JP2004172369A - 積層型セラミック電子部品およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】バリスタ電圧に影響を与えることなく、エネルギー耐量を確保できる構造の積層型セラミック電子部品およびその製造方法を提供する。
【解決手段】セラミック材料からなる基材部3内に、少なくとも1対の第1の内部電極1と第2の内部電極2とを所定の間隔を隔てて配設し、第1の内部電極1および第2の内部電極2にそれぞれ電気的に接続される第1および第2の外部電極5,6を設けた積層型セラミック電子部品であって、第1の内部電極1と第2の内部電極2との対向面の間ないしその近傍のセラミック材料の全体または一部をバリスタセラミックで形成し、基材部3における他の部分のセラミック材料を、バリスタ部4よりも比誘電率の小さなセラミック材料とした積層型セラミック電子部品。
【選択図】 図1
【解決手段】セラミック材料からなる基材部3内に、少なくとも1対の第1の内部電極1と第2の内部電極2とを所定の間隔を隔てて配設し、第1の内部電極1および第2の内部電極2にそれぞれ電気的に接続される第1および第2の外部電極5,6を設けた積層型セラミック電子部品であって、第1の内部電極1と第2の内部電極2との対向面の間ないしその近傍のセラミック材料の全体または一部をバリスタセラミックで形成し、基材部3における他の部分のセラミック材料を、バリスタ部4よりも比誘電率の小さなセラミック材料とした積層型セラミック電子部品。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば電気回路における過電圧に対する保護のために用いられる積層型バリスタ等の積層型セラミック電子部品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
積層型セラミック電子部品の一例である積層型バリスタは、最近の電子機器の超小型化、省電力化の推進等により機器の低電圧化が進むなか、高電圧サージからの保護だけでなく、静電気による機器搭載IC等の誤動作や破壊の防止が重要課題となっている。
【0003】
携帯電話やノートパソコンあるいは携帯型情報端末機器といった電子機器は、外部からの信号を受けるための様々な入出力端子を持つため、インターフェースケーブルの接続時等の静電気放電が直接、内部回路に損傷を与える。さらに携帯電話の場合、入出力端子だけでなく、アンテナ部分からの静電気放電も問題になってきている。
【0004】
このような信号回路、またはアンテナ回路等の静電気放電対策用部品であるバリスタは、低電圧駆動回路に対応できるとともに、その信号ラインへの影響をできるだけ小さくするために静電容量が数pFからせいぜい十数pFといった小さなものであることが望ましい。
【0005】
図8は、従来の一般的な積層型バリスタの構造を示す一部切欠斜視図である。この図に示されているように、従来の積層型バリスタは、セラミック層100の内部に長方形状の内部電極層101aと101bとを所定の間隔を隔てて交互に、かつ内部電極層101a,101bとが相対向する端面に露出するように積層し、積層体の両端面に外部電極102を形成したものである。図8には、内部電極層101a,101bをそれぞれ1つのみ図示しているが、実際には、複数の内部電極層101a,101bを交互に複数配置することもある。
【0006】
バリスタの電気特性を表すものとして、バリスタ電圧V1mA(バリスタに1mAの電流が流れるときの印加電圧)と静電容量Cがある。バリスタは、電極にかかる電圧がバリスタ電圧V1mA以下の電圧では静電容量Cのコンデンサとして動作し、バリスタ電圧V1mAを境として、それ以上では急激に電流が流れる抵抗として動作する。ちなみに、バリスタ電圧V1mA以下の場合のバリスタの静電容量Cは、次式で表される。
【0007】
C=ε0εrS/t ・・・・(式1)
ここで、ε0は真空の誘電率、εrは誘電材料の比誘電率、Sは内部電極層の重なりの部分の面積(内部電極の対が2以上の場合はそれらの重なりの部分の面積の総和)、tは内部電極層の重なりの部分の間隙の寸法である。
【0008】
前記の図8に示したような構成の積層型バリスタは、セラミック層100の材料として比較的比誘電率の小さい酸化亜鉛セラミックを使ったものでも、その静電容量Cは数十〜数百pFになる。
【0009】
上述したように、最近の電子機器に搭載される回路の低電圧化に伴って、バリスタの静電容量Cを小さくすることが課題となっているが、前記の従来の構造であれば、内部電極層101a、101bの対の数を減らすか、内部電極層101a,101bに挟まれたセラミック層100(以下、有効層という)の厚みを大きくするか、もしくは内部電極層101a、101bの面積を小さくするしかない。
【0010】
しかし、内部電極層101a,101bが長方形の形状では静電気容量を数pFにするために内部電極層の面積を単純に小さくすれば、積層ずれによる内部電極層の重なり部分の面積変化が大きくなり、静電容量のばらつきが大きくなる。また、有効層の厚みを大きくすれば、その電圧は有効層厚みに比例して大きくなるため、同時にバリスタ電圧も高くなり低電圧駆動回路の保護に対応することが困難となる。
【0011】
このような問題を解消するため、特開平11−297508号公報(特許文献1)には、第1の内部電極層と第2の内部電極層とを交互にかつセラミック層を介して積層した積層体と、これらの積層体の両端部にそれぞれ電気的に接続されるように設けた第1の外部電極と第2外部電極とを備え、第1の内部電極層と第2の内部電極層とは非対称型で、セラミック層を介して一カ所で対向させた積層型セラミック電子部品が開示されている。
【0012】
このような構成とすることにより、低容量で静電容量のばらつきの少ない積層型セラミック電子部品が得られる。
【0013】
また、特開平11−204309号公報(特許文献2)には、互いに対となる一対の内部電極とバリスタ層とを積層し、各内部電極を外部電極と電気的に接続した積層型バリスタにおいて、前記対となる内部電極を互いに所定の距離だけ離間させて対向面を持たない内部電極として形成した積層型バリスタが開示されている。
