JP2004165428A - 有機薄膜トランジスタ素子 - Google Patents
有機薄膜トランジスタ素子 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004165428A JP2004165428A JP2002329506A JP2002329506A JP2004165428A JP 2004165428 A JP2004165428 A JP 2004165428A JP 2002329506 A JP2002329506 A JP 2002329506A JP 2002329506 A JP2002329506 A JP 2002329506A JP 2004165428 A JP2004165428 A JP 2004165428A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- film transistor
- organic thin
- thin film
- general formula
- organic
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
- Thin Film Transistor (AREA)
Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機薄膜トランジスタ(TFT)素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
情報端末の普及に伴い、コンピュータ用のディスプレイとしてフラットパネルディスプレイに対するニーズが高まっている。またさらに情報化の進展に伴い、従来紙媒体で提供されていた情報が電子化されて提供される機会が増え、薄くて軽い、手軽に持ち運びが可能なモバイル用表示媒体として、電子ペーパーあるいはデジタルペーパーへのニーズも高まりつつある。
【0003】
一般に平板型のディスプレイ装置においては液晶、有機EL、電気泳動などを利用した素子を用いて表示媒体を形成している。またこうした表示媒体では画面輝度の均一性や画面書き換え速度などを確保するために、画像駆動素子としてアクティブ駆動素子(TFT素子)を用いる技術が主流になっている。
【0004】
一方、近年では低温プロセス、大気圧下での印刷や塗布による製造、ローコスト化、フィルム支持体を利用したフレキシブルなディスプレイの実現などをメリットに掲げた有機TFT素子の研究開発が盛んに進められ、こうしたTFT素子を実現するための有機半導体としてこれまでに検討されてきたのは、特許文献1にて開示されているペンタセンやテトラセンといったアセン類、同じく特許文献2に開示されている鉛フタロシアニンを含むフタロシアニン類、ペリレンやそのテトラカルボン酸誘導体といった低分子化合物や、特許文献3に開示されているα−チエニールもしくはセクシチオフェンと呼ばれるチオフェン6量体を代表例とする芳香族オリゴマー、さらにはポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリ−p−フェニレンビニレンといった共役高分子など(非特許文献1参照)である。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−55568号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平5−190877号公報
【0007】
【特許文献3】
特開平8−264805号公報
【0008】
【非特許文献1】
『アドバンスド・マテリアル』(Advanced Materi−al)誌 2002年 第2号 99ページ
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実際に印刷や塗布によるウェットプロセスが可能な有機半導体材料は限られているうえ、移動度が低い問題がある。
【0010】
また従来知られているウェットプロセスの採用が可能な材料は、空気中での劣化、特に素子のOFF状態でのソース電極とドレイン電極の間での耐リーク性能が空気中で大幅に劣化する現象が実用化の障害となっている。
【0011】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、作製にウェットプロセスを採用でき、高いキャリア移動度を示し、空気中での劣化の少ない有機薄膜トランジスタ素子を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、
1) 前記一般式(1)で表される化合物を含む半導体層を有する有機薄膜トランジスタ素子、
2) 一般式(1)において、Y1、Y2が炭素数3〜20のアルキル基又はアルコキシル基を有する1)の有機薄膜トランジスタ素子、
3) 一般式(1)において、Zが複素五員環である場合、位置規則的な炭素数3〜10のアルキル基又はアルコキシル基を有する1)又は2)の有機薄膜トランジスタ素子、
4) 一般式(1)において、X=Sである1)〜3)の何れかの有機薄膜トランジスタ素子、
5) 一般式(1)において、Zが複素五員環である場合、nが偶数である1)〜4)の何れかの有機薄膜トランジスタ素子、
6) 一般式(1)で表される化合物の溶液からの溶媒のキャスト行程を経て半導体層が形成される1)〜5)の何れかの有機薄膜トランジスタ素子、
によって達成される。
【0013】
以下、本発明を更に詳しく説明する。
本発明の有機薄膜トランジスタ素子は、有機半導体材料として一般式(1)で表される化合物を用いることを特徴とする。好ましくは、Y1、Y2が炭素数3〜10のアルキル基又はアルコキシル基を有し、Zが複素五員環である場合、位置規則的な炭素数3〜10のアルキル基又はアルコキシル基を有し、nが偶数で、X=Sである化合物を用いることである。具体的化合物としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
【化2】
