JP2004168789A - 熱膨張性マイクロカプセル及び発泡性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】発泡開始温度が135℃以上であり、熱膨張性マイクロカプセルを最大発泡温度で膨張させたときに30〜60μmのマイクロカプセルから200〜300μmの異常に大きな熱膨張済みマイクロカプセルが生じないこと。
【解決手段】シェルポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる揮発性膨張剤がシェルポリマーに内包されている熱膨張性マイクロカプセルであって、シェルポリマーはニトリル系モノマー80重量%以上、非ニトリル系モノマー20重量%以下からなるビニル系モノマーをビニル系モノマーと架橋剤の合計量に対して0.1〜1重量%の四官能以上またはオリゴマー状の架橋剤の存在下で重合させたポリマーであって、平均粒子径が15〜30μmであり60μm以上のマイクロカプセルが存在しないことを特徴とする熱膨張性マイクロカプセル。
【選択図】 なし
【解決手段】シェルポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる揮発性膨張剤がシェルポリマーに内包されている熱膨張性マイクロカプセルであって、シェルポリマーはニトリル系モノマー80重量%以上、非ニトリル系モノマー20重量%以下からなるビニル系モノマーをビニル系モノマーと架橋剤の合計量に対して0.1〜1重量%の四官能以上またはオリゴマー状の架橋剤の存在下で重合させたポリマーであって、平均粒子径が15〜30μmであり60μm以上のマイクロカプセルが存在しないことを特徴とする熱膨張性マイクロカプセル。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡開始温度に達するといっせいに膨張を開始し、均一な大きさの熱膨張済みマイクロカプセルを与える熱膨張性マイクロカプセル、およびこれを含有する発泡性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
シェルポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる揮発性膨張剤が熱可塑性シェルポリマーの中に内包されている熱膨張性マイクロカプセルは特許文献1に記載のとおり既知である。
【0003】
特許文献1には、低沸点の脂肪族炭化水素などの揮発性膨張剤をモノマーと混合した油性混合液を、油溶性重合触媒とともに分散剤を含有する水系分散媒体中に攪拌しながら添加し懸濁重合をおこなうことにより熱膨張性マイクロカプセルを製造することができることが開示されている。しかしながらこの方法では耐熱性と耐溶剤性に優れた熱膨張性マイクロカプセルを得ることは出来ず、80〜130℃程度の比較的低温で熱膨張させることができるものの、高温あるいは長時間加熱すると膨張したマイクロカプセルが収縮してしまい発泡倍率が低下するといった欠点を有していた。
【0004】
一方、特許文献2には、ニトリル系モノマー80〜97重量%、非ニトリル系モノマー20〜3重量%および三官能性架橋剤0.1〜1重量%を含有する重合成分から得られるポリマーを用いて、揮発性膨張剤を内包させた熱膨張性マイクロカプセルを製造する方法が記載されている。また、特許文献3には、ニトリル系モノマー80重量%以上、非ニトリル系モノマー20重量%以下および架橋剤0.1〜1重量%を含有する重合成分から得られるポリマーを用いて、揮発性膨張剤を内包させた熱膨張性マイクロカプセルにおいて、非ニトリル系モノマーがメタクリル酸エステル類またはアクリル酸エステル類である熱膨張性マイクロカプセルが記載されている。これらの方法によって得られる熱膨張性マイクロカプセルは、従来のマイクロカプセルに比べ耐熱性に優れ140℃以下では発泡しないと記載されているが、実際には130〜140℃で1分程度加熱を続けると一部のマイクロカプセルが熱膨張してしまうものであった。
【0005】
したがって、耐熱性が高く、発泡開始温度に達するといっせいに発泡を開始して均一な大きさの熱膨張済みマイクロカプセルを与える熱膨張性マイクロカプセルが望まれていた。
【0006】
【特許文献1】
特公昭42−26524号公報
【0007】
【特許文献2】
特公平5−15499号公報
【0008】
【特許文献3】
特許2894990号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
熱膨張性マイクロカプセルに関する本発明の目的は、耐熱性が高く、発泡開始温度に達するといっせいに発泡を開始する熱膨張性マイクロカプセルを提供することである。また、耐熱性が高く、均一な大きさの熱膨張済みマイクロカプセルを与える熱膨張性マイクロカプセルを提供することである。
【0010】
熱膨張性マイクロカプセルを樹脂に含有させた発泡性樹脂組成物も広く利用されている。たとえば、発泡壁紙を製造する場合において発泡工程に先立ち発泡開始温度よりも低い温度で行われる加熱乾燥工程で熱膨張性マイクロカプセルの一部が熱膨張してしまい樹脂表面が荒れてしまうため絵柄をきれいに印刷しにくいといった問題があった。発泡壁紙の印刷絵柄の美しさは200〜300μm程度の大きさの膨張済みマイクロカプセルが樹脂表面を荒らすことで特に損なわれる。しかしながら、発泡壁紙に用いられる熱膨張済みマイクロカプセルは通常せいぜい100μm程度の大きさに熱膨張するよう設計されており発泡倍率が異常に大きい膨張済みマイクロカプセルが生じる原因は不明であった。
【0011】
