JP2014191281A - 光電気混載基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】
光結合損失が改善された光電気混載基板を提供する。
【解決手段】
内部に樹脂を充填し、コアとクラッドとを有する貫通孔を通じて光の入出力が行う光電気混載基板であって、受発光素子が実装された側の該貫通孔表面において該樹脂が凸レンズ形状を有し、該樹脂は所定の条件を満たす(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)の重合物と、環状エーテルモノマー(B)の重合物を少なくとも含み、且つ、前記(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)由来部位の濃度が、コアにおいてクラッドよりも高くなるようにする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ポリマー光導波路を用いた光電気混載基板に関するものである。
通信技術の発達やクラウドコンピューティングの進展に伴い、電子機器間、更には電子機器内の光信号伝送に対する要求が高まっている。これらに用いられる光配線技術は光インターコネクションと呼ばれ、ポリマー光導波路等の平面光配線フィルム(光導波路フィルム)が一体的に形成された電気配線基板と、その表面に実装された受発光素子および各種電子素子とから構成される光電気混載基板の使用が想定されている。
配線基板上に光素子と電子素子とを高密度に実装することを目的に、電気配線基板の一方の面に前記光導波路フィルムを積層し、他方の面に受発光素子をフェイスダウン実装したうえで、該受発光素子と光導波路フィルムとの間の光結合を、前記電気配線基板に設けられた貫通孔を経由して行うことが考えられている。
上記構成において、FR−4などの一般的な電気配線基板は数100μm〜1mm程度の厚みを有するため、受発光素子と光導波路フィルムとの間で光を入出力する際の光路長もほぼ同等の距離となる。光電気混載基板における発光素子として一般的な縦共振器面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)は数10度程度の光放射角を有する一方、一般的なマルチモード光導波路フィルムのコア径は数10μm程度であるから、貫通孔を経由した空間光結合では、VCSELからの出射光が大きく広がってしまい、光導波路フィルムとの間で良好な光結合効率を得ることができない。受光素子(PD:Photo Diode)側についても同様である。このため、光導波路フィルムと受発光素子との間にマイクロレンズ等の集光部材を配置することが一般的に行われる(特許文献1)。
一方、マイクロレンズを用いずに光結合効率を高めることを目的として、貫通孔内に、光導波路フィルムのクラッドと同等の屈折率を有する樹脂を充填する構成が提案されている(特許文献2)。さらに、貫通孔の径方向に屈折率分布をもたせ、光伝播損失を抑える試みも行われている(特許文献3)。
また、貫通孔に樹脂を充填したうえで、貫通孔の開口部に当接してマイクロレンズを形成する態様も考えられている(特許文献4、特許文献5)。
特許公開2002−189137号公報 特許公開2000−81524号公報 特許公開2006−330697号公報 特許公開WO2007/111327号公報 特許公開2009−31633号公報
しかしながら、独立したマイクロレンズを配置する特許文献1の態様では、受発光素子、マイクロレンズ、および光導波路フィルムの光軸を合わせることが難しく、安定して製造することができない。
一方、貫通孔に樹脂を充填する特許文献2の構成の場合、発光素子または光導波路フィルムから入射した光は、貫通孔の壁面で反射を繰り返しながら基板の反対面に導かれるため、該壁面における光散乱や吸収による損失が著しく大きくなってしまう問題があった。
また、貫通孔に屈折率分布を形成する特許文献3の方法では、該屈折率分布を形成するためにフォトマスクによる露光を用いており、そのため、貫通孔表面に凸レンズ形状などを形成することができない。従って、例えば、発光素子から所定の放射角を有して該貫通孔に入射する光を、レンズによって集光することができない。その結果、貫通孔に充填した樹脂中に形成されたコアに入射した光のうち、放射損失として失われる成分が多くなり、高い光結合効率を達成することができない。さらに、該コアの形状を、貫通孔の光軸方向に変化させることについては開示も示唆もない。
また、特許文献4の構成では、貫通孔内に屈折率の異なる樹脂を充填してレンズとして機能させるため、該貫通孔内にコアとクラッドとを形成することができない。従って、貫通孔の壁面における光散乱や吸収による損失をなくすには、レンズの形状を厳密に制御しなければならず、生産性が著しく低下してしまう。
一方、貫通孔内に高屈折率のコアと、それを取り囲む低屈折率のクラッドとを設けたうえで、さらに開口部にマイクロレンズを形成する特許文献5の構成の場合、上記の課題の一部を回避することができる。しかし、コアと、クラッドおよびマイクロレンズが、すべて異なる材料、工程によって集積化されているため、製造が極めて困難であった。また、前記コアはドリルやレーザによって加工された非貫通孔に充填されるため、コアの側壁荒れに起因する光散乱損失が無視できない。さらに、コアと、クラッドおよびマイクロレンズは、それぞれの材質が異なるため、それらの硬化収縮率および熱膨張係数の違いや密着性の低さなどに起因する経時的な性能の低下が生じ、課題となった。
さらに、特許文献5では、その好ましい実施態様において、マイクロレンズが設けられたドーターボードは、光導波路フィルムが設けられたマザーボードとは別部材として製造される必要があり、且つ、両者は所定の距離で離間して積層されなければならなかった。
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、その目的は、光結合損失が改善された光電気混載基板を提供することにある。
上記の目的を達成する本発明の構成は、以下の通りである。
内部に樹脂を充填し、コアとクラッドとを有する貫通孔を通じて光の入出力を行う光電気混載基板であって、受発光素子が実装された側の該貫通孔表面において該樹脂が凸レンズ形状を有し、該樹脂は、以下の(a)〜(c)のいずれかの条件を満たす(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)の重合物と、環状エーテルモノマー(B)の重合物とを少なくとも含み、且つ、前記(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)由来部位の濃度が、コアにおいてクラッドよりも高くなっていることを特徴とする光電気混載基板である。
(a)1個の炭素原子を介して互いに結合している2個以上の芳香環を分子内に有する。
(b)互いに直接結合している2個以上の芳香環を分子内に有する。
(c)互いに縮合している2個以上の芳香環を分子内に有する。
前記環状エーテルモノマー(B)の少なくとも一部が、分子内に芳香環を有さず、且つ、19(J/cm0.5以上の溶解性パラメータを有する化合物であることを特徴とする光電気混載基板である。
