JP4120421B2 - 光配線層の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光インターコネクション等に使用する光配線層及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光通信技術の進展によって、光の優位性が実証されてきた。また、LSI等の信号の高速化に伴い、電気信号を光信号に置き換える技術の研究開発が進められている。光信号を伝送する媒体が光配線層であり、通常、コアがクラッドで狭持された構造を有している。
【0003】
近年開発が進められている高分子材料による光配線層は、大面積に形成することが可能であり、1cm〜1mのオーダーの光インターコネクションへの適用が図られている。また、コア上に光路変換するミラーを形成して、光配線層の表面に受光素子又は発光素子である光部品を実装することが行われている。
【0004】
通常は、光路変換ミラーとして平面鏡が用いられているが、面発光レーザ(VCSEL)等の発光素子からの光をコアに接続する際や、コアからの光をフォトダイオード(PD)等の受光素子に接続する際に、接続効率が小さいという問題と、位置ずれ余裕が小さいという問題があった。発光素子からコアへの接続には、通常、発光素子からの発散光を凸レンズによって収束光に変換して光路変換ミラーに集光させることが行われる。コアから受光素子への接続には、接続効率および受光素子の位置ずれ余裕を改善するため、コア端部の光路変換ミラーから出た光を凸レンズによって収束光にしてからPDに入射する方法が用いられる(特許文献1参照)。しかし、これらの方法では、コア径に比べて充分に大きな凸レンズと長い光路が必要であり、全体構造が大きくなるという欠点があった。また、レンズの外は屈折率が小さい必要があり、通常は空気が用いられる。従って、透明樹脂封止等の高信頼性構造を使用できないという欠点もあった。
【0005】
発光素子、受光素子とも光路変換ミラーに近接させ、発光径<コア径<受光径とすることにより、光が大きく広がる前に次の素子に到達させて凸レンズを省略する方法もあるが(図8)、受光径が大きいので受光素子の応答速度が遅いという問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−185752号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる従来技術の状況に鑑みてなされたもので、光路変換ミラーの接続効率が良く、素子の位置ずれ余裕を大きくでき、構造が簡単で、安価な光配線層およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を達成するために、まず請求項1記載の発明は、コア端部に凹面鏡を有する光配線層を製造する方法であって、コア端部に斜め凸面部を有するコアパターン形状の凸部を平板上に有する原型を作製する工程と、該原型を元に少なくとも表面がシリコーン樹脂からなる凹型を作製する工程と、該凹型から光配線層を作製する工程と、を有し、上記コア端部に斜め凸面部を有するコアパターン形状の凸部を平板上に有する原型を作製する工程が、基板上に、フォトリソグラフィによってレジストパターンを形成した後、レジスト端部に概略円状の影を有するレーザ光を照射・蒸発させることにより、斜め凸面部を作製することを特徴とする光配線層の製造方法である。
請求項2記載の発明は、上記凹型から光配線層を作製する工程が、クラッド付き基板と上記凹型の間に液状のコア剤を挟み込み、硬化させてコアパターンを形成することを特徴とする請求項1記載の光配線層の製造方法である。
請求項3記載の発明は、上記コア端部に斜め凸面部を有するコアパターン形状の凸部を平板上に有する原型を作製する工程が、基板上に、フォトリソグラフィによってレジストパターンを形成した後、レジスト端部に方向の異なる複数回のレーザ加工を施すことにより、斜め凸面部を作製することを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載の光配線層の製造方法である。
請求項4記載の発明は、上記コア端部に斜め凸面部を有するコアパターン形状の凸部を平板上に有する原型を作製する工程が、基板上に、フォトリソグラフィによってレジストパターンを形成した後、レジスト端部にレーザ加工によって斜め面を作製し、さらに温度を上げてレジストを流動させて凸状に変形させることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の光配線層の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、以下詳細に説明する。
