JP2005144366A - 廃水処理システム - Google Patents

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Naoki Kitayama
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隆 片山
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Hiroki Honda
裕姫 本多
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卓 池
Hiroshi Mizutani
洋 水谷
Masayoshi Kaga
正悦 加賀
Takehiro Kato
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Abstract

【課題】 主に生物学的脱窒素処理法を利用しているにも拘らず、環境条件の違いによって廃水の性状が異なっても、常に一定以上の、脱窒素処理の処理能力を維持することができる上、既存の廃水処理システムを大型化することなしに処理能力を向上したり、逆に一定以上の処理能力を維持しながら廃水処理システムを小型化したりすることが可能な、新規な廃水処理システムを提供する。
【解決手段】 し尿などの有機性の廃水ECを生物処理して窒素を除去するための生物処理設備2の前段、後段および生物処理設備2中のいずれかの位置に、廃水ECを電解処理して塩素イオンから次亜塩素酸系の強酸化物質を生成させ、この強酸化物質の酸化作用によって廃水EC中の窒素分を除去する電解槽4を設けるとともに、この電解槽4の前段または後段に、廃水ECを濃縮して塩素イオン濃度を高めた状態で電解槽4に供給する濃縮手段6を設けた廃水処理システムである。
【選択図】 図1

Description

この発明は、窒素分を含有する有機性の廃水、具体的には、バキュームカーなどで回収したし尿などを処理して有機物や窒素分などを除去した状態で、河川等に放流するための廃水処理システムに関するものである。
例えばバキュームカーなどで回収したし尿などの、有機性の廃水を処理して、SS(Suspended Solid、水中の懸濁している不溶性物質)を除去するとともにBOD(Biochemical Oxygen Demand、生物学的酸素要求量)を低減した状態で河川等に放流するための廃水処理システム(し尿処理システム)としては従来、廃水中に混入した紙やビニールなどの夾雑物を、スクリーンを用いて除去するための前処理設備と、前処理した廃水を、好気性菌を用いて曝気処理するための曝気処理設備と、廃水を固液分離して固形分(汚泥)を除去するための固液分離設備と、曝気処理および固液分離後の廃水を、目標放流水質に合わせて高度処理(3次処理)したのち放流するための高度処理設備とを備えたものが一般的であった。
しかし昭和50年代以降は、廃水処理システムから河川等に放流される廃水について、SSの除去やBODの低減だけでなく、富栄養化防止のために窒素やリンを除去するとともに、COD(Chemical Oxygen Demand、化学的酸素要求量)や色度を低減することなども求められるようになり、この要求に対応するために、生物学的脱窒素法を利用した種々の脱窒素処理設備(生物処理設備)を設けた廃水処理システムが実用化され、現在に至っている。
生物処理設備における生物学的脱窒素法の例としては、例えば硝化菌の作用によって廃水中のアンモニウム塩を亜硝酸塩に、亜硝酸塩を硝酸塩に酸化する硝化処理と、脱窒菌の作用によって、亜硝酸塩や硝酸塩を窒素などのガス状生成物に還元して除去する脱窒素処理とを組み合わせたものなどを挙げることができる。
そして前記の要求に対応するために、これらの処理と、曝気処理、嫌気処理等とを適宜、組み合わせて生物処理設備を構成し、それをさらに前処理、沈澱処理、固液分離処理、凝集分離処理、高度処理等の各種処理を行うための設備と適宜、組み合わせて廃水処理システムを構成することが行われている(非特許文献1参照)。
「汚泥再生処理センター等施設整備の計画・設計要領」(平成13年9月25日第1版第1刷、社団法人 全国都市清掃会議 編集発行)の第96頁第1.3項「施設の形式等」
廃水処理システムに搬入される有機性の廃水の性状は、例えば地域や季節その他、環境条件の違いによって異なるのが一般的である。しかし生物学的脱窒素法を利用した生物処理設備を含む廃水処理システムにおいては、搬入される廃水の性状が異なると、有機物と窒素とのバランスが崩れて、菌による硝化力や脱窒素力が低下し、それによって生物処理設備における脱窒素処理の処理能力が低下するという問題がある。
また、菌による硝化処理や脱窒素処理は、一定容積の硝化槽、脱窒素槽内に、廃水を菌とともに一定時間、貯留して行う必要があり、単位時間あたりの硝化処理の量や脱窒素処理の量には限界があるため、既存の廃水処理システムを現状よりも大型化することなしに、脱窒素処理の処理能力をさらに向上したり、あるいは逆に、一定以上の処理能力を維持しながら廃水処理システムを現在よりも小型化したりするのが難しいという問題もある。