【0015】
【化3】
【0016】
なおこれらの化合物は従来公知の方法で容易に合成することができる。
本発明に係る有機半導体材料を有機薄膜トランジスタ素子の半導体層(活性層)に形成することにより、良好に駆動するトランジスタ装置を提供することができる。
【0017】
有機薄膜トランジスタ素子は、支持体上に有機半導体チャネル(活性層)で連結されたソース電極とドレイン電極を有し、その上にゲート絶縁層を介してゲート電極を有するトップゲート型と、支持体上にまずゲート電極を有し、ゲート絶縁層を介して有機半導体チャネルで連結されたソース電極とドレイン電極を有するボトムゲート型に大別される。
【0018】
一般式(1)の化合物を有機薄膜トランジスタ素子の半導体層に形成するには、真空蒸着により基板上に形成することもできるが、適切な溶剤に溶解し必要に応じ添加剤を加えて調製した溶液をキャストコート、スピンコート、印刷、インクジェット法、アブレーション法等によって基板上に形成するのが好ましく、特に溶液からの溶媒のキャスト行程を経て半導体層が形成されることが好ましい。
【0019】
この場合、本発明の有機半導体を溶解する溶剤は、該有機半導体を溶解して適切な濃度の溶液が調製できるものであれば格別の制限はないが、具体的にはジエチルエーテルやジイソプロピルエーテル等の鎖状エーテル系溶媒、テトラヒドロフランやジオキサンなどの環状エーテル系溶媒、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルムや1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、トルエン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、m−クレゾール等の芳香族系溶媒、N−メチルピロリドン、2硫化炭素等を挙げることができる。
【0020】
本発明おいて、ソース電極、ドレイン電極及びゲート電極を形成する材料は導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペーストおよびカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられるが、特に、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、ITOおよび炭素が好ましい。あるいはドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体なども好適に用いられる。中でも半導体層との接触面において電気抵抗が少ないものが好ましい。
【0021】
電極の形成方法としては、上記を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅などの金属箔上に熱転写、インクジェット等によるレジストを用いてエッチングする方法がある。また導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、導電性微粒子分散液を直接インクジェットによりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーションなどにより形成してもよい。さらに導電性ポリマーや導電性微粒子を含むインク、導電性ペーストなどを凸版、凹版、平版、スクリーン印刷などの印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
【0022】
ゲート絶縁層としては種々の絶縁膜を用いることができるが、特に、比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどが挙げられる。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
【0023】
上記皮膜の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法などのドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などの塗布による方法、印刷やインクジェットなどのパターニングによる方法などのウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。
【0024】
ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤あるいは水に必要に応じて界面活性剤などの分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えばアルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、いわゆるゾルゲル法が用いられる。
【0025】
これらのうち好ましいのは、大気圧プラズマ法である。
大気圧下でのプラズマ製膜処理による絶縁膜の形成方法は、大気圧または大気圧近傍の圧力下で放電し、反応性ガスをプラズマ励起し、基材上に薄膜を形成する処理で、その方法については特開平11−61406、同11−133205、特開2000−121804、同2000−147209、同2000−185362等に記載されている(以下、大気圧プラズマ法とも称する)。これによって高機能性の薄膜を、生産性高く形成することができる。
【0026】
また有機化合物皮膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、およびシアノエチルプルラン等を用いることもできる。
【0027】
有機化合物皮膜の形成法としては、前記ウェットプロセスが好ましい。
無機酸化物皮膜と有機酸化物皮膜は積層して併用することができる。またこれら絶縁膜の膜厚としては、一般に50nm〜3μm、好ましくは、100nm〜1μmである。
【0028】
