JP2004167368A - 汚泥の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】リンが除去可能な汚泥可溶化プロセスに、可溶化汚泥の後処理として酵素処理を組込むことにより、水処理の悪化を防ぎ、最小限の汚泥を余剰汚泥として引抜くだけでリンの除去も行うことができる汚泥の処理方法を提供すること。
【解決手段】反応槽2内の活性汚泥により、有機性汚水を生物処理するとともに、この生物処理により発生した汚泥を可溶化した後、可溶化処理汚泥を反応槽2に返送して分解するようにした汚泥の処理方法において、可溶化処理した汚泥を酵素処理槽11に一時貯留し、酵素剤を添加しながら、所定の時間、所定の温度に保って酵素処理を行った後、反応槽2に返送する。
【選択図】 図1
【解決手段】反応槽2内の活性汚泥により、有機性汚水を生物処理するとともに、この生物処理により発生した汚泥を可溶化した後、可溶化処理汚泥を反応槽2に返送して分解するようにした汚泥の処理方法において、可溶化処理した汚泥を酵素処理槽11に一時貯留し、酵素剤を添加しながら、所定の時間、所定の温度に保って酵素処理を行った後、反応槽2に返送する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、汚泥の処理方法、特に、下水等の有機性の汚水を活性汚泥により生物学的に処理し、有機物やリンを除去して、発生する汚泥量を最小限にすることができる汚泥の処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、下水処理場等に流入する汚水を処理するために、活性汚泥の曝気槽に汚水を導入し、これを曝気、攪拌して生物処理を行う活性汚泥法が用いられている。
水処理工程で発生する余剰汚泥は、通常、脱水を行った後、埋立処分されているが、処分地が次第になくなりつつあることから、余剰汚泥に対し、オゾン等を添加して汚泥を可溶化し、系内で生物分解することにより、汚泥発生量をゼロにする方法が試みられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の汚泥の可溶化技術では、可溶化した汚泥をそのまま反応槽に返送するために、反応槽への負荷が増大して、曝気装置に能力不足を生じたり、水質が悪化するという問題がある。また、排出汚泥をゼロにする技術は、汚泥に取り込んだ形で排出していたリンが、全く除去できなくなる点も欠点とされている。
【0004】
本発明は、上記従来の汚泥の処理方法が有する問題点に鑑み、リンが除去可能な汚泥可溶化プロセスに、可溶化汚泥の後処理として酵素処理を組込むことにより、水処理の悪化を防ぎ、最小限の汚泥を余剰汚泥として引抜くだけでリンの除去も行うことができる汚泥の処理方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の汚泥の処理方法は、反応槽内の活性汚泥により、有機性汚水を生物処理するとともに、該生物処理により発生した汚泥を可溶化した後、該可溶化処理汚泥を反応槽に返送して分解するようにした汚泥の処理方法において、前記可溶化処理した汚泥を酵素処理槽に一時貯留し、酵素剤を添加しながら、所定の時間、所定の温度に保って酵素処理を行った後、反応槽に返送するようにしたことを特徴とする。
【0006】
この汚泥の処理方法は、活性汚泥法において、最終沈殿槽から汚泥を引抜いて汚泥可溶化槽に導いて、酸の添加と加熱処理を行って汚泥の可溶化を促進し、酵素処理槽に移送して、酵素の作用により、可溶化汚泥に含まれる細胞壁や細胞膜を分解又は低分子化した後、反応槽に返流して、活性汚泥により生物処理を行うことから、水処理の負荷を増大させることなく、良好な処理水質を得られるとともに、場外に排出する汚泥量を、従来の活性汚泥法の1/10程度に削減することができ、埋立処分する際の必要な用地を少なくするとともに、一時貯留の間にも嫌気腐敗による悪臭の発生を防止することができ、また、水処理の負荷がほとんど変わらないため、既存の施設に適用する場合にも曝気機の能力不足等の問題を生じさせることなく実施することができる。