この発明の目的は、環境条件の違いによって廃水の性状が異なっても、常に一定以上の、脱窒素処理の処理能力を維持することができる上、既存の廃水処理システムを大型化することなしに処理能力を向上したり、逆に一定以上の処理能力を維持しながら廃水処理システムを小型化したりすることが可能な、新規な廃水処理システムを提供することにある。
請求項1記載の発明は、窒素分と塩素イオンとを含む有機性の廃水を生物処理して有機物や窒素を除去するための生物処理設備を備えた廃水処理システムであって、上記生物処理設備の前段、後段および生物処理設備中のいずれかの位置に、
(1) 廃水を電解処理して窒素分を除去するための電解槽を設けるとともに、
この電解槽の前段または後段に、
(2) 廃水を濃縮して塩素イオン濃度を高めた状態で電解槽またはその前段に供給するための濃縮手段を設けた
ことを特徴とする廃水処理システムである。
請求項2記載の発明は、生物処理設備の後段に、処理後の廃水を固液分離するための固液分離設備を設け、かつ固液分離設備で固形分を除去した廃水を電解処理するべく、固液分離設備の後段に電解槽を設けるとともに、電解槽の後段に濃縮手段を設けて、濃縮手段で濃縮した廃水を電解槽またはその前段に返送する請求項1記載の廃水処理システムである。
請求項3記載の発明は、電解槽を生物処理設備中に設け、かつ生物処理設備の後段に、処理後の廃水を固液分離するための固液分離設備を設けるとともに、固液分離設備で固形分を除去した廃水を濃縮するべく、固液分離設備の後段に濃縮手段を設けて、濃縮手段で濃縮した廃水を電解槽またはその前段に返送する請求項1記載の廃水処理システムである。
請求項4記載の発明は、電解槽を生物処理設備の前段に設け、かつ電解槽の前段に、廃水を固液分離するための固液分離設備を設けるとともに、固液分離設備で固形分を除去した廃水を濃縮するべく、固液分離設備と電解槽との間に濃縮手段を設けて、濃縮手段で濃縮した廃水を電解槽に供給する請求項1記載の廃水処理システムである。
請求項5記載の発明は、電解槽の前段または後段に、鉄電極を用いた電気分解によって鉄イオンを廃水中に溶出させるための鉄電解槽を設けた請求項1記載の廃水処理システムである。
請求項6記載の発明は、電解槽に、当該槽内の廃水を一箇所から取り出して別の個所から再び槽内に還流するための廃水の循環路を設け、かつこの循環路、および電解槽自体のうちの少なくとも一方に、塩素濃度測定手段、残留塩素濃度測定手段、酸化還元電位測定手段、pH測定手段、およびアンモニア濃度測定手段からなる群より選ばれた少なくとも1種の手段を配設するとともに、上記手段による測定値に基づいて電解槽における廃水の電解処理を制御するための制御手段を設けた請求項1記載の廃水処理システムである。
請求項7記載の発明は、放流前の廃水を高度処理するための高度処理設備を設けるとともに、電解槽に、槽内での電解によって発生したガスを高度処理設備に供給して、ガス中の塩素によって廃水を殺菌処理するためのガス供給路を接続した請求項1記載の廃水処理システムである。
請求項8記載の発明は、電解槽またはその前段に、塩水を供給するための塩水供給手段を接続した請求項1記載の廃水処理システムである。
請求項9記載の発明は、塩水として海水を用いる請求項8記載の廃水処理システムである。
請求項10記載の発明は、電解槽またはその前段に、消泡剤を供給するための消泡剤供給手段を接続した請求項1記載の廃水処理システムである。
請求項1の構成では、廃水処理システムの、生物処理設備の前段、後段および生物処理設備中のいずれか任意の位置に設けた電解槽において廃水を電解処理することによって、窒素分を除去することができる。
したがって請求項1記載の発明によれば、環境条件の違いによって有機性の廃水の性状が異なって、生物処理設備における硝化処理の能力や脱窒素処理の能力が低下した場合でも、電解槽での窒素分の除去作用によってこれを補って、廃水処理システム全体としての脱窒素処理の処理能力を常に一定以上に維持することが可能である。
また電解槽の容積は、硝化槽や脱窒素槽に比べて大幅に小さくすることができるため、請求項1記載の発明によれば、硝化槽や脱窒素槽を大型化する場合に比べて、より小型の電解槽を追加するだけで、既存の廃水処理システムを現状よりも大型化することなしに、脱窒素処理の処理能力をこれまでより向上することも可能である。
また、硝化槽や脱窒素槽をこれまでよりも大幅に小容積化しても、小型の電解槽を追加することによって一定以上の処理能力を維持することができるため、廃水処理システムを現在より小型化することも可能である。
しかも請求項1の構成では、上記電解槽の前段または後段に設けた濃縮手段において廃水を濃縮して、し尿等の有機性の廃水中に元々含まれている塩素イオンの濃度を、電解槽において廃水を電解処理して、前記の反応機構によって窒素分を除去するのに必要かつ十分な濃度に高めた状態で、電解槽またはその前段に供給することができる。
したがって請求項1記載の発明によれば、電解槽に必要な塩素イオンを別途補給することなしに、電解槽での電解処理によって窒素分を除去することも可能である。
