JP2004164854A - 燃料電池用電極作製用高分子電解質溶液 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐久性が高い電極を作製し得る、固体高分子電解質型燃料電池の電極作製に有用な高分子電解質溶液、該高分子電解質溶液を用いて作製した高分子電解質膜、燃料電池用電極、該電極を用いて作製した電極接合体、及び燃料電池を提供すること。
【解決手段】パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂を、親水且つ高沸点性質を有する極性溶媒を含有する溶媒、好ましくは該極性溶媒及び水を主成分とする混合溶媒に、溶解させたことを特徴とする高分子電解質溶液。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体高分子電解質型燃料電池の電極作製に有用な高分子電解質溶液に関する。
【従来の技術】
【0002】
近年、燃料電池の開発及び実用化が進んでいる。例えば、固体高分子電解質型燃料電池の場合、パーフルオロカーボン樹脂等からなる高分子固体電解質層の両側に厚さ0.1〜0.3mmの炭素繊維抄紙体からなる多孔質炭素板を設け、その表面に電極触媒としての白金系触媒を担持させてガス拡散電極を形成し、その外側にガス流路溝の付いた厚さ1〜3mmの緻密質炭素板からなるセパレータを設けて電池セルを構成している。また、リン酸型燃料電池の場合、リン酸保持体にリン酸を保持させた電解質層の両側に、厚さ0.1〜0.3mmの炭素繊維抄紙体からなる多孔質炭素板を設け、その表面に電極触媒としての白金系触媒を担持させてガス拡散電極を形成し、その外側にガス流路溝の付いた厚さ1〜3mmのセパレータを設けて電池セルを構成している。
【0003】
パーフルオロカーボン樹脂の代表的なものはパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂である。パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂の有機溶媒との親和性はスルホン酸基のモル数によって変化し、このイオン交換樹脂はその交換容量が大きい領域で低級脂肪族アルコール、例えば2−プロパノール等の溶媒に溶解することが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
このようなイオン交換樹脂溶液は、例えば米国デュポン社よりナフィオン溶液(低級脂肪族アルコールと水との混合溶媒溶液)という商標で市販されており、一般的に電極作製時に多く使用されている。しかしながら、上記溶液より作製されるフィルムは脆く、接着性にも乏しいために、燃料電池実用の観点、特に燃料電池の実稼働状態における電極の耐久性という観点から好ましいものではない。
【0005】
また、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂フィルムの形態、物性、化学的性質(例えば溶解性)については、以前から種々の検討が行われているが、成膜条件と物性、構造の関連については十分に解明されているとは言い難い。
【0006】
【特許文献1】
特公昭48−13333号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解決し、耐久性が高い電極を作製し得る、固体高分子電解質型燃料電池の電極作製に有用な高分子電解質溶液を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記高分子電解質溶液を用いて作製した高分子電解質膜、燃料電池用電極、該電極を用いて作製した電極接合体、及び燃料電池を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂の化学構造及びそのセグメントと溶媒との親和性、成膜時の溶媒揮発と高次構造形成過程に着目して研究を重ねた結果、親水且つ高沸点性質を有する極性溶媒及び水を主成分とする混合溶媒にパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂を溶解して得られる溶液より、高強度で且つ基材との接着性が良好であり、更に水を初めとする様々な溶剤に対して薬品耐性がある薄膜を形成することができることを知見した。
