JP2004164293A - クロック信号供給方法、クロック信号供給装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】クロック信号供給方法、当該クロック信号供給方法を用いたクロック信号供給装置および当該クロック信号供給装置を備えた画像形成装置において電磁波ノイズを抑制させてEMI問題の解決を図ることである。
【解決手段】クロック信号供給装置10は、複数位相のクロック信号を供給する位相クロック生成部12と、回路ブロック20a〜20nの各々に供給するクロック信号を当該複数位相のクロック信号の中から各々個別に選択するための位相クロック選択部13a〜13nを備える。
【選択図】 図2
【解決手段】クロック信号供給装置10は、複数位相のクロック信号を供給する位相クロック生成部12と、回路ブロック20a〜20nの各々に供給するクロック信号を当該複数位相のクロック信号の中から各々個別に選択するための位相クロック選択部13a〜13nを備える。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器におけるクロック信号供給方法、当該クロック信号供給方法を用いたクロック信号供給装置及び当該クロック信号供給装置を備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、電子機器を駆動するためのクロック信号が主な原因となって生じる電磁波ノイズ(EMI;ElectroMagnetic Interference)の抑制方法に多くの関心が集まっている。
【0003】
このような電磁波ノイズを抑制するための対策としては、回路基板をシールド処理する方法が一般に知られているが、最近では、クロック信号自体を調整して電磁波ノイズを抑制させる方法が開発されている。
【0004】
例えば、スペクトル拡散クロックと称される方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このスペクトル拡散クロック法によれば、周波数変調のようにクロックの発信周波数を任意の周期で数パーセント変化させることにより、電磁波ノイズのスペクトルのピーク値が減少可能となる。
【0005】
また、電磁波ノイズの主成分であるクロック信号の高調波成分を予め減衰処理して略サイン波形に整形した後に回路に供給する方法なども知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
また、電子機器が4個の回路ブロックを並列実装するような場合、位相が90度ずつ順次シフトされた互いに異なる4種のクロック信号を当該4個の回路ブロックに各々供給する方法が開発されている(例えば、特許文献3参照。)。この方法によれば、これら4種のクロック信号が供給される各回路ブロックから放射される電磁波ノイズは互いに相殺されて抑制される。
【0007】
【特許文献1】
特開平9―98152号公報(第4―7頁、第1―6図)
【特許文献2】
特開2001―166844号公報(第3―4頁、第1―9図)
【特許文献3】
特開2000―255109号公報(第3―4頁、第1―12図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術には、以下のような問題点がある。まず、特許文献1記載のスペクトル拡散クロック法を用いた技術では、クロック信号の周波数の変動が電子機器の動作に直接影響を及ぼすような電子機器に適用するのは困難である。例えば、プリンタは、クロック周期が印字位置に影響するのでスペクトル拡散クロック法の適用が困難となる。更に、この場合、周波数の変調が原因で電磁波ノイズが発生する可能性が生じる。
【0009】
また、特許文献2記載の技術では、高調波成分の減衰処理によりクロック信号がエッジ傾斜されるため、電子機器の動作に直接影響を及ぼす可能性が生じる。更に、この場合、減衰された高調波成分を有するクロック信号は、機器回路内を伝送中に波形整形され、結局、高調波成分が再生されてしまう可能性があるため、電磁波ノイズに対する十分な抑制効果が期待できない。
【0010】
また、特許文献3記載の技術では、複数の回路が同一であっても、実際には互いの位置関係や配置などが若干異なるため、電磁波ノイズの位相差も場所により一定でなくなり、このため、電磁波ノイズの相殺が十分に行われない可能性が生じる。
【0011】
本発明の課題は、電磁波ノイズを抑制させるためのクロック信号供給方法、当該クロック信号供給方法を用いたクロック信号供給装置および当該クロック信号供給装置を備えた画像形成装置を提供して、EMI問題の解決を図ることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
複数のクロック信号を、基板上に形成された複数の回路ブロックに個別的に供給するクロック信号供給方法であって、
前記複数の回路ブロックに対し、相対的に位相の異なるクロック信号を供給することを特徴とする。
【0013】
さらに、請求項2に記載の発明のように、請求項1に記載の発明において、
前記複数の回路ブロックを偶数のグループに分け、当該偶数のグループのうち半数のグループに属する回路ブロックと残りの半数のグループに属する回路ブロックとで相対的に位相の異なるクロック信号を供給するのが好ましい。
【0014】
さらに、請求項3に記載の発明のように、請求項2に記載の発明において、
前記クロック信号間の位相関係は互いに逆位相であるのが好ましい。
【0015】
さらに、請求項4に記載の発明のように、請求項2または3に記載の発明において、
同一グループに属する回路ブロックの各々に供給する各クロック信号に、当該各クロック信号を当該各回路ブロックの各々に供給するための各供給ラインの長さに応じた位相差を持たせるのが好ましい。
【0016】
また、上記課題を解決するため、請求項5に記載の発明は、
複数のクロック信号を、基板上に形成された複数の回路ブロックに個別的に供給するクロック信号供給装置であって、
前記複数の回路ブロックに対し、相対的に位相の異なるクロック信号を供給することを特徴とする。
【0017】
さらに、請求項6に記載の発明のように、請求項5に記載の発明において、
前記複数の回路ブロックが偶数のグループに分けられ、当該偶数のグループのうち半数のグループに属する回路ブロックと残りの半数のグループに属する回路ブロックとで相対的に位相の異なるクロック信号を供給するのが好ましい。
【0018】
さらに、請求項7に記載の発明のように、請求項6に記載の発明において、
