JP2004164874A - 異方性導電接着剤用導電微粒子 - Google Patents

異方性導電接着剤用導電微粒子 Download PDF

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穆彦 大谷
Yoshiaki Kodera
嘉秋 小寺
Junzo Ota
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Abstract

【課題】異方性導電接着剤用の導電微粒子及びその製造方法において、電気的接続についての信頼性を確保しつつ、製造コストを低減することのできるものを提供する。
【解決手段】平均粒径1〜100μmの球状の基材微粒子が、0.03〜1.0μmの金属層により被覆される。この基材微粒子は、ε−カプロラクタムと、炭素数10〜12の非分岐炭素鎖を有するラクタムとを共重合した構造のポリアミド樹脂(タイプIの樹脂)であるか、または、炭素数4〜6の直鎖脂肪族ジイソシアネートと、炭素数8〜10の直鎖脂肪族ジオールとを重合した構造、または、炭素数8〜10の直鎖脂肪族ジイソシアネートと、炭素数4〜6の直鎖脂肪族ジオールとを重合した構造を有するポリウレタン樹脂(タイプIIの樹脂)である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電微粒子、及びこれを用いた異方性導電接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
異方性導電接着剤は、ベースをなす接着剤樹脂中に導電性微粒子が分散されたものであり、電極端子の間に挟まれて厚さ方向に加圧された状態で、導電性微粒子が該端子間の電気的接続を実現する。すなわち、異方性導電接着剤は、端子面同士の機械的接続を行うと同時に、対応する端子間の電気的接続を行うものである。異方性導電接着剤は、一般には、フィルムまたはペースト等の状態で、すなわち、異方性導電フィルム(ACF)や異方性導電ペースト(ACP)または異方性導電インク(ACI)などとして供給されている。ベースをなす接着剤樹脂には、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられている。
【0003】
異方性導電接着剤は、液晶表示装置(LCD)やプラズマディスプレイ装置(PDP)といった平面表示装置や駆動回路基板等において、表示パネル上や基板上の端子部と外部接続端子との接続や、パネル面または基板面へのICチップの実装等に用いられている。異方性導電接着剤を用いて、ICチップのパネル面への表面実装(COG; Chip On Glass)や、基板面への表面実装(COB; Chip On Board, COF; Chip On Flexibleboard)及び半導体表面実装パッケージなどが実現されている。
【0004】
例えば、液晶表示装置のパネル本体とフレキシブル接続基板(FPC)やTCP(tape carrier package; TABとも呼ばれる)との間の接続に用いられる場合、フレキシブル基板の端子部が、テープ状の異方性導電接着剤を介して、パネル本体周縁部の端子部に貼り付けられる。この貼り付けの際には、対応する端子同士が接続するように精密な位置合わせが行われるとともに、導電性接着剤の配置個所全面にわたって加熱・圧締が行われる。
【0005】
異方性導電接着剤用の導電微粒子には、金属のみからなる球状の粒子も用いられているが、プラスチック微粒子を金属層により被覆したものが、微細端子間の接続などに広く用いられている。このプラスチック微粒子は、圧着時に充分な端子間導通を実現すべく、粒径の揃ったものであることが求められる。
【0006】
一方、粒径の揃ったプラスチック微粒子を得るための湿式分級法やシード重合法といった技術が、液晶表示装置用の球状スペーサー等の目的で開発されている(例えば特許文献1〜2)。液晶表示装置用の球状スペーサーとは、液晶層を両側から挟み込む基板の間に散布されて、基板間のギャップを均一に保つものである。このようなプラスチック微粒子として、ジビニルベンゼン系ないし架橋ポリスチレン系の樹脂、アクリル系ないしメタクリル系樹脂、またはグアナミン系樹脂が広く用いられている。
