JP2004161897A - 高減衰積層体用ゴム組成物および該ゴム組成物を用いたゴム積層体 - Google Patents

高減衰積層体用ゴム組成物および該ゴム組成物を用いたゴム積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】せん断弾性率(モジュラス)の温度依存性が小さく、減衰性能に優れる高減衰積層体用ゴム組成物、および、該ゴム組成物をゴム層に用いたゴム積層体の提供。
【解決手段】ジエン系ゴムと樹脂とを含有する高減衰積層体用ゴム組成物であって、
前記ジエン系ゴムが、天然ゴムおよびイソプレンゴムを含み、
前記イソプレンゴムが、cis−1,4−ポリイソプレン単位を96%以下含有するイソプレンゴムである高減衰積層体用ゴム組成物。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高減衰積層体用ゴム組成物、および、該ゴム組成物を高減衰積層体のゴム層に用いたゴム積層体に関する。詳しくは、せん断弾性率(モジュラス)の温度依存性が小さく、減衰性能に優れる高減衰積層体用ゴム組成物、および、該ゴム組成物を高減衰積層体のゴム層に用いた高減衰積層体であるゴム積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、震動エネルギーの吸収装置、すなわち、防震、除震、免震装置等が急速に普及しつつある。このような吸収装置の一形態として知られている橋梁の支承やビルの基礎免震等には、ゴム組成物と硬質板とを交互に積層した免震ゴム装置が用いられている。これは、ゴム組成物を硬質板との積層体とすることにより、上下方向には非常に硬く、横方向には柔らかく、すなわち、せん断剛性(せん断弾性)を小さくして、建築物の固有震動周期を地震の震動周期からずらすように作用させ、地震により建物が受ける加速度を非常に小さくするものである。このような用途に用いるゴム組成物には、振動を熱に変換して振動エネルギーを減衰させるという高減衰性が求められる。
従来、このようなゴム組成物に高減衰を発現させるためには、該ゴム組成物(成分、含量等)を改良する方法、該ゴム組成物中にカーボンブラック等の充填剤や軟化点の高い樹脂等を多量に配合する方法、ガラス転移点の高いポリマーを添加する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
これらの方法で得られるゴム組成物は、ヒステリシスロスが大きく減衰性に優れるものの、ゴム組成物のせん断弾性率(モジュラス)の温度依存性が大きくなり、特に低温域ではモジュラスが大きくなり、通年で安定した特性が得られないという問題がある。
【0004】
上記問題を解決する方法として、ジエン系ゴム100質量部に対し、ワックスを40質量部以下含有する高減衰積層体用ゴム組成物が提案されており(例えば、特許文献2。)、
また、天然ゴムを主成分として含有するゴム100質量部に対して、カーボンブラックとシリカの合計50〜150質量部と、石油樹脂10〜50質量部を含有し、カーボンブラックとシリカの質量比率が95/5〜25/75である高減衰ゴム組成物であって、該カーボンブラックの窒素吸着比表面積が150m/g以上、カーボンブラックのDBP吸油量が60ml/100g以上、である高減衰ゴム組成物、および、天然ゴムを主成分とし、さらにその他のゴムを含有するゴム100質量部に対して、カーボンブラックとシリカの合計50〜150質量部と、石油樹脂10〜50質量部を含有し、カーボンブラックとシリカの質量比率が75/25〜25/75である高減衰ゴム組成物が提案されている(例えば、特許文献3および4。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−126437号公報
【特許文献2】
特開2000−38476号公報
【特許文献3】
特開2001−187826号公報
【特許文献4】
特開2001−206983号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記特許文献2〜4の各公報記載のゴム組成物の温度依存性および減衰性について鋭意検討を行ったところ、さらに改善する余地を見出した。そこで、本発明は、せん断弾性率(モジュラス)の温度依存性が小さく、減衰性能に優れる高減衰積層体用ゴム組成物、および、該ゴム組成物をゴム層に用いたゴム積層体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、特定のジエン系ゴムと樹脂とを含有する高減衰積層体用ゴム組成物が、せん断弾性率(モジュラス)の温度依存性が小さく、減衰性能に優れる高減衰積層体用ゴム組成物となることを見出し、本発明の高減衰積層体用ゴム組成物および該ゴム組成物を用いたゴム積層体を完成した。すなわち、本発明は、下記(1)〜(4)に記載の高減衰積層体用ゴム組成物、および下記(5)記載のゴム積層体を提供する。
