JP2004161430A - 車両引きずり検知装置及びそれを用いたx線検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】牽引される車両の後輪がスリップしていることを確実に検知できる車両引きずり検知装置を提供する。
【解決手段】牽引装置35によって前輪33を持ち上げられ後輪34を従動輪とされて牽引される車両32の上記後輪34が回転せずにスリップしている状態を検知するための車両引きずり検知装置において、牽引開始位置における上記後輪34よりも牽引方向前方の路面30に、上記後輪34がスリップした状態で上記車両32が牽引されたときに、上記後輪34と共に移動して車両32の引きずりを検知するための車両引きずり検知具1を設けたものである。
【選択図】 図1
【解決手段】牽引装置35によって前輪33を持ち上げられ後輪34を従動輪とされて牽引される車両32の上記後輪34が回転せずにスリップしている状態を検知するための車両引きずり検知装置において、牽引開始位置における上記後輪34よりも牽引方向前方の路面30に、上記後輪34がスリップした状態で上記車両32が牽引されたときに、上記後輪34と共に移動して車両32の引きずりを検知するための車両引きずり検知具1を設けたものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、前輪を持ち上げられ後輪を従動輪とされて牽引される車両の後輪がスリップしていることを検知するための車両引きずり検知装置に係り、特に、X線検査を行うために検査路に沿って牽引される車両の後輪がスリップしていることを検知するための車両引きずり検知装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
税関においては、陸揚げされた車両内に違法な薬物や危険物等が積載されていないかどうかを検査し、危険物等の密輸を防止している。
【0003】
近年では、この検査をX線を用いて効率的・自動的に行うための装置が開発され、実用化され始めている。
【0004】
例えば、本出願人は特願2001−322341号において、車両用のX線検査装置の特許出願を行っている。
【0005】
図12及び図13を用いてこの車両用X線検査装置の概略を説明する。図12は車両用X線検査装置の側面断面図であり、図13は車両用X線検査装置のフォークの平面図である。
【0006】
図示するように、車両用X線検査装置はトラック等の被検査車両32を検査路30に沿って牽引するための牽引装置35を備える。
【0007】
牽引装置35は検査路30の下部に形成され、検査路30と同方向に延びる地下ピット36内に収容される。牽引装置35は、地下ピット36の底面に設けられたレール37に沿って走行する牽引台車38と、その牽引台車38に設けられ、被検査車両32の前輪33を持ち上げるためのフォーク39とを備える。
【0008】
フォーク39は、検査路30の幅方向ほぼ中央部に形成された溝31内に位置され、車両32の各前輪33の前後(牽引方向前後)を把持する。各フォーク39は図示しない油圧装置(油圧シリンダなど)によって、図13に点線で示すように検査路30とほぼ平行な待機位置と、図13に実線で示すように検査路30とほぼ直交する作動位置との間で旋回する。また各フォーク39は図示しない油圧装置によって牽引台車38に対して昇降される。
【0009】
被検査車両32の検査を実行する場合、まず、車両32の前輪33を前後一対のフォーク39間に位置させて車両32を停止する。このとき、各フォーク39は検査路30とほぼ平行な待機位置に位置される。
【0010】
車両32を停止したら各フォーク39をほぼ90°旋回して検査路30とほぼ直交する作動位置に位置させる。これによって、前後一対のフォーク39により車両32の前輪33が把持される。この状態で、フォーク39を上昇させて前輪33を持ち上げる。
【0011】
そして、牽引台車38がレール37に沿って走行することで、車両32の後輪34を従動輪として検査路30に沿って牽引する。
【0012】
車両32を図示しないX線照射領域まで牽引したら車両32にX線を照射して検査を実行する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両32を牽引するときには後輪34を従動輪とするので、当然、サイドブレーキを解除、ギヤをニュートラル(後輪駆動などの場合)として後輪34が自由回転できるようにしておく必要がある。
【0014】
しかしながら、人為的なミス等によりサイドブレーキの解除やギヤをニュートラルにすることを忘れることがある。その場合、後輪34がまったく、或いは若干しか回転せずにスリップした状態で車両32が牽引されてしまう。この現象を車両32の引きずりといい、引きずりが発生すると後輪34に大きな負荷がかかるため、これを検知して牽引装置35を停止する必要がある。
【0015】
従来、車両引きずりの検知はフォーク39を作動する油圧装置の油圧の異常な上昇により判断していた。即ち、後輪34がスリップすると後輪34と検査路30間の摩擦が非常に大きくなり、フォーク39を作動する油圧装置の油圧が上昇するので、油圧が所定値よりも上昇したら車両引きずり発生を判断して牽引装置35を停止していた。
【0016】
しかしながら、被検査車両32の種類は、軽自動者、乗用車から大型トラックなど多種多様であり、また車両32に積載される積荷の重さも千差万別である。従って、フォーク39にかかる負荷は被検査車両32毎に大きく異なり、フォーク39を作動する油圧装置の油圧によって車両の引きずりを判断することは非常に困難であった。
【0017】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、牽引される車両の種類や積荷の重さなどにかかわらず、車両の引きずり発生を確実に検知できる車両引きずり検知装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、牽引装置によって前輪を持ち上げられ後輪を従動輪とされて牽引される車両の上記後輪が回転せずにスリップしている状態を検知するための車両引きずり検知装置において、牽引開始位置における上記後輪よりも牽引方向前方の路面に、上記後輪がスリップした状態で上記車両が牽引されたときに、上記後輪と共に移動して車両の引きずりを検知するための車両引きずり検知具を設けたものである。
