JP2004166077A - 伝送線路および送受信装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】広帯域な変換帯域をもって導波管型の線路とスロット線路との変換を行うことができる伝送線路および送受信装置を提供する。
【解決手段】誘電体基板2の表面2A,裏面2Bには表面電極3,裏面電極4をそれぞれ設ける。また、誘電体基板2の裏面2Bには裏面電極4に覆われた隆起部5を設けると共に、表面電極3には隆起部5と対向した位置に第1のスロット6を開口して設け、スロット誘電体線路7を形成する。また、第1のスロット6の延長線上には幅寸法の狭い第2のスロット8からなるスロット線路9を形成する。さらに、スロット誘電体線路7とスロット線路9との間は、隆起部5を延長した延長隆起部10と第1,第2のスロット6,8間で幅寸法が漸次縮小したテーパ型スロット11とからなるテーパ型スロット誘電体線路12を用いて接続する。これにより、2つの線路7,9間の変換帯域を広げることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】誘電体基板2の表面2A,裏面2Bには表面電極3,裏面電極4をそれぞれ設ける。また、誘電体基板2の裏面2Bには裏面電極4に覆われた隆起部5を設けると共に、表面電極3には隆起部5と対向した位置に第1のスロット6を開口して設け、スロット誘電体線路7を形成する。また、第1のスロット6の延長線上には幅寸法の狭い第2のスロット8からなるスロット線路9を形成する。さらに、スロット誘電体線路7とスロット線路9との間は、隆起部5を延長した延長隆起部10と第1,第2のスロット6,8間で幅寸法が漸次縮小したテーパ型スロット11とからなるテーパ型スロット誘電体線路12を用いて接続する。これにより、2つの線路7,9間の変換帯域を広げることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばマイクロ波、ミリ波等の高周波信号を伝送する伝送線路および該伝送線路を用いて構成されるレーダ装置、通信装置等の送受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、第1の従来技術として、例えば誘電体基板の両面に電極(導体層)を設けると共に、誘電体基板にこれらの電極間を結ぶ複数個のスルーホールを2列平行に設けた導波管型の線路が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、第2の従来技術として、誘電体基板の片面が電極で覆われると共に、該電極に帯状のスロットを設けた平面線路(スロット線路)も知られている(例えば、非特許文献1参照)。さらに、第3の従来技術として、両面に電極が形成された基板に対して、その裏面に導波管を接続すると共に、その表面の電極にスリットを設けてスロット線路を形成し、導波管とスロット線路とを接続した構成も知られている(例えば、特許文献2参照)。そして、第3の従来技術では、基板の裏面の電極に導波管に対応した開口を設けると共に、該開口内に導波管とスロット線路との変換を行うアンテナパターンを設けている。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−256398号公報
【非特許文献1】
S.B.Cohn, “Slot Line on a Dielectric Substrate”, IEEE MTT−17, Oct. 1969, p.768−778
【特許文献2】
特開平6−112708号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したように、第1,第2の従来技術のように各種の導波管型の線路やスロット線路が知られていると共に、第3の従来技術のように、基板の裏面側の電極に開口を設けることによって、基板の裏面側に設けた導波管と表面側に設けたスロット線路とを接続した構成も知られている。しかし、第3の従来技術のように、基板の裏面側の電極に開口やアンテナパターンを設け、導波管とスロット線路との変換を行うときには、導波管と基板との間や基板とスロット線路との間でインピーダンス不整合が生じ易く、導波管とスロット線路との間の変換帯域(高周波信号の通過帯域)が狭帯域になるという問題がある。
【0005】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、広帯域な変換帯域をもって導波管型の線路とスロット線路との変換を行うことができる伝送線路および送受信装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明による伝送線路は、誘電体基板と、該誘電体基板の表面,裏面にそれぞれ設けられた表面電極,裏面電極とを備え、前記誘電体基板の裏面側に設けられ前記裏面電極に覆われた状態で高周波信号の伝送方向に沿って断面凸形状で連続して延びる隆起部と、前記表面電極に設けられ一定の幅寸法をもって該隆起部に沿って延びる第1のスロットとによってスロット誘電体線路を構成し、前記表面電極に設けられ前記第1のスロットから離間すると共に前記第1のスロットよりも狭い一定の幅寸法をもって高周波信号の伝送方向に沿って延びる第2のスロットによってスロット線路を構成し、前記誘電体基板の裏面側に設けられ前記スロット誘電体線路とスロット線路との間に位置して前記裏面電極に覆われた状態で前記隆起部を延長した延長隆起部と、前記表面電極に設けられ前記第1のスロットから第2のスロットに向けて幅寸法が漸次縮小しつつ該延長隆起部に沿って延び前記スロット誘電体線路とスロット線路との間を接続するテーパ型スロットとによってテーパ型スロット誘電体線路を構成したことにある。
【0007】
このように構成したことにより、スロット誘電体線路では誘電体基板の内部に電磁界が集中するから、第1のスロットによる放射損失を低減した状態で高周波信号を伝搬させることができる。また、スロット線路では第2のスロットの周囲に電磁界が集中するから、放射損失は大きくなるものの、スロット線路に並列に接続される半導体素子、抵抗素子等を電磁界を集中させて供給することができる。さらに、スロット誘電体線路とスロット線路との間を延長隆起部とテーパ型スロットとからなるテーパ型スロット誘電体線路によって接続したから、スロット誘電体線路とスロット線路との間で広帯域に亘ってインピーダンス整合をとることができ、スロット誘電体線路とスロット線路との変換帯域を広げることができる。この結果、広帯域な高周波信号に対して、信号の伝搬には低損失なスロット誘電体線路を用い、各種の素子を接続するときにはスロット線路を用いることができる。
【0008】
請求項2の発明による伝送線路は、誘電体基板と、該誘電体基板の表面,裏面にそれぞれ設けられた表面電極,裏面電極とを備え、前記誘電体基板の裏面側に設けられ前記裏面電極に覆われた状態で高周波信号の伝送方向に沿って断面凸形状で連続して延びる隆起部と、前記表面電極に設けられ一定の幅寸法をもって該隆起部に沿って延びる第1のスロットとによってスロット誘電体線路を構成し、前記表面電極に設けられ前記第1のスロットから離間すると共に前記第1のスロットよりも狭い一定の幅寸法をもって高周波信号の伝送方向に沿って延びる第2のスロットによってスロット線路を構成し、前記表面電極に設けられ前記第1のスロットから第2のスロットに向けて幅寸法が漸次縮小しつつ延び前記スロット誘電体線路とスロット線路との間を接続するテーパ型スロットによってテーパ型スロット線路を構成している。
【0009】
これにより、スロット誘電体線路とスロット線路との間をテーパ型スロットからなるテーパ型スロット線路によって接続したから、スロット誘電体線路とスロット線路との間で広帯域に亘ってインピーダンス整合をとることができ、スロット誘電体線路とスロット線路との変換帯域を広げることができる。この結果、広帯域な高周波信号に対して、信号の伝搬には低損失なスロット誘電体線路を用い、各種の素子を接続するときにはスロット線路を用いることができる。
【0010】
請求項3の発明は、誘電体基板には、連続して延びる第1のスロット、テーパ型スロットおよび第2のスロットを挟んだ両側にそれぞれ配置され、厚さ方向に貫通して表面電極と裏面電極との間を導通させる複数のスルーホールを設ける構成としたことにある。
【0011】
これにより、第1のスロット、テーパ型スロットおよび第2のスロットを挟んで配置したスルーホールは、誘電体基板のうち各スロットの周囲に高周波信号を閉じ込める。このため、誘電体基板の内部で各スロットの幅方向両側に向けて高周波信号が放射するのを防ぐことができ、伝送損失を低減することができる。
【0012】
請求項4の発明による伝送線路は、誘電体基板と、該誘電体基板の表面,裏面にそれぞれ設けられた表面電極,裏面電極とを備え、前記誘電体基板の裏面側に設けられ前記裏面電極に覆われた状態で高周波信号の伝送方向に沿って断面凸形状で連続して延びる隆起部と、前記表面電極に設けられ一定の幅寸法をもって該隆起部に沿って延びる第1のスロットとによってスロット誘電体線路を構成し、前記表面電極に設けられ前記第1のスロットから離間すると共に前記第1のスロットよりも狭い一定の幅寸法をもって高周波信号の伝送方向に沿って延びる第2のスロットによってスロット線路を構成し、前記誘電体基板の裏面側に設けられ前記スロット誘電体線路とスロット線路との間に位置して前記裏面電極に覆われた状態で前記隆起部を延長した延長隆起部と、前記第1のスロットから第2のスロットに向けて幅寸法がステップ状をなして該延長隆起部に沿って延び前記スロット誘電体線路とスロット線路との間を接続するステップ型スロットとによってステップ型スロット誘電体線路を構成している。
【0013】
これにより、スロット誘電体線路とスロット線路との間を延長隆起部とステップ型スロットとからなるステップ型スロット誘電体線路によって接続したから、スロット誘電体線路とスロット線路とを直接接続するときに比べて、スロット誘電体線路とスロット線路との間で広帯域に亘ってインピーダンス整合を取ることができる。このため、スロット誘電体線路とスロット線路との変換帯域を広げることができるから、広帯域な高周波信号に対して、信号の伝搬には低損失なスロット誘電体線路を用い、各種の素子を接続するときにはスロット線路を用いることができる。また、ステップ型スロット誘電体線路はステップ型スロットを用いるから、例えばテーパ型スロットを用いた場合に比べて、その全長寸法を短くすることができる。
【0014】
請求項5の発明による伝送線路は、誘電体基板と、該誘電体基板の表面,裏面にそれぞれ設けられた表面電極,裏面電極とを備え、前記誘電体基板の裏面側に設けられ前記裏面電極に覆われた状態で高周波信号の伝送方向に沿って断面凸形状で連続して延びる隆起部と、前記表面電極に設けられ一定の幅寸法をもって該隆起部に沿って延びる第1のスロットとによってスロット誘電体線路を構成し、前記表面電極に設けられ前記第1のスロットから離間すると共に前記第1のスロットよりも狭い一定の幅寸法をもって高周波信号の伝送方向に沿って延びる第2のスロットによってスロット線路を構成し、前記表面電極に設けられ前記第1のスロットから第2のスロットに向けて幅寸法がステップ状をなして延び前記スロット誘電体線路とスロット線路との間を接続するステップ型スロットによってステップ型スロット線路を構成している。
【0015】
この場合、スロット誘電体線路とスロット線路との間をステップ型スロットからなるステップ型スロット線路によって接続したから、請求項4の発明とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【0016】
請求項6の発明は、誘電体基板には、連続して延びる第1のスロット、ステップ型スロットおよび第2のスロットを挟んだ両側にそれぞれ配置され、厚さ方向に貫通して表面電極と裏面電極との間を導通させる複数のスルーホールを設ける構成としたことにある。
【0017】
これにより、第1のスロット、ステップ型スロットおよび第2のスロットを挟んで配置したスルーホールは、誘電体基板のうち各スロットの周囲に高周波信号を閉じ込める。このため、誘電体基板の内部で各スロットの幅方向両側に向けて高周波信号が放射するのを防ぐことができ、伝送損失を低減することができる。
【0018】
請求項7の発明は、スロット誘電体線路には、スロット線路と反対側に位置して隆起部を延長すると共に誘電体基板の表面を表面電極によって覆うことにより構成された誘電体線路を接続したことにある。
【0019】
この場合、誘電体線路は誘電体基板の表面を表面電極によって覆うから、スロット誘電体線路に比べて第1のスロットを通じた高周波信号の放射を防ぐことができ、伝送損失を低減することができる。また、スロット誘電体線路等を用いて誘電体線路とスロット線路との間を接続することができるから、誘電体線路とスロット線路との間の変換帯域を広げることができる。
