JP2004177334A - 複数段レンズの位置調整方法、レンズ組立装置、及び、レンズ検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数段レンズの位置調整方法、レンズ組立装置、及び、レンズ検査装置に関し、複数段レンズを構成する個々のレンズの公差により外形からレンズ位置を調整できない場合にも収差を低減する。
【解決手段】複数段レンズ1を構成する各レンズ2,3間の相対位置を変化させる手段と、複数段レンズ1に平行光を照射する手段と、複数段レンズ1により集光された光を回折して反射させる回折・反射手段4と、反射した0次回折光6と±1次回折光7,8の干渉縞を観察する手段とを有し、レンズ2,3間相対位置の変化前と変化後の干渉縞を比較し、レンズ2,3間距離を調整する。
【選択図】 図1
【解決手段】複数段レンズ1を構成する各レンズ2,3間の相対位置を変化させる手段と、複数段レンズ1に平行光を照射する手段と、複数段レンズ1により集光された光を回折して反射させる回折・反射手段4と、反射した0次回折光6と±1次回折光7,8の干渉縞を観察する手段とを有し、レンズ2,3間相対位置の変化前と変化後の干渉縞を比較し、レンズ2,3間距離を調整する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は複数段レンズの位置調整方法、レンズ組立装置、及び、レンズ検査装置に関するものであり、例えば、光ディスク装置或いは光磁気ディスク装置のヘッドを構成する2段レンズにおける個々のレンズの公差により外形からレンズ位置を調整できない場合にも収差を抑えることを可能にするための手法に特徴のある複数段レンズの位置調整方法、レンズ組立装置、及び、レンズ検査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報記録分野においては、低コストで大容量記録が可能な光学式情報記録装置が開発されている
この光学式情報記録装置は、非接触で情報の記録・再生が可能であるとともに、再生専用、追加記録、或いは、書換え可能な種々の態様が可能であるという特徴がある。
【0003】
光学式情報記録装置においては、光源となる半導体レーザからの光は光学系を介して光ディスクの記録層上に照射され、記録層からの反射光は、再び光学系を介して受光素子に入射し、記録層からの反射光の変化から記録情報を読み出すものである。
【0004】
この場合、記録層上における照射レーザ光のスポットサイズφは、レーザ光の波長をラムダとし、光学系を構成する対物レンズの開口数をNAとした場合、
φ=λ/NA
で表される。
この場合、記録層における記録密度は照射レーザ光のスポットサイズφに依存し、スポットサイズφが小さい程、高密度記録が可能になる。
【0005】
近年の光磁気ディスクや光ディスク等の大容量化に伴い、小さなスポットサイズφをさらに小さくすることが要請され、そのために、レーザ光の短波長化や対物レンズの高NA化及び低収差化が必要となる。
【0006】
しかし、単体レンズでは高NAを得ることが困難であるため、2枚のレンズを組み合わせた組合せレンズ、即ち、2段レンズの研究開発が進められてきた。
【0007】
この様な2段レンズにおける従来のレンズの外形を基準にするレンズ間の相対位置調整では、各レンズに高い精度が要求され、また、収差を低く抑えることが困難であった。
【0008】
最近、この様な2段レンズの調整を行うために干渉縞光を利用してレンズ位置を調整するとともに、収差を評価すること(例えば、特許文献1参照)や、アパーチャを透過した回折パターンを利用して2段レンズの偏心を調整すること(例えば、特許文献2参照)等が提案されている。
【0009】
また、単一レンズの調整法ではあるが、レンズを介した回折格子からの0次回折光と±1次回折光との干渉パターンを測定し、光学収差が最小になるように調整することも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−281100号公報
【特許文献2】
特開平10−255304号公報
【特許文献3】
特開平11−283268号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の特許文献1においては、光源からの参照光と2段レンズを介した反射光を干渉させた同心円状の干渉パターンを測定し、フリンジスキャンを行うことなく収差を評価するものであり、且つ、反射光を得るためには特殊な球面ミラーを使用するものである。
したがって、装置構成が特殊になるとともに、精度の高い評価・調整が困難であるという問題がある。
【0012】
また、上記の特許文献2も、アパーチャを透過した回折パターンを利用するという特殊構成であり、且つ、2つのレンズ間の間隔調整は、ビーム径を検出して行うものであり、この場合も精度の高い評価・調整が困難であるという問題がある。
【0013】
さらに、上記の特許文献3は、単一レンズの調整法であり、且つ、干渉縞パターンから具体的にどの様な手段で収差補正を行い、且つ、どの段階で収差補正を終了するのかが明らかではなく、したがって、2段レンズの位置調整に転用する場合には、具体的にどのような手法で調整を行うかは全く不明であるという問題がある。
【0014】
したがって、本発明は、複数段レンズを構成する個々のレンズの公差により外形からレンズ位置を調整できない場合にも収差を低減することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
図1は本発明の原理的構成図であり、この図1を参照して本発明における課題を解決するための手段を説明する。
図1参照
上記目的を達成するため、本発明は、複数段レンズの位置調整方法において、複数段レンズ1を構成する各レンズ2,3間の相対位置を変化させる手段と、複数段レンズ1に平行光を照射する手段と、複数段レンズ1により集光された光を回折して反射させる回折・反射手段4と、反射した0次回折光6と±1次回折光7,8の干渉縞を観察する手段とを有し、レンズ2,3間相対位置の変化前と変化後の干渉縞を比較し、レンズ2,3間距離を調整することを特徴とする。
【0016】
このように、複数段レンズ1を介して光を回折して反射させる回折・反射手段4から反射した0次回折光6と±1次回折光7,8の干渉縞を利用し、レンズ2,3間相対位置の変化前と変化後の干渉縞を比較することによって、レンズ2,3間相対位置の最適化が可能になる。
なお、「複数段レンズ1」とは、2段レンズ1が典型的なものであるが、3段以上の複合レンズにも適用されるものである。
【0017】
この場合、複数段レンズ1により集光された光を回折して反射させる回折・反射手段4を焦点位置からずらし、前後の位置での干渉縞がより対称に近づくように調整することにより微調整を行うことが望ましい。
【0018】
また、干渉縞を比較する具体的手法としては、干渉縞の縦エッジと横エッジの比率を調整することによりレンズ2,3間距離を調整しても良い。
即ち、反射した回折光5の内の0次回折光6と±1次回折光7,8の干渉により形成されるボール状の干渉パターン9,10内の干渉縞は、適正間隔の場合には、エッジ要素が少なく、また、エッジ要素があったとしても、縦エッジの比率が高いので、この比率を利用すれば良い。
なお、縦エッジとは、干渉縞における2つのボール状の干渉パターン9,10に平行な成分であり、横エッジとは、干渉縞における2つのボール状の干渉パターン9,10に垂直な成分である。
【0019】
また、干渉縞を比較する具体的手法としては、0次回折光6と±1次回折光7,8の干渉パターン9,10からフリンジスキャンによって求めた位相差から復元した縞画像を用いて収差を評価し、レンズ2,3間距離を調整するようにしても良い。
【0020】
また、本発明は、複数段レンズの位置調整方法において、複数段レンズ1を構成する各レンズ2,3間の相対位置を変化させる手段と、複数段レンズ1に平行光を照射する手段と、複数段レンズ1により集光された光を回折して反射させる回折・反射手段4と、反射した0次回折光6と±1次回折光7,8の干渉縞を観察する手段と、干渉させた回折光間の位相差を求める手段とを有し、レンズ2,3間相対位置の変化前と変化後の位相差を比較し、レンズ2,3間距離を調整することを特徴とする。
【0021】
この場合、位相差を求めるサンプリング点を、回折光の強度分布の大きな部分とすることが望ましく、それによって、量子化誤差を低減することができる。
【0022】
この場合のレンズ2,3間相対位置の変化前と変化後の位相差を比較する具体的方法としては、位相差の分布がより平坦に近づくようにレンズ2,3間距離を調整すれば良い。
【0023】
