JP2004164898A - バイポーラ電池の製造方法、およびバイポーラ電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】集電体を薄膜化するバイポーラ電池の製造方法を提供する。
【解決手段】ポリエチレンフィルム1上に正極2を形成し、他のポリエチレンフィルム1上に負極3を形成し、正極2と負極3により電解質4を挟み込み単電池層5を形成し、単電池層5の基材をはがし正極2および負極3の少なくとも一方の面に集電体となる金属薄膜を成膜して、単電池層5を積層し電池要素13を形成することを特徴とするバイポーラ電池の製造方法。
【選択図】 図1
【解決手段】ポリエチレンフィルム1上に正極2を形成し、他のポリエチレンフィルム1上に負極3を形成し、正極2と負極3により電解質4を挟み込み単電池層5を形成し、単電池層5の基材をはがし正極2および負極3の少なくとも一方の面に集電体となる金属薄膜を成膜して、単電池層5を積層し電池要素13を形成することを特徴とするバイポーラ電池の製造方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バイポーラ電池の製造方法、およびバイポーラ電池、ならびにこのバイポーラ電池よりなる組電池、この組電池を用いた自動車に関する。
【0002】
【従来の技術】
バイポーラ電池は、一つの集電体の1面に正極を設け、他面に負極を設けた構造のバイポーラ電極を用い、正極と負極の間に電解質を挟むようにしてこのバイポーラ電極を積層した電池である(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−100471号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のバイポーラ電池は、集電体に正極を構成する正極活物質と、負極となる負極活物質を形成する際に、正極活物質や負極活物質を塗布することにより形成している。このため、集電体は、活物質塗布の際に破損したりしないための強度を出すために、ある程度の厚みが必要となっていた。
【0005】
このような厚みは、バイポーラ電池を薄くするための限界の一つとなっており、集電体のさらなる薄膜化が望まれている。
【0006】
したがって、本発明の目的は、集電体を薄膜化することのできるバイポーラ電池の製造方法を提供することであり、また、それにより得られた体積エネルギー密度および重量エネルギー密度の高いバイポーラ電池を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明は、基材上に正極を形成する段階と、基材上に負極を形成する段階と、前記正極と前記負極により電解質を挟み込み単電池層を形成する段階と、前記単電池層の前記基材をはがし、前記正極および前記負極のうち少なくとも一方の面に集電体となる金属薄膜を成膜する段階と、前記金属薄膜を形成した前記単電池層を積層して電池要素を形成する段階と、を有することを特徴とするバイポーラ電池の製造方法である。
【0008】
また、本発明は、基材上に正極を形成する段階と、基材上に負極を形成する段階と、前記正極と前記負極により電解質を挟み込み単電池層を形成する段階と、前記単電池層の前記基材をはがし前記正極と前記負極の間に、集電体となる厚さ5μm以下の金属箔を挟み込んで前記単電池層を積層し、電池要素を形成する段階と、を有することを特徴とするバイポーラ電池の製造方法である。
【0009】
また、本発明は、集電体の一方の面に正極が形成され、他方の面に負極が形成されたバイポーラ電極を、電解質を挟んで複数枚直列に積層した構造を有するバイポーラ電池において、前記集電体の厚さが5μm以下であることを特徴とするバイポーラ電池である。
【0010】
また、本発明は、前記バイポーラ電池を複数個、並列および/または直列に接続したことを特徴とする組電池である。
【0011】
また、本発明は、前記組電池を車輪を駆動するためのモータの電源として用いたことを特徴とする自動車である。
【0012】
【発明の効果】
本発明のバイポーラ電池の製造方法によれば、バイポーラ電池の集電体をごく薄くすることができるので、電池の体積エネルギー密度、体積出力密度、重量エネルギー密度、および重量出力密度を向上させることができる。
【0013】
本発明のバイポーラ電池によれば、バイポーラ電池の集電体をごく薄くしたので、電池の体積エネルギー密度、体積出力密度、重量エネルギー密度、および重量出力密度を向上させることができる。
【0014】
本発明の組電池によれば、集電体をごく薄くしたバイポーラ電池により組み電池としたので、同じエネルギーを取り出すために必要な組電池全体の重量や体積を少なくすることができ、高容量、高出力の電池モジュールを提供することができる。
【0015】
本発明の自動車によれば、集電体をごく薄くしたバイポーラ電池を用いた組電池をモータ駆動用の電源として用いたので、より高出力の自動車を提供することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態を説明する。
【0017】
まず、本発明に係るバイポーラ電池の製造方法について説明する。
【0018】
図1〜7は、本第1の実施の形態におけるバイポーラ電池の製造方法を説明するための図面である。
【0019】
この製造方法は、まず、正極を形成するための正極スラリー、および負極を形成するための負極スラリーを調整した後、それぞれ別の基材となるポリエチレンフィルム1にこれらスラリーをそれぞれ塗布して乾燥させ、図1(a)に示すように、ポリエチレンフィルム1上に正極2を形成したものと、図1(b)に示すように、ポリエチレンフィルム1上に負極3を形成したものを製作する。
【0020】
なお、基材としては、正極2や負極3のスラリーを塗布し、これを乾燥させるために必要な強度を有し、かつ、正極2や負極3からはがれやすい物質が好ましい。このような物質としては、上記ポリエチレンフィルムのほか、たとえば、ポリエステルフィルムなど、その他剥離性能の高い市販フィルム材を使用することができ、さらにその他にポリプロピレンフィルムなどの基材や、必要に応じてこれらの基材の上に剥離剤をコートしたものなどが使用できる。
【0021】
その後、図2(a)に示すように、正極2および負極3部分で、電解質4を挟むようにして、図2(b)に示すように、1単位分の単電池層5を構成する。
【0022】
その後、この1単位分の単電池層5のポリエチレンフィルム1をはがして、図3に示すように、正極2側および負極3側の両方の表面に集電体となる金属薄膜(以下この金属薄膜を集電体薄膜6と称する)を成膜する。
【0023】
ここで成膜する集電体薄膜6の厚さの下限値は特に限定されない。なぜならばバイポーラ電池のメリットとして、集電体は一般の電池と違い非常に薄膜にすることが可能なためである。理論的にはバイポーラ電池における集電体は電子を通してイオンを通さなければ良く、集電体を構成する材料の原子一個分の厚さでも成立可能だからである。周知のとおり一般の電池では集電体中の電子の流れは電力を取り出すためには横方向(面方向)に流してタブなどを通して外部へ取り出さなければならず、あまり薄すぎると電気抵抗が大きくなってしまい出力低下を招いてしまうため集電体を薄くする限界値が存在する。しかしバイポーラ電池では電力を取り出すためには縦方向(厚さ方向)の電子の流れを考慮すれば十分で集電体は可能な限り薄くすることができるものであるから集電体を構成する材料の原子一個分の厚さでも成立可能である。以上の理由からバイポーラ電池の集電体の厚みはイオンを通さず電子を通せば良く、したがって、その下限値は上記のとおり原子1個分の厚さでも可能である。
【0024】
一方、5μmを越えると、集電体を薄膜化した意味がなくなるため好ましくないものである。
【0025】
この集電体薄膜6の成膜方法は、たとえば、真空蒸着法、スパッタ法、溶射法などが利用できる。なお、これらの方法については後述する。
【0026】
そして、図4に示すように、集電体薄膜6を形成した単電池層5を複数積層する。これにより、積層されることにより合わされた集電体薄膜6の両面に正極2と負極3が位置することになり、バイポーラ電極7が形成される。
【0027】
また、図5に示すように、先に形成したポリエチレンフィルム1がついた状態の1単位分の単電池層5を用いて、図5(a)に示すように、正極2側のポリエチレンフィルムのみをはがし、その部分に電池の正極タブ8(図7参照)を接続するための集電体(端部集電体9と称する)としてステンレス箔を取り付けた正極タブ層10と、同様に、図5(b)に示すように、負極3側のポリエチレンフィルムのみをはがし、その部分に電池の負極タブ11(図7参照)を接続するための端部集電体9としてステンレス箔を取り付けた負極タブ層12を形成する。
【0028】
その後、正極タブ層10および負極タブ層12は、図6(a)および(b)に示すように、残っているポリエチレンフィルム1をはがし、その部分の正極2または負極3の表面に集電体薄膜6を成膜する。
【0029】
その後、図7に示すように、図3に示した単電池層5を積層したものの両端に、それぞれ図6に示した正極タブ層10と負極タブ層12を積層し、端部集電体9に正極タブ8および負極タブ11を接続する。
【0030】
これにより、本実施の形態におけるバイポーラ電池の電池要素13が完成する。
【0031】
これより後は、この電池要素13をパッケージングすることで、バイポーラ電池が完成する(図10参照)。
【0032】
ここで、集電体薄膜6の成膜に用いることができる真空蒸着法、スパッタ法、および溶射法について説明する。
【0033】
まず、真空蒸着法について説明する。
【0034】
図8は、真空蒸着装置の概略を示す図面である。
【0035】
真空蒸着法は周知のとおり、チャンバ101内を高真空状態とし(たとえば0.001〜0.1Pa)、チャンバ101内に設置されたフィラメント102などの熱源により蒸着する金属103を過熱して蒸発させ、チャンバ101内に設置した被蒸着物104(ここでは、単電池層5)の表面に、蒸発させた金属106による薄膜を成膜する技術である。
【0036】
このような真空蒸着法の特徴は、金属薄膜を、0.1μm程度の薄さから、数十μm程度の厚さまで自在に形成可能なことである。
【0037】
このような真空蒸着法を用いれば、図9に示すように(図9(a)は単電池層5での蒸着を示し、図9(b)端部集電体9取り付け後の蒸着を示す)、蒸着する金属が微粒子または原子レベルで、正極2および負極3の表面に付着して集電体薄膜6となる金属薄膜を形成することができるのである。
【0038】
したがって、この真空蒸着法を用いることで、集電体薄膜6の形成に用いることで、上述した5μm以下の集電体薄膜6を容易に得ることができる。
【0039】
次に、スパッタ法について説明する。
【0040】
図10は、スパッタ装置の概略を示す図面である。
【0041】
法は周知のとおり、チャンバ201内を高空状態とし(たとえば1〜100Pa)、チャンバ201内にアルゴンガスなどを導入して、チャンバ201内に設置した成膜する金属のターゲット203と薄膜を成膜する被成膜物204(ここでは、単電池層5)の間に電源205から高電圧を印加することで、アルゴンイオン(Ar+)207がターゲット203に衝突してターゲット203の金属原子208を叩き出し、叩き出された金属原子208が被成膜物204の表面に付着することで、ターゲット203の金属を被成膜物204表面に成膜する技術である。
【0042】
このようなスパッタ法の特徴は、金属薄膜を、金属原子レベルの厚さ(たとえば0.01μm)から数十μm程度の厚さまで自在に形成可能なことである。
【0043】
したがって、このスパッタ法においても、集電体薄膜6の形成に用いることで、上述した5μm以下の集電体薄膜6を容易に得ることができる。
【0044】
次に、溶射法は、メタルスプレーと称されることもあり、周知のとおり、燃料(たとえば灯油)を酸素で燃焼爆発させ、それにより発生した高速のガスの流れによって金属微粉末を飛ばすことにより被成膜物203(ここでは単電池層5)表面に吹き付けることで金属薄膜を形成する技術である。
【0045】
この溶射法においても、0.1μm程度からさまざまな厚さの薄膜を成膜することが可能であり、特にこの技術では薄膜の密着性に優れる。また、合金の成膜には、その合金の粉末を用意すればよく簡単に合金を成膜することができる。
【0046】
さらに望ましくは低温溶射法で製造すれば良く、なぜならば製造時に電極の温度が140℃以上になると使用している材料の性質から電極の劣化が進みやすくなるが、低温溶射法で製造すると基板を冷却しながら溶射するため溶射された材料の温度がすみやかに下がり基板の温度が上昇することを防げるため、140℃以上になることを防止できるからである。
【0047】