【0019】
ここで、上記車両引きずり検知具は、上記後輪よりも牽引方向前方の路面上に牽引方向と略直交する方向に張り渡され、上記後輪が回転した状態で上記車両が牽引されたときは後輪により乗り越えられ、上記後輪がスリップした状態で上記車両が牽引されたときは後輪によって押されて移動する線状体と、その線状体の移動を検出する検出手段とを備えても良い。
【0020】
また、上記線状体は、固定端と自由端とを有し、上記検出手段は上記線状体の自由端の移動を検出するセンサからなっても良い。
【0021】
また、上記線状体の自由端に、線状体に常時一定の張力を付与するための張力付与手段が接続されることが好ましい。
【0022】
また、上記車両引きずり検知具は、上記後輪よりも牽引方向前方の路面に牽引方向と略同方向に旋回可能に取り付けられ、上記後輪が回転した状態で上記車両が牽引されたときは後輪により乗り越えられ、上記後輪がスリップした状態で上記車両が牽引されたときは後輪によって押されて旋回するレバー部材と、そのレバー部材の旋回を検出する検出手段とを備えても良い。
【0023】
また、上記車両引きずり検知具は、上記後輪よりも牽引方向前方の路面に牽引方向前後に移動可能に設けられ、上記後輪が回転した状態で上記車両が牽引されたときは後輪がその上を回転して通過し、上記後輪がスリップした状態で上記車両が牽引されたときは後輪と共に移動する引きずり台と、その引きずり台の移動を検出する検出手段とを備えても良い。
【0024】
上記引きずり台は、上記路面に形成された溝内に収容され、上記路面と略同一平面上に位置する上面を有することが好ましい。
【0025】
更に本発明は、車両の前輪を持ち上げて後輪を従動輪として検査路に沿って牽引する牽引装置を備えたX線検査装置において、牽引開始位置における上記後輪よりも牽引方向前方の検査路に、上記後輪がスリップした状態で上記車両が牽引されたときに、上記後輪と共に移動して車両の引きずりを検知するための車両引きずり検知具を設けたものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0027】
図1は本実施形態の車両引きずり検知装置を備えた車両用X線検査装置の正面断面図であり、図2は図1における車両引きずり検知装置の拡大正面図であり、図3は車両引きずり検知装置の平面図であり、図4は線状体の自由端及びウエイトの拡大図である。
【0028】
本実施形態の車両引きずり検知装置は、車両用X線検査装置に適用したものである。X線検査装置の構成については図12及び図13で説明したものと同様であるので、同一要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0029】
図1に示すように、本実施形態の車両引きずり検知装置は、X線検査装置の検査路30に形成された溝31の一側に設けられ、被検査車両32が、後輪34がスリップした状態で牽引されたときに、後輪34と共に移動して車両32の引きずりを検知する車両引きずり検知具1を備える。車両引きずり検知具1は、被検査車両32を牽引開始位置に位置させたときに、車両32の後輪34よりも牽引方向前方に位置するように設けられる(例えば、図12に矢印Aで示す位置)。
【0030】
車両引きずり検査具1は、牽引開始位置における被検査車両32の後輪34よりも牽引方向前方において、検査路(路面)30上に車両32の牽引方向X(図3参照)とほぼ直交する方向に張り渡された線状体2を備える。線状体2はその一端がアンカーボルト3を介して検査路30の幅方向端部に固定される。線状体2の他端側は検査路30に固定された複数の滑車4に掛け渡されて溝31内を垂直下側に延出し、地下ピット36の側壁に固定された滑車5に掛け渡されて地下ピット36の側壁に沿って垂直下側へと延出する。線状体2の他端は地下ピット36の側壁に固定されたガイド6に沿って上下方向に移動可能なウエイト7に接続されている(図2及び図4参照)。即ち、線状体2は、その一端が検査路30に固定された固定端であり、他端が地下ピット36の側壁に沿って自由に移動できる自由端となっている。
【0031】
線状体2における検査路30上に張り渡された部分が、車両32の引きずりを検知するための部分である。この部分の線状体2は、後輪34が回転した状態で車両32が牽引されたときには後輪34によって乗り越えられ、サイドブレーキの解除忘れなどによって後輪34が回転せずに(若干回転している場合も含む)スリップした状態で車両32が牽引されたときには後輪34によって押されて移動するようになっている。つまり、線状体2の断面形状、断面サイズ及び張り渡し高さなどはこの条件を満たすように設定される。また、線状体2は、車両32の後輪34に押されて移動するときに破断することのない材質で形成される。例えば、鋼線やピアノ線などを線状体2として用いることができる。
【0032】
線状体2の自由端がウエイト7に接続されているため、ウエイト7の自重により線状体2が引っ張られて常に一定の張力が付与される。つまり、ウエイト7は検査路30上に張り渡された線状体2がたるむことを防止する張力付与手段としての機能を有する。
【0033】
ウエイト7の移動を規制するガイド6にはウエイト7及びそれに接続された線状体2の自由端の移動を検出するためのセンサ(検出手段)8が設けられる。本実施形態ではセンサ8は、ウエイト7の下端部に配置された近接スイッチからなる。しかしながら、本発明の検出手段は近接スイッチに限定されず、リミットスイッチや光センサなど他の手段を用いても良い。また本実施形態では、近接スイッチ8がウエイト7の両側部にそれぞれ配置されているが、片側のみに配置するようにしても良い。
【0034】
後輪34がスリップした状態で車両32が牽引されて、線状体2が後輪34に押されて移動すると線状体2の自由端及びそれに接続されたウエイト7が上昇し、ウエイト7と近接スイッチ8とが離れる。これによって、線状体2の移動が検出される。
【0035】
次に、この車両引きずり検知装置の作用を説明する。
【0036】