【0007】
この場合において、汚泥の可溶化処理方法として酸と熱を利用し、可溶化処理後に固液分離を行い、分離した汚泥を対象として酵素処理を行うことができる。
【0008】
このように、汚泥の可溶化処理方法として酸と熱を利用することにより、酸と温度の作用で微生物を死滅させ、微生物を構成する細胞壁や細胞膜の一部を脱水分解し、細胞内の細胞質とリンを可溶化汚泥の液中に溶出させるとともに、酸の作用によりリン酸化合物や固形物状のリンを液中に溶解させることができる。
【0009】
また、可溶化処理後、固液分離して得られた分離水にアルカリ剤を添加して無機物を主体とした汚泥を析出させ、次いで固液分離を行うことにより汚泥を系外に排出し、分離水を反応槽に返送することができる。
【0010】
このように、可溶化処理汚泥を固液分離して得られた分離水にアルカリ剤を添加してpHを調整することにより、汚泥可溶化槽で汚泥から溶出したリンや溶解したリン酸化合物を再度不溶化して無機物主体の汚泥として析出させ、次いで固液分離を行うことにより、汚泥を系外に排出することができる。
【0011】
また、酵素剤として、タンパク質分解酵素及び/又は細胞壁分解酵素を用いることができる。
【0012】
これにより、残留した断片状の汚泥微生物の細胞壁や細胞膜を、酵素の加水分解作用により好適に低分子化させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の汚泥の処理方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1に、本発明の汚泥の処理方法の一実施例を示す。
下水処理場のような汚水の処理施設に流入した汚水Aは、前処理設備1で砂分やし渣を除去した後、反応槽2へと送水され、活性汚泥により生物的に処理される。反応槽2で処理された汚水は、汚泥混合液として、最終沈殿槽3へと送水され、固液分離されて処理水Bとしてオーバーフローする。
この場合、図では省略しているが、高度処理を目的として、リン除去性能を高めたい場合は、凝集剤供給装置を付加し、汚水中のリン酸と反応し化合物を生成する、鉄やアルミ系の凝集剤を反応槽2に添加する。
沈殿した汚泥は、汚泥返送ポンプ4により間欠的又は連続的に引抜かれ、返送汚泥Cとして反応槽2へと返送される。
【0015】
最終沈殿槽3から引抜かれる沈殿汚泥の一部は、余剰汚泥Dとして汚泥投入ポンプ5により汚泥可溶化槽6に投入され、酸供給装置7から供給された硫酸等の酸により、汚泥の可溶化とリンの溶出が行われる。
このとき、汚泥可溶化槽6の汚泥を30℃以上に加熱し、1時間以上反応させることにより、さらに汚泥の可溶化を促進することができる。
所定の時間反応を行った後、可溶化汚泥Eを第1沈殿槽8に導く。加熱処理を行わない場合は、汚泥の沈殿に時間を要するが、加熱処理を行った汚泥は、汚泥濃度が低く、沈降性も良いため、より短い時間で沈殿分離することができる。
【0016】
第1沈殿槽8の上澄水Hは、オーバーフローさせるか、又はポンプにより第2沈殿槽13に導くが、この間にアルカリ供給装置12により、アルカリ剤を注入してpHを調整する。
なお、pH調整は、配管内で行っても良いが、別にpH調整槽を設けて、攪拌しながらアルカリ剤の注入制御を行う方が、より確実である。
【0017】
第2沈殿槽11で沈殿した汚泥1は、汚泥引抜ポンプ14により、引抜汚泥Iとして汚泥貯留槽15に送泥し、一時貯留する。
