JP2004177120A - 水分検知装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】人工透析等、被検知液(人工透析の場合、血液)を検知する検知部の正確な動作が求められる現場で使用できる水分検知装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の水分検知装置は、乾燥状態で電気絶縁性を示す吸水材に非接触状態にある1対の導電線を取付けると共に、上記吸水材が被検知液を吸った時の上記1対の導電線間の抵抗値よりも高い値の抵抗を上記1対の導電線間に設けてなる検知部と、上記検知部の1対の導電線間の導電率より、少なくとも上記吸水材が乾燥している状態で、検知部が正しく動作しているか否かを報知すると共に、上記吸水材が被検知液を吸った場合に水分検知を報知する報知部とで構成されることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、人工透析の針からの血液の漏れ等を検出する水分検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、老人介護や乳児用のオムツに排尿を検知して知らせる尿検知装置が種々提案されている。これらの尿検知装置は、乾燥状態で電気絶縁性を示す吸水材に非接触状態の一対の導電線を取付けて成る検知部を紙オムツに装着しておき、排尿により上記吸水材が含水することにより生じる上記導電線間の導電率の変化に基づいて尿検知を行うものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
【特許文献1】
実開昭53−112488号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記尿検知装置を応用すれば、医療の現場において、人工透析用のチューブの先端に取り付けられ、患者の腕に刺されている針からの血液の漏れを検知する水分検知装置を構成することができる。しかし、排尿の場合と違い、人工透析の場合、検知部が正確に針からの血液の漏れを検知してこれを報知しなければ、重大な事故を招くことがある。
【0005】
本発明は、被検知液(上記人工透析の場合、血液)を検知する検知部の正確な動作が求められる現場で使用できる水分検知装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の水分検知装置は、乾燥状態で電気絶縁性を示す吸水材に非接触状態にある1対の導電線を取付けると共に、上記吸水材が被検知液を吸った時の上記1対の導電線間の抵抗値よりも高い値の抵抗を上記1対の導電線間に設けてなる検知部と、上記検知部の1対の導電線間の導電率より、少なくとも上記吸水材が乾燥している状態で、検知部が正しく動作しているか否かを報知すると共に、上記吸水材が被検知液を吸った場合に水分検知を報知する報知部とで構成されることを特徴とする。
【0007】
本発明の第2の水分検知装置は、上記第1の水分検知装置において、上記検知部は、乾燥状態で電気絶縁性を示し、被検知液に接する側に使用される吸水性の上敷きと、乾燥状態で電気絶縁性を示す下敷きと、乾燥状態で電気絶縁性を示し、吸水時に導電率を高める手段を備える接着剤により、上記上敷きと下敷きの間に挟持されるように接着された非接触状態にある1対の導電線及び抵抗とで構成され、上記1対の導電線間の少なくとも一部に上記接着剤が介在することを特徴とする。
【0008】
本発明の第3の水分検知装置は、上記第1又は第2の水分検知装置において、上記検知部の1対の導電線は、報知部に着脱自在に電気的に接続されていることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、水分検知装置100の構成を示す図である。水分検知装置100は、水、溶液、尿又は血液等の被検知液を検知する検知部10と、検知部10に電気的に接続されている報知部21とで構成される。
【0010】
後に図4を参照しつつ説明するが、本実施形態において、水分検知装置100は、患者の腕に刺されている人工透析用チューブの針から漏れ出る血液を被検知液とし、上記検知部10を人工透析用チューブの針を刺した状態の腕に巻きつけて使用する。
【0011】
検知部10は、図示するように、乾燥状態で電気絶縁性を示す吸水材1に非接触な状態にある1対の導電線3,4を取付け、更に、上記1対の導電線3,4の間に、上記吸水材1が被検出液(本実施形態の場合、血液)を含んだ際の上記1対の導電線3,4間の抵抗値よりも大きな、好ましくは、1桁以上大きな値の抵抗5を設けたものである。吸水材1の外にのびる導電線3,4は、端部にコネクタ6を備える。
