JP2004173590A - 褐変抑制剤及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上記課題は、タマネギの超・亜臨界CO2抽出物を野菜や果物の褐変抑制剤の有効成分として用いることにより解決される。この超・亜臨界CO2抽出物は、好適にはタマネギから、低級アルコール及び水よりなる群から選択される少なくとも1種の溶媒存在下で、圧力14〜20MPa及び温度40〜60℃の超臨界状態の二酸化炭素で抽出されたものである。
【選択図】なし
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、野菜及び果物の褐変防止に有効に利用できる褐変抑制剤に関する。
より詳細には、本発明は食経験のある植物の抽出物を有効成分とする野菜または果物の褐変抑制剤に関する。さらに本発明は、当該褐変抑制剤の製造方法並びに当該褐変抑制剤を用いた野菜または果物の褐変防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、野菜や果物等の青果物の鮮度保持を目指して各種の方法が検討されている。特にレタスやキャベツなどのカット野菜は、その切断面が早期に褐変してしまい、鮮度を第一とする青果物の商品価値を著しく低下する原因となる。また、ごぼう、ナス、マッシュルーム及びレンコン等の野菜やリンゴやナシなどの果物は、調理時の短時間でも放置すると切断面、皮を剥いた表面及び搾汁等が変色し、見た目が著しく悪くなってしまう。
【0003】
こうした野菜や果物等の青果物の褐変防止及び鮮度保持方法として、従来は、▲1▼洗浄漂白、▲2▼殺菌、▲3▼酸化防止、▲4▼酵素活性阻害、あるいは▲5▼温度管理のいずれかの方法やそれらの組み合わせに依存していた。
【0004】
たとえば、▲1▼洗浄漂白による褐変防止法については、野菜や果物を収穫後、前処理、切断、洗浄、冷却、脱水、包装までの流れの中で、カット野菜やカット果物を水道水あるいは次亜塩素酸ナトリウムを添加した水槽で水洗し、付着物を除去し、湯通し(ブランチング)するか、食塩、食酢を加える方法が主体であった。しかしながら、この工程を経た場合、生カット野菜や果物が変色したり、また塩味、酸味が強い場合や、次亜塩素酸ナトリウムの塩素臭が残存したり、あるいは塩素によりカット野菜の組織が変化するなど、外観、風味、鮮度維持の点で問題があった。
【0005】
▲2▼殺菌による褐変防止方法は、褐変の一原因が微生物(細菌、酵母、カビ)の増殖に起因することに基づくものである。微生物の増殖を抑制するため、さまざまな抗菌剤による処理や低温での温度管理方法による防止策(例えば、特許文献1及び2参照)が提案されている。しかしながら、微生物の増殖は抑制できても、野菜の褐変防止に充分な成果をあげるには到っていないのが現状である。褐変は、生野菜や生果物から加工品まで多方面にわたって品質劣化の大きな要因となっており、品質面と衛生面の両方で効果的な褐変防止方法が望まれている。
【0006】
また、▲3▼酸化防止による褐変防止法としては、キャベツ、青菜、レタスなどを原料とした野菜ジュースやペーストを調製する場合に、ビタミンCやビタミンEなどの酸化防止剤、リンゴ酸、クエン酸及び酢酸などの有機酸、重合リン酸塩、みょうばん及び麹酸等を1種または2種以上組み合わせて用いる方法が提案されている(例えば特許文献3、特許文献3の従来の技術の欄、特許文献4及び特許文献5参照)。しかしながら、ビタミンCには顕著な褐変防止効果がないとの報告もあり(例えば非特許文献1参照)、また使用したビタミンCが空気酸化などによって消失すると褐変防止効果も失われるという問題がある。また、それ以外の上記物質も褐変防止効果や弱かったり、効果があっても味に影響したりして、必ずしも好ましいものとはいえない。
【0007】
▲4▼酵素活性阻害による褐変防止法は、野菜や果物の褐変に関与する酵素に着目した方法であり、具体的には、予めレタスやリンゴなどの対象野菜や果物を加熱処理(ブランチング)して野菜の着色に関与する酵素(オキシダーゼ、パーオキシダーゼなど)を失活させる方法(例えば、特許文献6参照)が提案されている。しかし、この方法は野菜を加熱するために、処理対象物が加工食品に限られること、及び加熱処理によって野菜や果物本来の風味が損なわれるという問題がある。
【0008】
また、着色の原因物質の1つであるポリフェノールによる変色を抑制するために、製造工程で低温管理して保存したり(▲5▼温度管理による褐変防止法)、有機酸を添加しpH調整するなど、さまざまな取り組みがなされているが、着色の発生と色の変化を抑制することは困難であった。
【0009】
ところで、レタスの茎切断面の褐変には、(1)茎を切断した際にしみ出る白色乳液に由来する茶色褐変と、(2)切り口の刺激に対して発現する酵素に誘発されて生じる赤色褐変がある(例えば非特許文献2参照)。前者(1)の茶色褐変は、白色乳液中に含まれるラクタシン(lactucin)及びラクタコピクリン(lactucopictin)が、その他の成分(糖類、ビタミンK、ビタミンU、ビタミンC、微量ニッケル)とともに酸化還元酵素に結合することによって生じることが知られている。また、後者(2)の赤色褐変は、ポリフェノールの重合によって生成した着色成分が原因であることが知られている。具体的には、刺激によって生じた酵素(フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL))が野菜に含まれるフェニルアラニンと反応してポリフェノールを生じ、次いでこれがポリフェノールオキシダーゼ(PPO)の作用で酸化されてキノン化合物となり、このキノン化合物が周囲のアミノ酸やタンパク質と結合し、あるいはキノン化合物同士が重合化して、褐色物質に変化すると報告されている(例えば非特許文献3参照)。
【0010】
前者(1)の茶色褐変は切り口からしみ出た乳液を除去することで防止できるが、後者(2)の赤色褐変の防止は、従来よりイソチオシアン酸アリル(例えば特許文献7参照)、長石、珪石及び粘土質セラミックより水に溶出されてなる組成液(例えば特許文献8参照)、並びにプロテアーゼまたはプロテアーゼと酸化防止剤及び/又はシクロデキストリン(例えば特許文献9参照)で切断面を処理する方法が提案されているものの、未だ十分な解決方法とはいえないのが現状である。
