JP2004236527A - 有核細胞分離装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便な操作で、短時間に、尿から有核細胞を分離する装置、特に高頻度に発生が予想される目詰まりに対して対策が施された装置を提供すること
【解決手段】尿から有核細胞を分離するフィルター装置であって、液体流入口と液体流出口を有する容器に有核細胞捕捉材が包含されたフィルター、フィルターの液体流入口より上流にあって、フィルターに尿を導入する手段、フィルターから有核細胞を回収するために流体を注入する手段、有核細胞を回収する手段、およびフィルター出口に接続される濾過後の尿を排液する手段を含む有核細胞分離装置
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、尿中に存在する細胞の分離に用いられる分離装置に関する。この分離装置により分離された細胞は、臨床検査、基礎医科学研究、疾患の治療などに用いられる。
【0002】
【従来の技術】
尿中には各種細胞が存在していることは周知の事実であり、非侵襲的に採取できることから、腎疾患の診断方法として以前より検討されている(例えば、非特許文献1)。
臨床検査の分野では、尿中の細胞の分析は、いわゆる、「尿沈渣検査法」として一定の位置を確立しているものの、「沈渣の検査は、遠心・鏡検という時間と手数のかかる操作を必要とするため、とにかくおろそかにしがちである」(非特許文献2)という認識が一般的である。
【0003】
一方、近年、いわゆる、再生医療が注目を集めており、各種細胞を、組織や臓器の欠損・機能不全を治療する医療に用いる検討がなされている。これらの細胞は、生体にそのソースを用いることが多いが、筋肉や骨などの組織、肝臓、腎臓などの臓器中から細胞を得る場合、組織や臓器を消化し、細胞を遊離することが必要となる。しかし、血液や骨髄などの体液をソースとする方法は消化分離の工程を必要としないために、その将来が期待されている。
【0004】
尿も、体液に分類され、その採取の容易さから、当然、研究対象となるべきものであるが、血液や骨髄と比してはるかに細胞濃度が低く、尿からの効率的な細胞分離の方法が現存しないため、研究対象になっていないのが現状である。
遠心分離ではない、尿からの細胞分離も提案されている。例えば、特許文献1には、診断目的で、尿沈渣を5μmのメンブレンフィルターでトラップさせて尿沈渣検査に用い、尿沈渣が除去された尿に固定化抗体を添加して、免疫学的検査を行う方法が開示されている。しかしながら、この方法により得られる尿沈渣は、5μmのメンブレンフィルターによる分離、すなわち、サイズによる分離であるため、有核細胞のみならず、大きさが5μm以上であれば結晶など非細胞成分もトラップされ、再生医療では、通常、不必要な赤血球もトラップされるため(もともと尿沈渣検査とは、それらも検査することが目的であるので、当然である)、回収操作を行った場合、赤血球の混入が不可避となる。
【0005】
特許文献2には、やはり診断目的で、尿を、細菌および白血球が通過しない、十分小さなポアーサイズのフィルターで濾過し、フィルター上にトラップされた細菌と白血球を蛍光ラベルして測定する技術が開示されているが、この技術を用いると、前述した再生医療で不要な赤血球のみならず、安全上問題である細菌さえもトラップされ、回収時に混入される。
本発明者は、実際に尿をフィルターを用いて分離する実験を行ったところ、高頻度でフィルターの目詰まりが発生することが見出された。これは、尿は一見、血液と比し透明で低粘度なため流れやすいように思えるが、実際には非常に多種類の有形成分(細菌、真菌、円柱、結晶など)を含む液体であるからである。
【0006】
【非特許文献1】
堀田修、「尿中単核球解析による内科的腎疾患の病態評価」、臨床病理、48、498〜504、2000
【非特許文献2】
「臨床検査法提要」、金原出版
【特許文献1】
特開平6−308126号公報
【特許文献2】
特開平9−119926号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、簡便な操作で、短時間に、尿から有核細胞を分離する装置、特に、目詰まりを起こしにくい有核細胞分離装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決するために、先ず、尿中の有形成分の全てが必要な尿沈渣検査作業とは全く別の発想を持たなければ、課題の解決は難しいとの仮説を立てた。この仮説に基づき、有核細胞に普遍的な挙動の利用、さらには、尿特有の問題点の克服を主なテーマとして研究を行った。