JP2000269052A - 負荷時タップ切換変圧器の異常診断方法 - Google Patents
負荷時タップ切換変圧器の異常診断方法Info
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- H01H2009/0061—Monitoring tap change switching devices
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 タップ間短絡時間を求め、タップ切換装置の
異常を診断すること。 【解決手段】 負荷時タップ切換変圧器の１次電流、２
次電流、タップ番号を検出し、１次電流値−２次電流値
×１次２次巻数比を演算し、その波形によりタップ間短
絡時間を求め、異常を診断する。なお、タップ番号によ
り１次２次巻数比が分かる。高調波ノイズが多い場合に
は演算波形から高調波ノイズをその最高値波形前後にお
ける波形のフ−リエ近似波形を演算し、それぞれ上記演
算波形から減算することにより正確な短絡開始時点、お
よび短絡終了時点を判定し、タップ短絡時間を求め、こ
れによりタップ切換装置の故障及び異常兆候を診断す
る。
異常を診断すること。 【解決手段】 負荷時タップ切換変圧器の１次電流、２
次電流、タップ番号を検出し、１次電流値−２次電流値
×１次２次巻数比を演算し、その波形によりタップ間短
絡時間を求め、異常を診断する。なお、タップ番号によ
り１次２次巻数比が分かる。高調波ノイズが多い場合に
は演算波形から高調波ノイズをその最高値波形前後にお
ける波形のフ−リエ近似波形を演算し、それぞれ上記演
算波形から減算することにより正確な短絡開始時点、お
よび短絡終了時点を判定し、タップ短絡時間を求め、こ
れによりタップ切換装置の故障及び異常兆候を診断す
る。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、タップ間短絡電流
波形により負荷時タップ切換装置のタップ切換の異常を
診断する方法に関する。
波形により負荷時タップ切換装置のタップ切換の異常を
診断する方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】負荷時タップ切換装置は、切換開閉器、
タップ選択器、転位切換器( または極性切換器) 、駆動
機構および電動操作機構で構成され、電圧変動を検出し
てタップ選択器で巻線タップを選択し、切換開閉器で変
圧器の巻線タップを切り換えることによって送配電系統
の電圧を一定に保つものである。負荷時タップ切換装置
が故障した場合、負荷時タップ切換変圧器に接続される
送配電系統の停電故障に発展する恐れがあり、これらの
故障の兆候を事前に検出することが課題となっている。
タップ選択器、転位切換器( または極性切換器) 、駆動
機構および電動操作機構で構成され、電圧変動を検出し
てタップ選択器で巻線タップを選択し、切換開閉器で変
圧器の巻線タップを切り換えることによって送配電系統
の電圧を一定に保つものである。負荷時タップ切換装置
が故障した場合、負荷時タップ切換変圧器に接続される
送配電系統の停電故障に発展する恐れがあり、これらの
故障の兆候を事前に検出することが課題となっている。
【０００３】図６は切換開閉器の動作を説明するために
切換開閉器を模式的に表した図である。１１は変圧器の
タップ巻線、１２、１３はタップ巻線の引出タップに接
続されたタップ端子、１４は引出端子、１５はタップ間
短絡電流を限流するための限流抵抗、Ａ，Ｄは巻線タッ
プに直接接続された固定接点、Ｂ，Ｃはタップ端子と限
流抵抗（Ｒ）１５を介して接続された固定接点、Ｍは引
出端子１４に接続された可動接点である。図７は切換開
閉器のタップ切換動作を説明する図である。タップ切換
信号発生部（図８の２８）のタップ上げ（昇圧）信号ま
たはタップ下げ（降圧）信号に基づいて、限流抵抗
（Ｒ）１５のタップへの接続状態、変圧器１次電流、変
圧器２次電流、変圧器２次電圧の時間的変化を示してい
る。
切換開閉器を模式的に表した図である。１１は変圧器の
タップ巻線、１２、１３はタップ巻線の引出タップに接
続されたタップ端子、１４は引出端子、１５はタップ間
短絡電流を限流するための限流抵抗、Ａ，Ｄは巻線タッ
プに直接接続された固定接点、Ｂ，Ｃはタップ端子と限
流抵抗（Ｒ）１５を介して接続された固定接点、Ｍは引
