JP2004163738A - フィルム剥離装置およびフィルム剥離方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フィルム剥離の際に基板表面に電位が発生するという帯電現象そのものを抑制するフィルム剥離装置、およびフィルム剥離方法を提供する。
【解決手段】ベースフィルム1が設けられているCF基板13から上記ベースフィルム1を剥離するフィルム剥離装置50において、電圧を印加しない状態でベースフィルム1を剥離した場合にCF基板13表面に発生する電位と逆極性の電圧をベースフィルム1に印加しながら、CF基板13からベースフィルム1を剥離するフィルム剥離装置50は、ベースフィルム1を剥離する際に、CF基板13表面に電位が発生するという帯電現象そのものを抑制することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】ベースフィルム1が設けられているCF基板13から上記ベースフィルム1を剥離するフィルム剥離装置50において、電圧を印加しない状態でベースフィルム1を剥離した場合にCF基板13表面に発生する電位と逆極性の電圧をベースフィルム1に印加しながら、CF基板13からベースフィルム1を剥離するフィルム剥離装置50は、ベースフィルム1を剥離する際に、CF基板13表面に電位が発生するという帯電現象そのものを抑制することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示パネルのカラーフィルム基板製造工程におけるベースフィルム剥離装置、または偏光板貼付け後の保護フィルム剥離装置等のフィルム剥離装置およびフィルム剥離方法等に関し、特にフィルム剥離時に発生する基板表面電位を抑制するフィルム剥離装置およびフィルム剥離方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示パネル(以下、LCDと称する)製造におけるフィルム剥離工程では、フィルムを基板から剥離する際にフィルムが帯電する現象が発生する。このフィルム帯電現象は、フィルムと基板との接触面に形成された電気二重層がフィルム剥離時に一部緩和されず分離することで発生する(例えば、非特許文献1参照)。このようにフィルムが帯電することによって、基板表面に異物が付着する場合があり、これにより、欠陥不良および静電気放電(ESD)を引き起こし、素子破壊等の問題が発生することがある。
【0003】
例えば、上記問題の第1の例として、LCDをカラー化するために用いるカラーフィルタ基板(以下、CF基板と称する)製造工程における問題が挙げられる。図6に示すように、CF基板13は、ガラス基板2上にR・G・Bの色フィルム7が規則正しく配置されているものである。CF基板13の製造法には印刷法、フォトリソグラフィ法等がある。そのうち、フォトリソグラフィ法は、まず、図7のように、ベースフィルム1とベースフィルム14とが設けられている色フィルム7を、ベースフィルム14のみを剥がした後、ガラス基板2に貼付ける。次に、ベースフィルム1を剥離し、露光、現像しCF基板13を形成する方法である。
【0004】
この工程中、ベースフィルム1剥離時のCF基板13表面は、10〜20kVに帯電するため、それに伴い剥離面にフィルムの欠片や異物が吸引、付着し、露光時に影となり欠陥不良となることがある。
【0005】
上記の問題を解決するための製造工程における従来の静電気対策方法としては、図9に示すように、主にイオナイザー12(例えば、7kV〜10kVの高電圧を針電極に印加し、コロナチャージにより空気を正負イオン化させ、その空気を帯電物に吹き付けて静電気を中和するDC型、AC型イオナイザー、または軟X線を空気に照射することにより空気を電離し、イオンを発生させて静電気を中和する軟X線イオナイザー等)を装置上方に取りつけ、ベースフィルム1を剥離する際に、正負両イオンをベースフィルム1表面に吹き付けて装置全体を除電する方法▲1▼が挙げられる。
【0006】
また、上記問題の第2の例として、偏光板貼付け工程に発生する問題が挙げられる。例えば、図8に示すように、偏光板10は、表面ベースフィルム11、TAC15、PVA(偏光部)16、接着剤17、セパレータ18を有するラミネート構造をしたものである。この偏光板10から表面ベースフィルム11を剥離する際、偏光板10表面は10kV以上に帯電してしまう。このため、表面ベースフィルム11剥離後の偏光板10表面に異物が付着する問題、およびESDによる素子破壊が発生する問題が発生する。
【0007】
上記の問題を解決するための製造工程における従来の静電気対策方法としては、図10に示すように、イオナイザー12(例えば、空気イオン化機構と送風機構とを併せ持った除電ブロアーや上記のDC型イオナイザー等)を装置の横に設置し、表面ベースフィルム11とTAC15との間の剥離面に正負両イオンを吹き付ける方法▲2▼が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−114796号公報(公開日 平成8年 5月 7日)
【0009】
【非特許文献1】
「静電気ハンドブック」、オーム社、p132−140
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような剥離帯電は、ベースフィルム1剥離時に一瞬にして基板表面が数kVまで帯電してしまうため、上記静電気対策方法▲1▼、▲2▼では確実に除電することが困難であり、徐電が不充分になってしまうという問題がある。
【0011】
すなわち、上記静電気対策方法▲1▼に関しては、正負両イオンが空気中で中和してしまい、帯電面を除電するのに必要なイオンを供給しにくいという問題がある。
【0012】
また、静電気対策方法▲2▼に関しては、帯電面にイオンは到達するものの、帯電面が広い、例えば大型液晶用基板面等では、イオンが除電装置に近い側から遠い側(対辺)に達するまでに、イオンの一部が中和してしまう。したがって、単位時間当たりのイオン供給量に面内分布が生じてしまい、結果的に面内帯電分布が生じてしまうという問題がある。
【0013】
さらに、上記静電気対策方法▲1▼、▲2▼ともに、帯電したものを除電する方法であるため、ベースフィルム1等を剥離する際に付着する異物や、ベースフィルム1等を剥離する際に起こるESDを防ぐことができないという問題もある。
【0014】
したがって、静電気対策する場合、剥離帯電そのものを抑えることが今後の課題となる。
【0015】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、フィルム剥離の際に基板表面に電位が発生するという帯電現象そのものを抑制するフィルム剥離装置、およびフィルム剥離方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明のフィルム剥離装置は、上記の課題を解決するために、フィルムが設けられている基板から上記フィルムを剥離するフィルム剥離装置において、上記フィルムに電圧を印加しない状態で基板からフィルムを剥離した場合に基板表面に発生する電位(電荷)と逆極性の電圧をフィルムに印加しながら、上記基板からフィルムを剥離することを特徴としている。
【0017】
上記の構成によれば、剥離されるフィルムと基板との間に電界を発生させることができる。この電界と基板からフィルムを剥離する際に生じる電気二重層とは、逆極性である。このため、基板からフィルムを剥離する際に生じる電気二重層は緩和され、基板の表面電位は低減することになる。
【0018】
したがって、フィルム剥離の際に、基板表面に電位が発生する(基板表面が帯電する)という帯電現象そのものを抑制(軽減)することができ、基板表面への異物の付着を防止することができる。これにより、半導体装置等の欠陥不良および静電気放電(ESD)を防止でき、素子破壊等の問題の発生を抑制できる。
【0019】
なお、印加する電圧は「フィルムに電圧を印加しない状態で基板からフィルムを剥離した場合に基板表面に発生する電位と逆極性」となっているが、これは、例えば、電圧を印加しないでフィルムを基板から剥離した際に、基板表面に帯電する電荷極性(基板帯電極性)が正である場合、フィルムに印加する電圧は負であり、一方基板帯電極性が負である場合、フィルムに印加する電圧は正であるということを表している。
【0020】
また、本発明でいう「フィルムが設けられている基板」とは、例えば、基板上に剥離されるフィルムが直に設けられているものであってもよいし、基板と剥離されるフィルムとの間に、他の剥離されないフィルムまたは接着剤等の他の部材が設けられているものであってもよい。基板材料も樹脂、ガラス、または金属等のいずれの材料からなるものでもよく、特に限定されるものではない。
【0021】
また、本発明に係るフィルム剥離装置は、上記の構成に加えて、上記フィルム剥離装置は、電圧印加部とフィルム保持部とを備えており、上記フィルム保持部を介して、フィルムに電圧が印加されることを特徴としている。