【0020】
請求項8の発明は、スロット線路には抵抗素子を取付ける構成としたことにある。
【0021】
これにより、スロット線路では第2のスロットの周囲に電磁界が集中するから、放射損失は大きくなるものの、スロット線路に対して抵抗素子を容易に接続できる。このため、抵抗素子等を用いて終端抵抗器を構成することができ、該終端抵抗器をスロット誘電体線路に接続することができる。
【0022】
請求項9の発明では、誘電体基板は、セラミックス材料、樹脂材料またはこれらの複合材料によって形成している。
【0023】
これにより、誘電体基板の耐熱性を向上することができるから、一括リフロー半田法を用いて表面実装部品を実装することができ、生産性を向上することができる。また、誘電体基板の誘電率を容易に高めることができるから、誘電体基板の内部での高周波信号の波長を短くすることができ、スロット誘電体線路とスロット線路との間の長さ寸法(テーパ型スロット誘電体線路、ステップ型スロット誘電体線路等の長さ寸法)を短くすることができる。
【0024】
請求項10の発明のように、本発明による伝送線路を用いて送受信装置を構成してもよい。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態による伝送線路および送受信装置を、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0026】
まず、図1ないし図6は第1の実施の形態を示し、図において、1は伝送線路で、該伝送線路1は、後述のスロット誘電体線路7、スロット線路9、テーパ型スロット誘電体線路12によって構成されている。
【0027】
2は樹脂材料、セラミックス材料、またはこれらを混合して焼結した複合材料からなる誘電体基板で、該誘電体基板2は、例えば7.0程度の比誘電率εrで0.3mm程度の厚さ寸法T1をもった平板状に形成され、その表面2Aには後述の表面電極3が設けられると共に、裏面2Bには裏面電極4が設けられている。
【0028】
3は誘電体基板2の表面2Aに形成された表面電極を示すと共に、4は誘電体基板2の裏面2Bに形成された裏面電極を示し、これらの電極3,4は、誘電体基板2に対して導電性金属材料をスパッタ、真空蒸着等の手段を用いて薄膜状に形成されている。また、裏面電極4は、後述の隆起部5の外面を含めて誘電体基板2の裏面2Bを略全面に亘って覆っている。
【0029】
5は誘電体基板2の裏面2B側に設けられた隆起部で、該隆起部5は、断面凸形状をなして例えばマイクロ波、ミリ波等の高周波信号の伝送方向(矢示A方向)に沿って延びると共に、その外面(幅方向両側の側面および底面)が裏面電極4に覆われている。そして、隆起部5は、誘電体基板2と同じ材料を用いて誘電体基板2に一体形成され、例えば0.45mm程度の一定の幅寸法W1を有すると共に、0.60mm程度の突出寸法T2をもって誘電体基板2の裏面2Bから突出している。
【0030】
6は誘電体基板2の表面2Aに位置して表面電極3を貫通して設けられた第1のスロットで、該スロット6は、隆起部5と対向した位置で隆起部5に沿って延び、帯状(溝状)の開口を形成している。また、第1のスロット6は、例えば0.45mm程度の一定の幅寸法W2を有し、この幅寸法W2は隆起部5の幅寸法W1とほぼ等しい値に設定されている。
【0031】
そして、隆起部5および第1のスロット6はスロット誘電体線路7を構成し、該スロット誘電体線路7は、その基端側が誘電体基板2の一端側の外周部に向けて延び、先端側が誘電体基板2の中央部に位置している。
【0032】
8は第1のスロット6(スロット誘電体線路7)の延長線上に位置して表面電極3を貫通して設けられた第2のスロットで、該スロット8は、第1のスロット6から離間した位置で第1のスロット6とほぼ同様に高周波信号の伝送方向に沿って延び、帯状(溝状)の開口を形成している。また、第2のスロット8は、例えば0.05mm程度の一定の幅寸法W3を有し、この幅寸法W3は第1のスロット6の幅寸法W2よりも小さい値に設定されている。
【0033】
そして、第2のスロット8はスロット線路9を構成し、該スロット線路9は、その基端側が誘電体基板2の中央部に位置して後述するテーパ型スロット誘電体線路12を介してスロット誘電体線路7に接続されると共に、先端側が誘電体基板2の他端側の外周部に向けて延びている。
【0034】
10は隆起部5の先端側を延長して誘電体基板2の裏面2B側に設けられた延長隆起部で、該延長隆起部10は、隆起部5と同様に断面凸形状をなし、例えば隆起部5とほぼ同じ値の一定の幅寸法と突出寸法とを有してスロット誘電体線路7からスロット線路9に向けて延びている。そして、延長隆起部10は、その外面(幅方向両側の側面、底面および先端面)が裏面電極4によって覆われている。
【0035】
11はスロット誘電体線路7とスロット線路9との間に位置して表面電極3を貫通して設けられたテーパ型スロットで、該テーパ型スロット11は、延長隆起部10と対向して配設され、例えば2.1mm程度の長さ寸法L1をもって延長隆起部10に沿って延びている。また、テーパ型スロット11は、その幅寸法W4が第1のスロット6から第2のスロット8に向けて漸次縮小(連続的に縮小)すると共に、これら第1のスロット6、テーパ型スロット11および第2のスロット8は連続して延びている。
【0036】
そして、延長隆起部10およびテーパ型スロット11はテーパ型スロット誘電体線路12を構成し、該テーパ型スロット誘電体線路12は、その基端側がスロット誘電体線路7に接続されると共に、先端側がスロット線路9に接続されている。また、テーパ型スロット誘電体線路12は、スロット誘電体線路7とスロット線路9と一緒にほぼ直線上に配置され、スロット誘電体線路7とスロット線路9との間を接続している。
【0037】
13は連続して延びる第1のスロット6、テーパ型スロット11および第2のスロット8を挟んだ幅方向両側にそれぞれ配置された複数のスルーホールで、該スルーホール13は、高周波信号の伝送方向(矢示A方向)に沿って幅方向の片側に2列ずつ、合計4列をなして互いに平行に配置されている。また、4列のスルーホール13は、矢示A方向に対してほぼ同じ位置に配置され、幅方向に対して4個ずつほぼ直線上に配置されている。また、スルーホール13は、例えば0.3mm程度の内径寸法φをもった略円形の貫通孔からなり、レーザ加工、パンチング加工等によって形成されている。そして、スルーホール13は、誘電体基板2を貫通すると共に、その内壁面が導電性の金属材料によって覆われ、表面電極3と裏面電極4との間を導通している。
【0038】
また、高周波信号の伝送方向に対して隣合う2つのスルーホール13の間隔L2は、例えば使用周波数における高周波信号の誘電体基板2内の波長λgに対してλg/2以下(例えば、L2=0.6mm)に設定されている。また、幅方向に対して隣合う2列のスルーホール13の間隔についても、例えば高周波信号の誘電体基板2内の波長λgに対してλg/2以下に設定されている。
【0039】
本実施の形態による伝送線路は上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
【0040】
まず、スロット誘電体線路7に高周波信号を入力すると、隆起部5と第1のスロット6との幅方向に対して電界Eが形成されると共に、第1のスロット6の長さ方向と誘電体基板2の厚さ方向とに対して磁界Hが形成される。そして、高周波信号は、隆起部5の互いに対向する2つの側面をH面、隆起部5の底面および誘電体基板2の表面2AをE面とするTE10モードに準じたモードの電磁波をなして第1のスロット6に沿って伝搬する。このとき、高周波信号は、隆起部5の底面と第1のスロット6が開口した誘電体基板2の表面2Aとでそれぞれ全反射を繰り返し、誘電体基板2の内部とその近傍に集中して伝搬する。
【0041】
次に、スロット誘電体線路7を伝搬してテーパ型スロット誘電体線路12に到達した高周波信号は、テーパ状に幅寸法W4が連続的に漸次縮小したテーパ型スロット11によって徐々に伝搬モードが変換される。これにより、高周波信号の集中する部位が、誘電体基板2の内部から表面2A側に向けて変位する。
【0042】
そして、テーパ型スロット誘電体線路12を伝搬してスロット線路9に到達した高周波信号は、ほぼスロット線路9の伝搬モードであるTE01モードに準じたモードに変換されているから、反射損失が低減した状態でスロット線路9に入力される。
【0043】
ここで、図7ないし図9に示す比較例のように、スロット誘電体線路7とスロット線路9とを直接接続した場合について3次元電磁界シミュレーションを行うと、図10に示すような伝送特性を得ることができる。この場合、反射係数S11は−20dB以下となるのが理想的であるのに対して、60GHzから100GHzの全ての周波数帯域に亘って反射係数S11は−5dB程度となり、スロット誘電体線路7とスロット線路9とを接続する接続部で反射が大きくなってしまう。
【0044】
これに対し、本実施の形態のように、スロット誘電体線路7とスロット線路9との間をテーパ型スロット誘電体線路12を用いて接続した場合について3次元電磁界シミュレーションを行うと、図6に示すような伝送特性を得ることができる。この結果、例えば67GHzから82GHzの周波数帯域に亘って反射係数S11を−20dB以下にすることができ、スロット誘電体線路7とスロット線路9との間の反射を小さくすることができる。
【0045】
かくして、本実施の形態では、スロット誘電体線路7とスロット線路9との間をテーパ型スロット誘電体線路12を用いて接続したから、広帯域の高周波信号に対してスロット誘電体線路7とスロット線路9との間のインピーダンス整合を取ることができ、2つの線路7,9間の変換帯域を広げることができる。
【0046】
また、スロット誘電体線路7では誘電体基板2の内部に電磁界が集中するから、第1のスロット6による放射損失を低減した状態で高周波信号を伝搬させることができる。一方、スロット線路9では第2のスロット8の周囲に電磁界が集中するから、放射損失は大きくなるものの、スロット線路9に並列に接続される半導体素子、抵抗素子等に電磁界を集中させて供給することができる。そして、スロット誘電体線路7とスロット線路9との間をテーパ型スロット誘電体線路12を用いて接続したから、広帯域に亘って反射が少ない状態で2つの線路7,9間で高周波信号を伝搬させることができ、高周波信号の伝搬には低損失なスロット誘電体線路7を用い、各種の素子を接続するときにはスロット線路9を用いることができる。
【0047】
特に、スロット誘電体線路7は隆起部5と対向して第1のスロット6を設けると共に、隆起部5の裏面(底面)側を裏面電極4によって覆う構成としたから、誘電体基板2の裏面2B側から高周波信号が放射することがなくなる。このため、隆起部5と第1のスロット6とが位置ずれした場合であっても、誘電体基板2の表面2Aだけしか高周波信号が放射することがないから、放射による伝送損失を低減することができる。
【0048】
また、各スロット6,11,8を挟んだ幅方向両側に2つの電極3,4間を導通させる複数のスルーホール13を設けたから、高周波信号を幅方向に対して各スロット6,11,8の周囲に閉じ込めることができ、誘電体基板2のうち幅方向両側に向けて高周波信号が放射するのを抑制することができる。このため、幅方向の放射に伴う高周波信号の伝送損失を低減することができる。
【0049】
特に、スロット誘電体線路7では、誘電体基板2の裏面2Bには、断面凸形状で高周波信号の伝送方向に向けて延びる隆起部5を設け、該隆起部5の外面を含めて誘電体基板2の裏面2Bに裏面電極4を設けたから、スルーホール13に加えて隆起部5の側面にも電流を流すことができる。さらに、スロット誘電体線路7の隆起部5は高周波信号の伝送方向に連続して設けられているから、誘電体基板2の厚さ方向のみならず、斜め方向に対しても電流を流すことができる。このため、隆起部5を省いた場合に比べて、スルーホール13内の電流集中を緩和でき、伝送損失を低減することができる。
【0050】
さらに、誘電体基板2はセラミックス材料、樹脂材料またはこれらの複合材料によって形成したから、誘電体基板2の耐熱性を向上することができる。このため、一括リフロー半田法を用いて各種の表面実装部品を実装することができ、生産性を向上することができる。また、誘電体基板2の誘電率を容易に高めることができるから、誘電体基板2の内部での高周波信号の波長λgを短くすることができ、テーパ型スロット誘電体線路12の長さ寸法L1を短くすることができる。
【0051】
