JPH0697724A - スロット結合型マイクロストリップアンテナの調整方法及びそのアンテナ - Google Patents

スロット結合型マイクロストリップアンテナの調整方法及びそのアンテナ

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JPH0697724A
JPH0697724A JP4241780A JP24178092A JPH0697724A JP H0697724 A JPH0697724 A JP H0697724A JP 4241780 A JP4241780 A JP 4241780A JP 24178092 A JP24178092 A JP 24178092A JP H0697724 A JPH0697724 A JP H0697724A
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JP
Japan
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slot
antenna
thickness
conductor plate
ground conductor
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Application number
JP4241780A
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English (en)
Inventor
Kazunori Takeuchi
和則 竹内
Wataru Nakajo
渉 中條
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
A T R KOUDENPA TSUSHIN KENKYUSHO KK
ATR Optical and Radio Communications Research Laboratories
Original Assignee
A T R KOUDENPA TSUSHIN KENKYUSHO KK
ATR Optical and Radio Communications Research Laboratories
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Publication date
Application filed by A T R KOUDENPA TSUSHIN KENKYUSHO KK, ATR Optical and Radio Communications Research Laboratories filed Critical A T R KOUDENPA TSUSHIN KENKYUSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 接地導体板の厚さを所定値より厚く設定する
ときに、所望のアンテナ特性を得るように調整すること
ができるスロット結合型マイクロストリップアンテナの
調整方法及びそのアンテナを提供する。 【構成】 給電用線路が形成された第1の誘電体基板1
0と、放射導体22が形成された第2の誘電体基板12
との間に挟設された接地導体板11に形成されたスロッ
ト30を介して、給電用線路に入力されるマイクロ波信
号によって放射導体を励振するスロット結合型マイクロ
ストリップアンテナにおいて、接地導体板11の厚さを
所定値よりも厚く設定するときに、スロット30の長さ
を放射導体22の長さまでの範囲で所定値よりもより長
くなるように調整することによって所望のアンテナ特性
を得る。また、スロットに誘電体を充填する。さらに、
上記充填する誘電体の比誘電率を所定値よりもより高く
設定することによって所望のアンテナ特性を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、所望のアンテナ特性を
得るためのスロット結合型マイクロストリップアンテナ
の調整方法及びスロット結合型マイクロストリップアン
テナに関する。
【0002】
【従来の技術】図6に従来例のスロット結合型マイクロ
ストリップアンテナを示す。
【0003】図6に示すように、裏面にマイクロストリ