高頻度に発生する目詰まりに対しては、尿は、血液とは比べものにならないほど組成が不均一(組成の個体差が大きい)であるという特殊性を認識し、血液用のフィルター開発の際には、常套手段であるフィルター本体の検討では目詰まり回避を実現させることは不可能であり、そこで、仮に目詰まりが発生しても、何らかの方法で即座に通液を再開させる方法を検討すべきであるとの結論し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1) 尿から有核細胞を分離するフィルター装置であって、液体流入口と液体流出口を有する容器に有核細胞捕捉材が包含されたフィルター、フィルターの液体流入口より上流にあって、フィルターに尿を導入する手段、フィルターから有核細胞を回収するために流体を注入する手段、有核細胞を回収する手段、およびフィルター出口に接続される濾過後の尿を排液する手段を含む有核細胞分離装置。
(2) フィルター出口に接続される濾過後の尿を排液する手段が、さらに注射器が接続可能な弁を含み、その弁は、接続した注射器を引くと注射器内に濾過後尿が吸引される方向に通液され、注射器を押すと注射器内の濾過後尿が排液される方向に通液されるように開くものである(1)に記載の有核細胞分離装置。
(3) 排液手段における弁が後付け可能なものである(2)に記載の有核細胞分離装置。
(4) 有核細胞捕捉材が、繊維塊、織布、不織布およびスポンジ状多孔質体からえらばれた少なくとも一種である(1)に記載の有核細胞分離装置。
(5) 尿から有核細胞を分離するフィルター装置であって、液体流入口と液体流出口を有する容器に有核細胞捕捉材が包含されたフィルター、フィルターの液体流入口より上流にあって、フィルターに尿を導入する手段、フィルターから有核細胞を回収するために流体を注入する手段、有核細胞を回収する手段、およびフィルター出口に接続される濾過後の尿を排液する手段を含む有核細胞分離装置と、前記尿を排液する手段に後付け可能な、注射器が接続可能で、接続した注射器を引くと注射器内に濾過後尿が吸引される方向に通液され、注射器を押すと注射器内の濾過後尿が排液される方向に通液されるように開く弁からなる有核細胞分離用キット。
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、尿とは、ヒトまたはヒト以外の動物の尿のことであり、健常人(動物)および患者(疾患動物)のいずれでもよいが、一般に、健常人(動物)の尿には有核細胞はほとんど存在しておらず、腎疾患などの疾病に罹患した場合に有核細胞は増えるといわれているので、患者尿を用いることが好ましい場合がある。
【0011】
有核細胞とは、核を有する細胞のこと(したがって、核を有しない細胞である赤血球は含まれない)であり、代表的な具体例として、正常細胞としては、白血球、顆粒球、好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球、マクロファージ、Tリンパ球、Bリンパ球、NK細胞、NK/T細胞、樹状細胞、多核巨細胞、上皮細胞、内皮細胞、間葉系細胞、およびこれらの幹/前駆細胞があげられるが、これらに限定されるものではない。異常細胞としては、悪性腫瘍細胞(白血病、腎癌、悪性リンパ腫、神経芽細胞腫などがあるが、これらに限定されるものではない)があげられる。
【0012】
本発明で用いられるフィルターは、液体流入口と液体流出口を有する容器に有核細胞捕捉材が包含されたものである。液体流入口と液体流出口を有する容器の材質は、成形性や滅菌性に優れ、細胞毒性が低いものが好ましい。容器の材質を例示すると、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、塩化ビニルなどの合成高分子、ヒドロキシアパタイト、ガラス、アルミナ、チタニアなどの無機材料、ステンレス、チタン、アルミニウムなどの金属などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0013】
容器の形状は、直方体、立方体、円柱形、楕円柱形などがあげられるが、いずれの形状でもよい。
本発明でいう有核細胞捕捉材とは、有核細胞を捕捉する材料のことである。有核細胞の捕捉には、例えば、サイズ排除による捕捉、細胞接着による捕捉、これらの複合による捕捉等のメカニズムによる捕捉があげられる。しかし、これらに限定されるものではない。これらの中では、細胞接着、およびサイズ排除と細胞接着の複合による捕捉が好ましい。ここで、細胞接着とは、表面荷電の差異、親水疎水性、生物学的親和性等により細胞が材料に接着することにより、これらの1種または2種以上の組み合わせを用いることができる。生物学的親和性とは、リガンド−レセプターの関係や抗原−抗体の関係等、生体反応を利用したものを指す。
【0014】