したがって、発泡性樹脂組成物に関する本発明の目的は、発泡開始温度に達するまでは熱膨張性マイクロカプセルは膨張せず、発泡開始温度に達すると熱膨張性マイクロカプセルがいっせいに膨張を開始して発泡体となる発泡性樹脂組成物であって、異常に大きな発泡倍率の発泡セルのない均一な発泡体となる発泡性樹脂組成物を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の熱膨張性マイクロカプセルは、シェルポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる揮発性膨張剤がシェルポリマーに内包されている熱膨張性マイクロカプセルであって、平均粒子径が15〜30μmであり60μm以上のマイクロカプセルが存在せず、発泡開始温度が135℃以上である。
【0013】
本発明の熱膨張性マイクロカプセルは、好ましくは熱張性マイクロカプセルを最大発泡温度で膨張させたときに30〜60μmのマイクロカプセルから200〜300μmの熱膨張済みマイクロカプセルが生じない。
【0014】
本発明の熱膨張性マイクロカプセルは、好ましくはシェルポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる揮発性膨張剤がシェルポリマーに内包されている熱膨張性マイクロカプセルであって、シェルポリマーはニトリル系モノマー80重量%以上、非ニトリル系モノマー20重量%以下からなるビニル系モノマーをビニル系モノマーと架橋剤の合計量に対して0.1〜1重量%の四官能以上またはオリゴマー状の架橋剤の存在下で重合させたポリマーである。粒径が30〜60μmのマイクロカプセルは破裂せず異常に大きな熱膨張済みマイクロカプセルになる場合があるが本組成とすれば異常膨張を効果的に抑制することができ好ましい。
【0015】
本発明に使用するニトリル系モノマーとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマロニトリルまたはこれらの任意の混合物等があげられるが、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルが特に好ましい。ビニル系モノマーに占めるニトリル系モノマーの割合は80重量%以上であり、より好ましくは90〜97重量%である。80重量%未満では、耐溶剤性が低くまた高温で十分に熱膨張させることができない。
【0016】
非ニトリル系モノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、ジシクロペンテニルアクリレート等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、イソボルニルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニルなどがあげられる。これらのなかでもメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチル、酢酸ビニルが特に好ましい。ビニル系モノマーに占める非ニトリル系モノマーの割合は20重量%以下であり、好ましくは10〜3重量%である。特に、酢酸ビニルを含有する場合はビニル系モノマーに占める酢酸ビニルモノマーの割合が1%以下であることが好ましい。1%以下であると異常に大きな熱膨張済みマイクロカプセルの発生を効果的に抑制できる。
【0017】
四官能以上の架橋剤としては、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等が挙げられる。オリゴマー状の架橋剤としては数平均分子量200〜600のポリオキシエチレンジアクリレート、数平均分子量200〜600のポリオキシエチレンジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート等が挙げられる。なお、架橋剤とビニル系モノマーの合計量に対して1重量%以下であって0.18重量%以上とすることが好ましい。0.18重量%以上であると異常に大きな熱膨張済みマイクロカプセルの発生を効果的に抑制できる。
【0018】
マイクロカプセルのシェルポリマーは架橋剤を含むビニル系モノマーを重合させることにより得られる。なお、重合にあたって必要に応じて重合開始剤を配合してもよい。
重合開始剤としては特に限定されないが、ビニル系モノマーに可溶な油溶性重合開始剤が特に好ましい。例えば、過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、アゾ化合物などが挙げられる。より具体的には、メチルエチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなどの過酸化ジアルキル;イソブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイドなどの過酸化ジアシル;t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、(α,α−ビス−ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼンなどのパーオキシエステル;ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピル−オキシジカーボネート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルエチルパーオキシ)ジカーボネート、ジ−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−エメトキシブチルパーオキシ)ジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート;2、2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1′−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)などのアゾ化合物;などが挙げられる。
【0019】
