JP2004085487A - 全反射減衰を利用したセンサー - Google Patents
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Abstract
【課題】フォトダイオードアレイにより、光ビームの光強度を検出し、全反射減衰角θSPを測定する全反射減衰を利用したセンサーにおいて、フォトダイオードから出力される出力信号が種々のノイズや波形歪の影響を受けている場合であっても、精度よく全反射減衰角θSPを測定する。
【解決手段】光ビーム20を、試料液15が供給された測定チップ10の誘電体ブロック11と薄膜層12との界面12aに対して種々の入射角が得られるように入射させ、界面12aで全反射した光ビーム20の光強度をフォトダイオードアレイ23により検出し、1つおきのフォトダイオード間の出力の差分であるスキップ差分値を算出し、測定部29では、このスキップ差分値に基づいて、全反射減衰角θSPを測定する。スキップ差分値を算出することにより、フォトダイオードから出力される出力信号に含まれるノイズや波形歪の影響を低減する。
【選択図】 図1
【解決手段】光ビーム20を、試料液15が供給された測定チップ10の誘電体ブロック11と薄膜層12との界面12aに対して種々の入射角が得られるように入射させ、界面12aで全反射した光ビーム20の光強度をフォトダイオードアレイ23により検出し、1つおきのフォトダイオード間の出力の差分であるスキップ差分値を算出し、測定部29では、このスキップ差分値に基づいて、全反射減衰角θSPを測定する。スキップ差分値を算出することにより、フォトダイオードから出力される出力信号に含まれるノイズや波形歪の影響を低減する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面プラズモンの発生を利用して試料の特性を分析する表面プラズモンセンサー等の、全反射減衰を利用したセンサーに関する。
【0002】
【従来の技術】
金属中においては、自由電子が集団的に振動して、プラズマ波と呼ばれる粗密波が生じる。そして、金属表面に生じるこの粗密波を量子化したものは、表面プラズモンと呼ばれている。
【0003】
従来より、この表面プラズモンが光波によって励起される現象を利用して、試料中の物質の特性を分析する表面プラズモンセンサーが種々提案されている。そして、それらの中で特に良く知られているものとして、 Kretschmann配置と称される系を用いるものが挙げられる(例えば特開平6−167443号参照)。
【0004】
上記の系を用いる表面プラズモンセンサーは基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されて試料に接触させられる金属膜と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を検出する光検出手段と、この光検出手段の検出結果に基づいて表面プラズモン共鳴の状態、つまり全反射減衰の状態を測定する測定手段とを備えてなるものである。
【0005】
なお上述のように種々の入射角を得るためには、比較的細い光ビームを入射角を変化させて上記界面に入射させてもよいし、あるいは光ビームに種々の角度で入射する成分が含まれるように、比較的太い光ビームを上記界面に収束光状態であるいは発散光状態で入射させてもよい。前者の場合は、入射した光ビームの入射角の変化に従って、反射角が変化する光ビームを、上記反射角の変化に同期して移動する小さな光検出器によって検出したり、反射角の変化方向に沿って延びるエリアセンサによって検出することができる。一方後者の場合は、種々の反射角で反射した各光ビームを全て受光できる方向に延びるエリアセンサによって検出することができる。
【0006】
上記構成の表面プラズモンセンサーにおいて、光ビームを金属膜に対して全反射角以上の特定入射角θSPで入射させると、該金属膜に接している試料中に電界分布をもつエバネッセント波が生じ、このエバネッセント波によって金属膜と試料との界面に表面プラズモンが励起される。エバネッセント波の波数ベクトルが表面プラズモンの波数と等しくて波数整合が成立しているとき、両者は共鳴状態となり、光のエネルギーが表面プラズモンに移行するので、誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射した光の強度が鋭く低下する。この光強度の低下は、一般に上記光検出手段により暗線として検出される。
【0007】
なお上記の共鳴は、入射ビームがp偏光のときにだけ生じる。したがって、光ビームがp偏光で入射するように予め設定しておく必要がある。
【0008】
この全反射減衰(ATR)が生じる入射角θSPより表面プラズモンの波数が分かると、試料の誘電率が求められる。すなわち表面プラズモンの波数をKSP、表面プラズモンの角周波数をω、cを真空中の光速、εmとεsをそれぞれ金属、試料の誘電率とすると、以下の関係がある。
【0009】
【数1】
試料の誘電率εs が分かれば、所定の較正曲線等に基づいて試料の屈折率が分かるので、結局、上記反射光強度が低下する入射角である全反射減衰角θSPを知ることにより、試料の誘電率つまりは屈折率に関連する特性を求めることができる。
【0010】
なおこの種の表面プラズモンセンサーにおいては、全反射減衰角θSPを精度良く、しかも大きなダイナミックレンジで測定することを目的として、特開平11−326194号に示されるように、アレイ状の光検出手段を用いることが考えられている。この光検出手段は、複数の受光素子が所定方向に並設されてなり、前記界面において種々の反射角で全反射した光ビームの成分をそれぞれ異なる受光素子が受光する向きにして配設されたものである。
【0011】
そしてその場合は、上記アレイ状の光検出手段の各受光素子が出力する光検出信号を、該受光素子の並設方向に関して微分して出力する微分手段が設けられ、この微分手段が出力する微分値、特に暗線部分に対応した微分値に基づいて試料の屈折率に関連する特性を求めることが多い。
【0012】
また、全反射減衰(ATR)を利用する類似のセンサーとして、例えば「分光研究」第47巻 第1号(1998)の第21〜23頁および第26〜27頁に記載がある漏洩モードセンサーも知られている。この漏洩モードセンサーは基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、このクラッド層の上に形成されて、試料に接触させられる光導波層と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを上記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックとクラッド層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して導波モードの励起状態、つまり全反射減衰状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
【0013】
上記構成の漏洩モードセンサーにおいて、光ビームを誘電体ブロックを通してクラッド層に対して全反射角以上の入射角で入射させると、このクラッド層を透過した後に光導波層においては、ある特定の波数を有する特定入射角の光のみが導波モードで伝搬するようになる。こうして導波モードが励起されると、入射光のほとんどが光導波層に取り込まれるので、上記界面で全反射する光の強度が鋭く低下する全反射減衰が生じる。そして導波光の波数は光導波層の上の試料の屈折率に依存するので、全反射減衰が生じる上記特定入射角を知ることによって、試料の屈折率や、それに関連する試料の特性を分析することができる。
【0014】
なおこの漏洩モードセンサーにおいても、全反射減衰によって反射光に生じる暗線の位置を検出するために、前述したアレイ状の光検出手段を用いることができ、またそれと併せて前述の微分手段が適用されることも多い。
【0015】
上述した表面プラズモンセンサーや漏洩モードセンサー等の全反射減衰を用いたセンサーは、創薬研究分野等において、所望のセンシング媒体に結合する特定物質を見いだすランダムスクリーニングへ使用されることがあり、この場合には前記薄膜層(表面プラズモンセンサーの場合は金属膜であり、漏洩モードセンサーの場合はクラッド層および光導波層)上にセンシング媒体を固定し、該センシング媒体上に種々の物質の溶液(液体試料)を添加し、所定時間が経過する毎に上記アレイ状の光検出手段により、各受光素子が出力する光検出信号を検出し、該受光素子の並設方向に関して微分して、微分値を測定している。添加した物質が、センシング媒体と結合するものであれば、この結合によりセンシング媒体の屈折率が時間経過に伴って変化する。したがって、所定時間経過毎に上記微分値、特に暗線部分に対応した微分値に基づいてセンシング媒体の屈折率に関連する特性を求めることにより、添加した物質とセンシング媒体の結合が行われているか否か、すなわち添加した物質がセンシング媒体と結合する特定物質であるか否かを判定することができる。この場合には、センシング媒体と液体試料の双方が、分析対象の試料となる。このような特定物質とセンシング媒体との組み合わせとしては、例えば抗原と抗体が挙げられる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の全反射減衰を利用したセンサーにおいては、通常、微分手段により、上記アレイ状の光検出手段の隣接する受光素子間の差分が算出されて、微分値として出力されている。しかしながら、上記アレイ状の光検出手段の各受光素子から出力される出力信号は、種々のノイズや波形歪等の影響を受ける場合があり、このような場合には、例えば入射角θの増加に応じて、暗線の前後で減少から増加へ転ずるはずの微分値が、ノイズや波形歪の影響により、一旦増加した後に再度減少する等の現象、すなわち入射角θに応じた微分値の変化状態のリニアリティの悪化が生じ、全反射減衰の状態の測定精度が低下する虞がある。