前記クロック信号を互いの位相関係が逆位相となるように供給するのが好ましい。
【0019】
さらに、請求項8に記載の発明のように、請求項6または7に記載の発明において、
同一グループに属する回路ブロックの各々に供給する各クロック信号に、当該各クロック信号を当該各回路ブロックの各々に供給するための各供給ラインの長さに応じた位相差を持たせるのが好ましい。
【0020】
また、上記課題を解決するため、請求項9に記載の発明は、
入力された画像データを画像処理するための画像処理回路を備えた画像形成装置において、
前記画像処理回路は、基板上に形成された複数の回路ブロックに対し相対的に位相の異なるクロック信号を供給するクロック信号供給装置を備えたことを特徴とする。
【0021】
さらに、請求項10に記載の発明のように、請求項9に記載の発明において、前記複数の回路ブロックが偶数のグループに分けられ、前記クロック信号供給装置は、当該偶数のグループのうち半数のグループに属する回路ブロックと残りの半数のグループに属する回路ブロックとで相対的に位相の異なるクロック信号を供給するのが好ましい。
【0022】
さらに、請求項11に記載の発明のように、請求項10に記載の発明において、
前記クロック信号供給装置は、前記クロック信号を互いの位相関係が逆位相となるように供給するのが好ましい。
【0023】
さらに、請求項12に記載の発明のように、請求項10または11に記載の発明において、
前記クロック信号供給装置は、同一グループに属する回路ブロックの各々に供給する各クロック信号に、当該各クロック信号を当該各回路ブロックの各々に供給するための各供給ラインの長さに応じた位相差を持たせるのが好ましい。
【0024】
したがって、各回路ブロック毎にクロック信号の位相を調整し当該回路ブロック毎に生じる電磁波ノイズを相殺するので、電磁波ノイズが十分に抑制されてEMI問題の解決が図られる。
さらに、クロック信号の周波数を変化させずに位相のみを変化させるので、クロック周期の変化が電子機器動作に影響を及ぼすような電子機器に対しても適用できる。
さらに、高調波成分に対する減衰処理を行わずクロック信号にエッジ傾斜を生じさせないので、当該クロック信号のエッジ傾斜が原因となる誤動作が回避できる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図4を参照して本発明を適用した実施の形態について説明する。まず、図1を参照して本発明を適用した画像形成装置100の構成を説明する。
【0026】
図1に示すように、画像形成装置100は、統括的制御手段としてのCPU101、画像処理回路102、画像メモリ103、スキャナ104、プリンタ105、FAX(ファクシミリ)106、通信I/F107などを備えて構成される。
【0027】
CPU101は、図示しないROMなどの内蔵メモリに格納された画像形成のための各種プログラムを実行して画像形成装置100を制御する。例えば、CPU101は、スキャナ104から出力された画像データやネットワークを介して通信I/F107から取得した画像データを画像処理回路102において予め画像処理し、当該処理済画像データを画像メモリ103に格納したり、プリンタ105を用いて印刷したり、あるいはFAX106を用いてファクシミリ送信する。また、CPU101は、スキャナ104から出力された画像データや通信I/F107から取得した画像データと共に、画像処理回路102において画像処理された処理済画像データを通信I/F107を介してネットワーク上に送信する。
【0028】
画像処理回路102は、本発明を適用したクロック信号供給装置10を備えると共に、図2に示す回路ブロック20a〜20nなどを基板上に備えて構成される。以下、詳述するが、画像処理回路102から生じる電磁波ノイズとなる輻射2はクロック信号供給装置10によって十分に低減化される。
【0029】
なお、回路ブロック20a〜20nの総数は、画像処理回路102の機能に応じて自由に設定可能である。また、回路ブロック20a〜20nの各々は、IC(Integrated Circuit)やLSI(Large Scale Integrated Circuit)などを単位として構成された回路ブロックであり、回路ブロック20a〜20nの各々に互いに異なった位相のクロック信号が供給されても画像処理回路102は正常に動作する。
【0030】
画像処理回路102はCPU101やスキャナ104から入力された画像データをCPU101からの制御信号に基づいて画像処理する。画像メモリ103は各種画像データを読み出し可能に格納し、スキャナ104は原稿から画像の読み取りを行って画像データを出力し、プリンタ105は画像処理回路102やCPU101から入力された画像データに対し印刷処理を行う。
【0031】
FAX106は、電話回線やISDN回線等の公衆通信回線に接続され、CPU101から入力された画像データをファクシミリ送信したり、受信した画像データをプリント処理する。
【0032】
通信I/F107は、ネットワークに接続してデータの送受信を行う。例えば、通信I/F107は、電話回線やISDN回線等の公衆通信回線に接続してデータの送受信を行うための図示しないモデム(MODEM:MOdulator/DEModulator)またはターミナルアダプタ(TA:Terminal Adapter)等を備える。また、通信I/F107は、LANボードを備えたり、あるいはPCカードを着脱自在に備える構成であっても良い(何れも図示略。)。
【0033】
次に、クロック信号供給装置10の構成を説明する。図2に、クロック信号供給装置10の内部構成を示す。
【0034】
図2に示すように、クロック信号供給装置10は、基準クロック信号Aを出力する基準信号出力部11と、位相クロック生成部12と、位相クロック選択部13a〜13nと、制御部14と、記憶部15とを備えて構成される。
【0035】
位相クロック生成部12は、例えば複数のインバータ(図示略。)によって構成された遅延回路であり、入力信号の位相を所定間隔毎にシフトする(遅延させる)ことが可能である。すなわち、位相クロック生成部12は、基準信号出力部11から入力された基準クロック信号Aに対して所定間隔毎に位相をシフトさせ(以下、基準クロック信号Aに対して5度ずつ位相シフトして得られる71通りの位相クロック信号C1〜C71を用いて説明するが、これに限らない。)、当該71通りの位相クロック信号C1〜C71と基準クロック信号Aとを位相クロック選択部13a〜13nの各々に送信する。
