JP2004169439A - 排水フロート構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】汚れ等が付着しても確実に作動するフロート弁を備えた排水フロート構造を提供すること。
【解決手段】排水フロート構造を、浴槽10に設けた排水口部材17を開閉するための排水栓11と、浴槽10から排出される水を外部に送る排水管24と、浴槽側フロア20に設けられ排水管24に接続された排水口28を開閉するためのフロート弁27とで構成した。そして、排水栓11とフロート弁27とを線材29で連結して、排水栓11が排水口部材17を閉じたときにはフロート弁27は排水口28を開き、排水栓11が排水口部材17を開いたときにはフロート弁27は排水口28を閉じるようにした。また、操作スイッチ14の操作によりレリースケーブル15を介して排水栓11およびフロート弁27が作動するようにした。また、排水口部材22に、目皿26を設け、フロート弁27が目皿26に対して進退することにより、排水口部材22が開閉するようにした。
【選択図】 図2
【解決手段】排水フロート構造を、浴槽10に設けた排水口部材17を開閉するための排水栓11と、浴槽10から排出される水を外部に送る排水管24と、浴槽側フロア20に設けられ排水管24に接続された排水口28を開閉するためのフロート弁27とで構成した。そして、排水栓11とフロート弁27とを線材29で連結して、排水栓11が排水口部材17を閉じたときにはフロート弁27は排水口28を開き、排水栓11が排水口部材17を開いたときにはフロート弁27は排水口28を閉じるようにした。また、操作スイッチ14の操作によりレリースケーブル15を介して排水栓11およびフロート弁27が作動するようにした。また、排水口部材22に、目皿26を設け、フロート弁27が目皿26に対して進退することにより、排水口部材22が開閉するようにした。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、浴槽と浴槽を設置するための浴槽設置部の間に設けられ、浴槽からの排水が浴槽設置部に逆流することを防止するための排水フロート構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ユニット型の浴槽の中には、浴槽側フロア等の浴槽設置用の防水パンの上面に浴槽を設置し、浴槽と浴槽側フロアとに排水のための排水フロート構造を設けたものがある(例えば、特許文献1)。このような浴室ユニットでは、浴槽の底部には、浴槽内の水を排出するための排水口が設けられており、この排水口から排出される水は排水口に接続された排水管から外部に送られる。また、浴槽側フロアには、浴槽側フロアに溜まる水を排出するための排水口が設けられており、この排水口から排出される水は排水口に接続された排水管から外部に送られる。この場合の両排水管は同じものが共用され、浴槽から排出される水と浴槽側フロアから排出される水は、同じ排水管によって外部に排出される。
【0003】
そして、浴槽の排水口には、排水口を開閉するための排水栓が設けられ、防水パンの排水口には排水口を開閉するためのフロート弁が設けられている。このフロート弁は、水よりも比重の小さな材料で構成されており、排水管側から防水パン側に水が流れ込もうとしたときに、浮力によって上昇し防水パンの排水口を閉じる。このため、排水栓を開けて浴槽内の水を排出する際に、排水管に流れ出た水が防水パン側に流れ込もうとしても、フロート弁が排水口を閉じるため、防水パンへの水の浸入は防止される。また、排水管内の水が少量である場合には、フロート弁は自重によって下降し排水口が開くため防水パンに溜まった水は、排水口から排水管へと排出される。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−220797号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来の排水フロート構造では、フロート弁に水垢等の汚れが付着して、フロート弁の作動が鈍くなったり、作動しなくなったりすることがあるという問題がある。
【0006】
【発明の概要】
本発明は、上記問題に対処するためになされたもので、その目的は、汚れ等が付着しても確実に作動するフロート弁を備えた排水フロート構造を提供することである。
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明にかかる排水フロート構造の構成上の特徴は、浴槽の底部に設けられた浴槽排水口と、浴槽排水口を開閉するための排水栓と、浴槽排水口に接続され浴槽から排出される水を外部に送るための排水管と、浴槽が設置された浴槽設置部に設けられ排水管に接続された設置部排水口と、設置部排水口を開閉するためのフロート弁と、排水栓とフロート弁とを連結して連動させるための連結部材とを備え、排水栓が浴槽排水口を閉じたときにはフロート弁は設置部排水口を開き、排水栓が浴槽排水口を開いたときにはフロート弁は設置部排水口を閉じるようにしたことにある。
