JP2004172408A - 負荷時タップ切換器の診断方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】不具合が実時間で容易に診断できるようにした負荷時タップ切換器の診断方法を提供すること。
【解決手段】タップ切換操作用のモータ15を制御する電磁接触器(図示してない)に常開接点7a4、8a4を設けると共に、このモータ15に流れる電流Iを検出する変流器24を設け、電磁接触器の動作時間Tと電流Iに基づいて不具合を診断するようにしたもの。
【効果】タップ切換操作が行なわれた際、実時間で簡易に且つ正確に異常を診断することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】タップ切換操作用のモータ15を制御する電磁接触器(図示してない)に常開接点7a4、8a4を設けると共に、このモータ15に流れる電流Iを検出する変流器24を設け、電磁接触器の動作時間Tと電流Iに基づいて不具合を診断するようにしたもの。
【効果】タップ切換操作が行なわれた際、実時間で簡易に且つ正確に異常を診断することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、負荷時タップ切換器の不具合を診断する方法に係り、特に、電動操作機構を備えた負荷時タップ切換器の不具合を診断する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電力需要の増大に伴い、送変電用変圧器の高電圧化と大容量化が進んでいるが、更に、各需要家毎に設置されている受電用変圧器も1バンクに限らず、各々の需要家の要求に応じて2〜3バンクといった形態で設置されるのが通例である。
【0003】
また、このとき、受電用変圧器に負荷時タップ切換器を設置し、無停電のまま電圧が上げ下げできるようにすることも、近年、通例になりつつあり、これらのことは、電力の安定供給に必要な手段ではあるが、反面、これらを正常に維持していくためには、多大の人件費、維持費が必要となる。
【0004】
ところで、この負荷時タップ切換器は、例えば1日に20回以上操作されることも珍しくなく、従って、かなり動作頻度が高く、このため所定の時間内に所定のタップ切換が終了されないという、いわゆるタップ渋滞や、所定のタップ切換が終了したにもかかわらず、電動操作機構のモータ(電動機)が連続通電されたままになるという、いわゆるタップ暴走といった不具合の発生がしばしば見られるようになっている。
【0005】
ここで、これらの不具合が発生した場合は、通常、運転員が監視、制御、記録等を行う中央監視室に、それらが表示されるが、この中央監視室は、受変電機器や変圧器が設置されている場所とは離れた場所にあるのが一般的である。
【0006】
ところで、このような負荷時タップ切換器(LTC)は電動操作されるのが通例であり、そこで、このような電動操作機構の制御回路について、図10と図11により説明する。ここで、図10は電動操作機構の制御部で、図11はモータ部(電動操作機構のモータ部)を示したものである。
【0007】
そして、これら図10と図11において、1は電動操作機構の全体を表わし、更に制御部は1Aで、そしてモータ部は1Bで表わされ、これらは3相の所定の電圧(220V又は440V)をUする電源ラインR、S、Tから供給される電力で動作するようになっている。ここで、ラインCは制御用である。
【0008】
まず、図10の制御部1Aにおいて、ここで2は降圧指示用スイッチで、3は昇圧指示用スイッチであり、何れも押しボタンスイッチからなる。そして降圧指令用スイッチ2は、タップ下げ指令(電圧が低下する方向にタップを切換える指令)Dを発生し、昇圧用切換スイッチ3は、タップ上げ指令(電圧が上昇する方向にタップを切換える指令)Uを発生する。
【0009】
次に、4は切換スイッチで、2回路2接点型の切換スイッチからなり、タップ下げ指令Dとタップ上げ指令Uの入力を、降圧指示用スイッチ2と昇圧指示用スイッチ3から外部端子d、uに切換える働きをする。ここで、これらの外部端子d、uは、図示してない中央監視室などに接続されている。
【0010】
次に、5は下限位置で閉じるリミットスイッチ、6は上限位置で閉じるリミットスイッチである。ここで、これらのリミットスイッチ5、6のZ型のシンボルは、それらがカム(カム軸)操作されるスイッチであることを表わす。
【0011】
そして、ここでリミットスイッチ5、6の場合、カムとは、タップ切換用スイッチ部材を回動させる軸に設けられているものを指し、従って、下限位置で閉じるとは、最低電圧タップ位置で閉じることを意味し、上限位置で閉じるとは、最大電圧タップ位置で閉じることを意味する。
【0012】
次に、7は降圧切換用電磁接触器で、常開接点7a1、7a2、7a3と常閉接点7b1を備え、8は昇圧切換用電磁接触器で、常開接点8a1、8a2、8a3と常閉接点8b1を備えている。ここで、常開接点7a1と常閉接点8b1は、この図10には現れていない(後述)。
【0013】
また、9は自己保持用パイロットスイッチで、10はステップバイステップ回路用パイロットスイッチである。そして、11はステップバイステップ回路用電磁接触器で、常開接点11aと常閉接点11bを備え、12はブレーキ用電磁接触器で、常開接点12a1を備えている。
【0014】
次に、図11のモータ部1Bについて説明すると、この図において、まず7a1は昇圧切換用電磁接触器7(図10)の常開接点で、次に8a1は降圧切換用電磁接触器8(図10)の常開接点であり、更に12aはブレーキ用電磁接触器12(図10)の常開接点で、ここでは3回路接点構成のものが用いられている。
【0015】
また、13は引き外しコイル付配線用遮断器で、ここでは、図示のように、押しボタンスイッチで操作され、緊急時に電源を遮断する働きをする。更に、14はタップ暴走検出用電磁接触器で、常開接点14a1を備え、この常開接点14a1の閉成状態が予め設定してある所定の時間以上継続したとき、タップ暴走発生とするものである。