【0014】
このような構成とすることにより、従来と同等なバリスタ電圧を保ちながら静電容量を小さく設定した積層型バリスタが得られる。
【0015】
一方、セラミック層100の材料を低誘電率のバリスタセラミックで形成することによっても、式1の比誘電率εrを低くして静電容量Cを小さくすることができる。
【0016】
【特許文献1】
特開平11−297508号公報
【特許文献2】
特開平11−204309号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、(特許文献1)に記載された積層型セラミック電子部品においては、第1の内部電極層と第2の内部電極層とは非対称型とし、セラミック層を介して一カ所で対向させた構成であるため、内部電極層間の静電容量は小さくなるが、外部電極間の容量の影響が大きくなり、例えばバリスタの場合はバリスタ電圧に影響を与えるという問題があった。
【0018】
また、(特許文献2)に記載された積層型バリスタにおいては、対となる内部電極を互いに所定の距離だけ離間させて対向面を持たない内部電極を同一平面上に形成した構成であるため、エネルギー耐量が小さくなるという問題がある。
【0019】
さらに、セラミック層100の材料を低誘電率のバリスタセラミックで形成すると、セラミック層100全体の抵抗が小さく導電性となるため、セラミック焼成後に外部電極102をメッキで形成する際に、セラミック層100の表面に導電性のメッキ皮膜が形成されてしまう。そうすると、外部電極102間に電圧を印加したときに電流がセラミック層100の表面を伝って流れ、電子部品としての機能を果たさなくなるという問題がある。
【0020】
本発明は、バリスタ電圧に影響を与えることなく、エネルギー耐量を確保できる構造の低容量の積層型セラミック電子部品およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層型セラミック電子部品においては、第1の内部電極と第2の内部電極との対向面の間ないしその近傍のセラミック材料をバリスタセラミックで形成し、基材部における他の部分のセラミック材料を、バリスタセラミック形成部よりも比誘電率の小さなセラミック材料としたものである。
【0022】
この発明によれば、バリスタ電圧に影響を与えることなく、エネルギー耐量を確保できる構造の低容量の積層型セラミック電子部品が得られる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、セラミック材料からなる基材部内に、少なくとも第1の内部電極と第2の内部電極とを所定の間隔を隔てて配設し、前記第1の内部電極および第2の内部電極にそれぞれ電気的に接続される第1および第2の外部電極を設けた積層型セラミック電子部品であって、前記第1の内部電極と第2の内部電極との対向面の間かその近傍の少なくとも一方のセラミック材料をバリスタセラミックで形成し、前記基材部における他の部分のセラミック材料を、前記バリスタセラミック形成部よりも比誘電率の小さなセラミック材料としたことを特徴とする積層型セラミック電子部品としたものである。
【0024】
積層型セラミック電子部品の静電容量は、第1の内部電極と第2の内部電極とで形成される静電容量と、前記第1および第2の内部電極がない場合の第1の外部電極と第2の外部電極で形成される静電容量の和となる。請求項1においては、第1の外部電極と第2の外部電極で形成される静電容量が小さくなるように基材部を形成するセラミック材料をバリスタセラミック形成部よりも比誘電率の小さいものとする。そして、第1の内部電極と第2の内部電極の間で、バリスタ特性である静電容量Cとバリスタ電圧を規定するための材料をバリスタセラミックで形成する。これにより、バリスタ電圧に影響を与えることなく、エネルギー耐量を確保できるというという作用を有する。
【0025】
請求項2に記載の発明は、前記第1の内部電極と第2の内部電極との対向面の間ないしその近傍のセラミック材料の全体を、バリスタセラミックで形成したことを特徴とする請求項1記載の積層型セラミック電子部品としたものであり、製造時の工程が容易となるという作用を有する。
【0026】
請求項3に記載の発明は、前記第1の内部電極と第2の内部電極との対向面の間ないしその近傍のセラミック材料を部分的に、バリスタセラミックで形成したことを特徴とする請求項1記載の積層型セラミック電子部品としたものであり、バリスタセラミックで形成する部分の比率や形状を可変にすることで、バリスタ特性の調整が可能となるという作用を有する。
【0027】
請求項4に記載の発明は、前記バリスタセラミックを、バリスタ材料と金属粒の混合体としたことを特徴とする請求項1から3のいずれかの項に記載の積層型セラミック電子部品としたものであり、金属粒の混合比率により、バリスタ特性の調整がさらに微細にできるという作用を有する。
【0028】
請求項5に記載の発明は、前記第1の内部電極と第2の内部電極の対を複数対、前記基材部内に併設し、それぞれの対に対して第1および第2の外部電極を設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれかの項に記載の積層型セラミック電子部品としたものであり、一つの電子機器に搭載したときに、複数の回路の保護が可能となるという作用を有する。
【0029】
請求項6に記載の発明は、セラミック材料からなる成形体シートを少なくとも3枚準備し、中間の第1の成形体シートに所定の形状の穴を形成し、この第1の成形体シートの前記穴に、バリスタセラミックからなる材料を充填し、前記第1の成形体シートの両面に接する第2および第3の成形体シートの表面に、第1および第2の内部電極をそれぞれ形成し、前記各成形体シートを積層してチップ状に切断した後、焼成し、焼成後、チップの両端に露出した前記第1および第2の内部電極に導通するように第1および第2の外部電極を形成することを特徴とする積層型セラミック電子部品の製造方法としたものであり、従来の製造工程に穴の形成とバリスタセラミックからなる材料を充填するという工程を追加するだけで、本発明の積層型セラミック電子部品が製造できるという作用を有する。
