JP2004168569A - 携帯用酸素発生器 - Google Patents
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Abstract
【課題】容易に作製することができると共に酸素の発生速度を調節することができ、かつ安定して酸素を供給することができる携帯用酸素発生器を提供する。
【解決手段】反応液を内部に収容し、反応液を流出させるための開封可能なシール部を備えた第一容器と、第一容器を内部に収容し、反応液の流出速度を制御するための制御孔を備えた第二容器と、少なくとも第二容器と酸素発生剤とを内部に収容した第三容器とを含む携帯用酸素発生器であって、携帯用酸素発生器の最外殻の容器に酸素を外部へ供給するための排出口が備えられている携帯用酸素発生器である。
【選択図】 図1
【解決手段】反応液を内部に収容し、反応液を流出させるための開封可能なシール部を備えた第一容器と、第一容器を内部に収容し、反応液の流出速度を制御するための制御孔を備えた第二容器と、少なくとも第二容器と酸素発生剤とを内部に収容した第三容器とを含む携帯用酸素発生器であって、携帯用酸素発生器の最外殻の容器に酸素を外部へ供給するための排出口が備えられている携帯用酸素発生器である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯用酸素発生器に関し、特に、容易に作製することができると共に酸素の発生速度を調節でき、かつ酸素を安定して供給することができる携帯用酸素発生器に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に酸素発生器または酸素発生装置は医療現場等に設置されている。最近、携帯用の酸素発生器が開発されており、携帯用の酸素発生器は医療現場だけでなく、災害時用、レジャー用またはメンタルヘルスケア用としても使用されている。従来、酸素発生装置、特に携帯用の酸素発生器は種々提案されている(たとえば特許文献1〜6参照)。
【0003】
特に、容器内が区画部を介して2室に区画され、一方の室内には酸素発生基剤を、他方の室内には反応用触媒液をそれぞれ充填するとともに、区画部には外方より解放操作が可能な栓体を填装し、さらに上記2室の一方にはフィルタを介して外方に発生酸素を取り出すためのチューブを接続してなる酸素発生器が提案されている(たとえば特許文献1参照)。このような酸素発生器は外方からの操作により内部の栓体が区画部より外され、室同士が連通され、一方の室内の酸素発生基剤を区画部より他方の室内へ送り込んで反応用触媒液と接触させる。反応用触媒液と接触した酸素発生基剤は反応を開始し順次高純度の酸素を継続して発生し、発生酸素はチューブを通って専用マスクを介して患者などの口元に供給される。このような酸素発生器は携帯性があり、酸素を発生させる操作も簡単な点に特徴がある。
【0004】
【特許文献1】
実開平4−40650号公報
【0005】
【特許文献2】
実開平3−106322号公報
【0006】
【特許文献3】
特開平4−154603号公報
【0007】
【特許文献4】
実開平6−33932号公報
【0008】
【特許文献5】
特開平7−116277号公報
【0009】
【特許文献6】
特開平8−253302号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の酸素発生器においては、区画部の栓体構造が複雑であるため、容器の製造に手間がかかるという問題があった。また、区画部を介して2室に区画され、一方の室内には酸素発生基剤を、他方の室内には反応用触媒液をそれぞれ充填し、この室内を連通させることにより反応用触媒液を酸素発生基剤にかけて酸素を発生させた場合には、一気に酸素発生基剤が溶解して酸素が発生してしまい、その急激な反応熱で酸素発生器の温度が急上昇して、酸素発生器が使いにくくなるという問題があった。
【0011】
さらに、酸素発生器の酸素の排出口には通気フィルタが設けられるが、この通気フィルタ面に反応用触媒液が長い時間接触したり多量の反応用触媒液が付着したりすると、発生酸素の通気が悪くなって安定して酸素を供給することができないという問題があった。
【0012】
上記事情に鑑みて本発明の目的は、容易に作製することができると共に酸素の発生速度を調節することができ、かつ安定して酸素を供給することができる携帯用酸素発生器を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、反応液を内部に収容し、反応液を流出させるための開封可能なシール部を備えた第一容器と、第一容器を内部に収容し、反応液の流出速度を制御するための制御孔を備えた第二容器と、少なくとも第二容器と酸素発生剤とを内部に収容した第三容器とを含む携帯用酸素発生器であって、携帯用酸素発生器の最外殻の容器に酸素を外部へ供給するための排出口が備えられている携帯用酸素発生器である。
【0014】
ここで、本発明に係る携帯用酸素発生器においては、耐水圧が0.2kg/cm2以上の通気フィルタを備えていることが好ましい。
【0015】
また、本発明に係る携帯用酸素発生器の別の実施態様においては、第三容器に複数の小孔が設けられており、第三容器が第四容器の内部に収容され、第四容器に排出口が備えられていてもよい。
【0016】
この場合には、第四容器内に吸水性材料が収容されていることが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
以下、図1を用いて本発明に係る携帯用酸素発生器の好ましい実施の形態1について説明する。図1において、第一容器104は可撓性の樹脂壁から構成されており、たとえばインフレーションフィルム、チューブ、シート、フィルムを成形することにより、または樹脂を押出成形、射出成形、ブロー成形することにより作製される。第一容器104の作製に用いられる樹脂としては、たとえばポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル、塩化ビニリデン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、ポリアミド系樹脂等の樹脂を用いることができる。なかでも、ポリオレフィン系樹脂を用いることが望ましく、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等の低級オレフィン樹脂、環状ポリオレフィン、またはこれらの二以上の共重合体等を用いることが望ましい。
【0018】
第一容器104には、たとえば水蒸気を透過させ難い水分難透過性材料、または実質的に水蒸気を透過しない水分非透過性材料等が用いられることが好ましい。水分難透過性材料はその厚み20μmにおける透湿度が0.1〜2.6g/m2・day(温度:40℃、0−90%RH)である材料のことである。上記水分難透過性材料の透湿度は、その厚み20μmにおいて特に0.1〜1.0g/m2・day(温度:40℃、0−90%RH)の範囲にあることが好ましい。また、水分非透過性材料は厚み20μmにおける透湿度が0.1g/m2・day(温度:40℃、0−90%RH)未満で実質的に水蒸気を透過させない材料のことである。後述する酸素発生剤102は通常吸湿性があることから、反応液103から発生する水蒸気が第一容器104の壁を透過して第三容器106内に達してしまうと、酸素発生剤102がこの水蒸気を吸収し酸素を放出して失活する傾向がある。したがって、第一容器104は水蒸気バリア性の高いものを用いることが好ましいためである。
【0019】
なお、透湿度とは、水分が1m2の水分難透過性材料または水分非透過性材料を1日に透過する水分量(g)のことである。この透湿度は、JIS Z 0208に従って測定され、温度40℃において膜状の水分難透過性材料または水分非透過性材料を境界面とし、境界面に対して一方の側の湿度を0%とし、他方の側の湿度を90%とした状態で測定される。
【0020】
水分難透過性材料または水分非透過性材料としては、たとえば非透明性のアルミニウム等の金属層、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ三フッ化エチレン、塩酸ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン等のように水蒸気バリア性の高い透明性のある材料の1種類以上からなる樹脂層、アルミニウム、珪素、マグネシウム、チタン、銀、金等の金属またはその酸化物等の蒸着層等を有するフィルム等がある。なお、第一容器104は単層または多層のいずれで形成されていてもよい。
【0021】
また、第一容器104の透湿度は3.0g/m2・day(温度:40℃、0−90%RH)以下であることが好ましく、特に1.2g/m2・day(温度:40℃、0−90%RH)以下であることがより好ましく、0.5g/m2・day(温度:40℃、0−90%RH)以下であることがさらに好ましい。上記範囲内であれば第一容器104から酸素発生剤102を失活させるほどの水蒸気が第三容器106内に侵入しない傾向が大きくなる。