【0012】
以下に詳しく説明する報知部21は、上記検知部10のコネクタ6に対応するコネクタ20を備える。コネクタ20とコネクタ6を接続することで、検知部10の導電線3,4及び抵抗5は、報知部21内部の回路と閉回路を構成する。
【0013】
報知部21は、3つの発光ダイオード(以下、単にLEDとも記す。)24,27,28、及び、ブザー25,29を備える。報知部21は、コネクタ20に何も接続されていない時、或いは、乾燥状態において、検知部10を接続したにもかかわらず、内部の配線が切断している場合、赤色のLED24を発光すると共にブザー25を鳴らす。報知部21は、検知部10が正しく接続され、乾燥状態で水分検知機能が正常に動作している場合、青色のLED27を発光する。報知部21は、検知部10が液漏れ(血液)を検知した場合、赤色のLED28を発光すると共にブザー29を鳴らす。
【0014】
なお、上記LED24とLED28は共に危険を知らせる意味で赤色のものを使用し、LED27は、正常に動作していることを知らせる意味で青色のものを使用するが、これに限定されず、例えば、LED24に赤色、LED27に緑色、LED28に青色又は白色等のLEDを用いて区別しやすいようにしても良い。
【0015】
また、上記2つのブザー25及び29は、検知部10から離れている者に発生した異常の内容を迅速に知らせるため、異なる音色やパターンのものを採用するのが好ましい。
【0016】
図2は、検知部10の構成を示す図である。検知部10は、吸水材1として乾燥状態で電気絶縁性を示す2枚の吸水性の下敷き1a及び上敷き1bを用いる。上記導電線3、抵抗5及び導電線4により構成される回路は、乾燥状態で電気絶縁性を示し、吸水時に導電率を高める手段を備える接着剤により、上記下敷き1a及び上敷き1bの間に挟持されるように接着される。
【0017】
上記接着剤には、Nacl等の電解質の粉末を混ぜ込んだ、又は溶かし込んだ水溶性のものを使用するが、この他、鉄粉等の導電性物質の粒粉を混ぜ込んだ水溶性の接着剤を使用することも考えられる。上記接着剤は、1対の導電線3,4の間の少なくとも一部に介在するように塗布する。
【0018】
上記抵抗5には、貼り合わせた上記下敷き1a又は上敷き1bが被検知液、即ち、人工透析の場合、血液に濡れたときの導電線間の抵抗値(数十Ω)よりも高い値、例えば、1桁以上高い20kΩの抵抗を使用するのが好ましい。
【0019】
上記吸水時に導電率を高める手段を備える接着剤を用いて2枚の下敷き紙1a及び上敷き1bを張り合わせることで、吸水材1が被検知液を吸ったとき時の通電率を向上させて低い電圧での検出動作を実現することができる。これにより感電などの事故を防ぐことができる。
【0020】
図3は、報知部21の具体的な構成を示す図である。報知部21は、3つの抵抗分割回路C1,C2,C3と、これらの抵抗分割回路からの出力値を比較して択一的に赤のLED24の発光及びブザー25の作動、青のLED27の発光、又は、赤のLED28の発光及びブザー29の作動を実行する制御部C4とで構成される。
【0021】
抵抗分割回路C1は、検知部10のコネクタ6が報知部21のコネクタ20に正しく接続されている場合に作動する。即ち、検知部10が接続された場合、電源電圧Vccを検知部10の抵抗5(=20kΩ)と、抵抗r1(=20kΩ)で半分の値にして比較器22の負の信号入力端子、及び、比較器23の正の信号入力端子に入力する。他方、検知部10が未接続又は正しく接続されておらず、接触不良を起こしている場合には、コネクタ20が開放されていることになり、電源電圧Vccが抵抗r1において消費される分だけ電圧降下した値が、比較器22及び比較器23に出力されることになる。
【0022】
抵抗分割回路C2は、抵抗r2(=100kΩ)と可変抵抗R1(例えば、10〜20kΩ)で構成される。例えば、可変抵抗R1が20kΩの場合、比較器23の負の信号入力端子に、Vcc×R1/(r2+R1)=Vcc/6の電圧を印加する。なお、可変抵抗R1の値は、Vcc×R1/(r2+R1)の値がVcc/2より小さくなる範囲で設定することができる。
【0023】
抵抗分割回路C3は、抵抗r3(=20kΩ)と可変抵抗R2(例えば、50〜100kΩ)で構成される。例えば、可変抵抗R2が100kΩの場合、比較器22の正の信号入力端子に、Vcc×R2/(r3+R2)=Vcc×5/6の電圧を印加する。なお、可変抵抗R2の値は、Vcc×R2/(r3+R2)の値がVcc/2より大きくなる範囲で設定することができる。
【0024】
