JP2004170286A - 単色光を用いた差動式sprセンサー及び該センサーを用いた測定法 - Google Patents

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征夫 軽部
Takahisa Akimoto
卓央 秋元
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Abstract

【課題】分光器及びCCDカメラを用いることなくセンサー体からの反射光の検出を行うことで、小型かつ安価な差動式SPRセンサー、特に差動式プローブ型センサー、を提供する。
【解決手段】二つの光源と、導電性膜上に形成された動作面と参照面とからなるセンサー面を有するSPRセンサー体と、一つの光検出器を有する。試料を該センサー面に接触させ、該参照面に対応する第1の波長を有する単色光と該動作面に対応する第2の波長を有する単色光とを該センサー体に入射し、該センサー体から出射された反射光を光検出器で同時に検出し、処理装置によって、該反射光の全体の出力電圧の変化から相互作用を検出する。
【選択図】 図8

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面プラズモン共鳴(SPR)を利用したSPRセンサーに係り、詳しくは差動式SPRセンサーに関するものである。本発明に係る差動式SPRセンサーは好適には差動式プローブ型センサーとして具現化され、好ましくは、バイオセンサーとして用いられる。
【0002】
【従来の技術】
SPRセンサーは一般に図1(a)に示す構造を有する。表面プラズモン(Surface Plasmon:SP)は金属と試料の誘電率によって決定される。このSPの波数ベクトルは光を入射することで励起することができ、一般的なSPRセンサーでは、図中のプリズム側から光を入射することでSPの励起を行う。
【0003】
図1(a)の配置を用い、また光源として白色光線を用いた場合に得られる結果は図1(b)に示す通りであり、ある波長において極小値を得ることができる。本明細書ではこれを共鳴波長と呼ぶ。この共鳴波長が前述のSPの波数ベクトルと一致するので、共鳴波長から試料の誘電率を決定することができる。タンパク質の相互作用を検出する実験では、例えば、金属膜上に抗体を固定化し金属膜上の抗原抗体反応を起こさせる。この時の金属膜上の誘電率変化を見積もることで、抗原抗体反応の程度を見積もることが、SPRセンサ−をバイオセンサ−として利用する場合の方法である。
【0004】
SPRセンサーは、タンパク質の相互作用を検出する装置として広く使用され、注目を集めている。現在使用されているSPRセンサ−は大型であり、また、フローインジェクション形式を採用することから、試料をin situで測定することができない。このことから、いわゆるプローブ型SPRセンサ−は試料をin situで測定することができるセンサ−として有効な方法と考えられる。
【0005】
SPRセンサーを用いてタンパク質相互作用を検出する場合、毎回の測定においてベースラインを決定し、その値からの変化量としてタンパク質相互作用を見積もる必要がある。すなわち目的とするタンパク質相互作用を検出するためには、測定試料の他に、ベースラインを決定するための試料が必要となる。したがって従来の測定方法に従うならば、プローブ型SPRセンサーを用いてin situの測定を行う場合においても、他の試料を用いてベースラインを決定する必要がある。これでは、プローブ型SPRセンサーの特徴であるin situ測定の有利性が減殺されてしまう。
【0006】
そこで、差動式SPRセンサーを用いることが検討される。差動式SPRセンサーの本質は、同一の金属膜上に測定対象物質と相互作用する認識要素(例えば抗体)を固定した面と、認識要素(例えば抗体)を固定化しない面を作成し、それら両方の面で得られる共鳴波長を比較することで抗原抗体反応を見積もることである。
【0007】