マイクロカプセル内に包含される揮発性膨張剤はシェルポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる物質であり、低沸点有機溶剤が好適である。例えば、エタン、エチレン、プパン、プロペン、n−ブタン、イソブタン、ブテン、イソブテン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n−へキサン、ヘプタン、石油エーテルなどの低分子量炭化水素;CCL3F、CCl2F2、CClF3、CClF2−CCl2F2等のクロロフルオロカーボン;テトラメチルシラン、トリメチルエチルシラン、トリメチルイソプロピルシラン、トリメチル−n−プロピルシランなどのテトラアルキルシランなどが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、イソブタン、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−へキサン、石油エーテル、およびこれらの二種以上の混合物が好ましい。また、加熱により熱分解してガス状になる熱分解型化合物であってもよい。
【0020】
シェルポリマーに揮発性膨張剤を内包させる方法は特に限定されない。好適な方法としては、例えば特公昭42−26524号公報に記載のように、ビニル系モノマーと架橋剤の混合物に揮発性膨張剤および重合開始剤を加えた油性混合液を、分散安定剤等を含む水性媒体中に分散させて懸濁重合させる方法があげられる。
【0021】
懸濁重合は、通常、分散安定剤を含有する水性分散媒体中で行われる。分散安定剤としては、例えば、シリカ、リン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化第二鉄、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、蓚酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。この他に補助安定剤、例えば、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸の縮合生成物、尿素とホルムアルデヒドとの縮合生成物、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ゼラチン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ジオクチルスルホサクシネート、ソルビタンエステル、各種乳化剤等を使用することができる。分散安定剤は、ビニル系モノマー100重量部に対して、0.1〜20重量部の割合で使用することが好ましい。
【0022】
分散安定剤を含有する水性分散媒体は、分散安定剤や補助安定剤を脱イオン水に配合して調製する。重合時の水相のpHは、使用する分散安定剤や補助安定剤の種類によって適宜決められる。例えば、分散安定剤としてコロイダルシリカなどのシリカを使用する場合は、酸性環境下で重合がおこなわれる。水性媒体を酸性にするには、塩酸等必要に応じて酸を加えて、系のpHを3〜4に調製する。水酸化マグネシウムまたはリン酸カルシウムを使用する場合は、アルカリ性環境下で重合させる。
【0023】
好ましい組み合わせの一つとして、コロイダルシリカと縮合生成物の組み合わせがある。縮合生成物は、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸の縮合生成物が好ましく、特にジエタノールアミンとアジピン酸の縮合物やジエタノールアミンとイタコン酸の縮合生成物が好ましい。さらに塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩を添加すると、より均一な粒子形状を有する熱膨張性マイクロカプセルが得られやすくなる。コロイダルシリカの割合は、ビニル系モノマー100重量部に対して、1〜20重量部、好ましくは2〜10重量部の割合が好ましい。縮合生成物は、ビニル系モノマー100重量部に対して、0.05〜2重量部の割合が好ましい。無機塩は、ビニル系モノマー100重量部に対して、0〜100重量部の割合が好ましい。
【0024】
他の好ましい組み合わせは、コロイダルシリカと水溶性窒素含有化合物の組み合わせが挙げられる。水溶性窒素含有化合物の例としては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリジメチルアミノエチルメタクリレートやポリジメチルアミノエチルアクリレートに代表されるポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ポリジメチルアミノプロピルアクリルアミドやポリジメチルアミノプロピルメタクリルアミドに代表されるポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリカチオン性アクリルアミド、ポリアミンサルフォン、ポリアリルアミンが挙げられる。これらのなかでもコロイダルシリカとポリビニルピロリドンが好適に用いられる。他の好ましい組み合わせには、水酸化マグネシウム及び/またはリン酸カルシウムと乳化剤との組み合わせがある。
【0025】
熱膨張性マイクロカプセルの平均粒子径は、たとえば、ビニル系モノマーに対するコロイダルシリカの割合を一定に保ち、ポリビニルピロリドンの割合を増減させることで調製することができる。
【0026】
水性分散媒体に各成分を添加する順序は、任意であるが、通常は重合反応容器に、水と分散安定剤、必要に応じて安定助剤を加えて、分散安定剤を含有する水性分散媒体を調製する。また、必要に応じて亜硝酸アルカリ金属塩、塩化第一スズ、塩化第二スズ、重クロム酸カリウム等を加えてもよい。ビニル系モノマーおよび揮発性膨張剤は、別々に水性分散媒体に加えて、水性分散媒体中で油性混合液を形成してもよいが、通常は、予め両者を混合してから、水性分散媒体に加える。重合開始剤は、予め上記油性混合液に加えてもよいが、水性分散媒体と油性混合液を重合反応容器内で攪拌混合した後加えてもよい。また、油性混合液と水性分散媒体をあらかじめ別々の容器で調製しておき、ついで別の容器で攪拌しながら混合して油性混合液を水性分散媒体に分散させた後、重合反応容器に加えても良い。
