JP2004160671A - ポリプロピレン系樹脂発泡シートの成形方法並びに成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】濃色系に着色されたポリプロピレン系樹脂発泡シートの加熱成形において、成形不良を生じずに外観美麗な成形体を得るための成形方法を提供する。
【解決手段】濃色系に着色されたポリプロピレン系樹脂発泡シートの加熱成形において、金型嵌合直前の発泡シート表面温度を135℃以上165℃以下となるように加熱し成形すること、濃色系着色剤としてカーボンブラックを含有する黒色系着色剤マスターバッチを用いること、改質ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂に用いること、および、少なくとも片面に熱可塑性樹脂からなる非発泡層を形成したポリプロピレン系樹脂発泡シートを用いることを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】濃色系に着色されたポリプロピレン系樹脂発泡シートの加熱成形において、金型嵌合直前の発泡シート表面温度を135℃以上165℃以下となるように加熱し成形すること、濃色系着色剤としてカーボンブラックを含有する黒色系着色剤マスターバッチを用いること、改質ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂に用いること、および、少なくとも片面に熱可塑性樹脂からなる非発泡層を形成したポリプロピレン系樹脂発泡シートを用いることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は濃色系に着色されたポリプロピレン系樹脂発泡シートの成形方法および成形体に関する。更に詳しくは外観美麗な成形体を得るポリプロピレン系樹脂発泡シートの成形方法、及び得られた成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来ポリプロピレン系樹脂の押出発泡シート化は困難とされていたが、近年の技術の進展により発泡シートを得ることが可能になってきた。しかしポリプロピレン系樹脂発泡シート(以下、「PP系樹脂発泡シート」と称す。)から、その最終製品である容器などの成形体を得る際に、良好な成形体を得られにくいという問題があった。それはPP系樹脂発泡シートにおいては基材樹脂が結晶性樹脂であることに起因する。結晶性樹脂は融点以下においては、シートが十分に軟化せず成形の延伸が不充分である。また、融点以上においては十分に軟化するが、逆に溶融粘度が低いため、温度が上がりすぎるとPP系樹脂発泡シート自体が熱収縮する。この状態でPP系樹脂発泡シートを成形すると成形品の所々に薄肉な部分が出来ることになり、良好な成形体を得ることが出来ない。以上の理由により、PP系樹脂発泡シートにおいては、その成形に適した状態に加熱軟化させる温度範囲が非常に狭く、良好な成形体を得ることが困難であった。従来、PP系樹脂発泡シートの成形方法としては、オーブンでの加熱方法を規定し、シート表面温度を保持しながら成形する方法(特許文献1)等が知られている。
【0003】
しかし、着色剤マスターバッチ等を用いて、濃色系に着色されたPP系樹脂発泡シートにおいては上記のような問題に加え、着色されていないPP系樹脂発泡シートと同様の加熱を与えると、熱の吸収が高いために加熱過多となり成形体の表面の気泡が部分的に膨れたり、表面が溶融して成形体に穴が空く等、成形体の外観を大きく損なうことがある。特に黒色系に着色されたPP系樹脂発泡シートでは前記の現象が顕著に表れる。ゆえに濃色系に着色されたPP系樹脂発泡シートの成形に適した成形条件の範囲は非常に狭く、成形不良を生じずに外観美麗な成形体を得ることは困難であった。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−218805号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、PP系樹脂発泡シートの中でも、特に濃色に着色されたPP系樹脂発泡シートの成形不良を生じない成形方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、濃色系に着色されたPP系樹脂発泡シートの加熱成形において金型嵌合直前の発泡シートの表面温度を規定することによって、成形不良を生じない外観美麗な成形体を得られる事を見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち本発明は、濃色系に着色されたポリプロピレン系樹脂発泡シートを加熱炉内にて加熱した後、嵌合金型位置に導き、金型を嵌合して成形する方法であって、金型嵌合直前の発泡シートの表面温度が135℃以上165℃以下となるようにすることを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡シートの成形方法(請求項1)、ポリプロピレン系樹脂発泡シートの濃色系着色剤としてカーボンブラックを含有する黒色系着色剤マスターバッチを用いることを特徴とする請求項1記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの成形方法(請求項2)、前記着色剤マスターバッチのベースポリマーがオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項2記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの成形方法(請求項3)、ポリプロピレン系樹脂、ラジカル重合開始剤、及び共役ジエン系化合物を溶融混練して得られる改質ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂としたポリプロピレン系樹脂発泡シートを用いることを特徴とする請求項1〜3記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの成形方法(請求項4)、少なくとも片面に熱可塑性樹脂からなる非発泡層を形成したポリプロピレン系樹脂発泡シートを用いることを特徴とする請求項1〜4記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの成形方法(請求項5)、請求項1〜5に記載の成形方法によって得られる成形体(請求項6)、に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明における実施形態について、具体例により説明するが、本発明の実施はこれに限定されるものではない。
【0009】
本発明では、濃色系に着色されたポリプロピレン系樹脂発泡シートを、嵌合金型を用いて加熱成形する際に、金型嵌合直前の発泡シートの表面温度が135℃以上165℃以下となるように加熱することが必要である。ここでいう金型嵌合直前の発泡シートの表面温度とは、例えば図1の加熱成形例の概略図に示すように、嵌合金型の間に発泡シートが導かれ、金型が嵌合し成形体を形成する際に、金型嵌合が開始する直前の発泡シートの表面温度であり、発泡シートの片面、または、両面の表面温度のことである。具体的測定法としては、通常、発泡シートが加熱炉内で加熱され、嵌合金型位置に導かれて静止する迄に、該シートの概ね中央部分の上下面の何れか一方の表面温度を測定し(図2参照)、金型嵌合直前の発泡シート表面温度とすることができる。表面温度の測定装置としては、特に限定されないが、例えば、非接触式の温度センサー(オプテックス社製 THERMO−HUNTER PT−3LFなど)が使用できる。
