JP2004159584A - 内分泌細胞濃縮器 - Google Patents

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政哉 澄田
Yoshihiro Hatanaka
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Abstract

【課題】簡便な操作で安全に、膵臓消化液から内分泌細胞を濃縮できる器具を提供すること。
【解決手段】膵臓細胞懸濁液中に存在する内分泌細胞を濃縮するための器具であって、液体導入口と液体導出口とを備え、多孔質構造体からなる濾材を内部に包含した容器で構成された内分泌細胞濃縮器。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、膵臓消化液中に存在する内分泌細胞を濃縮するための器具に関する。この器具により得られた細胞は、膵島移植による糖尿病治療、さらなる細胞分離または細胞培養等に供され、膵臓に関する細胞生物学、免疫学等の基礎医科学研究に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
糖尿病は、インスリンの作用不足により種々の合併症を併発する疾患であり、その患者数の増大は世界各国で大きな社会問題になっている。インスリン注射により糖尿病患者の血糖値をコントロールすることが可能なため、これがすぐさま致死的な状況に陥ることは稀である。しかし、インスリン注射は根治療法ではないため、1)QOLが低下する、2)生涯インスリンを打ち続ける必要がある、3)インスリン注射でも血糖コントロールのできないケースが発生する危険性がある、といった種々の問題をはらんでいる。
【0003】
従来、糖尿病の根治療法は、臓器移植、すなわち、インスリン分泌が正常なドナーの膵臓を患者に移植することが確立された唯一のものであった。膵臓移植は、大掛かりな開腹手術が必要であり、免疫抑制剤(ステロイド)を移植臓器の拒絶防止のために投与することによる合併症が大きな問題であった。
近年、「エドモントン方式」と呼ばれる、これらを克服する画期的治療法が開発された(非特許文献1)。これは、膵臓全体ではなく、インスリン分泌細胞の集合体である膵島(ランゲルハンス島)を、患者の肝臓門脈から注入するというもので、全世界で追試が行われており、その臨床的有効性が証明されている。
【0004】
ところで、本法に用いる膵島の調製方法をおおまかに記すと、膵臓を酵素で消化後、比重遠心法により内分泌細胞(これにインスリン分泌をする細胞が含まれている)と外分泌細胞とを分離するというものである。ここで、比重遠心分離は、多くの遠沈管と大量の比重液を用いる実験室レベルの煩雑な操作であり、しかも、比重分離液は膵島への細胞毒性を有するという問題点がある。
この欠点を克服するために、自動化された比重遠心分離装置[COBE2991(商標)(通常、血液や骨髄からの単核球分離に用いられる)、Gambro社製])を用いることもできるが、本装置はきわめて高価である。さらに、比重遠心法の最大の問題である、比重分離液の膵島への細胞毒性は何ら解決されていない。
【0005】
一方、最近、これらの問題を克服するために、比重遠心法を用いない膵島分離法が報告された(非特許文献2)。この方法は、孔径100μmのナイロンメッシュである「セルストレーナー」(商標)(BDバイオサイエンス社製)に膵臓消化液を注ぎ、50mlのHBSSですすいだ後、ペトリ皿に本セルストレイナーを逆さに置き、20mlのHBSSで洗い流してペトリ皿に回収するというものである。この方法によると、確かに比重遠心液を一切用いないので、比重遠心液による細胞毒性は回避されるが、この方法は、実験室レベルの煩雑な操作というだけでなく、完全開放系の操作であり、たとえクリーンベンチ内で行ったとしても、雑菌のコンタミネーションが危惧される。さらに、この方法は、単純な100μmの孔が開いた濾材で行う、すなわち、細胞の分離を細胞の大きさの違いで行う、いわゆる、サイズセパレーションであるため、有効濾過部分が濾過対象物によりすぐ目詰まりする、一度に大量処理ができない、という問題点もあり、現実の医療行為として応用するには困難を伴う。
【0006】
【非特許文献1】
Shapiro AM,et al:N Eng J Med,34
3,230−238、2000)
【非特許文献2】
Paolo R.O.Salvalaggio,et al:Tra
nsplantation,74,877−900,2002
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、簡便な操作で、安全に、膵臓消化液から内分泌細胞を濃縮できる器具を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を進めた。その結果、前記の、非特許文献2に示されているような、薄い濾材を用いた場合には、さらに、同方法のような形状のフィルターハウジングも用いる限り、多少の改良を行ったところで、これらの課題を解決することは困難であることが判明し、さらに研究を重ねた結果、本発明を完成させるにいたった。
【0009】
すなわち、本発明は、膵臓細胞懸濁液中に存在する内分泌細胞を濃縮するための器具であって、液体導入口と液体導出口とを備え、多孔構造体からなる濾材を内部に包含した容器で構成された内分泌細胞濃縮器である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、膵臓細胞懸濁液とは、動物(ヒトを含む)の膵臓を、酵素等で(イ)消化させる、(ロ)各種薬剤で剥離させる、(ハ)機械的に細切りする等の処理を施した後、次いで、液体に懸濁させたものをいう。本発明でいう内分泌細胞とは、膵臓に存在する、α細胞、β細胞、PP細胞およびδ細胞のみならず、これらに分化する幹細胞/前駆細胞も含む。内分泌細胞には、これらの細胞が単独で存在している場合の他、細胞の集合体として存在している場合も含む(しばしば「膵島」とは、このような集合体を指す)。
【0010】
