JP2004351354A - 汚泥の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】汚泥可溶化プロセスにリンを除去するプロセスを組込むことにより、水処理の悪化を防ぎ、最小限の汚泥を余剰汚泥として引抜くだけで、リンの除去も行うことができる汚泥の処理方法を提供すること。
【解決手段】曝気槽2内の活性汚泥により、有機性汚水を生物処理するとともに、生物処理により発生した余剰汚泥Dを可溶化した後、可溶化処理汚泥を曝気槽2に返送して分解するようにした汚泥の処理方法において、余剰汚泥Dを電気分解処理して微生物を殺菌処理した後、電気分解によって生成した微細気泡によって汚泥を浮上濃縮し、この浮上汚泥Iを酸混合槽10に移送して、酸を添加し混合することにより汚泥からリンを溶出させる。
【選択図】 図1
【解決手段】曝気槽2内の活性汚泥により、有機性汚水を生物処理するとともに、生物処理により発生した余剰汚泥Dを可溶化した後、可溶化処理汚泥を曝気槽2に返送して分解するようにした汚泥の処理方法において、余剰汚泥Dを電気分解処理して微生物を殺菌処理した後、電気分解によって生成した微細気泡によって汚泥を浮上濃縮し、この浮上汚泥Iを酸混合槽10に移送して、酸を添加し混合することにより汚泥からリンを溶出させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、下水等の有機性の汚水を活性汚泥により生物学的に処理し、有機物さらにはリンを除去することにより、発生する汚泥量を最小限にすることができる汚泥の処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、下水処理場等に流入する汚水を処理するために、活性汚泥の曝気槽に汚水を流入し、これを曝気、攪拌して生物処理を行う活性汚泥法が用いられている。
水処理工程で発生する余剰汚泥は、通常、脱水を行った後、埋立処分されているが、処分地が次第になくなりつつあることから、余剰汚泥に対し、オゾン等を添加して汚泥を可溶化し、系内で生物分解することにより、汚泥発生量をゼロにする方法が試みられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の汚泥の処理方法においては、可溶化した汚泥をそのまま曝気槽に返送するために、曝気槽への負荷が増大して、曝気装置に能力不足を生じたり、水質が悪化するという問題がある。
また、排出汚泥をゼロにする技術は、汚泥に取り込んだ形で排出していたリンが、全く除去できなくなる点も欠点とされている。
【0004】
本発明は、上記従来の汚泥の処理方法が有する問題点に鑑み、汚泥可溶化プロセスにリンを除去するプロセスを組込むことにより、水処理の悪化を防ぎ、最小限の汚泥を余剰汚泥として引抜くだけで、リンの除去も行うことができる汚泥の処理方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の汚泥の処理方法は、曝気槽内の活性汚泥により、有機性汚水を生物処理するとともに、生物処理により発生した余剰汚泥を可溶化した後、該可溶化処理汚泥を曝気槽に返送して分解するようにした汚泥の処理方法において、余剰汚泥を電気分解処理して微生物を殺菌処理した後、電気分解によって生成した微細気泡によって汚泥を浮上濃縮し、この浮上汚泥を酸混合槽に移送して、酸を添加し混合することにより汚泥からリンを溶出させることを特徴とする。
この場合において、酸を混合した汚泥を固液分離し、リンを溶出させた酸性分離液に対して、アルカリ剤を添加してリンを再び不溶化させ、リンを含む無機物主体の汚泥を沈殿分離して排出することができる。
【0006】
この汚泥の処理方法は、活性汚泥法で発生した余剰汚泥の処理において、電気分解処理による微生物の殺菌と、酸の添加によるリンの溶出処理とを2段階で行い、電気分解処理した汚泥を曝気槽に返送することにより、曝気槽で増殖する汚泥は、最終的に生物分解され、また、沈殿分離槽で沈殿し、場外に搬出される汚泥は、凝集したリン酸化合物他の、無機物主体の汚泥となるため、排出する汚泥量を従来の1/10程度とすることができ、さらに、微生物の殺菌とリンの溶出を2段階で行い、それぞれに適切な条件に設定できるため、処理効果が大きく、使用する酸やアルカリの量を削減することができ、経済的に処理を行うことができる。
【0007】
また、曝気槽に金属塩系の凝集剤を添加することができる。
【0008】
これにより、余剰汚泥中のリンの濃度を高めて、処理する汚泥量当りのリンの回収量を多くすることができる。
【0009】
また、電解処理汚泥を浮上分離した際に得られた分離水と、電解処理汚泥に酸を添加した酸混合汚泥とを混合して希釈し、再度浮上分離を行うことにより、溶出したリンを分離水に移行させることができる。
【0010】
これにより、浮上分離を2段階で行い、リンが溶出した酸混合汚泥からより多くのリンを分離水に移行させて回収することができる。
【0011】