【0008】
(1)ジエン系ゴムと樹脂とを含有する高減衰積層体用ゴム組成物であって、
上記ジエン系ゴムが、天然ゴムおよびイソプレンゴムを含み、
上記イソプレンゴムが、cis−1,4−ポリイソプレン単位を96%以下含有するイソプレンゴムである高減衰積層体用ゴム組成物(第1の態様)。
【0009】
(2)上記ジエン系ゴムが、さらに、ブタジエンゴムを含むことを特徴とする上記(1)に記載の高減衰積層体用ゴム組成物。
【0010】
(3)上記ジエン系ゴムが、該ジエン系ゴムの質量に対して、上記イソプレンゴムを10〜80質量%含み、上記ブタジエンゴムを0〜60質量%含み、
さらに、上記天然ゴムおよび上記イソプレンゴムを、該天然ゴムと該イソプレンゴムとの質量比(該天然ゴムの質量/該イソプレンゴムの質量)が0.6〜9. 0となるように含んでいることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の高減衰積層体用ゴム組成物。
【0011】
(4)上記樹脂を、上記ジエン系ゴム100質量部に対して10〜60質量部含有していることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の高減衰積層体用ゴム組成物。
【0012】
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の高減衰積層体用ゴム組成物を用いてなるゴム層と、硬質板とを交互に積層したゴム積層体(第2の態様)。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の第1の態様である高減衰積層体用ゴム組成物(以下、本発明の組成物ともいう)は、
ジエン系ゴムと樹脂とを含有する高減衰積層体用ゴム組成物であって、
上記ジエン系ゴムが天然ゴム(NR)およびイソプレンゴム(IR)を含み、かつ、該イソプレンゴム(IR)がcis−1,4−ポリイソプレン単位を96%以下含有するイソプレンゴム(以下、低シスIRともいう)である高減衰積層体用ゴム組成物である。
【0014】
<ジエン系ゴム>
上記ジエン系ゴムは、NRおよび上記低シスIRを含む未加硫のジエン系ゴムであれば特に限定されず、NR、低シスIR以外のジエン系ゴムを含んでいてもよい。
NRおよび低シスIR以外のジエン系ゴムとしては、具体的には、例えば、ブタジエンゴム(BR)、1, 2−ポリブタジエンゴム(1, 2−BR)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR、NIR、NBIR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br−IIR、Cl−IIR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等の種々の未加硫ジエン系ゴムが挙げられ、2種以上を併用してもよい。これらのうち、ガラス転移点の低いBRを用いることが、得られる本発明の組成物のモジュラスの温度依存性が小さくなる理由から好ましい。
【0015】
ここで、上記低シスIRは、上述したようにcis−1,4−ポリイソプレン単位を96%以下含有するIRであって、cis−1,4−ポリイソプレン単位を好ましくは91〜94%、より好ましくは91〜93%含有するIRである。cis−1,4−ポリイソプレン単位をこの割合で含有していれば、後述するNRの伸張結晶化をより効果的に抑制することができる理由から好ましい。
【0016】
また、上記ジエン系ゴムは、該ジエン系ゴムの質量に対して、上記低シスIRを10〜80質量%、好ましくは15〜60質量%含み、所望により加えられる上記BRを0〜60質量%、好ましくは20〜60質量%含み、
さらに、上記NRおよび上記低シスIRを、該NRと該低シスIRとの質量比(NRの質量/低シスIRの質量)が0.6〜9. 0、好ましくは0. 8〜6. 0、より好ましくは0. 8〜3. 0となるように含んでいることが好ましい。