【0009】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂を、親水且つ高沸点性質を有する極性溶媒を含有する溶媒、好ましくは該極性溶媒及び水を主成分とする混合溶媒に、溶解させたことを特徴とする高分子電解質溶液を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、上記高分子電解質溶液を用いて作製した高分子電解質膜を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、多孔質炭素基材に金属微粒子が分散した構造物を、上記高分子電解質溶液を用いて、該構造物の表面を該高分子電解質溶液から形成される高分子電解質膜で被覆したことを特徴とする高分子電解質型燃料電池用ガス拡散電極を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、炭素粉末又は炭素繊維、金属微粒子、上記高分子電解質溶液を用いて作製したことを特徴とする高分子電解質型燃料電池用ガス拡散電極を提供するものである。
【0013】
また、本発明は、上記高分子電解質型燃料電池用ガス拡散電極を用いて作製したことを特徴とする高分子電解質膜−ガス拡散電極接合体を提供するものである。
【0014】
また、本発明は、上記高分子電解質膜−ガス拡散電極接合体を構成物として用いたことを特徴とする燃料電池を提供するものである。
【0015】
本発明の高分子電解質溶液を用いて、貴金属微粒子を担持した多孔質炭素基材に電解質膜をコーティングすることによって、電極反応部位を三次元化した高性能な電極を作製できる。また、従来行われている導電性カーボン粒子と貴金属微粒子と電解質溶液を主成分とするペーストから作製する手法についても、本発明の高分子電解質溶液を用いることにより、耐久性が高い電極を容易に得ることが可能となった。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の高分子電解質溶液について説明する。
【0017】
本発明で用いるパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂は、主鎖にポリテトラフルオロエチレン、側鎖にスルホン酸基を有するパーフルオロカーボンビニルエーテルの共重合体物であり、その化学式の一例を下記に示す。
【0018】
【化1】
Figure 2004164854
上式中、mは5〜15の数であり、nは50〜500の数である。
【0019】
本発明で用いる親水且つ高沸点性質を有する極性溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性溶媒、あるいは、ビス(2−メトキシエチル)、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒等が例示される。中でも、N,N−ジメチルホルムアミドが好ましく用いられる。
本発明で用いる上記極性溶媒を含有する溶媒は、該極性溶媒のみからなるものでもよいが、上記極性溶媒及び水を主成分とする混合溶媒が好ましい。
該混合溶媒は、上記極性溶媒を主成分とし、水を2.5重量%以上50重量%以下の範囲で含むものが好ましい。
【0020】
また、上記混合溶媒中の上記極性溶媒と水との混合割合は、上記極性溶媒/水=40/1〜1/2が好ましい。
【0021】
上記溶媒に上記パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂を溶解させた本発明の高分子電解質溶液の濃度は、0.5〜30重量%が好んで用いられるが、特にこれに限定されることはない。
【0022】
本発明の高分子電解質膜は、上述の本発明の高分子電解質溶液を用いて作製したものである。
本発明の高分子電解質溶液から高分子電解質膜を形成する方法としては、キャスト法等を用いることができる。キャスト法の具体的な方法としては、アルミニウム、ガラス等からなる基材上に、本発明の高分子電解質溶液を展開し、減圧熱乾燥を施すことにより、高分子電解質膜を形成する方法が一般的である。
本発明の高分子電解質膜は、水及びアルコール類に不融不溶である。
【0023】
また、本発明の高分子電解質型燃料電池用ガス拡散電極は、多孔質炭素基材に金属微粒子が分散した構造物を、上述の本発明の高分子電解質溶液を用いて、該構造物の表面を該高分子電解質溶液から形成される高分子電解質膜で被覆したものである。
上記多孔質炭素基材としては、微細な連通孔を有する多孔質構造を持ち、開放孔以外の表面が平滑な多孔質炭素膜構造体が好ましい。
【0024】
本明細書において、微細な連通孔を有する多孔質構造とは、任意の表面から細孔が通路状に他の表面まで連続したいわゆる開放孔であって、隣接する細孔間の壁が繋がる構造になっており、且つ、細孔は屈曲しながら非直線的に延びたものをいう。
【0025】
即ち、上記多孔質炭素膜構造体は、ガスを流すと非直線的に延びた通路状の細孔に導かれて非直線的に配流される。更に、上記多孔質炭素膜構造体の表面は、細孔が膜内から延びて表面に達して形成した開放孔以外の部分が平滑面であるため、セパレータ等と積層したときに他の層との界面が該平滑面によって面接触になる。
【0026】