上述したように、被検査車両32の検査を行う場合、車両32を牽引開始位置に停止し、牽引装置35により前輪33を持ち上げて後輪34を従動輪として検査路30に沿って牽引する。
【0037】
このとき、サイドブレーキの解除などの操作が通常通り行われている場合、即ち、後輪34が回転した状態で車両32が牽引された場合、牽引が開始されると車両引きずり検知具1が設けられた側の後輪34は、前方に張り渡された線状体2を回転しつつ乗り越えていく。従って、線状体2は移動せず、その自由端及びウエイト7も移動しない。
【0038】
これに対して、サイドブレーキの解除忘れなどによって、後輪34がまったくあるいは若干しか回転せずにスリップした状態で車両32が牽引された場合、牽引が開始されると車両引きずり検知具1が設けられた側の後輪34は、前方に張り渡された線状体2に引っかかり、図3に点線で示すように、線状体2を牽引方向Xへと押し出す。これによって、線状体2が屈曲し、その自由端及びウエイト7がウエイト7の自重に対抗して上昇する。センサ8が、ウエイト7が上昇したことを検出したならば、車両32の引きずりが発生したと判断して牽引装置35による牽引を停止する。この停止は自動で行っても良いし、手動で行っても良い。即ち、センサ8と牽引装置35とを電気的に接続しておき、センサ8からウエイト7の移動を知らせる信号が出力されたなら牽引装置35が自動的に停止するようにしても良い。あるいは、センサ8とランプやブザー等の警報手段とを接続しておき、センサ8がウエイト7の移動を検出したら警報手段を作動してオペレータに警告し、オペレータが牽引装置35を停止するようにしても良い。
【0039】
牽引装置35を停止したならば、サイドブレーキを解除するなどして、車両32の後輪34が自由回転できるようにし、その後、牽引装置35による牽引を再び開始する。車両32が線状体2よりも前方まで牽引されると、検査路30上の線状体2はウエイト7の自重により引っ張られて屈曲した形状から直線状へ戻る。
【0040】
このように、本実施形態の車両引きずり検知装置によれば、車両32の引きずりが発生したときに、車両32の種類、積荷の重量にかかわらず、後輪34が線状体2を確実に移動させるので、車両32の引きずりを確実に検知できる。従って、車両32の引きずりを検知したら牽引装置35を停止することで、車両32の破損などを防止できる。
【0041】
本実施形態の車両引きずり検知装置は更に、ウエイト7の移動を検出するセンサ8が故障した時などのための安全対策が施されている。これを、図5を用いて説明する。
【0042】
図5は線状体2の固定端を示している。図に示すように、線状体2の固定端はアンカーボルト3の外周に巻回された後、互いに重ね合わされて金具9内に挿入され、ボルト10により適切な締め付け力で一体的に固定される。
【0043】
この車両引きずり検知装置において、後輪34がスリップした状態で車両32が牽引され、後輪34が線状体2を移動させているにもかかわらず、センサ8の故障などにより牽引装置35を停止できない場合、線状体2に大きな負荷が加わり、それがボルト10の締め付け力よりも大きくなると、線状体2の固定端が金具9から外れて線状体2の固定が解除される。これにより、線状体2の破断などを防止できる。なお、図5は一例として示したものであり、線状体2に異常な負荷が加わったときに線状体2の固定を解除できる構成であれば他の構成でも良い。
【0044】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
【0045】
まず、図6に示す形態は、張力付与手段として、図2のウエイト7の代わりにスプリング11を用いたものである。線状体2の自由端はピストン12に接続され、ピストン12は検査路30の下面に固定されたハウジング13内に左右方向にスライド自在に収容される。ハウジング13内にはピストン12を図中左方向、即ち、線状体2を引っ張る方向に付勢するスプリング11が設けられており、このスプリング11によって線状体2に常時一定の張力が付与される。ピストン12の端部にはハウジング13の端部から外側に延出したストライカ14が接続されており、検査路30の下面にストライカ14の移動を検出するセンサ(検出手段)15が設けられる。
【0046】
後輪34がスリップした状態で車両32が牽引されて、後輪34が線状体2を押して移動させると、ピストン12及びストライカ14がスプリング11の付勢力に対抗して図中右方向に移動する。センサ15がストライカ14の移動を検出したならば、車両32の引きずりが発生したと判断して牽引装置35を停止する。
【0047】
なお、この形態においてセンサ15の代わりに、ピストン12と線状体2との接続部にロードセルを介設し、ロードセルにかかる負荷が上昇したときに車両32の引きずりを判断するようにしても良い。
【0048】
次に、図7に示す形態は、線状体2を検査路30上で牽引方向とほぼ直交する方向に張り渡し、その両端部をアンカーボルト3により検査路30に固定したものである。この形態では、線状体2の両端部共に固定端となる。そして、線状体2にロードセル16が接続される。後輪34がスリップした状態で車両32が牽引されて後輪34が線状体2を移動させると、線状体2及びロードセル16に大きな負荷(張力)がかかるため、ロードセル16の負荷が上昇したときに車両32の引きずりが発生していると判断する。
【0049】
次に、図8に示す形態は、検査路30上に牽引方向とほぼ垂直な方向に張り渡された線状体2のうち、被検査車両32の後輪34が通過する部分2aを断面長方形状にしたものである。具体的には、後輪34が通過する部分2aの断面を、検査路30とほぼ平行な方向に長辺を有し、検査路30から垂直上方に向かう方向に短辺を有する長方形状に形成する。これによれば、後輪34が通過する部分2aの強度を高めることができるため、線状体2の破断などをより確実に防止できる。なお、後輪34が通過する部分2aのみならず、線状体2をその全長に渡って長方形状の断面を有するようにしても良い。このように、本発明は線状体2の断面形状に制約はない。
【0050】
図9に示す車両引きずり検知具は、被検査車両32の後輪34よりも牽引方向前方の検査路30上に、牽引方向Xとほぼ同方向に旋回可能に取り付けられたレバー部材17と、そのレバー部材17の旋回を検出するセンサ(検出手段)18とを備える。