前記貫通孔に充填された樹脂により形成した前記コアと前記クラッドに含まれる前記(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)由来部位が、同一の化学構造を有していることを特徴とする光電気混載基板である。
前記光電気混載基板において、受発光素子が実装された側とは反対側に、光路変換ミラーを有する光導波路フィルムが設けていることを特徴とする光電気混載基板である。
前記光電気混載基板上に実装された発光素子の直下に設けられた前記貫通孔内のコアが、前記発光素子側表面において、反対側表面と同等以上の断面積を有することを特徴とする光電気混載基板である。
前記光電気混載基板上に実装された受光素子の直下に設けられた前記貫通孔内のコアが、前記受光素子側表面において、反対側表面と同等以下の断面積を有することを特徴とする光電気混載基板である。
本発明の光電気混載基板では、光結合効率に優れる光電気混載基板を実現することができる。
本実施例で用いた、光電気混載基板の概略を示す図である。 各パラメータの関係を示す図である。 本実施例で用いた、光電気混載基板を形成する工程図の一例である。 本実施例で用いた、光電気混載基板を形成する工程図の一例である。 光電気混載基板の特性評価系の図である。 基板の特性評価に利用した評価系の図である。
本発明の光電気混載基板について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明における光電気混載基板の断面図である。基板10内には貫通孔11、12が設けられ、貫通孔上面には受発光素子40、50がバンプ30によってフリップチップ実装されている。該貫通孔の径は、一般に100〜300μm程度であって、ドリルやレーザによって穿孔される。また、貫通孔直下には光路変換ミラーを有し、基板に平行なコアを有する光導波路フィルム20が形成されている。貫通孔には樹脂が充填され、該樹脂は、受発光素子側の該貫通孔表面において凸形状のレンズ11c、12cを形成している。樹脂内部には屈折率が低いクラッド11b、12bと、クラッドよりも屈折率が高いコア11a、12aとが形成されている。
このような構成とすることで、貫通孔内の樹脂に入射した光は実質的にコア中に閉じ込められながら伝播するため、貫通孔内に一様な樹脂を充填した場合に問題となっていた貫通孔壁面における光散乱や吸収に起因する損失を抑えることができる。
また、貫通孔表面において、樹脂が凸形状のレンズ11cを形成しているため、発光素子からコアに入射する光は、レンズの集光効果によりその光軸に対する角度が所定値以下に抑えられる。従って、レンズを有しない場合に比べ、コアを光が伝播する際の放射モードの発生を抑制することができ、損失の低減に寄与する。また、貫通孔と受光素子との間の光結合においても、レンズ12cの集光効果によって光結合効率が向上する。
その際、前記光電気混載基板に実装される発光素子は、下式(1)の関係式を満たすことが望ましい。
Figure 2014191281
(1)式において、aは貫通孔の直径を示している。またdは発光素子と基板表面との距離であり、φは発光素子からのレーザの放射角度(半角)を示している。(1)式を満たすことにより、発光素子からの放射光は、貫通孔内に全て挿入される。
なお、図1(a)は、発光素子が実装される側の貫通孔内に形成された光導波路の好ましい実施態様を示している。図中において、該光導波路のコア11aの径が発光素子側から光導波路フィルム側にかけて減少しており、光導波路フィルムのコア20bの径に略等しくなるよう形成されている。そのため、該貫通孔と光導波路フィルムとの間の光結合損失も低減することが可能となる。
図1(b)は、受光素子が実装される側の貫通孔内に設けられる光導波路の好ましい実施態様を示している。図中において、該貫通孔内に設けられる光導波路のコア12aの径は光導波路フィルムのコア20bの径と略等しくなるよう形成されている。そのため、光導波路フィルムと該貫通孔との間の光結合効率を維持しながら、貫通孔から出射した光と受光素子との間の光結合効率を高めることができる。
光導波路フィルムとしては、コアおよびクラッドがともにポリマーからなる、従来公知の光導波路を用いることができる。具体的には、露光により溶解性が変化する感光性のコア材料に対し、マスク露光または光/電子線描画によりコア配線が形成された光導波路や、露光により屈折率が上昇するコア材料に対し、マスク露光または光/電子線描画によりコア配線が形成された光導波路を用いることができる。
また、露光により溶解性が変化する感光性のクラッド材料層に対し、マスク露光によってコア充填用の凹溝パターンを形成しておき、該凹溝にコア材料を充填することにより光導波路を作製してもよい。
さらに、光硬化性または熱硬化性のクラッド材料層に対し、コア形状を反転させた凸形状パターンを有する金型を用いて前記クラッド層に凹溝形状を転写し、次いでコア材料を充填することにより作製された光導波路を用いることもできるが、これらに限定されるものではない。
なお、一般的に光インターコネクションに用いられるマルチモードの光導波路フィルムにおけるコア径は、10〜100μm程度、好ましくは30〜60μm程度である。また、光導波路フィルムのコアに設けられる前記光路変換ミラーは、従来公知の手法を用いて形成すればよい。具体的には、コア凸部の所定位置に、ダイヤモンドブレードなどを用いて機械的に45度の傾斜面を加工する方法や、エキシマレーザなどによって傾斜面を形成する方法を用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、傾斜面には必要に応じて金や銀合金などの薄膜をスパッタや蒸着などの手法によって形成し、反射率を高めておくことが好ましい。
前記貫通孔内には、例えば、自己形成光導波路として知られている材料を充填しておき、所定の方法によってコアとクラッドとを形成することができる。具体的には、屈折率が相対的に高く、且つ、所定波長λの光の照射よって重合するモノマーMと、屈折率が相対的に低く、所定波長λの光の照射よって重合するモノマーMとが含まれる混合物が好適に用いられる。ここで波長λとλとの間にはλ>λなる関係がある。また、モノマーMとモノマーMは、それらの重合機構が互いに異なっており、共重合しないものとする。
モノマーMとしては、重合速度が相対的に速いラジカル重合性モノマーを用いることが好ましく、モノマーMとしては、重合速度が相対的に遅いカチオン重合性モノマーを用いることが好ましい。ラジカル重合性モノマーとして、具体的には(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)を用いることが好ましい。一方、カチオン重合性モノマーとしては、例えば1,2−エポキシエチル基(グリシジルエーテルなど)、3,4−エポキシシクロヘキシル基、オキセタニル基などの環状エーテル部位を有する化合物を用いることが好ましい。本明細書において、これらのカチオン重合性モノマーを総称して環状エーテルモノマー(B)と呼ぶ。なお、(メタ)アクリル酸エステルモノマーとは、アクリル酸エステルモノマーとメタクリル酸エステルモノマーとを総称する意味である。