【0027】
また、油性混合液を水系分散媒体に所定の粒子径で乳化分散させる方法としてはホモミキサー(例えば特殊機化工業株式会社製)などにより攪拌する方法や、ラインミキサーやエレメント式静止型分散器などの静止型分散装置を通過させる方法などがあげられる。静止型分散装置には水系分散媒体と重合性混合物を別々に供給してもよいし、あらかじめ攪拌しながら混合した分散液を供給してもよい。
【0028】
本発明の熱膨張性マイクロカプセルの平均粒子径は15〜30μmである。懸濁重合により得られる熱膨張性マイクロカプセルの平均粒子径が15〜20μmの範囲内であれば通常60μm以上のマイクロカプセルは生成せず存在しない。一方、平均粒子径が21〜30μmの範囲内にあると60μm以上のマイクロカプセルが全体の1重量%以下ではあるが存在する場合が多い。したがって、平均粒子径が大きい熱膨張性マイクロカプセルで60μm以上の粒子がある場合、例えば250メッシュ(目開き60μm)のふるいを通過させるなどの方法で60μm以上のマイクロカプセルを取り除かなければならない。
【0029】
【実施例】
実施例1
表1に記載した割合で調製した油性混合液および水性分散媒体をエレメント式静止型分散器内に供給して乳化させた後、窒素置換した容量20Lの加圧重合反応容器内へ供し0.2MPaの圧力で加圧しながら60℃で20時間反応させた。ついで、ろ過と水洗いを繰り返したのち乾燥させて平均粒子径が17μmの熱膨張性マイクロカプセルを得た。熱膨張性マイクロカプセルの粒子径分布を測定したが60μm以上のマイクロカプセルは存在しなかった。
また、得られた熱膨張性マイクロカプセルをエチレン/酢酸ビニル共重合体エマルジョンに加えた発泡性樹脂組成物を紙基材に薄くコーティングしたあと、140℃に加熱して熱膨張済みマイクロカプセルにより樹脂表面に荒れが生じるか観察した。また、発泡開始温度以上の任意の温度で加熱し各加熱条件における発泡性樹脂組成物の発泡倍率(発泡前後の塗膜厚の増加倍率)を測定した。
結果は表1に示した。
【0030】
実施例2
表1に示したとおり実施例1の割合と比べて分散剤量が少なくしたこと以外は実施例1と同様にして熱膨張性マイクロカプセルを得た。得られた熱膨張性マイクロカプセルは平均粒子径が28μmであり、粒子径分布を測定したところ60μm以上のマイクロカプセルが全体の0.8重量%存在していた。そこで、250メッシュのふるいを通過させ60μm以上のマイクロカプセルを除去した。評価結果は表1に示した。
【0031】
実施例3
表1に示したとおり実施例1の割合と比べて分散剤量が少なくしたこと以外は実施例1と同様にして熱膨張性マイクロカプセルを得た。得られた熱膨張性マイクロカプセルは平均粒子径が26μmであり、粒子径分布を測定したところ60μm以上のマイクロカプセルが全体の0.8重量%存在していた。そこで、250メッシュのふるいを通過させ60μm以上のマイクロカプセルを除去した。評価結果は表1に示した。
【0032】
比較例1
実施例3で得られたふるいを通過させる前の熱膨張性マイクロカプセルを用いた。評価結果は表1に示した。なお、熱膨張性マイクロカプセルを加熱して熱膨張させたところ200〜300μmに膨張したマイクロカプセルが多数観察された。
【0033】
比較例2
表1に示したとおり実施例1の割合と比べて分散剤量を多くしたこと以外は実施例1と同様にして熱膨張性マイクロカプセルを得た。得られた熱膨張性マイクロカプセルは平均粒子径が22μmであり、60μm以上の粒子が0.3重量%存在していた。評価結果は表1に示した。なお、熱膨張性マイクロカプセルを加熱して熱膨張させたところ200〜300μmに膨張したマイクロカプセルが多数観察された。
【0034】
比較例3
表1に示したとおり実施例1の割合と比べて分散剤量を多くしたこと以外は実施例1と同様にして熱膨張性マイクロカプセルを得た。得られた熱膨張性マイクロカプセルは平均粒子径が24μmであり、60μm以上の粒子が0.6重量%存在していた。そこで、250メッシュのふるいを通過させ60μm以上のマイクロカプセルを除去した。評価結果は表1に示した。なお、熱膨張性マイクロカプセルを加熱して熱膨張させたところ少量であるが200〜300μmに膨張したマイクロカプセルが観察された。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】
本発明の熱膨張性マイクロカプセルは、高温にさらされた膨張済みマイクロカプセルが収縮しにくく耐熱性が高い。また、発泡開始温度付近まで加熱しても膨張せず、発泡開始温度に達するといっせいに発泡を開始する。また、均一な大きさの熱膨張済みマイクロカプセルが得られる。
【0037】
また、本発明の発泡性樹脂組成物は、発泡させることなく発泡工程に先立って発泡開始温度付近まで加熱することができる。また、異常に大きな発泡倍率の発泡セルがなく均一な発泡体が得られる。また、発泡工程に先立って発泡性樹脂組成物を加熱しても樹脂表面が荒らされることがない。
【0038】
また、本発明の発泡性樹脂組成物が発泡壁紙である場合は、発泡工程に先立つ加熱乾燥工程の加熱温度を発泡温度付近まで高めることができ乾燥が容易になる。また、表面に絵柄を印刷する場合であっても美しさを損なうことがない。
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡開始温度に達するといっせいに膨張を開始し、均一な大きさの熱膨張済みマイクロカプセルを与える熱膨張性マイクロカプセル、およびこれを含有する発泡性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
シェルポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる揮発性膨張剤が熱可塑性シェルポリマーの中に内包されている熱膨張性マイクロカプセルは特許文献1に記載のとおり既知である。
【0003】
特許文献1には、低沸点の脂肪族炭化水素などの揮発性膨張剤をモノマーと混合した油性混合液を、油溶性重合触媒とともに分散剤を含有する水系分散媒体中に攪拌しながら添加し懸濁重合をおこなうことにより熱膨張性マイクロカプセルを製造することができることが開示されている。しかしながらこの方法では耐熱性と耐溶剤性に優れた熱膨張性マイクロカプセルを得ることは出来ず、80〜130℃程度の比較的低温で熱膨張させることができるものの、高温あるいは長時間加熱すると膨張したマイクロカプセルが収縮してしまい発泡倍率が低下するといった欠点を有していた。
【0004】
一方、特許文献2には、ニトリル系モノマー80〜97重量%、非ニトリル系モノマー20〜3重量%および三官能性架橋剤0.1〜1重量%を含有する重合成分から得られるポリマーを用いて、揮発性膨張剤を内包させた熱膨張性マイクロカプセルを製造する方法が記載されている。また、特許文献3には、ニトリル系モノマー80重量%以上、非ニトリル系モノマー20重量%以下および架橋剤0.1〜1重量%を含有する重合成分から得られるポリマーを用いて、揮発性膨張剤を内包させた熱膨張性マイクロカプセルにおいて、非ニトリル系モノマーがメタクリル酸エステル類またはアクリル酸エステル類である熱膨張性マイクロカプセルが記載されている。これらの方法によって得られる熱膨張性マイクロカプセルは、従来のマイクロカプセルに比べ耐熱性に優れ140℃以下では発泡しないと記載されているが、実際には130〜140℃で1分程度加熱を続けると一部のマイクロカプセルが熱膨張してしまうものであった。
【0005】
したがって、耐熱性が高く、発泡開始温度に達するといっせいに発泡を開始して均一な大きさの熱膨張済みマイクロカプセルを与える熱膨張性マイクロカプセルが望まれていた。
【0006】
【特許文献1】
特公昭42−26524号公報
【0007】
【特許文献2】
特公平5−15499号公報
【0008】
【特許文献3】
特許2894990号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
熱膨張性マイクロカプセルに関する本発明の目的は、耐熱性が高く、発泡開始温度に達するといっせいに発泡を開始する熱膨張性マイクロカプセルを提供することである。また、耐熱性が高く、均一な大きさの熱膨張済みマイクロカプセルを与える熱膨張性マイクロカプセルを提供することである。
【0010】
熱膨張性マイクロカプセルを樹脂に含有させた発泡性樹脂組成物も広く利用されている。たとえば、発泡壁紙を製造する場合において発泡工程に先立ち発泡開始温度よりも低い温度で行われる加熱乾燥工程で熱膨張性マイクロカプセルの一部が熱膨張してしまい樹脂表面が荒れてしまうため絵柄をきれいに印刷しにくいといった問題があった。発泡壁紙の印刷絵柄の美しさは200〜300μm程度の大きさの膨張済みマイクロカプセルが樹脂表面を荒らすことで特に損なわれる。しかしながら、発泡壁紙に用いられる熱膨張済みマイクロカプセルは通常せいぜい100μm程度の大きさに熱膨張するよう設計されており発泡倍率が異常に大きい膨張済みマイクロカプセルが生じる原因は不明であった。
【0011】
したがって、発泡性樹脂組成物に関する本発明の目的は、発泡開始温度に達するまでは熱膨張性マイクロカプセルは膨張せず、発泡開始温度に達すると熱膨張性マイクロカプセルがいっせいに膨張を開始して発泡体となる発泡性樹脂組成物であって、異常に大きな発泡倍率の発泡セルのない均一な発泡体となる発泡性樹脂組成物を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の熱膨張性マイクロカプセルは、シェルポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる揮発性膨張剤がシェルポリマーに内包されている熱膨張性マイクロカプセルであって、平均粒子径が15〜30μmであり60μm以上のマイクロカプセルが存在せず、発泡開始温度が135℃以上である。
【0013】
本発明の熱膨張性マイクロカプセルは、好ましくは熱張性マイクロカプセルを最大発泡温度で膨張させたときに30〜60μmのマイクロカプセルから200〜300μmの熱膨張済みマイクロカプセルが生じない。
【0014】
本発明の熱膨張性マイクロカプセルは、好ましくはシェルポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる揮発性膨張剤がシェルポリマーに内包されている熱膨張性マイクロカプセルであって、シェルポリマーはニトリル系モノマー80重量%以上、非ニトリル系モノマー20重量%以下からなるビニル系モノマーをビニル系モノマーと架橋剤の合計量に対して0.1〜1重量%の四官能以上またはオリゴマー状の架橋剤の存在下で重合させたポリマーである。粒径が30〜60μmのマイクロカプセルは破裂せず異常に大きな熱膨張済みマイクロカプセルになる場合があるが本組成とすれば異常膨張を効果的に抑制することができ好ましい。
【0015】
本発明に使用するニトリル系モノマーとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマロニトリルまたはこれらの任意の混合物等があげられるが、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルが特に好ましい。ビニル系モノマーに占めるニトリル系モノマーの割合は80重量%以上であり、より好ましくは90〜97重量%である。80重量%未満では、耐溶剤性が低くまた高温で十分に熱膨張させることができない。