また、レンズ間距離とともに、チルト補正や軸ずれ補正が必要な場合には、複数段レンズ1を構成する各レンズ2,3間の相対位置を変化させる手段と、前記複数段レンズ1に平行光を照射する手段と、複数段レンズ1により集光された光を回折して反射させる回折・反射手段4と、反射した0次回折光6と±1次回折光7,8の干渉縞を観察する手段と、干渉させた回折光間の位相差を求める手段とを有し、直交座標系で表した波面のゼルニケ多項式の差分をさらに極座標系に直した位相差分布曲線に前記位相差から求めた位相差分布をフィッティングして収差を求めれば良い。
【0024】
また、複数段レンズ1により集光された光を回折して反射させる回折・反射手段4としては、回折格子を用いても良いし、或いは、複数段レンズ1の使用対象となる実光記録媒体を用いても良い。
【0025】
また、回折・反射手段4からの回折光のトラックエラー信号の振幅が最大になるように反射手段4の位置を調整することにより高度な調整が可能になる。
【0026】
上述の複数段レンズの位置調整方法を行う位置調整装置は、レンズ組立装置としても、或いは、既に組み立てある光学装置のレンズ検査装置として用いることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
ここで、図2乃至図7を参照して、本発明の第1の実施の形態の2段レンズの位置調整方法を説明する。
図2参照
図2は、本発明の第1の実施の形態に用いる2段レンズの位置調整装置の構成説明図であり、光源となるレーザダイオード11、レーザダイオード11からのレーザ光を平行光線に変換するコリメートレンズ12、レーザ光を2段レンズ14へ照射するとともに、反射してきた回折光を撮像装置19へ導くビームスプリッタ13、第1のレンズ15及び第2のレンズ16から構成されて位置調整対象となる2段レンズ14、2段レンズ14を介して照射されたレーザ光を反射・回折する反射型の回折格子17、反射してきた回折光を撮像する撮像装置19、撮像装置19で撮像した回折光の干渉パターン中の干渉縞を評価する干渉縞評価装置20、干渉縞評価装置20における評価に基づいて第1のレンズ15及び第2のレンズ16の間隔或いは回折格子17の位置を調整する光学要素の把持・移動装置18によって構成される。
【0028】
図3(a)乃至(c)参照
図3は、各光学要素の自由度の説明図であり、図3(a)及び(b)に示す第1のレンズ15及び第2のレンズは、Z軸に対して回転対称であることを前提としているので、X,Y,Z方向、X軸を回転軸とする回転、Y軸を回転軸とする回転の5つの自由度を有している。
【0029】
一方、図3(c)に示す回折格子17の場合には、チルトがないと仮定し、且つ、凹凸がY軸方向に延在しているので、X方向及びZ方向の2つの自由度のみとなる。
【0030】
図4参照
図4は、ボール状の干渉パターンの説明図であり、回折格子17から反射・回折してきた戻り光21が撮像装置19の画像平面22において、0次回折光23と−1次回折光24とが干渉してオーバーラップ部においてボール状の干渉パターン26が形成され、後述するようにこの干渉パターン26中には干渉縞が形成されている。
また、0次回折光23と+1次回折光25も同様に干渉してオーバーラップ部においてボール状の干渉パターン27が形成され、この干渉パターン27中にも干渉縞が形成されている。
【0031】
図5(a)及び(b)参照
図5は、ボール状の干渉パターンにおける干渉縞の説明図であり、干渉パターン26の中には、等高線状の干渉縞28が見られ、図5(b)に示すように、図5(a)に比べて等高線の間隔が広い方が、或いは、等高線が全く見られない方が各光学要素が互いに適正な位置関係にある。
【0032】
この場合、干渉縞28におけるエッジ成分とは、干渉パターン26,27における光強度分布を微分した場合のピーク位置を意味し、図において縦方向の成分を縦エッジとし、横方向の成分を横エッジとする。
【0033】
次に、図6を参照して、本発明の第1の実施の形態の2段レンズの位置調整方法を説明するが、各図に示した符号を参照して説明する。
図6参照
まず、▲1▼回折格子17の位置を焦点付近に微調整し、回折格子17からの戻り光21を撮像装置19で撮像し、▲2▼干渉縞評価装置20によって干渉縞28におけるエッジ要素を評価する。
【0034】
次に、▲3▼光学要素の把持・移動装置18によって、第1のレンズ15もしくは第2のレンズ16の位置を変化させる粗調整を行ったのち、回折格子17の位置を焦点近傍に調整する微調整を行い、▲4▼このときの戻り光21を撮像し、▲5▼干渉縞評価装置20で先に撮像した戻り光21における干渉縞28のエッジ要素との比較を行う。
【0035】
この比較において、エッジ要素に改善が見られた場合、例えば、干渉縞28における等高線の間隔が広くなった場合、もう一度▲3▼の工程に戻り、再び、第1のレンズ15もしくは第2のレンズ16の位置を変化させる粗調整を行ったのち、回折格子17の位置を焦点近傍に調整する微調整を行い、▲4▼このときの戻り光21を撮像し、▲5▼干渉縞評価装置20で先に撮像した戻り光21における干渉縞28のエッジ要素との比較を行い、改善が見られるかぎり、このサブルーチンを続ける。
【0036】
ついで、改善がみられない場合には、粗調整における移動量が予め設定した基準値よりも小さいか否を判定し、充分小さい場合には、1ステップ前の位置戻して調整を終了する。
【0037】
一方、粗調整における移動量が予め設定した基準値よりも大きい場合、▲6▼移動量を減らすとともに、▲7▼移動方向を反転させて、▲3▼の工程に戻り、同じフローで位置調整を行う。
【0038】
なお、最初のエッジ要素の比較において改善が見られない場合には、最初は当然、移動量を基準値より大きくしているので、▲6▼移動量を減らすとともに、▲7▼移動方向を反転させて、▲3▼の工程に戻り、▲3▼−▲4▼−▲5▼の工程を行い、改善の判断を行うことになる。
【0039】
次に、図7を参照して、上述の本発明の第1の実施の形態における2段レンズの位置調整方法における微調整法を説明する。
図7(a)参照
まず、微調整に際しては、図7(a)に示すように、回折格子17をZ方向に移動させて、戻り光21による干渉パターン26,27中における干渉縞28を観察する。
【0040】
図7(b)参照
回折格子17が焦点位置より2段レンズ14と反対側に位置している場合、2段レンズ14側に移動させた場合には焦点に近づくので、上図に示すように干渉縞28がほぼ縦縞となり、一方、さらに2段レンズ14から遠ざけた場合には、焦点から遠ざかるので、下図に示すように干渉縞28の湾曲が強くなり、エッジ要素における横エッジ成分が増加する。
【0041】
図7(c)参照
回折格子17がほぼ焦点位置にある場合、どちらの側に移動させても焦点位置からずれるので、干渉縞28が湾曲するが、干渉縞28の変化の仕方は移動方向に対して対称的変化となる。
【0042】
図7(d)参照
回折格子17が焦点位置より2段レンズ14側に位置している場合、2段レンズ14側に移動させた場合には焦点から遠ざかるので、上図に示すように干渉縞28の湾曲が強くなり、一方、2段レンズ14から遠ざけた場合には、焦点に近づくので、下図に示すように干渉縞28は縦縞となる。
【0043】
したがって、上下に移動させた場合、干渉パターン26,27における干渉縞28の変化が対称的変化となる位置が焦点位置となるので、この位置に回折格子17を移動させたのち、エッジ量評価のための戻り光21の撮像を行う。
【0044】
なお、上述の説明においては、干渉縞の評価を視覚的に説明しているが、各干渉縞28における縦エッジ成分及び横エッジ成分を計測し、縦エッジ成分と横エッジ成分の比率、或いは、縦エッジ成分と全エッジ比率を求め、この比率が、上下方向に対する移動に対して等しくなるように制御しても良いものである。
【0045】
なお、光源となるレーザダイオード11の輝度分布が一様ではない場合など、干渉縞画像における雑音成分が大きくなるので、この場合には、回折格子17を凹凸に垂直な方向、図3(c)におけるX方向に移動させ、0 次回折光23と±1次回折光24,25との間の位相を変化させ、その画像間の差分を取ることで雑音成分を減らすことが可能である。
【0046】
また、フィリンジスキャンによって位相差分布を求め、さらに強度分布に変換した合成画像を利用しても良いので、ここで、図8を参照してフリンジスキャン法を説明する。
レーザ光を回折格子17の凹凸に対してどの位置に集光させるかによって、0 次回折光23と±1次回折光24,25との位相差が変化し、干渉光の強度が変化するので、位相差(回折格子位置)を変化させながら干渉光強度を計測することで、位相差分布を求めることができる。
【0047】