【0010】
本発明の濃色系に着色されたポリプロピレン系樹脂発泡シートの場合、金型嵌合直前の発泡シート表面の温度が135℃より低いと、成形体の側面などで発泡層の延伸が大きく成形体の外観を損なったり、また発泡層が急激な延伸のため破れるなどの成形不良が発生する。一方、本発明の濃色系に着色されたポリプロピレン系樹脂発泡シートは熱を吸収し易いので、金型嵌合直前の発泡シート表面の温度が165℃より高くなると、成形体の表面の気泡が部分的に膨れたり、表面が溶融して成形体に穴が空く等良好な成形体を得ることが出来なくなる。このように、本発明の濃色系に着色されたポリプロピレン系樹脂発泡シートを成形する場合には、非着色のものよりも比較的低温で狭い成形温度幅のなかで、厳密に温度制御することが必要である。
【0011】
このような金型嵌合直前の発泡シートの温度は、加熱炉内のヒータ温度、ヒータ位置、加熱時間の変更等によって調整することができる。
【0012】
本発明に用いられる加熱成形法の例としては、プラグ成形法、マッチド・モールド成形法、ストレート成形法、ドレープ成形法、プラグアシスト成形法、プラグアシスト・リバースドロー成形法、エアスリップ成形法、スナップバック成形法、リバースドロー成形法、フリードローイング成形法、プラグ・アンド・リッジ成形法、リッジ成形法などの方法があげられる。それらのなかでも、マッチドモールド成形が成形体の型決まりの良好さの面で好ましい。
【0013】
本発明で使用されるポリプロピレン系樹脂発泡シートの基材樹脂としては、例えば線状のポリプロピレン系樹脂に放射線を照射する方法か、または線状のポリプロピレン樹脂、ラジカル重合開始剤、単量体を溶融混合するなどの方法により得られる分岐構造あるいは高分子量成分を含有するポリプロピレン系樹脂や、分子構造および固体構造制御技術を加えることによってより高剛性化、高耐熱性化されたポリプロピレン系樹脂や、メタロセン触媒系を用いて製造され、α,ω−ジエンを特定量含有するプロピレン・α,ω−ジエン系共重合体などの改質ポリプロピレン系樹脂が挙げられる。
【0014】
この改質ポリプロピレン系樹脂に用いられるポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体、ブロック共重合体およびランダム共重合体であって、結晶性の重合体が挙げられる。プロピレンの共重合体としては、プロピレンを75重量部以上、とくに90重量部以上含有しているものが、ポリプロピレン系樹脂の特徴である結晶性、剛性、耐薬品性などが保持されている点で好ましい。共重合可能なα−オレフィンとしては、エチレン、ブテン−1、イソブテン、ペンテン−1、3−メチル−ブテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、3,4−ジメチル−ブテン−1、ヘプテン−1、3−メチル−ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1などの炭素数2または4〜12のα−オレフィン、シクロペンテン、ノルボルネン、1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,8,8a−6−オクタヒドロナフタレンなどの環状オレフィン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどのジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどのビニル単量体、などの1種または2種以上が挙げられる。これらのうち、エチレン、ブテン−1が安価という点で好ましい。
【0015】
これらの改質ポリプロピレン系樹脂としては、線状ポリプロピレン樹脂、ラジカル重合開始剤および単量体を溶融混合して得られる改質ポリプロピレン系樹脂が安価に製造できる点から好ましい。
【0016】
前記単量体としては例えばスチレン単量体、イソプレン単量体および1,3−ブタジエン単量体が好ましく、これらを単独または組み合わせて使用してもよい。これらの中では、イソプレン単量体が安価で取り扱いやすく、反応が均一に進みやすい点からとくに好ましい。
【0017】
前記単量体の添加量としては、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.05〜20重量部が好ましく、0.1〜10重量部が溶融混練における反応効率の点からさらに好ましい。
【0018】
前記単量体と共重合可能な単量体、たとえば塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸金属塩、メタクリル酸金属塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリルなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリルなどのメタクリル酸エステルなどを併用してもよい。
【0019】
ラジカル重合開始剤としては、一般に過酸化物、アゾ化合物などが挙げられる。ポリプロピレン系樹脂と前記単量体(からなる重合体)あるいはポリプロピレン系樹脂との間にグラフト反応が起こるためには、いわゆる水素引き抜き能を有するものが必要であり、一般にケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステルなどの有機過酸化物が挙げられる。これらのうち、とくに水素引き抜き能が高いものが好ましく、たとえば1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレートなどのパーオキシエステルなどの1種または2種以上が挙げられる。
【0020】
ラジカル重合開始剤の添加量としては、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.05〜10重量部、とくに0.1〜2重量部が、改質ポリプロピレン系樹脂の溶融粘度が過度に低下するのを抑え、かつ経済的であるという点で好ましい。
【0021】
ポリプロピレン系樹脂とイソプレン単量体とラジカル重合開始剤とを反応させるための装置としては、ロール、コニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダー、単軸押出機、2軸押出機などの混練機、2軸表面更新機、2軸多円板装置などの横型撹拌機、ダブルヘリカルリボン撹拌機などの縦型撹拌機、などが挙げられる。これらのうち、特に単軸押出機、2軸押出機が生産性の点から好ましい。
【0022】
ポリプロピレン系樹脂とイソプレン単量体とラジカル重合開始剤とを混合、混練(撹拌)する順序、方法にはとくに制限はない。ポリプロピレン系樹脂とイソプレン単量体とラジカル重合開始剤とを混合したのち溶融混練(撹拌)してもよいし、ポリプロピレン系樹脂を溶融混練(撹拌)したのち、イソプレン単量体あるいはラジカル開始剤を同時にあるいは別々に混合しても良い。同時にあるいは別々に混合する場合は、一括して混合しても良いし、分割して混合してもよい。混練(撹拌)機の温度は130〜300℃が、ポリプロピレン系樹脂が溶融し、かつ熱分解しないという点で好ましい。またその時間は一般に1〜60分である。
【0023】
本発明で使用される着色剤とは、高級顔料やアゾ系などの有機系の着色剤や酸化チタン系、酸化鉄系、炭素系、複合酸化物系などの無機系の着色剤が好ましく使用される。これらの中でも特に炭素系のカーボンブラックを含む黒色系着色剤が本発明の効果が発揮される。
【0024】