【0016】
非ニトリル系モノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、ジシクロペンテニルアクリレート等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、イソボルニルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニルなどがあげられる。これらのなかでもメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチル、酢酸ビニルが特に好ましい。ビニル系モノマーに占める非ニトリル系モノマーの割合は20重量%以下であり、好ましくは10〜3重量%である。特に、酢酸ビニルを含有する場合はビニル系モノマーに占める酢酸ビニルモノマーの割合が1%以下であることが好ましい。1%以下であると異常に大きな熱膨張済みマイクロカプセルの発生を効果的に抑制できる。
【0017】
四官能以上の架橋剤としては、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等が挙げられる。オリゴマー状の架橋剤としては数平均分子量200〜600のポリオキシエチレンジアクリレート、数平均分子量200〜600のポリオキシエチレンジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート等が挙げられる。なお、架橋剤とビニル系モノマーの合計量に対して1重量%以下であって0.18重量%以上とすることが好ましい。0.18重量%以上であると異常に大きな熱膨張済みマイクロカプセルの発生を効果的に抑制できる。
【0018】
マイクロカプセルのシェルポリマーは架橋剤を含むビニル系モノマーを重合させることにより得られる。なお、重合にあたって必要に応じて重合開始剤を配合してもよい。
重合開始剤としては特に限定されないが、ビニル系モノマーに可溶な油溶性重合開始剤が特に好ましい。例えば、過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、アゾ化合物などが挙げられる。より具体的には、メチルエチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなどの過酸化ジアルキル;イソブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイドなどの過酸化ジアシル;t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、(α,α−ビス−ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼンなどのパーオキシエステル;ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピル−オキシジカーボネート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルエチルパーオキシ)ジカーボネート、ジ−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−エメトキシブチルパーオキシ)ジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート;2、2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1′−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)などのアゾ化合物;などが挙げられる。
【0019】
マイクロカプセル内に包含される揮発性膨張剤はシェルポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる物質であり、低沸点有機溶剤が好適である。例えば、エタン、エチレン、プパン、プロペン、n−ブタン、イソブタン、ブテン、イソブテン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n−へキサン、ヘプタン、石油エーテルなどの低分子量炭化水素;CCL3F、CCl2F2、CClF3、CClF2−CCl2F2等のクロロフルオロカーボン;テトラメチルシラン、トリメチルエチルシラン、トリメチルイソプロピルシラン、トリメチル−n−プロピルシランなどのテトラアルキルシランなどが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、イソブタン、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−へキサン、石油エーテル、およびこれらの二種以上の混合物が好ましい。また、加熱により熱分解してガス状になる熱分解型化合物であってもよい。
【0020】
シェルポリマーに揮発性膨張剤を内包させる方法は特に限定されない。好適な方法としては、例えば特公昭42−26524号公報に記載のように、ビニル系モノマーと架橋剤の混合物に揮発性膨張剤および重合開始剤を加えた油性混合液を、分散安定剤等を含む水性媒体中に分散させて懸濁重合させる方法があげられる。
【0021】