従来の差動式プローブ型SPRセンサーは、センサープローブの数が1つであり、光源として白色光を用いていた。この場合のSPR信号の検出方法は、分光器とCCDカメラを用いるものであった。したがって、この方法を用いて多数のセンサープローブを持つプローブ型SPRセンサーを開発するためには、センサープローブと同数の分光器とCCDカメラが必要となる。しかし、分光器とCCDカメラは高価であり、また大型であるため、特に、多数のセンサープローブ(多数のセンサープローブは、同時に多数の異なる試料を測定するような場合に有利である)を持つプローブ型SPRセンサーの装置は、高価でかつ大型になることが避けられない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記不具合を解決するべく創案されたものであって、分光器及びCCDカメラを用いることなくセンサー体からの反射光の検出を行うことで、小型かつ安価な差動式SPRセンサー、特に差動式プローブ型センサー、を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために本発明が採用した技術手段は、互いに異なる波長を有する複数の単色光を出射する光源と、導電性膜上に形成された動作面と参照面とからなるセンサー面を有するセンサー体と、該センサー体からの反射光を検出する光検出器と、該光源と該センサー体、該センサー体と該光検出器とを光学的に連結する手段と、該光検出器で検出された反射光を処理する処理装置とを有し、該波長の異なる単色光がそれぞれ動作面と参照面のいずれかの測定可能波長範囲に対応しており、該波長に対する反射光強度の変化量から相互作用を検出するように構成したものである。
【0010】
好ましくは、前記センサー体は、センサープローブである。しかしながら、本発明は、フローインジェクション型のセンサー体を排除するものではなく、本発明をフローインジェクション型のセンサーに適用することもできる。
【0011】
好ましくは、前記単色光は、該参照面に対応する第1の波長を有する単色光と該動作面に対応する第2の波長を有する単色光の二つであり、前記光検出器は一つである。そして、二つの異なる波長を有する単色光を該センサー体に入射し、該センサー体から出射された反射光を一つの光検出器で同時に検出し、該反射光の全体の出力電圧の変化から相互作用を検出する。単色光を出射する光源は、後述する実験例では、二つの半導体レーザであるが、光源を一つあるいは複数の波長可変光源から構成してもよい。
【0012】
本発明に係るSPRセンサーは好適な例では抗原抗体反応の検出に用いられるが、本発明のSPRセンサーは抗原抗体反応の測定に限定されるものではなく、相互作用の様子が「結合」という場合に広く適用することができ、例えば、核酸あるいは核酸アナログのハイブリダイゼーション、核酸とタンパク質の相互作用、レセプターとリガンドの結合、糖鎖同士の相互作用等に用いることもできる。センサー面に固定化される「測定対象物質と相互作用する物質(認識要素)」についても、試料中の測定対象物質(アナライト)に応じて抗体以外の物質が固定化される。
【0013】
【発明の実施の形態】
[差動式SPRセンサー]
先ず、本発明の前提となる差動式SPRセンサーについて説明する。図2(a)は差動式SPRセンサーの原理図であって、同一の金属膜上に膜厚の異なる部位を有する誘電体層を設けることで、膜厚の異なる二つの誘電体表面が形成されており、一方の表面が動作面、他方の表面が参照面を構成している。動作面には認識要素として例示する抗体が固定化されており、抗原を含む緩衝液を動作面および参照面で測定して比較することで、抗原濃度を算出する。この場合に得られる信号は図2(b)に示すように、誘電体層の厚い面と誘電体層の薄い面それぞれからの二つの共鳴波長である。すなわち、それぞれの面の誘電体層の厚さに依存する共鳴波長を得ることで、それぞれの共鳴波長変化分を明確に観測することができる。図示のものでは、膜厚の異なる誘電体膜表面を二つ形成することで動作面、参照面を構成しているが、原理的には、三つ以上の誘電体膜表面を形成することも可能である。例えば、膜厚の異なる三つの誘電体膜表面を設け、二つの表面にそれぞれ異なる抗体を固定化し、他の一つの表面を参照面として、同時に二つの物質を測定することもできる。
【0014】
[センサープローブ]
次いで、本発明が採用するセンサー体として好適な例としての、センサープローブの構成について図3に基づいて説明する。図3は本発明に係るセンサープローブの基本的構成を示している。センサープローブは長尺状の本体を有し、先端側(図では下端側)には、センサー面を備えた金属膜と、反射鏡(反射面)とが形成されており、一方該プローブの基端側(図では上端側)は光の入出端部を構成している。該センサー面と該反射面とはプローブの長さ方向に対して傾斜状に延出する傾斜面に形成されていると共に、互いに直角に会合するように構成されている。センサー面には、図4に示すように二つの膜厚の異なる誘電体膜表面を備えた誘電膜層が形成される。センサープローブは図のものでは上から平行光線が入射される。センサー面は光路に対して直交する面に対して68度の角度で傾斜状に延出しており、上端面から入射した光はセンサー面に入射角68度で入射するように設計されている。反射面は光路に対して直交する面に対して22度の角度で傾斜状に延出している。センサー面で反射した光は反射面によって反射され、上端面に出射するように設計されている。このセンサーでは、初めに反射面で反射した後にセンサー面に入射角68度で入射する光路も考えられるが、それぞれの光路で得られるSPR信号は同じである。センサー面に対する光の入射角は68度に限定されるものではなく、好ましくは60度から80度の間の入射角を適宜選択することが可能である。