【0016】
そして、15がモータ(ここでは3相誘導電動機)で、減速機構を介してタップ選択器と切換開閉器の可動部材を移動させる駆動動力源となり、16はタップ渋滞検出用パイロットスイッチである。
【0017】
ここで、17は手動スイッチで、タップ切換を手動で操作する際に使用され、開路することにより降圧切換用電磁接触器7と昇圧切換用電磁接触器8の励磁動作を禁止する働きをする。また、18は抵抗器で、ステップバイステップ回路用電磁接触器11のコイルに発生する逆起電力を吸収する働きをする。
【0018】
次に、動作について、一例として、タップ上げ指令Uが供給されたときの動作について説明する。ここで、図10に示されているように、切換スイッチ4が外部端子d、u側に切換わっているときは、外部からタップ上げ指令Uが受信されるが、切換スイッチ4が降圧指示用スイッチ2と昇圧指示用スイッチ3側に切換わっていたときは、昇圧指示用スイッチ3が操作されたときタップ上げ指令Uが発せられる構成とになる。
【0019】
こうしてタップ上げ指令Uが供給されたとすると、昇圧切換用電磁接触器8が励磁され、常開接点8a1、8a2、8a3が閉路する。
【0020】
そして、まず常開接点8a2の閉成によりブレーキ用電磁接触器12が励磁され、常開接点12a、12a1が閉路し、常開接点12bは開路するので、モータ駆動回路が形成され、モータ15が起動し、タップの切換動作がタップ上げ方向に進行する。
【0021】
また、常開接点8a3が閉路することにより自己保持回路が形成され、昇圧切換用電磁接触器8は、タップ上げ指令Uがイネーブル後も励磁されたままに保持(自己保持)される。
【0022】
こうしてモータ15が起動し回転を開始すると、これに伴い、まずタップ渋滞検出用パイロットスイッチ16が閉路する。ここで、このタップ渋滞検出用パイロットスイッチ16は、あるタップから次のタップに移行する間だけ閉路するスイッチである。
【0023】
また、こうしてモータ15が起動し回転を開始すると、これに伴い、図示してないタップ渋滞検出用タイマも起動し、常閉接点からなる所定のタイマ接点を開路する。そして、予め設定してある正規の時間が経過したとき、上記所定のタイマ接点(常閉接点)を復帰させる。
【0024】
そこで、図示してない回路により、タップ渋滞検出用パイロットスイッチ16の閉成期間とタイマ接点の閉成期間に重なりが現れるのを監視し、重なりが現れなかったとき、つまり、正規の時間が経過する前にタップ切換が終了した場合には、タップ渋滞が起こらなかったものとし、タップ渋滞検出回路を復帰させるのである。
【0025】
また、このときは、ステップバイステップ回路用パイロットスイッチ10が閉路する。そこでステップバイステップ回路用電磁接触器11が励磁され、ステップバイステップ回路が形成される。
【0026】
ここで、このステップバイステップ回路とは、タップ上げ指令U又はタップ下げ指令Dが1回入力される毎に、タップ切換が必ず1タップ分だけ切換えられるようにする回路のことである。
【0027】
そこで、このステップバイステップ回路が形成されると、常開接点11a、11bが閉じられる。そして、まず接点11bが動作することにより、昇圧切換用電磁接触器8の指令回路が開路となり、ステップバイステップ回路を一旦オフしない限り、次の指令が受け入れられないようにする。
【0028】
これにより、タップ上げ指令U又はタップ下げ指令Dを連続的に付与した場合でも、ステップバイステップ回路用電磁接触器11が連続励磁され、常閉接点11bが開路されたままとなるため、1タップのみが切換えられ、それ以上、タップ切換が動作しないようになる。
【0029】
このような一連の動作により、自己保持用パイロットスイッチ9が開路し、昇圧用切換電磁接触器8の励磁が解かれ、モータ15が停止してタップ切換が終了することになる。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術は、負荷時タップ切換器に発生した不具合の診断について配慮がされておらず、保守作業に問題があった。
【0031】
受変電機器や変圧器の異常監視は、通常、運転員が監視、制御、記録等を行う中央監視室に表示されるので、不具合が発生した場合、その後で運転員が現場に赴き、機器の状態を調べ、異常を確認することになる。
【0032】
ここで、負荷時タップ切換器場合は、そのタップ渋滞、タップ暴走等の不具合の大半は、そこに使用されている電磁接触器やスイッチの接点接触に現れる一過性のものが多く、後で調査しても、異常が再現されないことが多い。
【0033】
この結果、従来技術では、保守作業に問題が生じてしまうのである。
【0034】
本発明の目的は、不具合が実時間で容易に診断できるようにした負荷時タップ切換器の診断方法を提供することにある。
【0035】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、電動操作機構を備えた負荷時タップ切換器の診断方法において、前記電動操作機構駆動用電動機の電流値を検出する電流検出手段と、前記電動機制御用電磁接触器の動作時間を検出する接点手段とを備え、前記電動機の電流値の変化と前記電磁接触器の動作時間の相関に基づいて不具合を診断するようにして達成される。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による負荷時タップ切換器の診断方法について、図示の実施の形態により詳細に説明する。ここで、図1は、本発明の一実施形態におけるモータ部1Bを示したもので、制御部1Aは、図10で説明した従来技術の場合と同じである。
【0037】
そして、この図1において、20は変流器(CT)、21は診断回路であるが、ここで、常開接点7a4、8a4、11a1、12a2は、各々図10における降圧切換用電磁接触器7、昇圧切換用電磁接触器7、ステップバイステップ回路用電磁接触器11、それにブレーキ用電磁接触器12の接点である。
【0038】
