以下、本発明の各実施形態及び各実施例について図面を用いて詳細に説明する。各実施形態は互いに組合せ可能であり、第1及び第2の実施形態が主に光導波路の製造方法に関する。第3の実施形態は主に外部素子を実装する場合に関する。第4の実施形態は主に複雑な回路を形成する場合に関する。第5の実施形態は主に別基板に貼り合わせる場合に関する。以下、順に述べる。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る光導波路の製造方法を示す工程断面図である。
まず、図1の(a)に示すように、コアパターン(core pattern)形状の窪みを有し、かつ、少なくとも表面の材質がシリコーン(silicone)又はフッ素(fluorine)樹脂からなる凹型10を準備する。また、図1の(b)に示すように、基板20を準備し、この基板20上に第1クラッド(clad)2を塗布・硬化させておく。
そして、図1の(c)に示すように、凹型10と、基板20の第1クラッド2との間にコア(core)材1’を挟み込み、例えばロール(roll)11により圧力を加える。これにより、コア材1’は凹部に閉じ込められる。
しかる後、図1の(d)に示すように、例えば、基板20側から紫外線12を照射することにより、コア材1’を硬化させて凹部に対応したコアパターン1を形成する。
凹型10を剥離すれば、図1の(e)に示すように、コアパターン1が第1クラッド2に載った状態になる。
このままの状態でも、空気が上部クラッドの役割を果たして導波路として作用する。但し、図1の(f)に示すように、コアパターン1及び第1クラッド2を第2クラッド3で覆って導波路7を形成する方が好ましい。なお、ミラー(mirror)無し導波路の場合、図1の(g)に示すように、導波路7の入出力部を露出させて使用する。
また、導波路7は、図2及び図3に示すように、コアパターン形状の窪みの端部が概略45゜の斜めミラー相当面4’を有する凹型10を用いて形成してもよい。この凹型10は、後述するが、図4の(a)〜(e)に示すように作成される。凹型10は、図4の(f)に示す如き、両端に斜めミラー相当面4’を有する構成に限らず、図4の(g)に示す如き、コアパターン形状の窪みの途中に面内ミラー相当面5’を有していても良い。
導波路7の形成時に、図4の(f)に示す如き、斜めミラー相当面4’を有する凹型10を用いた場合、図2,3,5に示すように、コアパターン1作製と同時に、コアパターン1端部に光路変換用斜めミラー面4を形成することができる。
また、図4の(g)に示す如き、面内ミラー相当面5’を有する凹型10を用いた場合、図6に示すように、コアパターン1の作製と同時に、コアパターン1に面内光路変換用ミラー面5を形成することができる。
ここで、凹型10を作製する方法について説明する。
まず、図4の(a)〜(c)に示すように、基板31上に、コアパターン形状の凸部を形成する。コアパターン形状は、感光性樹脂32(例えばフォトレジスト(photo resist)など)を基板31上に塗布し、露光・現像によって容易に作製することができる。
コアパターンの端部には、光路変換のための概略45゜の斜めミラー相当面4’を形成しておくことができる。具体的には、斜めミラー相当面4’は、図4の(b)に示すように、レーザ(laser)光33を斜めに入射するレーザ加工により形成される。レーザ加工には、KrFエキシマレーザ(excimer laser)、ArFエキシマレーザ、フェムト(femto)秒レーザ、UVーYAGレーザ等、光子のエネルギー(energy)が高く、分子を切断できる紫外領域の波長のレーザ光33が使用される。なお、コアパターンの途中には、面内光路変換のための面内ミラー相当面5’を形成しておくことができる。この面内ミラー相当面5’は、コアパターン形状作製と同時に露光・現像で作製しても良く、コアパターン形状作製後にレーザ加工で作製しても良い。
以上により、図4の(c)に示すように、両端に斜めミラー相当面4’を有する凸部を備えた凸型30が形成される。
次に、図4の(d)に示すように、液状のシリコーン又はフッ素樹脂34を凸型30に充填・硬化させて、凹型10を作製する。液状のシリコーン又はフッ素樹脂34は、室温又は加熱によって硬化できる。
硬化が完了すると、凸型30を剥離すれば、図4の(e)に示すように、凹型10ができる。
凹型10は、凸型30の形状に応じて、図4の(f)又は(g)に示すように、コアパターン状窪みにミラー相当面4’又は5’が形成される。
導波路作製の話に戻る。図2に示すように、斜めミラー相当面4’を有する凹型10を用いて導波路7を形成する場合、図2の(f)に示すように、コアパターン1のミラー面4又は5には、反射膜6を設けることが望ましい。反射膜6としては、金属(例えばAl、Ag、Cu等)が好適であるが、多層膜でもよい。形成方法としては、マスク(mask)蒸着法、(全面成膜後)エッチング(etching)法、リフトオフ(lift-off)法等の各種の方法が適用可能である。
あるいは、図3に示すように、凹型10のミラー相当面4’又は5’に予め反射膜6を形成しておき、コアパターン1から凹型10を剥離する際に、コアパターン1のミラー相当面4又は5に反射膜6を転写することも可能である。
クラッド2又は3としては、エポキシ(epoxy)が好適に用いられる。クラッド2又は3の硬化方法としては、紫外線硬化、熱硬化、あるいは両者の併用が可能である。
なお、コア材1’を挟み込む方法としては、プレスロール(press roll)が好適である。即ち、ロール(roll)11によって圧力を加えつつ、ロール11の回転によってその領域を移動させる。プレスロールによってコア材1’をコアパターン形状の凹部に閉込めることができ、気泡も残らなくすることが可能である。なお、図1〜図3では凹型10が下になっているが、この向きに限らず、例えば基板20が下でもよい。
図7に示すように、プレスロールの基板移動方向11aと導波路の主要直線部分とのなす角θは小さいほど良いが、概略45゜以内であれば良好な埋め込みができる。また、図6に示す如き、互いに直交する2方向の主要直線部分を直線導波路が持つ場合を述べる。この場合、図8に示すように、直線導波路の2方向とプレスロールの基板移動方向11aとのなす角を概略45゜とすることにより、良好な埋め込みができる。
コア材1’としては、エポキシ又はアクリル(acrylic)樹脂が好適に用いられる。コアの硬化方法としては、紫外線硬化、熱硬化、あるいは両者の併用が可能である。特に紫外線硬化は、温度変化を最小限に抑制できるため、良好な寸法精度を得るために重要である。
また、さらに良好な寸法精度を得るためには、凹型10の硬化収縮を抑えることが必要である。そのためには、図9Aのように、裏打ち材15を有する凹型10を用いることが有効である。裏打ち材15としては、凹型10の樹脂34よりも熱膨張係数の小さい材料、例えば金属のような無機材料を用いると、コア硬化時の温度変化による寸法変化をも抑えることができる。最も好ましいのは、裏打ち材15の熱膨張係数を、クラッド2付き基板20の熱膨張係数と合わせることである。
このような凹型10を用いるために、コア硬化時、基板20側から紫外線12を照射することが重要である。理由は、裏打ち材15に好適な金属等が紫外線12を透過しにくいからである。基板20は、紫外線透過性の物質である必要がある。紫外線透過性の物質としては、例えばガラスが好適である。
また、コア材1’を挟み込んだ際に、図10の(a)に示すように、厳密にはコアパターン1以外の部分に全体に薄く残ったコア13が存在する。薄く残ったコア13の厚さは最適化により1μm程度に薄くでき、光導波にはほとんど問題ない。但し、隣のコアパターン1との間隔が狭い場合には、コア13はクロストーク(cross talk)の原因になる。
その場合、図10の(b)に示すように、凹型10を剥離した後に、薄く残ったコア13を除去する。例えば、全体を酸素プラズマ(plasma)処理することによってコア13を除去できる。あるいは、全体を軽く薬品で処理してもよい。これによって、隣り合うコアパターン1の間隔が狭い場合でも、クロストークを低減できる。また、薄く残ったコア13がわずか1μm程度なので、短時間に除去でき、製造上の負荷は小さい。
なお、図11の(b)に示すように、基板20上に予め剥離層14を形成しておき、導波路7作製後に剥離層14から基板20を除去する場合、図11の(i)に示すように、導波路7をフィルム(film)化することができる。
コア硬化において基板20側から紫外線照射する場合、剥離層14は紫外線12を透過することが望ましい。剥離層14としては、薄いフォトレジスト層や、水溶性接着剤等を用いることができる。
