JP2004167661A - スリッター装置 - Google Patents

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Ryoichi Matsukawa
良一 松川
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MATSUKAWA KIKAI KK
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Abstract

【課題】上部ヘッド及び下部ヘッドの位置決め機構を簡素化して、装置全体として製造コストの削減と装置サイズの小型化とを図ることができるスリッター装置を提供すること。
【解決手段】切断ヘッド8,9の被検知片41,44が光電スイッチ40,43により検知されると、ヘッド送りモータが停止されて位置決めヘッド21の移動が停止される。位置決めヘッド21の停止後、空気圧シリンダ23d,24dが作動され、連結ロッド23a,24aが進出され、先端部23b,24bが連結ロッド28,29の係合凹部に填め込まれて係合される。この係合によって、位置決めヘッド21と上下一対の切断ヘッド8,9とが相互に一纏めに連結される。この連結後は、再び、ヘッド送りモータ21を正転させ、位置決めヘッド21を所定距離移動させて、上下一対の切断ヘッド8,9を上下のスプライン軸5,5に沿って目標位置まで移動させる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、長尺の金属製板材を数カ所で一時に切断するスリッター装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スリッターについては、従来より種々の提案がなされており、例えば、特開平10−166213号公報に記載されたものがある。この公報記載のスリッターは、架台となるフレームと、金属製板材の切断工具である上下一対の丸刃と、その上下一対の丸刃を個々に回転可能に支持する上下一対の移動体とを備えている。上下一対の移動体は、フレームの幅方向に合計6組が並設されており、その6組のうち3組がフレームの幅方向右半分側に、残りの3組がフレームの幅方向左半分側にそれぞれ並設されている。
【0003】
また、上側6基の移動体はフレーム幅方向へ摺動可能に天井部から吊設される一方、下側6基の移動体はフレーム幅方向へ摺動可能に床部に配設されている。更に、12基の移動体には外周におねじが螺刻された駆動軸がそれぞれに1本ずつ螺合されており、フレームには合計12本の駆動軸が回転可能に軸支されている。更に、各移動体には、丸刃の回転軸と連結される従動スプロケットと、その従動スプロケットとの間にチェーンが渡設される原動スプロケットとがそれぞれ配設されている。
【0004】
上側6基の移動体に配設される各原動スプロケットのボス部には1本の駆動スプライン軸がまとめて挿通されており、下側6基の移動ヘッドに配設される原動スプロケットのボス部には1本の駆動スプライン軸がまとめて挿通されている。この一対の駆動スプライン軸は、その外周に数条のスプライン歯が刻設されており、これらのスプライン歯が各原動スプロケットのボス部に歯合されている。
【0005】
このスリッターによれば、まず、金属製板材の切断長さに応じて、フレーム幅方向に6組並んだ上下一対の移動体を、フレーム幅方向における所望の箇所に配置させる。かかる場合には、上側6基の移動体に螺合される6本の駆動軸を個々にサーボモータにより回転させて、上側6基の移動体を所望の位置にそれぞれ位置決めした後、下側6基の移動体に螺合される残りの6本の駆動軸を個々にトルクモータにより回転させて、下側の丸刃が対となる上側の丸刃に接するまで下側6基の移動体をフレーム幅方向へ移動させるのである。
【0006】
全ての移動体の位置決め後、原動モータにより上下の駆動スプライン軸が回転されると、各移動体の原動スプロケットが回転され、この回転がチェーンを介して各従動スプロケットへ伝達されて、上下12枚の丸刃が一斉に回転される。このようにして12枚の丸刃がそれぞれ回転されると、その上下する丸刃間を通過する金属製板材がフレーム幅方向について合計6箇所にて切断される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述したスリッターでは、合計12基の移動体をフレーム幅方向へ移動させる場合、その各移動体に駆動軸を1本ずつ螺合させる必要があるため、スリッター全体として合計12本もの駆動軸が必要となってしまう。また、各移動体を位置決めする場合には、各移動体毎に送り移動量が異なるため、各移動体を個別に移動させる必要がある。このため、上記スリッターでは、各移動体を送り移動させる12本の駆動軸にそれぞれ1基ずつモータを連結しているため、装置全体として送り用のモータが合計12基必要となってしまう。更に、上記スリッターでは、上側6基の移動体の送り移動には位置決め制御を行うためにトルクモータよりも高価なサーボモータが6基も必要となってしまう。よって、これらの点を鑑みれば、上記したスリッターでは製造コストが大きく嵩むとともに、その装置サイズも大型化してしまうという問題点があった。
