JP2004166346A - 発電設備の系統連系保護装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】交流電力系統の周波数の変化率を検出し、周波数変化率が正の場合には同期発電機10の電圧を下げ方向に変化させ、周波数変化率が負の場合には同期発電機10の電圧を上げ方向に変化させ、また周波数変化率が複数のしきい値の範囲であれば、単独運転ではないと判定し、この状態が一定時間継続すると、同期発電機10の自動電圧調整器22に与える電圧揺動信号を停止する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、原動機により駆動される同期発電機を備え、かつ遮断器を介して交流電力系統と連系される、ごみ発電システム、コージェネレーション等の自家用発電設備の系統連系保護装置に関し、特に高価な転送遮断装置を設けることなく、系統連系中の自家用発電設備の単独運転を自家用発電設備側で確実にかつ容易に検出して保護できるようにした発電設備の系統連系保護装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、一般需要家が、例えばごみ発電システム、コージェネレーション等の自家用発電設備と交流電力系統とを連系するために、系統連系保護装置が用いられてきている。
【0003】
図5は、一般需要家がこの種の自家用発電設備と交流電力系統とを系統連系して運転を行なう場合の従来の系統連系保護装置の構成例を示すブロック図である。
【0004】
図5において、交流電力系統である上位変電所4では、系統電源1の電圧を変圧器2を介して降圧し、遮断器3を通して、上位変電所4側からの電力を需要家に配電する配電線26により、一般需要家7に電力を供給している。一般需要家7は、遮断器5Bを介して負荷6Bで電力を消費する。
【0005】
一方、自家発電設備、および系統連系保護装置20を設置している自家発設置需要家9では、原動機24により駆動される同期発電機10の出力を、遮断器28、遮断器12を介して、上位変電所4と連系している。
【0006】
同期発電機10の出力電圧の制御は、自動電圧調整器(AVR)22により同期発電機10の界磁巻線23の電圧を制御することによって行ない、同期発電機10の出力周波数の制御は、同期発電機10を駆動する原動機24の図示しない調速機により原動機24パワーを制御することによって行なわれている。
【0007】
また、自家発設置需要家9では、上位変電所4側からの電力を、遮断器12、遮断器5Aを介して受け、負荷(構内負荷)6Aで消費するようにしている。
【0008】
一方、系統連系保護装置20は、同期発電機10の出力側にその出力電流を検出する変流器11を設け、また変流器11の出力電流に基づいて同期発電機10の過電流を検出する過電流継電器(OC)51と、同期発電機10の出力電圧異常を検出する過電圧継電器(OV)52および不足電圧継電器(UV)53と、同期発電機10の逆電力を検出する逆電力継電器(RPR)54とを設け、これら各保護継電器の検出信号に基づいて故障トリップ回路27を動作させ、トリップ信号を出力して遮断器28を解放するようにしている。
【0009】
さらに、この他に、保護手段として、遮断器28の出力側(変電所側)に変流器14を設け、また当該変流器14の出力電流に基づいて過電流を検出する過電流継電器(OC)15と、系統電源1の異常時、特に系統電源1が例えば遮断器3の解放によって遮断された時、同期発電機10の出力電力と負荷6Aの負荷電力とのアンバランスから、周波数や電圧が異常になることを検出する周波数低下継電器(UF)16、周波数上昇継電器(OF)17、過電圧継電器(OV)18、および不足電圧継電器(UV)19とを設け、これら各保護継電器の検出信号に基づいて故障トリップ回路13を動作させ、トリップ信号を出力して遮断器12を解放し、遮断器3の再閉路が可能な状態にするようにしている。
【0010】
【特許文献】「特開平10−215521号」
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような発電設備の系統連系保護装置においては、例えば系統電源1に異常が発生して遮断器3が開となった時に、同期発電機10の出力電力と負荷6A、6Bの所要電力が、有効分および無効分共にほぼ等しくなっていると、周波数も電圧もほとんど変化しないので、保護継電器15〜19のいずれも動作せず、運転を継続する状態となる。
【0012】
これは、いわゆる単独運転(アイランディング)と呼ばれる現象であり、遮断器3の再閉路を妨げるという問題が発生する。
【0013】
