JP2007113524A - 車両制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 電動パワーステアリング装置1の電動モータ15に引き込まれる電流と電源電圧とを測定して電源劣化状態を診断し、電源状態情報として記憶する。エンジン始動時に、電源状態情報を読み込み、電源装置70が劣化している場合には、電動パワーステアリング装置1の電動モータ15に通電して、エンジンの始動を抑制することで、ドライバーに対して電源装置70が劣化していることを強く認識させると共にバッテリ71の交換を促す。また、エンジン始動抑制により車両が完全に走行できなくならないように、過去の始動状況に応じてエンジン始動抑制動作を禁止する。
【選択図】 図2
Description
また、電動パワーステアリング装置の作動により電源電圧が低下した場合には、他の電気制御システムまでも所期の性能を発揮できなくなることもある。
特に、制御システムが正常に動作しない場合は、その原因がバッテリ側にあっても、その制御システムのワーニングランプが点灯するため、制御システムの異常が疑われることになってしまう。こうした場合には、制御システムの不必要な交換が行われてしまう可能性もある。また、鉛バッテリの劣化状態を精度よく判定することは難しく、こうしたことも異常原因の誤診断につながっている。
また、バッテリ劣化時には、単にディスプレーにその旨を表示する程度であるため、ドライバーに対してバッテリ交換を強く促すこともできず、ドライバーによってはそのまま継続使用してしまう。
尚、本発明における車両の始動とは、車両の走行動力源となるエンジンや走行駆動モータ(電気自動車の場合)の始動を意味する。
しかも、特定の電気負荷に電力供給した分だけ電源装置の電力供給能力を低下させ、車両の始動装置(例えば、エンジンスタータ)への電力供給を妨げるものであるため、車両の始動状況によって電源装置の劣化レベルを精度よく判断できる。
つまり、電源装置の劣化レベルによって、始動不能/かなり始動しにくい/やや始動しにくい/始動可能、というように車両始動状況が異なるため、この始動状況から電源装置の劣化レベルを精度よく判断することができる。
また、電源装置の劣化が激しい場合には、車両始動が不能となり走行できなくなるため、走行中における大消費電力制御システムの作動制限による不具合も発生しなくなり安全性が向上する。
しかも、電動モータの駆動回路を制御することで、電源装置から引き出す電流量を調整することができるため、適切な車両始動抑制を図ることが可能となる。
一方、電動パワーステアリング装置においては、大電流を電動モータに通電するように構成されており、しかも、電動モータの制御用に電流測定機能、電圧測定機能を備えている場合が多い。
従って、本発明によれば、車両始動を良好に抑制できるだけでなく、そのときの電流と電圧測定により精度よく電源劣化状態を診断することができる。
例えば、電源装置の劣化が激しい場合には、始動抑制動作により車両始動が不能となってしまうことがある。この場合、運転者には電源装置の劣化を認識させることができるものの、実際の使い勝手からすれば余り好ましいことではない。そこで、一旦運転者に電源装置の劣化を認識させた後は、車両の始動操作時に適宜始動抑制動作を禁止することで、車両始動を可能にして使い勝手を向上させることができる。
そこで本発明では、こうした不適正な使い方に対する措置として、その車両の始動回数が多くなるほど、始動抑制動作を禁止しないようにしている、つまり、始動しにくくしているため、運転者に対して早く電源装置の整備を行うように仕向けることができる。
電動パワーステアリング装置1への電源となる電源装置70は、バッテリ71(例えば、鉛バッテリ)と発電機であるオルタネータ72とから構成される。
このバッテリ71の電源端子(+端子)73に接続される電源供給元ライン62は、イグニッションスイッチ80に接続され、そのイグニッションスイッチ80の二次側から電子制御装置40に電源供給する制御電源供給ライン63と、イグニッションスイッチ80の一次側(電源側)からモータ駆動回路50に電源供給する駆動電源供給ライン64とに分岐する。
また、制御電源供給ライン63には、連結ライン66との接続点よりも電源側に、電源側への電流の流れを防止する逆流防止素子としてのダイオード68が設けられる。