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図7を用いて説明する。
【0031】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係る積層型セラミック電子部品の一例としての積層型バリスタの構造を示す透視図、図2は本発明の実施の形態1における積層前の成形体シートの構成を示す分解斜視図、図3は本発明の実施の形態の製造工程を示すフローチャートである。
【0032】
図1において、実施の形態1の積層型バリスタ10は、第1の内部電極1と、第2の内部電極2と、低誘電率のセラミックからなる基材部3と、第1の内部電極1と第2の内部電極2の間に形成されるバリスタセラミックからなるバリスタ部4と、第1の内部電極1および第2の内部電極2にそれぞれ電気的に接続される第1の外部電極5および第2の外部電極6とから構成されている。
【0033】
基材部3を形成する低誘電率のセラミックとしては、比誘電率が10以下のアルミナ(Al2O3)、或いはアルミナを主成分とする低温焼結セラミック等を使用することができる。
【0034】
バリスタセラミックとしては、ZnO−Pr6O11−CoO、ZnO−Bi2O3−CoO等の単体或いはそれらを主成分とする材料を使用することができる。
【0035】
次に、本実施の形態1の積層型バリスタ10の製造方法を、図2および図3を用いて説明する。なお、図2には積層型バリスタ10の1個分の構成を示しているが、実際には、広い成形体シートに多数個分を同時に形成して途中の工程で積層型バリスタ単体に切断する。
ステップS1:配合
所定量のセラミック原料と精製水を秤量し、粉砕用玉石入りのプラスチック容器に投入する。セラミック原料は、ZnOを主成分とし、これに微量のPr6O11とCoOおよびCaCO3を加えたものとする。
ステップS2:混合
セラミック原料と精製水の入ったプラスチック容器を、回転台を用いて回転混合し、セラミック原料を粉砕する。
ステップS3:乾燥
混合終了後に、粉砕用玉石を残し、セラミック原料と精製水が混合されたスラリーのみをステンレス製容器に移す。スラリーの入ったステンレス製容器を乾燥機にかけ、水分を蒸発、乾燥させる。
ステップS4:混練
所定量の乾燥したセラミック混合原料と有機溶剤および有機バインダーを粉砕用玉石入りプラスチック容器に投入し、混練する。有機溶剤としては、酢酸ブチル、ブトキシエタノールを用いる。有機バインダーとしては、ビヒクル、ブチルベンジルフタレート(BBP)を用いた。
ステップS5:脱泡
セラミック混合原料と有機溶剤および有機バインダーを混練したスラリーをプラスチック容器に移し、低回転数で回転し、脱泡する。
ステップS6:成形体シート成形
ドクターブレード装置を用いて、シート厚み0.9mmの成形体シートを形成する。
ステップS7:シート切断
成形体シートを150mm×150mmに切断する。
ステップS8:内部電極印刷
図2に示す成形体シート13,15に、印刷機を用いてPtの内部電極パターン1a,2aを印刷する。
ステップS9:バリスタ部形成
図2に示す成形体シート14に穴14aを開ける。また、穴14aに対応する位置の成形体シート13の内部電極パターン1a上に、バリスタセラミックを有機溶剤に混練したバリスタペースト4aを、印刷機を用いて印刷する。
ステップS10:シート積層
積層機で、電極印刷なしの成形体シート11,12,16,17と、内部電極印刷、バリスタ部形成を行った成形体シート13,14,15を積層する。
ステップS11:チップ切断
切断機を用いて、積層した成形体シートを所定のチップ形状に切断する。
ステップS12:面取り
切断したチップ積層体のエッジの角を取るために、プラスチック容器にチップ積層体を入れ、プラスチック容器を回転させ、チップ積層体同士をぶつけ合わせることで面取りを行う。
ステップS13:脱バインダ
面取り加工したチップ積層体を600℃で1時間程度焼成し、チップ積層体を構成する成形体シートに含まれる有機バインダを分解除去する。
ステップS14:焼成
蓋付きの焼成容器に脱バインダしたチップ積層体を入れ、1250〜1350℃の温度で1時間程度焼成する。
ステップS15:外部電極形成
焼成したチップ積層体に電極塗布治具を用いて、焼成により成形体シート素材が収縮したことにより内部電極が露出した2つの端面にAgペーストを塗布し、600〜800℃の焼き付け温度で焼成した後、メッキにてNi、Sn膜をAgの上に形成する。
ステップS16:特性選別
出来上がった積層型バリスタの特性を測定し、バリスタ電圧、静電容量等の大きさで分別する。
【0036】
以上の工程により、図1に示す積層型バリスタ10が得られる。
【0037】
なお、成形体シートは、基本的には成形体シート13,14,15のみでもよい。また、内部電極を2対以上形成する場合には、成形体シート13,14,15の組を所定組、増やすことで同様に製造することができる。
【0038】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2に係るバリスタ部4の構成を示す斜視図である。実施の形態1においては、バリスタ部4はZnOに微量のPr6O11とCoOおよびCaCO3を加えた一様なバリスタセラミックを使用したが、実施の形態2では、バリスタセラミック4aに、粒径0.1〜10μmの金属導電体4bを0.1〜40Vol%混合し、バリスタセラミック4aと金属導電体4bが一様に混ざったバリスタ部を形成する。
【0039】
バリスタセラミック4aとしては、ZnO−Pr6O11−CoO、ZnO−Bi2O3−CoO等を使用し、金属導電体4bとしては、Pt,Ag,Pd,Ag−Pd,Ag−Pd−Pt等の抵抗率の低い金属を使用する。金属導電体4bの混合比率を変えることにより、誘電体として作用するバリスタセラミック4aの粒子の密度が小さくなるため、バリスタ部4の見かけ上の比誘電率を調整することができる。
