JP2004161502A - 一酸化炭素変成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の一酸化炭素変成装置は、COとH2OからH2とCO2とを生成するシフト反応に供されるシフト反応触媒層が直列かつ多段に配置されたことを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はシフト反応により一酸化炭素を効率よく水素に転化する一酸化炭素変成装置、特に燃料電池に使用する改質ガス中の一酸化炭素を効率よく水素に転化する一酸化炭素変成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子電解質型燃料電池は、低公害型電力源として定置型のみならず車載用途としても注目されている。燃料電池は圧縮水素、液体水素タンクからの高純度水素等を利用するほかに、メタノール等のアルコール又はガソリン等の炭化水素を改質器で改質して得られる水素富化ガスを使用できる。しかし、一部の低温型燃料電池では水素富化ガス中に含まれる一酸化炭素や不純物がアノード電極触媒の白金を被毒して出力を低下させてしまうことが知られている。このため、水素富化ガス中の一酸化炭素を低減するために、改質ガスをシフト反応(CO+H2O → CO2+H2)又は酸化反応(CO+1/2O2 → CO2)に供することが行われている(例えば、特許文献1〜8参照。)。
【0003】
しかしながら、シフト反応は発熱反応であるため、触媒層下流に行くに従い反応により触媒温度が上昇してしまい、触媒下流ほどCO低減率が低下する。また、触媒自体の劣化も起こる。そこで、触媒層とともに冷媒流路装置を配置する一酸化炭素変成装置が特許文献3〜8に開示されている。例えば、特許文献3に記載の一酸化炭素変成装置は、触媒層内に冷媒流路装置が配置されており、冷媒流通装置の触媒に接する冷却面の面積が改質ガスの流通方向に対し順次連続的に小さくなるか、順次段階的に小さくなるように構成され、一酸化炭素変成装置内の温度分布を適切に制御するようになっている。しかし、高負荷時においては温度制御が不充分であり、触媒が劣化してしまうという問題がある。また、負荷を低く設定せざるを得ないため、触媒量が低減できずコストが高いという問題がある。特許文献6に記載の一酸化炭素変成装置は、触媒層の前段に熱交換器が軸方向に連接して設けられている。しかし、この場合も高負荷時においては温度制御が不充分であり、触媒が劣化してしまうという問題がある。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−234707号公報
【特許文献2】
特開2002−234707号公報
【特許文献3】
特開2002−216827号公報
【特許文献4】
特開平11−199202号公報
【特許文献5】
特開平9−268001号公報
【特許文献6】
特開2001−180911号公報
【特許文献7】
特開平7−232901号公報
【特許文献8】
特開平6−140068号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、高負荷でも正確に温度制御でき、触媒の耐久性に優れ、比較的安価な一酸化炭素変成器を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、一酸化炭素変成装置のシフト反応触媒層を直列多段構造とし、各段の触媒層の長さを発熱量の多い上流側(前段)に位置する触媒層ほど短くし、下流側(後段)に位置する触媒層ほど長くすることにより触媒温度の急激な上昇を防止し、反応を効率的に行えること、さらに各段の触媒層の上流に熱交換器を備え、改質ガスの温度を調節することにより触媒温度を正確に制御できることを発見し、本発明に想到した。
【0007】
すなわち、本発明の一酸化炭素変成装置は、COとH2OからH2とCO2とを生成するシフト反応に供されるシフト反応触媒層が直列かつ多段に配置されたことを特徴とする。
【0008】