駆動電源供給ライン64に設けられた電源リレー65は、電子制御装置40からの信号により開閉される。
また、電動パワーステアリング装置1へ供給される電源の電圧検出は、駆動電源供給ライン64側の電圧と制御電源供給ライン63側の電圧の2箇所で行う。具体的には、ダイオード67の一次側電圧およびダイオード68の一次側電圧をそれぞれ電源状態診断部41にてモニタし、その2つのモニタ電圧のうち低いほうの電圧を電源検出電圧Vxとみなしている。
図3は、その電源状態診断制御ルーチンを表すもので、電子制御装置40のROM内に制御プログラムとして記憶されている。
この電源状態診断制御ルーチンは、後述のモータ制御部42が行うアシスト制御処理と並行して繰り返し行われるもので、イグニッションスイッチ80のオンにより起動する。
本制御ルーチンは、繰り返し実行されることから、操舵操作の開始が検出されるまで、この判断は繰り返される。そして、操舵操作が開始されると(S1:YES)、電源装置70の状態を診断するための電圧・電流測定を行う。
モータ制御部42は、後述するアシスト制御ルーチンにそって、図4に示すように、車速と操舵トルクとに基づいて所望のアシストトルクが得られる必要アシスト電流を算出し、電動モータ15にこの必要アシスト電流が流れるようにモータ駆動回路50のスイッチング素子SW11,SW12,SW21,SW22,SW31,SW32のデューティ比を調整して通電量をフィードバック制御している。
従って、電源状態診断部41は、モータ制御部42にて行われるアシスト制御時に検出される電流値から、駆動電源供給ライン64に流れる電流値を算出する。
尚、電源装置70からの駆動電源供給ライン64に電流計を別途設けて電流測定してもよい。
こうして1回の操舵操作が終了すると(S3:YES)、先の操舵操作が据え切り操作であったか否かを判断する(S4)。据え切り操作の有無の判断は、車両がほぼ停止した状態での操舵操作か否かを判断するもので、本実施形態では、車速センサ28で検出した検出車速が所定車速以下のときに行われた操舵操作を据え切り操作と判別する。
据え切り操作であった場合には、以下、電源状態の診断処理に移行するが、そうでない場合には、先の測定結果を消去して、本制御ルーチンを一旦終了する。
K=(電源電圧の最小値−電源電圧の最大値)/(電流の最大値−電流の最小値)
この指標値Kは、電流の変化に対する電源電圧の変化率であり、電源装置70、特に、バッテリ71の状態を表す。
指標値Kは、負の値をとり、値が小さいほど(絶対値が大きいほど)バッテリの状態が悪いと判断できる。
そこで、本実施形態では、電動モータ15への通電量が多くなる据え切り操作時において、指標値Kを求めるようにしている。
また、据え切り操作時においては、オルタネータ72の発電量も少ないため、発電の影響が少なくなり、バッテリ71自身の診断を良好に行うことができる。
次に、記憶した直近n回分の指標値Kから平均指標値Kxを算出する(S7)。この平均指標値Kxが、電源装置70、特にバッテリ71の状態を診断するものとなる。
そして、電源状態が不良であれば、この算出された必要アシスト電流に対して上限制限を行う。このアシスト電流の上限値Imaxは、図5に示すように、平均指標値Kxの絶対値が大きいほど小さな値に設定する。従って、電源装置70の状態が悪いほど、アシスト電流の上限値が低く設定される。
この結果、電源装置70から使用できる電力制限が実施されることとなり、更なる電源電圧の低下を防いで、電動パワーステアリング装置1が突然機能停止してしまうといった不具合も防止される。また、電源電圧の低下による、他の電気制御システム(例えば、ブレーキ制御システム、エンジン制御システム)への悪影響も防止することができる。
そして、精度の高い診断結果に基づいて電力制限を行うため、過剰に電力制限をして電動パワーステアリング装置1の機能を十分に活かしきれなかったり、逆に、電力制限の不足により、電源電圧が電子制御装置40の最低作動電圧を下回って突然機能停止してしまうといった不具合を防止できる。
図6は、モータ制御部42が実行するアシストトルク制御ルーチンを表すもので、電子制御装置40のROM内に制御プログラムとして記憶され、短い周期で繰り返し実行される。