【0022】
第一容器104は、反応液103を注入するための開口部を残して、その外周がシール部113および114によって封止される。そして、その開口部から反応液103が第一容器104内に注入され、反応液103の注入後、その開口部をシールすることにより開封可能シール部107が形成される。外周シール部113および114は開封可能シール部107よりもシール強度が大きい。
【0023】
ここで、反応液103としては、たとえば蒸留水を用いることができ、酸素発生剤102を溶解することができれば二酸化マンガン、電解質、カタラーゼ、アルコール等を含んでいてもよい。なお、反応液103に二酸化マンガンまたはカタラーゼを含む溶液を用いた場合には、第三容器106内に触媒109を収容しなくてもよい。また、反応液103に安息香酸や安息香酸ナトリウム等の防腐剤を適量含ませてもよい。
【0024】
また、開封可能シール部107は通常ピールシール部または弱シール部とも称され、外部から第一容器104を圧迫し、第一容器104の内部が一定の圧力となったときに剥離するシール、または第一容器104の外壁を2箇所把持して、それぞれを逆方向に引っ張ったときに剥離するシールのことをいう。開封可能シール部107は、携帯用酸素発生器101の使用時に開封可能シール部107が剥離して、第一容器104と第二容器105の内部が連通されるようになっている。
【0025】
開封可能シール部107はたとえば接着剤による接着または熱溶着シールによって形成される。開封可能シール部107を形成する接着剤としては、たとえばケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒等を用いた溶媒接着剤、または変性オレフィン類、ホットメルト類等の樹脂接着剤等が用いられる。また、熱溶着シールの方法としては、ヒートシール、インパルスシール等の第一容器104の外部から加熱する方法、または超音波接合、高周波接合等の第一容器104の内部を加熱する方法等が用いられる。
【0026】
開封可能シール部107の剥離強度は、第一容器104の内部圧力が0.01〜1.0kgf/cm2となったとき、特に0.05〜0.5kgf/cm2となったときに剥離する強度であることが望ましい。開封可能シール部107の剥離強度が0.01kgf/cm2未満である場合には、携帯用酸素発生器101の製造、運搬、保存時における酸素発生剤102と反応液103の隔離状態を保つための安全性に欠ける傾向にある。また、1.0kgf/cm2を上回る強度である場合には、開封可能シール部107が剥離しにくく酸素を容易に発生させることができなくなる傾向にある。
【0027】
開封可能シール部107を熱溶着により形成する場合には、第一容器104の最内層が異なる樹脂ブレンドからなることが望ましい。特に、異なる樹脂ブレンドは、熱溶融開始温度またはビカット軟化点が異なり、相溶性のあまりない樹脂のブレンドからなることがより望ましい。この場合には、開封可能シール部107のシール強度に適したシール温度条件を簡単に設定することができるようになる。すなわち、携帯用酸素発生器101の使用時における外力による開封可能シール部107の易剥離性と、携帯用酸素発生器101の保存時における非剥離性を有したシール強度を厳密に設定することができる。すなわち、第一容器104の最内層に相溶性の異なる樹脂を溶融混合しこれをシート状に成形すると最内層表面にミクロ的に熱接着性の異なる部分を作製することができる。そして、任意の温度において、第一容器104の最内層表面相互のミクロ的な部分の熱溶融性を決めることにより、開封可能シール部107におけるシール強度の強弱を付けることができる。
【0028】
反応液103を収容した第一容器104は、第二容器105に収容される。この第二容器105には制御孔108が形成されている。一般的に、酸素発生器は、酸素発生剤と反応液等とを接触させることによってこれらの反応により酸素を発生させるが、本発明においては、第二容器105に制御孔108を設けることによって、第一容器104内に収容されている反応液103が制御孔108を通って第三容器106内に流れ込むこととなる。したがって、反応液103は制御孔108の開口面積に対応した一定量しか通過できず、第三容器106に収容されている酸素発生剤102と接触する反応液103の量が制御孔108の開口面積によって制御されることとなる。それゆえ、本発明に係る携帯用酸素発生器101においては、一気に酸素を発生させることなく、制御孔108の開口面積によって、酸素の発生速度を調節することができるのである。
【0029】
また、制御孔108は、たとえば図1に示すように、第二容器105の底部付近と上部付近の2箇所に設置されることが望ましい。この場合には、携帯用酸素発生器101の使用態様によらず、反応液103が制御孔108を通過して第三容器106内に流れ込むようにすることができる傾向にある。また、制御孔108を通じて第二容器105と第三容器106の内部が連通することになることから、酸素発生剤102が第二容器105内に入った場合には、第二容器105内で酸素が発生することになる。このとき制御孔108が底部付近のみにしか設けられていない場合には、発生した酸素が第二容器105内部に溜まりその溜まった酸素を取り出すのに第二容器105を圧縮しなければならない。しかし、底部付近と反対側の上部付近にも制御孔108を設けておくと上部付近に設置された制御孔108から酸素が第三容器106内に排出されるので、より安定した速度で酸素を取り出すことが可能になる。
【0030】
なお、制御孔108は、第二容器105に開口部を設けるものであればよく、たとえば、制御孔108の形態としては、小さな円形状の孔であってもよく、直線状やU字状のスリットであってもよい。
【0031】
また、第二容器105の材質および形態は、上述した第一容器104と同様であり得る。
【0032】
第三容器106は、酸素発生剤102、触媒109および通気フィルタ112を収容している。さらに、携帯用酸素発生器101の最外殻容器である第三容器106の端部シール部110には発生した酸素を外部に供給するための排出口111が形成されている。なお、第三容器106の材質および形態は、上述した第一容器104または第二容器105と同様であり得る。
【0033】
ここで、酸素発生剤102としては、たとえば炭酸ソーダ・過酸化水素(過炭酸ソーダ)粉末等が用いられる。また、酸素発生剤102には必要に応じて乾燥剤(安定剤)または粘着剤(バインダ)等を添加することもできる。酸素発生剤102は湿気に弱いため、携帯用酸素発生器101の保存時に乾燥剤は酸素発生剤102の安定剤としての役割を果たす。乾燥剤としてはたとえば芭硝、塩化ナトリウム、塩化カルシウム等の無機塩等が用いられる。また、粘着剤としては、たとえばポリビニルアルコール(PVA)、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン(PVP)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デキストリン、ポリエチレングリコール、アルギン酸、でんぷん糊等を用いることができる。触媒109が共存する場合には、これらの粘着剤は、携帯用酸素発生器101の保存時の保護皮膜として酸素発生剤102に適宜用いられる。
【0034】
触媒109としては、たとえば二酸化マンガン、硫酸マンガン、塩化マンガン等の無機塩、または過酸化物を分解するカタラーゼ等を用いることもできる。触媒109が酸素発生剤102と同じ容器内に収容される場合には、触媒109または酸素発生剤102の少なくとも一方に粘着剤を塗布することによって、これらの表面に皮膜を形成したり、またはこれらをマイクロカプセル化することによって、酸素発生剤102と触媒109とを接触させないことが望ましい。
【0035】
酸素発生剤102と触媒109とは、制御孔108から流出される反応液103によって酸素を発生する。
【0036】
排出口111は第三容器106をブロー成形により形成すれば、そのブロー口を排出口として利用することが望ましく、またインフレーションシートまたはフィルム等を用いて第三容器106を形成した場合には、そのインフレーションシートまたはフィルム間に樹脂成形物からなる排出ポート等を挟んだ後、第三容器106に端部シール110を設けて形成されることが望ましい。なお、第三容器106の側部に開口部を形成して、この開口部に排出ポートを設けてもよい。
【0037】
また、排出口111には蓋体115が取り付けられるが、蓋体115を取り外して排出口111に、たとえば吸引マスクを設置したチューブ等を連結することもできる。また、この排出口111には通気フィルタ112が設けられることが好ましい。この場合には、通気フィルタ112によって、発生した酸素が排出口から放出される際に室内のミストを完全に遮断して、発生酸素中にミストが混ざるのを阻止するとともに反応液103の排出口111からの漏れをより有効に防止することができる。