図8(a)は、5つの回折格子位置におけるフリンジスキャンの例であり、まず、回折格子17を一周期分動かす間に1/4周期毎の4箇所で強度分布を計測した場合を示しており、例えば、図に示すように各回折格子位置における振幅は異なっている。
【0048】
ここで、強度がIa (x,y),Ib (x,y)で、位相差がφ(x,y)+δであるキャリッジの干渉光の強度ID (x,y,δ)は、下記の式(1)で表すことができる。
【数1】
【0049】
このδを、δ0 ,δ1 ,・・・・,δN−1 (上述の例はN=4)と変化させ、対応する干渉光の強度をIDi、誤差を含む干渉光の実測強度をIi とするとき、その差分の総和である下記の式(2)を最小とするa=(a0 ,a1 ,a2 )T は、下記の式(3)与えられ、位相分布φ(x,y)及びコントラストγ(x,y)は、夫々下記の式(4),式(5)で表される。
【数2】
【0050】
ここで、δi =2πi/Nの場合には、位相分布φ(x,y)は、下記の式(6)で表され、さらに、N=4の場合には、位相分布φ(x,y)は、下記の式(7)となる。
【数3】
【0051】
図8(b)参照
このような関係式に基づいて、それぞれの回折格子位置での1/4周期毎の4箇所でのデータを計算し、最初の点での位相を求めると、図のような位相差分布φが得られる。
この位相差分布φをさらに強度分布I(=cos2 φ)に変換した合成画像を利用すれば良い。
【0052】
次に、図9を参照して、本発明の第2の実施の形態の2段レンズの位置調整方法を説明する。
図9参照
図9は位相差分布の評価による2段レンズの位置調整装置の構成説明図であり、基本的構成は図2に示した第1の実施の形態の2段レンズの位置調整装置と同様であるが、ここでは、干渉縞評価装置20の代わりに、収差評価装置31を用いたものである。
【0053】
即ち、光源となるレーザダイオード11、レーザダイオード11からのレーザ光を平行光線に変換するコリメートレンズ12、レーザ光を2段レンズ14へ照射するとともに、反射してきた回折光を撮像装置19へ導くビームスプリッタ13、第1のレンズ15及び第2のレンズ16から構成される2段レンズ14、2段レンズ14を介して照射されたレーザ光を反射・回折する反射型の回折格子17、反射してきた回折光を撮像する撮像装置19、撮像装置19で撮像した回折光の位相差を評価する位相評価装置31、位相評価装置31における評価に基づいて第1のレンズ15及び第2のレンズ16の間隔或いは回折格子17の位置を調整する光学要素の把持・移動装置18によって構成される。
【0054】
この場合、まず、回折格子17の位置を焦点付近に調整し、戻り光21を撮像し、次いで、第1のレンズ15もしくは第2のレンズ16の位置を変化させ、回折格子17の位置を焦点付近に調整する。
【0055】
さらに、回折格子17を凹凸に垂直な方向に移動させ、上述のフリンジスキャンを行うことにより図8(b)に示したような位相差分布を取得し、取得した位相差分布が平坦になるよう第1のレンズ15と第2のレンズ16との間の相対位置を調整するものである。
【0056】
この様に、本発明の第2の実施の形態においては、フリンジスキャンによる位相差分布を利用して2段レンズの位置調整を行っているので、光源の輝度分布の影響を受けることなく、精度の高い位置調整が可能になる。
【0057】
以上の第1の実施の形態及び第2の実施の形態においては、第1のレンズ15及び第2のレンズ16のチルト補正および軸ずれ補正が充分になされている場合として説明しているが、次に、チルト補正および軸ずれ補正が充分ではない場合の本発明の第3の実施の形態の2段レンズの位置調整方法を説明する。
【0058】
チルト補正および軸ずれ補正が充分ではない場合には位相差分布の解析を行うが、この位相差分布の解析では、まず始めに、下記の式(8)で示すゼルニケ多項式で表した波面同士を直交座標系上で減算し、戻り光21の位相差分布の式を求める。
【数4】
このときの座標原点は任意に設定できる。
【0059】
このゼルニケ多項式は直交系をなしており、波面収差をゼルニケ多項式分解すると各項の係数が収差に対応する。
例えば、上記のZrn6 はコマX(X軸方向のコマ収差)に、Zrn7 の係数はコマY(Y軸方向のコマ収差)に、Zrn8 の係数は3次の球面収差に対応する。
【0060】
次に直交座標系から極座標系に変換することにより、任意の直線上での位相差分布の式が容易に得られ、適当な直線上の実際の位相差分布をこの式にフィッティングすることで、収差を直接求めることが可能になるので、使用するレンズデータと得られた収差との関係から第1のレンズ15及び第2のレンズ16のチルトや軸ずれ量を推定し、レンズ位置を調整すれば良い。
【0061】
このとき、誤差を抑えるためには、干渉光の振幅が大きい部分のデータを使用することが望ましいので、図10を参照してその事情を説明する。
図10参照
図10は、振幅の違う2つのデータに「・」及び「×」で示す量子化誤差を乗せたものである。
【0062】
ノイズの影響に加え、フリンジスキャンで位相差を求める場合にはこのような量子化誤差によってその点での精度が変化するため、振幅の大きい点をサンプリング点とすることで誤差を抑えることができ、それによって、より精度の高いチルト補正及び軸ずれ補正が可能になる。
【0063】
以上、本発明の各実施の形態を説明してきたが、本発明は上記の各実施の形態に記載した構成・条件に限られるものではなく、各種の変更が可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、反射・回折手段としてY方向に延在する凹凸を設けた回折格子17を用いているが、反射・回折手段として、光磁気ディスクなどの実際の媒体、或いは、回折格子に保護膜等を付加した擬似媒体を用いても良く、それによって、実際の2段レンズ使用条件に近い状況での評価が可能になる。
【0064】
また、上記の各実施の形態における回折格子17の位置調整法、即ち、図7に示した干渉縞像を対称に近づける手法或いは図8に示した位相差分布を平坦にする手法は一例であり、他の手法を用いても良いものである。
【0065】
図11(a)乃至(c)参照
例えば、回折格子17の位置によりボール状の干渉パターン26,27の大きさが変化するので、この干渉パターン26,27の大きさを予め設定した規定の大きさにするよう回折格子17をZ方向に移動して調整しても良いものであり、非常に簡単に位置調整を行うことができる。
【0066】
なお、回折格子17が焦点より2段レンズ14側にある場合には、図11(a)に示すように干渉パターン26,27は小さくなり、一方、回折格子17が焦点より2段レンズ14と反対側にある場合には、図11(c)に示すように干渉パターン26,27は大きくなる。
【0067】
或いは、戻り光21のTES(トラックエラー信号)の振幅が最大になるように調整しても良いものであり、ここで、図12乃至図13を参照してTES−MAX探査を説明する。
【0068】
図12(a)参照
図12(a)は、TES−MAX探査に用いる2段レンズの位置調整装置の構成説明図であり、基本的構成は上記の第1の実施の形態の2段レンズの位置調整装置と同様である。
即ち、光源となるレーザダイオード11、レーザダイオード11からのレーザ光を平行光線に変換するコリメートレンズ12、レーザ光を2段レンズ14へ照射するとともに、反射してきた回折光を2分割フォトダイオード33に照射するビームスプリッタ13、第1のレンズ15及び第2のレンズ16から構成される2段レンズ14、2段レンズ14を介して照射されたレーザ光を反射・回折する反射型の回折格子17、反射してきた回折光を収束する集光レンズ32、集光レンズ33で収束された回折光を受光する2分割フォトダイオード33、2分割フォトダイオード33の受光信号からTES信号を解析するTES信号解析装置36、及び、TES信号解析装置36の解析結果に基づいて第1のレンズ15及び第2のレンズ16の間隔或いは回折格子17の位置を調整する光学要素の把持・移動装置18によって構成される。
【0069】
図12(b)参照
この場合の2分割フォトダイオード33は、第1受光領域34と第2受光領域35によって構成され、この第1受光領域34及び第2受光領域35にボール状の干渉パターン26,27が結像するようにする。
【0070】
この時、回折格子17を光軸及び凹凸に直角な方向、即ち、X方向に移動させることにより、第1受光領域34における受光量Aと第2受光領域35における受光量Bが変化するので、この受光量Aと受光量Bの差分C、即ち、TES信号も変化することになり、この差分Cの振幅が最大になるとき回折格子17は2段レンズ14の焦点位置にあることになる。
【0071】
