JP3761080B2 - 全反射減衰を利用した測定方法および測定装置 - Google Patents

全反射減衰を利用した測定方法および測定装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面プラズモンの発生を利用して試料中の物質を定量分析する表面プラズモンセンサー等の、全反射減衰を利用した測定方法および測定装置に関し、特に詳細には、全反射減衰によって測定光に生じる暗線を光検出手段を用いて検出する全反射減衰を利用した測定方法および測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属中においては、自由電子が集団的に振動して、プラズマ波と呼ばれる粗密波が生じる。そして、金属表面に生じるこの粗密波を量子化したものは、表面プラズモンと呼ばれている。
【0003】
従来より、この表面プラズモンが光波によって励起される現象を利用して、試料中の物質を定量分析する表面プラズモンセンサーが種々提案されている。そして、それらの中で特に良く知られているものとして、 Kretschmann配置と称される系を用いるものが挙げられる(例えば特開平6−167443号参照)。
【0004】
上記の系を用いる表面プラズモンセンサーは基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されて試料に接触させられる金属膜と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射条件が得られ、かつ表面プラズモン共鳴による全反射減衰が生じ得るように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して表面プラズモン共鳴の状態、つまり全反射減衰の状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
【0005】
なお上述のように種々の入射角を得るためには、比較的細い光ビームを入射角を変えて上記界面に入射させてもよいし、あるいは光ビームに種々の角度で入射する成分が含まれるように、比較的太い光ビームを上記界面に収束光状態であるいは発散光状態で入射させてもよい。前者の場合は、入射した光ビームの入射角の変化にしたがって反射角が変化する光ビームを、上記反射角の変化に同期して移動する小さな光検出器によって検出したり、反射角の変化方向に沿って延びるエリアセンサによって検出することができる。一方後者の場合は、種々の反射角で反射した各光ビームを全て受光できる方向に延びるエリアセンサによって検出することができる。
【0006】
上記構成の表面プラズモンセンサーにおいて、光ビームを金属膜に対して全反射角以上の特定入射角θSPで入射させると、該金属膜に接している試料中に電界分布をもつエバネッセント波が生じ、このエバネッセント波によって金属膜と試料との界面に表面プラズモンが励起される。エバネッセント光の波数ベクトルが表面プラズモンの波数と等しくて波数整合が成立しているとき、両者は共鳴状態となり、光のエネルギーが表面プラズモンに移行するので、誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射した光の強度が鋭く低下する。この光強度の低下は、一般に上記光検出手段により暗線として検出される。
【0007】
なお上記の共鳴は、入射ビームがp偏光のときにだけ生じる。したがって、光ビームがp偏光で入射するように予め設定しておく必要がある。
【0008】
この全反射減衰(ATR)が生じる入射角θSPから表面プラズモンの波数が分かると、試料の誘電率が求められる。すなわち表面プラズモンの波数をKSP、表面プラズモンの角周波数をω、cを真空中の光速、εとεをそれぞれ金属、試料の誘電率とすると、以下の関係がある。
【0009】
【数1】
Figure 0003761080
試料の誘電率εが分かれば、所定の較正曲線等に基づいて試料中の特定物質の濃度が分かるので、結局、上記反射光強度が低下する入射角θSPを知ることにより、試料の誘電率つまりは屈折率に関連する特性を求めることができる。
【0010】
また、全反射減衰(ATR)を利用する類似のセンサーとして、例えば「分光研究」第47巻 第1号(1998)の第21〜23頁および第26〜27頁に記載がある漏洩モードセンサーも知られている。この漏洩モードセンサーは基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、このクラッド層の上に形成されて、試料に接触させられる光導波層と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを上記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックとクラッド層との界面で全反射条件が得られ、かつ光導波層での導波モードの励起による全反射減衰が生じ得るように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して導波モードの励起状態、つまり全反射減衰状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
【0011】
上記構成の漏洩モードセンサーにおいて、光ビームを誘電体ブロックを通してクラッド層に対して全反射角以上の入射角で入射させると、このクラッド層を透過した後に光導波層においては、ある特定の波数を有する特定入射角の光のみが導波モードで伝搬するようになる。こうして導波モードが励起されると、入射光のほとんどが光導波層に取り込まれるので、上記界面で全反射する光の強度が鋭く低下する全反射減衰が生じる。そして導波光の波数は光導波層の上の試料の屈折率に依存するので、全反射減衰が生じる上記特定入射角を知ることによって、試料の屈折率や、それに関連する試料の特性を分析することができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明した従来の全反射減衰を利用したセンサーにおいては、プリズムと薄膜層との界面で反射した光ビームの強度を反射角毎に検出するために、前述したように光ビームの偏向に同期移動する光検出器や、広い受光面を有するCCDエリアセンサ等を用いていた。
【0013】
前者の場合は、全反射解消角の測定範囲に関して比較的大きなダイナミックレンジを確保できるが、その反面、機械的な駆動機構が必要になることから、試料分析を高速で行なうのは困難となっている。
【0014】
一方後者の場合は、高速分析が可能である反面、CCD等のエリアセンサの分解能、電荷蓄積のダイナミックレンジが低いことから、高い分析精度を確保するのは困難となっている。
【0015】
このような事情に鑑み、本出願人は先に、第1の反射角範囲と第2の反射角範囲にある反射光をそれぞれ2分割フォトダイオード等によって別個に検出し、それら各反射光の光強度検出信号を比較した結果に基づいて全反射解消角θSPを求める構成を提案した(特開平9−292334号公報参照)。
【0016】
しかしながら、上記特開平9−292334号公報に記載された構成の全反射減衰を利用した測定装置においては、2つの受光素子のみを用いて全反射解消角θSPを求めるため、金属膜の極一部にゴミやコンタミ等が付着した場合であっても、検出信号に影響を及ぼすため、測定結果に対する信頼性を向上させることが難しかった。
【0017】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、2つの受光素子の検出信号を比較した結果に基づいて全反射解消角θSPを求める構成の全反射減衰を利用した測定方法および測定装置において、測定結果に対する信頼性を向上させた全反射減衰を利用した測定方法および測定装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の全反射減衰を利用した測定方法は、誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されて、試料に接触させられる薄膜層と、光ビームを発生させる光源と、光ビームを誘電体ブロックに対して、誘電体ブロックと薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第1の受光素子と、前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲とは異なる第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第2の受光素子とからなり、この第1および第2の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、全反射減衰の状態を検知する第1の光検出手段と、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第3の受光素子と、第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第4の受光素子とからなり、この第3および第4の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、全反射減衰の状態を検知する第2の光検出手段と、第1および第2の光検出手段に接続された信号処理手段とを備えてなる全反射減衰を利用した測定装置において、第1の光検出手段により検出された信号と、第2の光検出手段により検出された信号とを比較し、この2つの信号の大きさの差が所定の値を超えた場合に測定結果が不正であると判断することを特徴とするものである。
【0019】
ここで、「所定の値」、すなわち各光検出手段により検出された信号間の許容誤差は、一定の値としてもよいし、各測定に要求される測定精度によって値を変えてもよい。
【0020】