上記低シスIRを含む割合がこの範囲であれば、NRの伸張結晶化を抑制することができるため、得られる本発明の組成物の低温(−20〜0℃、例えば−10℃)時のモジュラスを低く保つこと、すなわちモジュラスの温度依存性を小さくすることが可能となり、さらに加工性が良好となる理由から好ましい。
また、上記BRを含む割合がこの範囲であれば、BRのガラス転移点が低いため、得られる本発明の組成物のモジュラスの温度依存性が小さくなり、さらに破断特性(破断強度、破断伸び)が良好となる理由から好ましい。
さらに、上記NRおよび上記低シスIRを含む割合(NRの質量/低シスIRの質量)がこの範囲であれば、得られる本発明の組成物の加工性および破断強度が良好となる理由から好ましい。
ここで、上記NRの伸張結晶化とは、NRを室温下、300%程度伸張させると分子配列が揃うことで結晶化が生起する現象である。また、低温(−20〜0℃、例えば−10℃)下においては、結晶化速度が上がることから150%程度の伸張でも該伸張結晶化に基づく結晶化、およびそれに伴う硬度の上昇が確認できる。そのため、NRを含有する本発明の組成物においては、上述したように、低シスIRを含有させることで、低温(−20〜0℃、例えば−10℃)下におけるNRの伸張結晶化を制御している。これは、NRと類似の構造を有するIRにおいて、シス1, 4結合量が少ない低シスIRを用いることで、分子配列が揃うことを妨げることができるためと考えられる。
【0017】
<樹脂>
上記樹脂は、減衰付与剤として従来公知の樹脂を用いることができる。樹脂の具体例としては、クマロン樹脂、クマロンインデン樹脂、テルペン樹脂、フェノールテルペン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、脂環式飽和炭化水素系樹脂、C、Cおよびこれらの共重合樹脂等が挙げられる。
ここで、C、Cおよびこれらの共重合樹脂としては、例えば、C系の脂肪族不飽和炭化水素の重合体、C系の芳香族不飽和炭化水素の重合体およびC系の脂肪族不飽和炭化水素とC系の芳香族不飽和炭化水素との共重合体である熱可塑性樹脂等が挙げられる。以下に、具体例を示す。
【0018】
系の脂肪族不飽和炭化水素としては、具体的には、例えば、ナフサの熱分解により得られるC留分中に含まれるペンテン−(1)、ペンテン−(2)、2−メチルブテン−(1)、3−メチルブテン−(1)、2−メチルブテ−(2)等のオレフィン系炭化水素や、2−メチルブタジエン−(1,3)、ペンタジエン−(1,2)、ペンタジエン−(1,3)、3−メチルブタジエン−(1,2)等のジオレフィン系炭化水素等が挙げられる。
【0019】
系の芳香族不飽和炭化水素としては、具体的には、例えば、ナフサの熱分解により得られるC留分中に含まれるα−メチルスチレン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン等のビニル置換芳香族炭化水素等が挙げられる。
これらは、適当な触媒の存在下で、フリーデル−クラフツ反応等により重合あるいは共重合可能である。ここで、重合あるいは共重合により得られるC系の芳香族不飽和炭化水素の重合体(共重合体)は、一種のC系の芳香族不飽和炭化水素の重合体であっても、二種以上のC系の芳香族不飽和炭化水素の共重合体であってもよい。
【0020】
また、C系の芳香族不飽和炭化水素とC系の脂肪族不飽和炭化水素との共重合体は、C系の芳香族不飽和炭化水素ユニットが60モル%以上であるものが好ましく、90モル%以上であるものがさらに好ましい。C系の脂肪族不飽和炭化水素ユニットが多くなるに従い、該共重合体の軟化点が低下する傾向にある。上記熱可塑性樹脂は、ジエン系ゴムの物性に対し、その分子量および二重結合の反応性が影響を与えるので、軟化点(JIS K2207)が100℃以上のものが好ましく、120℃以上のものがより好ましい。
【0021】
これらの樹脂としては、市販品を利用することができ、例えば、ハイレジン#120(東邦化学社製)、エスコレッツ8180(エクソン化学社製)、YSレジンTO125(ヤスハラケミカル社製)、アルコンP125(荒川化学工業社製)等が挙げられる。
【0022】
また、上記樹脂は、上記ジエン系ゴム100質量部に対して10〜60質量部、好ましくは20〜50質量部、より好ましくは25〜50質量部含有していることが、得られる本発明の組成物の減衰性および破断特性(破断強度、破断伸び)が良好となる理由から好ましい。
【0023】
本発明の組成物には、上記ジエン系ゴムおよび樹脂に加え、さらに未加硫時に、本発明の特徴を損なわない範囲において、補強剤、充填剤、加硫剤、加硫促進剤、可塑剤、老化防止剤、有機系活性剤等の添加剤を含有することができる。