なお、前記実施の形態では、テーパ型スロット誘電体線路12の延長隆起部10はスロット誘電体線路7の隆起部5をそのまま(幅寸法、突出寸法が同じ値)延長するものとした。しかし、本発明はこれに限らず、図11に示す第1の変形例のように、スロット誘電体線路7からスロット線路9に向けて突出寸法が漸次縮小した延長隆起部10′を用いる構成としてもよい。
【0052】
また、図12に示す第2の変形例のように、テーパ型スロット11と同様にスロット誘電体線路7からスロット線路9に向けて幅寸法が漸次縮小した延長隆起部10″を用いる構成としてもよく、図11に示す第1の変形例と図12に示す第2の変形例とを組合せた延長隆起部を用いる構成としてもよい。
【0053】
次に、図13ないし図16は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、スロット誘電体線路とスロット線路との間はテーパ型スロットからなるテーパ型スロット線路を用いて接続する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0054】
21は本実施の形態による伝送線路で、該伝送線路21は、スロット誘電体線路7、スロット線路9および後述のテーパ型スロット線路23とによって構成されている。
【0055】
22はスロット誘電体線路7とスロット線路9との間に位置して表面電極3を貫通して設けられたテーパ型スロットで、該テーパ型スロット22は、第1の実施の形態によるテーパ型スロット11とほぼ同様に、第1のスロット6から第2のスロット8に向けて幅寸法が漸次縮小しつつ延びている。
【0056】
そして、テーパ型スロット22はテーパ型スロット線路23を構成し、該テーパ型スロット線路23は、その基端側がスロット誘電体線路7に接続されると共に、先端側がスロット線路9に接続されている。また、テーパ型スロット線路23は、スロット誘電体線路7とスロット線路9と一緒にほぼ直線上に配置され、スロット誘電体線路7とスロット線路9との間を接続している。
【0057】
24は連続して延びる第1のスロット6、テーパ型スロット22および第2のスロット8を挟んだ幅方向両側に位置して誘電体基板2を貫通して設けられた複数のスルーホールで、該スルーホール24は、第1の実施の形態によるスルーホール13とほぼ同様に、高周波信号の伝送方向に沿って幅方向の片側に2列ずつ、合計4列をなして互いに平行に配置されている。
【0058】
かくして、本実施の形態でも第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0059】
次に、図17ないし図19は本発明の第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、スロット誘電体線路とスロット線路との間は延長隆起部とステップ型スロットとからなるステップ型スロット誘電体線路を用いて接続する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0060】
31は本実施の形態による伝送線路で、該伝送線路31は、スロット誘電体線路7、スロット線路9および後述のステップ型スロット誘電体線路34とによって構成されている。
【0061】
32は隆起部5の先端側を延長して誘電体基板2の裏面2B側に設けられた延長隆起部で、該延長隆起部32は、第1の実施の形態による延長隆起部10とほぼ同様に、隆起部5とほぼ同じ断面凸形状をなしてスロット誘電体線路7からスロット線路9に向けて延び、その外面が裏面電極4によって覆われている。
【0062】
33はスロット誘電体線路7とスロット線路9との間に位置して表面電極3を貫通して設けられたステップ型スロットで、該ステップ型スロット33は、延長隆起部32と対向して配設され、例えば高周波信号の誘電体基板2内の波長λgに対してλg/4程度の長さ寸法L3をもって延長隆起部32に沿って延びている。また、テーパ型スロット11は、その幅寸法W5が第1のスロット6の幅寸法W2と第2のスロット8の幅寸法W3との間の値に設定され、第1のスロット6から第2のスロット8に向けて1段のステップ状をなしている。
【0063】
そして、延長隆起部32およびステップ型スロット33はステップ型スロット誘電体線路34を構成し、該ステップ型スロット誘電体線路34は、その基端側がスロット誘電体線路7に接続されると共に、先端側がスロット線路9に接続されている。また、ステップ型スロット誘電体線路34は、スロット誘電体線路7とスロット線路9と一緒にほぼ直線上に配置され、スロット誘電体線路7とスロット線路9との間を接続している。
【0064】
35は連続して延びる第1のスロット6、ステップ型スロット33および第2のスロット8を挟んだ幅方向両側に位置して誘電体基板2を貫通して設けられた複数のスルーホールで、該スルーホール35は、第1の実施の形態によるスルーホール13とほぼ同様に、高周波信号の伝送方向に沿って幅方向の片側に2列ずつ、合計4列をなして互いに平行に配置されている。
【0065】
かくして、本実施の形態でも第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。しかし、本実施の形態では、スロット誘電体線路7とスロット線路9との間は延長隆起部32とステップ型スロット33とからなるステップ型スロット誘電体線路34を用いて接続したから、第1の実施の形態によるテーパ型スロット誘電体線路12に比べてステップ型スロット誘電体線路34の長さ寸法L3を短くすることができる。
【0066】
即ち、第1の実施の形態によるテーパ型スロット11(テーパ型スロット誘電体線路12)では、広帯域に亘ってインピーダンス整合を取るために、例えば波長λgの数倍程度の長さ寸法を確保する必要があるのに対し、本実施の形態ではステップ型スロット33(ステップ型スロット誘電体線路34)を用いるから、インピーダンス整合が取れる帯域は狭くなるものの、その長さ寸法L5を短くすることができる。
【0067】
なお、本実施の形態では、スロット誘電体線路7とスロット線路9との間を1段のステップ状をなして接続するステップ型スロット33を用いる構成としたが、2段以上のステップ状をなして接続するステップ型スロットを用いる構成としてもよい。この場合、ステップ状をなす段数を増加させることによって、インピーダンス整合が取れる帯域を広げることができる。
【0068】
また、前記第3の実施の形態では、ステップ型スロット誘電体線路34の延長隆起部32はスロット誘電体線路7の隆起部5をそのまま(幅寸法、突出寸法が同じ値)延長するものとした。しかし、本発明はこれに限らず、図20に示す第3の変形例のように、スロット誘電体線路7からスロット線路9に向けて突出寸法が漸次縮小した延長隆起部32′を用いる構成としてもよい。
【0069】
さらに、図21に示す第4の変形例のように、ステップ型スロット33と同様にスロット誘電体線路7からスロット線路9に向けて幅寸法がステップ状をなす延長隆起部32″を用いる構成としてもよく、図20に示す第3の変形例と図21に示す第4の変形例とを組合せた延長隆起部を用いる構成としてもよい。
【0070】
次に、図22ないし図24は本発明の第4の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、スロット誘電体線路とスロット線路との間はステップ型スロットからなるステップ型スロット線路を用いて接続する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0071】
41は本実施の形態による伝送線路で、該伝送線路41は、スロット誘電体線路7、スロット線路9および後述のステップ型スロット線路43とによって構成されている。
【0072】
42はスロット誘電体線路7とスロット線路9との間に位置して表面電極3を貫通して設けられたステップ型スロットで、該ステップ型スロット42は、第3の実施の形態によるステップ型スロット33とほぼ同様に、第1のスロット6から第2のスロット8に向けて幅寸法がステップ状をなして延びている。
【0073】
そして、ステップ型スロット42はステップ型スロット線路43を構成し、該ステップ型スロット線路43は、その基端側がスロット誘電体線路7に接続されると共に、先端側がスロット線路9に接続されている。また、ステップ型スロット線路43は、スロット誘電体線路7とスロット線路9と一緒にほぼ直線上に配置され、スロット誘電体線路7とスロット線路9との間を接続している。
【0074】
44は連続して延びる第1のスロット6、ステップ型スロット42および第2のスロット8を挟んだ幅方向両側に位置して誘電体基板2を貫通して設けられた複数のスルーホールで、該スルーホール44は、第1の実施の形態によるスルーホール13とほぼ同様に、高周波信号の伝送方向に沿って幅方向の片側に2列ずつ、合計4列をなして互いに平行に配置されている。
【0075】
かくして、本実施の形態でも第1,第3の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0076】
次に、図25および図26は本発明の第5の実施の形態による伝送線路を示し、本実施の形態の特徴は、スロット誘電体線路には、スロット線路と反対側に位置して隆起部を延長すると共に誘電体基板の表面を表面電極によって覆うことにより構成された誘電体線路を接続したことにある。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0077】
51はスロット誘電体線路7の基端側に接続された誘電体線路で、該誘電体線路51は、スロット線路9(テーパ型スロット誘電体線路12)と反対側に位置してスロット誘電体線路7の隆起部5を延長すると共に、スロット誘電体線路7とは異なり誘電体基板2の表面2Aのうち延長した隆起部5と対向した部位を表面電極3によって覆う構成としている。
【0078】
かくして、本実施の形態でも第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができるが、本実施の形態では、スロット誘電体線路7に誘電体基板2の表面2Aを表面電極3によって覆った誘電体線路51を接続したから、スロット誘電体線路7に比べてスロット6による放射が少ない誘電体線路51を用いて高周波信号を伝搬させることができると共に、該誘電体線路51を伝搬した高周波信号を変換損失が少ない状態でスロット線路9に導くことができる。
【0079】
次に、図27および図28は本発明の第6の実施の形態による伝送線路を示し、本実施の形態の特徴は、スロット線路の途中には抵抗素子を取付ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0080】
61はスロット線路9の途中に取付けられた抵抗素子で、該抵抗素子61は、例えばチップ抵抗等によって構成され、その両端が第2のスロット8を跨いで表面電極3に接続されている。
【0081】
かくして、本実施の形態でも第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。しかし、本実施の形態では、スロット線路9の途中に抵抗素子61を取付けたから、誘電体基板2の内部に電磁界の集中するスロット誘電体線路7に比べて、抵抗素子61が取付けられた第2のスロット8の周囲に電磁界を集中させることができる。この結果、抵抗素子61を用いてスロット線路9を伝搬する高周波信号を効率良く減衰させることができるから、容易に抵抗素子61を用いて終端抵抗器を構成することができ、設計自由度が向上すると共に、該終端抵抗器をスロット誘電体線路7に接続することができる。
【0082】
次に、図29および図30は本発明の第7の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、伝送線路を用いてレーダ装置を構成したことにある。
【0083】
71は本実施の形態による送受信装置としてのレーダ装置で、該レーダ装置71は、両面にそれぞれ表面電極73と裏面電極(図示せず)が形成された誘電体基板72を用いて形成され、誘電体基板72の表面に設けた電圧制御発振器74と、該電圧制御発振器74に増幅器75、サーキュレータ76を介して接続されたアンテナ(放射器)をなす開口部77と、該開口部77から受信した信号を中間周波信号IFにダウンコンバートするためにサーキュレータ76に接続されたミキサ78とによって概略構成されている。また、増幅器75とサーキュレータ76との間には方向性結合器79が接続して設けられ、この方向性結合器79によって電力分配された信号は、ミキサ78にローカル信号として入力される。
【0084】
そして、これら電圧制御発振器74、増幅器75、サーキュレータ76、ミキサ78等の間は、例えば第1の実施の形態によるスロット誘電体線路7によって接続され、これらのレーダ装置71は1枚の誘電体基板72に形成されるものである。
