JP2005144366A - 廃水処理システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 し尿などの有機性の廃水ECを生物処理して窒素を除去するための生物処理設備2の前段、後段および生物処理設備2中のいずれかの位置に、廃水ECを電解処理して塩素イオンから次亜塩素酸系の強酸化物質を生成させ、この強酸化物質の酸化作用によって廃水EC中の窒素分を除去する電解槽4を設けるとともに、この電解槽4の前段または後段に、廃水ECを濃縮して塩素イオン濃度を高めた状態で電解槽4に供給する濃縮手段6を設けた廃水処理システムである。
【選択図】 図1
Description
そして前記の要求に対応するために、これらの処理と、曝気処理、嫌気処理等とを適宜、組み合わせて生物処理設備を構成し、それをさらに前処理、沈澱処理、固液分離処理、凝集分離処理、高度処理等の各種処理を行うための設備と適宜、組み合わせて廃水処理システムを構成することが行われている(非特許文献1参照)。
「汚泥再生処理センター等施設整備の計画・設計要領」(平成13年9月25日第1版第1刷、社団法人 全国都市清掃会議 編集発行)の第96頁第1.3項「施設の形式等」
(1) 廃水を電解処理して窒素分を除去するための電解槽を設けるとともに、
この電解槽の前段または後段に、
(2) 廃水を濃縮して塩素イオン濃度を高めた状態で電解槽またはその前段に供給するための濃縮手段を設けた
ことを特徴とする廃水処理システムである。
請求項5記載の発明は、電解槽の前段または後段に、鉄電極を用いた電気分解によって鉄イオンを廃水中に溶出させるための鉄電解槽を設けた請求項1記載の廃水処理システムである。
請求項8記載の発明は、電解槽またはその前段に、塩水を供給するための塩水供給手段を接続した請求項1記載の廃水処理システムである。
請求項10記載の発明は、電解槽またはその前段に、消泡剤を供給するための消泡剤供給手段を接続した請求項1記載の廃水処理システムである。
したがって請求項1記載の発明によれば、環境条件の違いによって有機性の廃水の性状が異なって、生物処理設備における硝化処理の能力や脱窒素処理の能力が低下した場合でも、電解槽での窒素分の除去作用によってこれを補って、廃水処理システム全体としての脱窒素処理の処理能力を常に一定以上に維持することが可能である。
また、硝化槽や脱窒素槽をこれまでよりも大幅に小容積化しても、小型の電解槽を追加することによって一定以上の処理能力を維持することができるため、廃水処理システムを現在より小型化することも可能である。
したがって請求項1記載の発明によれば、電解槽に必要な塩素イオンを別途補給することなしに、電解槽での電解処理によって窒素分を除去することも可能である。
この例の廃水処理システムは、例えばバキュームカーなどで家庭や施設から回収したし尿などの有機性の廃水ECを受け入れて前処理するための前処理設備1と、前処理した廃水ECを生物処理するための生物処理設備2と、生物処理後の廃水ECを固液分離して固形分(汚泥)SLを除去するための固液分離設備3と、固形分SLを除去した後の廃水を電解処理するための電解槽4と、電解処理後の廃水を高度処理するための高度処理設備5と、高度処理後の廃水を濃縮して塩素イオン濃度を高めた状態で、電解槽4の前段に返送するための濃縮手段6とを備えている。また、濃縮手段6から出た塩素イオン濃度が低減された水は河川等に放流される。
例えば図2は、前処理設備1から電解槽4へ向かう廃水ECの流れ(図中に実線の矢印で示す)に沿って順に反応槽(硝化脱窒素槽)21と、かく拌槽(脱窒素槽)22と、再曝気槽23とを備え、前処理設備1で前処理した廃水ECを希釈せずに処理する高負荷脱窒素処理方式の生物処理設備2と、それと組み合わせる固液分離設備3としての、膜分離装置31とを示している。
さらにかく拌槽22には、槽外部に設けたポンプGP2によって、図中に長い破線の矢印で示すように、天部から槽内のガスを取り出して、底部から再び槽内の廃水EC中に吹き込むように循環させることで、当該槽内の廃水ECをかく拌するための配管を接続してある。かく拌槽には脱窒菌が収容される。
(脱窒素工程)