本発明で使用されるカーボンブラックは、特に限定されるものではないが、粒径10〜50μm、比表面積80〜300m2/g、黒色度60〜90、pH4.5〜8程度のものが好ましく使用される。
【0025】
本発明で使用される着色剤マスターバッチのベースポリマーは、ポリプロピレン系樹脂との分散性の点から、ポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂の中でも、特に低密度ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。
【0026】
本発明で使用される着色剤マスターバッチにおける着色剤マスターバッチ中の着色剤濃度は、好ましくは10〜50%であり、さらに好ましくは20〜50%である。着色剤濃度が10%未満であると、所望の色合いを得るために着色剤マスターバッチの添加量が多くなり、コストアップになることがある。着色剤濃度が50%を超えると、着色剤マスターバッチの安定的な製造が困難になることがある。
【0027】
着色剤マスターバッチの製造方法は、特に限定しないが、2軸押出機のホッパーから、ベースポリマーと着色剤を一括して投入し、溶融混練する方法や、2軸押出機にベースポリマーを投入・溶融・混練し、2軸押出機の途中から着色剤のみをサイドフィードすることにより製造する方法などが挙げられる。
【0028】
ポリプロピレン系樹脂に添加する着色剤マスターバッチの量は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、1〜10重量部が好ましく、さらに好ましくは2〜6重量部である。
【0029】
ポリプロピレン系樹脂には必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、金属不活性剤、燐系加工安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、蛍光増白剤、金属石鹸、制酸吸着剤などの安定剤、架橋剤、連鎖移動剤、核剤、滑剤、可塑剤、充填材、強化材、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤を使用してもよい。
【0030】
本発明に使用されるポリプロピレン系樹脂からなる発泡シートは、例えば、溶融させた状態のポリプロピレン系樹脂に発泡剤を圧入したのち、押出機内で発泡最適温度に調節し、ダイから低圧領域に押し出すことにより製造することができる。
【0031】
押出機としては、二本の単軸押出機を縦に連結させたタンデム型押出機や、先端にギヤポンプを取り付けた2軸押出機などを用いることができる。
【0032】
タンデム型押出機の場合は、はじめの押出機で樹脂の溶融と溶融樹脂と発泡剤の混練を行い、続く押出機では溶融樹脂と発泡剤の混合物を押出発泡に適した温度域まで冷却することを目的としている。
【0033】
先端にギヤポンプを取り付けた2軸押出機の場合は、樹脂と発泡剤がより均一に混合される。また、ギヤポンプが取り付けられていると、押出圧力や吐出量が安定するために、安定した押出しを実現できる。溶融混練と冷却を同時に行うことができるので、タンデム型押出機に比べて省スペースで済むという利点もある。
【0034】
気泡調整剤(発泡核剤)には、熱分解型化学発泡剤やタルクなどの無機物を気泡調整剤として用いることができる。
【0035】
該熱分解型化学発泡剤は、吸熱型化学発泡剤と発熱型化学発泡剤とに分類される。吸熱型化学発泡剤には無機系二酸化炭素発生剤単独または弱酸とを組み合わせたものがある。無機系二酸化炭素発生剤としては、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩または重炭酸塩のほか、炭酸アンモニウムおよび重炭酸アンモニウムが挙げられる。またこれらは2種以上の混合物であってもよい。
【0036】
弱酸としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマール酸、コハク酸、イタコン酸、シトラコン酸、アジピン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ステアリン酸、オレイン酸、カプリル酸、エナント酸、カプロン酸、吉草酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、フタル酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、クロル酢酸、ジグリコール酸等の有機酸、硼酸等の無機酸および酸性酒石酸カリウム等の酸性塩が挙げられ、化学発泡剤の性能向上の観点からクエン酸を用いることが好ましい。また弱酸としては2種以上の混合物であってもよい。発熱型化学発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾビスホルムアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N’−ジニトロペンタテトラミンなどがあり、分解温度を調節できる点でアゾジカルボンアミドが好ましい。なお、窒素原子含有気泡調整剤を使用すると発泡シートが黄色味がかるなど着色の問題がある。上記の気泡調整剤のなかでは重炭酸ナトリウムとクエン酸の組み合わせが好ましい。
【0037】
気泡調整剤は粉末状やマスターバッチ状のものを入手可能であるが、取り扱いのし易さからはマスターバッチの方が好ましい。
【0038】
本発明において好ましい揮発型発泡剤としては、例えば水、二酸化炭素、窒素などの無機ガスが挙げられる。これら無機ガスの内2種類以上を併用しても良い。この他、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類、クロロジフルオロメタン、ジクロロメタン、ジクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、クロロエタン、ジクロロトリフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタン、テトラクロロジフルオロエタン、パーフルオロシクロブタンなどのハロゲン化炭化水素類も使用することができる。無機ガスとこれらの脂肪族炭化水素類、脂環式炭化水素類、ハロゲン系炭化水素類とを併用しても良い。
【0039】
発泡剤の添加量は発泡剤の種類および目標発泡倍率によって選択されるが、一般に樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。
【0040】
また、本発明における発泡シートは、所望の気泡構造を得る目的で、例えば、押出発泡した後に空気の吹き付けなどにより発泡シートの表面冷却を促進しても良く、またマンドレル成形の際に、引き取り速度やマンドレル径を変えるなどして延伸をかけてもよい。
【0041】
本発明における発泡シートの密度は、好ましくは0.091〜0.45g/cm3、更に好ましくは0.120〜0.320g/cm3であることが好ましい。0.091g/cm3より小さい場合は発泡シートの剛性が低下傾向となり、該発泡シートの成形体の剛性も小さくなってしまう。発泡シートの密度が0.45g/cm3より大きい場合には成形体の断熱性が低下してくる。
【0042】
また、本発明における発泡シートは、表面性や剛性、加熱成形性などを改良する目的で、前記発泡シート表面に、熱可塑性樹脂からなる非発泡層を、片面または両面に形成してもよく、そのような発泡積層シートも本発明の方法によって成形することができる。
【0043】