貯留した汚泥Kは、バキューム車等により処理場外に搬出するが、脱水設備等の設備を設け、定期的に引抜いて後処理を行うことも可能である。
なお、第2沈殿槽13の沈殿分離液Jは、反応槽2へと返流させるが、汚泥貯留槽15でも、一時貯留する間に上澄液ができるため、上澄水を返流させる配管を設けることが望ましい。
【0018】
一方、第1沈殿槽8で沈殿した可溶化濃縮汚泥Fは、汚泥移送ポンプ9を用いて、酵素処理槽11に移送して一時貯留し、酵素処理を行う。図には示していないが、酵素処理槽で、酵素と可溶化汚泥の接触効率を高めるために、通常は、処理水などの水を注入して汚泥を希釈し、汚泥の粘度を下げる必要がある。
また、使用する酵素剤の特性を考慮し、必要によりアルカリ剤を添加してpHを適正な領域に調整する。酵素供給装置10より、酵素剤を供給して、槽内を攪拌しながら、所定の時間、所定の温度に保つことにより酵素処理を行った後、酵素処理液Gとして反応槽2に返流させる。
【0019】
次に、本発明の作用について説明する。
汚泥投入ポンプ5により、汚泥可溶化槽6に投入された汚泥には、微生物体内に取り込まれたリン酸、凝集剤により不溶化したリン酸化合物、固形物状のリンが含まれている。
汚泥可溶化槽6で酸供給装置7により、酸を所定量、又は汚泥可溶化槽6内に設けたpHセンサーの指示値を基にpHを5以下、好ましくは2以下の所定の値になるまで酸を注入する。
汚泥可溶化槽6には、攪拌機を設け、緩やかに攪拌しながら1hr以上反応させるが、このとき、槽内を加熱して汚泥の温度を30℃以上とすれば、汚泥の可溶化が促進される。
すなわち、酸と温度の作用で、微生物は死滅し、微生物を構成する細胞壁や細胞膜の一部が脱水分解されて、細胞内の細胞質が溶出する。また、このとき、微生物体内に取り込まれていたリンが可溶化汚泥の液中に溶出するとともに、酸の作用でリン酸化合物や固形物状のリンが液中に溶解する。
【0020】
所定の時間、可溶化処理を行った汚泥Eは、全量を第1沈殿槽8へと送水し、固液分離を行う。
第1沈殿槽8で分離された上澄水Hは、オーバーフロー又はポンプにより、第2沈殿槽13へと移送する間に、アルカリ剤供給装置12により、アルカリ剤を注入してpHを3以上に上昇させると、溶解していたリンの大半は再び固形物状となり、リン酸も凝集剤の金属塩と反応してリン酸化合物となり不溶化する。
このとき、酸によって溶解していた無機物もpH上昇に伴い固形物に戻るため、第2沈殿槽13で沈殿した汚泥1は、リン酸化合物などの無機物主体の汚泥となる。
第2沈殿槽13の上澄水は、可溶化処理により、溶出した易分解な有機物が含まれているため、沈殿分離液Jとして反応槽2に返流し、活性汚泥により生物学的に処理を行う。
【0021】
一方、第1沈殿槽8で沈殿した汚泥Fには、汚泥微生物の細胞壁や細胞膜が断片状になって多量に残留しているため、酵素処理槽11に一時貯留して、酵素の加水分解作用により、有機物を低分子化させる。
酵素剤としては、食品、皮革、繊維等の産業用に用いられている市販の酵素剤を使用することができ、タンパク質分解酵素、グルカナーゼ等の細胞壁分解酵素の中から、1種類以上の酵素を選んで使用する。
酵素剤の添加量は、対象とする可溶化汚泥液の量に対し、0.01〜0.1重量%程度が好ましく、酵素剤を添加後、酵素処理の至適温度で0.5〜5時間程度、攪拌しながら処理を行う。なお、温度は使用する酵素剤の種類により異なるが、通常は、30〜70℃の範囲の温度に設定される。
【0022】
酵素処理によって難分解な有機物も易分解化、又は低分子化しているため、酵素処理液Gを反応槽2に返流すると、反応槽内の汚泥微生物により、比較的短時間で無機物に分解することができる。
【0023】