ポンプGP1を停止した状態で廃水ECを投入すると、反応槽21内が嫌気的雰囲気となって脱窒菌が活性化し、当該脱窒菌の作用によって、亜硝酸塩や硝酸塩が窒素などのガス状生成物に還元されて廃水EC中から除去される。それとともに廃水EC中のBOD源(主に固形分中の炭素)が、脱窒菌の栄養分として消費されるため、廃水ECのBODを低減することもできる。
亜硝酸塩や硝酸塩が除去された時点で廃水ECの投入を停止すると、BOD源の供給も停止することになるため脱窒菌の活性が低下する。そこでポンプGP1を作動させて、廃水EC中に空気を吹き込むとともに、散気装置RAを作動させて廃水ECをかく拌して曝気させると、反応槽21内が好気的雰囲気となって硝化菌が活性化する。そしてこの硝化菌の作用によって、廃水EC中の窒素分(有機物中の窒素やアンモニウム塩中の窒素)が、ポンプGP1によって吹き込まれた空気中の酸素と反応して主に亜硝酸塩に、さらにその一部が硝酸塩に酸化される。
次に、上記のようにして窒素分が除去された廃水ECを、固液分離設備3としての膜分離装置31に送る。膜分離装置31は限外ろ過膜を用いたもので、廃水EC中に含まれる、数十オングストロームより粒径の大きい固形分の粒子を全て捕捉して分離除去する働きをする。これにより、膜分離装置31を通過して固形分が除去された廃水ECを、次工程である電解槽4に送ることができる。また固液分離された固形分は、図中に一点鎖線の矢印で示すようにその大部分を、汚泥SLとして回収するとともに、残部を、生物処理設備2の反応槽21に戻して汚泥濃度を維持するとともに、脱窒菌の栄養分として再利用する。
さらに脱窒素槽24と二次脱窒素槽26にはそれぞれ、槽外部に設けたポンプGP4によって、図中に長い破線の矢印で示すように、天部から槽内のガスを取り出して、底部から再び槽内の廃水EC中に吹き込むように循環させることで、両槽24、26内の廃水ECをかく拌するための配管を接続してある。両槽24、26には脱窒菌が収容される。また二次脱窒素槽26には、図中に二点鎖線の矢印で示すように、槽内の廃水ECにメタノールMeなどの有機物を供給するための配管も接続してある。
前処理設備1で前処理した廃水ECを所定の流量で、脱窒素槽24を通して硝化槽25に供給するとともに、必要に応じて硝化槽25に希釈水Wを供給しながら、当該硝化槽25で出た余剰分の廃水ECの大部分を脱窒素槽24に戻す操作を連続して行うと、まず硝化槽25内で、廃水EC中の窒素分(有機物中の窒素やアンモニウム塩中の窒素)が、ポンプGP3によって吹き込まれた空気中の酸素と、硝化菌の作用によって反応して亜硝酸塩に、さらには硝酸塩に酸化される。
次に、上記のようにして窒素分が除去された廃水ECを、固液分離設備3としての沈殿槽32に送る。そして沈殿槽32内で、廃水EC中に浮遊していた固形分を沈降、沈殿させることによって、固形分のない上澄みの廃水ECを電解槽4に送ることができる。
電解槽4としては、廃水ECを電解処理して窒素分を除去しうる、種々の構造を有する電解槽4を採用することができ、とくに塩素イオンから次亜塩素酸系の強酸化物質を生成させて、この強酸化物質の酸化作用によって廃水中の窒素分を除去する電解槽4が好適に採用される。
(カソード側)
NO3 −+6H2O+8e−→NH3+9OH− (1)
(アノード側)
2Cl−→Cl2+2e− (2)
H2O+Cl2⇔HClO+H++Cl− (3)
(アノード側+カソード側)
2NH3+3HClO→N2↑+3HCl+3H2O (4)
なお電極は、図の例のようにカソード側、アノード側ともに1枚ずつでなく、複数枚を、交互に配列しても良い。また槽本体40内を、陽イオン交換膜を用いてカソード側とアノード側に隔てても良い。
このうち測定手段S1としては、残留塩素濃度測定手段、酸化還元電位測定手段、pH測定手段、またはアンモニア濃度測定手段を挙げることができる。測定手段S1は1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても構わない。
そして制御手段Cは、直流電源Dを作動させて、電極41、42を介して廃水ECに所定の電流を流して、電解処理を開始する。それとともに制御手段Cは、測定手段S1による、廃水ECの性状の測定を開始し、電解処理が進んで廃水ECが所定の性状に達した時点、具体的には窒素分がなくなった時点で直流電源Dを停止させて電解処理を終了する。これにより、前述したように電解処理されて電解槽4から出る廃水ECの水質を常に一定に保つことが可能となる。