【0040】
なお、金属導電体4bの比率が大きすぎると、金属導電体4bの粒子同士が接触してバリスタ部4全体が導電性を持ち、バリスタとしての機能が失われるため、必要以上に金属導電体4bの比率を大きくしないようにする。
【0041】
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3に係る積層型バリスタ20の構造を示す透視図、図6は本発明の実施の形態3に係る積層型バリスタを構成する成形体シートの製造工程を示す斜視図である。この実施の形態3では、実施の形態1におけるバリスタ部4に代えて、局所バリスタ部21を第1の内部電極1と第2の内部電極2の間の対向部に形成したものである。この局所バリスタ部21は、内部電極1,2間の対向部の全面ではなく一部のみがバリスタセラミックで形成され、他の部分は基材部3の材質である低誘電率セラミックとなるようにする。
【0042】
この局所バリスタ部21の形成方法は、図6(a)に示すように成形体シート22にスルーホール22aを所定箇所パンチ等で形成し、図6(b)に示すように、スルーホール22aにバリスタペースト22bを充填して製造することができる。この成形体シート22を、図2の穴開き成形体シート14の穴14aに嵌め込む。
【0043】
なお、スルーホール22aの形状は、円形が加工しやすいが、この形状に限らず、多角形、星形、楕円形など、任意の形状とすることができる。その個数や面積比率も、バリスタ特性により任意に設定することができる。また、局所バリスタ部21は、必ずしも第1の内部電極1と第2の内部電極2の対向面の範囲の内部に収まる必要はなく、はみ出してもよい。
【0044】
この実施の形態3においても、実施の形態2の金属導電体4bを混合したバリスタセラミックを用いることができる。
【0045】
(実施の形態4)
図7は本発明の実施の形態4の構造を示す透視図である。この実施の形態では、複数個(図面では2個)のバリスタ部4A,4Bを一つの基材部3内に形成し、第1の内部電極1A,1B、第2の内部電極2A,2B、第1の外部電極5A,5B、第2の外部電極6A,6Bを設けて、複数の電気回路を保護することができるようにしている。
【0046】
その製造方法については、図3のフローチャートにおいて、ステップS11のチップ切断時に2個分を単位に切断し、ステップS14の外部電極形成時に、内部電極それぞれに個別の外部電極を形成することで、同様に製造することができる。
【0047】
この実施の形態4においても、実施の形態2および3の構成を適用することができる。
【0048】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1に記載の発明によれば、第1の内部電極と第2の内部電極との対向面の間ないしその近傍のセラミック材料をバリスタセラミックで形成し、基材部における他の部分のセラミック材料を、バリスタセラミック形成部よりも比誘電率の小さなセラミック材料としたことにより、バリスタ電圧に影響を与えることなく、エネルギー耐量を確保できるというという作用を有する。
【0049】
請求項2に記載の発明によれば、第1の内部電極と第2の内部電極との対向面の間ないしその近傍のセラミック材料の全体を、バリスタセラミックで形成したことにより、製造時の工程が容易となるという作用を有する。
【0050】
請求項3に記載の発明によれば、第1の内部電極と第2の内部電極との対向面の間ないしその近傍のセラミック材料を部分的に、バリスタセラミックで形成したことにより、バリスタセラミックで形成する部分の比率や形状を可変にすることで、バリスタ特性の調整を任意に行うことができる。
【0051】
請求項4に記載の発明によれば、バリスタセラミックを、バリスタ材料と金属粒の混合体としたことにより、金属粒の混合比率により、バリスタ特性の調整をさらに微細に行うことができる。
【0052】
請求項5に記載の発明によれば、第1の内部電極と第2の内部電極の対を複数対、基材部内に併設し、それぞれの対に対して第1および第2の外部電極を設けたことにより、一つの電子機器に搭載したときに、複数の回路の保護が可能となる。
【0053】
請求項6に記載の発明によれば、従来の製造工程に穴の形成とバリスタセラミックからなる材料を充填するという工程を追加するだけで、本発明の積層型セラミック電子部品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る積層型バリスタの構造を示す透視図
【図2】本発明の実施の形態1における積層前の成形体シートの構成を示す分解斜視図
【図3】本発明の実施の形態1の製造工程を示すフローチャート
【図4】本発明の実施の形態2に係るバリスタ部の構成を示す斜視図
【図5】本発明の実施の形態3に係る積層型バリスタの構造を示す透視図
【図6】本発明の実施の形態3に係る積層型バリスタを構成する成形体シートの製造工程を示す斜視図
【図7】本発明の実施の形態4の構造を示す透視図
【図8】従来の一般的な積層型バリスタの構造を示す一部切欠斜視図
【符号の説明】
1 第1の内部電極
1a 内部電極パターン
2 第2の内部電極
2a 内部電極パターン
3 基材部
4 バリスタ部
4a バリスタペースト
5 第1の外部電極
6 第2の外部電極
10 積層型バリスタ(実施の形態1)
11〜17 成形体シート
14a 穴
20 積層型バリスタ(実施の形態3)
21 局所バリスタ部
22 成形体シート
22a スルーホール
22b バリスタペースト
30 積層型バリスタ(実施の形態4)
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば電気回路における過電圧に対する保護のために用いられる積層型バリスタ等の積層型セラミック電子部品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