シフト反応触媒層を直列かつ多段に配置することにより、触媒温度を制御することができ、これにより改質ガス中のCO濃度を効率よく低減するものである。前記シフト反応触媒層は、COとH2Oを含むガスが導入される上流側に位置する触媒層ほどガスの流れ方向の長さが短く、生成したH2とCO2を含むガスが排出される下流側に位置する触媒層ほどガスの流れ方向の長さが長くなるように配置されているのが好ましい。発熱量の多い前段部の触媒層の長さを短くすることにより反応の急激な進行を抑えることができる。さらに、シフト反応の際にシフト反応触媒層の温度を330℃以下に制御することにより、触媒の劣化を抑制することができる。このような正確な制御を行うため、シフト反応触媒層の各段の上流に熱交換器が備えられているのが好ましい。触媒層の入口に温度センサを設け、触媒層の入口のガス温度を制御することにより触媒温度を所定の範囲に保持することが可能である。
【0009】
シフト反応触媒層は、酸化物担体にPtが担持されたシフト反応触媒を含有するのが好ましい。Ptは比較的低温域においても高活性であるため、逆シフト反応(CO2 + H2 → CO + H2O)の影響が小さい低温域で改質ガス中の一酸化炭素を高効率に転化することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
[1] 燃料電池システム
図1は燃料電池システムの一例を示す。燃料電池システム1は改質器11、一酸化炭素変成装置12、一酸化炭素酸化装置13、燃料電池スタック(燃料電池)14、及び蒸発器15を有する。
【0011】
燃料電池スタック14は積層された複数の単位燃料電池により構成される。各単位燃料電池はアノード電極に供給される燃料ガス中の水素と、カソード電極に供給される酸化剤ガス(空気中の酸素)との電気化学反応により発電する。アノード電極に供給する燃料ガスとしては、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等)、炭化水素(メタン、エタン、プロパン、ブタン、ガソリン等)等の液体燃料を蒸発器15で加熱して燃料蒸気にし、さらに改質器11によって生成した水素富化ガス(改質ガス)を用いる。図1に示すように、改質用液体燃料と改質用空気とを蒸発器15に供給し、蒸発器15内で改質用液体燃料及び改質用空気を加熱し、改質用液体燃料を蒸気化して燃料蒸気とし、加熱した改質用空気と混合した状態で蒸発器15から燃料供給管21を通して改質器11に供給する。改質器11の内部には改質用触媒が備えられており、改質用触媒の存在下、蒸発器15で生成した燃料蒸気を改質用空気によって部分酸化し、改質ガスを生成する。改質用触媒は使用する液体燃料等により適宜選択可能であり、例えばパラジウム(Pd)系、ニッケル(Ni)系、銅(Cu)系等の貴金属触媒を使用することができる。
【0012】
改質器11で生成した改質ガスを水蒸気と混合した後、一酸化炭素変成装置12内で改質ガス中の一酸化炭素を水蒸気との反応により二酸化炭素と水素に転化する。さらに一酸化炭素変成装置12を出た改質ガスを一酸化炭素除去用の供給空気と混合し、所定の温度に冷却した後、一酸化炭素酸化装置13内に備えられた一酸化炭素選択酸化触媒により改質ガス中に残存する一酸化炭素を酸化して二酸化炭素に転化する。改質器11は、この例のような部分酸化法によるものに限られず、水蒸気改質法、部分酸化法と水蒸気改質法を組み合わせた内燃式改質法等によるものであってもよい。また、リン酸型燃料電池(PAFC)等では一酸化炭素酸化装置13を用いなくてもよい。
【0013】
一酸化炭素変成装置12及び一酸化炭素酸化装置13により、一酸化炭素を所定の濃度以下に低減した改質ガスを燃料ガス供給管22を通して燃料電池スタック14のアノード電極に供給し、スーパーチャージャ(図示せず)から空気供給管23を通して酸化剤ガス(空気)を燃料電池スタック14のカソード電極に供給する。
【0014】