【0011】
こうしたレタスなどの野菜は、外食産業等の業務用あるいは一般消費者に、カット野菜の形態で提供されたり、総菜や弁当の具材として利用される場合が多く、そしてその外観は鮮度を判断する重要な指標となる。ゆえに、野菜や果物の変色、褐変あるいはしおれ等の外観変化は、これらの商品価値を高く保つためにも解決しなくてはならない重要な課題である。
【0012】
このため、従来より、食経験のある素材や天然に由来する素材から褐変抑制剤を求めて検討が進められているが(例えば、パパイヤ等由来のプロテアーゼ(特許文献9)、五倍子抽出物(特許文献10)、菌体等由来のサイトカイニン(特許文献11)、ヒノキチオール(特許文献12)、ベタイン(特許文献13)など)、野菜や果物の切断面の褐変を抑制する作用を持つ成分は十分に見いだされていないのが実情である。
【0013】
また、特に食品に使用する場合には、安全性だけでなく、食品本来の味、風味及び色に影響を与えないように、それ自体が味や臭いを有さず、また着色していないことが望まれる。
【0014】
タマネギにはこれまで褐変防止効果があることが示唆されていたが(非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6)、それを野菜や果物などの食品の処理に使用するための製剤の確保とその製法の設定については、十分とはいえなかった。
【0015】
タマネギ以外にもニンニク、ニラ、リーキ、ラッキョウ、アサギ、ワケギ、ユリなどユリ科植物には上記の効果が検討されているが、その匂いによって、褐変防止剤としての実用化が困難であった。また、対象となるものには、レタス、フキ、ゴボウ、ナス、ジャガイモ、サツマイモ、マッシュルーム、シイタケ、シシトウ、ピーマン、トウガラシなどの野菜だけでなく、リンゴ、ビワ、スモモ、サクランボ、モモ、バナナなどの果物の褐変防止が示唆されているが、その褐変防止効果を有する製剤とその処理方法並びに製造方法を具体的に確保する必要があった。
【0016】
【特許文献1】
特公昭55−40223号公報
【0017】
【特許文献2】
特開2001−120169号公報
【0018】
【特許文献3】
特開平5−38253号公報
【0019】
【特許文献4】
特開昭50−63162号公報
【0020】
【特許文献5】
特開平4−135448号公報
【0021】
【特許文献6】
特開昭52−12946号公報
【0022】
【特許文献7】
特開2001−299210号公報
【0023】
【特許文献8】
特開平10−174553号公報
【0024】
【特許文献9】
特開平3−228641号公報、
【0025】
【特許文献10】
特開平4−190739号公報
【0026】
【特許文献11】
特開平5−184290号公報
【0027】
【特許文献12】
特開平7−67528号公報
【0028】
【特許文献13】
特開平11−243853号
【0029】
【非特許文献1】
H.Oota, W.Sugawara, Nippon Shokuhin Kogyo Gakkaishi Vol.34,No.7, 439−442 (1977)
【0030】
【非特許文献2】
太田ら;日食工、34(7)、432−438(1987)
【0031】
【非特許文献3】
永田ら、日食工誌、40、52−55(1993)
【0032】
【非特許文献4】
細田;農業技術57(5),211−216、(2002)
【0033】
【非特許文献5】
細田ら;園学雑71(3)、452−454(2002)
【0034】
【非特許文献6】
藤井ら;日本食品保蔵科学会誌,28(3)、135−138(2002)
【0035】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、食経験のある植物を利用した天然素材からなる野菜または果物の褐変抑制剤を提供することである。より詳細には、本発明は安全でしかも色や臭いの点で処理する野菜または果物に悪影響を与えない野菜または果物の褐変抑制剤を提供することを目的とする。更に、本発明の目的は、当該褐変抑制剤の製造方法、並びに当該褐変抑制剤を用いた野菜または果物の褐変防止方法を提供することである。
【0036】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題の解決を求めて鋭意研究を重ねていたところ、タマネギから低級アルコール等の溶媒の存在下で超臨界または亜臨界状態の二酸化炭素を用いて抽出し調製したタマネギの超臨界CO2抽出物または亜臨界CO2抽出物(以下、これらを総称して「超・亜臨界CO2抽出物」ともいう)に、野菜または果物の褐変に対して優れた抑制効果があることを見いだした。そして本発明者らは、当該超・亜臨界CO2抽出物は、処理対象とする野菜または果物に色や臭い等の悪影響を殆ど与えることなく生で食用に供され得るレタスやリンゴなどの野菜や果実の褐変防止処理に対しても有効に利用できること、並びに褐変による野菜や果物の劣化が有意に防止できるため野菜や果物の鮮度保持及び品質保持に極めて有効であることを確認した。なお、当該タマネギの超・亜臨界CO2抽出物にはタマネギの精油およびケルセチン配糖体が含まれていることから、これらが褐変抑制の有効成分であると考えられる。
【0037】
本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
【0038】
すなわち、本発明は下記(1)〜(5)に掲げる野菜または果物の褐変抑制剤である:
(1)タマネギまたは他のユリ科植物の超臨界CO2抽出物または亜臨界CO2抽出物を有効成分として含有する野菜または果物の褐変抑制剤。
(2)タマネギの超臨界CO2抽出物または亜臨界CO2抽出物が、タマネギ精油及びケルセチン配糖体を含有するものである(1)に記載の野菜または果物の褐変抑制剤。