また、本発明の第2の全反射減衰を利用した測定方法は、誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されて、試料に接触させられる金属膜と、光ビームを発生させる光源と、光ビームを誘電体ブロックに対して、誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第1の受光素子と、前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲とは異なる第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第2の受光素子とからなり、この第1および第2の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、表面プラズモン共鳴に伴う全反射減衰の状態を検知する第1の光検出手段と、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第3の受光素子と、第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第4の受光素子とからなり、この第3および第4の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、表面プラズモン共鳴に伴う全反射減衰の状態を検知する第2の光検出手段と、第1および第2の光検出手段に接続された信号処理手段とを備えてなる全反射減衰を利用した測定装置において、第1の光検出手段により検出された信号と、第2の光検出手段により検出された信号とを比較し、この2つの信号の大きさの差が所定の値を超えた場合に測定結果が不正であると判断することを特徴とするものである。
【0021】
さらに、本発明の第3の全反射減衰を利用した測定方法は、誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、このクラッド層の上に形成されて、試料に接触させられる光導波層と、光ビームを発生させる光源と、光ビームを誘電体ブロックに対して、誘電体ブロックとクラッド層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第1の受光素子と、前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲とは異なる第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第2の受光素子とからなり、この第1および第2の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、光導波層での導波モードの励起に伴う全反射減衰の状態を検知する第1の光検出手段と、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第3の受光素子と、第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第4の受光素子とからなり、この第3および第4の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、光導波層での導波モードの励起に伴う全反射減衰の状態を検知する第2の光検出手段と、第1および第2の光検出手段に接続された信号処理手段とを備えてなる全反射減衰を利用した測定装置において、第1の光検出手段により検出された信号と、第2の光検出手段により検出された信号とを比較し、この2つの信号の大きさの差が所定の値を超えた場合に測定結果が不正であると判断することを特徴とするものである。
【0022】
また、光検出手段を3つ備えた全反射減衰を利用した測定装置においては、測定結果が不正である場合においても、正確な測定結果を得ることができる場合がある。
【0023】
本発明の第4から第6の全反射減衰を利用した測定方法は、そのような形態に対応したものであり、本発明の第4の全反射減衰を利用した測定方法は、誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されて、試料に接触させられる薄膜層と、光ビームを発生させる光源と、光ビームを誘電体ブロックに対して、誘電体ブロックと薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第1の受光素子と、前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲とは異なる第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第2の受光素子とからなり、この第1および第2の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、全反射減衰の状態を検知する第1の光検出手段と、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第3の受光素子と、第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第4の受光素子とからなり、この第3および第4の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、全反射減衰の状態を検知する第2の光検出手段と、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第5の受光素子と、第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第6の受光素子とからなり、この第5および第6の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、全反射減衰の状態を検知する第3の光検出手段と、第1から第3の光検出手段に接続された信号処理手段とを備えてなる全反射減衰を利用した測定装置において、第1の光検出手段により検出された信号と、第2の光検出手段により検出された信号と、第3の光検出手段により検出された信号とを比較し、この3つの信号間の大きさの差が全て所定の値を超えた場合には測定結果が不正であると判断し、この3つの信号のうち2つの信号の大きさの差が略等しい場合にはこの2つの信号の表す測定結果が正確であると判断することを特徴とするものである。
【0024】
また、本発明の第5の全反射減衰を利用した測定方法は、誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されて、試料に接触させられる金属膜と、光ビームを発生させる光源と、光ビームを誘電体ブロックに対して、誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第1の受光素子と、前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲とは異なる第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第2の受光素子とからなり、この第1および第2の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、表面プラズモン共鳴に伴う全反射減衰の状態を検知する第1の光検出手段と、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第3の受光素子と、第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第4の受光素子とからなり、この第3および第4の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、表面プラズモン共鳴に伴う全反射減衰の状態を検知する第2の光検出手段と、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第5の受光素子と、第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第6の受光素子とからなり、この第5および第6の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、表面プラズモン共鳴に伴う全反射減衰の状態を検知する第3の光検出手段と、第1から第3の光検出手段に接続された信号処理手段とを備えてなる全反射減衰を利用した測定装置において、第1の光検出手段により検出された信号と、第2の光検出手段により検出された信号と、第3の光検出手段により検出された信号とを比較し、この3つの信号間の大きさの差が全て所定の値を超えた場合には測定結果が不正であると判断し、この3つの信号のうち2つの信号の大きさの差が略等しい場合にはこの2つの信号の表す測定結果が正確であると判断することを特徴とするものである。
【0025】
さらに、本発明の第6の全反射減衰を利用した測定方法は、誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、このクラッド層の上に形成されて、試料に接触させられる光導波層と、光ビームを発生させる光源と、光ビームを誘電体ブロックに対して、誘電体ブロックとクラッド層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第1の受光素子と、前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲とは異なる第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第2の受光素子とからなり、この第1および第2の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、光導波層での導波モードの励起に伴う全反射減衰の状態を検知する第1の光検出手段と、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第3の受光素子と、第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第4の受光素子とからなり、この第3および第4の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、光導波層での導波モードの励起に伴う全反射減衰の状態を検知する第2の光検出手段と、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第5の受光素子と、第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第6の受光素子とからなり、この第5および第6の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、光導波層での導波モードの励起に伴う全反射減衰の状態を検知する第3の光検出手段と、第1から第3の光検出手段に接続された信号処理手段とを備えてなる全反射減衰を利用した測定装置において、第1の光検出手段により検出された信号と、第2の光検出手段により検出された信号と、第3の光検出手段により検出された信号とを比較し、この3つの信号間の大きさの差が全て所定の値を超えた場合には測定結果が不正であると判断し、この3つの信号のうち2つの信号の大きさの差が略等しい場合にはこの2つの信号の表す測定結果が正確であると判断することを特徴とするものである。