【0015】
センサープローブのセンサー面は、金を膜厚52nm、クロムを2nmスパッタリングすることによって作製してある。反射面はクロムを約100nmスパッタリングすることで作製した。センサープローブはBK7ガラスを使用してある。センサープローブの直径は3mm、長さは15mmである。尚、本発明に採用され得るセンサープローブの構成は、図示のものに限定されるものではなく、差動式SPRセンサーが実現できるものであれば、他の構成を備えたセンサープローブであってもよい。
【0016】
図4に差動式SPRセンサーのセンサープローブの拡大図を示す。センサー面の左右それぞれに膜厚の異なる誘電体層を形成させて差動式のセンサープローブを構成する。センサー面は金属膜上に膜厚の異なるプラズマ重合膜を形成して差動式SPRセンサーを構成する。誘電体層はHexamethyldisiloxane(HMDS)をプラズマ重合することで作製した。HMDSプラズマ重合膜は金属膜上に強固に形成され、また疎水性であることから、非特異的なタンパク質の吸着を妨げる。プラズマ重合膜の厚さは、それぞれの共鳴波長が十分離れるために必要な厚さとして、それぞれ1nm、34nmとした。プラズマ重合は、ペルジャー内の真空度1.3Paとした後、monomerガスを40Pa導入し、RF発振器によってmonomerガスをプラズマとする。実施例では、Hexamethyldisiloxane(HMDS)(信越シリコーン)をmonomerガスとして用い、重合時間は参照面5秒間、動作面150秒間であり、発振出力はいずれの場合も150Wである。
【0017】
図4において、センサー面(a)で示した面には膜厚の薄いプラズマ重合膜のみを形成した。センサー面(b)で示した面には膜厚の厚いプラズマ重合膜を形成し、プラズマ重合膜上にウシ血清アルブミン(Bovine Serum Albumin:BSA)を固定化した。本明細書では、誘電体層が薄い面で認識要素(BSA)が固定化されていない面を参照面、誘電体層が厚く認識要素(BSA)が固定化されている面を動作面という。もちろん、誘電体層の膜厚が薄い方にBSAを固定化して動作面としてもよい。センサープローブへの抗原の固定化については、リン酸緩衝液に10g/lのウシ血清アルブミンを混合した液体にセンサープローブを約8時間浸すことで、ウシ血清アルブミンをセンサープローブへ固定化した。
【0018】
図5に基づいてセンサープローブの固定について説明する。図5では筒状の固定部材に対して右側からセンサープローブを挿入するように記載してあり、該固定部材には左側から光ファイバーを挿入するようになっている。光ファイバーのコアの直径は200μmであり、開口数は0.39である。光ファイバーからの光を平行光線とするために、本実施例では平凸レンズを用いた。用いた平凸レンズの直径は4mmであり、焦点距離は4mmである。また、このレンズはセンサープローブからの反射光線を、光ファイバー端面に焦点を持つ集光光線あるいは収束光線とする働きも担っている。図6に差動式SPRセンサープローブで得られた反射光強度と波長の関係を示す。図から二つの共鳴波長が確認できる。これらはそれぞれ、プラズマ重合膜が厚くBSAが固定化されている面での共鳴波長と、プラズマ重合膜が薄くBSAが固定化されていない面での共鳴波長を示している。ここでは、プラズマ重合膜が厚くかつBSAが固定されている面を動作面、プラズマ重合膜が薄くBSAが固定化されていない面を参照面と呼ぶ。
【0019】
[SPRセンサー装置]
本発明に係るSPRセンサー装置の全体構成について、図11に基づいて説明する。SPRセンサー装置は、互いに異なる波長の単色光を出射する二つの光源と、ビームスプリッターと、光ファイバツリーカプラーと、複数のセンサープローブと、光ファイバーカプラーと、光検出器と、処理装置(プロセッサーないしコンピュータ)と、光源とセンサープローブ、センサープローブと光検出器とを光学的に連結する光導波路(好適には、光ファイバ)とを備えている。二つの光源から出射される光はビームスプリッターを通して、光ファイバーへと導入され、センサープローブの端部からセンサー面に向けて入射される。センサープローブからの反射光は、光ファイバーを通して、一つのフォトダーオードから構成される光検出器によって検出され、処理装置によって共鳴波長が読み取られる。フォトダイオードは、本発明に採用される光検出器の最も好ましい例の一つであるが、本発明に用いられる光検出器はフォトダイオードに限定されるものではなく、他の公知の光検出器、例えば、光電子増倍管や光導電検出器を用いても良い。図11に示す装置は、後述する実験に用いられる。