前記熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等を用いることができる。これらは単独または2種以上組み合わせて用いられるが、特に発泡シートとの接着性の観点から、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。
【0044】
前記非発泡層を形成する方法は、特に限定されるものではなく、発泡シートを作製した後に、別途作製した非発泡フィルムを加熱または接着剤を用いてラミネートして形成してもよいし、発泡シート上に直接Tダイから非発泡フィルムを押し出してラミネートして形成してもよい。非発泡フィルムとしては特に2軸延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムが剛性と光沢などの観点から好ましい。
【0045】
本発明の方法によれば、成形体外観上、損傷が見られず、濃色系に均一に着色された外観美麗な成形体が得られるので、食品容器や、リンゴやナシ等の果実包装トレー等の緩衝材、断熱材、自動車天井材等の自動車用部材などの用途に好適に用いることができる。
【0046】
【実施例】
以下に本発明を具体的な実施例により、更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
(組成)
実施例および比較例に用いる発泡シートには、次のポリプロピレン系樹脂、着色剤マスターバッチ、高密度ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合体を使用した。
PP−A:ポリプロピレン系樹脂(ホモポリマー、MFR=3.8g/10min)100重量部、パーオキシエステル系ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート0.3重量部をリボンブレンダーで攪拌混合した配合物を計量フィーダで二軸押出機(日本製鋼所製、TEX44XCT−38)に供給した。また、同時に液添ポンプを用いて押出機途中からイソプレンをプロピレン系樹脂100重量部に対し、0.5重量部の割合で供給し、これらを前記二軸押出機中200℃で溶融混練し、50Kg/hの吐出割合で溶融押出することにより、改質ポリプロピレン系樹脂のペレットを得た。これによって得た改質ポリプロピレン系樹脂の230℃、2.16kg荷重のMFRは0.5g/10minであった。
PP−B:市販の高溶融張力ポリプロピレン(サンアロマー社製、商品名「HMS−PP」、グレード名「PF814」、230℃、2.16kg荷重のMFR=3g/10min)
TMB:市販のカーボンブラック着色剤マスターバッチ(230℃、2.16kg荷重のMFR=0.08g/10min、ベースポリマー、ポリエチレン、カーボンブラック含有量40%、カーボンブラック平均粒径25μm)
HDPE:高密度ポリエチレン(密度950kg/m3、230℃、2.16kg荷重のMFR=0.05g/10min)
EPR:エチレン含有量40重量%のエチレン・プロピレン共重合体(密度870kg/m3、脆化温度−70℃以下、230℃、2.16kg荷重のMFR=0.7g/10min)
(発泡シート)
実施例及び比較例には以下のポリプロピレン系樹脂発泡シート(表1に各シートの組成、物性等を示す)を用いた。
【0047】
(発泡シートA〜D): PP−A、PP−B、TMB、HDPE、EPRを表1に示す組成比で配合し、さらに発泡核剤として重曹−クエン酸0.15重量部を、リボンブレンダーで攪拌混合した配合物を65−90mmφタンデム型押出機に供給し、220℃に設定した65mmφ押出機中にて溶融させた後、発泡剤としてイソブタンを前記樹脂組成物100重量部に対して2重量部圧入混合し、165℃に設定した90mmφ押出機中で混合、冷却し、環状ダイ(75mmφ)より大気圧下に吐出し、マンドレルに引き取りつつ延伸・冷却し円筒型発泡体を得、これをカッターで切り開くことにより635mm幅の発泡シートを得た。
【0048】
(発泡シートE):発泡シートAへ、市販の2軸延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムを熱ラミネーション法により積層し、発泡積層シートを得た。
(成形機)
実施例、比較例のポリプロピレン系樹脂発泡シートの加熱成形には、発泡シート用単発成形機(トーコー社製 VAS−66−45T)を用い、成形金型には容器寸法210mm×180mm×H30mmの角型形状容器を用いた。成形は上金型を雌型、下金型を雄型に用いたマッチド・モールド成形(金型クリアランス1.5mm)を行った。
(表面温度)
金型嵌合直前の発泡シート表面温度の測定には、非接触式の温度センサー(オプテックス社製 THERMO−HUNTER PT−3LF)を使用して、積層発泡シートが加熱炉内で加熱され、嵌合金型位置に導かれて静止する迄に、該シートの概ね中央部分の上下面それぞれについて(図2の測定位置参照)表面温度を測定し、金型嵌合直前の発泡シート表面温度とした。
(評価・測定方法)
(1)MFR測定方法
東洋精機製メルトインデクサーを用い、JIS熱可塑性プラスチックの流れ試験法に準じて測定を行った。ただし、条件については230℃、2.16kg荷重にて測定を行った。
【0049】
(2)発泡シートの密度の測定
JIS−K6767に準じ測定。
【0050】
(3)発泡シートの独立気泡率の測定
ASTM D−2856に記載の方法に準じエアピクノメータにより測定した。
【0051】
(4)発泡シートの厚み測定
発泡シートの幅方向に等間隔に10点の測定点を設け、測定点の厚みを厚みゲージ(teclock社製厚みゲージ)を用いて測定した後、各点の測定値の平均を発泡シートの厚みとした。
【0052】
(5)発泡シートのセル数測定
発泡シートを幅方向に等間隔に5つになるように切り出し、その切り出したシートの厚み方向、MD方向、TD方向のセル数をルーペ(peacock社製pocket・micro×10)を用いて測定した。その後、各点の測定値の平均を算出し、MD方向とTD方向における単位面積あたりのセル数と厚み方向のセル数の積を求め、これを発泡シートのセル数とした。
【0053】
(6)成形体の外観評価
得られた成形体の外観を以下の基準で評価した。
○:型決まりが良く、外観美麗である。
△:側壁の薄肉部や型決まりの不足等が見られ、外観がやや劣る。
×:気泡の部分的な膨張や穴あき等が発生し、外観上及び実用上問題がある。
(実施例1〜5) 発泡シートA〜Eを用いて、発泡シートの金型嵌合直前の表面温度を表2に示す温度となるように加熱し成形を実施して成形体を得た。得られた成形体の外観評価を表2に示す。
(比較例1〜4) 発泡シートA、Eを用いて発泡シートの金型嵌合直前の表面温度を表2に示す温度となるように加熱し成形を実施して成形体を得た。得られた成形体の外観評価を表2に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、濃色系に着色されたポリプロピレン系樹脂発泡シートの加熱成形において、ドローダウンによる成形不良を抑制し、外観美麗な成形体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関わるポリプロピレン系樹脂発泡シートの加熱連続成形法の一例を示す概略図である。
【図2】本発明における成形される直前の発泡シート表面温度の測定位置を示す。
【符号の説明】
1 発泡シート
2 金型嵌合前のシート位置
3 上嵌合金型
4 下嵌合金型
5 シャッタ
6 加熱炉
7 ヒータ
8 チェンレール
9 シート流れ方向
【発明の属する技術分野】