【0008】
前記のように構成した本発明の排水フロート構造では、浴槽排水口を開閉するための排水栓と設置部排水口を開閉するためのフロート弁とを、連結部材で連結している。そして、浴槽排水口が閉じているときには設置部排水口は開き、浴槽排水口が開いているときには設置部排水口は閉じるようにしている。この場合、排水栓が下降しているときに浴槽排水口が閉じ、フロート弁が上昇しているときに設置部排水口が閉じるようにするか、または、排水栓が上昇しているときに浴槽排水口が閉じ、フロート弁が下降しているときに設置部排水口が閉じるようにする。
【0009】
したがって、排水栓が浴槽排水口を閉じて浴槽内に水が保持された状態のときには、設置部排水口は開いているため、浴槽設置部に水が溜まっても、その水は設置部排水口から排水管を通って外部に排出される。この結果、汚れた水が溜まって浴槽設置部が汚れてしまうといったことを防止できる。
【0010】
また、排水栓が浴槽排水口から外されて浴槽排水口が開き、浴槽内の水が排出されるときには、設置部排水口は閉じている。このため、浴槽から排出される水が勢いよく排水管に流れ込み、排水管から逆流して浴槽設置部に流れ込もうとしても、その水は浴槽設置部側に流れることなく排水管を通って外部に排出される。この結果、浴槽から排出された水が浴槽設置部に流れることがなくなり、浴槽設置部に流れて溢れた水で浴室からの漏水が生じるといったことを防止できる。
【0011】
また、本発明にかかる排水フロート構造の他の構成上の特徴は、排水栓を、ケーブルを介して駆動装置および操作スイッチに接続し、操作スイッチの操作による駆動装置の駆動により排水栓およびフロート弁が作動するようにしたことにある。これによると、浴槽排水口の開閉操作が容易になる。
【0012】
また、本発明にかかる排水フロート構造のさらに他の構成上の特徴は、浴槽設置部に、排水孔が形成された目皿を設けて、排水孔で設置部排水口を構成し、フロート弁を目皿に対して進退させることにより、設置部排水口を開閉するようにしたことにある。この場合、排水管の上方に目皿が位置し、フロート弁が目皿の下方または上方で上下移動するようになる。これによると、排水管の水が浴槽設置部側に流れ込もうとすると、フロート弁が上昇または下降して目皿の排水孔を閉じるため、排水管から浴槽設置部への排水の逆流を防止することができる。
【0013】
また、本発明にかかる排水フロート構造のさらに他の構成上の特徴は、目皿およびフロート弁を、浴槽排水口と略同軸的に設置したリング状体で構成したことにある。これによると、浴槽排水口から出た水が、設置部排水口側に流れ込もうとした際、フロート弁の全体に略均一状態で浮力が付与されるようになるため、フロート弁が傾いたりすることなく安定した状態で移動するようになる。この結果、フロート弁による設置部排水口の閉塞が確実に行える。
【0014】
また、本発明にかかる排水フロート構造のさらに他の構成上の特徴は、フロート弁をシリコンゴムで構成したことにある。これによると、シリコンゴムは目皿に対して密着しやすいため、フロート弁を目皿と組み合わせて使用する場合には、目皿の排水孔を確実に閉塞することができる。また、シリコンゴムは比重が小さいため、フロート弁を設置部排水口の下方に設置した場合、フロート弁は、排水の逆流に対して敏感に作動するようになり、確実な逆流防止ができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の排水フロート構造を備えた浴槽ユニットYを示している。この浴槽ユニットYは、浴槽10を備えており、浴槽10は、本発明の浴槽設置部としての浴槽側フロア20の上面に設置されている。そして、浴槽側フロア20の長手方向に沿った一方の縁部には、洗い場側フロア30が接続されている。浴槽ユニットYを構成する浴槽10、浴槽側フロア20および洗い場側フロア30の各本体部分は、それぞれ樹脂の成形体で構成されている。
【0016】
浴槽10の上面中央には、湯を溜めるための凹部10aが設けられ、その底部に凹部10a内の湯や水を排出するための金属製の排水栓11が設けられている。そして、凹部10aの両側面には、入浴者が、浴槽10内から体を起すときの支えとして使用されるハンドグリップ12a,12bが設けられている。
【0017】