従って、この実施形態の場合、回路構成上は、図10と図11の従来技術において、変流器20と診断回路21、それに電磁接触器の夫々に常開接点7a4、8a4、11a1、12a2を付加したものに相当する。
【0039】
まず、変流器20は、モータ15に供給される電流(モータ電流)Iを検出し、診断回路21供給する働きをする。なお、この図1の実施形態では、変流器20がモータ部1B、つまり電動操作機構1の中に設置されているが、電動操作機構1の外部で、電源供給ラインに設置しても良い。
【0040】
次に、この実施形態の動作について説明する。ここで、まず図2は、この実施形態において、診断回路21のマイコンにより実行される不具合診断アルゴリズムで、診断には降圧切換用電磁接触器7と昇圧切換用電磁接触器8の常開接点7a4、8a4の閉成期間と、変流器20の出力値を用い、これらを比較して診断を行なう。
【0041】
このため、診断回路21のマイコンは、所定の事象発生を契機として図2の処理を実行する。ここで、所定の事象発生とは、タップ下げ指令Dの入力と、タップ上げ指令Uの入力のことであり、何れの場合も契機となる。
【0042】
また、図3〜図9は、不具合診断時の切換時間Tとモータ電流Iのタイムチャートで、このとき、図3は電動操作機構1の機能が正常なときのタイムチャートで、図4〜図9は不具合が発生した場合のタイムチャートであり、以下、図2も含め、これら図3〜図9により、診断動作について説明する。
【0043】
図2の処理が開始されたと、まず最初に、切換時間Tを判定基準値(期間)T0 と比較する(S1)。そこで、これら切換時間Tと判定基準期間値T0 について説明する。
【0044】
図3において、まず常開接点7a4又は常開接点8a4が閉成(オン)された時刻をtON とする。次に開放(オフ)された時刻をtOFF とする。そうすると、図示のように、時刻tON から時刻tOFF までの期間が切換時間Tとなる。
【0045】
次に、判定基準値T0 は以下のようにして決める。まず、電動操作機構1の機能が正常であることを確認した上で1タップの切換えに要する時間を求める。そうすると、これは、当然、正常なときの切換時間Tと等しくなる。そこで、この切換時間Tにプラスαの余裕(マージン)をみて、図示のように、判定基準期間値T0(=T+α)とするのである。
【0046】
そして処理S1では、切換時間Tと判定基準期間値T0 の比較結果を正常A、超過B、瞬断Cに分けて判定する。ここで、
A:T<T0
B:T≧T0
C:T≪T0
である。
【0047】
そして、処理S1での判定結果が正常Aになったときは処理S2に進み、超過Bのときは処理S3に進む。しかし、結果が瞬断Cのときは、ここで直ちに診断結果G7を与える。
【0048】
処理S2では、モータ電流Iを判定基準電流値I0 と比較する。そこで、今度は、これらモータ電流Iと判定基準電流値I0 について説明する。
【0049】
図3において、時刻tON で常開接点7a4又は常開接点8a4が閉成されたことにより、モータ15には、まず大きな起動電流が流れ、その後、負荷トルクτ(後述)に応じた電流値に落ち着く。
【0050】
ここで、この起動電流が流れている期間はだいたい決まっているので、これを期間TS とする。そして、時刻tON から期間TS が経過した後、変流器20から出力されてくる電流値をモータ電流Iとするのである。
【0051】
次に判定基準電流値I0 について説明する。まず、電動操作機構1の機能が正常で、その駆動に必要なトルクτに応じた電流値にあることを確認した上で、モータ15に流れる電流値を求める。そうすると、これは、当然、正常なときのモータ電流Iと等しくなる。そこで、このときの電流値を判定基準電流値I0 とするのである。
【0052】
そこで、処理S2では、モータ電流Iと判定基準電流値I0 の比較結果を正常Xと過大Y、それに過小Zに分けて判定する。ここで、
X:(I0+β)>I>(I0−β)
Y:I≧(I0+β)
Z:I≦(I0−β)
であり、このときβは判定に余裕を持たせるための所定値で、通常は判定基準電流値I0 の数%程度にしてある。
【0053】
そして、処理S2での判定結果がXになったときは診断結果G1を与え、Yのときは診断結果G2を与える。そして、判定結果がZのときは、診断結果G3を与えるのである。
【0054】
ここで、処理1で判定結果がBになったときの動作について説明すると、このときはモータ電流Iの波形を調べる(S3)。そして、この処理S3では、比較結果を正常B1と異常B2に分けて判定する。ここで、
B1:Iの波形に脈動無し
B2:Iの波形に脈動あり
である。
【0055】
そして、この処理S3での判定結果が異常B2のときは、ここで直ちに診断結果G6を与える。
【0056】
一方、正常B1になったときは処理S4に進み、モータ電流Iを判定基準電流値I0 と比較する。そして、この処理S4では、モータ電流Iと判定基準電流値I0 の比較結果を過大B3と正常B4に分けて判定する。ここで、
B3:I≧(I0+β)
B4:(I0+β)>I>(I0−β)
である。
【0057】
そして、処理S4の判定結果が過大B3になったときは診断結果G4を与え、正常B4のときは診断結果G5を与えるのである。
【0058】
次に、各診断結果G1〜G7について説明する。ここで、上記したように、診断結果G1は正常な切換動作が行なわれた場合であり、残りの診断結果G2〜G6は何らかの異常、不具合と診断された場合である。
【0059】
まず、図3は、診断結果G1が得られたときの状態で、この場合、切換時間Tは正常、つまり切換時間Tは判定基準期間値T0 より短く、しかもモータ電流Iは、判定基準電流値I0 に対して±βの許容範囲に収まっている。
【0060】
そこで、この診断結果G1の場合は正常と判断し、従って、タップ切換機構には何も異常部位がないものとすることができる。
【0061】
次に、図4は、切換時間Tは正常、つまり切換時間Tは判定基準期間値T0 より短いが、しかし、モータ電流Iが判定基準電流値I0 以上になってしまったときである。
【0062】