また支持体はガラスやフレキシブルな樹脂製シートで構成され、例えばプラスチックフィルムをシートとして用いることができる。前記プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。このように、プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに、衝撃に対する耐性を向上できる。
【0029】
【実施例】
以下実施例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0030】
実施例1
ゲート電極としての比抵抗0.01Ω・cmのSiウェハーに、厚さ2000Åの熱酸化膜を形成してゲート絶縁層とした後、よく精製された例示化合物Aのクロロホルム溶液を、アプリケーターを用いて塗布し、自然乾燥することによりキャスト膜(厚さ50nm)を形成し、窒素雰囲気下で50℃、30分間の熱処理を施した。さらに、この膜の表面にマスクを用いて金を蒸着してソースおよびドレイン電極を形成した。ソースおよびドレイン電極は幅100μm、厚さ200nmで、チャネル幅W=3mm、チャネル長L=20μmの有機TFT素子1を形成した。
【0031】
例示化合物Aに代えて例示化合物Bを用い、有機TFT素子1と同様の方法で有機TFT素子2を作製した。
【0032】
例示化合物Aに代えて例示化合物Cを用い、有機TFT素子1と同様の方法で有機TFT素子3を作製した。
【0033】
例示化合物Aに代えて例示化合物Dを用い、有機TFT素子1と同様の方法で有機TFT素子4を作製した。
【0034】
例示化合物Aに代えて例示化合物Eを用い、有機TFT素子1と同様の方法で有機TFT素子5を作製した。
【0035】
以上により作製されたTFTはpチャネルエンハンスメント型FET(field−effect transistor)の良好な静特性、及び動作性を示した。
【0036】
regioregular型ポリ−(3−ヘキシルチオフェン)のクロロホルム溶液を、アプリケーターを用いて塗布して自然乾燥し、有機半導体材料のキャスト膜(厚さ50nm)を形成した以外は、有機TFT素子1と同様の方法で比較有機TFT素子1を作製した。
【0037】
α,ω−ジヘキシルセクシチオフェンのクロロホルム溶液を、アプリケーターを用いて塗布して自然乾燥し、有機半導体材料のキャスト膜(厚さ50nm)を形成した以外は、有機TFT素子1と同様の方法で比較有機TFT素子2を作製した。
【0038】
以上で作製した各有機TFT素子について、飽和領域における移動度を測定した。又、この素子のVg(ゲート電圧)=0、Vd(ドレイン電圧)=−30VにおけるId(ドレイン電流)を、素子作成直後と空気中室温で10日放置した後で比較した。
【0039】
以上の結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】
実施例で実証した如く、本発明の有機薄膜トランジスタ素子は、半導体層がウェットプロセスで形成できて、高いキャリア移動度を示し、空気中での耐リーク性能の劣化が少ない。
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機薄膜トランジスタ(TFT)素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
情報端末の普及に伴い、コンピュータ用のディスプレイとしてフラットパネルディスプレイに対するニーズが高まっている。またさらに情報化の進展に伴い、従来紙媒体で提供されていた情報が電子化されて提供される機会が増え、薄くて軽い、手軽に持ち運びが可能なモバイル用表示媒体として、電子ペーパーあるいはデジタルペーパーへのニーズも高まりつつある。
【0003】
一般に平板型のディスプレイ装置においては液晶、有機EL、電気泳動などを利用した素子を用いて表示媒体を形成している。またこうした表示媒体では画面輝度の均一性や画面書き換え速度などを確保するために、画像駆動素子としてアクティブ駆動素子(TFT素子)を用いる技術が主流になっている。
【0004】
一方、近年では低温プロセス、大気圧下での印刷や塗布による製造、ローコスト化、フィルム支持体を利用したフレキシブルなディスプレイの実現などをメリットに掲げた有機TFT素子の研究開発が盛んに進められ、こうしたTFT素子を実現するための有機半導体としてこれまでに検討されてきたのは、特許文献1にて開示されているペンタセンやテトラセンといったアセン類、同じく特許文献2に開示されている鉛フタロシアニンを含むフタロシアニン類、ペリレンやそのテトラカルボン酸誘導体といった低分子化合物や、特許文献3に開示されているα−チエニールもしくはセクシチオフェンと呼ばれるチオフェン6量体を代表例とする芳香族オリゴマー、さらにはポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリ−p−フェニレンビニレンといった共役高分子など(非特許文献1参照)である。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−55568号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平5−190877号公報
【0007】
【特許文献3】
特開平8−264805号公報
【0008】
【非特許文献1】
『アドバンスド・マテリアル』(Advanced Materi−al)誌 2002年 第2号 99ページ
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実際に印刷や塗布によるウェットプロセスが可能な有機半導体材料は限られているうえ、移動度が低い問題がある。
【0010】
また従来知られているウェットプロセスの採用が可能な材料は、空気中での劣化、特に素子のOFF状態でのソース電極とドレイン電極の間での耐リーク性能が空気中で大幅に劣化する現象が実用化の障害となっている。