また、浴槽10の上面縁部10bにおける一方の角部に凹部10a内に湯や水を入れるための水栓13と、排水栓11を開閉操作するための押しボタン式の操作スイッチ14とが設けられている。操作スイッチ14は、図2に示したレリースケーブル15および収容ボックス(図示せず)を介して排水栓11に接続されている。収容ボックス内には、操作スイッチ14の操作に応じて、排水栓11を上下移動させるための駆動装置が収容されている。
【0018】
また、排水栓11が取り付けられた浴槽10の底部には、穴部16が設けられその穴部16に本発明の浴槽排水口を構成する円筒状の排水口部材17が固定されている。この排水口部材17は、上端部の中央部が凹部17aに形成された段付きのフランジ状に形成されており、その凹部17aに対して排水栓11が進退可能になっている。そして、排水口部材17の下部に、排水口部材17を浴槽側フロア20側に接続するための接続部材18が取り付けられている。この接続部材18の一側部には、レリースケーブル15を挿通させるための挿通筒18aが突出している。
【0019】
浴槽側フロア20における接続部材18の下方の部分には、穴部21が設けられ、この穴部21に排水口部材22が取り付けられている。この排水口部材22は、略円筒状の部材で構成されており、その上端外周部に外側に延びるフランジ状突起22aが設けられ、下端内周部に内側に延びるフランジ状突起22bが設けられている。そして、排水口部材22は、断面形状がU字状で全体形状がリング状に形成されたシール23を介して排水管24の開口部に連結されている。
【0020】
すなわち、このシール材23は、穴部21の周縁部21aに沿って、その周縁部21aの上下面および内周面を被覆するように取り付けられている。そして、シール材23の上面にフランジ状突起22aの下面が押し付けられ、シール材23の下面に排水管24の開口縁部に設けられたフランジ状突起24aが押し付けられている。また、排水口部材22の外周面と排水管24の開口部の内周面には、互いに螺合可能なねじが設けられており、このねじの螺合により、排水口部材22と排水管24とはシール材23を介して周縁部21aを挟んだ状態で固定されている。
【0021】
また、排水口部材22の内周面上部には、リング状の固定部材25を介して、略リング状の目皿26が取り付けられ、目皿26内にフロート弁27が取り付けられている。目皿26は、円筒状の内周部26aおよび外周部26bと、内周部26aおよび外周部26bの上端部間に形成された上面部26cとで構成されており、上面部26cには、図3に示すように、一定間隔で、本発明の設置部排水口である複数の排水孔28が形成されている。
【0022】
また、内周部26aの下端内周面には円周に沿ってフランジ状の小突起26dが設けられており、この小突起26dと上面部26cとの間で、図4に示したフロート弁27が上下移動可能に収容されている。なお、排水口部材22と固定部材25および固定部材25と目皿26は、それぞれねじの螺合によって互いに連結されている。
【0023】
フロート弁27は、外径が目皿26の外周部26bの内径よりもやや小さく、内径が内周部26aの外径よりもやや大きく設定されたリング状に形成され、比重が水の比重よりも小さなシリコンゴムで構成されている。また、フロート弁27の下面には、所定間隔で、本発明の連結部材である複数の略L字状の線材29が連結されており、その線材29の他端は、排水栓11の下面に連結されている。したがって、フロート弁27は、排水栓11の上下移動に連動して目皿26内で上下移動する。
【0024】
この際、フロート弁27が上昇すると、排水孔28は閉塞されて、浴槽側フロア20と排水管24とは遮断され、フロート弁27が下降すると、排水孔28は開放されて、浴槽側フロア20と排水管24とは連通する。したがって、フロート弁27が下降した状態では、浴槽側フロア20に溜まった水は排水孔28から排水管24に排出される。この排水管24は、洗い場側フロア30に設けられた排水口の下方を通過して外部に延びており、洗い場側フロア30で使用される湯や水も排水管24を通って外部に排出される。
【0025】
浴槽側フロア20と洗い場側フロア30との対向する縁部には、互いに係合できる係合片(図示せず)が上方に向って設けられており、この係合片を係合させることによって、浴槽側フロア20と洗い場側フロア30は接続されている。そして、洗い場側フロア30の所定部分に、穴部31が設けられ、この穴部31に排水口を構成する排水口部材32が取り付けられている。この排水口部材32は、排水口部材22と略同様の形状に形成されており、シール材23と同様の構成からなるシール材33を介して排水管24の上部開口部に設けられた固定部材24bにねじの螺合によって連結されている。そして、排水口部材32の下面に設けられた穴部に、水を通過させる挿通孔を有する金属製の挿通板34が着脱可能に取り付けられている。