【0022】
上記の構成によれば、剥離されるフィルムに容易に電圧を印加することができる。このため、基板の表面電位を低減させることができる。したがって、フィルムを剥離する際に、基板表面に電位が発生する(基板表面が帯電する)という帯電現象そのものを抑制することができ、基板表面への異物の付着を防止することができる。
【0023】
また、本発明に係るフィルム剥離装置は、上記の構成に加えて、上記基板からフィルムを剥離する間、フィルムに電荷が発生しないように、フィルムに印加する電圧を制御することを特徴としている。
【0024】
上記の構成によれば、フィルムに電荷(電流)が生じないようにフィルムに印加する電圧値を調整することにより、基板の表面電位に面内分布がある場合でも、フィルムを剥離する際に生じる基板の表面電位を低減させることができる。したがって、フィルムを剥離する際に、基板表面に電位が発生する(基板表面が帯電する)という帯電現象そのものを抑制することができ、基板表面への異物の付着を防止することができる。
【0025】
また、本発明に係るフィルム剥離装置は、上記の構成に加えて、上記フィルム剥離装置は、さらに、電圧印加制御部と電流計とを備えており、上記電圧印加制御部は、基板からフィルムを剥離する間、上記電流計の値がゼロになるように、フィルムに印加する電圧を制御することを特徴としている。
【0026】
上記の構成によれば、フィルムに電荷(電流)が生じないように、フィルムに印加する電圧値を容易に調整することができる。なお、印加電圧を調整する手段としては、例えば、保持部とGNDとの間に電流計と電圧印加部とを備え、上記電流計および電圧印加部と電圧印加制御部とは接続されており、フィルムを基板から剥離する間、上記電圧印加制御部は、上記電流計の電流値が常にゼロになるようにフィルムに印加する電圧を制御するものを挙げることができる。
【0027】
また、ここでいう、「基板からフィルムを剥離する間」とは、基板からフィルムを剥離し始めてから、剥離し終わるまでの期間をいう。
【0028】
また、本発明に係るフィルム剥離装置は、上記の課題を解決するために、フィルムが設けられている基板から上記フィルムを剥離するフィルム剥離装置において、上記フィルムに電圧を印加しない状態で基板からフィルムを剥離した場合に基板表面に発生する電位(電荷)と逆極性、かつ単極性の電荷を、イオナイザーによって上記フィルム表面に吹き付けながら、上記基板からフィルムを剥離することを特徴としている。
【0029】
偏光フィルムのようにフィルムの表面が高抵抗の場合は、フィルムの一端に電圧を印加してもフィルム表面全面に電圧が印加されない。しかし、上記の構成によれば、フィルムの表面が高抵抗の場合でも、剥離されるフィルムと基板との間に電界を発生させることができる。すなわち、フィルム上近距離からイオナイザーで単極性イオン(単極性電荷)を全面に吹き付けることで電圧印加に代替することができる。さらに、この電界と基板からフィルムを剥離する際に生じる電気二重層とは、逆極性である。このため、基板からフィルムを剥離する際に生じる電気二重層は緩和され、基板の表面電位は低減することになる。
【0030】
したがって、フィルム剥離の際に、基板表面に電位が発生する(基板表面が帯電する)という帯電現象そのものを抑制することができ、基板表面への異物の付着を防止することができる。これにより、半導体装置等の欠陥不良および静電気放電(ESD)を防止でき、素子破壊等の問題の発生を抑制できる。なお、フィルムの表面が高抵抗でない場合でも、上記フィルム剥離装置を使用することができる。また、「単極性イオン(単極性電荷)」とは、正、負いずれか一つの極性のみを有するイオン(電荷)をいう。
【0031】
また、本発明に係るフィルム剥離方法は、上記の課題を解決するために、フィルムが設けられている基板から上記フィルムを剥離するフィルム剥離方法において、上記フィルムに電圧を印加しない状態で基板からフィルムを剥離した場合に基板表面に発生する電位(電荷)と逆極性の電圧をフィルムに印加しながら、上記基板からフィルムを剥離することを特徴としている。
【0032】
上記の方法によれば、剥離されるフィルムと基板との間に電界を発生させることができる。この電界と基板からフィルムを剥離する際に生じる電気二重層とは、逆極性である。このため、基板からフィルムを剥離する際に生じる電気二重層は緩和され、基板の表面電位は低減することになる。
【0033】
したがって、フィルム剥離の際に基板表面に電位が発生する(基板表面が帯電する)という帯電現象そのものを抑制することができ、基板表面への異物の付着を防止することができる。これにより、半導体装置等の欠陥不良および静電気放電(ESD)を防止でき、素子破壊等の問題の発生を抑制できる。
【0034】
また、本発明に係るフィルム剥離方法は、上記の課題を解決するために、上記基板からフィルムを剥離する間、フィルムに電荷が発生しないように、フィルムに印加する電圧を制御することを特徴としている。
【0035】
上記の方法によれば、フィルムに電荷(電流)が生じないようにフィルムに印加する電圧値を調整することにより、基板の表面電位に面内分布がある場合でも、フィルムを剥離する際に生じる基板の表面電位を低減させることができる。したがって、基板表面に電位が発生する(基板表面が帯電する)という帯電現象そのものを抑制することができ、基板表面への異物の付着を防止することができる。
【0036】
また、本発明に係るフィルム剥離方法は、上記の課題を解決するために、フィルムが設けられている基板から上記フィルムを剥離するフィルム剥離方法において、イオナイザーによって、上記フィルムに電圧を印加しない状態で基板からフィルムを剥離した場合に基板表面に発生する電位(電荷)と逆極性であって、単極性の電荷を、上記フィルム表面に吹き付けながら、基板からフィルムを剥離することを特徴としている。
【0037】
偏光フィルムのようにフィルムの表面が高抵抗の場合は、フィルムの一端に電圧を印加してもフィルム表面全面に電圧が印加されない。しかし、上記の構成によれば、フィルムの表面が高抵抗の場合でも、剥離されるフィルムと基板との間に電界を発生させることができる。すなわち、フィルム上近距離からイオナイザーで単極性イオンを全面に吹き付けることで電圧印加に代替することができる。さらに、この電界と基板からフィルムを剥離する際に生じる電気二重層とは、逆極性である。このため、基板からフィルムを剥離する際に生じる電気二重層は緩和され、基板の表面電位は低減することになる。
【0038】
したがって、フィルム剥離の際に基板表面に電位が発生する(基板表面が帯電する)という帯電現象そのものを抑制することができ、基板表面への異物の付着を防止することができる。これにより、半導体装置等の欠陥不良および静電気放電(ESD)を防止でき、素子破壊等の問題の発生を抑制できる。なお、フィルムの表面が高抵抗でない場合でも、上記フィルム剥離方法を使用することができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
本発明は、基板やシート等の表面保護フィルムを剥離する際に発生する静電気(帯電)そのものを低減させるフィルム剥離装置およびフィルム剥離方法である。例えば、上記のCF基板製造ラインにおけるベースフィルム剥離装置、または偏光板貼付け工程におけるフィルム剥離装置等に利用することができる。以下にCF基板製造ラインにおけるベースフィルム剥離装置および偏光板貼付け工程におけるフィルム剥離装置について順に説明する。
【0040】
〔実施の形態1〕
本発明のフィルム剥離装置に関する実施の一形態(CF基板製造ラインにおけるベースフィルム剥離装置)について図1、図2、図4、図5に基づいて説明すれば以下のとおりである。なお、説明の便宜上、従来技術の説明に用いた図面に記載した部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、説明を省略する。
【0041】
図1は、本実施の形態に係るフィルム剥離装置の一例を示す図である。図1に示すように、フィルム剥離装置50は、保持部3と電圧印加部4とを備えている。また、ベースフィルム1が設けられているCF基板13は、搬送ステージ6上で吸着パッド5によって固定されている。なお、図中、Eはアースを示すものである。
【0042】
CF基板13は、ベースフィルム1が設けられている色フィルム7とガラス基板2とを有するものである。ベースフィルム1は、表面が高抵抗ではないフィルムである。ここで、フィルム表面が高抵抗でないフィルムとは、例えば、フィルム表面の抵抗が106〜1010Ω/□であるものが挙げられる。
【0043】