以下、位相クロック信号C1〜C71および基準クロック信号Aを区別せずにクロック信号と称する場合がある。この場合、位相クロック生成部12から出力されるクロック信号の総数(すなわち、位相クロック信号C1〜C71と基準クロック信号Aの総数。)は72である。
【0036】
位相クロック選択部13a〜13nは、例えば複数の論理回路(図示略。)によって構成され、回路ブロック20a〜20nの各々に供給するクロック信号を、制御部14から入力される選択制御信号Bに応じて位相クロック信号C1〜C71および基準クロック信号Aのなかから選択する。ここで、選択制御信号Bは、位相クロック信号C1〜C71および基準クロック信号Aのうち何れのクロック信号を回路ブロック20a〜20nに供給するのかを位相クロック選択部13a〜13nの各々に対して個別に指定するための信号である。
なお、位相クロック選択部13a〜13nの総数は、回路ブロック20a〜20nの総数に応じたものであって自由に設定可能である。
【0037】
制御部14は、クロック信号供給装置10に接続されたPC5から入力される指示信号に基づいて選択制御信号Bを生成し、当該選択制御信号Bを位相クロック選択部13a〜13nの各々に供給する。制御部14は、現在供給中の選択制御信号Bによって表される内容(すなわち、回路ブロック20a〜20nの各々に対する位相クロック信号C1〜C71および基準クロックAの供給パターン。)を記憶する旨の指示がPC5から入力されると、当該供給パターンを(以下、クロック信号供給パターンという。)を記憶部15に記憶する。
【0038】
制御部14は、画像処理回路102が起動されると、記憶部15に記憶された上記クロック信号供給パターンに基づいて選択制御信号Bを位相クロック選択部13a〜13nの各々に供給する。ここで記憶部15は、上記クロック信号供給パターンを記憶する。
【0039】
上記した構成を有するクロック信号供給装置10では、PC5を介して、回路ブロック20a〜20nの各々から出力される輻射1a〜1nの合成波である輻射2が十分に相殺されるクロック信号供給パターンが選択され、当該クロック信号供給パターンデータが記憶部15に記憶される。したがって、クロック信号供給装置10は、記憶部15に記憶された当該クロック信号供給パターンに基づいて各回路ブロック20a〜20nに対し個別にクロック信号を供給するので、電磁波ノイズとなる輻射2が常に十分に相殺可能となる。
【0040】
次に、画像処理回路102に対する上記クロック信号供給パターンの決定法について詳細に説明する。
以下、所定のEMI測定法に基づき、画像処理回路102(あるいは画像処理回路102を具備した画像形成装置100。)に対し、電磁波ノイズとなる輻射2の強度測定を行い、当該測定結果を参照しながら各種指示をPC5を介して制御部14に入力する。
なお、説明簡略化のため、広く実施されている上記EMI測定法についての詳細説明を省略する。
【0041】
まず、操作者は、種々の選択制御信号Bを制御部14に生成させて位相クロック選択部13a〜13nに供給させ、輻射強度が最も小さい輻射2を観測した場合、当該観測時における選択制御信号Bの内容(すなわち、クロック信号供給パターン。)を記憶部15に記憶する旨の指示を制御部14に入力する。
【0042】
この場合、回路ブロック20a〜20n(すなわち、位相クロック選択部13a〜13n。)を二つのグループに分け、各グループに対し、位相差が180度となる2種類のクロック信号を位相クロック信号C1〜C71および基準クロック信号Aのなかから選択する。その後、輻射強度の観測結果に基づき、当該2グループに対応する二つのクロック信号間の位相差を位相クロック生成部12により生成される位相差の一段あるいは数段ずつ180度からシフトさせ、あるいは必要に応じて同一グループにおける各クロック信号に対しても同様に一段あるいは数段ずつ個別に位相をシフトさせてクロック信号を変更し、輻射2の強度が最も小さくなるようなクロック信号供給パターンを決定する。
【0043】
さらに、操作者は、必要に応じて回路ブロック20a〜20nに対し他のグループ分けを行い、上記操作を行って輻射2の強度が最も小さくなるようなクロック信号供給パターンを決定する。その後、操作者は、複数の異なる回路ブロック20a〜20nに対するグループ分けを行って上記クロック信号供給パターンの決定作業を繰り返し、当該複数のグループ分けのなかで輻射2の強度が最も小さくなるグループ分けを行った際のクロック信号供給パターンを最終的なクロック信号供給パターンとして決定し、当該最終決定されたクロック信号供給パターンを記憶部15に記憶する旨の指示をPC5に入力する。
【0044】
次に、図3を参照して4つの回路ブロック20a〜20dを備えた画像処理回路102aに対するクロック信号供給パターンの決定処理の一例を説明する。
【0045】
ここで、回路ブロック20a〜20dに対して各々供給されるクロック信号E1〜E4の供給ラインの長さは互いに異なっているものとする。すなわち、クロック信号E1の供給ラインはクロック信号E2の供給ラインより長く、クロック信号E3の供給ラインはクロック信号E4の供給ラインより長いものとする。
【0046】
また、クロック信号E1〜E4の各々は、位相クロック信号C1〜C71および基準クロック信号Aのうち何れかであり、位相クロック選択部13a〜13d(図2参照。)の各々を介して供給される。
【0047】
なお、画像処理回路102aは、画像処理回路102の一例であり、画像処理回路102と同一構成部には同一符号を付して説明を省略する。
【0048】
操作者は、まず、回路ブロック20a〜20dを、回路ブロック20a、20bと回路ブロック20c、20dとにグループ分けする。ここで、回路ブロック20a、20bによって成るグループを第1グループ、回路ブロック20c、20dによって成るグループを第2グループと称する。
【0049】
次に、クロック信号E1〜E4を、第1グループにおけるクロック信号E1、E2が同一位相のクロック信号になると共に第2グループにおけるクロック信号E3、E4が同一位相のクロック信号となるように、さらに、クロック信号E1、E2と、クロック信号E3、E4との位相差が180度となるように、位相クロック信号C1〜C71および基準クロックAのなかから決定する。
【0050】
その後、輻射2の強度を観測しながら、当該輻射強度が最も小さくなるように、クロック信号E1〜E4の各々を位相クロック信号C1〜C71および基準クロック信号Aのなかから選択する。
【0051】
ここで、クロック信号E1〜E4の各供給ラインの長さが上記したように互いに異なっているため、クロック信号E1〜E4の各々は、さらに位相差の調整が行われ、例えば、図4に示すような位相の場合に輻射2の強度が最も小さくなる。