【0026】
この構成において、入浴のために、浴槽10内に湯を入れる場合には、まず、操作スイッチ14を押して、駆動装置を作動させることにより、排水栓11を下降させる。これによって、排水栓11は、図2に実線で示した状態になり、排水口部材17は閉塞状態になる。この場合、フロート弁27も排水栓11とともに、下降して、目皿26の排水孔28は開放状態になる。ついで、水栓13の給湯操作部13aと給水操作部13bとを開閉調節して、適温の湯を凹部10a内に入れ、湯面が適当な高さになったときに給湯を停止して入浴する。
【0027】
そして、洗い場で、洗髪や体の洗浄をして、湯や水を使用した場合には、その使用後の湯や水は、排水口部材32の穴部から排水管24内に流れ、排水管24を通過して外部に排出される。また、浴槽側フロア20側に湯や水が浸入した場合には、その湯や水は、排水孔28から排水管24内に流れ、洗い場の湯や水と同様、外部に排出される。
【0028】
入浴後に、凹部10a内の湯または水を排出する場合には、再度、操作スイッチ14を押す。これによって、駆動装置が作動して、排水栓11が上昇し、図2に二点鎖線で示した状態になる。その結果、排水口部材17は開放状態になり、凹部10a内の湯または水は、排水口部材17の穴部から排水管24に流れ、排水管24を通過して外部に排出される。
【0029】
その際、多量の湯または水が一度に排水管24内に流れるため、逆流が生じて、浴槽側フロア20側に浸入しようとしても、排水孔28がフロート弁27によって閉塞されているため、浴槽側フロア20側への湯または水の浸入は防止される。この結果、浴槽10から排出される湯または水は、排水管24の形状や穴径に応じた量にしたがって徐々に排出される。そして、排水が終了すると、再度、操作スイッチ14を押す。これによって、排水栓11は閉じる。
【0030】
このように、本発明にかかる排水フロート構造では、排水栓11とフロート弁27とが線材29によって連結されているため、連動して上下移動する。したがって、フロート弁27の周囲に水垢等が溜まって付着しても、フロート弁27は、操作スイッチ14の操作による排水栓11の作動にしたがって確実に作動する。この結果、フロート弁27が作動不良を起こして浴槽側フロア20に排水が流れてしまうといったことが生じなくなる。これによって、排水の浸入により、浴槽側フロア20が汚れたり、浴室に漏水が生じたりすることを防止できる。
【0031】
また、本発明による排水フロート構造は、前述した実施形態以外についても技術的範囲内で適宜変更実施が可能である。例えば、前述した実施形態では、排水栓11が下降しているときに排水口部材17が閉塞状態になり、上昇しているときに排水口部材17が開放状態になるようにしているが、これを逆にして、排水栓11が上昇しているときに排水口部材17が閉塞状態になり、下降しているときに排水口部材17が開放状態になる構造にすることもできる。
【0032】
この場合、フロート弁27は、目皿26の上方に設置して、フロート弁27が下降しているときに排出孔28が閉塞状態になり、上昇しているときに排出孔28が開放状態になるようにする。また、この場合の線材29は、排出孔28内を挿通して目皿26の上面に延びるようにする。また、前述した実施形態では、排水栓11の開閉操作を操作スイッチ14で行うようにしているが、この開閉操作を手で行うようにすることもできる。この場合、排水栓11を引っ張るための鎖等を連結しておく。
【0033】
さらに、前述した実施形態では、連結部材を線材29で構成しているが、この連結部材としては、水を通過させる多数の孔等を有する円筒体を用いることができ、それ以外のものであっても、排水栓11と連動して移動させることのできる連結部材であれば何でも使用することができる。また、それ以外の部材についても同様の作用効果を奏することのできるものであれば置き換えて使用したり設計変更したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による排水フロート構造を備えた浴槽ユニットを示した斜視図である。
【図2】排水フロート構造を示した縦断面図である。
【図3】目皿を示した斜視図である。
【図4】フロート弁を示した斜視図である。
【符号の説明】
10…浴槽、11…排水栓、14…操作スイッチ、15…レリースケーブル、16,21…穴部、17,22…排水口部材、20…浴槽側フロア、24…排水管、26…目皿、27…フロート弁、28…排水孔、29…線材。
【発明の属する技術分野】