上記多孔質炭素膜構造体の多孔質構造と表面の平滑性を更に説明するために、上記多孔質炭素膜構造体の代表的な一例について、その表面と断面の走査型電子顕微鏡写真(SEM写真)をそれぞれ図1及び図2に示す。上記多孔質炭素膜構造体は、開放孔以外の表面が図1及び図2に示すような平滑性を持っているので、積層体を形成したときに界面において面接触になる。
【0027】
上記多孔質炭素膜構造体は、表面の平均孔径が0.05〜10μmであるのが好ましく、より好ましくは0.05〜2μmである。表面の平均孔径が0.05μm未満では圧損が生ずるのでガスを効率的に配流できなくなり、表面の平均孔径が10μmを越えるとガスが直線的に流れやすくなって広い範囲に亘ってガスを均一に配流することが難しくなるので好適ではない。
【0028】
また、上記多孔質炭素膜構造体は、空孔率が25〜85%、特に30〜70%であることが好ましい。空孔率が25%未満ではガスの配流量が少なくなり、空孔率が70%を越えると膜の機械的強度が小さくなるので好ましくない。
【0029】
また、上記多孔質炭素膜構造体は、黒鉛化率が20%以上、好ましくは60%以上、特に好ましくは90%以上であることが好適である。黒鉛化率が20%以上、特に60%以上になると、膜の機械的強度が高くなり可撓性が向上するので好適であり、また導電性及び熱伝導性も向上するので好ましい。
【0030】
上記多孔質炭素膜構造体は、微細な連通孔を有する多孔質構造を持ち、開放孔以外の表面が平滑な高耐熱性ポリマー製膜を、嫌気性雰囲気下で加熱炭化することにより好適に製造することができる。高耐熱性ポリマーを用いると加熱したときに多孔質構造を保持できるので好ましい。
【0031】
上記高耐熱性ポリマーは、微細な連通孔を有する多孔質膜を形成することが可能で、且つ、加熱炭化しても微細な連通孔からなる多孔質構造を保持できるものであれば、特に限定するものではない。ポリイミド系、セルロース系、フルフラール樹脂系、フェノール樹脂系等のポリマーを好適に挙げることができるが、特に芳香族ポリイミドは加熱炭化によって容易に機械的強度が高い多孔質炭素膜構造体を得ることができるので好適である。ここで芳香族ポリイミドには、芳香族ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸、及び、部分的にイミド化したポリアミック酸も含む。
【0032】
上記高耐熱性ポリマー製膜は、ポリマー溶液を用いて相転換法によって好適に製造することができる。ポリマーを有機溶剤(溶媒)に溶解した溶液を、例えばガラス板上に流延し、その流延膜を上記有機溶剤とは相溶性を有しポリマーとは不溶な有機溶剤や水など(非溶媒)に浸漬し、その際に溶媒と非溶媒とが置換するために生じる相分離現象を利用して細孔を形成する、いわゆる相転換法によって得ることができる。しかし、通常の相転換法では表面に緻密層ができる。
【0033】
出典明示して本発明の明細書の一部とみなす特開平11−310658号公報及び特開2000−306568号公報に記載の、溶媒置換速度調整材を用いて溶媒置換速度を調整する相転換法は容易に微細な連通孔を有する多孔質ポリマー膜を得ることができるので好適である。
【0034】
具体的には、まず表面が平滑なポリマー溶液の流延膜を形成し、次に該流延膜の表面に溶媒置換速度調整材(多孔性フィルム)を積層させ、次いでその積層体を非溶媒と接触させて相分離によって細孔を形成しながら多孔質ポリマー膜を析出させる。この方法で形成された多孔質ポリマー膜の表面(開孔部以外の表面)は元の流延膜の表面平滑性を保持するので、連通孔を有する多孔質構造を持ち開放孔以外の表面が平滑な多孔質ポリマー膜(高耐熱性ポリマー製膜)を容易に得ることができる。
【0035】
上記高耐熱性ポリマー製膜を嫌気性雰囲気下で加熱炭化することによって、微細な連通孔を有する多孔質構造を持ち開放孔以外の表面が平滑な上記多孔質炭素膜構造体を得ることができる。
【0036】
上記の嫌気性雰囲気は、特に限定しないが、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガス中か、真空中が好適である。
上記の加熱炭化は、急激に昇温すると、分解物が散逸したり炭素分が留去して炭素収率が低くなることがあり、構造欠陥もできやすいので、好ましくない。そのために昇温速度は20℃/分以下、特に1〜10℃/分程度の十分遅い速度で昇温して徐々に炭化するのが好ましい。加熱温度や加熱時間は十分な炭化が行われればどんな温度や時間でも構わないが、前駆体樹脂の熱分解挙動と電子伝導性の観点から1000〜3500℃の温度範囲で炭化を行うことが好ましい。また、得られる多孔質炭素膜構造体の黒鉛化率を高めて機械的強度や導電性や熱伝導性を高くするためには2400〜3500℃、特に2600〜3000℃の範囲が好ましく、該温度範囲で20〜180分間が好適である。
【0037】