【0020】
[単色光を用いるSPRセンサーの原理]
単色光を用いるSPRセンサーの原理について説明する。従来SPRセンサーにおける光の検出は、図7に示すようにタンパク質などの相互作用に伴うスペクトルの変化を検出することを基本としていた。この場合センサー面でのタンパク質の相互作用は、スペクトルの極小点の移動として観測することができた。ここで、図7に示すように波長λの単色光を用いることで、タンパク質の相互作用にともなうスペクトルの移動はλの反射光強度の増加として観測することが可能である。
【0021】
[2波長の光を用いる差動式SPRセンサーの原理]
差動式SPRセンサーでは、図8に示すようにスペクトル中に2つの極小点を観測することができる。ここで、左の極小点が参照面で、右の極小点がタンパク質の相互作用を測定する動作面であると仮定する。このとき、図8に示す波長λとλの二つの光を同時に観測に用いることで、差動式プローブ型SPRセンサーのスペクトルの移動を観測することができる。すなわちこの場合、参照面の信号は波長λの光の増加として、また、タンパク質の相互作用を見積もるための動作面の信号は、波長λの光の減少として観測することができる。したがって、タンパク質の相互作用が起きていない場合、すなわち参照面と動作面での信号が同じ場合はλとλを加算した光量は変化しない。一方タンパク質の相互作用が起きている場合、すなわち動作面の信号のみが変化した場合、λとλを加算した光量は減少する。具体的には、図8において、スペクトルの変化にともないIがIに変化しJがJに変化するときI<Iなのに対しJ>Jとなる。不等号が異なるために、それぞれの波長を区別することなく検出した場合、それぞれのピークの移動量が同じならば全体の光量の変化が無いといことになる。
【0022】
二つの異なる波長(λとλ、λとλ)を有する単色光がセンサー体に入射される場合に、波長の採り得る範囲について図9,10に基づいて説明する。二つの異なる波長は、一方の波長が参照面、他方の波長が動作面の測定可能波長範囲に対応している。図9,10において、二つの谷の左側を参照面、右側を動作面とすると(参照面、動作面はこの逆も場合も採り得る)。λは領域A(参照面において反射光強度が1より小さくなる波長、すなわち、反射光強度が表面プラズモン(SP)の励起に伴い減少し始める波長<λ<参照面の極小値の波長)、λは領域D(動作面の極小値の波長<λ<動作面において反射光強度が1より小さくなる波長、すなわち、表面プラズモン(SP)が励起が確認できなくなる波長)、λは領域B(参照面の極小値の波長<λ<参照面の極小値と動作面の極小値の間に存在する極大値の波長、λは領域C(参照面の極小値と動作面の極小値の間に存在する極大値の波長<λ<動作面の極小値の波長)である。
【0023】
【実施例】
[実験装置]
実験には、図11に示す装置を用いた。使用した光源は670 nmと830 nm の二つの半導体レーザーであった。これらの光源から出射される単色光をビームスプリッターを通して、光ファイバーへと導入し、センサープローブへと入射した。また、センサープローブからの信号は一つのフォトダイオードで検出をおこなった。本装置を差動式ではないプローブ型SPRセンサーへ用いる場合は一方の光を遮断することによって実現することができる。
【0024】
[実験1]
[差動式のプローブ型SPRセンサーを用いた屈折率標準液の測定]
差動式のプローブ型SPRセンサーでは、動作面と参照面の測定感度はほぼ同等である必要がある。このため、動作面と参照面の測定感度を屈折率標準液を用いて個別に評価することをおこなった。評価方法はまず、830 nm の光を遮断することで参照面の測定感度を評価した。ついで670 nmの光を遮断し動作面の測定感度の評価をおこなった。最後に830 nm、670 nm の両方を用いて屈折率標準液の測定をおこなった。実験で用いた屈折理標準液は、グリセリンを任意の濃度で純水に希釈することで作製した。使用した標準液は7種類で、それぞれの屈折率は1.3361、1.3364、1.3365、1.3367、1.3370、1.3373、1.3412であった。
【0025】