【0026】
本発明の第1から第3の全反射減衰を利用した測定装置は、上記第1から第3の全反射減衰を利用した測定方法に用いられるものであって、本発明の第1の全反射減衰を利用した測定装置は、誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されて、試料に接触させられる薄膜層と、光ビームを発生させる光源と、光ビームを誘電体ブロックに対して、誘電体ブロックと薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第1の受光素子と、前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲とは異なる第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第2の受光素子とからなり、この第1および第2の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、全反射減衰の状態を検知する第1の光検出手段と、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第3の受光素子と、第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第4の受光素子とからなり、この第3および第4の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、全反射減衰の状態を検知する第2の光検出手段と、第1および第2の光検出手段に接続された信号処理手段とを備えてなる全反射減衰を利用した測定装置において、信号処理手段が、第1の光検出手段により検出された信号、および第2の光検出手段により検出された信号の2つの信号の大きさの差を所定の値と比較する演算を行うものであることを特徴とするものである。
【0027】
また、本発明の第2の全反射減衰を利用した測定装置は、誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されて、試料に接触させられる金属膜と、光ビームを発生させる光源と、光ビームを誘電体ブロックに対して、誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第1の受光素子と、前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲とは異なる第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第2の受光素子とからなり、この第1および第2の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、表面プラズモン共鳴に伴う全反射減衰の状態を検知する第1の光検出手段と、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第3の受光素子と、第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第4の受光素子とからなり、この第3および第4の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、表面プラズモン共鳴に伴う全反射減衰の状態を検知する第2の光検出手段と、第1および第2の光検出手段に接続された信号処理手段とを備えてなる全反射減衰を利用した測定装置において、信号処理手段が、第1の光検出手段により検出された信号、および第2の光検出手段により検出された信号の2つの信号の大きさの差を所定の値と比較する演算を行うものであることを特徴とするものである。
【0028】
さらに、本発明の第3の全反射減衰を利用した測定装置は、誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、このクラッド層の上に形成されて、試料に接触させられる光導波層と、光ビームを発生させる光源と、光ビームを誘電体ブロックに対して、誘電体ブロックとクラッド層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第1の受光素子と、前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲とは異なる第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第2の受光素子とからなり、この第1および第2の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、光導波層での導波モードの励起に伴う全反射減衰の状態を検知する第1の光検出手段と、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第3の受光素子と、第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第4の受光素子とからなり、この第3および第4の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、光導波層での導波モードの励起に伴う全反射減衰の状態を検知する第2の光検出手段と、第1および第2の光検出手段に接続された信号処理手段とを備えてなる全反射減衰を利用した測定装置において、信号処理手段が、第1の光検出手段により検出された信号、および第2の光検出手段により検出された信号の2つの信号の大きさの差を所定の値と比較する演算を行うものであることを特徴とするものである。
【0029】
また、本発明の第4から第6の全反射減衰を利用した測定装置は、上記第4から第6の全反射減衰を利用した測定方法に用いられるものであって、本発明の第4の全反射減衰を利用した測定装置は、誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されて、試料に接触させられる薄膜層と、光ビームを発生させる光源と、光ビームを誘電体ブロックに対して、誘電体ブロックと薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第1の受光素子と、前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲とは異なる第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第2の受光素子とからなり、この第1および第2の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、全反射減衰の状態を検知する第1の光検出手段と、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第3の受光素子と、第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第4の受光素子とからなり、この第3および第4の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、全反射減衰の状態を検知する第2の光検出手段と、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第5の受光素子と、第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第6の受光素子とからなり、この第5および第6の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、全反射減衰の状態を検知する第3の光検出手段と、第1から第3の光検出手段に接続された信号処理手段とを備えてなる全反射減衰を利用した測定装置において、信号処理手段が、第1の光検出手段により検出された信号、第2の光検出手段により検出された信号、および第3の光検出手段により検出された信号の3つの信号間の大きさの差を所定の値と比較する演算を行うものであることを特徴とするものである。
【0030】
また、本発明の第5の全反射減衰を利用した測定装置は、誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されて、試料に接触させられる金属膜と、光ビームを発生させる光源と、光ビームを誘電体ブロックに対して、誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第1の受光素子と、前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲とは異なる第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第2の受光素子とからなり、この第1および第2の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、表面プラズモン共鳴に伴う全反射減衰の状態を検知する第1の光検出手段と、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第3の受光素子と、第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第4の受光素子とからなり、この第3および第4の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、表面プラズモン共鳴に伴う全反射減衰の状態を検知する第2の光検出手段と、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第5の受光素子と、第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第6の受光素子とからなり、この第5および第6の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、表面プラズモン共鳴に伴う全反射減衰の状態を検知する第3の光検出手段と、第1から第3の光検出手段に接続された信号処理手段とを備えてなる全反射減衰を利用した測定装置において、信号処理手段が、第1の光検出手段により検出された信号、第2の光検出手段により検出された信号、および第3の光検出手段により検出された信号の3つの信号間の大きさの差を所定の値と比較する演算を行うものであることを特徴とするものである。