前記組成物は、従来公知の方法を用いて貫通孔内に充填すればよい。例えば、ディスペンサによって所定量の樹脂組成物を貫通孔内に充填することが可能である。また、貫通孔が設けられた配線基板の一方の面を樹脂組成物に接触させ、他方の面から減圧吸引することで貫通孔内部に樹脂を充填してもよい。
さらに、貫通孔が設けられた配線基板の表面に樹脂組成物を塗布し、毛細管現象によって該貫通孔内部に樹脂を充填したのち、ドクターブレードによって過剰な樹脂を除去する方法を用いることもできる。その際、貫通孔内部に充填する樹脂の量を調節することによって、配線基板表面に凸レンズ11cおよび12cを形成する。
凸レンズは、充填される樹脂の量のほか、貫通孔の壁面および/または配線基板表面と樹脂との間の界面張力によってその形状が決定される。ここで、凸レンズは、配線基板表面からの高さhが以下の条件を満足するように制御することが好ましい。
すなわち、高さhは、下式(2)の関係式を満足していることが望ましい。
Figure 2014191281
ここで、nは貫通孔に充填された樹脂の硬化後の平均屈折率を示している。また、Rは凸レンズの曲率半径であり、貫通孔の直径aと高さhとから、下式(3)によって一義的に決まる。
Figure 2014191281
さらに、h’は、発光素子の放射角度(半角)φと、凸レンズの曲率半径R、発光素子と基板表面との距離d、高さhとを用いて、次式(4)で定義されるパラメータである。各パラメータの関係を図2に示す。
Figure 2014191281
以上の関係が満たされるように凸レンズの高さhを制御することにより、発光素子からの発散光を、凸レンズを介して平行光もしくは集光光として貫通孔内に挿入することが可能となる。
上記の凸レンズ形状を実現するため、本発明では、(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)および環状エーテルモノマー(B)として、それぞれ以下の化合物を用いることが好ましい。
すなわち、前記(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)としては、以下の(a)〜(c)のいずれかの条件を満足する化合物を用いることが望ましい。
(a)1個の炭素原子を介して互いに結合している2個以上の芳香環を分子内に有する。
(b)互いに直接結合している2個以上の芳香環を分子内に有する。
(c)互いに縮合している2個以上の芳香環を分子内に有する。
上記(a)において、1個の炭素原子を介して互いに結合している2個以上の芳香環とは、下記一般式(I)で表される構造を指す。
Figure 2014191281
(ここで、ArおよびArは互いに異なっていてもよい任意の芳香環であり、RおよびRは水素原子または任意の有機基である。Ar、Ar、RおよびRは、それらの一部が互いに連結して架橋していてもよい。)
上記(a)の条件を満たす2個以上の芳香環部位として、具体的には、ジフェニルメタン部位、9,10−ジヒドロアントラセン部位、ベンゾフェノン部位などが挙げられる。
上記(b)の条件を満たす2個以上の芳香環部位として、具体的には、ビフェニル部位、カルバゾール部位、フルオレン部位、ビチオフェン部位、ビピリジン部位などが挙げられる。
上記(c)の条件を満たす2個以上の芳香環部位として、具体的には、ナフタレン部位、アズレン部位、キノリン部位、フェナントレン部位、フェナジン部位などの縮合芳香環部位が挙げられる。本明細書では、縮合芳香環が有する個々の環状構造をそれぞれ1個として数える。例えば、1つのナフタレン環は2個の芳香環を有するものとみなす。
上記(a)〜(c)の条件を満たす(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)は、分子内に複数の芳香環を近接して有するため、屈折率が高く、その重合物は耐熱性や機械的強度に優れる。従って、上記(a)〜(c)の条件を満たす化合物を用いることにより、コアとクラッドとの間の比屈折率差を高めることができ、且つ、高い耐久性が達成される。
このような(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)としては、市販品を含む種々の化合物を用いることができる。具体例として、o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシビフェニル ジ(メタ)アクリレート、パラクミルフェノール(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシナフタレン(メタ)アクリレート、2,3−ヒドロキシナフタレン ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA ジ(メタ)アクリレート、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン ジ(メタ)アクリレート、及びこれらのエチレンオキシド(EO)変性、プロピレンオキシド(PO)変性またはエピクロルヒドリン(ECH)変性化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
一方、前記環状エーテルモノマー(B)としては、分子内に芳香環を有さず、且つ、19(J/cm0.5以上の溶解性パラメータを有する化合物を用いることが好ましい。溶解性パラメータ(SP値)は、凝集エネルギー密度の平方根として定義され、任意の溶液や組成物における溶解性を見積もる指標として知られている。また、SP値は凝集エネルギー密度の平方根であるから、表面張力や表面エネルギーと密接に関係している。
従って、環状エーテルモノマー(B)のSP値を制御することにより、(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)との良好な相溶性と、自己形成光導波路を形成する際の適度なミクロ相分離性とを両立することができる。さらに、環状エーテルモノマー(B)のSP値を制御することで、貫通孔内に充填された樹脂によって形成される凸レンズを、所望の形状に制御することがより容易になる。
なお、本発明において、SP値は、Fedorsの方法として知られているSP値推算法によって求められた値を用いるものとする(Robert F.Fedors,Polym.Eng.Sci.,Vol.14(2),1974,pp.147−154)。環状エーテルモノマー(B)のSP値が19(J/cm0.5を下回ると、凸レンズを形成するのに十分な界面張力が達成されない。また、(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)との相溶性を維持することも難しくなるため好ましくない。SP値は、20(J/cm0.5以上であることがより好ましい。
このような環状エーテルモノマー(B)としては、市販品を含む種々の化合物を用いることができる。具体例として、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサン カルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、1,2−シクロヘキサンカルボン酸ジグリシジルエステル、ポリエチレングリコール ジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール ジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオール ジグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサン
ジメタノール ジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパン トリグリシジルエーテル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
さらに、(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)のSP値も、所定の範囲内の値を有していることが好ましい。具体的には、環状エーテルモノマー(B)のSP値との差の絶対値が2.5(J/cm0.5以下であることが好ましい。該絶対値が2.5を超えると、樹脂組成物中でモノマー(A)とモノマー(B)とがミクロ相分離を起こしやすくなるほか、場合によっては凸レンズ形状の制御が難しくなる。絶対値は、2.0(J/cm0.5以下であることがより好ましい。
次に、充填される樹脂組成物は、以下に説明する方法によって、その内部にコアとクラッドとを形成することができる。まず波長λの光を入射することで、(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)が選択的に重合し、屈折率が上昇する。また、モノマー(A)の重合に伴い、当該箇所では未反応のモノマー(A)が消費されるため、周辺部との間で未反応のモノマー(A)の濃度勾配が生じる。この濃度勾配を補償するため、未反応のモノマー(A)が周辺部から光照射部に拡散し、モノマー(A)の重合がさらに進行する。その結果、光照射部の屈折率が上昇しコアが形成される。
波長λの光は貫通孔表面に設けられる凸レンズ側から入射することが可能である。その場合、所望のコア径のファイバを近接させて光を挿入しても良い。また、光電気混載基板に配置される光導波路フィルムと光路変換ミラーとを通じて貫通孔に入射させることも可能である。貫通孔内に形成されるコア形状のプロファイルは、挿入光の強度や照射時間、モードフィールド形状等をパラメータとして任意に調節することができる。また、用いる樹脂組成物の特性によっても制御することが可能である。
例えば、発光素子側においては、貫通孔の光導波路フィルム側から発光素子実装面に向かって徐々にその断面積が拡大するコアを形成することができる。一方、受光素子側においては、光導波路フィルムのコアとほぼ同等の径を有するコアを貫通孔内に形成することができる。なお、発光素子側の貫通孔におけるコア径は、光導波路フィルム側界面において、光導波路フィルムのコア径を下回っていることが好ましい。
また、受光素子側の貫通孔におけるコア径は、光導波路フィルム側界面において、光導波路フィルムのコア径を上回っていることが好ましい。
コアを形成した後、波長λの光を貫通孔内の樹脂全体に到達するように照射することでクラッドを形成し、光導波路を固定化する。
これらの波長λおよびλの光源としては、各々(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)、環状エーテルモノマー(B)が重合可能であるものであれば特に限定されない。例えば、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ、固体レーザなどが利用できる。さらに、本発明の光電気混載基板に実装されるVCSELなどの発光素子を、そのまま光源として用いてもよい。また、熱潜在性の酸発生剤などの適切な熱重合開始剤を樹脂に添加しておくことで、加熱によりクラッド部11b、12bを硬化形成させることもできる。
上記のようにして作製された貫通孔内の光導波路は、(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)に由来する重合物が中心軸近傍に偏在し、高屈折率のコアを形成する。実際に(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)に由来する重合物がコアに偏在していることは、例えば以下の方法により確かめることができる。
まず、貫通孔に形成された樹脂硬化物から、コアを相対的に多く含む樹脂試料(c)と、クラッドを相対的に多く含む樹脂試料(s)とを個別に採取する。具体的には、エキシマレーザ加工や機械的なドリル加工などによってコアを含む樹脂を取り除いたのち、貫通孔内部に残った樹脂硬化物を採取することにより、前記試料(s)とすることができる。一方、コア部分のみを、分析可能な試料として採取することは一般に困難な場合が多いため、貫通孔に充填された樹脂硬化物全体を、前記試料(c)としてもよい。該試料(c)は、コアだけでなくクラッドも含んでいるが、前記試料(s)に比べ相対的にコア領域を多く含んでいる。
採取した樹脂硬化物は、例えばGC−MS(ガスクロマトグラフ質量分析)法により同定ならびに定量することができる。その際、水酸化テトラメチルアンモニウムなどの有機アルカリ試薬を用いた反応熱分解法や、超臨界メタノール分解法などにより、測定試料である樹脂硬化物を特定の結合箇所で選択的に切断しておく手法を併用することが好ましい。また、一般に、硬化後の樹脂中には一定の割合で微量の未反応モノマーが残っているため、未反応のモノマーを適切な溶媒で抽出し、該モノマーを同定ならびに定量してもよい。未反応モノマーの残留量は、対応する領域に偏在している同モノマーの重合物の量を反映しているため、前記試料(c)に(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)の重合物が偏在していれば、該試料(c)における未反応の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)の濃度も、前記試料(s)におけるそれよりも相対的に高くなる。
上記では、自己形成光導波路として知られている樹脂組成物を用いて、貫通孔内部にコアとクラッドとを形成しているが、本発明の光電気混載基板の製法は上記に限定されるものではない。例えば、貫通孔に(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)を主体とする第1の樹脂組成物を充填、硬化したのち、ドリル加工やレーザ加工によって貫通孔内部に、所定の径を有するコア充填孔を穿孔する。形成された該コア充填孔に、(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)を主体とし、且つ第1の樹脂組成物とは異なる第2の樹脂組成物を充填し、硬化する。該第2の樹脂組成物の硬化後の屈折率が、第1の樹脂組成物のそれよりも高くなるような組成としておくことで、光導波路コアとして機能させることができる。さらに、第1の樹脂組成物および/または第2の樹脂組成物の充填量を制御することにより、貫通孔の開口部に凸レンズ11cおよび12cを形成することができる。