本発明は濃色系に着色されたポリプロピレン系樹脂発泡シートの成形方法および成形体に関する。更に詳しくは外観美麗な成形体を得るポリプロピレン系樹脂発泡シートの成形方法、及び得られた成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来ポリプロピレン系樹脂の押出発泡シート化は困難とされていたが、近年の技術の進展により発泡シートを得ることが可能になってきた。しかしポリプロピレン系樹脂発泡シート(以下、「PP系樹脂発泡シート」と称す。)から、その最終製品である容器などの成形体を得る際に、良好な成形体を得られにくいという問題があった。それはPP系樹脂発泡シートにおいては基材樹脂が結晶性樹脂であることに起因する。結晶性樹脂は融点以下においては、シートが十分に軟化せず成形の延伸が不充分である。また、融点以上においては十分に軟化するが、逆に溶融粘度が低いため、温度が上がりすぎるとPP系樹脂発泡シート自体が熱収縮する。この状態でPP系樹脂発泡シートを成形すると成形品の所々に薄肉な部分が出来ることになり、良好な成形体を得ることが出来ない。以上の理由により、PP系樹脂発泡シートにおいては、その成形に適した状態に加熱軟化させる温度範囲が非常に狭く、良好な成形体を得ることが困難であった。従来、PP系樹脂発泡シートの成形方法としては、オーブンでの加熱方法を規定し、シート表面温度を保持しながら成形する方法(特許文献1)等が知られている。
【0003】
しかし、着色剤マスターバッチ等を用いて、濃色系に着色されたPP系樹脂発泡シートにおいては上記のような問題に加え、着色されていないPP系樹脂発泡シートと同様の加熱を与えると、熱の吸収が高いために加熱過多となり成形体の表面の気泡が部分的に膨れたり、表面が溶融して成形体に穴が空く等、成形体の外観を大きく損なうことがある。特に黒色系に着色されたPP系樹脂発泡シートでは前記の現象が顕著に表れる。ゆえに濃色系に着色されたPP系樹脂発泡シートの成形に適した成形条件の範囲は非常に狭く、成形不良を生じずに外観美麗な成形体を得ることは困難であった。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−218805号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、PP系樹脂発泡シートの中でも、特に濃色に着色されたPP系樹脂発泡シートの成形不良を生じない成形方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、濃色系に着色されたPP系樹脂発泡シートの加熱成形において金型嵌合直前の発泡シートの表面温度を規定することによって、成形不良を生じない外観美麗な成形体を得られる事を見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち本発明は、濃色系に着色されたポリプロピレン系樹脂発泡シートを加熱炉内にて加熱した後、嵌合金型位置に導き、金型を嵌合して成形する方法であって、金型嵌合直前の発泡シートの表面温度が135℃以上165℃以下となるようにすることを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡シートの成形方法(請求項1)、ポリプロピレン系樹脂発泡シートの濃色系着色剤としてカーボンブラックを含有する黒色系着色剤マスターバッチを用いることを特徴とする請求項1記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの成形方法(請求項2)、前記着色剤マスターバッチのベースポリマーがオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項2記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの成形方法(請求項3)、ポリプロピレン系樹脂、ラジカル重合開始剤、及び共役ジエン系化合物を溶融混練して得られる改質ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂としたポリプロピレン系樹脂発泡シートを用いることを特徴とする請求項1〜3記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの成形方法(請求項4)、少なくとも片面に熱可塑性樹脂からなる非発泡層を形成したポリプロピレン系樹脂発泡シートを用いることを特徴とする請求項1〜4記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの成形方法(請求項5)、請求項1〜5に記載の成形方法によって得られる成形体(請求項6)、に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明における実施形態について、具体例により説明するが、本発明の実施はこれに限定されるものではない。
【0009】
本発明では、濃色系に着色されたポリプロピレン系樹脂発泡シートを、嵌合金型を用いて加熱成形する際に、金型嵌合直前の発泡シートの表面温度が135℃以上165℃以下となるように加熱することが必要である。ここでいう金型嵌合直前の発泡シートの表面温度とは、例えば図1の加熱成形例の概略図に示すように、嵌合金型の間に発泡シートが導かれ、金型が嵌合し成形体を形成する際に、金型嵌合が開始する直前の発泡シートの表面温度であり、発泡シートの片面、または、両面の表面温度のことである。具体的測定法としては、通常、発泡シートが加熱炉内で加熱され、嵌合金型位置に導かれて静止する迄に、該シートの概ね中央部分の上下面の何れか一方の表面温度を測定し(図2参照)、金型嵌合直前の発泡シート表面温度とすることができる。表面温度の測定装置としては、特に限定されないが、例えば、非接触式の温度センサー(オプテックス社製 THERMO−HUNTER PT−3LFなど)が使用できる。
【0010】
本発明の濃色系に着色されたポリプロピレン系樹脂発泡シートの場合、金型嵌合直前の発泡シート表面の温度が135℃より低いと、成形体の側面などで発泡層の延伸が大きく成形体の外観を損なったり、また発泡層が急激な延伸のため破れるなどの成形不良が発生する。一方、本発明の濃色系に着色されたポリプロピレン系樹脂発泡シートは熱を吸収し易いので、金型嵌合直前の発泡シート表面の温度が165℃より高くなると、成形体の表面の気泡が部分的に膨れたり、表面が溶融して成形体に穴が空く等良好な成形体を得ることが出来なくなる。このように、本発明の濃色系に着色されたポリプロピレン系樹脂発泡シートを成形する場合には、非着色のものよりも比較的低温で狭い成形温度幅のなかで、厳密に温度制御することが必要である。
【0011】
このような金型嵌合直前の発泡シートの温度は、加熱炉内のヒータ温度、ヒータ位置、加熱時間の変更等によって調整することができる。
【0012】
本発明に用いられる加熱成形法の例としては、プラグ成形法、マッチド・モールド成形法、ストレート成形法、ドレープ成形法、プラグアシスト成形法、プラグアシスト・リバースドロー成形法、エアスリップ成形法、スナップバック成形法、リバースドロー成形法、フリードローイング成形法、プラグ・アンド・リッジ成形法、リッジ成形法などの方法があげられる。それらのなかでも、マッチドモールド成形が成形体の型決まりの良好さの面で好ましい。
【0013】
本発明で使用されるポリプロピレン系樹脂発泡シートの基材樹脂としては、例えば線状のポリプロピレン系樹脂に放射線を照射する方法か、または線状のポリプロピレン樹脂、ラジカル重合開始剤、単量体を溶融混合するなどの方法により得られる分岐構造あるいは高分子量成分を含有するポリプロピレン系樹脂や、分子構造および固体構造制御技術を加えることによってより高剛性化、高耐熱性化されたポリプロピレン系樹脂や、メタロセン触媒系を用いて製造され、α,ω−ジエンを特定量含有するプロピレン・α,ω−ジエン系共重合体などの改質ポリプロピレン系樹脂が挙げられる。