出端子１４に接続された可動接点である。図７は切換開
閉器のタップ切換動作を説明する図である。タップ切換
信号発生部（図８の２８）のタップ上げ（昇圧）信号ま
たはタップ下げ（降圧）信号に基づいて、限流抵抗
（Ｒ）１５のタップへの接続状態、変圧器１次電流、変
圧器２次電流、変圧器２次電圧の時間的変化を示してい
る。
【０００４】配電線の電圧検出装置からの昇圧または降
圧信号により、図６のタップ端子１２をタップ端子１３
に切り換えて２次電圧を昇圧または降圧する動作につい
て説明する。昇圧または降圧信号入力後のｔ１時間経過
後に駆動用モ−タを起動し、ｔ２時間で蓄勢機構の切換
用バネにエネルギーを蓄勢する。蓄勢機構のバネ復元力
によりタップ切換動作は行われる。蓄勢機構により可動
接点Ｍは回転移動し、ｔ２時点で可動接点Ｍと固定接点
Ａは開状態、固定接点Ｂは閉状態となりタップ端子１２
と引出端子１４の間に限流抵抗１５が挿入される。ｔ３
時点で固定接点Ｂ，Ｃは同時に可動接点Ｍと閉状態にな
るので、タップ端子１２、１３は限流抵抗１５を介して
引出端子１４に接続されるとともにタップ端子間には２
個の限流抵抗１５を介して短絡電流が流れる。ｔ４時点
で固定接点Ｂが開状態、固定接点Ｃは可動接点Ｍと閉状
態になり、引出端子１４はタップ端子１３と限流抵抗１
５を介して接続される。ｔ５時点で可動接点Ｍは固定接
点Ｃと開状態、固定接点Ｄと閉状態になりタップ端子１
３は引出し端子１４に直接接続され、タップ切換は終了
する。
圧信号により、図６のタップ端子１２をタップ端子１３
に切り換えて２次電圧を昇圧または降圧する動作につい
て説明する。昇圧または降圧信号入力後のｔ１時間経過
後に駆動用モ−タを起動し、ｔ２時間で蓄勢機構の切換
用バネにエネルギーを蓄勢する。蓄勢機構のバネ復元力
によりタップ切換動作は行われる。蓄勢機構により可動
接点Ｍは回転移動し、ｔ２時点で可動接点Ｍと固定接点
Ａは開状態、固定接点Ｂは閉状態となりタップ端子１２
と引出端子１４の間に限流抵抗１５が挿入される。ｔ３
時点で固定接点Ｂ，Ｃは同時に可動接点Ｍと閉状態にな
るので、タップ端子１２、１３は限流抵抗１５を介して
引出端子１４に接続されるとともにタップ端子間には２
個の限流抵抗１５を介して短絡電流が流れる。ｔ４時点
で固定接点Ｂが開状態、固定接点Ｃは可動接点Ｍと閉状
態になり、引出端子１４はタップ端子１３と限流抵抗１
５を介して接続される。ｔ５時点で可動接点Ｍは固定接
点Ｃと開状態、固定接点Ｄと閉状態になりタップ端子１
３は引出し端子１４に直接接続され、タップ切換は終了
する。
【０００５】図８は従来のタップ切換装置の異常検出装
置である（例えば特開平１−３１２４７３号公報参
照）。２１は変圧器のタンク３２内に収納された負荷時
タップ切換器、２２はタンク３２の外部に設けられ、負
荷時タップ切換器２１を駆動する電動操作機構、２３は
負荷時タップ切換器２１と電動操作機構２２を連結する
駆動機構、３１はタップ切換を行うためのエネルギーを
蓄勢する蓄勢機構、２４は電動操作機構２２の内部に設
けた駆動用のモータである。
置である（例えば特開平１−３１２４７３号公報参
照）。２１は変圧器のタンク３２内に収納された負荷時
タップ切換器、２２はタンク３２の外部に設けられ、負
荷時タップ切換器２１を駆動する電動操作機構、２３は
負荷時タップ切換器２１と電動操作機構２２を連結する
駆動機構、３１はタップ切換を行うためのエネルギーを
蓄勢する蓄勢機構、２４は電動操作機構２２の内部に設
けた駆動用のモータである。
【０００６】２５はモータ２４により駆動される駆動軸
２３に設けられ、駆動軸２３の駆動トルクを検出するト
ルク検出部、２６は同じく駆動軸２３の中間に設けられ
駆動軸２３の回転を検出する回転検出部、２７は駆動軸
２３の中間位置から機械的に接続されたタップ番号検出
部、２８は電動操作機構２２にタップ切換信号を与える
タップ切換信号発生部、２９はタップ切換信号発生部２
８の昇圧または降圧の切換信号を検出する切換方向検出
部、３０はトルク検出部２５と回転検出部２６とタップ
番号検出部２７と切換方向検出部２９との信号を入力
し、負荷時タップ切換器２１の異常を判定する異常判定
部である。
２３に設けられ、駆動軸２３の駆動トルクを検出するト
ルク検出部、２６は同じく駆動軸２３の中間に設けられ
駆動軸２３の回転を検出する回転検出部、２７は駆動軸