ここで、この図4の状態は、切換時間Tは正常であるにも関わらず、電流のみが増大(I≧(I0+β))しているので、診断結果G2(異常傾向)となり、異常現象としてはモータ15にかかるトルクτが過大傾向であり、従って異常部位は負荷時タップ切換器の機構系で、そこに固渋傾向が現れていると診断する。
【0063】
次に、図5は、切換時間Tは正常であるが、しかし、モータ電流Iが判定基準電流値I0 以下になってしまったときである。
【0064】
ここで、この図5の状態は、切換時間Tは正常であるにも関わらず、電流のみが減少(I≦(I0−β))しているので、診断結果G3(異常傾向)となり、異常現象としてはモータ15にかかるトルクτが過小傾向で、異常部位は負荷時タップ切換器の機構系に脱落傾向が現れていると診断する。
【0065】
次に、図6は、切換時間Tも異常で、モータ電流Iも異常(過大)になっているので、診断結果G4の場合となり、異常現象としてはモータ15にかかるトルクτが更に過大傾向であり、従って異常部位は負荷時タップ切換器の機構系で、そこに固渋傾向が更に強く現れていると診断する。
【0066】
ここで、これら診断結果G2〜G3のように、傾向があると診断された項目については、診断時点で直ちに重大事故に繋がる様なケースではない。従って、以後、測定データの前回値比較など、継続的に監視していくことにより、一過性の異常か否かを最終的に診断することにより的確な対処が得られることになる。
【0067】
次に、図7は、モータ電流Iは正常で、切換時間Tが異常(超過)になっているので、診断結果G5となる。そして、この場合は、異常現象としては制御系の異常となり、異常部位は電磁接触器の接点の不具合と診断する。
【0068】
ここで、過去の不具合の中で、この診断結果G5となるケースが最も多く、このとき、常開接点7a4、8a4の切換時間をみていたか、常開接点11a1の切換時間をみていたか、或いは常開接点12a2の切換時間をみていたかにより不具合部位の特定が可能になる。
【0069】
次に、図8は、モータ電流の波形に脈動が現れているので、診断結果G6となり、異常現象としてはモータ欠相起動となる。そして、異常部位はモータ回路と診断することになる。
【0070】
次に、図9は、切換時間Tが短時間(瞬時)で終っているので、診断結果G7となり、異常現象としては回路異常になる。そして、異常部位は指令回路の接点不具合か、電磁接触器接点の不具合と診断することができる。
【0071】
図1に戻り、診断回路21は、図2の処理を実行し、診断結果G1〜G7が得られたら、それを表示して運転員の監視に供したり、記憶して後刻での分析、解析に供することができるようにする。
【0072】
従って、この実施形態によれば、変圧器に内蔵される負荷時タップ切換器などにおいて、タップ渋滞、タップ暴走等の不具合を実時間で診断することができるので、保守作業が容易になり、信頼性の向上を充分に得ることができる。
【0073】
【発明の効果】
本発明によれば、負荷時タップ切換器の異常を実時間で簡単且つ正確に診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による負荷時タップ切換器の診断方法の一実施形態が適用された電動操作機構の回路ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態における不具合診断アルゴリズムの説明図である。
【図3】本発明の一実施形態による不具合診断動作説明用のタイムチャート(その1)である。
【図4】本発明の一実施形態による不具合診断動作説明用のタイムチャート(その2)である。
【図5】本発明の一実施形態による不具合診断動作説明用のタイムチャート(その3)である。
【図6】本発明の一実施形態による不具合診断動作説明用のタイムチャート(その4)である。
【図7】本発明の一実施形態による不具合診断動作説明用のタイムチャート(その5)である。
【図8】本発明の一実施形態による不具合診断動作説明用のタイムチャート(その6)である。
【図9】本発明の一実施形態による不具合診断動作説明用のタイムチャート(その7)である。
【図10】負荷時タップ切換器の制御回路の一例を示す回路ブロック図である。
【図11】従来技術による負荷時タップ切換器の電動操作機構の一例を示す回路ブロック図である。
【符号の説明】
B 電動操作機構側の電源母線
1 電動操作機構(全体)
1A 制御部
1B モータ部
2 降圧指令用スイッチ
3 昇圧指令用スイッチ
4 切換スイッチ(切換指令入力切換用)
5 下限位置で閉じるリミットスイッチ
6 上限位置で閉じるリミットスイッチ
7 降圧切換用電磁接触器
8 昇圧切換用電磁接触器
9 自己保持用パイロットスイッチ
10 ステップバイステップ回路用パイロットスイッチ
11 ステップバイステップ回路用電磁接触器
12 ブレーキ用電磁接触器
13 引き外しコイル付配線用遮断器
14 タップ暴走検出用電磁接触器
15 モータ(電動機)
16 タップ渋滞検出用パイロットスイッチ
24 電流検出用変流器(CT)
【発明の属する技術分野】
本発明は、負荷時タップ切換器の不具合を診断する方法に係り、特に、電動操作機構を備えた負荷時タップ切換器の不具合を診断する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電力需要の増大に伴い、送変電用変圧器の高電圧化と大容量化が進んでいるが、更に、各需要家毎に設置されている受電用変圧器も1バンクに限らず、各々の需要家の要求に応じて2〜3バンクといった形態で設置されるのが通例である。
【0003】
また、このとき、受電用変圧器に負荷時タップ切換器を設置し、無停電のまま電圧が上げ下げできるようにすることも、近年、通例になりつつあり、これらのことは、電力の安定供給に必要な手段ではあるが、反面、これらを正常に維持していくためには、多大の人件費、維持費が必要となる。
【0004】