ップ導体21が形成された厚さtの誘電体基板10上
に、スロット2の長手方向が上記マイクロストリップ導
体21の長手方向と垂直に交差するようにスロット2が
接地導体板1の中央部に形成された厚さtの接地導体板
1が形成され、その全面上に厚さtの誘電体基板12
が形成される。さらに、誘電体基板12の中央部に正方
形状の矩形放射導体22がスロット2を覆うように形成
される。ここで、誘電体基板10を間に挟んで形成され
たマイクロストリップ導体21と接地導体板1によって
給電用マイクロストリップ線路を構成している。
【0004】以上のように構成された従来例のスロット
結合型マイクロストリップにおいて、給電用マイクロス
トリップ線路に送信信号を給電したとき、マイクロスト
リップ導体21からスロット2を介して放射導体22を
励振し、このとき、上記送信信号の電磁波が放射導体2
2の表面に対して垂直な方向で放射される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来例におい
て、スロットの長さを変更せずに、接地導体板1の厚さ
を厚くした場合、スロット2において電波が反射し、背
面方向すなわち給電誘電体基板10方向への反射が生じ
るために、以下のような問題点が生じる。
【0006】(1)給電用マイクロストリップ線路の給
電点に給電した送信信号の一部がインピーダンスの不整
合のために、放射導体22の励振には用いられないため
に放射効率が劣化する、すなわち、次式で表される損失
が生じて当該アンテナの放射効率が劣化する。
【数1】損失={(給電用線路に供給された電力)−
(アンテナから放射された電力)}/(給電用線路に供
給された電力) 上記数1で表された損失は、給電用マイクロストリップ
線路などアンテナの給電系が50オームで構成されるの
に対して、アンテナの負荷自体のインピーダンスが50
オームからずれてしまうことにより発生し、すなわち、
給電基板上の給電用線路とアンテナ自身との間のインピ
ーダンスの不整合により生じた損失である。当該損失分
に相当する送信電力はアンテナから導波路に向かって反
射され導波路を逆行し、送信機後段のアイソレータない
し送信機自身の内部の抵抗分で熱となる。また、受信信
号はアンテナから再放射されて受信機まで届かない。 (2)背面放射された電波の一部は給電用マイクロスト
リップ線路に戻るが、一部は不要放射となり送信機、受
信機等に回り込んで大きな影響を与える。
【0007】このため、スロット2が形成された接地導
体板1を波長に対して薄くすることが良い特性をもつア
ンテナを得る経験則として知られていた。
【0008】しかしながら、接地導体板1の導体が、銅
箔やMMICの背面に蒸着されたAuなどのミクロン単
位の薄い導体を使用している場合、例えば15GHzに
おいては当該アンテナのアンテナ基板と給電基板を合わ
せた厚みでも高々1ミリの厚さしか取り得ず、機械的強
度の維持と排熱のためには厚みが不十分である。このた
め、給電基板の背面にさらに補強材や排熱構造物を設け
る必要があるという問題点があった。
【0009】さらに、通常はアンテナの放射効率と帯域
幅を向上するために、アンテナ基板である誘電体基板1
0の構造材は低誘電率の化学樹脂等を用いるが、これら
はセラミックやGaAsに比較して、熱伝導が悪くかつ
熱に弱く変形を起こしやすい。このため、背面に直接に
MMIC等の能動回路を取り付けると、当該MMICと
の間に熱障壁がないためMMIC自身の排熱は上記誘電
体基板10の背面に設けた補強材や排熱構造物で可能で
あっても、誘電体基板10がこの熱による損傷を受ける
ことになる。従って、接地導体板1が薄いままでは、ア
ンテナ背面に直接MMICを取り付ける構造によって給
電損失を最小限に抑えても、MMICの発熱量すなわち
送信電力を抑えなくてはならず、当該マイクロストリッ
プアンテナの性能を十分に引き出すことができないとい
う問題点が生じる。
【0010】本発明の第1の目的は、接地導体板の厚さ
をアンテナ基板や給電基板に匹敵するか又はそれ以上の
厚さにまで厚くすることにより、接地導体板による機械
的強度の補強及び能動素子からの排熱のための熱伝導体
としての機能をもたせ、この2つの機能により上記の問
題点を解決させようとするときに問題となるインピーダ