例えば廃水EC中の残留塩素濃度は、当該廃水EC中に窒素分が存在している間、前記の反応機構によって次亜塩素酸イオンなどが消費され続けるため、電解処理を続けても低い値に留まっているが、窒素分がなくなると急激に上昇する。このため測定手段S1として残留塩素濃度測定手段を用いて、残留塩素濃度が急激に上昇を開始した時点を検知することで、廃水ECが所定の性状に達したの知ることができる。
さらにアンモニア濃度測定手段によれば、廃水EC中の窒素分の濃度を直接的に測定することができるため、窒素分がなくなった時点を検知することで、廃水ECが所定の性状に達したの知ることができる。
以上の操作を繰り返すことにより、廃水ECを連続的に電解処理することができる。なお、廃水ECを電解槽4の槽本体40内に流入させるとともに、電解処理後の廃水ECを槽本体40から流出させるためには、その自重を利用して自然に流下させるのが好ましいが、設置スペースなどの関係で自然流下が難しい場合は、例えば配管43に送出ポンプを設けて、廃水ECを強制的に流通させるようにしても良い。
図5は、この発明の廃水処理システムの、実施の形態の他の例を示すブロック図である。
この例の廃水処理システムは、回収した有機性の廃水ECを前処理するための前処理設備1と、前処理した廃水ECを生物処理するための生物処理設備2と、この生物処理設備2の、生物処理の前段2aと後段2bとの間に配設した電解槽4と、生物処理後の廃水ECを固液分離して固形分(汚泥)SLを除去するための固液分離設備3と、固形分SLを除去した廃水ECを高度処理するための高度処理設備5と、高度処理後の廃水ECを濃縮して塩素イオン濃度を高めた状態で、電解槽4の前段に返送するための濃縮手段6とを備えている。また濃縮手段6から出た塩素イオン濃度が低減された水は河川等に放流される。
生物処理設備2としても、その前段2aと後段2bとの間に電解槽4を挿入すること以外は、先の例と同様の構成を有するものを採用することができる。例えば図6(a)は、前記図2に示した反応槽21と、かく拌槽22と、再曝気槽23の3つの槽を備えた生物処理設備2のうち、反応槽21を前段2a、かく拌槽22と再曝気槽23を後段2bとして、その間に電解槽4を挿入した場合を示している。この場合、濃縮手段6において塩素イオン濃度が濃縮された廃水(濃縮水)ECは、図に示すように反応槽21と電解槽4との間の位置から供給するようにすれば良い。
この例の廃水処理システムは、回収した有機性の廃水ECをまず固液分離するための固液分離設備7と、固液分離により固形分(し渣)SLを除去した廃水ECを濃縮して塩素イオン濃度を高めるための濃縮手段6と、濃縮した廃水ECを電解処理するための電解槽4と、電解処理した廃水ECを生物処理するための生物処理設備2と、生物処理後の廃水ECを高度処理するための高度処理設備5とを備えている。なお濃縮手段6から出た塩素イオン濃度が低減された水は河川等に放流しても良いし、図中に二点鎖線の矢印で示すように生物処理設備2に供給しても良い。生物処理設備2と高度処理設備5とを経た廃水ECは、河川等に放流される。
固液分離設備7としても、先の図1、図5の例で使用したのと同じ構成のものを採用しても良いが、この例では廃水EC中の固形分をできるだけ除去することを考慮して、沈殿槽等の固液分離装置71と、膜分離装置72とを組み合わせて固液分離設備7を構成している。
鉄電解槽81としては、その少なくともアノード側を鉄電極とした一対の電極を有するものを用いることができる。ただし鉄電解槽81を用いて鉄電解を続けると、鉄電極の表面に酸化被膜が形成されて鉄イオンが徐々に溶出しにくくなるので、それを防止するためには、両極をともに鉄電極として、一定時間ごとに極性を入れ替えて鉄電解を行うようにするのが好ましい。この場合、陽極側の鉄電極における鉄イオンの溶出と同時に、陰極側の鉄電極の表面に付着した酸化被膜を除去できるため、鉄イオンを、廃水EC中により効果的に、安定して供給できるという利点がある。
この発明は、以上で説明した実施形態に限定されるものではなく、各請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