次に、以上のような第1の実施形態の実施例1〜9を説明する。ここで、実施例1,4,9は凹型に関しており、実施例2,3,5は光導波路に関する。実施例6,7は、プレスロールと導波路の方向に関する。実施例8は、導波路のフィルム化に関する。以下、順次述べる。
<実施例1>
[凹型1]
第1の実施形態の実施例1について、図4を用いて説明する。まず、図4の(a)に示すように、基板31(ガラス(glass))上にドライフィルムレジスト(dry film resist)を貼り合わせ、露光・現像することにより、感光性樹脂32パターンとして、断面が40μm角の導波路状の凸パターンを形成した。
次に、図4の(b)に示すように、レーザ光33としてKrFエキシマレーザを斜め照射することにより、斜めミラー相当面4’を作製し、図4の(c)に示すように凸型30を形成した。
そして、図4の(d)に示すように、凸型30に液状のシリコーン(silicone)樹脂34を重ねて室温硬化させた。しかる後、シリコーン樹脂34から凸型30を剥離することにより、図4の(e)に示すように、凹型10を作製した。
<実施例2>
[光導波路1]
第1の実施形態の実施例2について、図2を用いて説明する。まず、図2の(a)に示すように、実施例1で作製した凹型10(シリコーン樹脂)を準備する。
次に、基板20(ガラス)を準備し、クラッド材としての紫外線硬化型エポキシ樹脂を基板20上にスピンコート(spin coat)した。基板全面に4J/cm2の紫外線を照射することにより、クラッド材を硬化させ、図2の(b)に示すように、30μm厚の第1クラッド2の膜を基板20上に形成した。
そして、凹型10上にコア材1’として紫外線硬化型エポキシ樹脂を滴下した。図2の(c)に示すように、クラッド2付き基板20を凹型10に重ねてロールラミネータ(roll laminater)に通した。
凹型10及びクラッド2付き基板20はロール11によってプレス(press)され、コア材1’は凹型10の窪みに埋め込まれた。
図2(d)に示すように、この状態で基板20側から8J/cm2の紫外線12を照射することにより、コア材1’が硬化してコアパターン1が形成された。
図2の(e)に示すように、凹型10を剥離し、図2の(f)に示すように、コアパターン1の斜めミラー面4に反射膜6としてAlをマスク蒸着した。
さらに第2クラッド3として紫外線硬化型エポキシ樹脂を塗布、全面に4J/cm2の紫外線を照射することにより、図2の(g)に示すように、導波路7が完成した。
<実施例3>
[光導波路2]
第1の実施形態の実施例3について、図3を用いて説明する。まず、図3の(a)に示すように、実施例1で作製した凹型10(シリコーン樹脂)を準備し、図3の(b)に示すように、斜めミラー相当面4’に、反射膜6としてAlをマスク蒸着した。以下、前述した図2の(b)〜(d)と同様に、図3の(c)〜(e)に示すように、第1クラッド2上にコアパターン1を形成した。但し、コア材1’としては、紫外線硬化型アクリル樹脂を用いた。
次に、凹型10を剥離する際に、図3の(f)に示すように、凹型10の斜めミラー相当面4’上の反射膜6であるAlをコアパターン1の斜めミラー面4に転写した。以下、前述同様に、図3の(g)に示すように、第2クラッド3を形成し、導波路7が完成した。
<実施例4>
[凹型2]
第1の実施形態の実施例4について、図4を用いて説明する。まず、図4の(a)に示すように、基板31(ガラス)上に紫外線硬化型エポキシを塗布し、露光、溶剤現像することにより、感光性樹脂32の凸部のパターンを形成した。
このパターンは、断面が40μm角の導波路形状を有している。パターンには直線だけでなく、面内ミラー相当面5’も設けた(図示せず)。
次に、図4の(b)に示すように、レーザ光33としてフェムト秒レーザを感光樹脂32のパターンに斜め照射することにより、斜めミラー相当面4’を形成した。これにより、図4の(c)に示すように、凸型30を得た。
そして、図4の(d)に示すように、凸型30に液状のフッ素樹脂34を重ねて熱硬化させ、フッ素樹脂34を凸型30から剥離することにより、図4の(e)に示すように、フッ素樹脂の凹型10を作製した。
<実施例5>
[光導波路3]
第1の実施形態の実施例5について、図2を用いて説明する。実施例5は、図2の(a)に示すように、実施例4で作製した凹型10(フッ素樹脂)を準備し、この凹型10を用いて、図2の(b)〜(g)に示すように、実施例2と同様に導波路7を作成するものである。
<実施例6>
[プレスロールと導波路の方向1]
図4の(f)に示す如き、直線のコアパターン形状を有する凹型10を使用した。
実施例2の図2の(c)及び図7において、凹型10の直線状窪みの方向とロールラミネータでの搬送方向との角度θを変えてテスト(test)した。
角度θ=0゜、30゜、45゜のとき、コア材1’を良好に埋め込むことができた。角度θ=60゜のとき、少量の気泡混入が見られた。角度θ=90゜のとき、多量の気泡混入が見られた。
<実施例7>
[プレスロールと導波路の方向2]
図4の(g)に示す如き、直交する2直線とそれらを接続する面内ミラー相当面5’を有する凹型10を使用した。
実施例2の図2の(c)において、凹型10の直線状窪みの方向とロールラミネータでの搬送方向とが概略45゜になる方向にプレスロールを行った。
この結果、コア材1’を良好に埋め込むことができた。
<実施例8>
[フィルム化]
図11の(a)は、図2の(a)と同じである。次に、図11の(b)に示すように、基板20上に剥離層14としてポジ(positive)型レジストを1μm塗布、加熱した後、図11の(c)〜(h)に示すように、実施例2と同じ方法によって導波路7を作製した。
完成した導波路7を剥離液に浸けることにより、図11の(i)に示すように、剥離層14を溶解して導波路7をフィルム化した。
このフィルム状の導波路7に対し、一端の斜めミラー面4にファイバ(fiber)で波長0.85μmの赤外光を入射し、他端の斜めミラー面4からの出射を確認した。
<実施例9>
[凹型3]
まず、実施例1と同様に凸型30を形成した。次に、凸型30に液状のシリコーン樹脂34を重ね、さらに裏打ち材15としてのステンレス(stainless)板を重ねた。
この状態でシリコーン樹脂34を室温硬化させ、凸型30を剥離することにより、図9Aに示すように、凹型10を作製した。
そして、裏打ち材15付きの凹型10を用い、実施例2と同様にして導波路7を作製した。その導波路7のコアパターン1は、寸法がマスクパターン(mask pattern)とほぼ同じであった。
一方、図9Bに示す如き、裏打ち無しの凹型10を用い、実施例2と同様に作製したコアパターン1は、マスクパターンに比較して0.5%程度縮んでいた。
上述したように第1の実施形態及びその実施例1〜9によれば、以下の効果を得ることができる。
第1に、凹型10としてシリコーン又はフッ素樹脂34を用いることにより、コアパターン1の変形を低減できる。また、凹型10の窪みにコア材の樹脂1’を挟むので、コア材の使用効率が良く、安価に形成できる。
第2に、ミラー面4,5を有する凹型10を使用することにより、コアパターン1形成と同時にミラー面4,5を形成できる。
第3に、凹型10を剥離した後に、全面に残るコア1が薄いので、残ったコア1を容易に除去することができる。
(第2の実施形態)
図12は、本発明の第2の実施形態に係る光導波路の製造方法の一例を示す断面図である。始めに、図12の(a)に示すように、凹型10を準備する。
凹型10は、光導波路を形成する際の型の役割を持っている。凹型10のパターン状凹部には、光導波路のコアパターンだけでなく、ミラーに相当する部分や、回折格子、分岐回路、アレイ(array)導波路回折格子等の光回路を組み込むこともできる。
凹型10の材料としては、シリコーン樹脂が好適である。シリコーン樹脂は柔軟性があるので、コアパターンをクラッド付きの別基板に転写する際に貼り合わせ、剥離がし易く、また、コアパターンを損傷しにくいからである。
凹型10は、全体がシリコーン樹脂であっても良く、少なくともパターン状凹部を有する面がシリコーン樹脂であることが好ましい。
次に、図12の(b)に示すように、凹型10に表面処理を行う。表面処理により、凹型10のコア材1’に対する親和性を高めることができる。具体的には、凹型10に対し、コア材1’の接触角を45゜以下にすることにより、安定してコア材1’を埋込みできるようになる。表面処理としては、酸素プラズマ処理が好適である。