【0031】
さらに、本発明の第6の全反射減衰を利用した測定装置は、誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、このクラッド層の上に形成されて、試料に接触させられる光導波層と、光ビームを発生させる光源と、光ビームを誘電体ブロックに対して、誘電体ブロックとクラッド層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第1の受光素子と、前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲とは異なる第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第2の受光素子とからなり、この第1および第2の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、光導波層での導波モードの励起に伴う全反射減衰の状態を検知する第1の光検出手段と、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第3の受光素子と、第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第4の受光素子とからなり、この第3および第4の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、光導波層での導波モードの励起に伴う全反射減衰の状態を検知する第2の光検出手段と、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第5の受光素子と、第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第6の受光素子とからなり、この第5および第6の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、光導波層での導波モードの励起に伴う全反射減衰の状態を検知する第3の光検出手段と、第1から第3の光検出手段に接続された信号処理手段とを備えてなる全反射減衰を利用した測定装置において、信号処理手段が、第1の光検出手段により検出された信号、第2の光検出手段により検出された信号、および第3の光検出手段により検出された信号の3つの信号間の大きさの差を所定の値と比較する演算を行うものであることを特徴とするものである。
【0032】
【発明の効果】
本発明の第1から第3の全反射減衰を利用した測定方法によれば、2つの受光素子からなる第1および第2の光検出手段と、この2つの光検出手段から出力された信号を比較する信号処理手段を設けた全反射減衰を利用した測定装置において、第1の光検出手段により検出された信号と、第2の光検出手段により検出された信号とを比較し、この2つの信号の大きさの差が所定の値を超えた場合に測定結果が不正であると判断するようにしたため、測定結果の信頼性を向上させることができる。
【0033】
また、本発明の第4から第6の全反射減衰を利用した測定方法によれば、2つの受光素子からなる第1、第2および第3の光検出手段と、この3つの光検出手段から出力された信号を比較する信号処理手段を設けた全反射減衰を利用した測定装置において、第1の光検出手段により検出された信号と、第2の光検出手段により検出された信号と、第3の光検出手段により検出された信号とを比較し、この3つの信号間の大きさの差が全て所定の値を超えた場合には測定結果が不正であると判断し、この3つの信号のうち2つの信号の大きさの差が略等しい場合にはこの2つの信号の表す測定結果が正確であると判断するようにしたため、測定結果の信頼性を向上させることができるとともに、3つの信号のうち2つの信号が略等しい場合には、再度測定を行わなくても正確な測定結果を得ることができる。
【0034】
また、本発明の第1から第3の全反射減衰を利用した測定装置によれば、2つの受光素子からなる第1および第2の光検出手段と、この2つの光検出手段から出力された信号を比較する信号処理手段を設け、この信号処理手段により第1の光検出手段により検出された信号と、第2の光検出手段により検出された信号とを比較する処理を行うようにしたため、この2つの信号の大きさの差が所定の値を超えた場合に測定結果が不正であると判断することができるようになるので、測定結果の信頼性を向上させることができる。
【0035】
さらに、本発明の第4から第6の全反射減衰を利用した測定方法によれば、2つの受光素子からなる第1、第2および第3の光検出手段と、この3つの光検出手段から出力された信号を比較する信号処理手段を設け、この信号処理手段により第1の光検出手段により検出された信号と、第2の光検出手段により検出された信号と、第3の光検出手段により検出された信号とを比較する処理を行うようにしたため、この3つの信号間の大きさの差が全て所定の値を超えた場合には測定結果が不正であると判断し、この3つの信号のうち2つの信号の大きさの差が略等しい場合にはこの2つの信号の表す測定結果が正確であると判断することができるようになるので、測定結果の信頼性を向上させることができるとともに、3つの信号のうち2つの信号が略等しい場合には、再度測定を行わなくても正確な測定結果を得ることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明の第1の実施形態の全反射減衰を利用したセンサーは、表面プラズモン共鳴を利用した表面プラズモンセンサーであり、図1は表面プラズモンセンサーの側面形状を示すものである。
【0037】
この表面プラズモンセンサーは、例えば概略四角錐の一部が切り取られた形状とされた誘電体ブロック10と、この誘電体ブロック10の一面(図中の上面)に形成された、例えば金、銀、銅、アルミニウム等からなる金属膜12とを有している。
【0038】
誘電体ブロック10は例えば透明樹脂等からなり、金属膜12が形成された部分の周囲が嵩上げされた形とされ、この嵩上げされた部分10aは液体の試料11を貯える試料保持部として機能する。
【0039】
なお本例では、金属膜12の上に液体試料11の中の特定物質と結合するセンシング媒体30を固定している。金属膜12上にセンシング媒体30を固定し、液体試料11とセンシング媒体30との結合状態に応じたセンシング媒体30の屈折率の変化に基づく全反射減衰の変化の様子を測定することにより、この結合状態の変化の様子を調べることができる。すなわち、液体試料11およびセンシング媒体30の双方が、分析対象の試料となる。そのような特定物質とセンシング媒体30との組合せとしては、例えば抗原と抗体等が挙げられる。
【0040】
誘電体ブロック10は金属膜12とともに、使い捨ての測定チップを構成しており、例えばターンテーブル31に複数設けられたチップ保持孔31aに1個ずつ嵌合固定される。誘電体ブロック10がこのようにターンテーブル31に固定された後、ターンテーブル31が一定角度ずつ間欠的に回動され、所定位置に停止した誘電体ブロック10に対して液体試料11が滴下され、該液体試料11が試料保持部10a内に保持される。その後さらにターンテーブル31が一定角度回動されると、誘電体ブロック10がこの図1に示した測定位置に送られ、そこで停止する。
【0041】
本実施形態の表面プラズモンセンサーは、上記誘電体ブロック10に加えてさらに、1本の光ビーム13を発生させる半導体レーザ等からなる光源14(以下、レーザ光源14という)と、上記光ビーム13を誘電体ブロック10に通し、該誘電体ブロック10と金属膜12との界面10bに対して、種々の入射角が得られるように入射させる光学系15と、界面10bで全反射した光ビーム13の光量を検出する受光素子16aおよび受光素子17aからなる第1の光検出手段と、受光素子16bおよび受光素子17bからなる第2の光検出手段と、第1および第2の光検出手段(各受光素子)に接続された信号処理手段19とを備えている。なお、上記第1および第2の光検出手段および信号処理手段19により光検出部が構成される。
【0042】
入射光学系15は、レーザ光源14から発散光状態で出射した光ビーム13を平行光化するコリメーターレンズ15aと、該平行光化された光ビーム13を上記界面10b上で収束させる集光レンズ15bとから構成されている。
【0043】
光ビーム13は、集光レンズ15bにより上述のように集光されるので、界面10bに対して種々の入射角θで入射する成分を含むことになる。なおこの入射角θは、全反射角以上の角度とされる。そこで、光ビーム13は界面10bで全反射し、この反射した光ビーム13には、種々の反射角で反射する成分が含まれることになる。なお、上記光学系15は、光ビーム13を界面10bにデフォーカス状態で入射させるように構成されてもよい。そのようにすれば、表面プラズモン共鳴の状態検出(例えば前記暗線の位置測定)の誤差が平均化されて、測定精度が高められる。
【0044】
なお光ビーム13は、界面10bに対してp偏光で入射させる。そのようにするためには、予めレーザ光源14をその偏光方向が所定方向となるように配設すればよい。その他、波長板で光ビーム13の偏光の向きを制御してもよい。
【0045】
光検出部について図を用いて説明する。図2に示すように、界面10bにおいて比較的低角度で反射した光ビーム13を受光素子16a、16bが検出するように、界面10bにおいて比較的高角度で反射した光ビーム13を受光素子17a、17bが検出するように各受光素子が配されている。また、各受光素子16a、16b、17a、17bは信号処理手段19に接続されている。