燃料電池スタック14のアノード電極に供給した燃料ガス及びカソード電極に供給した空気を発電に供した後、それぞれ燃料オフガス管26及び空気オフガス管27を通して蒸発器15内の触媒燃焼器に送給し、触媒燃焼器で燃焼して蒸発器15に供給される改質用液体燃料及び改質用空気を加熱する。燃料オフガス及び空気オフガスの燃焼ガスは排気管29を通して排気する。
【0015】
[2] 一酸化炭素変成装置
本発明の一酸化炭素変成装置は、シフト反応触媒層が直列かつ多段に配置されている。図2は本発明の一実施例による一酸化炭素変成装置を示す。シフト反応触媒層は、ガスの流れ方向に対して上流側から第1段目の触媒層(シフト反応触媒層32)と第2段目の触媒層(シフト反応触媒層33)が配置されている。第1段目の触媒層のガスの流れ方向の長さは第2段目の触媒層のガスの流れ方向の長さより短くなっており、それぞれの触媒層の上流には熱交換器31a,31bが設けられている。
【0016】
シフト反応触媒層の構造は、効率的にシフト反応を行うことができるものであれば特に限定されない。例えば、改質ガスが通流する入口と出口が設けられた筒状容器の内部にシフト反応触媒の粒子、ペレット等が充填された構造とすることができる。また、図3に示すようなハニカム層であってもよい。ハニカム層は、改質ガスがハニカム層を貫流するようにガスの流れ方向に対面して配置される。改質ガスの通路となるハニカム層の壁面にシフト反応触媒が設けられ、改質ガスがハニカム層を通流する過程でシフト反応が行えるようになっている。
【0017】
シフト反応触媒は公知のものであってよく、例えば、Pt、Pd、Rh、Ru、Cu−Zn系触媒、Fe−Cr系触媒、Cu−Cr系触媒等が挙げられる。シフト反応触媒はこれらの2種以上を併用してもよいし、各段の触媒層で異なる触媒を用いてもよい。図4は改質ガス組成(H2:35%、CO:6%、CO2:11%、H2O:23%、N2:25%)の平衡曲線を示す。図4に示すように反応温度が低いほどCO濃度が下がる方へ平衡が移行する。このため、低温域では逆シフト反応が抑制され、シフト反応が促進される。しかし、温度が低いと触媒活性が低く、反応が遅くなる。そこで、低温度域においてもシフト反応の触媒活性を高める観点から、各段のシフト反応触媒としてPtを高分散に担持した触媒を用いるのが好ましい。Pt触媒は酸化物担体に担持されているのが好ましく、酸化物担体としてはアルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニア等の無機酸化物、及びこれらを2種以上含むものからなる多孔質担体が挙げられる。
【0018】
本発明ではシフト反応触媒層が多段に構成されているため、各段の反応温度を適切に制御することができ、シフト反応の効率を高めることができる。シフト反応触媒層は、図2に示すようにCOとH2Oが導入される上流側に位置する触媒層ほどガスの流れ方向の長さが短く、生成したH2とCO2が排出される下流側に位置する触媒層ほどガスの流れ方向の長さが長くなるように配置されるのが好ましい。すなわち、発熱量の多い前段部(COとH2Oが導入される上流側)ほど触媒層の長さを短くし、発熱を抑えてCOを低減する方向へ反応の平衡を移行する。また後段部ほど触媒層の長さを長くし、シフト反応を促進する。このように触媒層を配置することにより前段の触媒層でCO変成反応が急激に進行し、触媒温度が上昇して触媒が劣化するのを防止することができる。
【0019】
部分酸化法による改質器の場合は、改質器11と一酸化炭素変成装置12の間で水蒸気を改質ガスに注入する。水蒸気改質法による改質器の場合は改質ガスに含まれる水蒸気を使用する。改質ガスに水蒸気を含む場合であっても一酸化炭素変成を促進する観点から別途追加導入してよい。改質ガス中の一酸化炭素と水蒸気との変成反応は発熱反応であるため、反応温度が高くなり過ぎると平衡により逆シフト反応が進行しCO濃度が上昇する。さらに触媒層の温度が高くなり過ぎると触媒の劣化が速まる。このため、シフト反応触媒層の上流(前段)に熱交換器を設け、高温の改質ガスを熱交換器に通流させて冷却することにより、各触媒層の入口のガス温度(以下「入口ガス温度」という)を制御し、触媒温度の上昇を回避するのが好ましい。