２３の中間位置から機械的に接続されたタップ番号検出
部、２８は電動操作機構２２にタップ切換信号を与える
タップ切換信号発生部、２９はタップ切換信号発生部２
８の昇圧または降圧の切換信号を検出する切換方向検出
部、３０はトルク検出部２５と回転検出部２６とタップ
番号検出部２７と切換方向検出部２９との信号を入力
し、負荷時タップ切換器２１の異常を判定する異常判定
部である。
【０００７】次に動作について説明する。電圧の検出に
よりタップ切換信号発生部２８から昇圧または降圧のタ
ップ切換方向信号が出力されると、切換方向検出部２９
は昇圧または降圧のタップ切換信号を検出し異常判定部
３０にその切換方向信号を送出する。一方、タップ切換
信号発生部２８から出力されるタップ切換方向信号によ
りモータ２４が回転を開始し、駆動軸２３を介して電動
操作機構２２と機械的に連結した負荷時タップ切換器２
１がタップ切換動作を開始し、駆動軸２３に駆動トルク
が加わる。
よりタップ切換信号発生部２８から昇圧または降圧のタ
ップ切換方向信号が出力されると、切換方向検出部２９
は昇圧または降圧のタップ切換信号を検出し異常判定部
３０にその切換方向信号を送出する。一方、タップ切換
信号発生部２８から出力されるタップ切換方向信号によ
りモータ２４が回転を開始し、駆動軸２３を介して電動
操作機構２２と機械的に連結した負荷時タップ切換器２
１がタップ切換動作を開始し、駆動軸２３に駆動トルク
が加わる。
【０００８】この駆動軸２３の回転に伴いその回転信号
とトルク信号とをそれぞれトルク検出部２５と回転検出
部２６とで検出し、異常判定部３０にその検出信号を送
出する。異常判定部３０ではタップ切換方向とタップ番
号から正常切換時に発生する基準の駆動トルクパターン
を選択し、このトルクパターンと駆動軸の回転位置に対
応する動作時の駆動トルクの大きさを比較することによ
り異常を判定する。
とトルク信号とをそれぞれトルク検出部２５と回転検出
部２６とで検出し、異常判定部３０にその検出信号を送
出する。異常判定部３０ではタップ切換方向とタップ番
号から正常切換時に発生する基準の駆動トルクパターン
を選択し、このトルクパターンと駆動軸の回転位置に対
応する動作時の駆動トルクの大きさを比較することによ
り異常を判定する。
【０００９】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の方法では、
モータ２４、駆動軸２３、蓄勢機構３１の駆動不良は検
出できるが、実際にタップの切換が行われる部分は、蓄
勢機構３１に蓄えられたエネルギーによって動作するも
のであってモータの駆動エネルギーとは直接関係なく、
タップの切換が行われる部分についての動作不良を直接
的に検出することは困難であった。本発明は、タップ間
短絡電流を参照して負荷時タップ切換装置の動作を診断
することを目的とする。
モータ２４、駆動軸２３、蓄勢機構３１の駆動不良は検
出できるが、実際にタップの切換が行われる部分は、蓄
勢機構３１に蓄えられたエネルギーによって動作するも
のであってモータの駆動エネルギーとは直接関係なく、
タップの切換が行われる部分についての動作不良を直接
的に検出することは困難であった。本発明は、タップ間
短絡電流を参照して負荷時タップ切換装置の動作を診断
することを目的とする。
【００１０】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のタップ切換装置の異常診断は、駆動用モー
タが動作する期間内の複数のサンプリング時点で負荷時
タップ切換変圧器の１次電流、負荷時タップ切換変圧器
の２次電流、１次２次巻数比を記録し、記録した１次電
流値、２次電流値、１次２次巻数比を １次電流値−２次電流値×１次２次巻数比 なる式に代入して、各サンプリング時点におけるタップ
間短絡電流値を求め、求めた電流値によって定まる短絡
電流波形に基づいて行うものである。さらに、上記式で
得られたタップ間短絡電流波形の最高波形の前と後の期
間における波形をフーリエ多項式により近似波形を演算
し、該短絡電流波形からそれぞれの期間におけるフーリ
エ多項式による近似波形を差し引いた演算処理済みの電
流波形に基づいて負荷時タップ切換装置の異常診断を行
なっても良い。
に、本発明のタップ切換装置の異常診断は、駆動用モー
タが動作する期間内の複数のサンプリング時点で負荷時
タップ切換変圧器の１次電流、負荷時タップ切換変圧器