また請求項2、3記載の発明によれば、電解槽を生物処理設備の後段側、または生物処理設備中に設けるとともに、当該電解槽の後段側に濃縮手段を設けて、この濃縮手段において廃水に含まれる塩素イオンを濃縮して電解槽またはその前段に返送しているため、請求項1と同様の効果を得ることができる上、濃縮手段から出る廃水は塩素イオン濃度が低減されているため、当該濃縮手段の後段側に、塩素イオン除去のための設備を別途、設けることなしに廃水をそのままで、あるいは高度処理したのち放流できるという利点もある。
請求項4記載の発明によれば、生物処理設備の前段側に、固液分離設備、濃縮手段および電解槽をこの順に設けて、有機性の廃水から固形分を除去し、次いで塩素イオンを濃縮したのち電解槽に供給しているため、請求項1と同様の効果を得ることができる上、濃縮手段から出る廃水はやはり塩素イオン濃度が低減されているため、当該濃縮手段の後段側に、塩素イオン除去のための設備を別途、設けることなしに廃水をそのままで、あるいは高度処理したのち放流できるという利点もある。
請求項5記載の発明によれば、電解槽の前段または後段に設けた鉄電解槽において、鉄電極から廃水中に溶出させた鉄イオンを凝集剤として作用させることができる。そして、かかる鉄イオンの凝集剤としての作用によって、廃水中に溶存しているリン分(PO−P)を凝集、沈殿させて廃水中から除去することができる。また鉄イオンの凝集剤としての作用によって、鉄電解槽の後段側に固液分離設備が設けられている場合は、その固液分離性能を向上できるという利点もある。
請求項6記載の発明によれば、電解槽に接続した廃水の循環路を用いて、槽内の廃水をかく拌しながら電解処理することができるため、当該電解処理による窒素分の除去作用の効率を向上することができる。また、電解処理されて電解槽から出る廃水の水質を常に一定に保つべく、上記循環路や電解槽に設けた各種測定手段による測定値をもとに、制御手段によって、電解処理を自動的に制御することなどが可能である。
請求項7記載の発明によれば、高度処理設備により、例えばトリハロメタンのような有害物質を除去できる上、高度処理設備の任意の位置に、電解槽で発生したガスを、ガス供給路を通して供給して、ガス中の塩素によって廃水を殺菌処理できるため、処理能力の高度化、処理システム全体としての安定性、および信頼性を向上することができる。また電解槽で発生する不要なガスの処理を省略できる上、当該ガスを有効利用できるという利点もある。
請求項8、9記載の発明によれば、電解槽またはその前段に接続した塩水供給手段から、電解槽に任意に塩水を供給することができるため、例えば有機性の廃水中の塩素イオン濃度が、濃縮手段による濃縮だけでは不十分である場合でも、塩素イオン濃度を高いレベルに維持して、電解槽における窒素分の除去作用の効率が低下するのを防止することができる。また請求項9記載の発明によれば、上記塩水として無尽蔵にある海水を利用できるという利点もある。
請求項10記載の発明によれば、電解槽またはその前段に接続した消泡剤供給手段から、電解槽に任意に消泡剤を供給することができるため、電解反応によるガスの発生に伴って電解槽内に気泡が充満して、電解反応が阻害されるのを確実に防止することができる。
図1は、この発明の廃水処理システムの、実施の形態の一例を示すブロック図である。
この例の廃水処理システムは、例えばバキュームカーなどで家庭や施設から回収したし尿などの有機性の廃水ECを受け入れて前処理するための前処理設備1と、前処理した廃水ECを生物処理するための生物処理設備2と、生物処理後の廃水ECを固液分離して固形分(汚泥)SLを除去するための固液分離設備3と、固形分SLを除去した後の廃水を電解処理するための電解槽4と、電解処理後の廃水を高度処理するための高度処理設備5と、高度処理後の廃水を濃縮して塩素イオン濃度を高めた状態で、電解槽4の前段に返送するための濃縮手段6とを備えている。また、濃縮手段6から出た塩素イオン濃度が低減された水は河川等に放流される。
上記のうち前処理設備1は、従来同様に、例えば廃水ECを受け入れるための受入槽、受け入れた廃水EC中の固形分を破砕しながら後段へ送るための破砕ポンプ、破砕した廃水EC中から、紙やビニールなどの夾雑物を除去するための細目スクリーンやし渣・繊維除去装置、夾雑物を除去後の廃水ECを貯留するための貯留槽などで構成することができる。
また生物処理設備2、および固液分離設備3としても、従来同様の構成を有するものを採用することができる。
例えば図2は、前処理設備1から電解槽4へ向かう廃水ECの流れ(図中に実線の矢印で示す)に沿って順に反応槽(硝化脱窒素槽)21と、かく拌槽(脱窒素槽)22と、再曝気槽23とを備え、前処理設備1で前処理した廃水ECを希釈せずに処理する高負荷脱窒素処理方式の生物処理設備2と、それと組み合わせる固液分離設備3としての、膜分離装置31とを示している。
このうち反応槽21の底部には、槽外部に設けたポンプGP1から、図中に短い破線の矢印で示すように、槽内の廃水ECに、硝化反応に必要な酸素を含む空気を吹き込むための配管を接続してある。また反応槽21の底部には散気装置RAを設置してあり、上記ポンプGP1から空気を送り込むと散気装置RAが作動して、槽内の廃水ECをかく拌するようにもしてある。反応槽21内には硝化菌と脱窒菌が収容される。