【0024】
補強剤、充填剤としては、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、クレー、タルク、フェノール樹脂等が挙げられる。これらの補強剤、充填剤は、所望の物性を得るために必要な量を任意に配合することができる。
【0025】
加硫剤としては、具体的には、例えば、硫黄、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、ジペンタメチレンチウラムジスルフィド(DPTT)等の有機含硫黄化合物、ジクミルペルオキシド等の有機過酸化物、酸化亜鉛(亜鉛華)、マグネシア等の金属酸化物、キノンジオキシム等が挙げられる。このような加硫剤は、所望の物性を得るために必要な量を任意に配合することができるが、一般的な配合量としては、ジエン系ゴム100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましい。
【0026】
加硫促進剤としては、具体的には、例えば、メルカプトベンゾチアゾール(MBT)等のチアゾール類、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)等のスルフェンアミド類、ジフェニルグアニジン等のグアニジン類等が挙げられる。このような加硫促進剤の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、0.5〜5.0質量部が好ましい。
【0027】
可塑剤としては、具体的には、例えば、プロセスオイル、石油樹脂、DOP(ジオクチルフタレート)、ジオクチルセバケート等の合成可塑剤、植物油、液状ゴム等が挙げられる。このような可塑剤の配合量は、所望の物性を得るために必要な量を任意に配合することができ特に限定されるものではないが、一般的には、ジエン系ゴム100質量部に対し、0〜50質量部が好ましい。
【0028】
老化防止剤としては、具体的には、例えば、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6PPD)、N,N’−ジナフチル−p−フェニレンジアミン(DNPD)、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(IPPD)、スチレン化フェノール(SP)等が挙げられる。このような老化防止剤の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、0.5〜3質量部が好ましい。ただし、本発明の組成物が免震等の振動エネルギーの吸収装置等に用いられる際、該組成物が外面に露出しない場合は、老化防止剤を配合しなくてもよい。
【0029】
有機系活性剤としては、具体的には、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。このような有機系活性剤の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、0.5〜3質量部が好ましい。
上述の添加剤は、単独または2種以上の混合物として用いることもできる。
【0030】
また、本発明の組成物の製造は、上記成分を混合し、必要に応じて適宜添加剤を配合した未加硫ゴム組成物を、ニーダ、バンバリーミキサー等を用いて混練することにより行われるがこれに限定されない。該混練物は130〜170℃の温度で加熱することにより加硫されて、加硫ゴム組成物が得られる。
【0031】
本発明の第2の態様であるゴム積層体(以下、本発明のゴム積層体ともいう)は、第1の態様に係る本発明の組成物を用いてなるゴム層と、硬質板とを交互に積層したゴム積層体であって、橋梁の支承やビルの基礎免震等に用いられる構造体である。
図1に、本発明のゴム積層体の一例を表す免震積層体1の断面図を示す。本発明の組成物2と、例えば一般構造用鋼板、冷間圧延鋼板等からなる硬質板3とが交互に積層されて免震積層体が構成される。この積層体を製造するには、成形・加硫して、シート状のゴム組成物を得た後、接着剤により硬質板と接着してもよいし、また、あらかじめ未加硫のゴム配合物をシート状に成形し、硬質板と積層した後に加熱して加硫・接着を同時に行って製造することもできる。
このような免震積層体1は、各種の免震、除震、防震等の振動エネルギーの吸収装置(例えば、道路橋の支承や、橋梁、ビルの基礎免震、戸建免震用途等)に好適に用いられる。
【0032】