の２次電流、１次２次巻数比を記録し、記録した１次電
流値、２次電流値、１次２次巻数比を １次電流値−２次電流値×１次２次巻数比 なる式に代入して、各サンプリング時点におけるタップ
間短絡電流値を求め、求めた電流値によって定まる短絡
電流波形に基づいて行うものである。さらに、上記式で
得られたタップ間短絡電流波形の最高波形の前と後の期
間における波形をフーリエ多項式により近似波形を演算
し、該短絡電流波形からそれぞれの期間におけるフーリ
エ多項式による近似波形を差し引いた演算処理済みの電
流波形に基づいて負荷時タップ切換装置の異常診断を行
なっても良い。
【００１１】
【発明の実施の形態】本発明の実施例を図１〜図５で説
明する。図１は本発明の方法を実施する異常診断装置例
を運転デ−タ検出部とともに示したものである。１は異
常診断装置で、２，３，４はそれぞれ異常診断装置の主
要部を構成する演算処理装置、表示部、記憶部である。
５，６，７，８，９は異常診断に必要な負荷時タップ切
換変圧器の運転デ−タを異常診断装置に供給するための
装置で、それぞれ１次電流検出部、２次電流検出部、タ
ップ番号検出部、タップ切換信号発生部、駆動用モータ
の起動または停止を検出するモータ起動停止検出部であ
る。
明する。図１は本発明の方法を実施する異常診断装置例
を運転デ−タ検出部とともに示したものである。１は異
常診断装置で、２，３，４はそれぞれ異常診断装置の主
要部を構成する演算処理装置、表示部、記憶部である。
５，６，７，８，９は異常診断に必要な負荷時タップ切
換変圧器の運転デ−タを異常診断装置に供給するための
装置で、それぞれ１次電流検出部、２次電流検出部、タ
ップ番号検出部、タップ切換信号発生部、駆動用モータ
の起動または停止を検出するモータ起動停止検出部であ
る。
【００１２】次に、タップ短絡時間Ｔｍ２の検出方法に
ついて説明する。タップ間短絡電流（以下、短絡電流）
は、変圧器１次側を流れ変圧器２次側には影響しないこ
とから、次の式(1) により求めることができる。 短絡電流＝１次電流−２次電流×１次２次巻数比・・・（１） 式（１）で演算された短絡電流波形例を図３に模式的に
示す。式（１）で得られた波形には高調波ノイズが存在
する。Ｉｓは短絡電流波形、Ｉｎは高調波ノイズで、Ｉ
ｎｍは高調波ノイズの波高値の平均値、Ｉｅは高調波ノ
イズ波高値の平均値の許容値で、ｔｓは短絡開始時点、
ｔｅは短絡終了時点である。
ついて説明する。タップ間短絡電流（以下、短絡電流）
は、変圧器１次側を流れ変圧器２次側には影響しないこ
とから、次の式(1) により求めることができる。 短絡電流＝１次電流−２次電流×１次２次巻数比・・・（１） 式（１）で演算された短絡電流波形例を図３に模式的に
示す。式（１）で得られた波形には高調波ノイズが存在
する。Ｉｓは短絡電流波形、Ｉｎは高調波ノイズで、Ｉ
ｎｍは高調波ノイズの波高値の平均値、Ｉｅは高調波ノ
イズ波高値の平均値の許容値で、ｔｓは短絡開始時点、
ｔｅは短絡終了時点である。
【００１３】短絡開始時点ｔｓ、終了時点ｔｅは高調波
ノイズの波高値の平均値Ｉｎｍとその許容値Ｉｅとの和
が短絡電流波形と交叉する時点である。高調波ノイズが
タップ切換前後で電気回路定数が異なるためタップ切換
前後で変動するときは、タップ切換前後の高調波ノイズ
の波高値の平均値Ｉｎｍ、その許容値Ｉｅを使用して、
短絡開始時点ｔｓ、短絡終了時点ｔｅを求める。
ノイズの波高値の平均値Ｉｎｍとその許容値Ｉｅとの和
が短絡電流波形と交叉する時点である。高調波ノイズが
タップ切換前後で電気回路定数が異なるためタップ切換
前後で変動するときは、タップ切換前後の高調波ノイズ
の波高値の平均値Ｉｎｍ、その許容値Ｉｅを使用して、
短絡開始時点ｔｓ、短絡終了時点ｔｅを求める。
【００１４】しかし、式（１）で得られた波形は図４の
ように高調波ノイズが多くなり、短絡電流波形の開始時
点、終了時点が正確に求めるのが困難な場合がある。こ
のような場合には、この高調波ノイズを取り除くことに
より、タップ短絡時間を正確に求めることができる。ま
ず、短絡開始時点の検出方法を説明する。式（１）で得
られた短絡波形のタップ切換前（ｔ３前）の高調波ノイ
ズ波形を、式（２）のフーリエ多項式で近似する。
ように高調波ノイズが多くなり、短絡電流波形の開始時
点、終了時点が正確に求めるのが困難な場合がある。こ