第1の樹脂組成物と第2の樹脂組成物はともに(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)を主体としているから、各々の硬化時の収縮率や、得られた硬化物の熱膨張係数はほぼ同等の値を有する。また、両者の界面における密着性にも優れる。さらに、凸レンズは、第1の樹脂組成物および/または第2の樹脂組成物によって一体的に形成されているため、光結合効率および耐久性に優れた光電気混載基板を得ることができる。
さらに、第1の樹脂組成物と第2の樹脂組成物は、ともに同一の分子構造を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)であることが好ましい。該(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)は複数種のモノマーの混合物であってもよいが、それらのすべてが、第1の樹脂組成物と第2の樹脂組成物とに共通して含まれていることが好ましい。すなわち、両者の硬化後の屈折率差は、用いているモノマーの組成比や他の添加物によって発現させることが好ましい。それにより、両者の硬化物の熱膨張係数などがより近づけられるため、耐久性の向上がみこまれる。
なお、先に説明した自己形成光導波路を用いた製法の場合、貫通孔内部に形成されたコアとクラッドとに含まれる(メタ)アクリル酸エスエルモノマー(A)が、ともに同一の分子構造を有していることはいうまでもない。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(光導波路フィルムの作製)
保護用のポリエチレンフィルムに厚み40μmのクラッド用樹脂((株)ADEKA製、ナノハイブリッドシリコーンFX−V5711)を塗布し、紫外線照射後200℃で1時間ポストベークすることによってアンダークラッド層を形成した。作製したアンダークラッド層に、50μmの厚みとなるようにコア用樹脂((株)ADEKA製ナノハイブリッドシリコーンFX−V5710)を塗布し、幅50μm、長さ10cmの光導波路コアパターンが形成されたフォトマスクを介してマスクアライナで露光し、現像することによりリッジ型の光導波路コアを形成した。このとき同時に、光導波路フィルムと後述する電気配線基板との位置合せを行うためのアライメントマークを形成した。
次に、V字型のダイヤモンドブレードを用いて光導波路コアの所定位置2箇所に45度の角度を有する傾斜面を作製した。傾斜面にマスクを介してAu反射膜をスパッタ(図示していない)して、90度光路変換用ミラー20cを作製した。続いて、再度クラッド用樹脂を塗布し、紫外線照射後200℃で1時間ポストべークすることで厚さ20μmのオーバークラッドとし、ポリマー光導波路フィルム20a〜20cを作製した。
(貫通孔充填用感光性樹脂組成物1の調製)
感光性樹脂組成物1を、以下の手順で調製した。(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)として、EO変性ビスフェノールAジアクリレート(日本化薬(株)製、カヤラッドR−551)5g、光ラジカル発生剤として、3,3’,4,4’−テトラ(tert- ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンの25%トルエン溶液(日油(株)製、BTTB−25)0.1g、光増感剤として4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン0.1gを秤量し、これらを均一に混合した。さらに環状エーテルモノマー(B)として3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(シグマアルドリッチ社製)5g、光カチオン発生剤として、スルホニウム塩(トリアリールスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート:シグマアルドリッチ社製)0.2gを添加し、感光性樹脂組成物とした。同組成物の硬化後の屈折率は1.55であった。また、(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)のSP値は20.8(J/cm0.5、環状エーテルモノマー(B)のSP値は21.0(J/cm0.5であった。
(光電気混載基板の作製)
ガラスエポキシ基板(FR−4、厚み750μm)にドリルで直径100μmの貫通孔を形成し、これを電気配線基板10とした。貫通孔は、VCSELとPDを実装する位置にそれぞれ1箇所穿孔した。それぞれの貫通孔間の距離は10cmとした。
次いで、電気配線基板10の、電気配線が形成されていない面に、上記で作製した光導波路フィルムを以下の手順で貼り合せた。まず、光導波路フィルムからポリエチレンフィルムを剥離し、露出したアンダークラッド層の表面に、接着層としてアクリル系の紫外線硬化型接着剤(米NORLAND社製、NOA76)を5μmの厚みとなるように塗布した。
次いで、電気配線基板10の電気配線が形成されていない面にあらかじめ印刷しておいたアライメントマークと、光導波路フィルム上のアライメントマークとの位置をモニターしながら合わせたうえで、電気配線基板10に光導波路フィルムをラミネートした。その後、光導波路フィルム側から紫外線を照射することにより接着層を硬化した。次いで、貫通孔充填用感光性樹脂組成物1を、発光素子側の貫通孔内に充填した。充填にはディスペンサを用い、樹脂の充填量を制御しながら、貫通孔表面において凸レンズ11cを形成した。
次に、図3に示すように受光素子側の貫通孔にグレーデッドインデックス型のマルチモード石英ファイバ60a(コア径50μm、クラッド径125μm)を設置し、LD60bを用いて波長405nmの光を入射した。入射した光は、2箇所の光路変換ミラーを経由して光導波路フィルムのコア中を伝播し、発光素子側の貫通孔内に導入し、貫通孔内でコア径が発光素子側の貫通孔の径まで徐々に広がるように照射パワー、照射時間を設定した。その後紫外線70を発光素子側から照射して未硬化部分を硬化し、発光素子側の貫通孔内にテーパー形状の光導波路11a〜11cを形成した。
次に、樹脂組成物を受光素子側の貫通孔に、貫通孔表面が表面張力によって凸レンズ形状12cとなるように充填した。
さらに図4に示すように、発光素子側の貫通孔表面の凸レンズに近接してグレーデッドインデックス型のマルチモード石英ファイバ60a(コア径50μm、クラッド径125μm)を設置し、LD60bを用いて波長405nmの光を照射した。照射した光は、発光素子側の貫通孔内の樹脂を伝播したのち、2箇所の光路変換ミラーを介して光導波路フィルムのコア中を伝播し、受光素子側の貫通孔内に導入する。その際、貫通孔内でコア径がほぼ一定になるように照射パワー、および照射時間を設定した。その後紫外線70を受光素子側から照射して未硬化部分を硬化し、受光素子側の貫通孔内にクラッドとコアとを有する光導波路12a〜12cを形成した。2箇所の貫通孔表面に形成した凸レンズの高さhは、17μmであった。
(光結合損失の測定)
まず、光電気混載基板の貫通孔11の上に、半田バンプ30を用いて基板との間に175μmの間隔を設け、放射角度15°(半角)のVCSEL40を実装した。貫通孔表面に形成した凸レンズの高さh17μmは、前記(2)式の関係を満たしており、発光素子からの発散光は凸レンズによって集光光として貫通孔内に挿入する。