本発明の組成物は、機械的特性および従来の高減衰ゴムと同等以上の高い減衰性を維持しながら、せん断弾性率(モジュラス)の温度依存性が小さく、年間を通して安定したせん断弾性を有するため、高減衰積層体であるゴム積層体のゴム層、例えば、上述したように免震積層体用のゴム組成物として好適に用いることができる。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
(実施例1〜3、比較例1〜3)
下記表1に示す割合で天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、低シスIR、ブタジエンゴム(BR)、カーボンブラック、樹脂、アロマオイル、老化防止剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、硫黄、加硫促進剤を配合して未加硫のゴム組成物を調製した。
上記各成分のうち、加硫促進剤と硫黄を除くゴム成分および添加剤を、神戸製鋼(株)製B型バンバリーミキサー(1.8L)を用いて5分間混合した後、この混合物に加硫促進剤と硫黄を加えて、8インチの試験用練りロール器で4分間混練して未加硫ゴム組成物を得た。
なお、下記表1の各成分の値は質量部を表す。
【0034】
【表1】
Figure 2004161897
【0035】
表1中の各成分は以下に示すものを用いた。
・天然ゴム:STR20
・イソプレンゴム:cis−1,4−ポリイソプレン単位を98%含有するイソプレンゴム(NIPOL IR−2200(日本ゼオン社製))
・低シスIR:cis−1,4−ポリイソプレン単位を91%含有するイソプレンゴム(KRATON IR−307(クレイトンポリマージャパン社製))
・ブタジエンゴム:NIPOL BR−1220(日本ゼオン社製))
・カーボンブラック:ISAFショウブラックN220(昭和キャボット社製)
・樹脂:ハイレジン#120(東邦化学社製)
・アロマオイル:ダイアナプロセスAH−20(出光興産社製)
・老化防止剤:ノクラック 6C(大内新興化学社製)
・酸化亜鉛:亜鉛華3号(正同化学社製)
・ステアリン酸:LUNAC YA(花王石鹸社製)
・硫黄:粉末イオウ(軽井沢精練所製)
・加硫促進剤:ノクセラーCZ(大内新興化学社製)
【0036】
未加硫ゴム組成物およびその加硫物について以下に示す物性の評価を行った。結果を下記表2に示す。なお、加硫物は、実施例1〜3および比較例1〜3で得られた各未加硫ゴム組成物を加硫用プレス機を用いて148℃で45分間プレス加硫して得られたものを用いた。
【0037】
▲1▼未加硫粘度比
得られた各未加硫ゴム組成物の粘度測定を、JIS K6300に準拠して行った。ムーニー粘度計(島津製作所社製)を用い、各未加硫ゴム組成物を100℃にて測定したときの最低ムーニー粘度を求め、比較例1を100とした際の他の未加硫ゴム組成物の粘度比を求めた。
【0038】
▲2▼機械的特性
JIS K6251−1993 に準拠して、得られた各加硫物を厚さ2mmのダンベル状試験片(ダンベル状3号形)に切り出し、100%モジュラス(M100 )〔MPa〕、300%モジュラス(M300 )〔MPa〕、破断強度(T)〔MPa〕、破断伸び(E)〔%〕を測定した。
【0039】
▲3▼引張り試験による特性値
得られた各加硫物から幅10mm、厚さ2mmの短冊状のサンプル作製した。オートグラフ引張り試験機において、上記各サンプルをクロスヘッドスピード500mmの条件で、5回150%伸張させた際の5回目の特性値(モジュラス、ヒステリシスロス)を評価した。
(a)モジュラス M
25℃および−10℃における、150%伸張時のモジュラス(MPa)を測定し、モジュラス(以下、単に「M」ともいう)の温度比(25℃におけるMに対する、−10℃におけるM、以下「M(−10/25)」とする。)を算出した。なお、下記表2中において、25℃におけるモジュラスを「M(25)」と表し、−10℃におけるモジュラスを「M(−10)」と表した。
(b)ヒステリシスロス
エネルギーの減衰性(図2において、ヒステリシスロス=(ABCDEA/ABCFA)×100)を算出した。
ここで、図2は応力−歪曲線を表すグラフである。
【0040】
【表2】
Figure 2004161897
【0041】
表2に示す結果より、実施例1〜3に示す本発明の組成物は、低シスIRを含有することから低温時のモジュラスを低く保つことができ、さらにM(−10/25)の値が小さくなることから、比較例よりも、せん断弾性率(モジュラス)の温度依存性に優れる結果となった。また、減衰性についても比較例と同等以上の結果が得られた。