次に、図12の(c)〜(d)に示すように、基板のパターン状凹部のみにコア材1’を充填する。コア材1’としては、例えば、エポキシ(epoxy)樹脂、特に紫外線硬化型エポキシ樹脂が好適である。
充填方法としては、全面塗布後に余分なコア材をブレード(blade)を用いてかき取る方法、例えば、ブレードとして、ヘラ(spatula)46を用いてかき取る方法が可能である。そして、紫外線照射によってコア材1’を硬化させてコアパターン1とする。
ここで、図12の(e)に示すように、基板20を準備し、基板20の全面にクラッド材2’を塗布する。そして、図12の(f)に示すように、コアパターン1が形成された凹型10と、クラッド材2’が塗布された別基板20とを重ね合わせる。この状態で紫外線照射してクラッド材2’を硬化させ、第1クラッド2を形成する。しかる後、凹型10を剥離してコアパターン1を基板20側に転写する。
クラッド材2’としては、例えば、紫外線硬化型エポキシ樹脂が好適である。また、コア材1’やクラッド材2’の硬化方法は、紫外線照射による硬化に限定されるものではない。
光路変換ミラーは、図12の(g)に示すように、コアパターン1の傾斜面4に金属を蒸着して金属ミラー4,6とする。傾斜面のみに金属を付けるために、マスク蒸着法やリフトオフ(lift-off)法を用いることができる。なお、光路変換ミラーは、図5に示した如き、光導波路層に垂直な方向に光路変換する構成に限らず、図6に示した如き、光導波路層の面内で任意の角度に光路変換する構成をも用いることができる。
次に、図12の(h)に示すように、クラッド材3’を全面に塗布し、硬化させて第2クラッド3にすることにより、単層の光導波路7が完成する。或いは第2クラッド3を設けずに空気をクラッドの代用とすることもできる。
また、図13に示すように、クラッド材3を硬化させる前に、さらに別な凹型10Aにコアパターン1Aを形成して転写することにより、多層構造の光導波路7を形成することもできる。図13の(h)は、図12の(h)に対応している。
なお、多層の光導波路7を形成する場合や、単層又は多層の光導波路7を他の基板(例、電気配線基板)に転写する場合、基板20上又は第1クラッド2上にアライメントマーク(図示せず)を設けることが望ましい。
また、単層又は多層の光導波路7をフィルムとして使う場合、基板20とクラッド材2の間に剥離層(図示せず)を設けておき、光導波路を作製した後に剥離させてフィルム化することが望ましい。基板20及び剥離層、又は凹型10は、紫外線に対して透明なことが望ましい。
凹型10の製造には、図4に示したように、凸型30を作製し、シリコーン樹脂34等で型取りする方法を用いることができる。
コアパターンのアスペクト(aspect)比(高さ/幅)としては、通常は1程度のものが用いられる。その場合、光導波路層に垂直な方向に光路変換するミラーを上から見るとほぼ正方形になり、部品の位置合わせ要求XY方向で同程度になる。しかし、アスペクト比が1でなくとも導波に問題はない。実際、本発明者はアスペクト比0.27〜2にて導波を確認している。
また、コア材1’をパターン状凹部のみに充填、硬化後にクラッド材付き別基板20と重ねる代わりに、図14に示すように、凹型基板10とクラッド付き基板20の間にコア材1’をはさみ込んで導波路を作製することも可能である。即ち、図14の(a)に示すように、凹型10を準備し、図14の(b)に示すように、表面処理を行う。次に、図14の(c)に示すように、クラッド2付き基板20を準備し、図14の(d)に示すように、凹型10との間にコア材1’を挟み込む。
図14の(e)に示すように、基板20側及び/又は凹型10側から紫外線照射する等の方法によってコア材1’を硬化させ、コアパターン1を形成する。凹型10を剥離してコアパターン1を基板20側に転写する。そして、図14の(f)に示すように、コアパターン1の傾斜面に金属を蒸着して金属ミラー4,6とする。通常は、図14の(g)に示すように、コアパターン1及び第1クラッド2を第2クラッド3で覆う。この場合にも、表面処理によって安定したコア形成が可能になる。また、この方法でも多層の光導波路を形成することができる。
さらには、型として、凹型10だけでなく、図15に示すように、凸型16も使用できる。例えば図15の(a)〜(e)に示すように、表面処理した凸型16を用いた型取りにより、パターン状凹部を有するクラッド2を作製する。次に、図15の(f)〜(i)に示すように、凹部の傾斜面に金属ミラー6を形成した後、コア1を埋め込み、クラッド3で覆って導波路を作製することができる。
以下に、本発明による光導波路の製造方法を実施例10〜13にて詳細に説明する。
<実施例10>
[凹型の作製]
凹型10は、図4に示したように、作製した。但し、型取り前の基板31上の凸パターン32は、高さが40μm、幅が20μm〜150μmの複数の光導波路形状とした。
[光導波路1の作製]
図12及び図16を用いて説明する。まず、図12の(a)に示すように、凹型10(シリコーン樹脂)を準備した。次に、図12の(b)に示すように、パターン状凹部を有する基板に酸素プラズマ処理を行った。使用した装置は、東京応化工業(株)製のOPMーSQ600(型番)である。酸素流量を100SCCM、圧力を60Paとし、プラズマパワー(plasma power)100W、時間を2分とした。
そして、図12の(c)〜(d)に示すように、コア材1として紫外線硬化型エポキシ樹脂を全面に塗布し、ヘラ(spatula)46で凹部以外のコア材1’をかき取った。全面に紫外線を照射することにより、コア材1’を硬化させてコアパターン1とした。
コアパターン1は、図16に示すように、全ての種類のコア幅20μm〜150μmを問題なく連続して形成できた。
一方、図12の(e)に示すように、別基板20(ガラス)を準備し、全面にクラッド材2’として紫外線硬化型エポキシ樹脂をスピンコートした。
ここで、図12の(f)に示すように、両者10,2を重ね合わせた状態で、別基板20側から紫外線を照射することにより、コアパターン1’とクラッド材2’を密着させると共に、クラッド材2’を硬化させてクラッド2とした。
図12の(g)に示すように、凹型10を剥がした後、マスク蒸着によって傾斜面に金属Alを蒸着して金属ミラー4,6とした。さらに図12の(h)に示すように、全面にクラッド材3’として紫外線硬化型エポキシ樹脂を塗布、紫外線照射して光導波路7を完成した。
<実施例11>
[光導波路2の作製]
酸素プラズマ処理の条件を、酸素流量を100SCCM及び圧力を60Paを一定にし、プラズマパワー20W〜400W、時間1秒〜10分の間で変えて、シリコーン上のコア材の接触角を測定した。
図17に示すように、シリコーンの接触角は、未処理の場合に約60゜であるのに対し、酸素プラズマ処理を施した場合に約40゜〜25゜に変化することを確認した。そして、図17に示す酸素プラズマ処理を施したいずれの凹型10を用いても、実施例10と同様に光導波路を作製できた。
<実施例12>
[光導波路3の作製]
図14を用いて説明する。まず、実施例10と同様にして、図14の(a)に示すように、凹型10を準備し、図14の(b)に示すように、凹型に酸素プラズマ処理を行った。
一方、図14の(c)に示すように、基板20(ガラス)を準備し、全面にクラッド材2’として紫外線硬化型エポキシ樹脂をスピンコートし、紫外線を照射させて第1クラッド2とした。
そして、図14(d)〜(e)に示すように、凹型10と、クラッド2付き基板20との間にコア材1’を挟んで、基板20側から紫外線を照射することにより、コアパターン1を形成した。
凹型10を剥がした後、図14の(f)に示すように、マスク蒸着によって傾斜面に金属Alを蒸着して金属ミラー4,6とした。さらに図14の(g)に示すように、全面にクラッド材3’として紫外線硬化型エポキシ樹脂を塗布、紫外線硬化して光導波路7を完成した。
<実施例13>
[光導波路4の作製]
図15を用いて説明する。まず、実施例10と類似の方法によって、図15の(a)に示すように、凸型(シリコーン)16を準備し、図15の(b)に示すように、凸型16に酸素プラズマ処理を行った。
一方、図15(c)に示すように、基板20(ガラス)を準備し、全面にクラッド材2’として紫外線硬化型エポキシ樹脂をスピンコートした。次に、図15の(d)に示すように、このクラッド材2’を凸型16に重ねて、紫外線を照射させてクラッド2とした。
そして、図15の(e)に示すように、凸型16を剥がし、図15の(f)に示すように、マスク蒸着によって傾斜面に金属Alを蒸着して金属ミラー4,6とした。