ンス不整合の問題を解決し、接地導体板の厚さを所定値
を厚く設定するときに、所望のアンテナ特性を得るよう
に調整することができるスロット結合型マイクロストリ
ップアンテナの調整方法を提供することにある。
【0011】本発明の第2の目的は、上記の問題点を解
決し、接地導体板の厚さを所定値を厚く設定しかつ所望
のアンテナ特性を得ることができるスロット結合型マイ
クロストリップアンテナを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る請求項1記
載のスロット結合型マイクロストリップアンテナの調整
方法は、給電用線路が形成された第1の誘電体基板と、
放射導体が形成された第2の誘電体基板との間に挟設さ
れた接地導体板に形成されたスロットを介して、上記給
電用線路に入力されるマイクロ波信号によって上記放射
導体を励振するスロット結合型マイクロストリップアン
テナの調整方法において、上記接地導体板の厚さを所定
値よりも厚く設定するときに、上記スロットの長さを上
記放射導体の長さまでの範囲で所定値よりもより長くな
るように調整することによって所望のアンテナ特性を得
ることを特徴とする。
【0013】また、本発明に係る請求項2記載のスロッ
ト結合型マイクロストリップアンテナの調整方法は、給
電用線路が形成された第1の誘電体基板と、放射導体が
形成された第2の誘電体基板との間に挟設された接地導
体板に形成されたスロットを介して、上記給電用線路に
入力されるマイクロ波信号によって上記放射導体を励振
するスロット結合型マイクロストリップアンテナの調整
方法において、上記接地導体板の厚さを所定値よりも厚
く設定するときに、上記スロットに誘電体を充填するこ
とによって所望のアンテナ特性を得ることを特徴とす
る。
【0014】さらに、請求項3記載のスロット結合型マ
イクロストリップアンテナの調整方法は、請求項2記載
のスロット結合型マイクロストリップアンテナの調整方
法において、上記接地導体板の厚さを所定値よりも厚く
設定するときに、さらに、上記充填する誘電体の比誘電
率を所定値よりもより高く設定することによって所望の
アンテナ特性を得ることを特徴とする。
【0015】本発明に係る請求項4記載のスロット結合
型マイクロストリップアンテナの調整方法は、給電用線
路が形成された第1の誘電体基板と、放射導体が形成さ
れた第2の誘電体基板との間に挟設された接地導体板に
形成されたスロットを介して、上記給電用線路に入力さ
れるマイクロ波信号によって上記放射導体を励振するス
ロット結合型マイクロストリップアンテナの調整方法に
おいて、上記接地導体板の厚さを所定値よりも厚く設定
するときに、上記スロットの長さを上記放射導体の長さ
までの範囲で所定値よりもより長くなるように調整しか
つ上記スロットに誘電体を充填することによって所望の
アンテナ特性を得ることを特徴とする。
【0016】また、請求項5記載のスロット結合型マイ
クロストリップアンテナの調整方法は、請求項4記載の
スロット結合型マイクロストリップアンテナの調整方法
において、上記接地導体板の厚さを所定値よりも厚く設
定するときに、さらに、上記充填する誘電体の比誘電率
を所定値よりもより高く設定することによって所望のア
ンテナ特性を得ることを特徴とする。
【0017】さらに、本発明に係る請求項6記載のスロ
ット結合型マイクロストリップアンテナは、給電用線路
が形成された第1の誘電体基板と、放射導体が形成され
た第2の誘電体基板との間に挟設された接地導体板に形
成されたスロットを介して、上記給電用線路に入力され
るマイクロ波信号によって上記放射導体を励振するスロ
ット結合型マイクロストリップアンテナにおいて、上記
スロットに誘電体が充填されたことを特徴とする。
【0018】
【作用】請求項1記載のスロット結合型マイクロストリ
ップアンテナの調整方法においては、上記接地導体板の
厚さを所定値よりも厚く設定するときに、上記スロット
の長さを上記放射導体の長さまでの範囲で所定値よりも
より長くなるように調整することによって所望のアンテ
ナ特性を得る。本発明者のシミュレーションの計算結果
によれば、図4に示すように、接地導体板の厚さを0か
ら1mmまで変化した場合、当該アンテナの周波数帯域
幅はほとんど変化せず、一方、最適スロット長は単調に