すなわち、クロック信号E1、E2は同一グループ内のクロック信号であるが、クロック信号E1の供給ラインがクロック信号E2の供給ラインに比べて長いので各回路ブロック20a、20bに到るまでにクロック信号に位相差(以下、供給ライン位相差という。)が生じる。このため、クロック信号E1の位相とクロック信号E2の位相との間に図中符号D1に示す分だけ予め位相差を設けて当該供給ライン位相差を解消させる。同様に、クロック信号E3、E4は同一グループ内のクロック信号であるが、クロック信号E3の供給ラインがクロック信号E4の供給ラインに比べて長いので各回路ブロック20c、20dに到るまでにクロック信号に供給ライン位相差が生じる。このため、クロック信号E3の位相とクロック信号E3の位相との間に図中符号D2に示す分だけ予め位相差を設けて当該供給ライン位相差を解消させる。
【0052】
操作者は、上記操作を実行することにより図4に示す位相を有するクロック信号E1〜E4を位相クロック信号C1〜C71および基準クロック信号Aのなかから選択してクロック信号供給パターンを決定し、当該クロック信号供給パターンデータを記憶部15に記憶する旨の指示をPC5に入力する。
【0053】
したがって、画像処理回路102は、記憶部15に記憶された当該クロック信号供給パターンに基づいてクロック信号E1〜E4を回路ブロック20a〜20dの各々に供給するので、輻射2の強度が十分に低減化され、EMI問題の解決が図られる。
【0054】
以上説明したように、クロック信号供給装置10は、複数位相のクロック信号を供給する位相クロック生成部12と、回路ブロック20a〜20nの各々に供給するクロック信号を当該複数位相のクロック信号の中から各々個別に選択するための位相クロック選択部13a〜13nとを備える。
【0055】
したがって、画像処理回路102から輻射1a〜1nが電磁波ノイズとして自由空間に放射されるが、これら輻射1a〜1nを合成した輻射2の強度が小さくなるように回路ブロック20a〜20nに供給するクロック信号の位相が個別に調整されるので、輻射2が十分に相殺可能となり、画像処理回路102から放射される電磁波ノイズが十分に低減化されてEMI問題の解決が図られる。
【0056】
なお、本実施の形態における記述は、本発明に係るクロック信号供給方法、クロック信号供給装置および画像形成装置の一例を示すものであり、これに限定されるものではない。本実施の形態におけるクロック信号供給装置10および画像形成装置100の細部構成及び詳細動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0057】
例えば、クロック信号供給装置10は、画像処理回路102および画像形成装置100に適用されるとして説明したが、それに限らず、クロック信号供給装置10は他の如何なる電子機器(例えば、携帯電話やコンピュータ等)に対しても適用可能である。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、各回路ブロック毎にクロック信号の位相を調整し当該回路ブロック毎に生じる電磁波ノイズを相殺するので、電磁波ノイズが十分に抑制されてEMI問題の解決が図られる。
さらに、クロック信号の周波数を変化させずに位相のみを変化させるので、クロック周期の変化が電子機器動作に影響を及ぼすような電子機器に対しても適用できる。
さらに、高調波成分に対する減衰処理を行わずクロック信号にエッジ傾斜を生じさせないので、当該クロック信号のエッジ傾斜が原因となる誤動作が回避できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した画像形成装置の内部構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す画像処理回路の内部構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す画像処理回路の内部構成の一例を示すブロック図である。
【図4】図3に示す画像処理回路内で供給されるクロック信号のタイミングチャートである。
【符号の説明】
10 クロック信号供給装置
11 基準クロック信号出力部
12 位相クロック生成部
13a〜13n 位相クロック選択部
14 制御部
15 記憶部
20a〜20n 回路ブロック
100 画像形成装置
101 CPU
102、102a 画像処理回路
103 画像メモリ
104 スキャナ
105 プリンタ
106 FAX
107 通信I/F
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器におけるクロック信号供給方法、当該クロック信号供給方法を用いたクロック信号供給装置及び当該クロック信号供給装置を備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、電子機器を駆動するためのクロック信号が主な原因となって生じる電磁波ノイズ(EMI;ElectroMagnetic Interference)の抑制方法に多くの関心が集まっている。
【0003】
このような電磁波ノイズを抑制するための対策としては、回路基板をシールド処理する方法が一般に知られているが、最近では、クロック信号自体を調整して電磁波ノイズを抑制させる方法が開発されている。
【0004】
例えば、スペクトル拡散クロックと称される方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このスペクトル拡散クロック法によれば、周波数変調のようにクロックの発信周波数を任意の周期で数パーセント変化させることにより、電磁波ノイズのスペクトルのピーク値が減少可能となる。
【0005】
また、電磁波ノイズの主成分であるクロック信号の高調波成分を予め減衰処理して略サイン波形に整形した後に回路に供給する方法なども知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
また、電子機器が4個の回路ブロックを並列実装するような場合、位相が90度ずつ順次シフトされた互いに異なる4種のクロック信号を当該4個の回路ブロックに各々供給する方法が開発されている(例えば、特許文献3参照。)。この方法によれば、これら4種のクロック信号が供給される各回路ブロックから放射される電磁波ノイズは互いに相殺されて抑制される。
【0007】
【特許文献1】
特開平9―98152号公報(第4―7頁、第1―6図)
【特許文献2】