【0007】
球状スペーサー用のプラスチック微粒子に金属メッキを施すことにより、異方性導電接着剤用の導電微粒子として適した材料が確実に得られることから、この方法が広く行われている(例えば特許文献3〜5)。一般には、基材となるプラスチック微粒子として剛性の高いものが用いられることから、得られる導電微粒子も剛性が高い。
【0008】
他方、プラスチック微粒子がタッチパネル等の基板間のスペーサーに用いられる場合には、繰り返し比較的大きな負荷が加えられるため、ITO(Indium Tin Oxide)等からなる導電膜にキズを付けるといった問題があった。ジビニルベンゼン系樹脂等において架橋密度を充分に低くするならば柔軟性が得られるが、これでは圧縮変形後の回復率が低いため、繰り返し変形に対する耐久性が低くなってしまう。
【0009】
そこで、両末端にアクリル基を有する液状ブタジエンオリゴマーとアクリル酸エステルとの共重合体からなる弾性のプラスチック微粒子を用いることが提案されている(特許文献6〜7)。ブタジエンオリゴマーを配合する分だけ架橋密度が減じられて柔軟になるとともに、ブタジエン構造部分による弾性が発現されるのである。この場合も、架橋密度の高いジビニルベンゼン系の場合と同様、懸濁重合後に、分級を施すことにより、均一な粒径のプラスチック微粒子を得てスペーサー粒子としている。
【0010】
このような弾性プラスチック微粒子に金属メッキを施すならば、弾性を有する導電微粒子を得ることができ、圧縮変形後の回復性、及び、耐クリープ性においても問題がない。さらに、金属メッキに対する適性についても、ある程度改良ができる。
【0011】
しかし、このようなタッチパネル用スペーサとしての弾性プラスチック微粒子を異方性導電性接着剤の導電微粒子に用いた場合、分級コスト等に起因して、弾性プラスチック微粒子の製造コストを充分に低減することができない。また、金属メッキ適性についても、前処理がやや困難であって、メッキ工程のコストを充分に低減することができなかった。
【0012】
近年激化しつつある電子・電気デバイス等の国際的な価格競争に対応すべく、異方性導電接着剤についても価格の低減が求められている。
【0013】
なお、弾性を有する導電微粒子を得る目的で、シリコーンゴム粒子の表面を改質してから金属メッキを施す方法(特許文献8)、ナイロンファイバー等の弾性樹脂ファイバーを用いる方法(特許文献9)なども提案されているが、製造コストが上昇するか、または得られる熱圧縮変形性などの物性が充分でなかった。
【0014】
特に、ポリアミド系樹脂については、吸湿性の問題が障害となるため、異方性導電接着剤用の導電微粒子に適さないと考えられていた。特許文献9にもこの点を解決する具体的な方策については全く言及がない。
【0015】
【特許文献1】特開平8−134115号公報
【0016】
【特許文献2】特開平11−319626号公報
【0017】
【特許文献3】特開平7−88347号公報
【0018】
【特許文献4】特開平11−329060号公報
【0019】
【特許文献5】特開2002−232716号公報
【0020】
【特許文献6】特開平8−225625号公報
【0021】
【特許文献7】特開平9−199206号公報
【0022】
【特許文献8】特開平9−237517号公報
【0023】
【特許文献9】特開平10−104650号公報
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、異方性導電接着剤用の導電微粒子及びその製造方法において、電気的接続についての信頼性を確保しつつ、製造コストを低減することのできる導電微粒子及び製造方法を提供しようとするものである。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明の導電微粒子は、平均粒径1〜100μmの球状の基材微粒子が、0.03〜1.0μmの金属層により被覆されており、前記基材微粒子が、ε−カプロラクタムと、炭素数10〜12の非分岐脂肪族炭素鎖を有するラクタムとを共重合した構造のポリアミド樹脂(タイプIの樹脂)であるか、または、炭素数4〜6の直鎖脂肪族ジイソシアネートと、炭素数8〜10の直鎖脂肪族ジオールとを重合した構造、または、炭素数8〜10の直鎖脂肪族ジイソシアネートと、炭素数4〜6の直鎖脂肪族ジオールとを重合した構造を有するポリウレタン樹脂(タイプIIの樹脂)であることを特徴とする。