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、上部ヘッド及び下部ヘッドの位置決め機構を簡素化して、装置全体として製造コストの削減と装置サイズの小型化とを図ることができるスリッター装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために請求項1記載のスリッター装置は、搬送移動される被切断板材を切断するために対を成す回転上刃及び回転下刃と、その回転上刃に回転力を伝達する上部伝達体と、その上部伝達体及び回転上刃が軸支される上部ヘッドと、前記回転下刃に回転力を伝達する下部伝達体と、その下部伝達体及び回転下刃が軸支される下部ヘッドと、その下部ヘッド及び上部ヘッドが被切断板材の搬送方向と直交する略水平方向へ独立して移動可能に複数対並設される装置本体とを備え、更に、その装置本体における前記上部ヘッドの並設方向に連架され、複数の前記上部伝達体に一括して歯合されるスプラインを有した上部駆動軸と、その上部駆動軸と略平行に前記下部ヘッドの並設方向へ連架され、複数の前記下部伝達体に一括して歯合されるスプラインを有した下部駆動軸と、前記上部ヘッド及び下部ヘッドと同一方向へ移動可能に前記装置本体に搭載される移送ヘッドと、その移送ヘッドに搭載され上下一対の前記上部ヘッド及び下部ヘッドに対置される一対の連結部材と、その一対の連結部材と係合可能に形成され、その一対の連結部材に対応して前記上部及び下部ヘッドに設けられる一対の被連結部と、その一対の被連結部と共に前記上部ヘッド及び下部ヘッドに設けられ、その上部ヘッド及び下部ヘッドを前記装置本体の所望位置に駐止させる駐止装置とを備えている。
【0010】
この請求項1記載のスリッター装置によれば、例えば、上下複数対の上部ヘッド及び下部ヘッドが装置本体の一端側に全て集められた状態から、各上部ヘッド及び下部ヘッドをそれぞれ所定位置に位置決めする場合には、その先頭に位置する上部ヘッド及び下部ヘッドに移送ヘッドが対置するように移送ヘッドを移動させて一旦停止させる。移送ヘッドの停止後、一対の連結部材を一対の被連結部に係合させると、この係合によって上下一対の上部ヘッド及び下部ヘッドが移送ヘッドと連結される。
【0011】
この連結後、移送ヘッドを装置本体を移動させると、上下一対の上部及び下部ヘッドが上部駆動軸及び下部駆動軸によりそれぞれ案内されつつ装置本体上を移動する。上部及び下部ヘッドが装置本体上の所定位置に達すると、ヘッド移動体の移動が停止され、一対の連結部材と一対の被連結部との係合が解かれる。その一方で、上部ヘッド及び下部ヘッドが駐止装置により駐止される。これにより1組の上部及び下部ヘッドが所定位置に位置決めされて固定される。また、残りの上部ヘッド及び下部ヘッドについても、上記と同様に動作することにより所定位置に位置決めされて固定される。
【0012】
被切断板材を切断する場合には、被切断板材が上部ヘッド又は下部ヘッドの並設方向と直交する略水平方向へ搬送移動され、上下複数対の回転上刃及び回転下刃の間へ挟入される。その一方、2本の上部駆動軸及び下部駆動軸が回転駆動されると、その回転が各上部ヘッドの上部伝達体及び各下部ヘッドの下部伝達体へ伝達され、その各上部伝達体及び各下部伝達体を介して複数対の回転上刃及び回転下刃の全てが回転される。このように回転される複数対の回転上刃及び回転下刃間へ被切断板材が挟入されると、被切断板材はその幅方向に複数箇所で切断されて排出される。
【0013】
請求項2記載のスリッター装置は、請求項1記載のスリッター装置において、前記上部伝達体又は下部伝達体は、前記回転上刃又は回転下刃の中心の同軸上に連結され複数の歯が外周に刻設される従動側歯車と、その従動側歯車に歯合される複数の歯が外周に刻設され且つ中心に前記上部駆動軸又は下部駆動軸のスプラインと歯合可能なボス穴が形成された原動側歯車とを備えている。
【0014】
この請求項2記載のスリッター装置によれば、請求項1記載のスリッター装置と同様に作用する上、上部駆動軸(又は下部駆動軸)は、それのスプラインが原動側歯車のボス穴に歯合されるので、上部駆動軸(又は下部駆動軸)の回転により原動側歯車が回転される。原動側歯車の回転は従動側歯車に伝達され、この従動側歯車の回転によって、従動側歯車のボス部に連結された回転上刃(又は回転下刃)が回転される。
【0015】
請求項3記載のスリッター装置は、請求項1又は2に記載のスリッター装置において、前記装置本体は、前記上部ヘッド及び下部ヘッドの移動方向に沿って延設され、その延設方向と略直交する横断方向一側に傾斜面が斜設された固定体を備えており、前記駐止装置は、前記固定体の傾斜面から離間した位置に形成される案内壁と、その案内壁に摺接され且つ前記固定体の傾斜面と略平行に対向した傾斜面が斜設される可動体と、その可動体の傾斜面と前記固定体の傾斜面との当接方向へ前記可動体を移動させる圧接手段と、その圧接手段による前記可動体の移動方向と逆方向へ前記可動体を移動させる圧接解除手段とを備えている。
【0016】
この請求項3記載のスリッター装置によれば、請求項1又は2に記載のスリッター装置と同様に作用する上、上部ヘッド及び下部ヘッドを装置本体上の所定位置に駐止する場合は、圧接手段によって、可動体が案内壁に沿って摺動され、可動体の傾斜面が固定体の傾斜面に当接されて、可動体の傾斜面が固定体の傾斜面に圧接される。しかも、この固定体の傾斜面に加わる圧接力の分力によって、可動体における案内壁との摺接面が案内壁に圧接される。この圧接によって、上部ヘッド及び下部ヘッドが装置本体上の任意の位置に駐止される。一方、上部ヘッド及び下部ヘッドを装置本体上で移動させる場合は、圧接解除手段によって、圧接手段による移動方向とは逆方向へ可動体が移動され、固定体の傾斜面から可動体の傾斜面を離間させる。これにより上部ヘッド及び下部ヘッドが装置本体上で移動可能な状態とされる。
【0017】
請求項4記載のスリッター装置は、請求項3記載のスリッター装置において、前記駐止装置は、前記圧接手段による前記可動体の移動方向へ向けて前記可動体を付勢する付勢部材を備えている。
【0018】
請求項5記載のスリッター装置は、請求項3又は4に記載のスリッター装置において、前記可動体は、軸心が前記固定体の延設方向に向けられ且つ外周面の一部が切欠された断面視略優弧状に形成されると共に、その可動体の内部にて前記軸心回りで転動可能に嵌装される軸状部材を備えており、前記可動体の傾斜面は、その軸状部材における切欠された外周面の一部である。
【0019】