保持部3は、ベースフィルム1を剥離する際に、ベースフィルム1と接触し、ベースフィルム1をCF基板13から剥離する導電性のフィルム保持部である。ベースフィルム1を剥離する具体的な方法は、例えば、ベースフィルム1の一端を挟んでCF基板13から剥離する方法、または導電性ローラー等で巻き剥がす方法が挙げられる。本実施の形態における保持部3は、前者のベースフィルム1の一端を挟む方法により、CF基板13からベースフィルム1を剥離するものである。
【0044】
電圧印加部4は、保持部3を介してベースフィルム1に電圧を印加するものである。より詳細には、電圧印加部4は、保持部3先端に電圧を印加するようになっている。電圧印加部4の一端と保持部3とは接続されており、電圧印加部4の他の一端は、アースされている。なお、ベースフィルム1は表面が高抵抗でないため、ベースフィルム1の一端に電圧印加するだけでフィルム表面全面に電圧が印加されることになる。
【0045】
搬送ステージ6は、図1の矢印方向Xに移動するため、一端を保持部3に挟まれているベースフィルム1は、CF基板13から剥離されることになる。
【0046】
すなわち、フィルム剥離装置50は、上記の構成により、ベースフィルム1に電圧を印加しながら、ベースフィルム1をCF基板13から剥がすものである。
【0047】
次に、フィルム剥離装置50により、電圧印加を行いながらフィルムを剥離した場合の基板表面電位低減効果を試験した。具体的には、以下のように行った。
【0048】
まず、図4に示す、フィルム剥離装置50の効果を試験する実験装置を準備した。すなわち、保持部3と電圧印加部4とを備えるフィルム剥離装置50、スペーサ19上に載置されたCF基板13であってベースフィルム1が設けられているもの、表面電位測定部20、表面電位センサ21を用意した。スペーサ19および電圧印加部4の一端はアースされている。保持部3は、ベースフィルム1の一端を挟んで図4の矢印方向Yに移動することで、CF基板13からベースフィルム1を剥離するように設定されている。
【0049】
この実験装置は、フィルム剥離装置50によりベースフィルム1をCF基板13から剥がす際に生じる、ベースフィルム1とCF基板13との間の剥離面における表面電位を表面電位センサ21によりスキャンすることで、CF基板13の表面電位を測定するものである。なお、使用したCF基板13は、100×100mmである。
【0050】
図5(a)〜(e)に、ベースフィルム1を剥離した際のCF基板13における表面電位を測定した結果を示す。図5(a)は、保持部3に電圧を印加しない(保持部3をGNDに落とした)場合の結果を示す。この場合、CF基板13の表面は+10kV程度に帯電していた。図5(b)は、保持部3に+2kVの電圧を印加した場合の結果を示す。この場合、CF基板13の表面は+15kV程度に帯電していた。また、図5(c)は、保持部3に−2kVの電圧を印加した場合の結果を示す。この場合、CF基板13の表面電位は+1kV以下であった。
【0051】
上記結果より、電圧を印加しない状態でベースフィルム1をCF基板13から剥離した場合に、CF基板13表面に発生する電位(基板帯電)と逆極性の電圧を、保持部3を介してベースフィルム1表面に印加しながら、ベースフィルム1をCF基板13から剥がすことにより、CF基板13の表面電位は低減することが示された。また、印加する電圧値は、基板やフィルムの材質の種類等によって異なるため、任意に調整可能である。
【0052】
さらに、図5(d)に示すように、CF基板13の表面電位に面内分布がある場合には、印加電圧を調整することにより、図5(e)のようにCF基板13の表面電位を低減させることができる。印加電圧の具体的な調整方法の一例を以下に説明する。
【0053】
図2に、印加電圧を調整できるフィルム剥離装置51を示す。フィルム剥離装置51は、保持部3、電圧印加部4、電流計8、電圧印加制御部9を備えている。電流計8は、保持部3とGNDとの間に設けてあればよく、特に限定されるものではないが、本実施の形態では電圧印加部4とGNDとの間に設けてある。電圧印加制御部9は、電流計8および電圧印加部4と接続されている。電圧印加制御部9は、CF基板13からベースフィルム1を剥離する間、電流計8の電流値が常にゼロになるように、電圧印加部4から保持部3への印加電圧を制御するものである。
【0054】
すなわち、フィルム剥離装置51は、上記のように制御された電圧をベースフィルム1表面に印加しながら、ベースフィルム1をCF基板13から剥がすものである。なお、CF基板13からベースフィルム1を剥離する間とは、CF基板13からベースフィルム1を剥離し始めてから、剥離し終わるまでの期間をいう。
【0055】
上記のように、印加電圧を制御することにより、CF基板13の表面電位に面内分布がある場合でも、確実にCF基板13の表面電位を低減させることができる。
【0056】
上述したように、フィルム剥離装置50または51によれば、剥離されるベースフィルム1とCF基板13との間に電界を発生させることができる。この電界とCF基板13からベースフィルム1を剥離する際に生じる電気二重層とは、逆極性である。このため、CF基板13からベースフィルム1を剥離する際の電気二重層は緩和され、CF基板13の表面電位は低減することになる。
【0057】
したがって、ベースフィルム1を剥離する際に、CF基板13の表面が帯電することを抑制でき、CF基板13表面への異物の付着を防止することができる。これにより、半導体装置等の欠陥不良および静電気放電(ESD)を防止でき、素子破壊等の問題の発生を抑制できる。
【0058】
また、上記フィルム剥離装置50および51は、今後シート型ディスプレイ技術が発達した場合は、TFT素子保護フィルム剥離装置としても利用することができる。すなわち、シート型ディスプレイの技術が発達して、TFT素子を一度ガラス上で形成してから素子膜を転写する等の工程がある場合、TFT素子膜保護フィルムが必要であり、さらにその後フィルム剥離工程が必要である。このため、本発明に係るフィルム剥離装置またはフィルム剥離方法を用いることにより、フィルム剥離帯電を抑制することができ、ESDを防止することが可能となる。
【0059】
〔実施の形態2〕
本発明のフィルム剥離装置に関する他の実施形態(偏光板貼付け工程におけるフィルム剥離装置)について、図3に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0060】
なお、説明の便宜上、前記実施の形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0061】
図3に、偏光板貼付け工程におけるフィルム剥離装置50を示す。フィルム剥離装置50は、保持部3、電圧印加部4、イオナイザー12を備えている。また、ラミネート構造を有している偏光板10が設けられているLCD60は、搬送ステージ6上で吸着パッド5によって固定されている。
【0062】
イオナイザー12は、単極性のイオン(電荷)を吹き付けることができるものである。具体的には、例えば、7kV〜10kVの高電圧を針電極に印加し、コロナチャージにより空気を正負いずれかにイオン化させ、その空気を帯電物に吹き付けるコロナチャージ式のDC型、AC型イオナイザー、軟X線を空気に照射することにより空気を電離し、イオンを発生させる軟X線イオナイザー、または空気イオン化機構と送風機構とを併せ持った除電ブロアー等を挙げることができるが、特に限定されるものではない。また、電圧印加部4の一端とイオナイザー12とは接続されており、電圧印加部4の他の一端はアースされている。
【0063】
偏光板10の表面ベースフィルム11は、表面が高抵抗のフィルムである。表面が高抵抗であるフィルムとは、例えば、フィルム表面の抵抗が1011Ω/□以上であるものが挙げられる。
【0064】
フィルム表面が高抵抗の場合、一端に電圧印加しても全面に電圧が印加されない。このため、本実施の形態に係るフィルム剥離装置50は、偏光板10の表面ベースフィルム11に電圧を印加するのではなく、偏光板10の近距離からイオナイザー12を用いて偏光板10に電荷を付与する。
【0065】
イオナイザー12を用いて表面ベースフィルム11に付与する電荷は、電圧印加しないで表面ベースフィルム11を偏光板10から剥離した場合に偏光板10表面に生じる電位(基板帯電)の極性と逆極性、かつ単極性の電荷である。これは、例えば、表面ベースフィルム11に電圧を印加しないで偏光板10から表面ベースフィルム11を剥離した際に、偏光板10表面に生じる電位が正である場合、表面ベースフィルム11に吹き付ける電荷は負であり、一方、偏光板10表面に生じる電位が負である場合、表面ベースフィルム11に吹き付ける電荷は正であるということである。
【0066】
上記のフィルム剥離装置によれば、偏光板10における表面ベースフィルム11のようにフィルムの表面が高抵抗の場合でも、剥離される表面ベースフィルム11と偏光板10との間に電界を発生させることができる。すなわち、表面ベースフィルム11上の近距離からイオナイザー12により単極性イオン(単極性電荷)を全面に吹き付けることで、実施形態1に示す電圧印加に代替することができる。さらに、この電界と偏光板10から表面ベースフィルム11を剥離する際に生じる電気二重層とは、逆極性である。このため、偏光板10から表面ベースフィルム11を剥離する際に生じる電気二重層は緩和され、偏光板10の表面電位は低減することになる。