【0026】
上記構成により、熱圧縮変形及びその回復の特性において優れるとともに、分級工程、及びメッキのための前処理工程を簡略化できることから製造コストを低減することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の導電微粒子の基材をなすポリアミド樹脂(タイプIの樹脂)は、好ましくは、ε−カプロラクタムと、炭素数10〜12の非分岐炭素鎖を有するラクタムとを、モル比1/9〜9/1で共重合したものである。すなわち、ナイロン610やナイロン612などの樹脂が含まれる。
【0028】
ε−カプロラクタムと、炭素数10〜12の非分岐脂肪族炭素鎖を有するラクタムとの比率がこの範囲をはずれる場合、弾性導電微粒子としての所望の特性が得られない。これらの原料のうち、炭素鎖の短いε−カプロラクタムの比率が上記範囲を超えて高くなると、柔軟性が低下してしまい必要な圧縮変形性が得られない。逆に長炭素鎖のラクタムの比率が上記範囲を超えて高くなると、柔軟性が過度に大きくなり、特には、金属メッキの被覆が過度の変形にともない損傷を受けるおそれがある。
【0029】
これらラクタムの開環反応による共重合は、金属カリウム等の触媒を用いて行うことができる。例えば、ナイロン612は、カプロラクタムとラウロラクタムの混合物について、流動パラフィン等を溶媒として熱時溶解させ、アルカリ金属触媒存在下にリン系の重合開始剤を併用して重合することができる。この際、急速攪拌し、瞬時に重合反応を完結させて、真球状のポリアミド微粒子を反応溶媒中より沈殿分離する。
【0030】
一方、本発明の導電微粒子の基材をなすポリウレタン樹脂(タイプIIの樹脂)は、好ましくは、炭素数4〜6の直鎖脂肪族ジイソシアネートと、炭素数8〜10の直鎖脂肪族ジオールとを重合した構造を有する。また、ビュレット結合やアロハネート結合等に基づく適度の化学架橋点を有するのが、加熱・荷重条件での変形を制限する上で好ましい。また、3官能のイソシアネートやポリオールを添加することにより架橋点を適度に設けたものであっても好ましい。
【0031】
上記のポリアミド樹脂(タイプIの樹脂)またはポリウレタン樹脂(タイプIIの樹脂)からなる球状の基材微粒子(導電微粒子の芯部(コア))は、懸濁重合等による合成後、湿式分級を施すとしても、超微粒子及び極大粒子のみを簡単な操作により分離除去すれば良く、精密な分級を行う必要がない。
【0032】
本発明の基材微粒子は、圧縮弾性率が、ある程度以下であって変形しやすく、また、圧縮変形後の回復性に優れる。基材微粒子は、下記に説明する「K値」で示される圧縮弾性率が適当な範囲内にある。
【0033】
10%圧縮変形時の「K値」が好ましくは100〜250kg/mmであり、20%圧縮変形時の「K値」が好ましくは50〜150kg/mmであり、30%圧縮変形時の「K値」が好ましくは30〜100kg/mmである。
【0034】
ここで「K値」(kg/mm)は、下式で表される値である。
【0035】
K=(3/√2)*F*S−3/2*R−1/2
但し、Fは20℃10%圧縮変形時の荷重値(kg/mm)、Sは圧縮変位(mm)、Rは微粒子の数平均半径(mm)である。
【0036】
また、1粒子当たり1グラム(g)の荷重を10秒間負荷してから取り除いた後の圧縮変形の回復率が、少なくとも40%以上、好ましくは50%以上である。
【0037】
上記のような、アミド結合やウレタン結合を有する樹脂であると、金属メッキの薬液に対する親和性に優れるので、エッチングによる前処理を行うことなく、無電解メッキ等による金属メッキを施すことができる。
【0038】