積層型セラミック電子部品の一例である積層型バリスタは、最近の電子機器の超小型化、省電力化の推進等により機器の低電圧化が進むなか、高電圧サージからの保護だけでなく、静電気による機器搭載IC等の誤動作や破壊の防止が重要課題となっている。
【0003】
携帯電話やノートパソコンあるいは携帯型情報端末機器といった電子機器は、外部からの信号を受けるための様々な入出力端子を持つため、インターフェースケーブルの接続時等の静電気放電が直接、内部回路に損傷を与える。さらに携帯電話の場合、入出力端子だけでなく、アンテナ部分からの静電気放電も問題になってきている。
【0004】
このような信号回路、またはアンテナ回路等の静電気放電対策用部品であるバリスタは、低電圧駆動回路に対応できるとともに、その信号ラインへの影響をできるだけ小さくするために静電容量が数pFからせいぜい十数pFといった小さなものであることが望ましい。
【0005】
図8は、従来の一般的な積層型バリスタの構造を示す一部切欠斜視図である。この図に示されているように、従来の積層型バリスタは、セラミック層100の内部に長方形状の内部電極層101aと101bとを所定の間隔を隔てて交互に、かつ内部電極層101a,101bとが相対向する端面に露出するように積層し、積層体の両端面に外部電極102を形成したものである。図8には、内部電極層101a,101bをそれぞれ1つのみ図示しているが、実際には、複数の内部電極層101a,101bを交互に複数配置することもある。
【0006】
バリスタの電気特性を表すものとして、バリスタ電圧V1mA(バリスタに1mAの電流が流れるときの印加電圧)と静電容量Cがある。バリスタは、電極にかかる電圧がバリスタ電圧V1mA以下の電圧では静電容量Cのコンデンサとして動作し、バリスタ電圧V1mAを境として、それ以上では急激に電流が流れる抵抗として動作する。ちなみに、バリスタ電圧V1mA以下の場合のバリスタの静電容量Cは、次式で表される。
【0007】
C=ε0εrS/t ・・・・(式1)
ここで、ε0は真空の誘電率、εrは誘電材料の比誘電率、Sは内部電極層の重なりの部分の面積(内部電極の対が2以上の場合はそれらの重なりの部分の面積の総和)、tは内部電極層の重なりの部分の間隙の寸法である。
【0008】
前記の図8に示したような構成の積層型バリスタは、セラミック層100の材料として比較的比誘電率の小さい酸化亜鉛セラミックを使ったものでも、その静電容量Cは数十〜数百pFになる。
【0009】
上述したように、最近の電子機器に搭載される回路の低電圧化に伴って、バリスタの静電容量Cを小さくすることが課題となっているが、前記の従来の構造であれば、内部電極層101a、101bの対の数を減らすか、内部電極層101a,101bに挟まれたセラミック層100(以下、有効層という)の厚みを大きくするか、もしくは内部電極層101a、101bの面積を小さくするしかない。
【0010】
しかし、内部電極層101a,101bが長方形の形状では静電気容量を数pFにするために内部電極層の面積を単純に小さくすれば、積層ずれによる内部電極層の重なり部分の面積変化が大きくなり、静電容量のばらつきが大きくなる。また、有効層の厚みを大きくすれば、その電圧は有効層厚みに比例して大きくなるため、同時にバリスタ電圧も高くなり低電圧駆動回路の保護に対応することが困難となる。
【0011】
このような問題を解消するため、特開平11−297508号公報(特許文献1)には、第1の内部電極層と第2の内部電極層とを交互にかつセラミック層を介して積層した積層体と、これらの積層体の両端部にそれぞれ電気的に接続されるように設けた第1の外部電極と第2外部電極とを備え、第1の内部電極層と第2の内部電極層とは非対称型で、セラミック層を介して一カ所で対向させた積層型セラミック電子部品が開示されている。
【0012】
このような構成とすることにより、低容量で静電容量のばらつきの少ない積層型セラミック電子部品が得られる。
【0013】
また、特開平11−204309号公報(特許文献2)には、互いに対となる一対の内部電極とバリスタ層とを積層し、各内部電極を外部電極と電気的に接続した積層型バリスタにおいて、前記対となる内部電極を互いに所定の距離だけ離間させて対向面を持たない内部電極として形成した積層型バリスタが開示されている。
【0014】
このような構成とすることにより、従来と同等なバリスタ電圧を保ちながら静電容量を小さく設定した積層型バリスタが得られる。
【0015】
一方、セラミック層100の材料を低誘電率のバリスタセラミックで形成することによっても、式1の比誘電率εrを低くして静電容量Cを小さくすることができる。
【0016】
【特許文献1】
特開平11−297508号公報
【特許文献2】
特開平11−204309号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、(特許文献1)に記載された積層型セラミック電子部品においては、第1の内部電極層と第2の内部電極層とは非対称型とし、セラミック層を介して一カ所で対向させた構成であるため、内部電極層間の静電容量は小さくなるが、外部電極間の容量の影響が大きくなり、例えばバリスタの場合はバリスタ電圧に影響を与えるという問題があった。
【0018】
また、(特許文献2)に記載された積層型バリスタにおいては、対となる内部電極を互いに所定の距離だけ離間させて対向面を持たない内部電極を同一平面上に形成した構成であるため、エネルギー耐量が小さくなるという問題がある。
【0019】
さらに、セラミック層100の材料を低誘電率のバリスタセラミックで形成すると、セラミック層100全体の抵抗が小さく導電性となるため、セラミック焼成後に外部電極102をメッキで形成する際に、セラミック層100の表面に導電性のメッキ皮膜が形成されてしまう。そうすると、外部電極102間に電圧を印加したときに電流がセラミック層100の表面を伝って流れ、電子部品としての機能を果たさなくなるという問題がある。
【0020】