【0010】
本発明の第一の形態は、光源からの光をほぼ平行光に変換しながらコア1に接続することにより、接続効率を改善するものである。図8のような平面鏡5、6を用いた場合、発光素子40からの光が角度分布を持ったままコア1に入射されるので、光8は角度を持ったまま進行し、出射時に大きな広がりをもたらす。これに対し、図1のように凹面鏡の焦点を光配線層の垂直方向に配置する発光素子40の発光点にほぼ一致させることにより、凹面鏡4、6で反射された光はほぼ平行光としてコアに入射するので、出射光の広がりが小さく、コアから受光素子への接続効率が良くなる。図1は断面図なので紙面内の集光のみが示されているが、紙面に垂直な方向に関しても凹面にすることにより、紙面に垂直な成分についても集光作用を有する。なお、紙面内と紙面に垂直な方向のどちらか一方のみの集光でも、部分的な効果を有するので本発明に含まれる。凹面鏡の曲率半径が300μmの場合、焦点距離は100μm程度になる。また、ほぼ一致するとは、誤差30%以内に収まることをいう。なお、通常「焦点距離」とは、ミラーに垂直な方向から平行光を照射し、ミラーの中心から反射光が集光する点までの距離を意味することが多いが、本発明でいう「焦点距離」は、ミラーに垂直な方向に対して45゜傾いた方向から平行光を入射し、ミラーの中心から反射光が集光する点までの距離である。焦点距離は、実測も可能であるが、ミラーの形状から計算することもできる。
【0011】
本発明の第二の形態は、コア1からの光を集光させながら受光素子に照射することにより、受光素子41の位置ずれ余裕を大きくするものである。即ち、図2のように凹面鏡4、6を使用し、凹面鏡の焦点距離を光配線層の垂直方向に設置する受光素子41までの距離の1/2倍以上にすれば、光8が集光した状態で受光素子に入るので位置ずれ余裕が大きくなる。特に焦点距離を受光素子までの距離にほぼ等しくした場合、位置ずれ余裕を最も大きくできる。図2は断面図なので紙面内の集光のみが示されているが、紙面に垂直な方向に関しても凹面にすることにより、紙面に垂直な成分についても集光作用を有する。なお、紙面内と紙面に垂直な方向のどちらか一方のみの集光でも、部分的な効果を有するので本発明に含まれる。なお、焦点距離を受光素子までの距離の1/2以下にすると、光が発散し、かえって位置ずれ余裕あるいは接続効率が小さくなる。また、ほぼ一致するとは、誤差30%以内に収まることをいう。なお、通常「焦点距離」とは、ミラーに垂直な方向から平行光を照射し、ミラーの中心から反射光が集光する点までの距離を意味することが多いが、本発明でいう「焦点距離」は、ミラーに垂直な方向に対して45゜傾いた方向から平行光を入射し、ミラーの中心から反射光が集光する点までの距離である。焦点距離は、実測も可能であるが、ミラーの形状から計算することもできる。
【0012】
本発明では、凹面鏡を有する光配線層を簡単に作製する方法を示している。まず最初に、端部にミラー相当面(凸面)4‘を有するコアパターン形状の感光性樹脂32を基板31上に有する原型を作製する(図7(a))。次に、該原型を元に少なくとも表面がシリコーン樹脂からなる凹型10を作製する(図7(b))。そして、該凹型から光配線層を作製する。
【0013】
上記凹型から光配線層を作製する方法は、具体的には、クラッド2付き基板20と上記凹型の間に液状のコア材1‘を挟み込み(図7(c))、硬化させ(図7(d))、凹型を剥がしミラー面4を有するコアパターンを形成する(図7(e))。次に、ミラー部に反射膜6を形成する(図7(f))。さらに、クラッド3で全体を覆う(図7(g))。
【0014】
この方法により、端部に斜め凸面部を有するコアパターンを形成できる。この斜め凸面部が凹面鏡になる。外から見て凸面ということは、コアパターンを通る光にとっては凹面である。反射膜は、金属でもよいし、誘電体多層膜でもよい。ただし、膜厚分布の影響のない金属の方が使いやすい。
【0015】