【0051】
レバー部材17は長方形状の断面を有する長細部材からなり、検査路30上にピン19を介して旋回可能に固定される。レバー部材17は、牽引方向Xとほぼ直交する基準位置(図中実線で示す位置)から牽引方向X側に旋回可能に設けられる。また、レバー部材17は、一端が検査路30に固定され他端がレバー部材17に取り付けられたスプリング20によって、常時基準位置方向に付勢されている。センサ18はレバー部材17の先端部近傍に設けられ、レバー部材17の先端部の移動を検出することでレバー部材17が旋回したことを判断する。
【0052】
後輪34が回転した状態で車両32が牽引された場合、後輪34がレバー部材17を回転して乗り越える。この場合、レバー部材17は旋回しない。
【0053】
これに対して、後輪34がスリップした状態で車両32が牽引された場合、後輪34がレバー部材17と接触してそれを押し、レバー部材17をピン19を中心に牽引方向X側に旋回させる。センサ18がレバー部材17の旋回を検出したならば、車両32の引きずりが発生したと判断して牽引装置35を停止する。
【0054】
図10に示す車両引きずり検知具は、牽引開始位置における被検査車両32の後輪34よりも牽引方向X前方の検査路30に形成された溝21と、その溝21内に収容され、溝21内を牽引方向Xと同方向に走行可能な引きずり台22と、その引きずり台22の移動を検出するセンサ23とを備える。引きずり台22はその上面22aが検査路30の上面とほぼ同一平面上に位置する。溝21内には、一端が溝21の側壁に固定され他端が引きずり台22に取り付けられたスプリング24が設けられ、このスプリング24によって引きずり台22は牽引方向X後方側に常時付勢される。センサ23は溝21内の牽引方向X後方側端部に設けられ、引きずり台22が牽引方向X前方側へ移動したときにそれを検出する。
【0055】
後輪34が回転した状態で車両32が牽引された場合、後輪34は引きずり台22上を回転して通過する。この場合、引きずり台22は移動しない。これに対して、後輪34がスリップした状態で車両32が牽引された場合、後輪34が引きずり台22上までスリップした後、後輪34と引きずり台22とが共に牽引方向Xへ移動する。センサ23が引きずり台22の移動を検出したならば、車両32の引きずりが発生したと判断して牽引装置35を停止する。この形態では、車両32の引きずりが発生した場合であっても、後輪34が引きずり台22上に位置すれば後輪34はスリップせずに引きずり台22と共に移動する。従って、後輪34にかかる負荷を低減でき車両32の破損などをより確実に防止できる。
【0056】
図11に示す形態は、図10と同様の構成であって、溝21の底面を牽引方向X後方側に向かうにつれて下るようにテーパ状にしたものである。この形態では、引きずり台22自身の自重によって引きずり台22が常に牽引方向X後方側へと戻される。従って、この形態であればスプリング24を省略することも可能となる。
【0057】
なお、これまで車両引きずり検知具は、X線検査装置の検査路30に形成された溝31の一側にのみ設けるとしたが、本発明はこの点において限定されず、溝31の両側にそれぞれ車両引きずり検知具を設けて、車両32の両後輪34のスリップを検出するようにしても良い。
【0058】
また、本発明は車両の牽引装置を備えるものであれば、X線検査装置以外の装置にも適用可能である。
【0059】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、牽引される車両の種類や積荷の重さなどにかかわらず、車両の引きずり発生を確実に検知できるという優れた効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両引きずり検知装置を備えたX線検査装置の正面断面図である。
【図2】図1の車両引きずり検知装置の拡大正面図である。
【図3】図1の車両引きずり検知装置の平面図である。
【図4】線状体の自由端及びウエイトの拡大図である。
【図5】線状体の固定端を示す拡大図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る車両引きずり検知装置の側面図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る車両引きずり検知装置の側面図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る車両引きずり検知装置の部分斜視図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る車両引きずり検知装置の斜視図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る車両引きずり検知装置の側面図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る車両引きずり検知装置の側面図である。
【図12】車両用X線検査装置の部分側面図である。
【図13】図12のフォークの平面図である。
【符号の説明】
1 車両引きずり検知具
2 線状体
7 ウエイト(張力付与手段)
8 近接センサ(検出手段)
11 スプリング(張力付与手段)
15 センサ(検出手段)
17 レバー部材
18 センサ(検出手段)
22 引きずり台
23 センサ(検出手段)
30 検査路(路面)
32 車両
33 前輪
34 後輪
35 牽引装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、前輪を持ち上げられ後輪を従動輪とされて牽引される車両の後輪がスリップしていることを検知するための車両引きずり検知装置に係り、特に、X線検査を行うために検査路に沿って牽引される車両の後輪がスリップしていることを検知するための車両引きずり検知装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
税関においては、陸揚げされた車両内に違法な薬物や危険物等が積載されていないかどうかを検査し、危険物等の密輸を防止している。
【0003】