ところで、この負荷時タップ切換器は、例えば1日に20回以上操作されることも珍しくなく、従って、かなり動作頻度が高く、このため所定の時間内に所定のタップ切換が終了されないという、いわゆるタップ渋滞や、所定のタップ切換が終了したにもかかわらず、電動操作機構のモータ(電動機)が連続通電されたままになるという、いわゆるタップ暴走といった不具合の発生がしばしば見られるようになっている。
【0005】
ここで、これらの不具合が発生した場合は、通常、運転員が監視、制御、記録等を行う中央監視室に、それらが表示されるが、この中央監視室は、受変電機器や変圧器が設置されている場所とは離れた場所にあるのが一般的である。
【0006】
ところで、このような負荷時タップ切換器(LTC)は電動操作されるのが通例であり、そこで、このような電動操作機構の制御回路について、図10と図11により説明する。ここで、図10は電動操作機構の制御部で、図11はモータ部(電動操作機構のモータ部)を示したものである。
【0007】
そして、これら図10と図11において、1は電動操作機構の全体を表わし、更に制御部は1Aで、そしてモータ部は1Bで表わされ、これらは3相の所定の電圧(220V又は440V)をUする電源ラインR、S、Tから供給される電力で動作するようになっている。ここで、ラインCは制御用である。
【0008】
まず、図10の制御部1Aにおいて、ここで2は降圧指示用スイッチで、3は昇圧指示用スイッチであり、何れも押しボタンスイッチからなる。そして降圧指令用スイッチ2は、タップ下げ指令(電圧が低下する方向にタップを切換える指令)Dを発生し、昇圧用切換スイッチ3は、タップ上げ指令(電圧が上昇する方向にタップを切換える指令)Uを発生する。
【0009】
次に、4は切換スイッチで、2回路2接点型の切換スイッチからなり、タップ下げ指令Dとタップ上げ指令Uの入力を、降圧指示用スイッチ2と昇圧指示用スイッチ3から外部端子d、uに切換える働きをする。ここで、これらの外部端子d、uは、図示してない中央監視室などに接続されている。
【0010】
次に、5は下限位置で閉じるリミットスイッチ、6は上限位置で閉じるリミットスイッチである。ここで、これらのリミットスイッチ5、6のZ型のシンボルは、それらがカム(カム軸)操作されるスイッチであることを表わす。
【0011】
そして、ここでリミットスイッチ5、6の場合、カムとは、タップ切換用スイッチ部材を回動させる軸に設けられているものを指し、従って、下限位置で閉じるとは、最低電圧タップ位置で閉じることを意味し、上限位置で閉じるとは、最大電圧タップ位置で閉じることを意味する。
【0012】
次に、7は降圧切換用電磁接触器で、常開接点7a1、7a2、7a3と常閉接点7b1を備え、8は昇圧切換用電磁接触器で、常開接点8a1、8a2、8a3と常閉接点8b1を備えている。ここで、常開接点7a1と常閉接点8b1は、この図10には現れていない(後述)。
【0013】
また、9は自己保持用パイロットスイッチで、10はステップバイステップ回路用パイロットスイッチである。そして、11はステップバイステップ回路用電磁接触器で、常開接点11aと常閉接点11bを備え、12はブレーキ用電磁接触器で、常開接点12a1を備えている。
【0014】
次に、図11のモータ部1Bについて説明すると、この図において、まず7a1は昇圧切換用電磁接触器7(図10)の常開接点で、次に8a1は降圧切換用電磁接触器8(図10)の常開接点であり、更に12aはブレーキ用電磁接触器12(図10)の常開接点で、ここでは3回路接点構成のものが用いられている。
【0015】
また、13は引き外しコイル付配線用遮断器で、ここでは、図示のように、押しボタンスイッチで操作され、緊急時に電源を遮断する働きをする。更に、14はタップ暴走検出用電磁接触器で、常開接点14a1を備え、この常開接点14a1の閉成状態が予め設定してある所定の時間以上継続したとき、タップ暴走発生とするものである。
【0016】
そして、15がモータ(ここでは3相誘導電動機)で、減速機構を介してタップ選択器と切換開閉器の可動部材を移動させる駆動動力源となり、16はタップ渋滞検出用パイロットスイッチである。
【0017】
ここで、17は手動スイッチで、タップ切換を手動で操作する際に使用され、開路することにより降圧切換用電磁接触器7と昇圧切換用電磁接触器8の励磁動作を禁止する働きをする。また、18は抵抗器で、ステップバイステップ回路用電磁接触器11のコイルに発生する逆起電力を吸収する働きをする。
【0018】
次に、動作について、一例として、タップ上げ指令Uが供給されたときの動作について説明する。ここで、図10に示されているように、切換スイッチ4が外部端子d、u側に切換わっているときは、外部からタップ上げ指令Uが受信されるが、切換スイッチ4が降圧指示用スイッチ2と昇圧指示用スイッチ3側に切換わっていたときは、昇圧指示用スイッチ3が操作されたときタップ上げ指令Uが発せられる構成とになる。
【0019】
こうしてタップ上げ指令Uが供給されたとすると、昇圧切換用電磁接触器8が励磁され、常開接点8a1、8a2、8a3が閉路する。
【0020】
そして、まず常開接点8a2の閉成によりブレーキ用電磁接触器12が励磁され、常開接点12a、12a1が閉路し、常開接点12bは開路するので、モータ駆動回路が形成され、モータ15が起動し、タップの切換動作がタップ上げ方向に進行する。
【0021】
また、常開接点8a3が閉路することにより自己保持回路が形成され、昇圧切換用電磁接触器8は、タップ上げ指令Uがイネーブル後も励磁されたままに保持(自己保持)される。
【0022】
こうしてモータ15が起動し回転を開始すると、これに伴い、まずタップ渋滞検出用パイロットスイッチ16が閉路する。ここで、このタップ渋滞検出用パイロットスイッチ16は、あるタップから次のタップに移行する間だけ閉路するスイッチである。
【0023】
また、こうしてモータ15が起動し回転を開始すると、これに伴い、図示してないタップ渋滞検出用タイマも起動し、常閉接点からなる所定のタイマ接点を開路する。そして、予め設定してある正規の時間が経過したとき、上記所定のタイマ接点(常閉接点)を復帰させる。
【0024】