続いて、図4に示すアシスト電流テーブルを参照して、入力した車速Vおよび操舵トルクTRに応じた必要アシスト電流Iasを計算する(S102)。アシスト電流テーブルは、電子制御装置40のROM内に記憶されるもので、操舵トルクTRの増加にしたがって必要アシスト電流Iasも増加し、しかも、車速Vが低くなるほど大きな値となるように設定される。
続いて、ステップS102で算出された必要アシスト電流値IasとステップS103で読み込んだアシスト電流上限値Imaxとから、その小さいほうの電流値を電動モータ15に流す目標アシスト電流値として決定する(S104)。従って、電動モータ15に通電する目標アシスト電流値は、必要アシスト電流値Iasが上限電流値Imaxよりも小さければ必要アシスト電流Iasとなり、必要アシスト電流値Iasが上限電流値Imaxよりも大きければ上限電流値Imaxとなる。
こうした処理を繰り返し実行することで、電源状態に応じた適切なアシスト電流を電動モータ15に流すことができる。
先の第1実施形態の電源状態診断制御ルーチンにおいては、据え切り操作時でのモータ電流と電源電圧の測定値に基づいて診断を行ったが、この第2実施形態では、据え切り操作時に限らず走行中操舵操作時での測定データも用いて平均化処理し、この平均化処理するに当たって、据え切り操作時の測定データに重み付けを行ったものである。
この電源状態診断制御ルーチンは、モータ制御部が行うアシスト制御処理と並行して繰り返し行われるもので、イグニッションスイッチ80のオンにより起動する。
尚、以下の説明にあたって、第1実施形態の電源状態診断制御ルーチンと共通する処理については同一のステップ番号を付けて簡単な説明にとどめる。
そして、操舵ハンドル11の操舵操作が終了するまで、電源電圧と電流の測定を繰り返す(S2〜S3)。この場合、電流値が予め設定した設定電流値を上回った状態においてのみ、電圧・電流測定を繰り返し行い、各測定時における(電圧、電流)を記憶する。
こうして1回の操舵操作が終了すると(S3:YES)、電源装置の状態を表す指標値Kを算出する(S5)。この指標値Kは、ステップS2で測定した電流の最大値、最小値、電源電圧の最大値、最小値に基づいて次のように算出される。
K=(電源電圧の最小値−電源電圧の最大値)/(電流の最大値−電流の最小値)
次に、記憶した直近n回分の指標値Kおよび重み付け係数αから加重平均処理により平均指標値Kxを算出し(S12)、平均指標値Kxが基準指標値K0を下回っていれば(S8:YES)、電源状態が不良であるとして、アシスト電流の上限値制限を行う(S9)。
この結果、精度の高い診断結果に基づいて電力制限を行うことが可能となり、過剰に電力制限をして電動パワーステアリング装置1の機能を十分に活かしきれなかったり、逆に、電力制限の不足により、突然機能停止してしまうといった不具合を防止できる。
上述した第1、第2実施形態の電源状態診断制御ルーチンにおいては、1回の操舵操作における電流の変化量に対する電源電圧の変化量(電圧降下)の比から、電源状態を表す指標値を算出したが、以下、この算出処理に代える変形例について説明する。
尚、先の第1、第2実施形態と共通する処理については図面に同一のステップ番号を付けて簡単な説明にとどめる。
この第1変形例は、図8に示すように、操舵操作が行われたときに(S1)、モータ電流の測定と電源電圧測定とを行い、その1回の操舵操作期間において測定した電流が最大になったときの電源電圧をその最大電流とあわせて測定データとして求める(S21)。そして、図12に示すように、この測定データ(最大電流、電源電圧)を平面座標上のデータとして記憶する(S23)。この場合、据え切り操作での測定であった場合には(S4:YES)、1回の操舵操作の測定データをN回分の測定データとして重み付けして(S22)不揮発性メモリ43に記憶する(S23)。
そして、先の第1、第2実施形態と同様に、指標値Kx<基準指標値K0のときに、電源状態が不良であるとして、この指標値に応じてアシスト電流の上限値制限を行うようにする(S8,S9)。
また、上記変形例では、据え切り操作時における測定データに重み付けしたが、据え切り操作時にのみ測定データを記憶するようにしてもよい。