また、上記の加熱炭化の際に、加熱時に加圧すると、黒鉛化率を高めて機械的強度が高く且つ導電性及び熱伝導性が高い多孔質炭素膜構造体を得ることができるので好ましい。加圧によって、加熱炭素化中の収縮等に伴う形状の変化を抑えたり、炭素化されつつある炭素部分の配向性を高めて黒鉛化が促進されるので、機械的強度、導電性及び熱伝導性が高い多孔質炭素膜構造体を得ることができる。圧力は1〜250MPa、特に10〜250MPaで印加するのがよい。加圧は高温圧縮機や等方圧熱間プレス(HIP)を用いて好適に行われる。
【0038】
また、黒鉛化を促進するために、上記高耐熱性ポリマー製膜に予めホウ素化合物等の黒鉛化を促進する効果を有する化合物を添加することが好適である。これらの化合物の微細な粉末を、原料とするポリマー溶液中に均一に分散させておき、該溶液を用いて上述の方法によって多孔質構造を持つ高耐熱性ポリマー製膜を製造すれば、上記化合物が均一に分散した多孔質構造を持つ高耐熱性ポリマー製膜を製造することができる。
【0039】
また、本発明においては、上記高耐熱性ポリマー製膜は、一枚ずつ個別に加熱炭化した後、目的とする厚さになるように積層して用いても構わないが、各層間に界面ができて各界面の接触抵抗を制御する必要が生じて取扱いが複雑になるので好ましくない。接着剤で接着する方法では接着剤が電池性能を低下させる可能性がある。フェノール系接着剤等で接着して再度加熱して接着剤を炭化して一体化する等の方法もあるが、複雑な処理が必要になるので好ましくない。上記高耐熱性ポリマー製膜を複数枚積層した積層体を嫌気性雰囲気下に加熱炭化すると、炭化し且つ一体化した多孔質炭素膜構造体を得ることができるので特に好適である。この方法では、同一の薄い上記高耐熱性ポリマー製膜から種々の膜厚の多孔質炭素膜構造体を得ることができる。
【0040】
上記多孔質炭素膜構造体は、その表面に官能基が付与された親水性多孔質炭素膜構造体であることが好ましい。
【0041】
付与される官能基としては、水酸基、カルボキシル基、ケトン基等が挙げられ、特に水酸基、カルボキシル基が好ましい。
【0042】
また、付与される官能基の量には特に制限はないが、金属錯イオンを介して金属を担持する場合には、所望の金属量の1〜5倍見当であることが好ましく、特に1〜3倍が好ましい。
【0043】
上記多孔質炭素膜構造体の表面に官能基を付与させる方法としては、例えば、酸溶剤による酸化、過酸化水素による処理、水蒸気存在下での空気中での高温処理等がある。
【0044】
本発明で用いられる上記多孔質炭素基材に金属微粒子が分散した構造物は、上記多孔質炭素基材に少なくとも1種類の金属微粒子が分散した構造体からなるものである。
【0045】
上記金属微粒子は、好ましくは平均粒子径が5nm以下で最大粒子径が15nm以下であり、特に好ましくは平均粒子径が3nm以下で最大粒子径が10nm以下である。
【0046】
また、上記金属微粒子は、貴金属微粒子であることが好ましい。該貴金属としては、例えば白金、パラジウム、ニッケル等が挙げられ、特に、白金が好ましい。
【0047】
上記多孔質炭素基材に金属微粒子を分散させる方法としては、真空蒸着等の気相を利用する方法、金属前駆体溶液を用いて担持する方法等が挙げられる。
具体的には、例えば、上記多孔質炭素膜構造体を金属前駆体溶液に浸漬し、そのまま乾燥することで金属前駆体を担持し、続いて、不活性ガス雰囲気下で熱処理を施すことで金属前駆体を還元し、洗浄、乾燥を行うことにより、金属微粒子が分散した金属担持多孔質炭素膜構造体を得ることができる。
【0048】
上記の金属前駆体溶液は、例えば、白金アセチルアセトナト錯体を水/メタノール混合(重量比1:1)溶媒に、好ましくは濃度が0.1〜5重量%で溶解することにより作製することができる。
【0049】
上記の不活性ガス雰囲気下での熱処理は、好ましくは180〜1000℃の温度で行う。
【0050】
上記金属担持多孔質炭素膜構造体は、上記多孔質炭素膜構造体として、上述したような表面に官能基が付与された親水性多孔質炭素膜構造体を用いたものが好ましく、この場合、該金属担持多孔質炭素膜構造体は、該親水性多孔質炭素膜構造体の官能基を、金属錯体陽イオンとイオン交換後に還元させることによって、製造することができる。
上記金属錯体陽イオンは、貴金属錯体陽イオンであることが好ましい。
【0051】
上記の親水性多孔質炭素膜構造体の官能基を金属錯体陽イオンとイオン交換させる方法としては、例えば、金属錯体を溶解した溶液に該親水性多孔質炭素膜構造体を適当な時間浸漬し、純水で洗浄する方法が挙げられる。
【0052】
上記親水性多孔質炭素膜構造体の官能基を金属錯体陽イオンとイオン交換後、還元させる方法としては、例えば、化学還元、水素還元等が挙げられる。特に、貴金属錯体陽イオンの場合は、錯体が崩壊する温度より高い温度で不活性ガス雰囲気中で熱処理を行うことにより、還元させることができる。
【0053】
上記の多孔質炭素基材に金属微粒子が分散した構造物を、本発明の高分子電解質溶液を用いて、その表面を電解質膜で被覆する方法としては、例えば、上記金属担持多孔質炭素膜構造体を本発明の高分子電解質溶液に浸漬する方法等が挙げられる。