この請求項5記載のスリッター装置によれば、請求項3又は4に記載のスリッター装置と同様に作用する上、圧接手段により可動体を移動させた場合、可動体の傾斜面、即ち、軸状部材の切欠面が固定体の傾斜面に当接される。ここで、軸状部材の切欠面と固定体の傾斜面とが非平行な場合には、可動体の移動により軸状部材が可動体内部で転動され、この転動により固定体の傾斜面の傾斜角度に応じて軸状体の切欠面の向きが変更され、固定体の傾斜面と軸状部材の切欠面とが平行となって圧接される。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明のスリッター装置の一実施例であるスリッター1の正面図であり、スリッター1を長手方向に一部省略して図示している。なお、図1において、幅方向とは紙面に描画した線図の左右方向を、前後方向とは紙面に垂直な方向を意味している。また、図中の矢印Xは、切断ヘッド8,9及び位置決めヘッド21の移動方向を示している。
【0021】
図1に示すように、スリッター1は、複数の鋼板を溶接等により接合して組まれたフレーム2を備えており、このフレーム2は、その上部に覆設される天板2aと、その天板2aの下方に離間した底板2bと、その底板2bの幅方向両側から立設されて天板2aに連接された側板2c,2cから成る枠状体に形成されている。フレーム2の天板2a及び底板2bの幅方向一端部(図1右側)には、駆動モータ3が1基ずつ計2基締着されており、この駆動モータ3は、例えば、減速機付きの電動モータなどが使用される。この上下一対の駆動モータ3,3の回転軸には連結具4,4を介してスプライン軸5,5が1本ずつ連結されている。
【0022】
上下一対のスプライン軸5,5は略平行な状態でフレーム2の幅方向(図1左右方向)へ略水平に延設されており、このスプライン軸5,5の軸方向両端部は、天板2a及び底板2bの幅方向両端部に1基ずつ計4基配設されたブラケット6に連架されている。4基のブラケット6にはそれぞれ軸受7が1個ずつ計4個締着されており、この4個の軸受7を介してスプライン軸5,5は各ブラケット6に回転可能に軸支されている。また、上下一対のスプライン軸5,5のうち、上側のスプライン軸5は天板2a側から吊設される合計6基の切断ヘッド8に、下側のスプライン軸5は底板2b上に立設される合計6基の切断ヘッド9に、それぞれ一括して(纏めて)挿通されている。
【0023】
切断ヘッド8及び切断ヘッド9は上下に対を成すものであって、上下一対の切断ヘッド8,9がフレーム2の幅方向に一列状に合計6対(6組)並設されている。また、上側の切断ヘッド8には円板状の回転刃10が、下側の切断ヘッド9には円板状の回転刃11が、それぞれ回転可能に軸支されている。結果、上下一対の切断ヘッド8,9には上下に対を成す一対の回転刃10,11が配され、かかる一対の回転刃10,11により鋼製薄板などの被切断板材W(図2参照)が切断可能とされている。
【0024】
切断ヘッド8は、それの上端部にガイド12がボルトにより締着されており、このガイド12が天板2aに取着されたレール13に嵌合されることによって、天板2aから鉛直方向へ吊設されている。一方、切断ヘッド9は、それの下端部にガイド14がボルトにより締着されており、このガイド14がレール15に嵌合されることにより底板2bから上方へ立設されている。レール13,15は、ガイド12,14が摺動可能に嵌合されるものであり、フレーム2の幅方向(図1左右方向)における左右一対のブラケット6,6間に連続して設けられている。よって、切断ヘッド8,9はレール13,15に沿ってフレーム2の幅方向へ略水平に往復移動可能とされる。
【0025】
また、フレーム部材2の駆動モータ3配設側(図1右側)には1基のヘッド送りモータ16が配設されており、このヘッド送りモータ16は、例えば、減速機付きのサーボモータなどが使用される。このヘッド送りモータ16は、上記した駆動モータ3の手前側に配設されており、その回転軸には連結具17を介して送り軸18が連結されている。送り軸18は、外周にボールねじ(図示せず)が螺刻されると共に、フレーム2の幅方向(図1左右方向)へ略水平に延設されたシャフトであり、その軸方向両端は底板2bの幅方向両端部に1基ずつ配設されたブラケット19,19に軸受20,20を介して回動可能に軸支されている。
【0026】
フレーム2の底板2bには1基の位置決めヘッド21が立設されている。位置決めヘッド21は、そのヘッド本体22の上部に配設される上下一対の連結ユニット23,24により上下一対の切断ヘッド8,9を連結して、その連結された一対の切断ヘッド8,9を一纏めにして所定位置まで移送して位置決めするためのものである。位置決めヘッド21のヘッド本体22には、ボールねじ用の軸受25が内装されており、この軸受25の内周部に送り軸18のボールねじが螺合されている。結果、ヘッド送りモータ16により送り軸18を正転又は逆転させることによって、位置決めヘッド21は、送り軸18の軸方向、即ち、フレーム2の幅方向へ往復移動されるのである。
【0027】
位置決めヘッド21の下部には、フレーム2の幅方向に間隔を隔ててガイド26,26が取着されており、このガイド26,26がレール27に嵌合されることにより底板2bから上方へ立設されている。レール27は、ガイド26,26が摺動可能に嵌合されるものであり、フレーム2の幅方向(図1左右方向)における左右一対のブラケット20,20間に連続して設けられている。よって、位置決めヘッド21はレール27に沿ってフレーム2の幅方向へ略水平に往復移動可能とされる。
【0028】
図2は、図1のII−II線における部分断面図であり、図中左側がスリッター1の前方で、図中右側がスリッター1の後方となる。また、図2中の矢印Yは被切断板材Wの搬送方向を、矢印R1は回転刃10の回転方向を、矢印R2は回転刃11の回転方向を、それぞれ示している。なお、図2中の2点鎖線は被切断板材Wを示している。
【0029】