図12に屈折率標準液の測定結果を示す。図12のAは動作面で得られた結果であり、Bは参照面から得られた結果である。Cは動作面と参照面を同時に測定した結果である。また、a,b,c,d,e,f,gはそれぞれの屈折率標準液を示している。この結果からAでは試料の屈折率が増加するに伴い出力電圧が低下しているが、Bでは増加していることがわかる。この結果から本研究で作製した図11に示す装置が予想通りに動作していることがわかる。また図12のCの結果から、出力電圧は試料の屈折率によらずほぼ一定であることがわかる。この結果から動作面と参照面の測定感度がほぼ同等であり、2波長を用いた差動式のプローブ型SPRセンサーの開発が可能であることがわかる。
【0026】
[実験2]
[差動式のプローブ型SPRセンサーを用いたアトラジンの測定]
差動式のプローブ型SPRセンサーを用いてアトラジンの測定実験を行った。この場合、動作面に抗アトラジン抗体を固定化して実験を行った。しかし、アトラジンは分子量が小さいために測定が困難であることが予想できるため、サンドウッチ方法を用いてアトラジンの測定を行った。
【0027】
図13に差動式のプローブ型SPRセンサーを用いてアトラジンを測定した結果を示す。図における出力電圧は、動作面及び参照面から反射された光信号を足し合わせた結果である。図13ではa,b,c,dの領域でそれぞれリン酸緩衝液、アトラジン10μg/ml、アトラジン抗体、リン酸緩衝液の測定である。参照面ではアトラジン、アトラジン抗体と試料を変えることで試料の屈折率に依存する出力電圧の増加が観測される。一方動作面では、試料の屈折率に依存する出力電圧の低下とセンサー面での分子間相互作用(b,c)による出力電圧の低下の両方が観測される。この両者を加算した結果が図13であって、図13から明らかなようにアトラジン及びアトラジン抗体の測定おいて出力電圧が低下していることがわかる。これはアトラジン抗体を固定化した動作面ける特異的な抗原抗体反応が検出できていることを示している。
【0028】
【発明の効果】
本発明に係る差動式SPRセンサーは、センサー体に入射する光として単色光を用いたので、光の検出には、分光器及びCCDカメラが不要となり、小型でかつ安価な検出器(好ましい例では、フォトダイオード)で代用することができる。したがって、本発明は、多数のセンサープローブを有するプローブ型SPRセンサーを小型かつ安価に開発するために有効な手段である。特に、参照面に対応する第1の波長を有する単色光と動作面に対応する第2の波長を有する単色光とを該センサー体に入射し、該センサー体から出射された反射光を一つの光検出器で同時に検出し、該反射光の全体の出力電圧の変化から相互作用を検出するものでは、さらに小型で安価なSPRセンサーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)はSPRセンサーの原理図、(b)は観測される信号である。
【図2】(a)は差動式SPRセンサーの原理図、(b)は差動式SPRセンサーで観測される信号である。
【図3】プローブ型SPRセンサーの正面図、側面図および端面図である。
【図4】センサー面を示すセンサープローブの拡大図である。
【図5】プローブ型SPRセンサーの固定部分の概略図である。
【図6】差動式プローブ型SPRセンサーで得られた反射光強度と波長の関係を示す図である。
【図7】単色光を用いるSPRセンサーの原理図である。
【図8】2波長の光を用いるSPRセンサーの原理図である。
【図9】参照面及び動作面からの反射光を同時に測定する場合の、2波長の範囲を説明する図であり、採り得る組み合わせとしては、λとλ、λとλの組み合わせがある。
【図10】参照面及び動作面からの反射光を同時に測定する場合の、2波長の範囲を説明する図であり、採り得る組み合わせとしては、範囲Aと範囲D、範囲Bと範囲Cの組み合わせがある。
【図11】差動式プローブ型SPRセンサー装置の全体図である。
【図12】差動式プローブ型SPRセンサーを用いた屈折率標準液の測定結果を示す図である。
【図13】差動式プローブ型SPRセンサーを用いたアトラジンの測定結果を示す図である。

Claims (17)

  1. 互いに異なる波長を有する複数の単色光を出射する光源と、導電性膜上に形成された動作面と参照面とからなるセンサー面を有するセンサー体と、該センサー体からの反射光を検出する光検出器と、該光源と該センサー体、該センサー体と該光検出器とを光学的に連結する手段と、該光検出器で検出された反射光を処理する処理装置とを有し、該波長の異なる単色光がそれぞれ動作面と参照面のいずれかの測定可能波長範囲に対応しており、該波長に対する反射光強度の変化量から相互作用を検出するように構成したことを特徴とする単色光を用いた差動式SPRセンサー。