図11は、これら薄膜成膜方法を用いた本第1の実施の形態における集電体薄膜6の成膜と、従来のように金属箔を集電体として用いた場合の違いを模式的に表した図面である。
【0048】
図11(a)に示すように、本発明を用いたことで、集電体となる集電体薄膜6は、電極物質14(正極2または負極3)上に微粒子または原子レベルの厚さの薄膜として形成できるため、非常に薄くすることができ、また、集電体薄膜6を形成する際にも、その基材となる電極物質14に特別な強度を必要としない。
【0049】
これに対して、図11(b)に示すように、従来法では、電極物質14を集電体となる金属箔15上に塗布するため、この金属箔15自体に、電極物質14の塗布に耐える強度を持たせるためにある程度の厚さが必要となる。このため、集電体を薄くするには限界があり、微粒子や原子レベルまで薄くすることはできないのである。
【0050】
以上のような各薄膜成膜法を用いて成膜する集電体薄膜6として用いられる金属は、たとえば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、鉄、クロム、金、または、これらの合金(たとえば、クロム−ニッケル−鉄を蒸着することにより形成されたステンレス合金、ニッケル−タングステン合金、ニッケル−銅合金など)などであり、5μm以下の膜厚として成膜することができる金属であればどのようなものであってもよい。
【0051】
正極2側に蒸着する集電体薄膜6と負極3側に成膜する集電体薄膜6は、異なる金属であってもよい。たとえば、正極2側にアルミニウム、負極3側に銅、正極2側にアルミニウム、負極3側にステンレスなどさまざまな組み合わせが可能である。
【0052】
また、端部集電体9には、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレスなどの金属による箔、また、これら金属(またはこれらの金属からなる合金)の粉末を主成分として、これにバインダ(たとえばエポキシ樹脂)、溶剤を含む集電体金属ペーストを加熱して成形してなるものなどである。
【0053】
この端部集電体9の厚さは、特に限定されないが、通常は20〜100μm程度である。
【0054】
このように、端部集電体9として金属箔やバインダにより形成されたものを用いるのは、この端部集電体9の場合、電力を取り出すための電極タブを取り付ける必要性から、他の集電体よりも強度が必要となるためである。
【0055】
なお、端部集電体9には、さらに強度を増すために厚みのある金属板(端子板と称する)を取り付けてもよい。端子板の素材として、上記端部集電体9の素材と同様である。
【0056】
集電体以外の電池要素13を構成する材料としては、一般的にリチウムイオン電池に使用されているものであれば使用することができる。以下に、上記した集電体以外の電池用を構成部材について個別に説明する。
【0057】
[正極(正極活物質層)]
正極は、正極活物質を含む。このほかにも、イオン伝導性を高めるために電解質、リチウム塩、導電助剤などが含まれ得る。特に、正極または負極の少なくとも一方に電解質、好ましくは固体高分子電解質が含まれていることが望ましいが、バイポーラ電池の電池特性をより向上させるためには、双方に含まれることが好適である。
【0058】
上記正極活物質としては、溶液系のリチウムイオン電池でも使用される、遷移金属とリチウムとの複合酸化物を使用できる。具体的には、LiCoO2などのLi・Co系複合酸化物、LiNiO2などのLi・Ni系複合酸化物、スピネルLiMn2O4などのLi・Mn系複合酸化物、LiFeO2などのLi・Fe系複合酸化物などが挙げられる。このほか、LiFePO4などの遷移金属とリチウムのリン酸化合物や硫酸化合物;V2O5、MnO2、TiS2、MoS2、MoO3などの遷移金属酸化物や硫化物;PbO2、AgO、NiOOHなどが挙げられる。
【0059】
正極活物質の粒径は、製法上、正極材料をペースト化してスプレーコートなどにより製膜し得るものであればよいが、さらにバイポーラ電池の電極抵抗を低減するために、電解質が固体でない溶液タイプのリチウムイオン電池で用いられる一般に用いられる粒径よりも小さいものを使用するとよい。具体的には、正極活物質の平均粒径が10〜0.1μmであるとよい。
【0060】
上記正極に含まれる電解質としては、固体高分子電解質に制限されるべきものではなく、高分子ゲル電解質であっても、絶縁層を形成するなどして、液絡を防止することができるものであれば利用することができるほか、これらを併用することもできる。すなわち、正極を多層構造とすることもでき、集電体側と電解質側とで、正極を構成する電解質の種類や活物質の種類や粒径、さらにはこれらの配合比を変えた層を形成することもできる。好ましくは、高分子ゲル電解質を構成するポリマーと電解液との比率(質量比)が、20:80〜95:5とする、比較的電解液の比率が小さい範囲であるが、より好ましくは固体高分子電解質である。これは、本発明により固体高分子電解質を用いた電池を折り曲げなどにより損傷させることなく自動車の熱源を利用できるため、高分子ゲル電解質や液体電解質に比して耐熱性に優れ、熱分解したり、高温でガス化したり、発火するおそれがなく、また、釘刺し耐性に優れ外部負荷等での破損による液漏れや短絡が生じにくく、さらにコンパクトで形状が自由にできるという固体高分子電解質の特性を有効に利用することができるためである。
【0061】
なお、本発明では、固体高分子電解質と、高分子ゲル電解質との違いを以下のように規定する。
【0062】
ポリエチレンオキシド(PEO)などの固体高分子電解質に、通常リチウムイオン電池で用いられる電解液を含んだものが高分子ゲル電解質である。
【0063】
また、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)など、リチウムイオン導伝性を持たない高分子の骨格中に、電解液を保持させたものも高分子ゲル電解質にあたる。
【0064】
高分子ゲル電解質を構成するポリマーと電解液の比率は幅広く、ポリマー(高分子)100%を固体高分子電解質、電解液100%を液体電解質とすると、その中間体はすべて高分子ゲル電解質にあたる。
【0065】
上記固体高分子電解質は、イオン伝導性を有する高分子であれば、特に限定されるものではない。イオン伝導性を有する高分子としては、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)などのポリアルキレンオキシド系高分子、これらの共重合体などが挙げられる。なお共重合体では、少なくともイオン伝導性を有する高分子鎖を有するものであればよく、たとえば、ポリフッ化ビニリデンのようなイオン電導性を持たないものとの共重合体であるポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレンなどであってもよい。上記ポリアルキレンオキシド系高分子は、LiBF4、LiPF6、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2などのリチウム塩をよく溶解しうる。また、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度が発現する点で有利である。
【0066】
上記高分子ゲル電解質は、上記に規定したように、イオン導伝性を有する固体高分子電解質に、通常リチウムイオン電池で用いられる電解液を含んだものであるが、さらに、リチウムイオン導伝性を持たない高分子の骨格中に、同様の電解液を保持させたものも含まれるものである。
【0067】
ここで、高分子ゲル電解質に含まれる電解液(電解質塩および可塑剤)としては、通常リチウムイオン電池で用いられるものであればよく、たとえば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiTaF6、LiAlCl4、Li2B10Cl10等の無機酸陰イオン塩、LiCF3SO3、Li(CF3SO2)2N、Li(C2F5SO2)2N等の有機酸陰イオン塩の中から選ばれる、少なくとも1種類のリチウム塩(電解質塩)を含み、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン等のエーテル類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトニトリル等のニトリル類;プロピオン酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;酢酸メチル、蟻酸メチルの中から選ばれる少なくともから1種類または2種以上を混合した、非プロトン性溶媒等の有機溶媒(可塑剤)を用いたものなどが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。
【0068】
高分子ゲル電解質に用いられるリチウムイオン導伝性を持たない高分子としては、たとえば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。なお、PAN、PMMAなどは、どちらかと言うとイオン伝導性がほとんどない部類に入るものであるため、上記イオン伝導性を有する高分子とすることもできるが、ここでは高分子ゲル電解質に用いられるリチウムイオン導伝性を持たない高分子として例示したものである。
【0069】
上記リチウム塩としては、たとえば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiTaF6、LiAlCl4、Li2B10Cl10等の無機酸陰イオン塩、Li(CF3SO2)2N、Li(C2F5SO2)2N等の有機酸陰イオン塩、またはこれらの混合物などが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。
【0070】
導電助剤としては、アセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト等が挙げられる。ただし、これらに限られるわけではない。
【0071】
正極における、正極活物質、電解質(好ましくは固体高分子電解質)、リチウム塩、導電助剤の配合量は、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性を考慮して決定すべきである。たとえば、正極内における電解質、特に固体高分子電解質の配合量が少なすぎると、活物質層内でのイオン伝導抵抗やイオン拡散抵抗が大きくなり、電池性能が低下してしまう。一方、正極内における電解質、特に固体高分子電解質の配合量が多すぎると、電池のエネルギー密度が低下してしまう。したがって、これらの要因を考慮して、目的に合致した固体高分子電解質量を決定する。
【0072】
ここで現状レベルの固体高分子電解質(イオン伝導度:10−5〜10−4S/cm)を用いて電池反応性を優先するバイポーラ電池を製造する場合について、具体的に考えてみる。かような特徴を有するバイポーラ電池を得るには、導電助剤を多めにしたり活物質のかさ密度を下げたりして、活物質粒子間の電子伝導抵抗を低めに保つ。同時に空隙部を増やし、該空隙部に固体高分子電解質を充填する。かような処理によって固体高分子電解質の割合を高めるとよい。
【0073】
正極の厚さは、特に限定するものではなく、配合量について述べたように、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性を考慮して決定すべきである。一般的な正極活物質層の厚さは10〜500μm程度である。
【0074】
[負極(負極活物質層)]
負極は、負極活物質を含む。このほかにも、イオン伝導性を高めるために電解質、リチウム塩や導電助剤などが含まれ得る。負極活物質の種類以外は、基本的に[正極]の項で記載した内容と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0075】
負極活物質としては、溶液系のリチウムイオン電池でも使用される負極活物質を用いることができる。ただし、本発明のバイポーラ電池では、固体高分子電解質が好適に用いられるため、該固体高分子電解質での反応性を考慮すると、金属酸化物、リチウム−金属複合酸化物金属、カーボンなどが好ましい。より好ましくは、カーボン、遷移金属酸化物、リチウム−遷移金属複合酸化物である。さらに好ましくは、チタン酸化物、リチウム−チタン複合酸化物、カーボンである。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0076】
[電解質]