したがって、まず差分Cの振幅を計測し、次に回折格子17を光軸方向に動かしてさらに差分Cの振幅を計測する。
これを繰り返して差分Cの振幅が最大になる位置を探索する。
【0072】
図13参照
図13は、上述のTES信号の変化を模式的に示したもので、あるレンズ間距離においてTES信号の振幅が最大になる回折格子位置を求め、つぎに、レンズ間距離を変えて、そのレンズ間距離においてTES信号の振幅が最大になる回折格子位置を求め、レンズ間距離の移動前後のTES信号の振幅の最大値を比較し、TES振幅が最も大きくなるまで、レンズの位置調整を行う。
このTES−MAX探査法は、TES信号の取り込み等が必要になるが、高精度な調整が可能になる。
【0073】
また、上記の各実施の形態においては、2段レンズの位置調整方法として説明しているが、2段レンズに限られるものではなく、3段レンズ以上の複数段レンズにも適用されるものである。
【0074】
また、上記の各実施の形態においては、光磁気ディスク装置或いは光ディスク装置等の光記録装置を構成する光ヘッドに用いる対物レンズとして説明しているが、本発明は光記録装置に限られるものではなく、複数のレンズを組み合わせた各種の複合レンズに適用されるものであり、したがって、対物レンズに限られるものではない。
【0075】
また、上記の各実施の形態においては、図2、図9、及び、図12(a)に示した装置を位置合わせ装置として説明しているが、既に組み立てた複数段レンズの検査装置として用いることができることは言うまでもないことである。
【0076】
また、図2、図9、及び、図12(a)に示した装置における光学要素の把持・移動手段18に、レンズ固定手段を設けることによって、各レンズを最適位置において固定することによって、レンズ組立装置としても良いものである。
【0077】
ここで、再び図1を参照して、改めて本発明の詳細な特徴を説明する。
再び、図1参照
(付記1) 複数段レンズの位置調整方法において、前記複数段レンズ2,3を構成する各レンズ2,3間の相対位置を変化させる手段と、前記複数段レンズ2,3に平行光を照射する手段と、前記複数段レンズ2,3により集光された光を回折して反射させる回折・反射手段4と、前記反射した0次回折光6と±1次回折光7,8の干渉縞を観察する手段とを有し、前記レンズ2,3間相対位置の変化前と変化後の干渉縞を比較し、レンズ2,3間距離を調整することを特徴とする複数段レンズの位置調整方法。
(付記2) 上記複数段レンズ2,3により集光された光を回折して反射させる回折・反射手段4を焦点位置からずらし、前後の位置での縞がより対称に近づくように調整することを特徴とする付記1記載の複数段レンズの位置調整方法。
(付記3) 上記干渉縞の縦エッジと横エッジの比率を調整することによりレンズ2,3間距離を調整することを特徴とする付記1または2に記載の複数段レンズの位置調整方法。
(付記4) 上記反射した0次回折光6と±1次回折光7,8の干渉パターンからフリンジスキャンによって求めた位相差から復元した縞画像を用いて収差を評価し、レンズ2,3間距離を調整することを特徴とする付記1乃至3のいずれか1に記載の複数段レンズの位置調整方法。
(付記5) 複数段レンズの位置調整方法において、前記複数段レンズ2,3を構成する各レンズ2,3間の相対位置を変化させる手段と、前記複数段レンズ2,3に平行光を照射する手段と、前記複数段レンズ2,3により集光された光を回折して反射させる回折・反射手段4と、前記反射した0次回折光6と±1次回折光7,8の干渉縞を観察する手段と、前記干渉させた回折光間の位相差を求める手段とを有し、前記レンズ2,3間相対位置の変化前と変化後の位相差を比較し、レンズ2,3間距離を調整することを特徴とする複数段レンズの位置調整方法。
(付記6) 上記位相差を求めるサンプリング点を、上記回折光の強度分布の大きな部分とすることを特徴とする付記5記載の複数段レンズの位置調整方法。
(付記7) 上記位相差の分布がより平坦に近づくようにレンズ2,3間距離を調整することを特徴とする付記5または6に記載の複数段レンズの位置調整方法。
(付記8) 複数段レンズの位置調整方法において、前記複数段レンズ2,3を構成する各レンズ2,3間の相対位置を変化させる手段と、前記複数段レンズ2,3に平行光を照射する手段と、前記複数段レンズ2,3により集光された光を回折して反射させる回折・反射手段4と、前記反射した0次回折光6と±1次回折光7,8の干渉縞を観察する手段と、前記干渉させた回折光間の位相差を求める手段とを有し、直交座標系で表した波面のゼルニケ多項式の差分をさらに極座標系に直した位相差分布曲線に前記位相差から求めた位相差分布をフィッティングして収差を求め、前記各レンズ2,3間の軸ずれ、前記各レンズ2,3間ののチルト、或いは、レンズ2,3間距離の少なくとも一方を補正することを特徴とする複数段レンズの位置調整方法。
(付記9) 上記複数段レンズ2,3により集光された光を回折して反射させる回折・反射手段4として、上記複数段レンズ2,3の使用対象となる実光記録媒体を用いることを特徴とする付記1乃至8のいずれか1に記載の複数段レンズの位置調整方法。
(付記10) 上記回折・反射手段4からの反射光のトラックエラー信号の振幅が最大になるように前記回折・反射手段4の位置を調整することを特徴とする付記1乃至9のいずれか1に記載の複数段レンズの位置調整方法。
(付記11) 付記1乃至10のいずれか1に記載の複数段レンズの位置調整方法を利用したことを特徴とするレンズ組立装置。
(付記12) 付記1乃至10のいずれか1に記載の複数段レンズの位置調整方法を利用したことを特徴とするレンズ検査装置。
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、複数段レンズの調整において、回折光の干渉縞或いは収差を評価する過程を含むため、最適なレンズ間相対位置に調整することが可能になり、それによって、光記録装置等の性能向上或いはスループット向上に寄与するところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理的構成の説明図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の2段レンズの位置調整装置の構成説明図である。
【図3】光学要素の自由度の説明図である。
【図4】ボール状の干渉パターンの説明図である。
【図5】ボール状の干渉パターンにおける干渉縞の説明図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態の2段レンズの位置調整方法のフロー図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態の2段レンズの位置調整方法における微調整法の説明図である。
【図8】フリンジスキャン法の説明図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態の2段レンズの位置調整装置の構成説明図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態の2段レンズの位置調整方法における振幅選択の説明図である。
【図11】回折格子の位置調整方法の説明図である。
【図12】TES−MAX探査の説明図である。
【図13】TES信号の説明図である。
【符号の説明】
1 複数段レンズ
2 レンズ
3 レンズ
4 回折・反射手段
5 反射した回折光
6 0次回折光
7 −1次回折光
8 +1次回折光
9 干渉パターン
10 干渉パターン
11 レーザダイオード
12 コリメートレンズ
13 ビームスプリッタ
14 2段レンズ
15 第1のレンズ
16 第2のレンズ
17 回折格子
18 光学要素の把持・移動装置
19 撮像装置
20 干渉縞評価装置
21 戻り光
22 画像平面
23 0次回折光
24 −1次回折光
25 +1次回折光
26 干渉パターン
27 干渉パターン
28 干渉縞
31 収差評価装置
32 集光レンズ
33 2分割フォトダイオード
34 第1受光領域
35 第2受光領域
36 TES信号解析装置
【発明の属する技術分野】
本発明は複数段レンズの位置調整方法、レンズ組立装置、及び、レンズ検査装置に関するものであり、例えば、光ディスク装置或いは光磁気ディスク装置のヘッドを構成する2段レンズにおける個々のレンズの公差により外形からレンズ位置を調整できない場合にも収差を抑えることを可能にするための手法に特徴のある複数段レンズの位置調整方法、レンズ組立装置、及び、レンズ検査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報記録分野においては、低コストで大容量記録が可能な光学式情報記録装置が開発されている