特開2001―166844号公報(第3―4頁、第1―9図)
【特許文献3】
特開2000―255109号公報(第3―4頁、第1―12図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術には、以下のような問題点がある。まず、特許文献1記載のスペクトル拡散クロック法を用いた技術では、クロック信号の周波数の変動が電子機器の動作に直接影響を及ぼすような電子機器に適用するのは困難である。例えば、プリンタは、クロック周期が印字位置に影響するのでスペクトル拡散クロック法の適用が困難となる。更に、この場合、周波数の変調が原因で電磁波ノイズが発生する可能性が生じる。
【0009】
また、特許文献2記載の技術では、高調波成分の減衰処理によりクロック信号がエッジ傾斜されるため、電子機器の動作に直接影響を及ぼす可能性が生じる。更に、この場合、減衰された高調波成分を有するクロック信号は、機器回路内を伝送中に波形整形され、結局、高調波成分が再生されてしまう可能性があるため、電磁波ノイズに対する十分な抑制効果が期待できない。
【0010】
また、特許文献3記載の技術では、複数の回路が同一であっても、実際には互いの位置関係や配置などが若干異なるため、電磁波ノイズの位相差も場所により一定でなくなり、このため、電磁波ノイズの相殺が十分に行われない可能性が生じる。
【0011】
本発明の課題は、電磁波ノイズを抑制させるためのクロック信号供給方法、当該クロック信号供給方法を用いたクロック信号供給装置および当該クロック信号供給装置を備えた画像形成装置を提供して、EMI問題の解決を図ることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
複数のクロック信号を、基板上に形成された複数の回路ブロックに個別的に供給するクロック信号供給方法であって、
前記複数の回路ブロックに対し、相対的に位相の異なるクロック信号を供給することを特徴とする。
【0013】
さらに、請求項2に記載の発明のように、請求項1に記載の発明において、
前記複数の回路ブロックを偶数のグループに分け、当該偶数のグループのうち半数のグループに属する回路ブロックと残りの半数のグループに属する回路ブロックとで相対的に位相の異なるクロック信号を供給するのが好ましい。
【0014】
さらに、請求項3に記載の発明のように、請求項2に記載の発明において、
前記クロック信号間の位相関係は互いに逆位相であるのが好ましい。
【0015】
さらに、請求項4に記載の発明のように、請求項2または3に記載の発明において、
同一グループに属する回路ブロックの各々に供給する各クロック信号に、当該各クロック信号を当該各回路ブロックの各々に供給するための各供給ラインの長さに応じた位相差を持たせるのが好ましい。
【0016】
また、上記課題を解決するため、請求項5に記載の発明は、
複数のクロック信号を、基板上に形成された複数の回路ブロックに個別的に供給するクロック信号供給装置であって、
前記複数の回路ブロックに対し、相対的に位相の異なるクロック信号を供給することを特徴とする。
【0017】
さらに、請求項6に記載の発明のように、請求項5に記載の発明において、
前記複数の回路ブロックが偶数のグループに分けられ、当該偶数のグループのうち半数のグループに属する回路ブロックと残りの半数のグループに属する回路ブロックとで相対的に位相の異なるクロック信号を供給するのが好ましい。
【0018】
さらに、請求項7に記載の発明のように、請求項6に記載の発明において、
前記クロック信号を互いの位相関係が逆位相となるように供給するのが好ましい。
【0019】
さらに、請求項8に記載の発明のように、請求項6または7に記載の発明において、
同一グループに属する回路ブロックの各々に供給する各クロック信号に、当該各クロック信号を当該各回路ブロックの各々に供給するための各供給ラインの長さに応じた位相差を持たせるのが好ましい。
【0020】
また、上記課題を解決するため、請求項9に記載の発明は、
入力された画像データを画像処理するための画像処理回路を備えた画像形成装置において、
前記画像処理回路は、基板上に形成された複数の回路ブロックに対し相対的に位相の異なるクロック信号を供給するクロック信号供給装置を備えたことを特徴とする。
【0021】
さらに、請求項10に記載の発明のように、請求項9に記載の発明において、前記複数の回路ブロックが偶数のグループに分けられ、前記クロック信号供給装置は、当該偶数のグループのうち半数のグループに属する回路ブロックと残りの半数のグループに属する回路ブロックとで相対的に位相の異なるクロック信号を供給するのが好ましい。
【0022】
さらに、請求項11に記載の発明のように、請求項10に記載の発明において、
前記クロック信号供給装置は、前記クロック信号を互いの位相関係が逆位相となるように供給するのが好ましい。
【0023】
さらに、請求項12に記載の発明のように、請求項10または11に記載の発明において、
前記クロック信号供給装置は、同一グループに属する回路ブロックの各々に供給する各クロック信号に、当該各クロック信号を当該各回路ブロックの各々に供給するための各供給ラインの長さに応じた位相差を持たせるのが好ましい。
【0024】
したがって、各回路ブロック毎にクロック信号の位相を調整し当該回路ブロック毎に生じる電磁波ノイズを相殺するので、電磁波ノイズが十分に抑制されてEMI問題の解決が図られる。
さらに、クロック信号の周波数を変化させずに位相のみを変化させるので、クロック周期の変化が電子機器動作に影響を及ぼすような電子機器に対しても適用できる。
さらに、高調波成分に対する減衰処理を行わずクロック信号にエッジ傾斜を生じさせないので、当該クロック信号のエッジ傾斜が原因となる誤動作が回避できる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図4を参照して本発明を適用した実施の形態について説明する。まず、図1を参照して本発明を適用した画像形成装置100の構成を説明する。
【0026】
図1に示すように、画像形成装置100は、統括的制御手段としてのCPU101、画像処理回路102、画像メモリ103、スキャナ104、プリンタ105、FAX(ファクシミリ)106、通信I/F107などを備えて構成される。
【0027】