【0054】
上述の本発明の高分子電解質型燃料電池用ガス拡散電極は、微細な連通孔を多数持っているので、通常の電極基材である炭素繊維抄紙体に比べて、より広い表面で金属微粒子を担持することができる。従って、広く均一に分散した電池反応の反応場を3次元に広げることができる高性能燃料電池の電極基材として好適なものである。
また、従来行われている炭素粉末又は炭素繊維と金属微粒子(好ましくは貴金属微粒子)と電解質溶液とを主成分とするペーストから高分子電解質型燃料電池用ガス拡散電極を作製する方法において、電解質溶液として本発明の高分子電解質溶液を用いることにより、本発明の高分子電解質型燃料電池用ガス拡散電極を得ることもできる。
【0055】
本発明の高分子電解質膜−ガス拡散電極接合体は、上述の本発明の高分子電解質型燃料電池用ガス拡散電極を用いて作製したものである。
【0056】
また、本発明の燃料電池は、上記の本発明の高分子電解質膜−ガス拡散電極接合体を構成物として用いたものである。
本発明の燃料電池は、上記の本発明の高分子電解質膜−ガス拡散電極接合体を用いる以外は通常の方法で製造することができる。
例えば、上記接合体を、炭素板の片面に燃料ガスの流路を形成した一般的な燃料電池用セパレータで挟み込むことで、固体高分子型燃料電池を製造することができる。
【0057】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
尚、本発明において、透気度、空孔率、平均孔径、黒鉛化率及び電池特性は次の方法によって測定した。
【0058】
▲1▼透気度
JIS P8117に準じて測定した。測定装置としてB型ガーレーデンソメーター(東洋精機社製)を使用した。試料の膜を直径28.6mm、面積645mm2 の円孔に締付け、内筒重量567gにより、筒内の空気を試験円孔部から筒外へ通過させる。空気100mlが通過する時間を測定し、透気度(ガーレー値)とした。
【0059】
▲2▼空孔率
所定の大きさに切取った膜の膜厚、面積及び重量を測定し、目付重量から次式により空孔率を求めた。次式のSは膜面積、dは膜厚、Wは測定した重量、Dは密度(使用した芳香族ポリイミドの密度は1.34であり、炭素膜構造体の密度については後述する方法で求めた黒鉛化率を考慮して試料ごとに算出した)である。
空孔率(%)=〔1−W/(S×d×D)〕×100
【0060】
▲3▼平均孔径
膜表面の走査型電子顕微鏡写真(SEM写真)を撮り、50点以上の開口部について孔面積を測定し、該孔面積の平均値から次式に従って孔形状が真円であるとした際の平均直径を計算より求めた。次式のSaは孔面積の平均値を意味する。
平均孔径=2×(Sa/π)1/2
【0061】
▲4▼黒鉛化率
X線回折を測定しRuland法により求めた。
【0062】
▲5▼電池特性
燃料電池の動作温度を70℃、燃料ガスとして湿度70%の水素及び空気を用いて、燃料ガスの供給、排出差圧を0.1kgf/cm2 として電流−電位特性を測定した。測定は燃料電池を定常状態で1時間運転して充分安定動作することを確認してから行った。
【0063】
炭素膜構造体に含有された貴金属微粒子の大きさは、透過型電子顕微鏡(TEM)及び走査型電子顕微鏡(SEM)による観察によって評価した。
【0064】
(参考例1)
多孔質ポリイミド製膜の作製
テトラカルボン酸成分として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)を、ジアミン成分としてパラフェニレンジアミン(PPD)を用い、s−BPDAに対するPPDのモル比が0.999で且つ該モノマー成分の合計重量が8.5重量%になるようにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解し、温度40℃、15時間重合を行ってポリイミド前駆体であるポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液の溶液粘度(温度25℃、E型回転粘度計)は600ポイズであった。
【0065】
上記ポリアミック酸溶液を、鏡面研磨されたステンレス板上に厚みが約100μmになるように流延し、そのポリアミック酸溶液の流延膜表面を、溶媒置換速度調整材である透気度550秒/100mlのポリオレフィン微多孔膜(宇部興産(株)製ユーポアUP2015)で表面にシワが生じないように覆った。該積層物を1−プロパノール中に7分間浸漬し、溶媒置換速度調整材を介して溶媒置換を行うことで、微細な連通孔を有する多孔質構造を持ち開放孔以外の表面が平滑なポリアミック酸膜を析出させた。
【0066】
次いで、上記ポリアミック酸膜を水中に10分間浸漬した後、ステンレス板及び溶媒置換速度調整材から剥離し、ピンテンタ−に固定した状態で、空気中にて温度400℃、20分間熱処理を行い、多孔質ポリイミド製膜を得た。得られた多孔質ポリイミド製膜のイミド化率は70%であり、膜厚27μm、透気度360秒/100ml、空孔率51%、平均孔径0.17μmであった。