【0042】
<ラップシェアせん断試験>
ラップシェア型せん断試験用試料として、実施例3および比較例1で得られた各未加硫ゴム組成物を幅25mm×長さ25mm×厚さ4. 8mmのサイズに圧延したものと、表面をサンドブラストして金属接着剤を塗布した鋼板(幅25mm×長さ100mm×厚さ20mm)とを、図3のラップシェア型せん断試験用試料4の側面図に示すように配置(積層)した後に、130℃で120分プレス加硫したものを用いた。なお、図3においては、未加硫ゴム組成物を幅25mm×長さ25mm×厚さ4. 8mmのサイズに圧延したものは、単に、圧延した未加硫ゴム組成物5として表し、表面をサンドブラストして金属接着剤を塗布した鋼板(幅25mm×長さ100mm×厚さ20mm)は、単に、鋼板6として表している。
【0043】
ラップシェアせん断試験を加振機(サギノミヤ社製)、入力信号発振機、出力信号処理機を用いて、以下に示す条件で行った。
作製した各ラップシェア型せん断試験用試料を用いて、2軸せん断試験機による変形周波数0.5Hz、測定温度(−20、−10、0、10、20、30および40℃)下、200%歪み時のせん断弾性係数Geqを測定した。結果を下記表3に示す。なお、下記表3中において、Geq(−20℃)とは、変形周波数0.5Hz、測定温度−20℃下、200%歪み時のせん断弾性係数のことである。
測定温度は、ゴム積層体を形成するゴム層のゴム組成物の温度(試料温度)であり、試料温度を調整する方法は、試験機に装備された恒温槽による。すなわち、試料中への熱電対を埋め込んだ状態で試験体をセットし、試料温度をモニタしながら、設定温度に達した時点で試験を開始した。また、該ゴム組成物の厚さ(試料厚さ)を「t=4. 8mm」として測定した。
【0044】
【表3】
Figure 2004161897
【0045】
表3に示す結果より、実施例3で得られた未加硫ゴム組成物を用いてなるゴム層を有する本発明のゴム積層体は、低シスIRを含むジエン系ゴムをゴム組成物として含有していることから、ラップシェアせん断試験においても、せん断弾性係数Geqの温度依存性に優れる結果となることが分かった。
【0046】
【発明の効果】
本発明の高減衰積層体用ゴム組成物は、モジュラスの温度依存性が小さく、減衰性能に優れる。そのため、防振装置、除振装置、免震装置等の振動エネルギーの吸収を目的とする積層体に好適に用いることができる。また、本発明のゴム積層体は、せん断弾性率の温度依存性が小さく、減衰性能に優れるゴム組成物を用いているので、優れた免震性能を有するため有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のゴム積層体の一例を示す免震積層体の断面図である。
【図2】オートグラフ引張り試験時の応力−歪曲線を示すグラフである。
【図3】ラップシェア型せん断試験用試料の側面図である。
【符号の説明】
1 免震積層体
2 ゴム組成物
3 硬質板
4 ラップシェア型せん断試験用試料
5 圧延した未加硫ゴム組成物
6 鋼板

Claims (5)

  1. ジエン系ゴムと樹脂とを含有する高減衰積層体用ゴム組成物であって、
    前記ジエン系ゴムが、天然ゴムおよびイソプレンゴムを含み、
    前記イソプレンゴムが、cis−1,4−ポリイソプレン単位を96%以下含有するイソプレンゴムである高減衰積層体用ゴム組成物。
  2. 前記ジエン系ゴムが、さらに、ブタジエンゴムを含むことを特徴とする請求項1に記載の高減衰積層体用ゴム組成物。
  3. 前記ジエン系ゴムが、該ジエン系ゴムの質量に対して、前記イソプレンゴムを10〜80質量%含み、前記ブタジエンゴムを0〜60質量%含み、
    さらに、前記天然ゴムおよび前記イソプレンゴムを、該天然ゴムと該イソプレンゴムとの質量比(該天然ゴムの質量/該イソプレンゴムの質量)が0.6〜9. 0となるように含んでいることを特徴とする請求項1または2に記載の高減衰積層体用ゴム組成物。
  4. 前記樹脂を、前記ジエン系ゴム100質量部に対して10〜60質量部含有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高減衰積層体用ゴム組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の高減衰積層体用ゴム組成物を用いてなるゴム層と、硬質板とを交互に積層したゴム積層体。
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