また再曝気槽23の底部にも、上記ポンプGP1から、同様に短い破線の矢印で示すように、槽内の廃水ECに、再曝気のための空気を吹き込むための配管を接続してある。再曝気槽23内には好気性菌が収容される。
さらにかく拌槽22には、槽外部に設けたポンプGP2によって、図中に長い破線の矢印で示すように、天部から槽内のガスを取り出して、底部から再び槽内の廃水EC中に吹き込むように循環させることで、当該槽内の廃水ECをかく拌するための配管を接続してある。かく拌槽には脱窒菌が収容される。
上記3つの槽21〜23を備えた図の例の生物処理設備2においては、前処理設備1で前処理した廃水ECを間欠的に、反応槽21に投入することによって、当該反応槽21内で、硝化菌による硝化反応と、脱窒菌による脱窒素反応とを交互に行って窒素を除去している。その概要は下記のとおりである。
(脱窒素工程)
ポンプGP1を停止した状態で廃水ECを投入すると、反応槽21内が嫌気的雰囲気となって脱窒菌が活性化し、当該脱窒菌の作用によって、亜硝酸塩や硝酸塩が窒素などのガス状生成物に還元されて廃水EC中から除去される。それとともに廃水EC中のBOD源(主に固形分中の炭素)が、脱窒菌の栄養分として消費されるため、廃水ECのBODを低減することもできる。
(硝化工程)
亜硝酸塩や硝酸塩が除去された時点で廃水ECの投入を停止すると、BOD源の供給も停止することになるため脱窒菌の活性が低下する。そこでポンプGP1を作動させて、廃水EC中に空気を吹き込むとともに、散気装置RAを作動させて廃水ECをかく拌して曝気させると、反応槽21内が好気的雰囲気となって硝化菌が活性化する。そしてこの硝化菌の作用によって、廃水EC中の窒素分(有機物中の窒素やアンモニウム塩中の窒素)が、ポンプGP1によって吹き込まれた空気中の酸素と反応して主に亜硝酸塩に、さらにその一部が硝酸塩に酸化される。
上記の2工程を繰り返し行うことによって、単一の反応槽21内で、硝化処理および脱窒素処理を効果的に行うことができる。またこの際、図示していないが、反応槽21内のDO(Dissolved Oxygen、溶存酸素)やpH、ORP(Oxidation Reduction Potential、酸化還元電位)などに基づく制御を行うことで、両反応を安定的に進行させることもできる。
次に、硝化および脱窒素処理が終了した廃水ECをかく拌槽22に送ると、当該かく拌槽22内で、脱窒菌によって仕上げの脱窒素処理が行われる。すなわち廃水EC中に残存する亜硝酸塩や硝酸塩が、脱窒菌の作用によって窒素などのガス状生成物に還元されて廃水EC中から除去されるとともに、残存するBOD源が、脱窒菌の栄養分として消費される。
この後、脱窒素処理が終了した廃水ECを再曝気槽23に送って、好気性菌の作用によって曝気処理して、最終的に残存したBOD源を除去することで、一連の生物学的脱窒素処理が終了する。
次に、上記のようにして窒素分が除去された廃水ECを、固液分離設備3としての膜分離装置31に送る。膜分離装置31は限外ろ過膜を用いたもので、廃水EC中に含まれる、数十オングストロームより粒径の大きい固形分の粒子を全て捕捉して分離除去する働きをする。これにより、膜分離装置31を通過して固形分が除去された廃水ECを、次工程である電解槽4に送ることができる。また固液分離された固形分は、図中に一点鎖線の矢印で示すようにその大部分を、汚泥SLとして回収するとともに、残部を、生物処理設備2の反応槽21に戻して汚泥濃度を維持するとともに、脱窒菌の栄養分として再利用する。
図3は、生物処理設備2と固液分離設備3の他の例を示している。すなわち、前処理設備1から電解槽4へ向かう廃水ECの流れ(図中に実線の矢印で示す)に沿って順に脱窒素槽24と、硝化槽25と、二次脱窒素槽26と、再曝気槽27とを備え、前処理設備1で前処理した廃水ECを希釈水Wで希釈しながら処理する標準脱窒素処理方式の生物処理設備2と、それと組み合わせる固液分離設備3としての沈殿槽32とを示している。
このうち硝化槽25の底部には、槽外部に設けたポンプGP3から、図中に短い破線の矢印で示すように、槽内の廃水ECに、硝化反応に必要な酸素を含む空気を吹き込むための配管を接続してある。また硝化槽25には、図中に二重線の矢印で示すように、槽内の廃水ECに希釈水Wを供給して希釈するための配管も接続してある。硝化槽25内には硝化菌が収容される。
また再曝気槽27の底部にも、上記ポンプGP1から、同様に短い破線の矢印で示すように、槽内の廃水ECに、再曝気のための空気を吹き込むための配管を接続してある。再曝気槽23内には好気性菌が収容される。
さらに脱窒素槽24と二次脱窒素槽26にはそれぞれ、槽外部に設けたポンプGP4によって、図中に長い破線の矢印で示すように、天部から槽内のガスを取り出して、底部から再び槽内の廃水EC中に吹き込むように循環させることで、両槽24、26内の廃水ECをかく拌するための配管を接続してある。両槽24、26には脱窒菌が収容される。また二次脱窒素槽26には、図中に二点鎖線の矢印で示すように、槽内の廃水ECにメタノールMeなどの有機物を供給するための配管も接続してある。
上記4つの槽24〜27を備えた図の例の生物処理設備2を用いた、生物学的脱窒素法の概要は下記のとおりである。