電解質としては、固体高分子電解質、または高分子ゲル電解質であっても液絡を防止することができるものであれば利用することができるほか、これらを併用することもできる。また、電解質を多層構造とすることもでき、正極側と負極側とで、電解質の種類や成分配合比を変えた層を形成することもできる。高分子ゲル電解質を用いる場合、該高分子ゲル電解質を構成するポリマーと電解液との比率(質量比)が、20:80〜95:5と比較的電解液の比率が小さい範囲であるが、より好ましくは固体高分子電解質である。これは、固体高分子電解質は、高分子ゲル電解質や液体電解質に比して耐熱性に優れ、熱分解したり、高温でガス化したり、発火したりするおそれがなく、また、釘刺し耐性に優れ外部負荷等での破損による液漏れや短絡が生じにくく、さらにコンパクトで形状が自由にできるという固体高分子電解質に固有の特性を有効に利用することができるためである。
【0077】
上記固体高分子電解質は、イオン伝導性を有する高分子から構成される層であり、イオン伝導性を示すのであれば材料は限定されない。固体高分子電解質としては、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、これらの共重合体のような公知の固体高分子電解質が挙げられる。固体高分子電解質中には、イオン伝導性を確保するためにリチウム塩が含まれる。リチウム塩としては、LiBF4、LiPF6、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、またはこれらの混合物などが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。PEO、PPOのようなポリアルキレンオキシド系高分子は、LiBF4、LiPF6、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2などのリチウム塩をよく溶解しうる。また、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度が発現する。
【0078】
また、高分子ゲル電解質は、上記に規定したように、イオン導伝性を有する固体高分子電解質に、通常リチウムイオン電池で用いられる電解液を含んだものであるが、さらに、リチウムイオン導伝性を持たない高分子の骨格中に、同様の電解液を保持させたものも含まれるものである。これらについては、[正極]に含まれる電解質の1種として説明した高分子ゲル電解質と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0079】
これら固体高分子電解質もしくは高分子ゲル電解質は、電池を構成する高分子電解質のほか、上記したように正極および/または負極にも含まれ得るが、電池を構成する高分子電解質、正極、負極によって異なる高分子電解質を用いてもよいし、同一の高分子電解質を使用してもよいし、層によって異なる高分子電解質を用いてもよい。
【0080】
電池を構成する電解質の厚さは、特に限定するものではない。しかしながら、コンパクトなバイポーラ電池を得るためには、電解質としての機能が確保できる範囲で極力薄くすることが好ましい。一般的な固体高分子電解質層の厚さは10〜100μm程度である。電解質の形状は、製法上の特徴を生かして、電極(正極または負極)の上面ならびに側面外周部も被覆するように形成することも容易であり、機能、性能面からも部位によらず常に略一定の厚さにする必要はない。
【0081】
ところで、本発明において、好ましく使用される固体高分子電解質用の高分子は、PEO、PPOのようなポリエーテル系高分子である。このため、高温条件下における正極側での耐酸化性が弱い。したがって、溶液系のリチウムイオン電池で一般に使用される酸化還元電位の高い正極剤を使用する場合には、負極の容量が、固体高分子電解質を介して対向する正極の容量より少ないことが好ましい。負極の容量が対向する正極の容量より少ないと、充電末期に正極電位が上がり過ぎることを防止できる。なお、正極および負極の容量は、正極および負極を製造する際の理論容量として、製造条件から求めることができる。完成品の容量を測定装置で直接測定してもよい。
【0082】
ただし、負極の容量が対向する正極の容量と比べて少ないと、負極電位が下がりすぎて電池の耐久性が損なわれる恐れがあるので充放電電圧に注意する必要がある。たとえば、一のセルの平均充電電圧を使用する正極活物質の酸化還元電位に対して適切な値に設定して、耐久性が低下しないように注意する。
【0083】
[絶縁層]
絶縁層(不図示)は、集電体同士が接触したり、電解液が漏れ出したり、積層電極の端部の僅かな不ぞろいなどによる短絡が起こるのを防止する目的で、各電極の周囲に形成されてなるものである。
【0084】
該絶縁層としては、製法上、スプレーコートなどの薄膜製造技術により、いかような形状を有するものにも製膜して形成し得るものであり、かつ絶縁性、電解質の漏出や外部からの水分の透湿に対するシール性(密封性)、電池動作温度下での耐熱性などを有するものであればよく、たとえば、エポキシ樹脂、ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが使用できるが、耐蝕性、耐薬品性、作り易さ(製膜性)、経済性などの観点からは、エポキシ樹脂が好ましい。
【0085】
[正極タブおよび負極タブ]
正極タブおよび負極タブに関しては、通常リチウムイオン電池で用いられる公知の電極タブを用いることができる。
【0086】
[電池外装材(電池ケース)]
バイポーラ電池は、使用する際の外部からの衝撃、環境劣化を防止するために、電池要素(図7参照)を電池外装材ないし電池ケース(図示せず)に収容している。軽量化の観点からは、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、銅などの金属(合金を含む)をポリプロピレンフィルム等の絶縁体で被覆した高分子−金属複合ラミネートフィルムやアルミラミネートパックなど、従来公知の電池外装材を用いて、その周辺部の一部または全部を熱融着により接合することにより、電池積層体を収納し密封した構成とするのが好ましい。この場合、上記正極および負極タブは、上記熱融着部に挟まれて上記電池外装材の外部に露出される構造とすればよい。また、熱伝導性に優れた高分子−金属複合ラミネートフィルムやアルミラミネートパックなどを用いることが、自動車の熱源から効率よく熱を伝え、電池内部を電池動作温度まですばやく加熱することができる点で好ましい。
【0087】
図12は、図7に示した電池要素13をアルミラミネートパックにより電池20として構成した場合の外観を示す図面である。
【0088】
この電池20は、端部集電体9に上記の正極タブ8および負極タブ11を取り付けて、ラミネートパックから電極23および24として取り出している。
【0089】
<実験例>
上述のように構成される本第1の実施の形態によるバイポーラ電池を実際に製作し、体積エネルギー密度および重量エネルギー密度の測定、ならびに充放電サイクル試験を行った。なお、比較のために従来法によりすべての集電体を厚さ20μmのステンレス箔を使用した、同様構造の比較例も製作した。
【0090】
本第1の実施の形態により製作した評価サンプルは、真空蒸着法を用いて異なる厚さの集電体薄膜6を蒸着して、実験のサンプルとした。サンプル1は集電体薄膜6の厚さが蒸着時0.2μm(電池要素13として積層したときの集電体の厚さは0.4μm、以下積層時と記す)、サンプル2は集電体薄膜6の厚さが蒸着時0.4μm(積層時0.8μm)、サンプル3は集電体薄膜6の厚さが蒸着時0.5μm(積層時1.0μm)、サンプル4は集電体薄膜6の厚さが蒸着時1μm(積層時2.0μm)、サンプル5は集電体薄膜6の厚さが蒸着時2.5μm(積層時5.0μm)である。
【0091】
各サンプルにおける電池要素13は、以下のとおり製作した。
【0092】
(正極)
正極活物質としてLiMn2O4を22重量%、導電助剤としてアセチレンブラックを6重量%、ポリマーとしてポリエチレンオキシド(PEO)とポリプロピレンオキシド(PPO)の共重合体を18重量%、支持塩としてLi(C2F5SO2)2Nを9重量%、スラリー粘度調整溶媒としてN−メチルピロリドン(NMP)を45重量%、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を微量、混合して正極スラリーを調整した。この正極スラリーを厚さ100μmのポリエチレンフィルム1の片面に塗布し、110℃、4時間の熱重合により硬化させて正極2を作製した。
【0093】
(負極)
負極活物質としてLi4Ti5O12を14重量%、導電助剤としてアセチレンブラックを4重量%、ポリマーとしてポリエチレンオキシド(PEO)とポリプロピレンオキシド(PPO)の共重合体を20重量%、支持塩としてLi(C2F5SO2)2Nを11重量%、スラリー粘度調整溶媒としてN−メチルピロリドン(NMP)を51重量%、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を微量混合して、負極スラリーを調整した。この負極スラリーを厚さ100μmのポリエチレンフィルム1の片面に塗布し、110℃、4時間の熱重合により硬化させて負極3を作製した。
【0094】
(単電池層)
以上により作成した正極2と負極が電解質4を挟んで対向するように積層して、単電池層5を形成した。
【0095】
用いた電解質4は、
ポリマーとしてポリエチレンオキシド(PEO)とポリプロピレンオキシド(PPO)の共重合体を56重量%、支持塩としてLi(C2F5SO2)2Nを44重量%、重合開始剤としてベンジルジメチルケタール(BDK)を微量混合し、光重合により厚さ100μmの電解質膜を作成した。
【0096】
そして、これらの単電池層5を5つ作製し、また、末端極用(端部集電体形成用)としての正極2および負極3をそれぞれ一つずつ作製した。
【0097】
なお、電極面積はすべて60mm×80mmとした。
【0098】
(集電体薄膜の形成)
正極2、負極3のそれぞれについているポリエチレンフィルム1をそれぞれきれいにはがし、これを真空蒸着装置内に載置して、正極2および負極3のそれぞれの面にアルミニウム薄膜を蒸着して集電体薄膜6を形成した。
【0099】
また、末端用は、先にポリエチレンフィルム1の一方の面のみはがし、そこに20μmのステンレス箔を取り付けた後、他方の面のポリエチレンフィルム1をはがして、これを真空蒸着装置内に載置し、正極2または負極3の面にアルミニウム薄膜を蒸着して集電体薄膜6を形成した。
【0100】
蒸着したアルミニウム薄膜(集電体薄膜6)の厚さを膜厚計により計測し、0.2μm(サンプル1用)、0.4μm(サンプル2用)、0.5μm(サンプル3用)、1μm(サンプル4用)、2.5μm(サンプル5用)とした。
【0101】
(電池の作製)
上記のようにして、形成した集電体薄膜6つきの単電池層5を交互に積み重ねて行き末端電極から正極タブ8および負極タブ11を出してアルミラミネートパック内に封入し、単電池層5が7層となるバイポーラ電池を完成させた。
【0102】
(比較例の作製)
なお、比較例も集電体として20μm厚のステンレス箔を用いて、この集電体上に正極2および負極スラリーを塗布する方法で同様のバイポーラ電池を作製した。
【0103】
(評価)
表1は、作製した第1の実施の形態による各サンプルと比較例の各層の厚さを示す表であり、表2は、同じく本第1の実施の形態による各サンプルと比較例の各層の密度または重量を示す表である。なお、表において集電体層は、単電池層を積層することにより集電体薄膜が2枚重ねられた層である。したがって、集電体薄膜6の厚さの2倍となっている。また、集電体層総厚は、単電池蚤7層の間の集電体層の合計であり、ここでは集電体層が6層分となる。
【0104】
【表1】
【0105】
【表2】
【0106】
上記のとおりに作製したサンプル1〜5、および比較例のバイポーラ電池で充放電サイクル試験を行った。実験は0.2Cの電流で充電し、0.1Cの電流で放電を行い、このサイクルを1サイクルとして充放電サイクル実験を行った。また、交流インピーダンス測定により集電体部の抵抗と接触抵抗分を測定した。
【0107】
それぞれの電池の充放電評価を行ったところ、本第1の実施の形態による各サンプルと比較例は、いずれも容量、サイクル特性などの性能に大きな差は見られなかった。この結果から本実施の形態による各サンプルにおいても短絡および液絡はなく層と層の間の集電体薄膜6は隙間なく埋めつくしていることがわかる。
【0108】
したがって、表1および2からわかるとおり、重量と体積は集電体を薄膜化したことで小さくなり、その結果、体積エネルギー密度、体積出力密度、重量エネルギー密度、および重量出力密度はそれぞれ本実施の形態による各サンプルの方が比較例よりも向上することがわかる。具体的には、体積エネルギー密度および体積出力密度は14%程度向上し、重量エネルギー密度および重量出力密度は25%程度向上した。
【0109】