有核細胞捕捉材の形状としては、繊維塊、織布、不織布、スポンジ状多孔質体、平板、ビーズなどがあげられるが、有核細胞の捕捉性能の点から、繊維塊、織布、不織布およびスポンジ状多孔質体から選ばれた少なくとも一種が好ましく、中でも、不織布がより好ましい。不織布の場合、抗体など、特定の細胞に特異的に結合する、いわゆるバイオリガンドを用いない限りは、その繊維径は10μm未満が好ましく、より好ましくは1.0μm以上5.0μm以下である。繊維径が1.0μm未満では、有核細胞が繊維に強固に粘着する場合がある。繊維径が大きくなり、5.0μmを越えると、有核細胞が繊維に捕捉されず素通りする可能性が生じる場合がある。
【0015】
有核細胞捕捉材の材質としては、通常用いられている有核細胞捕捉材であればいかなる材料も使用できるが、成形性が良好で、滅菌性および細胞毒性が低いという点で好ましいものを例示すると、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリルアミド、ポリウレタンなどの合成高分子、アガロース、セルロース、酢酸セルロース、キチン、キトサン、アルギン酸塩などの天然高分子、ヒドロキシアパタイト、ガラス、アルミナ、チタニアなどの無機材料、ステンレス、チタン、アルミニムなどの金属などがあげられる。
【0016】
尿中に存在する赤血球は、捕捉材に捕捉されることなく流出するが、通常、赤血球は再生医療などで利用されることはないので、流失に伴なう障害はない。
本発明において、フィルターに尿を導入する手段は、いったん、なんらかの容器に採取された尿を、例えば、塩ビ製血液バッグに保存している場合、尿を導入する手段として、このバッグに接続可能な末端、すなわち、ルアーアダプター付きチューブおよびスパイク付きチューブがあげられる。
【0017】
大きな液体導入口を具備したバッグ(例えば、ニプロ社製の成分・経腸栄養用ニプロEDセットが好適に用いられる)を用いると、メスシリンダーなどでこのバッグの口に尿を注ぐことにより、フィルターに尿を導入することができ、操作性に優れるので好ましい。少量の場合は注射器でフィルターに尿を導入するのが便利であり、その場合は、注射器を接続することが可能なメスルアーアダプタが末端にあるチューブが好ましい。
【0018】
本発明でいうフィルターに流体を注入する手段とは、前記、フィルターに尿を導入する手段によって尿が導入され有核細胞が捕捉されたフィルターから、有核細胞を遊離させるために流体を注入するものであるが、フィルターに注入する流体を入れた容器を予め接続しておくか、後から接続可能とするかにより、以下のように分類される。
フィルターに注入する流体を入れた容器を予め接続しておく場合は、上記手段としては、バッグ付きチューブ、注射器などがあげられる。フィルターに流体を注入する方法としては、落差による方法、バッグを押しつぶす方法、注射器のプランジャーを手または機械で押す方法などがあげられる。
【0019】
フィルターに注入する流体を入れた容器を予め接続しないで、後から接続する場合、注射器が接続可能である穿刺可能なセプタム付きチューブ、ルアーアダプター付きチューブ、三方活栓付きチューブ、バッグと接続可能な回路、すなわち、スパイク付きチューブ、ルアーアダプター付きチューブ、または無菌接続を行うのであれば、単なるチューブ、というように適宜選択する。注射器の場合、チューブを介さずフィルターの入口または出口に直接接続してもよい。
【0020】
フィルターに注入する流体としては、細胞に悪影響を及ぼすものでなければいかなる液体も使用できるが、いくつかを例示すると、生理食塩水、D−PBS(ダルベッコリン酸塩緩衝液)、HBSS(ハンクス液)などの緩衝液、RPMI−1640などの培地があげられる。これらの液体に、細胞保護、栄養補給、抗凝固性付与、凍結保存時の凍害防止、粘度向上(回収率向上に有効な場合がある)などの目的で、必要に応じて、アルブミン、グロブリン、グルコース、サッカロース、トレハロース、クエン酸化合物、EDTA、ジメチルスルホキシド、デキストラン、ポリビニルピロリドン、グリセリン、キチン誘導体、ヒドロキシエチルデンプン、ゼラチンなどを添加してもよい。なお、ここでいう流体とは、液体のみならず、液体と気体の混合物も含む。
【0021】
本発明でいう有核細胞を回収する手段とは、前記、フィルターに尿を導入する手段によって尿が導入され有核細胞が捕捉されたフィルターに、前記、流体を注入する手段によって注入された流体により捕捉材から遊離された有核細胞含有液体を、漏洩することなく回収する手段のことであり、細胞に対して悪影響を及ぼさないものであればどのようなものも使用できる。その具体例としては、細胞を回収する容器を予め接続しておくか、後から接続するかにより以下のように分類される。
【0022】