2 生物処理設備
3、7 固液分離設備
4 電解槽
5 高度処理設備
6 濃縮手段
EC 廃水
SL 汚泥、し渣
Claims (10)
- 窒素分と塩素イオンとを含む有機性の廃水を生物処理して有機物や窒素を除去するための生物処理設備を備えた廃水処理システムであって、上記生物処理設備の前段、後段および生物処理設備中のいずれかの位置に、
(1) 廃水を電解処理して窒素分を除去するための電解槽を設けるとともに、
この電解槽の前段または後段に、
(2) 廃水を濃縮して塩素イオン濃度を高めた状態で電解槽またはその前段に供給するための濃縮手段を設けた
ことを特徴とする廃水処理システム。 - 生物処理設備の後段に、処理後の廃水を固液分離するための固液分離設備を設け、かつ固液分離設備で固形分を除去した廃水を電解処理するべく、固液分離設備の後段に電解槽を設けるとともに、電解槽の後段に濃縮手段を設けて、濃縮手段で濃縮した廃水を電解槽またはその前段に返送する請求項1記載の廃水処理システム。
- 電解槽を生物処理設備中に設け、かつ生物処理設備の後段に、処理後の廃水を固液分離するための固液分離設備を設けるとともに、固液分離設備で固形分を除去した廃水を濃縮するべく、固液分離設備の後段に濃縮手段を設けて、濃縮手段で濃縮した廃水を電解槽またはその前段に返送する請求項1記載の廃水処理システム。
- 電解槽を生物処理設備の前段に設け、かつ電解槽の前段に、廃水を固液分離するための固液分離設備を設けるとともに、固液分離設備で固形分を除去した廃水を濃縮するべく、固液分離設備と電解槽との間に濃縮手段を設けて、濃縮手段で濃縮した廃水を電解槽に供給する請求項1記載の廃水処理システム。
- 電解槽の前段または後段に、鉄電極を用いた電気分解によって鉄イオンを廃水中に溶出させるための鉄電解槽を設けた請求項1記載の廃水処理システム。
- 電解槽に、当該槽内の廃水を一箇所から取り出して別の個所から再び槽内に還流するための廃水の循環路を設け、かつこの循環路、および電解槽自体のうちの少なくとも一方に、塩素濃度測定手段、残留塩素濃度測定手段、酸化還元電位測定手段、pH測定手段、およびアンモニア濃度測定手段からなる群より選ばれた少なくとも1種の手段を配設するとともに、上記手段による測定値に基づいて電解槽における廃水の電解処理を制御するための制御手段を設けた請求項1記載の廃水処理システム。
- 放流前の廃水を高度処理するための高度処理設備を設けるとともに、電解槽に、槽内での電解によって発生したガスを高度処理設備に供給して、ガス中の塩素によって廃水を殺菌処理するためのガス供給路を接続した請求項1記載の廃水処理システム。
- 電解槽またはその前段に、塩水を供給するための塩水供給手段を接続した請求項1記載の廃水処理システム。
- 塩水として海水を用いる請求項8記載の廃水処理システム。
- 電解槽またはその前段に、消泡剤を供給するための消泡剤供給手段を接続した請求項1記載の廃水処理システム。
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JP2012509170A (ja) * | 2008-11-19 | 2012-04-19 | セバーン トレント デ ノラ,エルエルシー | 海上汚水処理 |
JP2012205985A (ja) * | 2011-03-29 | 2012-10-25 | Sumitomo Osaka Cement Co Ltd | 膜分離を用いた排水の処理方法および処理装置 |
JP2015009173A (ja) * | 2013-06-27 | 2015-01-19 | 住友金属鉱山エンジニアリング株式会社 | 窒素除去方法及びその装置 |
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2003
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CN105130070B (zh) * | 2015-09-05 | 2017-05-10 | 浙江大学 | 一种去除海水反硝化反应器出水中氨氮的装置和方法 |
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