また、交流インピーダンス測定により集電体部の抵抗と接触抵抗分を測るとサンプル1は0.311mΩ、サンプル2は0.312mΩ、サンプル3は0.413mΩ、サンプル4は0.553mΩ、サンプル5は0.600mΩであり、比較例は2.321mΩであった。この結果から集電体部の抵抗と接触抵抗分は向上した。
【0110】
以上説明したように、本第1の実施の形態によれば、基材となるポリエチレンフィルム1上に、正極2または負極3を形成した後、この正極面または負極面に集電体となる金属薄膜を成膜することとしたので、従来のように集電体に正極2や負極3を塗布形成することと比較すると、集電体自体に正極2や負極3の塗布形成に耐えるための強度が必要ではなくなるので、集電体を非常に薄く、たとえば、原子レベルにまで薄くすることが可能となる。このため、電池の体積エネルギー密度、体積出力密度、重量エネルギー密度、および重量出力密度を向上させることができる。
【0111】
なお、本第1の実施の形態では、単電池層5の正極2側と負極3側の両面に集電体薄膜6を成膜したが、これは、正極2側または負極3側のいずれか一方のみに成膜して、その後積層することにより電池要素13を形成してもよい。これにより、特に、スパッタ法や溶射法のように、一度に片面しか成膜することができない成膜法を用いる場合には、生産効率が構造する。
【0112】
また、本第1の実施の形態では、単電池層5の一面に端部集電体9を設けてから、この単電池層5の他面に集電体薄膜6を形成し、これを電池要素13として端部に積層しているが、この端部集電体9は、正極2および負極3の両面に集電体薄膜6を設けたもののみですべての電池要素13を形成し、その後その電池要素13の端部に、端部集電体9となる金属箔を設けるようにしてもよい。
【0113】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態は、ごく薄い金属箔を集電体として使用したバイポーラ電池である。
【0114】
図13は、本第2の実施の形態におけるバイポーラ電池の製造方法を説明するための図面である。
【0115】
本第1の実施の形態では、まず、前述した第1の実施の形態と同様にポリエチレンフィルム1上に正極2および負極3を形成した後、これらにより電解質4を挟み単電池層5を形成する(図1および2参照)。また、同様に、端部集電体9として、前述した第1の実施の形態1と同様に厚さ20μm程度のステンレス箔を用いて、正極2を形成したものと、負極3を形成したものをそれぞれ用意する。
【0116】
その後、図12に示すように、本第2の実施の形態では、ポリエチレンフィルム1をはがし、単電池層5の正極2と負極3が向かい合うようにして、その間に金属箔16を挟んで積層する。ここで、使用する金属箔16は集電体となるものである。このため本第2の実施の形態では、金属箔16として5μm以下のものを使用する。金属箔16の下限値は集電体として使用できるものであれば、薄ければ薄いほどよい。なお、この金属箔16と使用することのできる金属は、第1の実施の形態と同様に、たとえば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、鉄、クロム、金、およびこれらの合金、ならびにステンレスなどである。
【0117】
これにより、電池要素18ができあがるので、これをパッケージすることでバイポーラ電池として完成する。
【0118】
<実験例>
上述のように構成される本第2の実施の形態によるバイポーラ電池を実際に製作し、体積エネルギー密度および重量エネルギー密度の算出、ならびに充放電サイクル試験を行った。なお、比較のために従来法によりすべての集電体を厚さ20μmのステンレス箔を使用した、同様構造の比較例も製作した。
【0119】
(電池の構成)
電池の構成は、集電体として5μm厚のステンレス箔を使用した以外は、前述した第1の実施の形態における実験例と同様である。この実験例における本題2の実施の形態における試験サンプルをサンプル6とする。また、比較例についても第1の実施の形態における実験例における比較例と同じである。
【0120】
(評価)
表3は、作製した本第2の実施の形態によるサンプルと比較例の各層の厚さを示す表であり、表4は、同じく本第2の実施の形態によるサンプルと比較例の各層の密度または重量を示す表である。
【0121】
【表3】
【0122】
【表4】
【0123】
上記のとおり作製したサンプル6、および比較例のバイポーラ電池で充放電サイクル試験を行った。実験は0.2Cの電流で充電し、0.1Cの電流で放電を行い、このサイクルを1サイクルとして充放電サイクル実験を行った。また、交流インピーダンス測定により集電体部の抵抗と接触抵抗分を測定した。
【0124】
それぞれの電池の充放電評価を行ったところ、本第2の実施の形態によるサンプル6と比較例は、いずれも容量、サイクル特性などの性能に大きな差は見られなかった。この結果から本実施の形態による各サンプルにおいても短絡および液絡はなく層と層の間の集電体薄膜6は隙間なく埋めつくされていることがわかる。
【0125】
したがって、表3および4からわかるとおり、重量と体積は集電体を薄膜化したことで小さくなり、その結果、体積エネルギー密度、体積出力密度、重量エネルギー密度、および重量出力密度はそれぞれ本実施の形態による各サンプルの方が比較例よりも向上することがわかる。具体的には、体積エネルギー密度および体積出力密度は10%程度向上し、重量エネルギー密度および重量出力密度は40%程度向上した。
【0126】
また、交流インピーダンス測定により集電体部の抵抗と接触抵抗分を測るとサンプル6は1.341mΩ、比較例は2.321mΩであった。この結果から集電体と接触抵抗分も向上した。
【0127】
以上説明したように、本発明を適用した第2の実施の形態によれば、バイポーラ電池の集電体にごく薄い金属箔16を使用することができるので、体積エネルギー密度、体積出力密度、重量エネルギー密度、および重量出力密度を向上させることができる。
【0128】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態は、上述した第1の実施の形態によるバイポーラ電池を複数個接続した組電池である。
【0129】
図14は、第3の実施の形態による組電池の斜視図であり、図15は、内部構成を上方から見た図面である。
【0130】
図示するようにこの組電池50は、上述した第1の実施の形態によるバイポーラ電池1をラミネートパックによりパッケージした電池20(図10参照)を複数個直列に接続したものをさらに並列に接続したものである。電池20同士は、導電バー53により各電池の電極23および24が接続されている。この組電池50には電極ターミナル51および52が、この組電池50の電極として組電池50の一側面に設けられている。
【0131】
この組電池においては、電池20を直接に接続しさらに並列に接続する際の接続方法として、超音波溶接、熱溶接、レーザー溶接、リベット、かしめ、電子ビームなどを用いることができる。このような接続方法をとることで、長期的信頼性のある組電池を製造することができる。
【0132】
本第3の実施の形態による組電池によれば、前述した第1の実施の形態による電池を用いて組電池化することで、同じ大きさの組電池であれば従来より高容量、高出力と得ることができる。
【0133】
なお、組電池としての電池20の接続は、電池20を複数個すべて並列に接続してもよいし、また、電池20を複数個すべて直列に接続してもよい。
【0134】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態は、上述した第3の実施の形態による組電池を複数個接続した組電池モジュールである。
【0135】
図16は、第4の実施の形態による組電池モジュールの斜視図である。
【0136】
この組電池モジュール60は、前述した第3の実施の形態による組電池50を複数個積層し、各組電池50の電極ターミナル51、52を導電バー61および62によって接続し、モジュール化したものである。
【0137】
このように、組電池50をモジュール化することによって、電池制御を容易にし、たとえば電気自動車やハイブリッド自動車などの車搭用として最適な組電池モジュールとなる。そして、この組電池モジュール60は、上述した組電池を用いたものであるから長期的信頼性の高いものとなる。
【0138】
なお、このような組電池モジュールも組電池の一種である。
【0139】
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態は、上述した第4の実施の形態による組電池モジュールを搭載し、モータの電源として使用してなる自動車である。組電池モジュールをモータ用電源として用いる自動車としては、たとえば電気自動車、ハイブリッド自動車など、車輪をモータによって駆動している自動車である。
【0140】
参考までに、図17に、組電池モジュール60を搭載する自動車100の概略図を示す。自動車に搭載される組電池モジュール60は、上記説明した特性を有する。このため、組電池モジュール60を搭載してなる自動車は高い耐久性を有し、長期間に渡って使用した後であっても充分な出力を提供しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態におけるバイポーラ電池の製造方法を説明するための図面である。
【図2】図1に続いてバイポーラ電池の製造方法を説明するための図面である。
【図3】図2に続いてバイポーラ電池の製造方法を説明するための図面である。
【図4】図3に続いてバイポーラ電池の製造方法を説明するための図面である。
【図5】図4に続いてバイポーラ電池の製造方法を説明するための図面である。
【図6】図5に続いてバイポーラ電池の製造方法を説明するための図面である。
【図7】図6に続いてバイポーラ電池の製造方法を説明するための図面である。
【図8】真空蒸着装置の概略を示す図面である。
【図9】真空蒸着法による金属薄膜の成膜の様子を示す図面である。
【図10】スパッタ装置の概略を示す図面である。
【図11】第1の実施の形態における集電体薄膜の成膜と、従来のように金属箔を集電体として用いた場合の違いを模式的に表した図面である。
【図12】図7に示した電池要素をアルミラミネートパックにより電池として構成した場合の外観を示す図面である。
【図13】本発明を適用した第2の実施の形態におけるバイポーラ電池の製造方法を説明するための図面である。
【図14】本発明を適用した第3の実施の形態による組電池の斜視図である。
【図15】上記組電池の内部構成を上方から見た図面である。
【図16】本発明を適用した第4の実施の形態による組電池モジュールの斜視図である。
【図17】本発明を適用した第5の実施の形態における組電池モジュールを設けた自動車の図面である。
【符号の説明】
1 ポリエチレンフィルム
2 正極
3 負極
4 電解質
5 単電池層
6 集電体薄膜
7 バイポーラ電極
8 正極タブ
9 端部集電体
10 正極タブ層
11 負極タブ
12 負極タブ層
13、18 電池要素
14 電極物質
16 金属箔
20 バイポーラ電池
50 組電池
60 組電池モジュール
100 自動車
【発明の属する技術分野】
本発明は、バイポーラ電池の製造方法、およびバイポーラ電池、ならびにこのバイポーラ電池よりなる組電池、この組電池を用いた自動車に関する。
【0002】
【従来の技術】
バイポーラ電池は、一つの集電体の1面に正極を設け、他面に負極を設けた構造のバイポーラ電極を用い、正極と負極の間に電解質を挟むようにしてこのバイポーラ電極を積層した電池である(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−100471号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のバイポーラ電池は、集電体に正極を構成する正極活物質と、負極となる負極活物質を形成する際に、正極活物質や負極活物質を塗布することにより形成している。このため、集電体は、活物質塗布の際に破損したりしないための強度を出すために、ある程度の厚みが必要となっていた。
【0005】
このような厚みは、バイポーラ電池を薄くするための限界の一つとなっており、集電体のさらなる薄膜化が望まれている。
【0006】
したがって、本発明の目的は、集電体を薄膜化することのできるバイポーラ電池の製造方法を提供することであり、また、それにより得られた体積エネルギー密度および重量エネルギー密度の高いバイポーラ電池を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明は、基材上に正極を形成する段階と、基材上に負極を形成する段階と、前記正極と前記負極により電解質を挟み込み単電池層を形成する段階と、前記単電池層の前記基材をはがし、前記正極および前記負極のうち少なくとも一方の面に集電体となる金属薄膜を成膜する段階と、前記金属薄膜を形成した前記単電池層を積層して電池要素を形成する段階と、を有することを特徴とするバイポーラ電池の製造方法である。