さらに、図15(g)〜(h)に示すように、コア材1’として紫外線硬化型エポキシ樹脂を全面に塗布し、ヘラ46で凹部以外のコア材1’をかき取った。全面に紫外線を照射することにより、コア材1’を硬化させてコアパターン1とした。
最後に、図15の(i)に示すように、全面にクラッド材3’として紫外線硬化型エポキシ樹脂を塗布、紫外線硬化して光導波路7を完成した。
<比較例1>
[光導波路5の作製]
図18を用いて説明する。まず、実施例10と同様に、図18の(a)に示す如き、パターン状凹部を有する基板10(シリコーン樹脂)を準備した。
次に、図18(b)〜(c)に示すように、実施例10の表面処理を行わずに、コア材1’として紫外線硬化型エポキシ樹脂を全面に塗布し、ヘラ46で凹部以外のコア材1’をかき取った。全面に紫外線を照射することにより、コア材1’を硬化させてコアパターン1とした。
この際、コア幅100μm以上のコアパターン1は問題なく形成できた。しかしながら、図18の(c)に示すように、コア幅50μm以下のコアパターン1は、とぎれとぎれになり易く、連続した導波路を形成するのが難しかった。
上述したように第2の実施形態及び実施例10〜13によれば、基板のパターン状凹部のみにコア材を充填する前に、コア材の親和性を高める表面処理を基板に施すので、安定したコアパターンを容易に形成することができる。また、光路変換ミラーとなる傾斜面はコアパターンに設けられるので、改めて傾斜面を形成する必要が無い。このため、傾斜面への金属の蒸着をコアパターンの製造工程と連続した工程で行うことができる。また、第1の実施形態と同様にコア材の使用効率が良い。
以上により、安価に安定した高分子光導波路を製造することができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、光源からの光をほぼ平行光に変換しながらコア1に接続することにより、接続効率を改善するものである。図47に示すような平面鏡4,6を用いた場合、発光素子40からの光が角度分布を持ったままコア1に入射されるので、信号光8は角度を持ったまま進行し、出射時に大きな広がりをもたらす。
これに対し、図19に示すように、凹面鏡の焦点を光導波路の垂直方向に配置する発光素子40の発光点にほぼ一致させる。これにより、凹面鏡4,6で反射された光はほぼ平行光としてコアに入射するので、出射光の広がりが小さく、コアから受光素子への接続効率が良くなる。
図19は断面図なので紙面内の集光のみが示されているが、紙面に垂直な方向に関しても凹面にすることにより、紙面に垂直な成分についても集光作用を有する。なお、紙面内と紙面に垂直な方向のいずれか一方の集光でも、部分的な効果を有するので本発明に含まれる。凹面鏡の曲率半径が300μmの場合、焦点距離は100μm程度になる。また、ほぼ一致するとは、誤差30%以内に収まることをいう。
通常、「焦点距離」の用語は、ミラーに垂直な方向から平行光を照射し、ミラーの中心から反射光が集光する点までの距離を意味する。しかしながら、本実施形態に係る「焦点距離」の用語は、ミラーに垂直な方向に対して45゜傾いた方向から平行光を入射し、ミラーの中心から反射光が集光する点までの距離である。この焦点距離は、実測も可能であるが、ミラーの形状から計算することもできる。
また、本実施形態は、コア1からの光を集光させながら受光素子に照射することにより、受光素子41の位置ずれ余裕を大きくできる。即ち、図20に示すように、凹面鏡4、6を使用し、凹面鏡の焦点距離9を光導波路の垂直方向に設置する受光素子41までの距離の1/2倍以上にすれば、光8が集光した状態で受光素子41に入るので位置ずれ余裕が大きくなる。特に焦点距離を受光素子までの距離にほぼ等しくした場合、位置ずれ余裕を最も大きくできる。
図20は断面図なので紙面内の集光のみが示されているが、紙面に垂直な方向に関しても凹面にすることにより、紙面に垂直な成分についても集光作用を有する。なお、紙面内と紙面に垂直な方向のどちらか一方のみの集光でも、部分的な効果を有するので本発明に含まれる。
焦点距離9を受光素子41までの距離の1/2以下にすると、光が発散し、かえって位置ずれ余裕あるいは接続効率が小さくなる。また、ほぼ一致するとは、誤差30%以内に収まることをいう。
通常、「焦点距離」の用語は、ミラーに垂直な方向から平行光を照射し、ミラーの中心から反射光が集光する点までの距離を意味することが多い。しかしながら、本実施形態に係る「焦点距離」の用語は、ミラーに垂直な方向に対して45゜傾いた方向から平行光を入射し、ミラーの中心から反射光が集光する点までの距離を意味する。この焦点距離は、実測も可能であるが、ミラーの形状から計算することもできる。また、各素子40,41の位置は、電極又はスペーサ(spacer)42,43の寸法により、容易に調整可能である。
ここで、凹面鏡を有する光導波路を簡単に作製する方法を述べる。まず最初に、図21の(a)に示すように、端部にミラー相当面(凸面)4’を有するコアパターン形状の感光性樹脂32を基板31上に有する原型を作製する。
次に、図21の(b)に示すように、該原型を元に少なくとも表面がシリコーン樹脂からなる凹型10を作製する。そして、該凹型から光導波路を作製する。
上記凹型から光導波路を作製する方法は、具体的には、図21の(c)に示すように、クラッド2付き基板20と上記凹型の間に液状のコア材1’を挟み込み、図21の(d)に示すように硬化させ、図21の(e)に示すように、凹型を剥がしミラー面4を有するコアパターンを形成する。
次に、図21の(f)に示すように、ミラー部に反射膜6を形成する。さらに、図21の(g)に示すように、クラッド3で全体を覆う。
この方法により、端部に斜め凸面部を有するコアパターンを形成できる。この斜め凸面部が凹面鏡になる。外から見て凸面ということは、コアパターンを通る光にとっては凹面である。反射膜は、金属でもよいし、誘電体多層膜でもよい。ただし、膜厚分布の影響のない金属の方が使いやすい。
続いて、斜め凸面部を有する原型を作製する方法を第1〜第3の方法として3通り述べる。
第1の方法では、例えば、フォトリソグラフィ(photo lithography)によって感光性樹脂のレジストパターンを形成する。その後、図22の(a)〜(c)に示すように、基板31上の感光性樹脂32の端部に、マスクを介して概略円状の影を有するレーザ光33を照射する。これにより、感光性樹脂32の端部を蒸発させてミラー相当面4‘を作製する。よって、両光軸に垂直な方向についての集光が可能になる。なお、「概略円状の影を有する」の用語は、概略円状の影の外側が光照射領域である旨を意味する。概略円状には、2次曲線等の任意の曲線が含まれる。
第2の方法では、図23の(a)に示すように、フォトリソグラフィによってレジストパターンを形成した後、図23の(b)〜(f)に示すように、レジスト端部に方向の異なる複数回のレーザ加工を施すことにより、斜め凸部を作製する。図23に示したように、長方形のレーザ光33を多数回照射させても良いが、図24の(a)〜(d)に示すように、概略円状の影を有するレーザ光33を用いれば少ない回数で済む。
第3の方法では、図25の(a)に示すように、フォトリソグラフィによってレジストパターンを形成する。その後、図25の(b)〜(c)に示すように、レーザ加工によって斜め面を形成する。続いて、図25の(d)に示すように、さらに温度を上げてレジストを流動させて凸状に変形させる。レジストはポジ(positive)型でもよいし、ネガ(negative)型でもよい。
<実施例14>
[概略円形の影を有するレーザ加工]
第3の実施形態に係る実施例14について、図22を用いて説明する。図22の(a)に示すように、基板31(ガラス)上にドライフィルムレジストを貼り合わせ、露光及び現像により、感光性樹脂32を40μm角の断面をもつコアパターン形状に形成した。
次に、KrFエキシマレーザのレーザ光33を斜め照射する。その際、図22の(b)に示すように、マスクを用いて概略円状の影を有するビーム形状にレーザ光33を成形する。これにより、図22の(c)に示すように、凸状の斜めミラー相当面4’を作製し、凸型30とした。使用したレーザ光33の円状の影の曲率半径は300μmであり、加工されたレジストの曲率半径もほぼ300μmであった。
<実施例15>
[複数回照射]
第3の実施形態に係る実施例15について、図24を用いて説明する。図24の(a)に示すように、基板31(ガラス)上にドライフィルムレジストを貼り合わせ、露光及び現像により、感光性樹脂32を40μm角の断面をもつコアパターン形状に形成した。