【0046】
信号処理手段19は、受光素子17aから出力される信号をA、受光素子16aから出力される信号をB、受光素子17bから出力される信号をC、受光素子16bから出力される信号をDとすると、例えば(2)式のような演算を行うことにより表面プラズモン共鳴の状態検出を行う。この詳細については後述する。
【0047】
(A−B)+(C−D)=(A+C)−(B+D)=信号成分 (2)
また、例えば(3)式のような演算を行うことにより、検出信号が正確であるかどうか判断する。この場合、(3)式の演算結果が0以外となった場合に不正と判断する。
【0048】
(A−B)−(C−D)=(A+D)−(B+C)=信号誤差成分 (3)
上記受光素子には、一例としてフォトダイオードを用いる。また、フォトダイオード以外にも、自己増倍機能を有するAPD(Avalanche Photo Diode)やフォトトランジスタ、焦電素子、ガスセル等のあらゆる検出器を用いることができる。
【0049】
以下、上記構成の表面プラズモンセンサーによる試料分析について説明する。上述のように集光された光ビーム13が、界面10bに向けて照射される。該誘電体ブロック10と金属膜12との界面10bで全反射した種々の角度の光ビーム13は、それぞれ受光素子16a、受光素子16b、受光素子17aおよび受光素子17bによって検出される。
【0050】
受光素子17aから出力される信号A、受光素子16aから出力される信号B、受光素子17bから出力される信号C、および受光素子16bから出力される信号Dは信号処理手段19に入力され、例えば(2)式のような演算を行うことにより表面プラズモン共鳴の状態検出を行う。
【0051】
(A−B)+(C−D)=(A+C)−(B+D)=信号成分 (2)
ここで、界面10bにある特定の入射角θSPで入射した光は、金属膜12とセンシング媒体30との界面に表面プラズモンを励起させるので、この光については反射光強度Iが鋭く低下する。つまり、全反射した光ビーム13の強度Iと入射角θとの関係は概ね図3の(A)、(B)にそれぞれ曲線a、bで示すようなものとなる。この全反射減衰(ATR)入射角θSPや、反射光強度Iと入射角θとの関係曲線が分かれば、分析対象試料を定量分析することができる。以下、その理由を詳しく説明する。
【0052】
上記第1の反射角範囲と第2の反射角範囲とが連続していて、それら両範囲の境界の反射角がθであるとすると、反射角θよりも反射角が小さい範囲、大きい範囲の光が各々受光素子16、17により検出される。
【0053】
一例として、θよりも反射角が小さい範囲の光が受光素子16aおよび16bによって検出され、θよりも反射角が大きい範囲の光ビームが受光素子17aおよび17bによって検出されるものとすると、受光素子16aおよび16bは図3の(A)、(B)でそれぞれ斜線を付した範囲の光を検出することになり、その検出光量は(A)の場合よりも(B)の場合の方が大きくなる。反対に、受光素子17aおよび17bによる検出光量は(A)の場合よりも(B)の場合の方が小さくなる。このように、受光素子16aおよび16bの検出光量と受光素子17aおよび17bの検出光量は、反射角θと反射光強度Iとの関係に応じた特有の差異を生じることになる。
【0054】
したがって、予め求めてある各試料毎の検量線等を参照すれば、受光素子16aおよび16bが出力する光量検出信号と、受光素子17aおよび17bが出力する光量検出信号との差、すなわち上記(2)式により求められる信号成分に基づいて、分析対象試料に関する全反射減衰(ATR)反射角θSPや、反射角θと反射光強度Iとの関係曲線を推定可能となり、分析対象試料の物質を定量分析できるようになる。
【0055】
ところで、受光素子16aと受光素子16bは、同一の反射角範囲の光ビームを検出するため、出力される検出信号は略同一となる。同様に、受光素子17aと受光素子17bも、同一の反射角範囲の光ビームを検出するため、出力される検出信号は略同一となる。
【0056】
そのため、ゴミまたはコンタミ等の影響により、受光素子16aと受光素子16bとで異なる検出結果となった場合、もしくは受光素子17aと受光素子17bとで異なる検出結果となった場合は、例えば(3)式のような演算を行うと演算結果が0以外の値となる。
【0057】
(A−B)−(C−D)=(A+D)−(B+C)=信号誤差成分 (3)
すなわち、上記(3)式のような演算を行い、上記信号誤差成分が所定の値を超えている場合は、測定結果が不正であると判断することができる。
【0058】
本実施の形態において、光検出部は図2に示す態様に限らず、例えば図4に示す態様にしてもよい。図4に示す光検出部は、第1の光検出手段が受光素子16aと受光素子17aとに接続された比較器18aを備え、第2の光検出手段が受光素子16bと受光素子17bとに接続された比較器18bを備え、比較器18aおよび18bの出力が信号処理手段19に入力される点が上記光検出部と異なる。
【0059】
光検出部をこのような構成とした場合、各比較器が出力する信号は、反射角θと反射光強度Iとの関係に応じて生じる特有の差異であるため、少なくとも一方の信号に基づいて分析対象試料に関する全反射減衰(ATR)反射角θSPや、反射角θと反射光強度Iとの関係曲線を推定可能となり、分析対象試料の物質を定量分析できるようになる。また、信号処理手段19により比較器18aおよび18bの出力を比較することにより測定結果が正確であるか不正であるかを判断することができる。
【0060】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお本実施の形態の構成は第1の実施の形態とほぼ同様の構成であるため、装置全体の構成図は省略する。
【0061】
本実施の形態の説明において、第1の実施の形態の要素と同等の要素には同番号を付してあり、それらについての説明は特に必要の無い限り省略する。
【0062】
この第2の実施の形態の全反射減衰を利用した測定装置は、第1の実施の形態から、光検出部のみを変更したものである。
【0063】
本実施形態の表面プラズモンセンサーは、誘電体ブロック10と、1本の光ビーム13を発生させる半導体レーザ等からなる光源14(以下、レーザ光源14という)と、上記光ビーム13を誘電体ブロック10に通し、該誘電体ブロック10と金属膜12との界面10bに対して、種々の入射角が得られるように入射させる光学系15と、界面10bで全反射した光ビーム13の光量を検出する受光素子16aおよび受光素子17aからなる第1の光検出手段と、受光素子16bおよび受光素子17bからなる第2の光検出手段と、受光素子16cおよび受光素子17cからなる第3の光検出手段と、第1から第3の光検出手段(各受光素子)に接続された信号処理手段19とを備えている。なお、上記第1から第3の光検出手段および信号処理手段19により光検出部が構成される。
【0064】
図5に本実施の形態の全反射減衰を利用した測定装置の光検出部を示す。図5に示すように、誘電体ブロック10と金属膜12との界面10bにおいて比較的低角度で反射した光ビーム13を受光素子16a、16bおよび16cが検出するように、界面10bにおいて比較的高角度で反射した光ビーム13を受光素子17a、17b、17cが検出するように各受光素子が配されている。また、各受光素子16a、16b、16c、17a、17b、17cは信号処理手段19に接続されている。
【0065】
信号処理手段19は、受光素子17aから出力される信号をA、受光素子16aから出力される信号をB、受光素子17bから出力される信号をC、受光素子16bから出力される信号をD、受光素子17cから出力される信号をE、受光素子16cから出力される信号をFとすると、例えば(4)式のような演算を行うことにより表面プラズモン共鳴の状態検出を行う。
【0066】
(A−B)+(C−D)+(E−F)
=(A+C+E)−(B+D+F)
=信号成分 (4)
また、例えば(5)式のような演算を行い、この3つの信号間の大きさの差が全て所定の値を超えた場合には測定結果が不正であると判断でき、この3つの信号のうち2つの信号の大きさの差が略等しい場合にはこの2つの信号の表す測定結果が正確であると判断することができる。
【0067】
(A−B)=信号成分1
(C−D)=信号成分2
(A−B)=信号成分3 (5)
本実施の形態において、光検出部は図5に示す態様に限らず、例えば図6に示す態様にしてもよい。図6に示す光検出部は、第1の光検出手段が受光素子16aと受光素子17aとに接続された比較器18aを備え、第2の光検出手段が受光素子16bと受光素子17bとに接続された比較器18bを備え、第3の光検出手段が受光素子16cと受光素子17cとに接続された比較器18cを備え、比較器18a、18bおよび18cの出力が信号処理手段19に入力される点が上記光検出部と異なる。
【0068】
光検出部をこのような構成とした場合、各比較器が出力する信号は、反射角θと反射光強度Iとの関係に応じて生じる特有の差異であるため、少なくとも一つの信号に基づいて分析対象試料に関する全反射減衰(ATR)反射角θSPや、反射角θと反射光強度Iとの関係曲線を推定可能となり、分析対象試料の物質を定量分析できるようになる。また、信号処理手段19により比較器18a、18bおよび18cの信号を比較し、この3つの信号間の大きさの差が全て所定の値を超えた場合には測定結果が不正であると判断でき、この3つの信号のうち2つの信号の大きさの差が略等しい場合にはこの2つの信号の表す測定結果が正確であると判断できる。
【0069】
なお、上述の第1および第2の実施の形態の表面プラズモンセンサーにおいては、一部構成を変更することにより漏洩モードセンサーとすることができる。以下、図面を用いて説明する。
【0070】
図7は、漏洩モードセンサーの一例を示す図である。なおこの図7において、図1中の要素と同等の要素には同番号を付してあり、それらについての説明は特に必要の無い限り省略する。
【0071】
本実施の形態の全反射減衰を利用したセンサーは、第1の実施の形態で説明した表面プラズモンセンサーを漏洩モードセンサーに変更したものであり、本例でも測定チップ化された誘電体ブロック10を用いるように構成されている。この誘電体ブロック10の一面(図中の上面)にはクラッド層40が形成され、さらにその上には光導波層41が形成されている。