【0008】
また、本発明は、基材上に正極を形成する段階と、基材上に負極を形成する段階と、前記正極と前記負極により電解質を挟み込み単電池層を形成する段階と、前記単電池層の前記基材をはがし前記正極と前記負極の間に、集電体となる厚さ5μm以下の金属箔を挟み込んで前記単電池層を積層し、電池要素を形成する段階と、を有することを特徴とするバイポーラ電池の製造方法である。
【0009】
また、本発明は、集電体の一方の面に正極が形成され、他方の面に負極が形成されたバイポーラ電極を、電解質を挟んで複数枚直列に積層した構造を有するバイポーラ電池において、前記集電体の厚さが5μm以下であることを特徴とするバイポーラ電池である。
【0010】
また、本発明は、前記バイポーラ電池を複数個、並列および/または直列に接続したことを特徴とする組電池である。
【0011】
また、本発明は、前記組電池を車輪を駆動するためのモータの電源として用いたことを特徴とする自動車である。
【0012】
【発明の効果】
本発明のバイポーラ電池の製造方法によれば、バイポーラ電池の集電体をごく薄くすることができるので、電池の体積エネルギー密度、体積出力密度、重量エネルギー密度、および重量出力密度を向上させることができる。
【0013】
本発明のバイポーラ電池によれば、バイポーラ電池の集電体をごく薄くしたので、電池の体積エネルギー密度、体積出力密度、重量エネルギー密度、および重量出力密度を向上させることができる。
【0014】
本発明の組電池によれば、集電体をごく薄くしたバイポーラ電池により組み電池としたので、同じエネルギーを取り出すために必要な組電池全体の重量や体積を少なくすることができ、高容量、高出力の電池モジュールを提供することができる。
【0015】
本発明の自動車によれば、集電体をごく薄くしたバイポーラ電池を用いた組電池をモータ駆動用の電源として用いたので、より高出力の自動車を提供することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態を説明する。
【0017】
まず、本発明に係るバイポーラ電池の製造方法について説明する。
【0018】
図1〜7は、本第1の実施の形態におけるバイポーラ電池の製造方法を説明するための図面である。
【0019】
この製造方法は、まず、正極を形成するための正極スラリー、および負極を形成するための負極スラリーを調整した後、それぞれ別の基材となるポリエチレンフィルム1にこれらスラリーをそれぞれ塗布して乾燥させ、図1(a)に示すように、ポリエチレンフィルム1上に正極2を形成したものと、図1(b)に示すように、ポリエチレンフィルム1上に負極3を形成したものを製作する。
【0020】
なお、基材としては、正極2や負極3のスラリーを塗布し、これを乾燥させるために必要な強度を有し、かつ、正極2や負極3からはがれやすい物質が好ましい。このような物質としては、上記ポリエチレンフィルムのほか、たとえば、ポリエステルフィルムなど、その他剥離性能の高い市販フィルム材を使用することができ、さらにその他にポリプロピレンフィルムなどの基材や、必要に応じてこれらの基材の上に剥離剤をコートしたものなどが使用できる。
【0021】
その後、図2(a)に示すように、正極2および負極3部分で、電解質4を挟むようにして、図2(b)に示すように、1単位分の単電池層5を構成する。
【0022】
その後、この1単位分の単電池層5のポリエチレンフィルム1をはがして、図3に示すように、正極2側および負極3側の両方の表面に集電体となる金属薄膜(以下この金属薄膜を集電体薄膜6と称する)を成膜する。
【0023】
ここで成膜する集電体薄膜6の厚さの下限値は特に限定されない。なぜならばバイポーラ電池のメリットとして、集電体は一般の電池と違い非常に薄膜にすることが可能なためである。理論的にはバイポーラ電池における集電体は電子を通してイオンを通さなければ良く、集電体を構成する材料の原子一個分の厚さでも成立可能だからである。周知のとおり一般の電池では集電体中の電子の流れは電力を取り出すためには横方向(面方向)に流してタブなどを通して外部へ取り出さなければならず、あまり薄すぎると電気抵抗が大きくなってしまい出力低下を招いてしまうため集電体を薄くする限界値が存在する。しかしバイポーラ電池では電力を取り出すためには縦方向(厚さ方向)の電子の流れを考慮すれば十分で集電体は可能な限り薄くすることができるものであるから集電体を構成する材料の原子一個分の厚さでも成立可能である。以上の理由からバイポーラ電池の集電体の厚みはイオンを通さず電子を通せば良く、したがって、その下限値は上記のとおり原子1個分の厚さでも可能である。
【0024】
一方、5μmを越えると、集電体を薄膜化した意味がなくなるため好ましくないものである。
【0025】
この集電体薄膜6の成膜方法は、たとえば、真空蒸着法、スパッタ法、溶射法などが利用できる。なお、これらの方法については後述する。
【0026】
そして、図4に示すように、集電体薄膜6を形成した単電池層5を複数積層する。これにより、積層されることにより合わされた集電体薄膜6の両面に正極2と負極3が位置することになり、バイポーラ電極7が形成される。
【0027】
また、図5に示すように、先に形成したポリエチレンフィルム1がついた状態の1単位分の単電池層5を用いて、図5(a)に示すように、正極2側のポリエチレンフィルムのみをはがし、その部分に電池の正極タブ8(図7参照)を接続するための集電体(端部集電体9と称する)としてステンレス箔を取り付けた正極タブ層10と、同様に、図5(b)に示すように、負極3側のポリエチレンフィルムのみをはがし、その部分に電池の負極タブ11(図7参照)を接続するための端部集電体9としてステンレス箔を取り付けた負極タブ層12を形成する。
【0028】
その後、正極タブ層10および負極タブ層12は、図6(a)および(b)に示すように、残っているポリエチレンフィルム1をはがし、その部分の正極2または負極3の表面に集電体薄膜6を成膜する。
【0029】
その後、図7に示すように、図3に示した単電池層5を積層したものの両端に、それぞれ図6に示した正極タブ層10と負極タブ層12を積層し、端部集電体9に正極タブ8および負極タブ11を接続する。
【0030】
これにより、本実施の形態におけるバイポーラ電池の電池要素13が完成する。
【0031】
これより後は、この電池要素13をパッケージングすることで、バイポーラ電池が完成する(図10参照)。
【0032】
ここで、集電体薄膜6の成膜に用いることができる真空蒸着法、スパッタ法、および溶射法について説明する。
【0033】
まず、真空蒸着法について説明する。
【0034】
図8は、真空蒸着装置の概略を示す図面である。
【0035】
真空蒸着法は周知のとおり、チャンバ101内を高真空状態とし(たとえば0.001〜0.1Pa)、チャンバ101内に設置されたフィラメント102などの熱源により蒸着する金属103を過熱して蒸発させ、チャンバ101内に設置した被蒸着物104(ここでは、単電池層5)の表面に、蒸発させた金属106による薄膜を成膜する技術である。
【0036】
このような真空蒸着法の特徴は、金属薄膜を、0.1μm程度の薄さから、数十μm程度の厚さまで自在に形成可能なことである。
【0037】
このような真空蒸着法を用いれば、図9に示すように(図9(a)は単電池層5での蒸着を示し、図9(b)端部集電体9取り付け後の蒸着を示す)、蒸着する金属が微粒子または原子レベルで、正極2および負極3の表面に付着して集電体薄膜6となる金属薄膜を形成することができるのである。
【0038】
したがって、この真空蒸着法を用いることで、集電体薄膜6の形成に用いることで、上述した5μm以下の集電体薄膜6を容易に得ることができる。
【0039】
次に、スパッタ法について説明する。
【0040】
図10は、スパッタ装置の概略を示す図面である。
【0041】
法は周知のとおり、チャンバ201内を高空状態とし(たとえば1〜100Pa)、チャンバ201内にアルゴンガスなどを導入して、チャンバ201内に設置した成膜する金属のターゲット203と薄膜を成膜する被成膜物204(ここでは、単電池層5)の間に電源205から高電圧を印加することで、アルゴンイオン(Ar+)207がターゲット203に衝突してターゲット203の金属原子208を叩き出し、叩き出された金属原子208が被成膜物204の表面に付着することで、ターゲット203の金属を被成膜物204表面に成膜する技術である。
【0042】
このようなスパッタ法の特徴は、金属薄膜を、金属原子レベルの厚さ(たとえば0.01μm)から数十μm程度の厚さまで自在に形成可能なことである。
【0043】
したがって、このスパッタ法においても、集電体薄膜6の形成に用いることで、上述した5μm以下の集電体薄膜6を容易に得ることができる。
【0044】
次に、溶射法は、メタルスプレーと称されることもあり、周知のとおり、燃料(たとえば灯油)を酸素で燃焼爆発させ、それにより発生した高速のガスの流れによって金属微粉末を飛ばすことにより被成膜物203(ここでは単電池層5)表面に吹き付けることで金属薄膜を形成する技術である。
【0045】
この溶射法においても、0.1μm程度からさまざまな厚さの薄膜を成膜することが可能であり、特にこの技術では薄膜の密着性に優れる。また、合金の成膜には、その合金の粉末を用意すればよく簡単に合金を成膜することができる。
【0046】
さらに望ましくは低温溶射法で製造すれば良く、なぜならば製造時に電極の温度が140℃以上になると使用している材料の性質から電極の劣化が進みやすくなるが、低温溶射法で製造すると基板を冷却しながら溶射するため溶射された材料の温度がすみやかに下がり基板の温度が上昇することを防げるため、140℃以上になることを防止できるからである。
【0047】
図11は、これら薄膜成膜方法を用いた本第1の実施の形態における集電体薄膜6の成膜と、従来のように金属箔を集電体として用いた場合の違いを模式的に表した図面である。
【0048】
図11(a)に示すように、本発明を用いたことで、集電体となる集電体薄膜6は、電極物質14(正極2または負極3)上に微粒子または原子レベルの厚さの薄膜として形成できるため、非常に薄くすることができ、また、集電体薄膜6を形成する際にも、その基材となる電極物質14に特別な強度を必要としない。
【0049】
これに対して、図11(b)に示すように、従来法では、電極物質14を集電体となる金属箔15上に塗布するため、この金属箔15自体に、電極物質14の塗布に耐える強度を持たせるためにある程度の厚さが必要となる。このため、集電体を薄くするには限界があり、微粒子や原子レベルまで薄くすることはできないのである。
【0050】
以上のような各薄膜成膜法を用いて成膜する集電体薄膜6として用いられる金属は、たとえば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、鉄、クロム、金、または、これらの合金(たとえば、クロム−ニッケル−鉄を蒸着することにより形成されたステンレス合金、ニッケル−タングステン合金、ニッケル−銅合金など)などであり、5μm以下の膜厚として成膜することができる金属であればどのようなものであってもよい。
【0051】
正極2側に蒸着する集電体薄膜6と負極3側に成膜する集電体薄膜6は、異なる金属であってもよい。たとえば、正極2側にアルミニウム、負極3側に銅、正極2側にアルミニウム、負極3側にステンレスなどさまざまな組み合わせが可能である。
【0052】
また、端部集電体9には、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレスなどの金属による箔、また、これら金属(またはこれらの金属からなる合金)の粉末を主成分として、これにバインダ(たとえばエポキシ樹脂)、溶剤を含む集電体金属ペーストを加熱して成形してなるものなどである。
【0053】
この端部集電体9の厚さは、特に限定されないが、通常は20〜100μm程度である。
【0054】
このように、端部集電体9として金属箔やバインダにより形成されたものを用いるのは、この端部集電体9の場合、電力を取り出すための電極タブを取り付ける必要性から、他の集電体よりも強度が必要となるためである。
【0055】
なお、端部集電体9には、さらに強度を増すために厚みのある金属板(端子板と称する)を取り付けてもよい。端子板の素材として、上記端部集電体9の素材と同様である。
【0056】
集電体以外の電池要素13を構成する材料としては、一般的にリチウムイオン電池に使用されているものであれば使用することができる。以下に、上記した集電体以外の電池用を構成部材について個別に説明する。