この光学式情報記録装置は、非接触で情報の記録・再生が可能であるとともに、再生専用、追加記録、或いは、書換え可能な種々の態様が可能であるという特徴がある。
【0003】
光学式情報記録装置においては、光源となる半導体レーザからの光は光学系を介して光ディスクの記録層上に照射され、記録層からの反射光は、再び光学系を介して受光素子に入射し、記録層からの反射光の変化から記録情報を読み出すものである。
【0004】
この場合、記録層上における照射レーザ光のスポットサイズφは、レーザ光の波長をラムダとし、光学系を構成する対物レンズの開口数をNAとした場合、
φ=λ/NA
で表される。
この場合、記録層における記録密度は照射レーザ光のスポットサイズφに依存し、スポットサイズφが小さい程、高密度記録が可能になる。
【0005】
近年の光磁気ディスクや光ディスク等の大容量化に伴い、小さなスポットサイズφをさらに小さくすることが要請され、そのために、レーザ光の短波長化や対物レンズの高NA化及び低収差化が必要となる。
【0006】
しかし、単体レンズでは高NAを得ることが困難であるため、2枚のレンズを組み合わせた組合せレンズ、即ち、2段レンズの研究開発が進められてきた。
【0007】
この様な2段レンズにおける従来のレンズの外形を基準にするレンズ間の相対位置調整では、各レンズに高い精度が要求され、また、収差を低く抑えることが困難であった。
【0008】
最近、この様な2段レンズの調整を行うために干渉縞光を利用してレンズ位置を調整するとともに、収差を評価すること(例えば、特許文献1参照)や、アパーチャを透過した回折パターンを利用して2段レンズの偏心を調整すること(例えば、特許文献2参照)等が提案されている。
【0009】
また、単一レンズの調整法ではあるが、レンズを介した回折格子からの0次回折光と±1次回折光との干渉パターンを測定し、光学収差が最小になるように調整することも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−281100号公報
【特許文献2】
特開平10−255304号公報
【特許文献3】
特開平11−283268号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の特許文献1においては、光源からの参照光と2段レンズを介した反射光を干渉させた同心円状の干渉パターンを測定し、フリンジスキャンを行うことなく収差を評価するものであり、且つ、反射光を得るためには特殊な球面ミラーを使用するものである。
したがって、装置構成が特殊になるとともに、精度の高い評価・調整が困難であるという問題がある。
【0012】
また、上記の特許文献2も、アパーチャを透過した回折パターンを利用するという特殊構成であり、且つ、2つのレンズ間の間隔調整は、ビーム径を検出して行うものであり、この場合も精度の高い評価・調整が困難であるという問題がある。
【0013】
さらに、上記の特許文献3は、単一レンズの調整法であり、且つ、干渉縞パターンから具体的にどの様な手段で収差補正を行い、且つ、どの段階で収差補正を終了するのかが明らかではなく、したがって、2段レンズの位置調整に転用する場合には、具体的にどのような手法で調整を行うかは全く不明であるという問題がある。
【0014】
したがって、本発明は、複数段レンズを構成する個々のレンズの公差により外形からレンズ位置を調整できない場合にも収差を低減することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
図1は本発明の原理的構成図であり、この図1を参照して本発明における課題を解決するための手段を説明する。
図1参照
上記目的を達成するため、本発明は、複数段レンズの位置調整方法において、複数段レンズ1を構成する各レンズ2,3間の相対位置を変化させる手段と、複数段レンズ1に平行光を照射する手段と、複数段レンズ1により集光された光を回折して反射させる回折・反射手段4と、反射した0次回折光6と±1次回折光7,8の干渉縞を観察する手段とを有し、レンズ2,3間相対位置の変化前と変化後の干渉縞を比較し、レンズ2,3間距離を調整することを特徴とする。
【0016】
このように、複数段レンズ1を介して光を回折して反射させる回折・反射手段4から反射した0次回折光6と±1次回折光7,8の干渉縞を利用し、レンズ2,3間相対位置の変化前と変化後の干渉縞を比較することによって、レンズ2,3間相対位置の最適化が可能になる。
なお、「複数段レンズ1」とは、2段レンズ1が典型的なものであるが、3段以上の複合レンズにも適用されるものである。
【0017】
この場合、複数段レンズ1により集光された光を回折して反射させる回折・反射手段4を焦点位置からずらし、前後の位置での干渉縞がより対称に近づくように調整することにより微調整を行うことが望ましい。
【0018】
また、干渉縞を比較する具体的手法としては、干渉縞の縦エッジと横エッジの比率を調整することによりレンズ2,3間距離を調整しても良い。
即ち、反射した回折光5の内の0次回折光6と±1次回折光7,8の干渉により形成されるボール状の干渉パターン9,10内の干渉縞は、適正間隔の場合には、エッジ要素が少なく、また、エッジ要素があったとしても、縦エッジの比率が高いので、この比率を利用すれば良い。
なお、縦エッジとは、干渉縞における2つのボール状の干渉パターン9,10に平行な成分であり、横エッジとは、干渉縞における2つのボール状の干渉パターン9,10に垂直な成分である。
【0019】
また、干渉縞を比較する具体的手法としては、0次回折光6と±1次回折光7,8の干渉パターン9,10からフリンジスキャンによって求めた位相差から復元した縞画像を用いて収差を評価し、レンズ2,3間距離を調整するようにしても良い。
【0020】
また、本発明は、複数段レンズの位置調整方法において、複数段レンズ1を構成する各レンズ2,3間の相対位置を変化させる手段と、複数段レンズ1に平行光を照射する手段と、複数段レンズ1により集光された光を回折して反射させる回折・反射手段4と、反射した0次回折光6と±1次回折光7,8の干渉縞を観察する手段と、干渉させた回折光間の位相差を求める手段とを有し、レンズ2,3間相対位置の変化前と変化後の位相差を比較し、レンズ2,3間距離を調整することを特徴とする。
【0021】
この場合、位相差を求めるサンプリング点を、回折光の強度分布の大きな部分とすることが望ましく、それによって、量子化誤差を低減することができる。
【0022】
この場合のレンズ2,3間相対位置の変化前と変化後の位相差を比較する具体的方法としては、位相差の分布がより平坦に近づくようにレンズ2,3間距離を調整すれば良い。
【0023】
また、レンズ間距離とともに、チルト補正や軸ずれ補正が必要な場合には、複数段レンズ1を構成する各レンズ2,3間の相対位置を変化させる手段と、前記複数段レンズ1に平行光を照射する手段と、複数段レンズ1により集光された光を回折して反射させる回折・反射手段4と、反射した0次回折光6と±1次回折光7,8の干渉縞を観察する手段と、干渉させた回折光間の位相差を求める手段とを有し、直交座標系で表した波面のゼルニケ多項式の差分をさらに極座標系に直した位相差分布曲線に前記位相差から求めた位相差分布をフィッティングして収差を求めれば良い。
【0024】
また、複数段レンズ1により集光された光を回折して反射させる回折・反射手段4としては、回折格子を用いても良いし、或いは、複数段レンズ1の使用対象となる実光記録媒体を用いても良い。
【0025】
また、回折・反射手段4からの回折光のトラックエラー信号の振幅が最大になるように反射手段4の位置を調整することにより高度な調整が可能になる。
【0026】
上述の複数段レンズの位置調整方法を行う位置調整装置は、レンズ組立装置としても、或いは、既に組み立てある光学装置のレンズ検査装置として用いることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
ここで、図2乃至図7を参照して、本発明の第1の実施の形態の2段レンズの位置調整方法を説明する。
図2参照
図2は、本発明の第1の実施の形態に用いる2段レンズの位置調整装置の構成説明図であり、光源となるレーザダイオード11、レーザダイオード11からのレーザ光を平行光線に変換するコリメートレンズ12、レーザ光を2段レンズ14へ照射するとともに、反射してきた回折光を撮像装置19へ導くビームスプリッタ13、第1のレンズ15及び第2のレンズ16から構成されて位置調整対象となる2段レンズ14、2段レンズ14を介して照射されたレーザ光を反射・回折する反射型の回折格子17、反射してきた回折光を撮像する撮像装置19、撮像装置19で撮像した回折光の干渉パターン中の干渉縞を評価する干渉縞評価装置20、干渉縞評価装置20における評価に基づいて第1のレンズ15及び第2のレンズ16の間隔或いは回折格子17の位置を調整する光学要素の把持・移動装置18によって構成される。