前処理設備1で前処理した廃水ECを所定の流量で、脱窒素槽24を通して硝化槽25に供給するとともに、必要に応じて硝化槽25に希釈水Wを供給しながら、当該硝化槽25で出た余剰分の廃水ECの大部分を脱窒素槽24に戻す操作を連続して行うと、まず硝化槽25内で、廃水EC中の窒素分(有機物中の窒素やアンモニウム塩中の窒素)が、ポンプGP3によって吹き込まれた空気中の酸素と、硝化菌の作用によって反応して亜硝酸塩に、さらには硝酸塩に酸化される。
そして脱窒素槽24内で、脱窒菌の作用によって、亜硝酸塩や硝酸塩が窒素などのガス状生成物に還元されて、廃水EC中から除去される。つまり廃水EC中から、上記一連の反応によって窒素を除去することができる。それとともに脱窒素槽24内では、廃水EC中のBOD源(主に固形分中の炭素)が、脱窒菌の栄養分として消費されるため、廃水ECのBODを低減することもできる。
また硝化槽25で出た余剰分の廃水ECのうち、脱窒素槽24に戻されなかった一部を、次工程である二次脱窒素槽26に送るとともに、必要に応じて二次脱窒素槽26に、脱窒菌の栄養分として少量のメタノールMeなどを供給すると、当該槽内で、脱窒菌によって仕上げの脱窒素処理が行われる。すなわち廃水EC中に残存する亜硝酸塩や硝酸塩が、脱窒菌の作用によって窒素などのガス状生成物に還元されて廃水EC中から除去されるとともに、残存するBOD源が、脱窒菌の栄養分として消費される。
この後、脱窒素処理が終了した廃水ECを曝気槽27に送って、好気性菌の作用によって曝気処理して、最終的に残存したBOD源を除去することで、一連の生物学的脱窒素処理が終了する。
次に、上記のようにして窒素分が除去された廃水ECを、固液分離設備3としての沈殿槽32に送る。そして沈殿槽32内で、廃水EC中に浮遊していた固形分を沈降、沈殿させることによって、固形分のない上澄みの廃水ECを電解槽4に送ることができる。
また沈殿させた固形分は、図中に一点鎖線の矢印で示すようにその大部分を、汚泥SLとして回収するとともに、残部を、生物処理設備2の脱窒素槽24に戻して汚泥濃度を維持するとともに、脱窒菌の栄養分として再利用する。
電解槽4としては、廃水ECを電解処理して窒素分を除去しうる、種々の構造を有する電解槽4を採用することができ、とくに塩素イオンから次亜塩素酸系の強酸化物質を生成させて、この強酸化物質の酸化作用によって廃水中の窒素分を除去する電解槽4が好適に採用される。
図4は、上記機能を有する電解槽4の一例を示している。図の電解槽4は、固液分離設備3、および後述する濃縮手段6から供給された廃水ECを収容するための槽本体40を備えるとともに、当該槽本体40内に一対の電極41、42を配設し、かつ槽本体40の、図において左側の上部に、固液分離設備3と濃縮手段6からの配管43、左側の下部に、高度処理設備5への配管44を接続したものである。
また槽本体40の、図において右側には、循環ポンプWP1を作動させることで、廃水ECを槽本体40の下部から取り出して上部へ還流してかく拌するための、廃水ECの循環路45を接続してある。また上記配管43、44、循環路45の途中にはそれぞれ電磁弁V1〜V3を設けてある。さらに槽本体40の天面には、電解反応によって発生するガスを、後述する高度処理設備5に供給するためのガス供給路46を接続してある。
上記のうち電極41、42は直流電源Dに接続してあり、一方をアノード、他方をカソードとして機能させて、槽本体40内に収容された廃水ECを電気分解するために用いる。このうちカソード側の電極としては、電気化学反応によって酸化態窒素を還元する機能を有する、例えば真鍮、銅、亜鉛などの、11族または12族元素を含む導電体からなる電極や、導電性の基体の表面を上記11族または12族元素を含む導電体で被覆した構造を有する電極などを挙げることができる。またアノード側の電極としては、電気化学反応によって、塩素イオンから次亜塩素酸系の強酸化物質を生成させる機能を有する、例えばTi基体の表面をPt、Pt−Irなどの貴金属で被覆した構造を有する電極(DSA電極)や、カーボン電極などを挙げることができる。
そして、固液分離設備3と濃縮手段6から供給された廃水ECに、直流電源Dから両電極41、42を介して直流電流を流すと、下記(1)〜(4)の電気化学反応を生じて、酸化態窒素を窒素ガスに変換して除去することができる。
(カソード側)
NO +6HO+8e→NH+9OH (1)
(アノード側)
2Cl→Cl+2e (2)
O+Cl⇔HClO+H+Cl (3)
(アノード側+カソード側)
2NH+3HClO→N↑+3HCl+3HO (4)
なお電極は、図の例のようにカソード側、アノード側ともに1枚ずつでなく、複数枚を、交互に配列しても良い。また槽本体40内を、陽イオン交換膜を用いてカソード側とアノード側に隔てても良い。
廃水ECの循環路45の途中には、電解処理によって変化する廃水ECの性状を調べて、電解処理の終点を検知するための測定手段S1と、処理前の廃水の塩素濃度を測定するための塩素濃度測定手段S2とを設けてある。また槽本体40内には、廃水ECの水位を調べるための水位センサS3を設けてある。