本発明は、バリスタ電圧に影響を与えることなく、エネルギー耐量を確保できる構造の低容量の積層型セラミック電子部品およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層型セラミック電子部品においては、第1の内部電極と第2の内部電極との対向面の間ないしその近傍のセラミック材料をバリスタセラミックで形成し、基材部における他の部分のセラミック材料を、バリスタセラミック形成部よりも比誘電率の小さなセラミック材料としたものである。
【0022】
この発明によれば、バリスタ電圧に影響を与えることなく、エネルギー耐量を確保できる構造の低容量の積層型セラミック電子部品が得られる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、セラミック材料からなる基材部内に、少なくとも第1の内部電極と第2の内部電極とを所定の間隔を隔てて配設し、前記第1の内部電極および第2の内部電極にそれぞれ電気的に接続される第1および第2の外部電極を設けた積層型セラミック電子部品であって、前記第1の内部電極と第2の内部電極との対向面の間かその近傍の少なくとも一方のセラミック材料をバリスタセラミックで形成し、前記基材部における他の部分のセラミック材料を、前記バリスタセラミック形成部よりも比誘電率の小さなセラミック材料としたことを特徴とする積層型セラミック電子部品としたものである。
【0024】
積層型セラミック電子部品の静電容量は、第1の内部電極と第2の内部電極とで形成される静電容量と、前記第1および第2の内部電極がない場合の第1の外部電極と第2の外部電極で形成される静電容量の和となる。請求項1においては、第1の外部電極と第2の外部電極で形成される静電容量が小さくなるように基材部を形成するセラミック材料をバリスタセラミック形成部よりも比誘電率の小さいものとする。そして、第1の内部電極と第2の内部電極の間で、バリスタ特性である静電容量Cとバリスタ電圧を規定するための材料をバリスタセラミックで形成する。これにより、バリスタ電圧に影響を与えることなく、エネルギー耐量を確保できるというという作用を有する。
【0025】
請求項2に記載の発明は、前記第1の内部電極と第2の内部電極との対向面の間ないしその近傍のセラミック材料の全体を、バリスタセラミックで形成したことを特徴とする請求項1記載の積層型セラミック電子部品としたものであり、製造時の工程が容易となるという作用を有する。
【0026】
請求項3に記載の発明は、前記第1の内部電極と第2の内部電極との対向面の間ないしその近傍のセラミック材料を部分的に、バリスタセラミックで形成したことを特徴とする請求項1記載の積層型セラミック電子部品としたものであり、バリスタセラミックで形成する部分の比率や形状を可変にすることで、バリスタ特性の調整が可能となるという作用を有する。
【0027】
請求項4に記載の発明は、前記バリスタセラミックを、バリスタ材料と金属粒の混合体としたことを特徴とする請求項1から3のいずれかの項に記載の積層型セラミック電子部品としたものであり、金属粒の混合比率により、バリスタ特性の調整がさらに微細にできるという作用を有する。
【0028】
請求項5に記載の発明は、前記第1の内部電極と第2の内部電極の対を複数対、前記基材部内に併設し、それぞれの対に対して第1および第2の外部電極を設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれかの項に記載の積層型セラミック電子部品としたものであり、一つの電子機器に搭載したときに、複数の回路の保護が可能となるという作用を有する。
【0029】
請求項6に記載の発明は、セラミック材料からなる成形体シートを少なくとも3枚準備し、中間の第1の成形体シートに所定の形状の穴を形成し、この第1の成形体シートの前記穴に、バリスタセラミックからなる材料を充填し、前記第1の成形体シートの両面に接する第2および第3の成形体シートの表面に、第1および第2の内部電極をそれぞれ形成し、前記各成形体シートを積層してチップ状に切断した後、焼成し、焼成後、チップの両端に露出した前記第1および第2の内部電極に導通するように第1および第2の外部電極を形成することを特徴とする積層型セラミック電子部品の製造方法としたものであり、従来の製造工程に穴の形成とバリスタセラミックからなる材料を充填するという工程を追加するだけで、本発明の積層型セラミック電子部品が製造できるという作用を有する。
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図7を用いて説明する。
【0031】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係る積層型セラミック電子部品の一例としての積層型バリスタの構造を示す透視図、図2は本発明の実施の形態1における積層前の成形体シートの構成を示す分解斜視図、図3は本発明の実施の形態の製造工程を示すフローチャートである。
【0032】
図1において、実施の形態1の積層型バリスタ10は、第1の内部電極1と、第2の内部電極2と、低誘電率のセラミックからなる基材部3と、第1の内部電極1と第2の内部電極2の間に形成されるバリスタセラミックからなるバリスタ部4と、第1の内部電極1および第2の内部電極2にそれぞれ電気的に接続される第1の外部電極5および第2の外部電極6とから構成されている。
【0033】
基材部3を形成する低誘電率のセラミックとしては、比誘電率が10以下のアルミナ(Al2O3)、或いはアルミナを主成分とする低温焼結セラミック等を使用することができる。
【0034】
バリスタセラミックとしては、ZnO−Pr6O11−CoO、ZnO−Bi2O3−CoO等の単体或いはそれらを主成分とする材料を使用することができる。
【0035】
次に、本実施の形態1の積層型バリスタ10の製造方法を、図2および図3を用いて説明する。なお、図2には積層型バリスタ10の1個分の構成を示しているが、実際には、広い成形体シートに多数個分を同時に形成して途中の工程で積層型バリスタ単体に切断する。