CPU101は、図示しないROMなどの内蔵メモリに格納された画像形成のための各種プログラムを実行して画像形成装置100を制御する。例えば、CPU101は、スキャナ104から出力された画像データやネットワークを介して通信I/F107から取得した画像データを画像処理回路102において予め画像処理し、当該処理済画像データを画像メモリ103に格納したり、プリンタ105を用いて印刷したり、あるいはFAX106を用いてファクシミリ送信する。また、CPU101は、スキャナ104から出力された画像データや通信I/F107から取得した画像データと共に、画像処理回路102において画像処理された処理済画像データを通信I/F107を介してネットワーク上に送信する。
【0028】
画像処理回路102は、本発明を適用したクロック信号供給装置10を備えると共に、図2に示す回路ブロック20a〜20nなどを基板上に備えて構成される。以下、詳述するが、画像処理回路102から生じる電磁波ノイズとなる輻射2はクロック信号供給装置10によって十分に低減化される。
【0029】
なお、回路ブロック20a〜20nの総数は、画像処理回路102の機能に応じて自由に設定可能である。また、回路ブロック20a〜20nの各々は、IC(Integrated Circuit)やLSI(Large Scale Integrated Circuit)などを単位として構成された回路ブロックであり、回路ブロック20a〜20nの各々に互いに異なった位相のクロック信号が供給されても画像処理回路102は正常に動作する。
【0030】
画像処理回路102はCPU101やスキャナ104から入力された画像データをCPU101からの制御信号に基づいて画像処理する。画像メモリ103は各種画像データを読み出し可能に格納し、スキャナ104は原稿から画像の読み取りを行って画像データを出力し、プリンタ105は画像処理回路102やCPU101から入力された画像データに対し印刷処理を行う。
【0031】
FAX106は、電話回線やISDN回線等の公衆通信回線に接続され、CPU101から入力された画像データをファクシミリ送信したり、受信した画像データをプリント処理する。
【0032】
通信I/F107は、ネットワークに接続してデータの送受信を行う。例えば、通信I/F107は、電話回線やISDN回線等の公衆通信回線に接続してデータの送受信を行うための図示しないモデム(MODEM:MOdulator/DEModulator)またはターミナルアダプタ(TA:Terminal Adapter)等を備える。また、通信I/F107は、LANボードを備えたり、あるいはPCカードを着脱自在に備える構成であっても良い(何れも図示略。)。
【0033】
次に、クロック信号供給装置10の構成を説明する。図2に、クロック信号供給装置10の内部構成を示す。
【0034】
図2に示すように、クロック信号供給装置10は、基準クロック信号Aを出力する基準信号出力部11と、位相クロック生成部12と、位相クロック選択部13a〜13nと、制御部14と、記憶部15とを備えて構成される。
【0035】
位相クロック生成部12は、例えば複数のインバータ(図示略。)によって構成された遅延回路であり、入力信号の位相を所定間隔毎にシフトする(遅延させる)ことが可能である。すなわち、位相クロック生成部12は、基準信号出力部11から入力された基準クロック信号Aに対して所定間隔毎に位相をシフトさせ(以下、基準クロック信号Aに対して5度ずつ位相シフトして得られる71通りの位相クロック信号C1〜C71を用いて説明するが、これに限らない。)、当該71通りの位相クロック信号C1〜C71と基準クロック信号Aとを位相クロック選択部13a〜13nの各々に送信する。
以下、位相クロック信号C1〜C71および基準クロック信号Aを区別せずにクロック信号と称する場合がある。この場合、位相クロック生成部12から出力されるクロック信号の総数(すなわち、位相クロック信号C1〜C71と基準クロック信号Aの総数。)は72である。
【0036】
位相クロック選択部13a〜13nは、例えば複数の論理回路(図示略。)によって構成され、回路ブロック20a〜20nの各々に供給するクロック信号を、制御部14から入力される選択制御信号Bに応じて位相クロック信号C1〜C71および基準クロック信号Aのなかから選択する。ここで、選択制御信号Bは、位相クロック信号C1〜C71および基準クロック信号Aのうち何れのクロック信号を回路ブロック20a〜20nに供給するのかを位相クロック選択部13a〜13nの各々に対して個別に指定するための信号である。
なお、位相クロック選択部13a〜13nの総数は、回路ブロック20a〜20nの総数に応じたものであって自由に設定可能である。
【0037】
制御部14は、クロック信号供給装置10に接続されたPC5から入力される指示信号に基づいて選択制御信号Bを生成し、当該選択制御信号Bを位相クロック選択部13a〜13nの各々に供給する。制御部14は、現在供給中の選択制御信号Bによって表される内容(すなわち、回路ブロック20a〜20nの各々に対する位相クロック信号C1〜C71および基準クロックAの供給パターン。)を記憶する旨の指示がPC5から入力されると、当該供給パターンを(以下、クロック信号供給パターンという。)を記憶部15に記憶する。
【0038】
制御部14は、画像処理回路102が起動されると、記憶部15に記憶された上記クロック信号供給パターンに基づいて選択制御信号Bを位相クロック選択部13a〜13nの各々に供給する。ここで記憶部15は、上記クロック信号供給パターンを記憶する。
【0039】
上記した構成を有するクロック信号供給装置10では、PC5を介して、回路ブロック20a〜20nの各々から出力される輻射1a〜1nの合成波である輻射2が十分に相殺されるクロック信号供給パターンが選択され、当該クロック信号供給パターンデータが記憶部15に記憶される。したがって、クロック信号供給装置10は、記憶部15に記憶された当該クロック信号供給パターンに基づいて各回路ブロック20a〜20nに対し個別にクロック信号を供給するので、電磁波ノイズとなる輻射2が常に十分に相殺可能となる。
【0040】
次に、画像処理回路102に対する上記クロック信号供給パターンの決定法について詳細に説明する。
以下、所定のEMI測定法に基づき、画像処理回路102(あるいは画像処理回路102を具備した画像形成装置100。)に対し、電磁波ノイズとなる輻射2の強度測定を行い、当該測定結果を参照しながら各種指示をPC5を介して制御部14に入力する。
なお、説明簡略化のため、広く実施されている上記EMI測定法についての詳細説明を省略する。
【0041】
まず、操作者は、種々の選択制御信号Bを制御部14に生成させて位相クロック選択部13a〜13nに供給させ、輻射強度が最も小さい輻射2を観測した場合、当該観測時における選択制御信号Bの内容(すなわち、クロック信号供給パターン。)を記憶部15に記憶する旨の指示を制御部14に入力する。