近年では、この検査をX線を用いて効率的・自動的に行うための装置が開発され、実用化され始めている。
【0004】
例えば、本出願人は特願2001−322341号において、車両用のX線検査装置の特許出願を行っている。
【0005】
図12及び図13を用いてこの車両用X線検査装置の概略を説明する。図12は車両用X線検査装置の側面断面図であり、図13は車両用X線検査装置のフォークの平面図である。
【0006】
図示するように、車両用X線検査装置はトラック等の被検査車両32を検査路30に沿って牽引するための牽引装置35を備える。
【0007】
牽引装置35は検査路30の下部に形成され、検査路30と同方向に延びる地下ピット36内に収容される。牽引装置35は、地下ピット36の底面に設けられたレール37に沿って走行する牽引台車38と、その牽引台車38に設けられ、被検査車両32の前輪33を持ち上げるためのフォーク39とを備える。
【0008】
フォーク39は、検査路30の幅方向ほぼ中央部に形成された溝31内に位置され、車両32の各前輪33の前後(牽引方向前後)を把持する。各フォーク39は図示しない油圧装置(油圧シリンダなど)によって、図13に点線で示すように検査路30とほぼ平行な待機位置と、図13に実線で示すように検査路30とほぼ直交する作動位置との間で旋回する。また各フォーク39は図示しない油圧装置によって牽引台車38に対して昇降される。
【0009】
被検査車両32の検査を実行する場合、まず、車両32の前輪33を前後一対のフォーク39間に位置させて車両32を停止する。このとき、各フォーク39は検査路30とほぼ平行な待機位置に位置される。
【0010】
車両32を停止したら各フォーク39をほぼ90°旋回して検査路30とほぼ直交する作動位置に位置させる。これによって、前後一対のフォーク39により車両32の前輪33が把持される。この状態で、フォーク39を上昇させて前輪33を持ち上げる。
【0011】
そして、牽引台車38がレール37に沿って走行することで、車両32の後輪34を従動輪として検査路30に沿って牽引する。
【0012】
車両32を図示しないX線照射領域まで牽引したら車両32にX線を照射して検査を実行する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両32を牽引するときには後輪34を従動輪とするので、当然、サイドブレーキを解除、ギヤをニュートラル(後輪駆動などの場合)として後輪34が自由回転できるようにしておく必要がある。
【0014】
しかしながら、人為的なミス等によりサイドブレーキの解除やギヤをニュートラルにすることを忘れることがある。その場合、後輪34がまったく、或いは若干しか回転せずにスリップした状態で車両32が牽引されてしまう。この現象を車両32の引きずりといい、引きずりが発生すると後輪34に大きな負荷がかかるため、これを検知して牽引装置35を停止する必要がある。
【0015】
従来、車両引きずりの検知はフォーク39を作動する油圧装置の油圧の異常な上昇により判断していた。即ち、後輪34がスリップすると後輪34と検査路30間の摩擦が非常に大きくなり、フォーク39を作動する油圧装置の油圧が上昇するので、油圧が所定値よりも上昇したら車両引きずり発生を判断して牽引装置35を停止していた。
【0016】
しかしながら、被検査車両32の種類は、軽自動者、乗用車から大型トラックなど多種多様であり、また車両32に積載される積荷の重さも千差万別である。従って、フォーク39にかかる負荷は被検査車両32毎に大きく異なり、フォーク39を作動する油圧装置の油圧によって車両の引きずりを判断することは非常に困難であった。
【0017】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、牽引される車両の種類や積荷の重さなどにかかわらず、車両の引きずり発生を確実に検知できる車両引きずり検知装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、牽引装置によって前輪を持ち上げられ後輪を従動輪とされて牽引される車両の上記後輪が回転せずにスリップしている状態を検知するための車両引きずり検知装置において、牽引開始位置における上記後輪よりも牽引方向前方の路面に、上記後輪がスリップした状態で上記車両が牽引されたときに、上記後輪と共に移動して車両の引きずりを検知するための車両引きずり検知具を設けたものである。
【0019】
ここで、上記車両引きずり検知具は、上記後輪よりも牽引方向前方の路面上に牽引方向と略直交する方向に張り渡され、上記後輪が回転した状態で上記車両が牽引されたときは後輪により乗り越えられ、上記後輪がスリップした状態で上記車両が牽引されたときは後輪によって押されて移動する線状体と、その線状体の移動を検出する検出手段とを備えても良い。
【0020】
また、上記線状体は、固定端と自由端とを有し、上記検出手段は上記線状体の自由端の移動を検出するセンサからなっても良い。
【0021】
また、上記線状体の自由端に、線状体に常時一定の張力を付与するための張力付与手段が接続されることが好ましい。
【0022】
また、上記車両引きずり検知具は、上記後輪よりも牽引方向前方の路面に牽引方向と略同方向に旋回可能に取り付けられ、上記後輪が回転した状態で上記車両が牽引されたときは後輪により乗り越えられ、上記後輪がスリップした状態で上記車両が牽引されたときは後輪によって押されて旋回するレバー部材と、そのレバー部材の旋回を検出する検出手段とを備えても良い。
【0023】
また、上記車両引きずり検知具は、上記後輪よりも牽引方向前方の路面に牽引方向前後に移動可能に設けられ、上記後輪が回転した状態で上記車両が牽引されたときは後輪がその上を回転して通過し、上記後輪がスリップした状態で上記車両が牽引されたときは後輪と共に移動する引きずり台と、その引きずり台の移動を検出する検出手段とを備えても良い。
【0024】
上記引きずり台は、上記路面に形成された溝内に収容され、上記路面と略同一平面上に位置する上面を有することが好ましい。
【0025】