次に、KrFエキシマレーザのレーザ光33を斜め照射する。その際、図24の(b)に示すように、マスクを用いて概略円状の影を有するビーム形状にレーザ光33を成形して1回目のレーザ加工を行った。
次に、図24の(c)に示すように、斜め照射の角度を10゜変えて2回目のレーザ加工を行う。これにより、図24の(d)に示すように、凸状の斜めミラー相当面4’を作製し、凸型30とした。使用したレーザ光33の円状の影の曲率半径は300μmであり、加工されたレジストの曲率半径もほぼ300μmになった。
<実施例16>
[リフロー]
第3の実施形態に係る実施例16について、図25を用いて説明する。図25の(a)に示すように、基板31(ガラス)上に液状レジストを塗布し、露光及び現像により、感光性樹脂32パターンとして40μm角の断面をもつコアパターン形状に形成した。
次に、KrFエキシマレーザのレーザ光33を斜め照射する。このとき、図25の(b)に示すように、レーザ光33は、長方形のビーム(beam)形状を有し、感光性樹脂32を斜めに平面状に加工した。次に、130℃10分の熱処理を行うことにより、感光性樹脂32が流動し、図25の(c)に示すように、凸状の斜めミラー相当面4’に変化した。加工されたレジストの曲率半径はほぼ300μmになった。
<実施例17>
[光導波路の作製]
図21の(a)に示す如き、実施例15の方法で作製した凸型30に、液状のシリコーン樹脂34を重ねて室温硬化させ、剥離することにより、図21の(b)に示すように、凹型10を作製した。
次に、基板20(ガラス)を準備し、クラッド材2’として紫外線硬化型エポキシ樹脂をスピンコートした。全面に4J/cm2の紫外線を照射することにより、クラッド材2’を硬化させて30μm厚の膜にした(図示せず)。
そして、図21の(c)に示すように、凹型10上にコア材1’として紫外線硬化型エポキシ樹脂を滴下し、クラッド2付き基板20を重ねて加圧した。図21の(d)に示すように、コア材1’は凹型10の窪みに埋め込まれた。この状態で基板20側から8J/cm2の紫外線12を照射することにより、コア材1’はコアパターン1に硬化した。図21の(e)に示すように、凹型10を剥離し、図21の(f)に示すように、コアパターン1の斜めミラー面4に反射膜6としてAlをマスク蒸着した。図21の(g)に示すように、さらに第2クラッド3’として紫外線硬化型エポキシ樹脂を塗布し、全面に4J/cm2の紫外線を照射することにより、光導波路7が完成した。
<実施例18>
[入射側ミラーの評価]
実施例17の方法によって、一端が凹面鏡、他端が平面鏡のコアを含む光導波路を作製した。凹面鏡側の光導波路の中心から100μm(導波路表面から50μm)の位置に波長850nmのVCSEL(面発光レーザ)を設置した。
一方、平面鏡側の光導波路の中心から100μm(導波路表面から50μm)の位置に直径80μmのPDを設置した。
VCSEL・光導波路間及び光導波路・PD間は、屈折率がクラッドにほぼ等しい透明樹脂で封止した。
VCSELからの光信号は、光導波路中を凹面鏡、コア内部及び平面鏡の順に通過してPDに出射された。PDが受けた信号光は、コアの両端が平面鏡の場合に比べ、信号強度が1.5倍になった。
<実施例19>
[出射側ミラーの評価]
実施例17の方法によって、両端が凹面鏡のコアを含む光導波路を作製した。コアの両端は、それぞれコアの中心から100μm(光導波路表面から50μm)の位置に、波長850nmのVCSEL及び直径80μmのPDを設置した。
VCSEL・光導波路間は、屈折率がクラッドにほぼ等しい透明樹脂で封止した。光導波路・PD間には、屈折率がクラッドにほぼ等しい液体を満たした。
VCSELからの信号光は、光導波路中を一端の凹面鏡、コア内部及び他端の凹面鏡の順に通過してPDに出射された。
PDの横方向の位置ずれ余裕(信号強度が90%に落ちる位置ずれ量)は30μmになった。一方、出射側が平面鏡の場合の位置ずれ余裕は10μmであった。
上述したように第3の実施形態及び実施例14〜19によれば、以下の効果を得ることができる。
第1に、光路変換ミラーとして凹面鏡を用いた簡単な構造により、接続効率や位置ずれ余裕を大きくできる。
第2に、型を用いて製造することにより、凹面鏡を有するコアを簡単に作製できる。
第3に、概略円状の影を有するレーザ加工、複数回レーザ加工、あるいはリフロー(reflowing)を用いることにより、凹面鏡を有するコアの型を作製できる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態は、第1〜第3の実施形態に述べた光導波路を容易に実装するためのものである。
第4の実施形態の1点目は、図26に示すように、第1のコアAに含まれる少なくとも2本の直線導波路45の延長方向と、他のコアBに含まれる少なくとも1本の直線導波路45の延長方向とが略一致することである。
ここで、延長方向が略一致するとは、方向の差異が10°以内に収まることをいう。また、第1のコアの2本の直線導波路の交差部には直線導波路同士を接続する面内ミラー5が設けられる。好ましくは、導波路端に外部素子と接続する斜めミラー4が設けられる。
このような構造には、以下のメリット(merit)がある。
第1のメリットは、面内ミラー5を用いることで、方向転換に必要な面積を小さくできることである。
第2のメリットは、直線導波路45の方向を例えば2種類に限定することで、面内ミラー5の向きを4種類に、変換角を2種類に限定できることである。
例えば図27Aに示すように、直線導波路45の延長方向をX方向とY方向とすれば、面内ミラー5は“+X⇔+Y”、“+X⇔−Y”、“−X⇔+Y”及び“−X⇔−Y”の4種類である。変換角は、“+X⇔+Y”と“−X⇔−Y”とが等しく、“+X⇔−Y”と“−X⇔+Y”とが等しいので、2種類である。また、図27Bに示すように、斜めミラー4も“+X”、“−X”、“+Y”及び“−Y”の4種類に限定できる。
図27A,27Bにおいて、X方向とY方向は必ずしも直交していなくてよい。但し、図28Aに示すように、X方向とY方向とが直交していれば、面内ミラー5の変換角は1種類(90゜)になる。斜めミラー4は、図28Bに示すように、4種類である。
このような構造によって、面内ミラー相当面5’や斜めミラー相当面4’の加工が容易になる。
例えばミラー相当面をレーザで一括加工する場合、面内ミラー相当面5’について4回、斜めミラー相当面4’について4回の計8回の加工で完了する。なお、面内ミラー相当面5’を他の方法で加工する場合、レーザ加工は4回で済む。
一方、ミラー相当面をレーザで1か所ずつポイント(point)加工する場合でも、試料のセッティングが8回で済む。なお、面内ミラー相当面5’を他の方法で加工する場合、セッティングは4回で済む。
パターンによってはそれ以下で済むことは言うまでもない。例えば図26では、面内ミラー4種類、斜めミラー3種類であるから、その原型を作製するためのレーザ加工あるいはセッティングは7回となる。なお、面内ミラー相当面5’を他の方法で加工する場合、レーザ加工あるいはセッティングは3回で済む。
一方、図48に示すような従来パターンでは、曲線導波路44を用いるので面積が大きくなり、斜めミラー4の向きもバラバラなので、レーザ加工回数あるいはセッティング回数が多くなってしまう。
第4の実施形態の2点目は、面内ミラー5のコア幅に関するものである。図29に示すように、第1クラッド2上にコア1を形成し、コア1端の斜めミラー4となる部分と、面内ミラー5となる部分とに反射膜6を形成し、第2クラッド3で覆う導波路作製法の場合、ミラー形状が重要である。
この時、図30に示すように、面内ミラー5のコアを入射側直線導波路45iに直交する面に投影した幅bを、入射側直線導波路45iのコアの幅aよりも大きくしておくと、面内ミラー5での損失を低減できる。
さらに、図31に示すように、出射側直線導波路45oのコアの幅dを、面内ミラー5のコアを出射側直線導波路45oに直交する面に投影した幅c以上に大きくしてもよい。
その原理を説明する。導波路では、光の大部分はコア内に入っているが、一部はクラッドにしみ出して導波している。ここで、面内ミラー5のコアを入射側直線導波路45iに直交する面に投影した幅bが、入射側直線導波路45iのコア幅aと等しい場合、クラッドにしみ出した分は光路変換されず、損失もしくはクロストークになってしまう。
一方、本実施形態のように、面内ミラー5のコアを入射側直線導波路45iに直交する面に投影した幅bが、入射側直線導波路45iのコアの幅aよりも大きい形状にしておくと、クラッドにしみ出して導波していた分も一時的にコアに入り、面内ミラー5で光路変換されるので損失が小さい。