【0020】
熱交換器は、触媒層の入口のガス温度を正確に制御できるものであれば特に限定されない。例えば、冷却水等の冷却媒体を流す冷却管、冷却板等がガスの流路に設けられた構造であってよい。熱交換器は冷却管や冷却板の表面積、冷却媒体の流量等が適切に設定された熱交換効率の高いものが好ましい。また、各触媒層の入口に温度センサが設けられ、入口ガス温度の変化に基づいて冷却媒体の流量や改質ガス(COガス)の供給量を制御できる方式であってもよい。
【0021】
熱交換器は必要に応じて適宜設置されていればよいが、触媒層の温度を正確に制御するためには、各段の上流に設けられているのが好ましい。一酸化炭素変成装置は上記の構成に限られず、シフト反応触媒層を3段以上の多段にしてもよい。また、改質ガスの組成を均一にするため、シフト反応触媒層の各段の間に混合部を設けてもよい。
【0022】
[3] 一酸化炭素変成装置の作動
本発明の一酸化炭素変成装置の作動を以下に説明する。改質器を出た改質ガスを水蒸気と混合し、図2に示す一酸化炭素変成装置の熱交換器31aに供給する。変成反応は発熱反応であり、触媒温度が高くなり過ぎると触媒が劣化するため熱交換器31aで改質ガスを予め所定の温度まで冷却する。図5はPt触媒を用い、触媒温度を変えて耐久試験を行った後のシフト反応触媒の性能変化を示す。触媒温度330℃、380℃及び450℃の各温度で耐久試験を行うと、触媒温度が高くなるほど低温活性が低下するが、触媒温度が330℃ではほとんど活性の低下がみられない。従って、初期活性を維持するためには、シフト反応触媒層の触媒温度を330℃以下に保持するのが好ましい。第1段目の触媒層32の触媒温度を330℃以下に保持するためには、第1段目の触媒層32の入口ガス温度を所定の温度に制御することが必要である。例えば、第1段目の触媒層32の入口に温度センサを設け、温度センサのデータに基づいて熱交換器31aにより改質ガスを冷却するか、熱交換器31aにより改質ガスを冷却するとともに改質ガス(COガス)の供給量を制限することにより入口ガス温度を制御する。
【0023】
シフト反応触媒層32における変成反応により、シフト反応触媒層32出口のCOガス濃度は改質器出口のCOガス濃度の約半分に低減される。次いで、この改質ガスを熱交換器31bに導入し、熱交換器31bで所定の温度に冷却したのち第2段目のシフト反応触媒層33に供給する。供給される改質ガスはCO濃度が低減されているため、第2段目の触媒層33における反応は第1段目の触媒層32における反応のように反応温度が急激に上昇することがない。このため、熱交換器31bで制御する第2段目の触媒層33の入口ガス温度は第1段目の触媒層32の入口ガス温度より高く設定することができる。また、第2段目の触媒層33のガスの流れ方向の長さを第1段目の触媒層32の長さより長くし、一酸化炭素変成反応を促進することができる。
【0024】
【実施例】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0025】
参考例1
図3に示すハニカム層の壁面にシフト反応触媒を層状に形成することによりシフト反応触媒層を作製した。シフト反応触媒は、アルミナ担体にPtが高分散担持した触媒を用いた。シフト反応触媒層の触媒温度を330℃、380℃及び450℃に設定し、100時間の耐久試験を行い、触媒温度と性能低下の関係を調べた。結果を図5に示す。触媒温度330℃ではほとんど変化が認められないが、触媒温度380℃及び450℃では性能低下が認められた。また、330℃、380℃及び450℃の各温度で耐久試験を行ったシフト反応触媒を透過電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、温度が高いほどPtのシンタリング(担体表面上でPtが凝集する劣化現象)が進行していることが認められた。
【0026】
実施例1