【0014】
この改質ポリプロピレン系樹脂に用いられるポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体、ブロック共重合体およびランダム共重合体であって、結晶性の重合体が挙げられる。プロピレンの共重合体としては、プロピレンを75重量部以上、とくに90重量部以上含有しているものが、ポリプロピレン系樹脂の特徴である結晶性、剛性、耐薬品性などが保持されている点で好ましい。共重合可能なα−オレフィンとしては、エチレン、ブテン−1、イソブテン、ペンテン−1、3−メチル−ブテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、3,4−ジメチル−ブテン−1、ヘプテン−1、3−メチル−ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1などの炭素数2または4〜12のα−オレフィン、シクロペンテン、ノルボルネン、1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,8,8a−6−オクタヒドロナフタレンなどの環状オレフィン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどのジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどのビニル単量体、などの1種または2種以上が挙げられる。これらのうち、エチレン、ブテン−1が安価という点で好ましい。
【0015】
これらの改質ポリプロピレン系樹脂としては、線状ポリプロピレン樹脂、ラジカル重合開始剤および単量体を溶融混合して得られる改質ポリプロピレン系樹脂が安価に製造できる点から好ましい。
【0016】
前記単量体としては例えばスチレン単量体、イソプレン単量体および1,3−ブタジエン単量体が好ましく、これらを単独または組み合わせて使用してもよい。これらの中では、イソプレン単量体が安価で取り扱いやすく、反応が均一に進みやすい点からとくに好ましい。
【0017】
前記単量体の添加量としては、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.05〜20重量部が好ましく、0.1〜10重量部が溶融混練における反応効率の点からさらに好ましい。
【0018】
前記単量体と共重合可能な単量体、たとえば塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸金属塩、メタクリル酸金属塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリルなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリルなどのメタクリル酸エステルなどを併用してもよい。
【0019】
ラジカル重合開始剤としては、一般に過酸化物、アゾ化合物などが挙げられる。ポリプロピレン系樹脂と前記単量体(からなる重合体)あるいはポリプロピレン系樹脂との間にグラフト反応が起こるためには、いわゆる水素引き抜き能を有するものが必要であり、一般にケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステルなどの有機過酸化物が挙げられる。これらのうち、とくに水素引き抜き能が高いものが好ましく、たとえば1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレートなどのパーオキシエステルなどの1種または2種以上が挙げられる。
【0020】
ラジカル重合開始剤の添加量としては、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.05〜10重量部、とくに0.1〜2重量部が、改質ポリプロピレン系樹脂の溶融粘度が過度に低下するのを抑え、かつ経済的であるという点で好ましい。
【0021】
ポリプロピレン系樹脂とイソプレン単量体とラジカル重合開始剤とを反応させるための装置としては、ロール、コニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダー、単軸押出機、2軸押出機などの混練機、2軸表面更新機、2軸多円板装置などの横型撹拌機、ダブルヘリカルリボン撹拌機などの縦型撹拌機、などが挙げられる。これらのうち、特に単軸押出機、2軸押出機が生産性の点から好ましい。
【0022】
ポリプロピレン系樹脂とイソプレン単量体とラジカル重合開始剤とを混合、混練(撹拌)する順序、方法にはとくに制限はない。ポリプロピレン系樹脂とイソプレン単量体とラジカル重合開始剤とを混合したのち溶融混練(撹拌)してもよいし、ポリプロピレン系樹脂を溶融混練(撹拌)したのち、イソプレン単量体あるいはラジカル開始剤を同時にあるいは別々に混合しても良い。同時にあるいは別々に混合する場合は、一括して混合しても良いし、分割して混合してもよい。混練(撹拌)機の温度は130〜300℃が、ポリプロピレン系樹脂が溶融し、かつ熱分解しないという点で好ましい。またその時間は一般に1〜60分である。
【0023】
本発明で使用される着色剤とは、高級顔料やアゾ系などの有機系の着色剤や酸化チタン系、酸化鉄系、炭素系、複合酸化物系などの無機系の着色剤が好ましく使用される。これらの中でも特に炭素系のカーボンブラックを含む黒色系着色剤が本発明の効果が発揮される。
【0024】
本発明で使用されるカーボンブラックは、特に限定されるものではないが、粒径10〜50μm、比表面積80〜300m2/g、黒色度60〜90、pH4.5〜8程度のものが好ましく使用される。
【0025】
本発明で使用される着色剤マスターバッチのベースポリマーは、ポリプロピレン系樹脂との分散性の点から、ポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂の中でも、特に低密度ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。
【0026】
本発明で使用される着色剤マスターバッチにおける着色剤マスターバッチ中の着色剤濃度は、好ましくは10〜50%であり、さらに好ましくは20〜50%である。着色剤濃度が10%未満であると、所望の色合いを得るために着色剤マスターバッチの添加量が多くなり、コストアップになることがある。着色剤濃度が50%を超えると、着色剤マスターバッチの安定的な製造が困難になることがある。
【0027】
着色剤マスターバッチの製造方法は、特に限定しないが、2軸押出機のホッパーから、ベースポリマーと着色剤を一括して投入し、溶融混練する方法や、2軸押出機にベースポリマーを投入・溶融・混練し、2軸押出機の途中から着色剤のみをサイドフィードすることにより製造する方法などが挙げられる。
【0028】
ポリプロピレン系樹脂に添加する着色剤マスターバッチの量は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、1〜10重量部が好ましく、さらに好ましくは2〜6重量部である。
【0029】