また、電気分解処理後に行う浮上分離操作、電気分解処理で得られる分離水と酸混合汚泥とを混合する操作、及び該混合操作の後に行う浮上分離操作を、1つの浮上分離槽で行うことができる。
【0012】
これにより、汚泥の処理設備を小型化し、設置面積を小さくすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の汚泥の処理方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
この汚泥の処理方法は、活性汚泥法において発生した余剰汚泥の所定量を引抜いて、電解処理槽に導き、電気分解を行うことにより、汚泥微生物の殺菌処理を行う。
所定の反応時間の後、これを浮上分離槽に送泥して固液分離を行い、分離水はポンプにより引抜いて第2の浮上分離槽に導き、浮上した汚泥は、酸混合槽に導いて酸を供給し混合することにより、リンを溶出させた後、第2の浮上分離槽に送泥して、上記分離水と混合する。
混合後は、静置して汚泥を再度浮上濃縮し、リンが溶出した分離水を、pH調整槽に移送して、アルカリ剤を添加し混合することにより、分離水に含まれるリンを再び不溶化させ、沈殿分離槽で沈殿させる。なお、pH調整槽を設けず、沈殿分離槽においてpH調整を行うことも可能である。
【0015】
また、電気分解処理後、浮上濃縮した汚泥だけを酸混合槽に移送し、酸を混合して浮上濃縮槽に返送することにより、上記2つの浮上分離槽を一体化させることも可能である。
さらに、より多くのリンを回収するために、曝気槽に金属塩系の凝集剤を添加して、余剰汚泥に含まれるリンの濃度を高めることも有効である。
一方、リンを含む無機物主体の沈殿汚泥は、一時貯留の後場外に搬出し、上澄水は、曝気槽に返流して生物処理を行う。同様に、第2の浮上分離槽で浮上した電解濃縮汚泥も、曝気槽に返流して生物分解を行う。
【0016】
活性汚泥法において、汚水中に含まれていたリンの内、固形物状のものは、活性汚泥に付着又は吸着され、溶解性のリン酸は、一部が微生物体内に取り込まれることにより、汚水からある程度のリンが除去される。
なお、残りの溶解性リンは処理水とともに流出するため、鉄塩等の金属塩系凝集剤を曝気槽又は最終沈殿槽への流入部に添加すれば、リン酸化合物として不溶化させ、汚水からのリン除去性能を向上させることができる。
最終沈殿槽から汚泥可溶化槽に導かれた汚泥に含まれる固形物状のリンや、リン酸化合物は、酸を添加してpHを2以下に下げることにより、微生物体内から溶出したり、液中に溶解した状態となる。
【0017】
一方、汚泥微生物の殺菌に有効な電気分解処理は、汚泥濃度が低い方が効果的であることから、余剰汚泥の濃縮に先だって電気分解処理を行い、微生物を死滅させるとともに、細胞壁や細胞膜の一部を破壊し、微生物体内の成分を液中に溶出させる。
電気分解処理した汚泥を浮上分離槽に導いて静置すると、電気分解によって生成した酸素や水素の微細な気泡が汚泥表面に付着しているため、汚泥は浮上し濃縮され、汚泥層の下部に分離水が生じる。
【0018】
酸の添加によるリンの溶出効果は、pHに左右されるため、酸の使用量を削減することを目的に、浮上した汚泥だけを別の酸混合槽に移して酸を添加・混合することにより、リンを溶出させる。
この酸混合汚泥を、電気分解処理後に得られた分離水と混合し、所定の時間静置することによって、再度浮上分離を行えば、浮上濃縮した汚泥量に対する下部の分離水の割合が大きくなり、汚泥の粒子間に存在する溶出リンを、分離水としてより効率的に回収することができる。
【0019】
分離水は後段のpH調整槽に導き、アルカリ剤を添加してpHを3以上に上げることにより、リンの大半は再び固形物状となり、リン酸も金属塩と反応して不溶化させることができる。
このとき、酸によって溶解していた無機物もpH上昇に伴い固形物に戻るため、後段の沈殿分離槽で沈降させれば、沈殿した汚泥は、リン酸化合物などの無機物主体の汚泥となる。
また、沈殿分離槽の上澄水には、電気分解処理により溶出した易分解な有機物が含まれているため、沈殿分離液として曝気槽に返流し、生物学的に処理を行う。
なお、2回目の浮上分離によって浮上濃縮された汚泥は、破壊された細胞壁や細胞膜の断片などの固形物が含まれているが、微生物は電気分解処理によってすべて死滅しているため、曝気槽に返流すれば、活性汚泥によって徐々に分解させることができる。
【0020】
以上により、微生物の殺菌とリンの溶出処理を2段階で行うこの汚泥の処理方法により、曝気槽で増加する汚泥は、最終的に生物分解され、また、沈殿分離槽で沈殿し、場外に搬出される汚泥は、凝集したリン酸化合物等の、無機物主体の汚泥となるため、排出する汚泥量を従来の1/10程度とすることができる。
さらに、微生物の殺菌とリンの溶出を2段階で行うため、処理効果が大きく、使用する酸やアルカリの量を削減することができるため、経済的に処理を行うことができる。
【0021】
【実施例】
図1に、本発明の汚泥の処理方法の一実施例を示す。