【0067】
白金担持多孔質炭素膜構造体の作製
上記多孔質ポリイミド製膜を、不活性ガス気流下で、昇温速度10℃/分で1400℃まで昇温し、1400℃で1.5時間保持することで炭素化し、多孔質炭素膜構造体を得た。降温後、得られた多孔質炭素膜構造体(炭化膜)を、白金アセチルアセトナト錯体を水/メタノール混合(重量比1:1)溶媒中に濃度が1重量%になるように溶解して得た白金前駆体溶液に浸漬し、そのまま室温乾燥することで白金前駆体を担持した。続いて、不活性ガス雰囲気下で500℃の熱処理を施すことで白金前駆体を還元し、その後、純水とメタノールの混合(重量比7:3)溶媒で充分洗浄、乾燥を行うことで白金担持多孔質炭素膜構造体を得た。得られた白金担持多孔質炭素膜構造体は、膜厚21μm、透気度330秒/100ml、空孔率47%、平均孔径0.14μm、黒鉛化率23%であった。
上記白金担持多孔質炭素膜構造体の走査型電子顕微鏡(SEM)及び透過型電子顕微鏡(TEM)による観察の結果、白金微粒子が担持されていることが確認できた。ICPによる元素分析、及び多孔質炭素の膜厚等から、1cm2 当たりの白金量は0.02mgと算出された。
【0068】
(参考例2)
参考例1と同様にして得た多孔質炭素膜構造体(炭化膜)を、35重量%硝酸水溶液中に0.4mol/L過マンガン酸カリウムを溶解した70℃の水溶液に所定時間浸漬することにより酸化処理し、構造体表面に水酸基、カルボキシル基等の官能基を生成させた。蒸留水で充分洗浄した後に乾燥し、その後、濃度が3g/Lであるテトラアミン白金(II)塩化物水溶液中に2 時間以上浸漬してイオン交換することで白金前駆体を担持した。続いて、水素化ホウ素ナトリウム水溶液によって白金前駆体を還元し、白金担持多孔質炭素膜構造体を得た。得られた白金担持多孔質炭素膜構造体は、膜厚22μm、透気度330秒/100ml、空孔率48%、平均孔径0.14μm、黒鉛化率21%であった。
上記白金担持多孔質炭素膜構造体について、元素分析により白金元素の定量を行った結果、下記〔表1〕に示す通り、多孔質炭素膜構造体の酸化処理時間と白金担持多孔質炭素膜構造体の白金量には明確な相関が得られた。
【0069】
【表1】
Figure 2004164854
【0070】
また、この白金担持多孔質炭素膜構造体に不活性ガス雰囲気下で種々の温度での後熱処理を施すことにより、白金微粒子の粒子径の制御を行った。SEM及びTEMによる観察の結果、後熱処理無しの場合は、粒子形状をした白金はほとんど観察されなく、白金原子が斑なく均一に高分散していることが確認できた。また、熱処理温度と時間を大きくするにつれ、白金微粒子が析出し、粒子サイズが大きくなった。図3に、後熱処理無しの白金担持多孔質炭素膜構造体の表面のSEM写真を示し、図4に、1000℃で1.5時間後熱処理した白金担持多孔質炭素膜構造体の表面のSEM写真を示す。
【0071】
〔高分子電解質膜の作製及びその評価〕
種々の高分子電解質溶液から高分子電解質膜を作製し、以下の測定及び試験を行った。
【0072】
▲1▼溶剤耐性
水、アルコール類、極性溶媒等に膜を浸漬して、その挙動を目視で確認した。
【0073】
▲2▼イオン伝導度測定
膜を電極と一体化したテフロン(登録商標)シート治具で挟み込み、電極間に交流を印加して抵抗部分を測定する交流インピーダンス法を用いて行い、コール・コールプロットの実数インピーダンス切片から計算して求めた。測定は50℃で行った。
【0074】
▲3▼固体粘弾性測定
測定は、引っ張りモードによる動的測定を、昇温速度3℃/min.、周波数5Hz、温度範囲−150〜300℃により行った。
【0075】
実施例1(ハンドリング可能な膜の作製)
デュポン社製パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂溶液〔ナフィオン5012:樹脂濃度;5重量%、溶媒;メタノール+イソプロパノール+水、1100EW(equivalent weight) 〕を減圧エバポレーターにより主溶媒を揮発させた後、固形状に析出したポリマーを100℃、24時間減圧乾燥を行い、濃赤色のナフィオン粉末を回収した。
【0076】
上記得られたポリマー粉末をN,N−ジメチルホルムアミドに溶解し、樹脂含有率5〜20重量%のパーフルオロスルホン酸ポリマー溶液(本発明の高分子電解質溶液)を得た。
該溶液をアルミニウムカップあるいはガラスシャーレ基材内にキャストし、80〜120℃で減圧熱乾燥した後、水浴中で基材より遊離させ、ハンドリング可能な本発明の高分子電解質膜を得た。
得られた膜は12時間水で煮沸したが、崩壊することはなかった。
【0077】
比較例1