ポリプロピレン系樹脂には必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、金属不活性剤、燐系加工安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、蛍光増白剤、金属石鹸、制酸吸着剤などの安定剤、架橋剤、連鎖移動剤、核剤、滑剤、可塑剤、充填材、強化材、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤を使用してもよい。
【0030】
本発明に使用されるポリプロピレン系樹脂からなる発泡シートは、例えば、溶融させた状態のポリプロピレン系樹脂に発泡剤を圧入したのち、押出機内で発泡最適温度に調節し、ダイから低圧領域に押し出すことにより製造することができる。
【0031】
押出機としては、二本の単軸押出機を縦に連結させたタンデム型押出機や、先端にギヤポンプを取り付けた2軸押出機などを用いることができる。
【0032】
タンデム型押出機の場合は、はじめの押出機で樹脂の溶融と溶融樹脂と発泡剤の混練を行い、続く押出機では溶融樹脂と発泡剤の混合物を押出発泡に適した温度域まで冷却することを目的としている。
【0033】
先端にギヤポンプを取り付けた2軸押出機の場合は、樹脂と発泡剤がより均一に混合される。また、ギヤポンプが取り付けられていると、押出圧力や吐出量が安定するために、安定した押出しを実現できる。溶融混練と冷却を同時に行うことができるので、タンデム型押出機に比べて省スペースで済むという利点もある。
【0034】
気泡調整剤(発泡核剤)には、熱分解型化学発泡剤やタルクなどの無機物を気泡調整剤として用いることができる。
【0035】
該熱分解型化学発泡剤は、吸熱型化学発泡剤と発熱型化学発泡剤とに分類される。吸熱型化学発泡剤には無機系二酸化炭素発生剤単独または弱酸とを組み合わせたものがある。無機系二酸化炭素発生剤としては、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の炭酸塩または重炭酸塩のほか、炭酸アンモニウムおよび重炭酸アンモニウムが挙げられる。またこれらは2種以上の混合物であってもよい。
【0036】
弱酸としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマール酸、コハク酸、イタコン酸、シトラコン酸、アジピン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ステアリン酸、オレイン酸、カプリル酸、エナント酸、カプロン酸、吉草酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、フタル酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、クロル酢酸、ジグリコール酸等の有機酸、硼酸等の無機酸および酸性酒石酸カリウム等の酸性塩が挙げられ、化学発泡剤の性能向上の観点からクエン酸を用いることが好ましい。また弱酸としては2種以上の混合物であってもよい。発熱型化学発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾビスホルムアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N’−ジニトロペンタテトラミンなどがあり、分解温度を調節できる点でアゾジカルボンアミドが好ましい。なお、窒素原子含有気泡調整剤を使用すると発泡シートが黄色味がかるなど着色の問題がある。上記の気泡調整剤のなかでは重炭酸ナトリウムとクエン酸の組み合わせが好ましい。
【0037】
気泡調整剤は粉末状やマスターバッチ状のものを入手可能であるが、取り扱いのし易さからはマスターバッチの方が好ましい。
【0038】
本発明において好ましい揮発型発泡剤としては、例えば水、二酸化炭素、窒素などの無機ガスが挙げられる。これら無機ガスの内2種類以上を併用しても良い。この他、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類、クロロジフルオロメタン、ジクロロメタン、ジクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、クロロエタン、ジクロロトリフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタン、テトラクロロジフルオロエタン、パーフルオロシクロブタンなどのハロゲン化炭化水素類も使用することができる。無機ガスとこれらの脂肪族炭化水素類、脂環式炭化水素類、ハロゲン系炭化水素類とを併用しても良い。
【0039】
発泡剤の添加量は発泡剤の種類および目標発泡倍率によって選択されるが、一般に樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。
【0040】
また、本発明における発泡シートは、所望の気泡構造を得る目的で、例えば、押出発泡した後に空気の吹き付けなどにより発泡シートの表面冷却を促進しても良く、またマンドレル成形の際に、引き取り速度やマンドレル径を変えるなどして延伸をかけてもよい。
【0041】
本発明における発泡シートの密度は、好ましくは0.091〜0.45g/cm3、更に好ましくは0.120〜0.320g/cm3であることが好ましい。0.091g/cm3より小さい場合は発泡シートの剛性が低下傾向となり、該発泡シートの成形体の剛性も小さくなってしまう。発泡シートの密度が0.45g/cm3より大きい場合には成形体の断熱性が低下してくる。
【0042】
また、本発明における発泡シートは、表面性や剛性、加熱成形性などを改良する目的で、前記発泡シート表面に、熱可塑性樹脂からなる非発泡層を、片面または両面に形成してもよく、そのような発泡積層シートも本発明の方法によって成形することができる。
【0043】
前記熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等を用いることができる。これらは単独または2種以上組み合わせて用いられるが、特に発泡シートとの接着性の観点から、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。
【0044】
前記非発泡層を形成する方法は、特に限定されるものではなく、発泡シートを作製した後に、別途作製した非発泡フィルムを加熱または接着剤を用いてラミネートして形成してもよいし、発泡シート上に直接Tダイから非発泡フィルムを押し出してラミネートして形成してもよい。非発泡フィルムとしては特に2軸延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムが剛性と光沢などの観点から好ましい。
【0045】
本発明の方法によれば、成形体外観上、損傷が見られず、濃色系に均一に着色された外観美麗な成形体が得られるので、食品容器や、リンゴやナシ等の果実包装トレー等の緩衝材、断熱材、自動車天井材等の自動車用部材などの用途に好適に用いることができる。
【0046】
【実施例】
以下に本発明を具体的な実施例により、更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
(組成)
実施例および比較例に用いる発泡シートには、次のポリプロピレン系樹脂、着色剤マスターバッチ、高密度ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合体を使用した。