下水処理場のような汚水の処理施設に流入した汚水Aは、前処理設備1で砂分やし渣を除去した後、曝気槽2へと送水され、活性汚泥により生物的に処理される。
曝気槽2で処理された汚水は、汚泥混合液として、最終沈殿槽3へと送水され、固液分離されて処理水Bとしてオーバーフローする。
この場合、図には示していないが、高度処理を目的としてリン除去性能を高めたい場合は、凝集剤供給装置を付加し、汚水中のリン酸と反応し化合物を生成する鉄やアルミ系の凝集剤を曝気槽2に添加する。
沈殿した汚泥は、汚泥返送ポンプ4により間欠的又は連続的に引抜かれ、返送汚泥Cとして曝気槽2へと返送される。
【0022】
最終沈殿槽3から引抜かれる沈殿汚泥の一部は、余剰汚泥Dとして汚泥移送ポンプ5により電解処理槽6に移送し、塩水供給装置7より少量の食塩水を添加して、電解処理槽6内に浸漬した電極問に電流を流すことにより電気分解処理を行う。
所定の時間滞留して殺菌処理された電解処理汚泥Eは、第1浮上分離槽8に導かれ、静置することによって汚泥固形物を浮上・濃縮させる。
そして、第1分配移送ポンプ9を起動することにより、第1浮上分離槽8の下部の電解分離水Gは、第2浮上分離槽12へと導かれ、続いて、第1分配移送ポンプ9からの分岐配管のバルブを切替えることにより、浮上した電解濃縮汚泥Fは、酸混合槽10に導いて、酸供給装置11により硫酸等の酸を添加して混合することにより、汚泥からリンを溶出させる。
リンを溶出した酸混合汚泥Hは、第2浮上分離槽12に導き、槽内に設けた攪拌機を回転させることにより電解分離水Gと混合した後、静置することにより、再度浮上分離を行う。
【0023】
第2浮上分離槽12下部の酸性分離液Jは、第2分配移送ポンプ13により、pH調整槽14に導かれ、アルカリ供給装置15により、苛性ソーダ等のアルカリ剤を注入してpHが調整される。
なお、pH調整は、配管内や沈殿分離槽14で行ってもよいが、攪拌しながらアルカリ剤の注入制御を行うのがより確実であるため、前述のように別に設けたpH調整槽14で行うのが適切である。
pH調整された中和処理液Kには、析出した汚泥固形物が含まれているため、沈殿分離槽16へと導き、静置することによって汚泥分を沈降させ、汚泥引抜ポンプ17により、定期的に汚泥貯留槽18に引抜いて一時貯留する。
貯留した汚泥Nは、バキューム車等により処理場外に搬出するが、脱水機等の設備を設け、定期的に脱水処理を行うことも可能である。
なお、沈殿分離槽16の上澄水Lは、曝気槽2へと返流させるが、汚泥貯留槽18でも、一時貯留する間に上澄液ができるため、上澄水を返流させる配管を設けることが望ましい。
また、第2浮上分離槽12で浮上濃縮した汚泥Iは、別に設けた浮上汚泥掻取り装置や汚泥ポンプにより、曝気槽2に返送することができるが、図のように、第2分配移送ポンプ13の出口側に設けた分岐配管のバルブを切替えることにより、曝気槽2に返送する方法が簡便である。
【0024】
一方、図2に示す別の実施例は、浮上分離を一体化したもので、浮上分離槽8で浮上した電解濃縮汚泥Fを汚泥掻取り装置等により酸混合槽10へと導き、酸供給装置11により酸を添加・混合した後、再度酸混合汚泥Hを浮上分離槽8に返送する。
浮上分離槽8では、酸を添加した汚泥と分離水を混合し、汚泥から溶出したリンが分離水全体に拡散させるため、槽内に機械式の攪拌機等を設け、リンが溶出した酸混合汚泥Hが返送される所定の時間、攪拌機を運転した後、停止して静置させる。
【0025】
次に、本実施例汚泥の処理方法の作用について説明する。
電解処理槽6には、電気分解処理用の電極が配置され、攪拌機や循環ポンプを設けて、槽内を十分混合し、電極間の汚泥を十分に流動させながら電極間に直流電流を流す。このとき、電気分解により次亜塩素酸が発生するため、次亜塩素酸によって汚泥中の微生物が殺菌される。
次亜塩素酸をより効率的に発生させるために、ここでは、塩水供給装置7より少量の食塩水を添加している。
電気分解処理の時間は、汚泥の濃度や電流値によって異なるが、条件に応じて必要な時間、電気分解処理を行った電解処理汚泥Eには、電気分解によって発生した微細な酸素や水素の気泡が付着しているため、オーバーフロー又はポンプによって第1浮上分離槽8へと導いて静置すると、汚泥固形物が浮上濃縮される。
このとき、汚泥移送ポンプ5を停止し、第1浮上濃縮槽8に電解処理汚泥Eが流入しないように制御するのが望ましい。
【0026】
所定の静置時間経過後、第1分配移送ポンプ9を起動し、下部に溜まった電解分離水Gを第2浮上分離槽12へと引抜く。分離水がほぼ引抜かれた段階で、第1分配移送ポンプ9に設けた分岐配管のバルブの切替えを行い、浮上した電解濃縮汚泥Fを酸混合槽10へと移送する。
電解濃縮汚泥Fには、微生物体内に取り込まれたリン酸、凝集剤により不溶化したリン酸化合物、固形物状のリンが含まれている。酸混合槽10で酸供給装置11により、酸を所定量、又は酸混合槽10内に設けたpHセンサーの指示値を基にpHを5以下、好ましくは2以下の所定の値になるまで酸を注入すると、酸の作用によって、リンが微生物体内から溶出したり、リン酸化合物からリンが液中に溶解し、大半のリンが汚泥や固形物から水中に移行する。
