JP2003306578A - 高減衰ゴム及びそれを用いた免震構造体 - Google Patents
高減衰ゴム及びそれを用いた免震構造体Info
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Abstract
の震動伝達を絶縁又は軽減する免震構造体に適する高減
衰ゴム及びそれを用いた免震構造体を提供する。 【解決手段】 天然ゴム、又は天然ゴムとイソプレンゴ
ムのブレンドをゴム主成分として含み、ゴム成分100
重量部に対して、カーボンブラックを40〜120重量
部、及び粘着付与剤を20〜80重量部含有する高減衰
ゴムであって、前記天然ゴム成分の内の70重量%以上
が素練り促進剤及び粘度調整剤を含まず、かつ、前記粘
着付与剤の軟化点が135℃以上である。
Description
ルギーを吸収し、構造物への震動伝達を絶縁又は軽減す
る免震構造体に適する高減衰ゴム及びそれを用いた免震
構造体に関する。
造物の支承には、ゴム組成物と鋼板などの硬質板とを交
互に積層した免震構造体を用いた免震工法が広く普及し
ている。
性、せん弾方向には低い剛性を有する弾性構造体であ
り、地震の振動数に対して建築物の固有振動数を低減す
ることにより、振動の入力加速度を減少し、建築物ある
いはその中の設備などに対する被害を最小限にするもの
である。
は、破壊強度、クリープ特性、ロス特性や適度な弾性率
などを具備した長期に渡り安定な高減衰性を必要とする
ことから、天然ゴムやイソプレンゴムの天然ゴム系を主
とするジエン系ゴムをゴム主成分とし、カーボンブラッ
クと粘着付与剤として石油系樹脂などを多量に配合する
ゴム組成物が主として用いられている。
衰ゴム組成物は、温度依存性が大きく周辺温度によりゴ
ム特性が変化しやすくなり、このため一般に外気に曝さ
れる状態で使用される免震構造体では、冬期には積層体
のゴム組成物が硬くなり夏期には軟らかくなるという現
象を伴い、ゴム弾性率やロス特性などの減衰性が季節変
動し、免震性能に影響を与えるという問題があり、特に
冬期ではゴム硬度が上がり免震性能が低下することがあ
る。
天然ゴム系ゴム成分に樹脂類を多量配合すると、天然ゴ
ムの素練り時に添加される素練り促進剤や粘度調整剤な
どと共にゴムの可塑化、軟化成分が過多となってゴム組
成物の粘着性が上昇し、混合工程やシーティングなどの
加工工程においてロール等に過粘着となって作業性が低
下したり、また加工性の低下に伴い高減衰ゴムのゴム成
分の均一性低下も問題となっている。
た減衰性を有するゴム組成物であり、ゴム組成物の温度
依存性を改善して高減衰ゴム特性の温度による変動を抑
制し、またゴム粘着性の上昇を抑えてゴム加工性を改善
し工程安定性を向上すると共に均一なゴム組成物を得る
ことでゴム特性の安定化を実現する高減衰ゴム、及びそ
れを用いた免震構造体を提供することにある。
明は、天然ゴム、又は天然ゴムとイソプレンゴムのブレ
ンドをゴム主成分として含み、ゴム成分100重量部に
対して、カーボンブラックを40〜120重量部、及び
粘着付与剤を20〜80重量部含有する高減衰ゴムであ
って、前記天然ゴム成分の内の70重量%以上が素練り
促進剤及び粘度調整剤を含まず、かつ、前記粘着付与剤
の軟化点が135℃以上であることを特徴とする高減衰
ゴムである。
は前記天然ゴムとイソプレンゴムとのブレンド合計が前
記ゴム成分の70重量部以上100重量部以下であり、
その他のゴム成分としてはジエン系ゴムを含むことがで
きる。
ムとイソプレンゴムとのブレンド比率が、天然ゴム≧イ
ソプレンゴムであることが好ましい。
ゴム成分にカーボンブラックと粘着付与剤を配合するこ
とで震動エネルギーを減衰させる優れた減衰性を得るこ
とができ、素練り促進剤及び粘度調整剤を含まない天然
ゴムの使用を所定重量部に制限することで混合時や加工
時のゴム粘着性の上昇を抑えて加工性を向上し、積層体
の製造精度の向上を図り、かつ、前記粘着付与剤の軟化
点が135℃以上とすることでゴム組成物の温度依存性
を改善し、ゴム特性の温度による影響を最小限に抑える
ことができる。
ことを特徴とする免震構造体である。
成物の温度依存性が改善されるので、その使用環境や季
節による免震特性の変化を抑え、温度変化に対して安定