以上により、反応槽で増加する汚泥は、可溶化処理工程を付加することで、分解処理され、また、第2沈殿槽で沈殿し、場外に搬出される汚泥は、凝集したリン酸化合物等の、無機物主体の汚泥となるため、排出汚泥量を従来の1/10程度とすることができる。
【0024】
以上、本実施例では、酸と加熱を用いた可溶化を例に説明しているが、リンの除去を前提としない場合には、別の可溶化手段、たとえば、オゾンやラジカルなどの化学的酸化、ミルなどの機械的細胞破砕などの方法を用いて汚泥を可溶化し、反応槽2に戻す場合にも、本発明の酵素処理を付加したプロセスは有効である。
また、反応槽2と最終沈殿槽3からなるフローにおいて、最終沈殿槽3から引抜いた汚泥を可溶化処理しているが、沈殿後にさらに濃縮を行い、濃縮汚泥に対して可溶化処理を行うことも可能である。
固液分離は、重力式の沈殿槽を用いているが、遠心分離など、他の固液分離装置を用いることも可能である。あるいは、最終沈殿槽3の代わりに、反応槽2内に膜分離装置を設け、精密濾過膜、限外濾過膜等の膜により、処理水Bを濾過する膜分離活性汚泥法を採用し、膜を用いることにより、汚泥濃度を高め、反応槽から直接引抜いた汚泥に対し、可溶化処理を行うことも可能である。
【0025】
【発明の効果】
本発明の汚泥の処理方法によれば、活性汚泥法において、最終沈殿槽から汚泥を引抜いて汚泥可溶化槽に導いて、酸の添加と加熱処理を行って汚泥の可溶化を促進し、酵素処理槽に移送して、酵素の作用により、可溶化汚泥に含まれる細胞壁や細胞膜を分解又は低分子化した後、反応槽に返流して、活性汚泥により生物処理を行うことから、水処理の負荷を増大させることなく、良好な処理水質を得られるとともに、場外に排出する汚泥量を、従来の活性汚泥法の1/10程度に削減することができ、埋立処分する際の必要な用地を少なくするとともに、一時貯留の間にも嫌気腐敗による悪臭の発生を防止することができ、また、水処理の負荷がほとんど変わらないため、既存の施設に適用する場合にも曝気機の能力不足等の問題を生じさせることなく実施することができる。
【0026】
また、汚泥の可溶化処理方法として酸と熱を利用することにより、酸と温度の作用で微生物を死滅させ、微生物を構成する細胞壁や細胞膜の一部を脱水分解し、細胞内の細胞質とリンを可溶化汚泥の液中に溶出させるとともに、酸の作用によりリン酸化合物や固形物状のリンを液中に溶解させることができる。
【0027】
また、可溶化処理汚泥を固液分離して得られた分離水にアルカリ剤を添加してpHを調整することにより、汚泥可溶化槽で汚泥から溶出したリンや溶解したリン酸化合物を再度不溶化して無機物主体の汚泥として析出させ、次いで固液分離を行うことにより、汚泥を系外に排出することができる。
【0028】
また、酵素剤として、タンパク質分解酵素及び/又は細胞壁分解酵素を用いることにより、残留した断片状の汚泥微生物の細胞壁や細胞膜を、酵素の加水分解作用により好適に低分子化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の汚泥の処理方法の活性汚泥処理におけるリン除去方法を示す処理フローである。
【符号の説明】
1 前処理設備
2 反応槽
3 最終沈殿槽
4 汚泥返送ポンプ
5 汚泥投入ポンプ
6 汚泥可溶化槽
7 酸供給装置
8 第1沈殿槽
9 汚泥移送ポンプ
10 酵素供給装置
11 酵素処理槽
12 アルカリ供給装置
13 第2沈殿槽
14 汚泥引抜ポンプ
15 汚泥貯留槽
A 汚水
B 処理水
C 返送汚泥
D 余剰汚泥
E 可溶化汚泥
F 可溶化濃縮汚泥
G 酵素処理液
H 上澄水
I 引抜汚泥
J 沈殿分離液
K 排出汚泥
【発明の属する技術分野】
本発明は、汚泥の処理方法、特に、下水等の有機性の汚水を活性汚泥により生物学的に処理し、有機物やリンを除去して、発生する汚泥量を最小限にすることができる汚泥の処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、下水処理場等に流入する汚水を処理するために、活性汚泥の曝気槽に汚水を導入し、これを曝気、攪拌して生物処理を行う活性汚泥法が用いられている。