  2. 請求項1において、前記センサー体は、センサープローブであることを特徴とする差動式SPRセンサー。
  3. 請求項2において、前記センサープローブは、センサー面を備えた金属膜と、反射面とを有しており、該プローブの基端側は光の入出端部を構成しており、該光源は該プローブの基端側に光学的に連結されており、該光検出器は該金属膜及び該反射面を介して該プローブの基端側から出射された光を受光するように構成されていることを特徴とする差動式SPRセンサー。
  4. 請求項3において、前記金属膜及び反射面はプローブの先端側に形成してあることを特徴とする差動式プローブ型SPRセンサー。
  5. 請求項1乃至4いずれかにおいて、前記光源は複数の光源からなることを特徴とする差動式SPRセンサー。
  6. 請求項5において、前記複数の光源は、第1の波長を有する単色光を出射する第1光源と第2の波長を有する単色光を出射する第2光源とからなることを特徴とする差動式SPRセンサー。
  7. 請求項1乃至6いずれかにおいて、前記光源は一つあるいは複数の波長可変光源であることを特徴とする差動式SPRセンサー。
  8. 請求項1乃至7いずれかにおいて、前記光検出器は一つの光検出器であることを特徴とする差動式SPRセンサー。
  9. 請求項1乃至7いずれかにおいて、前記光検出器は、前記波長の数に対応した複数の光検出器であることを特徴とする差動式SPRセンサー。
  10. 請求項1乃至9いずれかにおいて、該光検出器はフォトダイオードであることを特徴とする差動式SPRセンサー。
  11. 請求項5において、前記第1の波長λが参照面に、前記第2の波長λが動作面に対応しており、前記第1の波長λは、反射光強度が表面プラズモンの励起に伴い減少し始める波長<λ<参照面の極小値の波長、前記第2の波長λは、動作面の極小値の波長<λ<表面プラズモンの励起が確認できなくなる波長、をそれぞれ満たすことを特徴とする差動式SPRセンサー。
  12. 請求項5において、前記第1の波長λが参照面に、前記第2の波長λが動作面に対応しており、前記第1の波長λは、参照面の極小値の波長<λ<参照面の極小値と動作面の極小値の間に存在する極大値の波長、前記第2の波長λは、参照面の極小値と動作面の極小値の間に存在する極大値の波長<λ<動作面の極小値の波長、をそれぞれ満たすことを特徴とする差動式SPRセンサー。
  13. 請求項11,12いずれかにおいて、前記参照面及び前記動作面からの反射光強度は一つの光検出器により同時に測定され、全体の光強度の変化から相互作用を検出するように構成したことを特徴とする単色光を用いた差動式SPRセンサー。
  14. 請求項1において、前記単色光は二つであり、前記光検出器は一つであることを特徴とする差動式SPRセンサー。
  15. 導電性膜上に形成された動作面と参照面とからなるセンサー面を有するSPRセンサー体を用いた測定法であって、試料を該センサー面に接触させ、該参照面に対応する第1の波長を有する単色光と該動作面に対応する第2の波長を有する単色光とを該センサー体に入射し、該センサー体から出射された反射光を一つの光検出器で同時に検出し、該反射光の全体の出力電圧の変化から相互作用を検出することを特徴とする測定法。
  16. 請求項15において、前記第1の波長λが参照面に、前記第2の波長λが動作面に対応しており、前記第1の波長λは、反射光強度が表面プラズモンの励起に伴い減少し始める波長<λ<参照面の極小値の波長、前記第2の波長λは、動作面の極小値の波長<λ<表面プラズモンの励起が確認できなくなる波長、をそれぞれ満たすことを特徴とする測定法。
  17. 請求項15において、前記第1の波長λが参照面に、前記第2の波長λが動作面に対応しており、前記第1の波長λは、参照面の極小値の波長<λ<参照面の極小値と動作面の極小値の間に存在する極大値の波長、前記第2の波長λは、参照面の極小値と動作面の極小値の間に存在する極大値の波長<λ<動作面の極小値の波長、をそれぞれ満たすことを特徴とする測定法。
JP2002337467A 2002-11-21 2002-11-21 単色光を用いた差動式sprセンサー及び該センサーを用いた測定法 Pending JP2004170286A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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