【0017】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、アレイ状の光検出手段の各受光素子から出力される出力信号が、種々のノイズや波形歪の影響を受けている場合であっても、精度よく全反射減衰の状態を測定することのできる全反射減衰を利用したセンサーを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の全反射減衰を利用したセンサーは、光ビームを発生させる光源と、
該光ビームに対して透明な誘電体ブロックと、
この誘電体ブロックの一面に形成されて、試料に接触させられる薄膜層と、
前記光ビームを前記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと前記薄膜層との界面で全反射条件が得られる角度で入射させる光学系と、
複数の受光素子が所定方向に並設されてなり、前記界面で全反射した光ビームの強度を検出する光検出手段と、
前記受光素子の出力に基づいた光検出信号を求め、前記受光素子の並設方向に関して、少なくとも1つ以上の所定間隔を開けて、前記光検出信号間の差分を算出する演算手段と、
前記差分に基づいて、全反射減衰の状態を測定する測定手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0019】
このようなセンサーとしては、金属膜を上記薄膜層として用いる前述の表面プラズモンセンサーや、誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、このクラッド層の上に形成された光導波層とからなる層を上記薄膜層として用いる前述の漏洩モードセンサー等がある。
【0020】
上記光検出信号は、前記受光素子を隣接する少なくとも2つ以上の所定数の受光素子を含む受光素子群に分割し、それぞれの受光素子群における各受光素子の出力を平均した平均値であってもよい。なお、「各受光素子の出力を平均した平均値」とは、平均値そのものに限定されるものではなく、平均値を反映する値であればよく、例えば各受光素子の出力の合計値や、この合計値を所望の値で除算した値、あるいは合計値に所望の値を乗算した値等であってもよい。
【0021】
また、上記光検出信号は、少なくとも2つ以上の隣接する前記受光素子の平均値を、前記受光素子の並設方向に関して順次算出した平均値であってもよい。なお、「隣接する前記受光素子の平均値」とは、平均値そのものに限定されるものではなく、平均値を反映する値であればよく、例えば隣接する前記受光素子の合計値や、この合計値を所望の値で除算した値、あるいは合計値に所望の値を乗算した値等であってもよい。
【0022】
前記測定手段が、前記全反射減衰の状態として、前記光ビームに含まれる暗線の状態を測定するものであれば、前記受光素子の並設ピッチは前記暗線の半値幅の1/4以下であってもよい。なお、ここで「暗線の半値幅」とは、暗線による光量の減衰が最大値減衰値の1/2まで、減衰した時の暗線幅を意味している。
【0023】
上記全反射減衰を利用したセンサーは、前記光検出手段のそれぞれの受光素子の感度差を補正する感度補正手段をさらに備えたものであってもよい。
【0024】
上記感度補正手段は、信号処理により光検出手段のそれぞれの受光素子の感度差を補正するものであってもよい。
【0025】
なお、本発明によるセンサーにおいて、光検出手段により前記界面で全反射した光ビームの強度を検出して、全反射減衰の状態を測定する方法としては種々の方法があり、例えば、光ビームを前記界面で全反射条件が得られる種々の入射角で入射させ、各入射角に対応した位置毎に前記界面で全反射した光ビームの強度を検出して、全反射減衰により発生した暗線の位置(角度)を検出することにより全反射減衰の状態を測定してもよいし、D.V.Noort,K.johansen,C.−F.Mandenius, Porous Gold in Surface Plasmon Resonance Measurement, EUROSENSORS XIII, 1999, pp.585−588 に記載されているように、複数の波長の光ビームを前記界面で全反射条件が得られる入射角で入射させ、各波長毎に前記界面で全反射した光ビームの強度を検出して、各波長毎の全反射減衰の程度を検出することにより全反射減衰の状態を測定してもよい。
【0026】
【発明の効果】
本発明の全反射減衰を利用したセンサーは、複数の受光素子が所定方向に並設されてなり、誘電体ブロックと薄膜層間の界面で全反射した光ビームの強度を検出する光検出手段と、前記受光素子の出力に基づいた光検出信号を求め、前記受光素子の並設方向に関して、少なくとも1つ以上の所定間隔を開けた前記光検出信号間の差分(以後スキップ差分値と記載)を算出する演算手段とを備え、このスキップ差分値に基づいて、全反射減衰の状態を測定している。スキップ差分値は、ノイズや波形歪などの影響を受けにくいため、このスキップ差分値の変化状態は、従来使用される微分値の変化状態に比べリニアリティが向上しており、精度良く全反射減衰の状態を測定することができる。また、スキップ差分値は微分値に比べ、信号値が大きくなるので、全反射減衰の状態の測定感度が向上する。
【0027】
上記光検出信号が、前記受光素子を隣接する少なくとも2つ以上の所定数の受光素子を含む受光素子群に分割し、それぞれの受光素子群における各受光素子の出力を平均した平均値である場合には、受光素子の出力に含まれるノイズが相殺され、ノイズの影響が低減された光検出信号に基づいて差分を求めることができるため、全反射減衰の状態の測定結果の信頼性が一層向上する。
【0028】
上記光検出信号が、少なくとも2つ以上の隣接する前記受光素子の平均値を、前記受光素子の並設方向に関して順次算出した平均値である場合には、受光素子の出力に含まれるノイズが相殺され、ノイズの影響が低減された光検出信号に基づいて差分を求めることができ、全反射減衰の状態の測定結果の信頼性が向上する。さらに受光素子数と略同数の平均値が算出されるため、高分解能を保ちつつ、全反射減衰の状態の測定結果の信頼性を一層向上させることができる。
【0029】
上記測定手段が、前記全反射減衰の状態として、前記光ビームに含まれる暗線の状態を測定するものであり、前記受光素子の並設ピッチが前記暗線の半値幅の1/4以下である場合には、高分解能で全反射減衰の状態を測定できる。
【0030】
本センサーが、前記光検出手段のそれぞれの受光素子の感度差を補正する感度補正手段をさらに備えた場合には、各受光素子間の感度差により、全反射減衰の状態の測定精度が低下することを防止することができる。
【0031】
上記感度補正を、信号処理により光検出手段のそれぞれの受光素子の感度差を補正する感度補正手段を用いて行う場合には、補正用の可変抵抗などが不要となり、装置の小型化および低価格化が可能となる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態による表面プラズモンセンサーの側面形状を示すものである。
【0033】
図1に示す通りこの表面プラズモンセンサーは、使い切りの測定チップ10と、測定用の光ビーム(レーザビーム)20を発生させる半導体レーザ等のレーザ光源21と、入射光学系である集光レンズ22と、フォトダイオードアレイ23と、上記フォトダイオードアレイ23の出力信号をデジタル信号へ変換するA/D変換器24と、上記レーザ光源21の駆動を制御するとともに、デジタル変換された出力信号を受けて後述の処理を行なう信号処理部25と、表示部26とを有している。
【0034】
測定チップ10は、概略四角錐形状とされた誘電体ブロック11と、この誘電体ブロック11の上面に形成された、例えば金、銀、銅、アルミニウム等からなる第1の薄膜層としての薄膜層12と、この薄膜層12の上に側方が閉じられた空間を画成する筒状部材からなる試料保持枠13と、この試料保持枠13の内壁面に形成された第2の薄膜層としての薄膜層14とを有している。試料液保持枠13の部分は、その内面が薄膜層12から上方に離れるにつれて側外方に離れるテーパ形状とされている。この試料液保持枠13内のテーパ形状の空間は、試料液15を貯えるウェル部16として機能している。
【0035】
測定チップ10は、誘電体ブロック11と試料液保持枠13とを、例えば透明樹脂等から一体整形し、蒸着により薄膜層12および薄膜層14を形成したものである。なお本例では、薄膜層12および薄膜層14の上にセンシング物質17が固定され、試料液15の中には種々の蛋白質が含まれている。