【0042】
この場合、回路ブロック20a〜20n(すなわち、位相クロック選択部13a〜13n。)を二つのグループに分け、各グループに対し、位相差が180度となる2種類のクロック信号を位相クロック信号C1〜C71および基準クロック信号Aのなかから選択する。その後、輻射強度の観測結果に基づき、当該2グループに対応する二つのクロック信号間の位相差を位相クロック生成部12により生成される位相差の一段あるいは数段ずつ180度からシフトさせ、あるいは必要に応じて同一グループにおける各クロック信号に対しても同様に一段あるいは数段ずつ個別に位相をシフトさせてクロック信号を変更し、輻射2の強度が最も小さくなるようなクロック信号供給パターンを決定する。
【0043】
さらに、操作者は、必要に応じて回路ブロック20a〜20nに対し他のグループ分けを行い、上記操作を行って輻射2の強度が最も小さくなるようなクロック信号供給パターンを決定する。その後、操作者は、複数の異なる回路ブロック20a〜20nに対するグループ分けを行って上記クロック信号供給パターンの決定作業を繰り返し、当該複数のグループ分けのなかで輻射2の強度が最も小さくなるグループ分けを行った際のクロック信号供給パターンを最終的なクロック信号供給パターンとして決定し、当該最終決定されたクロック信号供給パターンを記憶部15に記憶する旨の指示をPC5に入力する。
【0044】
次に、図3を参照して4つの回路ブロック20a〜20dを備えた画像処理回路102aに対するクロック信号供給パターンの決定処理の一例を説明する。
【0045】
ここで、回路ブロック20a〜20dに対して各々供給されるクロック信号E1〜E4の供給ラインの長さは互いに異なっているものとする。すなわち、クロック信号E1の供給ラインはクロック信号E2の供給ラインより長く、クロック信号E3の供給ラインはクロック信号E4の供給ラインより長いものとする。
【0046】
また、クロック信号E1〜E4の各々は、位相クロック信号C1〜C71および基準クロック信号Aのうち何れかであり、位相クロック選択部13a〜13d(図2参照。)の各々を介して供給される。
【0047】
なお、画像処理回路102aは、画像処理回路102の一例であり、画像処理回路102と同一構成部には同一符号を付して説明を省略する。
【0048】
操作者は、まず、回路ブロック20a〜20dを、回路ブロック20a、20bと回路ブロック20c、20dとにグループ分けする。ここで、回路ブロック20a、20bによって成るグループを第1グループ、回路ブロック20c、20dによって成るグループを第2グループと称する。
【0049】
次に、クロック信号E1〜E4を、第1グループにおけるクロック信号E1、E2が同一位相のクロック信号になると共に第2グループにおけるクロック信号E3、E4が同一位相のクロック信号となるように、さらに、クロック信号E1、E2と、クロック信号E3、E4との位相差が180度となるように、位相クロック信号C1〜C71および基準クロックAのなかから決定する。
【0050】
その後、輻射2の強度を観測しながら、当該輻射強度が最も小さくなるように、クロック信号E1〜E4の各々を位相クロック信号C1〜C71および基準クロック信号Aのなかから選択する。
【0051】
ここで、クロック信号E1〜E4の各供給ラインの長さが上記したように互いに異なっているため、クロック信号E1〜E4の各々は、さらに位相差の調整が行われ、例えば、図4に示すような位相の場合に輻射2の強度が最も小さくなる。
すなわち、クロック信号E1、E2は同一グループ内のクロック信号であるが、クロック信号E1の供給ラインがクロック信号E2の供給ラインに比べて長いので各回路ブロック20a、20bに到るまでにクロック信号に位相差(以下、供給ライン位相差という。)が生じる。このため、クロック信号E1の位相とクロック信号E2の位相との間に図中符号D1に示す分だけ予め位相差を設けて当該供給ライン位相差を解消させる。同様に、クロック信号E3、E4は同一グループ内のクロック信号であるが、クロック信号E3の供給ラインがクロック信号E4の供給ラインに比べて長いので各回路ブロック20c、20dに到るまでにクロック信号に供給ライン位相差が生じる。このため、クロック信号E3の位相とクロック信号E3の位相との間に図中符号D2に示す分だけ予め位相差を設けて当該供給ライン位相差を解消させる。
【0052】
操作者は、上記操作を実行することにより図4に示す位相を有するクロック信号E1〜E4を位相クロック信号C1〜C71および基準クロック信号Aのなかから選択してクロック信号供給パターンを決定し、当該クロック信号供給パターンデータを記憶部15に記憶する旨の指示をPC5に入力する。
【0053】
したがって、画像処理回路102は、記憶部15に記憶された当該クロック信号供給パターンに基づいてクロック信号E1〜E4を回路ブロック20a〜20dの各々に供給するので、輻射2の強度が十分に低減化され、EMI問題の解決が図られる。
【0054】
以上説明したように、クロック信号供給装置10は、複数位相のクロック信号を供給する位相クロック生成部12と、回路ブロック20a〜20nの各々に供給するクロック信号を当該複数位相のクロック信号の中から各々個別に選択するための位相クロック選択部13a〜13nとを備える。
【0055】
したがって、画像処理回路102から輻射1a〜1nが電磁波ノイズとして自由空間に放射されるが、これら輻射1a〜1nを合成した輻射2の強度が小さくなるように回路ブロック20a〜20nに供給するクロック信号の位相が個別に調整されるので、輻射2が十分に相殺可能となり、画像処理回路102から放射される電磁波ノイズが十分に低減化されてEMI問題の解決が図られる。
【0056】
なお、本実施の形態における記述は、本発明に係るクロック信号供給方法、クロック信号供給装置および画像形成装置の一例を示すものであり、これに限定されるものではない。本実施の形態におけるクロック信号供給装置10および画像形成装置100の細部構成及び詳細動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0057】
例えば、クロック信号供給装置10は、画像処理回路102および画像形成装置100に適用されるとして説明したが、それに限らず、クロック信号供給装置10は他の如何なる電子機器(例えば、携帯電話やコンピュータ等)に対しても適用可能である。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、各回路ブロック毎にクロック信号の位相を調整し当該回路ブロック毎に生じる電磁波ノイズを相殺するので、電磁波ノイズが十分に抑制されてEMI問題の解決が図られる。