そこで、従来では、このような単独運転を防ぐ目的で、変電所4からの専用線により接続された転送遮断装置8を設けて、遮断器12に対して転送遮断を実施する方法が採用されているものがある。
【0014】
すなわち、この転送遮断装置8は、上位変電所4の遮断器3が開となった信号を検出した時に、遮断器12に対して遮断信号を送って遮断器12を開放するものである。
【0015】
しかしながら、この種の転送遮断装置8は、数百kW程度の出力である中小容量の自家発電設備にとっては、非常にコストが高くなり、さらに伝送手段や伝送経路を設置する必要があるため、自家発電設備を設置することによるエネルギーコスト削減のメリットを得ることができない。
【0016】
本発明の目的は、高価な転送遮断装置を設けることなく、系統連系中の自家用発電設備の単独運転を自家用発電設備側で確実にかつ容易に検出して保護することが可能な発電設備の系統連系保護装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に対応する発明では、原動機により駆動される同期発電機を備え、かつ遮断器を介して交流電力系統と連系される自家用発電設備の系統連系保護装置において、交流電力系統の周波数を検出する周波数検出手段と、周波数検出手段により検出された周波数の変化率を検出する周波数変化率検出手段と、周波数変化率検出手段により検出された周波数変化率に基づいて、当該周波数変化率が正である場合には同期発電機の出力電圧を低下させ、また周波数変化率が負である場合には同期発電機の出力電圧を上昇させるように、電圧揺動信号を演算し出力する電圧揺動信号演算手段と、周波数変化率検出手段により検出された周波数変化率に応じて複数のしきい値を設定し、当該各しきい値を超える毎に電圧揺動信号演算手段により演算された電圧揺動信号のゲインを切り替えるゲイン切り替え手段と、しきい値を一定時間超えたことを判定すると、出力を生じるタイマー手段と、タイマー手段からの出力により、ゲイン切り替え手段によりゲイン切り替えされた電圧揺動信号を遮断するスイッチ手段と、電圧揺動信号演算手段により演算された電圧揺動信号を発電設備の自動電圧調整器に与えることで生じる同期発電機の電圧変動に伴なって助長される周波数変動を検知し、遮断器を解放して交流電力系統から同期発電機を解列させる保護手段とを備えている。
【0018】
従って、請求項1に対応する発明の発電設備の系統連系保護装置においては、交流電力系統の周波数の変化率を検出し、周波数変化率が正の場合には同期発電機の電圧を下げ方向に変化させ、周波数変化率が負の場合には同期発電機の電圧を上げ方向に変化させることにより、周波数変動を拡大して、前述した従来のように高価な転送遮断装置を設けることなく、系統連系中の自家用発電設備の単独運転を自家用発電設備側で確実にかつ容易に検出して同期発電機を解列し保護することができる。
また、周波数変化率が複数のしきい値の範囲であれば、単独運転ではないと判定し、この状態が一定時間継続すると、同期発電機の自動電圧調整器に与える電圧揺動信号を停止することにより、送電線が長距離でインピーダンスの大きな系統でも系統に悪影響を及ぼさずに、安定して単独運転検出を行なうことができる。
【0019】
一方、請求項2に対応する発明では、上記請求項1に対応する発明の発電設備の系統連系保護装置において、周波数変化率検出手段により検出された周波数変化率の振動する周期を検出する周波数変化率周期検出手段と、周波数変化率検出手段により検出された周波数変化率がしきい値を超え、かつ周波数変化率周期検出手段により検出された周波数変化率の振動の周期が所定値よりも短い場合に、ゲイン切り替え手段によりゲイン切り替えされた電圧揺動信号を遮断する揺動信号遮断手段とを備えている。
【0020】
従って、請求項2に対応する発明の発電設備の系統連系保護装置においては、交流電力系統の周波数の変化率を検出し、周波数変化率が正の場合には同期発電機の電圧を下げ方向に変化させ、周波数変化率が負の場合には同期発電機の電圧を上げ方向に変化させることにより、周波数変動を拡大して、前述した従来のように高価な転送遮断装置を設けることなく、系統連系中の自家用発電設備の単独運転を自家用発電設備側で確実にかつ容易に検出して同期発電機を解列し保護することができる。
また、周波数変化率がしきい値以上で、周波数変化率の変動周期が所定値よりも短い場合は、単独運転ではないと判定し、同期発電機の自動電圧調整器に与える電圧揺動信号を停止することにより、送電線が長距離でインピーダンスの大きな系統でも系統に悪影響を及ぼさずに、安定して単独運転検出を行なうことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態による発電設備の系統連系保護装置の構成例を示すブロック図であり、図5と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0023】