そこで、図示してない回路により、タップ渋滞検出用パイロットスイッチ16の閉成期間とタイマ接点の閉成期間に重なりが現れるのを監視し、重なりが現れなかったとき、つまり、正規の時間が経過する前にタップ切換が終了した場合には、タップ渋滞が起こらなかったものとし、タップ渋滞検出回路を復帰させるのである。
【0025】
また、このときは、ステップバイステップ回路用パイロットスイッチ10が閉路する。そこでステップバイステップ回路用電磁接触器11が励磁され、ステップバイステップ回路が形成される。
【0026】
ここで、このステップバイステップ回路とは、タップ上げ指令U又はタップ下げ指令Dが1回入力される毎に、タップ切換が必ず1タップ分だけ切換えられるようにする回路のことである。
【0027】
そこで、このステップバイステップ回路が形成されると、常開接点11a、11bが閉じられる。そして、まず接点11bが動作することにより、昇圧切換用電磁接触器8の指令回路が開路となり、ステップバイステップ回路を一旦オフしない限り、次の指令が受け入れられないようにする。
【0028】
これにより、タップ上げ指令U又はタップ下げ指令Dを連続的に付与した場合でも、ステップバイステップ回路用電磁接触器11が連続励磁され、常閉接点11bが開路されたままとなるため、1タップのみが切換えられ、それ以上、タップ切換が動作しないようになる。
【0029】
このような一連の動作により、自己保持用パイロットスイッチ9が開路し、昇圧用切換電磁接触器8の励磁が解かれ、モータ15が停止してタップ切換が終了することになる。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術は、負荷時タップ切換器に発生した不具合の診断について配慮がされておらず、保守作業に問題があった。
【0031】
受変電機器や変圧器の異常監視は、通常、運転員が監視、制御、記録等を行う中央監視室に表示されるので、不具合が発生した場合、その後で運転員が現場に赴き、機器の状態を調べ、異常を確認することになる。
【0032】
ここで、負荷時タップ切換器場合は、そのタップ渋滞、タップ暴走等の不具合の大半は、そこに使用されている電磁接触器やスイッチの接点接触に現れる一過性のものが多く、後で調査しても、異常が再現されないことが多い。
【0033】
この結果、従来技術では、保守作業に問題が生じてしまうのである。
【0034】
本発明の目的は、不具合が実時間で容易に診断できるようにした負荷時タップ切換器の診断方法を提供することにある。
【0035】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、電動操作機構を備えた負荷時タップ切換器の診断方法において、前記電動操作機構駆動用電動機の電流値を検出する電流検出手段と、前記電動機制御用電磁接触器の動作時間を検出する接点手段とを備え、前記電動機の電流値の変化と前記電磁接触器の動作時間の相関に基づいて不具合を診断するようにして達成される。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による負荷時タップ切換器の診断方法について、図示の実施の形態により詳細に説明する。ここで、図1は、本発明の一実施形態におけるモータ部1Bを示したもので、制御部1Aは、図10で説明した従来技術の場合と同じである。
【0037】
そして、この図1において、20は変流器(CT)、21は診断回路であるが、ここで、常開接点7a4、8a4、11a1、12a2は、各々図10における降圧切換用電磁接触器7、昇圧切換用電磁接触器7、ステップバイステップ回路用電磁接触器11、それにブレーキ用電磁接触器12の接点である。
【0038】
従って、この実施形態の場合、回路構成上は、図10と図11の従来技術において、変流器20と診断回路21、それに電磁接触器の夫々に常開接点7a4、8a4、11a1、12a2を付加したものに相当する。
【0039】
まず、変流器20は、モータ15に供給される電流(モータ電流)Iを検出し、診断回路21供給する働きをする。なお、この図1の実施形態では、変流器20がモータ部1B、つまり電動操作機構1の中に設置されているが、電動操作機構1の外部で、電源供給ラインに設置しても良い。
【0040】
次に、この実施形態の動作について説明する。ここで、まず図2は、この実施形態において、診断回路21のマイコンにより実行される不具合診断アルゴリズムで、診断には降圧切換用電磁接触器7と昇圧切換用電磁接触器8の常開接点7a4、8a4の閉成期間と、変流器20の出力値を用い、これらを比較して診断を行なう。
【0041】
このため、診断回路21のマイコンは、所定の事象発生を契機として図2の処理を実行する。ここで、所定の事象発生とは、タップ下げ指令Dの入力と、タップ上げ指令Uの入力のことであり、何れの場合も契機となる。
【0042】
また、図3〜図9は、不具合診断時の切換時間Tとモータ電流Iのタイムチャートで、このとき、図3は電動操作機構1の機能が正常なときのタイムチャートで、図4〜図9は不具合が発生した場合のタイムチャートであり、以下、図2も含め、これら図3〜図9により、診断動作について説明する。
【0043】
図2の処理が開始されたと、まず最初に、切換時間Tを判定基準値(期間)T0 と比較する(S1)。そこで、これら切換時間Tと判定基準期間値T0 について説明する。
【0044】
図3において、まず常開接点7a4又は常開接点8a4が閉成(オン)された時刻をtON とする。次に開放(オフ)された時刻をtOFF とする。そうすると、図示のように、時刻tON から時刻tOFF までの期間が切換時間Tとなる。
【0045】
次に、判定基準値T0 は以下のようにして決める。まず、電動操作機構1の機能が正常であることを確認した上で1タップの切換えに要する時間を求める。そうすると、これは、当然、正常なときの切換時間Tと等しくなる。そこで、この切換時間Tにプラスαの余裕(マージン)をみて、図示のように、判定基準期間値T0(=T+α)とするのである。
【0046】