【0067】
したがって、表面ベースフィルム11を剥離する際に、偏光板10表面が帯電することを抑制でき、偏光板10表面への異物の付着を防止することができる。これにより、半導体装置等の欠陥不良および静電気放電(ESD)を防止でき、素子破壊等の問題の発生を抑制できる。
【0068】
また、偏光板10の表面電位に面内分布がある場合でも、例えば、実施形態1に示すように、表面ベースフィルム11に電流が発生しないように、イオナイザー12が付与する電荷を制御することによって、確実に偏光板10の表面電位を低減させることもできる。具体的には、例えば、保持部3に電流計を設け、その電流計の値が常にゼロになるようにイオナイザー12が付与する電荷を制御することが可能である。
【0069】
また、上記フィルム剥離装置50は、今後シート型ディスプレイ技術が発達した場合は、TFT素子保護フィルム剥離装置としても利用することができる。
【0070】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0071】
【発明の効果】
本発明のフィルム剥離装置は、以上のように、フィルムが設けられている基板から上記フィルムを剥離するフィルム剥離装置において、上記フィルムに電圧を印加しない状態で基板からフィルムを剥離した場合に基板表面に発生する電位と逆極性の電圧をフィルムに印加しながら、上記基板からフィルムを剥離する構成である。
【0072】
それゆえ、フィルム剥離の際に、基板表面に電位が発生するという帯電現象そのものを抑制することができるという効果を奏する。このため、基板表面への異物の付着を防止することができるとともに、半導体装置等の欠陥不良および静電気放電(ESD)を防止でき、素子破壊等の問題の発生を抑制できる。
【0073】
また、本発明に係るフィルム剥離装置は、以上のように、上記フィルム剥離装置は、電圧印加部とフィルム保持部とを備えており、上記フィルム保持部を介して、フィルムに電圧が印加される構成である。
【0074】
それゆえ、剥離されるフィルムに容易に電圧を印加することができる。このため、基板の表面電位を低減させることができるという効果を奏する。したがって、フィルムを剥離する際に、基板表面に電位が発生するという帯電現象そのものを抑制することができ、基板表面への異物の付着を防止することができる。
【0075】
また、本発明に係るフィルム剥離装置は、以上のように、上記基板からフィルムを剥離する間、フィルムに電荷が発生しないように、フィルムに印加する電圧を制御する構成である。
【0076】
それゆえ、フィルムに電荷(電流)が生じないようにフィルムに印加する電圧値を調整することにより、基板の表面電位に面内分布がある場合でも、フィルムを剥離する際に生じる基板の表面電位を低減させることができるという効果を奏する。したがって、フィルムを剥離する際に、基板表面に電位が発生するという帯電現象そのものを抑制することができ、基板表面への異物の付着を防止することができる。
【0077】
また、本発明に係るフィルム剥離装置は、以上のように、上記フィルム剥離装置は、さらに、電圧印加制御部と電流計とを備えており、上記電圧印加制御部は、基板からフィルムを剥離する間、上記電流計の値がゼロになるように、フィルムに印加する電圧を制御する構成である。
【0078】
それゆえ、フィルムに電流が生じないように、フィルムに印加する電圧値を容易に調整することができるという効果を奏する。
【0079】
また、本発明に係るフィルム剥離装置は、以上のように、フィルムが設けられている基板から上記フィルムを剥離するフィルム剥離装置において、上記フィルムに電圧を印加しない状態で基板からフィルムを剥離した場合に基板表面に発生する電位と逆極性、かつ単極性の電荷を、イオナイザーによって上記フィルム表面に吹き付けながら、上記基板からフィルムを剥離する構成である。
【0080】
それゆえ、フィルムの表面が高抵抗の場合でも、フィルム剥離の際に、基板表面に電位が発生するという帯電現象そのものを抑制することができるという効果を奏する。このため、基板表面への異物の付着を防止することができるとともに、半導体装置等の欠陥不良および静電気放電(ESD)を防止でき、素子破壊等の問題の発生を抑制できる。
【0081】
また、本発明に係るフィルム剥離方法は、以上のように、フィルムが設けられている基板から上記フィルムを剥離するフィルム剥離方法において、上記フィルムに電圧を印加しない状態で基板からフィルムを剥離した場合に基板表面に発生する電位と逆極性の電圧をフィルムに印加しながら、上記基板からフィルムを剥離する構成である。
【0082】
それゆえ、フィルム剥離の際に基板表面に電位が発生するという帯電現象そのものを抑制することができるという効果を奏する。このため、基板表面への異物の付着を防止することができるとともに、半導体装置等の欠陥不良および静電気放電(ESD)を防止でき、素子破壊等の問題の発生を抑制できる。
【0083】
また、本発明に係るフィルム剥離方法は、以上のように、上記基板からフィルムを剥離する間、フィルムに電荷が発生しないように、フィルムに印加する電圧を制御する構成である。
【0084】
それゆえ、フィルムに電荷(電流)が生じないようにフィルムに印加する電圧値を調整することにより、基板の表面電位に面内分布がある場合でも、フィルムを剥離する際に生じる基板の表面電位を低減させることができるという効果を奏する。したがって、基板表面に電位が発生するという帯電現象そのものを抑制することができ、基板表面への異物の付着を防止することができる。
【0085】
また、本発明に係るフィルム剥離方法は、以上のように、フィルムが設けられている基板から上記フィルムを剥離するフィルム剥離方法において、上記フィルムに電圧を印加しない状態で基板からフィルムを剥離した場合に基板表面に発生する電位と逆極性、かつ単極性の電荷を、イオナイザーによって上記フィルム表面に吹き付けながら、上記基板からフィルムを剥離する構成である。
【0086】
それゆえ、フィルムの表面が高抵抗の場合でも、フィルム剥離の際に基板表面に電位が発生するという帯電現象そのものを抑制することができるという効果を奏する。このため、基板表面への異物の付着を防止することができるとともに、半導体装置等の欠陥不良および静電気放電(ESD)を防止でき、素子破壊等の問題の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示す図である。
【図2】本発明の実施の他の一形態を示す図である。
【図3】本発明の実施の他の一形態を示す図である。
【図4】本発明の実施の一形態に係る実験装置を示す図である。
【図5】フィルムを剥離した際にカラーフィルタ基板の表面に発生する表面電位を計測した結果を示す図であり、(a)は電圧を印加しない場合の結果を示す図であり、(b)は+2kVの電圧を印加した場合の結果を示す図であり、(c)は−2kVの電圧を印加した場合の結果を示す図であり、(d)は表面電位に面分布がある場合であって電圧を印加しない場合の結果を示す図であり、(e)は表面電位に面分布がある場合であって調整しながら電圧を印加した場合の結果を示す図である。
【図6】一般的なLCDで用いられるカラーフィルタ基板の一画素分を示す断面図である。
【図7】保護フィルムおよびベースフィルムにより保護されている色フィルムの断面の構造を示す断面図である。
【図8】一般的な偏光板の断面の構造を示す断面図である。
【図9】従来のフィルム剥離工程における静電気対策方法を示す図である。
【図10】従来のフィルム剥離工程における他の静電気対策方法を示す図である。
【符号の説明】
1 ベースフィルム
2 ガラス基板
3 保持部(フィルム保持部)
4 電圧印加部
7 色フィルム
8 電流計
9 電圧印加制御部
10 偏光板
11 表面保護フィルム
12 イオナイザー
13 カラーフィルタ基板
14 保護フィルム
15 TAC
16 PVA(偏光部)
17 接着剤
18 セパレータ
20 表面電位計測部
21 表面電位センサ
50 フィルム剥離装置
51 フィルム剥離装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示パネルのカラーフィルム基板製造工程におけるベースフィルム剥離装置、または偏光板貼付け後の保護フィルム剥離装置等のフィルム剥離装置およびフィルム剥離方法等に関し、特にフィルム剥離時に発生する基板表面電位を抑制するフィルム剥離装置およびフィルム剥離方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示パネル(以下、LCDと称する)製造におけるフィルム剥離工程では、フィルムを基板から剥離する際にフィルムが帯電する現象が発生する。このフィルム帯電現象は、フィルムと基板との接触面に形成された電気二重層がフィルム剥離時に一部緩和されず分離することで発生する(例えば、非特許文献1参照)。このようにフィルムが帯電することによって、基板表面に異物が付着する場合があり、これにより、欠陥不良および静電気放電(ESD)を引き起こし、素子破壊等の問題が発生することがある。