次に本発明では、斜め凸面部を有する原型を作製する方法を示している。フォトリソグラフィによって感光性樹脂のレジストパターンを形成した後、図3のように、基板31上の感光性樹脂32の端部にマスクを介して概略円状の影を有するレーザ光33を照射・蒸発させることにより、ミラー相当面4‘を作製する。これにより、両光軸に垂直な方向についての集光が可能になる。なお、概略円状の影を有するとは、曲線状の輪郭の外側が光照射部であるという意味である。概略円状には、2次曲線等も含まれる。
【0016】
フォトリソグラフィによってレジストパターンを形成した後、レジスト端部に方向の異なる複数回のレーザ加工を施すことにより、斜め凸部を作製する。図5の(b)〜(e)のように長方形のレーザ光33を多数回照射させても良いが、図4のように概略円状の影を有するレーザ光33を用いれば少ない回数で済む。
【0017】
フォトリソグラフィによってレジストパターンを形成した後、図6のようにレーザ加工によって斜め面を形成し、さらに温度を上げてレジストを流動させて凸状に変形させる。レジストはポジ型でもよいし、ネガ型でもよい。
【0018】
【実施例】
<実施例1>
[概略円形の影を有するレーザ加工]
本発明の実施例について、図3を用いて説明する。基板31(ガラス)上にドライフィルムレジストを貼り合わせ・露光・現像することにより、感光性樹脂32パターンとして断面が40μm角のコアとなる導波路状の凸パターンを形成した(図3(a))。
【0019】
次に、レーザ光33としてKrFエキシマレーザを斜め照射するが、その際、マスクを用いて概略円状の影を有するビーム形状にすることにより(図3(b))、凸状の斜めミラー相当面4’を作製し、凸型30とした(図3(c))。使用したマスクの円状の影の曲率半径は300μmであり、加工されたレジストの曲率半径もほぼ300μmであった。
【0020】
<実施例2>
[複数回照射]
本発明の実施例について、図4を用いて説明する。基板31(ガラス)上にドライフィルムレジストを貼り合わせ・露光・現像することにより、感光性樹脂32パターンとして断面が40μm角のコアとなる導波路状の凸パターンを形成した(図4(a))。
【0021】
次に、レーザ光33としてKrFエキシマレーザを斜め照射するが、その際、マスクを用いて概略円状の影を有するビーム形状にすることにより、1回目の加工を行った(図4(b))。次に、角度を10゜変えて2回目の加工を行い(図4(c))、凸状の斜めミラー相当面4’を作製し、凸型30とした(図4(d))。使用したマスクの円状の影の曲率半径は300μmであり、加工されたレジストの曲率半径もほぼ300μmになった。
【0022】
<実施例3>
[リフロー]
本発明の実施例について、図6を用いて説明する。基板31(ガラス)上に液状レジストを塗布し、露光・現像することにより、感光性樹脂32パターンとして断面が40μm角のコアとなる導波路状の凸パターンを形成した(図6(a))。
【0023】
次に、レーザ光33としてKrFエキシマレーザを斜め照射するが、その際使用した光33は長方形のビーム形状であり、平面状の加工がなされた(図6(b))。次に、130℃10分の熱処理を行うことにより、レジストが流動し、凸状の斜めミラー相当面4’に変化した(図6(c))。加工されたレジストの曲率半径はほぼ300μmになった。
【0024】
<実施例4>
[光配線層の作製]
実施例2の方法で作製した凸型30(図7(a))に、液状のシリコーン樹脂34を重ねて室温硬化させ、剥離することにより凹型10を作製した(図7(b))。次に、基板20(ガラス)を用意し、クラッド材2として紫外線硬化型エポキシ樹脂をスピンコートした。全面に4J/cm2の紫外線を照射することにより、クラッド2を硬化させて30μm厚の膜にした(図示せず)。
【0025】
そして、凹型10上にコア材1’として紫外線硬化型エポキシ樹脂を滴下し、クラッド2付き基板20を重ねて加圧した(図7(c))。コア材1’は凹型10の窪みに埋め込まれた(図7(d))。このままの状態で基板20側から8J/cm2の紫外線12を照射することにより、コア材1’はコアパターン1に硬化された。凹型10を剥離し(図7(e))、コアパターン1の斜めミラー面4に反射膜6としてAlをマスク蒸着した(図7(f))。さらに第2クラッド3として紫外線硬化型エポキシ樹脂を塗布、全面に4J/cm2の紫外線を照射することにより、光配線層7が完成した(図7(g))。
【0026】
<実施例5>
[入射側ミラーの評価]