この第2変形例は、図9に示すように、操舵操作が行われたときに(S1)、電源電圧Vxが予め設定した設定電圧V0を下回ったときの電流値I(n)を測定し(S25〜S26)、この電流値I(n)を電源装置70の状態を表す指標値とする。つまり、図13に示すように、操舵操作が開始されたのち、電動モータ15への通電電流の増大とともに電源電圧が低下し、その電源電圧Vxが設定電圧V0を下回った時刻t(n)における電流値I(n)を指標値とする。
この第3変形例は、電源電圧が設定電圧V0を下回る頻度に基づいて電源状態を判断するもので、図10に示すように、操舵操作が行われたときに(S1)、電源電圧Vxが予め設定した設定電圧V0を下回ったときの時刻t(n)を読み込む(S25,S31)。つまり、図13に示すように、操舵操作が開始されたのち、電動モータ15への通電電流の増大とともに電源電圧が低下し、その電源電圧Vxが設定電圧V0を下回った時刻t(n)を読み込む。
つまり、据え切り操作時において、電源電圧Vxが設定電圧V0を下回った場合には、その都度、その時刻を不揮発性メモリ43に記憶していき、直前回に記憶した時刻t(n−1)から今回記憶した時刻t(n)までの経過時間が所定時間以下になった場合に、電源状態が不良であると判断してアシスト電流の制限を行うのである。
この場合、図14に示すように、Δtに応じてアシスト電流上限値を設定する。
この第4変形例は、第2、第3変形例に類似するもので、据え切り操作時における電源電圧が設定電圧V0を下回ったときの検出電流値の変化量に基づいて電源状態を判断するものである。
図11に示すように、まず、操舵操作が行われたときに(S1)、電源電圧Vxが予め設定した設定電圧V0を下回ったときの電流値I(n)を測定する(S25〜S26)。つまり、図13に示すように、操舵操作が開始されたのち、電動モータ15への通電電流の増大とともに電源電圧が低下し、その電源電圧Vxが設定電圧V0にまで下回った時刻t(n)における電流値I(n)を測定する。
つまり、据え切り操作時において、電源電圧Vxが設定電圧V0を下回った場合には、その都度、そのときの電流値I(n)を不揮発性メモリ43に記憶していき、直前回に記憶した電流値I(n−1)との差ΔIが基準指標値ΔI0を下回ったときに、電源状態が不良であると判断してアシスト電流の制限を行うのである。
この場合、図5に示すように、この低下分ΔIの絶対値が大きいほどアシスト電流の上限値を低く設定する。
図15は、エンジン始動抑制制御ルーチンを表すもので、電子制御装置40のROM内に制御プログラムとして記憶されており、所定の短い周期で繰り返し実行される。
本制御ルーチンが起動すると、まず、エンジンスタート指令(乗員の車両始動操作)が出力された否かを判断する(S50)。このエンジンスタート指令は、エンジン制御装置90からの始動指令信号の入力あるいはイグニッションスイッチ80のスタータ位置を検出して判断する。
尚、先の電源状態診断制御ルーチンで平均指標値Kxも記憶するようにすれば、このステップS51では平均処理は必要なく、そのまま記憶値(指標値Kx)を読み込めばよい。
つまり、エンジンスタート時に電動パワーステアリング装置1の電動モータ15に通電することによりエンジンを始動しにくくする。この場合、電源状態を表す指標値Kxに応じた通電量に設定しているため、エンジンが全く始動できなくなってしまうという不具合も防止している。例えば、指標値Kxが小さいほど(電源状態が悪いほど)電動モータ15への通電量を小さく設定するマップを記憶し、このマップを参照して電流値を設定することで、エンジンスタート時における電源電圧の大幅な電圧降下を抑える。この結果、エンジンスタート時に電源状態に応じた適切な電圧降下が得られてエンジンの始動を適度に抑制する。
そこで、本制御ルーチンでは、エンジンを始動しにくくすることで、ドライバーに対して電源装置70の整備(バッテリ交換など)の必要性を強く認識させることができる。
この結果、電源状態が良好に保たれて、所期の操舵アシスト性能が得られるようになる。
図16は、エンジン始動抑制制御ルーチンの変形例1を表すもので、電子制御装置40のROM内に制御プログラムとして記憶されており、所定の短い周期で繰り返し実行される。
尚、図15に示した先のエンジン始動抑制制御ルーチンと共通する処理については、図面に同一のステップ番号を付して簡単な説明にとどめる。
