JP2004165083A - 電極、電極の製造方法および冷陰極放電管 - Google Patents

電極、電極の製造方法および冷陰極放電管 Download PDF

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Abstract

【課題】電極を構成している導入金属体と、該導入金属体よりも融点の低い電極本体との接続強度を高めた電極の製造方法、該製造方法によって製造された電極、および該電極を備えた冷陰極放電管を提供する。
【解決手段】電極本体14の接続端側に環状の突条部15が設けられ、該突条部15内に導入金属体5を構成している第1金属体7の内端部16を挿入した状態で、突条部15の外面と、前記内端部16の近傍で突条部から露出している部分の導入金属体(露出部)17とにレーザ光を照射し、電極本体14の突条部15と第1金属体7の内端部16とを溶接する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、及び液晶テレビなどに用いられる液晶表示装置のバックライト光源として採用されている冷陰極放電管、該冷陰極放電管に備えられている電極、および該電極の製造方法に関し、詳しくは、電極を構成している導入金属体と電極本体との接続強度を高めた電極の製造方法、該製造方法によって製造された電極、および該電極を備えた冷陰極放電管に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のようにパーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、液晶テレビなどには液晶表示装置が用いられている。この液晶表示装置には、バックライト光源として冷陰極放電管が採用されている。
【0003】
従来の冷陰極放電管は図2に示すように、ガラスバルブ1の両側の開口端部に電極2が配置され、ガラスバルブ1の内面に蛍光被膜3が形成され、そしてガラスバルブ1内にネオンとアルゴンとの混合ガスおよび水銀が適切な分量だけ拡散封入された構成となっている。
【0004】
電極2は、ビードガラス4を介してガラスバルブ1の開口端部に封止されている棒状の導入金属体5と、該導入金属体5の内端部に溶接され、ガラスバルブ1の端部内に配置される電極本体6とから構成されている。電極本体6は、例えば融点が約1,500℃のニッケルやニオブなどによって形成され、放電面積を大きくするため、有底筒状のホロー形状とされている。
【0005】
また、導入金属体5は、ビードガラス4を介してガラスバルブ1の開口端部に封止される第1金属体7と、ガラスバルブ1の外側に配置される第2金属体8とが溶接によって同軸に一体化されたものである。このような第1金属体7は、ビードガラス4との間の気密性を確保するため、ビードガラスとの封着性に優れる融点が約3,400℃のタングステンなどによって形成されている。一方、第2金属体8は、柔らかくて折り曲げやすいといった作業性に優れ、また予備半田が付着しやすいニッケルなどによって形成されている。このような第1金属体7と第2金属体8との接合部9は、第2金属体8の端部が第1金属体7の端部を包み込み、第2金属体8の端部が膨出した形状となっている。
【0006】
そして、第1金属体7の端面と電極本体6の底部とは、両者が当接された状態で、電極本体6の底部の内側面に溶接棒を当接する抵抗溶接、または図3に示すように電極本体6の開口部側より底部にレーザ光11を照射するレーザ溶接などによって一体化されている。(例えば、特許文献1参照。)
しかしながら、前記従来技術においては、抵抗溶接にしてもレーザ溶接にしても第1金属体7の端面が電極本体6の底面に接合して一体化されているだけであるため、第1金属体7と電極本体6との接合部10の接続強度は弱く、電極本体6が第1金属体7から外れやすい問題があった。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−56810号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術のレーザ溶接では電極本体6は融点の低いニッケルなどで形成され、導入金属体7が融点の高いタングステンなどによって形成されているが、電極本体6の底部にレーザ光11が照射され加熱されても導入金属体7へ熱が伝わりにくく、導入金属体7の融点も高いことから導入金属体7は溶融されにくい。
【0009】
そこで、導入金属体7の表面を溶融させて電極本体6との組織的融合により、接続強度の向上を図るべく、融点が高い導入金属体7の表面が溶融するまで電極本体6の底部を加熱しようとすると、融点の低い電極本体6の底部が形状を有しなくなるまで溶融してしまうこととなる。したがって、従来は、電極本体6が形状を維持しつつ溶融する程度にレーザ光照射し、接合部10の接続強度が低い状態で電極本体6と導入金属体7とを一体化せざるを得なかったのである。
【0010】
しかし、冷陰極放電管の製造途中において電極本体6が導入金属体7から外れると、歩留まりが低下する。また、冷陰極放電管の使用中に電極本体6が導入金属体7から外れると、発光することができず、冷陰極放電管または液晶表示装置を交換しなければならないという問題が生じる。
【0011】