のような場合には、この高調波ノイズを取り除くことに
より、タップ短絡時間を正確に求めることができる。ま
ず、短絡開始時点の検出方法を説明する。式（１）で得
られた短絡波形のタップ切換前（ｔ３前）の高調波ノイ
ズ波形を、式（２）のフーリエ多項式で近似する。
【００１５】
【数１】
【００１６】式（１）で得られた波形から式（２）で得
られたフーリエ多項式による高調波ノイズ近似波形を差
し引き、タップ切換前の高調波ノイズを除去する。これ
により、タップ切換前の波形は図３のように高次の高調
波ノイズ波形と短絡波形とになる。短絡開始時点ｔｓ
は、図３と同じく短絡電流前の高調波ノイズの波高値の
平均値とその許容値との和が短絡電流波形と交叉する時
点である。
られたフーリエ多項式による高調波ノイズ近似波形を差
し引き、タップ切換前の高調波ノイズを除去する。これ
により、タップ切換前の波形は図３のように高次の高調
波ノイズ波形と短絡波形とになる。短絡開始時点ｔｓ
は、図３と同じく短絡電流前の高調波ノイズの波高値の
平均値とその許容値との和が短絡電流波形と交叉する時
点である。
【００１７】次に短絡終了時点の検出を説明する。式
（１）で得られた短絡電流波形のタップ切換動作後の高
調波波形を、式（２）のフーリエ多項式による近似波形
で近似する。式（１）で得られた波形から式（２）で得
られた近似波形を差し引き、タップ切換後の高調波ノイ
ズを除去する。短絡終了時点ｔｅは、図３と同じく短絡
電流波形後の高次の高調波ノイズの波高値の平均値とそ
の許容値との和が短絡電流波形と交叉する時点である。
（１）で得られた短絡電流波形のタップ切換動作後の高
調波波形を、式（２）のフーリエ多項式による近似波形
で近似する。式（１）で得られた波形から式（２）で得
られた近似波形を差し引き、タップ切換後の高調波ノイ
ズを除去する。短絡終了時点ｔｅは、図３と同じく短絡
電流波形後の高次の高調波ノイズの波高値の平均値とそ
の許容値との和が短絡電流波形と交叉する時点である。
【００１８】高調波ノイズを差し引いた短絡電流を演算
し、短絡開始時点を求めた例が図５（ａ）、短絡終了時
点を求めた例が図５（ｂ）である。図５（ａ）から短絡
開始時点ｔｓは起点の０ｍｓ後の８６ｍｓ、図５（ｂ）
から短絡終了時点ｔｅは９５．５ｍｓと判断され、これ
らから短絡時間は９５．５ｍｓ−８６ｍｓ＝９．５ｍｓ
であることが分かる。図５の０ｍｓの起点はモータ起動
から短絡開始までの間で、タップ切換が始まる充分前の
時点である。
し、短絡開始時点を求めた例が図５（ａ）、短絡終了時
点を求めた例が図５（ｂ）である。図５（ａ）から短絡
開始時点ｔｓは起点の０ｍｓ後の８６ｍｓ、図５（ｂ）
から短絡終了時点ｔｅは９５．５ｍｓと判断され、これ
らから短絡時間は９５．５ｍｓ−８６ｍｓ＝９．５ｍｓ
であることが分かる。図５の０ｍｓの起点はモータ起動
から短絡開始までの間で、タップ切換が始まる充分前の
時点である。
【００１９】図２は本発明の異常診断方法のフロー図例
である。電圧変動によりタップ切換信号発生部８から出
力されるタップ切換方向信号が演算処理装置２に入力す
る（ステップＳ１）と演算処理装置２は起動する。演算
処理装置２はモータ起動停止検出部９の起動用モータの
起動検出信号により（ステップＳ２）、１次電流検出部
５、２次電流検出部６により検出された１次電流、２次
電流のサンプリング値を取り込み開始し、順次記憶部４
に記憶する（ステップＳ３）。
である。電圧変動によりタップ切換信号発生部８から出
力されるタップ切換方向信号が演算処理装置２に入力す
る（ステップＳ１）と演算処理装置２は起動する。演算
処理装置２はモータ起動停止検出部９の起動用モータの
起動検出信号により（ステップＳ２）、１次電流検出部
５、２次電流検出部６により検出された１次電流、２次
電流のサンプリング値を取り込み開始し、順次記憶部４
に記憶する（ステップＳ３）。
【００２０】このとき、駆動軸２３（図８）の中間位置
に設けられたタップ番号検出部７により、切換後のタッ
プ番号が検出され、演算処理装置２に入力される（ステ
ップＳ４）。この信号により切換前後のタップ番号が分
かり、これらのデータによりタップ切換前（ｔｓ前）、
後の１次２次巻数比（Ｔurn ratio:ターンレシオ）の演
算が可能となる。モータ起動停止検出部９の駆動用モー
タの停止信号により、演算処理装置２は検出された１次
電流、２次電流のサンプリング値の取込を停止し、記憶