【0003】
例えば、上記問題の第1の例として、LCDをカラー化するために用いるカラーフィルタ基板(以下、CF基板と称する)製造工程における問題が挙げられる。図6に示すように、CF基板13は、ガラス基板2上にR・G・Bの色フィルム7が規則正しく配置されているものである。CF基板13の製造法には印刷法、フォトリソグラフィ法等がある。そのうち、フォトリソグラフィ法は、まず、図7のように、ベースフィルム1とベースフィルム14とが設けられている色フィルム7を、ベースフィルム14のみを剥がした後、ガラス基板2に貼付ける。次に、ベースフィルム1を剥離し、露光、現像しCF基板13を形成する方法である。
【0004】
この工程中、ベースフィルム1剥離時のCF基板13表面は、10〜20kVに帯電するため、それに伴い剥離面にフィルムの欠片や異物が吸引、付着し、露光時に影となり欠陥不良となることがある。
【0005】
上記の問題を解決するための製造工程における従来の静電気対策方法としては、図9に示すように、主にイオナイザー12(例えば、7kV〜10kVの高電圧を針電極に印加し、コロナチャージにより空気を正負イオン化させ、その空気を帯電物に吹き付けて静電気を中和するDC型、AC型イオナイザー、または軟X線を空気に照射することにより空気を電離し、イオンを発生させて静電気を中和する軟X線イオナイザー等)を装置上方に取りつけ、ベースフィルム1を剥離する際に、正負両イオンをベースフィルム1表面に吹き付けて装置全体を除電する方法▲1▼が挙げられる。
【0006】
また、上記問題の第2の例として、偏光板貼付け工程に発生する問題が挙げられる。例えば、図8に示すように、偏光板10は、表面ベースフィルム11、TAC15、PVA(偏光部)16、接着剤17、セパレータ18を有するラミネート構造をしたものである。この偏光板10から表面ベースフィルム11を剥離する際、偏光板10表面は10kV以上に帯電してしまう。このため、表面ベースフィルム11剥離後の偏光板10表面に異物が付着する問題、およびESDによる素子破壊が発生する問題が発生する。
【0007】
上記の問題を解決するための製造工程における従来の静電気対策方法としては、図10に示すように、イオナイザー12(例えば、空気イオン化機構と送風機構とを併せ持った除電ブロアーや上記のDC型イオナイザー等)を装置の横に設置し、表面ベースフィルム11とTAC15との間の剥離面に正負両イオンを吹き付ける方法▲2▼が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−114796号公報(公開日 平成8年 5月 7日)
【0009】
【非特許文献1】
「静電気ハンドブック」、オーム社、p132−140
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような剥離帯電は、ベースフィルム1剥離時に一瞬にして基板表面が数kVまで帯電してしまうため、上記静電気対策方法▲1▼、▲2▼では確実に除電することが困難であり、徐電が不充分になってしまうという問題がある。
【0011】
すなわち、上記静電気対策方法▲1▼に関しては、正負両イオンが空気中で中和してしまい、帯電面を除電するのに必要なイオンを供給しにくいという問題がある。
【0012】
また、静電気対策方法▲2▼に関しては、帯電面にイオンは到達するものの、帯電面が広い、例えば大型液晶用基板面等では、イオンが除電装置に近い側から遠い側(対辺)に達するまでに、イオンの一部が中和してしまう。したがって、単位時間当たりのイオン供給量に面内分布が生じてしまい、結果的に面内帯電分布が生じてしまうという問題がある。
【0013】
さらに、上記静電気対策方法▲1▼、▲2▼ともに、帯電したものを除電する方法であるため、ベースフィルム1等を剥離する際に付着する異物や、ベースフィルム1等を剥離する際に起こるESDを防ぐことができないという問題もある。
【0014】
したがって、静電気対策する場合、剥離帯電そのものを抑えることが今後の課題となる。
【0015】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、フィルム剥離の際に基板表面に電位が発生するという帯電現象そのものを抑制するフィルム剥離装置、およびフィルム剥離方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明のフィルム剥離装置は、上記の課題を解決するために、フィルムが設けられている基板から上記フィルムを剥離するフィルム剥離装置において、上記フィルムに電圧を印加しない状態で基板からフィルムを剥離した場合に基板表面に発生する電位(電荷)と逆極性の電圧をフィルムに印加しながら、上記基板からフィルムを剥離することを特徴としている。
【0017】
上記の構成によれば、剥離されるフィルムと基板との間に電界を発生させることができる。この電界と基板からフィルムを剥離する際に生じる電気二重層とは、逆極性である。このため、基板からフィルムを剥離する際に生じる電気二重層は緩和され、基板の表面電位は低減することになる。
【0018】
したがって、フィルム剥離の際に、基板表面に電位が発生する(基板表面が帯電する)という帯電現象そのものを抑制(軽減)することができ、基板表面への異物の付着を防止することができる。これにより、半導体装置等の欠陥不良および静電気放電(ESD)を防止でき、素子破壊等の問題の発生を抑制できる。
【0019】
なお、印加する電圧は「フィルムに電圧を印加しない状態で基板からフィルムを剥離した場合に基板表面に発生する電位と逆極性」となっているが、これは、例えば、電圧を印加しないでフィルムを基板から剥離した際に、基板表面に帯電する電荷極性(基板帯電極性)が正である場合、フィルムに印加する電圧は負であり、一方基板帯電極性が負である場合、フィルムに印加する電圧は正であるということを表している。
【0020】
また、本発明でいう「フィルムが設けられている基板」とは、例えば、基板上に剥離されるフィルムが直に設けられているものであってもよいし、基板と剥離されるフィルムとの間に、他の剥離されないフィルムまたは接着剤等の他の部材が設けられているものであってもよい。基板材料も樹脂、ガラス、または金属等のいずれの材料からなるものでもよく、特に限定されるものではない。
【0021】
また、本発明に係るフィルム剥離装置は、上記の構成に加えて、上記フィルム剥離装置は、電圧印加部とフィルム保持部とを備えており、上記フィルム保持部を介して、フィルムに電圧が印加されることを特徴としている。
【0022】
上記の構成によれば、剥離されるフィルムに容易に電圧を印加することができる。このため、基板の表面電位を低減させることができる。したがって、フィルムを剥離する際に、基板表面に電位が発生する(基板表面が帯電する)という帯電現象そのものを抑制することができ、基板表面への異物の付着を防止することができる。
【0023】
また、本発明に係るフィルム剥離装置は、上記の構成に加えて、上記基板からフィルムを剥離する間、フィルムに電荷が発生しないように、フィルムに印加する電圧を制御することを特徴としている。
【0024】
上記の構成によれば、フィルムに電荷(電流)が生じないようにフィルムに印加する電圧値を調整することにより、基板の表面電位に面内分布がある場合でも、フィルムを剥離する際に生じる基板の表面電位を低減させることができる。したがって、フィルムを剥離する際に、基板表面に電位が発生する(基板表面が帯電する)という帯電現象そのものを抑制することができ、基板表面への異物の付着を防止することができる。
【0025】
また、本発明に係るフィルム剥離装置は、上記の構成に加えて、上記フィルム剥離装置は、さらに、電圧印加制御部と電流計とを備えており、上記電圧印加制御部は、基板からフィルムを剥離する間、上記電流計の値がゼロになるように、フィルムに印加する電圧を制御することを特徴としている。
【0026】
上記の構成によれば、フィルムに電荷(電流)が生じないように、フィルムに印加する電圧値を容易に調整することができる。なお、印加電圧を調整する手段としては、例えば、保持部とGNDとの間に電流計と電圧印加部とを備え、上記電流計および電圧印加部と電圧印加制御部とは接続されており、フィルムを基板から剥離する間、上記電圧印加制御部は、上記電流計の電流値が常にゼロになるようにフィルムに印加する電圧を制御するものを挙げることができる。
【0027】