そこで本発明は、電極を構成している導入金属体と電極本体との接続強度を高めた電極の製造方法、該製造方法によって製造された電極、および該電極を備えた冷陰極放電管を提供することを課題としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る電極の製造方法は、ガラスバルブの開口端部にビードガラスを介して封止される棒状の導入金属体の内端部を、該導入金属体よりも融点の低い電極本体に環状に設けられた突条部内に挿入し、導入金属体と電極本体とを溶接する電極の製造方法であって、前記環状の突条部内に導入金属体の内端部を挿入した状態で、前記突条部の外面と、前記内端部の近傍で突条部から露出している部分の導入金属体とにレーザ光を照射し、電極本体の突条部と導入金属体の内端部とを溶接することを特徴としている。
【0013】
この電極の製造方法によれば、突条部の外面にレーザ光が照射されることにより、突条部内に挿入されている導入金属体の内端部も加熱される。また、内端部の近傍で突条部から露出している部分の導入金属体にもレーザ光が照射されることにより、この露出している部分も加熱される。したがって、導入金属体の内端部の熱は、露出している部分の方へ伝わらず、逆に露出している部分の熱が内端部の方へ伝えられるようになる。すると、導入金属体の内端部は、加熱され続けて表面がわずかに溶融し、レーザ光が照射されることによって溶融している部分の突条部と組織的融合を起し、導入金属体と電極本体との溶接強度が高められる。
【0014】
本発明に係る電極は、前記本発明に係る電極の製造方法によって製造されたことを特徴としている。
【0015】
この電極によれば、導入金属体の内端部を挿入する電極本体の環状の突条部と、前記内端部の近傍で突条部から露出している部分の導入金属体とにレーザ光を照射する製造方法により、電極本体の突条部と導入金属体の内端部とが組織的融合を起して溶接されているため、電極本体と導入金属体とは接続強度が高められ、電極本体が導入金属体から外れないようにされている。
【0016】
本発明に係る冷陰極放電管は、前記本発明に係る電極を構成している導入金属体がガラスバルブの開口端部にビードガラスを介して封止され、電極本体がガラスバルブの端部内に配置されていることを特徴としている。
【0017】
この冷陰極放電管によれば、導入金属体の内端部を挿入する電極本体の環状の突条部と、前記内端部の近傍で突条部から露出している部分の導入金属体とにレーザ光が照射されることにより、導入金属体と電極本体との接続強度を高めた電極が備えられているため、電極本体が導入金属体から外れるというような不良が発生しないようにされている。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明に係る電極、該電極の製造方法および該電極を備えた冷陰極放電管の一実施形態について、主として図1を参照し、必要に応じて図2を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る電極の製造方法の一実施形態を示す断面正面図である。なお、従来と同一部分は同一符号を付して説明する。
【0019】
本実施形態の電極の製造方法は、図2に示すような冷陰極放電管に備えられる電極の製造方法に関するものである。電極13は図1に示すように従来と同様、ビードガラス4を介してガラスバルブ1の開口端部に封止される棒状の導入金属体5と、該導入金属体5の内端部に溶接され、ガラスバルブ1の端部内に配置される電極本体14とから構成されている。
【0020】
導入金属体5は図1に示すように従来と同様、ビードガラス4を介してガラスバルブ1の開口端部に封止される第1金属体7と、ガラスバルブ1の外側に配置される第2金属体8とが溶接によって同軸に一体化されている。第1金属体7は、ビードガラス4との間の気密性を確保するため、融点が約3,400℃と高いタングステンなどによって形成されている。第2金属体8は、柔らかくて折り曲げやすいといった作業性に優れ、また予備半田が付着しやすいニッケルなどによって形成されている。ニッケルは融点が約1,500℃と低いため、第2金属体18の端部が第1金属体7の端部を包み込むように溶接され、接合部9は膨出した形状となっている。
【0021】
一方、電極本体14は融点の低いニッケルやニオブなどによって形成され、そして放電面積を大きくするため、底部と筒状部とからなるホロー形状とされ、さらに接続端側に第1金属体7の内端部16が挿入される環状の突条部15が設けられ、断面がほぼH字形とされている。この環状の突条部15の内径は、第1金属体7の外径よりもわずかに大きくされている。
【0022】
ここで、本実施形態の電極の製造方法について説明する。まず、第1金属体7と第2金属体8とが同軸に接合された状態で、両者7,8を溶接し、導入金属体5を製造する。このとき、第2金属体8の端部が溶融して第1金属体7の端部を包み込み、接合部9が膨出した形状となる。
【0023】
この導入金属体5は第1金属体7が上側、第2金属体8が下側となる鉛直姿勢とされ、第1金属体7に貫通孔を形成したビードガラス4が外嵌される。ビードガラス4は、膨出した接合部9上に支承された状態となり、加熱されることによって溶融し、第1金属体7と一体化する。
【0024】
そして図1に示すように、この第1金属体7の内端部16を電極本体14の環状の突条部15内に挿入し、該突条部15が第1金属体7の内端部16を外嵌した状態とする。
【0025】