本発明は、浴槽と浴槽を設置するための浴槽設置部の間に設けられ、浴槽からの排水が浴槽設置部に逆流することを防止するための排水フロート構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ユニット型の浴槽の中には、浴槽側フロア等の浴槽設置用の防水パンの上面に浴槽を設置し、浴槽と浴槽側フロアとに排水のための排水フロート構造を設けたものがある(例えば、特許文献1)。このような浴室ユニットでは、浴槽の底部には、浴槽内の水を排出するための排水口が設けられており、この排水口から排出される水は排水口に接続された排水管から外部に送られる。また、浴槽側フロアには、浴槽側フロアに溜まる水を排出するための排水口が設けられており、この排水口から排出される水は排水口に接続された排水管から外部に送られる。この場合の両排水管は同じものが共用され、浴槽から排出される水と浴槽側フロアから排出される水は、同じ排水管によって外部に排出される。
【0003】
そして、浴槽の排水口には、排水口を開閉するための排水栓が設けられ、防水パンの排水口には排水口を開閉するためのフロート弁が設けられている。このフロート弁は、水よりも比重の小さな材料で構成されており、排水管側から防水パン側に水が流れ込もうとしたときに、浮力によって上昇し防水パンの排水口を閉じる。このため、排水栓を開けて浴槽内の水を排出する際に、排水管に流れ出た水が防水パン側に流れ込もうとしても、フロート弁が排水口を閉じるため、防水パンへの水の浸入は防止される。また、排水管内の水が少量である場合には、フロート弁は自重によって下降し排水口が開くため防水パンに溜まった水は、排水口から排水管へと排出される。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−220797号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来の排水フロート構造では、フロート弁に水垢等の汚れが付着して、フロート弁の作動が鈍くなったり、作動しなくなったりすることがあるという問題がある。
【0006】
【発明の概要】
本発明は、上記問題に対処するためになされたもので、その目的は、汚れ等が付着しても確実に作動するフロート弁を備えた排水フロート構造を提供することである。
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明にかかる排水フロート構造の構成上の特徴は、浴槽の底部に設けられた浴槽排水口と、浴槽排水口を開閉するための排水栓と、浴槽排水口に接続され浴槽から排出される水を外部に送るための排水管と、浴槽が設置された浴槽設置部に設けられ排水管に接続された設置部排水口と、設置部排水口を開閉するためのフロート弁と、排水栓とフロート弁とを連結して連動させるための連結部材とを備え、排水栓が浴槽排水口を閉じたときにはフロート弁は設置部排水口を開き、排水栓が浴槽排水口を開いたときにはフロート弁は設置部排水口を閉じるようにしたことにある。
【0008】
前記のように構成した本発明の排水フロート構造では、浴槽排水口を開閉するための排水栓と設置部排水口を開閉するためのフロート弁とを、連結部材で連結している。そして、浴槽排水口が閉じているときには設置部排水口は開き、浴槽排水口が開いているときには設置部排水口は閉じるようにしている。この場合、排水栓が下降しているときに浴槽排水口が閉じ、フロート弁が上昇しているときに設置部排水口が閉じるようにするか、または、排水栓が上昇しているときに浴槽排水口が閉じ、フロート弁が下降しているときに設置部排水口が閉じるようにする。
【0009】
したがって、排水栓が浴槽排水口を閉じて浴槽内に水が保持された状態のときには、設置部排水口は開いているため、浴槽設置部に水が溜まっても、その水は設置部排水口から排水管を通って外部に排出される。この結果、汚れた水が溜まって浴槽設置部が汚れてしまうといったことを防止できる。
【0010】
また、排水栓が浴槽排水口から外されて浴槽排水口が開き、浴槽内の水が排出されるときには、設置部排水口は閉じている。このため、浴槽から排出される水が勢いよく排水管に流れ込み、排水管から逆流して浴槽設置部に流れ込もうとしても、その水は浴槽設置部側に流れることなく排水管を通って外部に排出される。この結果、浴槽から排出された水が浴槽設置部に流れることがなくなり、浴槽設置部に流れて溢れた水で浴室からの漏水が生じるといったことを防止できる。
【0011】
また、本発明にかかる排水フロート構造の他の構成上の特徴は、排水栓を、ケーブルを介して駆動装置および操作スイッチに接続し、操作スイッチの操作による駆動装置の駆動により排水栓およびフロート弁が作動するようにしたことにある。これによると、浴槽排水口の開閉操作が容易になる。
【0012】