このうち測定手段S1としては、残留塩素濃度測定手段、酸化還元電位測定手段、pH測定手段、またはアンモニア濃度測定手段を挙げることができる。測定手段S1は1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても構わない。
上記各部は、それぞれ図中に一点鎖線で示すように制御手段Cと接続されている。そして制御手段Cは、測定手段S1、塩素濃度測定手段S2、および水位センサS3からの出力信号に基づいて電磁弁V1〜V3を開閉し、かつ循環ポンプWP1の駆動を制御するとともに、直流電源Dの駆動を制御することによって、電解槽4を自動制御しながら廃水ECを電解処理するために機能する。また図示していないが制御手段Cは、固液分離設備3から電解槽4に流入する廃水ECの流入量や、濃縮手段6から電解槽4に流入する濃縮された廃水ECの流入量を調整する機能も有している。
制御手段Cは、電解処理に際して、まず電磁弁V2を閉じた状態で電磁弁V1を開くことで、配管43を通して、廃水ECを電解槽4の槽本体40内に流入させる。またこの際、制御手段Cは、廃水ECが循環路45内にも流入するように、電磁弁V3をも開いておく。さらに制御手段Cは、塩素濃度測定手段S2によって塩素濃度を測定して、電解槽4内の廃水ECの塩素濃度が所定の値となるように、固液分離設備3から電解槽4に流入する廃水ECの流入量と、濃縮手段6から電解槽4に流入する濃縮された廃水ECの流入量とを調整する。
次に水位センサS3からの出力信号によって、槽本体40内の廃水ECがあらかじめ設定した水位に達したことを検知すると、制御手段Cは、電磁弁V1を閉じて廃水ECの流入を停止するとともに、循環ポンプWP1を作動させて廃水ECのかく拌を開始する。
そして制御手段Cは、直流電源Dを作動させて、電極41、42を介して廃水ECに所定の電流を流して、電解処理を開始する。それとともに制御手段Cは、測定手段S1による、廃水ECの性状の測定を開始し、電解処理が進んで廃水ECが所定の性状に達した時点、具体的には窒素分がなくなった時点で直流電源Dを停止させて電解処理を終了する。これにより、前述したように電解処理されて電解槽4から出る廃水ECの水質を常に一定に保つことが可能となる。
廃水ECの性状と、測定手段S1による測定値との関係は下記のとおりである。
例えば廃水EC中の残留塩素濃度は、当該廃水EC中に窒素分が存在している間、前記の反応機構によって次亜塩素酸イオンなどが消費され続けるため、電解処理を続けても低い値に留まっているが、窒素分がなくなると急激に上昇する。このため測定手段S1として残留塩素濃度測定手段を用いて、残留塩素濃度が急激に上昇を開始した時点を検知することで、廃水ECが所定の性状に達したの知ることができる。
また廃水ECの酸化還元電位やpHも上記と同様の挙動を示すため、測定手段S1として酸化還元電位測定手段やpH測定手段を用いて、酸化還元電位やpHが急激に上昇を開始した時点を検知することで、廃水ECが所定の性状に達したの知ることができる。
さらにアンモニア濃度測定手段によれば、廃水EC中の窒素分の濃度を直接的に測定することができるため、窒素分がなくなった時点を検知することで、廃水ECが所定の性状に達したの知ることができる。
電解処理が終了すると制御手段Cは、循環ポンプWP1を停止させるとともに電磁弁V3を閉じた状態で、電磁弁V2を開いて、電解処理済の廃水ECを、配管44を通して槽本体40から流出させて、次工程である高度処理設備5に送る。
以上の操作を繰り返すことにより、廃水ECを連続的に電解処理することができる。なお、廃水ECを電解槽4の槽本体40内に流入させるとともに、電解処理後の廃水ECを槽本体40から流出させるためには、その自重を利用して自然に流下させるのが好ましいが、設置スペースなどの関係で自然流下が難しい場合は、例えば配管43に送出ポンプを設けて、廃水ECを強制的に流通させるようにしても良い。
高度処理設備5としては、従来同様の構成を有するものを採用することができる。すなわち廃水ECに硫酸アルミニウムなどの凝集剤を添加して微細なSSを沈殿しやすいフロックにし、かつ色度やCODのもとになる有機物の一部とリン酸とを不溶化して分離させるための凝集分離装置、廃水ECをオゾンと接触させて殺菌処理するとともに、COD成分、とくに色度成分を酸化分解するためのオゾン酸化装置、廃水ECに残留する微細なSSを除去するための砂ろ過装置、COD成分や色度成分を高度に除去するための活性炭吸着装置などを適宜、組み合わせて高度処理設備5を構成することができる。
また、前記のように電解槽4での電解反応によって発生するガスを、図1中に破線の矢印で示すガス供給路46を通して高度処理設備5に送って、その任意の位置、例えば放流直前の放流ピット内に吹き込んで廃水ECと接触させることによって、当該廃水ECを、ガス中に含まれる塩素によって殺菌処理するようにしても良い。なお前記反応式(1)〜(4)では、廃水EC中の塩素イオンから生成した塩素(Cl)の全量が、次亜塩素酸の生成に消費されるように読めるが、実際にはごく微量の塩素が、窒素(N)とともに気相に移行してガス中に含まれるため、このように殺菌処理に利用することができる。