を停止する（ステップＳ５）。
に設けられたタップ番号検出部７により、切換後のタッ
プ番号が検出され、演算処理装置２に入力される（ステ
ップＳ４）。この信号により切換前後のタップ番号が分
かり、これらのデータによりタップ切換前（ｔｓ前）、
後の１次２次巻数比（Ｔurn ratio:ターンレシオ）の演
算が可能となる。モータ起動停止検出部９の駆動用モー
タの停止信号により、演算処理装置２は検出された１次
電流、２次電流のサンプリング値の取込を停止し、記憶
を停止する（ステップＳ５）。
【００２１】記憶されたデータを基に式（１）による波
形を演算し、記憶部４に記憶する（ステップＳ６）。な
お、タップ切換時点ｔ４以降はタップ切換後の１次２次
巻数比を使用し、ｔ４時点以前はタップ切換前の１次２
次巻数比を使用する。式（１）で得られた波形のタップ
切換前（ｔ４時点前）の高調波ノイズ波形およびタップ
切換後（ｔ４時点後）の高調波ノイズ波形を式（２）の
フーリエ多項式でそれぞれ近似演算し、記憶部４に記憶
する（ステップＳ７）。
形を演算し、記憶部４に記憶する（ステップＳ６）。な
お、タップ切換時点ｔ４以降はタップ切換後の１次２次
巻数比を使用し、ｔ４時点以前はタップ切換前の１次２
次巻数比を使用する。式（１）で得られた波形のタップ
切換前（ｔ４時点前）の高調波ノイズ波形およびタップ
切換後（ｔ４時点後）の高調波ノイズ波形を式（２）の
フーリエ多項式でそれぞれ近似演算し、記憶部４に記憶
する（ステップＳ７）。
【００２２】式（１）の波形からタップ切換前、後の高
調波ノイズを式（２）でフーリエ近似した波形それぞれ
差し引き、記憶部８に記憶する（ステップＳ８）。前者
の最高波高値の波形の立ち上がり波形と後者の最高波高
値の波形の立ち下がり波形から、短絡開始時点、短絡終
了時点を求め、その期間から短絡電流時間を求め、記録
部８に記憶する（ステップＳ９）。
調波ノイズを式（２）でフーリエ近似した波形それぞれ
差し引き、記憶部８に記憶する（ステップＳ８）。前者
の最高波高値の波形の立ち上がり波形と後者の最高波高
値の波形の立ち下がり波形から、短絡開始時点、短絡終
了時点を求め、その期間から短絡電流時間を求め、記録
部８に記憶する（ステップＳ９）。
【００２３】求められた短絡時間Ｔｍ２が設定時間（管
理値）より大きく外れると（例えば５％以上）故障と、
またこの外れる傾向が増加すると異常兆候にあると診断
する（ステップＳ１０）。異常診断された時、負荷時タ
ップ切換変圧器の運転を停止し、保守点検を行い、重大
事故を未然に防止する。求められたタップ間短絡時間は
各タップ間毎の時間で、また平均値時間で処理して異常
診断しても良い。
理値）より大きく外れると（例えば５％以上）故障と、
またこの外れる傾向が増加すると異常兆候にあると診断
する（ステップＳ１０）。異常診断された時、負荷時タ
ップ切換変圧器の運転を停止し、保守点検を行い、重大
事故を未然に防止する。求められたタップ間短絡時間は
各タップ間毎の時間で、また平均値時間で処理して異常
診断しても良い。
【００２４】さらに、次の時間を併せて監視することに
より、負荷時タップ切換変圧器のタップ切換動作の故障
およびその兆候をより正確に診断することができる。 昇圧・降圧信号〜モータ起動開始（図７のＴ１期
間） モ−タ起動〜短絡開始（図７の (Ｔ２＋Ｔｍ１) 期
間） 短絡終了〜モ−タ停止（図７の (Ｔｍ３＋Ｔ３) 期
間）
より、負荷時タップ切換変圧器のタップ切換動作の故障
およびその兆候をより正確に診断することができる。 昇圧・降圧信号〜モータ起動開始（図７のＴ１期
間） モ−タ起動〜短絡開始（図７の (Ｔ２＋Ｔｍ１) 期
間） 短絡終了〜モ−タ停止（図７の (Ｔｍ３＋Ｔ３) 期
間）
【００２５】
【発明の効果】本発明の方法は、タップ切換の動作（例
えば、接点の磨耗、溶着の影響）を直接反映するタップ
間短絡電流Ｉｓを求め、その波形によりタップ短絡時間
Ｔｍ２を監視しているので、タップ切換動作の異常を確
実に検出できる。負荷時タップ切換装置の駆動が不良と
なる場合、このタップ短絡時間も増加するので、タップ
短絡時間の増加傾向を監視することにより、負荷時タッ
プ切換装置の故障およびその兆候を検出することができ
る。また既に設置されている負荷時タップ切換変圧器の
場合、図８の従来技術のように負荷時タップ切換変圧器