【0085】
また、方向性結合器79は、増幅器75とサーキュレータ76との間に位置するスロット誘電体線路7とほぼ並行に配設された他のスロット誘電体線路7によって構成され、該他のスロット誘電体線路7の一端側はミキサ78に接続されると共に、他端側は第1の実施の形態によるテーパ型スロット誘電体線路12を介してスロット線路9に接続されている。そして、スロット線路9の途中には抵抗素子80が接続され、終端抵抗器を構成している。
【0086】
さらに、スロット誘電体線路7、スロット線路9、テーパ型スロット誘電体線路12の両脇には複数のスルーホール81が形成されている。
【0087】
本実施の形態によるレーダ装置71は上述の如き構成を有するもので、電圧制御発振器74から出力された発振信号は増幅器75によって増幅され、方向性結合器79およびサーキュレータ76を経由して、送信信号として開口部77から送信される。一方、開口部77から受信された受信信号はサーキュレータ76を通じてミキサ78に入力されると共に、方向性結合器79によるローカル信号を用いてダウンコンバートされ、中間周波信号IFとして出力される。
【0088】
かくして、本実施の形態によれば、スロット誘電体線路7を用いて電圧制御発振器74、増幅器75、サーキュレータ76、ミキサ78等の間を接続したから、誘電体基板72の表面だけでスロット誘電体線路7に増幅器75等を容易に接続することができると共に、スロット誘電体線路7と電圧制御発振器74等との間を低損失で接続することができ、レーダ装置全体の電力効率を高め、消費電力を低減することができる。
【0089】
また、方向性結合器79にはテーパ型スロット誘電体線路12を介して抵抗素子80が取付けられたスロット線路9を接続したから、方向性結合器79からミキサ78に対して逆方向に伝搬した高周波信号を抵抗素子80を用いて確実に減衰させることができる。この結果、ミキサ78に供給するローカル信号のノイズを低減することができ、送受信装置の通信品質を向上することができる。
【0090】
なお、前記第7の実施の形態では、本発明による伝送線路をレーダ装置に適用した場合を例を挙げて説明したが、例えば送受信装置として通信装置等に適用してもよい。
【0091】
また、第5ないし第7の実施の形態では、第1の実施の形態によるテーパ型スロット誘電体線路12を用いてスロット誘電体線路7とスロット線路9との間を接続するものとしたが、例えば第2の実施の形態によるテーパ型スロット線路23、第3の実施の形態によるステップ型スロット誘電体線路34または第4の実施の形態によるステップ型スロット線路43を用いてスロット誘電体線路7とスロット線路9との間を接続する構成としてもよい。
【0092】
また、前記各実施の形態では、誘電体基板2,72にスルーホール13,24,35,44,81を設ける構成としたが、スルーホールを省く構成としてもよい。
【0093】
また、前記第1ないし第6の実施の形態では、誘電体基板2にはスロット6等の両脇に2列ずつ合計4列に亘って複数のスルーホール13,24,35,44を配置するものとしたが、第7の実施の形態のようにスロット6等の両脇に1列ずつ合計2列に亘って複数のスルーホールを設ける構成としてもよく、合計6列以上に亘ってスルーホールを配置する構成としてもよい。
【0094】
さらに、前記各実施の形態では、スロット6等に近いスルーホール13,24,35,44と離れたスルーホール13,24,35,44とは、高周波信号の伝送方向に対してほぼ同じ位置に配置するものとしたが、本発明はこれに限らず、スロット等に近いスルーホールと離れたスルーホールとは、高周波信号の伝送方向に位置ずれした千鳥状(互い違い)に配置する構成としてもよい。
【0095】
【発明の効果】
以上詳述した如く、請求項1の発明によれば、スロット誘電体線路とスロット線路との間をテーパ型スロット誘電体線路を用いて接続したから、広帯域の高周波信号に対してスロット誘電体線路とスロット線路との間のインピーダンス整合を取ることができ、これら2つの線路間の変換帯域を広げることができる。この結果、広帯域に亘って反射が少ない状態でスロット誘電体線路とスロット線路との間で高周波信号を伝搬させることができ、高周波信号の伝搬には低損失なスロット誘電体線路を用い、各種の素子を接続するときにはスロット線路を用いることができる。
【0096】
請求項2の発明のように、テーパ型スロット線路を用いてスロット誘電体線路とスロット線路との間を接続する構成とした場合にも、請求項1の発明とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【0097】
請求項3の発明によれば、誘電体基板には、連続して延びる第1のスロット、テーパ型スロットおよび第2のスロットを挟んだ両側に複数のスルーホールを設けたから、スルーホールによって誘電体基板の内部で各スロットの幅方向両側に向けて高周波信号が放射するのを防ぐことができ、伝送損失を低減することができる。
【0098】
請求項4の発明によれば、ステップ型スロット誘電体線路を用いて前記スロット誘電体線路とスロット線路との間を接続する構成としたから、スロット誘電体線路とスロット線路とを直接接続するときに比べて、スロット誘電体線路とスロット線路との間で広帯域に亘ってインピーダンス整合を取ることができる。このため、スロット誘電体線路とスロット線路との変換帯域を広げることができるから、広帯域な高周波信号に対して、信号の伝搬には低損失なスロット誘電体線路を用い、各種の素子を接続するときにはスロット線路を用いることができる。また、ステップ型スロット誘電体線路はステップ型スロットを用いるから、例えばテーパ型スロットを用いた場合に比べて、その全長寸法を短くすることができる。
【0099】
請求項5の発明のように、ステップ型スロット線路を用いてスロット誘電体線路とスロット線路との間を接続する構成とした場合にも、請求項4の発明とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【0100】
請求項6の発明によれば、誘電体基板には、連続して延びる第1のスロット、ステップ型スロットおよび第2のスロットを挟んだ両側に複数のスルーホールを設けたから、スルーホールによって誘電体基板の内部で各スロットの幅方向両側に向けて高周波信号が放射するのを防ぐことができ、伝送損失を低減することができる。
【0101】
請求項7の発明によれば、スロット誘電体線路には、スロット線路と反対側に位置して隆起部を延長すると共に誘電体基板の表面を表面電極によって覆った誘電体線路を接続したから、スロット誘電体線路に比べて伝送損失が少ない誘電体線路を用いて高周波信号を伝搬させることができる。また、スロット誘電体線路等を用いて誘電体線路とスロット線路との間を接続することができるから、誘電体線路とスロット線路との間の変換帯域を広げることができる。
【0102】
請求項8の発明によれば、スロット線路には抵抗素子を取付ける構成としたから、抵抗素子を用いてスロット線路を伝搬する高周波信号を効率良く減衰させることができる。このため、抵抗素子を用いて終端抵抗器を容易に構成することができるから、設計自由度が向上すると共に、該終端抵抗器をスロット誘電体線路に接続することができる。
【0103】
請求項9の発明によれば、誘電体基板をセラミックス材料、樹脂材料またはこれらの複合材料によって形成したから、一括リフロー半田法を用いて表面実装部品を実装することができ、生産性を向上することができる。また、電体基板の誘電率を容易に高めることができるから、誘電体基板の内部での高周波信号の波長を短くすることができ、スロット誘電体線路とスロット線路との間の長さ寸法を短縮して小型化することができる。
【0104】
さらに、請求項10の発明によれば、本発明による伝送線路を用いて送受信装置を構成したから、送受信装置全体の損失を低減することができ、電力効率を高めて消費電力を低減することができる。また、本発明の伝送線路を用いた終端抵抗器を適用できるから、終端からの反射ノイズ等を確実に減衰でき、例えば送受信装置の通信品質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態による伝送線路を示す斜視図である。
【図2】第1の実施の形態による伝送線路を示す正面図である。
【図3】第1の実施の形態による伝送線路を示す平面図である。
【図4】第1の実施の形態による伝送線路を示す底面図である。
【図5】図3中の矢示V−V方向からみた伝送線路を示す拡大断面図である。
【図6】図1中の伝送線路による反射係数、透過係数と高周波信号の周波数との関係をを示す特性線図である。
【図7】比較例による伝送線路を示す正面図である。
【図8】比較例による伝送線路を示す平面図である。
【図9】比較例による伝送線路を示す底面図である。
【図10】図7中の伝送線路による反射係数、透過係数と高周波信号の周波数との関係をを示す特性線図である。
【図11】第1の変形例による伝送線路を示す正面図である。
【図12】第2の変形例による伝送線路を示す底面図である。
【図13】第2の実施の形態による伝送線路を示す斜視図である。
【図14】第2の実施の形態による伝送線路を示す正面図である。
【図15】第2の実施の形態による伝送線路を示す平面図である。
【図16】第2の実施の形態による伝送線路を示す底面図である。
【図17】第3の実施の形態による伝送線路を示す正面図である。
【図18】第3の実施の形態による伝送線路を示す平面図である。
【図19】第3の実施の形態による伝送線路を示す底面図である。
【図20】第3の変形例による伝送線路を示す正面図である。
【図21】第4の変形例による伝送線路を示す底面図である。
【図22】第4の実施の形態による伝送線路を示す正面図である。
【図23】第4の実施の形態による伝送線路を示す平面図である。
【図24】第4の実施の形態による伝送線路を示す底面図である。
【図25】第5の実施の形態による伝送線路を示す正面図である。
【図26】第5の実施の形態による伝送線路を示す平面図である。
【図27】第6の実施の形態による伝送線路を示す斜視図である。
【図28】第6の実施の形態による伝送線路を示す平面図である。
【図29】第7の実施の形態によるレーダ装置を示す平面図である。
【図30】第7の実施の形態によるレーダ装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
1,21,31,41 伝送線路
2,72 誘電体基板
3,73 表面電極
4 裏面電極
5 隆起部
6 第1のスロット
7 スロット誘電体線路
8 第2のスロット
9 スロット線路
10,10′,10″,32,32′,32″ 延長隆起部
11,22 テーパ型スロット
12,12′,12″ テーパ型スロット誘電体線路
13,24,35,44,81 スルーホール
23 テーパ型スロット線路
33,42 ステップ型スロット
34,34′,34″ ステップ型スロット誘電体線路
43 ステップ型スロット線路
51 誘電体線路
61,80 抵抗素子
71 レーダ装置(送受信装置)
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばマイクロ波、ミリ波等の高周波信号を伝送する伝送線路および該伝送線路を用いて構成されるレーダ装置、通信装置等の送受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、第1の従来技術として、例えば誘電体基板の両面に電極(導体層)を設けると共に、誘電体基板にこれらの電極間を結ぶ複数個のスルーホールを2列平行に設けた導波管型の線路が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、第2の従来技術として、誘電体基板の片面が電極で覆われると共に、該電極に帯状のスロットを設けた平面線路(スロット線路)も知られている(例えば、非特許文献1参照)。さらに、第3の従来技術として、両面に電極が形成された基板に対して、その裏面に導波管を接続すると共に、その表面の電極にスリットを設けてスロット線路を形成し、導波管とスロット線路とを接続した構成も知られている(例えば、特許文献2参照)。そして、第3の従来技術では、基板の裏面の電極に導波管に対応した開口を設けると共に、該開口内に導波管とスロット線路との変換を行うアンテナパターンを設けている。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−256398号公報
【非特許文献1】
S.B.Cohn, “Slot Line on a Dielectric Substrate”, IEEE MTT−17, Oct. 1969, p.768−778