図2に示すように、スリッター1は、薄板状の金属板などの被切断板材Wを、フレーム2の正面側から背面側へと向かう搬送方向(矢印Y方向)に移動させつつ回転刃10,11により切断するものである。具体的に、被切断板材Wが搬送される搬送路は、側面視略矩形状の厚板ブロックに形成された上下一対の切断ヘッド8,9間に設けられ、被切断板材Wは、この搬送路を矢印Y方向へ通過するように搬送移動されて回転刃10,11により切断される。
【0030】
また、切断ヘッド8の上端部には前後一対のガイド12,12が締着されており、天板2aには、その前後一対のガイド12,12と個々に嵌合するレール13,13がそれぞれ配設されている。一方、切断ヘッド9の下端部には前後一対のガイド14,14が締着されており、底板2bには、その前後一対のガイド14,14と個々に嵌合するレール15,15がそれぞれ配設されている。
【0031】
図3から図5を参照して切断ヘッド8,9の内部構造について説明する。図3は、図2のIII−III線における部分的な縦断面図であり、上下一対の切断ヘッド8,9のみを図示している。なお、図3では一対の切断ヘッド8,9のみを図示するが、当然のことながら、残りの上下5対の切断ヘッド8,9についても同様な内部構造を有している。
【0032】
図3に示すように、切断ヘッド8は、断面視厚板ブロック状のヘッド本体8aを備えている。このヘッド本体8aの幅方向(図3左右方向)には、上記した上側のスプライン軸5が貫通されており、このスプライン軸5は、それの外周に複数条刻設された角形スプラインが略円筒状のスプライン軸受8bの内周(原動側歯車のボス穴)に歯合されている。このため、切断ヘッド8は、スプライン軸受8bを介して上側のスプライン軸5の軸方向(図3左右方向)へ摺動することができる。スプライン軸受8bの外周には略円筒状のブシュ8cが外嵌されており、このブシュ8cは、2個の転がり軸受8d,8dを介してヘッド本体8aに回転可能に内装されている。
【0033】
また、ブシュ8cの一端面(図3右側)には、原動ギア8eの中心部を挟み込むようにスプライン軸受8bのフランジ部8b1が締着されており、この締着によりスプライン軸受8b、ブシュ8c及び原動ギア8eが一体的に回転可能にヘッド本体8aに軸支されている。よって、スプライン軸5が回転された場合には、その回転をスプライン軸受8bを介して原動ギア8eに伝達して、その原動ギア8eをヘッド本体8a内で回転させることができる。ここで、原動ギア8eは、その外周に複数の歯が刻設された歯車であり、例えば、平歯歯車などで構成されている。
【0034】
また、切断ヘッド9のヘッド本体9a、フランジ部9b1を有したスプライン軸受9b、ブシュ9c、転がり軸受9d,9d、原動ギア9e及び下側のスプライン軸5については、図3に示す切断ヘッド8の各部材8a〜8e及び上側のスプライン軸5を左右に反転させ更に上下に反転させた構造に形成されている。従って、この切断ヘッド9についても、ヘッド本体9aはスプライン軸受9bを介して下側のスプライン軸5の軸方向(図3左右方向)へ摺動することができ、更に、下側のスプライン軸5が回転された場合には、その回転をスプライン軸受9bを介して原動ギア9eに伝達して、原動ギア9eを回転させることができる。
【0035】
図4は、図2のIV−IV線における部分的な縦断面図であり、上下一対の切断ヘッド8,9のみを図示している。なお、図4では一対の切断ヘッド8,9のみを図示するが、当然のことながら、残りの上下5対の切断ヘッド8,9についても同様な内部構造を有している。
【0036】
図4に示すように、切断ヘッド8におけるヘッド本体8aの幅方向(図4左右方向)には回転軸8fが挿通されており、この回転軸8fは2個の転がり軸受8g,8gを介してヘッド本体8aに回転可能に内装されている。また、回転軸8fの一端部(図4右側)には、従動ギア8hの中心部が同一軸上に螺合されており、従動ギア8hの一側面(図4右側)には回転刃10の側面が当接されて締着されている。この締着によって、回転軸8f、従動ギア8h及び回転刃10は一体的にヘッド本体8aに軸支されるので、従動ギア8hが回転することにより回転刃10を回転軸8f回りに回転させることができる。
【0037】
従動ギア8hは、その外周に複数の歯が刻設された歯車であり、例えば、平歯歯車などで構成される。一方、切断ヘッド9の回転軸9f、転がり軸受9g,9g、従動ギア9h及び回転刃11については、図4に示す切断ヘッド8の各部材8f〜8h及び回転刃10を左右に反転させ更に上下に反転させた構造に形成されている。従って、この切断ヘッド9についても、ヘッド本体9a内で従動ギア9hが回転することにより回転刃11を回転軸9f回りに回転させることができる。
【0038】
図5は、図2のV−V線における部分的な横断面図であり、1の切断ヘッド8の横断面図を示している。なお、図5では1の切断ヘッド8のみを図示するが、当然のことながら、残りの5基の切断ヘッド8についても同様な内部構造を有している。
【0039】
図5に示すように、上述した原動ギア8eには従動ギア8hが互いの複数の歯を介して歯合されており、原動ギア8eの回転により従動ギア8hが回転されるように形成されている。よって、切断ヘッド8によれば、上側の駆動モータ3が稼動されて上側のスプライン軸5が回転された場合には、スプライン軸受8bを介して原動ギア8eが回転され、その回転が従動ギア8hに伝達されて回転刃10が回転されるのである。従って、1本のスプライン軸5が回転されることによって、上側6基の切断ヘッド8における6枚の回転刃10を全て同期させて回転させることができるのである。
【0040】