懸濁重合は、通常、分散安定剤を含有する水性分散媒体中で行われる。分散安定剤としては、例えば、シリカ、リン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化第二鉄、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、蓚酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。この他に補助安定剤、例えば、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸の縮合生成物、尿素とホルムアルデヒドとの縮合生成物、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ゼラチン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ジオクチルスルホサクシネート、ソルビタンエステル、各種乳化剤等を使用することができる。分散安定剤は、ビニル系モノマー100重量部に対して、0.1〜20重量部の割合で使用することが好ましい。
【0022】
分散安定剤を含有する水性分散媒体は、分散安定剤や補助安定剤を脱イオン水に配合して調製する。重合時の水相のpHは、使用する分散安定剤や補助安定剤の種類によって適宜決められる。例えば、分散安定剤としてコロイダルシリカなどのシリカを使用する場合は、酸性環境下で重合がおこなわれる。水性媒体を酸性にするには、塩酸等必要に応じて酸を加えて、系のpHを3〜4に調製する。水酸化マグネシウムまたはリン酸カルシウムを使用する場合は、アルカリ性環境下で重合させる。
【0023】
好ましい組み合わせの一つとして、コロイダルシリカと縮合生成物の組み合わせがある。縮合生成物は、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸の縮合生成物が好ましく、特にジエタノールアミンとアジピン酸の縮合物やジエタノールアミンとイタコン酸の縮合生成物が好ましい。さらに塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩を添加すると、より均一な粒子形状を有する熱膨張性マイクロカプセルが得られやすくなる。コロイダルシリカの割合は、ビニル系モノマー100重量部に対して、1〜20重量部、好ましくは2〜10重量部の割合が好ましい。縮合生成物は、ビニル系モノマー100重量部に対して、0.05〜2重量部の割合が好ましい。無機塩は、ビニル系モノマー100重量部に対して、0〜100重量部の割合が好ましい。
【0024】
他の好ましい組み合わせは、コロイダルシリカと水溶性窒素含有化合物の組み合わせが挙げられる。水溶性窒素含有化合物の例としては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリジメチルアミノエチルメタクリレートやポリジメチルアミノエチルアクリレートに代表されるポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ポリジメチルアミノプロピルアクリルアミドやポリジメチルアミノプロピルメタクリルアミドに代表されるポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリカチオン性アクリルアミド、ポリアミンサルフォン、ポリアリルアミンが挙げられる。これらのなかでもコロイダルシリカとポリビニルピロリドンが好適に用いられる。他の好ましい組み合わせには、水酸化マグネシウム及び/またはリン酸カルシウムと乳化剤との組み合わせがある。
【0025】
熱膨張性マイクロカプセルの平均粒子径は、たとえば、ビニル系モノマーに対するコロイダルシリカの割合を一定に保ち、ポリビニルピロリドンの割合を増減させることで調製することができる。
【0026】
水性分散媒体に各成分を添加する順序は、任意であるが、通常は重合反応容器に、水と分散安定剤、必要に応じて安定助剤を加えて、分散安定剤を含有する水性分散媒体を調製する。また、必要に応じて亜硝酸アルカリ金属塩、塩化第一スズ、塩化第二スズ、重クロム酸カリウム等を加えてもよい。ビニル系モノマーおよび揮発性膨張剤は、別々に水性分散媒体に加えて、水性分散媒体中で油性混合液を形成してもよいが、通常は、予め両者を混合してから、水性分散媒体に加える。重合開始剤は、予め上記油性混合液に加えてもよいが、水性分散媒体と油性混合液を重合反応容器内で攪拌混合した後加えてもよい。また、油性混合液と水性分散媒体をあらかじめ別々の容器で調製しておき、ついで別の容器で攪拌しながら混合して油性混合液を水性分散媒体に分散させた後、重合反応容器に加えても良い。
【0027】
また、油性混合液を水系分散媒体に所定の粒子径で乳化分散させる方法としてはホモミキサー(例えば特殊機化工業株式会社製)などにより攪拌する方法や、ラインミキサーやエレメント式静止型分散器などの静止型分散装置を通過させる方法などがあげられる。静止型分散装置には水系分散媒体と重合性混合物を別々に供給してもよいし、あらかじめ攪拌しながら混合した分散液を供給してもよい。
【0028】
本発明の熱膨張性マイクロカプセルの平均粒子径は15〜30μmである。懸濁重合により得られる熱膨張性マイクロカプセルの平均粒子径が15〜20μmの範囲内であれば通常60μm以上のマイクロカプセルは生成せず存在しない。一方、平均粒子径が21〜30μmの範囲内にあると60μm以上のマイクロカプセルが全体の1重量%以下ではあるが存在する場合が多い。したがって、平均粒子径が大きい熱膨張性マイクロカプセルで60μm以上の粒子がある場合、例えば250メッシュ(目開き60μm)のふるいを通過させるなどの方法で60μm以上のマイクロカプセルを取り除かなければならない。
【0029】
【実施例】
実施例1
表1に記載した割合で調製した油性混合液および水性分散媒体をエレメント式静止型分散器内に供給して乳化させた後、窒素置換した容量20Lの加圧重合反応容器内へ供し0.2MPaの圧力で加圧しながら60℃で20時間反応させた。ついで、ろ過と水洗いを繰り返したのち乾燥させて平均粒子径が17μmの熱膨張性マイクロカプセルを得た。熱膨張性マイクロカプセルの粒子径分布を測定したが60μm以上のマイクロカプセルは存在しなかった。