【0057】
[正極(正極活物質層)]
正極は、正極活物質を含む。このほかにも、イオン伝導性を高めるために電解質、リチウム塩、導電助剤などが含まれ得る。特に、正極または負極の少なくとも一方に電解質、好ましくは固体高分子電解質が含まれていることが望ましいが、バイポーラ電池の電池特性をより向上させるためには、双方に含まれることが好適である。
【0058】
上記正極活物質としては、溶液系のリチウムイオン電池でも使用される、遷移金属とリチウムとの複合酸化物を使用できる。具体的には、LiCoO2などのLi・Co系複合酸化物、LiNiO2などのLi・Ni系複合酸化物、スピネルLiMn2O4などのLi・Mn系複合酸化物、LiFeO2などのLi・Fe系複合酸化物などが挙げられる。このほか、LiFePO4などの遷移金属とリチウムのリン酸化合物や硫酸化合物;V2O5、MnO2、TiS2、MoS2、MoO3などの遷移金属酸化物や硫化物;PbO2、AgO、NiOOHなどが挙げられる。
【0059】
正極活物質の粒径は、製法上、正極材料をペースト化してスプレーコートなどにより製膜し得るものであればよいが、さらにバイポーラ電池の電極抵抗を低減するために、電解質が固体でない溶液タイプのリチウムイオン電池で用いられる一般に用いられる粒径よりも小さいものを使用するとよい。具体的には、正極活物質の平均粒径が10〜0.1μmであるとよい。
【0060】
上記正極に含まれる電解質としては、固体高分子電解質に制限されるべきものではなく、高分子ゲル電解質であっても、絶縁層を形成するなどして、液絡を防止することができるものであれば利用することができるほか、これらを併用することもできる。すなわち、正極を多層構造とすることもでき、集電体側と電解質側とで、正極を構成する電解質の種類や活物質の種類や粒径、さらにはこれらの配合比を変えた層を形成することもできる。好ましくは、高分子ゲル電解質を構成するポリマーと電解液との比率(質量比)が、20:80〜95:5とする、比較的電解液の比率が小さい範囲であるが、より好ましくは固体高分子電解質である。これは、本発明により固体高分子電解質を用いた電池を折り曲げなどにより損傷させることなく自動車の熱源を利用できるため、高分子ゲル電解質や液体電解質に比して耐熱性に優れ、熱分解したり、高温でガス化したり、発火するおそれがなく、また、釘刺し耐性に優れ外部負荷等での破損による液漏れや短絡が生じにくく、さらにコンパクトで形状が自由にできるという固体高分子電解質の特性を有効に利用することができるためである。
【0061】
なお、本発明では、固体高分子電解質と、高分子ゲル電解質との違いを以下のように規定する。
【0062】
ポリエチレンオキシド(PEO)などの固体高分子電解質に、通常リチウムイオン電池で用いられる電解液を含んだものが高分子ゲル電解質である。
【0063】
また、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)など、リチウムイオン導伝性を持たない高分子の骨格中に、電解液を保持させたものも高分子ゲル電解質にあたる。
【0064】
高分子ゲル電解質を構成するポリマーと電解液の比率は幅広く、ポリマー(高分子)100%を固体高分子電解質、電解液100%を液体電解質とすると、その中間体はすべて高分子ゲル電解質にあたる。
【0065】
上記固体高分子電解質は、イオン伝導性を有する高分子であれば、特に限定されるものではない。イオン伝導性を有する高分子としては、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)などのポリアルキレンオキシド系高分子、これらの共重合体などが挙げられる。なお共重合体では、少なくともイオン伝導性を有する高分子鎖を有するものであればよく、たとえば、ポリフッ化ビニリデンのようなイオン電導性を持たないものとの共重合体であるポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレンなどであってもよい。上記ポリアルキレンオキシド系高分子は、LiBF4、LiPF6、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2などのリチウム塩をよく溶解しうる。また、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度が発現する点で有利である。
【0066】
上記高分子ゲル電解質は、上記に規定したように、イオン導伝性を有する固体高分子電解質に、通常リチウムイオン電池で用いられる電解液を含んだものであるが、さらに、リチウムイオン導伝性を持たない高分子の骨格中に、同様の電解液を保持させたものも含まれるものである。
【0067】
ここで、高分子ゲル電解質に含まれる電解液(電解質塩および可塑剤)としては、通常リチウムイオン電池で用いられるものであればよく、たとえば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiTaF6、LiAlCl4、Li2B10Cl10等の無機酸陰イオン塩、LiCF3SO3、Li(CF3SO2)2N、Li(C2F5SO2)2N等の有機酸陰イオン塩の中から選ばれる、少なくとも1種類のリチウム塩(電解質塩)を含み、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン等のエーテル類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトニトリル等のニトリル類;プロピオン酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;酢酸メチル、蟻酸メチルの中から選ばれる少なくともから1種類または2種以上を混合した、非プロトン性溶媒等の有機溶媒(可塑剤)を用いたものなどが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。
【0068】
高分子ゲル電解質に用いられるリチウムイオン導伝性を持たない高分子としては、たとえば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。なお、PAN、PMMAなどは、どちらかと言うとイオン伝導性がほとんどない部類に入るものであるため、上記イオン伝導性を有する高分子とすることもできるが、ここでは高分子ゲル電解質に用いられるリチウムイオン導伝性を持たない高分子として例示したものである。
【0069】
上記リチウム塩としては、たとえば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiTaF6、LiAlCl4、Li2B10Cl10等の無機酸陰イオン塩、Li(CF3SO2)2N、Li(C2F5SO2)2N等の有機酸陰イオン塩、またはこれらの混合物などが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。
【0070】
導電助剤としては、アセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト等が挙げられる。ただし、これらに限られるわけではない。
【0071】
正極における、正極活物質、電解質(好ましくは固体高分子電解質)、リチウム塩、導電助剤の配合量は、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性を考慮して決定すべきである。たとえば、正極内における電解質、特に固体高分子電解質の配合量が少なすぎると、活物質層内でのイオン伝導抵抗やイオン拡散抵抗が大きくなり、電池性能が低下してしまう。一方、正極内における電解質、特に固体高分子電解質の配合量が多すぎると、電池のエネルギー密度が低下してしまう。したがって、これらの要因を考慮して、目的に合致した固体高分子電解質量を決定する。
【0072】
ここで現状レベルの固体高分子電解質(イオン伝導度:10−5〜10−4S/cm)を用いて電池反応性を優先するバイポーラ電池を製造する場合について、具体的に考えてみる。かような特徴を有するバイポーラ電池を得るには、導電助剤を多めにしたり活物質のかさ密度を下げたりして、活物質粒子間の電子伝導抵抗を低めに保つ。同時に空隙部を増やし、該空隙部に固体高分子電解質を充填する。かような処理によって固体高分子電解質の割合を高めるとよい。
【0073】
正極の厚さは、特に限定するものではなく、配合量について述べたように、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性を考慮して決定すべきである。一般的な正極活物質層の厚さは10〜500μm程度である。
【0074】
[負極(負極活物質層)]
負極は、負極活物質を含む。このほかにも、イオン伝導性を高めるために電解質、リチウム塩や導電助剤などが含まれ得る。負極活物質の種類以外は、基本的に[正極]の項で記載した内容と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0075】
負極活物質としては、溶液系のリチウムイオン電池でも使用される負極活物質を用いることができる。ただし、本発明のバイポーラ電池では、固体高分子電解質が好適に用いられるため、該固体高分子電解質での反応性を考慮すると、金属酸化物、リチウム−金属複合酸化物金属、カーボンなどが好ましい。より好ましくは、カーボン、遷移金属酸化物、リチウム−遷移金属複合酸化物である。さらに好ましくは、チタン酸化物、リチウム−チタン複合酸化物、カーボンである。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0076】
[電解質]
電解質としては、固体高分子電解質、または高分子ゲル電解質であっても液絡を防止することができるものであれば利用することができるほか、これらを併用することもできる。また、電解質を多層構造とすることもでき、正極側と負極側とで、電解質の種類や成分配合比を変えた層を形成することもできる。高分子ゲル電解質を用いる場合、該高分子ゲル電解質を構成するポリマーと電解液との比率(質量比)が、20:80〜95:5と比較的電解液の比率が小さい範囲であるが、より好ましくは固体高分子電解質である。これは、固体高分子電解質は、高分子ゲル電解質や液体電解質に比して耐熱性に優れ、熱分解したり、高温でガス化したり、発火したりするおそれがなく、また、釘刺し耐性に優れ外部負荷等での破損による液漏れや短絡が生じにくく、さらにコンパクトで形状が自由にできるという固体高分子電解質に固有の特性を有効に利用することができるためである。
【0077】
上記固体高分子電解質は、イオン伝導性を有する高分子から構成される層であり、イオン伝導性を示すのであれば材料は限定されない。固体高分子電解質としては、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、これらの共重合体のような公知の固体高分子電解質が挙げられる。固体高分子電解質中には、イオン伝導性を確保するためにリチウム塩が含まれる。リチウム塩としては、LiBF4、LiPF6、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、またはこれらの混合物などが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。PEO、PPOのようなポリアルキレンオキシド系高分子は、LiBF4、LiPF6、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2などのリチウム塩をよく溶解しうる。また、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度が発現する。
【0078】
また、高分子ゲル電解質は、上記に規定したように、イオン導伝性を有する固体高分子電解質に、通常リチウムイオン電池で用いられる電解液を含んだものであるが、さらに、リチウムイオン導伝性を持たない高分子の骨格中に、同様の電解液を保持させたものも含まれるものである。これらについては、[正極]に含まれる電解質の1種として説明した高分子ゲル電解質と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0079】
これら固体高分子電解質もしくは高分子ゲル電解質は、電池を構成する高分子電解質のほか、上記したように正極および/または負極にも含まれ得るが、電池を構成する高分子電解質、正極、負極によって異なる高分子電解質を用いてもよいし、同一の高分子電解質を使用してもよいし、層によって異なる高分子電解質を用いてもよい。
【0080】