すなわち、図1に示すように、本実施の形態による発電設備の系統連系保護装置が、前記図5に示した従来の発電設備の系統連系保護装置と異なる点は、前述した高価な転送遮断装置8を省略し、その代わりに、単独運転検出装置30を備えた構成としていることである。
【0024】
図2は、本実施の形態による単独運転検出装置30の構成例を示すブロック図である。
【0025】
すなわち、単独運転検出装置30は、図2に示すように、周波数検出器41と、周波数変化率検出器42と、周波数変化率過大第1判定器43と、電圧揺動信号演算手段である電圧揺動信号演算部44と、タイマー45と、乗算器46とスイッチ47とからなるゲイン切り替え手段64と、スイッチ48と、周波数変化率過大第2判定器49とからなっている。
【0026】
周波数検出器41は、交流電力系統である上位変電所4の周波数を検出する。
【0027】
周波数変化率検出器42は、周波数検出器41により検出された周波数の変化率を検出する。
【0028】
周波数変化率過大第1判定器43は、周波数変化率検出器42により検出された周波数変化率が、あらかじめ定められたしきい値D1以上であるか否かを判定する。
【0029】
電圧揺動信号演算部44は、周波数変化率検出器42により検出された周波数変化率に基づいて、当該周波数変化率が正である場合には同期発電機10の出力電圧を低下させ、また周波数変化率が負である場合には同期発電機10の出力電圧を上昇させるように電圧揺動信号を演算し、同期発電機10の自動電圧調整器22に電圧揺動信号を与える。
【0030】
タイマー45は、変化率過大第1判定器43によりしきい値を一定時間超えたことを判定すると、出力を生じる。
【0031】
ゲイン切り替え手段64は、周波数変化率検出器42により検出された周波数変化率に応じて複数のしきい値を設定し、当該各しきい値を超える毎に電圧揺動信号演算部44により演算された電圧揺動信号のゲインを切り替える。
【0032】
スイッチ48は、タイマー45からの出力により、ゲイン切り替え手段64によりゲイン切り替えされた電圧揺動信号の、同期発電機10の自動電圧調整器22への出力を遮断する。
【0033】
周波数変化率過大第2判定器49は、周波数変化率検出器42により検出された周波数変化率が、あらかじめ定められたしきい値D2以上であるか否かを判定する。
【0034】
ここで、しきい値D1としきい値D2の関係は、D1<D2とする。
【0035】
次に、以上のように構成した本実施の形態による発電設備の系統連系保護装置の作用について説明する。
【0036】
図1において、周波数検出器41では、交流電力系統である上位変電所4の周波数を検出する。
【0037】
周波数変化率検出器42では、周波数検出器41により検出された周波数の変化率df/dtを検出する。
【0038】
いま、同期発電機10からの出力の有効電力をP、無効電力をQ、負荷6Aおよび負荷6Bが必要とする有効電力をPL、無効電力をQLとすると、系統電源1へ流出する有効電力ΔPおよび無効電力ΔQは、それぞれ次のように表わされる。
【0039】
ΔP=P−PL
ΔQ=Q−QL
ここで、負荷6Aおよび負荷6Bの電圧をV、周波数をfとする。
【0040】
そうすると、通常の場合は、ΔP≒0、ΔQ≒0に近い状態で遮断器3が開となっても、負荷6Aおよび負荷6Bの電圧V、周波数fはほとんど変化しないため、各保護継電器15〜19が検出できず、単独運転を継続することになる。
【0041】
しかし、微少な周波数差から、系統電源1と負荷6Aおよび負荷6Bの位相がゆっくりとずれてくるので、遮断器3の再投入は、事故拡大につながって危険な状態となり、配電系統の安定性を低下させることになる。
【0042】
同期発電機10の単独運転を検出する原理を、以下に説明する。
【0043】
負荷の有効電力は
P=V2/R (1)
(V:電圧、R:抵抗値)
で表わされる。
【0044】
ここで、同期発電機10の単独運転中に、わずかに周波数が低下した場合を考える。
【0045】
この時、電圧揺動信号演算部44では、同期発電機10の電圧をわずかに上げるように電圧揺動信号を出力する。
【0046】
この電圧揺動信号演算部44では、周波数変化率検出器42により検出された周波数変化率df/dtに基づいて、周波数の変化を助長するように電圧揺動信号を演算し、同期発電機10の自動電圧調整器22に電圧揺動信号を出力する。
【0047】
すなわち、この電圧揺動信号演算部44では、周波数変化率df/dtに応じて自動電圧調整器22に与える電圧揺動信号を、以下のような関係式により決める。