濃縮手段6としては、高度処理設備5で高度処理された廃水EC中の塩素イオンを濃縮することができる、種々の手段を採用することができる。かかる濃縮手段6の例としては、例えば逆浸透膜(RO膜)を用いて廃水EC中の塩素イオン濃度を上昇させるRO膜処理、廃水ECを電気透析して塩素イオン濃度を上昇させる電気透析処理、廃水EC中から水分を蒸発させて塩素イオン濃度を上昇させる蒸発処理などを採用することができる。
塩素イオン濃度を上昇させた廃水ECは、前記のように電解槽4の前段に戻す。また、濃縮手段6から出た塩素イオン濃度が低減された水は、河川等に直接に放流する。
図5は、この発明の廃水処理システムの、実施の形態の他の例を示すブロック図である。
この例の廃水処理システムは、回収した有機性の廃水ECを前処理するための前処理設備1と、前処理した廃水ECを生物処理するための生物処理設備2と、この生物処理設備2の、生物処理の前段2aと後段2bとの間に配設した電解槽4と、生物処理後の廃水ECを固液分離して固形分(汚泥)SLを除去するための固液分離設備3と、固形分SLを除去した廃水ECを高度処理するための高度処理設備5と、高度処理後の廃水ECを濃縮して塩素イオン濃度を高めた状態で、電解槽4の前段に返送するための濃縮手段6とを備えている。また濃縮手段6から出た塩素イオン濃度が低減された水は河川等に放流される。
上記のうち前処理設備1、電解槽4、固液分離設備3、高度処理設備5、および濃縮手段6としては、先の図1の例で使用したのと同じ構成のものを採用することができる。電解槽4で発生したガスは、これも先の例と同様に、図中に破線の矢印で示すガス供給路46を通して高度処理設備5に送って、廃水ECの殺菌処理に利用しても良い。
生物処理設備2としても、その前段2aと後段2bとの間に電解槽4を挿入すること以外は、先の例と同様の構成を有するものを採用することができる。例えば図6(a)は、前記図2に示した反応槽21と、かく拌槽22と、再曝気槽23の3つの槽を備えた生物処理設備2のうち、反応槽21を前段2a、かく拌槽22と再曝気槽23を後段2bとして、その間に電解槽4を挿入した場合を示している。この場合、濃縮手段6において塩素イオン濃度が濃縮された廃水(濃縮水)ECは、図に示すように反応槽21と電解槽4との間の位置から供給するようにすれば良い。
また図6(b)は、前記図3に示した脱窒素槽24と、硝化槽25と、二次脱窒素槽26と、そして再曝気槽27の4つの槽を備えた生物処理設備のうち、脱窒素槽24を前段2a、硝化槽25から再曝気槽27までを後段2bとして、その間に電解槽4を挿入した場合を示している。この場合も、濃縮手段6において塩素イオン濃度が濃縮された廃水(濃縮水)ECは、図に示すように反応槽21と電解槽4との間の位置から供給するようにすれば良い。
図7は、この発明の廃水処理システムの、実施の形態のさらに他の例を示すブロック図である。
この例の廃水処理システムは、回収した有機性の廃水ECをまず固液分離するための固液分離設備7と、固液分離により固形分(し渣)SLを除去した廃水ECを濃縮して塩素イオン濃度を高めるための濃縮手段6と、濃縮した廃水ECを電解処理するための電解槽4と、電解処理した廃水ECを生物処理するための生物処理設備2と、生物処理後の廃水ECを高度処理するための高度処理設備5とを備えている。なお濃縮手段6から出た塩素イオン濃度が低減された水は河川等に放流しても良いし、図中に二点鎖線の矢印で示すように生物処理設備2に供給しても良い。生物処理設備2と高度処理設備5とを経た廃水ECは、河川等に放流される。
上記のうち生物処理設備2、電解槽4、高度処理設備5、および濃縮手段6としては、先の図1の例で使用したのと同じ構成のものを採用することができる。電解槽4で発生したガスは、これも先の例と同様に、図中に破線の矢印で示すガス供給路46を通して高度処理設備5に送って、廃水ECの殺菌処理に利用しても良い。
固液分離設備7としても、先の図1、図5の例で使用したのと同じ構成のものを採用しても良いが、この例では廃水EC中の固形分をできるだけ除去することを考慮して、沈殿槽等の固液分離装置71と、膜分離装置72とを組み合わせて固液分離設備7を構成している。
上記各例の廃水処理システムにおいては、廃水EC中からリン分を除去するとともに、固液分離設備での固液分離性能を向上するため、前記のように電解槽4の前段、または図8(a)に示すように後段に、鉄電解槽81を挿入しても良い。
鉄電解槽81としては、その少なくともアノード側を鉄電極とした一対の電極を有するものを用いることができる。ただし鉄電解槽81を用いて鉄電解を続けると、鉄電極の表面に酸化被膜が形成されて鉄イオンが徐々に溶出しにくくなるので、それを防止するためには、両極をともに鉄電極として、一定時間ごとに極性を入れ替えて鉄電解を行うようにするのが好ましい。この場合、陽極側の鉄電極における鉄イオンの溶出と同時に、陰極側の鉄電極の表面に付着した酸化被膜を除去できるため、鉄イオンを、廃水EC中により効果的に、安定して供給できるという利点がある。
また上記各例の廃水処理システムにおいては、塩素イオン濃度が低下して濃縮手段6による濃縮だけでは不十分である場合を考慮して、図8(b)に示すように、電解槽4に塩水を供給するための塩水供給手段82を接続しても良い。また同図に示すように、電解槽4での電解処理時に、槽内の廃水ECが泡だって電解反応を阻害するのを防止するための消泡剤を供給するべく、消泡剤供給手段83を接続しても良い。