【0038】
通気フィルタ112としては、たとえば汎用な熱可塑性樹脂をフラッシュ紡糸することにより繊維同士を結合させてフィルタとしたもの、熱可塑性樹脂にシリカ、タルク、炭酸カルシウム等の微粉末または流動パラフィン等の油性微粒子を混ぜてシート状に形成した後、これらの微粉末または油性微粒子を抽出してフィルタとしたもの、また、上記微粉末または油性微粒子を混ぜたシートを延伸したもの、または熱可塑性樹脂からなる粒子を熱で固めてフィルタとしたもの等を用いることができる。
【0039】
通気フィルタ112に用いられる熱可塑性樹脂の素材としては、たとえばポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリフッ化ビニルまたはビニリデン系樹脂等を用いることができる。
【0040】
通気フィルタ112は、防水性または撥水性のフィルタであることが望ましい。通気フィルタ112の防水性または撥水性は、たとえば通気フィルタ112に防水性または撥水性を有する素材を用いる方法、フィルタ基材に防水剤または撥水剤を塗布する方法等によって付与される。防水性または発水性を有する素材を用いる方法としては、たとえばポリフッ化ビニル、フッ化ビニリデン系樹脂等を用いる方法がある。また、フィルタ基材に防水剤または撥水剤を塗布する方法としては、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂等からなるフィルタ基材に、防水剤または撥水剤としてフッ素系樹脂、シリコーンオイル、ベラン、ゼラン等のピリジニウム塩、N−アルキル−N’,N’−エチレン尿素、アルキルケテンダイマー、クロム錯塩、アルミニウム錯塩等を塗布する方法がある。
【0041】
通気フィルタ112の具体例としては、タイベック(デュボン社製)、ルクサー(旭化成工業株式会社製)、NFシートおよびポーラム(徳山曹達株式会社製)、セルポア(積水化学工業株式会社製)、FP−2(旭化成工業株式会社製)、NOP(日本石油化学株式会社製)、ニトフロンNTF(日東電気工業株式会社製)、ポリフロンペーパー(ダイキン工業株式会社製)、ジュラガード(セラニーズ社製)、ゴアテックス(ゴア社製)、TSF(興人株式会社製)、ポリフッ化ビニリデン系等の疎水性フィルタ(ミリポア社製)等が挙げられる。
【0042】
また、通気フィルタ112の耐水圧は0.2kg/cm2以上であることが好ましく、特に0.7kg/cm2以上であることがより好ましい。携帯用酸素発生器101の使用時に、その外側から第一容器104を押圧するが、この際に排出口111に設置された通気フィルタ112に水圧がかかる。このような水圧に対して通気フィルタ112の耐水圧が0.2kg/cm2未満である場合には、排出口111から反応液103が漏れやすくなる傾向にある。
【0043】
また、通気フィルタ112の耐水圧と通気性とは反比例する関係にある。したがって、通気フィルタ112の耐水圧が0.2kg/cm2以上である場合には、通気フィルタ112の平均孔径は0.2μm以上、2.0μm以下であることが望ましい。通気フィルタ112の平均孔径が0.2μm未満であれば通気性が悪くなることから、発生酸素を十分に透過させるため、通気フィルタ112に面積の大きなものを使用しなければならなくなる傾向にある。一方、通気フィルタ112の平均孔径が2.0μmより大きい場合には、反応液103の水圧がかかったときに、反応液103が通気フィルタ112から漏れやすくなる傾向にある。
【0044】
また、通気フィルタ112の耐水圧および平均孔径が上記範囲内にある場合には、通気フィルタ112はフッ化ビニリデン系樹脂からなることが好ましい。フッ化ビニリデン系樹脂は素材自体が防水性または撥水性を有し、通気フィルタ112の孔径が比較的大きく通気性のあるものであっても、その耐水圧は十分にあるためである。実際に、同一孔径および通気性を有するポリエチレン系樹脂のタイベック(R)等よりも、耐水圧が5〜10倍も優れている。このため、排出口に取り付ける通気フィルタ112の面積をできるだけ小さくすることができる一方で、酸素透過も十分に行うことができる。
【0045】
上述した携帯用酸素発生器101においては、携帯用酸素発生器101を構成する第一容器104、第二容器105および第三容器106の形成はヒートシールのみで行なわれており、各容器間を連通させる手段となる部材等が必要とされない。また、携帯用酸素発生器101の使用時には、排出口111に吸引マスク等をセットした後、反応液103を収容する第一容器104を外側から押圧するのみで容易に反応液103に酸素発生剤102を溶解させることができる。第一容器104を外側から押圧することにより開封可能シール部107が開口し、反応液103が第一容器104から第二容器105内に流れ出る。
【0046】
第一容器104を強く押圧して開封可能シール部107が大きく開口し、一瞬のうちに反応液103が第二容器105内に流れ込んだとしても、第二容器105の制御孔108が反応液103の流れに対して抵抗になることから、酸素発生剤102が収納されている第三容器106内に反応液103が一度に流れ込むことがない。また、酸素発生剤102を溶解する際に、第一容器104に外側から十分に圧力をかけて振とうして、通気フィルタ112に反応液103が接触した場合であっても、通気フィルタ112は防水性を有するためその通気機能を損なうことなく不溶性のミスト等の外部への排出を阻止する。したがって、清浄化された発生酸素が排出口111から吸引マスクに供給され、使用者は安定して新鮮な酸素の吸引をすることができる。
【0047】
(実施の形態2)
以下、図2を用いて本発明に係る携帯用酸素発生器の好ましい実施の形態2について説明する。実施の形態2の携帯用酸素発生器201は、第三容器206に複数の小孔217が形成され、第三容器206は水蒸気バリア性シートからなる第四容器216に収納されていることを特徴とする。
【0048】
実施の形態1の携帯用酸素発生器においては、第三容器内で反応液と酸素発生剤とが反応して酸素を発生させるときに泡立ちが起こり、反応液が排出口に達することがある。しかし、実施の形態2の携帯用酸素発生器201においては、複数の小孔217が設置されているので、小孔217を通過して第四容器216内に流れ込む反応液203の量はわずかである。通過した反応液203は第四容器216内部の広い空間に溜まることになり、排出口211に設けられた通気フィルタ212はほとんど濡れることがない。したがって、通気フィルタ212にコストの高い超撥水性のフィルタではなく安価な通常の撥水性のフィルタを用いることができ、また通気フィルタ212の面積を小さくしても発生した酸素を十分に通過させることができる。
【0049】
ここで、第四容器216内に吸水性ポリマー等の吸水性材料を収容することが好ましい。この場合には、第四容器216内に反応液203が流れ込んだとしても、吸水性材料によって反応液203を吸水することができることから、通気フィルタ112をより濡れにくくすることができる。
【0050】
また、実施の形態2の携帯用酸素発生器201において、水蒸気バリア性のシートからなる第四容器216を用いた場合には、酸素発生剤202を収容した第三容器206が第四容器216で気密に覆われていると、外部からの水分が第三容器206内部に侵入しにくいため、携帯用酸素発生器201内に酸素発生剤202を長期間保存することができる傾向にある。
【0051】
なお、実施の形態2の携帯用酸素発生器201においては、排出口211が携帯用酸素発生器201の最外殻容器である第四容器216に設置されている。また、第四容器216の材質および形態は、第一容器204、第二容器205および第三容器206と同様であってもよい。
【0052】
その他の構成は、実施の形態1と同様であるので、その説明は省略する。
【0053】
【実施例】
(実施例1)
実施例1においては、図1に示す携帯用酸素発生器101を用いて酸素を発生させた。
【0054】
図1に示す携帯用酸素発生器101において第一容器104は、厚みが約70μmの多層フィルムから形成され、この多層フィルムは外層が20μmのポリプロピレン層で中間層が7μmのアルミ層で内層が40μmのポリプロピレンとポリエチレンの混合物の層から構成されている。そして、第一容器104の容量は100mlであり、長さは160mmで、幅は65mmである。第一容器104の透湿度は、上記第一容器104の厚み約70μmにおいて、0.1g/m2・day以下(温度:40℃、0−90%RH)である。
【0055】
また、第一容器104の開封可能シール部107は第一容器104の内部圧が0.2kgf/cm2となった時に剥離するように設定されており、外周シール部113および114は開封可能シール部107よりも強い強度でシールされている。
【0056】
この第一容器104内に反応液103が100ml収容されており、反応液103は安息香酸ナトリウムを1質量%含む水からなっている。