金属メッキは、例えば特開平11−329060(文献4)に記載のように、無電解メッキや置換メッキにより行うことができる。典型的には、ニッケル(Ni),銅(Cu),銀(Ag),金(Au)の少なくともいずれかからなる金属被覆層を、無電解メッキにより、または無電解メッキに続けて置換メッキを行うことにより設けることができる。
【0039】
好ましくは、ニッケル(Ni)や銅(Cu)による無電解メッキの後に、銀(Ag)や金(Au)による置換メッキを行うことにより、2重金属層を設ける。表層が、銀(Ag)や金(Au)等の耐酸化性を有し、かつ比較的柔軟な金属材料で被覆されることにより、接続時の電流容量を高く保つことができる。特に、硬化後の異方性導電接着剤が、冷熱サイクルや高温高湿状態に保たれる場合にも、電極端子との接触面で酸化が発生して接続抵抗値が上昇することがない。
【0040】
本発明の導電微粒子においては、メッキ等により設けられる金属層の厚さが、0.03〜1.0μm、好ましくは0.05〜0.7μm、より好ましくは0.1〜0.5μmの金属層を設ける。
【0041】
金属層の厚みが過度に小さい場合には、アミド結合やウレタン結合に起因して親水性を有する基材微粒子を湿気の影響から充分に遮断することができず、そのため、導電微粒子の寸法変化に基づく金属層にクラック生成等の問題が生じる。一方、金属層の厚さが過度に大きい場合には、異方性導電性接着剤中にて基材微粒子の圧縮変形及び圧縮回復変形に追随することができず、やはり金属層にひび割れが発生する。
【0042】
本発明の導電微粒子の平均粒径は、1〜100μm、好ましくは3.0〜60μm、さらに好ましくは5.0〜30μmである。導電微粒子の平均粒径が過度に小さい場合には凝集が生じるなどの理由からメッキが困難となる。一方、平均粒径が過度に大きい場合には、導電性接着剤としての利用に障害が生じる。
【0043】
本発明の導電微粒子は、粒径分布における変動係数(標準偏差/数平均粒径)が、0.01〜1.5であり、好ましくは0.3〜1.5、より好ましくは0.5〜1.5である。変動係数が1.5を越えると、端子面同士を接続する際に、高い圧力を加えないと接触に寄与しない粒子の比率を充分に低減することができない。また、これに対処すべく導電微粒子の密度が大きくなると、リーク電流が発生してしまう。
【0044】
一方、導電粒子が適度の圧縮変形性と充分な圧縮回復性を備えることから、粒径分布はブロードであっても良い。従来のジビニルベンゼン系等のプラスチック微粒子を用いる場合、粒径分布の変動係数(標準偏差/数平均粒径)は、一般に0.3未満とする必要がある(特開平11−329060(特許文献4))。
【0045】
なお、基材微粒子としてポリアミド樹脂や架橋ポリウレタン樹脂を用いた場合にも、本発明の特定の構造を有しない一般的なものである場合、上記の圧縮変形性や圧縮変形回復性などが得られず、本発明の効果を得られない。例えば、ナイロン6、ナイロン4,6、ナイロン6,6、及びナイロン12のいずれにおいても、柔軟性が適度でなく、また、充分な圧縮回復性が得られなかった。また、架橋ポリウレタンであっても、芳香族ジイソシアネートを用いたものなど、一般的なウレタンエラストマー樹脂を用いた場合、本発明の基材微粒子のような物性が得られなかった。
【0046】
下表に、本発明の導電微粒子の特徴についてまとめて示す。
【0047】
【表1】本発明の導電微粒子の特徴
Figure 2004164874
以下、表2〜4を参照しつつ、本発明の実施例について比較例とともに説明する。
【0048】
実施例1では、ε−カプロラクタムとω−ラウロラクタムとの開環共重合により得られるナイロン612を用いた。具体的には、シントーファイン(株)の「MW−330(商品名)」を、分級等の処理を何ら施すことなくそのまま用いた。
【0049】
また、実施例2では脂肪族ジイソシアネートと脂肪族ジオールとの重合体であって、ビュレット結合等による化学架橋点を有するポリウレタン樹脂の微粒子を用いた。具体的には、根上工業(株)の「アートパールC−800透明(商品名)」を、そのまま用いた。
【0050】
実施例1〜2の基材微粒子も、粒径分布の変動係数が1.0前後と、かなりブロードな分布となっている。
【0051】