【0036】
集光レンズ22は、光ビーム20を集光して収束光状態で誘電体ブロック11に通し、誘電体ブロック11と薄膜層12との界面12aに対して種々の入射角が得られるように入射させる。この入射角の範囲は、上記界面12aにおいて光ビーム20の全反射条件が得られ、かつ、表面プラズモン共鳴が生じ得る角度範囲を含む範囲とされる。
【0037】
なお光ビーム20は、界面12aに対してp偏光で入射する。そのようにするためには、予めレーザ光源21をその偏光方向が所定方向となるように配設すればよい。その他、波長板や偏光板で光ビーム20の偏光の向きを制御してもよい。フォトダイオードアレイ23は、多数のフォトダイオード23a、23b、23c…が1列に配されてなるラインセンサーであり、フォトダイオードの並び方向が図1中の矢印X方向となるように配されている。フォトダイオードアレイ23の出力信号は、各フォトダイオード23a、23b、23c…から出力される出力信号Sa、Sb、Sc…から構成されている。
【0038】
信号処理部25は、各部位の動作を制御するものであり、またデジタル化された上記フォトダイオードアレイ23の出力信号Sa、Sb、Sc…の感度補正を行う感度補正部27、スキップ差分値Fを算出する演算処理部28およびスキップ差分値Fに基づいて全反射減衰角θSPを求める測定部29を有している。
【0039】
以下、上記構成の表面プラズモンセンサーによる試料分析について説明する。まず、測定に先立ち、フォトダイオードアレイ23の各フォトダイオード23a、23b、23c…間の感度差を補正するための補正値を取得するために、不図示の標準光源から射出された光ビームを、フォトダイオードアレイ23へ光強度が均一になるように入射させる。なお、標準光源としては、均一な光強度分布が得られる直流光源が使用されている。
【0040】
フォトダイオードアレイ23の各フォトダイオード23a、23b、23c…から出力された信号Sa、Sb、Sc…は、A/D変換器24によりデジタル信号へ変換された後、感度補正部27へ入力される。感度補正部27では、まず、出力信号Sa、Sb、Sc…の平均値Savを算出する。その後各出力信号毎に、感度補正係数Sav/Sa、Sav/Sb、Sav/Sc…を求め、各出力信号に対応させて記憶する。以後感度補正部27へ入力された出力信号Sa、Sb、Sc…は、それぞれ対応する感度補正係数が乗算され、補正された後、出力信号Sa’、Sb’、Sc’…として演算処理部28へ出力される。なお、感度補正係数の設定動作は、測定毎に行う必要はなく、適宜必要に応じて行えばよい。
【0041】
感度補正係数の設定後に、実際の測定が行われる。測定ユニット10に、試料液15が供給される。信号処理部25からの指令でレーザ光源21が駆動され、そこから発せられた光ビーム20が前述のように収束する状態で、誘電体ブロック11と薄膜層12との界面12aに入射する。この界面12aで全反射した光ビーム20は、フォトダイオードアレイ23によって検出される。
【0042】
フォトダイオードアレイ23の各フォトダイオード23a、23b、23c…から出力された信号Sa、Sb、Sc…は、A/D変換器24によりデジタル信号へ変換された後、感度補正部27において補正処理を施され、信号Sa’、Sb’、Sc’…として演算処理部28へ出力される。
【0043】
演算処理部28では、1つおきのフォトダイオード間の出力の差分であるスキップ差分値Fを順次算出する。具体的には、信号Sc’−Sa’、Sd’−Sb’、Se’−Sc’…を順次算出する。
【0044】
図2は、界面12aで全反射した光ビーム20の入射角θ毎と、演算処理部27の出力であるスキップ差分値Fとの関係を示す図である。ここで、光ビーム20の界面12aへの入射角θとフォトダイオード23a、23b、23c…へ入射する光強度Iとの関係は、同図(a)のグラフに示すようなものであるとする。
【0045】
界面12aにある特定の入射角θSPで入射した光は、薄膜層12とセンシング物質17との界面に表面プラズモンを励起させるので、この光については反射光強度Iが鋭く低下する。すなわち、θSPが全反射減衰角であり、この角度θSPにおいて反射光強度Iは最小値を取る。この反射光強度Iの低下は、反射光中の暗線として観察される。
【0046】
また図2の(b)は、フォトダイオード23a、23b、23c…の配設方向を示しており、先に説明した通り、これらのフォトダイオード23a、23b、23c……の配設方向位置は上記入射角θと一義的に対応している。同図(c)は、フォトダイオード23a、23b、23c…の配設方向位置、すなわち光ビーム20の入射角θと、フォトダイオード23a、23b、23c…の出力信号S’、Sb’、Sc’…(感度補正されたもの)との関係を示す図である。フォトダイオード23a、23b、23c…の配列ピッチが狭く、図2の(a)に示す暗線の半値幅wの1/4以下であるため、各フォトダイオード23a、23b、23c…から出力される信号値が小さく、ノイズの影響を受けやすいため、凹凸の大きいグラフとなっている。
【0047】
そして入射角θと、演算処理部28の出力、すなわち1つおきのフォトダイオード間の出力の差分であるスキップ差分値Fとの関係は、同図(d)に示すようなものとなる。
【0048】
測定部29では、演算処理部28から入力された差分値Fに基づいて、全反射減衰角θSPに対応する差分値F=0に近い出力が得られているフォトダイオード(図2の例ではフォトダイオード23h、23i、23jとなる)から全反射減衰角θSPを算出する。以後、所定時間が経過する毎に上記と同様な動作を繰り返し、全反射減衰角θSPを算出し、測定開始時からの角度変化量を求め表示部26に表示する。
【0049】
試料液15の中の特定物質とセンシング物質17との結合状態に応じてセンシング物質17の屈折率が変化するので、上記全反射減衰角θSPの角度変化を測定することにより、この結合状態の変化の様子を調べることができる。
【0050】
ここで、図3の(a)は、図2の(a)に示された入射角θとフォトダイオード23a、23b、23c…へ入射する光強度Iに基づいて作成された光ビーム20入射角θと隣接するフォトダイオード間の出力の差分である微分値I’の関係を示す図である。ノイズが皆無であれば、入射角θと微分値I’との関係はこの図のようなものとなる。一方 図3の(b)は、実際の測定結果、すなわと図2の(c)に示された、入射角θとフォトダイオードアレイ23フォトダイオード23a、23b、23c…の出力信号S’、Sb’、Sc’…との関係に基づいて作成された入射角θと微分値I’との関係を示す図である。図3の(b)では、ノイズの影響によりリニアリティが悪化しているため、精度良く全反射減衰角θSPを測定することは困難であることがわかる。一方図2の(d)に示す入射角θとスキップ差分値Fの関係を示す図においては、良好なリニアリティが得られているため、容易に精度良く全反射減衰角θSPを測定することができる。また、図3の(b)に示す図に比べ、図2の(d)に示す図は、信号値が大きくなっているため、全反射減衰角θSPを測定する際の測定感度が向上する。
【0051】
以上の説明で明かなように、本実施の形態においては、フォトダイオードの並設方向に関して、1つおきのフォトダイオードの差分であるスキップ差分値を順次算出し、このスキップ差分値に基づいて、全反射減衰角θSPを求めている。スキップ差分値は、ノイズの影響を受けにくいため、このスキップ差分値の変化状態は、従来使用される微分値の変化状態に比べリニアリティが向上しており、精度良く全反射減衰角θSPを測定することができる。また、スキップ差分値は微分値に比べ、信号値が大きくなるので、全反射減衰の状態の測定感度が向上する。
【0052】
さらに、本実施の形態においては、感度補正部27において、フォトダイオード23a、23b、23c…から出力された信号Sa、Sb、Sc…へ、感度補正係数Sav/Sa、Sav/Sb、Sav/Sc…を乗算し、隔フォトダイオード間の感度差を補正した信号Sa’、Sb’、Sc’…を求め、この信号Sa’、Sb’、Sc’に基づいて、全反射減衰角θSPを求めているので、各フォトダイオード間の感度差により、全反射減衰角θSPの測定精度が低下することを防止することができる。また、上記感度補正を、感度補正部27における信号処理により行っているため、補正用の可変抵抗などが不要であり、小型で安価な補正手段により補正処理を施すことができる。また、フォトダイオードの並設ピッチが暗線の半値幅の1/4以下であるため、高分解能で全反射減衰角θSPを測定できる。
【0053】
次に、図1および図4を参照して本発明の第2の実施の形態である表面プラズモンセンサーについて説明する。第2の実施の形態の全体構成は第1の実施形態とほぼ同様であるため、図1において、異なる構成部の番号のみ図中に付記する。
【0054】
信号処理部40は、各部位の動作を制御するものであり、デジタル化されたフォトダイオードアレイ23の出力信号Sa、Sb、Sc…の感度補正を行う感度補正部27、フォトダイオードアレイ23の2つ毎のフォトフォトダイオードの平均値を求め、この平均値からスキップ差分値Fを算出する演算処理部41およびスキップ差分値Fに基づいて全反射減衰角θSPを求める測定部29を有している。