【0057】
そして、第二容器105は厚みが60μmのポリエチレンフィルムから形成され、第二容器105の長さは180mmで幅は75mmである。また、第二容器105の上端側と下端側には制御孔108が設けられている。この制御孔108はコの字型のスリットであり、スリットの一辺の長さは5mmである。
【0058】
また、第三容器106はその壁の厚みが約90μmの多層フィルムから形成され、この多層フィルムは外層が20μmのポリプロピレン層で中間層が7μmのアルミ層で内層が60μmのポリエチレン層から構成されている。そして、第三容器106の長さは210mmで、幅は85mmである。
【0059】
第三容器106の端部シール部110には排出口111が取り付けられている。第三容器106に第二容器105と酸素発生剤102と触媒109が収容されている。この酸素発生剤102は炭酸ソーダ・過酸化水素成分20gを含有する安定化過炭酸ソーダ(三菱ガス化学株式会社製のSPC(R))からなり、触媒109として顆粒状のカタラーゼ(ナガセ生化学工業株式会社製)が0.4g(35000ctun/g)収容されている。ここで、カタラーゼ1gが1分間に1μmolの過酸化水素を分解する活性を1ctun/gとする。
【0060】
排出口111には第三容器106に収容されるように通気フィルタ112が取り付けられており、着脱可能な蓋体115が排出口111の第三容器106の外側に取り付けられている。通気フィルタ112はポリフッ化ビニリデン系樹脂(ジャパンゴアテックス社製のゴアテックス(R))からなり、温度21℃における水中深さ12.4cmの水圧に対応する圧力を通気フィルタ112にかけたときのエア流量は110cc/(cm2・min)である。また通気フィルタ112の耐水圧は2.8kg/cm2であり、平均孔径は0.2μmであって、面積は8cm2である。
【0061】
このような構成の携帯用酸素発生器101の蓋体115を取り外し、吸引マスク付きのチューブ(図示せず)を接続して、携帯用酸素発生器101を外側から押圧した。これによって、開封可能シール部107が剥離し、第一容器104から反応液103を制御孔108を経て第三容器106内に流れ込ませると共に携帯用酸素発生器101を振とうした。
【0062】
すると、酸素発生剤102が徐々に反応液103に溶解して、第三容器106内に酸素が徐々に発生した。発生した酸素は通気フィルタ112を通過して吸引マスクに供給された。なお、携帯用酸素発生器101においては、吸引マスクに総量約1800ml程度の酸素が供給された。
【0063】
また、通気フィルタ112は携帯用酸素発生器101の押圧時および振とう時に反応液103と接触し、反応液103から水圧がかかったが、通気フィルタ112は防水性および耐水圧が十分にあるため、反応液103による濡れや漏れを生じることがなかった。このため、発生した酸素は通気フィルタ112を安定して通過し、携帯用酸素発生器101の膨張はほとんど見られなかった。
【0064】
(実施例2)
実施例2においては、図2に示す携帯用酸素発生器201を用いて酸素を発生させた。図2において、第三容器206には排出口211が設けられている。本実施例では複数の針穴を小孔217として用いている。第三容器206は第四容器216によって収容されている。第三容器206内で発生した酸素は第四容器216内に排出される。第三容器206は厚みが60μmのポリエチレンフィルムから形成され、長さが200mmで、幅が85mmである。
【0065】
第四容器216は、その上端に排出口211が設けられている。排出口211は発生する酸素を排出する。排出口211には防水性の通気フィルタ212が設けられている。通気フィルタ212はポリエチレン系樹脂からなる。
【0066】
第四容器216は厚みが約90μmの多層フィルムから形成され、長さが230mmで、幅が95mmである。この多層フィルムは内層は厚みが60μmの低密度ポリエチレンであり、中間層はシリカが蒸着された厚みが12μmのポリエステルであり、外層は厚みが20μmの廷伸ポリプロピレンである。第四容器216の透湿度は、上記第四容器216の厚み約90μmにおいて、0.50g/m2・day(温度:40℃、0−90%RH)である。
【0067】
排出口211には通気フィルタ212が第四容器216に収容されるように取り付けられると共に、第四容器216の外部に設置されるように着脱可能な蓋体215が排出口211に取り付けられている。
【0068】
ここで、通気フィルタ212はポリエチレン系樹脂(デュポン社製のタイベック(R))からなり、温度21℃における水中深さ12.4cmの水圧に対応する圧力を通気フィルタ212にかけたときのエア流量は1700cc/(cm2・min)である。また通気フィルタ212の耐水圧は、0.15kg/cm2であり、その面積は4cm2である。その他の構成は実施例1と同様であるので、その説明は省略する。
【0069】
このような構成の携帯用酸素発生器201の蓋体215を取り外し、吸引マスク付きのチューブ(図示せず)を接続して、携帯用酸素発生器201を外側から押圧した。これによって、開封可能シール部207が剥離し、第一容器204から反応液203を制御孔208を経て第三容器206内に流れ込ませると共に携帯用酸素発生器201を振とうした。
【0070】
すると、発生した酸素は排出口211から第四容器216内に流入し、排出口211に設置されている通気フィルタ212を通過して吸引マスクに供給された。なお、携帯用酸素発生器201においては、吸引マスクに総量約1800ml程度の酸素が供給された。
【0071】
また、携帯用酸素発生器201の押圧時および振とう時に反応液203が排出口211から第四容器216内に流れ込んでも、反応液203は第四容器216内の底部側に溜まり、反応液203が通気フィルタ212と接触する機会はきわめて少なかった。
【0072】
(酸素発生量と時間との関係)
実施例1および2の携帯用酸素発生器の酸素発生量(ml)と経過時間(分)との関係を表1に示す。また、実施例1の携帯用酸素発生器の構成において第二容器が無いこと以外はすべて実施例1と同じ構成とした比較例1の携帯用酸素発生器を作製し、その酸素発生量を測定した。この比較例1の携帯用酸素発生器の酸素発生量(ml)と経過時間(分)との関係についても表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
(結果)
表1からもわかるように、実施例1および2の携帯用酸素発生器においては、1分後に300ml、2分後に820mlといったように時間の経過とともに徐々に酸素が発生したのに対し、比較例1の携帯用酸素発生器においては、酸素の発生総量は実施例1および2と同様であるにもかかわらず、1分後に1100ml、2分後に1500mlと酸素の発生開始から2分で酸素の発生総量の約80%が発生してしまった。これは、実施例1および2の携帯用酸素発生器は、制御孔が形成された第二容器を有しており、反応液と酸素発生剤との接触量を制御することができたことから、酸素発生量を調節できたものであると考えられる。
【0075】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0076】
【発明の効果】
上述したように本発明に係る携帯用酸素発生器は、第一容器に反応液を収容し、第一容器を第二容器内に収容し、第二容器を酸素発生剤とともに第三容器内に収容する工程により製造されるため、その製造が非常に容易である。また、本発明に係る携帯用酸素発生器においては、その容器を押圧するだけで酸素を発生させることができるため容易に酸素を発生させることができる。また、第一容器内の反応液は第二容器に設置された制御孔を通って酸素発生剤に達するため、制御孔の大きさに応じた速度で酸素を発生させることができる。さらに、排出口に設置された通気フィルタに反応液が長時間付着することがないため、通気フィルタを設けた場合にはその通気性を向上させることができることから、安定して酸素を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る携帯用酸素発生器の実施の形態1の模式的な上面図である。
【図2】本発明に係る携帯用酸素発生器の実施の形態2の模式的な上面図である。
【符号の説明】
101,201 携帯用酸素発生器、102,202 酸素発生剤、103,203 反応液、104,204 第一容器、105,205 第二容器、106,206 第三容器、107,207 開封可能シール部、108,208 制御孔、109,209 触媒、110,210 端部シール部、111,211 排出口、112,212 通気フィルタ、113,114,213,214
外周シール部、115,215 蓋体、216 第四容器、217 小孔。