エンジンが始動しなかったとういう記録が有るか否かを判断する(S54)。この記録は、後述するステップS56の処理が行われたときに、不揮発性メモリ43にデータとして記憶される。従って、このステップS54の判断は、不揮発性メモリ43のデータを読み込むことにより行われる。
そして、エンジンが始動しなかったという記録がなければ、上述したステップS51〜S53の処理を行う。つまり、電源装置70の状態を表す指標値Kxに基づいて電源状態を判断し、電源状態が不良である場合には、指標値Kxに応じた通電量で電動モータ15へ通電する。
そして、今回のエンジンスタート指令によりエンジンスタータモータ(図示略)に通電された後、エンジンが始動できたか否かを判断する(S55)。この判断は、エンジン制御装置90からの始動状況信号を入力して行う。そして、エンジンが始動できた場合には、そのまま本制御ルーチンを抜け、始動できなかった場合には、不揮発性メモリ43にエンジンが始動できなかったことを表す始動状況データを記憶して(S56)本制御ルーチンを一旦抜ける。そして、同様の処理を所定周期で繰り返し実行する。
つまり、ドライバーに対する電源整備の催促とエンジン始動との良好なバランスをとることができる。この場合、同時に、報知器29によりバッテリ71交換を促すようにするとよい。
尚、エンジンが始動できた場合には、エンジンが始動できなかったという過去の履歴を始動状況データから消去するようにしてもよい。
図17は、エンジン始動抑制制御ルーチンの変形例2を表すもので、電子制御装置40のROM内に制御プログラムとして記憶されており、所定の短い周期で繰り返し実行される。
尚、図15、図16に示した先のエンジン始動抑制制御ルーチンと同じ処理については、図面に同一のステップ番号を付して簡単な説明にとどめる。
本制御ルーチンは、電源状態が不良である状況下において、ドライバーがいつまでも電源整備を行わないといった不具合に対処するものである。
エンジンが再始動した回数とは、電源状態が不良と判断されている状態でエンジンを始動できた回数であり、後述するステップS61にて不揮発性メモリ43に記憶される。この回数が多いほどドライバーが電源不良にも関わらず無理に車両の使用を継続していることを表す。
続いて、エンジンが連続して始動しなかった回数が値Nより大きいか否かを判断し(S59)、エンジンが始動しなかった連続回数が値N以下であれば、指標値Kxに応じた通電量で電動パワーステアリング装置1の電動モータ15への通電を行ってエンジンの始動を抑制する(S52、S53)。
つまり、電源状態が不良である状況でエンジンを再始動させた回数に比例させて、エンジンの始動抑制を行う回数を増加させ、エンジンが再始動できるまでに必要なイグニッション操作回数を増加させる。例えば、エンジンを再始動させた回数が5回であれば、その回数に応じたN回だけエンジン始動抑制処理(S52、S53)を行い、(N+1)回目のイグニッション操作を行って初めてエンジンが再始動できるようにする。
また、ステップS51の判断において「NO」、つまり、電源状態が正常であれば不揮発性メモリ43に記憶されているエンジンの再始動回数をゼロクリアして本制御ルーチンを一旦抜ける。そして、同様の処理を所定周期で繰り返し実行する。
ここで、電動モータ15の通電制御について簡単に説明する。
つまり、モータ制御部42は、車速および操舵トルクに応じて決定するアシストトルクに応じた2相指令電流Id*、Iq*を計算する。そして、この2相指令電流Id*、Iq*が電動モータ15の回転子上の永久磁石が作り出す回転磁束と同期した回転座標系において、永久磁石と同一方向のd軸およびこれに直交したq軸にそれぞれに対応したもので、本実施形態のエンジン始動抑制制御ルーチンによりエンジン始動時においては指令電流をIdのみにして、Iqを「0」に設定する。
従って、エンジン始動抑制制御ルーチンにおいてエンジン始動を抑制するために電動モータ15に通電するときには電動モータ15が回転しないため、操舵ハンドル11が回転することは無く安全である。
1.電源装置70から大電流が引き出される据え切り操作時において、その電流値と電源電圧とを測定して電源状態を診断するため診断精度が極めて高い。
しかも、据え切り操作時においては、エンジン回転数が低くオルタネータ72の発電量が少ないため、バッテリ71自身の状態を正しく診断することが可能となる。