した免震性能を長期間維持することができる。
詳細に説明する。
なくとも天然ゴム(NR)を用い、又は天然ゴム(N
R)とイソプレンゴム(IR)のブレンドを主成分とし
て用いられる。NR、又はNRとIRのブレンドの合計
量は、ゴム成分100重量部に対して70重量部以上で
あり、天然ゴム系ゴムが70重量部未満では、高減衰ゴ
ムの強度、加工性などが得難くなり好ましくない。もち
ろん、NRを単独でゴム成分として用いることもでき
る。
は、ジエン系ゴムを用いることができ、各種のスチレン
ブタジエンゴム(SBR)、各種のブタジエンゴム(B
R)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム
(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br−IIR、C
l−IIR)、クロロプレンゴム(CR)などを挙げる
ことができ、その単独又は任意の2種以上を併用し使用
することができる。
の内の70重量%以上が素練り促進剤(シャッ解剤)や
粘度調整剤などの可塑剤を未添加とする必要がある。こ
の素練り促進剤や粘度調整剤などの可塑剤を添加した天
然ゴムの配合量が増加すると、高減衰ゴムの未加硫時粘
着性が上昇し混合時や押し出し時、シート成形時に混合
機や押し出し機、ロール、カレンダーなどの加工設備に
過粘着となり加工性が著しく低下し好ましくない。
る場合は、そのブレンド比率が天然ゴム≧イソプレンゴ
ムであることが好ましい。IRの比率がNRよりも多く
なると、未加硫時のゴム粘着性が上昇しやすく過粘着と
なって加工性が低下する。
量部に対して、カーボンブラックを40〜120重量部
含有している。このカーボンブラックとしては、一般の
ゴム配合に用いられるカーボンブラックであればよい
が、その中でも窒素比表面積(N2 SA)が60m
2 /g以上、特に60〜130m2 /gの範囲にあ
るものが好ましく、ASTMで示されるHAF、ISA
F級などのカーボンブラックを使用することができる。
発現する上で重要な因子であり、その配合量が40時未
満であると十分な減衰性が得られず、120重量部を超
えると分散性や混合性が低下し、またゴム強度も低下す
るので好ましくない。
0m2 /g未満であると、良好な減衰性が得られず、
130m2 /gを超えるとゴム粘着性が次第に上昇し
ゴムの混合性、成形加工性が低下する。
して粘着付与剤を20〜80重量部含有するもので、そ
の粘着付与剤の軟化点は135℃以上であることを必要
とする。粘着付与剤の含有量が20重量部未満では十分
な減衰性を得られず、80重量部を超えるとゴム組成物
のタックが過大となり加工性が悪化し、またクリープ性
が大きくなり好ましくない。また、その軟化点が135
℃未満では、ゴム組成物の温度依存性が大きくなり、ゴ
ム特性に温度の影響や季節変動を生じ免震ゴムとして使
用し難くなる。
ノールホルムアルデヒド系樹脂、アルキルフェノールア
セチレン系樹脂、クマロンインデン系樹脂、キシレンホ
ルムアルデヒド系樹脂、ペンテンフェノール系樹脂、脂
肪族・芳香族系石油樹脂、ポリブテン系樹脂、ロジン誘
導体樹脂などの多数の樹脂が挙げられ、その中の軟化点
が135℃以上にある樹脂が選択され、その単独又は任
意の2種以上を併用し使用することができる。
成分、カーボンブラック及び粘着付与剤の必須成分に加
え必要に応じて、通常にゴム工業で使用されている硫黄
等の加硫剤、加硫促進剤、シリカ、シランカップリング
剤、老化防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、オイル等の軟
化剤、ワックス、各種充填剤、可塑剤、各種樹脂類など
の配合剤を通常の配合量の範囲で適宜配合することがで
きる。
リーミキサーやニーダーなどのゴム工業で通常使用され
るゴム用混合機を用いて混合することにより得られる。
らなるゴム部材と鋼板などの硬質板とからなる免震構造
体である。
な高減衰ゴム層2と硬質板3とを交互に積層して接着
し、上下面にフランジ4、4’を備えた積層ゴム構造体
1が例示され、その内部構造、形状、大きさなどは限定
されず、形状は円柱状の他に四角柱状、多角柱状、楕円