比較器22の出力端子には、上記電源Vccが抵抗r4(=470kΩ)、赤色LED24及びブザー25を介して接続されている。比較器23の出力端子には、上記電源Vccが抵抗r4(=470kΩ)、赤色LED28及びブザー29を介して接続されている。また、上記電源Vccは、抵抗r4及び抵抗r5(=470kΩ)を介して接地されている。
【0025】
比較器22及び比較器23の出力端子は、2入力ANDゲート26の各信号入力端子に入力されている。2入力ANDゲート26の出力端子は、青色のLED27に接続されている。
【0026】
上記構成において、検知部10が未接続の場合、比較器22の出力がLowレベルになり、赤色のLED24を発光させると共に、ブザー25を鳴らす。また、検知部10を正しく接続した場合、比較器22及び比較器23の何れの出力もHighレベルになり、これら2つの信号が入力されるANDゲート26の出力がHighレベルに切り換り、青色のLED27を発光させる。また、検知部10が被検知液である血液を吸って導電線3,4間の抵抗が数十Ωにまで低下した場合、比較器23の出力がLowレベルになり、赤色のLED28を発光させると共に、ブザー29を鳴らす。
【0027】
図4は、水分検知装置100を人工透析用チューブ30の先端の針から血液が漏れていないかを検知するために使用する例を示す図である。使用する腕50に約1cm間隔で刺された2本の人工透析用のチューブ30a,30bの針を約1.5cm間隔で設けた導電線3,4の間に置くようにして、幅約4cmの検知部10を腕50に巻きつける。
【0028】
上記検知部10の長さは、少なくとも人工透析用チューブ30の2つの装着部を覆う程度の長さに設定する。この場合、検知部10の上から通気性のある保護フィルムやテープを貼りつけて腕50に固定する。検知部10の長さは、腕50に一回り以上巻きつけて固定できる長さに設定してもよい。
【0029】
水分検知装置100は、上述するように、被検知液である血液の漏れを検知する前の乾燥状態において、検知部10が正常に動作しているか否かを常に監視し、接続不良等の異常が発生した場合には直ちに報知動作を行うため、検知部10の動作不良等の不慮の事故を低減することができる。
【0030】
なお、水分検知装置10は、上記人工透析チューブからの血液漏れの検知の他に、例えば輸血など、被検知液の漏れを検知する必要があり、更に、検知部10の確実な動作が要求される場面に適用することができる。
【0031】
【発明の効果】
本発明の水分検知装置は、検知部に備える2本の導電線を繋ぐ抵抗を備えることで、報知部において被検知液を未検知の状態、即ち乾燥状態にある検知部が正常に動作しているか否かを調べることができる。これにより、検知部の動作不良による不慮の事故を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】水分検知装置の全体構成を示す図である。
【図2】検知部の構成を示す図である。
【図3】報知部の構成を示す図である。
【図4】水分検知装置の使用例を示す図である。
【符号の説明】1 吸水材、3,4 導電線、5 抵抗、6,20 コネクタ、10 検知部、21 報知部、100 水分検知装置、C1,C2,C3
抵抗分割回路、C4 制御部。

Claims (3)

  1. 乾燥状態で電気絶縁性を示す吸水材に非接触状態にある1対の導電線を取付けると共に、上記吸水材が被検知液を吸った時の上記1対の導電線間の抵抗値よりも高い値の抵抗を上記1対の導電線間に設けてなる検知部と、
    上記検知部の1対の導電線間の導電率より、少なくとも上記吸水材が乾燥している状態で、検知部が正しく動作しているか否かを報知すると共に、上記吸水材が被検知液を吸った場合に水分検知を報知する報知部とで構成されることを特徴とする水分検知装置。
  2. 請求項1に記載の水分検知装置において、
    上記検知部は、乾燥状態で電気絶縁性を示し、被検知液に接する側に使用される吸水性の上敷きと、乾燥状態で電気絶縁性を示す下敷きと、乾燥状態で電気絶縁性を示し、吸水時に導電率を高める手段を備える接着剤により、上記上敷きと下敷きの間に挟持されるように接着された非接触状態にある1対の導電線及び抵抗とで構成され、上記1対の導電線間の少なくとも一部に上記接着剤が介在することを特徴とする水分検知装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の水分検知装置において、
    上記検知部の1対の導電線は、報知部に着脱自在に電気的に接続されていることを特徴とする水分検知装置。
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