(3)タマネギの超臨界CO2抽出物または亜臨界CO2抽出物が、タマネギから、低級アルコール及び水よりなる群から選択される少なくとも1種の溶媒存在下で、圧力7.2Mpa以上または温度31℃以上の超臨界または亜臨界状態にある二酸化炭素、好ましくは圧力7〜20Mpa及び温度10〜80℃範囲における超臨界または亜臨界状態の二酸化炭素、より好ましくは圧力14〜20Mpaまたは温度40〜60℃範囲における超臨界または亜臨界状態の二酸化炭素で抽出されたものである(1)または(2)に記載する野菜または果物の褐変抑制剤。
(4)タマネギの超臨界CO2抽出物または亜臨界CO2抽出物が、タマネギから、低級アルコール及び水よりなる群から選択される少なくとも1種の溶媒存在下で、圧力7.2Mpa以上または温度31℃以上の超臨界または亜臨界状態にある二酸化炭素、好ましくは圧力7〜20Mpaまたは温度10〜80℃範囲における超臨界または亜臨界状態の二酸化炭素、より好ましくは圧力14〜20Mpaまたは温度40〜60℃範囲における超臨界または亜臨界状態の二酸化炭素で放置保持して抽出されたものである(1)または(2)に記載する野菜または果物の褐変抑制剤。
(5)放置抽出が、溶媒存在下、タマネギを超臨界または亜臨界状態の二酸化炭素中に15分以上、好ましくは25分以上放置することによる抽出である(4)に記載の野菜または果物の褐変抑制剤。
【0039】
また本発明は、褐変抑制、鮮度保持及び品質保持等の使用目的や用途に関わらず、野菜または果物の処理に用いられる下記(6)に掲げる処理剤である:
(6)(1)乃至(5)のいずれかに記載の野菜または果物の褐変抑制剤を含有する野菜または果物の処理剤。
【0040】
さらに本発明は、下記(7)〜(9)に掲げる、前述する野菜または果物の褐変抑制剤の製造方法である:
(7)タマネギから、低級アルコール及び水よりなる群から選択される少なくとも1種の溶媒存在下で、圧力7.2Mpa以上または温度31℃以上の超臨界または亜臨界状態にある二酸化炭素、好ましくは圧力7〜20Mpaまたは温度10〜80℃範囲における超臨界または亜臨界状態の二酸化炭素、より好ましくは圧力14〜20Mpaまたは温度40〜60℃範囲における超臨界または亜臨界状態の二酸化炭素で抽出して、タマネギの超臨界CO2抽出物または亜臨界CO2抽出物を取得する工程を有する、(1)に記載の野菜または果物の褐変抑制剤の製造方法。
(8)タマネギから、低級アルコール及び水よりなる群から選択される少なくとも1種の溶媒存在下で、圧力7.2Mpa以上または温度31℃以上の超臨界または亜臨界状態にある二酸化炭素、好ましくは圧力7〜20Mpaまたは温度10〜80℃範囲における超臨界または亜臨界状態の二酸化炭素、より好ましくは圧力14〜20Mpaまたは温度40〜60℃範囲における超臨界または亜臨界状態の二酸化炭素で放置抽出して、タマネギの超臨界CO2抽出物または亜臨界CO2抽出物を取得する工程を有する、(1)に記載の野菜または果物の褐変抑制剤の製造方法。
(9)放置抽出が、溶媒存在下、タマネギを超臨界または亜臨界状態の二酸化炭素中に15分以上、好ましくは25分以上放置することによる抽出である(8)に記載の野菜または果物の褐変抑制剤の製造方法。
【0041】
さらに本発明は、下記の褐変防止方法及び食品に関するものである:
(10)(1)乃至(5)のいずれかに記載の褐変抑制剤または(6)に記載する処理剤を用いて、対象とする野菜または果物を処理することを特徴とする野菜または果物の褐変防止方法。
(11)処理が、野菜または果物に対して褐変抑制剤若しくは処理剤またはそれらを含む組成物を塗布、噴霧、浸漬または添加することによって行われるものである(10)記載の褐変防止方法。
(12)処理が、野菜の切断面を褐変抑制剤または処理剤を含む組成液で、塗布、噴霧または浸漬することによって行われるものである(10)または(11)に記載の褐変防止方法。
(13)対象とする野菜がレタスである(10)乃至(12)のいずれかに記載の褐変防止方法。
【0042】
また本発明は、下記の食品に関する:
(14)(1)乃至(5)のいずれかに記載の褐変抑制剤または(6)に記載する処理剤を用いて処理された野菜または果物を含む食品。
【0043】
なお、本発明において「野菜や果物の褐変」とは野菜または果物の褐色化及び変色を包括的に意味するものである。
【0044】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるタマネギとしては、通常食用に用いられるタマネギを広く挙げることができる。具体的にはユリ科(Allium)タマネギ(Allium cepa LINNE)を例示することができる。用いられる部位は特に制限されず、タマネギの全植物体であっても、また部分部位、例えば葉、茎、根、花または根茎(可食部)のいずれであってもよい。好ましくは根茎(可食部)である。
【0045】
タマネギには多数の栽培種があり、選別、品種改良によって異なった種類が作り出されている。タマネギの品種は甘タマネギと辛タマネギの2つのグループに大別することができる。甘タマネギはスペインやイタリアなどで栽培されるが、日本ではほとんど栽培されていない品種である。一方、辛タマネギは中央アジア(ルーマニア、ユーゴスラビア)を経由してアメリカを経て日本に導入されたものであり、日本で一般的に栽培されているものはほとんどこのグループに入る。本発明で用いられるタマネギは、これら甘タマネギと辛タマネギの別を問わず、いずれのタマネギをも使用することができる。辛タマネギとしては、そらち黄、ひぐま、セキホク、天心、月交、北もみじ86、もみじ、及びスーパー北もみじなどの晩生タイプのタマネギを挙げることができ、本発明においても好適に用いることができる。これらのタマネギは農協や、スーパーや商店などの小売り業者等から容易に入手可能である。
【0046】
本発明の野菜または果物の褐変抑制剤は、上記タマネギの超・亜臨界CO2抽出物を有効成分とするものである。当該タマネギの超・亜臨界CO2抽出物は、タマネギを溶媒との共存下で超臨界または亜臨界状態の二酸化炭素を用いて抽出処理して調製することができる。
【0047】
ここでタマネギは、そのまま(生)の状態で抽出処理に供してもよいし、また生タマネギをスライスしたり細断した破砕物、摺り下ろした物、または搾り液を抽出処理に供してもよい。さらにタマネギ乾燥物をそのまま若しくは破砕、粉砕して抽出処理に供することもできる。抽出処理に供するタマネギの好適な態様として、生のタマネギを破砕後、圧搾して得た搾り液を挙げることができる。
