトガイド47を通じて照射された紫外線を、光ファイバコリメータ42のコリメートレンズ42′を取り付けた側と反対側の端部から入射し、他方の端部からコリメートレンズ42′を介して照射される紫外線の強度を約0.3〜0.5mW/cm2になるように調整した。なお、紫外線の強度の測定は、紫外線照度計(ウシオ電機社製、UIT−150)を用いて行った。
【0096】
(3)次に、上記(1)および(2)の工程とは別に、長さ約1cm、内径約6mm程度のアクリル製の筒45を用意し、その一端をスライドガラス46上に接着剤を用いて固定した。
その後、筒45内に、紫外線硬化型樹脂組成物41(ロックタイト社製、Loctite358)に注ぎ込み、さらに、筒45の下部に、光ファイバコリメータ42のコリメートレンズ42′側をスライドガラス46を介して取り付け、接着剤により固定した。
なお、光ファイバコリメータ42は、コリメートレンズが筒45の略中央部に位置するように取り付けた。
【0097】
(4)次に、光ファイバコリメータ42を、筒45にスライドガラス46を介して固定したまま、上記(2)の工程で調整した強度で紫外線49を紫外線硬化型樹脂組成物41に照射することにより、該樹脂組成物を硬化させ、その一端が徐々に細くなる形状の光導波路44を形成した(図7参照)。
【0098】
上記(4)の工程で紫外線を照射した結果、紫外線照射開始から約10秒後に約1mm、約30秒から90秒後にかけて約2mmの先端が徐々に細くなる形状のコア部が形成されているのが確認された。
【0099】
また、紫外線を90秒間照射した後、形成したコア部を取り出し、波長532nmのレーザ光をコア部の底部から入射したところ、該コア部の頂部にレーザ光が集光されていることが確認された。
【0100】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光導波路は、上述した形状を有しているため、底部から入射した光を集束させることができ、集束させた光を頂部から効率よく出射させることができる。
従って、光学部品同士や光配線同士、また、光学部品と光配線とを光学的に接続する際に、これらの間に本発明の光導波路を、その底部から頂部に向かって光信号が伝送されるように介在させることにより、コリメートレンズや集光レンズ等の高価なレンズを用いることなく、光信号を確実に伝送することができる。
また、上記コア部の底部を、光信号を出射する側の光学部品や光配線に直接取り付けたり、上記コア部の頂部を光信号を受信する側の光学部品や光配線に直接取り付けたりすることにより、該コア部を介して、光信号を確実に、かつ、効率よく伝送することができる。
【0101】
また、本発明の光導波路の形成方法では、照射した光の経路に応じた硬化物を形成させることによりコア部を形成しており、また、この硬化物を照射した光を集束させる形状で成長させていくため、照射した光は、未硬化の感光性組成物中で集束するような光路をとることとなり、その結果、その一端に向かって徐々に細くなる形状のコア部を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(d)は、光導波路を構成するコア部の形状の一例を示す模式図である。
【図2】コア部がアレイ状に多数形成された光導波路を示す模式図である。
【図3】(a)〜(c)は、本発明の光導波路の形成方法の一実施形態を説明するための模式図である。
【図4】(a)〜(c)は、本発明の光導波路の形成方法の別の一実施形態を説明するための模式図である。
【図5】(a)〜(c)は、本発明の光導波路の形成方法のさらに別の一実施形態を説明するための模式図である。
【図6】実施例1で行った光導波路の形成方法を説明するための概略図である。
【図7】実施例2で行った光導波路の形成方法を説明するための概略図である。
【符号の説明】
1、21、31、41 感光性組成物
2、22、32、42 光ファイバ
3、23 コア
4、24、34、44 コア部
7 レンズ
Claims (5)
- 未硬化の感光性組成物中に、光配線を介して光を照射することにより、前記光を集束させる形状を有する前記未硬化の感光性組成物の硬化物を成長させ、
その一端に向かって徐々に細くなる形状のコア部を形成し、
前記コア部を形成した後、その周囲に安定なクラッド部を形成する光導波路の形成方法であって、
コア部を形成するための感光性組成物であるコア形成用樹脂中に、クラッド部を形成するための感光性組成物であり、前記コア形成用樹脂よりも強い強度の光を受けて初めて重合する感光性組成物であるクラッド形成用樹脂を混合し、
前記未硬化の感光性組成物に対する光配線の位置を固定したままで、前記コア形成用樹脂だけが重合する強度の光を光配線から感光性組成物に直接照射してコア部を形成し、
その後、光源の出力を上げて前記クラッド形成用樹脂を重合させることが可能な強度の光を前記光配線から照射してクラッド部を形成することにより、
1種類の光源でコア部及びクラッド部を形成することを特徴とする光導波路の形成方法。 - 光配線の光を出射する側の端部から照射する、前記コア形成用樹脂だけが重合する強度の紫外線の強度が0.01mW/cm2以下である請求項1に記載の光導波路の形成方法。
- 前記コア形成用樹脂は、ラジカル重合系の感光性組成物であり、前記クラッド形成用樹脂は、カチオン重合系の感光性組成物である請求項1又は2に記載の光導波路の形成方法。
- 前記コア形成用樹脂は、アクリル系樹脂であり、前記クラッド形成用樹脂は、エポキシ系樹脂である請求項3に記載の光導波路の形成方法。
- 前記コア形成用樹脂及び前記クラッド形成用樹脂は、ともにアクリル樹脂であり、前記コア形成用樹脂のアクリル当量が前記クラッド形成用樹脂のアクリル当量よりも少ない請求項1又は2に記載の光導波路の形成方法。
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