水処理工程で発生する余剰汚泥は、通常、脱水を行った後、埋立処分されているが、処分地が次第になくなりつつあることから、余剰汚泥に対し、オゾン等を添加して汚泥を可溶化し、系内で生物分解することにより、汚泥発生量をゼロにする方法が試みられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の汚泥の可溶化技術では、可溶化した汚泥をそのまま反応槽に返送するために、反応槽への負荷が増大して、曝気装置に能力不足を生じたり、水質が悪化するという問題がある。また、排出汚泥をゼロにする技術は、汚泥に取り込んだ形で排出していたリンが、全く除去できなくなる点も欠点とされている。
【0004】
本発明は、上記従来の汚泥の処理方法が有する問題点に鑑み、リンが除去可能な汚泥可溶化プロセスに、可溶化汚泥の後処理として酵素処理を組込むことにより、水処理の悪化を防ぎ、最小限の汚泥を余剰汚泥として引抜くだけでリンの除去も行うことができる汚泥の処理方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の汚泥の処理方法は、反応槽内の活性汚泥により、有機性汚水を生物処理するとともに、該生物処理により発生した汚泥を可溶化した後、該可溶化処理汚泥を反応槽に返送して分解するようにした汚泥の処理方法において、前記可溶化処理した汚泥を酵素処理槽に一時貯留し、酵素剤を添加しながら、所定の時間、所定の温度に保って酵素処理を行った後、反応槽に返送するようにしたことを特徴とする。
【0006】
この汚泥の処理方法は、活性汚泥法において、最終沈殿槽から汚泥を引抜いて汚泥可溶化槽に導いて、酸の添加と加熱処理を行って汚泥の可溶化を促進し、酵素処理槽に移送して、酵素の作用により、可溶化汚泥に含まれる細胞壁や細胞膜を分解又は低分子化した後、反応槽に返流して、活性汚泥により生物処理を行うことから、水処理の負荷を増大させることなく、良好な処理水質を得られるとともに、場外に排出する汚泥量を、従来の活性汚泥法の1/10程度に削減することができ、埋立処分する際の必要な用地を少なくするとともに、一時貯留の間にも嫌気腐敗による悪臭の発生を防止することができ、また、水処理の負荷がほとんど変わらないため、既存の施設に適用する場合にも曝気機の能力不足等の問題を生じさせることなく実施することができる。
【0007】
この場合において、汚泥の可溶化処理方法として酸と熱を利用し、可溶化処理後に固液分離を行い、分離した汚泥を対象として酵素処理を行うことができる。
【0008】
このように、汚泥の可溶化処理方法として酸と熱を利用することにより、酸と温度の作用で微生物を死滅させ、微生物を構成する細胞壁や細胞膜の一部を脱水分解し、細胞内の細胞質とリンを可溶化汚泥の液中に溶出させるとともに、酸の作用によりリン酸化合物や固形物状のリンを液中に溶解させることができる。
【0009】
また、可溶化処理後、固液分離して得られた分離水にアルカリ剤を添加して無機物を主体とした汚泥を析出させ、次いで固液分離を行うことにより汚泥を系外に排出し、分離水を反応槽に返送することができる。
【0010】
このように、可溶化処理汚泥を固液分離して得られた分離水にアルカリ剤を添加してpHを調整することにより、汚泥可溶化槽で汚泥から溶出したリンや溶解したリン酸化合物を再度不溶化して無機物主体の汚泥として析出させ、次いで固液分離を行うことにより、汚泥を系外に排出することができる。
【0011】
また、酵素剤として、タンパク質分解酵素及び/又は細胞壁分解酵素を用いることができる。