【0072】
誘電体ブロック10は、例えば合成樹脂やBK7等の光学ガラスを用いて形成されている。一方クラッド層40は、誘電体ブロック10よりも低屈折率の誘電体や、金等の金属を用いて薄膜状に形成されている。また光導波層41は、クラッド層40よりも高屈折率の誘電体、例えばPMMAを用いてこれも薄膜状に形成されている。クラッド層40の膜厚は、例えば金薄膜から形成する場合で36.5nm、光導波層41の膜厚は、例えばPMMAから形成する場合で700nm程度とされる。
【0073】
上記構成の漏洩モードセンサーにおいて、レーザ光源14から出射した光ビーム13を誘電体ブロック10を通してクラッド層40に対して全反射角以上の入射角で入射させると、該光ビーム13が誘電体ブロック10とクラッド層40との界面10bで全反射するが、クラッド層40を透過して光導波層41に特定入射角で入射した特定波数の光は、該光導波層41を導波モードで伝搬するようになる。こうして導波モードが励起されると、入射光のほとんどが光導波層41に取り込まれるので、上記界面10bで全反射する光の強度が鋭く低下する全反射減衰が生じる。
【0074】
光導波層41における導波光の波数は、該光導波層41の上の液体試料11の屈折率に依存するので、全反射減衰が生じる上記特定入射角を知ることによって、液体試料11の屈折率や、それに関連する液体試料11の特性を分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による表面プラズモンセンサーの側面図
【図2】本発明の第1の実施の形態による表面プラズモンセンサーの光検出部の一例の構成図
【図3】表面プラズモンセンサーにおける光ビーム入射角と、光検出手段による検出光強度との概略関係を示すグラフ
【図4】本発明の第1の実施の形態による表面プラズモンセンサーの光検出部の一例の構成図
【図5】本発明の第2の実施の形態による表面プラズモンセンサーの光検出部の一例の構成図
【図6】本発明の第2の実施の形態による表面プラズモンセンサーの光検出部の一例の構成図
【図7】本発明の漏洩モードセンサーの一例の側面図
【符号の説明】
10 誘電体ブロック
10a 誘電体ブロックの試料保持部
10b 誘電体ブロックと金属膜との界面
11 試料
12 金属膜
13 光ビーム
14 半導体レーザ等
15 光学系
16、17 受光素子
18 比較器
19 信号処理手段
30 センシング媒体
31 ターンテーブル
40 クラッド層
41 光導波層

Claims (12)

  1. 誘電体ブロックと、
    この誘電体ブロックの一面に形成されて、試料に接触させられる薄膜層と、
    光ビームを発生させる光源と、
    前記光ビームを前記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと前記薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、
    前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第1の受光素子と、前記界面で全反射した光ビームのうち、前記第1の反射角範囲とは異なる第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第2の受光素子とからなり、該第1および第2の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、全反射減衰の状態を検知する第1の光検出手段と、
    前記第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第3の受光素子と、前記第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第4の受光素子とからなり、該第3および第4の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、全反射減衰の状態を検知する第2の光検出手段と、
    前記第1および第2の光検出手段に接続された信号処理手段とを備えてなる全反射減衰を利用した測定装置において、
    前記第1の光検出手段により検出された信号と、前記第2の光検出手段により検出された信号とを比較し、該2つの信号の大きさの差が所定の値を超えた場合に測定結果が不正であると判断することを特徴とする全反射減衰を利用した測定方法。
  2. 誘電体ブロックと、
    この誘電体ブロックの一面に形成されて、試料に接触させられる金属膜と、
    光ビームを発生させる光源と、
    前記光ビームを前記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと前記金属膜との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、
    前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第1の受光素子と、前記界面で全反射した光ビームのうち、前記第1の反射角範囲とは異なる第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第2の受光素子とからなり、該第1および第2の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、表面プラズモン共鳴に伴う全反射減衰の状態を検知する第1の光検出手段と、
    前記第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第3の受光素子と、前記第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第4の受光素子とからなり、該第3および第4の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、表面プラズモン共鳴に伴う全反射減衰の状態を検知する第2の光検出手段と、
    前記第1および第2の光検出手段に接続された信号処理手段とを備えてなる全反射減衰を利用した測定装置において、
    前記第1の光検出手段により検出された信号と、前記第2の光検出手段により検出された信号とを比較し、該2つの信号の大きさの差が所定の値を超えた場合に測定結果が不正であると判断することを特徴とする全反射減衰を利用した測定方法。
  3. 誘電体ブロックと、
    この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、
    このクラッド層の上に形成されて、試料に接触させられる光導波層と、
    光ビームを発生させる光源と、
    前記光ビームを前記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと前記クラッド層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、
    前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第1の受光素子と、前記界面で全反射した光ビームのうち、前記第1の反射角範囲とは異なる第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第2の受光素子とからなり、該第1および第2の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、前記光導波層での導波モードの励起に伴う全反射減衰の状態を検知する第1の光検出手段と、
    前記第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第3の受光素子と、前記第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第4の受光素子とからなり、該第3および第4の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、前記光導波層での導波モードの励起に伴う全反射減衰の状態を検知する第2の光検出手段と、
    前記第1および第2の光検出手段に接続された信号処理手段とを備えてなる全反射減衰を利用した測定装置において、
    前記第1の光検出手段により検出された信号と、前記第2の光検出手段により検出された信号とを比較し、該2つの信号の大きさの差が所定の値を超えた場合に測定結果が不正であると判断することを特徴とする全反射減衰を利用した測定方法。
  4. 誘電体ブロックと、
    この誘電体ブロックの一面に形成されて、試料に接触させられる薄膜層と、
    光ビームを発生させる光源と、
    前記光ビームを前記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと前記薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、
    前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第1の受光素子と、前記界面で全反射した光ビームのうち、前記第1の反射角範囲とは異なる第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第2の受光素子とからなり、該第1および第2の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、全反射減衰の状態を検知する第1の光検出手段と、
    前記第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第3の受光素子と、前記第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第4の受光素子とからなり、該第3および第4の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、全反射減衰の状態を検知する第2の光検出手段と、