また、直近の指標値Kを平均した平均指標値Kxに基づいて電源状態を診断するため、一時的な測定データの変動を吸収することができ、診断精度の信頼性が高い。
さらに、据え切り操作時における指標値に重み付けを行い、非据え切り操作時における指標値と加重平均処理により平均指標値を算出する場合には、据え切り操作があまり行われない状況においても、電源装置70の診断を良好に行うことができる。
また、モータ駆動回路50に備えた電流センサ53を利用して電流測定するため、バッテリ診断用に特別な電流センサを設ける必要が無く、コストメリットが得られる。
また、バッテリ71の交換等、電源装置70の整備を行った場合には、不揮発性メモリ43に記憶したデータをリセットスイッチ44の操作によりクリアして初期化できるため、整備前の古いデータによる影響が無く、最新の正確な診断結果が得られる。
この場合、リセットスイッチ44を使わずに、バッテリ71交換などの電源装置70の整備を自動的に判断して、不揮発性メモリ43内のデータを消去するリセット手段を設けてもよい。例えば、電源状態診断部41において、電源状態を表す指標値の正常側への大幅な変動を検出して電源装置70の整備が行われたと判断してもよい。
特に、電源装置70の劣化状態が、車両は始動できるが電力消費の大きい電動パワーステアリング装置1が良好に作動できないようなレベルにあるとき、従来であれば電動パワーステアリング装置1そのものの異常が疑われたが、本実施形態によれば、エンジンが良好に始動できなくなるため、異常原因の誤判断も防止できる。
また、エンジンが良好に始動できなくなるため、ドライバーに対して電源装置70の整備(特にバッテリ71交換)を強く促すことができる。
また、電源装置70の劣化が激しい場合には、車両始動が不能となり走行できなくなるため、走行中における電動パワーステアリング装置1の作動制限による不具合も無く安全性が向上する。
7.電源不良時のエンジン始動抑制動作においては、電動モータ15のd軸にのみ通電するため、回転トルクが発生せず、操舵ハンドル11が回転してしまうことが無く安全である。
例えば、本実施形態においては、据え切り時において電源装置の状態を診断しているが、必ずしも据え切り時に行わなくてもよく、種々の診断手法を採用することができる。
また、本発明は、電動パワーステアリング装置に限らず、例えば、アクティブサスペンション装置など任意の電気制御装置に適用することができる。
Claims (6)
- 電源装置の劣化状態を診断する電源状態診断手段と、
上記診断された電源装置の劣化状態に応じた電源状態情報を記憶する電源状態情報記憶手段と、
乗員による車両の始動操作を検知する始動操作検知手段と、
上記始動操作を検知したときに、上記電源状態情報に基づいて上記電源装置が基準レベルよりも劣化していると判断した場合には、上記車両の始動を抑制する始動抑制手段と
を備えたことを特徴とする車両制御装置。 - 上記始動抑制手段は、上記電源装置から特定の電気負荷に電力供給して、上記車両の始動を抑制することを特徴とする請求項1記載の車両制御装置。
- 上記特定の電気負荷は、上記電源装置から電力供給され所定の操舵トルクを付与する電動パワーステアリング装置の電動モータであることを特徴とする請求項2記載の車両制御装置。
- 上記電源状態診断手段は、上記電動パワーステアリング装置の電動モータを駆動したときに上記電源装置から給電される電流と電源電圧とを検出して診断することを特徴とする請求項3記載の車両制御装置。
- 上記始動操作により車両が始動できたか否かを表す始動状況情報を記憶する始動状況情報記憶手段と、
過去の上記始動状況情報に応じて次回の始動操作時における上記始動抑制手段の作動を禁止する始動抑制禁止手段と
を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の車両制御装置。 - 上記始動抑制禁止手段は、上記電源装置が上記基準レベルよりも劣化していると判断されている状況下において車両の始動ができた始動回数をカウントし、そのカウント数が多いほど上記始動抑制手段の作動を禁止する度合いを下げることを特徴とする請求項5記載の車両制御装置。
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