【0012】
これにより、残留した断片状の汚泥微生物の細胞壁や細胞膜を、酵素の加水分解作用により好適に低分子化させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の汚泥の処理方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1に、本発明の汚泥の処理方法の一実施例を示す。
下水処理場のような汚水の処理施設に流入した汚水Aは、前処理設備1で砂分やし渣を除去した後、反応槽2へと送水され、活性汚泥により生物的に処理される。反応槽2で処理された汚水は、汚泥混合液として、最終沈殿槽3へと送水され、固液分離されて処理水Bとしてオーバーフローする。
この場合、図では省略しているが、高度処理を目的として、リン除去性能を高めたい場合は、凝集剤供給装置を付加し、汚水中のリン酸と反応し化合物を生成する、鉄やアルミ系の凝集剤を反応槽2に添加する。
沈殿した汚泥は、汚泥返送ポンプ4により間欠的又は連続的に引抜かれ、返送汚泥Cとして反応槽2へと返送される。
【0015】
最終沈殿槽3から引抜かれる沈殿汚泥の一部は、余剰汚泥Dとして汚泥投入ポンプ5により汚泥可溶化槽6に投入され、酸供給装置7から供給された硫酸等の酸により、汚泥の可溶化とリンの溶出が行われる。
このとき、汚泥可溶化槽6の汚泥を30℃以上に加熱し、1時間以上反応させることにより、さらに汚泥の可溶化を促進することができる。
所定の時間反応を行った後、可溶化汚泥Eを第1沈殿槽8に導く。加熱処理を行わない場合は、汚泥の沈殿に時間を要するが、加熱処理を行った汚泥は、汚泥濃度が低く、沈降性も良いため、より短い時間で沈殿分離することができる。
【0016】
第1沈殿槽8の上澄水Hは、オーバーフローさせるか、又はポンプにより第2沈殿槽13に導くが、この間にアルカリ供給装置12により、アルカリ剤を注入してpHを調整する。
なお、pH調整は、配管内で行っても良いが、別にpH調整槽を設けて、攪拌しながらアルカリ剤の注入制御を行う方が、より確実である。
【0017】
第2沈殿槽11で沈殿した汚泥1は、汚泥引抜ポンプ14により、引抜汚泥Iとして汚泥貯留槽15に送泥し、一時貯留する。
貯留した汚泥Kは、バキューム車等により処理場外に搬出するが、脱水設備等の設備を設け、定期的に引抜いて後処理を行うことも可能である。
なお、第2沈殿槽13の沈殿分離液Jは、反応槽2へと返流させるが、汚泥貯留槽15でも、一時貯留する間に上澄液ができるため、上澄水を返流させる配管を設けることが望ましい。
【0018】
一方、第1沈殿槽8で沈殿した可溶化濃縮汚泥Fは、汚泥移送ポンプ9を用いて、酵素処理槽11に移送して一時貯留し、酵素処理を行う。図には示していないが、酵素処理槽で、酵素と可溶化汚泥の接触効率を高めるために、通常は、処理水などの水を注入して汚泥を希釈し、汚泥の粘度を下げる必要がある。
また、使用する酵素剤の特性を考慮し、必要によりアルカリ剤を添加してpHを適正な領域に調整する。酵素供給装置10より、酵素剤を供給して、槽内を攪拌しながら、所定の時間、所定の温度に保つことにより酵素処理を行った後、酵素処理液Gとして反応槽2に返流させる。
【0019】
次に、本発明の作用について説明する。
汚泥投入ポンプ5により、汚泥可溶化槽6に投入された汚泥には、微生物体内に取り込まれたリン酸、凝集剤により不溶化したリン酸化合物、固形物状のリンが含まれている。
汚泥可溶化槽6で酸供給装置7により、酸を所定量、又は汚泥可溶化槽6内に設けたpHセンサーの指示値を基にpHを5以下、好ましくは2以下の所定の値になるまで酸を注入する。
汚泥可溶化槽6には、攪拌機を設け、緩やかに攪拌しながら1hr以上反応させるが、このとき、槽内を加熱して汚泥の温度を30℃以上とすれば、汚泥の可溶化が促進される。