増加している。また、当該アンテナの周波数帯域幅は接
地導体板厚みが誘電体基板の厚さや誘電体基板の厚さを
超えても劣化が見られないことが明らかである。従っ
て、接地導体板の厚さをより厚く設定するときに、スロ
ット長を放射導体の1辺の長さまでの範囲で所定値より
もより長くなるように調整することによって、電圧定在
波比(VSWR)が所定値(以下に詳述する実施例にお
いては、VSWR=2)以下のインピーダンス整合の良
好状態で所定の周波数帯域幅を得ることができる。
【0019】また、請求項2記載のスロット結合型マイ
クロストリップアンテナの調整方法においては、上記接
地導体板の厚さを所定値よりも厚く設定するときに、上
記スロットに誘電体を充填することによって所望のアン
テナ特性を得る。本発明者のシミュレーションの計算結
果によれば、図5に示すように、接地導体板の厚さを0
から1mmまで変化した場合、誘電体を充填したとき
(誘電体の比誘電率εr=5,10)、誘電体を充填し
ないとき(比誘電率εr=1)に比較して,最適スロッ
ト長が短くなっている。これは、スロット内に誘電体に
充填することにより、スロットの実効的な電気長を伸長
することができ、これによって、当該アンテナにおいて
最適なインピーダンス整合状態(以下に詳述する実施例
においては、所望の中心周波数を中心としてVSWRが
2以下である周波数帯域幅が最大となる。)を実現する
ためのスロット長Lsを物理的に短くすることができ
る。従って、接地導体板の厚さを所定値よりも厚く設定
するときに、スロット内に誘電体を充填することによっ
て、所定のインピーダンスの整合状態のもとで所定の周
波数帯域幅を得ることができ、所望のアンテナ特性を得
ることができる。
【0020】さらに、請求項3記載のスロット結合型マ
イクロストリップアンテナの調整方法においては、請求
項2記載のスロット結合型マイクロストリップアンテナ
の調整方法において、上記接地導体板の厚さを所定値よ
りも厚く設定するときに、さらに、上記充填する誘電体
の比誘電率を所定値よりもより高く設定することによっ
て所望のアンテナ特性を得る。本発明者のシミュレーシ
ョンの計算結果によれば、図5に示すように、接地導体
板の厚さを0から1mmまで変化した場合、誘電体をス
ロット内に充填しその誘電体の比誘電率を増大させたと
き(誘電体の比誘電率εr=5,10)、最適スロット
長が短くなっている。これは、スロット内に誘電体に充
填しかつその比誘電率を高くすることにより、スロット
の実効的な電気長を伸長することができ、これによっ
て、当該アンテナにおいてインピーダンス整合状態(以
下に詳述する実施例においては、VSWRが2以下であ
る。)を実現するためのスロット長Lsを物理的に短く
することができる。従って、接地導体板の厚さを所定値
よりも厚く設定するときに、スロット内に誘電体を充填
することによって、所定のインピーダンスの整合状態の
もとで所定の周波数帯域幅を得ることができ、所望のア
ンテナ特性を得ることができる。
【0021】請求項4記載のスロット結合型マイクロス
トリップアンテナの調整方法においては、上記接地導体
板の厚さを所定値よりも厚く設定するときに、上記スロ
ットの長さを上記放射導体の長さまでの範囲で所定値よ
りもより長くなるように調整しかつ上記スロットに誘電
体を充填することによって所望のアンテナ特性を得る。
このとき、上述の請求項1と2記載の調整方法に関する
作用と同様である。
【0022】また、請求項5記載のスロット結合型マイ
クロストリップアンテナの調整方法は、請求項4記載の
スロット結合型マイクロストリップアンテナの調整方法
において、上記接地導体板の厚さを所定値よりも厚く設
定するときに、さらに、上記充填する誘電体の比誘電率
を所定値よりもより高く設定することによって所望のア
ンテナ特性を得る。このとき、上述の請求項1と2と3
記載の調整方法に関する作用と同様である。
【0023】さらに、本発明に係る請求項6記載のスロ
ット結合型マイクロストリップアンテナにおいては、給
電用線路が形成された第1の誘電体基板と、放射導体が
形成された第2の誘電体基板との間に挟設された接地導
体板に形成されたスロットを介して、上記給電用線路に
入力されるマイクロ波信号によって上記放射導体を励振