このように、第1段階の電気分解の効果で、汚泥微生物が死滅し、微生物を構成する細胞壁や細胞膜の一部が破損して、細胞内の細胞質が溶出し、さらに第2段階の酸添加の効果により、固形物中のリンが可溶化汚泥の水中に溶出する。
【0027】
酸を添加しリンを溶出させた酸混合汚泥Hは、第2浮上分離槽12において、先に流入している電解分離水Gと混合させる。このとき、攪拌機を運転することにより、酸混合汚泥Hの粒子の間にある水の中に溶解したリンを、分離水G全体へと拡散させることができる。
続いて、攪拌機を停止して静置すると、酸混合汚泥には付着した気泡が残っているため、再び汚泥が浮上濃縮される。なお、酸混合槽10や第2浮上分離槽12で強力な攪拌を行うと、この微細気泡が汚泥から離れてしまうため、緩やかな攪拌を行うことが好ましい。
また、第2浮上分離槽12における汚泥の浮上性を補うために、酸混合汚泥Hと電解分離水Gを混合する際に、電極を追加して電気分解処理を行うことも有効である。
【0028】
次に、第2浮上分離槽12において固液分離された酸性分離液Jには、pH調整槽14においてアルカリを注入し、pHを3以上、好ましくは5以上に上昇させると、溶解していたリンの大半は再び固形物状となり、リン酸も凝集剤の金属塩等と反応してリン酸化合物となり不溶化する。
このとき、酸によって溶解していた無機物もpH上昇に伴い固形物に戻るため、後段の沈殿分離槽16で沈殿する汚泥Mは、リン酸化合物などの無機物主体の汚泥となる。沈殿分離槽16の上澄水Lには、電気分解処理により溶出した易分解な有機物が含まれているため、曝気槽2に返流し、活性汚泥により生物学的に処理を行う。
一方、第2浮上分離槽12で浮上した浮上汚泥Iには、微生物の細胞壁や細胞膜の断片、細胞の形態を保った微生物が残留しているが、電気分解処理によって死滅しているため、曝気槽2に返流すれば、汚泥微生物によって徐々に低分子化され、最終的には水と炭酸ガスに分解される。
【0029】
以上の実施例では、一般的な水処理フローにより説明しているが、最終沈殿槽3の代わりに、曝気槽2内に膜分離装置を設け、精密濾過膜、限外濾過膜等の膜により、処理水Bを濾過する膜分離活性汚泥法を採用することもできる。
このように、膜を用いることにより汚泥濃度を高め、曝気槽から直接引抜いた汚泥に対し、酸と電気分解を用いた可溶化処理を行うことも可能である。
【0030】
【発明の効果】
本発明の汚泥の処理方法によれば、活性汚泥法で発生した余剰汚泥の処理において、電気分解処理による微生物の殺菌と、酸の添加によるリンの溶出処理とを2段階で行い、電気分解処理した汚泥を曝気槽に返送することにより、曝気槽で増殖する汚泥は、最終的に生物分解され、また、沈殿分離槽で沈殿し、場外に搬出される汚泥は、凝集したリン酸化合物等の無機物主体の汚泥となるため、排出する汚泥量を従来の1/10程度とすることができ、さらに、微生物の殺菌とリンの溶出を2段階で行い、それぞれに適切な条件に設定できるため、処理効果が大きく、使用する酸やアルカリの量を削減することができ、経済的に処理を行うことができる。
【0031】
また、曝気槽に金属塩系の凝集剤を添加することにより、余剰汚泥中のリンの濃度を高めて、処理する汚泥量当りのリンの回収量を多くすることができる。
【0032】
また、電解処理汚泥を浮上分離した際に得られた分離水と、電解処理汚泥に酸を添加した酸混合汚泥とを混合して希釈し、再度浮上分離を行うことにより、溶出したリンを分離水に移行させることにより、浮上分離を2段階で行い、リンが溶出した酸混合汚泥からより多くのリンを分離水に移行させて回収することができる。
【0033】
また、電気分解処理後に行う浮上分離操作、電気分解処理で得られる分離水と酸混合汚泥とを混合する操作、及び該混合操作の後に行う浮上分離操作を、1つの浮上分離槽で行うことにより、汚泥の処理設備を小型化し、設置面積を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の汚泥の処理方法の一実施例を示すフロー図である。
【図2】本発明の汚泥の処理方法の他の実施例を示すフロー図である。
【符号の説明】
1 前処理設備
2 曝気槽
3 最終沈殿槽
4 汚泥返送ポンプ
5 汚泥移送ポンプ
6 電解処理槽
7 塩水供給装置
8 第1浮上分離槽
9 第1分配移送ポンプ
10 酸混合槽
11 酸供給装置
12 第2浮上分離槽
13 第2分配移送ポンプ
14 pH調整槽
15 アルカリ供給装置
16 沈殿分離槽
17 汚泥引抜ポンプ
18 汚泥貯留槽
A 汚水
B 処理水
C 返送汚泥
D 余剰汚泥
E 電解処理汚泥
F 電解濃縮汚泥
G 電解分離水
H 酸混合汚泥
I 浮上汚泥
J 酸性分離液
K 中和処理液
L 上澄水
M 引抜汚泥
N 排出汚泥
【発明の属する技術分野】