次に、図5に示すように、受光素子位置にグレーデッドインデックス型のマルチモード石英ファイバ60c(コア径50μm、クラッド径125μm)を基板から100μm離間して配置した。続いて、VCSELを発光させ、石英ファイバ60cの他方の端面からの出射光強度をPD80で測定した。出射光強度と、あらかじめ測定しておいたVCSELの発光強度とから、本実施例の光電気混載基板の光挿入損失(L)を求めた。光挿入損失は、発光素子側の貫通孔内光導波路11および光路変換ミラーにおける光結合損失(LEmit)と、受光素子側の貫通孔内光導波路12および光路変換ミラーにおける光結合損失(LReceive)と、光導波路フィルムにおける光伝播損失(LWG)とを含む。なお、LWGは光路長に比例し、あらかじめ測定しておいた光導波路フィルムの光伝播損失から別途求めることができる。
次に、光電気混載基板の所定箇所をダイサーで切断し、図6に示すような、発光素子側のみから構成する素子を準備した。ダイシング後の光導波路フィルム端面は、研磨による平滑化処理を施した。素子のVCSELを発光させ、光導波路フィルム端面からの出射光強度をPDにより測定した。出射光強度と、VCSELの発光強度とから、素子の光挿入損失(L)を求めた。光挿入損失は、発光素子側の貫通孔内光導波路11および光路変換ミラーにおける光結合損失(LEmit)と、光導波路フィルムにおける光伝播損失(LWG)とを含む。
光挿入損失LおよびLと、別途見積もったLWGとから、発光素子側の貫通孔および光路変換ミラーにおける光結合損失(LEmit)と、受光素子側の同光結合損失(LReceive)とをそれぞれ求めた。その結果、光結合損失は発光素子側で2.1dBであり、受光素子側で1.5dBであった。結果を表1に示す。
(組成分析)
貫通孔内に作製した光導波路から、コアを相対的に多く含む樹脂試料(c)と、クラッドを相対的に多く含む樹脂試料(s)を採取し、各々におけるアクリル酸エステルモノマー(A)由来部位の濃度を、以下の手順で定量した。
光導波路フィルム20を剥離し、発光素子側の貫通孔内の樹脂に形成されたコアの形状を光学顕微鏡によって観察した。貫通孔の凸レンズ側から発光ダイオード(LED)の光を照射し、下面からコア形状を観察した結果、下面におけるコアの直径は55μmであった。一方、下面からLEDの光を照射し、凸レンズ側からコア形状を観察したところ、コアは直径100μmの貫通孔の断面全体に広がっていた。すなわち、発光素子側貫通孔内における光導波路コアは、凸レンズ側の断面積の方が、光導波路フィルム側の断面積よりも大きいことを確認した。また、受光素子側の貫通孔についても同様に観察した結果、凸レンズ側、反対側いずれにおいても、コア径は60μmであった。すなわち、受光素子側貫通孔内における光導波路コアは、その位置によらずほぼ同等の断面積を有していた。
次いで、以下の手順で貫通孔内部の樹脂を含むサンプルを採取した。まず、貫通孔内の樹脂硬化物全体を採取し、試料(c)とした。
次に発光素子側、受光素子側のそれぞれの貫通孔について、光学顕微鏡で確認し、ドリルによる切削加工によってコア近傍を選択的に取り除いた。その後貫通孔内に残った樹脂硬化物を採取し、試料(s)とした。
以上のようにして作製した試料(c)(s)を、それぞれ反応熱分解GC−MS(ガスクロマトグラフ質量分析)により測定した。サンプルを凍結粉砕し、約30μg秤量した。次いで有機アルカリ試薬として水酸化テトラメチルアンモニウムの25%メタノール溶液を約2μL加えた。このようにして得られた測定用試料を、反応熱分解GC−MSにより分析した。熱分解炉内温度は400℃とした。なお、測定用試料には、内部標準として所定量のステアリン酸メチルを添加した。
得られたパイログラムにおいて、内部標準物質由来のピーク面積と、アクリル酸エステルモノマー(下式(II)の反応熱分解生成物であるビスフェノールA誘導体(EO変性ビスフェノールAのメチルエーテル、下式(III))に由来するピーク面積とを比較することにより、ビスフェノールA誘導体の濃度(Ac’(c)及びAc’(s))を求めた。ビスフェノールA誘導体の濃度Ac’(c)及びAc’(s)の大小は、(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来部位の濃度(Ac(c)及びAc(s))を反映している。
Figure 2014191281
Figure 2014191281
その結果、本実施例では、貫通孔内に充填された樹脂は、試料(c)と試料(s)とでビスフェノールA誘導体の濃度が異なっており、発光素子側、受光素子側いずれもAc’(s)<Ac’(c)であった。従って、対応する(メタ)アクリル酸エステルモノマー由来部位の濃度もAc(s)<Ac(c)であると結論づけられる。よって、貫通孔内部に(メタ)アクリル酸エステルモノマーの濃度分布が生じ、光導波路として機能している。
[実施例2〜4]
次に、受発光素子側の樹脂充填量を、凸レンズの基板表面からの高さhがそれぞれ20、28、36μmとなるように設定したこと以外は、実施例1と同様にして光電気混載基板を作製した。いずれの条件においても、前記(2)式に示す関係を満たすため、発光素子からの発散光は、凸レンズによって集光光として貫通孔内に挿入する。
実施例2〜4について、実施例1と同様の測定方法を用いて、貫通孔および光変換ミラーにおける結合損失を求めた。また、貫通孔内に作製した光導波路の、試料(c)と試料(s)におけるアクリル酸エステルモノマー(A)由来部位の濃度を実施例1と同様の方法で定量した。各々の結果を表1に示す。
[実施例5]
(貫通孔充填用感光性樹脂組成物2の調製)
感光性樹脂組成物2を、以下の手順で調製した。(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)として、2−(2−アクリロキシエチルオキシ)ビフェニル(日本蒸溜工業(株)製、HRD-01)5g、光ラジカル発生剤として、3,3’,4,4’−テトラ(tert- ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンの25%トルエン溶液(日油(株)製、BTTB−25)0.1g、光増感剤として4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン0.1gを秤量し、これらを均一に混合した。さらに環状エーテルモノマー(B)として3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(シグマアルドリッチ社製)5g、光カチオン発生剤として、スルホニウム塩(トリアリールスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート:シグマアルドリッチ社製)0.2gを添加し、感光性樹脂組成物2とした。同組成物の硬化後の屈折率は1.55であった。また、(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)のSP値は21.7(J/cm0.5、環状エーテルモノマー(B)のSP値は21.0(J/cm0.5であった。