【0028】
図3(a)乃至(c)参照
図3は、各光学要素の自由度の説明図であり、図3(a)及び(b)に示す第1のレンズ15及び第2のレンズは、Z軸に対して回転対称であることを前提としているので、X,Y,Z方向、X軸を回転軸とする回転、Y軸を回転軸とする回転の5つの自由度を有している。
【0029】
一方、図3(c)に示す回折格子17の場合には、チルトがないと仮定し、且つ、凹凸がY軸方向に延在しているので、X方向及びZ方向の2つの自由度のみとなる。
【0030】
図4参照
図4は、ボール状の干渉パターンの説明図であり、回折格子17から反射・回折してきた戻り光21が撮像装置19の画像平面22において、0次回折光23と−1次回折光24とが干渉してオーバーラップ部においてボール状の干渉パターン26が形成され、後述するようにこの干渉パターン26中には干渉縞が形成されている。
また、0次回折光23と+1次回折光25も同様に干渉してオーバーラップ部においてボール状の干渉パターン27が形成され、この干渉パターン27中にも干渉縞が形成されている。
【0031】
図5(a)及び(b)参照
図5は、ボール状の干渉パターンにおける干渉縞の説明図であり、干渉パターン26の中には、等高線状の干渉縞28が見られ、図5(b)に示すように、図5(a)に比べて等高線の間隔が広い方が、或いは、等高線が全く見られない方が各光学要素が互いに適正な位置関係にある。
【0032】
この場合、干渉縞28におけるエッジ成分とは、干渉パターン26,27における光強度分布を微分した場合のピーク位置を意味し、図において縦方向の成分を縦エッジとし、横方向の成分を横エッジとする。
【0033】
次に、図6を参照して、本発明の第1の実施の形態の2段レンズの位置調整方法を説明するが、各図に示した符号を参照して説明する。
図6参照
まず、▲1▼回折格子17の位置を焦点付近に微調整し、回折格子17からの戻り光21を撮像装置19で撮像し、▲2▼干渉縞評価装置20によって干渉縞28におけるエッジ要素を評価する。
【0034】
次に、▲3▼光学要素の把持・移動装置18によって、第1のレンズ15もしくは第2のレンズ16の位置を変化させる粗調整を行ったのち、回折格子17の位置を焦点近傍に調整する微調整を行い、▲4▼このときの戻り光21を撮像し、▲5▼干渉縞評価装置20で先に撮像した戻り光21における干渉縞28のエッジ要素との比較を行う。
【0035】
この比較において、エッジ要素に改善が見られた場合、例えば、干渉縞28における等高線の間隔が広くなった場合、もう一度▲3▼の工程に戻り、再び、第1のレンズ15もしくは第2のレンズ16の位置を変化させる粗調整を行ったのち、回折格子17の位置を焦点近傍に調整する微調整を行い、▲4▼このときの戻り光21を撮像し、▲5▼干渉縞評価装置20で先に撮像した戻り光21における干渉縞28のエッジ要素との比較を行い、改善が見られるかぎり、このサブルーチンを続ける。
【0036】
ついで、改善がみられない場合には、粗調整における移動量が予め設定した基準値よりも小さいか否を判定し、充分小さい場合には、1ステップ前の位置戻して調整を終了する。
【0037】
一方、粗調整における移動量が予め設定した基準値よりも大きい場合、▲6▼移動量を減らすとともに、▲7▼移動方向を反転させて、▲3▼の工程に戻り、同じフローで位置調整を行う。
【0038】
なお、最初のエッジ要素の比較において改善が見られない場合には、最初は当然、移動量を基準値より大きくしているので、▲6▼移動量を減らすとともに、▲7▼移動方向を反転させて、▲3▼の工程に戻り、▲3▼−▲4▼−▲5▼の工程を行い、改善の判断を行うことになる。
【0039】
次に、図7を参照して、上述の本発明の第1の実施の形態における2段レンズの位置調整方法における微調整法を説明する。
図7(a)参照
まず、微調整に際しては、図7(a)に示すように、回折格子17をZ方向に移動させて、戻り光21による干渉パターン26,27中における干渉縞28を観察する。
【0040】
図7(b)参照
回折格子17が焦点位置より2段レンズ14と反対側に位置している場合、2段レンズ14側に移動させた場合には焦点に近づくので、上図に示すように干渉縞28がほぼ縦縞となり、一方、さらに2段レンズ14から遠ざけた場合には、焦点から遠ざかるので、下図に示すように干渉縞28の湾曲が強くなり、エッジ要素における横エッジ成分が増加する。
【0041】
図7(c)参照
回折格子17がほぼ焦点位置にある場合、どちらの側に移動させても焦点位置からずれるので、干渉縞28が湾曲するが、干渉縞28の変化の仕方は移動方向に対して対称的変化となる。
【0042】
図7(d)参照
回折格子17が焦点位置より2段レンズ14側に位置している場合、2段レンズ14側に移動させた場合には焦点から遠ざかるので、上図に示すように干渉縞28の湾曲が強くなり、一方、2段レンズ14から遠ざけた場合には、焦点に近づくので、下図に示すように干渉縞28は縦縞となる。
【0043】
したがって、上下に移動させた場合、干渉パターン26,27における干渉縞28の変化が対称的変化となる位置が焦点位置となるので、この位置に回折格子17を移動させたのち、エッジ量評価のための戻り光21の撮像を行う。
【0044】
なお、上述の説明においては、干渉縞の評価を視覚的に説明しているが、各干渉縞28における縦エッジ成分及び横エッジ成分を計測し、縦エッジ成分と横エッジ成分の比率、或いは、縦エッジ成分と全エッジ比率を求め、この比率が、上下方向に対する移動に対して等しくなるように制御しても良いものである。
【0045】
なお、光源となるレーザダイオード11の輝度分布が一様ではない場合など、干渉縞画像における雑音成分が大きくなるので、この場合には、回折格子17を凹凸に垂直な方向、図3(c)におけるX方向に移動させ、0 次回折光23と±1次回折光24,25との間の位相を変化させ、その画像間の差分を取ることで雑音成分を減らすことが可能である。
【0046】
また、フィリンジスキャンによって位相差分布を求め、さらに強度分布に変換した合成画像を利用しても良いので、ここで、図8を参照してフリンジスキャン法を説明する。
レーザ光を回折格子17の凹凸に対してどの位置に集光させるかによって、0 次回折光23と±1次回折光24,25との位相差が変化し、干渉光の強度が変化するので、位相差(回折格子位置)を変化させながら干渉光強度を計測することで、位相差分布を求めることができる。
【0047】
図8(a)は、5つの回折格子位置におけるフリンジスキャンの例であり、まず、回折格子17を一周期分動かす間に1/4周期毎の4箇所で強度分布を計測した場合を示しており、例えば、図に示すように各回折格子位置における振幅は異なっている。
【0048】
ここで、強度がIa (x,y),Ib (x,y)で、位相差がφ(x,y)+δであるキャリッジの干渉光の強度ID (x,y,δ)は、下記の式(1)で表すことができる。
【数1】
【0049】
このδを、δ0 ,δ1 ,・・・・,δN−1 (上述の例はN=4)と変化させ、対応する干渉光の強度をIDi、誤差を含む干渉光の実測強度をIi とするとき、その差分の総和である下記の式(2)を最小とするa=(a0 ,a1 ,a2 )T は、下記の式(3)与えられ、位相分布φ(x,y)及びコントラストγ(x,y)は、夫々下記の式(4),式(5)で表される。
【数2】
【0050】
ここで、δi =2πi/Nの場合には、位相分布φ(x,y)は、下記の式(6)で表され、さらに、N=4の場合には、位相分布φ(x,y)は、下記の式(7)となる。
【数3】
【0051】
図8(b)参照
このような関係式に基づいて、それぞれの回折格子位置での1/4周期毎の4箇所でのデータを計算し、最初の点での位相を求めると、図のような位相差分布φが得られる。
この位相差分布φをさらに強度分布I(=cos2 φ)に変換した合成画像を利用すれば良い。
【0052】
次に、図9を参照して、本発明の第2の実施の形態の2段レンズの位置調整方法を説明する。
図9参照
図9は位相差分布の評価による2段レンズの位置調整装置の構成説明図であり、基本的構成は図2に示した第1の実施の形態の2段レンズの位置調整装置と同様であるが、ここでは、干渉縞評価装置20の代わりに、収差評価装置31を用いたものである。
【0053】