そして処理S1では、切換時間Tと判定基準期間値T0 の比較結果を正常A、超過B、瞬断Cに分けて判定する。ここで、
A:T<T0
B:T≧T0
C:T≪T0
である。
【0047】
そして、処理S1での判定結果が正常Aになったときは処理S2に進み、超過Bのときは処理S3に進む。しかし、結果が瞬断Cのときは、ここで直ちに診断結果G7を与える。
【0048】
処理S2では、モータ電流Iを判定基準電流値I0 と比較する。そこで、今度は、これらモータ電流Iと判定基準電流値I0 について説明する。
【0049】
図3において、時刻tON で常開接点7a4又は常開接点8a4が閉成されたことにより、モータ15には、まず大きな起動電流が流れ、その後、負荷トルクτ(後述)に応じた電流値に落ち着く。
【0050】
ここで、この起動電流が流れている期間はだいたい決まっているので、これを期間TS とする。そして、時刻tON から期間TS が経過した後、変流器20から出力されてくる電流値をモータ電流Iとするのである。
【0051】
次に判定基準電流値I0 について説明する。まず、電動操作機構1の機能が正常で、その駆動に必要なトルクτに応じた電流値にあることを確認した上で、モータ15に流れる電流値を求める。そうすると、これは、当然、正常なときのモータ電流Iと等しくなる。そこで、このときの電流値を判定基準電流値I0 とするのである。
【0052】
そこで、処理S2では、モータ電流Iと判定基準電流値I0 の比較結果を正常Xと過大Y、それに過小Zに分けて判定する。ここで、
X:(I0+β)>I>(I0−β)
Y:I≧(I0+β)
Z:I≦(I0−β)
であり、このときβは判定に余裕を持たせるための所定値で、通常は判定基準電流値I0 の数%程度にしてある。
【0053】
そして、処理S2での判定結果がXになったときは診断結果G1を与え、Yのときは診断結果G2を与える。そして、判定結果がZのときは、診断結果G3を与えるのである。
【0054】
ここで、処理1で判定結果がBになったときの動作について説明すると、このときはモータ電流Iの波形を調べる(S3)。そして、この処理S3では、比較結果を正常B1と異常B2に分けて判定する。ここで、
B1:Iの波形に脈動無し
B2:Iの波形に脈動あり
である。
【0055】
そして、この処理S3での判定結果が異常B2のときは、ここで直ちに診断結果G6を与える。
【0056】
一方、正常B1になったときは処理S4に進み、モータ電流Iを判定基準電流値I0 と比較する。そして、この処理S4では、モータ電流Iと判定基準電流値I0 の比較結果を過大B3と正常B4に分けて判定する。ここで、
B3:I≧(I0+β)
B4:(I0+β)>I>(I0−β)
である。
【0057】
そして、処理S4の判定結果が過大B3になったときは診断結果G4を与え、正常B4のときは診断結果G5を与えるのである。
【0058】
次に、各診断結果G1〜G7について説明する。ここで、上記したように、診断結果G1は正常な切換動作が行なわれた場合であり、残りの診断結果G2〜G6は何らかの異常、不具合と診断された場合である。
【0059】
まず、図3は、診断結果G1が得られたときの状態で、この場合、切換時間Tは正常、つまり切換時間Tは判定基準期間値T0 より短く、しかもモータ電流Iは、判定基準電流値I0 に対して±βの許容範囲に収まっている。
【0060】
そこで、この診断結果G1の場合は正常と判断し、従って、タップ切換機構には何も異常部位がないものとすることができる。
【0061】
次に、図4は、切換時間Tは正常、つまり切換時間Tは判定基準期間値T0 より短いが、しかし、モータ電流Iが判定基準電流値I0 以上になってしまったときである。
【0062】
ここで、この図4の状態は、切換時間Tは正常であるにも関わらず、電流のみが増大(I≧(I0+β))しているので、診断結果G2(異常傾向)となり、異常現象としてはモータ15にかかるトルクτが過大傾向であり、従って異常部位は負荷時タップ切換器の機構系で、そこに固渋傾向が現れていると診断する。
【0063】
次に、図5は、切換時間Tは正常であるが、しかし、モータ電流Iが判定基準電流値I0 以下になってしまったときである。
【0064】
ここで、この図5の状態は、切換時間Tは正常であるにも関わらず、電流のみが減少(I≦(I0−β))しているので、診断結果G3(異常傾向)となり、異常現象としてはモータ15にかかるトルクτが過小傾向で、異常部位は負荷時タップ切換器の機構系に脱落傾向が現れていると診断する。
【0065】
次に、図6は、切換時間Tも異常で、モータ電流Iも異常(過大)になっているので、診断結果G4の場合となり、異常現象としてはモータ15にかかるトルクτが更に過大傾向であり、従って異常部位は負荷時タップ切換器の機構系で、そこに固渋傾向が更に強く現れていると診断する。
【0066】
ここで、これら診断結果G2〜G3のように、傾向があると診断された項目については、診断時点で直ちに重大事故に繋がる様なケースではない。従って、以後、測定データの前回値比較など、継続的に監視していくことにより、一過性の異常か否かを最終的に診断することにより的確な対処が得られることになる。
【0067】
次に、図7は、モータ電流Iは正常で、切換時間Tが異常(超過)になっているので、診断結果G5となる。そして、この場合は、異常現象としては制御系の異常となり、異常部位は電磁接触器の接点の不具合と診断する。
【0068】
ここで、過去の不具合の中で、この診断結果G5となるケースが最も多く、このとき、常開接点7a4、8a4の切換時間をみていたか、常開接点11a1の切換時間をみていたか、或いは常開接点12a2の切換時間をみていたかにより不具合部位の特定が可能になる。
【0069】
次に、図8は、モータ電流の波形に脈動が現れているので、診断結果G6となり、異常現象としてはモータ欠相起動となる。そして、異常部位はモータ回路と診断することになる。
【0070】