また、得られた熱膨張性マイクロカプセルをエチレン/酢酸ビニル共重合体エマルジョンに加えた発泡性樹脂組成物を紙基材に薄くコーティングしたあと、140℃に加熱して熱膨張済みマイクロカプセルにより樹脂表面に荒れが生じるか観察した。また、発泡開始温度以上の任意の温度で加熱し各加熱条件における発泡性樹脂組成物の発泡倍率(発泡前後の塗膜厚の増加倍率)を測定した。
結果は表1に示した。
【0030】
実施例2
表1に示したとおり実施例1の割合と比べて分散剤量が少なくしたこと以外は実施例1と同様にして熱膨張性マイクロカプセルを得た。得られた熱膨張性マイクロカプセルは平均粒子径が28μmであり、粒子径分布を測定したところ60μm以上のマイクロカプセルが全体の0.8重量%存在していた。そこで、250メッシュのふるいを通過させ60μm以上のマイクロカプセルを除去した。評価結果は表1に示した。
【0031】
実施例3
表1に示したとおり実施例1の割合と比べて分散剤量が少なくしたこと以外は実施例1と同様にして熱膨張性マイクロカプセルを得た。得られた熱膨張性マイクロカプセルは平均粒子径が26μmであり、粒子径分布を測定したところ60μm以上のマイクロカプセルが全体の0.8重量%存在していた。そこで、250メッシュのふるいを通過させ60μm以上のマイクロカプセルを除去した。評価結果は表1に示した。
【0032】
比較例1
実施例3で得られたふるいを通過させる前の熱膨張性マイクロカプセルを用いた。評価結果は表1に示した。なお、熱膨張性マイクロカプセルを加熱して熱膨張させたところ200〜300μmに膨張したマイクロカプセルが多数観察された。
【0033】
比較例2
表1に示したとおり実施例1の割合と比べて分散剤量を多くしたこと以外は実施例1と同様にして熱膨張性マイクロカプセルを得た。得られた熱膨張性マイクロカプセルは平均粒子径が22μmであり、60μm以上の粒子が0.3重量%存在していた。評価結果は表1に示した。なお、熱膨張性マイクロカプセルを加熱して熱膨張させたところ200〜300μmに膨張したマイクロカプセルが多数観察された。
【0034】
比較例3
表1に示したとおり実施例1の割合と比べて分散剤量を多くしたこと以外は実施例1と同様にして熱膨張性マイクロカプセルを得た。得られた熱膨張性マイクロカプセルは平均粒子径が24μmであり、60μm以上の粒子が0.6重量%存在していた。そこで、250メッシュのふるいを通過させ60μm以上のマイクロカプセルを除去した。評価結果は表1に示した。なお、熱膨張性マイクロカプセルを加熱して熱膨張させたところ少量であるが200〜300μmに膨張したマイクロカプセルが観察された。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】
本発明の熱膨張性マイクロカプセルは、高温にさらされた膨張済みマイクロカプセルが収縮しにくく耐熱性が高い。また、発泡開始温度付近まで加熱しても膨張せず、発泡開始温度に達するといっせいに発泡を開始する。また、均一な大きさの熱膨張済みマイクロカプセルが得られる。
【0037】
また、本発明の発泡性樹脂組成物は、発泡させることなく発泡工程に先立って発泡開始温度付近まで加熱することができる。また、異常に大きな発泡倍率の発泡セルがなく均一な発泡体が得られる。また、発泡工程に先立って発泡性樹脂組成物を加熱しても樹脂表面が荒らされることがない。
【0038】
また、本発明の発泡性樹脂組成物が発泡壁紙である場合は、発泡工程に先立つ加熱乾燥工程の加熱温度を発泡温度付近まで高めることができ乾燥が容易になる。また、表面に絵柄を印刷する場合であっても美しさを損なうことがない。
Claims (3)
- シェルポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる揮発性膨張剤がシェルポリマーに内包されている熱膨張性マイクロカプセルであって、平均粒子径が15〜30μmであり60μm以上のマイクロカプセルが存在せず、発泡開始温度が135℃以上であることを特徴とする熱膨張性マイクロカプセル。
- 熱膨張性マイクロカプセルを最大発泡温度で膨張させたときに30〜60μmのマイクロカプセルから200〜300μmの熱膨張済みマイクロカプセルが生じないことを特徴とする請求項1記載の熱膨張性マイクロカプセル。
- シェルポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる揮発性膨張剤がシェルポリマーに内包されている熱膨張性マイクロカプセルであって、シェルポリマーはニトリル系モノマー80重量%以上、非ニトリル系モノマー20重量%以下からなるビニル系モノマーをビニル系モノマーと架橋剤の合計量に対して0.1〜1重量%の四官能以上またはオリゴマー状の架橋剤の存在下で重合させたポリマーであることを特徴とする請求項1または2記載の熱膨張性マイクロカプセル。
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JP2002332728A JP2004168789A (ja) | 2002-11-15 | 2002-11-15 | 熱膨張性マイクロカプセル及び発泡性樹脂組成物 |
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JP2012131867A (ja) * | 2010-12-20 | 2012-07-12 | Sekisui Chem Co Ltd | 熱膨張性マイクロカプセル、樹脂組成物及び発泡シート |
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2002
- 2002-11-15 JP JP2002332728A patent/JP2004168789A/ja not_active Withdrawn
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