本発明は、下水等の有機性の汚水を活性汚泥により生物学的に処理し、有機物さらにはリンを除去することにより、発生する汚泥量を最小限にすることができる汚泥の処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、下水処理場等に流入する汚水を処理するために、活性汚泥の曝気槽に汚水を流入し、これを曝気、攪拌して生物処理を行う活性汚泥法が用いられている。
水処理工程で発生する余剰汚泥は、通常、脱水を行った後、埋立処分されているが、処分地が次第になくなりつつあることから、余剰汚泥に対し、オゾン等を添加して汚泥を可溶化し、系内で生物分解することにより、汚泥発生量をゼロにする方法が試みられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の汚泥の処理方法においては、可溶化した汚泥をそのまま曝気槽に返送するために、曝気槽への負荷が増大して、曝気装置に能力不足を生じたり、水質が悪化するという問題がある。
また、排出汚泥をゼロにする技術は、汚泥に取り込んだ形で排出していたリンが、全く除去できなくなる点も欠点とされている。
【0004】
本発明は、上記従来の汚泥の処理方法が有する問題点に鑑み、汚泥可溶化プロセスにリンを除去するプロセスを組込むことにより、水処理の悪化を防ぎ、最小限の汚泥を余剰汚泥として引抜くだけで、リンの除去も行うことができる汚泥の処理方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の汚泥の処理方法は、曝気槽内の活性汚泥により、有機性汚水を生物処理するとともに、生物処理により発生した余剰汚泥を可溶化した後、該可溶化処理汚泥を曝気槽に返送して分解するようにした汚泥の処理方法において、余剰汚泥を電気分解処理して微生物を殺菌処理した後、電気分解によって生成した微細気泡によって汚泥を浮上濃縮し、この浮上汚泥を酸混合槽に移送して、酸を添加し混合することにより汚泥からリンを溶出させることを特徴とする。
この場合において、酸を混合した汚泥を固液分離し、リンを溶出させた酸性分離液に対して、アルカリ剤を添加してリンを再び不溶化させ、リンを含む無機物主体の汚泥を沈殿分離して排出することができる。
【0006】
この汚泥の処理方法は、活性汚泥法で発生した余剰汚泥の処理において、電気分解処理による微生物の殺菌と、酸の添加によるリンの溶出処理とを2段階で行い、電気分解処理した汚泥を曝気槽に返送することにより、曝気槽で増殖する汚泥は、最終的に生物分解され、また、沈殿分離槽で沈殿し、場外に搬出される汚泥は、凝集したリン酸化合物他の、無機物主体の汚泥となるため、排出する汚泥量を従来の1/10程度とすることができ、さらに、微生物の殺菌とリンの溶出を2段階で行い、それぞれに適切な条件に設定できるため、処理効果が大きく、使用する酸やアルカリの量を削減することができ、経済的に処理を行うことができる。
【0007】
また、曝気槽に金属塩系の凝集剤を添加することができる。
【0008】
これにより、余剰汚泥中のリンの濃度を高めて、処理する汚泥量当りのリンの回収量を多くすることができる。
【0009】
また、電解処理汚泥を浮上分離した際に得られた分離水と、電解処理汚泥に酸を添加した酸混合汚泥とを混合して希釈し、再度浮上分離を行うことにより、溶出したリンを分離水に移行させることができる。
【0010】
これにより、浮上分離を2段階で行い、リンが溶出した酸混合汚泥からより多くのリンを分離水に移行させて回収することができる。
【0011】
また、電気分解処理後に行う浮上分離操作、電気分解処理で得られる分離水と酸混合汚泥とを混合する操作、及び該混合操作の後に行う浮上分離操作を、1つの浮上分離槽で行うことができる。
【0012】
これにより、汚泥の処理設備を小型化し、設置面積を小さくすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の汚泥の処理方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
この汚泥の処理方法は、活性汚泥法において発生した余剰汚泥の所定量を引抜いて、電解処理槽に導き、電気分解を行うことにより、汚泥微生物の殺菌処理を行う。
所定の反応時間の後、これを浮上分離槽に送泥して固液分離を行い、分離水はポンプにより引抜いて第2の浮上分離槽に導き、浮上した汚泥は、酸混合槽に導いて酸を供給し混合することにより、リンを溶出させた後、第2の浮上分離槽に送泥して、上記分離水と混合する。
混合後は、静置して汚泥を再度浮上濃縮し、リンが溶出した分離水を、pH調整槽に移送して、アルカリ剤を添加し混合することにより、分離水に含まれるリンを再び不溶化させ、沈殿分離槽で沈殿させる。なお、pH調整槽を設けず、沈殿分離槽においてpH調整を行うことも可能である。
【0015】
また、電気分解処理後、浮上濃縮した汚泥だけを酸混合槽に移送し、酸を混合して浮上濃縮槽に返送することにより、上記2つの浮上分離槽を一体化させることも可能である。