するスロット結合型マイクロストリップアンテナにおい
て、上記スロットに誘電体が充填される。従って、これ
は、スロット内に誘電体に充填することにより、スロッ
トの実効的な電気長を伸長することができ、これによっ
て、当該アンテナにおいてインピーダンス整合状態(以
下に詳述する実施例においては、VSWRが2以下であ
る。)を実現するためのスロット長Lsを物理的に短く
することができる。従って、接地導体板の厚さを所定値
よりも厚く設定するときに、スロット内に誘電体を充填
することによって、所定のインピーダンスの整合状態の
もとで所定の周波数帯域幅を得ることができ、所望のア
ンテナ特性を得ることができる。
【0024】
【実施例】以下、図面を参照して本発明に係る実施例に
ついて説明する。
【0025】<第1の実施例>図1は本発明に係る第1
の実施例であるスロット結合型マイクロストリップアン
テナの縦断面図であり、図2は図1のスロット結合型マ
イクロストリップアンテナの平面図である。
【0026】この第1の実施例のスロット結合型マイク
ロストリップアンテナにおいては、接地導体板11の厚
さtを所定値よりも厚く設定するときに、図4に示すよ
うに、スロット30の長さ(以下、スロット長とい
う。)Lsを矩形放射導体22の1辺の長さLpまでの
範囲で長くするように調整することによって所望のアン
テナ特性を得ることを特徴とする。
【0027】図1及び図2に示すように、裏面にマイク
ロストリップ導体21が形成された厚さtの給電基板
である誘電体基板10上に、スロット30の長手方向が
上記マイクロストリップ導体21の長手方向と垂直に交
差しその交差点がスロット30の中心点に位置するよう
にスロット30が接地導体板11の中央部に形成された
厚さtの接地導体板11が形成され、その全面上に厚さ
のアンテナ基板である誘電体基板12が形成され
る。さらに、誘電体基板12の中央部に正方形状の矩形
放射導体22がスロット30を覆い、すなわちスロット
長さLsはLs≦Lpであって、かつスロット30が放
射導体22の中央部に位置するように形成される。ここ
で、誘電体基板10を間に挟んで形成されたマイクロス
トリップ導体21と接地導体板11によって給電用マイ
クロストリップ線路を構成している。
【0028】以上のように構成された第1の実施例のス
ロット結合型マイクロストリップにおいて、給電用マイ
クロストリップ線路に送信信号を給電したとき、マイク
ロストリップ導体21からスロット30を介して放射導
体22を励振し、このとき、上記送信信号の電磁波が放
射導体22の表面に対して垂直な方向で放射される。
【0029】図4は図1及び図2の第1の実施例のスロ
ット結合型マイクロストリップアンテナにおけるシミュ
レーション結果である、接地導体板11の厚さtを変化
したときのアンテナの周波数帯域幅と最適スロット長L
sを示すグラフである。図4において、周波数帯域幅
は、当該アンテナのスロット長Lsを調整して電圧定在
波比(VSWR)が2以下となる帯域幅を最大にしたと
きの値であり、最適スロット長はこの帯域幅を最大とす
るように調整したときのスロット長である。また、次の
ように設定した。 (a)誘電体基板12の厚さtp=0.4mm (b)誘電体基板12の比誘電率=2.7 (c)誘電体基板10の厚さtf=0.8mm (d)誘電体基板10の比誘電率=10 (e)矩形放射導体22の1辺の長さLp=5.2mm
【0030】図4から明らかなように、接地導体板11
の厚さtを0から1mmまで変化した場合、当該アンテ
ナの周波数帯域幅はほとんど変化せず、一方、最適スロ
ット長Lsは単調に増加している。また、当該アンテナ
の周波数帯域幅は接地導体板11の厚みtが誘電体基板
12の厚さtpや誘電体基板10の厚さtfを超えても劣
化が見られないことがわかる。従って、接地導体板11
の厚さtをより厚く設定するときに、スロット長Lsを
矩形放射導体22の1辺の長さLpまでの範囲で所定値
よりもより長くなるように調整することによって、電圧
定在波比(VSWR)が2以下のインピーダンス整合の
良好状態で所定の周波数帯域幅を得ることができる。こ
こで、スロット長Lsを矩形放射導体22の1辺の長さ
Lpまでの範囲に限定しているのは、スロット30を介
して不要な電波がアンテナ前面と背面を通過して放射す