また、別の作用もある。コアのパターンをフォトリソグラフィー法に基づいて作製する例を述べる。図32の(a)に示すように、b”=a”のフォトマスク35を用いて凸型30を作成したとき、図32の(b)に示すように、凸型30の感光性樹脂32がb’<a’となる現象が生じる。この現象は、露光ボケ(diffraction of defocus)や、折れ部で現像が進みやすいことによる。
なお、フォトマスク35のb”は、面内ミラーのマスクパターン5”を入射側直線導波路に投影した幅である。フォトマスク35のa”は、入射側直線導波路45i”の幅である。また、凸型30の感光性樹脂32のb’は、導波路折れ部に位置する面内ミラー相当面5’の投影幅である。凸型30の感光性樹脂32のa’は、直線導波路幅a’である。
さて、b’<a’となる傾向のため、図32の(c)に示すように、コア1の面内ミラー面5の投影幅bも、直線導波路幅aより小さくなる。
ここで、図30及び図31に示すように、フォトマスク35のコアのパターンを、b”>a”の形状にしておけば、この現象をうち消すことができる。
なお、フォトリソグラフィー法によるコアパターンの形成には、複数の直線導波路のパターンと、面内ミラーのパターンとを有するフォトマスクを用いることが好ましい。
第4の実施形態の3点目は、斜めミラー4のコア幅に関するものである。図29に示すように、第1クラッド2上にコア1を形成し、コア1のミラー部分4、5に反射膜6を形成後、第2クラッド3で覆うという導波路作製法の場合、コア1のミラー形状が重要である。この時、図33に示すように、斜めミラー4のコアの幅fを、直線導波路45のコアの幅eよりも大きくしておくと、斜めミラー4での損失を低減できる。これは、図34に示すように、出射側ミラー4oのみに行うだけでもよい。
その原理を説明する。導波路では、光の大部分はコア内に入っているが、一部はクラッドにしみ出して導波している。斜めミラー4のコアの幅fが、直線導波路45のコア幅eと等しい場合、クラッドにしみ出した分は光路変換されず、損失もしくはクロストークになってしまう。図33の(d)に示すように、斜めミラー4のコアの幅fが、直線導波路45のコアの幅eよりも大きい形状にしておくと、クラッドにしみ出して導波していた分も一時的にコアに入り、斜めミラー4で光路変換されるので損失が小さい。
また、別の作用もある。コアのパターンをフォトリソグラフィに基づいて作製する場合、図35の(a)に示すように、フォトマスク35の斜めミラーのパターン4”の幅f”が直線導波路パターン45”の幅e”と等しくても、図35の(b)〜(c)に示すように、凸型30の感光性樹脂32の斜めミラー相当面4’の投影幅f’が直線導波路幅e’よりも小さくなる現象が生じる。そのため、図35の(d)に示すように、コア1の斜めミラー4の投影幅fも、直線導波路幅eより小さくなる。この現象は、露光ボケや、端部で現像が進みやすいことによる。しかしながら、図33及び図34に示すように、フォトマスク(photo mask)35における斜めミラー4”のコアの幅f”を直線導波路45”のコアの幅e”よりも大きくすれば、この現象を打ち消すことができる。
<実施例20>
[プロセス]
第4の実施形態に係る実施例20を、図29を用いて説明する。なお、図29は、図26のような光導波路の1のコアを示している。
まず、基板31(ガラス)上に40μm厚のドライフィルムレジストを貼り合わせ、互いに延長方向が直交する複数の直線導波路のパターンと、これら直線導波路に含まれる面内ミラーのパターンとを有するフォトマスクを用いて露光・現像する。
これにより、図29の(a)に示すように、感光性樹脂パターン32として直線導波路相当45’及び面内ミラー相当面5’を有する凸パターンを形成した。
次に、レーザ光を斜め照射することにより、図29の(b)に示すように、斜めミラー相当面4’を作製し、凸型30とした。
そして、凸型30に液状のシリコーン樹脂34を重ねて硬化させ、剥離することにより、図29の(c)に示すように、凹型10を作製した。
次に、図29の(d)に示すように、基板20(ガラス)を準備し、クラッド2として30μm厚のエポキシ樹脂層を形成した上に、上記シリコーン凹型10を用いてエポキシ樹脂のコア1を形成した。
そして、図29の(e)に示すように、ミラー4,5に反射膜6としてアルミニウム(aluminum)をマスク蒸着した。図29の(f)に示すように、さらに第2クラッド3としてエポキシ樹脂層を形成し、基板から剥離することによって導波路7が完成した。
<実施例21>
[導波路1]
実施例20のプロセス(process)により、図26に示す如き、導波路を作製した。原型を作製する際、面内ミラー相当面5’はフォトリソグラフィによって形成し、斜めミラー相当面4’をレーザの斜め照射によって形成した。斜めミラーの向きが3種類のみなので、試料のセッティングは3回で済んだ。完成した導波路の斜めミラー4に近接させたシングルモードファイバ(single mode fiber)から波長0.85μmの赤外光を入射し、他端の斜めミラー4から赤外光が出射することを確認した。
<実施例22>
[面内ミラー1]
実施例20のプロセスにおいて、図30の(a)に示すフォトマスク35を用い、図30の(b)〜(c)に示すように、面内ミラー5を作製した。aが40μm、bが50μmである。導波路端に近接させたシングルモードファイバから波長0.85μmの赤外光を入射し、他端からの光をハードポリマークラッドファイバ(hard polymer clad fiber)で受光した。面内ミラー5を有する導波路の損失から、同じ長さの導波路の損失を差し引くことにより、面内ミラー5での損失は1dB程度と見積もられた。
<実施例23>
[面内ミラー2]
実施例20のプロセスにおいて、図31の(a)に示すフォトマスク35を用い、図31の(b)〜(c)に示すように、面内ミラー5を作製した。aが40μm、bが50μm、cが50μm、dが50μmである。導波路端に近接させたシングルモードファイバから波長0.85μmの赤外光を入射し、他端からの光をハードポリマークラッドファイバで受光した。面内ミラー5を有する導波路の損失から、同じ長さの導波路の損失を差し引くことにより、面内ミラー5での損失は1dB程度と見積もられた。
<比較例2>
[面内ミラー3]
実施例20のプロセスにおいて、図32の(a)に示すフォトマスク35を用い、図32の(b)〜(c)に示すように、面内ミラー5を作製した。aが40μm、bが35μmであった。導波路端に近接させたシングルモードファイバから波長0.85μmの赤外光を入射し、他端からの光をハードポリマークラッドファイバで受光した。面内ミラー5を有する導波路の損失から、同じ長さの導波路の損失を差し引くことにより、面内ミラー5での損失は2dB程度と見積もられた。
<実施例24>
[斜めミラー1]
実施例20のプロセスにおいて、図33の(a)に示すフォトマスク35を用い、図33の(b)〜(d)に示すように、斜めミラー4を作製した。aが40μm、bが50μmである。導波路端に近接させたシングルモードファイバから波長0.85μmの赤外光を入射し、他端の斜めミラー4からの光をハードポリマークラッドファイバで受光した。斜めミラー4を出射側として測定した損失から、同じ長さの導波路の損失を差し引くことにより、斜めミラー4での損失は1dB程度と見積もられた。
<比較例3>
[斜めミラー2]
実施例20のプロセスにおいて、図35の(a)に示すフォトマスク35を用い、図35の(b)〜(d)に示すように、斜めミラー4を作製した。aが40μm、bが35μmであった。導波路端に近接させたシングルモードファイバから波長0.85μmの赤外光を入射し、他端の斜めミラー4からの光をハードポリマークラッドファイバで受光した。斜めミラー4を出射側として測定した損失から、同じ長さの導波路の損失を差し引くことにより、面内ミラー4での損失は2dB程度と見積もられた。
<実施例25>
[斜めミラー2]
実施例20のプロセスにおいて、図34の(a)に示すフォトマスク35を用い、図34の(b)〜(c)に示すように、斜めミラー4を作製した。aが40μm、bが50μmである。斜めミラー4に近接させたシングルモードファイバから波長0.85μmの赤外光を入射し、他端の斜めミラー4からの光をハードポリマークラッドファイバで受光した。設計方向に光を通した場合の損失に比較して、逆方向の場合の損失は1dB程度大きくなった。
上述したように第4の実施形態及び実施例20〜25によれば、以下の効果を得ることができる。