即ち、光源となるレーザダイオード11、レーザダイオード11からのレーザ光を平行光線に変換するコリメートレンズ12、レーザ光を2段レンズ14へ照射するとともに、反射してきた回折光を撮像装置19へ導くビームスプリッタ13、第1のレンズ15及び第2のレンズ16から構成される2段レンズ14、2段レンズ14を介して照射されたレーザ光を反射・回折する反射型の回折格子17、反射してきた回折光を撮像する撮像装置19、撮像装置19で撮像した回折光の位相差を評価する位相評価装置31、位相評価装置31における評価に基づいて第1のレンズ15及び第2のレンズ16の間隔或いは回折格子17の位置を調整する光学要素の把持・移動装置18によって構成される。
【0054】
この場合、まず、回折格子17の位置を焦点付近に調整し、戻り光21を撮像し、次いで、第1のレンズ15もしくは第2のレンズ16の位置を変化させ、回折格子17の位置を焦点付近に調整する。
【0055】
さらに、回折格子17を凹凸に垂直な方向に移動させ、上述のフリンジスキャンを行うことにより図8(b)に示したような位相差分布を取得し、取得した位相差分布が平坦になるよう第1のレンズ15と第2のレンズ16との間の相対位置を調整するものである。
【0056】
この様に、本発明の第2の実施の形態においては、フリンジスキャンによる位相差分布を利用して2段レンズの位置調整を行っているので、光源の輝度分布の影響を受けることなく、精度の高い位置調整が可能になる。
【0057】
以上の第1の実施の形態及び第2の実施の形態においては、第1のレンズ15及び第2のレンズ16のチルト補正および軸ずれ補正が充分になされている場合として説明しているが、次に、チルト補正および軸ずれ補正が充分ではない場合の本発明の第3の実施の形態の2段レンズの位置調整方法を説明する。
【0058】
チルト補正および軸ずれ補正が充分ではない場合には位相差分布の解析を行うが、この位相差分布の解析では、まず始めに、下記の式(8)で示すゼルニケ多項式で表した波面同士を直交座標系上で減算し、戻り光21の位相差分布の式を求める。
【数4】
このときの座標原点は任意に設定できる。
【0059】
このゼルニケ多項式は直交系をなしており、波面収差をゼルニケ多項式分解すると各項の係数が収差に対応する。
例えば、上記のZrn6 はコマX(X軸方向のコマ収差)に、Zrn7 の係数はコマY(Y軸方向のコマ収差)に、Zrn8 の係数は3次の球面収差に対応する。
【0060】
次に直交座標系から極座標系に変換することにより、任意の直線上での位相差分布の式が容易に得られ、適当な直線上の実際の位相差分布をこの式にフィッティングすることで、収差を直接求めることが可能になるので、使用するレンズデータと得られた収差との関係から第1のレンズ15及び第2のレンズ16のチルトや軸ずれ量を推定し、レンズ位置を調整すれば良い。
【0061】
このとき、誤差を抑えるためには、干渉光の振幅が大きい部分のデータを使用することが望ましいので、図10を参照してその事情を説明する。
図10参照
図10は、振幅の違う2つのデータに「・」及び「×」で示す量子化誤差を乗せたものである。
【0062】
ノイズの影響に加え、フリンジスキャンで位相差を求める場合にはこのような量子化誤差によってその点での精度が変化するため、振幅の大きい点をサンプリング点とすることで誤差を抑えることができ、それによって、より精度の高いチルト補正及び軸ずれ補正が可能になる。
【0063】
以上、本発明の各実施の形態を説明してきたが、本発明は上記の各実施の形態に記載した構成・条件に限られるものではなく、各種の変更が可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、反射・回折手段としてY方向に延在する凹凸を設けた回折格子17を用いているが、反射・回折手段として、光磁気ディスクなどの実際の媒体、或いは、回折格子に保護膜等を付加した擬似媒体を用いても良く、それによって、実際の2段レンズ使用条件に近い状況での評価が可能になる。
【0064】
また、上記の各実施の形態における回折格子17の位置調整法、即ち、図7に示した干渉縞像を対称に近づける手法或いは図8に示した位相差分布を平坦にする手法は一例であり、他の手法を用いても良いものである。
【0065】
図11(a)乃至(c)参照
例えば、回折格子17の位置によりボール状の干渉パターン26,27の大きさが変化するので、この干渉パターン26,27の大きさを予め設定した規定の大きさにするよう回折格子17をZ方向に移動して調整しても良いものであり、非常に簡単に位置調整を行うことができる。
【0066】
なお、回折格子17が焦点より2段レンズ14側にある場合には、図11(a)に示すように干渉パターン26,27は小さくなり、一方、回折格子17が焦点より2段レンズ14と反対側にある場合には、図11(c)に示すように干渉パターン26,27は大きくなる。
【0067】
或いは、戻り光21のTES(トラックエラー信号)の振幅が最大になるように調整しても良いものであり、ここで、図12乃至図13を参照してTES−MAX探査を説明する。
【0068】
図12(a)参照
図12(a)は、TES−MAX探査に用いる2段レンズの位置調整装置の構成説明図であり、基本的構成は上記の第1の実施の形態の2段レンズの位置調整装置と同様である。
即ち、光源となるレーザダイオード11、レーザダイオード11からのレーザ光を平行光線に変換するコリメートレンズ12、レーザ光を2段レンズ14へ照射するとともに、反射してきた回折光を2分割フォトダイオード33に照射するビームスプリッタ13、第1のレンズ15及び第2のレンズ16から構成される2段レンズ14、2段レンズ14を介して照射されたレーザ光を反射・回折する反射型の回折格子17、反射してきた回折光を収束する集光レンズ32、集光レンズ33で収束された回折光を受光する2分割フォトダイオード33、2分割フォトダイオード33の受光信号からTES信号を解析するTES信号解析装置36、及び、TES信号解析装置36の解析結果に基づいて第1のレンズ15及び第2のレンズ16の間隔或いは回折格子17の位置を調整する光学要素の把持・移動装置18によって構成される。
【0069】
図12(b)参照
この場合の2分割フォトダイオード33は、第1受光領域34と第2受光領域35によって構成され、この第1受光領域34及び第2受光領域35にボール状の干渉パターン26,27が結像するようにする。
【0070】
この時、回折格子17を光軸及び凹凸に直角な方向、即ち、X方向に移動させることにより、第1受光領域34における受光量Aと第2受光領域35における受光量Bが変化するので、この受光量Aと受光量Bの差分C、即ち、TES信号も変化することになり、この差分Cの振幅が最大になるとき回折格子17は2段レンズ14の焦点位置にあることになる。
【0071】
したがって、まず差分Cの振幅を計測し、次に回折格子17を光軸方向に動かしてさらに差分Cの振幅を計測する。
これを繰り返して差分Cの振幅が最大になる位置を探索する。
【0072】
図13参照
図13は、上述のTES信号の変化を模式的に示したもので、あるレンズ間距離においてTES信号の振幅が最大になる回折格子位置を求め、つぎに、レンズ間距離を変えて、そのレンズ間距離においてTES信号の振幅が最大になる回折格子位置を求め、レンズ間距離の移動前後のTES信号の振幅の最大値を比較し、TES振幅が最も大きくなるまで、レンズの位置調整を行う。
このTES−MAX探査法は、TES信号の取り込み等が必要になるが、高精度な調整が可能になる。
【0073】
また、上記の各実施の形態においては、2段レンズの位置調整方法として説明しているが、2段レンズに限られるものではなく、3段レンズ以上の複数段レンズにも適用されるものである。
【0074】
また、上記の各実施の形態においては、光磁気ディスク装置或いは光ディスク装置等の光記録装置を構成する光ヘッドに用いる対物レンズとして説明しているが、本発明は光記録装置に限られるものではなく、複数のレンズを組み合わせた各種の複合レンズに適用されるものであり、したがって、対物レンズに限られるものではない。
【0075】
また、上記の各実施の形態においては、図2、図9、及び、図12(a)に示した装置を位置合わせ装置として説明しているが、既に組み立てた複数段レンズの検査装置として用いることができることは言うまでもないことである。
【0076】
また、図2、図9、及び、図12(a)に示した装置における光学要素の把持・移動手段18に、レンズ固定手段を設けることによって、各レンズを最適位置において固定することによって、レンズ組立装置としても良いものである。
【0077】
ここで、再び図1を参照して、改めて本発明の詳細な特徴を説明する。
再び、図1参照