膵臓を構成する細胞としては、これら内分泌細胞の他、外分泌細胞、血管内皮細胞、線維芽細胞等があり、膵島移植で(糖尿病治療で)重要なのは、前記の内分泌細胞である。中でも、インスリンを分泌するβ細胞が主役である。また、他の臓器と同様、細胞以外の組織(脂肪や線維等)も存在する。
本発明における濃縮器は、液体導入口と液体導出口とを備え、多孔構造体からなる濾材を内部に包含した容器からなる。ここで、液体導入口と液体導出口とは、液体が導出入されれば、いかなる形状でもよく、単なるチューブ、スパイク、金属針、オス、メスルアー等が挙げられる。また、原料懸濁液保存用、ドレイン用、回収用に、血液バッグ等の回路を直接接続したものでもよい。
【0011】
これらの液体導入口および液体導出口は、容器に、直接、存在していても、チューブを介して接続されていてもよい。液体導入口と液体導出口の位置は、液体導入口から細胞懸濁液が入り、濾材を経て液体導出口に至るものであれば、容器における位置は限定されない。
容器の材質は、成形性および滅菌性に優れ、細胞毒性が低いという点で好ましいものを例示すると、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、塩化ビニル等の合成高分子、ヒドロキシアパタイト、ガラス、アルミナ、チタニア等の無機材料、ステンレス、チタン、アルミニウム等の金属があげられるが、これらに限定されるものではない。
【0012】
本発明でいう多孔質構造体からなる濾材とは、厚さが1mm以上(濾材1枚の厚さは1mm未満でも、容器に積層し包含する場合は1mm以上に含まれる)であり、形状は、メッシュ、織布、不織布、スポンジ状構造体、粒子集合体等があげられ、これらを積層体、袋状、3次元成型体(ブロック状)等の形態で用いる。
濾材の材質には、いかなる種類の材料も使用できるが、成形性、滅菌性および細胞毒性が低いという点で好ましいものを例示すると、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリルアミド、ポリウレタン等の合成高分子、アガロース、セルロース、酢酸セルロース、キチン、キトサン、アルギン酸塩等の天然高分子、ヒドロキシアパタイト、ガラス、アルミナ、チタニア等の無機材料、ステンレス、チタン、アルミニム等の金属があげられる。
【0013】
ここで、内分泌細胞を濾材に捕捉した後、回収するモードにするか、内分泌細胞は捕捉させずに通過させ、内分泌細胞以外の細胞を捕捉させるモードにするかにより、用いる濾材の材質、濾材の表面修飾等が異なるので、適宜、用いるモードにより選択する。
本発明による濃縮器を用いた濃縮作動原理、すなわち、濾材による内分泌細胞とそれ以外の区分としては、サイズの差異による区分、親和性の差異による区分があげられるが、親和性の差異による区分が好ましい。親和性の差異とは、表面荷電の差異、親水性の差異(疎水性の差異)、および生物学的親和性が挙げられる。これらの1種または2種以上の組み合わせを用いることができる。生物学的親和性とは、リガンド−レセプターの関係や抗原−抗体の関係等、生体反応を利用したものを指す。
【0014】
本発明に用いられる濾材の孔径は、細胞懸濁液がスムーズに通液される孔径である必要があり、30μm以上が好ましく、より好ましくは100μm以上である。例えば、本発明の濃縮器にかける前工程として行う操作(消化等)により異なるので、適宜選択する。
本発明の内分泌細胞濃縮器を用いて得られた、内分泌細胞が濃縮された細胞懸濁液は、そのまま、または必要に応じて、さらなる分離精製(洗浄を含む)、培養、活性化、増幅、遺伝子導入、凍結保存等の処理が施された後、生体への移植や細胞生物学や免疫学等の基礎医科学実験に用いられる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0016】
【実施例1】
(1)濃縮器:図1を用いて説明する。図1は、本発明の濃縮器を用いた細胞濃縮システムの概略図である。
細胞濃縮記を構成する容器1の外寸(縦×横×厚み)は41×41×18mmで、液体導入口6と液体導出入口7を対角線上に持つポリカーボネート製容器である。容器の内部に多孔質構造体からなる濾材として、セルロース不織布(ベンリーゼ(登録商標)、旭化成製)が包含されている。濾材厚みは約8mmである。この濃縮器の入口側には、先端がスパイク2で、途中に細胞回収バッグ3への分岐を有する三方活栓4を有するチューブが接続されている。濃縮器の出口側には、途中に三方活栓5を有し、末端が切りっ放しになっているチューブが接続されている。また、この濃縮器はエチレンオキサイドガス滅菌がなされている。
【0017】
(2)膵臓細胞懸濁液:特開平2−504222号公報に開示されている常法にしたがい、ブタ膵臓を消化して調製した。
(3)細胞分離操作
図1に示す濃縮器のスパイク2に、上記(2)で得られた膵臓細胞懸濁液の入ったバッグ(以下、バッグ)を接続する。三方活栓4はバッグと濃縮器のみが連通する方向に、三方活栓5は、濃縮器とドレインチューブのみが連通する方向にセットして原料細胞懸濁液を濃縮器に落差で通液濾過し、濃縮器から流出した液体をドレインチューブの出口に容器を置き回収する。次に、三方活栓5に生理食塩水25mlを入れた30ml注射器(ルアーロック口)を接続し、三方活栓5は注射器と濃縮器のみが連通する方向にし、三方活栓4は濃縮器と細胞回収バッグのみが連通する方向にする。注射器のプランジャーを手で押して濃縮器に捕捉されている内分泌細胞を回収バッグ3に回収する。
【0018】
【発明の効果】
本発明の濃縮器を用いることによって、簡便な操作で、安全に、膵臓消化液から内分泌細胞を濃縮できるので、膵島移植による糖尿病の治療や細胞生物学や免疫学等の基礎医科学分野の研究の発展に対する貢献が極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の濃縮器を用いた細胞濃縮システムの概略図。
【符号の説明】
1 濃縮器
2 スパイク
3 細胞回収バッグ
4 三方活栓
5 三方活栓
6 液体導入口
7 液体導出口