また、ここでいう、「基板からフィルムを剥離する間」とは、基板からフィルムを剥離し始めてから、剥離し終わるまでの期間をいう。
【0028】
また、本発明に係るフィルム剥離装置は、上記の課題を解決するために、フィルムが設けられている基板から上記フィルムを剥離するフィルム剥離装置において、上記フィルムに電圧を印加しない状態で基板からフィルムを剥離した場合に基板表面に発生する電位(電荷)と逆極性、かつ単極性の電荷を、イオナイザーによって上記フィルム表面に吹き付けながら、上記基板からフィルムを剥離することを特徴としている。
【0029】
偏光フィルムのようにフィルムの表面が高抵抗の場合は、フィルムの一端に電圧を印加してもフィルム表面全面に電圧が印加されない。しかし、上記の構成によれば、フィルムの表面が高抵抗の場合でも、剥離されるフィルムと基板との間に電界を発生させることができる。すなわち、フィルム上近距離からイオナイザーで単極性イオン(単極性電荷)を全面に吹き付けることで電圧印加に代替することができる。さらに、この電界と基板からフィルムを剥離する際に生じる電気二重層とは、逆極性である。このため、基板からフィルムを剥離する際に生じる電気二重層は緩和され、基板の表面電位は低減することになる。
【0030】
したがって、フィルム剥離の際に、基板表面に電位が発生する(基板表面が帯電する)という帯電現象そのものを抑制することができ、基板表面への異物の付着を防止することができる。これにより、半導体装置等の欠陥不良および静電気放電(ESD)を防止でき、素子破壊等の問題の発生を抑制できる。なお、フィルムの表面が高抵抗でない場合でも、上記フィルム剥離装置を使用することができる。また、「単極性イオン(単極性電荷)」とは、正、負いずれか一つの極性のみを有するイオン(電荷)をいう。
【0031】
また、本発明に係るフィルム剥離方法は、上記の課題を解決するために、フィルムが設けられている基板から上記フィルムを剥離するフィルム剥離方法において、上記フィルムに電圧を印加しない状態で基板からフィルムを剥離した場合に基板表面に発生する電位(電荷)と逆極性の電圧をフィルムに印加しながら、上記基板からフィルムを剥離することを特徴としている。
【0032】
上記の方法によれば、剥離されるフィルムと基板との間に電界を発生させることができる。この電界と基板からフィルムを剥離する際に生じる電気二重層とは、逆極性である。このため、基板からフィルムを剥離する際に生じる電気二重層は緩和され、基板の表面電位は低減することになる。
【0033】
したがって、フィルム剥離の際に基板表面に電位が発生する(基板表面が帯電する)という帯電現象そのものを抑制することができ、基板表面への異物の付着を防止することができる。これにより、半導体装置等の欠陥不良および静電気放電(ESD)を防止でき、素子破壊等の問題の発生を抑制できる。
【0034】
また、本発明に係るフィルム剥離方法は、上記の課題を解決するために、上記基板からフィルムを剥離する間、フィルムに電荷が発生しないように、フィルムに印加する電圧を制御することを特徴としている。
【0035】
上記の方法によれば、フィルムに電荷(電流)が生じないようにフィルムに印加する電圧値を調整することにより、基板の表面電位に面内分布がある場合でも、フィルムを剥離する際に生じる基板の表面電位を低減させることができる。したがって、基板表面に電位が発生する(基板表面が帯電する)という帯電現象そのものを抑制することができ、基板表面への異物の付着を防止することができる。
【0036】
また、本発明に係るフィルム剥離方法は、上記の課題を解決するために、フィルムが設けられている基板から上記フィルムを剥離するフィルム剥離方法において、イオナイザーによって、上記フィルムに電圧を印加しない状態で基板からフィルムを剥離した場合に基板表面に発生する電位(電荷)と逆極性であって、単極性の電荷を、上記フィルム表面に吹き付けながら、基板からフィルムを剥離することを特徴としている。
【0037】
偏光フィルムのようにフィルムの表面が高抵抗の場合は、フィルムの一端に電圧を印加してもフィルム表面全面に電圧が印加されない。しかし、上記の構成によれば、フィルムの表面が高抵抗の場合でも、剥離されるフィルムと基板との間に電界を発生させることができる。すなわち、フィルム上近距離からイオナイザーで単極性イオンを全面に吹き付けることで電圧印加に代替することができる。さらに、この電界と基板からフィルムを剥離する際に生じる電気二重層とは、逆極性である。このため、基板からフィルムを剥離する際に生じる電気二重層は緩和され、基板の表面電位は低減することになる。
【0038】
したがって、フィルム剥離の際に基板表面に電位が発生する(基板表面が帯電する)という帯電現象そのものを抑制することができ、基板表面への異物の付着を防止することができる。これにより、半導体装置等の欠陥不良および静電気放電(ESD)を防止でき、素子破壊等の問題の発生を抑制できる。なお、フィルムの表面が高抵抗でない場合でも、上記フィルム剥離方法を使用することができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
本発明は、基板やシート等の表面保護フィルムを剥離する際に発生する静電気(帯電)そのものを低減させるフィルム剥離装置およびフィルム剥離方法である。例えば、上記のCF基板製造ラインにおけるベースフィルム剥離装置、または偏光板貼付け工程におけるフィルム剥離装置等に利用することができる。以下にCF基板製造ラインにおけるベースフィルム剥離装置および偏光板貼付け工程におけるフィルム剥離装置について順に説明する。
【0040】
〔実施の形態1〕
本発明のフィルム剥離装置に関する実施の一形態(CF基板製造ラインにおけるベースフィルム剥離装置)について図1、図2、図4、図5に基づいて説明すれば以下のとおりである。なお、説明の便宜上、従来技術の説明に用いた図面に記載した部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、説明を省略する。
【0041】
図1は、本実施の形態に係るフィルム剥離装置の一例を示す図である。図1に示すように、フィルム剥離装置50は、保持部3と電圧印加部4とを備えている。また、ベースフィルム1が設けられているCF基板13は、搬送ステージ6上で吸着パッド5によって固定されている。なお、図中、Eはアースを示すものである。
【0042】
CF基板13は、ベースフィルム1が設けられている色フィルム7とガラス基板2とを有するものである。ベースフィルム1は、表面が高抵抗ではないフィルムである。ここで、フィルム表面が高抵抗でないフィルムとは、例えば、フィルム表面の抵抗が106〜1010Ω/□であるものが挙げられる。
【0043】
保持部3は、ベースフィルム1を剥離する際に、ベースフィルム1と接触し、ベースフィルム1をCF基板13から剥離する導電性のフィルム保持部である。ベースフィルム1を剥離する具体的な方法は、例えば、ベースフィルム1の一端を挟んでCF基板13から剥離する方法、または導電性ローラー等で巻き剥がす方法が挙げられる。本実施の形態における保持部3は、前者のベースフィルム1の一端を挟む方法により、CF基板13からベースフィルム1を剥離するものである。
【0044】
電圧印加部4は、保持部3を介してベースフィルム1に電圧を印加するものである。より詳細には、電圧印加部4は、保持部3先端に電圧を印加するようになっている。電圧印加部4の一端と保持部3とは接続されており、電圧印加部4の他の一端は、アースされている。なお、ベースフィルム1は表面が高抵抗でないため、ベースフィルム1の一端に電圧印加するだけでフィルム表面全面に電圧が印加されることになる。
【0045】
搬送ステージ6は、図1の矢印方向Xに移動するため、一端を保持部3に挟まれているベースフィルム1は、CF基板13から剥離されることになる。
【0046】
すなわち、フィルム剥離装置50は、上記の構成により、ベースフィルム1に電圧を印加しながら、ベースフィルム1をCF基板13から剥がすものである。
【0047】
次に、フィルム剥離装置50により、電圧印加を行いながらフィルムを剥離した場合の基板表面電位低減効果を試験した。具体的には、以下のように行った。
【0048】
まず、図4に示す、フィルム剥離装置50の効果を試験する実験装置を準備した。すなわち、保持部3と電圧印加部4とを備えるフィルム剥離装置50、スペーサ19上に載置されたCF基板13であってベースフィルム1が設けられているもの、表面電位測定部20、表面電位センサ21を用意した。スペーサ19および電圧印加部4の一端はアースされている。保持部3は、ベースフィルム1の一端を挟んで図4の矢印方向Yに移動することで、CF基板13からベースフィルム1を剥離するように設定されている。
【0049】