【0011】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、作製にウェットプロセスを採用でき、高いキャリア移動度を示し、空気中での劣化の少ない有機薄膜トランジスタ素子を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、
1) 前記一般式(1)で表される化合物を含む半導体層を有する有機薄膜トランジスタ素子、
2) 一般式(1)において、Y1、Y2が炭素数3〜20のアルキル基又はアルコキシル基を有する1)の有機薄膜トランジスタ素子、
3) 一般式(1)において、Zが複素五員環である場合、位置規則的な炭素数3〜10のアルキル基又はアルコキシル基を有する1)又は2)の有機薄膜トランジスタ素子、
4) 一般式(1)において、X=Sである1)〜3)の何れかの有機薄膜トランジスタ素子、
5) 一般式(1)において、Zが複素五員環である場合、nが偶数である1)〜4)の何れかの有機薄膜トランジスタ素子、
6) 一般式(1)で表される化合物の溶液からの溶媒のキャスト行程を経て半導体層が形成される1)〜5)の何れかの有機薄膜トランジスタ素子、
によって達成される。
【0013】
以下、本発明を更に詳しく説明する。
本発明の有機薄膜トランジスタ素子は、有機半導体材料として一般式(1)で表される化合物を用いることを特徴とする。好ましくは、Y1、Y2が炭素数3〜10のアルキル基又はアルコキシル基を有し、Zが複素五員環である場合、位置規則的な炭素数3〜10のアルキル基又はアルコキシル基を有し、nが偶数で、X=Sである化合物を用いることである。具体的化合物としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
【化2】
【0015】
【化3】
【0016】
なおこれらの化合物は従来公知の方法で容易に合成することができる。
本発明に係る有機半導体材料を有機薄膜トランジスタ素子の半導体層(活性層)に形成することにより、良好に駆動するトランジスタ装置を提供することができる。
【0017】
有機薄膜トランジスタ素子は、支持体上に有機半導体チャネル(活性層)で連結されたソース電極とドレイン電極を有し、その上にゲート絶縁層を介してゲート電極を有するトップゲート型と、支持体上にまずゲート電極を有し、ゲート絶縁層を介して有機半導体チャネルで連結されたソース電極とドレイン電極を有するボトムゲート型に大別される。
【0018】
一般式(1)の化合物を有機薄膜トランジスタ素子の半導体層に形成するには、真空蒸着により基板上に形成することもできるが、適切な溶剤に溶解し必要に応じ添加剤を加えて調製した溶液をキャストコート、スピンコート、印刷、インクジェット法、アブレーション法等によって基板上に形成するのが好ましく、特に溶液からの溶媒のキャスト行程を経て半導体層が形成されることが好ましい。
【0019】
この場合、本発明の有機半導体を溶解する溶剤は、該有機半導体を溶解して適切な濃度の溶液が調製できるものであれば格別の制限はないが、具体的にはジエチルエーテルやジイソプロピルエーテル等の鎖状エーテル系溶媒、テトラヒドロフランやジオキサンなどの環状エーテル系溶媒、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルムや1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、トルエン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、m−クレゾール等の芳香族系溶媒、N−メチルピロリドン、2硫化炭素等を挙げることができる。
【0020】
本発明おいて、ソース電極、ドレイン電極及びゲート電極を形成する材料は導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペーストおよびカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられるが、特に、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、ITOおよび炭素が好ましい。あるいはドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体なども好適に用いられる。中でも半導体層との接触面において電気抵抗が少ないものが好ましい。
【0021】
電極の形成方法としては、上記を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅などの金属箔上に熱転写、インクジェット等によるレジストを用いてエッチングする方法がある。また導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、導電性微粒子分散液を直接インクジェットによりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーションなどにより形成してもよい。さらに導電性ポリマーや導電性微粒子を含むインク、導電性ペーストなどを凸版、凹版、平版、スクリーン印刷などの印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
【0022】
ゲート絶縁層としては種々の絶縁膜を用いることができるが、特に、比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどが挙げられる。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
【0023】
上記皮膜の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法などのドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などの塗布による方法、印刷やインクジェットなどのパターニングによる方法などのウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。