ることを防止するためであり、このスロット長Lsの限
定は言い換えれば、接地導体板11の厚みtがある程度
以下に制限されるということを意味する。
【0031】なお、図4におけるグラフにおいて、アン
テナの周波数帯域幅が接地導体板11の厚さtが0.2
付近で増大している傾向になっているが、これはシミュ
レーションの計算結果の誤差から生じる揺らぎであり基
本的に使用周波数帯域幅に変化はない。
【0032】以上のように、接地導体板11の厚さtを
より厚くすることによって、当該アンテナの機械的強度
を増大させることができるとともに、当該接地導体板1
1を放熱板として用いることができるので、より薄い厚
さtの接地導体板1を用いる従来例に比較して放熱量を
増大させることができる。これによって、樹脂などを誘
電体基板12に用いたときに生じる、その変形の問題を
解決することができるとともに、従来例のように送信電
力を抑制する必要がなくなり、当該アンテナの性能を十
分に引き出すことができるという利点がある。より厚い
接地導体板11を用いてもよいことは、特により高い周
波数帯において有用である。
【0033】<第2の実施例>図3は本発明に係る第2
の実施例であるスロット結合型マイクロストリップアン
テナの縦断面図である。
【0034】この第2の実施例のスロット結合型マイク
ロストリップアンテナは、第1の実施例に比較してスロ
ット30内に誘電体31を充填したことを特徴とし、ま
たさらに、接地導体板11の厚さtを所定値よりも厚く
設定するときに、さらに、上記充填する誘電体31の比
誘電率εrをより高くすることによって所望のアンテナ
特性を得ることを特徴としている。
【0035】図5は図1、図2及び図3の第1と第2の
実施例のスロット結合型マイクロストリップアンテナに
おけるシミュレーション結果である、接地導体板11の
厚さtを変化したときの最適スロット長(図4における
定義と同じである。)Lsを示すグラフである。図5に
おいて、εrはスロット30内に充填された誘電体31
の比誘電率であり、εr=1は誘電体31が充填されな
い第1の実施例の場合である。また、次のように設定し
た。 (a)誘電体基板12の厚さtp=0.4mm (b)誘電体基板12の比誘電率=2.7 (c)誘電体基板10の厚さtf=0.8mm (d)誘電体基板10の比誘電率=10 (e)矩形放射導体22の1辺の長さLp=5.2mm
【0036】図5から明らかなように、接地導体板11
の厚さtを0から1mmまで変化した場合、いずれの誘
電体31の比誘電率εr=1,5,10においても最適
スロット長Lsは単調に増加している。また、その単調
増加の傾きは、その比誘電率εrが増大するほど小さく
なる。従って、接地導体板11の厚さtを所定値よりも
厚く設定するときに、スロット30内に誘電体31を充
填し、またさらに、上記充填する誘電体31の比誘電率
εrを所定値よりもより高く設定することによって所定
のインピーダンスの整合状態のもとで所定の周波数帯域
幅を得ることができ、所望のアンテナ特性を得ることが
できる。上述の最適スロット長Lsの単調増加の傾きの
減少の物理的意味は以下のように解される。
【0037】スロット30内に誘電体31に充填するこ
とにより、スロット30の実効的な電気長を伸長するこ
とができ、これによって、当該アンテナにおいて最適な
インピーダンス整合状態(本実施例においては、所望の
中心周波数を中心としてVSWRが2以下である周波数
帯域幅が最大となる状態。)を実現するためのスロット
長Lsを物理的に短くすることができる。従って、スロ
ット30内に空気を充填した第1の実施例に比較して、
第1の実施例における「スロット長Lsを矩形放射導体
22の1辺の長さLpまでの範囲に限定する制限条件
(以下、スロット長の制限条件という。)」を緩和する
ことができ、すなわち接地導体板11の厚みtが同一で
ある場合、比誘電率εrの高い誘電体31の充填物が最
適スロット長Lsをより短くできるため最大の物理的長
さのスロット長Lsに対して、より厚い接地導体板11
を用いることを可能にする。このことは、図5における
グラフにおいて、上記スロット長の制限条件のもとで、
接地導体板11の厚さtを1mm以上に増大させること
が可能であることを意味する。