この実験装置は、フィルム剥離装置50によりベースフィルム1をCF基板13から剥がす際に生じる、ベースフィルム1とCF基板13との間の剥離面における表面電位を表面電位センサ21によりスキャンすることで、CF基板13の表面電位を測定するものである。なお、使用したCF基板13は、100×100mmである。
【0050】
図5(a)〜(e)に、ベースフィルム1を剥離した際のCF基板13における表面電位を測定した結果を示す。図5(a)は、保持部3に電圧を印加しない(保持部3をGNDに落とした)場合の結果を示す。この場合、CF基板13の表面は+10kV程度に帯電していた。図5(b)は、保持部3に+2kVの電圧を印加した場合の結果を示す。この場合、CF基板13の表面は+15kV程度に帯電していた。また、図5(c)は、保持部3に−2kVの電圧を印加した場合の結果を示す。この場合、CF基板13の表面電位は+1kV以下であった。
【0051】
上記結果より、電圧を印加しない状態でベースフィルム1をCF基板13から剥離した場合に、CF基板13表面に発生する電位(基板帯電)と逆極性の電圧を、保持部3を介してベースフィルム1表面に印加しながら、ベースフィルム1をCF基板13から剥がすことにより、CF基板13の表面電位は低減することが示された。また、印加する電圧値は、基板やフィルムの材質の種類等によって異なるため、任意に調整可能である。
【0052】
さらに、図5(d)に示すように、CF基板13の表面電位に面内分布がある場合には、印加電圧を調整することにより、図5(e)のようにCF基板13の表面電位を低減させることができる。印加電圧の具体的な調整方法の一例を以下に説明する。
【0053】
図2に、印加電圧を調整できるフィルム剥離装置51を示す。フィルム剥離装置51は、保持部3、電圧印加部4、電流計8、電圧印加制御部9を備えている。電流計8は、保持部3とGNDとの間に設けてあればよく、特に限定されるものではないが、本実施の形態では電圧印加部4とGNDとの間に設けてある。電圧印加制御部9は、電流計8および電圧印加部4と接続されている。電圧印加制御部9は、CF基板13からベースフィルム1を剥離する間、電流計8の電流値が常にゼロになるように、電圧印加部4から保持部3への印加電圧を制御するものである。
【0054】
すなわち、フィルム剥離装置51は、上記のように制御された電圧をベースフィルム1表面に印加しながら、ベースフィルム1をCF基板13から剥がすものである。なお、CF基板13からベースフィルム1を剥離する間とは、CF基板13からベースフィルム1を剥離し始めてから、剥離し終わるまでの期間をいう。
【0055】
上記のように、印加電圧を制御することにより、CF基板13の表面電位に面内分布がある場合でも、確実にCF基板13の表面電位を低減させることができる。
【0056】
上述したように、フィルム剥離装置50または51によれば、剥離されるベースフィルム1とCF基板13との間に電界を発生させることができる。この電界とCF基板13からベースフィルム1を剥離する際に生じる電気二重層とは、逆極性である。このため、CF基板13からベースフィルム1を剥離する際の電気二重層は緩和され、CF基板13の表面電位は低減することになる。
【0057】
したがって、ベースフィルム1を剥離する際に、CF基板13の表面が帯電することを抑制でき、CF基板13表面への異物の付着を防止することができる。これにより、半導体装置等の欠陥不良および静電気放電(ESD)を防止でき、素子破壊等の問題の発生を抑制できる。
【0058】
また、上記フィルム剥離装置50および51は、今後シート型ディスプレイ技術が発達した場合は、TFT素子保護フィルム剥離装置としても利用することができる。すなわち、シート型ディスプレイの技術が発達して、TFT素子を一度ガラス上で形成してから素子膜を転写する等の工程がある場合、TFT素子膜保護フィルムが必要であり、さらにその後フィルム剥離工程が必要である。このため、本発明に係るフィルム剥離装置またはフィルム剥離方法を用いることにより、フィルム剥離帯電を抑制することができ、ESDを防止することが可能となる。
【0059】
〔実施の形態2〕
本発明のフィルム剥離装置に関する他の実施形態(偏光板貼付け工程におけるフィルム剥離装置)について、図3に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0060】
なお、説明の便宜上、前記実施の形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0061】
図3に、偏光板貼付け工程におけるフィルム剥離装置50を示す。フィルム剥離装置50は、保持部3、電圧印加部4、イオナイザー12を備えている。また、ラミネート構造を有している偏光板10が設けられているLCD60は、搬送ステージ6上で吸着パッド5によって固定されている。
【0062】
イオナイザー12は、単極性のイオン(電荷)を吹き付けることができるものである。具体的には、例えば、7kV〜10kVの高電圧を針電極に印加し、コロナチャージにより空気を正負いずれかにイオン化させ、その空気を帯電物に吹き付けるコロナチャージ式のDC型、AC型イオナイザー、軟X線を空気に照射することにより空気を電離し、イオンを発生させる軟X線イオナイザー、または空気イオン化機構と送風機構とを併せ持った除電ブロアー等を挙げることができるが、特に限定されるものではない。また、電圧印加部4の一端とイオナイザー12とは接続されており、電圧印加部4の他の一端はアースされている。
【0063】
偏光板10の表面ベースフィルム11は、表面が高抵抗のフィルムである。表面が高抵抗であるフィルムとは、例えば、フィルム表面の抵抗が1011Ω/□以上であるものが挙げられる。
【0064】
フィルム表面が高抵抗の場合、一端に電圧印加しても全面に電圧が印加されない。このため、本実施の形態に係るフィルム剥離装置50は、偏光板10の表面ベースフィルム11に電圧を印加するのではなく、偏光板10の近距離からイオナイザー12を用いて偏光板10に電荷を付与する。
【0065】
イオナイザー12を用いて表面ベースフィルム11に付与する電荷は、電圧印加しないで表面ベースフィルム11を偏光板10から剥離した場合に偏光板10表面に生じる電位(基板帯電)の極性と逆極性、かつ単極性の電荷である。これは、例えば、表面ベースフィルム11に電圧を印加しないで偏光板10から表面ベースフィルム11を剥離した際に、偏光板10表面に生じる電位が正である場合、表面ベースフィルム11に吹き付ける電荷は負であり、一方、偏光板10表面に生じる電位が負である場合、表面ベースフィルム11に吹き付ける電荷は正であるということである。
【0066】
上記のフィルム剥離装置によれば、偏光板10における表面ベースフィルム11のようにフィルムの表面が高抵抗の場合でも、剥離される表面ベースフィルム11と偏光板10との間に電界を発生させることができる。すなわち、表面ベースフィルム11上の近距離からイオナイザー12により単極性イオン(単極性電荷)を全面に吹き付けることで、実施形態1に示す電圧印加に代替することができる。さらに、この電界と偏光板10から表面ベースフィルム11を剥離する際に生じる電気二重層とは、逆極性である。このため、偏光板10から表面ベースフィルム11を剥離する際に生じる電気二重層は緩和され、偏光板10の表面電位は低減することになる。
【0067】
したがって、表面ベースフィルム11を剥離する際に、偏光板10表面が帯電することを抑制でき、偏光板10表面への異物の付着を防止することができる。これにより、半導体装置等の欠陥不良および静電気放電(ESD)を防止でき、素子破壊等の問題の発生を抑制できる。
【0068】
また、偏光板10の表面電位に面内分布がある場合でも、例えば、実施形態1に示すように、表面ベースフィルム11に電流が発生しないように、イオナイザー12が付与する電荷を制御することによって、確実に偏光板10の表面電位を低減させることもできる。具体的には、例えば、保持部3に電流計を設け、その電流計の値が常にゼロになるようにイオナイザー12が付与する電荷を制御することが可能である。
【0069】
また、上記フィルム剥離装置50は、今後シート型ディスプレイ技術が発達した場合は、TFT素子保護フィルム剥離装置としても利用することができる。
【0070】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0071】
【発明の効果】
本発明のフィルム剥離装置は、以上のように、フィルムが設けられている基板から上記フィルムを剥離するフィルム剥離装置において、上記フィルムに電圧を印加しない状態で基板からフィルムを剥離した場合に基板表面に発生する電位と逆極性の電圧をフィルムに印加しながら、上記基板からフィルムを剥離する構成である。
【0072】
それゆえ、フィルム剥離の際に、基板表面に電位が発生するという帯電現象そのものを抑制することができるという効果を奏する。このため、基板表面への異物の付着を防止することができるとともに、半導体装置等の欠陥不良および静電気放電(ESD)を防止でき、素子破壊等の問題の発生を抑制できる。