【0048】
上記溶媒としては、メタノール、エタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−プロパノール、及び2−プロパノール等の炭素数1〜4の低級アルコール;グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、及びブチレングリコール等の多価アルコール;アセトン、エチルメチルケトン、酢酸エチル、酢酸メチル、ジエチルエーテル、シクロヘキサン、ジクロロメタン、食用油脂、ヘキサン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,2−トリクロロエテン及び水を挙げることができる。好ましくはエタノールなどの低級アルコール、及び水である。
【0049】
上記に掲げる溶媒は、1種単独で使用しても2種以上を組み合わせて用いてもよい。より好ましくは水と他の成分との混合物であり、特に低級アルコールと水との混合物(含水アルコール)、より好ましくはエタノールと水との混合物(含水エタノール)を挙げることができる。含水アルコールとしては、具体的には水を40〜60容量%の割合で含む含水アルコールを好適に用いることができる。
【0050】
タマネギに対して用いられる上記溶媒の割合としては、特に制限されないが、生のタマネギ100重量部に対して用いられる溶媒の重量比に換算した場合、通常50〜20,000重量部、好ましくは10〜10,000重量部を例示することができる。
【0051】
超臨界または亜臨界状態の二酸化炭素を用いた抽出処理は、具体的には、上記タマネギを上記溶媒と混合して、当該混合物を超臨界または亜臨界状態の二酸化炭素で処理することによって実施することができる。ここで超臨界または亜臨界状態の二酸化炭素とは、7.2MPa以上の圧力または31℃以上の温度条件下で流体状態になった二酸化炭素を意味する。好ましくは7〜22MPaの圧力範囲または10〜80℃の温度範囲にある超臨界または亜臨界状態の二酸化炭素、より好ましくは14〜20MPaの圧力範囲または40〜60℃の温度範囲にある超臨界または亜臨界状態の二酸化炭素による処理を挙げることができる。なお、14〜20MPaの圧力、40〜60℃の温度条件下では二酸化炭素は0.53〜0.84g/cm3範囲の密度を有する。
【0052】
超臨界または亜臨界状態の二酸化炭素による抽出方法の一例を、図1を利用して説明すると以下の通りである。
【0053】
図1において、二酸化炭素ボンベBよりダイアフラムポンプPを用いて所定の圧力まで圧縮した二酸化炭素を、予熱機CO2−Hに通して所定の温度にして亜臨界もしくは超臨界状態にして、抽出槽Eに導入する。抽出槽Eには、予め溶媒と原料として用いるタマネギを仕込んでおく。この場合、タマネギは別の容器で予め溶媒と混合してから、当該抽出槽Eに仕込むこともできる。なお、抽出槽Eは、通常10〜80℃、好ましくは10〜60℃、より好ましくは15〜60℃、に調整されていることが好ましい。
【0054】
亜臨界もしくは超臨界状態にした二酸化炭素は、タマネギ溶媒混合物を含む抽出槽Eに導入された後、ただちに分離槽Sに放出されてもよいし、また導入した状態で所定時間放置されてもよい。かかる放置時間は特に制限されないが、好ましくは15分以上、より好ましくは25分以上を例示することができる。なお、上記限りにおいて放置時間の上限は制限されない。但し、操作の効率性の観点から通常90分程度を例示することができる。
【0055】
こうすることでタマネギからの褐変抑制成分の抽出効率を上げることができる。抽出槽Eからの二酸化炭素の放出は、圧力調整バルブVM2を開放し加熱冷却機H/C1で温度を一定に制御して、二酸化炭素を分離槽Sに導くことによって行うことができる。こうすることでタマネギの超・亜臨界CO2抽出物と二酸化炭素とを分離することができ、目的とするタマネギの超・亜臨界CO2抽出物をサンプル採取口A1から取得することができる。また、目的とするタマネギの超・亜臨界CO2抽出物の一部は分離槽Sへも移行する場合があるが、この場合、超・亜臨界CO2抽出物は、上記と同様に減圧するか、または温度を調整することによって、サンプル採取口A2から取得することができる。
【0056】
斯くして取得されるタマネギの超・亜臨界CO2抽出物は、野菜または果物の褐変抑制剤の有効成分として用いることができる。なお、ユリ科植物タマネギ以外にも、ニンニク(りん茎)、リーキ、ラッキョウ、アサギ、ワケギ、ユリ(根茎)、アマドコロ、アマナ、エンレイソウ、オモト、カタクリ、ニラ(葉)、キダチアロエ(葉)、コバイケイソウ(根、根茎)、コヤブラン、ジャノヒゲ、スズラン、バイケイソウ、ハナスゲ、イヌサフラン(種子)などのユリ科植物を用い、本発明の方法に従って抽出物を調製することによって、本発明で開示したタマネギ抽出物の効果と同等あるいは同等以上の効果を有する褐変抑制剤を確保することができる。本発明の褐変抑制剤は、上記超・亜臨界CO2抽出物だけからなってもよいし、また本発明の効果を妨げない範囲で、食品衛生上許容される担体や添加剤を含んでいてもよい。担体としては、水;エタノール等の低級アルコール;プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール;砂糖、果糖、ぶどう糖、デキストリン、シクロデキストリン、環状オリゴ糖などの糖質;ソルビトールなどの糖アルコール;アラビアガム、キトサン、キサンタンガムなどのガム質;清酒、ウォッカや焼酎などの蒸留酒;油脂、グリシン、酢酸ナトリウムなど製造用剤を例示することができる。また、添加剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの乳化剤;リゾチーム、ポリリジン、しらこたん白などのたんぱく系保存料を例示することができる。
【0057】
また、本発明の褐変抑制剤は、本発明の効果を損なわないことを限度として、褐変抑制効果が知られている他の成分を含むこともこともできる。他の褐変抑制成分としては、ビタミンC、エリソルビン酸ナトリウム、ビタミンE、ヤマモモ抽出物、酵素処理ルチン、及び食塩等を挙げることができる。