このうち塩水供給手段82としては、水と、その飽和濃度以上の食塩とを収容しておき、常に飽和濃度の塩水を供給できるようにしたものなどを挙げることができる。また廃水処理システムが海浜部にある場合は、塩水として無尽蔵の海水を利用するのが好ましい。そのような塩水供給手段82としては、海水を汲み上げて固形分をろ過したのち電解槽4に供給する揚水装置などを挙げることができる。
消泡剤供給手段83としては、一定量の消泡剤を電解槽4に供給しうる装置を用いれば良い。また消泡剤としては、例えばアルコール系、シリコーン系、ポリグリコール系、ポリアクリレート系などの各種の消泡剤を挙げることができる。
この発明は、以上で説明した実施形態に限定されるものではなく、各請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
この発明の廃水処理システムの、実施の形態の一例を示すブロック図である。 上記例の廃水処理システムに組み込まれる、生物処理設備と固液分離設備の一例を示す概略断面図である。 生物処理設備と固液分離設備の、他の例を示す概略断面図である。 上記例の廃水処理システムに組み込まれる、電解槽の一例を示す概略図である。 この発明の廃水処理システムの、実施の形態の他の例を示すブロック図である。 同図(a)(b)はともに、上記例の廃水処理システムにおいて、途中に電解槽を組み込んだ生物処理設備の例を示すブロック図である。 この発明の廃水処理システムの、実施の形態のさらに他の例を示すブロック図である。 同図(a)は、上記各例の廃水処理システムの、電解槽の後段に鉄電解槽を組み込んだ変形例を示すブロック図、同図(b)は、上記各例の廃水処理システムの電解槽に、塩水供給手段と消泡剤供給手段を接続した変形例を示すブロック図である。
符号の説明
1 前処理設備
2 生物処理設備
3、7 固液分離設備
4 電解槽
5 高度処理設備
6 濃縮手段
EC 廃水
SL 汚泥、し渣

Claims (10)

  1. 窒素分と塩素イオンとを含む有機性の廃水を生物処理して有機物や窒素を除去するための生物処理設備を備えた廃水処理システムであって、上記生物処理設備の前段、後段および生物処理設備中のいずれかの位置に、
    (1) 廃水を電解処理して窒素分を除去するための電解槽を設けるとともに、
    この電解槽の前段または後段に、
    (2) 廃水を濃縮して塩素イオン濃度を高めた状態で電解槽またはその前段に供給するための濃縮手段を設けた
    ことを特徴とする廃水処理システム。
  2. 生物処理設備の後段に、処理後の廃水を固液分離するための固液分離設備を設け、かつ固液分離設備で固形分を除去した廃水を電解処理するべく、固液分離設備の後段に電解槽を設けるとともに、電解槽の後段に濃縮手段を設けて、濃縮手段で濃縮した廃水を電解槽またはその前段に返送する請求項1記載の廃水処理システム。
  3. 電解槽を生物処理設備中に設け、かつ生物処理設備の後段に、処理後の廃水を固液分離するための固液分離設備を設けるとともに、固液分離設備で固形分を除去した廃水を濃縮するべく、固液分離設備の後段に濃縮手段を設けて、濃縮手段で濃縮した廃水を電解槽またはその前段に返送する請求項1記載の廃水処理システム。
  4. 電解槽を生物処理設備の前段に設け、かつ電解槽の前段に、廃水を固液分離するための固液分離設備を設けるとともに、固液分離設備で固形分を除去した廃水を濃縮するべく、固液分離設備と電解槽との間に濃縮手段を設けて、濃縮手段で濃縮した廃水を電解槽に供給する請求項1記載の廃水処理システム。
  5. 電解槽の前段または後段に、鉄電極を用いた電気分解によって鉄イオンを廃水中に溶出させるための鉄電解槽を設けた請求項1記載の廃水処理システム。
  6. 電解槽に、当該槽内の廃水を一箇所から取り出して別の個所から再び槽内に還流するための廃水の循環路を設け、かつこの循環路、および電解槽自体のうちの少なくとも一方に、塩素濃度測定手段、残留塩素濃度測定手段、酸化還元電位測定手段、pH測定手段、およびアンモニア濃度測定手段からなる群より選ばれた少なくとも1種の手段を配設するとともに、上記手段による測定値に基づいて電解槽における廃水の電解処理を制御するための制御手段を設けた請求項1記載の廃水処理システム。
  7. 放流前の廃水を高度処理するための高度処理設備を設けるとともに、電解槽に、槽内での電解によって発生したガスを高度処理設備に供給して、ガス中の塩素によって廃水を殺菌処理するためのガス供給路を接続した請求項1記載の廃水処理システム。
  8. 電解槽またはその前段に、塩水を供給するための塩水供給手段を接続した請求項1記載の廃水処理システム。
  9. 塩水として海水を用いる請求項8記載の廃水処理システム。
  10. 電解槽またはその前段に、消泡剤を供給するための消泡剤供給手段を接続した請求項1記載の廃水処理システム。
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