次に、図9は、切換時間Tが短時間(瞬時)で終っているので、診断結果G7となり、異常現象としては回路異常になる。そして、異常部位は指令回路の接点不具合か、電磁接触器接点の不具合と診断することができる。
【0071】
図1に戻り、診断回路21は、図2の処理を実行し、診断結果G1〜G7が得られたら、それを表示して運転員の監視に供したり、記憶して後刻での分析、解析に供することができるようにする。
【0072】
従って、この実施形態によれば、変圧器に内蔵される負荷時タップ切換器などにおいて、タップ渋滞、タップ暴走等の不具合を実時間で診断することができるので、保守作業が容易になり、信頼性の向上を充分に得ることができる。
【0073】
【発明の効果】
本発明によれば、負荷時タップ切換器の異常を実時間で簡単且つ正確に診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による負荷時タップ切換器の診断方法の一実施形態が適用された電動操作機構の回路ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態における不具合診断アルゴリズムの説明図である。
【図3】本発明の一実施形態による不具合診断動作説明用のタイムチャート(その1)である。
【図4】本発明の一実施形態による不具合診断動作説明用のタイムチャート(その2)である。
【図5】本発明の一実施形態による不具合診断動作説明用のタイムチャート(その3)である。
【図6】本発明の一実施形態による不具合診断動作説明用のタイムチャート(その4)である。
【図7】本発明の一実施形態による不具合診断動作説明用のタイムチャート(その5)である。
【図8】本発明の一実施形態による不具合診断動作説明用のタイムチャート(その6)である。
【図9】本発明の一実施形態による不具合診断動作説明用のタイムチャート(その7)である。
【図10】負荷時タップ切換器の制御回路の一例を示す回路ブロック図である。
【図11】従来技術による負荷時タップ切換器の電動操作機構の一例を示す回路ブロック図である。
【符号の説明】
B 電動操作機構側の電源母線
1 電動操作機構(全体)
1A 制御部
1B モータ部
2 降圧指令用スイッチ
3 昇圧指令用スイッチ
4 切換スイッチ(切換指令入力切換用)
5 下限位置で閉じるリミットスイッチ
6 上限位置で閉じるリミットスイッチ
7 降圧切換用電磁接触器
8 昇圧切換用電磁接触器
9 自己保持用パイロットスイッチ
10 ステップバイステップ回路用パイロットスイッチ
11 ステップバイステップ回路用電磁接触器
12 ブレーキ用電磁接触器
13 引き外しコイル付配線用遮断器
14 タップ暴走検出用電磁接触器
15 モータ(電動機)
16 タップ渋滞検出用パイロットスイッチ
24 電流検出用変流器(CT)
Claims (1)
- 電動操作機構を備えた負荷時タップ切換器の診断方法において、
前記電動操作機構駆動用電動機の電流値を検出する電流検出手段と、
前記電動機制御用電磁接触器の動作時間を検出する接点手段とを備え、
前記電動機の電流値と前記電磁接触器の動作時間に基づいて不具合を診断するように構成したことを特徴とする負荷時タップ切換器の不具合診断方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002337034A JP2004172408A (ja) | 2002-11-20 | 2002-11-20 | 負荷時タップ切換器の診断方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002337034A JP2004172408A (ja) | 2002-11-20 | 2002-11-20 | 負荷時タップ切換器の診断方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004172408A true JP2004172408A (ja) | 2004-06-17 |
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ID=32700696
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2002337034A Pending JP2004172408A (ja) | 2002-11-20 | 2002-11-20 | 負荷時タップ切換器の診断方法 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2004172408A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006128237A (ja) * | 2004-10-27 | 2006-05-18 | Tokyo Electric Power Co Inc:The | 負荷時タップ切換装置の異常判定装置及び方法 |
JP2010283226A (ja) * | 2009-06-05 | 2010-12-16 | Chugoku Electric Power Co Inc:The | 負荷時タップ切換装置の異常検出のための電力波形表示システム |
-
2002
- 2002-11-20 JP JP2002337034A patent/JP2004172408A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006128237A (ja) * | 2004-10-27 | 2006-05-18 | Tokyo Electric Power Co Inc:The | 負荷時タップ切換装置の異常判定装置及び方法 |
JP2010283226A (ja) * | 2009-06-05 | 2010-12-16 | Chugoku Electric Power Co Inc:The | 負荷時タップ切換装置の異常検出のための電力波形表示システム |
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