    前記第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第5の受光素子と、前記第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第6の受光素子とからなり、該第5および第6の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、全反射減衰の状態を検知する第3の光検出手段と、
    前記第1から第3の光検出手段に接続された信号処理手段とを備えてなる全反射減衰を利用した測定装置において、
    前記第1の光検出手段により検出された信号と、前記第2の光検出手段により検出された信号と、前記第3の光検出手段により検出された信号とを比較し、該3つの信号間の大きさの差が全て所定の値を超えた場合には測定結果が不正であると判断し、前記3つの信号のうち2つの信号の大きさの差が略等しい場合には該2つの信号の表す測定結果が正確であると判断することを特徴とする全反射減衰を利用した測定方法。
  5. 誘電体ブロックと、
    この誘電体ブロックの一面に形成されて、試料に接触させられる金属膜と、
    光ビームを発生させる光源と、
    前記光ビームを前記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと前記金属膜との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、
    前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第1の受光素子と、前記界面で全反射した光ビームのうち、前記第1の反射角範囲とは異なる第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第2の受光素子とからなり、該第1および第2の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、表面プラズモン共鳴に伴う全反射減衰の状態を検知する第1の光検出手段と、
    前記第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第3の受光素子と、前記第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第4の受光素子とからなり、該第3および第4の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、表面プラズモン共鳴に伴う全反射減衰の状態を検知する第2の光検出手段と、
    前記第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第5の受光素子と、前記第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第6の受光素子とからなり、該第5および第6の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、表面プラズモン共鳴に伴う全反射減衰の状態を検知する第3の光検出手段と、
    前記第1から第3の光検出手段に接続された信号処理手段とを備えてなる全反射減衰を利用した測定装置において、
    前記第1の光検出手段により検出された信号と、前記第2の光検出手段により検出された信号と、前記第3の光検出手段により検出された信号とを比較し、該3つの信号間の大きさの差が全て所定の値を超えた場合には測定結果が不正であると判断し、前記3つの信号のうち2つの信号の大きさの差が略等しい場合には該2つの信号の表す測定結果が正確であると判断することを特徴とする全反射減衰を利用した測定方法。
  6. 誘電体ブロックと、
    この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、
    このクラッド層の上に形成されて、試料に接触させられる光導波層と、
    光ビームを発生させる光源と、
    前記光ビームを前記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと前記クラッド層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、
    前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第1の受光素子と、前記界面で全反射した光ビームのうち、前記第1の反射角範囲とは異なる第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第2の受光素子とからなり、該第1および第2の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、前記光導波層での導波モードの励起に伴う全反射減衰の状態を検知する第1の光検出手段と、
    前記第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第3の受光素子と、前記第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第4の受光素子とからなり、該第3および第4の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、前記光導波層での導波モードの励起に伴う全反射減衰の状態を検知する第2の光検出手段と、
    前記第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第5の受光素子と、前記第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第6の受光素子とからなり、該第5および第6の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、前記光導波層での導波モードの励起に伴う全反射減衰の状態を検知する第3の光検出手段と、
    前記第1から第3の光検出手段に接続された信号処理手段とを備えてなる全反射減衰を利用した測定装置において、
    前記第1の光検出手段により検出された信号と、前記第2の光検出手段により検出された信号と、前記第3の光検出手段により検出された信号とを比較し、該3つの信号間の大きさの差が全て所定の値を超えた場合には測定結果が不正であると判断し、前記3つの信号のうち2つの信号の大きさの差が略等しい場合には該2つの信号の表す測定結果が正確であると判断することを特徴とする全反射減衰を利用した測定方法。
  7. 誘電体ブロックと、
    この誘電体ブロックの一面に形成されて、試料に接触させられる薄膜層と、
    光ビームを発生させる光源と、
    前記光ビームを前記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと前記薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、
    前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第1の受光素子と、前記界面で全反射した光ビームのうち、前記第1の反射角範囲とは異なる第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第2の受光素子とからなり、該第1および第2の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、全反射減衰の状態を検知する第1の光検出手段と、
    前記第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第3の受光素子と、前記第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第4の受光素子とからなり、該第3および第4の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、全反射減衰の状態を検知する第2の光検出手段と、
    前記第1および第2の光検出手段に接続された信号処理手段とを備えてなる全反射減衰を利用した測定装置において、
    前記信号処理手段が、前記第1の光検出手段により検出された信号、および前記第2の光検出手段により検出された信号の2つの信号の大きさの差を所定の値と比較する演算を行うものであることを特徴とする全反射減衰を利用した測定装置。
  8. 誘電体ブロックと、
    この誘電体ブロックの一面に形成されて、試料に接触させられる金属膜と、
    光ビームを発生させる光源と、
    前記光ビームを前記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと前記金属膜との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、
    前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第1の受光素子と、前記界面で全反射した光ビームのうち、前記第1の反射角範囲とは異なる第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第2の受光素子とからなり、該第1および第2の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、表面プラズモン共鳴に伴う全反射減衰の状態を検知する第1の光検出手段と、
    前記第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第3の受光素子と、前記第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第4の受光素子とからなり、該第3および第4の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、表面プラズモン共鳴に伴う全反射減衰の状態を検知する第2の光検出手段と、
    前記第1および第2の光検出手段に接続された信号処理手段とを備えてなる全反射減衰を利用した測定装置において、