第1に、面内ミラーを用いることで、方向転換に必要な面積を小さくできる。第2に、直線導波路群の方向を数種類に限定することで、面内ミラー及び斜めミラーの向きを限定(方向を2とした場合、4つ)でき、加工が容易になる。第3に、面内ミラーや斜めミラーの幅を大きくすることにより、損失を低減できる。
従って、多数かつ任意の点を結ぶコアを作製するのに適した光導波路を提供することができる。
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。第5の実施形態は、第1〜第4の実施形態に述べた光導波路を別基板に貼り合わせる場合に、別基板との間隔を規定するスペーサ、及び/又は別基板との位置合せ用のアライメント台を備えたものである。
図36の(a)に示すように、光導波路7は、コア1の高さよりも高いスペーサ(spacer)71を有している。この光導波路7を、図36の(b)に示すように、クラッド材3’を用いて別基板60に貼り合わせると、スペーサ71の高さhsとコア1の高さhcとの差分(hs−hc)によって第2クラッド3厚が決定される。よって、別基板60からコア1までの距離を精密に制御できる。光導波路7から基板20を剥離すれば、図36の(c)に示す如き、貼り合わせ構造を得られる。
スペーサ71材は、コア1材と異なってもよいが、同一であると工程を簡略化できる。例えば図38に示すような工程が可能である。図38の(a)に示すように、基板31にフォトリソグラフィによってコア形状となるレジストパターン32を形成し、図38の(b)に示すように、レーザ光33の斜め照射によってレジストパターン32の端部に斜め面4’を形成する。次に、図38の(c)に示すように、厚さの決まった部材71’をコア以外の部分に貼り付けて凸型30を作製する。図38の(d)に示すように、凸型30に対し、型取り用シリコーンを用いてシリコーン型10を作製する。そして、図38の(e)に示すように、別途準備した第1クラッド2付き基板20との間にコア材1’を挟み込んで、図38の(f)に示すように、硬化させる。図38の(g)に示すように、シリコーン型10を剥がすと、コアパターン1と同時にスペーサ71も形成されている。図38の(h)に示すように、コアパターン1の斜め面4に金属6を成膜し、ミラーとする。
金属6の成膜には、(i)マスク蒸着、(ii)金属成膜後フォトリソグラフィとエッチング、又は(iii)フォトリソグラフィと金属成膜とリフトオフ等、といった任意の工程が使用可能である。金属6としては、Al、Au、Pt、Ag、Cu、Tiの単体あるいは合金を使用すると、良好なミラーを形成可能である。
あるいは、例えば図39に示すような工程が可能である。図39の(a)に示すように、基板31に第1のネガレジスト(negative type resist)層を形成し、コアパターン32及びスペーサ原型71a’を露光する。第2のネガレジスト層を形成し、スペーサ原型71a’上のスペーサ原型71a’を露光し、全体を現像する。これにより、コア形状の感光性樹脂32の高さよりも、第2のネガレジスト層の厚さだけ高いスペーサ原型71’が形成される。
そして、図39の(b)に示すように、レーザ光33の斜め照射により、コアパターン32の端部に斜めミラー相当
面4’を形成し、凸型30を作製する。以下、前述した図38の(c)〜(g)と同様の工程により、図39の(c)〜(f)に示すように、コア1及びスペーサ71を基板20の第1クラッド2上に形成する。
次に、図39の(g)に示すように、コアパターンの斜めミラー相当面4上に金属を成膜することで、反射膜6を形成する。
また、図37の(a)〜(c)に示すように、クラッド材3’を用いて別基板60に貼り合わせる際、別基板60が有する凹部63とスペーサ71を嵌め合わせることにより、自動的に位置合わせされた貼り合わせ構造を得ることができる。
また、第5の実施形態は、光導波路7と別基板60との位置合わせを行うためのアライメントマーク(alignment mark)70を備えている。本実施形態に係る光導波路7は、図40の(a)又は図41の(a)に示すように、コア1と同じ高さか又はそれよりも高い位置に、アライメントマーク70を有している。
図40の(b)又は図41の(b)に示すように、この光導波路7を別基板60に貼り合わせる際には、アライメントマーク70,61間距離が小さいため、精密に位置合わせをすることができる。光導波路7から基板20を剥離すれば、図40の(c)又は図41の(c)に示すような貼り合わせ構造を得られる。
アライメントマーク70材は、ミラー部の金属6と異なってもよいが、同一であると工程を簡略化できる。例えば図42に示すような工程が可能である。図42の(a)に示すように、フォトリソグラフィにより、基板31上にコア形状32及びアライメントマークの台72’となるレジストパターンを形成する。なお、コア形状32及びアライメントマークの台72’は、同一のレジストにより同一の高さに形成されている。以下、前述した図38の(b)〜(g)と同様の工程により、図42の(b)〜(f)に示すように、コアパターン1及びアライメントマークの台72を基板20の第1クラッド2上に形成する。
次に、図42の(g)に示すように、コアパターン1の斜め面4及び台72のアライメントマーク70部に金属を成膜することで、ミラー及びアライメントマーク70を形成する。しかる後、図42の(h)に示すように、コアパターン1、台72及び第1クラッド2を第2クラッド3で覆ってもよい。以上により、図42の(g)又は(h)に示すように、基板20上に光導波路7が完成する。
あるいは、例えば図43に示すような工程が可能である。図43の(a)に示すように、基板31に第1のネガレジスト(negative type resist)層を形成し、コアパターン32及びアライメントマークの台72a’を露光する。第2のネガレジスト層を形成し、台72a’上の台72b’を露光し、全体を現像する。これにより、コアパターン32の高さよりも、第2のネガレジスト層の厚さだけ高い台72’が形成される。
そして、図43の(b)に示すように、レーザ光33の斜め照射により、コアパターン32の端部に斜めミラー相当面4’を形成し、凸型30を作製する。以下、前述した図38の(c)〜(g)と同様の工程により、図43の(c)〜(f)に示すように、コアパターン1及びアライメントマークの台72を基板20の第1クラッド2上に形成する。
次に、図43の(g)に示すように、コアパターンの斜め面4及び台72上に金属を成膜することで、反射膜6及びアライメントマーク70を形成する。この場合、アライメントマークの台72が、スペーサ71を兼ねることができる。
金属6,70の形成は、前述した任意の工程(i)〜(iii)等が使用可能である。金属としては、前述した元素の材料単体又はそれらの合金を使用すると、良好なミラー及びアライメントマーク70を形成可能である。アライメントマーク70の位置は、コアパターン1の位置やミラー4の位置に基づいて決められる。あるいは、コア材で作製された別のアライメントマーク(図示せず)に基づいて金属アライメントマークを位置決めしてもよい。
また、ここまで端部ミラー付き光導波路を例示しているが、端部ミラー無しの光導波路や、面内ミラー付きの光導波路でもよい。
<実施例26>
[スペーサを有する光導波路]
第5の実施形態に係る実施例26について、図38を用いて説明する。図38の(a)に示すように、基板31(ガラス)上にドライフィルムレジストを貼り合わせ・露光・現像することにより、断面が40μm角の導波路状のレジストパターン32を形成した。
次に、図38の(b)に示すように、KrFエキシマレーザのレーザ光33を斜め照射し、レジストパターン32の端部に斜め面4’を形成した。
次に、図38の(c)に示すように、厚さ70μmのテープ(tape)小片を基板31に貼り付け、スペーサ形状71’を形成した。これにより、凸型30が作製された。
続いて、凸型30に液状のシリコーン樹脂を重ねて室温硬化させ、剥離することにより、図38の(d)に示すように、凹型10を作製した。次に、基板20(ガラス)を準備し、クラッド材2’として紫外線硬化型エポキシ樹脂をスピンコートした。全面に4J/cm2の紫外線を照射することにより、クラッド材2’を硬化させて30μm厚の膜にした(図示せず)。
そして、図38の(e)〜(f)に示すように、凹型10上にコア材1’として紫外線硬化型エポキシ樹脂を滴下し、クラッド2付き基板20を重ねて加圧した。コア材1’は凹型10の窪みに埋め込まれた。図38の(f)に示す状態で基板20側から8J/cm2の紫外線12を照射することにより、コア材1’はコアパターン1に硬化された。