柱状など用途により選択でき、また前記硬質板やフラン
ジは冷間圧延鋼板や各種金属板、セラミック材、FRP
などの強化プラスチック材などの各種材質のものが用い
られる。
を成形、加硫して得たシート状のゴム部材と硬質板やフ
ランジとを積層し接着剤により接着する方法、またはシ
ート状に成形した未加硫の高減衰ゴムと硬質板やフラン
ジと積層し加硫接着し製造することができる。
の基礎免震、橋梁や道路の支承などの免震、除振、防振
などの振動エネルギーの吸収に安定した効果を有し、好
適に使用することができる。
さらに詳しく説明する。
ンブラック(C、B)、粘着付与剤は下記の通りであ
る。
(SMR)及びRSS#3を用いた。
ェニルジスルフィド) 0.3重量部を添加して素練りを行い、ムーニー粘度M
L1+4 (100 ℃)を60に調整したもので
ある。
IR2200 ・ブタジエンゴム(BR):JSR(株)BR01 カーボンブラック(C、B)は下記の通りである。
(株)ショウブラックN330N2 SA=75m2
/g 2.C、B(ISAF):昭和キャボット(株)ショウ
ブラックN220N2 SA=111m2 /g 3.C、B(FEF):昭和キャボット(株)ショウブ
ラックN550N2 SA=42m2 /g なお、N2 SAはASTM D3037−89に示さ
れる方法で測定したものである。
テル 1.ペンセルKK(商品名):軟化点165℃以上 2.ペンセルC(商品名):軟化点117〜127℃ 石油系樹脂:日本ゼオン(株)ジシクロペンタジエン 3.クイントン1325(商品名):軟化点125℃ 4.クイントン1345(商品名):軟化点140℃ 表1〜3に記載の各ゴム成分に、カーボンブラック及び
粘着付与剤を表記載の配合量に従い配合し、さらに下記
の共通配合成分を配合(重量部)し、各実施例、比較例
の高減衰ゴムを通常の密閉式バンバリーミキサーを用い
て混練して得た。
(株)):2重量部 ・硫黄:1.5重量部 ・加硫促進剤 ノクセラーCZ(大内新興化学工業
(株)):0.8重量部 得られた各高減衰ゴムを用いて図2に示す「1ブロック
・ラップ・シェア型」試験体を用いて減衰性と剛性温度
依存性を測定し、また加工性の評価及びムーニー粘度を
測定した。さらに、ゴム成分にBRを配合した実施例5
と比較例5については接着試験による接着性の評価を行
い、その結果を表1〜3に記載した。各評価項目の測定
方法は下記の通りである。
プ・シェア型」試験体(ゴム部:幅25mm、長さ25
mm、厚み5mm)を各高減衰ゴムを用いて作成し、油
圧式振動試験機を用いて周波数0.5Hzで、下記3シ
リーズの歪み条件でせん断加振を与え、図3に示すよう
な応力−歪み曲線を求めた。測定温度は20℃とした。
する。
る。
の2回目について、図3に示す応力−歪み曲線から、ロ
スを下記式(1)から算出し、両者平均値をロスとして
減衰性を評価し、表1〜3に記載した。値が大きいほど
良好である。 ロス=(ΔW/(W1+W2))×1/2π×100……(1) ここで、ΔWは図3における応力−歪み曲線のループ内
の面積であり、W1、W2はそれぞれ図3における三角
形領域の面積である。
に、上記3シリーズの歪み加振条件でせん断加振を与
え、図3に示すような応力−歪み曲線を求めた。測定温
度は30℃、20℃、−10℃とした。
の2回目の応力−歪み曲線から、それぞれのゴム応力を
下記式(2)から算出し求めた。 応力=F/2……(2) 第1シリーズと第3シリーズの前記応力の平均値をゴム
の最終応力とし、各測定温度における応力を求め、その
応力の比を剛性温度依存性として評価した。測定温度−
10℃と20℃との比(−10℃/20℃)を「温度依
存性1」、測定温度30℃と20℃との比(30℃/2
0℃)を「温度依存性2」として表3に記載した。「温
度依存性1」は値が小さいほど、「温度依存性2」は値
が大きいほど良く、数値は1に近いほど温度依存性が少
なく良好である。
を用いて各高減衰ゴムを、厚み35mm、幅600mm
の帯状に押出し加工を行い、ロールへの粘着性及び厚み
のバラツキを目視にて確認した。ロール端部にゴムの過
粘着があり、厚み精度に影響し、加工性が劣り「×」と
評価し、ロールへの過粘着がなく厚み精度への影響がな
いものを加工性が良好であり「○」と評価し、表1〜3