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯用酸素発生器に関し、特に、容易に作製することができると共に酸素の発生速度を調節でき、かつ酸素を安定して供給することができる携帯用酸素発生器に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に酸素発生器または酸素発生装置は医療現場等に設置されている。最近、携帯用の酸素発生器が開発されており、携帯用の酸素発生器は医療現場だけでなく、災害時用、レジャー用またはメンタルヘルスケア用としても使用されている。従来、酸素発生装置、特に携帯用の酸素発生器は種々提案されている(たとえば特許文献1〜6参照)。
【0003】
特に、容器内が区画部を介して2室に区画され、一方の室内には酸素発生基剤を、他方の室内には反応用触媒液をそれぞれ充填するとともに、区画部には外方より解放操作が可能な栓体を填装し、さらに上記2室の一方にはフィルタを介して外方に発生酸素を取り出すためのチューブを接続してなる酸素発生器が提案されている(たとえば特許文献1参照)。このような酸素発生器は外方からの操作により内部の栓体が区画部より外され、室同士が連通され、一方の室内の酸素発生基剤を区画部より他方の室内へ送り込んで反応用触媒液と接触させる。反応用触媒液と接触した酸素発生基剤は反応を開始し順次高純度の酸素を継続して発生し、発生酸素はチューブを通って専用マスクを介して患者などの口元に供給される。このような酸素発生器は携帯性があり、酸素を発生させる操作も簡単な点に特徴がある。
【0004】
【特許文献1】
実開平4−40650号公報
【0005】
【特許文献2】
実開平3−106322号公報
【0006】
【特許文献3】
特開平4−154603号公報
【0007】
【特許文献4】
実開平6−33932号公報
【0008】
【特許文献5】
特開平7−116277号公報
【0009】
【特許文献6】
特開平8−253302号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の酸素発生器においては、区画部の栓体構造が複雑であるため、容器の製造に手間がかかるという問題があった。また、区画部を介して2室に区画され、一方の室内には酸素発生基剤を、他方の室内には反応用触媒液をそれぞれ充填し、この室内を連通させることにより反応用触媒液を酸素発生基剤にかけて酸素を発生させた場合には、一気に酸素発生基剤が溶解して酸素が発生してしまい、その急激な反応熱で酸素発生器の温度が急上昇して、酸素発生器が使いにくくなるという問題があった。
【0011】
さらに、酸素発生器の酸素の排出口には通気フィルタが設けられるが、この通気フィルタ面に反応用触媒液が長い時間接触したり多量の反応用触媒液が付着したりすると、発生酸素の通気が悪くなって安定して酸素を供給することができないという問題があった。
【0012】
上記事情に鑑みて本発明の目的は、容易に作製することができると共に酸素の発生速度を調節することができ、かつ安定して酸素を供給することができる携帯用酸素発生器を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、反応液を内部に収容し、反応液を流出させるための開封可能なシール部を備えた第一容器と、第一容器を内部に収容し、反応液の流出速度を制御するための制御孔を備えた第二容器と、少なくとも第二容器と酸素発生剤とを内部に収容した第三容器とを含む携帯用酸素発生器であって、携帯用酸素発生器の最外殻の容器に酸素を外部へ供給するための排出口が備えられている携帯用酸素発生器である。
【0014】
ここで、本発明に係る携帯用酸素発生器においては、耐水圧が0.2kg/cm2以上の通気フィルタを備えていることが好ましい。
【0015】
また、本発明に係る携帯用酸素発生器の別の実施態様においては、第三容器に複数の小孔が設けられており、第三容器が第四容器の内部に収容され、第四容器に排出口が備えられていてもよい。
【0016】
この場合には、第四容器内に吸水性材料が収容されていることが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
以下、図1を用いて本発明に係る携帯用酸素発生器の好ましい実施の形態1について説明する。図1において、第一容器104は可撓性の樹脂壁から構成されており、たとえばインフレーションフィルム、チューブ、シート、フィルムを成形することにより、または樹脂を押出成形、射出成形、ブロー成形することにより作製される。第一容器104の作製に用いられる樹脂としては、たとえばポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル、塩化ビニリデン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、ポリアミド系樹脂等の樹脂を用いることができる。なかでも、ポリオレフィン系樹脂を用いることが望ましく、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等の低級オレフィン樹脂、環状ポリオレフィン、またはこれらの二以上の共重合体等を用いることが望ましい。
【0018】
第一容器104には、たとえば水蒸気を透過させ難い水分難透過性材料、または実質的に水蒸気を透過しない水分非透過性材料等が用いられることが好ましい。水分難透過性材料はその厚み20μmにおける透湿度が0.1〜2.6g/m2・day(温度:40℃、0−90%RH)である材料のことである。上記水分難透過性材料の透湿度は、その厚み20μmにおいて特に0.1〜1.0g/m2・day(温度:40℃、0−90%RH)の範囲にあることが好ましい。また、水分非透過性材料は厚み20μmにおける透湿度が0.1g/m2・day(温度:40℃、0−90%RH)未満で実質的に水蒸気を透過させない材料のことである。後述する酸素発生剤102は通常吸湿性があることから、反応液103から発生する水蒸気が第一容器104の壁を透過して第三容器106内に達してしまうと、酸素発生剤102がこの水蒸気を吸収し酸素を放出して失活する傾向がある。したがって、第一容器104は水蒸気バリア性の高いものを用いることが好ましいためである。
【0019】
なお、透湿度とは、水分が1m2の水分難透過性材料または水分非透過性材料を1日に透過する水分量(g)のことである。この透湿度は、JIS Z 0208に従って測定され、温度40℃において膜状の水分難透過性材料または水分非透過性材料を境界面とし、境界面に対して一方の側の湿度を0%とし、他方の側の湿度を90%とした状態で測定される。
【0020】
水分難透過性材料または水分非透過性材料としては、たとえば非透明性のアルミニウム等の金属層、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ三フッ化エチレン、塩酸ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン等のように水蒸気バリア性の高い透明性のある材料の1種類以上からなる樹脂層、アルミニウム、珪素、マグネシウム、チタン、銀、金等の金属またはその酸化物等の蒸着層等を有するフィルム等がある。なお、第一容器104は単層または多層のいずれで形成されていてもよい。
【0021】
また、第一容器104の透湿度は3.0g/m2・day(温度:40℃、0−90%RH)以下であることが好ましく、特に1.2g/m2・day(温度:40℃、0−90%RH)以下であることがより好ましく、0.5g/m2・day(温度:40℃、0−90%RH)以下であることがさらに好ましい。上記範囲内であれば第一容器104から酸素発生剤102を失活させるほどの水蒸気が第三容器106内に侵入しない傾向が大きくなる。
【0022】
第一容器104は、反応液103を注入するための開口部を残して、その外周がシール部113および114によって封止される。そして、その開口部から反応液103が第一容器104内に注入され、反応液103の注入後、その開口部をシールすることにより開封可能シール部107が形成される。外周シール部113および114は開封可能シール部107よりもシール強度が大きい。
【0023】
ここで、反応液103としては、たとえば蒸留水を用いることができ、酸素発生剤102を溶解することができれば二酸化マンガン、電解質、カタラーゼ、アルコール等を含んでいてもよい。なお、反応液103に二酸化マンガンまたはカタラーゼを含む溶液を用いた場合には、第三容器106内に触媒109を収容しなくてもよい。また、反応液103に安息香酸や安息香酸ナトリウム等の防腐剤を適量含ませてもよい。
【0024】
また、開封可能シール部107は通常ピールシール部または弱シール部とも称され、外部から第一容器104を圧迫し、第一容器104の内部が一定の圧力となったときに剥離するシール、または第一容器104の外壁を2箇所把持して、それぞれを逆方向に引っ張ったときに剥離するシールのことをいう。開封可能シール部107は、携帯用酸素発生器101の使用時に開封可能シール部107が剥離して、第一容器104と第二容器105の内部が連通されるようになっている。