    前記信号処理手段が、前記第1の光検出手段により検出された信号、および前記第2の光検出手段により検出された信号の2つの信号の大きさの差を所定の値と比較する演算を行うものであることを特徴とする全反射減衰を利用した測定装置。
  9. 誘電体ブロックと、
    この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、
    このクラッド層の上に形成されて、試料に接触させられる光導波層と、
    光ビームを発生させる光源と、
    前記光ビームを前記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと前記クラッド層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、
    前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第1の受光素子と、前記界面で全反射した光ビームのうち、前記第1の反射角範囲とは異なる第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第2の受光素子とからなり、該第1および第2の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、前記光導波層での導波モードの励起に伴う全反射減衰の状態を検知する第1の光検出手段と、
    前記第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第3の受光素子と、前記第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第4の受光素子とからなり、該第3および第4の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、前記光導波層での導波モードの励起に伴う全反射減衰の状態を検知する第2の光検出手段と、
    前記第1および第2の光検出手段に接続された信号処理手段とを備えてなる全反射減衰を利用した測定装置において、
    前記信号処理手段が、前記第1の光検出手段により検出された信号、および前記第2の光検出手段により検出された信号の2つの信号の大きさの差を所定の値と比較する演算を行うものであることを特徴とする全反射減衰を利用した測定装置。
  10. 誘電体ブロックと、
    この誘電体ブロックの一面に形成されて、試料に接触させられる薄膜層と、
    光ビームを発生させる光源と、
    前記光ビームを前記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと前記薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、
    前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第1の受光素子と、前記界面で全反射した光ビームのうち、前記第1の反射角範囲とは異なる第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第2の受光素子とからなり、該第1および第2の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、全反射減衰の状態を検知する第1の光検出手段と、
    前記第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第3の受光素子と、前記第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第4の受光素子とからなり、該第3および第4の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、全反射減衰の状態を検知する第2の光検出手段と、
    前記第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第5の受光素子と、前記第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第6の受光素子とからなり、該第5および第6の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、全反射減衰の状態を検知する第3の光検出手段と、
    前記第1から第3の光検出手段に接続された信号処理手段とを備えてなる全反射減衰を利用した測定装置において、
    前記信号処理手段が、前記第1の光検出手段により検出された信号、前記第2の光検出手段により検出された信号、および前記第3の光検出手段により検出された信号の3つの信号間の大きさの差を所定の値と比較する演算を行うものであることを特徴とする全反射減衰を利用した測定装置。
  11. 誘電体ブロックと、
    この誘電体ブロックの一面に形成されて、試料に接触させられる金属膜と、
    光ビームを発生させる光源と、
    前記光ビームを前記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと前記金属膜との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、
    前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第1の受光素子と、前記界面で全反射した光ビームのうち、前記第1の反射角範囲とは異なる第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第2の受光素子とからなり、該第1および第2の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、表面プラズモン共鳴に伴う全反射減衰の状態を検知する第1の光検出手段と、
    前記第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第3の受光素子と、前記第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第4の受光素子とからなり、該第3および第4の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、表面プラズモン共鳴に伴う全反射減衰の状態を検知する第2の光検出手段と、
    前記第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第5の受光素子と、前記第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第6の受光素子とからなり、該第5および第6の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、表面プラズモン共鳴に伴う全反射減衰の状態を検知する第3の光検出手段と、
    前記第1から第3の光検出手段に接続された信号処理手段とを備えてなる全反射減衰を利用した測定装置において、
    前記信号処理手段が、前記第1の光検出手段により検出された信号、前記第2の光検出手段により検出された信号、および前記第3の光検出手段により検出された信号の3つの信号間の大きさの差を所定の値と比較する演算を行うものであることを特徴とする全反射減衰を利用した測定装置。
  12. 誘電体ブロックと、
    この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、
    このクラッド層の上に形成されて、試料に接触させられる光導波層と、
    光ビームを発生させる光源と、
    前記光ビームを前記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと前記クラッド層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、
    前記界面で全反射した光ビームのうち、第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第1の受光素子と、前記界面で全反射した光ビームのうち、前記第1の反射角範囲とは異なる第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第2の受光素子とからなり、該第1および第2の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、前記光導波層での導波モードの励起に伴う全反射減衰の状態を検知する第1の光検出手段と、
    前記第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第3の受光素子と、前記第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第4の受光素子とからなり、該第3および第4の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、前記光導波層での導波モードの励起に伴う全反射減衰の状態を検知する第2の光検出手段と、
    前記第1の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第5の受光素子と、前記第2の反射角範囲にある光ビームの光量を検出する第6の受光素子とからなり、該第5および第6の受光素子により前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して、前記光導波層での導波モードの励起に伴う全反射減衰の状態を検知する第3の光検出手段と、
    前記第1から第3の光検出手段に接続された信号処理手段とを備えてなる全反射減衰を利用した測定装置において、
    前記信号処理手段が、前記第1の光検出手段により検出された信号、前記第2の光検出手段により検出された信号、および前記第3の光検出手段により検出された信号の3つの信号間の大きさの差を所定の値と比較する演算を行うものであることを特徴とする全反射減衰を利用した測定装置。
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