(1) 一酸化炭素変成装置の作製
図2に使用した一酸化炭素変成装置の構造を示す。一酸化炭素変成装置は改質ガスの流れ方向に対し順に、熱交換器31aと、シフト反応触媒層32と、熱交換器31bと、シフト反応触媒層33とを備えている。シフト反応触媒は、参考例1と同じ触媒を用いた。シフト反応触媒層32及びシフト反応触媒層33は、それぞれ直径198 mm×長さ30 mm及び直径198 mm×長さ60 mmのハニカム層の壁面に上記シフト反応触媒を層状に形成することにより作製した。熱交換器31a,31bは改質ガスの流路にコイル状の冷却管を設けたものを用いた。また、シフト反応触媒層32及びシフト反応触媒層33の入口、並びにそれぞれの触媒層に温度センサ(図示せず)を設け、シフト反応触媒層32及びシフト反応触媒層33の出口にCO濃度センサ(図示せず)を設けた。さらに温度センサ及びCO濃度センサで測定したデータに基づき熱交換器31a,31bの冷却水の流量及び改質ガスの流量を調節するための制御装置(図示せず)を設けた。一酸化炭素変成装置のシフト反応触媒層の構造を表1に示す。
【0027】
(2) 評価
改質装置から出た流量1.5L/分の改質ガス(H2:35%、CO:6%、CO2:11%、H2O:23%、N2:25%)に水蒸気を混合し、一酸化炭素変成装置の熱交換器31aに供給した。シフト反応触媒層32入口の温度センサのデータに基づき制御装置から熱交換器31aに冷却水の流量を指令し、シフト反応触媒層32の入口ガス温度を260〜360℃の範囲で制御した。このときのシフト反応触媒層32の単体性能を評価した結果を図6に示す。
【0028】
シフト反応触媒層32の入口ガス温度を260〜360℃に変化させると、入口ガス温度が上昇するに従いCO濃度が低下したが、同時に触媒温度も上昇した。触媒温度を330℃以下に抑えるにはシフト反応触媒層32の入口ガス温度を300℃以下にすることが必要であった。
【0029】
次に、シフト反応触媒層32の入口ガス温度を300℃(シフト反応触媒層32出口の改質ガス中のCO濃度3.2%)に設定し、シフト反応触媒層32を出た改質ガスを熱交換器31b、続いてシフト反応触媒層33に供給した。シフト反応触媒層33入口の温度センサのデータに基づき制御装置から熱交換器31bに冷却水の流量を指令し、シフト反応触媒層33の入口ガス温度を260〜360℃の範囲で制御した。シフト反応触媒層33の単体性能を評価した結果を図7に示す。
【0030】
シフト反応触媒層33の入口ガス温度を260〜320℃に変化させると、温度が上昇するに従いCO濃度が低下したが、320℃を超えると逆シフト反応が大きくなりCO濃度が上昇した。触媒温度は入口ガス温度の上昇に従って上昇し、触媒温度を330℃以下に抑えるにはシフト反応触媒層33の入口ガス温度を320℃以下にすることが必要であった。
【0031】
(1)で作製した一酸化炭素変成装置を用い、シフト反応触媒層32の入口ガス温度を300℃、シフト反応触媒層33の入口ガス温度を320℃に制御し、上記の改質ガスを一酸化炭素変成装置に導入したところ、改質ガス中のCOガス濃度を6%から1.3%まで低減することができた。さらにこの一酸化炭素変成装置を100時間運転した後、改質ガス中のCOガス濃度を評価したところ性能低下は認められなかった。
【0032】
比較例1
シフト反応触媒層を単段構造(直径198 mm×長さ120 mm)とし、単段のシフト反応触媒層42の前段部に熱交換器41を設けた以外、実施例1と同様にして一酸化炭素変成装置を作製した。一酸化炭素変成装置のシフト反応触媒層の構造を表1に示す。改質装置から出た流量1.5L/分の改質ガス(H2:35%、CO:6%、CO2:11%、H2O:23%、N2:25%)に水蒸気を混合し、一酸化炭素変成装置の熱交換器41に供給した。シフト反応触媒層42入口の温度センサのデータに基づき制御装置から熱交換器41に冷却水の流量を指令し、シフト反応触媒層32の入口ガス温度を300℃に制御した。シフト反応触媒層のガスの流れ方向の触媒温度分布を図8に示す。