なお、図示は省略したが、下側6基の切断ヘッド9については、図5に示す切断ヘッド8を左右に反転させた内部構造となる。このため、原動ギア9eには従動ギア9hが互いの複数の歯を介して歯合され、原動ギア9eの回転により従動ギア9hが回転されるように形成される。よって、下側の駆動モータ3が稼動されて下側のスプライン軸5が回転された場合には、各切断ヘッド9における原動ギア9e及び従動ギア9hを介して回転刃11を回転させることができる。即ち、1本のスプライン軸5によって、下側6基の切断ヘッド9における6枚の回転刃11を全て同期させて回転させることができるのである。
【0041】
図2に戻って説明する。位置決めヘッド21の下端部には、前後(図2左右方向)一対のガイド26,26が取着されており、底板2bには、その前後一対のガイド26,26と個々に嵌合するレール27,27がそれぞれ配設されている。また、位置決めヘッド21におけるボールねじ用の軸受25の上方には、上下一対の連結ユニット23,24が配設されている。各連結ユニット23,24には、切断ヘッド8,9側へ向けて突出される連結ロッド23a,24aがそれぞれ配設されており、各切断ヘッド8,9には連結ロッド23a,24aとの対応位置に連結ブロック28,29が配設されている。ここで、図6を参照して、連結ユニット23,24の詳細について説明する。
【0042】
図6は、図2のVI−VI線における横断面図である。図6に示すように、連結ユニット23は、略丸棒状の連結ロッド23aを備えており、この連結ロッド23aは、その中心軸Lが位置決めヘッド21の移動方向(図6中の矢印X方向)との直交方向(図6中の矢印Y1方向)へ向けられている。この連結ロッド23aの先端部23b(図6右側)は、その直径方向(図6上下方向)両側が切欠されることによりテーパ状に形成されている。
【0043】
このテーパ状の先端部23bの対向した切断ヘッド8の一側には連結ブロック28が配設されており、この連結ブロック28には、連結ロッド23aの先端部23bの平面形状に適合した係合凹部28aが凹設されている。一方、連結ロッド23aの基端部(図6左側)には連接板23cの一端が連接され、この連接板23cの他端には空気圧シリンダ23dのロッド23eの先端が接続されている。また、連結ロッド23aは、ケーシング23f内に矢印Y1方向へ摺動可能に挿通されている。
【0044】
このように構成された連結ユニット23によれば、空気圧シリンダ23dが作動されロッド23eが矢印Y1方向へ縮退されると、連接板23cを介して連結ロッド23aが矢印Y1方向へ進出される。この進出により、連結ロッド23aはケーシング23f内を摺動して、連結ブロック28側へ移動され、先端部23bが係合凹部28aに合致した状態で填り込んで、連結ロッド23aと連結ブロック28とが係合されるのである。この係合によって、切断ヘッド8と移送ベッド21とを連結することができる。なお、上記とは逆動作を実行することにより、連結ロッド23a及び連結ブロック28の連結状態は解除される。
【0045】
また、連結ロッド23aは先端部23bがテーパ状に形成され、且つ、連結ブロック28は係合凹部28aが先端部23bの平面形状に適合しているので、係合凹部28aに対して連結ロッド23aの先端部23bが矢印X方向に若干位置ズレしている場合にも、連結ロッド23aの先端部23bを係合凹部28aに円滑に填め込むことができる。
【0046】
更に、他方の連結ユニット24によれば、その構成要素である連結ロッド24a、その連結ロッド24aの先端部24b、連接板24c、空気圧シリンダ24d及びロッド24eは、上記した連結ユニット23の各部材23a〜23eと同様に形成されている。しかも、連結ロッド24aの先端部24bに対向した切断ヘッド9の一側には連結ブロック29が配設されており、この連結ブロック29には、連結ロッド24aの先端部24bの平面形状に適合した係合凹部29aが凹設されている。なお、この連結ユニット24によれば、上記した連結ユニット23と同様に、連結ロッド24aと連結ブロック29との連結又は連結解除が行われる。
【0047】
図2に戻って説明する。フレーム2の天板2aには切断ヘッド8の前後方向(図2左右方向)両側に固定パッド30がそれぞれ1本ずつ計2本配設され、これらの固定パッド30,30はともに切断ヘッド8の移動方向(図2の紙面に対する垂直方向)へ延設されている。なお、図1では図示を省略しているが、固定パッド30,30はフレーム2における位置決めヘッド21の移動範囲全域に渡って設けられている。
【0048】
上記一対の固定パッド30,30は、図2に示すように、切断ヘッド8のヘッド本体8aにおける前後両端面(図2左右両側)から離間してそれぞれ配設されており、一方の固定パッド30と切断ヘッド8の前端面との隙間(図2左側)、及び、他方の固定パッド30と切断ヘッド8の後端面との隙間(図2右側)には、ストッパ装置31,31の可動パッド32,32がそれぞれ介装されている。ストッパ装置31は、それの可動パッド32と固定パッド30との間に摩擦抵抗を生じさせて、その摩擦抵抗により切断ヘッド8をフレーム2の幅方向における所定位置に駐止するものである。
【0049】
また、切断ヘッド9の前後にも一対の固定パッド30,30及び一対のストッパ装置31,31が配設されており、これらは、切断ヘッド8の前後に配設される一対の固定パッド30,30及び一対のストッパ装置31,31を上下に反転させた構造に形成されている。但し、切断ヘッド9についての固定パッド30はフレーム2の底板2bに配設されるものである。次に、図7を参照して、固定パッド30及びストッパ装置31の詳細について説明する。
【0050】
図7は、図1のVII−VII線における部分的な縦断面図であって、主として、切断ヘッド8についてのものである。図7に示すように、固定パッド30は、天板2aに溶接などにより固着された台座30aと、その台座30aにボルトにより締着されたパッド本体30bとを備えている。一方、ストッパ装置31は、可動パッド32を成す台座33及び軸状パッド34と、可動パッド32を固定パッド30との当接方向(図7の下方)へ付勢するコイル状の圧縮ばね35と、その圧縮ばね35の一端(図7上側)が先端に当接される押止板36と、その押止板36の基端とボルトにより締結されるガイド板37と、可動パッド32の台座33に接続されるロッド38aを有した空気圧シリンダ38とを備えている。