【0025】
開封可能シール部107はたとえば接着剤による接着または熱溶着シールによって形成される。開封可能シール部107を形成する接着剤としては、たとえばケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒等を用いた溶媒接着剤、または変性オレフィン類、ホットメルト類等の樹脂接着剤等が用いられる。また、熱溶着シールの方法としては、ヒートシール、インパルスシール等の第一容器104の外部から加熱する方法、または超音波接合、高周波接合等の第一容器104の内部を加熱する方法等が用いられる。
【0026】
開封可能シール部107の剥離強度は、第一容器104の内部圧力が0.01〜1.0kgf/cm2となったとき、特に0.05〜0.5kgf/cm2となったときに剥離する強度であることが望ましい。開封可能シール部107の剥離強度が0.01kgf/cm2未満である場合には、携帯用酸素発生器101の製造、運搬、保存時における酸素発生剤102と反応液103の隔離状態を保つための安全性に欠ける傾向にある。また、1.0kgf/cm2を上回る強度である場合には、開封可能シール部107が剥離しにくく酸素を容易に発生させることができなくなる傾向にある。
【0027】
開封可能シール部107を熱溶着により形成する場合には、第一容器104の最内層が異なる樹脂ブレンドからなることが望ましい。特に、異なる樹脂ブレンドは、熱溶融開始温度またはビカット軟化点が異なり、相溶性のあまりない樹脂のブレンドからなることがより望ましい。この場合には、開封可能シール部107のシール強度に適したシール温度条件を簡単に設定することができるようになる。すなわち、携帯用酸素発生器101の使用時における外力による開封可能シール部107の易剥離性と、携帯用酸素発生器101の保存時における非剥離性を有したシール強度を厳密に設定することができる。すなわち、第一容器104の最内層に相溶性の異なる樹脂を溶融混合しこれをシート状に成形すると最内層表面にミクロ的に熱接着性の異なる部分を作製することができる。そして、任意の温度において、第一容器104の最内層表面相互のミクロ的な部分の熱溶融性を決めることにより、開封可能シール部107におけるシール強度の強弱を付けることができる。
【0028】
反応液103を収容した第一容器104は、第二容器105に収容される。この第二容器105には制御孔108が形成されている。一般的に、酸素発生器は、酸素発生剤と反応液等とを接触させることによってこれらの反応により酸素を発生させるが、本発明においては、第二容器105に制御孔108を設けることによって、第一容器104内に収容されている反応液103が制御孔108を通って第三容器106内に流れ込むこととなる。したがって、反応液103は制御孔108の開口面積に対応した一定量しか通過できず、第三容器106に収容されている酸素発生剤102と接触する反応液103の量が制御孔108の開口面積によって制御されることとなる。それゆえ、本発明に係る携帯用酸素発生器101においては、一気に酸素を発生させることなく、制御孔108の開口面積によって、酸素の発生速度を調節することができるのである。
【0029】
また、制御孔108は、たとえば図1に示すように、第二容器105の底部付近と上部付近の2箇所に設置されることが望ましい。この場合には、携帯用酸素発生器101の使用態様によらず、反応液103が制御孔108を通過して第三容器106内に流れ込むようにすることができる傾向にある。また、制御孔108を通じて第二容器105と第三容器106の内部が連通することになることから、酸素発生剤102が第二容器105内に入った場合には、第二容器105内で酸素が発生することになる。このとき制御孔108が底部付近のみにしか設けられていない場合には、発生した酸素が第二容器105内部に溜まりその溜まった酸素を取り出すのに第二容器105を圧縮しなければならない。しかし、底部付近と反対側の上部付近にも制御孔108を設けておくと上部付近に設置された制御孔108から酸素が第三容器106内に排出されるので、より安定した速度で酸素を取り出すことが可能になる。
【0030】
なお、制御孔108は、第二容器105に開口部を設けるものであればよく、たとえば、制御孔108の形態としては、小さな円形状の孔であってもよく、直線状やU字状のスリットであってもよい。
【0031】
また、第二容器105の材質および形態は、上述した第一容器104と同様であり得る。
【0032】
第三容器106は、酸素発生剤102、触媒109および通気フィルタ112を収容している。さらに、携帯用酸素発生器101の最外殻容器である第三容器106の端部シール部110には発生した酸素を外部に供給するための排出口111が形成されている。なお、第三容器106の材質および形態は、上述した第一容器104または第二容器105と同様であり得る。
【0033】
ここで、酸素発生剤102としては、たとえば炭酸ソーダ・過酸化水素(過炭酸ソーダ)粉末等が用いられる。また、酸素発生剤102には必要に応じて乾燥剤(安定剤)または粘着剤(バインダ)等を添加することもできる。酸素発生剤102は湿気に弱いため、携帯用酸素発生器101の保存時に乾燥剤は酸素発生剤102の安定剤としての役割を果たす。乾燥剤としてはたとえば芭硝、塩化ナトリウム、塩化カルシウム等の無機塩等が用いられる。また、粘着剤としては、たとえばポリビニルアルコール(PVA)、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン(PVP)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デキストリン、ポリエチレングリコール、アルギン酸、でんぷん糊等を用いることができる。触媒109が共存する場合には、これらの粘着剤は、携帯用酸素発生器101の保存時の保護皮膜として酸素発生剤102に適宜用いられる。
【0034】
触媒109としては、たとえば二酸化マンガン、硫酸マンガン、塩化マンガン等の無機塩、または過酸化物を分解するカタラーゼ等を用いることもできる。触媒109が酸素発生剤102と同じ容器内に収容される場合には、触媒109または酸素発生剤102の少なくとも一方に粘着剤を塗布することによって、これらの表面に皮膜を形成したり、またはこれらをマイクロカプセル化することによって、酸素発生剤102と触媒109とを接触させないことが望ましい。
【0035】
酸素発生剤102と触媒109とは、制御孔108から流出される反応液103によって酸素を発生する。
【0036】
排出口111は第三容器106をブロー成形により形成すれば、そのブロー口を排出口として利用することが望ましく、またインフレーションシートまたはフィルム等を用いて第三容器106を形成した場合には、そのインフレーションシートまたはフィルム間に樹脂成形物からなる排出ポート等を挟んだ後、第三容器106に端部シール110を設けて形成されることが望ましい。なお、第三容器106の側部に開口部を形成して、この開口部に排出ポートを設けてもよい。
【0037】
また、排出口111には蓋体115が取り付けられるが、蓋体115を取り外して排出口111に、たとえば吸引マスクを設置したチューブ等を連結することもできる。また、この排出口111には通気フィルタ112が設けられることが好ましい。この場合には、通気フィルタ112によって、発生した酸素が排出口から放出される際に室内のミストを完全に遮断して、発生酸素中にミストが混ざるのを阻止するとともに反応液103の排出口111からの漏れをより有効に防止することができる。
【0038】
通気フィルタ112としては、たとえば汎用な熱可塑性樹脂をフラッシュ紡糸することにより繊維同士を結合させてフィルタとしたもの、熱可塑性樹脂にシリカ、タルク、炭酸カルシウム等の微粉末または流動パラフィン等の油性微粒子を混ぜてシート状に形成した後、これらの微粉末または油性微粒子を抽出してフィルタとしたもの、また、上記微粉末または油性微粒子を混ぜたシートを延伸したもの、または熱可塑性樹脂からなる粒子を熱で固めてフィルタとしたもの等を用いることができる。
【0039】
通気フィルタ112に用いられる熱可塑性樹脂の素材としては、たとえばポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリフッ化ビニルまたはビニリデン系樹脂等を用いることができる。
【0040】
通気フィルタ112は、防水性または撥水性のフィルタであることが望ましい。通気フィルタ112の防水性または撥水性は、たとえば通気フィルタ112に防水性または撥水性を有する素材を用いる方法、フィルタ基材に防水剤または撥水剤を塗布する方法等によって付与される。防水性または発水性を有する素材を用いる方法としては、たとえばポリフッ化ビニル、フッ化ビニリデン系樹脂等を用いる方法がある。また、フィルタ基材に防水剤または撥水剤を塗布する方法としては、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂等からなるフィルタ基材に、防水剤または撥水剤としてフッ素系樹脂、シリコーンオイル、ベラン、ゼラン等のピリジニウム塩、N−アルキル−N’,N’−エチレン尿素、アルキルケテンダイマー、クロム錯塩、アルミニウム錯塩等を塗布する方法がある。