本体を改造する必要はなく、１次電流検出部、２次電流
検出部を設ける改造だけで、本発明を実施する異常診断
装置を設置できるので、製作費用が低減できる。
えば、接点の磨耗、溶着の影響）を直接反映するタップ
間短絡電流Ｉｓを求め、その波形によりタップ短絡時間
Ｔｍ２を監視しているので、タップ切換動作の異常を確
実に検出できる。負荷時タップ切換装置の駆動が不良と
なる場合、このタップ短絡時間も増加するので、タップ
短絡時間の増加傾向を監視することにより、負荷時タッ
プ切換装置の故障およびその兆候を検出することができ
る。また既に設置されている負荷時タップ切換変圧器の
場合、図８の従来技術のように負荷時タップ切換変圧器
本体を改造する必要はなく、１次電流検出部、２次電流
検出部を設ける改造だけで、本発明を実施する異常診断
装置を設置できるので、製作費用が低減できる。
【図１】本発明を実施する装置例を示す図である。
【図２】本発明のフロー例を示す図である。
【図３】タップ間短絡電流波形の演算波形の模式図であ
る。
る。
【図４】タップ間短絡電流の演算波形例を示す図であ
る。
る。
【図５】高調波ノイズを除去したタップ間短絡電流の演
算波形例を示す図である。
算波形例を示す図である。
【図６】切換開閉器を説明する図である。
【図７】タップ切換動作を説明する図である。
【図８】従来の異常検出装置を示す図である。
１ 異常診断装置 ２ 演算処理装置 ３ 表示部 ４ 記憶部 ５ １次電流検出部 ６ ２次電流検出部 ７ タップ番号検出部 ８ タップ切換信号発生部 ９ モ−タ起動停止検出部 Ｉｓ タップ間短絡電流 ｔｓ 短絡開始時点 ｔｅ 短絡終了時点 Ｔｍ２ タップ短絡時間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 権代 正 広島県広島市南区大州４丁目４番32号 中 国電機製造株式会社内 (72)発明者 福田 光則 広島県広島市南区大州４丁目４番32号 中 国電機製造株式会社内 (72)発明者 石崎 秀昭 広島県広島市南区大州４丁目４番32号 中 国電機製造株式会社内 (72)発明者 垣本 啓二 広島県広島市南区大州４丁目４番32号 中 国電機製造株式会社内
Claims (2)
- 【請求項１】 駆動用モータによってタップ切換装置を
駆動する負荷時タップ切換変圧器において、 駆動用モータが動作する期間内の複数のサンプリング時
点で負荷時タップ切換変圧器の１次電流、 負荷時タップ切換変圧器の２次電流、 １次２次巻数比を記録し、記録した１次電流値、２次電
流値、１次２次巻数比を １次電流値−２次電流値×１次２次巻数比 なる式に代入して、各サンプリング時点におけるタップ
間短絡電流値を求め、求めた電流値によって定まるタッ
プ間短絡電流波形に基づいて負荷時タップ切換装置の異
常診断を行うことを特徴とする負荷時タップ切換変圧器
の異常診断方法。 - 【請求項２】請求項１で得られた短絡電流波形の最高波
形の前と後の期間における波形をフーリエ多項式により
近似波形を演算し、 該短絡電流波形からそれぞれの期間におけるフーリエ多
項式による近似波形を差し引いた演算処理済みの電流波
形に基づいて負荷時タップ切換装置の異常診断を行うこ
とを特徴とする請求項１の負荷時タップ切換変圧器の異
常診断方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7278899A JP2000269052A (ja) | 1999-03-17 | 1999-03-17 | 負荷時タップ切換変圧器の異常診断方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7278899A JP2000269052A (ja) | 1999-03-17 | 1999-03-17 | 負荷時タップ切換変圧器の異常診断方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2000269052A true JP2000269052A (ja) | 2000-09-29 |
Family
ID=13499491
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP7278899A Pending JP2000269052A (ja) | 1999-03-17 | 1999-03-17 | 負荷時タップ切換変圧器の異常診断方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2000269052A (ja) |