予め接続しておく場合は、上記手段としては、バッグ付きチューブ、注射器付きチューブなどがあげられる。後から接続する場合は、バッグや注射器と接続可能な回路、すなわち、スパイク付きチューブ(バッグと接続可能)、ルアーアダプター付きチューブ(ルアー付きバッグや注射器と接続可能)、単なるチューブ(無菌接続装置を用いることで、チューブ付きバッグのチューブに接続可能)というように使い分ける。また、チューブの先端を開放しておいて、先端から流出する液体をコニカルチューブやビーカーなどの容器に滴下し回収することもできる。ただし、この場合は、開放系操作となるため、無菌的に細胞を得たい場合には無菌操作に厳重な注意が必要である。
【0023】
フィルターに尿を導入する手段と、フィルターに捕捉されていた有核細胞を回収する手段の位置関係は、濾過時の通液方向と同一方向に流体を注入する場合には、流体を導入する手段はフィルター入口より上流に、細胞を回収する手段はフィルター出口より下流に接続される。濾過時の通液方向とは逆方向に流体を注入する場合には、流体を導入する手段はフィルター出口より下流に、細胞を回収する手段はフィルター入口より上流に接続される。濾過時の通液方向とは逆方向に流体を注入することにより高い回収率が得られるので好ましい。
【0024】
フィルター出口に接続される濾過後の尿を排液する手段としては、バッグ付きチューブ、注射器付きチューブ、バッグや注射器と接続可能な回路、すなわち、スパイク付きチューブ(バッグと接続可能)、ルアーアダプター付きチューブ(ルアー付きバッグや注射器と接続可能)、単なるチューブなどがあげられる。通常、この、排液側に出てきた濾過後の尿は利用されることは少ないので、先端が開放されたチューブが好ましい(この場合、廃液ビンなどの容器に濾過後の尿を受ければよい)。
【0025】
通常、尿の濾過は重力を利用した落差通液で行われるが、尿中には多種多様の有形成分(各種細胞の他に細菌、真菌、円柱、結晶など)が存在し、しばしば目詰まりにより濾過が止まってしまうことを、本発明者は予備検討中に経験した。そのため、仮に、落差通液中に目詰まりで濾過が中断されたとしても、注射器による強制通液で濾過を再開できるように以下の部品が接続可能になっていることが好ましい。すなわち、フィルター出口に接続される濾過後の尿を排液する手段に接続可能であり、注射器が接続可能な弁を含み、その弁は、接続した注射器を引くと注射器内に濾過後尿が吸引されるように通液され、注射器を押すと、注射器内の濾過後尿が排液される方向に通液されるように開くものである。
【0026】
これらは、3方活栓を用い、手動で行ってもよいが、例えば、コシナ社製デュアルチェックバルブ商品番号79008などを用いると、手動操作することなく通液方向が自動的に設定されるので好ましい。なお、この、コシナ社製デュアルチェックバルブ商品番号79008の場合、入口がメスルアーになっているので、これに接続するフィルター出口に接続される濾過後の尿を排液するチューブの先端はオスルアーにしておけば後付け可能となる。なお、最初からこのデュアルチェックバルブを接続しておくこともできるが、こうした場合、落差での通液は不可能となり、始めから注射器のプランジャの押し引きにより通液せねばならない。そのため、時間がかかるおそれがあるので、最初は、落差による自然通液ができる、弁を後付けにする方が好ましい。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0028】
【実施例1】
(1)有核細胞捕捉材
平均繊維径2.3μmのポリエステル不織布(目付約60g/m、厚み約0.3mm)18枚と、平均繊維径12μmのポリエステル不織布(目付約100g/m、厚み約0.47mm)16枚を重ね、押し切りカッターで35mm角に切断し、有核細胞細胞捕捉材とした。
【0029】
(2)フィルター、有核細胞分離装置および有核細胞分離用キット
図1に、本発明の有核細胞分離装置とこれを用いたキットの模式図を示す。
(1)で作成した有核細胞捕捉材を、容器外寸(縦×横×厚み)41×41×18mmで、液体流出口と液体流入口を対角線上に持つポリカーボネート製容器の出口側に、平均繊維径12μmのポリエステル不織布がくるように積層してフィルター1とした。
フィルター1の入口側にはT字管7を接続した。このT字管7の一方の接続部に、先端が切りっ放しの塩ビ製回収用チューブ2(途中に板クランプ3を有する)を接続した。T字管7の残りの接続部には、経腸栄養用バッグ(ニプロ社製“ニプロEDセットA”)4のチューブ5を、ドリップチャンバーの下約20cmで切断(ローラークランプ6は外さずに残す)して作成した、フィルターに尿を導入する手段を接続した。
【0030】