さらに、より多くのリンを回収するために、曝気槽に金属塩系の凝集剤を添加して、余剰汚泥に含まれるリンの濃度を高めることも有効である。
一方、リンを含む無機物主体の沈殿汚泥は、一時貯留の後場外に搬出し、上澄水は、曝気槽に返流して生物処理を行う。同様に、第2の浮上分離槽で浮上した電解濃縮汚泥も、曝気槽に返流して生物分解を行う。
【0016】
活性汚泥法において、汚水中に含まれていたリンの内、固形物状のものは、活性汚泥に付着又は吸着され、溶解性のリン酸は、一部が微生物体内に取り込まれることにより、汚水からある程度のリンが除去される。
なお、残りの溶解性リンは処理水とともに流出するため、鉄塩等の金属塩系凝集剤を曝気槽又は最終沈殿槽への流入部に添加すれば、リン酸化合物として不溶化させ、汚水からのリン除去性能を向上させることができる。
最終沈殿槽から汚泥可溶化槽に導かれた汚泥に含まれる固形物状のリンや、リン酸化合物は、酸を添加してpHを2以下に下げることにより、微生物体内から溶出したり、液中に溶解した状態となる。
【0017】
一方、汚泥微生物の殺菌に有効な電気分解処理は、汚泥濃度が低い方が効果的であることから、余剰汚泥の濃縮に先だって電気分解処理を行い、微生物を死滅させるとともに、細胞壁や細胞膜の一部を破壊し、微生物体内の成分を液中に溶出させる。
電気分解処理した汚泥を浮上分離槽に導いて静置すると、電気分解によって生成した酸素や水素の微細な気泡が汚泥表面に付着しているため、汚泥は浮上し濃縮され、汚泥層の下部に分離水が生じる。
【0018】
酸の添加によるリンの溶出効果は、pHに左右されるため、酸の使用量を削減することを目的に、浮上した汚泥だけを別の酸混合槽に移して酸を添加・混合することにより、リンを溶出させる。
この酸混合汚泥を、電気分解処理後に得られた分離水と混合し、所定の時間静置することによって、再度浮上分離を行えば、浮上濃縮した汚泥量に対する下部の分離水の割合が大きくなり、汚泥の粒子間に存在する溶出リンを、分離水としてより効率的に回収することができる。
【0019】
分離水は後段のpH調整槽に導き、アルカリ剤を添加してpHを3以上に上げることにより、リンの大半は再び固形物状となり、リン酸も金属塩と反応して不溶化させることができる。
このとき、酸によって溶解していた無機物もpH上昇に伴い固形物に戻るため、後段の沈殿分離槽で沈降させれば、沈殿した汚泥は、リン酸化合物などの無機物主体の汚泥となる。
また、沈殿分離槽の上澄水には、電気分解処理により溶出した易分解な有機物が含まれているため、沈殿分離液として曝気槽に返流し、生物学的に処理を行う。
なお、2回目の浮上分離によって浮上濃縮された汚泥は、破壊された細胞壁や細胞膜の断片などの固形物が含まれているが、微生物は電気分解処理によってすべて死滅しているため、曝気槽に返流すれば、活性汚泥によって徐々に分解させることができる。
【0020】
以上により、微生物の殺菌とリンの溶出処理を2段階で行うこの汚泥の処理方法により、曝気槽で増加する汚泥は、最終的に生物分解され、また、沈殿分離槽で沈殿し、場外に搬出される汚泥は、凝集したリン酸化合物等の、無機物主体の汚泥となるため、排出する汚泥量を従来の1/10程度とすることができる。
さらに、微生物の殺菌とリンの溶出を2段階で行うため、処理効果が大きく、使用する酸やアルカリの量を削減することができるため、経済的に処理を行うことができる。
【0021】
【実施例】
図1に、本発明の汚泥の処理方法の一実施例を示す。
下水処理場のような汚水の処理施設に流入した汚水Aは、前処理設備1で砂分やし渣を除去した後、曝気槽2へと送水され、活性汚泥により生物的に処理される。
曝気槽2で処理された汚水は、汚泥混合液として、最終沈殿槽3へと送水され、固液分離されて処理水Bとしてオーバーフローする。
この場合、図には示していないが、高度処理を目的としてリン除去性能を高めたい場合は、凝集剤供給装置を付加し、汚水中のリン酸と反応し化合物を生成する鉄やアルミ系の凝集剤を曝気槽2に添加する。
沈殿した汚泥は、汚泥返送ポンプ4により間欠的又は連続的に引抜かれ、返送汚泥Cとして曝気槽2へと返送される。
【0022】
最終沈殿槽3から引抜かれる沈殿汚泥の一部は、余剰汚泥Dとして汚泥移送ポンプ5により電解処理槽6に移送し、塩水供給装置7より少量の食塩水を添加して、電解処理槽6内に浸漬した電極問に電流を流すことにより電気分解処理を行う。
所定の時間滞留して殺菌処理された電解処理汚泥Eは、第1浮上分離槽8に導かれ、静置することによって汚泥固形物を浮上・濃縮させる。
そして、第1分配移送ポンプ9を起動することにより、第1浮上分離槽8の下部の電解分離水Gは、第2浮上分離槽12へと導かれ、続いて、第1分配移送ポンプ9からの分岐配管のバルブを切替えることにより、浮上した電解濃縮汚泥Fは、酸混合槽10に導いて、酸供給装置11により硫酸等の酸を添加して混合することにより、汚泥からリンを溶出させる。