【0033】
図8に示すように触媒層の後半部分の触媒温度が350℃を超えていた。この一酸化炭素変成装置に上記の改質ガスを供給したところ、初期性能では改質ガス中のCOガス濃度を6%から1.5%まで低減することができた。しかし、100時間運転後では改質ガス中のCOガス濃度を6%から2.2%までしか低減することができず、性能低下が明らかに認められた。
【0034】
【表1】
【0035】
実施例1と比較例1の一酸化炭素変成装置を比較すると、表1に示すようにシフト反応触媒層を直列2段構造とした実施例1の一酸化炭素変成装置は、高負荷で改質ガス中のCOをH2に転化し、シフト反応触媒層を単段構造とした比較例1の一酸化炭素変成装置に比べ、大幅に触媒量を低減することができる。
【0036】
【発明の効果】
上記の通り、本発明の一酸化炭素変成装置は、シフト反応触媒層が直列かつ多段に配置され、シフト反応触媒の温度を正確に制御することができる。そのため、シフト反応触媒が高温に曝されて劣化することがない。また、シフト反応に適した温度域で反応を行い一酸化炭素を高効率に低減することができるので、触媒量を大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】燃料電池システムの一例を示す構成図である。
【図2】実施例1の一酸化炭素変成装置の構成を示す概略図である。
【図3】本発明の一酸化炭素変成装置に用いる熱交換器の一例を示す概略斜視図である。
【図4】改質ガス組成(H2:35%、CO:6%、CO2:11%、H2O:23%、N2:25%)の平衡曲線を示すグラフである。
【図5】シフト反応触媒の温度を330℃、380℃及び450℃に設定し、耐久試験を行った後の入口ガス温度とCO濃度の関係を示すグラフである。
【図6】実施例1の一酸化炭素変成装置において、第1段目のシフト反応触媒層における入口ガス温度とCO濃度の関係を示すグラフである。
【図7】実施例1の一酸化炭素変成装置において、第2段目のシフト反応触媒層における入口ガス温度とCO濃度の関係を示すグラフである。
【図8】比較例1の一酸化炭素変成装置におけるシフト反応触媒層のガス流れ方向の温度分布を示すグラフである。
【図9】比較例1の一酸化炭素変成装置の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
1・・・燃料電池システム
11・・・改質器
12・・・一酸化炭素変成装置
13・・・一酸化炭素酸化装置
14・・・燃料電池スタック(燃料電池)
15・・・蒸発器
31,41・・・熱交換器
32,33,42・・・シフト反応触媒層
Claims (5)
- COとH2OからH2とCO2とを生成するシフト反応に供されるシフト反応触媒層が直列かつ多段に配置されたことを特徴とする一酸化炭素変成装置。
- 請求項1に記載の一酸化炭素変成装置において、前記シフト反応触媒層は、COとH2Oを含むガスが導入される上流側に位置する触媒層ほどガスの流れ方向の長さが短く、生成したH2とCO2を含むガスが排出される下流側に位置する触媒層ほどガスの流れ方向の長さが長くなるように配置されたことを特徴とする一酸化炭素変成装置。
- 請求項1又は2に記載の一酸化炭素変成装置において、前記シフト反応触媒層の各段の上流に熱交換器が備えられたことを特徴とする一酸化炭素変成装置。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の一酸化炭素変成装置において、前記シフト反応触媒層の温度を330℃以下に制御してシフト反応を行うことを特徴とする一酸化炭素変成装置。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の一酸化炭素変成装置において、前記シフト反応触媒層は、酸化物担体にPtが担持されたシフト反応触媒を含有することを特徴とする一酸化炭素変成装置。
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