実施例1で用いた市販のナフィオン5012溶液を、そのままアルミニウムカップあるいはガラスシャーレ基材内にキャストし、実施例1と同条件にて減圧熱乾燥した。しかし、乾燥過程中でキャスト膜の崩壊が起こり、ハンドリング可能な膜を得ることはできなかった。
【0078】
実施例2(溶媒への水添加によるプロトン伝導効率化)
実施例1において用いた溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド)の代わりに、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF):水を2:1〜1:2の割合で任意に混合した溶媒を用いる他は、実施例1と同様の操作を行い、ハンドリング可能な本発明の高分子電解質膜を得た。いずれの組成の膜も溶媒への再溶解は見られず、膜の形状が崩れることもなかった。
固体粘弾性測定において、溶媒中の含水分量が増すにつれイオン領域に基づく側鎖の分散が低温側にシフトすることが確認された。
イオン伝導度測定において、N,N−ジメチルホルムアミド:水が1:1の混合溶媒から作製された高分子電解質膜が、最も高いイオン伝導度を示した。
また、溶媒蒸発速度を制御するべく、高分子電解質溶液の減圧熱乾燥処理温度を80℃で製膜した高分子電解質膜は、同一組成の高分子電解質溶液の減圧熱乾燥処理温度を120℃で製膜した高分子電解質膜と比較して、イオン伝導度の向上が見られた。
プロトン伝導に寄与するチャネル構造の形成確認を行うため、必要に応じ以下に示す測定を行った。
▲1▼動的固体粘弾性測定
測定装置として固体粘弾性アナライザーRSAIIレオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製)を使用した。試料に0.1%の歪みを加えた上、−150〜300℃の温度範囲にて昇温速度3℃/min.、周波数31.4rad/sec.(5Hz)、窒素雰囲気の条件で動的固体粘弾性評価を行った。
DMF:H2 O=2:1の混合溶媒を用いたサンプル、DMF:H2 O=1:1の混合溶媒を用いたサンプル、及び、DMF:H2 O=1:2の混合溶媒を用いたサンプルについて得られた損失正接のプロファイルを図5に示す。
【0079】
▲2▼広角X線散乱測定
測定装置として回転対陰極型X線回折装置RINT2500型(リガク社製)を使用した。走査速度:5°/min.、走査範囲:3°〜60°、スリット:DS/SS/RS=0.5°/0.5°/0.15mmの条件にて、ポリエチレンテレフタレート(PET)を袋状に成型し、該袋内に作製試料を任意で数枚重ね併せた状態で封入しX線散乱測定を行った。測定は透過法で行った。後に、PET袋のみのX線プロファイルを差し引くことで、目的とする高分子電解質膜のX線散乱プロファイルを得た。DMF:H2 O=1:2の混合溶媒を用いたサンプルを、それぞれ24時間真空乾燥させたもの(DRY)及び8時間沸騰純水中に浸漬させたもの(WET)の2種類のサンプルについて得られたプロファイルを図6に示す。
【0080】
▲3▼TEM観察
測定装置として透過型電子顕微鏡 H-7100FA型(日立製作所社製)を使用した。加速電圧100kVの条件にて、試料を1日超純水に浸漬し、試料表面の水分を濾紙にて吸水後、可視光硬化性アクリル樹脂D−800(東亜合成化学鉱業社製)により包埋し、親水性領域と疎水性領域のコントラストを得るために染色を行った。続いてトリミング・面出し後、ダイヤモンドナイフ装着のウルトラミクロトームにより超薄切片を作製し、TEM観察を行った。観察結果を図7に示す。
【0081】
(電極及びMEAの作製及びその評価)
実施例3(電極の電解質コーティング)
実施例1及び2で作製した高分子電解質溶液中に、参考例1及び2で作製した白金担持多孔質炭素膜構造体を浸漬し、蓋をしたガラスシャーレ内で徐々に溶媒を蒸発させながら乾燥することにより、電解質膜がコーティングされた本発明の高分子電解質型燃料電池用ガス拡散電極を得た。該電極のSEM観察及びEPMA測定の結果、いずれも多孔質炭素の表面に均一に電解質薄膜がコーティングされていることが確認できた。
更に、上記電極を80〜100℃の沸騰純水中に1〜3時間浸漬し、その後乾燥過程を経た上で、X線光電子分光装置(XPS)によりその表面における元素分析及びその化学結合の変化について確認した。燃料電池運転条件と同様の熱水処理前後において、検出元素及び化学結合状態に変化は認められず、被覆電解質の良接着性及び良安定性が示された。
【0082】
また、上記電極を市販のナフィオン膜と熱プレスで圧着し、本発明の高分子電解質膜−ガス拡散電極接合体(MEA)を作製した。電極と膜は良好に接着し、下記〔表2〕に示す通り、燃料電池を組んでの試験で、いずれも良好な電池特性を示した。
【0083】
比較例2
実施例3で用いた高分子電解質溶液を、市販のナフィオン5012溶液に代える以外は、実施例3と同様の操作で、参考例1及び2で作製した白金担持多孔質炭素膜構造体への電解質膜のコーティングを試みた。ナフィオン5012溶液は毛細管現象のために上記構造体内部には均質に侵入せずに最表面に厚膜を形成した。また、得られた電極を水中に浸漬すると、電解質膜の剥離や溶解、崩壊が見られた。