に記載した。
従い、ML1+4(100℃)を測定した。
プ・シェア型」試験体を用いて、引張試験機(引張速度
50mm/分、測定温度23℃)により金属プレート部
をつかみ引張試験を行い、接着破壊面を目視にて観察し
た。ゴム材料間での破壊発生の場合、高減衰ゴムと金属
材との接着性が良好であり、合格と評価した。
ゴムのゴム成分を比較したものである。減衰性について
は全ての実施例、比較例で満足できる性能を有し、各実
施例では加工性にも問題がない。しかし、素練り促進剤
或いは粘度調整剤を含むRSS#3、SMR20CVを
ゴム成分の全量に用いた比較例1及び比較例2、またS
MR20CVの配合量の多い比較例4では、ゴム組成物
の可塑化、軟化が過度となってゴム粘着性が上昇し、ロ
ールへの過粘着が発生し加工性が悪化する。また、IR
配合量の多い比較例3でも、ゴム粘着性が上がり加工性
が劣る。また、他のジエン系ゴムとしてBRを多く用い
た比較例5は、ゴム材料と接着剤層との層間破壊を示
し、免震構造体に使用すると耐久性が問題となることが
分かる。一方、BRが請求範囲内の実施例5では、接着
試験においてのゴム材料内での破壊(材料破壊と表示)
を示し、天然ゴム系をゴム成分に用いた場合と同等の耐
久性を有している。
ゴムに配合するC、Bについて比較したものである。N
2 SAの小さいC、Bを用いた比較例6、及びC、B
配合量の少ない比較例7では、満足できる減衰性能が得
られない。また、C、B配合量が多すぎる比較例8で
は、ゴム組成物のムーニー粘度上昇により加工性が劣り
「×」と評価した。
ゴムに配合する粘着付与剤について比較したものであ
る。135℃以上の軟化点を有する粘着付与剤の所定量
を配合した各実施例では、減衰性と温度依存性が両立す
るが、軟化点が135℃未満の粘着付与剤を用いた比較
例9、10では、「温度依存性1」が大きく十分な耐寒
性が得られず、また「温度依存性2」も小さくなり温度
の影響を受けやすいことが分かる。また、粘着付与剤の
少ない比較例11は減衰性が得られず、多すぎる比較例
12ではゴム粘着性が上昇してしまい加工性が悪化して
いる。
衰ゴムでは、天然ゴム系を主とするゴム成分に所定量の
カーボンブラックと粘着付与剤を配合することで良好な
減衰性を有し、その粘着付与剤の軟化点を135℃以上
とすることで温度依存性を改善し、高減衰ゴム特性の温
度による変動を抑制することができ、また天然ゴムに含
まれる素練り促進剤や粘度調整剤の添加量を規制するこ
とで未加硫時のゴム粘着性の上昇を抑えてゴム加工性を
改善し工程安定性を向上することができる。
は、ゴム特性の温度影響を最小に抑えることができるの
で、その環境温度や季節の影響を受けず優れた免震性能
を安定して長期間維持することができる。
構造体である。
明図である。
Claims (4)
- 【請求項1】天然ゴム、又は天然ゴムとイソプレンゴム
のブレンドをゴム主成分として含み、 ゴム成分100重量部に対して、カーボンブラックを4
0〜120重量部、及び粘着付与剤を20〜80重量部
含有する高減衰ゴムであって、 前記天然ゴム成分の内の70重量%以上が素練り促進剤
及び粘度調整剤を含まず、 かつ、前記粘着付与剤の軟化点が135℃以上であるこ
とを特徴とする高減衰ゴム。 - 【請求項2】前記天然ゴム、又は前記天然ゴムとイソプ
レンゴムとのブレンド合計が前記ゴム成分の70重量部
以上100重量部以下であり、 その他のゴム成分としてはジエン系ゴムを含むことを特
徴とする請求項1に記載の高減衰ゴム。 - 【請求項3】前記天然ゴムとイソプレンゴムとのブレン
ド比率が、天然ゴム≧イソプレンゴムであることを特徴
とする請求項1又は2に記載の高減衰ゴム。 - 【請求項4】請求項1〜3のいずれか1項に記載の高減
衰ゴムを用いたことを特徴とする免震構造体。
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- 2002-04-17 JP JP2002115464A patent/JP4057335B2/ja not_active Expired - Fee Related
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