【0048】
△V*=−K・df/dt
(K:定数)
すると、上記(1)式で表わされる負荷電力が増加するので、負荷のトルクが増加し、同期発電機10の回転速度、すなわち周波数が低下する。
【0049】
この正帰還作用により、周波数の変動を増大させる。
【0050】
周波数変化率df/dtの過大を、周波数変化率過大第1判定器43で判定すると、乗算器46とスイッチ47とにより、電圧揺動信号演算部44からの電圧揺動信号をA倍(A>1)に増幅させる。
【0051】
これにより、通常は電圧揺動信号を1倍とすることで、電圧揺動信号による同期発電機10への外乱を小さく抑え、周波数変化率df/dtが大きくなると、電圧揺動信号を大きくして、速く周波数の変動を増大させるようになっている。
【0052】
周波数変化率過大第1判定器43では、周波数変化率df/dtがあらかじめ定められたしきい値D1以上であるか否かを判定する。
【0053】
変化率過大第2判定器49では、周波数変化率df/dtがあらかじめ定められたしきい値D2以上であるか否かを判定する。
【0054】
ここで、しきい値D1としきい値D2の関係は、D1<D2とする。
【0055】
周波数変化率過大第2判定器49にて、周波数変化率df/dtがしきい値 D2以上になったことを判定した場合には、異常出力信号V31を故障トリップ回路13に出力する。
【0056】
また、タイマー45とスイッチ48とにより、周波数変化率df/dtがしきい値D1以上になり、かつこの状態が一定時間T1以上継続した場合には、電圧揺動信号を0にして、同期発電機10の自動電圧調整器22へ電圧揺動信号を与えないようにする。
【0057】
ここで、一定時間T1としては通常、自家用発電設備の単独運転検出に要する時間よりも長い時間相当に設定する。
【0058】
これにより、周波数変化率df/dtがしきい値D1以上かつしきい値D2未満の状態が長く続いた場合、単独運転ではない状態で同期発電機10に大きい電圧変動を長時間与え続けることを避けるようになっている。
【0059】
なお、最初に周波数がわずかに上昇した場合には、上記とは逆の作用により、周波数が上昇する方向に変動が増大するが、周波数変化率df/dtの過大を同様に周波数変化率過大第2判定器49で判定し、異常信号V31を出力する。
【0060】
故障トリップ回路13では、この異常信号V31により、遮断器12を遮断して同期発電機10を解列する。
【0061】
これにより、従来用いていた転送遮断装置8を用いなくても、自家発電設備側で単独運転を検出することが可能となる。
【0062】
上述したように、本実施の形態による発電設備の系統連系保護装置では、交流電力系統である上位変電所4の周波数の変化率df/dtを検出し、周波数変化率が正(df/dt>0)の場合には同期発電機10の電圧を下げ方向に変化させ、周波数変化率が負(df/dt<0)の場合には同期発電機10の電圧を上げ方向に変化させるようにしているので、周波数変動を拡大して、前述した従来のように高価な転送遮断装置8を設けることなく、系統連系中の自家用発電設備の単独運転を自家用発電設備側で確実にかつ容易に検出して同期発電機10を解列し保護することが可能となる。
【0063】
また、送電線が長距離でインピーダンスの大きな系統の場合には、電圧揺動信号によって系統の電圧を変動させる恐れがあるため、単独運転ではない状態での電圧揺動信号の大きさは、系統に悪影響を及ぼさない程度にするべきとの要望がある。
【0064】
この点、本実施の形態では、周波数変化率df/dtがしきい値D1以上でしきい値D2未満であれば、単独運転ではないと判定し、この状態が一定時間継続すると、同期発電機10の自動電圧調整器22に与える電圧揺動信号を停止するようにしているので、送電線が長距離でインピーダンスの大きな系統でも系統に悪影響を及ぼさずに、安定して単独運転検出を行なうことが可能となる。
【0065】
(第2の実施の形態)
図3は、本実施の形態による単独運転検出装置30の構成例を示すブロック図であり、図2と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0066】
すなわち、単独運転検出装置30は、図3に示すように、前記図2におけるタイマー45を省略し、その代わりに、零クロスタイミング検出回路60と周期検出回路61とからなる周波数変化率周期検出手段65と、比較器62と論理積演算器63とスイッチ48とからなる揺動信号遮断手段66とを備えた構成としている。
【0067】
周波数変化率周期検出手段65は、前記周波数変化率検出器42により検出された周波数変化率の振動する周期を検出する。
【0068】