【0055】
測定の際には、信号処理部40からの指令でレーザ光源21が駆動され、そこから発せられた光ビーム20が試料液15が供給された測定チップ10の誘電体ブロック11と薄膜層12との界面12aに入射する。この界面12aで全反射した光ビーム20は、フォトダイオードアレイ23によって検出される。
【0056】
フォトダイオードアレイ23の各フォトダイオード23a、23b、23c…から出力された信号Sa、Sb、Sc…は、A/D変換器24によりデジタル信号へ変換された後、信号処理部感度補正部27において補正処理を施され、図2の(c)へ示された信号Sa’、Sb’、Sc’…として演算処理部41へ出力される。
【0057】
演算処理部41では、まずフォトダイオードを2つ毎のフォトダイオード群に分け、このフォトダイオード群毎に平均値を求める。すなわち、図4の(a)に示すように、(Sa’+Sb’)/2、(Sc’+Sd’)/2、(Se’+Sf’)/2…を算出する。次に、1つおきの平均値の差分であるスキップ差分値Fを順次算出し、測定部29へ出力する。具体的には、図4の(b)に示すように、{(Sa’+Sb’)/2}−{(Se’−Sf’)/2}、{(Sc’+Sd’)/2}−{(Sg’+Sh’)/2}…を順次算出する。なお、本実施の形態では、フォトダイオードを2つ毎のフォトダイオード群に分けたがこれに限定されるものではなく、3つ以上毎のにフォトダイオード群に分けてもよい。
【0058】
測定部29では、第1の実施形態と同様に、演算処理部41から入力されたスキップ差分値Fに基づいて、全反射減衰角θSPに対応する差分値F=0に近い出力が得られているフォトダイオードから全反射減衰角θSPを算出する。以後、所定時間が経過する毎に上記と同様な動作を繰り返し、全反射減衰角θSPを算出し、測定開始時からの角度変化量を求め表示部26に表示する。
【0059】
試料液15の中の特定物質とセンシング物質17との結合状態に応じてセンシング物質17の屈折率が変化するので、上記全反射減衰角θSPの角度変化を測定することにより、この結合状態の変化の様子を調べることができる。
【0060】
以上の説明で明かなように、本実施の形態においては、第1の実施の形態と同様に、リニアリティの良いスキップ差分値に基づいて、全反射減衰角θSPを求めているので、精度良く全反射減衰角θSPを測定することができる。また、第1の実施の形態における他の効果も同様に得られる。
【0061】
さらに、本実施の形態においては、隣接する2つのフォトダイオードからなるフォトダイオード群毎に平均値を求め、この平均値にからスキップ差分値を算出し、全反射減衰角θSPを求める。平均値を求めることにより、各フォトダイオードの出力に含まれるノイズが相殺され、ノイズの影響が低減されるので、その結果全反射減衰角θSPを測定する際の信頼性が一層向上する。なお、フォトダイオード群毎の平均値の代わりに、フォトダイオード群毎の合計値を求めてもよく、スキップ差分値を算出する際の信号値を大きくすることができる。また、平均値の代わりに、合計値を所望の値で除算した値、あるいは合計値に所望の値を乗算した値等を用いてもよい。
【0062】
また、本実施の形態の変型例として、感度補正部27、フォトダイオードアレイ23の隣接する2つ以上のフォトフォトダイオードの平均値を順次求め、この平均値からスキップ差分値Fを算出する演算処理部51および測定部29を有する信号処理部50を備えた表面プラズモンセンサーも考えられる。例えば演算処理部51において、まず、隣接する3つのフォトフォトダイオードの平均値、すなわち、図5の(a)に示すように、(Sa’+Sb’+Sc’)/3、(Sb’+Sc’+Sd’)/3、(Sc’+Sd’+Se’)/3…を算出し、次に、1つおきの平均値の差分であるスキップ差分値Fを順次算出し、測定部29へ出力する。具体的には、図5の(b)に示すように、{(Sa’+Sb’+Sc’)/3}−{(Sc’+Sd’+Se’)/3}、{(Sb’+Sc’+Sd’)/3}−{(Sd’+Se’+Sf’)/3}…を順次算出する。この場合には、(フォトダイオード数−3)個の平均値が算出されるため、高分解能を保ちつつ、全反射減衰角θSPの測定結果の信頼性を一層向上させることができる。なお、隣接する3つのフォトダイオードの平均値の代わりに合計値を使用してもよく、スキップ差分値を算出する際の信号値を大きくすることができる。また、平均値の代わりに、合計値を所望の値で除算した値、あるいは合計値に所望の値を乗算した値等を用いてもよい。
【0063】
次に、図6を参照して本発明の第3の実施形態について説明する。なお、図6においては、図1中の要素と同等の要素には同番号を付してあり、それらについての説明は特に必要の無い限り省略する。
【0064】
この第3の実施の形態の全反射減衰を利用したセンサーは、先に説明した漏洩モードセンサーであり、測定チップ90を用いるように構成されている。この測定チップ90の誘電体ブロック11の上面および試料保持枠13の内壁面にはクラッド層91が形成され、さらにその上には光導波層92が形成されている。また光導波層92の表面上にはセンシング物質17が固定されている。
【0065】
誘電体ブロック11は、例えば合成樹脂やBK7等の光学ガラスを用いて形成されている。一方クラッド層91は、誘電体ブロック11よりも低屈折率の誘電体や、金等の金属を用いて薄膜状に形成されている。また光導波層92は、クラッド層91よりも高屈折率の誘電体、例えばPMMAを用いてこれも薄膜状に形成されている。クラッド層91の膜厚は、例えば金薄膜から形成する場合で36.5nm、光導波層92の膜厚は、例えばPMMAから形成する場合で700nm程度とされる。
【0066】
上記構成の漏洩モードセンサーにおいて、レーザ光源21から出射した光ビーム20を誘電体ブロック11を通してクラッド層91に対して全反射角以上の入射角で入射させると、該光ビーム20が誘電体ブロック11とクラッド層91との界面91aで全反射するが、クラッド層91を透過して光導波層92に特定入射角で入射した特定波数の光は、該光導波層92を導波モードで伝搬するようになる。こうして導波モードが励起されると、入射光のほとんどが光導波層92に取り込まれるので、上記界面91aで全反射する光の強度が鋭く低下する全反射減衰が生じる。
【0067】
光導波層92における導波光の波数は、該光導波層92の上のセンシング物質17の屈折率に依存するので、全反射減衰が生じる上記特定入射角を知ることによって、センシング物質17の屈折率を測定することができ、試料液15中の蛋白質とセンシング物質17との結合状態を知ることができる。
【0068】
本実施形態でも、第1の実施の形態と同様に、リニアリティの良いスキップ差分値に基づいて、全反射減衰角θSPを求めているので、精度良く全反射減衰角θSPを測定することができる。また、第1の実施の形態における他の効果も同様に得られる。
【0069】
なお、上記各実施の形態においては、スキップ差分値を算出する際に、1つおきに差分を求めたが、これに限定されるものではなく、2つ以上間隔を置いて差分を求めてもよい。各フォトダイオードから出力される信号に含まれるノイズあるいは波形歪の影響を効率良く除去できるように、フォトダイオードの間隔を設定してスキップ差分値を算出することが望ましい。
【0070】
また、上記各実施の形態においては、誘電体ブロックが薄膜層とともに、使い切りされる測定チップを構成しているが、誘電体ブロックがチップ化されずに、表面プラズモンセンサー本体に組み込まれる場合であっても、同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による表面プラズモンセンサーの側面図
【図2】上記表面プラズモンセンサーにおける光ビーム入射角と反射光強度のスキップ差分値との関係の説明図
【図3】上記表面プラズモンセンサーにおける光ビーム入射角と反射光強度の微分値との関係の説明図
【図4】本発明の第2の実施の形態による表面プラズモンセンサーにおける光ビーム入射角と反射光強度のスキップ差分値との関係の説明図
【図5】他の実施形態による表面プラズモンセンサーにおける光ビーム入射角と反射光強度のスキップ差分値との関係の説明図
【図6】本発明の第3の実施の形態による漏洩モードセンサーの側面図
【符号の説明】
10,90 測定チップ
11 誘電体ブロック
12 薄膜層
12a 誘電体ブロックと薄膜層との界面
13 試料保持枠
15 試料液
16 ウェル部
17 センシング物質
20 光ビーム
21 光源
22 集光レンズ
23 フォトダイオードアレイ
24 A/D変換器
25,40,50 信号処理部
26 表示部
27 感度補正部
28,41,51 演算部
29 測定部
91 クラッド層
91a 誘電体ブロックとクラッド層との界面
92 光導波層
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面プラズモンの発生を利用して試料の特性を分析する表面プラズモンセンサー等の、全反射減衰を利用したセンサーに関する。
【0002】
【従来の技術】