リンを溶出した酸混合汚泥Hは、第2浮上分離槽12に導き、槽内に設けた攪拌機を回転させることにより電解分離水Gと混合した後、静置することにより、再度浮上分離を行う。
【0023】
第2浮上分離槽12下部の酸性分離液Jは、第2分配移送ポンプ13により、pH調整槽14に導かれ、アルカリ供給装置15により、苛性ソーダ等のアルカリ剤を注入してpHが調整される。
なお、pH調整は、配管内や沈殿分離槽14で行ってもよいが、攪拌しながらアルカリ剤の注入制御を行うのがより確実であるため、前述のように別に設けたpH調整槽14で行うのが適切である。
pH調整された中和処理液Kには、析出した汚泥固形物が含まれているため、沈殿分離槽16へと導き、静置することによって汚泥分を沈降させ、汚泥引抜ポンプ17により、定期的に汚泥貯留槽18に引抜いて一時貯留する。
貯留した汚泥Nは、バキューム車等により処理場外に搬出するが、脱水機等の設備を設け、定期的に脱水処理を行うことも可能である。
なお、沈殿分離槽16の上澄水Lは、曝気槽2へと返流させるが、汚泥貯留槽18でも、一時貯留する間に上澄液ができるため、上澄水を返流させる配管を設けることが望ましい。
また、第2浮上分離槽12で浮上濃縮した汚泥Iは、別に設けた浮上汚泥掻取り装置や汚泥ポンプにより、曝気槽2に返送することができるが、図のように、第2分配移送ポンプ13の出口側に設けた分岐配管のバルブを切替えることにより、曝気槽2に返送する方法が簡便である。
【0024】
一方、図2に示す別の実施例は、浮上分離を一体化したもので、浮上分離槽8で浮上した電解濃縮汚泥Fを汚泥掻取り装置等により酸混合槽10へと導き、酸供給装置11により酸を添加・混合した後、再度酸混合汚泥Hを浮上分離槽8に返送する。
浮上分離槽8では、酸を添加した汚泥と分離水を混合し、汚泥から溶出したリンが分離水全体に拡散させるため、槽内に機械式の攪拌機等を設け、リンが溶出した酸混合汚泥Hが返送される所定の時間、攪拌機を運転した後、停止して静置させる。
【0025】
次に、本実施例汚泥の処理方法の作用について説明する。
電解処理槽6には、電気分解処理用の電極が配置され、攪拌機や循環ポンプを設けて、槽内を十分混合し、電極間の汚泥を十分に流動させながら電極間に直流電流を流す。このとき、電気分解により次亜塩素酸が発生するため、次亜塩素酸によって汚泥中の微生物が殺菌される。
次亜塩素酸をより効率的に発生させるために、ここでは、塩水供給装置7より少量の食塩水を添加している。
電気分解処理の時間は、汚泥の濃度や電流値によって異なるが、条件に応じて必要な時間、電気分解処理を行った電解処理汚泥Eには、電気分解によって発生した微細な酸素や水素の気泡が付着しているため、オーバーフロー又はポンプによって第1浮上分離槽8へと導いて静置すると、汚泥固形物が浮上濃縮される。
このとき、汚泥移送ポンプ5を停止し、第1浮上濃縮槽8に電解処理汚泥Eが流入しないように制御するのが望ましい。
【0026】
所定の静置時間経過後、第1分配移送ポンプ9を起動し、下部に溜まった電解分離水Gを第2浮上分離槽12へと引抜く。分離水がほぼ引抜かれた段階で、第1分配移送ポンプ9に設けた分岐配管のバルブの切替えを行い、浮上した電解濃縮汚泥Fを酸混合槽10へと移送する。
電解濃縮汚泥Fには、微生物体内に取り込まれたリン酸、凝集剤により不溶化したリン酸化合物、固形物状のリンが含まれている。酸混合槽10で酸供給装置11により、酸を所定量、又は酸混合槽10内に設けたpHセンサーの指示値を基にpHを5以下、好ましくは2以下の所定の値になるまで酸を注入すると、酸の作用によって、リンが微生物体内から溶出したり、リン酸化合物からリンが液中に溶解し、大半のリンが汚泥や固形物から水中に移行する。
このように、第1段階の電気分解の効果で、汚泥微生物が死滅し、微生物を構成する細胞壁や細胞膜の一部が破損して、細胞内の細胞質が溶出し、さらに第2段階の酸添加の効果により、固形物中のリンが可溶化汚泥の水中に溶出する。
【0027】
酸を添加しリンを溶出させた酸混合汚泥Hは、第2浮上分離槽12において、先に流入している電解分離水Gと混合させる。このとき、攪拌機を運転することにより、酸混合汚泥Hの粒子の間にある水の中に溶解したリンを、分離水G全体へと拡散させることができる。
続いて、攪拌機を停止して静置すると、酸混合汚泥には付着した気泡が残っているため、再び汚泥が浮上濃縮される。なお、酸混合槽10や第2浮上分離槽12で強力な攪拌を行うと、この微細気泡が汚泥から離れてしまうため、緩やかな攪拌を行うことが好ましい。
また、第2浮上分離槽12における汚泥の浮上性を補うために、酸混合汚泥Hと電解分離水Gを混合する際に、電極を追加して電気分解処理を行うことも有効である。
【0028】
次に、第2浮上分離槽12において固液分離された酸性分離液Jには、pH調整槽14においてアルカリを注入し、pHを3以上、好ましくは5以上に上昇させると、溶解していたリンの大半は再び固形物状となり、リン酸も凝集剤の金属塩等と反応してリン酸化合物となり不溶化する。