【特許文献2】
特開平6−112708号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したように、第1,第2の従来技術のように各種の導波管型の線路やスロット線路が知られていると共に、第3の従来技術のように、基板の裏面側の電極に開口を設けることによって、基板の裏面側に設けた導波管と表面側に設けたスロット線路とを接続した構成も知られている。しかし、第3の従来技術のように、基板の裏面側の電極に開口やアンテナパターンを設け、導波管とスロット線路との変換を行うときには、導波管と基板との間や基板とスロット線路との間でインピーダンス不整合が生じ易く、導波管とスロット線路との間の変換帯域(高周波信号の通過帯域)が狭帯域になるという問題がある。
【0005】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、広帯域な変換帯域をもって導波管型の線路とスロット線路との変換を行うことができる伝送線路および送受信装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明による伝送線路は、誘電体基板と、該誘電体基板の表面,裏面にそれぞれ設けられた表面電極,裏面電極とを備え、前記誘電体基板の裏面側に設けられ前記裏面電極に覆われた状態で高周波信号の伝送方向に沿って断面凸形状で連続して延びる隆起部と、前記表面電極に設けられ一定の幅寸法をもって該隆起部に沿って延びる第1のスロットとによってスロット誘電体線路を構成し、前記表面電極に設けられ前記第1のスロットから離間すると共に前記第1のスロットよりも狭い一定の幅寸法をもって高周波信号の伝送方向に沿って延びる第2のスロットによってスロット線路を構成し、前記誘電体基板の裏面側に設けられ前記スロット誘電体線路とスロット線路との間に位置して前記裏面電極に覆われた状態で前記隆起部を延長した延長隆起部と、前記表面電極に設けられ前記第1のスロットから第2のスロットに向けて幅寸法が漸次縮小しつつ該延長隆起部に沿って延び前記スロット誘電体線路とスロット線路との間を接続するテーパ型スロットとによってテーパ型スロット誘電体線路を構成したことにある。
【0007】
このように構成したことにより、スロット誘電体線路では誘電体基板の内部に電磁界が集中するから、第1のスロットによる放射損失を低減した状態で高周波信号を伝搬させることができる。また、スロット線路では第2のスロットの周囲に電磁界が集中するから、放射損失は大きくなるものの、スロット線路に並列に接続される半導体素子、抵抗素子等を電磁界を集中させて供給することができる。さらに、スロット誘電体線路とスロット線路との間を延長隆起部とテーパ型スロットとからなるテーパ型スロット誘電体線路によって接続したから、スロット誘電体線路とスロット線路との間で広帯域に亘ってインピーダンス整合をとることができ、スロット誘電体線路とスロット線路との変換帯域を広げることができる。この結果、広帯域な高周波信号に対して、信号の伝搬には低損失なスロット誘電体線路を用い、各種の素子を接続するときにはスロット線路を用いることができる。
【0008】
請求項2の発明による伝送線路は、誘電体基板と、該誘電体基板の表面,裏面にそれぞれ設けられた表面電極,裏面電極とを備え、前記誘電体基板の裏面側に設けられ前記裏面電極に覆われた状態で高周波信号の伝送方向に沿って断面凸形状で連続して延びる隆起部と、前記表面電極に設けられ一定の幅寸法をもって該隆起部に沿って延びる第1のスロットとによってスロット誘電体線路を構成し、前記表面電極に設けられ前記第1のスロットから離間すると共に前記第1のスロットよりも狭い一定の幅寸法をもって高周波信号の伝送方向に沿って延びる第2のスロットによってスロット線路を構成し、前記表面電極に設けられ前記第1のスロットから第2のスロットに向けて幅寸法が漸次縮小しつつ延び前記スロット誘電体線路とスロット線路との間を接続するテーパ型スロットによってテーパ型スロット線路を構成している。
【0009】
これにより、スロット誘電体線路とスロット線路との間をテーパ型スロットからなるテーパ型スロット線路によって接続したから、スロット誘電体線路とスロット線路との間で広帯域に亘ってインピーダンス整合をとることができ、スロット誘電体線路とスロット線路との変換帯域を広げることができる。この結果、広帯域な高周波信号に対して、信号の伝搬には低損失なスロット誘電体線路を用い、各種の素子を接続するときにはスロット線路を用いることができる。
【0010】
請求項3の発明は、誘電体基板には、連続して延びる第1のスロット、テーパ型スロットおよび第2のスロットを挟んだ両側にそれぞれ配置され、厚さ方向に貫通して表面電極と裏面電極との間を導通させる複数のスルーホールを設ける構成としたことにある。
【0011】
これにより、第1のスロット、テーパ型スロットおよび第2のスロットを挟んで配置したスルーホールは、誘電体基板のうち各スロットの周囲に高周波信号を閉じ込める。このため、誘電体基板の内部で各スロットの幅方向両側に向けて高周波信号が放射するのを防ぐことができ、伝送損失を低減することができる。
【0012】
請求項4の発明による伝送線路は、誘電体基板と、該誘電体基板の表面,裏面にそれぞれ設けられた表面電極,裏面電極とを備え、前記誘電体基板の裏面側に設けられ前記裏面電極に覆われた状態で高周波信号の伝送方向に沿って断面凸形状で連続して延びる隆起部と、前記表面電極に設けられ一定の幅寸法をもって該隆起部に沿って延びる第1のスロットとによってスロット誘電体線路を構成し、前記表面電極に設けられ前記第1のスロットから離間すると共に前記第1のスロットよりも狭い一定の幅寸法をもって高周波信号の伝送方向に沿って延びる第2のスロットによってスロット線路を構成し、前記誘電体基板の裏面側に設けられ前記スロット誘電体線路とスロット線路との間に位置して前記裏面電極に覆われた状態で前記隆起部を延長した延長隆起部と、前記第1のスロットから第2のスロットに向けて幅寸法がステップ状をなして該延長隆起部に沿って延び前記スロット誘電体線路とスロット線路との間を接続するステップ型スロットとによってステップ型スロット誘電体線路を構成している。
【0013】
これにより、スロット誘電体線路とスロット線路との間を延長隆起部とステップ型スロットとからなるステップ型スロット誘電体線路によって接続したから、スロット誘電体線路とスロット線路とを直接接続するときに比べて、スロット誘電体線路とスロット線路との間で広帯域に亘ってインピーダンス整合を取ることができる。このため、スロット誘電体線路とスロット線路との変換帯域を広げることができるから、広帯域な高周波信号に対して、信号の伝搬には低損失なスロット誘電体線路を用い、各種の素子を接続するときにはスロット線路を用いることができる。また、ステップ型スロット誘電体線路はステップ型スロットを用いるから、例えばテーパ型スロットを用いた場合に比べて、その全長寸法を短くすることができる。
【0014】
請求項5の発明による伝送線路は、誘電体基板と、該誘電体基板の表面,裏面にそれぞれ設けられた表面電極,裏面電極とを備え、前記誘電体基板の裏面側に設けられ前記裏面電極に覆われた状態で高周波信号の伝送方向に沿って断面凸形状で連続して延びる隆起部と、前記表面電極に設けられ一定の幅寸法をもって該隆起部に沿って延びる第1のスロットとによってスロット誘電体線路を構成し、前記表面電極に設けられ前記第1のスロットから離間すると共に前記第1のスロットよりも狭い一定の幅寸法をもって高周波信号の伝送方向に沿って延びる第2のスロットによってスロット線路を構成し、前記表面電極に設けられ前記第1のスロットから第2のスロットに向けて幅寸法がステップ状をなして延び前記スロット誘電体線路とスロット線路との間を接続するステップ型スロットによってステップ型スロット線路を構成している。
【0015】
この場合、スロット誘電体線路とスロット線路との間をステップ型スロットからなるステップ型スロット線路によって接続したから、請求項4の発明とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【0016】
請求項6の発明は、誘電体基板には、連続して延びる第1のスロット、ステップ型スロットおよび第2のスロットを挟んだ両側にそれぞれ配置され、厚さ方向に貫通して表面電極と裏面電極との間を導通させる複数のスルーホールを設ける構成としたことにある。
【0017】
これにより、第1のスロット、ステップ型スロットおよび第2のスロットを挟んで配置したスルーホールは、誘電体基板のうち各スロットの周囲に高周波信号を閉じ込める。このため、誘電体基板の内部で各スロットの幅方向両側に向けて高周波信号が放射するのを防ぐことができ、伝送損失を低減することができる。
【0018】
請求項7の発明は、スロット誘電体線路には、スロット線路と反対側に位置して隆起部を延長すると共に誘電体基板の表面を表面電極によって覆うことにより構成された誘電体線路を接続したことにある。
【0019】
この場合、誘電体線路は誘電体基板の表面を表面電極によって覆うから、スロット誘電体線路に比べて第1のスロットを通じた高周波信号の放射を防ぐことができ、伝送損失を低減することができる。また、スロット誘電体線路等を用いて誘電体線路とスロット線路との間を接続することができるから、誘電体線路とスロット線路との間の変換帯域を広げることができる。
【0020】
請求項8の発明は、スロット線路には抵抗素子を取付ける構成としたことにある。
【0021】
これにより、スロット線路では第2のスロットの周囲に電磁界が集中するから、放射損失は大きくなるものの、スロット線路に対して抵抗素子を容易に接続できる。このため、抵抗素子等を用いて終端抵抗器を構成することができ、該終端抵抗器をスロット誘電体線路に接続することができる。
【0022】
請求項9の発明では、誘電体基板は、セラミックス材料、樹脂材料またはこれらの複合材料によって形成している。
【0023】
これにより、誘電体基板の耐熱性を向上することができるから、一括リフロー半田法を用いて表面実装部品を実装することができ、生産性を向上することができる。また、誘電体基板の誘電率を容易に高めることができるから、誘電体基板の内部での高周波信号の波長を短くすることができ、スロット誘電体線路とスロット線路との間の長さ寸法(テーパ型スロット誘電体線路、ステップ型スロット誘電体線路等の長さ寸法)を短くすることができる。
【0024】
請求項10の発明のように、本発明による伝送線路を用いて送受信装置を構成してもよい。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態による伝送線路および送受信装置を、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0026】
まず、図1ないし図6は第1の実施の形態を示し、図において、1は伝送線路で、該伝送線路1は、後述のスロット誘電体線路7、スロット線路9、テーパ型スロット誘電体線路12によって構成されている。
【0027】
2は樹脂材料、セラミックス材料、またはこれらを混合して焼結した複合材料からなる誘電体基板で、該誘電体基板2は、例えば7.0程度の比誘電率εrで0.3mm程度の厚さ寸法T1をもった平板状に形成され、その表面2Aには後述の表面電極3が設けられると共に、裏面2Bには裏面電極4が設けられている。
【0028】
3は誘電体基板2の表面2Aに形成された表面電極を示すと共に、4は誘電体基板2の裏面2Bに形成された裏面電極を示し、これらの電極3,4は、誘電体基板2に対して導電性金属材料をスパッタ、真空蒸着等の手段を用いて薄膜状に形成されている。また、裏面電極4は、後述の隆起部5の外面を含めて誘電体基板2の裏面2Bを略全面に亘って覆っている。
【0029】
5は誘電体基板2の裏面2B側に設けられた隆起部で、該隆起部5は、断面凸形状をなして例えばマイクロ波、ミリ波等の高周波信号の伝送方向(矢示A方向)に沿って延びると共に、その外面(幅方向両側の側面および底面)が裏面電極4に覆われている。そして、隆起部5は、誘電体基板2と同じ材料を用いて誘電体基板2に一体形成され、例えば0.45mm程度の一定の幅寸法W1を有すると共に、0.60mm程度の突出寸法T2をもって誘電体基板2の裏面2Bから突出している。
【0030】
6は誘電体基板2の表面2Aに位置して表面電極3を貫通して設けられた第1のスロットで、該スロット6は、隆起部5と対向した位置で隆起部5に沿って延び、帯状(溝状)の開口を形成している。また、第1のスロット6は、例えば0.45mm程度の一定の幅寸法W2を有し、この幅寸法W2は隆起部5の幅寸法W1とほぼ等しい値に設定されている。
【0031】