XPSの結果からは、熱水処理後ではフッ素元素比率の著しい減少が見られ、更にC−O結合やC−N結合のピークが検出された。これは、電解質の剥離に伴い、上記多孔質炭素膜構造体の表面が露出していることを示している。
この電極を用いてMEAを作製したが、実施例3のものと比べ、接合部の強度が小さかった。また、下記〔表2〕に示す通り、燃料電池とした場合の性能も実施例3の場合と比較して劣っていた。
【0084】
【表2】
Figure 2004164854
【0085】
【発明の効果】
本発明の高分子電解質溶液を用いることにより、高強度で耐溶剤性の高い高分子電解質膜を作製することができ、また多孔質炭素基材表面に高分子電解質膜をコーティングすることを可能にする。更に、多孔質炭素基材と組み合わせることで、電極反応部位を3次元化することが可能となり、単位面積当たりの発電効率の高い固体高分子型燃料電池を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明で用いられる多孔質炭素基材の代表的な一例の表面の走査型電子顕微鏡写真である。
【図2】図2は、図1の多孔質炭素基材の断面の走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】図3は、参考例2に記載の後熱処理無しの白金担持多孔質炭素膜構造体の表面の走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】図4は、参考例2に記載の後熱処理として1000℃で1.5時間処理した白金担持多孔質炭素膜構造体の表面の走査型電子顕微鏡写真である。
【図5】図5は、実施例2の▲1▼に記載のサンプルについて得られた損失正接のプロファイルである。
【図6】図6は、実施例2の▲2▼に記載のサンプルについて得られたX線プロファイルである。
【図7】図7は、実施例2の▲3▼に記載のサンプルの透過型電子顕微鏡写真である。

Claims (16)

  1. パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂を親水且つ高沸点性質を有する極性溶媒を含有する溶媒に溶解させたことを特徴とする高分子電解質溶液。
  2. 上記溶媒が、親水且つ高沸点性質を有する極性溶媒及び水を主成分とする混合溶媒である、請求項1記載の高分子電解質溶液。
  3. 上記混合溶媒が、親水且つ高沸点性質を有する極性溶媒を主成分とし、水を2.5重量%以上50重量%以下の範囲で含む混合溶媒である、請求項2記載の高分子電解質溶液。
  4. 上記親水且つ高沸点性質を有する極性溶媒が、非プロトン性溶媒又はエーテル系溶媒である、請求項1〜3の何れかに記載の高分子電解質溶液。
  5. 上記親水且つ高沸点性質を有する極性溶媒が、N,N−ジメチルホルムアミドである、請求項1〜3の何れかに記載の高分子電解質溶液。
  6. 上記混合溶媒が、親水且つ高沸点性質を有する極性溶媒と水とを、前者/後者=40/1〜1/2の割合で含有する、請求項2記載の高分子電解質溶液。
  7. パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂濃度が、0.5〜30重量%である、請求項1〜6の何れかに記載の高分子電解質溶液。
  8. 燃料電池用ガス拡散電極作製用溶液である、請求項1〜7の何れかに記載の高分子電解質溶液。
  9. 請求項1〜7の何れかに記載の高分子電解質溶液を用いて作製した、高分子電解質膜。
  10. 水及びアルコール類に不融不溶である、請求項9記載の高分子電解質膜。
  11. 多孔質炭素基材に金属微粒子が分散した構造物を、請求項1〜7の何れかに記載の高分子電解質溶液を用いて、該構造物の表面を該高分子電解質溶液から形成される高分子電解質膜で被覆したことを特徴とする高分子電解質型燃料電池用ガス拡散電極。
  12. 上記金属微粒子が、貴金属微粒子である、請求項11記載の高分子電解質型燃料電池用ガス拡散電極。
  13. 炭素粉末又は炭素繊維、金属微粒子、及び請求項1〜7の何れかに記載の高分子電解質溶液を用いて作製したことを特徴とする高分子電解質型燃料電池用ガス拡散電極。
  14. 上記金属微粒子が、貴金属微粒子である、請求項13記載の高分子電解質型燃料電池用ガス拡散電極。
  15. 請求項11〜14の何れかに記載の高分子電解質型燃料電池用ガス拡散電極を用いて作製したことを特徴とする高分子電解質膜−ガス拡散電極接合体。
  16. 請求項15記載の高分子電解質膜−ガス拡散電極接合体を構成物として用いたことを特徴とする燃料電池。
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