【0058】
本発明の褐変抑制剤の形態は特に制限されない。例えば本発明の褐変抑制剤は、錠剤、顆粒状または粉末状等の固形物、液状や乳液状などの液体、またはペースト状等の半固形物の形態で用いることができる。粉末状態には、例えば、上記超・亜臨界CO2抽出物に、必要に応じてデキストリンやシクロデキストリン等の糖類または糖アルコールなどの賦形剤を加え、凍結乾燥、噴霧乾燥または凍結粉砕などの手法によって調製することができる。好ましくは、液状、特にエタノールを10〜60重量%の割合で含むエタノール製剤の形態である。
【0059】
本発明の褐変抑制剤は、野菜及び果物の褐変防止処理、鮮度保持処理並びに品質保持処理に好適に使用することができる。この意味で本発明の褐変抑制剤並びに本発明の褐変抑制剤を含有する組成物は、使用する目的にかかわらず、野菜及び果物の処理剤として定義することもできる。
【0060】
ここで対象とする野菜としては、レタス、サラダ菜、キャベツ、白菜、セロリ、ダイコン、フキなどの葉菜類、マッシュルーム、及びシイタケなどのきのこ類;ゴボウ、ジャガイモ、レンコン、サツマイモ、ニンジン、長いも及び山芋などの根菜類;ナス、シシトウ、ピーマン、トウガラシ、キュウリ、トマトなどの果菜を挙げることができる。好ましくは、レタス、サラダ菜、レンコン、マッシュルーム、ゴボウである。
【0061】
処理対象とされるこれらの野菜には、皮剥ぎやカット等の処理がされていない状態のもの(収穫状態の野菜)、皮剥ぎやカット処理がされた状態のもの、またはおろし器、包丁、ミキサーまたはジューサーなどによって原型を留めない状態まで処理されたものがいずれも含まれる。
【0062】
また、本発明が対象とする果物としては、リンゴ、ナシ、モモ、スモモ、ウメ、ブドウ、バナナ、オレンジ、プルーン、パイナップル、キーウイ、ゆず、レモン、ミカン、イチゴ、及びメロンなどを挙げることができる。好ましくは、リンゴ、ナシ、及びモモであり、特に好ましくはリンゴである。
【0063】
処理対象とされるこれらの果物には、皮剥ぎやカット等の処理がされていない状態のもの(収穫状態の果物)、皮剥ぎやカット処理がされた状態のもの、またはおろし器、包丁、ミキサーまたはジューサーなどによって原型を留めない状態まで処理されたものがいずれも含まれる。
【0064】
上記野菜または果物の褐変を防止する方法としては、前述する本発明の褐変抑制剤または処理剤(以下、「褐変抑制剤等」という)を上記野菜または果物と接触させる方法を挙げることができる。接触方法としては、特に制限されないが、野菜または果物(そのままのもの、カット品、皮剥ぎ品を含む)の表面または切断面に褐変抑制剤等を塗布若しくは噴霧する方法、野菜または果物(そのままのもの、カット品、皮剥ぎ品を含む)を褐変抑制剤等を含む溶液中に浸漬する方法、野菜または果物(おろし器やジューサーなどで原型を留めない状態まで処理されたものを含む)に褐変抑制剤等を添加混合する方法などを挙げることができる。なお、野菜または果物(原型を留めない状態まで処理されたものを含む)への褐変抑制剤等の添加混合は、野菜または果物の処理過程で行われてもよいし、また最終的に得られた処理物に対して行われても良い。
【0065】
本発明の褐変抑制剤等の処理対象物への適用量は、処理する対象物の種類や処理方法等によって種々異なり一概に規定することができないが、例えば、野菜または果物の表面または切断面に塗布若しくは噴霧する場合、当該塗布若しくは噴霧に使用する処理液中に含まれる超・亜臨界CO2抽出物の量として、1〜10,000μg/ml、好ましくは1〜100μg/mlの割合を例示することができる。また、野菜または果物を浸漬処理する場合は、該浸漬処理に使用する溶液中に含まれる超・亜臨界CO2抽出物の量として、10〜10,000μg/ml、好ましくは10〜1,000μg/mlの割合を例示することができる。
【0066】
さらに、野菜または果物に褐変抑制剤等を添加混合する場合は、最終処理物中に超・亜臨界CO2抽出物が1μg/ml以上、好ましくは2μg/ml以上の割合で含まれるような量を配合することができる。上限は特に制限されないが、通常10,000μg/ml、好ましくは2,000μg/mlである。
【0067】
また本発明は上記褐変抑制剤等で処理した野菜または果物を含む食品をも提供するものである。当該食品は、上記野菜または果物を含むものであれば特に制限されない。本発明の褐変抑制剤等は、前述するように野菜または果物の処理に使用しても当該処理対象物に色、味及び臭い等の悪影響を殆ど与えないことを特徴とする。ゆえに、本発明は生野菜や生果物を含む食品、並びに食べる際にレンジや熱湯などで再加熱処理するレトルト食品(密封包装食品)や弁当などの食品を広く対象とすることができる。一例を挙げると、カット生野菜やカット生果物(ドレッシングやソースがかかったものやドレッシングやソースのセット売り食品を含む);カット茹で野菜;シロップ漬けカット果物;野菜ジュース、果汁入りまたは果汁ジュース(缶、ペット入り、UHTあるいはHTSTで殺菌加熱処理したものを含む);カットした野菜や果物をパンではさんだサンドウィッチ;シチュー、カレー、リゾット、パスタなどのレトルト食品;冷蔵もしくは冷凍状態で販売される野菜または果物付き麺(長崎ちゃんぽん麺、うどん、冷麺、蕎麦、ラーメンなど);野菜の煮物;野菜や果実のオーブンで焼いた焼き物;ちらし寿司;炒めご飯;具材に野菜を用いたおにぎり;各種の総菜や弁当等を例示することができる。なお、上記は単に例示であって、これらの食品のみに適用できるわけではなく、他の食品に対しても適用することができる。
【0068】
【発明の効果】
本発明のタマネギの超・亜臨界CO2抽出物を有効成分とする褐変抑制剤は、タマネギの食経験に基づいて安全性が確認されていることから、食用の野菜及び果物の処理剤として好適に使用することができる。また本発明の褐変抑制剤は、タマネギに由来する臭いや着色が殆ど問題とならず、さらに酸化による着色も有意に抑制されているので、生で食に供され得る野菜や果物の風味を殆ど損なわないで、野菜や果物の褐変防止、鮮度保持、及び品質保持に有効に利用することができる。