Cited By (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2006120919A1 (ja) * | 2005-05-09 | 2006-11-16 | Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha | 負荷時タップ切換器の切換動作監視装置 |
| JP2008130957A (ja) * | 2006-11-24 | 2008-06-05 | Mitsubishi Electric Corp | 負荷時タップ切換器のタップ位置及び累積動作回数検出方法 |
| CN102684145A (zh) * | 2012-04-28 | 2012-09-19 | 辽宁省电力有限公司朝阳供电公司 | 基于冗余ct绕组的采样数据异常检测方法及继电保护方法 |
| CN104272414A (zh) * | 2012-04-27 | 2015-01-07 | 赖茵豪森机械制造公司 | 用于功能监控分级开关的方法 |
| CN113358212A (zh) * | 2021-06-21 | 2021-09-07 | 重庆理工大学 | 基于相对谐阶次的机电故障诊断方法、系统及建模方法 |
| JP2023169851A (ja) * | 2022-05-17 | 2023-11-30 | サンイル エレクトリック カンパニー リミテッド | タップ切換変圧器の電子式タップ切換器制御装置 |
-
1999
- 1999-03-17 JP JP7278899A patent/JP2000269052A/ja active Pending
Cited By (10)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2006120919A1 (ja) * | 2005-05-09 | 2006-11-16 | Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha | 負荷時タップ切換器の切換動作監視装置 |
| JPWO2006120919A1 (ja) * | 2005-05-09 | 2008-12-18 | 三菱電機株式会社 | 負荷時タップ切換器の切換動作監視装置 |
| US7724152B2 (en) | 2005-05-09 | 2010-05-25 | Mitsubishi Electric Corporation | Tap change operation monitoring apparatus for on-load tap charger |
| JP4680261B2 (ja) * | 2005-05-09 | 2011-05-11 | 三菱電機株式会社 | 負荷時タップ切換器の切換動作監視装置 |
| JP2008130957A (ja) * | 2006-11-24 | 2008-06-05 | Mitsubishi Electric Corp | 負荷時タップ切換器のタップ位置及び累積動作回数検出方法 |
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| CN102684145A (zh) * | 2012-04-28 | 2012-09-19 | 辽宁省电力有限公司朝阳供电公司 | 基于冗余ct绕组的采样数据异常检测方法及继电保护方法 |
| CN102684145B (zh) * | 2012-04-28 | 2014-04-23 | 辽宁省电力有限公司朝阳供电公司 | 基于冗余ct绕组的采样数据异常检测方法及继电保护方法 |
| CN113358212A (zh) * | 2021-06-21 | 2021-09-07 | 重庆理工大学 | 基于相对谐阶次的机电故障诊断方法、系统及建模方法 |
| JP2023169851A (ja) * | 2022-05-17 | 2023-11-30 | サンイル エレクトリック カンパニー リミテッド | タップ切換変圧器の電子式タップ切換器制御装置 |
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