Claims (6)

  1. 膵臓細胞懸濁液中に存在する内分泌細胞を濃縮するための器具であって、液体導入口と液体導出口とを備え、多孔質構造体からなる濾材を内部に包含した容器で構成された内分泌細胞濃縮器。
  2. 多孔質構造体からなる濾材による濃縮が、内分泌細胞の大きさと、内分泌細胞以外の細胞の大きさとの差異を利用したものではないことを特徴とする請求項1記載の内分泌細胞分離器。
  3. 濾材は、内分泌細胞を通過させるが、内分泌細胞以外の細胞を捕捉する濾材である請求項1記載の内分泌細胞濃縮器。
  4. 濾材は、内分泌細胞を捕捉するが、内分泌細胞以外の細胞を通過させる濾材である請求項1記載の内分泌細胞濃縮器。
  5. 濃縮は、内分泌細胞と内分泌細胞以外の細胞間の、濾材物質への親和性の差異を利用したものであることを特徴とする請求項2記載の内分泌細胞濃縮器。
  6. 親和性の差異が、表面荷電の差異、親水性の差異および生物学的親和性の差異から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項5記載の内分泌細胞濃縮器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006050964A (ja) * 2004-08-12 2006-02-23 Asahi Kasei Corp 細胞分離材の製造方法

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