【0041】
通気フィルタ112の具体例としては、タイベック(デュボン社製)、ルクサー(旭化成工業株式会社製)、NFシートおよびポーラム(徳山曹達株式会社製)、セルポア(積水化学工業株式会社製)、FP−2(旭化成工業株式会社製)、NOP(日本石油化学株式会社製)、ニトフロンNTF(日東電気工業株式会社製)、ポリフロンペーパー(ダイキン工業株式会社製)、ジュラガード(セラニーズ社製)、ゴアテックス(ゴア社製)、TSF(興人株式会社製)、ポリフッ化ビニリデン系等の疎水性フィルタ(ミリポア社製)等が挙げられる。
【0042】
また、通気フィルタ112の耐水圧は0.2kg/cm2以上であることが好ましく、特に0.7kg/cm2以上であることがより好ましい。携帯用酸素発生器101の使用時に、その外側から第一容器104を押圧するが、この際に排出口111に設置された通気フィルタ112に水圧がかかる。このような水圧に対して通気フィルタ112の耐水圧が0.2kg/cm2未満である場合には、排出口111から反応液103が漏れやすくなる傾向にある。
【0043】
また、通気フィルタ112の耐水圧と通気性とは反比例する関係にある。したがって、通気フィルタ112の耐水圧が0.2kg/cm2以上である場合には、通気フィルタ112の平均孔径は0.2μm以上、2.0μm以下であることが望ましい。通気フィルタ112の平均孔径が0.2μm未満であれば通気性が悪くなることから、発生酸素を十分に透過させるため、通気フィルタ112に面積の大きなものを使用しなければならなくなる傾向にある。一方、通気フィルタ112の平均孔径が2.0μmより大きい場合には、反応液103の水圧がかかったときに、反応液103が通気フィルタ112から漏れやすくなる傾向にある。
【0044】
また、通気フィルタ112の耐水圧および平均孔径が上記範囲内にある場合には、通気フィルタ112はフッ化ビニリデン系樹脂からなることが好ましい。フッ化ビニリデン系樹脂は素材自体が防水性または撥水性を有し、通気フィルタ112の孔径が比較的大きく通気性のあるものであっても、その耐水圧は十分にあるためである。実際に、同一孔径および通気性を有するポリエチレン系樹脂のタイベック(R)等よりも、耐水圧が5〜10倍も優れている。このため、排出口に取り付ける通気フィルタ112の面積をできるだけ小さくすることができる一方で、酸素透過も十分に行うことができる。
【0045】
上述した携帯用酸素発生器101においては、携帯用酸素発生器101を構成する第一容器104、第二容器105および第三容器106の形成はヒートシールのみで行なわれており、各容器間を連通させる手段となる部材等が必要とされない。また、携帯用酸素発生器101の使用時には、排出口111に吸引マスク等をセットした後、反応液103を収容する第一容器104を外側から押圧するのみで容易に反応液103に酸素発生剤102を溶解させることができる。第一容器104を外側から押圧することにより開封可能シール部107が開口し、反応液103が第一容器104から第二容器105内に流れ出る。
【0046】
第一容器104を強く押圧して開封可能シール部107が大きく開口し、一瞬のうちに反応液103が第二容器105内に流れ込んだとしても、第二容器105の制御孔108が反応液103の流れに対して抵抗になることから、酸素発生剤102が収納されている第三容器106内に反応液103が一度に流れ込むことがない。また、酸素発生剤102を溶解する際に、第一容器104に外側から十分に圧力をかけて振とうして、通気フィルタ112に反応液103が接触した場合であっても、通気フィルタ112は防水性を有するためその通気機能を損なうことなく不溶性のミスト等の外部への排出を阻止する。したがって、清浄化された発生酸素が排出口111から吸引マスクに供給され、使用者は安定して新鮮な酸素の吸引をすることができる。
【0047】
(実施の形態2)
以下、図2を用いて本発明に係る携帯用酸素発生器の好ましい実施の形態2について説明する。実施の形態2の携帯用酸素発生器201は、第三容器206に複数の小孔217が形成され、第三容器206は水蒸気バリア性シートからなる第四容器216に収納されていることを特徴とする。
【0048】
実施の形態1の携帯用酸素発生器においては、第三容器内で反応液と酸素発生剤とが反応して酸素を発生させるときに泡立ちが起こり、反応液が排出口に達することがある。しかし、実施の形態2の携帯用酸素発生器201においては、複数の小孔217が設置されているので、小孔217を通過して第四容器216内に流れ込む反応液203の量はわずかである。通過した反応液203は第四容器216内部の広い空間に溜まることになり、排出口211に設けられた通気フィルタ212はほとんど濡れることがない。したがって、通気フィルタ212にコストの高い超撥水性のフィルタではなく安価な通常の撥水性のフィルタを用いることができ、また通気フィルタ212の面積を小さくしても発生した酸素を十分に通過させることができる。
【0049】
ここで、第四容器216内に吸水性ポリマー等の吸水性材料を収容することが好ましい。この場合には、第四容器216内に反応液203が流れ込んだとしても、吸水性材料によって反応液203を吸水することができることから、通気フィルタ112をより濡れにくくすることができる。
【0050】
また、実施の形態2の携帯用酸素発生器201において、水蒸気バリア性のシートからなる第四容器216を用いた場合には、酸素発生剤202を収容した第三容器206が第四容器216で気密に覆われていると、外部からの水分が第三容器206内部に侵入しにくいため、携帯用酸素発生器201内に酸素発生剤202を長期間保存することができる傾向にある。
【0051】
なお、実施の形態2の携帯用酸素発生器201においては、排出口211が携帯用酸素発生器201の最外殻容器である第四容器216に設置されている。また、第四容器216の材質および形態は、第一容器204、第二容器205および第三容器206と同様であってもよい。
【0052】
その他の構成は、実施の形態1と同様であるので、その説明は省略する。
【0053】
【実施例】
(実施例1)
実施例1においては、図1に示す携帯用酸素発生器101を用いて酸素を発生させた。
【0054】
図1に示す携帯用酸素発生器101において第一容器104は、厚みが約70μmの多層フィルムから形成され、この多層フィルムは外層が20μmのポリプロピレン層で中間層が7μmのアルミ層で内層が40μmのポリプロピレンとポリエチレンの混合物の層から構成されている。そして、第一容器104の容量は100mlであり、長さは160mmで、幅は65mmである。第一容器104の透湿度は、上記第一容器104の厚み約70μmにおいて、0.1g/m2・day以下(温度:40℃、0−90%RH)である。
【0055】
また、第一容器104の開封可能シール部107は第一容器104の内部圧が0.2kgf/cm2となった時に剥離するように設定されており、外周シール部113および114は開封可能シール部107よりも強い強度でシールされている。
【0056】
この第一容器104内に反応液103が100ml収容されており、反応液103は安息香酸ナトリウムを1質量%含む水からなっている。
【0057】
そして、第二容器105は厚みが60μmのポリエチレンフィルムから形成され、第二容器105の長さは180mmで幅は75mmである。また、第二容器105の上端側と下端側には制御孔108が設けられている。この制御孔108はコの字型のスリットであり、スリットの一辺の長さは5mmである。
【0058】
また、第三容器106はその壁の厚みが約90μmの多層フィルムから形成され、この多層フィルムは外層が20μmのポリプロピレン層で中間層が7μmのアルミ層で内層が60μmのポリエチレン層から構成されている。そして、第三容器106の長さは210mmで、幅は85mmである。
【0059】
第三容器106の端部シール部110には排出口111が取り付けられている。第三容器106に第二容器105と酸素発生剤102と触媒109が収容されている。この酸素発生剤102は炭酸ソーダ・過酸化水素成分20gを含有する安定化過炭酸ソーダ(三菱ガス化学株式会社製のSPC(R))からなり、触媒109として顆粒状のカタラーゼ(ナガセ生化学工業株式会社製)が0.4g(35000ctun/g)収容されている。ここで、カタラーゼ1gが1分間に1μmolの過酸化水素を分解する活性を1ctun/gとする。
【0060】