電池を構成する電解質の厚さは、特に限定するものではない。しかしながら、コンパクトなバイポーラ電池を得るためには、電解質としての機能が確保できる範囲で極力薄くすることが好ましい。一般的な固体高分子電解質層の厚さは10〜100μm程度である。電解質の形状は、製法上の特徴を生かして、電極(正極または負極)の上面ならびに側面外周部も被覆するように形成することも容易であり、機能、性能面からも部位によらず常に略一定の厚さにする必要はない。
【0081】
ところで、本発明において、好ましく使用される固体高分子電解質用の高分子は、PEO、PPOのようなポリエーテル系高分子である。このため、高温条件下における正極側での耐酸化性が弱い。したがって、溶液系のリチウムイオン電池で一般に使用される酸化還元電位の高い正極剤を使用する場合には、負極の容量が、固体高分子電解質を介して対向する正極の容量より少ないことが好ましい。負極の容量が対向する正極の容量より少ないと、充電末期に正極電位が上がり過ぎることを防止できる。なお、正極および負極の容量は、正極および負極を製造する際の理論容量として、製造条件から求めることができる。完成品の容量を測定装置で直接測定してもよい。
【0082】
ただし、負極の容量が対向する正極の容量と比べて少ないと、負極電位が下がりすぎて電池の耐久性が損なわれる恐れがあるので充放電電圧に注意する必要がある。たとえば、一のセルの平均充電電圧を使用する正極活物質の酸化還元電位に対して適切な値に設定して、耐久性が低下しないように注意する。
【0083】
[絶縁層]
絶縁層(不図示)は、集電体同士が接触したり、電解液が漏れ出したり、積層電極の端部の僅かな不ぞろいなどによる短絡が起こるのを防止する目的で、各電極の周囲に形成されてなるものである。
【0084】
該絶縁層としては、製法上、スプレーコートなどの薄膜製造技術により、いかような形状を有するものにも製膜して形成し得るものであり、かつ絶縁性、電解質の漏出や外部からの水分の透湿に対するシール性(密封性)、電池動作温度下での耐熱性などを有するものであればよく、たとえば、エポキシ樹脂、ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが使用できるが、耐蝕性、耐薬品性、作り易さ(製膜性)、経済性などの観点からは、エポキシ樹脂が好ましい。
【0085】
[正極タブおよび負極タブ]
正極タブおよび負極タブに関しては、通常リチウムイオン電池で用いられる公知の電極タブを用いることができる。
【0086】
[電池外装材(電池ケース)]
バイポーラ電池は、使用する際の外部からの衝撃、環境劣化を防止するために、電池要素(図7参照)を電池外装材ないし電池ケース(図示せず)に収容している。軽量化の観点からは、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、銅などの金属(合金を含む)をポリプロピレンフィルム等の絶縁体で被覆した高分子−金属複合ラミネートフィルムやアルミラミネートパックなど、従来公知の電池外装材を用いて、その周辺部の一部または全部を熱融着により接合することにより、電池積層体を収納し密封した構成とするのが好ましい。この場合、上記正極および負極タブは、上記熱融着部に挟まれて上記電池外装材の外部に露出される構造とすればよい。また、熱伝導性に優れた高分子−金属複合ラミネートフィルムやアルミラミネートパックなどを用いることが、自動車の熱源から効率よく熱を伝え、電池内部を電池動作温度まですばやく加熱することができる点で好ましい。
【0087】
図12は、図7に示した電池要素13をアルミラミネートパックにより電池20として構成した場合の外観を示す図面である。
【0088】
この電池20は、端部集電体9に上記の正極タブ8および負極タブ11を取り付けて、ラミネートパックから電極23および24として取り出している。
【0089】
<実験例>
上述のように構成される本第1の実施の形態によるバイポーラ電池を実際に製作し、体積エネルギー密度および重量エネルギー密度の測定、ならびに充放電サイクル試験を行った。なお、比較のために従来法によりすべての集電体を厚さ20μmのステンレス箔を使用した、同様構造の比較例も製作した。
【0090】
本第1の実施の形態により製作した評価サンプルは、真空蒸着法を用いて異なる厚さの集電体薄膜6を蒸着して、実験のサンプルとした。サンプル1は集電体薄膜6の厚さが蒸着時0.2μm(電池要素13として積層したときの集電体の厚さは0.4μm、以下積層時と記す)、サンプル2は集電体薄膜6の厚さが蒸着時0.4μm(積層時0.8μm)、サンプル3は集電体薄膜6の厚さが蒸着時0.5μm(積層時1.0μm)、サンプル4は集電体薄膜6の厚さが蒸着時1μm(積層時2.0μm)、サンプル5は集電体薄膜6の厚さが蒸着時2.5μm(積層時5.0μm)である。
【0091】
各サンプルにおける電池要素13は、以下のとおり製作した。
【0092】
(正極)
正極活物質としてLiMn2O4を22重量%、導電助剤としてアセチレンブラックを6重量%、ポリマーとしてポリエチレンオキシド(PEO)とポリプロピレンオキシド(PPO)の共重合体を18重量%、支持塩としてLi(C2F5SO2)2Nを9重量%、スラリー粘度調整溶媒としてN−メチルピロリドン(NMP)を45重量%、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を微量、混合して正極スラリーを調整した。この正極スラリーを厚さ100μmのポリエチレンフィルム1の片面に塗布し、110℃、4時間の熱重合により硬化させて正極2を作製した。
【0093】
(負極)
負極活物質としてLi4Ti5O12を14重量%、導電助剤としてアセチレンブラックを4重量%、ポリマーとしてポリエチレンオキシド(PEO)とポリプロピレンオキシド(PPO)の共重合体を20重量%、支持塩としてLi(C2F5SO2)2Nを11重量%、スラリー粘度調整溶媒としてN−メチルピロリドン(NMP)を51重量%、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を微量混合して、負極スラリーを調整した。この負極スラリーを厚さ100μmのポリエチレンフィルム1の片面に塗布し、110℃、4時間の熱重合により硬化させて負極3を作製した。
【0094】
(単電池層)
以上により作成した正極2と負極が電解質4を挟んで対向するように積層して、単電池層5を形成した。
【0095】
用いた電解質4は、
ポリマーとしてポリエチレンオキシド(PEO)とポリプロピレンオキシド(PPO)の共重合体を56重量%、支持塩としてLi(C2F5SO2)2Nを44重量%、重合開始剤としてベンジルジメチルケタール(BDK)を微量混合し、光重合により厚さ100μmの電解質膜を作成した。
【0096】
そして、これらの単電池層5を5つ作製し、また、末端極用(端部集電体形成用)としての正極2および負極3をそれぞれ一つずつ作製した。
【0097】
なお、電極面積はすべて60mm×80mmとした。
【0098】
(集電体薄膜の形成)
正極2、負極3のそれぞれについているポリエチレンフィルム1をそれぞれきれいにはがし、これを真空蒸着装置内に載置して、正極2および負極3のそれぞれの面にアルミニウム薄膜を蒸着して集電体薄膜6を形成した。
【0099】
また、末端用は、先にポリエチレンフィルム1の一方の面のみはがし、そこに20μmのステンレス箔を取り付けた後、他方の面のポリエチレンフィルム1をはがして、これを真空蒸着装置内に載置し、正極2または負極3の面にアルミニウム薄膜を蒸着して集電体薄膜6を形成した。
【0100】
蒸着したアルミニウム薄膜(集電体薄膜6)の厚さを膜厚計により計測し、0.2μm(サンプル1用)、0.4μm(サンプル2用)、0.5μm(サンプル3用)、1μm(サンプル4用)、2.5μm(サンプル5用)とした。
【0101】
(電池の作製)
上記のようにして、形成した集電体薄膜6つきの単電池層5を交互に積み重ねて行き末端電極から正極タブ8および負極タブ11を出してアルミラミネートパック内に封入し、単電池層5が7層となるバイポーラ電池を完成させた。
【0102】
(比較例の作製)
なお、比較例も集電体として20μm厚のステンレス箔を用いて、この集電体上に正極2および負極スラリーを塗布する方法で同様のバイポーラ電池を作製した。
【0103】
(評価)
表1は、作製した第1の実施の形態による各サンプルと比較例の各層の厚さを示す表であり、表2は、同じく本第1の実施の形態による各サンプルと比較例の各層の密度または重量を示す表である。なお、表において集電体層は、単電池層を積層することにより集電体薄膜が2枚重ねられた層である。したがって、集電体薄膜6の厚さの2倍となっている。また、集電体層総厚は、単電池蚤7層の間の集電体層の合計であり、ここでは集電体層が6層分となる。
【0104】
【表1】
【0105】
【表2】
【0106】
上記のとおりに作製したサンプル1〜5、および比較例のバイポーラ電池で充放電サイクル試験を行った。実験は0.2Cの電流で充電し、0.1Cの電流で放電を行い、このサイクルを1サイクルとして充放電サイクル実験を行った。また、交流インピーダンス測定により集電体部の抵抗と接触抵抗分を測定した。
【0107】
それぞれの電池の充放電評価を行ったところ、本第1の実施の形態による各サンプルと比較例は、いずれも容量、サイクル特性などの性能に大きな差は見られなかった。この結果から本実施の形態による各サンプルにおいても短絡および液絡はなく層と層の間の集電体薄膜6は隙間なく埋めつくしていることがわかる。
【0108】
したがって、表1および2からわかるとおり、重量と体積は集電体を薄膜化したことで小さくなり、その結果、体積エネルギー密度、体積出力密度、重量エネルギー密度、および重量出力密度はそれぞれ本実施の形態による各サンプルの方が比較例よりも向上することがわかる。具体的には、体積エネルギー密度および体積出力密度は14%程度向上し、重量エネルギー密度および重量出力密度は25%程度向上した。
【0109】
また、交流インピーダンス測定により集電体部の抵抗と接触抵抗分を測るとサンプル1は0.311mΩ、サンプル2は0.312mΩ、サンプル3は0.413mΩ、サンプル4は0.553mΩ、サンプル5は0.600mΩであり、比較例は2.321mΩであった。この結果から集電体部の抵抗と接触抵抗分は向上した。
【0110】
以上説明したように、本第1の実施の形態によれば、基材となるポリエチレンフィルム1上に、正極2または負極3を形成した後、この正極面または負極面に集電体となる金属薄膜を成膜することとしたので、従来のように集電体に正極2や負極3を塗布形成することと比較すると、集電体自体に正極2や負極3の塗布形成に耐えるための強度が必要ではなくなるので、集電体を非常に薄く、たとえば、原子レベルにまで薄くすることが可能となる。このため、電池の体積エネルギー密度、体積出力密度、重量エネルギー密度、および重量出力密度を向上させることができる。
【0111】
なお、本第1の実施の形態では、単電池層5の正極2側と負極3側の両面に集電体薄膜6を成膜したが、これは、正極2側または負極3側のいずれか一方のみに成膜して、その後積層することにより電池要素13を形成してもよい。これにより、特に、スパッタ法や溶射法のように、一度に片面しか成膜することができない成膜法を用いる場合には、生産効率が構造する。
【0112】
また、本第1の実施の形態では、単電池層5の一面に端部集電体9を設けてから、この単電池層5の他面に集電体薄膜6を形成し、これを電池要素13として端部に積層しているが、この端部集電体9は、正極2および負極3の両面に集電体薄膜6を設けたもののみですべての電池要素13を形成し、その後その電池要素13の端部に、端部集電体9となる金属箔を設けるようにしてもよい。
【0113】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態は、ごく薄い金属箔を集電体として使用したバイポーラ電池である。
【0114】
図13は、本第2の実施の形態におけるバイポーラ電池の製造方法を説明するための図面である。
【0115】
本第1の実施の形態では、まず、前述した第1の実施の形態と同様にポリエチレンフィルム1上に正極2および負極3を形成した後、これらにより電解質4を挟み単電池層5を形成する(図1および2参照)。また、同様に、端部集電体9として、前述した第1の実施の形態1と同様に厚さ20μm程度のステンレス箔を用いて、正極2を形成したものと、負極3を形成したものをそれぞれ用意する。
【0116】
その後、図12に示すように、本第2の実施の形態では、ポリエチレンフィルム1をはがし、単電池層5の正極2と負極3が向かい合うようにして、その間に金属箔16を挟んで積層する。ここで、使用する金属箔16は集電体となるものである。このため本第2の実施の形態では、金属箔16として5μm以下のものを使用する。金属箔16の下限値は集電体として使用できるものであれば、薄ければ薄いほどよい。なお、この金属箔16と使用することのできる金属は、第1の実施の形態と同様に、たとえば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、鉄、クロム、金、およびこれらの合金、ならびにステンレスなどである。