【0069】
なお、本発明には下記の態様が含まれる:
(1)イオウ化合物を有効成分として含有する野菜または果物の褐変抑制剤。
【0070】
(2)イオウ化合物がジプロピルトリスルフィド、ジメチルトリスルフィド、メチルプロピルトリスルフィド、及びジプロピルジスルフィドよりなる群から選択される少なくとも1種である、(1)記載の野菜または果物の褐変抑制剤。
【0071】
(3)イオウ化合物が、ユリ科植物に由来するものである(1)または(2)に記載の野菜または果物の褐変抑制剤。
【0072】
(4)イオウ化合物が、タマネギに由来するものである(1)または(2)に記載の野菜または果物の褐変抑制剤。
【0073】
【実施例】
以下、本発明の内容を以下の参考例、実施例及び実験例を用いて具体的に説明する。但し、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
参考例1 タマネギ溶媒抽出物の調製(試料1)
生タマネギ(日本、もみじ、淡路島産)1600gを水洗後、カッターで8分割に粗く粉砕し、得られた粉砕物1kgに95容量%エタノール(含水エタノール)1kgを添加し浸漬した状態(タマネギ:含水エタノール=1:1)で、冷蔵庫(4℃)内に放置した。12時間後、浸漬処理物をろ紙でろ過し、タマネギ粉砕物を除去して、タマネギ抽出液(試料1)1.8kgを得た(タマネギ粉砕物1kg使用)。
【0074】
実施例1 タマネギの超臨界CO2抽出物の調製(試料2)
生タマネギ(日本、もみじ、淡路島産)1600gを水洗後、カッターで粉砕し、これをろ布でろ過して、約400gの微淡黄色清澄なタマネギ搾汁を得た(タマネギ粉砕物1600g使用)。このうち190ml(タマネギ760g分)に、95容量%エタノール(含水エタノール)60mlを添加して混合した(タマネギ:含水エタノール=38:3)。調製したタマネギ含有エタノール溶液250mlを、図1に示す抽出システムの抽出槽Eに充填し、該抽出槽Eへ、圧力17.5MPa及び温度50℃に調整した超臨界状態の二酸化炭素700Lを導入した。二酸化炭素を導入後、直ちに、抽出槽Eを冷却及び圧力調整バルブVM2を開放して、二酸化炭素を分離槽Sに放出して、タマネギ超臨界CO2抽出物(試料2)40gをサンプル採取口A2から採取した(タマネギ760g分)。
【0075】
実施例2 タマネギの超臨界CO2抽出物の調製(試料3)
実施例1で調製したタマネギ搾汁のうち190ml(タマネギ760g分)に、95容量%エタノール(含水エタノール)60mlを添加して混合した(タマネギ:含水エタノール=38:3)。調製したタマネギ含有エタノール溶液250mlを、図1に示す抽出システムの抽出槽Eに充填し、該抽出槽Eへ、圧力17.5MPa及び温度50℃に調整した超臨界状態の二酸化炭素700Lを導入した。二酸化炭素導入後、25分間そのままの状態で保持し、次いで抽出槽Eを温度調節しつつ圧力調整バルブ7を用いて開放して、二酸化炭素を分離槽Sに放出して、タマネギ超臨界CO2抽出物(試料3)50gをサンプル採取口A2から採取した(タマネギ760g分)。得られた超臨界CO2抽出物の収率(使用した生タマネギの重量に対する抽出物の重量比)は6.6%であった。
【0076】
(1)得られたタマネギ超臨界CO2抽出物(試料3)の液体クロマトグラムを図2に示す。
<液体クロマトグラフの測定条件>
HPLC/MSシステム:日本ウォーターズ社製
カラム:DEVELOSIL C30−UG−5(φ2.0 ×150mm)
移動相:A)1%HCOOH水溶液、B)1%HCOOHメタノール溶液
流速:0.2ml/min
検出:PDA(275〜600nm)
温度:30℃
溶媒比:0分−A液90%B液10%、50分−A液20%B液80%、60分−A液0%B液100%、70分−A液0%B液100%。
【0077】
(2)上記液体クロマトグラフにおける保持時間26.99分(26.34分の次のピーク)のピーク画分及び34.17分のピーク画分をそれぞれマススペクトル(MS)にかけた結果をそれぞれ図3a及びbに示す。なお、MSの測定条件は下記の通りである。
【0078】
<MS測定条件>
測定の範囲:200−600m/z
測定モード:陽性
キャピラリー: 4.0kV
容器温度:Cone 30℃
設定温度:Source temp. 100℃
脱溶媒温度:Desolvation temp.300℃。
【0079】
この結果から、保持時間26.99分のピーク画分(図3a)及び34.17分のピーク画分(図3b)には、それぞれケルセチン配糖体、及びケルセチン配糖体(3位に配位)が含まれていることがわかった。このことからタマネギ超臨界CO2抽出物(試料3)の上記液体クロマトグラフの保持時間23〜40分領域はケルセチンの配糖体に由来するピーク領域であることがわかった。
【0080】
(3)また上記液体クロマトグラフにおける保持時間38〜65分領域のピークで示される成分は、抽出圧力を22MPa以上に設定して抽出した場合ではピークが消失したことから揮発成分、すなわちタマネギ由来の精油(タマネギ精油)であると認定された。かかるピーク領域の面積から、試料3にはタマネギ精油が0.25重量%の割合で含まれていることがわかった。
【0081】
タマネギ精油を分析する目的で、タマネギ超臨界CO2抽出物(試料3)100gを量りとり、酢酸エチルに分配した後、酢酸エチルをエバポレーターで留去し、残さ(精油)0.25gを取得した。この残渣(精油)を下記条件のガスクロマトグラフィーにかけた。結果を図5に示す。
【0082】
<ガスクロマトグラフの測定条件>
使用した機器:HP6890GC、HP5973MSシステム
カラム:J&W DB−WAXキャピラリー 60.0mm×250μm×0.25μm
温度:開始温度50℃5分間保持(3℃/min上昇)→220℃(75min)
注入量:1μl−splitless。
【0083】
なお、参考例1及び実施例1で調製した試料1及び2について、上記と同様にして精油量を測定したところ、下記の通りであった。
試料1: 0.10重量%
試料2: 0.16重量% 。
【0084】
実験例1 カットレタスの褐変防止試験