すなわち、酸と温度の作用で、微生物は死滅し、微生物を構成する細胞壁や細胞膜の一部が脱水分解されて、細胞内の細胞質が溶出する。また、このとき、微生物体内に取り込まれていたリンが可溶化汚泥の液中に溶出するとともに、酸の作用でリン酸化合物や固形物状のリンが液中に溶解する。
【0020】
所定の時間、可溶化処理を行った汚泥Eは、全量を第1沈殿槽8へと送水し、固液分離を行う。
第1沈殿槽8で分離された上澄水Hは、オーバーフロー又はポンプにより、第2沈殿槽13へと移送する間に、アルカリ剤供給装置12により、アルカリ剤を注入してpHを3以上に上昇させると、溶解していたリンの大半は再び固形物状となり、リン酸も凝集剤の金属塩と反応してリン酸化合物となり不溶化する。
このとき、酸によって溶解していた無機物もpH上昇に伴い固形物に戻るため、第2沈殿槽13で沈殿した汚泥1は、リン酸化合物などの無機物主体の汚泥となる。
第2沈殿槽13の上澄水は、可溶化処理により、溶出した易分解な有機物が含まれているため、沈殿分離液Jとして反応槽2に返流し、活性汚泥により生物学的に処理を行う。
【0021】
一方、第1沈殿槽8で沈殿した汚泥Fには、汚泥微生物の細胞壁や細胞膜が断片状になって多量に残留しているため、酵素処理槽11に一時貯留して、酵素の加水分解作用により、有機物を低分子化させる。
酵素剤としては、食品、皮革、繊維等の産業用に用いられている市販の酵素剤を使用することができ、タンパク質分解酵素、グルカナーゼ等の細胞壁分解酵素の中から、1種類以上の酵素を選んで使用する。
酵素剤の添加量は、対象とする可溶化汚泥液の量に対し、0.01〜0.1重量%程度が好ましく、酵素剤を添加後、酵素処理の至適温度で0.5〜5時間程度、攪拌しながら処理を行う。なお、温度は使用する酵素剤の種類により異なるが、通常は、30〜70℃の範囲の温度に設定される。
【0022】
酵素処理によって難分解な有機物も易分解化、又は低分子化しているため、酵素処理液Gを反応槽2に返流すると、反応槽内の汚泥微生物により、比較的短時間で無機物に分解することができる。
【0023】
以上により、反応槽で増加する汚泥は、可溶化処理工程を付加することで、分解処理され、また、第2沈殿槽で沈殿し、場外に搬出される汚泥は、凝集したリン酸化合物等の、無機物主体の汚泥となるため、排出汚泥量を従来の1/10程度とすることができる。
【0024】
以上、本実施例では、酸と加熱を用いた可溶化を例に説明しているが、リンの除去を前提としない場合には、別の可溶化手段、たとえば、オゾンやラジカルなどの化学的酸化、ミルなどの機械的細胞破砕などの方法を用いて汚泥を可溶化し、反応槽2に戻す場合にも、本発明の酵素処理を付加したプロセスは有効である。
また、反応槽2と最終沈殿槽3からなるフローにおいて、最終沈殿槽3から引抜いた汚泥を可溶化処理しているが、沈殿後にさらに濃縮を行い、濃縮汚泥に対して可溶化処理を行うことも可能である。
固液分離は、重力式の沈殿槽を用いているが、遠心分離など、他の固液分離装置を用いることも可能である。あるいは、最終沈殿槽3の代わりに、反応槽2内に膜分離装置を設け、精密濾過膜、限外濾過膜等の膜により、処理水Bを濾過する膜分離活性汚泥法を採用し、膜を用いることにより、汚泥濃度を高め、反応槽から直接引抜いた汚泥に対し、可溶化処理を行うことも可能である。
【0025】
【発明の効果】
本発明の汚泥の処理方法によれば、活性汚泥法において、最終沈殿槽から汚泥を引抜いて汚泥可溶化槽に導いて、酸の添加と加熱処理を行って汚泥の可溶化を促進し、酵素処理槽に移送して、酵素の作用により、可溶化汚泥に含まれる細胞壁や細胞膜を分解又は低分子化した後、反応槽に返流して、活性汚泥により生物処理を行うことから、水処理の負荷を増大させることなく、良好な処理水質を得られるとともに、場外に排出する汚泥量を、従来の活性汚泥法の1/10程度に削減することができ、埋立処分する際の必要な用地を少なくするとともに、一時貯留の間にも嫌気腐敗による悪臭の発生を防止することができ、また、水処理の負荷がほとんど変わらないため、既存の施設に適用する場合にも曝気機の能力不足等の問題を生じさせることなく実施することができる。