ステップS1:配合
所定量のセラミック原料と精製水を秤量し、粉砕用玉石入りのプラスチック容器に投入する。セラミック原料は、ZnOを主成分とし、これに微量のPr6O11とCoOおよびCaCO3を加えたものとする。
ステップS2:混合
セラミック原料と精製水の入ったプラスチック容器を、回転台を用いて回転混合し、セラミック原料を粉砕する。
ステップS3:乾燥
混合終了後に、粉砕用玉石を残し、セラミック原料と精製水が混合されたスラリーのみをステンレス製容器に移す。スラリーの入ったステンレス製容器を乾燥機にかけ、水分を蒸発、乾燥させる。
ステップS4:混練
所定量の乾燥したセラミック混合原料と有機溶剤および有機バインダーを粉砕用玉石入りプラスチック容器に投入し、混練する。有機溶剤としては、酢酸ブチル、ブトキシエタノールを用いる。有機バインダーとしては、ビヒクル、ブチルベンジルフタレート(BBP)を用いた。
ステップS5:脱泡
セラミック混合原料と有機溶剤および有機バインダーを混練したスラリーをプラスチック容器に移し、低回転数で回転し、脱泡する。
ステップS6:成形体シート成形
ドクターブレード装置を用いて、シート厚み0.9mmの成形体シートを形成する。
ステップS7:シート切断
成形体シートを150mm×150mmに切断する。
ステップS8:内部電極印刷
図2に示す成形体シート13,15に、印刷機を用いてPtの内部電極パターン1a,2aを印刷する。
ステップS9:バリスタ部形成
図2に示す成形体シート14に穴14aを開ける。また、穴14aに対応する位置の成形体シート13の内部電極パターン1a上に、バリスタセラミックを有機溶剤に混練したバリスタペースト4aを、印刷機を用いて印刷する。
ステップS10:シート積層
積層機で、電極印刷なしの成形体シート11,12,16,17と、内部電極印刷、バリスタ部形成を行った成形体シート13,14,15を積層する。
ステップS11:チップ切断
切断機を用いて、積層した成形体シートを所定のチップ形状に切断する。
ステップS12:面取り
切断したチップ積層体のエッジの角を取るために、プラスチック容器にチップ積層体を入れ、プラスチック容器を回転させ、チップ積層体同士をぶつけ合わせることで面取りを行う。
ステップS13:脱バインダ
面取り加工したチップ積層体を600℃で1時間程度焼成し、チップ積層体を構成する成形体シートに含まれる有機バインダを分解除去する。
ステップS14:焼成
蓋付きの焼成容器に脱バインダしたチップ積層体を入れ、1250〜1350℃の温度で1時間程度焼成する。
ステップS15:外部電極形成
焼成したチップ積層体に電極塗布治具を用いて、焼成により成形体シート素材が収縮したことにより内部電極が露出した2つの端面にAgペーストを塗布し、600〜800℃の焼き付け温度で焼成した後、メッキにてNi、Sn膜をAgの上に形成する。
ステップS16:特性選別
出来上がった積層型バリスタの特性を測定し、バリスタ電圧、静電容量等の大きさで分別する。
【0036】
以上の工程により、図1に示す積層型バリスタ10が得られる。
【0037】
なお、成形体シートは、基本的には成形体シート13,14,15のみでもよい。また、内部電極を2対以上形成する場合には、成形体シート13,14,15の組を所定組、増やすことで同様に製造することができる。
【0038】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2に係るバリスタ部4の構成を示す斜視図である。実施の形態1においては、バリスタ部4はZnOに微量のPr6O11とCoOおよびCaCO3を加えた一様なバリスタセラミックを使用したが、実施の形態2では、バリスタセラミック4aに、粒径0.1〜10μmの金属導電体4bを0.1〜40Vol%混合し、バリスタセラミック4aと金属導電体4bが一様に混ざったバリスタ部を形成する。
【0039】
バリスタセラミック4aとしては、ZnO−Pr6O11−CoO、ZnO−Bi2O3−CoO等を使用し、金属導電体4bとしては、Pt,Ag,Pd,Ag−Pd,Ag−Pd−Pt等の抵抗率の低い金属を使用する。金属導電体4bの混合比率を変えることにより、誘電体として作用するバリスタセラミック4aの粒子の密度が小さくなるため、バリスタ部4の見かけ上の比誘電率を調整することができる。
【0040】
なお、金属導電体4bの比率が大きすぎると、金属導電体4bの粒子同士が接触してバリスタ部4全体が導電性を持ち、バリスタとしての機能が失われるため、必要以上に金属導電体4bの比率を大きくしないようにする。
【0041】
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3に係る積層型バリスタ20の構造を示す透視図、図6は本発明の実施の形態3に係る積層型バリスタを構成する成形体シートの製造工程を示す斜視図である。この実施の形態3では、実施の形態1におけるバリスタ部4に代えて、局所バリスタ部21を第1の内部電極1と第2の内部電極2の間の対向部に形成したものである。この局所バリスタ部21は、内部電極1,2間の対向部の全面ではなく一部のみがバリスタセラミックで形成され、他の部分は基材部3の材質である低誘電率セラミックとなるようにする。
【0042】
この局所バリスタ部21の形成方法は、図6(a)に示すように成形体シート22にスルーホール22aを所定箇所パンチ等で形成し、図6(b)に示すように、スルーホール22aにバリスタペースト22bを充填して製造することができる。この成形体シート22を、図2の穴開き成形体シート14の穴14aに嵌め込む。
【0043】
なお、スルーホール22aの形状は、円形が加工しやすいが、この形状に限らず、多角形、星形、楕円形など、任意の形状とすることができる。その個数や面積比率も、バリスタ特性により任意に設定することができる。また、局所バリスタ部21は、必ずしも第1の内部電極1と第2の内部電極2の対向面の範囲の内部に収まる必要はなく、はみ出してもよい。
【0044】