【0117】
これにより、電池要素18ができあがるので、これをパッケージすることでバイポーラ電池として完成する。
【0118】
<実験例>
上述のように構成される本第2の実施の形態によるバイポーラ電池を実際に製作し、体積エネルギー密度および重量エネルギー密度の算出、ならびに充放電サイクル試験を行った。なお、比較のために従来法によりすべての集電体を厚さ20μmのステンレス箔を使用した、同様構造の比較例も製作した。
【0119】
(電池の構成)
電池の構成は、集電体として5μm厚のステンレス箔を使用した以外は、前述した第1の実施の形態における実験例と同様である。この実験例における本題2の実施の形態における試験サンプルをサンプル6とする。また、比較例についても第1の実施の形態における実験例における比較例と同じである。
【0120】
(評価)
表3は、作製した本第2の実施の形態によるサンプルと比較例の各層の厚さを示す表であり、表4は、同じく本第2の実施の形態によるサンプルと比較例の各層の密度または重量を示す表である。
【0121】
【表3】
【0122】
【表4】
【0123】
上記のとおり作製したサンプル6、および比較例のバイポーラ電池で充放電サイクル試験を行った。実験は0.2Cの電流で充電し、0.1Cの電流で放電を行い、このサイクルを1サイクルとして充放電サイクル実験を行った。また、交流インピーダンス測定により集電体部の抵抗と接触抵抗分を測定した。
【0124】
それぞれの電池の充放電評価を行ったところ、本第2の実施の形態によるサンプル6と比較例は、いずれも容量、サイクル特性などの性能に大きな差は見られなかった。この結果から本実施の形態による各サンプルにおいても短絡および液絡はなく層と層の間の集電体薄膜6は隙間なく埋めつくされていることがわかる。
【0125】
したがって、表3および4からわかるとおり、重量と体積は集電体を薄膜化したことで小さくなり、その結果、体積エネルギー密度、体積出力密度、重量エネルギー密度、および重量出力密度はそれぞれ本実施の形態による各サンプルの方が比較例よりも向上することがわかる。具体的には、体積エネルギー密度および体積出力密度は10%程度向上し、重量エネルギー密度および重量出力密度は40%程度向上した。
【0126】
また、交流インピーダンス測定により集電体部の抵抗と接触抵抗分を測るとサンプル6は1.341mΩ、比較例は2.321mΩであった。この結果から集電体と接触抵抗分も向上した。
【0127】
以上説明したように、本発明を適用した第2の実施の形態によれば、バイポーラ電池の集電体にごく薄い金属箔16を使用することができるので、体積エネルギー密度、体積出力密度、重量エネルギー密度、および重量出力密度を向上させることができる。
【0128】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態は、上述した第1の実施の形態によるバイポーラ電池を複数個接続した組電池である。
【0129】
図14は、第3の実施の形態による組電池の斜視図であり、図15は、内部構成を上方から見た図面である。
【0130】
図示するようにこの組電池50は、上述した第1の実施の形態によるバイポーラ電池1をラミネートパックによりパッケージした電池20(図10参照)を複数個直列に接続したものをさらに並列に接続したものである。電池20同士は、導電バー53により各電池の電極23および24が接続されている。この組電池50には電極ターミナル51および52が、この組電池50の電極として組電池50の一側面に設けられている。
【0131】
この組電池においては、電池20を直接に接続しさらに並列に接続する際の接続方法として、超音波溶接、熱溶接、レーザー溶接、リベット、かしめ、電子ビームなどを用いることができる。このような接続方法をとることで、長期的信頼性のある組電池を製造することができる。
【0132】
本第3の実施の形態による組電池によれば、前述した第1の実施の形態による電池を用いて組電池化することで、同じ大きさの組電池であれば従来より高容量、高出力と得ることができる。
【0133】
なお、組電池としての電池20の接続は、電池20を複数個すべて並列に接続してもよいし、また、電池20を複数個すべて直列に接続してもよい。
【0134】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態は、上述した第3の実施の形態による組電池を複数個接続した組電池モジュールである。
【0135】
図16は、第4の実施の形態による組電池モジュールの斜視図である。
【0136】
この組電池モジュール60は、前述した第3の実施の形態による組電池50を複数個積層し、各組電池50の電極ターミナル51、52を導電バー61および62によって接続し、モジュール化したものである。
【0137】
このように、組電池50をモジュール化することによって、電池制御を容易にし、たとえば電気自動車やハイブリッド自動車などの車搭用として最適な組電池モジュールとなる。そして、この組電池モジュール60は、上述した組電池を用いたものであるから長期的信頼性の高いものとなる。
【0138】
なお、このような組電池モジュールも組電池の一種である。
【0139】
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態は、上述した第4の実施の形態による組電池モジュールを搭載し、モータの電源として使用してなる自動車である。組電池モジュールをモータ用電源として用いる自動車としては、たとえば電気自動車、ハイブリッド自動車など、車輪をモータによって駆動している自動車である。
【0140】
参考までに、図17に、組電池モジュール60を搭載する自動車100の概略図を示す。自動車に搭載される組電池モジュール60は、上記説明した特性を有する。このため、組電池モジュール60を搭載してなる自動車は高い耐久性を有し、長期間に渡って使用した後であっても充分な出力を提供しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態におけるバイポーラ電池の製造方法を説明するための図面である。
【図2】図1に続いてバイポーラ電池の製造方法を説明するための図面である。
【図3】図2に続いてバイポーラ電池の製造方法を説明するための図面である。
【図4】図3に続いてバイポーラ電池の製造方法を説明するための図面である。
【図5】図4に続いてバイポーラ電池の製造方法を説明するための図面である。
【図6】図5に続いてバイポーラ電池の製造方法を説明するための図面である。
【図7】図6に続いてバイポーラ電池の製造方法を説明するための図面である。
【図8】真空蒸着装置の概略を示す図面である。
【図9】真空蒸着法による金属薄膜の成膜の様子を示す図面である。
【図10】スパッタ装置の概略を示す図面である。
【図11】第1の実施の形態における集電体薄膜の成膜と、従来のように金属箔を集電体として用いた場合の違いを模式的に表した図面である。
【図12】図7に示した電池要素をアルミラミネートパックにより電池として構成した場合の外観を示す図面である。
【図13】本発明を適用した第2の実施の形態におけるバイポーラ電池の製造方法を説明するための図面である。
【図14】本発明を適用した第3の実施の形態による組電池の斜視図である。
【図15】上記組電池の内部構成を上方から見た図面である。
【図16】本発明を適用した第4の実施の形態による組電池モジュールの斜視図である。
【図17】本発明を適用した第5の実施の形態における組電池モジュールを設けた自動車の図面である。
【符号の説明】
1 ポリエチレンフィルム
2 正極
3 負極
4 電解質
5 単電池層
6 集電体薄膜
7 バイポーラ電極
8 正極タブ
9 端部集電体
10 正極タブ層
11 負極タブ
12 負極タブ層
13、18 電池要素
14 電極物質
16 金属箔
20 バイポーラ電池
50 組電池
60 組電池モジュール
100 自動車
Claims (16)
- 基材上に正極を形成する段階と、
基材上に負極を形成する段階と、
前記正極と前記負極により電解質を挟み込み単電池層を形成する段階と、
前記単電池層の前記基材をはがし、前記正極および前記負極のうち少なくとも一方の面に集電体となる金属薄膜を成膜する段階と、
前記金属薄膜を成膜した前記単電池層を積層して電池要素を形成する段階と、
を有することを特徴とするバイポーラ電池の製造方法。 - 基材上に正極を形成する段階と、
基材上に負極を形成する段階と、
前記正極と前記負極により前記電解質を挟み込み単電池層を形成する段階と、
前記単電池層の前記基材をはがし、前記単電池層の前記正極側に正極タブを接続するための金属箔を取り付け、前記負極側に前記集電体となる金属薄膜を成膜して正極タブ層を製作する段階と、
前記単電池層の前記基材をはがし、前記単電池層の前記負極側に負極タブを接続するための金属箔を形成し、前記正極側に前記集電体となる金属薄膜を成膜して負極タブ層を製作する段階と、
前記正極タブ層および前記負極タブ層のそれぞれの前記金属薄膜側を前記電池要素に向けて前記電池要素の端部に積層する段階と、
を有することを特徴とする請求項1記載のバイポーラ電池の製造方法。 - 前記金属薄膜は、真空蒸着法、スパッタ法、および溶射法のうちいずれかを用いて成膜することを特徴とする請求項1または2記載のバイポーラ電池の製造方法。
- 前記金属薄膜は、膜厚が5μm以下であることを特徴とする請求項1または2記載のバイポーラ電池の製造方法。
- 前記金属薄膜は、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、鉄、クロム、金よりなる群から選択された少なくとも一つの金属であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のバイポーラ電池の製造方法。
- 基材上に正極を形成する段階と、
基材上に負極を形成する段階と、
前記正極と前記負極により電解質を挟み込み単電池層を形成する段階と、
前記単電池層の前記基材をはがし前記正極と前記負極の間に、集電体となる厚さ5μm以下の金属箔を挟み込んで前記単電池層を積層し、電池要素を形成する段階と、
を有することを特徴とするバイポーラ電池の製造方法。 - 前記金属箔は、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、鉄、クロム、および金よりなる群から選択された少なくとも一つの金属であることを特徴とする請求項6記載のバイポーラ電池の製造方法。
- 前記正極は、リチウム−遷移金属複合酸化物からなる正極活物質を含み、
前記負極は、カーボンまたはリチウム−遷移金属複合酸化物からなる負極活物質を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載のバイポーラ電池の製造方法。 - 前記電解質は、固体高分子電解質であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載のバイポーラ電池の製造方法。
- 集電体の一方の面に正極が形成され、他方の面に負極が形成されたバイポーラ電極を、電解質を挟んで複数枚直列に積層した構造を有するバイポーラ電池において、
前記集電体の厚さが5μm以下であることを特徴とするバイポーラ電池。 - 前記集電体は、真空蒸着法、スパッタ法、および溶射法のうちいずれかを用いて成膜された金属薄膜であることを特徴とする請求項10記載のバイポーラ電池。
- 前記金属薄膜は、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、鉄、クロム、および金よりなる群から選択された少なくとも一つの金属であることを特徴とする請求項11記載のバイポーラ電池。
- 前記正極は、リチウム−遷移金属複合酸化物からなる正極活物質を含み、
前記負極は、カーボンまたはリチウム−遷移金属複合酸化物からなる負極活物質を含むことを特徴とする請求項11〜12のいずれか一つに記載のバイポーラ電池。 - 電解質は、固体高分子電解質であることを特徴とする請求項10〜13のいずれか一つに記載のバイポーラ電池。
- 請求項10〜14のいずれか一つ記載のバイポーラ電池を複数個、並列および/または直列に接続したことを特徴とする組電池。
- 請求項15記載の組電池を車輪を駆動するためのモータの電源として用いたことを特徴とする自動車。
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