【0024】
ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤あるいは水に必要に応じて界面活性剤などの分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えばアルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、いわゆるゾルゲル法が用いられる。
【0025】
これらのうち好ましいのは、大気圧プラズマ法である。
大気圧下でのプラズマ製膜処理による絶縁膜の形成方法は、大気圧または大気圧近傍の圧力下で放電し、反応性ガスをプラズマ励起し、基材上に薄膜を形成する処理で、その方法については特開平11−61406、同11−133205、特開2000−121804、同2000−147209、同2000−185362等に記載されている(以下、大気圧プラズマ法とも称する)。これによって高機能性の薄膜を、生産性高く形成することができる。
【0026】
また有機化合物皮膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、およびシアノエチルプルラン等を用いることもできる。
【0027】
有機化合物皮膜の形成法としては、前記ウェットプロセスが好ましい。
無機酸化物皮膜と有機酸化物皮膜は積層して併用することができる。またこれら絶縁膜の膜厚としては、一般に50nm〜3μm、好ましくは、100nm〜1μmである。
【0028】
また支持体はガラスやフレキシブルな樹脂製シートで構成され、例えばプラスチックフィルムをシートとして用いることができる。前記プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。このように、プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに、衝撃に対する耐性を向上できる。
【0029】
【実施例】
以下実施例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0030】
実施例1
ゲート電極としての比抵抗0.01Ω・cmのSiウェハーに、厚さ2000Åの熱酸化膜を形成してゲート絶縁層とした後、よく精製された例示化合物Aのクロロホルム溶液を、アプリケーターを用いて塗布し、自然乾燥することによりキャスト膜(厚さ50nm)を形成し、窒素雰囲気下で50℃、30分間の熱処理を施した。さらに、この膜の表面にマスクを用いて金を蒸着してソースおよびドレイン電極を形成した。ソースおよびドレイン電極は幅100μm、厚さ200nmで、チャネル幅W=3mm、チャネル長L=20μmの有機TFT素子1を形成した。
【0031】
例示化合物Aに代えて例示化合物Bを用い、有機TFT素子1と同様の方法で有機TFT素子2を作製した。
【0032】
例示化合物Aに代えて例示化合物Cを用い、有機TFT素子1と同様の方法で有機TFT素子3を作製した。
【0033】
例示化合物Aに代えて例示化合物Dを用い、有機TFT素子1と同様の方法で有機TFT素子4を作製した。
【0034】
例示化合物Aに代えて例示化合物Eを用い、有機TFT素子1と同様の方法で有機TFT素子5を作製した。
【0035】
以上により作製されたTFTはpチャネルエンハンスメント型FET(field−effect transistor)の良好な静特性、及び動作性を示した。
【0036】
regioregular型ポリ−(3−ヘキシルチオフェン)のクロロホルム溶液を、アプリケーターを用いて塗布して自然乾燥し、有機半導体材料のキャスト膜(厚さ50nm)を形成した以外は、有機TFT素子1と同様の方法で比較有機TFT素子1を作製した。
【0037】
α,ω−ジヘキシルセクシチオフェンのクロロホルム溶液を、アプリケーターを用いて塗布して自然乾燥し、有機半導体材料のキャスト膜(厚さ50nm)を形成した以外は、有機TFT素子1と同様の方法で比較有機TFT素子2を作製した。
【0038】
以上で作製した各有機TFT素子について、飽和領域における移動度を測定した。又、この素子のVg(ゲート電圧)=0、Vd(ドレイン電圧)=−30VにおけるId(ドレイン電流)を、素子作成直後と空気中室温で10日放置した後で比較した。
【0039】
以上の結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】
実施例で実証した如く、本発明の有機薄膜トランジスタ素子は、半導体層がウェットプロセスで形成できて、高いキャリア移動度を示し、空気中での耐リーク性能の劣化が少ない。
Claims (6)
- 一般式(1)において、Y1、Y2が炭素数3〜20のアルキル基又はアルコキシル基を有することを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ素子。
- 一般式(1)において、Zが複素五員環である場合、位置規則的な炭素数3〜10のアルキル基又はアルコキシル基を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の有機薄膜トランジスタ素子。
- 一般式(1)において、X=Sであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の有機薄膜トランジスタ素子。
- 一般式(1)において、Zが複素五員環である場合、nが偶数であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の有機薄膜トランジスタ素子。