この実施の形態3においても、実施の形態2の金属導電体4bを混合したバリスタセラミックを用いることができる。
【0045】
(実施の形態4)
図7は本発明の実施の形態4の構造を示す透視図である。この実施の形態では、複数個(図面では2個)のバリスタ部4A,4Bを一つの基材部3内に形成し、第1の内部電極1A,1B、第2の内部電極2A,2B、第1の外部電極5A,5B、第2の外部電極6A,6Bを設けて、複数の電気回路を保護することができるようにしている。
【0046】
その製造方法については、図3のフローチャートにおいて、ステップS11のチップ切断時に2個分を単位に切断し、ステップS14の外部電極形成時に、内部電極それぞれに個別の外部電極を形成することで、同様に製造することができる。
【0047】
この実施の形態4においても、実施の形態2および3の構成を適用することができる。
【0048】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1に記載の発明によれば、第1の内部電極と第2の内部電極との対向面の間ないしその近傍のセラミック材料をバリスタセラミックで形成し、基材部における他の部分のセラミック材料を、バリスタセラミック形成部よりも比誘電率の小さなセラミック材料としたことにより、バリスタ電圧に影響を与えることなく、エネルギー耐量を確保できるというという作用を有する。
【0049】
請求項2に記載の発明によれば、第1の内部電極と第2の内部電極との対向面の間ないしその近傍のセラミック材料の全体を、バリスタセラミックで形成したことにより、製造時の工程が容易となるという作用を有する。
【0050】
請求項3に記載の発明によれば、第1の内部電極と第2の内部電極との対向面の間ないしその近傍のセラミック材料を部分的に、バリスタセラミックで形成したことにより、バリスタセラミックで形成する部分の比率や形状を可変にすることで、バリスタ特性の調整を任意に行うことができる。
【0051】
請求項4に記載の発明によれば、バリスタセラミックを、バリスタ材料と金属粒の混合体としたことにより、金属粒の混合比率により、バリスタ特性の調整をさらに微細に行うことができる。
【0052】
請求項5に記載の発明によれば、第1の内部電極と第2の内部電極の対を複数対、基材部内に併設し、それぞれの対に対して第1および第2の外部電極を設けたことにより、一つの電子機器に搭載したときに、複数の回路の保護が可能となる。
【0053】
請求項6に記載の発明によれば、従来の製造工程に穴の形成とバリスタセラミックからなる材料を充填するという工程を追加するだけで、本発明の積層型セラミック電子部品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る積層型バリスタの構造を示す透視図
【図2】本発明の実施の形態1における積層前の成形体シートの構成を示す分解斜視図
【図3】本発明の実施の形態1の製造工程を示すフローチャート
【図4】本発明の実施の形態2に係るバリスタ部の構成を示す斜視図
【図5】本発明の実施の形態3に係る積層型バリスタの構造を示す透視図
【図6】本発明の実施の形態3に係る積層型バリスタを構成する成形体シートの製造工程を示す斜視図
【図7】本発明の実施の形態4の構造を示す透視図
【図8】従来の一般的な積層型バリスタの構造を示す一部切欠斜視図
【符号の説明】
1 第1の内部電極
1a 内部電極パターン
2 第2の内部電極
2a 内部電極パターン
3 基材部
4 バリスタ部
4a バリスタペースト
5 第1の外部電極
6 第2の外部電極
10 積層型バリスタ(実施の形態1)
11〜17 成形体シート
14a 穴
20 積層型バリスタ(実施の形態3)
21 局所バリスタ部
22 成形体シート
22a スルーホール
22b バリスタペースト
30 積層型バリスタ(実施の形態4)
Claims (6)
- セラミック材料からなる基材部内に、少なくとも第1の内部電極と第2の内部電極とを所定の間隔を隔てて配設し、前記第1の内部電極および第2の内部電極にそれぞれ電気的に接続される第1および第2の外部電極を設けた積層型セラミック電子部品であって、
前記第1の内部電極と第2の内部電極との対向面の間かその近傍の少なくとも一方のセラミック材料をバリスタセラミックで形成し、前記基材部における他の部分のセラミック材料を、前記バリスタセラミック形成部よりも比誘電率の小さなセラミック材料としたことを特徴とする積層型セラミック電子部品。 - 前記第1の内部電極と第2の内部電極との対向面の間ないしその近傍のセラミック材料の全体を、バリスタセラミックで形成したことを特徴とする請求項1記載の積層型セラミック電子部品。
- 前記第1の内部電極と第2の内部電極との対向面の間ないしその近傍のセラミック材料を部分的に、バリスタセラミックで形成したことを特徴とする請求項1記載の積層型セラミック電子部品。
- 前記バリスタセラミックを、バリスタ材料と金属粒の混合体としたことを特徴とする請求項1から3のいずれかの項に記載の積層型セラミック電子部品。
- 前記第1の内部電極と第2の内部電極の対を複数対、前記基材部内に併設し、それぞれの対に対して第1および第2の外部電極を設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれかの項に記載の積層型セラミック電子部品。
- セラミック材料からなる成形体シートを少なくとも3枚準備し、
中間の第1の成形体シートに所定の形状の穴を形成し、
この第1の成形体シートの前記穴に、バリスタセラミックからなる材料を充填し、
前記第1の成形体シートの両面に接する第2および第3の成形体シートの表面に、第1および第2の内部電極をそれぞれ形成し、
前記各成形体シートを積層してチップ状に切断した後、焼成し、
焼成後、チップの両端に露出した前記第1および第2の内部電極に導通するように第1および第2の外部電極を形成することを特徴とする積層型セラミック電子部品の製造方法。
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