(付記1) 複数段レンズの位置調整方法において、前記複数段レンズ2,3を構成する各レンズ2,3間の相対位置を変化させる手段と、前記複数段レンズ2,3に平行光を照射する手段と、前記複数段レンズ2,3により集光された光を回折して反射させる回折・反射手段4と、前記反射した0次回折光6と±1次回折光7,8の干渉縞を観察する手段とを有し、前記レンズ2,3間相対位置の変化前と変化後の干渉縞を比較し、レンズ2,3間距離を調整することを特徴とする複数段レンズの位置調整方法。
(付記2) 上記複数段レンズ2,3により集光された光を回折して反射させる回折・反射手段4を焦点位置からずらし、前後の位置での縞がより対称に近づくように調整することを特徴とする付記1記載の複数段レンズの位置調整方法。
(付記3) 上記干渉縞の縦エッジと横エッジの比率を調整することによりレンズ2,3間距離を調整することを特徴とする付記1または2に記載の複数段レンズの位置調整方法。
(付記4) 上記反射した0次回折光6と±1次回折光7,8の干渉パターンからフリンジスキャンによって求めた位相差から復元した縞画像を用いて収差を評価し、レンズ2,3間距離を調整することを特徴とする付記1乃至3のいずれか1に記載の複数段レンズの位置調整方法。
(付記5) 複数段レンズの位置調整方法において、前記複数段レンズ2,3を構成する各レンズ2,3間の相対位置を変化させる手段と、前記複数段レンズ2,3に平行光を照射する手段と、前記複数段レンズ2,3により集光された光を回折して反射させる回折・反射手段4と、前記反射した0次回折光6と±1次回折光7,8の干渉縞を観察する手段と、前記干渉させた回折光間の位相差を求める手段とを有し、前記レンズ2,3間相対位置の変化前と変化後の位相差を比較し、レンズ2,3間距離を調整することを特徴とする複数段レンズの位置調整方法。
(付記6) 上記位相差を求めるサンプリング点を、上記回折光の強度分布の大きな部分とすることを特徴とする付記5記載の複数段レンズの位置調整方法。
(付記7) 上記位相差の分布がより平坦に近づくようにレンズ2,3間距離を調整することを特徴とする付記5または6に記載の複数段レンズの位置調整方法。
(付記8) 複数段レンズの位置調整方法において、前記複数段レンズ2,3を構成する各レンズ2,3間の相対位置を変化させる手段と、前記複数段レンズ2,3に平行光を照射する手段と、前記複数段レンズ2,3により集光された光を回折して反射させる回折・反射手段4と、前記反射した0次回折光6と±1次回折光7,8の干渉縞を観察する手段と、前記干渉させた回折光間の位相差を求める手段とを有し、直交座標系で表した波面のゼルニケ多項式の差分をさらに極座標系に直した位相差分布曲線に前記位相差から求めた位相差分布をフィッティングして収差を求め、前記各レンズ2,3間の軸ずれ、前記各レンズ2,3間ののチルト、或いは、レンズ2,3間距離の少なくとも一方を補正することを特徴とする複数段レンズの位置調整方法。
(付記9) 上記複数段レンズ2,3により集光された光を回折して反射させる回折・反射手段4として、上記複数段レンズ2,3の使用対象となる実光記録媒体を用いることを特徴とする付記1乃至8のいずれか1に記載の複数段レンズの位置調整方法。
(付記10) 上記回折・反射手段4からの反射光のトラックエラー信号の振幅が最大になるように前記回折・反射手段4の位置を調整することを特徴とする付記1乃至9のいずれか1に記載の複数段レンズの位置調整方法。
(付記11) 付記1乃至10のいずれか1に記載の複数段レンズの位置調整方法を利用したことを特徴とするレンズ組立装置。
(付記12) 付記1乃至10のいずれか1に記載の複数段レンズの位置調整方法を利用したことを特徴とするレンズ検査装置。
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、複数段レンズの調整において、回折光の干渉縞或いは収差を評価する過程を含むため、最適なレンズ間相対位置に調整することが可能になり、それによって、光記録装置等の性能向上或いはスループット向上に寄与するところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理的構成の説明図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の2段レンズの位置調整装置の構成説明図である。
【図3】光学要素の自由度の説明図である。
【図4】ボール状の干渉パターンの説明図である。
【図5】ボール状の干渉パターンにおける干渉縞の説明図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態の2段レンズの位置調整方法のフロー図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態の2段レンズの位置調整方法における微調整法の説明図である。
【図8】フリンジスキャン法の説明図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態の2段レンズの位置調整装置の構成説明図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態の2段レンズの位置調整方法における振幅選択の説明図である。
【図11】回折格子の位置調整方法の説明図である。
【図12】TES−MAX探査の説明図である。
【図13】TES信号の説明図である。
【符号の説明】
1 複数段レンズ
2 レンズ
3 レンズ
4 回折・反射手段
5 反射した回折光
6 0次回折光
7 −1次回折光
8 +1次回折光
9 干渉パターン
10 干渉パターン
11 レーザダイオード
12 コリメートレンズ
13 ビームスプリッタ
14 2段レンズ
15 第1のレンズ
16 第2のレンズ
17 回折格子
18 光学要素の把持・移動装置
19 撮像装置
20 干渉縞評価装置
21 戻り光
22 画像平面
23 0次回折光
24 −1次回折光
25 +1次回折光
26 干渉パターン
27 干渉パターン
28 干渉縞
31 収差評価装置
32 集光レンズ
33 2分割フォトダイオード
34 第1受光領域
35 第2受光領域
36 TES信号解析装置
Claims (5)
- 複数段レンズの位置調整方法において、前記複数段レンズを構成する各レンズ間の相対位置を変化させる手段と、前記複数段レンズに平行光を照射する手段と、前記複数段レンズにより集光された光を回折して反射させる回折・反射手段と、前記反射した0次回折光と±1次回折光の干渉縞を観察する手段とを有し、前記レンズ間相対位置の変化前と変化後の干渉縞を比較し、レンズ間距離を調整することを特徴とする複数段レンズの位置調整方法。
- 複数段レンズの位置調整方法において、前記複数段レンズを構成する各レンズ間の相対位置を変化させる手段と、前記複数段レンズに平行光を照射する手段と、前記複数段レンズにより集光された光を回折して反射させる回折・反射手段と、前記反射した0次回折光と±1次回折光の干渉縞を観察する手段と、前記干渉させた回折光間の位相差を求める手段とを有し、前記レンズ間相対位置の変化前と変化後の位相差を比較し、レンズ間距離を調整することを特徴とする複数段レンズの位置調整方法。
- 複数段レンズの位置調整方法において、前記複数段レンズを構成する各レンズ間の相対位置を変化させる手段と、前記複数段レンズに平行光を照射する手段と、前記複数段レンズにより集光された光を回折して反射させる回折・反射手段と、前記反射した0次回折光と±1次回折光の干渉縞を観察する手段と、前記干渉させた回折光間の位相差を求める手段とを有し、直交座標系で表した波面のゼルニケ多項式の差分をさらに極座標系に直した位相差分布曲線に前記位相差から求めた位相差分布をフィッティングして収差を求め、前記各レンズ間の軸ずれ、各レンズ間のチルト、或いは、レンズ間距離の少なくとも一方を補正することを特徴とする複数段レンズの位置調整方法。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の複数段レンズの位置調整方法を利用したことを特徴とするレンズ組立装置。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の複数段レンズの位置調整方法を利用したことを特徴とするレンズ検査装置。
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- 2002-11-28 JP JP2002345938A patent/JP2004177334A/ja not_active Withdrawn
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