図38の(g)に示すように、凹型10を剥離し、図38の(h)に示すように、コアパターン1の斜めミラー面4に反射膜6としてAlをマスク蒸着した。
<実施例27>
[スペーサを有する光導波路の転写]
第5の実施形態に係る実施例27について、図36を用いて説明する。図36の(a)に示す如き、光導波路7に紫外線硬化型エポキシ樹脂を塗布して、別基板60と重ね、基板20側から全面に4J/cm2の紫外線を照射することにより、図36の(b)に示すように、第2クラッド3兼接着剤62を硬化させた。図36の(c)に示すように、最後に基板20を剥離して、貼り合わせ構造が完成した。
<実施例27A>
[スペーサを有する光導波路2]
第5の実施形態の実施例27Aについて、図39を用いて説明する。図39の(a)に示すように、基板31(ガラス)上にドライフィルムレジストを貼り合わせ、コア形状32及びスペーサ原型71a’の露光を行なった。さらに第2のドライフィルムレジストを貼り合わせ、スペーサ原型71a’の露光を行なった。その後、現像により、断面が40μm角のコア形状32及び高さ70μmのスペーサ原型71’を形成した。
次に、図39の(b)に示すように、KrFエキシマレーザのレーザ光33を斜め照射し、コア形状の感光性樹脂32に斜めミラー相当面4’を形成した。これにより、凸型30が作製された。
凸型30に液状のシリコーン樹脂を重ねて室温硬化させ、剥離することにより、図39の(c)に示すように、凹型10を作製した。
次に、基板20(ガラス)を準備し、クラッド材2’として紫外線硬化型エポキシ樹脂をスピンコートした。全面に4J/cm2の紫外線を照射することにより、クラッド材2’を硬化させて30μm厚の膜にした(図示せず)。
そして、図39の(d)〜(e)に示すように、凹型10上にコア材1’として紫外線硬化型エポキシ樹脂を滴下し、クラッド2付き基板20を重ねて加圧した。コア材1’は凹型10の窪みに埋め込まれた。
図39の(e)に示す状態で基板20側から8J/cm2の紫外線を照射することにより、コア材1’はコア1及びスペーサ71に硬化された。次に、図39の(f)に示すように、凹型10を剥離し、全面にAlを蒸着し、斜めミラー相当面4にレジストパターンを形成し、燐硝酸エッチング、レジスト除去することによって、図39の(g)に示すように、反射膜6を形成した。
<実施例27B>
[スペーサを有する光導波路の転写2]
第5の実施形態に係る実施例27Bについて、図37を用いて説明する。図37の(a)に示す如き、光導波路7に紫外線硬化型エポキシ樹脂を塗布して、凹部63を有する別基板60と重ね、凹部63とスペーサ71を嵌め合わせた。これによって、自動的に位置合わせが行われた。そして、基板20側から全面に4J/cm2の紫外線を照射することにより、図37の(b)に示すように、第2クラッド3兼接着剤62を硬化させた。図37の(c)に示すように、最後に基板20を剥離して、貼り合わせ構造が完成した。
<実施例28>
[アライメントマークを有する光導波路]
第5の実施形態の実施例28について、図42を用いて説明する。図42の(a)に示すように、基板31(ガラス)上にドライフィルムレジストを貼り合わせて、露光及び現像により、断面が40μm角の導波路状のレジストパターン32及びアライメントマーク台形状72’を形成した。
次に、図42の(b)に示すように、KrFエキシマレーザのレーザ光33を斜め照射し、レジストパターン32の端部に斜め面4’を形成した。これにより、凸型30が作製された。
凸型30に液状のシリコーン樹脂を重ねて室温硬化させ、シリコーン樹脂を凸型30から剥離することにより、図42の(c)に示すように、凹型10を作製した。
次に、基板20(ガラス)を準備し、クラッド材2’として紫外線硬化型エポキシ樹脂をスピンコートした。全面に4J/cm2の紫外線を照射することにより、クラッド材2’を硬化させて30μm厚の膜にした(図示せず)。
そして、前述した図38の(e)〜(g)と同様に、図42の(d)〜(f)に示すように、基板20の第1クラッド2上にコアパターン1及び台72を形成した。
次に、全面にAlを蒸着し、アライメントマークの台72及びコアパターン1の斜めミラー面4にレジストパターンを形成し、燐硝酸エッチング、レジスト除去することにより、図42の(g)に示すように、アライメントマーク70及び反射膜6を形成した。全面に紫外線硬化型エポキシ樹脂を塗布し、4J/cm2の紫外線を照射することにより、図42の(h)に示すように、第2クラッド3を形成した。
<実施例29>
[アライメントマークを有する光導波路の転写]
第5の実施形態に係る実施例29について、図40を用いて説明する。図40の(a)に示す如き、光導波路7に紫外線硬化型エポキシ樹脂を塗布して、別基板60と重ね、アライメントマーク70を用いて位置合わせし、基板20側から全面に4J/cm2の紫外線を照射することにより、図40の(b)に示すように、接着剤62を硬化させた。最後に基板20を剥離して、図40の(c)に示すように、貼り合わせ構造が完成した。
<実施例30>
[スペーサ及びアライメントマークを有する光導波路]
第5の実施形態に係る実施例30について、図43を用いて説明する。図43の(a)に示すように、基板31(ガラス)上に第1のドライフィルムレジストを貼り合わせ、コアパターン32及びアライメントマーク台原型72a’(兼スペーサ原型)の露光を行った。さらに第2のドライフィルムレジストを貼り合わせ、アライメントマーク台原型72b’(兼スペーサ原型)の露光を行った。その後、現像により、断面が40μm角のコア形状32及び高さ70μmのアライメントマーク台原型72’(兼スペーサ原型)を形成した。
次に、図43の(b)に示すように、KrFエキシマレーザのレーザ光33を斜め照射して、コアパターン32に斜めミラー相当面4’を形成した。これにより、凸型30が作製された。
次に、凸型30に液状のシリコーン樹脂を重ねて室温硬化させ、剥離することにより、図43の(c)に示すように、凹型10を作製した。
次に、基板20(ガラス)を準備し、クラッド材2’として紫外線硬化型エポキシ樹脂をスピンコートした。全面に4J/cm2の紫外線を照射することにより、クラッド材2’を硬化させて30μm厚の膜にした(図示せず)。
そして、図43の(d)〜(e)に示すように、凹型10上にコア材1’として紫外線硬化型エポキシ樹脂を滴下し、クラッド2付き基板20を重ねて加圧した。コア材1’は凹型10の窪みに埋め込まれた。
図43の(e)に示す状態で基板20側から8J/cm2の紫外線12を照射することにより、コア材1’はコアパターン1、及びアライメントマーク台72(兼スペーサ71)に硬化された。次に、図43の(f)に示すように、凹型10を剥離し、全面にAlを蒸着し、アライメントマーク位置及び斜めミラー面4にレジストパターンを形成し、燐硝酸エッチング、レジスト除去することによって、図43の(g)に示すように、アライメントマーク70及び反射膜6を形成した。
<実施例31>
[スペーサ及びアライメントマークを有する光導波路の転写]
第5の実施形態に係る実施例31について、図41を用いて説明する。図41の(a)に示す如き、光導波路7に紫外線硬化型エポキシ樹脂を塗布して、別基板60と重ね、アライメントマークを用いて位置合わせし、基板20側から全面に4J/cm2の紫外線を照射することにより、図41の(b)に示すように、第2クラッド3兼接着剤62を硬化させた。図41の(c)に示すように、最後に基板20を剥離して、貼り合わせ構造が完成した。
上述したように第5の実施形態及び実施例26〜31によれば、以下の効果を得ることができる。
第1に、スペーサを用いることにより、光導波路の高さを精密に制御できるとともに、第2クラッドと接着層を兼ねて工程を簡略化できる。第2に、コア高さ以上に形成されたアライメントマークを用いることにより、光導波路の位置を精密に制御できる。
従って、光導波路と別基板との間の距離や位置合わせの精度を向上でき、別基板との貼り合わせに適した光導波路を提供することができる。
産業上の利用可能性
本発明によれば、コア材の使用効率が良く、コアが変形しにくい、安価な光導波路の製造方法を提供できる。また、光路変換ミラーの接続効率が良く、素子の位置ずれ余裕を大きくでき、構造が簡単で、安価な光導波路を提供できる。さらに、多数かつ任意の点を結ぶコアを作製するのに適した光導波路を提供できる。また、光導波路と別基板との間の距離や位置合わせの精度を向上でき、別基板との貼り合わせに適した光導波路を提供できる。