感光性樹脂組成物1を感光性樹脂組成物2とした以外は、実施例1と同様にして光電気混載基板を作製した。その際、樹脂充填量を調節し、貫通孔表面に形成した凸レンズの高さhは、17μmであった。すなわち、高さhは、前記(2)式の関係を満たすため、発光素子からの発散光は、凸レンズによって集光光として貫通孔内に挿入する。
実施例5について、実施例1と同様の測定方法を用いて、貫通孔および光路変換ミラーにおける光結合損失を求めた。さらに実施例1と同様に、貫通孔内に作製した光導波路の、試料(c)と試料(s)におけるアクリル酸エステルモノマー(A)由来部位の濃度を定量した。結果を表1に示す。
[実施例6]
(貫通孔充填用感光性樹脂組成物3の調製)
感光性樹脂組成物3を、以下の手順で調製した。(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)として、2−(1−ナフトキシ)エチルアクリレート(日本蒸溜工業(株)製、HRD-02)5g、光ラジカル発生剤として、3,3’,4,4’−テトラ(tert- ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンの25%トルエン溶液(日油(株)製、BTTB−25)0.1g、光増感剤として4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン0.1gを秤量し、これらを均一に混合した。さらに環状エーテルモノマー(B)として3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(シグマアルドリッチ社製)5g、光カチオン発生剤として、スルホニウム塩(トリアリールスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート:シグマアルドリッチ社製)0.2gを添加し、感光性樹脂組成物3とした。同組成物の硬化後の屈折率は1.55であった。また、(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)のSP値は21.9(J/cm0.5、環状エーテルモノマー(B)のSP値は21.0(J/cm0.5であった。
感光性樹脂組成物1を感光性樹脂組成物3とした以外は、実施例1と同様にして光電気混載基板を作製した。この場合においても、樹脂充填量を調節し、実施例1と同様に、貫通孔表面に形成した凸レンズの高さhは、17μmであった。すなわち、高さhは、前記(2)式の関係を満たすため、発光素子からの発散光は、凸レンズによって集光光として貫通孔内に挿入する。
実施例6について、実施例1と同様の測定方法を用いて、貫通孔および光路変換ミラーにおける光結合損失を見積もった。さらに実施例1と同様に、貫通孔内に作製した光導波路の、試料(c)と試料(s)におけるアクリル酸エステルモノマー(A)由来部位の濃度を定量した。結果を表1に示す。
[実施例7]
(貫通孔充填用感光性樹脂組成物4の調製)
感光性樹脂組成物4を、以下の手順で調製した。(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)として、PO変性ビスフェノールAジアクリレート(共栄社化学(株)製、ライトアクリレートBP−4PA)5g、光ラジカル発生剤として、3,3’,4,4’−テトラ(tert- ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンの25%トルエン溶液(日油(株)製、BTTB−25)0.1g、光増感剤として4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン0.1gを秤量し、これらを均一に混合した。さらに環状エーテルモノマー(B)として1,4−ブタンジオール ジグリシジルエーテル(シグマアルドリッチ社製)5g、光カチオン発生剤として、スルホニウム塩(トリアリールスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート:シグマアルドリッチ社製)0.2gを添加し、感光性樹脂組成物4とした。同組成物の硬化後の屈折率は1.52であった。また、(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)のSP値は20.0(J/cm0.5、環状エーテルモノマー(B)のSP値は、19.3(J/cm0.5であった。
感光性樹脂組成物1を感光性樹脂組成物4とした以外は、実施例1と同様にして光電気混載基板を作製した。その際、実施例1と同様に樹脂充填量の調節を行ったところ、貫通孔表面に形成した凸レンズの高さhは、15μmであった。高さhは、前記(2)式を満たすため、発光素子からの発散光は、凸レンズによって集光光として貫通孔内に挿入する。
実施例7について、実施例1と同様の測定方法を用いて、貫通孔および光路変換ミラーにおける光結合損失を求めた。さらに実施例1と同様に、貫通孔内に作製した光導波路の、試料(c)と試料(s)におけるアクリル酸エステルモノマー(A)由来部位の濃度を定量した。結果を表1に示す。
[比較例1]
受発光素子側の樹脂充填量を、凸レンズの基板表面からの高さhが10μmとなるように設定したこと以外は、実施例1と同様にして光電気混載基板を作製した。貫通孔表面に形成された凸レンズの高さ10μmは、前記(2)式の関係を満たさず、発光素子からの光は、発散光のまま貫通孔内に挿入する。
比較例1についても、実施例1と同様の測定方法を用いて、貫通孔および光路変換ミラーにおける結合損失を求めた。さらに実施例1と同様に、貫通孔内に作製した光導波路の、試料(c)と試料(s)におけるアクリル酸エステルモノマー(A)由来部位の濃度を定量した。結果を表1に示す。
[比較例2]
(貫通孔充填用感光性樹脂組成物5の調製)
感光性樹脂組成物5を、以下の手順で調製した。(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)として、PO変性ビスフェノールAジアクリレート(共栄社化学(株)製、ライトアクリレートBP−4PA)5g、光ラジカル発生剤として、3,3’,4,4’−テトラ(tert- ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンの25%トルエン溶液(日油(株)製、BTTB−25)0.1g、光増感剤として4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン0.1gを秤量し、これらを均一に混合した。さらに環状エーテルモノマー(B)として水素化ビスフェノールA ジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製、デナコールEX−252)5g、光カチオン発生剤として、スルホニウム塩(トリアリールスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート:シグマアルドリッチ社製)0.2gを添加し、感光性樹脂組成物5とした。同組成物の硬化後の屈折率は1.53であった。また、(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)のSP値は20.0(J/cm0.5、環状エーテルモノマー(B)のSP値は、18.8(J/cm0.5であった。