揺動信号遮断手段66は、前記周波数変化率検出器42により検出された周波数変化率がしきい値を超え、かつ周波数変化率周期検出手段65により検出された周波数変化率の振動の周期が所定値よりも短い場合に、前記ゲイン切り替え手段64によりゲイン切り替えされた電圧揺動信号の、同期発電機10の自動電圧調整器22への出力を遮断する。
【0069】
次に、以上のように構成した本実施の形態による発電設備の系統連系保護装置の作用について、図4を用いて説明する。
【0070】
単独運転でない状態では、電圧揺動信号を与えても周波数の大きい変化が起こらないため、図4(a)に示すように時間T1が短くなる。
【0071】
単独運転状態では、前記第1の実施の形態で説明したように、電圧揺動信号を与えることにより周波数の変化が発生し、周波数の変化を助長する正帰還作用のために、周波数の変化が長時間続くので、図4(b)に示すように時間T1が長くなる。
【0072】
零クロスタイミング検出回路60では、周波数変化率検出器42が出力する周波数変化率df/dtの符号が変わる(零クロス)タイミングを検出する。
【0073】
周期検出回路61では、この零クロスのタイミングより、周波数変化率df/dtが変化する周期を求める。
【0074】
比較器62では、周波数変化率df/dtの周期T1としきい値TFとを比較する。
【0075】
論理積演算器63では、周波数変化率過大第1判定器43からの出力と比較器62からの出力との論理積を演算し、周波数変化率df/dtがしきい値D1以上で、かつ周期T1がしきい値TFよりも短い場合に、スイッチ48を切り替え、電圧揺動信号を0にして、同期発電機10の自動電圧調整器22に電圧揺動信号を与えないようにする。
【0076】
以上の作用により、同期発電機10に大きい電圧変動を長時間与え続けることを避けるようになっている。
【0077】
一方、単独運転になった場合には時間T1が長くなるため、スイッチ48が切り替わり、電圧揺動信号が出力される。
【0078】
この電圧揺動信号が出力されると、前述した第1の実施の形態と同様の作用により、単独運転を検出することができる。
【0079】
上述したように、本実施の形態による発電設備の系統連系保護装置では、交流電力系統である上位変電所4の周波数の変化率df/dtを検出し、周波数変化率が正(df/dt>0)の場合には同期発電機10の電圧を下げ方向に変化させ、周波数変化率が負(df/dt<0)の場合には同期発電機10の電圧を上げ方向に変化させるようにしているので、周波数変動を拡大して、前述した従来のように高価な転送遮断装置8を設けることなく、系統連系中の自家用発電設備の単独運転を自家用発電設備側で確実にかつ容易に検出して同期発電機10を解列し保護することが可能となる。
【0080】
また、送電線が長距離でインピーダンスの大きな系統の場合には、電圧揺動信号によって系統の電圧を変動させる恐れがあるため、単独運転ではない状態での電圧揺動信号の大きさは、系統に悪影響を及ぼさない程度にするべきとの要望がある。
【0081】
この点、本実施の形態では、周波数変化率df/dtがしきい値D1以上で、周波数変化率df/dtの変動周期が時間TFよりも短い場合は、単独運転ではないと判定し、同期発電機10の自動電圧調整器22に与える電圧揺動信号を停止するようにしているので、送電線が長距離でインピーダンスの大きな系統でも系統に悪影響を及ぼさず、安定して単独運転検出を行なうことが可能となる。
【0082】
(その他の実施の形態)
尚、本発明は、上記各実施の形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で、種々に変形して実施することが可能である。
また、上記各実施の形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合には組み合わせた作用効果を得ることができる。
【0083】
さらに、上記各実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより、種々の発明を抽出することができる。
例えば、上記各実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題(の少なくとも一つ)が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果(の少なくとも一つ)が得られる場合には、この構成要件が削除された構成を発明として抽出することができる。
【0084】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の発電設備の系統連系保護装置によれば、高価な転送遮断装置を設けることなく、系統連系中の自家用発電設備の単独運転を自家発電設備側で確実にかつ容易に検出でき、系統から迅速に発電設備を解列して保護することが可能となる。