【0038】以上のように、接地導体板11の厚さtを
より厚くすることによって、第1の実施例と同様の効果
を有するとともに、第1の実施例に比較してより厚い接
地導体板11を用いることができる。これによって、当
該アンテナの機械的強度を増大させることができるとと
もに、当該接地導体板11を放熱板として用いることが
できるので、より薄い厚さtの接地導体板1を用いる従
来例に比較して放熱量を増大させることができる。これ
により、スロット30を介した不要電波の出入りを抑え
たまま、物理的強度と熱対策において格段にすぐれたス
ロット結合型マイクロストリップアンテナを得られる。
【0039】以上の第2の実施例において、接地導体板
11の厚さtを厚く設定するときにスロット30内に誘
電体31を充填し、またさらに、上記充填する誘電体3
1の比誘電率εrをより高く設定することによって所望
のアンテナ特性を得るように調整しているが、本発明は
これに限らず、さらに加えて第1の実施例のように、ス
ロット長Lsを矩形放射導体22の1辺の長さLpまで
の範囲で所定値よりもより長くなるように調整すること
によって所望のアンテナ特性を得るようにしてもよい。
【0040】以上の実施例において、矩形放射導体22
を用いているが、本発明はこれに限らず、放射導体の形
状は矩形、円形、楕円形などの他の形状であってもよ
い。
【0041】以上の実施例における調整方法は、アンテ
ナ基板である誘電体基板12と、給電基板である誘電体
基板10の双方の比誘電率とその厚みtp,tfに依存せ
ず、有効的に用いることができる。
【0042】以上の実施例においては、給電基板上に1
個のスロット結合型マイクロストリップアンテナを形成
しているが、本発明はこれに限らず、複数個のスロット
結合型マイクロストリップアンテナをアレイ状に配置形
成したアンテナにも容易に適用することができる。
【0043】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、給
電用線路が形成された第1の誘電体基板と、放射導体が
形成された第2の誘電体基板との間に挟設された接地導
体板に形成されたスロットを介して、給電用線路に入力
されるマイクロ波信号によって放射導体を励振するスロ
ット結合型マイクロストリップアンテナにおいて、接地
導体板の厚さを所定値よりも厚く設定するときに、スロ
ットの長さを放射導体の長さまでの範囲で所定値よりも
より長くなるように調整することによって所望のアンテ
ナ特性を得る。また、スロットに誘電体を充填する。さ
らに、上記充填する誘電体の比誘電率を所定値よりもよ
り高く設定することによって所望のアンテナ特性を得
る。従って、本発明は以下の特有の利点を有する。
【0044】接地導体板の厚さをより厚くしても所定の
インピーダンス整合状態で所定の周波数帯域幅を得るこ
とができ、所望のアンテナ特性を得ることができる。す
なわち、接地導体板の厚さを増大させることができるの
で、当該アンテナの機械的強度を増大させることができ
るとともに、当該接地導体板を放熱板として用いること
ができるので、給電基板がMIC,MMICなどの能動
素子を有する基板の場合に、より薄い厚さの接地導体板
を用いる従来例に比較して放熱量を増大させることがで
きる。これにより、スロットを介した不要電波の出入り
を抑えたまま、物理的強度と熱対策において格段にすぐ
れたスロット結合型マイクロストリップアンテナを得る
ことができる。このように、より厚い接地導体板11を
用いてもよいことは、特により高い周波数帯において有
用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る第1の実施例であるスロット結
合型マイクロストリップアンテナの縦断面図である。
【図2】 図1のスロット結合型マイクロストリップア
ンテナの平面図である。
【図3】 本発明に係る第2の実施例であるスロット結
合型マイクロストリップアンテナの縦断面図である。
【図4】 図1及び図2の第1の実施例のスロット結合
型マイクロストリップアンテナにおけるシミュレーショ
ン結果である、接地導体板の厚さを変化したときのアン
テナの周波数帯域幅と最適スロット長を示すグラフであ
る。
【図5】 図1、図2及び図3の第1と第2の実施例の
スロット結合型マイクロストリップアンテナにおけるシ