そして、隆起部5および第1のスロット6はスロット誘電体線路7を構成し、該スロット誘電体線路7は、その基端側が誘電体基板2の一端側の外周部に向けて延び、先端側が誘電体基板2の中央部に位置している。
【0032】
8は第1のスロット6(スロット誘電体線路7)の延長線上に位置して表面電極3を貫通して設けられた第2のスロットで、該スロット8は、第1のスロット6から離間した位置で第1のスロット6とほぼ同様に高周波信号の伝送方向に沿って延び、帯状(溝状)の開口を形成している。また、第2のスロット8は、例えば0.05mm程度の一定の幅寸法W3を有し、この幅寸法W3は第1のスロット6の幅寸法W2よりも小さい値に設定されている。
【0033】
そして、第2のスロット8はスロット線路9を構成し、該スロット線路9は、その基端側が誘電体基板2の中央部に位置して後述するテーパ型スロット誘電体線路12を介してスロット誘電体線路7に接続されると共に、先端側が誘電体基板2の他端側の外周部に向けて延びている。
【0034】
10は隆起部5の先端側を延長して誘電体基板2の裏面2B側に設けられた延長隆起部で、該延長隆起部10は、隆起部5と同様に断面凸形状をなし、例えば隆起部5とほぼ同じ値の一定の幅寸法と突出寸法とを有してスロット誘電体線路7からスロット線路9に向けて延びている。そして、延長隆起部10は、その外面(幅方向両側の側面、底面および先端面)が裏面電極4によって覆われている。
【0035】
11はスロット誘電体線路7とスロット線路9との間に位置して表面電極3を貫通して設けられたテーパ型スロットで、該テーパ型スロット11は、延長隆起部10と対向して配設され、例えば2.1mm程度の長さ寸法L1をもって延長隆起部10に沿って延びている。また、テーパ型スロット11は、その幅寸法W4が第1のスロット6から第2のスロット8に向けて漸次縮小(連続的に縮小)すると共に、これら第1のスロット6、テーパ型スロット11および第2のスロット8は連続して延びている。
【0036】
そして、延長隆起部10およびテーパ型スロット11はテーパ型スロット誘電体線路12を構成し、該テーパ型スロット誘電体線路12は、その基端側がスロット誘電体線路7に接続されると共に、先端側がスロット線路9に接続されている。また、テーパ型スロット誘電体線路12は、スロット誘電体線路7とスロット線路9と一緒にほぼ直線上に配置され、スロット誘電体線路7とスロット線路9との間を接続している。
【0037】
13は連続して延びる第1のスロット6、テーパ型スロット11および第2のスロット8を挟んだ幅方向両側にそれぞれ配置された複数のスルーホールで、該スルーホール13は、高周波信号の伝送方向(矢示A方向)に沿って幅方向の片側に2列ずつ、合計4列をなして互いに平行に配置されている。また、4列のスルーホール13は、矢示A方向に対してほぼ同じ位置に配置され、幅方向に対して4個ずつほぼ直線上に配置されている。また、スルーホール13は、例えば0.3mm程度の内径寸法φをもった略円形の貫通孔からなり、レーザ加工、パンチング加工等によって形成されている。そして、スルーホール13は、誘電体基板2を貫通すると共に、その内壁面が導電性の金属材料によって覆われ、表面電極3と裏面電極4との間を導通している。
【0038】
また、高周波信号の伝送方向に対して隣合う2つのスルーホール13の間隔L2は、例えば使用周波数における高周波信号の誘電体基板2内の波長λgに対してλg/2以下(例えば、L2=0.6mm)に設定されている。また、幅方向に対して隣合う2列のスルーホール13の間隔についても、例えば高周波信号の誘電体基板2内の波長λgに対してλg/2以下に設定されている。
【0039】
本実施の形態による伝送線路は上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
【0040】
まず、スロット誘電体線路7に高周波信号を入力すると、隆起部5と第1のスロット6との幅方向に対して電界Eが形成されると共に、第1のスロット6の長さ方向と誘電体基板2の厚さ方向とに対して磁界Hが形成される。そして、高周波信号は、隆起部5の互いに対向する2つの側面をH面、隆起部5の底面および誘電体基板2の表面2AをE面とするTE10モードに準じたモードの電磁波をなして第1のスロット6に沿って伝搬する。このとき、高周波信号は、隆起部5の底面と第1のスロット6が開口した誘電体基板2の表面2Aとでそれぞれ全反射を繰り返し、誘電体基板2の内部とその近傍に集中して伝搬する。
【0041】
次に、スロット誘電体線路7を伝搬してテーパ型スロット誘電体線路12に到達した高周波信号は、テーパ状に幅寸法W4が連続的に漸次縮小したテーパ型スロット11によって徐々に伝搬モードが変換される。これにより、高周波信号の集中する部位が、誘電体基板2の内部から表面2A側に向けて変位する。
【0042】
そして、テーパ型スロット誘電体線路12を伝搬してスロット線路9に到達した高周波信号は、ほぼスロット線路9の伝搬モードであるTE01モードに準じたモードに変換されているから、反射損失が低減した状態でスロット線路9に入力される。
【0043】
ここで、図7ないし図9に示す比較例のように、スロット誘電体線路7とスロット線路9とを直接接続した場合について3次元電磁界シミュレーションを行うと、図10に示すような伝送特性を得ることができる。この場合、反射係数S11は−20dB以下となるのが理想的であるのに対して、60GHzから100GHzの全ての周波数帯域に亘って反射係数S11は−5dB程度となり、スロット誘電体線路7とスロット線路9とを接続する接続部で反射が大きくなってしまう。
【0044】
これに対し、本実施の形態のように、スロット誘電体線路7とスロット線路9との間をテーパ型スロット誘電体線路12を用いて接続した場合について3次元電磁界シミュレーションを行うと、図6に示すような伝送特性を得ることができる。この結果、例えば67GHzから82GHzの周波数帯域に亘って反射係数S11を−20dB以下にすることができ、スロット誘電体線路7とスロット線路9との間の反射を小さくすることができる。
【0045】
かくして、本実施の形態では、スロット誘電体線路7とスロット線路9との間をテーパ型スロット誘電体線路12を用いて接続したから、広帯域の高周波信号に対してスロット誘電体線路7とスロット線路9との間のインピーダンス整合を取ることができ、2つの線路7,9間の変換帯域を広げることができる。
【0046】
また、スロット誘電体線路7では誘電体基板2の内部に電磁界が集中するから、第1のスロット6による放射損失を低減した状態で高周波信号を伝搬させることができる。一方、スロット線路9では第2のスロット8の周囲に電磁界が集中するから、放射損失は大きくなるものの、スロット線路9に並列に接続される半導体素子、抵抗素子等に電磁界を集中させて供給することができる。そして、スロット誘電体線路7とスロット線路9との間をテーパ型スロット誘電体線路12を用いて接続したから、広帯域に亘って反射が少ない状態で2つの線路7,9間で高周波信号を伝搬させることができ、高周波信号の伝搬には低損失なスロット誘電体線路7を用い、各種の素子を接続するときにはスロット線路9を用いることができる。
【0047】
特に、スロット誘電体線路7は隆起部5と対向して第1のスロット6を設けると共に、隆起部5の裏面(底面)側を裏面電極4によって覆う構成としたから、誘電体基板2の裏面2B側から高周波信号が放射することがなくなる。このため、隆起部5と第1のスロット6とが位置ずれした場合であっても、誘電体基板2の表面2Aだけしか高周波信号が放射することがないから、放射による伝送損失を低減することができる。
【0048】
また、各スロット6,11,8を挟んだ幅方向両側に2つの電極3,4間を導通させる複数のスルーホール13を設けたから、高周波信号を幅方向に対して各スロット6,11,8の周囲に閉じ込めることができ、誘電体基板2のうち幅方向両側に向けて高周波信号が放射するのを抑制することができる。このため、幅方向の放射に伴う高周波信号の伝送損失を低減することができる。
【0049】
特に、スロット誘電体線路7では、誘電体基板2の裏面2Bには、断面凸形状で高周波信号の伝送方向に向けて延びる隆起部5を設け、該隆起部5の外面を含めて誘電体基板2の裏面2Bに裏面電極4を設けたから、スルーホール13に加えて隆起部5の側面にも電流を流すことができる。さらに、スロット誘電体線路7の隆起部5は高周波信号の伝送方向に連続して設けられているから、誘電体基板2の厚さ方向のみならず、斜め方向に対しても電流を流すことができる。このため、隆起部5を省いた場合に比べて、スルーホール13内の電流集中を緩和でき、伝送損失を低減することができる。
【0050】
さらに、誘電体基板2はセラミックス材料、樹脂材料またはこれらの複合材料によって形成したから、誘電体基板2の耐熱性を向上することができる。このため、一括リフロー半田法を用いて各種の表面実装部品を実装することができ、生産性を向上することができる。また、誘電体基板2の誘電率を容易に高めることができるから、誘電体基板2の内部での高周波信号の波長λgを短くすることができ、テーパ型スロット誘電体線路12の長さ寸法L1を短くすることができる。
【0051】
なお、前記実施の形態では、テーパ型スロット誘電体線路12の延長隆起部10はスロット誘電体線路7の隆起部5をそのまま(幅寸法、突出寸法が同じ値)延長するものとした。しかし、本発明はこれに限らず、図11に示す第1の変形例のように、スロット誘電体線路7からスロット線路9に向けて突出寸法が漸次縮小した延長隆起部10′を用いる構成としてもよい。
【0052】
また、図12に示す第2の変形例のように、テーパ型スロット11と同様にスロット誘電体線路7からスロット線路9に向けて幅寸法が漸次縮小した延長隆起部10″を用いる構成としてもよく、図11に示す第1の変形例と図12に示す第2の変形例とを組合せた延長隆起部を用いる構成としてもよい。
【0053】
次に、図13ないし図16は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、スロット誘電体線路とスロット線路との間はテーパ型スロットからなるテーパ型スロット線路を用いて接続する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0054】
21は本実施の形態による伝送線路で、該伝送線路21は、スロット誘電体線路7、スロット線路9および後述のテーパ型スロット線路23とによって構成されている。
【0055】
22はスロット誘電体線路7とスロット線路9との間に位置して表面電極3を貫通して設けられたテーパ型スロットで、該テーパ型スロット22は、第1の実施の形態によるテーパ型スロット11とほぼ同様に、第1のスロット6から第2のスロット8に向けて幅寸法が漸次縮小しつつ延びている。
【0056】
そして、テーパ型スロット22はテーパ型スロット線路23を構成し、該テーパ型スロット線路23は、その基端側がスロット誘電体線路7に接続されると共に、先端側がスロット線路9に接続されている。また、テーパ型スロット線路23は、スロット誘電体線路7とスロット線路9と一緒にほぼ直線上に配置され、スロット誘電体線路7とスロット線路9との間を接続している。
【0057】
24は連続して延びる第1のスロット6、テーパ型スロット22および第2のスロット8を挟んだ幅方向両側に位置して誘電体基板2を貫通して設けられた複数のスルーホールで、該スルーホール24は、第1の実施の形態によるスルーホール13とほぼ同様に、高周波信号の伝送方向に沿って幅方向の片側に2列ずつ、合計4列をなして互いに平行に配置されている。
【0058】
かくして、本実施の形態でも第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0059】
次に、図17ないし図19は本発明の第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、スロット誘電体線路とスロット線路との間は延長隆起部とステップ型スロットとからなるステップ型スロット誘電体線路を用いて接続する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0060】
31は本実施の形態による伝送線路で、該伝送線路31は、スロット誘電体線路7、スロット線路9および後述のステップ型スロット誘電体線路34とによって構成されている。
【0061】
32は隆起部5の先端側を延長して誘電体基板2の裏面2B側に設けられた延長隆起部で、該延長隆起部32は、第1の実施の形態による延長隆起部10とほぼ同様に、隆起部5とほぼ同じ断面凸形状をなしてスロット誘電体線路7からスロット線路9に向けて延び、その外面が裏面電極4によって覆われている。