金属中においては、自由電子が集団的に振動して、プラズマ波と呼ばれる粗密波が生じる。そして、金属表面に生じるこの粗密波を量子化したものは、表面プラズモンと呼ばれている。
【0003】
従来より、この表面プラズモンが光波によって励起される現象を利用して、試料中の物質の特性を分析する表面プラズモンセンサーが種々提案されている。そして、それらの中で特に良く知られているものとして、 Kretschmann配置と称される系を用いるものが挙げられる(例えば特開平6−167443号参照)。
【0004】
上記の系を用いる表面プラズモンセンサーは基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されて試料に接触させられる金属膜と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を検出する光検出手段と、この光検出手段の検出結果に基づいて表面プラズモン共鳴の状態、つまり全反射減衰の状態を測定する測定手段とを備えてなるものである。
【0005】
なお上述のように種々の入射角を得るためには、比較的細い光ビームを入射角を変化させて上記界面に入射させてもよいし、あるいは光ビームに種々の角度で入射する成分が含まれるように、比較的太い光ビームを上記界面に収束光状態であるいは発散光状態で入射させてもよい。前者の場合は、入射した光ビームの入射角の変化に従って、反射角が変化する光ビームを、上記反射角の変化に同期して移動する小さな光検出器によって検出したり、反射角の変化方向に沿って延びるエリアセンサによって検出することができる。一方後者の場合は、種々の反射角で反射した各光ビームを全て受光できる方向に延びるエリアセンサによって検出することができる。
【0006】
上記構成の表面プラズモンセンサーにおいて、光ビームを金属膜に対して全反射角以上の特定入射角θSPで入射させると、該金属膜に接している試料中に電界分布をもつエバネッセント波が生じ、このエバネッセント波によって金属膜と試料との界面に表面プラズモンが励起される。エバネッセント波の波数ベクトルが表面プラズモンの波数と等しくて波数整合が成立しているとき、両者は共鳴状態となり、光のエネルギーが表面プラズモンに移行するので、誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射した光の強度が鋭く低下する。この光強度の低下は、一般に上記光検出手段により暗線として検出される。
【0007】
なお上記の共鳴は、入射ビームがp偏光のときにだけ生じる。したがって、光ビームがp偏光で入射するように予め設定しておく必要がある。
【0008】
この全反射減衰(ATR)が生じる入射角θSPより表面プラズモンの波数が分かると、試料の誘電率が求められる。すなわち表面プラズモンの波数をKSP、表面プラズモンの角周波数をω、cを真空中の光速、εmとεsをそれぞれ金属、試料の誘電率とすると、以下の関係がある。
【0009】
【数1】
試料の誘電率εs が分かれば、所定の較正曲線等に基づいて試料の屈折率が分かるので、結局、上記反射光強度が低下する入射角である全反射減衰角θSPを知ることにより、試料の誘電率つまりは屈折率に関連する特性を求めることができる。
【0010】
なおこの種の表面プラズモンセンサーにおいては、全反射減衰角θSPを精度良く、しかも大きなダイナミックレンジで測定することを目的として、特開平11−326194号に示されるように、アレイ状の光検出手段を用いることが考えられている。この光検出手段は、複数の受光素子が所定方向に並設されてなり、前記界面において種々の反射角で全反射した光ビームの成分をそれぞれ異なる受光素子が受光する向きにして配設されたものである。
【0011】
そしてその場合は、上記アレイ状の光検出手段の各受光素子が出力する光検出信号を、該受光素子の並設方向に関して微分して出力する微分手段が設けられ、この微分手段が出力する微分値、特に暗線部分に対応した微分値に基づいて試料の屈折率に関連する特性を求めることが多い。
【0012】
また、全反射減衰(ATR)を利用する類似のセンサーとして、例えば「分光研究」第47巻 第1号(1998)の第21〜23頁および第26〜27頁に記載がある漏洩モードセンサーも知られている。この漏洩モードセンサーは基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、このクラッド層の上に形成されて、試料に接触させられる光導波層と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを上記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックとクラッド層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して導波モードの励起状態、つまり全反射減衰状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
【0013】
上記構成の漏洩モードセンサーにおいて、光ビームを誘電体ブロックを通してクラッド層に対して全反射角以上の入射角で入射させると、このクラッド層を透過した後に光導波層においては、ある特定の波数を有する特定入射角の光のみが導波モードで伝搬するようになる。こうして導波モードが励起されると、入射光のほとんどが光導波層に取り込まれるので、上記界面で全反射する光の強度が鋭く低下する全反射減衰が生じる。そして導波光の波数は光導波層の上の試料の屈折率に依存するので、全反射減衰が生じる上記特定入射角を知ることによって、試料の屈折率や、それに関連する試料の特性を分析することができる。
【0014】
なおこの漏洩モードセンサーにおいても、全反射減衰によって反射光に生じる暗線の位置を検出するために、前述したアレイ状の光検出手段を用いることができ、またそれと併せて前述の微分手段が適用されることも多い。
【0015】
上述した表面プラズモンセンサーや漏洩モードセンサー等の全反射減衰を用いたセンサーは、創薬研究分野等において、所望のセンシング媒体に結合する特定物質を見いだすランダムスクリーニングへ使用されることがあり、この場合には前記薄膜層(表面プラズモンセンサーの場合は金属膜であり、漏洩モードセンサーの場合はクラッド層および光導波層)上にセンシング媒体を固定し、該センシング媒体上に種々の物質の溶液(液体試料)を添加し、所定時間が経過する毎に上記アレイ状の光検出手段により、各受光素子が出力する光検出信号を検出し、該受光素子の並設方向に関して微分して、微分値を測定している。添加した物質が、センシング媒体と結合するものであれば、この結合によりセンシング媒体の屈折率が時間経過に伴って変化する。したがって、所定時間経過毎に上記微分値、特に暗線部分に対応した微分値に基づいてセンシング媒体の屈折率に関連する特性を求めることにより、添加した物質とセンシング媒体の結合が行われているか否か、すなわち添加した物質がセンシング媒体と結合する特定物質であるか否かを判定することができる。この場合には、センシング媒体と液体試料の双方が、分析対象の試料となる。このような特定物質とセンシング媒体との組み合わせとしては、例えば抗原と抗体が挙げられる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の全反射減衰を利用したセンサーにおいては、通常、微分手段により、上記アレイ状の光検出手段の隣接する受光素子間の差分が算出されて、微分値として出力されている。しかしながら、上記アレイ状の光検出手段の各受光素子から出力される出力信号は、種々のノイズや波形歪等の影響を受ける場合があり、このような場合には、例えば入射角θの増加に応じて、暗線の前後で減少から増加へ転ずるはずの微分値が、ノイズや波形歪の影響により、一旦増加した後に再度減少する等の現象、すなわち入射角θに応じた微分値の変化状態のリニアリティの悪化が生じ、全反射減衰の状態の測定精度が低下する虞がある。
【0017】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、アレイ状の光検出手段の各受光素子から出力される出力信号が、種々のノイズや波形歪の影響を受けている場合であっても、精度よく全反射減衰の状態を測定することのできる全反射減衰を利用したセンサーを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の全反射減衰を利用したセンサーは、光ビームを発生させる光源と、
該光ビームに対して透明な誘電体ブロックと、
この誘電体ブロックの一面に形成されて、試料に接触させられる薄膜層と、
前記光ビームを前記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと前記薄膜層との界面で全反射条件が得られる角度で入射させる光学系と、
複数の受光素子が所定方向に並設されてなり、前記界面で全反射した光ビームの強度を検出する光検出手段と、
前記受光素子の出力に基づいた光検出信号を求め、前記受光素子の並設方向に関して、少なくとも1つ以上の所定間隔を開けて、前記光検出信号間の差分を算出する演算手段と、