また、本発明にかかる排水フロート構造のさらに他の構成上の特徴は、浴槽設置部に、排水孔が形成された目皿を設けて、排水孔で設置部排水口を構成し、フロート弁を目皿に対して進退させることにより、設置部排水口を開閉するようにしたことにある。この場合、排水管の上方に目皿が位置し、フロート弁が目皿の下方または上方で上下移動するようになる。これによると、排水管の水が浴槽設置部側に流れ込もうとすると、フロート弁が上昇または下降して目皿の排水孔を閉じるため、排水管から浴槽設置部への排水の逆流を防止することができる。
【0013】
また、本発明にかかる排水フロート構造のさらに他の構成上の特徴は、目皿およびフロート弁を、浴槽排水口と略同軸的に設置したリング状体で構成したことにある。これによると、浴槽排水口から出た水が、設置部排水口側に流れ込もうとした際、フロート弁の全体に略均一状態で浮力が付与されるようになるため、フロート弁が傾いたりすることなく安定した状態で移動するようになる。この結果、フロート弁による設置部排水口の閉塞が確実に行える。
【0014】
また、本発明にかかる排水フロート構造のさらに他の構成上の特徴は、フロート弁をシリコンゴムで構成したことにある。これによると、シリコンゴムは目皿に対して密着しやすいため、フロート弁を目皿と組み合わせて使用する場合には、目皿の排水孔を確実に閉塞することができる。また、シリコンゴムは比重が小さいため、フロート弁を設置部排水口の下方に設置した場合、フロート弁は、排水の逆流に対して敏感に作動するようになり、確実な逆流防止ができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の排水フロート構造を備えた浴槽ユニットYを示している。この浴槽ユニットYは、浴槽10を備えており、浴槽10は、本発明の浴槽設置部としての浴槽側フロア20の上面に設置されている。そして、浴槽側フロア20の長手方向に沿った一方の縁部には、洗い場側フロア30が接続されている。浴槽ユニットYを構成する浴槽10、浴槽側フロア20および洗い場側フロア30の各本体部分は、それぞれ樹脂の成形体で構成されている。
【0016】
浴槽10の上面中央には、湯を溜めるための凹部10aが設けられ、その底部に凹部10a内の湯や水を排出するための金属製の排水栓11が設けられている。そして、凹部10aの両側面には、入浴者が、浴槽10内から体を起すときの支えとして使用されるハンドグリップ12a,12bが設けられている。
【0017】
また、浴槽10の上面縁部10bにおける一方の角部に凹部10a内に湯や水を入れるための水栓13と、排水栓11を開閉操作するための押しボタン式の操作スイッチ14とが設けられている。操作スイッチ14は、図2に示したレリースケーブル15および収容ボックス(図示せず)を介して排水栓11に接続されている。収容ボックス内には、操作スイッチ14の操作に応じて、排水栓11を上下移動させるための駆動装置が収容されている。
【0018】
また、排水栓11が取り付けられた浴槽10の底部には、穴部16が設けられその穴部16に本発明の浴槽排水口を構成する円筒状の排水口部材17が固定されている。この排水口部材17は、上端部の中央部が凹部17aに形成された段付きのフランジ状に形成されており、その凹部17aに対して排水栓11が進退可能になっている。そして、排水口部材17の下部に、排水口部材17を浴槽側フロア20側に接続するための接続部材18が取り付けられている。この接続部材18の一側部には、レリースケーブル15を挿通させるための挿通筒18aが突出している。
【0019】
浴槽側フロア20における接続部材18の下方の部分には、穴部21が設けられ、この穴部21に排水口部材22が取り付けられている。この排水口部材22は、略円筒状の部材で構成されており、その上端外周部に外側に延びるフランジ状突起22aが設けられ、下端内周部に内側に延びるフランジ状突起22bが設けられている。そして、排水口部材22は、断面形状がU字状で全体形状がリング状に形成されたシール23を介して排水管24の開口部に連結されている。
【0020】
すなわち、このシール材23は、穴部21の周縁部21aに沿って、その周縁部21aの上下面および内周面を被覆するように取り付けられている。そして、シール材23の上面にフランジ状突起22aの下面が押し付けられ、シール材23の下面に排水管24の開口縁部に設けられたフランジ状突起24aが押し付けられている。また、排水口部材22の外周面と排水管24の開口部の内周面には、互いに螺合可能なねじが設けられており、このねじの螺合により、排水口部材22と排水管24とはシール材23を介して周縁部21aを挟んだ状態で固定されている。
【0021】