更に本発明は、車両の前輪を持ち上げて後輪を従動輪として検査路に沿って牽引する牽引装置を備えたX線検査装置において、牽引開始位置における上記後輪よりも牽引方向前方の検査路に、上記後輪がスリップした状態で上記車両が牽引されたときに、上記後輪と共に移動して車両の引きずりを検知するための車両引きずり検知具を設けたものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0027】
図1は本実施形態の車両引きずり検知装置を備えた車両用X線検査装置の正面断面図であり、図2は図1における車両引きずり検知装置の拡大正面図であり、図3は車両引きずり検知装置の平面図であり、図4は線状体の自由端及びウエイトの拡大図である。
【0028】
本実施形態の車両引きずり検知装置は、車両用X線検査装置に適用したものである。X線検査装置の構成については図12及び図13で説明したものと同様であるので、同一要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0029】
図1に示すように、本実施形態の車両引きずり検知装置は、X線検査装置の検査路30に形成された溝31の一側に設けられ、被検査車両32が、後輪34がスリップした状態で牽引されたときに、後輪34と共に移動して車両32の引きずりを検知する車両引きずり検知具1を備える。車両引きずり検知具1は、被検査車両32を牽引開始位置に位置させたときに、車両32の後輪34よりも牽引方向前方に位置するように設けられる(例えば、図12に矢印Aで示す位置)。
【0030】
車両引きずり検査具1は、牽引開始位置における被検査車両32の後輪34よりも牽引方向前方において、検査路(路面)30上に車両32の牽引方向X(図3参照)とほぼ直交する方向に張り渡された線状体2を備える。線状体2はその一端がアンカーボルト3を介して検査路30の幅方向端部に固定される。線状体2の他端側は検査路30に固定された複数の滑車4に掛け渡されて溝31内を垂直下側に延出し、地下ピット36の側壁に固定された滑車5に掛け渡されて地下ピット36の側壁に沿って垂直下側へと延出する。線状体2の他端は地下ピット36の側壁に固定されたガイド6に沿って上下方向に移動可能なウエイト7に接続されている(図2及び図4参照)。即ち、線状体2は、その一端が検査路30に固定された固定端であり、他端が地下ピット36の側壁に沿って自由に移動できる自由端となっている。
【0031】
線状体2における検査路30上に張り渡された部分が、車両32の引きずりを検知するための部分である。この部分の線状体2は、後輪34が回転した状態で車両32が牽引されたときには後輪34によって乗り越えられ、サイドブレーキの解除忘れなどによって後輪34が回転せずに(若干回転している場合も含む)スリップした状態で車両32が牽引されたときには後輪34によって押されて移動するようになっている。つまり、線状体2の断面形状、断面サイズ及び張り渡し高さなどはこの条件を満たすように設定される。また、線状体2は、車両32の後輪34に押されて移動するときに破断することのない材質で形成される。例えば、鋼線やピアノ線などを線状体2として用いることができる。
【0032】
線状体2の自由端がウエイト7に接続されているため、ウエイト7の自重により線状体2が引っ張られて常に一定の張力が付与される。つまり、ウエイト7は検査路30上に張り渡された線状体2がたるむことを防止する張力付与手段としての機能を有する。
【0033】
ウエイト7の移動を規制するガイド6にはウエイト7及びそれに接続された線状体2の自由端の移動を検出するためのセンサ(検出手段)8が設けられる。本実施形態ではセンサ8は、ウエイト7の下端部に配置された近接スイッチからなる。しかしながら、本発明の検出手段は近接スイッチに限定されず、リミットスイッチや光センサなど他の手段を用いても良い。また本実施形態では、近接スイッチ8がウエイト7の両側部にそれぞれ配置されているが、片側のみに配置するようにしても良い。
【0034】
後輪34がスリップした状態で車両32が牽引されて、線状体2が後輪34に押されて移動すると線状体2の自由端及びそれに接続されたウエイト7が上昇し、ウエイト7と近接スイッチ8とが離れる。これによって、線状体2の移動が検出される。
【0035】
次に、この車両引きずり検知装置の作用を説明する。
【0036】
上述したように、被検査車両32の検査を行う場合、車両32を牽引開始位置に停止し、牽引装置35により前輪33を持ち上げて後輪34を従動輪として検査路30に沿って牽引する。
【0037】
このとき、サイドブレーキの解除などの操作が通常通り行われている場合、即ち、後輪34が回転した状態で車両32が牽引された場合、牽引が開始されると車両引きずり検知具1が設けられた側の後輪34は、前方に張り渡された線状体2を回転しつつ乗り越えていく。従って、線状体2は移動せず、その自由端及びウエイト7も移動しない。
【0038】
これに対して、サイドブレーキの解除忘れなどによって、後輪34がまったくあるいは若干しか回転せずにスリップした状態で車両32が牽引された場合、牽引が開始されると車両引きずり検知具1が設けられた側の後輪34は、前方に張り渡された線状体2に引っかかり、図3に点線で示すように、線状体2を牽引方向Xへと押し出す。これによって、線状体2が屈曲し、その自由端及びウエイト7がウエイト7の自重に対抗して上昇する。センサ8が、ウエイト7が上昇したことを検出したならば、車両32の引きずりが発生したと判断して牽引装置35による牽引を停止する。この停止は自動で行っても良いし、手動で行っても良い。即ち、センサ8と牽引装置35とを電気的に接続しておき、センサ8からウエイト7の移動を知らせる信号が出力されたなら牽引装置35が自動的に停止するようにしても良い。あるいは、センサ8とランプやブザー等の警報手段とを接続しておき、センサ8がウエイト7の移動を検出したら警報手段を作動してオペレータに警告し、オペレータが牽引装置35を停止するようにしても良い。
【0039】
牽引装置35を停止したならば、サイドブレーキを解除するなどして、車両32の後輪34が自由回転できるようにし、その後、牽引装置35による牽引を再び開始する。車両32が線状体2よりも前方まで牽引されると、検査路30上の線状体2はウエイト7の自重により引っ張られて屈曲した形状から直線状へ戻る。
【0040】