PP−A:ポリプロピレン系樹脂(ホモポリマー、MFR=3.8g/10min)100重量部、パーオキシエステル系ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート0.3重量部をリボンブレンダーで攪拌混合した配合物を計量フィーダで二軸押出機(日本製鋼所製、TEX44XCT−38)に供給した。また、同時に液添ポンプを用いて押出機途中からイソプレンをプロピレン系樹脂100重量部に対し、0.5重量部の割合で供給し、これらを前記二軸押出機中200℃で溶融混練し、50Kg/hの吐出割合で溶融押出することにより、改質ポリプロピレン系樹脂のペレットを得た。これによって得た改質ポリプロピレン系樹脂の230℃、2.16kg荷重のMFRは0.5g/10minであった。
PP−B:市販の高溶融張力ポリプロピレン(サンアロマー社製、商品名「HMS−PP」、グレード名「PF814」、230℃、2.16kg荷重のMFR=3g/10min)
TMB:市販のカーボンブラック着色剤マスターバッチ(230℃、2.16kg荷重のMFR=0.08g/10min、ベースポリマー、ポリエチレン、カーボンブラック含有量40%、カーボンブラック平均粒径25μm)
HDPE:高密度ポリエチレン(密度950kg/m3、230℃、2.16kg荷重のMFR=0.05g/10min)
EPR:エチレン含有量40重量%のエチレン・プロピレン共重合体(密度870kg/m3、脆化温度−70℃以下、230℃、2.16kg荷重のMFR=0.7g/10min)
(発泡シート)
実施例及び比較例には以下のポリプロピレン系樹脂発泡シート(表1に各シートの組成、物性等を示す)を用いた。
【0047】
(発泡シートA〜D): PP−A、PP−B、TMB、HDPE、EPRを表1に示す組成比で配合し、さらに発泡核剤として重曹−クエン酸0.15重量部を、リボンブレンダーで攪拌混合した配合物を65−90mmφタンデム型押出機に供給し、220℃に設定した65mmφ押出機中にて溶融させた後、発泡剤としてイソブタンを前記樹脂組成物100重量部に対して2重量部圧入混合し、165℃に設定した90mmφ押出機中で混合、冷却し、環状ダイ(75mmφ)より大気圧下に吐出し、マンドレルに引き取りつつ延伸・冷却し円筒型発泡体を得、これをカッターで切り開くことにより635mm幅の発泡シートを得た。
【0048】
(発泡シートE):発泡シートAへ、市販の2軸延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムを熱ラミネーション法により積層し、発泡積層シートを得た。
(成形機)
実施例、比較例のポリプロピレン系樹脂発泡シートの加熱成形には、発泡シート用単発成形機(トーコー社製 VAS−66−45T)を用い、成形金型には容器寸法210mm×180mm×H30mmの角型形状容器を用いた。成形は上金型を雌型、下金型を雄型に用いたマッチド・モールド成形(金型クリアランス1.5mm)を行った。
(表面温度)
金型嵌合直前の発泡シート表面温度の測定には、非接触式の温度センサー(オプテックス社製 THERMO−HUNTER PT−3LF)を使用して、積層発泡シートが加熱炉内で加熱され、嵌合金型位置に導かれて静止する迄に、該シートの概ね中央部分の上下面それぞれについて(図2の測定位置参照)表面温度を測定し、金型嵌合直前の発泡シート表面温度とした。
(評価・測定方法)
(1)MFR測定方法
東洋精機製メルトインデクサーを用い、JIS熱可塑性プラスチックの流れ試験法に準じて測定を行った。ただし、条件については230℃、2.16kg荷重にて測定を行った。
【0049】
(2)発泡シートの密度の測定
JIS−K6767に準じ測定。
【0050】
(3)発泡シートの独立気泡率の測定
ASTM D−2856に記載の方法に準じエアピクノメータにより測定した。
【0051】
(4)発泡シートの厚み測定
発泡シートの幅方向に等間隔に10点の測定点を設け、測定点の厚みを厚みゲージ(teclock社製厚みゲージ)を用いて測定した後、各点の測定値の平均を発泡シートの厚みとした。
【0052】
(5)発泡シートのセル数測定
発泡シートを幅方向に等間隔に5つになるように切り出し、その切り出したシートの厚み方向、MD方向、TD方向のセル数をルーペ(peacock社製pocket・micro×10)を用いて測定した。その後、各点の測定値の平均を算出し、MD方向とTD方向における単位面積あたりのセル数と厚み方向のセル数の積を求め、これを発泡シートのセル数とした。
【0053】
(6)成形体の外観評価
得られた成形体の外観を以下の基準で評価した。
○:型決まりが良く、外観美麗である。
△:側壁の薄肉部や型決まりの不足等が見られ、外観がやや劣る。
×:気泡の部分的な膨張や穴あき等が発生し、外観上及び実用上問題がある。
(実施例1〜5) 発泡シートA〜Eを用いて、発泡シートの金型嵌合直前の表面温度を表2に示す温度となるように加熱し成形を実施して成形体を得た。得られた成形体の外観評価を表2に示す。
(比較例1〜4) 発泡シートA、Eを用いて発泡シートの金型嵌合直前の表面温度を表2に示す温度となるように加熱し成形を実施して成形体を得た。得られた成形体の外観評価を表2に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、濃色系に着色されたポリプロピレン系樹脂発泡シートの加熱成形において、ドローダウンによる成形不良を抑制し、外観美麗な成形体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関わるポリプロピレン系樹脂発泡シートの加熱連続成形法の一例を示す概略図である。
【図2】本発明における成形される直前の発泡シート表面温度の測定位置を示す。
【符号の説明】
1 発泡シート
2 金型嵌合前のシート位置
3 上嵌合金型
4 下嵌合金型
5 シャッタ
6 加熱炉
7 ヒータ
8 チェンレール
9 シート流れ方向
Claims (6)
- 濃色系に着色されたポリプロピレン系樹脂発泡シートを加熱炉内にて加熱した後、嵌合金型位置に導き、金型を嵌合して成形する方法であって、金型嵌合直前の発泡シートの表面温度が135℃以上165℃以下となるようにすることを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡シートの成形方法。
- ポリプロピレン系樹脂発泡シートの濃色系着色剤としてカーボンブラックを含有する黒色系着色剤マスターバッチを用いることを特徴とする請求項1記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの成形方法。
- 前記着色剤マスターバッチのベースポリマーがオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1または2記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの成形方法。
- ポリプロピレン系樹脂、ラジカル重合開始剤、及び共役ジエン系化合物を溶融混練して得られる改質ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂としたポリプロピレン系樹脂発泡シートを用いることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの成形方法。
- 少なくとも片面に熱可塑性樹脂からなる非発泡層を形成したポリプロピレン系樹脂発泡シートを用いることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの成形方法。
- 請求項1〜5の何れかに記載の成形方法によって得られるポリプロピレン系樹脂発泡シートの成形体。
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