また、排水口部材22の内周面上部には、リング状の固定部材25を介して、略リング状の目皿26が取り付けられ、目皿26内にフロート弁27が取り付けられている。目皿26は、円筒状の内周部26aおよび外周部26bと、内周部26aおよび外周部26bの上端部間に形成された上面部26cとで構成されており、上面部26cには、図3に示すように、一定間隔で、本発明の設置部排水口である複数の排水孔28が形成されている。
【0022】
また、内周部26aの下端内周面には円周に沿ってフランジ状の小突起26dが設けられており、この小突起26dと上面部26cとの間で、図4に示したフロート弁27が上下移動可能に収容されている。なお、排水口部材22と固定部材25および固定部材25と目皿26は、それぞれねじの螺合によって互いに連結されている。
【0023】
フロート弁27は、外径が目皿26の外周部26bの内径よりもやや小さく、内径が内周部26aの外径よりもやや大きく設定されたリング状に形成され、比重が水の比重よりも小さなシリコンゴムで構成されている。また、フロート弁27の下面には、所定間隔で、本発明の連結部材である複数の略L字状の線材29が連結されており、その線材29の他端は、排水栓11の下面に連結されている。したがって、フロート弁27は、排水栓11の上下移動に連動して目皿26内で上下移動する。
【0024】
この際、フロート弁27が上昇すると、排水孔28は閉塞されて、浴槽側フロア20と排水管24とは遮断され、フロート弁27が下降すると、排水孔28は開放されて、浴槽側フロア20と排水管24とは連通する。したがって、フロート弁27が下降した状態では、浴槽側フロア20に溜まった水は排水孔28から排水管24に排出される。この排水管24は、洗い場側フロア30に設けられた排水口の下方を通過して外部に延びており、洗い場側フロア30で使用される湯や水も排水管24を通って外部に排出される。
【0025】
浴槽側フロア20と洗い場側フロア30との対向する縁部には、互いに係合できる係合片(図示せず)が上方に向って設けられており、この係合片を係合させることによって、浴槽側フロア20と洗い場側フロア30は接続されている。そして、洗い場側フロア30の所定部分に、穴部31が設けられ、この穴部31に排水口を構成する排水口部材32が取り付けられている。この排水口部材32は、排水口部材22と略同様の形状に形成されており、シール材23と同様の構成からなるシール材33を介して排水管24の上部開口部に設けられた固定部材24bにねじの螺合によって連結されている。そして、排水口部材32の下面に設けられた穴部に、水を通過させる挿通孔を有する金属製の挿通板34が着脱可能に取り付けられている。
【0026】
この構成において、入浴のために、浴槽10内に湯を入れる場合には、まず、操作スイッチ14を押して、駆動装置を作動させることにより、排水栓11を下降させる。これによって、排水栓11は、図2に実線で示した状態になり、排水口部材17は閉塞状態になる。この場合、フロート弁27も排水栓11とともに、下降して、目皿26の排水孔28は開放状態になる。ついで、水栓13の給湯操作部13aと給水操作部13bとを開閉調節して、適温の湯を凹部10a内に入れ、湯面が適当な高さになったときに給湯を停止して入浴する。
【0027】
そして、洗い場で、洗髪や体の洗浄をして、湯や水を使用した場合には、その使用後の湯や水は、排水口部材32の穴部から排水管24内に流れ、排水管24を通過して外部に排出される。また、浴槽側フロア20側に湯や水が浸入した場合には、その湯や水は、排水孔28から排水管24内に流れ、洗い場の湯や水と同様、外部に排出される。
【0028】
入浴後に、凹部10a内の湯または水を排出する場合には、再度、操作スイッチ14を押す。これによって、駆動装置が作動して、排水栓11が上昇し、図2に二点鎖線で示した状態になる。その結果、排水口部材17は開放状態になり、凹部10a内の湯または水は、排水口部材17の穴部から排水管24に流れ、排水管24を通過して外部に排出される。
【0029】
その際、多量の湯または水が一度に排水管24内に流れるため、逆流が生じて、浴槽側フロア20側に浸入しようとしても、排水孔28がフロート弁27によって閉塞されているため、浴槽側フロア20側への湯または水の浸入は防止される。この結果、浴槽10から排出される湯または水は、排水管24の形状や穴径に応じた量にしたがって徐々に排出される。そして、排水が終了すると、再度、操作スイッチ14を押す。これによって、排水栓11は閉じる。
【0030】
このように、本発明にかかる排水フロート構造では、排水栓11とフロート弁27とが線材29によって連結されているため、連動して上下移動する。したがって、フロート弁27の周囲に水垢等が溜まって付着しても、フロート弁27は、操作スイッチ14の操作による排水栓11の作動にしたがって確実に作動する。この結果、フロート弁27が作動不良を起こして浴槽側フロア20に排水が流れてしまうといったことが生じなくなる。これによって、排水の浸入により、浴槽側フロア20が汚れたり、浴室に漏水が生じたりすることを防止できる。