フィルターの出口側には、途中に板クランプ8を有し、末端がオスルアーアダプタ9の塩ビ製ドレインチューブ10と、メスルアーアダプター11を接続したT字管12を接続した。
上記の装置が、本発明の有核細胞分離装置である。
また、50mlディスポーザブル注射器13とデュアルチェックバルブ(コシナ社製、商品番号79008)14の出口側に約10cmの塩ビチューブ15を接続したものを用意した。これらを合わせたのが、本発明の有核細胞分離用キットである。
【0031】
(3)原料尿
腎臓病患者から合計約1リットルの尿を収集した。
(4)細胞分離回収操作
(2)で作製した有核細胞分離装置のバッグ4をスタンドに吊るし、ドレインチューブ10の下には廃液容器として2リットルのポリエチレンカップを置いた。バッグ4の蓋を開け、メスシリンダーで原料尿をバッグ4に注いだ。この時、ローラークランプ6と板クランプ8は開にし、板クランプ3は閉にして落差による濾過を行った。
400ml程度までは順調に流れたが、その後、目詰まりで濾過は不可能となったため、ドレインチューブ10の先端のオスルアーアダプター9に、空の100mlディスポーザブル注射器13が接続されたデュアルチェックバルブ14を接続し、注射器のプランジャーを押し引きすることにより濾過を再開させた。この時、濾過後尿はチューブ15を通り、先の、濾過中断前と同じ廃液容器に排液した。濾過終了後、ローラークランプ6と板クランプ8を閉じ、板クランプ3を空け、次に、T字管12のメスルアーアダプタ11に生理食塩水20mlと空気5mlを入れた50mlディスポーザブル注射器(ルアーロック口)を接続し、注射器のプランジャーを手で押すことによって、フィルター1に捕捉されている細胞を50mlコニカルチューブに回収した。
【0032】
(5)分析
50mlコニカルチューブに回収された細胞浮遊液と、あらかじめ分取しておいた原料尿を5ml分取し、サイトスピンと核染色を用いる常法で標本を作製した。これを検鏡により有核細胞をカウントした。
(6)結果
原料尿の有核細胞は20個/視野、回収した細胞浮遊液は105個/視野であり、本分離操作により、有核細胞が分離濃縮されることが分かった。
【0033】
【発明の効果】
本発明によると、簡便な操作で、短時間に、尿から有核細胞を分離でき、目詰まりが発生しても通液がすぐ再開できる。そのため、従来、省みられなかった尿中細胞を用いた再生医療などの研究の進展や尿の臨床検査の発展に対する貢献が極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による有核細胞分離用キットの模式図。
【符号の説明】
1 フィルター
2 回収用チューブ
3 板クランプ
4 バッグ
5 チューブ
6 ローラークランプ
7 T字管
8 板クランプ
9 オスルアーアダプタ
10 ドレインチューブ
11 メスルアーアダプタ
12 T字管
13 50mlディスポーザブル注射器
14 デュアルチェックバルブ
15 チューブ

Claims (5)

  1. 尿から有核細胞を分離するフィルター装置であって、液体流入口と液体流出口を有する容器に有核細胞捕捉材が包含されたフィルター、フィルターの液体流入口より上流にあって、フィルターに尿を導入する手段、フィルターから有核細胞を回収するために流体を注入する手段、有核細胞を回収する手段、およびフィルター出口に接続される濾過後の尿を排液する手段を含む有核細胞分離装置。
  2. フィルター出口に接続される濾過後の尿を排液する手段が、さらに注射器が接続可能な弁を含み、その弁は、接続した注射器を引くと注射器内に濾過後尿が吸引される方向に通液され、注射器を押すと注射器内の濾過後尿が排液される方向に通液されるように開くものである請求項1記載の有核細胞分離装置。
  3. 排液手段における弁が後付け可能なものである請求項2記載の有核細胞分離装置。
  4. 有核細胞捕捉材が、繊維塊、織布、不織布およびスポンジ状多孔質体からえらばれた少なくとも一種である請求項1記載の有核細胞分離装置。
  5. 尿から有核細胞を分離するフィルター装置であって、液体流入口と液体流出口を有する容器に有核細胞捕捉材が包含されたフィルター、フィルターの液体流入口より上流にあって、フィルターに尿を導入する手段、フィルターから有核細胞を回収するために流体を注入する手段、有核細胞を回収する手段、およびフィルター出口に接続される濾過後の尿を排液する手段を含む有核細胞分離装置と、前記尿を排液する手段に後付け可能な、注射器が接続可能で、接続した注射器を引くと注射器内に濾過後尿が吸引される方向に通液され、注射器を押すと注射器内の濾過後尿が排液される方向に通液されるように開く弁からなる有核細胞分離用キット。
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