【0051】
固定パッド30のパッド本体30bと可動パッド32の台座33との間には所定の空隙が設けられており、そのパッド本体30bには台座33との対向面に固定斜面30cが形成されている。固定斜面30cは、パッド本体30bの上端から下端へ向かうに従って台座33側へ近接するように斜設された傾斜面である。一方、可動パッド32の台座33は略直方体状に形成されており、この台座33における固定斜面30cとの対向部分には、軸状パッド34が嵌装されている。軸状パッド34は、それの軸心が固定パッド30の延設方向(図7の紙面に対する垂直方向)へ向けられ、その軸心回りに台座33の内部にて転動可能とされている。
【0052】
また、軸状パッド34は、その外周面の一部が切欠された断面視略優弧状に形成されており、その切欠された外周面の一部が可動斜面34aとされている。可動斜面34aは、台座33から固定パッド30の固定斜面30cに向けて露出されており、その固定斜面30cから若干離間して対向されている。台座33の上端面には下方へ向けて穴が凹設されており、この穴には圧縮ばね35が緩挿されている。この圧縮ばね35は、若干収縮された状態で台座33の穴内に収容されており、この圧縮ばね35の上端は押止板36により押止されている。
【0053】
押止板36が締結されたガイド板37は、可動パッド32の台座33に摺接されており、可動パッド32はガイド板37と固定パッド30との間で上下方向へ摺動可能に形成されている。また、ガイド板37は、ヘッド本体8aの側面に取着されると共に、その下端がヘッド本体8aの外方へ略水平に延設され、かかる延設部分に空気圧シリンダ38が取着されている。空気圧シリンダ38は、そのロッド38aを上下方向へ伸縮させることにより可動パッド32を上下動させるものである。
【0054】
なお、切断ヘッド9の前後(図2左右)両側に配設される一対の固定パッド30,30及び一対のストッパ装置31,31は、切断ヘッド8の前後両側に配設される一対の固定パッド30,30及び一対のストッパ装置31,31を単に上下に反転させた構造であるので、その説明を省略する。また、当然のことながら、残りの上下5対の切断ヘッド8,9についても、上記した前後一対のストッパ装置31,31がそれぞれ配設されている。
【0055】
図2に戻って説明する。位置決めヘッド21の上端部には、3つの光電スイッチ40が前後方向(図2左右方向)に並設されており、切断ヘッド8の前端部(図2左側)には、各光電スイッチ40によりそれぞれ検知される3つの被検知片41がブラケット42に配設されている。一方、位置決めヘッド21の後端下部(図2右下側)には、1つの光電スイッチ43が配設されており、切断ヘッド9の前端部(図2左側)には光電スイッチ43により検知される被検知片44が配設されている。
【0056】
次に、上記のように構成されたスリッター1の動作例について説明する。図1に示した状態にあるスリッター1によれば、まず、ヘッド送りモータ16が稼動され、送り軸18が逆転されると、ボールねじ用軸受25を介して位置決めヘッド21が反矢印X方向へ移動される。その後、矢印X方向の先頭(図1左側)に位置する切断ヘッド8,9の被検知片41,44が光電スイッチ40,43により検知されると、ヘッド送りモータ16が停止されて位置決めヘッド21の移動が停止される。
【0057】
位置決めヘッド21の停止後、空気圧シリンダ23d,24dが作動され、連結ロッド23a,24aが図6の矢印Y1方向へ進出され、先端部23b,24bが連結ロッド28,29の係合凹部28a,29aに填め込まれて係合される。この係合によって、位置決めヘッド21と上下一対の切断ヘッド8,9とが相互に一纏めに連結される。この連結後は、再び、ヘッド送りモータ21を正転させ、位置決めヘッド21を矢印X方向へ所定距離移動させて、上下一対の切断ヘッド8,9を上下のスプライン軸5,5に沿って目標位置まで移動させる。
【0058】
上下一対の切断ヘッド8,9が位置決めヘッド21により目標位置に達すると、ヘッド送りモータ21が再度停止された後、目標位置に達した上下一対の切断ヘッド8,9に搭載された4基のストッパ装置31の各空気圧シリンダ38が作動され、その各シリンダ38の各ロッド38aが縮退される。これによって、上側のストッパ装置31,31にあっては可動パッド32の台座33がガイド板37に対して下方へ、下側のストッパ装置31,31にあっては可動パッド32の台座33がガイド板37に対して上方へ、それぞれ摺動される。この摺動によって、各可動パッド32の軸状パッド34は、その可動斜面34aが固定パッド30の固定斜面30cに圧接される。
【0059】
しかも、各可動パッド32の台座33は、圧縮ばね35によって固定斜面30c及び可動斜面34aの圧接方向(当接方向)へ更に付勢される。この結果、可動パッド32の可動斜面34aが固定パッド30の固定斜面30cに強固に圧接される。また、可動斜面34aは傾斜した固定斜面30cに圧接されるので、その圧接力の分力が台座33におけるガイド板37との摺接面に加わり、可動パッド32の台座33がガイド板37にも圧接される。この結果、可動パッド32は固定パッド30及びガイド板37との間に摩擦抵抗を生じさせ、結果、切断ヘッド8,9が固定パッド30を介してフレーム2の任意の位置で駐止されるのである。
【0060】
上下一対の切断ヘッド8,9を目標位置に駐止した後は、空気圧シリンダ23d,24dが作動されて連結ロッド23a,24aが図6の反矢印Y1方向へ後退させられ、先端部23b,24bが連結ブロック28,29の係合凹部28a,29aから抜脱されて、1組目の切断ヘッド8,9を位置決めして駐止する処理が完了する。