【0031】
また、本発明による排水フロート構造は、前述した実施形態以外についても技術的範囲内で適宜変更実施が可能である。例えば、前述した実施形態では、排水栓11が下降しているときに排水口部材17が閉塞状態になり、上昇しているときに排水口部材17が開放状態になるようにしているが、これを逆にして、排水栓11が上昇しているときに排水口部材17が閉塞状態になり、下降しているときに排水口部材17が開放状態になる構造にすることもできる。
【0032】
この場合、フロート弁27は、目皿26の上方に設置して、フロート弁27が下降しているときに排出孔28が閉塞状態になり、上昇しているときに排出孔28が開放状態になるようにする。また、この場合の線材29は、排出孔28内を挿通して目皿26の上面に延びるようにする。また、前述した実施形態では、排水栓11の開閉操作を操作スイッチ14で行うようにしているが、この開閉操作を手で行うようにすることもできる。この場合、排水栓11を引っ張るための鎖等を連結しておく。
【0033】
さらに、前述した実施形態では、連結部材を線材29で構成しているが、この連結部材としては、水を通過させる多数の孔等を有する円筒体を用いることができ、それ以外のものであっても、排水栓11と連動して移動させることのできる連結部材であれば何でも使用することができる。また、それ以外の部材についても同様の作用効果を奏することのできるものであれば置き換えて使用したり設計変更したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による排水フロート構造を備えた浴槽ユニットを示した斜視図である。
【図2】排水フロート構造を示した縦断面図である。
【図3】目皿を示した斜視図である。
【図4】フロート弁を示した斜視図である。
【符号の説明】
10…浴槽、11…排水栓、14…操作スイッチ、15…レリースケーブル、16,21…穴部、17,22…排水口部材、20…浴槽側フロア、24…排水管、26…目皿、27…フロート弁、28…排水孔、29…線材。
Claims (5)
- 浴槽の底部に設けられた浴槽排水口と、前記浴槽排水口を開閉するための排水栓と、前記浴槽排水口に接続され前記浴槽から排出される水を外部に送るための排水管と、前記浴槽が設置された浴槽設置部に設けられ前記排水管に接続された設置部排水口と、前記設置部排水口を開閉するためのフロート弁と、前記排水栓と前記フロート弁とを連結して連動させるための連結部材とを備え、前記排水栓が前記浴槽排水口を閉じたときには前記フロート弁は前記設置部排水口を開き、前記排水栓が前記浴槽排水口を開いたときには前記フロート弁は前記設置部排水口を閉じるようにしたことを特徴とする排水フロート構造。
- 前記排水栓を、ケーブルを介して駆動装置および操作スイッチに接続し、前記操作スイッチの操作による前記駆動装置の駆動により前記排水栓および前記フロート弁が作動するようにした請求項1に記載の排水フロート構造。
- 前記浴槽設置部に、排水孔が形成された目皿を設けて、前記排水孔で前記設置部排水口を構成し、前記フロート弁を前記目皿に対して進退させることにより、前記設置部排水口を開閉するようにした請求項1または2に記載の排水フロート構造。
- 前記目皿および前記フロート弁を、前記浴槽排水口と略同軸的に設置したリング状体で構成した請求項3に記載の排水フロート構造。
- 前記フロート弁をシリコンゴムで構成した請求項1ないし4のうちのいずれか一つに記載の排水フロート構造。
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JP2004278140A (ja) * | 2003-03-17 | 2004-10-07 | Maruichi Kk | 排水目皿 |
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-
2002
- 2002-11-21 JP JP2002337452A patent/JP2004169439A/ja active Pending
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JP4517055B2 (ja) * | 2003-03-17 | 2010-08-04 | 丸一株式会社 | 排水目皿 |
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