- 一般式(1)で表される化合物の溶液からの溶媒のキャスト行程を経て半導体層が形成されることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の有機薄膜トランジスタ素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002329506A JP2004165428A (ja) | 2002-11-13 | 2002-11-13 | 有機薄膜トランジスタ素子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002329506A JP2004165428A (ja) | 2002-11-13 | 2002-11-13 | 有機薄膜トランジスタ素子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004165428A true JP2004165428A (ja) | 2004-06-10 |
Family
ID=32807482
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002329506A Pending JP2004165428A (ja) | 2002-11-13 | 2002-11-13 | 有機薄膜トランジスタ素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004165428A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112500390A (zh) * | 2020-11-20 | 2021-03-16 | 隆基绿能科技股份有限公司 | 一种有机空穴传输材料及其合成方法和钙钛矿电池 |
-
2002
- 2002-11-13 JP JP2002329506A patent/JP2004165428A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112500390A (zh) * | 2020-11-20 | 2021-03-16 | 隆基绿能科技股份有限公司 | 一种有机空穴传输材料及其合成方法和钙钛矿电池 |
CN112500390B (zh) * | 2020-11-20 | 2022-06-10 | 隆基绿能科技股份有限公司 | 一种有机空穴传输材料及其合成方法和钙钛矿电池 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US7800103B2 (en) | Organic thin film transistor material, organic thin film transistor, field-effect transistor, switching element, organic semiconductor material and organic semiconductor film | |
JP5499422B2 (ja) | 有機半導体材料、有機半導体膜、有機薄膜トランジスタ及び有機薄膜トランジスタの製造方法 | |
JP4194436B2 (ja) | 電界効果型有機トランジスタ | |
WO2005122278A1 (ja) | 有機半導体薄膜、有機半導体デバイス、有機薄膜トランジスタ及び有機エレクトロルミネッセンス素子 | |
WO2005122277A1 (ja) | 有機薄膜トランジスタ | |
JP5245117B2 (ja) | 有機薄膜トランジスタ、有機半導体材料、有機半導体膜、及び有機半導体デバイス | |
WO2005070994A1 (ja) | 有機半導体材料、有機トランジスタ、電界効果トランジスタ、スイッチング素子及びチアゾール化合物 | |
JP2004006782A (ja) | 有機半導体材料、これを用いた有機トランジスタ、電界効果トランジスタ及びスイッチング素子 | |
WO2007123030A1 (ja) | 有機半導体材料、有機半導体膜、有機半導体デバイス及び有機薄膜トランジスタ | |
JP4419425B2 (ja) | 有機薄膜トランジスタ素子 | |
WO2007105473A1 (ja) | 有機半導体材料、有機半導体膜、有機半導体デバイス及び有機薄膜トランジスタ | |
JP2004165257A (ja) | 有機薄膜トランジスタ素子 | |
JP2006028055A (ja) | 有機半導体材料、有機トランジスタ、電界効果トランジスタ及びスイッチング素子 | |
WO2006038459A1 (ja) | 有機薄膜トランジスタ材料、有機薄膜トランジスタ、電界効果トランジスタ及びスイッチング素子 | |
JP2004146733A (ja) | 有機半導体及びそれを用いる有機薄膜トランジスタ素子 | |
JP2004200365A (ja) | 有機薄膜トランジスタ素子 | |
JP2004273514A (ja) | 有機薄膜トランジスタおよびその製造方法 | |
KR102277814B1 (ko) | 박막 트랜지스터 및 그 제조 방법과 상기 박막 트랜지스터를 포함하는 전자 소자 | |
JP2004165428A (ja) | 有機薄膜トランジスタ素子 | |
JPWO2008093663A1 (ja) | 有機薄膜トランジスタ、その製造方法及び有機半導体デバイス | |
JP2004214482A (ja) | 有機半導体材料および有機薄膜トランジスタ | |
JP4345317B2 (ja) | 有機薄膜トランジスタ素子 | |
JP2004158669A (ja) | 半導体性組成物及びそれを用いる電界効果トランジスタ | |
JP2004079623A (ja) | 有機薄膜電界効果トランジスター | |
JP2004006758A (ja) | 有機半導体材料、これを用いた電界効果トランジスタ及びスイッチング素子 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20051028 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090804 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20091208 |