前記差分に基づいて、全反射減衰の状態を測定する測定手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0019】
このようなセンサーとしては、金属膜を上記薄膜層として用いる前述の表面プラズモンセンサーや、誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、このクラッド層の上に形成された光導波層とからなる層を上記薄膜層として用いる前述の漏洩モードセンサー等がある。
【0020】
上記光検出信号は、前記受光素子を隣接する少なくとも2つ以上の所定数の受光素子を含む受光素子群に分割し、それぞれの受光素子群における各受光素子の出力を平均した平均値であってもよい。なお、「各受光素子の出力を平均した平均値」とは、平均値そのものに限定されるものではなく、平均値を反映する値であればよく、例えば各受光素子の出力の合計値や、この合計値を所望の値で除算した値、あるいは合計値に所望の値を乗算した値等であってもよい。
【0021】
また、上記光検出信号は、少なくとも2つ以上の隣接する前記受光素子の平均値を、前記受光素子の並設方向に関して順次算出した平均値であってもよい。なお、「隣接する前記受光素子の平均値」とは、平均値そのものに限定されるものではなく、平均値を反映する値であればよく、例えば隣接する前記受光素子の合計値や、この合計値を所望の値で除算した値、あるいは合計値に所望の値を乗算した値等であってもよい。
【0022】
前記測定手段が、前記全反射減衰の状態として、前記光ビームに含まれる暗線の状態を測定するものであれば、前記受光素子の並設ピッチは前記暗線の半値幅の1/4以下であってもよい。なお、ここで「暗線の半値幅」とは、暗線による光量の減衰が最大値減衰値の1/2まで、減衰した時の暗線幅を意味している。
【0023】
上記全反射減衰を利用したセンサーは、前記光検出手段のそれぞれの受光素子の感度差を補正する感度補正手段をさらに備えたものであってもよい。
【0024】
上記感度補正手段は、信号処理により光検出手段のそれぞれの受光素子の感度差を補正するものであってもよい。
【0025】
なお、本発明によるセンサーにおいて、光検出手段により前記界面で全反射した光ビームの強度を検出して、全反射減衰の状態を測定する方法としては種々の方法があり、例えば、光ビームを前記界面で全反射条件が得られる種々の入射角で入射させ、各入射角に対応した位置毎に前記界面で全反射した光ビームの強度を検出して、全反射減衰により発生した暗線の位置(角度)を検出することにより全反射減衰の状態を測定してもよいし、D.V.Noort,K.johansen,C.−F.Mandenius, Porous Gold in Surface Plasmon Resonance Measurement, EUROSENSORS XIII, 1999, pp.585−588 に記載されているように、複数の波長の光ビームを前記界面で全反射条件が得られる入射角で入射させ、各波長毎に前記界面で全反射した光ビームの強度を検出して、各波長毎の全反射減衰の程度を検出することにより全反射減衰の状態を測定してもよい。
【0026】
【発明の効果】
本発明の全反射減衰を利用したセンサーは、複数の受光素子が所定方向に並設されてなり、誘電体ブロックと薄膜層間の界面で全反射した光ビームの強度を検出する光検出手段と、前記受光素子の出力に基づいた光検出信号を求め、前記受光素子の並設方向に関して、少なくとも1つ以上の所定間隔を開けた前記光検出信号間の差分(以後スキップ差分値と記載)を算出する演算手段とを備え、このスキップ差分値に基づいて、全反射減衰の状態を測定している。スキップ差分値は、ノイズや波形歪などの影響を受けにくいため、このスキップ差分値の変化状態は、従来使用される微分値の変化状態に比べリニアリティが向上しており、精度良く全反射減衰の状態を測定することができる。また、スキップ差分値は微分値に比べ、信号値が大きくなるので、全反射減衰の状態の測定感度が向上する。
【0027】
上記光検出信号が、前記受光素子を隣接する少なくとも2つ以上の所定数の受光素子を含む受光素子群に分割し、それぞれの受光素子群における各受光素子の出力を平均した平均値である場合には、受光素子の出力に含まれるノイズが相殺され、ノイズの影響が低減された光検出信号に基づいて差分を求めることができるため、全反射減衰の状態の測定結果の信頼性が一層向上する。
【0028】
上記光検出信号が、少なくとも2つ以上の隣接する前記受光素子の平均値を、前記受光素子の並設方向に関して順次算出した平均値である場合には、受光素子の出力に含まれるノイズが相殺され、ノイズの影響が低減された光検出信号に基づいて差分を求めることができ、全反射減衰の状態の測定結果の信頼性が向上する。さらに受光素子数と略同数の平均値が算出されるため、高分解能を保ちつつ、全反射減衰の状態の測定結果の信頼性を一層向上させることができる。
【0029】
上記測定手段が、前記全反射減衰の状態として、前記光ビームに含まれる暗線の状態を測定するものであり、前記受光素子の並設ピッチが前記暗線の半値幅の1/4以下である場合には、高分解能で全反射減衰の状態を測定できる。
【0030】
本センサーが、前記光検出手段のそれぞれの受光素子の感度差を補正する感度補正手段をさらに備えた場合には、各受光素子間の感度差により、全反射減衰の状態の測定精度が低下することを防止することができる。
【0031】
上記感度補正を、信号処理により光検出手段のそれぞれの受光素子の感度差を補正する感度補正手段を用いて行う場合には、補正用の可変抵抗などが不要となり、装置の小型化および低価格化が可能となる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態による表面プラズモンセンサーの側面形状を示すものである。
【0033】
図1に示す通りこの表面プラズモンセンサーは、使い切りの測定チップ10と、測定用の光ビーム(レーザビーム)20を発生させる半導体レーザ等のレーザ光源21と、入射光学系である集光レンズ22と、フォトダイオードアレイ23と、上記フォトダイオードアレイ23の出力信号をデジタル信号へ変換するA/D変換器24と、上記レーザ光源21の駆動を制御するとともに、デジタル変換された出力信号を受けて後述の処理を行なう信号処理部25と、表示部26とを有している。
【0034】
測定チップ10は、概略四角錐形状とされた誘電体ブロック11と、この誘電体ブロック11の上面に形成された、例えば金、銀、銅、アルミニウム等からなる第1の薄膜層としての薄膜層12と、この薄膜層12の上に側方が閉じられた空間を画成する筒状部材からなる試料保持枠13と、この試料保持枠13の内壁面に形成された第2の薄膜層としての薄膜層14とを有している。試料液保持枠13の部分は、その内面が薄膜層12から上方に離れるにつれて側外方に離れるテーパ形状とされている。この試料液保持枠13内のテーパ形状の空間は、試料液15を貯えるウェル部16として機能している。
【0035】
測定チップ10は、誘電体ブロック11と試料液保持枠13とを、例えば透明樹脂等から一体整形し、蒸着により薄膜層12および薄膜層14を形成したものである。なお本例では、薄膜層12および薄膜層14の上にセンシング物質17が固定され、試料液15の中には種々の蛋白質が含まれている。
【0036】
集光レンズ22は、光ビーム20を集光して収束光状態で誘電体ブロック11に通し、誘電体ブロック11と薄膜層12との界面12aに対して種々の入射角が得られるように入射させる。この入射角の範囲は、上記界面12aにおいて光ビーム20の全反射条件が得られ、かつ、表面プラズモン共鳴が生じ得る角度範囲を含む範囲とされる。
【0037】
なお光ビーム20は、界面12aに対してp偏光で入射する。そのようにするためには、予めレーザ光源21をその偏光方向が所定方向となるように配設すればよい。その他、波長板や偏光板で光ビーム20の偏光の向きを制御してもよい。フォトダイオードアレイ23は、多数のフォトダイオード23a、23b、23c…が1列に配されてなるラインセンサーであり、フォトダイオードの並び方向が図1中の矢印X方向となるように配されている。フォトダイオードアレイ23の出力信号は、各フォトダイオード23a、23b、23c…から出力される出力信号Sa、Sb、Sc…から構成されている。
【0038】
信号処理部25は、各部位の動作を制御するものであり、またデジタル化された上記フォトダイオードアレイ23の出力信号Sa、Sb、Sc…の感度補正を行う感度補正部27、スキップ差分値Fを算出する演算処理部28およびスキップ差分値Fに基づいて全反射減衰角θSPを求める測定部29を有している。
【0039】
以下、上記構成の表面プラズモンセンサーによる試料分析について説明する。まず、測定に先立ち、フォトダイオードアレイ23の各フォトダイオード23a、23b、23c…間の感度差を補正するための補正値を取得するために、不図示の標準光源から射出された光ビームを、フォトダイオードアレイ23へ光強度が均一になるように入射させる。なお、標準光源としては、均一な光強度分布が得られる直流光源が使用されている。
【0040】