このとき、酸によって溶解していた無機物もpH上昇に伴い固形物に戻るため、後段の沈殿分離槽16で沈殿する汚泥Mは、リン酸化合物などの無機物主体の汚泥となる。沈殿分離槽16の上澄水Lには、電気分解処理により溶出した易分解な有機物が含まれているため、曝気槽2に返流し、活性汚泥により生物学的に処理を行う。
一方、第2浮上分離槽12で浮上した浮上汚泥Iには、微生物の細胞壁や細胞膜の断片、細胞の形態を保った微生物が残留しているが、電気分解処理によって死滅しているため、曝気槽2に返流すれば、汚泥微生物によって徐々に低分子化され、最終的には水と炭酸ガスに分解される。
【0029】
以上の実施例では、一般的な水処理フローにより説明しているが、最終沈殿槽3の代わりに、曝気槽2内に膜分離装置を設け、精密濾過膜、限外濾過膜等の膜により、処理水Bを濾過する膜分離活性汚泥法を採用することもできる。
このように、膜を用いることにより汚泥濃度を高め、曝気槽から直接引抜いた汚泥に対し、酸と電気分解を用いた可溶化処理を行うことも可能である。
【0030】
【発明の効果】
本発明の汚泥の処理方法によれば、活性汚泥法で発生した余剰汚泥の処理において、電気分解処理による微生物の殺菌と、酸の添加によるリンの溶出処理とを2段階で行い、電気分解処理した汚泥を曝気槽に返送することにより、曝気槽で増殖する汚泥は、最終的に生物分解され、また、沈殿分離槽で沈殿し、場外に搬出される汚泥は、凝集したリン酸化合物等の無機物主体の汚泥となるため、排出する汚泥量を従来の1/10程度とすることができ、さらに、微生物の殺菌とリンの溶出を2段階で行い、それぞれに適切な条件に設定できるため、処理効果が大きく、使用する酸やアルカリの量を削減することができ、経済的に処理を行うことができる。
【0031】
また、曝気槽に金属塩系の凝集剤を添加することにより、余剰汚泥中のリンの濃度を高めて、処理する汚泥量当りのリンの回収量を多くすることができる。
【0032】
また、電解処理汚泥を浮上分離した際に得られた分離水と、電解処理汚泥に酸を添加した酸混合汚泥とを混合して希釈し、再度浮上分離を行うことにより、溶出したリンを分離水に移行させることにより、浮上分離を2段階で行い、リンが溶出した酸混合汚泥からより多くのリンを分離水に移行させて回収することができる。
【0033】
また、電気分解処理後に行う浮上分離操作、電気分解処理で得られる分離水と酸混合汚泥とを混合する操作、及び該混合操作の後に行う浮上分離操作を、1つの浮上分離槽で行うことにより、汚泥の処理設備を小型化し、設置面積を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の汚泥の処理方法の一実施例を示すフロー図である。
【図2】本発明の汚泥の処理方法の他の実施例を示すフロー図である。
【符号の説明】
1 前処理設備
2 曝気槽
3 最終沈殿槽
4 汚泥返送ポンプ
5 汚泥移送ポンプ
6 電解処理槽
7 塩水供給装置
8 第1浮上分離槽
9 第1分配移送ポンプ
10 酸混合槽
11 酸供給装置
12 第2浮上分離槽
13 第2分配移送ポンプ
14 pH調整槽
15 アルカリ供給装置
16 沈殿分離槽
17 汚泥引抜ポンプ
18 汚泥貯留槽
A 汚水
B 処理水
C 返送汚泥
D 余剰汚泥
E 電解処理汚泥
F 電解濃縮汚泥
G 電解分離水
H 酸混合汚泥
I 浮上汚泥
J 酸性分離液
K 中和処理液
L 上澄水
M 引抜汚泥
N 排出汚泥
Claims (5)
- 曝気槽内の活性汚泥により、有機性汚水を生物処理するとともに、生物処理により発生した余剰汚泥を可溶化した後、該可溶化処理汚泥を曝気槽に返送して分解するようにした汚泥の処理方法において、余剰汚泥を電気分解処理して微生物を殺菌処理した後、電気分解によって生成した微細気泡によって汚泥を浮上濃縮し、この浮上汚泥を酸混合槽に移送して、酸を添加し混合することにより汚泥からリンを溶出させることを特徴とする汚泥の処理方法。
- 酸を混合した汚泥を固液分離し、リンを溶出させた酸性分離液に対して、アルカリ剤を添加してリンを再び不溶化させ、リンを含む無機物主体の汚泥を沈殿分離して排出することを特徴とする請求項1記載の汚泥の処理方法。
- 曝気槽に金属塩系の凝集剤を添加することを特徴とする請求項1又は2記載の汚泥の処理方法。
- 電解処理汚泥を浮上分離した際に得られた分離水と、電解処理汚泥に酸を添加した酸混合汚泥とを混合して希釈し、再度浮上分離を行うことにより、溶出したリンを分離水に移行させることを特徴とする請求項1、2又は3記載の汚泥の処理方法。
- 電気分解処理後に行う浮上分離操作、電気分解処理で得られる分離水と酸混合汚泥とを混合する操作、及び該混合操作の後に行う浮上分離操作を、1つの浮上分離槽で行うことを特徴とする請求項4記載の汚泥の処理方法。
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