排出口111には第三容器106に収容されるように通気フィルタ112が取り付けられており、着脱可能な蓋体115が排出口111の第三容器106の外側に取り付けられている。通気フィルタ112はポリフッ化ビニリデン系樹脂(ジャパンゴアテックス社製のゴアテックス(R))からなり、温度21℃における水中深さ12.4cmの水圧に対応する圧力を通気フィルタ112にかけたときのエア流量は110cc/(cm2・min)である。また通気フィルタ112の耐水圧は2.8kg/cm2であり、平均孔径は0.2μmであって、面積は8cm2である。
【0061】
このような構成の携帯用酸素発生器101の蓋体115を取り外し、吸引マスク付きのチューブ(図示せず)を接続して、携帯用酸素発生器101を外側から押圧した。これによって、開封可能シール部107が剥離し、第一容器104から反応液103を制御孔108を経て第三容器106内に流れ込ませると共に携帯用酸素発生器101を振とうした。
【0062】
すると、酸素発生剤102が徐々に反応液103に溶解して、第三容器106内に酸素が徐々に発生した。発生した酸素は通気フィルタ112を通過して吸引マスクに供給された。なお、携帯用酸素発生器101においては、吸引マスクに総量約1800ml程度の酸素が供給された。
【0063】
また、通気フィルタ112は携帯用酸素発生器101の押圧時および振とう時に反応液103と接触し、反応液103から水圧がかかったが、通気フィルタ112は防水性および耐水圧が十分にあるため、反応液103による濡れや漏れを生じることがなかった。このため、発生した酸素は通気フィルタ112を安定して通過し、携帯用酸素発生器101の膨張はほとんど見られなかった。
【0064】
(実施例2)
実施例2においては、図2に示す携帯用酸素発生器201を用いて酸素を発生させた。図2において、第三容器206には排出口211が設けられている。本実施例では複数の針穴を小孔217として用いている。第三容器206は第四容器216によって収容されている。第三容器206内で発生した酸素は第四容器216内に排出される。第三容器206は厚みが60μmのポリエチレンフィルムから形成され、長さが200mmで、幅が85mmである。
【0065】
第四容器216は、その上端に排出口211が設けられている。排出口211は発生する酸素を排出する。排出口211には防水性の通気フィルタ212が設けられている。通気フィルタ212はポリエチレン系樹脂からなる。
【0066】
第四容器216は厚みが約90μmの多層フィルムから形成され、長さが230mmで、幅が95mmである。この多層フィルムは内層は厚みが60μmの低密度ポリエチレンであり、中間層はシリカが蒸着された厚みが12μmのポリエステルであり、外層は厚みが20μmの廷伸ポリプロピレンである。第四容器216の透湿度は、上記第四容器216の厚み約90μmにおいて、0.50g/m2・day(温度:40℃、0−90%RH)である。
【0067】
排出口211には通気フィルタ212が第四容器216に収容されるように取り付けられると共に、第四容器216の外部に設置されるように着脱可能な蓋体215が排出口211に取り付けられている。
【0068】
ここで、通気フィルタ212はポリエチレン系樹脂(デュポン社製のタイベック(R))からなり、温度21℃における水中深さ12.4cmの水圧に対応する圧力を通気フィルタ212にかけたときのエア流量は1700cc/(cm2・min)である。また通気フィルタ212の耐水圧は、0.15kg/cm2であり、その面積は4cm2である。その他の構成は実施例1と同様であるので、その説明は省略する。
【0069】
このような構成の携帯用酸素発生器201の蓋体215を取り外し、吸引マスク付きのチューブ(図示せず)を接続して、携帯用酸素発生器201を外側から押圧した。これによって、開封可能シール部207が剥離し、第一容器204から反応液203を制御孔208を経て第三容器206内に流れ込ませると共に携帯用酸素発生器201を振とうした。
【0070】
すると、発生した酸素は排出口211から第四容器216内に流入し、排出口211に設置されている通気フィルタ212を通過して吸引マスクに供給された。なお、携帯用酸素発生器201においては、吸引マスクに総量約1800ml程度の酸素が供給された。
【0071】
また、携帯用酸素発生器201の押圧時および振とう時に反応液203が排出口211から第四容器216内に流れ込んでも、反応液203は第四容器216内の底部側に溜まり、反応液203が通気フィルタ212と接触する機会はきわめて少なかった。
【0072】
(酸素発生量と時間との関係)
実施例1および2の携帯用酸素発生器の酸素発生量(ml)と経過時間(分)との関係を表1に示す。また、実施例1の携帯用酸素発生器の構成において第二容器が無いこと以外はすべて実施例1と同じ構成とした比較例1の携帯用酸素発生器を作製し、その酸素発生量を測定した。この比較例1の携帯用酸素発生器の酸素発生量(ml)と経過時間(分)との関係についても表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
(結果)
表1からもわかるように、実施例1および2の携帯用酸素発生器においては、1分後に300ml、2分後に820mlといったように時間の経過とともに徐々に酸素が発生したのに対し、比較例1の携帯用酸素発生器においては、酸素の発生総量は実施例1および2と同様であるにもかかわらず、1分後に1100ml、2分後に1500mlと酸素の発生開始から2分で酸素の発生総量の約80%が発生してしまった。これは、実施例1および2の携帯用酸素発生器は、制御孔が形成された第二容器を有しており、反応液と酸素発生剤との接触量を制御することができたことから、酸素発生量を調節できたものであると考えられる。
【0075】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0076】
【発明の効果】
上述したように本発明に係る携帯用酸素発生器は、第一容器に反応液を収容し、第一容器を第二容器内に収容し、第二容器を酸素発生剤とともに第三容器内に収容する工程により製造されるため、その製造が非常に容易である。また、本発明に係る携帯用酸素発生器においては、その容器を押圧するだけで酸素を発生させることができるため容易に酸素を発生させることができる。また、第一容器内の反応液は第二容器に設置された制御孔を通って酸素発生剤に達するため、制御孔の大きさに応じた速度で酸素を発生させることができる。さらに、排出口に設置された通気フィルタに反応液が長時間付着することがないため、通気フィルタを設けた場合にはその通気性を向上させることができることから、安定して酸素を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る携帯用酸素発生器の実施の形態1の模式的な上面図である。
【図2】本発明に係る携帯用酸素発生器の実施の形態2の模式的な上面図である。
【符号の説明】
101,201 携帯用酸素発生器、102,202 酸素発生剤、103,203 反応液、104,204 第一容器、105,205 第二容器、106,206 第三容器、107,207 開封可能シール部、108,208 制御孔、109,209 触媒、110,210 端部シール部、111,211 排出口、112,212 通気フィルタ、113,114,213,214
外周シール部、115,215 蓋体、216 第四容器、217 小孔。
Claims (4)
- 反応液を内部に収容し、反応液を流出させるための開封可能なシール部を備えた第一容器と、第一容器を内部に収容し、反応液の流出速度を制御するための制御孔を備えた第二容器と、少なくとも第二容器と酸素発生剤とを内部に収容した第三容器とを含む携帯用酸素発生器であって、携帯用酸素発生器の最外殻の容器に酸素を外部へ供給するための排出口が備えられている携帯用酸素発生器。
- 耐水圧が0.2kg/cm2以上の通気フィルタを備えていることを特徴とする請求項1に記載の携帯用酸素発生器。
- 第三容器に複数の小孔が設けられており、第三容器が第四容器の内部に収容され、第四容器に排出口が備えられている請求項1に記載の携帯用酸素発生器。
- 第四容器内に吸水性材料が収容されている請求項3に記載の携帯用酸素発生器。
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CN110775944A (zh) * | 2018-07-30 | 2020-02-11 | 代傲航空(吉尔兴)有限公司 | 氧气发生器以及调节氧气发生器的氧气产生速率的方法 |
KR20200125266A (ko) * | 2019-04-26 | 2020-11-04 | 이재관 | 마스크에 결합 가능한 산소 발생 키트 |
-
2002
- 2002-11-18 JP JP2002333648A patent/JP2004168569A/ja not_active Withdrawn
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