フォトダイオードアレイ23の各フォトダイオード23a、23b、23c…から出力された信号Sa、Sb、Sc…は、A/D変換器24によりデジタル信号へ変換された後、感度補正部27へ入力される。感度補正部27では、まず、出力信号Sa、Sb、Sc…の平均値Savを算出する。その後各出力信号毎に、感度補正係数Sav/Sa、Sav/Sb、Sav/Sc…を求め、各出力信号に対応させて記憶する。以後感度補正部27へ入力された出力信号Sa、Sb、Sc…は、それぞれ対応する感度補正係数が乗算され、補正された後、出力信号Sa’、Sb’、Sc’…として演算処理部28へ出力される。なお、感度補正係数の設定動作は、測定毎に行う必要はなく、適宜必要に応じて行えばよい。
【0041】
感度補正係数の設定後に、実際の測定が行われる。測定ユニット10に、試料液15が供給される。信号処理部25からの指令でレーザ光源21が駆動され、そこから発せられた光ビーム20が前述のように収束する状態で、誘電体ブロック11と薄膜層12との界面12aに入射する。この界面12aで全反射した光ビーム20は、フォトダイオードアレイ23によって検出される。
【0042】
フォトダイオードアレイ23の各フォトダイオード23a、23b、23c…から出力された信号Sa、Sb、Sc…は、A/D変換器24によりデジタル信号へ変換された後、感度補正部27において補正処理を施され、信号Sa’、Sb’、Sc’…として演算処理部28へ出力される。
【0043】
演算処理部28では、1つおきのフォトダイオード間の出力の差分であるスキップ差分値Fを順次算出する。具体的には、信号Sc’−Sa’、Sd’−Sb’、Se’−Sc’…を順次算出する。
【0044】
図2は、界面12aで全反射した光ビーム20の入射角θ毎と、演算処理部27の出力であるスキップ差分値Fとの関係を示す図である。ここで、光ビーム20の界面12aへの入射角θとフォトダイオード23a、23b、23c…へ入射する光強度Iとの関係は、同図(a)のグラフに示すようなものであるとする。
【0045】
界面12aにある特定の入射角θSPで入射した光は、薄膜層12とセンシング物質17との界面に表面プラズモンを励起させるので、この光については反射光強度Iが鋭く低下する。すなわち、θSPが全反射減衰角であり、この角度θSPにおいて反射光強度Iは最小値を取る。この反射光強度Iの低下は、反射光中の暗線として観察される。
【0046】
また図2の(b)は、フォトダイオード23a、23b、23c…の配設方向を示しており、先に説明した通り、これらのフォトダイオード23a、23b、23c……の配設方向位置は上記入射角θと一義的に対応している。同図(c)は、フォトダイオード23a、23b、23c…の配設方向位置、すなわち光ビーム20の入射角θと、フォトダイオード23a、23b、23c…の出力信号S’、Sb’、Sc’…(感度補正されたもの)との関係を示す図である。フォトダイオード23a、23b、23c…の配列ピッチが狭く、図2の(a)に示す暗線の半値幅wの1/4以下であるため、各フォトダイオード23a、23b、23c…から出力される信号値が小さく、ノイズの影響を受けやすいため、凹凸の大きいグラフとなっている。
【0047】
そして入射角θと、演算処理部28の出力、すなわち1つおきのフォトダイオード間の出力の差分であるスキップ差分値Fとの関係は、同図(d)に示すようなものとなる。
【0048】
測定部29では、演算処理部28から入力された差分値Fに基づいて、全反射減衰角θSPに対応する差分値F=0に近い出力が得られているフォトダイオード(図2の例ではフォトダイオード23h、23i、23jとなる)から全反射減衰角θSPを算出する。以後、所定時間が経過する毎に上記と同様な動作を繰り返し、全反射減衰角θSPを算出し、測定開始時からの角度変化量を求め表示部26に表示する。
【0049】
試料液15の中の特定物質とセンシング物質17との結合状態に応じてセンシング物質17の屈折率が変化するので、上記全反射減衰角θSPの角度変化を測定することにより、この結合状態の変化の様子を調べることができる。
【0050】
ここで、図3の(a)は、図2の(a)に示された入射角θとフォトダイオード23a、23b、23c…へ入射する光強度Iに基づいて作成された光ビーム20入射角θと隣接するフォトダイオード間の出力の差分である微分値I’の関係を示す図である。ノイズが皆無であれば、入射角θと微分値I’との関係はこの図のようなものとなる。一方 図3の(b)は、実際の測定結果、すなわと図2の(c)に示された、入射角θとフォトダイオードアレイ23フォトダイオード23a、23b、23c…の出力信号S’、Sb’、Sc’…との関係に基づいて作成された入射角θと微分値I’との関係を示す図である。図3の(b)では、ノイズの影響によりリニアリティが悪化しているため、精度良く全反射減衰角θSPを測定することは困難であることがわかる。一方図2の(d)に示す入射角θとスキップ差分値Fの関係を示す図においては、良好なリニアリティが得られているため、容易に精度良く全反射減衰角θSPを測定することができる。また、図3の(b)に示す図に比べ、図2の(d)に示す図は、信号値が大きくなっているため、全反射減衰角θSPを測定する際の測定感度が向上する。
【0051】
以上の説明で明かなように、本実施の形態においては、フォトダイオードの並設方向に関して、1つおきのフォトダイオードの差分であるスキップ差分値を順次算出し、このスキップ差分値に基づいて、全反射減衰角θSPを求めている。スキップ差分値は、ノイズの影響を受けにくいため、このスキップ差分値の変化状態は、従来使用される微分値の変化状態に比べリニアリティが向上しており、精度良く全反射減衰角θSPを測定することができる。また、スキップ差分値は微分値に比べ、信号値が大きくなるので、全反射減衰の状態の測定感度が向上する。
【0052】
さらに、本実施の形態においては、感度補正部27において、フォトダイオード23a、23b、23c…から出力された信号Sa、Sb、Sc…へ、感度補正係数Sav/Sa、Sav/Sb、Sav/Sc…を乗算し、隔フォトダイオード間の感度差を補正した信号Sa’、Sb’、Sc’…を求め、この信号Sa’、Sb’、Sc’に基づいて、全反射減衰角θSPを求めているので、各フォトダイオード間の感度差により、全反射減衰角θSPの測定精度が低下することを防止することができる。また、上記感度補正を、感度補正部27における信号処理により行っているため、補正用の可変抵抗などが不要であり、小型で安価な補正手段により補正処理を施すことができる。また、フォトダイオードの並設ピッチが暗線の半値幅の1/4以下であるため、高分解能で全反射減衰角θSPを測定できる。
【0053】
次に、図1および図4を参照して本発明の第2の実施の形態である表面プラズモンセンサーについて説明する。第2の実施の形態の全体構成は第1の実施形態とほぼ同様であるため、図1において、異なる構成部の番号のみ図中に付記する。
【0054】
信号処理部40は、各部位の動作を制御するものであり、デジタル化されたフォトダイオードアレイ23の出力信号Sa、Sb、Sc…の感度補正を行う感度補正部27、フォトダイオードアレイ23の2つ毎のフォトフォトダイオードの平均値を求め、この平均値からスキップ差分値Fを算出する演算処理部41およびスキップ差分値Fに基づいて全反射減衰角θSPを求める測定部29を有している。
【0055】
測定の際には、信号処理部40からの指令でレーザ光源21が駆動され、そこから発せられた光ビーム20が試料液15が供給された測定チップ10の誘電体ブロック11と薄膜層12との界面12aに入射する。この界面12aで全反射した光ビーム20は、フォトダイオードアレイ23によって検出される。
【0056】
フォトダイオードアレイ23の各フォトダイオード23a、23b、23c…から出力された信号Sa、Sb、Sc…は、A/D変換器24によりデジタル信号へ変換された後、信号処理部感度補正部27において補正処理を施され、図2の(c)へ示された信号Sa’、Sb’、Sc’…として演算処理部41へ出力される。
【0057】
演算処理部41では、まずフォトダイオードを2つ毎のフォトダイオード群に分け、このフォトダイオード群毎に平均値を求める。すなわち、図4の(a)に示すように、(Sa’+Sb’)/2、(Sc’+Sd’)/2、(Se’+Sf’)/2…を算出する。次に、1つおきの平均値の差分であるスキップ差分値Fを順次算出し、測定部29へ出力する。具体的には、図4の(b)に示すように、{(Sa’+Sb’)/2}−{(Se’−Sf’)/2}、{(Sc’+Sd’)/2}−{(Sg’+Sh’)/2}…を順次算出する。なお、本実施の形態では、フォトダイオードを2つ毎のフォトダイオード群に分けたがこれに限定されるものではなく、3つ以上毎のにフォトダイオード群に分けてもよい。
【0058】
測定部29では、第1の実施形態と同様に、演算処理部41から入力されたスキップ差分値Fに基づいて、全反射減衰角θSPに対応する差分値F=0に近い出力が得られているフォトダイオードから全反射減衰角θSPを算出する。以後、所定時間が経過する毎に上記と同様な動作を繰り返し、全反射減衰角θSPを算出し、測定開始時からの角度変化量を求め表示部26に表示する。
【0059】