【0073】
また、本発明に係るフィルム剥離装置は、以上のように、上記フィルム剥離装置は、電圧印加部とフィルム保持部とを備えており、上記フィルム保持部を介して、フィルムに電圧が印加される構成である。
【0074】
それゆえ、剥離されるフィルムに容易に電圧を印加することができる。このため、基板の表面電位を低減させることができるという効果を奏する。したがって、フィルムを剥離する際に、基板表面に電位が発生するという帯電現象そのものを抑制することができ、基板表面への異物の付着を防止することができる。
【0075】
また、本発明に係るフィルム剥離装置は、以上のように、上記基板からフィルムを剥離する間、フィルムに電荷が発生しないように、フィルムに印加する電圧を制御する構成である。
【0076】
それゆえ、フィルムに電荷(電流)が生じないようにフィルムに印加する電圧値を調整することにより、基板の表面電位に面内分布がある場合でも、フィルムを剥離する際に生じる基板の表面電位を低減させることができるという効果を奏する。したがって、フィルムを剥離する際に、基板表面に電位が発生するという帯電現象そのものを抑制することができ、基板表面への異物の付着を防止することができる。
【0077】
また、本発明に係るフィルム剥離装置は、以上のように、上記フィルム剥離装置は、さらに、電圧印加制御部と電流計とを備えており、上記電圧印加制御部は、基板からフィルムを剥離する間、上記電流計の値がゼロになるように、フィルムに印加する電圧を制御する構成である。
【0078】
それゆえ、フィルムに電流が生じないように、フィルムに印加する電圧値を容易に調整することができるという効果を奏する。
【0079】
また、本発明に係るフィルム剥離装置は、以上のように、フィルムが設けられている基板から上記フィルムを剥離するフィルム剥離装置において、上記フィルムに電圧を印加しない状態で基板からフィルムを剥離した場合に基板表面に発生する電位と逆極性、かつ単極性の電荷を、イオナイザーによって上記フィルム表面に吹き付けながら、上記基板からフィルムを剥離する構成である。
【0080】
それゆえ、フィルムの表面が高抵抗の場合でも、フィルム剥離の際に、基板表面に電位が発生するという帯電現象そのものを抑制することができるという効果を奏する。このため、基板表面への異物の付着を防止することができるとともに、半導体装置等の欠陥不良および静電気放電(ESD)を防止でき、素子破壊等の問題の発生を抑制できる。
【0081】
また、本発明に係るフィルム剥離方法は、以上のように、フィルムが設けられている基板から上記フィルムを剥離するフィルム剥離方法において、上記フィルムに電圧を印加しない状態で基板からフィルムを剥離した場合に基板表面に発生する電位と逆極性の電圧をフィルムに印加しながら、上記基板からフィルムを剥離する構成である。
【0082】
それゆえ、フィルム剥離の際に基板表面に電位が発生するという帯電現象そのものを抑制することができるという効果を奏する。このため、基板表面への異物の付着を防止することができるとともに、半導体装置等の欠陥不良および静電気放電(ESD)を防止でき、素子破壊等の問題の発生を抑制できる。
【0083】
また、本発明に係るフィルム剥離方法は、以上のように、上記基板からフィルムを剥離する間、フィルムに電荷が発生しないように、フィルムに印加する電圧を制御する構成である。
【0084】
それゆえ、フィルムに電荷(電流)が生じないようにフィルムに印加する電圧値を調整することにより、基板の表面電位に面内分布がある場合でも、フィルムを剥離する際に生じる基板の表面電位を低減させることができるという効果を奏する。したがって、基板表面に電位が発生するという帯電現象そのものを抑制することができ、基板表面への異物の付着を防止することができる。
【0085】
また、本発明に係るフィルム剥離方法は、以上のように、フィルムが設けられている基板から上記フィルムを剥離するフィルム剥離方法において、上記フィルムに電圧を印加しない状態で基板からフィルムを剥離した場合に基板表面に発生する電位と逆極性、かつ単極性の電荷を、イオナイザーによって上記フィルム表面に吹き付けながら、上記基板からフィルムを剥離する構成である。
【0086】
それゆえ、フィルムの表面が高抵抗の場合でも、フィルム剥離の際に基板表面に電位が発生するという帯電現象そのものを抑制することができるという効果を奏する。このため、基板表面への異物の付着を防止することができるとともに、半導体装置等の欠陥不良および静電気放電(ESD)を防止でき、素子破壊等の問題の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示す図である。
【図2】本発明の実施の他の一形態を示す図である。
【図3】本発明の実施の他の一形態を示す図である。
【図4】本発明の実施の一形態に係る実験装置を示す図である。
【図5】フィルムを剥離した際にカラーフィルタ基板の表面に発生する表面電位を計測した結果を示す図であり、(a)は電圧を印加しない場合の結果を示す図であり、(b)は+2kVの電圧を印加した場合の結果を示す図であり、(c)は−2kVの電圧を印加した場合の結果を示す図であり、(d)は表面電位に面分布がある場合であって電圧を印加しない場合の結果を示す図であり、(e)は表面電位に面分布がある場合であって調整しながら電圧を印加した場合の結果を示す図である。
【図6】一般的なLCDで用いられるカラーフィルタ基板の一画素分を示す断面図である。
【図7】保護フィルムおよびベースフィルムにより保護されている色フィルムの断面の構造を示す断面図である。
【図8】一般的な偏光板の断面の構造を示す断面図である。
【図9】従来のフィルム剥離工程における静電気対策方法を示す図である。
【図10】従来のフィルム剥離工程における他の静電気対策方法を示す図である。
【符号の説明】
1 ベースフィルム
2 ガラス基板
3 保持部(フィルム保持部)
4 電圧印加部
7 色フィルム
8 電流計
9 電圧印加制御部
10 偏光板
11 表面保護フィルム
12 イオナイザー
13 カラーフィルタ基板
14 保護フィルム
15 TAC
16 PVA(偏光部)
17 接着剤
18 セパレータ
20 表面電位計測部
21 表面電位センサ
50 フィルム剥離装置
51 フィルム剥離装置
Claims (8)
- フィルムが設けられている基板から上記フィルムを剥離するフィルム剥離装置において、
上記フィルムに電圧を印加しない状態で基板からフィルムを剥離した場合に基板表面に発生する電位と逆極性の電圧をフィルムに印加しながら、上記基板からフィルムを剥離することを特徴とするフィルム剥離装置。 - 上記フィルム剥離装置は、電圧印加部とフィルム保持部とを備えており、上記フィルム保持部を介して、フィルムに電圧が印加されることを特徴とする請求項1に記載のフィルム剥離装置。
- 上記基板からフィルムを剥離する間、フィルムに電荷が発生しないように、フィルムに印加する電圧を制御することを特徴とする請求項1に記載のフィルム剥離装置。
- 上記フィルム剥離装置は、さらに、電圧印加制御部と電流計とを備えており、上記電圧印加制御部は、上記基板からフィルムを剥離する間、上記電流計の値がゼロになるように、フィルムに印加する電圧を制御することを特徴とする請求項3に記載のフィルム剥離装置。
- フィルムが設けられている基板から上記フィルムを剥離するフィルム剥離装置において、
上記フィルムに電圧を印加しない状態で基板からフィルムを剥離した場合に基板表面に発生する電位と逆極性、かつ単極性の電荷を、イオナイザーによって上記フィルム表面に吹き付けながら、上記基板からフィルムを剥離することを特徴とするフィルム剥離装置。 - フィルムが設けられている基板から上記フィルムを剥離するフィルム剥離方法において、
上記フィルムに電圧を印加しない状態で基板からフィルムを剥離した場合に基板表面に発生する電位と逆極性の電圧をフィルムに印加しながら、上記基板からフィルムを剥離することを特徴とするフィルム剥離方法。 - 上記基板からフィルムを剥離する間、フィルムに電荷が発生しないように、フィルムに印加する電圧を制御することを特徴とする請求項6に記載のフィルム剥離方法。
- フィルムが設けられている基板から上記フィルムを剥離するフィルム剥離方法において、
上記フィルムに電圧を印加しない状態で基板からフィルムを剥離した場合に基板表面に発生する電位と逆極性、かつ単極性の電荷を、イオナイザーによって上記フィルム表面に吹き付けながら、上記基板からフィルムを剥離することを特徴とするフィルム剥離方法。
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2002
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