ミュレーション結果である、接地導体板の厚さを変化し
たときの最適スロット長を示すグラフである。
【図6】 従来例のスロット結合型マイクロストリップ
アンテナの縦断面図である。
【符号の説明】
10,12…誘電体基板、 11…接地導体板、 21…ストリップ導体、 22…矩形放射導体、 30…スロット、 31…誘電体、 Ls…スロット長、 Lp…矩形放射導体の1辺の長さ。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 給電用線路が形成された第1の誘電体基
    板と、放射導体が形成された第2の誘電体基板との間に
    挟設された接地導体板に形成されたスロットを介して、
    上記給電用線路に入力されるマイクロ波信号によって上
    記放射導体を励振するスロット結合型マイクロストリッ
    プアンテナの調整方法において、 上記接地導体板の厚さを所定値よりも厚く設定するとき
    に、上記スロットの長さを上記放射導体の長さまでの範
    囲で所定値よりもより長くなるように調整することによ
    って所望のアンテナ特性を得ることを特徴とするスロッ
    ト結合型マイクロストリップアンテナの調整方法。
  2. 【請求項2】 給電用線路が形成された第1の誘電体基
    板と、放射導体が形成された第2の誘電体基板との間に
    挟設された接地導体板に形成されたスロットを介して、
    上記給電用線路に入力されるマイクロ波信号によって上
    記放射導体を励振するスロット結合型マイクロストリッ
    プアンテナの調整方法において、 上記接地導体板の厚さを所定値よりも厚く設定するとき
    に、上記スロットに誘電体を充填することによって所望
    のアンテナ特性を得ることを特徴とするスロット結合型
    マイクロストリップアンテナの調整方法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のスロット結合型マイクロ
    ストリップアンテナの調整方法において、 上記接地導体板の厚さを所定値よりも厚く設定するとき
    に、さらに、上記充填する誘電体の比誘電率を所定値よ
    りもより高く設定することによって所望のアンテナ特性
    を得ることを特徴とするスロット結合型マイクロストリ
    ップアンテナの調整方法。
  4. 【請求項4】 給電用線路が形成された第1の誘電体基
    板と、放射導体が形成された第2の誘電体基板との間に
    挟設された接地導体板に形成されたスロットを介して、
    上記給電用線路に入力されるマイクロ波信号によって上
    記放射導体を励振するスロット結合型マイクロストリッ
    プアンテナの調整方法において、 上記接地導体板の厚さを所定値よりも厚く設定するとき
    に、上記スロットの長さを上記放射導体の長さまでの範
    囲で所定値よりもより長くなるように調整しかつ上記ス
    ロットに誘電体を充填することによって所望のアンテナ
    特性を得ることを特徴とするスロット結合型マイクロス
    トリップアンテナの調整方法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のスロット結合型マイクロ
    ストリップアンテナの調整方法において、 上記接地導体板の厚さを所定値よりも厚く設定するとき
    に、さらに、上記充填する誘電体の比誘電率を所定値よ
    りもより高く設定することによって所望のアンテナ特性
    を得ることを特徴とするスロット結合型マイクロストリ
    ップアンテナの調整方法。
  6. 【請求項6】 給電用線路が形成された第1の誘電体基
    板と、放射導体が形成された第2の誘電体基板との間に
    挟設された接地導体板に形成されたスロットを介して、
    上記給電用線路に入力されるマイクロ波信号によって上
    記放射導体を励振するスロット結合型マイクロストリッ
    プアンテナにおいて、 上記スロットに誘電体が充填されたことを特徴とするス
    ロット結合型マイクロストリップアンテナ。
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