【0026】
また、汚泥の可溶化処理方法として酸と熱を利用することにより、酸と温度の作用で微生物を死滅させ、微生物を構成する細胞壁や細胞膜の一部を脱水分解し、細胞内の細胞質とリンを可溶化汚泥の液中に溶出させるとともに、酸の作用によりリン酸化合物や固形物状のリンを液中に溶解させることができる。
【0027】
また、可溶化処理汚泥を固液分離して得られた分離水にアルカリ剤を添加してpHを調整することにより、汚泥可溶化槽で汚泥から溶出したリンや溶解したリン酸化合物を再度不溶化して無機物主体の汚泥として析出させ、次いで固液分離を行うことにより、汚泥を系外に排出することができる。
【0028】
また、酵素剤として、タンパク質分解酵素及び/又は細胞壁分解酵素を用いることにより、残留した断片状の汚泥微生物の細胞壁や細胞膜を、酵素の加水分解作用により好適に低分子化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の汚泥の処理方法の活性汚泥処理におけるリン除去方法を示す処理フローである。
【符号の説明】
1 前処理設備
2 反応槽
3 最終沈殿槽
4 汚泥返送ポンプ
5 汚泥投入ポンプ
6 汚泥可溶化槽
7 酸供給装置
8 第1沈殿槽
9 汚泥移送ポンプ
10 酵素供給装置
11 酵素処理槽
12 アルカリ供給装置
13 第2沈殿槽
14 汚泥引抜ポンプ
15 汚泥貯留槽
A 汚水
B 処理水
C 返送汚泥
D 余剰汚泥
E 可溶化汚泥
F 可溶化濃縮汚泥
G 酵素処理液
H 上澄水
I 引抜汚泥
J 沈殿分離液
K 排出汚泥
Claims (4)
- 反応槽内の活性汚泥により、有機性汚水を生物処理するとともに、該生物処理により発生した汚泥を可溶化した後、該可溶化処理汚泥を反応槽に返送して分解するようにした汚泥の処理方法において、前記可溶化処理した汚泥を酵素処理槽に一時貯留し、酵素剤を添加しながら、所定の時間、所定の温度に保って酵素処理を行った後、反応槽に返送するようにしたことを特徴とする汚泥の処理方法。
- 汚泥の可溶化処理方法として酸と熱を利用し、可溶化処理後に固液分離を行い、分離した汚泥を対象として酵素処理を行うことを特徴とする請求項1記載の汚泥の処理方法。
- 可溶化処理後、固液分離して得られた分離水にアルカリ剤を添加して無機物を主体とした汚泥を析出させ、次いで固液分離を行うことにより汚泥を系外に排出し、分離水を反応槽に返送するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の汚泥の処理方法。
- 酵素剤として、タンパク質分解酵素及び/又は細胞壁分解酵素を用いることを特徴とする請求項1、2、又は3記載の汚泥の処理方法。
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JP2013184074A (ja) * | 2012-03-05 | 2013-09-19 | Seinen:Kk | 生物処理剤 |
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2002
- 2002-11-20 JP JP2002335967A patent/JP2004167368A/ja active Pending
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