【0062】
33はスロット誘電体線路7とスロット線路9との間に位置して表面電極3を貫通して設けられたステップ型スロットで、該ステップ型スロット33は、延長隆起部32と対向して配設され、例えば高周波信号の誘電体基板2内の波長λgに対してλg/4程度の長さ寸法L3をもって延長隆起部32に沿って延びている。また、テーパ型スロット11は、その幅寸法W5が第1のスロット6の幅寸法W2と第2のスロット8の幅寸法W3との間の値に設定され、第1のスロット6から第2のスロット8に向けて1段のステップ状をなしている。
【0063】
そして、延長隆起部32およびステップ型スロット33はステップ型スロット誘電体線路34を構成し、該ステップ型スロット誘電体線路34は、その基端側がスロット誘電体線路7に接続されると共に、先端側がスロット線路9に接続されている。また、ステップ型スロット誘電体線路34は、スロット誘電体線路7とスロット線路9と一緒にほぼ直線上に配置され、スロット誘電体線路7とスロット線路9との間を接続している。
【0064】
35は連続して延びる第1のスロット6、ステップ型スロット33および第2のスロット8を挟んだ幅方向両側に位置して誘電体基板2を貫通して設けられた複数のスルーホールで、該スルーホール35は、第1の実施の形態によるスルーホール13とほぼ同様に、高周波信号の伝送方向に沿って幅方向の片側に2列ずつ、合計4列をなして互いに平行に配置されている。
【0065】
かくして、本実施の形態でも第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。しかし、本実施の形態では、スロット誘電体線路7とスロット線路9との間は延長隆起部32とステップ型スロット33とからなるステップ型スロット誘電体線路34を用いて接続したから、第1の実施の形態によるテーパ型スロット誘電体線路12に比べてステップ型スロット誘電体線路34の長さ寸法L3を短くすることができる。
【0066】
即ち、第1の実施の形態によるテーパ型スロット11(テーパ型スロット誘電体線路12)では、広帯域に亘ってインピーダンス整合を取るために、例えば波長λgの数倍程度の長さ寸法を確保する必要があるのに対し、本実施の形態ではステップ型スロット33(ステップ型スロット誘電体線路34)を用いるから、インピーダンス整合が取れる帯域は狭くなるものの、その長さ寸法L5を短くすることができる。
【0067】
なお、本実施の形態では、スロット誘電体線路7とスロット線路9との間を1段のステップ状をなして接続するステップ型スロット33を用いる構成としたが、2段以上のステップ状をなして接続するステップ型スロットを用いる構成としてもよい。この場合、ステップ状をなす段数を増加させることによって、インピーダンス整合が取れる帯域を広げることができる。
【0068】
また、前記第3の実施の形態では、ステップ型スロット誘電体線路34の延長隆起部32はスロット誘電体線路7の隆起部5をそのまま(幅寸法、突出寸法が同じ値)延長するものとした。しかし、本発明はこれに限らず、図20に示す第3の変形例のように、スロット誘電体線路7からスロット線路9に向けて突出寸法が漸次縮小した延長隆起部32′を用いる構成としてもよい。
【0069】
さらに、図21に示す第4の変形例のように、ステップ型スロット33と同様にスロット誘電体線路7からスロット線路9に向けて幅寸法がステップ状をなす延長隆起部32″を用いる構成としてもよく、図20に示す第3の変形例と図21に示す第4の変形例とを組合せた延長隆起部を用いる構成としてもよい。
【0070】
次に、図22ないし図24は本発明の第4の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、スロット誘電体線路とスロット線路との間はステップ型スロットからなるステップ型スロット線路を用いて接続する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0071】
41は本実施の形態による伝送線路で、該伝送線路41は、スロット誘電体線路7、スロット線路9および後述のステップ型スロット線路43とによって構成されている。
【0072】
42はスロット誘電体線路7とスロット線路9との間に位置して表面電極3を貫通して設けられたステップ型スロットで、該ステップ型スロット42は、第3の実施の形態によるステップ型スロット33とほぼ同様に、第1のスロット6から第2のスロット8に向けて幅寸法がステップ状をなして延びている。
【0073】
そして、ステップ型スロット42はステップ型スロット線路43を構成し、該ステップ型スロット線路43は、その基端側がスロット誘電体線路7に接続されると共に、先端側がスロット線路9に接続されている。また、ステップ型スロット線路43は、スロット誘電体線路7とスロット線路9と一緒にほぼ直線上に配置され、スロット誘電体線路7とスロット線路9との間を接続している。
【0074】
44は連続して延びる第1のスロット6、ステップ型スロット42および第2のスロット8を挟んだ幅方向両側に位置して誘電体基板2を貫通して設けられた複数のスルーホールで、該スルーホール44は、第1の実施の形態によるスルーホール13とほぼ同様に、高周波信号の伝送方向に沿って幅方向の片側に2列ずつ、合計4列をなして互いに平行に配置されている。
【0075】
かくして、本実施の形態でも第1,第3の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0076】
次に、図25および図26は本発明の第5の実施の形態による伝送線路を示し、本実施の形態の特徴は、スロット誘電体線路には、スロット線路と反対側に位置して隆起部を延長すると共に誘電体基板の表面を表面電極によって覆うことにより構成された誘電体線路を接続したことにある。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0077】
51はスロット誘電体線路7の基端側に接続された誘電体線路で、該誘電体線路51は、スロット線路9(テーパ型スロット誘電体線路12)と反対側に位置してスロット誘電体線路7の隆起部5を延長すると共に、スロット誘電体線路7とは異なり誘電体基板2の表面2Aのうち延長した隆起部5と対向した部位を表面電極3によって覆う構成としている。
【0078】
かくして、本実施の形態でも第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができるが、本実施の形態では、スロット誘電体線路7に誘電体基板2の表面2Aを表面電極3によって覆った誘電体線路51を接続したから、スロット誘電体線路7に比べてスロット6による放射が少ない誘電体線路51を用いて高周波信号を伝搬させることができると共に、該誘電体線路51を伝搬した高周波信号を変換損失が少ない状態でスロット線路9に導くことができる。
【0079】
次に、図27および図28は本発明の第6の実施の形態による伝送線路を示し、本実施の形態の特徴は、スロット線路の途中には抵抗素子を取付ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0080】
61はスロット線路9の途中に取付けられた抵抗素子で、該抵抗素子61は、例えばチップ抵抗等によって構成され、その両端が第2のスロット8を跨いで表面電極3に接続されている。
【0081】
かくして、本実施の形態でも第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。しかし、本実施の形態では、スロット線路9の途中に抵抗素子61を取付けたから、誘電体基板2の内部に電磁界の集中するスロット誘電体線路7に比べて、抵抗素子61が取付けられた第2のスロット8の周囲に電磁界を集中させることができる。この結果、抵抗素子61を用いてスロット線路9を伝搬する高周波信号を効率良く減衰させることができるから、容易に抵抗素子61を用いて終端抵抗器を構成することができ、設計自由度が向上すると共に、該終端抵抗器をスロット誘電体線路7に接続することができる。
【0082】
次に、図29および図30は本発明の第7の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、伝送線路を用いてレーダ装置を構成したことにある。
【0083】
71は本実施の形態による送受信装置としてのレーダ装置で、該レーダ装置71は、両面にそれぞれ表面電極73と裏面電極(図示せず)が形成された誘電体基板72を用いて形成され、誘電体基板72の表面に設けた電圧制御発振器74と、該電圧制御発振器74に増幅器75、サーキュレータ76を介して接続されたアンテナ(放射器)をなす開口部77と、該開口部77から受信した信号を中間周波信号IFにダウンコンバートするためにサーキュレータ76に接続されたミキサ78とによって概略構成されている。また、増幅器75とサーキュレータ76との間には方向性結合器79が接続して設けられ、この方向性結合器79によって電力分配された信号は、ミキサ78にローカル信号として入力される。
【0084】
そして、これら電圧制御発振器74、増幅器75、サーキュレータ76、ミキサ78等の間は、例えば第1の実施の形態によるスロット誘電体線路7によって接続され、これらのレーダ装置71は1枚の誘電体基板72に形成されるものである。
【0085】
また、方向性結合器79は、増幅器75とサーキュレータ76との間に位置するスロット誘電体線路7とほぼ並行に配設された他のスロット誘電体線路7によって構成され、該他のスロット誘電体線路7の一端側はミキサ78に接続されると共に、他端側は第1の実施の形態によるテーパ型スロット誘電体線路12を介してスロット線路9に接続されている。そして、スロット線路9の途中には抵抗素子80が接続され、終端抵抗器を構成している。
【0086】
さらに、スロット誘電体線路7、スロット線路9、テーパ型スロット誘電体線路12の両脇には複数のスルーホール81が形成されている。
【0087】
本実施の形態によるレーダ装置71は上述の如き構成を有するもので、電圧制御発振器74から出力された発振信号は増幅器75によって増幅され、方向性結合器79およびサーキュレータ76を経由して、送信信号として開口部77から送信される。一方、開口部77から受信された受信信号はサーキュレータ76を通じてミキサ78に入力されると共に、方向性結合器79によるローカル信号を用いてダウンコンバートされ、中間周波信号IFとして出力される。
【0088】
かくして、本実施の形態によれば、スロット誘電体線路7を用いて電圧制御発振器74、増幅器75、サーキュレータ76、ミキサ78等の間を接続したから、誘電体基板72の表面だけでスロット誘電体線路7に増幅器75等を容易に接続することができると共に、スロット誘電体線路7と電圧制御発振器74等との間を低損失で接続することができ、レーダ装置全体の電力効率を高め、消費電力を低減することができる。
【0089】
また、方向性結合器79にはテーパ型スロット誘電体線路12を介して抵抗素子80が取付けられたスロット線路9を接続したから、方向性結合器79からミキサ78に対して逆方向に伝搬した高周波信号を抵抗素子80を用いて確実に減衰させることができる。この結果、ミキサ78に供給するローカル信号のノイズを低減することができ、送受信装置の通信品質を向上することができる。
【0090】
なお、前記第7の実施の形態では、本発明による伝送線路をレーダ装置に適用した場合を例を挙げて説明したが、例えば送受信装置として通信装置等に適用してもよい。
【0091】
また、第5ないし第7の実施の形態では、第1の実施の形態によるテーパ型スロット誘電体線路12を用いてスロット誘電体線路7とスロット線路9との間を接続するものとしたが、例えば第2の実施の形態によるテーパ型スロット線路23、第3の実施の形態によるステップ型スロット誘電体線路34または第4の実施の形態によるステップ型スロット線路43を用いてスロット誘電体線路7とスロット線路9との間を接続する構成としてもよい。
【0092】
また、前記各実施の形態では、誘電体基板2,72にスルーホール13,24,35,44,81を設ける構成としたが、スルーホールを省く構成としてもよい。
【0093】
また、前記第1ないし第6の実施の形態では、誘電体基板2にはスロット6等の両脇に2列ずつ合計4列に亘って複数のスルーホール13,24,35,44を配置するものとしたが、第7の実施の形態のようにスロット6等の両脇に1列ずつ合計2列に亘って複数のスルーホールを設ける構成としてもよく、合計6列以上に亘ってスルーホールを配置する構成としてもよい。
【0094】