実施例1〜2のいずれにおいても、ニッケル(Ni)による無電解メッキを行うにあたり、親水化を伴う脱脂洗浄の他にはエッチング等の表面処理を何ら施さなかった。
【0052】
脱脂洗浄後には、酸性触媒条件下で無電解還元メッキを行うことにより、基材微粒子の表面に約0.15μmのNi金属層を析出させた。そして、この後、置換メッキにより、0.03μm厚の金(Au)による被覆を行った。
【0053】
平均粒子径及びその分布は、島津製作所の乾式レーザー回折式粒度分布測定機ALD−3000により測定した。
【0054】
また、樹脂からなる基材微粒子についての圧縮弾性率及び圧縮変形回復率は、島津製作所のダイナミック超微小硬度計DUH−200により測定した。
【0055】
比較例1における基材微粒子は、架橋ポリスチレン微粒子の非分級品であり、具体的には、積水化成品工業(株)のテクポリマーSBX−8をそのまま用いたものである。また、比較例2における基材微粒子は、スチレンとジビニルベンゼンとの共重合体であって、充分な分級処理により粒度分布が狭小となっているプラスチック微粒子である。具体的には、積水化学工業(株)ミクロパールSP−207をそのまま用いた。
【0056】
なお、比較例1〜2においては、プラスチック微粒子にエッチング処理を施さないとメッキが不可能であったため、予め、酸により60分間のエッチング処理を行い、中和してから還元メッキを行った。また、エッチング処理の前に、60分の親水化処理を必要とした。
【0057】
【表2】実施例及び比較例の導電微粒子
Figure 2004164874
上記表1に示すように、実施例1〜2の基材微粒子は、10%圧縮変形時におけるK値が150〜250kg/mmの範囲内にある。また、表には示さないが、実施例1〜2の基材微粒子は、20%圧縮変形時のK値が50〜150kg/mmであり、30%圧縮変形時のK値が30〜100kg/mmであった。
【0058】
また、実施例1〜2の基材微粒子は、粒径分布がブロードであるにも拘わらず、圧縮変形回復率が50%以上であった。
【0059】
これに対して、比較例1〜2の基材微粒子は、10%圧縮変形時におけるK値が450kg/mmを越えており、かなり剛性が高い。また、比較例2の基材微粒子については圧縮変形回復率が69%と高かったものの、比較例1の基材微粒子については46%となり、実施例1〜2に比べて、かなり低い値となった。
【0060】
メッキ処理のための前工程においても、実施例1〜2では、界面活性剤液を用いた脱脂洗浄を5分間行うだけで足りたのに対して、比較例1〜2では、親水化処理を30分行った上で、60分間の酸によるエッチング処理及び中和処理を行う必要があった。
【0061】
次ぎに、表2〜3を用いて、実施例及び比較例の導電微粒子を用いて作成した異方性導電接着剤のテスト結果を示す。ここで、異方性導電接着剤は、導電微粒子10重量部を、ビスフェノール型の汎用エポキシ樹脂90重量部と混合して得た。
【0062】
ITO導電層により被覆したガラス基板上に、異方性導電接着剤を介して、フレキシブル基板の電極端子面を、下表に示す各熱圧条件にて圧着した。そして、電気抵抗及びピール接着力を測定した。信頼性テストは、15kg/cm, 160℃30分の熱圧着を行った試片について、恒温恒湿機中95%湿度条件で1000時間の促進劣化を行った後の接続抵抗及びピール接着力を測定した。
【0063】
ここで、接続抵抗は、実測値から配線抵抗を差し引いたものである。また、ピール接着力は、幅1.0cmのポリイミド樹脂のフレキシブル基板をガラス基板から5.0cm/minの速度にて引き剥がす際の剥離強度を測定したものである。
【0064】
【表3】実施例及び比較例の異方性導電接着剤による接続抵抗(Ω)
Figure 2004164874
表3の結果から知られるように、実施例1〜2の導電微粒子を用いた場合に、従来の標準的な製品である比較例2の場合と全く同様の低電気抵抗及び接続信頼性が得られた。特に、促進劣化後の電気抵抗値は、実施例1〜2と比較例2とで全く同様であった。
【0065】
これに対して、比較例1の導電微粒子を用いた場合、
【表4】実施例及び比較例の異方性導電接着剤による接着力(kg/cm)