このように、本実施形態の車両引きずり検知装置によれば、車両32の引きずりが発生したときに、車両32の種類、積荷の重量にかかわらず、後輪34が線状体2を確実に移動させるので、車両32の引きずりを確実に検知できる。従って、車両32の引きずりを検知したら牽引装置35を停止することで、車両32の破損などを防止できる。
【0041】
本実施形態の車両引きずり検知装置は更に、ウエイト7の移動を検出するセンサ8が故障した時などのための安全対策が施されている。これを、図5を用いて説明する。
【0042】
図5は線状体2の固定端を示している。図に示すように、線状体2の固定端はアンカーボルト3の外周に巻回された後、互いに重ね合わされて金具9内に挿入され、ボルト10により適切な締め付け力で一体的に固定される。
【0043】
この車両引きずり検知装置において、後輪34がスリップした状態で車両32が牽引され、後輪34が線状体2を移動させているにもかかわらず、センサ8の故障などにより牽引装置35を停止できない場合、線状体2に大きな負荷が加わり、それがボルト10の締め付け力よりも大きくなると、線状体2の固定端が金具9から外れて線状体2の固定が解除される。これにより、線状体2の破断などを防止できる。なお、図5は一例として示したものであり、線状体2に異常な負荷が加わったときに線状体2の固定を解除できる構成であれば他の構成でも良い。
【0044】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
【0045】
まず、図6に示す形態は、張力付与手段として、図2のウエイト7の代わりにスプリング11を用いたものである。線状体2の自由端はピストン12に接続され、ピストン12は検査路30の下面に固定されたハウジング13内に左右方向にスライド自在に収容される。ハウジング13内にはピストン12を図中左方向、即ち、線状体2を引っ張る方向に付勢するスプリング11が設けられており、このスプリング11によって線状体2に常時一定の張力が付与される。ピストン12の端部にはハウジング13の端部から外側に延出したストライカ14が接続されており、検査路30の下面にストライカ14の移動を検出するセンサ(検出手段)15が設けられる。
【0046】
後輪34がスリップした状態で車両32が牽引されて、後輪34が線状体2を押して移動させると、ピストン12及びストライカ14がスプリング11の付勢力に対抗して図中右方向に移動する。センサ15がストライカ14の移動を検出したならば、車両32の引きずりが発生したと判断して牽引装置35を停止する。
【0047】
なお、この形態においてセンサ15の代わりに、ピストン12と線状体2との接続部にロードセルを介設し、ロードセルにかかる負荷が上昇したときに車両32の引きずりを判断するようにしても良い。
【0048】
次に、図7に示す形態は、線状体2を検査路30上で牽引方向とほぼ直交する方向に張り渡し、その両端部をアンカーボルト3により検査路30に固定したものである。この形態では、線状体2の両端部共に固定端となる。そして、線状体2にロードセル16が接続される。後輪34がスリップした状態で車両32が牽引されて後輪34が線状体2を移動させると、線状体2及びロードセル16に大きな負荷(張力)がかかるため、ロードセル16の負荷が上昇したときに車両32の引きずりが発生していると判断する。
【0049】
次に、図8に示す形態は、検査路30上に牽引方向とほぼ垂直な方向に張り渡された線状体2のうち、被検査車両32の後輪34が通過する部分2aを断面長方形状にしたものである。具体的には、後輪34が通過する部分2aの断面を、検査路30とほぼ平行な方向に長辺を有し、検査路30から垂直上方に向かう方向に短辺を有する長方形状に形成する。これによれば、後輪34が通過する部分2aの強度を高めることができるため、線状体2の破断などをより確実に防止できる。なお、後輪34が通過する部分2aのみならず、線状体2をその全長に渡って長方形状の断面を有するようにしても良い。このように、本発明は線状体2の断面形状に制約はない。
【0050】
図9に示す車両引きずり検知具は、被検査車両32の後輪34よりも牽引方向前方の検査路30上に、牽引方向Xとほぼ同方向に旋回可能に取り付けられたレバー部材17と、そのレバー部材17の旋回を検出するセンサ(検出手段)18とを備える。
【0051】
レバー部材17は長方形状の断面を有する長細部材からなり、検査路30上にピン19を介して旋回可能に固定される。レバー部材17は、牽引方向Xとほぼ直交する基準位置(図中実線で示す位置)から牽引方向X側に旋回可能に設けられる。また、レバー部材17は、一端が検査路30に固定され他端がレバー部材17に取り付けられたスプリング20によって、常時基準位置方向に付勢されている。センサ18はレバー部材17の先端部近傍に設けられ、レバー部材17の先端部の移動を検出することでレバー部材17が旋回したことを判断する。
【0052】
後輪34が回転した状態で車両32が牽引された場合、後輪34がレバー部材17を回転して乗り越える。この場合、レバー部材17は旋回しない。
【0053】
これに対して、後輪34がスリップした状態で車両32が牽引された場合、後輪34がレバー部材17と接触してそれを押し、レバー部材17をピン19を中心に牽引方向X側に旋回させる。センサ18がレバー部材17の旋回を検出したならば、車両32の引きずりが発生したと判断して牽引装置35を停止する。
【0054】
図10に示す車両引きずり検知具は、牽引開始位置における被検査車両32の後輪34よりも牽引方向X前方の検査路30に形成された溝21と、その溝21内に収容され、溝21内を牽引方向Xと同方向に走行可能な引きずり台22と、その引きずり台22の移動を検出するセンサ23とを備える。引きずり台22はその上面22aが検査路30の上面とほぼ同一平面上に位置する。溝21内には、一端が溝21の側壁に固定され他端が引きずり台22に取り付けられたスプリング24が設けられ、このスプリング24によって引きずり台22は牽引方向X後方側に常時付勢される。センサ23は溝21内の牽引方向X後方側端部に設けられ、引きずり台22が牽引方向X前方側へ移動したときにそれを検出する。
【0055】