長野県川上村産の結球タイプ(Lサイズ)のレタスを用いて、上記参考例1及び実施例1〜2で調製した試料1〜3について、カットレタスの褐変進行に対する抑制効果を調べた。
【0085】
具体的には、まずレタスの中肋の白色部を2、3mm角に切断してカットレタスを調製した。このカットレタス10gを、上記試料1〜5を100mlの蒸留水に溶解して調製した被験液1〜3(精油量0.1重量%に調整)に10分間浸漬し、次いで蒸留水で90秒間洗浄し、その後、ろ紙で水を取り除き、直径90mmのシャーレに入れて冷蔵庫(10℃)内に、24時間保存した。
【0086】
冷蔵庫保存後、カットレタスを取り出して、直径35mm、深さ15mmの円筒形ガラスセルに詰め、直径30mmの広い視野の色調をカラーコンピューターSM−6(スガ試験機製)で測定した。試料の色調の変化は目で見た評価とよく一致するa*値で評価した(本法は細田ら;園学雑、69(4)、512〜516(2000)の方法に準じた)。
【0087】
褐変防止率は、カットした初日のレタスのa*値を100とし、それに対する24時間処理後(被験液1〜3(試料1〜3))のカットレタスのa*値との割合から算出した。その結果を、各試料1〜3の外観と風味と併せて表1に示す。
【0088】
【表1】
【0089】
表1からわかるように、タマネギ溶媒抽出物(試料1)に比して、タマネギの超臨界CO2抽出物(試料2、3)は、カットレタスの褐変に対して顕著に優れた防止効果を有していた。また、タマネギ溶媒抽出物(試料1)は、室温で放置することによってその液そのものが褐変することがわかった。
【0090】
これらの結果から、タマネギから超臨界状態のCO2で抽出した抽出物(試料2、3)は、カットレタスに対して優れた褐変防止効果を発揮し、しかも抽出物自体が無色から微黄色の清澄な溶液で、香りもタマネギ特有の硫化物臭が少なく、生で食用される野菜や果実の処理剤として有用であることが分かった。中でも超臨界状態のCO2中に一定時間保持して抽出した試料3は、褐変防止効果に優れていた。一方、通常のアルコールを用いた抽出方法で得られたタマネギ抽出物(試料1)は、褐変防止効果に劣り、またそのものが空気酸化によって褐変変色する可能性があった。
【0091】
実験例2
実験例1で褐変防止効果に優れていたタマネギ超臨界CO2抽出物(試料2及び3)を液体クロマトグラフィーにかけ、成分分析を行った。測定条件は以下の通りである。
HPLCシステム:日本分光社製
カラム: Develosil−C30−UG−5(φ4.6 ×250mm)
移動相:アセトニトリル:水=1:1
流速:0.8ml/min
検出:PDA(200〜600nm)
温度:38℃。
【0092】
試料2の液体クロマトグラフを図6、試料3の液体クロマトグラフを図7にそれぞれ示す。その結果、褐変防止効果に優れる試料3(図7)の方が試料2(図6)に比べて多くの成分を含むことがわかった。このことから、タマネギを溶媒存在下、超臨界状態の二酸化炭素中に一定時間保持して抽出するほうが野菜や果実の褐変防止に有効な成分をより多く抽出できることが示された。
【0093】
実験例3 香気成分の影響
レタス(茨城県産)の中肋白色部から2、3mm角のカットレタスを調製した。
実施例2で調製したタマネギ超臨界CO2抽出物(試料3)および実施例2におけるガスクロマトグラフィーで見出された香気成分(ジプロピルジスルフィド、ジプロピルトリスルフィド、メチルプロピルトリスルフィド、及びジメチルトリスルフィド)、プロパノール、酢酸(図5のピーク8の後ろにある小ピーク)、並びにリモネンの標品それぞれ10μlを10mlの水に添加し、1分間超音波処理して水に懸濁させた。
【0094】
次にこの調製液に上記のカットレタス5gを10分間、浸漬後、付着量を均一にするためにレタスをつけた液を攪拌し、次に、90秒間水洗し、1,000rpmで1分間遠心脱水し、孔開きポリエチレン袋に入れ、10℃暗所に1日貯蔵した。暗所貯蔵後、カットレタスを取り出して、実験例1と同様にしてa*値から褐変抑制率(%)を求めて褐変防止効果を評価した。
【0095】
結果を表2に示す。
【0096】
【表2】
【0097】
表2に示すように、ジプロピルトリスルフィド、ジメチルトリスルフィド、メチルプロピルトリスルフィド、及びジプロピルジスルフィドに42〜97%の高い褐変抑制作用が認められた。このことから、超・亜臨界CO2抽出物の褐変抑制作用はジプロピルトリスルフィド、ジメチルトリスルフィド、メチルプロピルトリスルフィド、ジプロピルジスルフィド等のタマネギ精油に含まれるイオウ化合物によることが分かった。
【0098】
これらの中ではジメチルトリルフィドの活性が最も強く、1μ1で褐変を完全に阻害した、次にメチルプロピルトリスルフィドとジプロピルトリスルフィドが同程度の抑制作用を示し、ジプロピルジスルフィドはこれらより作用が弱いことが分かった。また、図5のガスクロマトグラム中に見出された他の成分の褐変抑制率は、10%以下であり、期待される褐変抑制効果がみいだされなかった。
【0099】
実験例4 レタスの処理
食塩50gを水道水1kgに溶解した液(被験液1)と実施例2で調製した試料310g(タマネギ152g分)を水道水1kgに溶解した液(被験液2)とを予め調製し、これらの各被験液を含浸させたペーパータオルを準備する。次に市販のレタス(長野県川上村産)の茎部をセラミック包丁で厚さ約2〜3mm切断し、茎切断面から滲みだした乳液をそれがなくなるまで上記各濡れペーパータオルでふき取り、該レタスを室温(1〜30℃)にて1週間放置した。
【0100】
1週間後の各レタス(被験液1処理レタス、被験液2処理レタス)を写した写真画像を図8及び9にそれぞれ示す。図8及び9からわかるように、食塩水含浸ペーパータオルで茎切断面をふき取ったレタス(被験液1処理レタス)は、当該切断面が褐変しているだけでなく、レタス全体がとろけた状態となり、細胞の損傷による葉の黒ずみと腐敗臭のある状態に変化した(図8)。一方、タマネギ超・亜臨界CO2抽出物(試料3)含浸ペーパータオルで茎切断面をふき取ったレタス(被験液2処理レタス)は、当該切断面の褐変が生じておらず、レタス全体も新鮮な状態を維持していた(図9)。
【0101】
実験例5 カットレタスの処理