【0085】
また、送電線が長距離でインピーダンスの大きな系統の場合には、電圧揺動信号によって系統の電圧を変動させる恐れがあるため、単独運転ではない状態での電圧揺動信号の大きさは、系統に悪影響を及ぼさない程度にするべきであるとの要望があるが、この点、本発明の発電設備の系統連系保護装置によれば、単独運転でない場合には同期発電機に大きい電圧変動を長時間与え続けないようにしているので、送電線が長距離でインピーダンスの大きな系統でも系統に悪影響を及ぼさずに、安定して単独運転検出を行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による発電設備の系統連系保護装置の第1の実施の形態を示すブロック図。
【図2】同第1の実施の形態による発電設備の系統連系保護装置における単独運転検出装置の構成例を示すブロック図。
【図3】本発明の第2の実施の形態による発電設備の系統連系保護装置における単独運転検出装置の構成例を示すブロック図。
【図4】同第2の実施の形態による発電設備の系統連系保護装置における作用を説明するための波形図。
【図5】従来の発電設備の系統連系保護装置の構成例を示すブロック図。
【符号の説明】
1…系統電源、
2…変圧器、
3…遮断器、
5A…遮断器、
5B…遮断器、
12…遮断器、
28…遮断器、
4…上位変電所、
6A…負荷、
6B…負荷、
7…一般需要家、
8…転送遮断装置、
9…自家発設置需要家、
10…同期発電機、
11…変流器、
14…変流器、
13…故障トリップ回路、
27…故障トリップ回路、
15…過電流継電器、
51…過電流継電器、
16…周波数低下継電器、
17…周波数上昇継電器、
18…過電圧継電器、
52…過電圧継電器、
19…不足電圧継電器、
53…不足電圧継電器、
20…系統連系保護装置、
29…系統連系保護装置、
22…自動電圧調整器、
23…界磁巻線、
24…原動機、
26…配電線、
41…周波数検出器、
42…周波数変化率検出器、
43…周波数変化率過大第1判定器、
44…電圧揺動信号演算部、
45…タイマー、
46…乗算器、
47、48…スイッチ、
49…周波数変化率過大第2判定器、
54…逆電力継電器、
60…零クロスタイミング検出回路、
61…周期検出回路、
62…比較器、
63…論理積演算器、
64…ゲイン切り替え手段、
65…周波数変化率周期検出手段、
66…揺動信号遮断手段。
Claims (2)
- 原動機により駆動される同期発電機を備え、かつ遮断器を介して交流電力系統と連系される自家用発電設備の系統連系保護装置において、
前記交流電力系統の周波数を検出する周波数検出手段と、
前記周波数検出手段により検出された周波数の変化率を検出する周波数変化率検出手段と、
前記周波数変化率検出手段により検出された周波数変化率に基づいて、当該周波数変化率が正である場合には前記同期発電機の出力電圧を低下させ、また前記周波数変化率が負である場合には前記同期発電機の出力電圧を上昇させるように、電圧揺動信号を演算し出力する電圧揺動信号演算手段と、
前記周波数変化率検出手段により検出された周波数変化率に応じて複数のしきい値を設定し、当該各しきい値を超える毎に前記電圧揺動信号演算手段により演算された電圧揺動信号のゲインを切り替えるゲイン切り替え手段と、
前記しきい値を一定時間超えたことを判定すると、出力を生じるタイマー手段と、
前記タイマー手段からの出力により、前記ゲイン切り替え手段によりゲイン切り替えされた電圧揺動信号を遮断するスイッチ手段と、
前記電圧揺動信号演算手段により演算された電圧揺動信号を前記発電設備の自動電圧調整器に与えることで生じる前記同期発電機の電圧変動に伴なって助長される周波数変動を検知し、前記遮断器を解放して交流電力系統から前記同期発電機を解列させる保護手段と、
を備えて成ることを特徴とする発電設備の系統連系保護装置。 - 前記請求項1に記載の発電設備の系統連系保護装置において、
前記周波数変化率検出手段により検出された周波数変化率の振動する周期を検出する周波数変化率周期検出手段と、
前記周波数変化率検出手段により検出された周波数変化率がしきい値を超え、かつ前記周波数変化率周期検出手段により検出された周波数変化率の振動の周期が所定値よりも短い場合に、前記ゲイン切り替え手段によりゲイン切り替えされた電圧揺動信号を遮断する揺動信号遮断手段と、
を備えて成ることを特徴とする発電設備の系統連系保護装置。
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