さらに、前記各実施の形態では、スロット6等に近いスルーホール13,24,35,44と離れたスルーホール13,24,35,44とは、高周波信号の伝送方向に対してほぼ同じ位置に配置するものとしたが、本発明はこれに限らず、スロット等に近いスルーホールと離れたスルーホールとは、高周波信号の伝送方向に位置ずれした千鳥状(互い違い)に配置する構成としてもよい。
【0095】
【発明の効果】
以上詳述した如く、請求項1の発明によれば、スロット誘電体線路とスロット線路との間をテーパ型スロット誘電体線路を用いて接続したから、広帯域の高周波信号に対してスロット誘電体線路とスロット線路との間のインピーダンス整合を取ることができ、これら2つの線路間の変換帯域を広げることができる。この結果、広帯域に亘って反射が少ない状態でスロット誘電体線路とスロット線路との間で高周波信号を伝搬させることができ、高周波信号の伝搬には低損失なスロット誘電体線路を用い、各種の素子を接続するときにはスロット線路を用いることができる。
【0096】
請求項2の発明のように、テーパ型スロット線路を用いてスロット誘電体線路とスロット線路との間を接続する構成とした場合にも、請求項1の発明とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【0097】
請求項3の発明によれば、誘電体基板には、連続して延びる第1のスロット、テーパ型スロットおよび第2のスロットを挟んだ両側に複数のスルーホールを設けたから、スルーホールによって誘電体基板の内部で各スロットの幅方向両側に向けて高周波信号が放射するのを防ぐことができ、伝送損失を低減することができる。
【0098】
請求項4の発明によれば、ステップ型スロット誘電体線路を用いて前記スロット誘電体線路とスロット線路との間を接続する構成としたから、スロット誘電体線路とスロット線路とを直接接続するときに比べて、スロット誘電体線路とスロット線路との間で広帯域に亘ってインピーダンス整合を取ることができる。このため、スロット誘電体線路とスロット線路との変換帯域を広げることができるから、広帯域な高周波信号に対して、信号の伝搬には低損失なスロット誘電体線路を用い、各種の素子を接続するときにはスロット線路を用いることができる。また、ステップ型スロット誘電体線路はステップ型スロットを用いるから、例えばテーパ型スロットを用いた場合に比べて、その全長寸法を短くすることができる。
【0099】
請求項5の発明のように、ステップ型スロット線路を用いてスロット誘電体線路とスロット線路との間を接続する構成とした場合にも、請求項4の発明とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【0100】
請求項6の発明によれば、誘電体基板には、連続して延びる第1のスロット、ステップ型スロットおよび第2のスロットを挟んだ両側に複数のスルーホールを設けたから、スルーホールによって誘電体基板の内部で各スロットの幅方向両側に向けて高周波信号が放射するのを防ぐことができ、伝送損失を低減することができる。
【0101】
請求項7の発明によれば、スロット誘電体線路には、スロット線路と反対側に位置して隆起部を延長すると共に誘電体基板の表面を表面電極によって覆った誘電体線路を接続したから、スロット誘電体線路に比べて伝送損失が少ない誘電体線路を用いて高周波信号を伝搬させることができる。また、スロット誘電体線路等を用いて誘電体線路とスロット線路との間を接続することができるから、誘電体線路とスロット線路との間の変換帯域を広げることができる。
【0102】
請求項8の発明によれば、スロット線路には抵抗素子を取付ける構成としたから、抵抗素子を用いてスロット線路を伝搬する高周波信号を効率良く減衰させることができる。このため、抵抗素子を用いて終端抵抗器を容易に構成することができるから、設計自由度が向上すると共に、該終端抵抗器をスロット誘電体線路に接続することができる。
【0103】
請求項9の発明によれば、誘電体基板をセラミックス材料、樹脂材料またはこれらの複合材料によって形成したから、一括リフロー半田法を用いて表面実装部品を実装することができ、生産性を向上することができる。また、電体基板の誘電率を容易に高めることができるから、誘電体基板の内部での高周波信号の波長を短くすることができ、スロット誘電体線路とスロット線路との間の長さ寸法を短縮して小型化することができる。
【0104】
さらに、請求項10の発明によれば、本発明による伝送線路を用いて送受信装置を構成したから、送受信装置全体の損失を低減することができ、電力効率を高めて消費電力を低減することができる。また、本発明の伝送線路を用いた終端抵抗器を適用できるから、終端からの反射ノイズ等を確実に減衰でき、例えば送受信装置の通信品質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態による伝送線路を示す斜視図である。
【図2】第1の実施の形態による伝送線路を示す正面図である。
【図3】第1の実施の形態による伝送線路を示す平面図である。
【図4】第1の実施の形態による伝送線路を示す底面図である。
【図5】図3中の矢示V−V方向からみた伝送線路を示す拡大断面図である。
【図6】図1中の伝送線路による反射係数、透過係数と高周波信号の周波数との関係をを示す特性線図である。
【図7】比較例による伝送線路を示す正面図である。
【図8】比較例による伝送線路を示す平面図である。
【図9】比較例による伝送線路を示す底面図である。
【図10】図7中の伝送線路による反射係数、透過係数と高周波信号の周波数との関係をを示す特性線図である。
【図11】第1の変形例による伝送線路を示す正面図である。
【図12】第2の変形例による伝送線路を示す底面図である。
【図13】第2の実施の形態による伝送線路を示す斜視図である。
【図14】第2の実施の形態による伝送線路を示す正面図である。
【図15】第2の実施の形態による伝送線路を示す平面図である。
【図16】第2の実施の形態による伝送線路を示す底面図である。
【図17】第3の実施の形態による伝送線路を示す正面図である。
【図18】第3の実施の形態による伝送線路を示す平面図である。
【図19】第3の実施の形態による伝送線路を示す底面図である。
【図20】第3の変形例による伝送線路を示す正面図である。
【図21】第4の変形例による伝送線路を示す底面図である。
【図22】第4の実施の形態による伝送線路を示す正面図である。
【図23】第4の実施の形態による伝送線路を示す平面図である。
【図24】第4の実施の形態による伝送線路を示す底面図である。
【図25】第5の実施の形態による伝送線路を示す正面図である。
【図26】第5の実施の形態による伝送線路を示す平面図である。
【図27】第6の実施の形態による伝送線路を示す斜視図である。
【図28】第6の実施の形態による伝送線路を示す平面図である。
【図29】第7の実施の形態によるレーダ装置を示す平面図である。
【図30】第7の実施の形態によるレーダ装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
1,21,31,41 伝送線路
2,72 誘電体基板
3,73 表面電極
4 裏面電極
5 隆起部
6 第1のスロット
7 スロット誘電体線路
8 第2のスロット
9 スロット線路
10,10′,10″,32,32′,32″ 延長隆起部
11,22 テーパ型スロット
12,12′,12″ テーパ型スロット誘電体線路
13,24,35,44,81 スルーホール
23 テーパ型スロット線路
33,42 ステップ型スロット
34,34′,34″ ステップ型スロット誘電体線路
43 ステップ型スロット線路
51 誘電体線路
61,80 抵抗素子
71 レーダ装置(送受信装置)
Claims (10)
- 誘電体基板と、該誘電体基板の表面,裏面にそれぞれ設けられた表面電極,裏面電極とを備え、
前記誘電体基板の裏面側に設けられ前記裏面電極に覆われた状態で高周波信号の伝送方向に沿って断面凸形状で連続して延びる隆起部と、前記表面電極に設けられ一定の幅寸法をもって該隆起部に沿って延びる第1のスロットとによってスロット誘電体線路を構成し、
前記表面電極に設けられ前記第1のスロットから離間すると共に前記第1のスロットよりも狭い一定の幅寸法をもって高周波信号の伝送方向に沿って延びる第2のスロットによってスロット線路を構成し、
前記誘電体基板の裏面側に設けられ前記スロット誘電体線路とスロット線路との間に位置して前記裏面電極に覆われた状態で前記隆起部を延長した延長隆起部と、前記表面電極に設けられ前記第1のスロットから第2のスロットに向けて幅寸法が漸次縮小しつつ該延長隆起部に沿って延び前記スロット誘電体線路とスロット線路との間を接続するテーパ型スロットとによってテーパ型スロット誘電体線路を構成してなる伝送線路。 - 誘電体基板と、該誘電体基板の表面,裏面にそれぞれ設けられた表面電極,裏面電極とを備え、
前記誘電体基板の裏面側に設けられ前記裏面電極に覆われた状態で高周波信号の伝送方向に沿って断面凸形状で連続して延びる隆起部と、前記表面電極に設けられ一定の幅寸法をもって該隆起部に沿って延びる第1のスロットとによってスロット誘電体線路を構成し、
前記表面電極に設けられ前記第1のスロットから離間すると共に前記第1のスロットよりも狭い一定の幅寸法をもって高周波信号の伝送方向に沿って延びる第2のスロットによってスロット線路を構成し、
前記表面電極に設けられ前記第1のスロットから第2のスロットに向けて幅寸法が漸次縮小しつつ延び前記スロット誘電体線路とスロット線路との間を接続するテーパ型スロットによってテーパ型スロット線路を構成してなる伝送線路。 - 前記誘電体基板には、連続して延びる前記第1のスロット、テーパ型スロットおよび第2のスロットを挟んだ両側にそれぞれ配置され、厚さ方向に貫通して前記表面電極と裏面電極との間を導通させる複数のスルーホールを設けてなる請求項1または2に記載の伝送線路。
- 誘電体基板と、該誘電体基板の表面,裏面にそれぞれ設けられた表面電極,裏面電極とを備え、
前記誘電体基板の裏面側に設けられ前記裏面電極に覆われた状態で高周波信号の伝送方向に沿って断面凸形状で連続して延びる隆起部と、前記表面電極に設けられ一定の幅寸法をもって該隆起部に沿って延びる第1のスロットとによってスロット誘電体線路を構成し、
前記表面電極に設けられ前記第1のスロットから離間すると共に前記第1のスロットよりも狭い一定の幅寸法をもって高周波信号の伝送方向に沿って延びる第2のスロットによってスロット線路を構成し、
前記誘電体基板の裏面側に設けられ前記スロット誘電体線路とスロット線路との間に位置して前記裏面電極に覆われた状態で前記隆起部を延長した延長隆起部と、前記第1のスロットから第2のスロットに向けて幅寸法がステップ状をなして該延長隆起部に沿って延び前記スロット誘電体線路とスロット線路との間を接続するステップ型スロットとによってステップ型スロット誘電体線路を構成してなる伝送線路。 - 誘電体基板と、該誘電体基板の表面,裏面にそれぞれ設けられた表面電極,裏面電極とを備え、
前記誘電体基板の裏面側に設けられ前記裏面電極に覆われた状態で高周波信号の伝送方向に沿って断面凸形状で連続して延びる隆起部と、前記表面電極に設けられ一定の幅寸法をもって該隆起部に沿って延びる第1のスロットとによってスロット誘電体線路を構成し、
前記表面電極に設けられ前記第1のスロットから離間すると共に前記第1のスロットよりも狭い一定の幅寸法をもって高周波信号の伝送方向に沿って延びる第2のスロットによってスロット線路を構成し、
前記表面電極に設けられ前記第1のスロットから第2のスロットに向けて幅寸法がステップ状をなして延び前記スロット誘電体線路とスロット線路との間を接続するステップ型スロットによってステップ型スロット線路を構成してなる伝送線路。 - 前記誘電体基板には、連続して延びる前記第1のスロット、ステップ型スロットおよび第2のスロットを挟んだ両側にそれぞれ配置され、厚さ方向に貫通して前記表面電極と裏面電極との間を導通させる複数のスルーホールを設けてなる請求項4または5に記載の伝送線路。
- 前記スロット誘電体線路には、前記スロット線路と反対側に位置して前記隆起部を延長すると共に前記誘電体基板の表面を前記表面電極によって覆うことにより構成された誘電体線路を接続してなる請求項1,2,3,4,5または6に記載の伝送線路。
- 前記スロット線路には抵抗素子を取付ける構成としてなる請求項1,2,3,4,5,6または7に記載の伝送線路。
- 前記誘電体基板は、セラミックス材料、樹脂材料またはこれらの複合材料によって形成してなる請求項1,2,3,4,5,6,7または8に記載の伝送線路。
- 前記請求項1ないし9のうちいずれかに記載の伝送線路を用いた送受信装置。
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