次に、この電極本体14の突条部15の外面と、前記第1金属体7の内端部16の近傍で突条部15とビードガラス4との間で露出している部分の第1金属体(以下、「露出部」という。)17とにレーザ光19を照射する。レーザ光19は電極本体14の円周方向例えば120°の間隔で2方向、或いは3方向から照射する。このレーザ光19によって電極本体14の突条部15と第1金属体7の露出部16とが加熱される。電極本体14は融点が低いニッケルなどによって形成されているため、レーザ光19によって形状を維持する程度に溶融し、突条部15に外嵌されている第1金属体7の内端部16は加熱される。
【0026】
一方、第1金属体7の露出部17にもレーザ光19が照射されることにより、該露出部17も加熱されている。したがって、加熱された第1金属体7の内端部16から露出部17へ熱が移動することがなく、逆に露出部17の熱が内端部の方へ伝えられ、第1金属体7の内端部16の表面がわずかに溶融する。
【0027】
このように、レーザ光19が照射されている突条部15の部分が溶融するとともに、第1金属体7の内端部16の表面もわずかに溶融し、この部分が組織的融合を起して溶接されることによって溶接接合部18が形成され、接続強度を高めた電極13が完成する。また、この電極13は、第1金属体7の内端部16が突条部15内に挿入されているため、該内端部16と突条部15の溶接部分に直接外力が加えられることがない構成となっている。
【0028】
そして、この電極13は図2に示すような冷陰極放電管に備えられる。すなわち、電極本体14がガラスバルブ1の両側の端部内に配置されるように、第1金属体7を溶着しているビードガラス4がガラスバルブ1の両側の開口端部に溶着される。なお、ガラスバルブ1の内面には蛍光被膜3が形成され、ガラスバルブ1内には、ネオンとアルゴンの混合ガスおよび水銀が適切な分量だけ拡散封入されている。
【0029】
そして、一対の第2金属体8が電源に接続され、一対の電極本体14間に高電圧が印加されることによって放電が発生する。この放電により、ガラスバルブ1内の混合ガスおよび水銀が励起され紫外線が発生する。この紫外線が蛍光被膜3によって可視光に変換され発光する。
【0030】
なお、本発明の電極、電極の製造方法および冷陰極放電管は、前記発明の実施の形態に限定することなく、特許請求の範囲に記載した技術的事項の範囲内において種々変更することができる。
【0031】
例えば、冷陰極放電管は、ガラスバルブの一端側の端部内にのみ内部電極が配置され、ガラスバルブ1の外周に外部電極が配置されるとともに、ガラスバルブ内にキセノンの単一ガスまたはキセノンを主体としてアルゴン、ネオン、クリプトンなどを混合した混合ガスが封入され、無水銀でエキシマ放電するものにおいて、この内部電極に本発明の電極を採用することができる。
【0032】
また、電極本体は、接続端側に環状の突条部が設けられていれば、筒状部が形成されていないものでもよい。さらに、導入金属体は第1金属体と第2金属体とを溶接したものについて説明したが、融点の高い金属体のみで形成された導入金属体であっても同様に実施することができる。そして、レーザ光は4方向以上から照射するようにしてもよい。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、電極本体の接続端側に環状の突条部が設けられ、該突条部内に導入金属体の内端部を挿入し、該突条部の外面と、前記内端部の近傍で突条部から露出している部分の導入金属体とにレーザ光を照射し、電極本体の突条部と導入金属体の内端部とを溶接することにより、電極本体と導入金属体との接続強度を高めることができる。したがって、冷陰極放電管の製造途中において電極本体が導入金属体から外れることがなく、歩留まりが向上することから電極および該電極を備えた冷陰極放電管のコストダウンを図ることができる。また、冷陰極放電管の使用中に電極本体が導入金属体から外れることがなくなるため、冷陰極放電管または液晶表示装置の交換作業を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電極の一実施形態を示す断面正面図
【図2】冷陰極放電管の断面図
【図3】従来の冷陰極放電管に備えられている電極の断面正面図
【符号の説明】
1 ガラスバルブ
4 ビードガラス
5 導入金属体
13 電極
14 電極本体
15 突条部
16 内端部
17 内端部の近傍で突条部から露出している部分の導入金属体(露出部)
18 溶接接合部
19 レーザ光

Claims (3)

  1. ガラスバルブの開口端部にビードガラスを介して封止される棒状の導入金属体の内端部を、該導入金属体よりも融点の低い電極本体に環状に設けられた突条部内に挿入し、導入金属体と電極本体とを溶接する電極の製造方法であって、前記環状の突条部内に導入金属体の内端部を挿入した状態で、前記突条部の外面と、前記内端部の近傍で突条部から露出している部分の導入金属体とにレーザ光を照射し、電極本体の突条部と導入金属体の内端部とを溶接することを特徴とする電極の製造方法。
  2. 請求項1記載の電極の製造方法によって製造されたことを特徴とする電極。
  3. 請求項2記載の電極を構成している導入金属体が、ガラスバルブの開口端部にビードガラスを介して封止され、電極本体がガラスバルブの端部内に配置されていることを特徴とする冷陰極放電管。
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