【0061】
その後は、ヘッド送りモータ16により送り軸18を逆転させて位置決めヘッド21を反矢印X方向へ移動させて、図1中の左から2組目の上下一対の切断ヘッド8,9の被検知片42,44が光電スイッチ40,43により検知されると、ヘッド送りモータ16が停止されて位置決めヘッド21bの移動が停止される。この後は、上記した動作を順次繰り返して、残りの10基の切断ヘッド8,9をそれぞれ目標位置に位置決めして駐止させる。
【0062】
上記の動作によって全12基の切断ヘッド8,9の位置決め及び駐止が完了すると、スリッター1による被切断板材Wの切断処理が行われる。この切断処理では、まず、上下一対の駆動モータ3,3が稼動されると、その回転軸の回転が連結具4,4を介してスプライン軸5,5に伝えられ、スプライン軸5,5が回転される。このスプライン軸5,5の回転は、全12基の切断ヘッド8,9におけるスプライン軸受8b,9bを介して原動ギア8e,9eへ伝達され、この原動ギア8e,9eにより従動ギア8h,9hが回転されて、この従動ギア8h,9hの回転により回転刃10,11が回転される。
【0063】
この結果、2本のスプライン軸5,5によって、全6枚の回転刃10が矢印R1方向(図2参照)へ、全6枚の回転刃11が矢印R2方向へ、それぞれ同期して回転される(図2参照)。この回転する上下6対の回転刃10,11間へ被切断板材Wが矢印Y方向へ向けて送り込まれると、被切断板材Wが幅方向における6箇所で切断されるのである。
【0064】
一方、切断ヘッド8,9の駐止状態を解除する場合は、まず、各切断ヘッド8,9に搭載されたストッパ装置31の各空気圧シリンダ38を作動させ、その各シリンダ38の各ロッド38aを進出させる。これによって、可動パッド32の台座33がガイド板37に対して摺動され、軸状パッド34の可動斜面34aが固定パッド30の固定斜面30cから離間されて、ストッパ装置31による駐止状態が解除される。
【0065】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、本実施例では本発明の付勢部材としてコイル状の圧縮ばね35を用いて説明したが、付勢部材の形態は必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、引張りばねやねじりばねなど他のばね部材であっても良い。また、本実施例では、位置決めヘッド21の連結ロッド23a,24aを切断ヘッド8,9の係合凹部28a,29aに填め込むことにより連結ロッド23a,24aを連結ブロック28,29に係合した。しかしながら、この逆で、連結ロッドの先端に係合凹部を凹設し、連結ブロックに係合凸部を凸設しても良い。
【0066】
また、本実施例では、天板2aに配設される固定斜面30cを、パッド本体30bの上端から下端へ向かうに従って台座33側へ近接するように斜設したが、この固定斜面の傾斜方向は必ずしもこれに限られるものではなく、上記とは逆に、パッド本体30bの下端から上端へ向かうに従って台座33側へ近接するように斜設させても良い。ただし、かかる場合に切断ヘッド8を駐止する際は、空気圧シリンダ38のロッド38aを上方へ進出させる一方、駐止解除の際は、空気圧シリンダ38のロッド38aを下方へ縮退させるようにする。また、圧縮ばね35による台座33の付勢方向も上記実施例とは逆方向とする必要がある。
【0067】
【発明の効果】請求項1記載のスリッター装置によれば、上部ヘッド及び下部ヘッドは、連結部材及び被連結部を介して移送ヘッドに連結され、その移送ヘッドによって装置本体の所定位置へ移送される。よって、従来のスリッター装置のように、各ヘッドに送り用の駆動軸を個々に連結させる必要がなく、送り用駆動軸自体が不要となる。しかも、1基の移送ヘッドによって複数基の上部ヘッド及び下部ヘッドを移送できるので、複数基のヘッドについて個々に送り用の駆動装置(トルクモータやサーボモータ)を使用する必要もない。結果、従来装置に比べて製造コストが低廉化することができ、その装置サイズも小型化することができるという効果がある。
【0068】
また、移送ヘッドには、一対の連結部材と一対の被連結部との係合によって、上下一対の上部ヘッド及び下部ヘッドがまとめて連結されるので、一対の上部ヘッド及び下部ヘッドを一括して目標位置まで移動させることができる。よって、従来のスリッター装置のように、上部ヘッドと下部ヘッドとを別々に位置決めする必要がないので、その分、複数基の上部ヘッド及び下部ヘッドの位置決めに要する時間を短縮化できるという効果がある。
【0069】
請求項2記載のスリッター装置によれば、請求項1記載のスリッター装置の奏する効果に加え、上部駆動軸又は下部駆動軸は、原動側歯車及び従動側歯車からなる歯車列によって回転上刃又は回転下刃に回転を伝達するので、従来のチェーン駆動に比べて高速回転させても回転上刃及び回転下刃に異常振動を励起させることがない。よって、回転上刃及び回転下刃を従来装置より高速回転させて被切断板材を切断できるので、単位長さ当たりの被切断板材の切断時間を短縮化でき、結果、装置の稼動効率を向上できるという効果がある。
【0070】
請求項3記載のスリッター装置によれば、請求項1又は2に記載のスリッター装置の奏する効果に加え、駐止装置により上部ヘッド及び下部ヘッドが駐止される場合、可動体は、圧接手段によって固定体の傾斜面及び案内壁に圧接されるので、かかる圧接により可動体と固定体及び案内壁との間に強固な摩擦抵抗を発生させることができ、かかる摩擦抵抗により上部ヘッド及び下部ヘッドを装置本体に駐止させることができるという効果がある。
【0071】