レタス100gを水道水で洗浄後、包丁で適度な大きさにカットし、これに、実施例2で調製したタマネギ超臨界CO2抽出物(試料3)0.1gを4000mlの水道水に溶解し、カットしたレタスを10分間浸漬した。次いで付着した液を落とし(遠心分離1000rpm、1分間)、通気性のあるポリエチレン袋に詰めて、カットしたレタスの状態で35℃、72時間保存した。
【0102】
保存後のカットレタスは変色やしおれがなく、またタマネギ超臨界CO2抽出物によって着香することなく、新鮮な状態を維持していた。
【0103】
実験例6 ダイコンおろしの処理
ダイコン(アブラナ科、徳島産青首大根)80gをおろし器で摺り下ろして、ダイコンおろしを調製した。これに、予め実施例2で調製したタマネギ超臨界CO2抽出物(試料3)1gにマルチトール4gを混合して調製しておいた褐変抑制剤5gを添加し混合し、ポリエチレン製の容器に充填し、30℃で4日間保存した。保存後のダイコンおろしは褐変しておらず、またタマネギ超臨界CO2抽出物による異味異臭がなく、ダイコンの辛味の効いた風味のよい新鮮な状態を維持していた。
【0104】
実験例7 キャベツの千切り
市販のキャベツ(アブラナ科)200gをフードプロセッサーにかけて千切り状にした。これに実施例1で調製したタマネギ超・亜臨界CO2抽出物(試料2)0.4gを噴霧し(0.4÷200×100=0.2%)10℃で保存した。保存2週間経過後、キャベツの千切りは元の淡緑色を保ち、褐変していなかった。またタマネギ超臨界CO2抽出物による異味異臭もなく、キャベツ特有の風味のある新鮮な状態を維持していた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる超臨界抽出システムの一態様を示す模式図である。図中、各記号は以下のものを示す。 B:二酸化炭素ボンベ、 P:ダイアフラムポンプ、CO2−H:予熱機、E:抽出槽、S:分離槽、TAC:排出量計、VM1,VM2, VM3:圧力調整バルブ、 H/C1, H/C2:加熱冷却機、T1,T2:温度計、 A1,A2:サンプル採取口。
【図2】実施例2で調製したタマネギ超臨界CO2抽出物(試料5)の液体クロマトグラムを示す図である。
【図3】実施例2で調製したタマネギ超臨界CO2抽出物(試料5)の液体クロマトグラム(図2)において、保持時間26.99分のピーク画分(a)及び保持時間34.17分のピーク画分(b)のMSデータを示す図である。
【図4】実施例2で調製したタマネギ超臨界CO2抽出物(試料5)の液体クロマトグラム(図2)において、保持時間26.99分のピーク画分(a)及び保持時間34.17分のピーク画分(b)のUV/可視光吸収スペクトルを示す図である。
【図5】実施例2で調製したタマネギ超臨界CO2抽出物(試料5)のガスクロマトグラフを示す図である。
【図6】実施例1で調製したタマネギ超臨界CO2抽出物(試料4)の液体クロマトグラムの2次元マップを示す図である。
【図7】実施例2で調製したタマネギ超臨界CO2抽出物(試料5)の液体クロマトグラムの2次元マップを示す図である。
【図8】実験例4において、レタスの茎切断面を食塩水含浸ペーパータオルでふき取り、室温で1週間放置した後のレタスの状態を示す写真に代わる図である。
【図9】実験例4において、レタスの茎切断面をタマネギ超臨界CO2抽出物(試料5)含浸ペーパータオルでふき取り、室温で1週間放置した後のレタスの状態を示す写真画像を示す図である。
Claims (10)
- タマネギまたは他のユリ科植物の超臨界CO2抽出物または亜臨界CO2抽出物を有効成分として含有する野菜または果物の褐変抑制剤。
- タマネギの超臨界CO2抽出物または亜臨界CO2抽出物が、タマネギ精油を含有するものである請求項1に記載の野菜または果物の褐変抑制剤。
- タマネギの超臨界CO2抽出物または亜臨界CO2抽出物が、タマネギから、低級アルコール及び水よりなる群から選択される少なくとも1種の溶媒存在下で、圧力14〜20Mpaまたは温度40〜60℃の超臨界または亜臨界状態の二酸化炭素で抽出されたものである請求項1または2に記載する野菜または果物の褐変抑制剤。
- タマネギの超臨界CO2抽出物または亜臨界CO2抽出物が、タマネギから、低級アルコール及び水よりなる群から選択される少なくとも1種の溶媒存在下で、圧力14〜20Mpaまたは温度40〜60℃の超臨界または亜臨界状態の二酸化炭素で放置抽出されたものである請求項1または2に記載する野菜または果物の褐変抑制剤。
- 放置抽出が、溶媒存在下、タマネギを超臨界または亜臨界状態の二酸化炭素中に25分以上放置することによる抽出である請求項4に記載の野菜または果物の褐変抑制剤。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の野菜または果物の褐変抑制剤を含有する野菜または果物の処理剤。
- タマネギから、低級アルコール及び水よりなる群から選択される少なくとも1種の溶媒存在下で、圧力14〜20Mpaまたは温度40〜60℃の超臨界または亜臨界状態の二酸化炭素で抽出して、タマネギの超臨界CO2抽出物または亜臨界CO2抽出物を取得する工程を有する、請求項1に記載の野菜または果物の褐変抑制剤の製造方法。
- タマネギから、低級アルコール及び水よりなる群から選択される少なくとも1種の溶媒存在下で、圧力14〜20Mpaまたは温度40〜60℃の超臨界または亜臨界状態の二酸化炭素で放置抽出して、タマネギの超臨界CO2抽出物または亜臨界CO2抽出物を取得する工程を有する、請求項1に記載の野菜または果物の褐変抑制剤の製造方法。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の褐変抑制剤または請求項6に記載する処理剤を用いて、対象とする野菜または果物を処理することを特徴とする野菜または果物の褐変防止方法。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の褐変抑制剤または請求項6に記載する処理剤を用いて処理された野菜または果物を含む食品。
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