Figure 2004164874
表4から知られるように、実施例により得られた異方性導電接着剤のピール接着力は、従来の代表的な製品である比較例2の場合と全く同様である。特に、促進劣化試験後の接着力がほぼ等しい。
【0066】
以上の試験結果から知られるように、実施例の導電微粒子及びこれを用いた異方性導電接着剤であると、従来と同様の熱圧着条件で、従来の標準的な導電微粒子を用いる場合と、全く同様の低抵抗の電気的接続及び充分な強度の機械的接着が達成される。しかも、促進劣化試験後の性能も従来の標準品と全く同様である。
【0067】
上記には示さないが、ナイロン610、すなわちカプロラクトンと、炭素数10の非分岐脂肪族炭素鎖を有するラクタムとを共重合したポリアミド樹脂を用いた場合も全く同様であった。また、ナイロン612について、ε−カプロラクトンとω−ラウロラクタムとのモル比を1/9〜9/1の範囲で変化させた場合にもほぼ同様の効果が得られた。
【0068】
また、上記には比較例として示さなかったが、上記のナイロン6、ナイロン4,6、ナイロン6,6、及びナイロン12のいずれのポリアミド樹脂を用いた場合にも、ナイロン612等を用いた場合と同様の効果は得られなかった。特に、短鎖脂肪族炭素鎖のみからなるポリアミド樹脂の場合には通常の荷重条件での圧縮変形性が不充分であり、他方、長鎖脂肪族炭素鎖のみからなるポリアミド樹脂の場合には、圧縮変形が過剰になり、荷重を除去した後の変形回復性が不充分であった。
【0069】
また、脂肪族ジイソシアネートと脂肪族ジオールとからなるポリウレタン樹脂であっても、炭素数4〜6の脂肪族炭素鎖のみからなるもの、または炭素数8〜10の脂肪族炭素鎖のみからなるものである場合、実施例に比べて、得られる効果が不充分であった。
【0070】
【発明の効果】
熱圧縮変形及びその回復の特性において優れるとともに、分級工程、及びメッキのための前処理工程を簡略化できることから製造コストを低減することができる。

Claims (8)

  1. 平均粒径1〜100μmの球状の基材微粒子が、0.03〜1.0μmの金属層により被覆されており、
    前記基材微粒子は、ε−カプロラクタムと、炭素数10〜12の非分岐脂肪族炭素鎖を有するラクタムとを共重合した構造のポリアミド樹脂であることを特徴とする導電微粒子。
  2. ε−カプロラクタムと、炭素数10〜12の非分岐脂肪族炭素鎖を有するラクタムとのモル比が、1/9〜9/1であることを特徴とする請求項1記載の導電微粒子。
  3. 平均粒径1〜100μmの球状の基材微粒子が、0.03〜1.0μmの金属層により被覆されており、
    前記基材微粒子は、炭素数4〜6の直鎖脂肪族ジイソシアネートと、炭素数8〜10の直鎖脂肪族ジオールとを重合した構造、または、炭素数8〜10の直鎖脂肪族ジイソシアネートと、炭素数4〜6の直鎖脂肪族ジオールとを重合した構造を有するポリウレタン樹脂からなることを特徴とする導電微粒子。
  4. 前記ポリウレタン樹脂が化学的に架橋された構造を有することを特徴とする請求項3記載の導電微粒子。
  5. 前記金属層が、ニッケル(Ni),銅(Cu),銀(Ag),金(Au)のうちの少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の導電微粒子。
  6. 前記基材微粒子の粒径の変動係数(標準偏差/数平均粒径)が0.3〜1.5であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の導電微粒子。
  7. 前記基材微粒子は、10%圧縮変形時のK値100〜250kg/mmであり、20%圧縮変形時のK値が50〜150kg/mmであり、30%圧縮変形時のK値が30〜100kg/mmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の導電微粒子。
  8. 請求項1〜4のいずれかに記載の導電微粒子をベース樹脂中に分散させたことを特徴とする異方性導電接着剤。
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