請求項4記載のスリッター装置によれば、請求項3記載のスリッター装置の奏する効果に加え、圧接手段により固定体へ圧接される可動体は、付勢部材により固定体へ付勢されるので、かかる付勢力により可動体と固定体及び案内壁との間の摩擦抵抗を更に増加させることができるという効果がある。よって、例えば、異常振動が発生した場合でも、かかる異常振動に起因する上部ヘッド及び下部ヘッドの位置ズレを更に防止することができるのである。また、圧接手段の停止状態、例えば、スリッター装置の停止時においても、可動体は付勢部材によって付勢され固定体及び案内壁に圧接されるので、かかる場合にも上部ヘッドや下部ヘッドの位置ズレを防止できるという効果がある。
【0072】
請求項5記載のスリッター装置によれば、請求項2又は4に記載のスリッター装置の奏する効果に加え、例えば、固定体の傾斜面の角度が部分的に不均一であっても、軸状部材が転動することにより可動体の傾斜面、即ち、軸状部材の切欠面の向きを固定体の傾斜面と平行な状態に修正して、可動体の傾斜面と固定体の傾斜面との密着性を確保できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるスリッター1の正面図である。
【図2】図1のII−II線における部分断面図である。
【図3】図2のIII−III線における部分的な縦断面図である。
【図4】図2のIV−IV線における部分的な縦断面図である。
【図5】図2のV−V線における部分的な横断面図である。
【図6】図2のVI−VI線における横断面図である。
【図7】図1のVII−VII線における部分的な縦断面図である。
【符号の説明】
1 スリッター(スリッター装置)
2 フレーム(装置本体)
5,5 スプライン軸(上部駆動軸、下部駆動軸)
8 切断ヘッド(上部ヘッド)
8b スプライン軸受(上部伝達体の一部)
8c ブシュ(上部伝達体の一部)
8e 原動ギア(原動側歯車、上部伝達体の一部)
8f 回転軸(上部伝達体の一部)
8h 従動ギア(従動側歯車、上部伝達体の一部)
9 切断ヘッド(下部ヘッド)
9b スプライン軸受(下部伝達体の一部)
9c ブシュ(下部伝達体の一部)
9e 原動ギア(原動側歯車、下部伝達体の一部)
9f 回転軸(下部伝達体の一部)
9h 従動ギア(従動側歯車、下部伝達体の一部)
10 回転刃(回転上刃)
11 回転刃(回転下刃)
21 位置決めヘッド(移送ヘッド)
23a,24a 連結ロッド(一対の連結部材)
28,29 連結ブロック(一対の被連結部)
30 固定パッド(固定体)
30c 固定斜面(固定体の傾斜面)
31 ストッパ装置(駐止装置)
32 可動パッド(可動体)
34 軸状パッド(軸状部材)
34a 可動斜面(可動体の傾斜面)
35 圧縮ばね(付勢部材)
37 ガイド板(案内壁)
38 空気圧シリンダ(圧接手段、圧接解除手段)
W 被切断板材

Claims (5)

  1. 搬送移動される被切断板材を切断するために対を成す回転上刃及び回転下刃と、その回転上刃に回転力を伝達する上部伝達体と、その上部伝達体及び回転上刃が軸支される上部ヘッドと、前記回転下刃に回転力を伝達する下部伝達体と、その下部伝達体及び回転下刃が軸支される下部ヘッドと、その下部ヘッド及び上部ヘッドが被切断板材の搬送方向と直交する略水平方向へ独立して移動可能に複数対並設される装置本体とを備えたスリッター装置において、
    その装置本体における前記上部ヘッドの並設方向に連架され、複数の前記上部伝達体に一括して歯合されるスプラインを有した上部駆動軸と、
    その上部駆動軸と略平行に前記下部ヘッドの並設方向へ連架され、複数の前記下部伝達体に一括して歯合されるスプラインを有した下部駆動軸と、
    前記上部ヘッド及び下部ヘッドと同一方向へ移動可能に前記装置本体に搭載される移送ヘッドと、
    その移送ヘッドに搭載され上下一対の前記上部ヘッド及び下部ヘッドに対置される一対の連結部材と、
    その一対の連結部材と係合可能に形成され、その一対の連結部材に対応して前記上部及び下部ヘッドに設けられる一対の被連結部と、
    その一対の被連結部と共に前記上部ヘッド及び下部ヘッドに設けられ、その上部ヘッド及び下部ヘッドを前記装置本体の所望位置に駐止させる駐止装置とを備えていることを特徴とするスリッター装置。
  2. 前記上部伝達体又は下部伝達体は、
    前記回転上刃又は回転下刃の中心の同軸上に連結され複数の歯が外周に刻設される従動側歯車と、
    その従動側歯車に歯合される複数の歯が外周に刻設され且つ中心に前記上部駆動軸又は下部駆動軸のスプラインと歯合可能なボス穴が形成された原動側歯車とを備えていることを特徴とする請求項1記載のスリッター装置。
  3. 前記装置本体は、前記上部ヘッド及び下部ヘッドの移動方向に沿って延設され、その延設方向と略直交する横断方向一側に傾斜面が斜設された固定体を備えており、
    前記駐止装置は、
    前記固定体の傾斜面から離間した位置に形成される案内壁と、
    その案内壁に摺接され且つ前記固定体の傾斜面と略平行に対向した傾斜面が斜設される可動体と、
    その可動体の傾斜面と前記固定体の傾斜面との当接方向へ前記可動体を移動させる圧接手段と、
    その圧接手段による前記可動体の移動方向と逆方向へ前記可動体を移動させる圧接解除手段とを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のスリッター装置。
  4. 前記駐止装置は、前記圧接手段による前記可動体の移動方向へ向けて前記可動体を付勢する付勢部材を備えていることを特徴とする請求項3記載のスリッター装置。
  5. 前記可動体は、軸心が前記固定体の延設方向に向けられ且つ外周面の一部が切欠された断面視略優弧状に形成されると共に、その可動体の内部にて前記軸心回りで転動可能に嵌装される軸状部材を備えており、
    前記可動体の傾斜面は、その軸状部材における切欠された外周面の一部であることを特徴とする請求項3又は4に記載のスリッター装置。
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