後輪34が回転した状態で車両32が牽引された場合、後輪34は引きずり台22上を回転して通過する。この場合、引きずり台22は移動しない。これに対して、後輪34がスリップした状態で車両32が牽引された場合、後輪34が引きずり台22上までスリップした後、後輪34と引きずり台22とが共に牽引方向Xへ移動する。センサ23が引きずり台22の移動を検出したならば、車両32の引きずりが発生したと判断して牽引装置35を停止する。この形態では、車両32の引きずりが発生した場合であっても、後輪34が引きずり台22上に位置すれば後輪34はスリップせずに引きずり台22と共に移動する。従って、後輪34にかかる負荷を低減でき車両32の破損などをより確実に防止できる。
【0056】
図11に示す形態は、図10と同様の構成であって、溝21の底面を牽引方向X後方側に向かうにつれて下るようにテーパ状にしたものである。この形態では、引きずり台22自身の自重によって引きずり台22が常に牽引方向X後方側へと戻される。従って、この形態であればスプリング24を省略することも可能となる。
【0057】
なお、これまで車両引きずり検知具は、X線検査装置の検査路30に形成された溝31の一側にのみ設けるとしたが、本発明はこの点において限定されず、溝31の両側にそれぞれ車両引きずり検知具を設けて、車両32の両後輪34のスリップを検出するようにしても良い。
【0058】
また、本発明は車両の牽引装置を備えるものであれば、X線検査装置以外の装置にも適用可能である。
【0059】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、牽引される車両の種類や積荷の重さなどにかかわらず、車両の引きずり発生を確実に検知できるという優れた効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両引きずり検知装置を備えたX線検査装置の正面断面図である。
【図2】図1の車両引きずり検知装置の拡大正面図である。
【図3】図1の車両引きずり検知装置の平面図である。
【図4】線状体の自由端及びウエイトの拡大図である。
【図5】線状体の固定端を示す拡大図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る車両引きずり検知装置の側面図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る車両引きずり検知装置の側面図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る車両引きずり検知装置の部分斜視図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る車両引きずり検知装置の斜視図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る車両引きずり検知装置の側面図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る車両引きずり検知装置の側面図である。
【図12】車両用X線検査装置の部分側面図である。
【図13】図12のフォークの平面図である。
【符号の説明】
1 車両引きずり検知具
2 線状体
7 ウエイト(張力付与手段)
8 近接センサ(検出手段)
11 スプリング(張力付与手段)
15 センサ(検出手段)
17 レバー部材
18 センサ(検出手段)
22 引きずり台
23 センサ(検出手段)
30 検査路(路面)
32 車両
33 前輪
34 後輪
35 牽引装置
Claims (8)
- 牽引装置によって前輪を持ち上げられ後輪を従動輪とされて牽引される車両の上記後輪が回転せずにスリップしている状態を検知するための車両引きずり検知装置において、牽引開始位置における上記後輪よりも牽引方向前方の路面に、上記後輪がスリップした状態で上記車両が牽引されたときに上記後輪と共に移動して車両の引きずりを検知するための車両引きずり検知具を設けたことを特徴とする車両引きずり検知装置。
- 上記車両引きずり検知具が、上記後輪よりも牽引方向前方の路面上に牽引方向と略直交する方向に張り渡され、上記後輪が回転した状態で上記車両が牽引されたときは後輪により乗り越えられ、上記後輪がスリップした状態で上記車両が牽引されたときは後輪によって押されて移動する線状体と、その線状体の移動を検出する検出手段とを備えた請求項1記載の車両引きずり検知装置。
- 上記線状体は固定端と自由端とを有し、上記検出手段は上記線状体の自由端の移動を検出するセンサからなる請求項2記載の車両引きずり検知装置。
- 上記線状体の自由端に、線状体に常時一定の張力を付与するための張力付与手段が接続される請求項3記載の車両引きずり検知装置。
- 上記車両引きずり検知具は、上記後輪よりも牽引方向前方の路面上に牽引方向と略同方向に旋回可能に取り付けられ、上記後輪が回転した状態で上記車両が牽引されたときは後輪により乗り越えられ、上記後輪がスリップした状態で上記車両が牽引されたときは後輪によって押されて旋回するレバー部材と、そのレバー部材の旋回を検出する検出手段とを備えた請求項1記載の車両引きずり検知装置。
- 上記車両引きずり検知具は、上記後輪よりも牽引方向前方の路面に牽引方向に移動可能に設けられ、上記後輪が回転した状態で上記車両が牽引されたときは後輪がその上を回転して通過し、上記後輪がスリップした状態で上記車両が牽引されたときは後輪と共に移動する引きずり台と、その引きずり台の移動を検出する検出手段とを備えた請求項1記載の車両引きずり検知装置。
- 上記引きずり台は、上記路面に形成された溝内に収容され、上記路面と略同一平面上に位置する上面を有する請求項6記載の車両引きずり検知装置。
- 車両の前輪を持ち上げて後輪を従動輪として検査路に沿って牽引する牽引装置を備えたX線検査装置において、牽引開始位置における上記車両の後輪よりも牽引方向前方の検査路に、上記後輪がスリップした状態で上記車両が牽引されたときに、上記後輪と共に移動して上記車両の引きずりを検知するための車両引きずり検知具を設けたことを特徴とするX線検査装置。
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