さらに、クロック信号の周波数を変化させずに位相のみを変化させるので、クロック周期の変化が電子機器動作に影響を及ぼすような電子機器に対しても適用できる。
さらに、高調波成分に対する減衰処理を行わずクロック信号にエッジ傾斜を生じさせないので、当該クロック信号のエッジ傾斜が原因となる誤動作が回避できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した画像形成装置の内部構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す画像処理回路の内部構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す画像処理回路の内部構成の一例を示すブロック図である。
【図4】図3に示す画像処理回路内で供給されるクロック信号のタイミングチャートである。
【符号の説明】
10 クロック信号供給装置
11 基準クロック信号出力部
12 位相クロック生成部
13a〜13n 位相クロック選択部
14 制御部
15 記憶部
20a〜20n 回路ブロック
100 画像形成装置
101 CPU
102、102a 画像処理回路
103 画像メモリ
104 スキャナ
105 プリンタ
106 FAX
107 通信I/F
Claims (12)
- 複数のクロック信号を、基板上に形成された複数の回路ブロックに個別的に供給するクロック信号供給方法であって、
前記複数の回路ブロックに対し、相対的に位相の異なるクロック信号を供給することを特徴とするクロック信号供給方法。 - 前記複数の回路ブロックを偶数のグループに分け、当該偶数のグループのうち半数のグループに属する回路ブロックと残りの半数のグループに属する回路ブロックとで相対的に位相の異なるクロック信号を供給することを特徴とする請求項1に記載のクロック信号供給方法。
- 前記クロック信号間の位相関係は互いに逆位相であることを特徴とする請求項2に記載のクロック信号供給方法。
- 同一グループに属する回路ブロックの各々に供給する各クロック信号に、当該各クロック信号を当該各回路ブロックの各々に供給するための各供給ラインの長さに応じた位相差を持たせることを特徴とする請求項2または3に記載のクロック信号供給方法。
- 複数のクロック信号を、基板上に形成された複数の回路ブロックに個別的に供給するクロック信号供給装置であって、
前記複数の回路ブロックに対し、相対的に位相の異なるクロック信号を供給することを特徴とするクロック信号供給装置。 - 前記複数の回路ブロックが偶数のグループに分けられ、当該偶数のグループのうち半数のグループに属する回路ブロックと残りの半数のグループに属する回路ブロックとで相対的に位相の異なるクロック信号を供給することを特徴とする請求項5に記載のクロック信号供給装置。
- 前記クロック信号を互いの位相関係が逆位相となるように供給することを特徴とする請求項6に記載のクロック信号供給装置。
- 同一グループに属する回路ブロックの各々に供給する各クロック信号に、当該各クロック信号を当該各回路ブロックの各々に供給するための各供給ラインの長さに応じた位相差を持たせることを特徴とする請求項6または7に記載のクロック信号供給装置。
- 入力された画像データを画像処理するための画像処理回路を備えた画像形成装置において、
前記画像処理回路は、基板上に形成された複数の回路ブロックに対し相対的に位相の異なるクロック信号を供給するクロック信号供給装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。 - 前記複数の回路ブロックが偶数のグループに分けられ、前記クロック信号供給装置は、当該偶数のグループのうち半数のグループに属する回路ブロックと残りの半数のグループに属する回路ブロックとで相対的に位相の異なるクロック信号を供給することを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
- 前記クロック信号供給装置は、前記クロック信号を互いの位相関係が逆位相となるように供給することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
- 前記クロック信号供給装置は、同一グループに属する回路ブロックの各々に供給する各クロック信号に、当該各クロック信号を当該各回路ブロックの各々に供給するための各供給ラインの長さに応じた位相差を持たせることを特徴とする請求項10または11に記載の画像形成装置。
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JP2002329522A JP2004164293A (ja) | 2002-11-13 | 2002-11-13 | クロック信号供給方法、クロック信号供給装置及び画像形成装置 |
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Cited By (2)
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US8144350B2 (en) | 2007-02-15 | 2012-03-27 | Samsung Electronics Co., Ltd. | Image forming apparatus and method of controlling the same |
JP2014194701A (ja) * | 2013-03-29 | 2014-10-09 | Kyocera Document Solutions Inc | 半導体集積回路、情報処理装置及び画像形成装置 |
-
2002
- 2002-11-13 JP JP2002329522A patent/JP2004164293A/ja active Pending
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JP2014194701A (ja) * | 2013-03-29 | 2014-10-09 | Kyocera Document Solutions Inc | 半導体集積回路、情報処理装置及び画像形成装置 |
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