実施例4の方法によって、一端が凹面鏡、他端が平面鏡のコアを作製し、凹面鏡側の導波路の中心から100μm(導波路表面から50μm)の位置に波長850nmのVCSELを設置し、平面鏡側の導波路の中心から100μm(導波路表面から50μm)の位置に設置した直径80μmのPDで受けた。VCSEL・光配線層間および光配線層・PD間は、屈折率がクラッドにほぼ等しい透明樹脂で封止した。両方が平面鏡の場合に比べて信号強度が1.5倍になった。
【0027】
<実施例6>
[出射側ミラーの評価]
実施例4の方法によって、両端が凹面鏡のコアを作製し、コアの中心から100μm(光配線層表面から50μm)の位置に波長850nmのVCSELを設置し、他端の凹面鏡側のコアの中心から100μm(光配線層表面から50μm)の位置に設置した直径80μmのPDで受けた。VCSEL・光配線層間は、屈折率がクラッドにほぼ等しい透明樹脂で封止した。光配線層・PD間には、屈折率がクラッドにほぼ等しい液体を満たした。PDの横方向の位置ずれ余裕(信号強度が90%に落ちる位置ずれ量)は30μmになった。一方、出射側が平面鏡の場合の位置ずれ余裕は10μmであった。
【0028】
【発明の効果】
以上の説明から理解できるように、本発明には、以下の効果がある。
第1に、光路変換ミラーとして凹面鏡を用いることにより、接続効率や位置ずれ余裕を大きくできる。第2に、型を用いて製造することにより、凹面鏡を有するコアを簡単に作製できる。第3に、概略円状の影を有するレーザ加工、複数回レーザ加工、あるいはリフローを用いることにより、凹面鏡を有するコアの型を作製できる。
【0029】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光配線層の概略を示す断面図。
【図2】本発明の光配線層の概略を示す断面図。
【図3】本発明の凸面の形成方法の一例を示す斜視図。
【図4】本発明の凸面の形成方法の他の例を示す斜視図。
【図5】本発明の凸面の形成方法の他の例を示す斜視図。
【図6】本発明の凸面の形成方法の他の例を示す斜視図。
【図7】本発明の光配線層の製造方法の一例を示す断面図。
【図8】従来の光配線層の概略を示す断面図。
1 … コア
1’ … コア材
2 … 第1クラッド
3 … 第2クラッド
4 … ミラー面(凹面鏡)
4’ … ミラー相当面(凸面)
5 … ミラー面(平面鏡)
5’ … ミラー相当面(平面)
6 … 反射膜
7 … 光配線層
8 … 光
10 … 凹型
20 … 基板
30 … 凸型
31 … 基板
32 … 感光性樹脂
33 … レーザ光
40 … 発光素子
41 … 受光素子
42 … 電極またはスペーサ
43 … 電極またはスペーサ
Claims (4)
- コア端部に凹面鏡を有する光配線層を製造する方法であって、
コア端部に斜め凸面部を有するコアパターン形状の凸部を平板上に有する原型を作製する工程と、
該原型を元に少なくとも表面がシリコーン樹脂からなる凹型を作製する工程と、
該凹型から光配線層を作製する工程と、
を有し、
上記コア端部に斜め凸面部を有するコアパターン形状の凸部を平板上に有する原型を作製する工程が、
基板上に、フォトリソグラフィによってレジストパターンを形成した後、レジスト端部に概略円状の影を有するレーザ光を照射・蒸発させることにより、斜め凸面部を作製することを特徴とする光配線層の製造方法。 - 上記凹型から光配線層を作製する工程が、
クラッド付き基板と上記凹型の間に液状のコア剤を挟み込み、硬化させてコアパターンを形成することを特徴とする請求項1記載の光配線層の製造方法。 - 上記コア端部に斜め凸面部を有するコアパターン形状の凸部を平板上に有する原型を作製する工程が、
基板上に、フォトリソグラフィによってレジストパターンを形成した後、レジスト端部に概略円状の影を有するレーザ光を照射・蒸発させることにより、斜め凸面部を作製することを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載の光配線層の製造方法。 - 上記コア端部に斜め凸面部を有するコアパターン形状の凸部を平板上に有する原型を作製する工程が、
基板上に、フォトリソグラフィによってレジストパターンを形成した後、レジスト端部にレーザ加工によって斜め面を作製し、さらに温度を上げてレジストを流動させて凸状に変形させることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の光配線層の製造方法。
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