感光性樹脂組成物1を感光性樹脂組成物5とした以外は、実施例1と同様にして光電気混載基板を作製した。その際、実施例1と同様に樹脂充填量の調節を行ったところ、貫通孔表面に形成された凸レンズの高さhは、14μmであった。この高さhは、前記(2)式を満たしていない。そのため、発光素子からの光は、凸レンズを通して発散光のまま貫通孔内に挿入した。
比較例2について、実施例1と同様の測定方法を用いて、貫通孔および光路変換ミラーにおける光結合損失を求めた。さらに実施例1と同様に貫通孔内に作製した光導波路の、試料(c)と試料(s)におけるアクリル酸エステルモノマー(A)由来部位の濃度を定量した。結果を表1に示す。
[比較例3]
次に、発光素子側の貫通孔内においてコア径がほぼ一定になるように照射パワー、照射時間を設定し、一方で、受光素子側では貫通孔内のコア径が貫通孔の径まで徐々に広がるように照射パワー、および照射時間を設定したこと以外は、実施例1と同様にして光電気混載基板を作製した。
比較例3について、実施例1で示した測定方法と同様の方法を用いて、貫通孔および光変換ミラーにおける結合損失を求めた。発光素子側(LEmit)、受光素子側(LReceive)における光結合損失は、各々4.5dB、4.0dBであり、実施例1に比べ大きく劣っていた。
また、このサンプルについて光導波路フィルム20を剥離し、発光素子側の貫通孔内の樹脂に形成されたコアの形状を光学顕微鏡によって観察した。貫通孔の凸レンズ側から発光ダイオード(LED)の光を照射し、下面からコア形状を観察した結果、下面におけるコアの直径は55μmであった。一方、下面からLEDの光を照射し、凸レンズ側からコア形状を観察したところ、コアの直径も55μmであった。すなわち、発光素子側貫通孔内における光導波路コアは、その位置によらずほぼ同等の断面積を有していた。一方、受光素子側の貫通孔についても同様に観察した結果、下面におけるコア形状は60μmであり、凸レンズ側のコアの直径は、貫通孔幅100μmにひろがっていた。すなわち、受光素子側貫通孔内における光導波路コアは、凸レンズ側の断面積の方が、光導波路フィルム側のそれよりも大きいことが確認された。
また、貫通孔内に作製した光導波路の、試料(c)と試料(s)におけるアクリル酸エステルモノマー(A)由来部位の濃度について、実施例と同様に定量した。結果を表1に示す。
[比較例4]
次に、貫通孔内部に充填された感光性樹脂について、貫通孔表面にレンズを形成しない以外は、実施例1と同様にして光電気混載基板を作製した。
比較例4について、実施例1と同様の測定方法を用いて、貫通孔および光路変換ミラーにおける光結合損失を求めた。発光素子側(LEmit)、受光素子側(LReceive)における光結合損失は、各々5.5dB、6.8dBであり、実施例1〜5に比べ大きく劣っていた。また、貫通孔内に作製した光導波路の、試料(c)と試料(s)におけるアクリル酸エステルモノマー(A)由来部位の濃度を、実施例1と同様に定量した。結果を表1に示す。
Figure 2014191281
以上表1に示した結果から、前記(2)式を満たす高さhに設定した貫通孔表面に形成した凸レンズと、更に貫通孔内のコアの形状が、受発光素子との光結合損失の低減に効果があることが確認された。
(10)基板
(11a)、(12a)貫通孔内コア部分
(11b)、(12b)貫通孔内クラッド部分
(11c)、(12c)貫通孔内平面レンズ部分
(13)、(14)貫通孔内クラッド部分
(20a)ポリマー光導波路クラッド部分
(20b)ポリマー光導波路コア部分
(20c)ポリマー光導波路光路変換ミラー部分
(30)半田バンプ
(40)850nm面発光レーザ
(50)フォトディテクタ
(60a)、(60c)マルチモード光ファイバ
(60b)405nmレーザ
(70)紫外線照射装置
(80)パワーメータ

Claims (6)

  1. 内部に樹脂を充填し、コアとクラッドとを有する貫通孔を通じて光の入出力を行う光電気混載基板であって、受発光素子が実装された側の該貫通孔表面において該樹脂が凸レンズ形状を有し、該樹脂は、以下の(a)〜(c)のいずれかの条件を満たす(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)の重合物と、環状エーテルモノマー(B)の重合物とを少なくとも含み、且つ、前記(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)由来部位の濃度が、コアにおいてクラッドよりも高くなっていることを特徴とする光電気混載基板。
    (a)1個の炭素原子を介して互いに結合している2個以上の芳香環を分子内に有する。
    (b)互いに直接結合している2個以上の芳香環を分子内に有する。
    (c)互いに縮合している2個以上の芳香環を分子内に有する。
  2. 前記環状エーテルモノマー(B)の少なくとも一部が、分子内に芳香環を有さず、且つ、19(J/cm0.5以上の溶解性パラメータを有する化合物である、請求項1に記載の光電気混載基板。
  3. 前記貫通孔に充填された樹脂により形成した前記コアと前記クラッドに含まれる前記(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)由来部位が、同一の化学構造を有していることを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載の光電気混載基板。
  4. 前記光電気混載基板において、受発光素子が実装された側とは反対側に、光路変換ミラーを有する光導波路フィルムが設けられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の光電気混載基板。
  5. 前記光電気混載基板上に実装された発光素子の直下に設けられた前記貫通孔内のコアが、前記発光素子側表面において、反対側表面と同等以上の断面積を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の光電気混載基板。
  6. 前記光電気混載基板上に実装された受光素子の直下に設けられた前記貫通孔内のコアが、前記受光素子側表面において、反対側表面と同等以下の断面積を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の光電気混載基板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023120515A1 (ja) * 2021-12-21 2023-06-29 積水化学工業株式会社 隔壁形成用インクジェット組成物、ledモジュール、ledモジュールの製造方法及びインクジェット組成物
WO2024101359A1 (ja) * 2022-11-10 2024-05-16 積水化学工業株式会社 インクジェット用硬化性組成物、ledモジュール、及びledモジュールの製造方法

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