試料液15の中の特定物質とセンシング物質17との結合状態に応じてセンシング物質17の屈折率が変化するので、上記全反射減衰角θSPの角度変化を測定することにより、この結合状態の変化の様子を調べることができる。
【0060】
以上の説明で明かなように、本実施の形態においては、第1の実施の形態と同様に、リニアリティの良いスキップ差分値に基づいて、全反射減衰角θSPを求めているので、精度良く全反射減衰角θSPを測定することができる。また、第1の実施の形態における他の効果も同様に得られる。
【0061】
さらに、本実施の形態においては、隣接する2つのフォトダイオードからなるフォトダイオード群毎に平均値を求め、この平均値にからスキップ差分値を算出し、全反射減衰角θSPを求める。平均値を求めることにより、各フォトダイオードの出力に含まれるノイズが相殺され、ノイズの影響が低減されるので、その結果全反射減衰角θSPを測定する際の信頼性が一層向上する。なお、フォトダイオード群毎の平均値の代わりに、フォトダイオード群毎の合計値を求めてもよく、スキップ差分値を算出する際の信号値を大きくすることができる。また、平均値の代わりに、合計値を所望の値で除算した値、あるいは合計値に所望の値を乗算した値等を用いてもよい。
【0062】
また、本実施の形態の変型例として、感度補正部27、フォトダイオードアレイ23の隣接する2つ以上のフォトフォトダイオードの平均値を順次求め、この平均値からスキップ差分値Fを算出する演算処理部51および測定部29を有する信号処理部50を備えた表面プラズモンセンサーも考えられる。例えば演算処理部51において、まず、隣接する3つのフォトフォトダイオードの平均値、すなわち、図5の(a)に示すように、(Sa’+Sb’+Sc’)/3、(Sb’+Sc’+Sd’)/3、(Sc’+Sd’+Se’)/3…を算出し、次に、1つおきの平均値の差分であるスキップ差分値Fを順次算出し、測定部29へ出力する。具体的には、図5の(b)に示すように、{(Sa’+Sb’+Sc’)/3}−{(Sc’+Sd’+Se’)/3}、{(Sb’+Sc’+Sd’)/3}−{(Sd’+Se’+Sf’)/3}…を順次算出する。この場合には、(フォトダイオード数−3)個の平均値が算出されるため、高分解能を保ちつつ、全反射減衰角θSPの測定結果の信頼性を一層向上させることができる。なお、隣接する3つのフォトダイオードの平均値の代わりに合計値を使用してもよく、スキップ差分値を算出する際の信号値を大きくすることができる。また、平均値の代わりに、合計値を所望の値で除算した値、あるいは合計値に所望の値を乗算した値等を用いてもよい。
【0063】
次に、図6を参照して本発明の第3の実施形態について説明する。なお、図6においては、図1中の要素と同等の要素には同番号を付してあり、それらについての説明は特に必要の無い限り省略する。
【0064】
この第3の実施の形態の全反射減衰を利用したセンサーは、先に説明した漏洩モードセンサーであり、測定チップ90を用いるように構成されている。この測定チップ90の誘電体ブロック11の上面および試料保持枠13の内壁面にはクラッド層91が形成され、さらにその上には光導波層92が形成されている。また光導波層92の表面上にはセンシング物質17が固定されている。
【0065】
誘電体ブロック11は、例えば合成樹脂やBK7等の光学ガラスを用いて形成されている。一方クラッド層91は、誘電体ブロック11よりも低屈折率の誘電体や、金等の金属を用いて薄膜状に形成されている。また光導波層92は、クラッド層91よりも高屈折率の誘電体、例えばPMMAを用いてこれも薄膜状に形成されている。クラッド層91の膜厚は、例えば金薄膜から形成する場合で36.5nm、光導波層92の膜厚は、例えばPMMAから形成する場合で700nm程度とされる。
【0066】
上記構成の漏洩モードセンサーにおいて、レーザ光源21から出射した光ビーム20を誘電体ブロック11を通してクラッド層91に対して全反射角以上の入射角で入射させると、該光ビーム20が誘電体ブロック11とクラッド層91との界面91aで全反射するが、クラッド層91を透過して光導波層92に特定入射角で入射した特定波数の光は、該光導波層92を導波モードで伝搬するようになる。こうして導波モードが励起されると、入射光のほとんどが光導波層92に取り込まれるので、上記界面91aで全反射する光の強度が鋭く低下する全反射減衰が生じる。
【0067】
光導波層92における導波光の波数は、該光導波層92の上のセンシング物質17の屈折率に依存するので、全反射減衰が生じる上記特定入射角を知ることによって、センシング物質17の屈折率を測定することができ、試料液15中の蛋白質とセンシング物質17との結合状態を知ることができる。
【0068】
本実施形態でも、第1の実施の形態と同様に、リニアリティの良いスキップ差分値に基づいて、全反射減衰角θSPを求めているので、精度良く全反射減衰角θSPを測定することができる。また、第1の実施の形態における他の効果も同様に得られる。
【0069】
なお、上記各実施の形態においては、スキップ差分値を算出する際に、1つおきに差分を求めたが、これに限定されるものではなく、2つ以上間隔を置いて差分を求めてもよい。各フォトダイオードから出力される信号に含まれるノイズあるいは波形歪の影響を効率良く除去できるように、フォトダイオードの間隔を設定してスキップ差分値を算出することが望ましい。
【0070】
また、上記各実施の形態においては、誘電体ブロックが薄膜層とともに、使い切りされる測定チップを構成しているが、誘電体ブロックがチップ化されずに、表面プラズモンセンサー本体に組み込まれる場合であっても、同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による表面プラズモンセンサーの側面図
【図2】上記表面プラズモンセンサーにおける光ビーム入射角と反射光強度のスキップ差分値との関係の説明図
【図3】上記表面プラズモンセンサーにおける光ビーム入射角と反射光強度の微分値との関係の説明図
【図4】本発明の第2の実施の形態による表面プラズモンセンサーにおける光ビーム入射角と反射光強度のスキップ差分値との関係の説明図
【図5】他の実施形態による表面プラズモンセンサーにおける光ビーム入射角と反射光強度のスキップ差分値との関係の説明図
【図6】本発明の第3の実施の形態による漏洩モードセンサーの側面図
【符号の説明】
10,90 測定チップ
11 誘電体ブロック
12 薄膜層
12a 誘電体ブロックと薄膜層との界面
13 試料保持枠
15 試料液
16 ウェル部
17 センシング物質
20 光ビーム
21 光源
22 集光レンズ
23 フォトダイオードアレイ
24 A/D変換器
25,40,50 信号処理部
26 表示部
27 感度補正部
28,41,51 演算部
29 測定部
91 クラッド層
91a 誘電体ブロックとクラッド層との界面
92 光導波層
Claims (6)
- 光ビームを発生させる光源と
該光ビームに対して透明な誘電体ブロックと、
この誘電体ブロックの一面に形成されて、試料に接触させられる薄膜層と、
前記光ビームを前記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと前記薄膜層との界面で全反射条件が得られる角度で入射させる光学系と、
複数の受光素子が所定方向に並設されてなり、前記界面で全反射した光ビームの強度を検出する光検出手段と、
前記受光素子の出力に基づいた光検出信号を求め、前記受光素子の並設方向に関して、少なくとも1つ以上の所定間隔を開けて、前記光検出信号間の差分を算出する演算手段と、
前記差分に基づいて、全反射減衰の状態を測定する測定手段とを備えたことを特徴とする全反射減衰を利用したセンサー。 - 前記光検出信号が、前記受光素子を隣接する少なくとも2つ以上の所定数の受光素子を含む受光素子群に分割し、それぞれの受光素子群における各受光素子の出力を平均した平均値であることを特徴とする請求項1記載の全反射減衰を利用したセンサー。
- 前記光検出信号が、少なくとも2つ以上の隣接する前記受光素子の平均値を、前記受光素子の並設方向に関して順次算出した平均値であることを特徴とする請求項1記載の全反射減衰を利用したセンサー。
- 前記測定手段が、前記全反射減衰の状態として、前記光ビームに含まれる暗線の状態を測定するものであり、
前記受光素子の並設ピッチが前記暗線の半値幅の1/4以下であることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の全反射減衰を利用したセンサー。 - 前記光検出手段のそれぞれの受光素子の感度差を補正する感度補正手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の全反射減衰を利用したセンサー。
- 前記感度補正手段が、信号処理により光検出手段のそれぞれの受光素子の感度差を補正するものであることを特徴とする請求項5記載の全反射減衰を利用したセンサー。
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2002
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